説明

容器スタッカー装置および容器スタッカー方法

【課題】容器を搬送しながら反転することにより反転装置を不要とし、反転不良や落下時の騒音をなくす。
【解決手段】入口コンベア1と、入口コンベア1へ搬入された各々の容器Aを上方へ持ち上げるリフティング装置2と、リフティング装置2の上方に上流端部を位置させ容器Aを個々に搬送しながら反転させる容器反転搬送装置3と、容器反転搬送装置3の下流端部の下方に位置する容器位置決め装置4と、容器位置決め装置4の下方位置に設けられるとともに順次下方へ移動可能な容器段積み装置と、容器段積み装置に段積みされた容器ASを排出する容器排出コンベア6とを有する容器スタッカー装置による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器、特に工場のパン等食品を搬送する容器を積み上げていく容器スタッカー装置および容器スタッカー方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場においてパン等の食品を搬送する容器(プラスチックコンテナ)は、使用後洗浄されて繰り返し使用される。そして使用された容器は、洗浄する場合、底面を上にして(裏返して)を洗浄することが通常の方法である。したがって、洗浄された容器は、その裏返された状態で1つ1つバラバラに容器搬送装置で搬送される。しかし容器スタッカー装置では、表を上にして段積みする必要があるため、容器スタッカー装置に搬送される前に、反転装置による個々の容器の反転、上下のひっくり返しによって底面を下にすることが必要であった。
【0003】
そして、底面を下にした容器を容器スタッカー装置まで搬送し、順次上から落とし込んで一定の数まで、例えば数十枚段積みした後、段積みされた容器を、容器排出装置によって排出していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、食品工場等で食品搬送用の容器は、使用後洗浄されるが、通常底面を上にして洗浄されるため、それらの容器を段積み(スタッキング)する前に、洗浄された容器の姿勢を上下する反転させる必要があった。従来の容器スタッカー装置及び容器スタッカー方法は、容器スタッカー装置へ搬送する前に反転装置を設置して容器を反転させていたため、反転装置を設置する場所を確保しなければならない課題があった。
【0005】
また、反転装置による容器の上下の反転では、一定の確率で反転の不良が起きる課題や、反転時に容器は先端部から落下するため、落下時の不快な騒音が発生するという課題があった。
【0006】
更に、従来は洗浄装置の容器排出出口の高さが一定であり、その高さに対応させた容器搬送コンベアによって容器スタッカー装置まで容器が搬送されるため、容器スタッカー装置への入り込み高さが固定されるため、各装置の配置等の設計の自由度が少ない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、個々の容器を容器スタッカー装置へ搬入する容器搬入コンベアの下流側に設けた入口コンベアと、入口コンベアへ搬入された各々の容器を上方へ持ち上げるリフティング装置と、リフティング装置の上方に上流端部を位置させ容器を個々に搬送しながら反転させる容器反転搬送装置と、容器反転搬送装置の下流端部の下方に位置する容器位置決め装置と、容器位置決め装置の下方位置に設けられるとともに順次下方へ移動可能な容器段積み装置と、容器段積み装置に段積みされた容器を排出する容器排出コンベアとを有する容器スタッカー装置を提案する。
【0008】
また、容器反転搬送装置が、左右の正面視逆U字形状のエンドレスコンベアからなり、個々の容器を左右から挟み込んで搬送しながら反転させる容器反転搬送装置である0007欄に記載の容器スタッカー装置を提案する。
【0009】
更に、個々に搬送されてくる容器を、入口コンベアからリフティング装置によって上方に持ち上げ容器反転搬送装置の上流側に供給するとともに、
個々の容器は、容器反転搬送装置によって搬送されながら反転され、
反転された個々の容器は、容器位置決め装置によって位置決めされた後、
下方に位置し順次下方へ移動可能な容器受部を備えた容器段積み装置へ送られ、
容器段積み装置に順次段積みされた容器は、予定数段積み後、容器排出コンベアによって排出される容器スタッカー方法を提案する。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、反転装置が不要となるため設備費を削減できるとともに、反転装置を設置する場所の確保が必要がなくなり、工場との設計等が行ないやすくなるメリットがある。
【0011】
更に、この発明によれば搬送を行ないながら反転するため、容器の反転時の騒音の発生が無くなるという効果がある。
【0012】
更に又、この発明ではリフティング装置と容器反転搬送装置とを組み合わせることによって容器スタッカー装置への容器入れ込み高さを従来より自由に設計することができ、装置配置のレイアウトの自由度が増すという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明の実施形態を示す容器スタッカー装置の全体正面図である図1、同じく全体平面図である図2、同じく全体右側面図である図3,同じく容器反転搬送装置の上流側の部分拡大正面図である図4、図4の左側面図である図5、同じく入口コンベア、リフティング装置等の部分拡大平面図である図6、同じく容器反転搬送装置の下流側の部分拡大正面図である図7、図7の右側面図である図8、同じく容器段積み装置、容器排出コンベア等の部分平面図である図9に基づいて説明する。
【0014】
この発明の容器スタッカー装置は、個々の容器Aを容器スタッカー装置へ搬入する容器搬入コンベア100の下流側に設けた入口コンベア1と、入口コンベア1へ搬入された各々の容器Aを上方へ持ち上げるリフティング装置2と、リフティング装置2の上方に上流端部を位置させ容器Aを個々に搬送しながら反転させる容器反転搬送装置3と、容器反転搬送装置3の下流端部の下方に位置する容器位置決め装置4と、容器位置決め装置4の下方位置に設けられるとともに順次下方へ移動可能な容器段積み装置5と、容器段積み装置5に段積みされた容器を排出する容器排出コンベア6と、排出扉7とを有する。
【0015】
入口コンベア1は、容器搬入コンベア100と表面が水平の位置に設けられ上流側を容器搬入コンベア100の下流側に対向するように設けられたエンドレスコンベアである。入口コンベア1の幅は、容器Aの幅より狭い寸法であり、容器Aが入口コンベア1に乗ると容器Aは幅方向に両サイドで突出下状態になる。10は、入口コンベア1の駆動モータである。
【0016】
リフティング装置2は、容器反転搬送装置3の上流端部の下方に位置し、入口コンベア1の幅方向両サイドにそれぞれ配置される上下方向に縦長にエンドレス回転するエンドレスチェーンコンベアからなる2つの上昇回転部20と、各々の上昇回転部20に複数ほぼ等間隔に取り付けられ水平方向に突出するリフトプレート21を有している。リフトプレート21は、上昇時に容器Aの両サイドを下方から載置して上方へ移動する。22は、上昇回転部20の駆動モーターである。
【0017】
容器反転搬送装置3は、入口コンベア1の幅方向左右に正面視逆U字形状の左右2つ並列する縦型カーブコンベア30、30からなり、上流端部31をリフティング装置2の上方に位置させ、下端端部32を容器位置決め装置4の上方に位置させて、左右縦型カーブコンベア30の間隔を広狭移動自在にフレーム5に設けられる。他の実施の形態として、左右縦型カーブコンベア30の間隔を固定してフレーム5に設けてもよい。下流端部32のコンベア回転部33である駆動スプロケットは、カーブコンベア駆動モータ34に連結する。
【0018】
容器反転搬送装置3の左右の縦型カーブコンベア30、30はそれぞれ細かい多数の突起を有する合成樹脂性のベルト、摩擦力の大きい摩擦リンク等のエンドレスベルトコンベアからなり、ベルトコンベア面を側面方向に向けて設ける。左右の縦型カーブコンベア30、30の間隔は、容器Aの幅寸法に合わせ広狭移動可能であり、縦型カーブコンベア30、30間に挟持される容器Aの幅寸法よりやや狭い間隔だけ隔てて並行になるように調整して設けられる。この実施の形態では、一方の縦型カーブコンベア30のみを移動して行う。縦型カーブコンベア30、30はそれぞれ上流端部31、下流端部32にスプロケットあるいはギアを設けてエンドレス状に移動し、互いに相対して向かい合った内側のベルトコンベア面が上流側から下流側に向かって進行する内表面30aであり、その裏の外側面が下流側から上流側に向かって戻る外裏面30bである。
【0019】
図5に図示する実施形態の容器反転装置3の上流端部31は、左右の縦型カーブコンベア30、30の相互の内表面の間隔は平行のままである。図示しないが他の実施形態として容器反転搬送装置3の上流端部31は、左右の縦型カーブコンベア30、30の相互の内表面間隔が、上流側を下流側より広く設け下流側に行くにしたがって相互の内表面間隔が徐々に狭くなるように設けてもよい。
【0020】
容器反転搬送装置3の左右の縦型カーブコンベア30、30の間隔は被搬送物である容器Aの幅寸法に合わせて、容器Aの幅寸法よりやや狭い間隔で広狭移動可能である。
【0021】
それぞれの縦型カーブコンベア30、30は下流端部32にスプロケットあるいはギアなどからなるコンベア回転部33を設け、コンベア回転部33は駆動装置である駆動モータ34に接続してエンドレス状に作動する。左右の縦型カーブコンベア30、30は1の駆動モータ34により同速度で走行する。
【0022】
容器位置決め装置4は、容器反転搬送装置3の下流端部32の下方に位置し、左右の位置決め受けプレート40と、それぞれの位置決め受けプレート40を移動させる位置決め受けシリンダー41と、位置決め受けシリンダー41に載置された容器Aのセンタリングをする前後左右の4つの位置決めシリンダー42とを有する。
【0023】
容器段積み装置5は、、容器位置決め装置4の下方位置に設けられ、容器反転搬送装置3の左右の縦型カーブコンベア30、30のそれぞれ下方に配置される上下方向に縦長にエンドレス回転するエンドレスチェーンコンベアからなる2つの下降回転部50と、各々の下降回転部50に複数ほぼ等間隔に取り付けられ水平方向に突出する左右の段積み受けプレート51を有している。左右の段積み受けプレート51は、位置決め受けプレート40から容器Aの底面を幅方向の左右で受け、順次容器反転搬送装置3から送られてくる容器Aを順次上に段積みしつつ下方へ移動する。
【0024】
容器排出コンベア6は、容器段積み装置5の下端位置に設けられ、水平方向のコンベアからなる。
【0025】
排出扉7は、容器段積み装置5の前後左右の開閉自在に設けられている。
【0026】
次ぎに、この発明の実施形態である容器スタッカー方法について説明する。容器Aは、図示しない洗浄装置から底面を上にし開放口を下に向けた状態のまま容器搬入コンベア100によって搬送されて、容器スタッカー装置の入口コンベア1まで来るとセンサーによって入口コンベア1が駆動されて入口コンベア1上に自動的に乗る。容器Aは、入口コンベア1によってリフティング装置2の位置まで移動し停止する。
【0027】
予め設定された位置に容器Aが停止すると、リフティング装置2の上昇回転部20が回転し始め、入口コンベア1の幅より左右に突出している容器Aの左右両サイドを下方から上昇回転部20に付されているリフトプレート21によって押上げていく。
【0028】
容器Aは、底面を下にしたままリフトプレート21に乗って上昇し、容器反転搬送装置3の上流端部31に至る。
【0029】
容器反転搬送装置3は、その上流端部で左右の縦型カーブコンベア30、30がスプロケットによりそれぞれリターンしており常時一定の速度でエンドレス回転している。リフトプレート21に乗って上昇してきた容器Aは、容器反転搬送装置3の上流端部で互いに相対して向かい合った内側のベルトコンベア内表面30a、30aによって挟み込まれたまま上流側から下流側に向かって搬送される。上流端部31では容器Aは底面が上の状態であるが、挟み込まれたまま逆U字状に搬送されるため容器反転搬送装置3の下流端部32では、容器Aは自然に180度角反転した状態になり、底面は下を向いた状態になる。
【0030】
容器反転搬送装置3の下流端部32は、上流端部31と同様に駆動スプロケット33によりリターンしており容器Aは、底面を下にした状態で落下し、下方に位置する位置決め装置4の左右の位置決め受けプレート40の上に乗る。このとき左右の位置決め受けプレート40は、位置決め受けシリンダー41によって幅を狭めた状態であり、左右の位置決め受けプレート40は容器Aの幅より狭い状態で停止している。
【0031】
左右の位置決め受けプレート40に落下して乗った容器Aは、その側面を前後左右の4つの位置決めシリンダー40のシリンダーロッドによって押されセンタリングされ位置決めをされる。
【0032】
位置決め受けプレート40上で位置決めをされた容器Aは、次ぎに位置決め受けシリンダー41のシリンダーロッドを短縮させ、左右の位置決め受けプレート40の間隔を広げ容器Aを直ぐ下に位置する容器段積み装置5の左右の段積み受けプレート51まで落下させる。
【0033】
段積み受けプレート51は、下降回転部50に付設されており容器Aが1つ載置されると容器Aの高さ分自動的に下方へ降下して停止する。
【0034】
容器Aは、容器搬送コンベア100に乗ってそれぞれアットランダムの間隔で搬入されるため、それぞれの容器Aは上述の方法で容器反転搬送装置3から搬送されつつ180度反転され、位置決め装置4の位置決め受けプレート40へ底面を下にした状態で乗り、更に段積み受けプレート51へ落下して前の容器Aの上に乗る。そのため段積み受けプレート51は、新たに乗った容器Aの厚さ分下方へ落下して止まる。
【0035】
この動作を繰り返し、段積み受けプレート51が容器Aを載置させる毎に容器Aの高さ程度下降していき下端まで至り容器排出コンベア6までくると容器Aは、底面が容器排出コンベア6の上表面、又はその上に乗っている台部表面に接触する。この状態で排出扉7を開放し、容器排出コンベア6を駆動させることにより、複数段段積みされた容器ASは、容器排出コンベア6によって排出される。
【0036】
このように、この発明によれば、反転装置を使用せずに容器スタッカー装置において搬送させながら容器Aを180度反転させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
この発明は、容器を洗浄して繰り返し使用する工場において使用される可能性が高い。特にパン製造等の食品加工用工場における容器スタッカー装置及び容器スタッカー方法として利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の実施形態を示す容器スタッカー装置の全体正面図
【図2】同じく一部を削除した全体平面図
【図3】同じく全体右側面図
【図4】同じく容器反転搬送装置の上流側の部分拡大正面図
【図5】図4の左側面図
【図6】同じく入口コンベア、リフティング装置等の部分拡大平面図
【図7】同じく容器反転搬送装置の下流側の部分拡大正面図
【図8】図7の右側面図
【図9】同じく容器段積み装置、容器排出コンベア等の部分平面図
【符号の説明】
【0039】
1 入口コンベア
10 駆動モーター
2 リフティング装置
20 上昇回転部
21 リフトプレート
22 駆動モーター
3 容器反転搬送装置
30 縦型エンドレスコンベア
30a 内側表面
30b 外側表面
31 上流端部
32 下流端部
33 駆動スプロケット
34 縦型エンドレスコンベアの駆動モータ
4 容器位置決め装置
40 位置決め受けプレート
41 位置決め受けシリンダー
42 位置決めシリンダー
5 容器段積み装置
50 下降回転部
51 段積み受けプレート
6 容器排出コンベア
7 排出扉
A 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個々の容器を容器スタッカー装置へ搬入する容器搬入コンベアの下流側に設けた入口コンベアと、入口コンベアへ搬入された各々の容器を上方へ持ち上げるリフティング装置と、リフティング装置の上方に上流端部を位置させ容器を個々に搬送しながら反転させる容器反転搬送装置と、容器反転搬送装置の下流端部の下方に位置する容器位置決め装置と、容器位置決め装置の下方位置に設けられるとともに順次下方へ移動可能な容器段積み装置と、容器段積み装置に段積みされた容器を排出する容器排出コンベアとを有する容器スタッカー装置。
【請求項2】
容器反転搬送装置が、左右の正面視逆U字形状のエンドレスコンベアからなり、個々の容器を左右から挟み込んで搬送しながら反転させる容器反転搬送装置である請求項1に記載の容器スタッカー装置。
【請求項3】
個々に搬送されてくる容器を、入口コンベアからリフティング装置によって上方に持ち上げ容器反転搬送装置の上流側に供給するとともに、
個々の容器は、容器反転搬送装置によって搬送されながら反転され、
反転された個々の容器は、容器位置決め装置によって位置決めされた後、
下方に位置し順次下方へ移動可能な容器受部を備えた容器段積み装置へ送られ、
容器段積み装置に順次段積みされた容器は、予定数段積み後、容器排出コンベアによって排出される容器スタッカー方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−297115(P2008−297115A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−148140(P2007−148140)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(000177298)三鈴工機株式会社 (8)
【Fターム(参考)】