説明

容器搬送装置

【課題】本発明は、下流側の装置の運転停止後に容器排斥装置を含む検査装置内の残存容器を全て搬送路に搬出してから検査装置の運転を停止させても、搬送路内から容器が溢れ出たり、搬送路内で容器が潰されたりすることがない容器搬送装置を提供することにある。
【解決手段】本発明は、検査装置2の出口側に設置した容器排斥装置(3)とそれよりも下流側に位置する他の装置(5)との間の搬送路(4)の途中に、容器溜まり部(10)を設けたのである。
このように、容器溜まり部(10)を設けることで、搬送路(4)内に既に容器7が隙間なく存在していても、検査装置(2)からの容器の排出により溢れ出ようとする容器は容器溜まり部(10)に入るので、搬送路(4)内から容器が溢れ出たり、搬送路内で容器が潰されたりすることがなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体を封入したペットボトルを含む瓶あるいは物体を梱包した箱等の容器を搬送する容器搬送装置に係り、特に、搬送路の途中に容器の検査装置があり、その下流側に他の機器が設置されている容器搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送路の途中に容器の検査装置があり、その下流側に他の機器が設置されている容器搬送装置としては、例えば、図5及び図6に示すような容器搬送装置が既に実用化されている。
【0003】
この容器搬送装置は、第1搬送路1と、その搬送方向下流側に設置された検査装置2と、この検査装置2の出口側に設けられた容器排斥装置3と、その下流側に設置された第2搬送路4と、その下流側に設置されたラベル貼り装置5と、その下流側に連なる第3搬送路6とを備えている。
【0004】
このような容器搬送装置において、図7に示すような液体を充填した透明なペットボトル等の容器7を、上流側から第1搬送路により検査装置2に搬送し、液体に不純物が混入しているか否か、あるいは容器7に損傷や汚れがないかを検査し、検査後、出荷基準を満たしていない容器7を容器排斥装置3で容器搬送装置外に排斥している。出荷基準を満たしている容器7は、第2搬送路4を経由して容器7の表面にラベルを貼るために、ラベル貼り装置5に搬入され、第3搬送路6を経由して次の装置に搬送される。
【0005】
尚、関連する技術として特許文献1に開示の容器搬送装置がある。
【0006】
【特許文献1】特開2004−59189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の容器搬送装置においては、下流側のラベル貼り装置5或いはそれよりも下流側の例えば容器に日付を印字する印字装置等に故障が生じてラベル貼り装置5或いは印字装置が運転を停止すると、上流側にある検査装置2も運転を停止させる必要がある。
【0008】
しかしながら、検査装置2の運転停止時に検査途中の容器が存在する場合には、検査を最後まで行い、その容器を容器排斥装置3から第2搬送路4側に排出してから検査装置2の運転を停止させる必要がある。即ち、検査装置2の運転停止時に、検査が中断された容器が残存した場合は、運転再開時にその容器について改めて最初から検査を行わねばならず、そのためには、その容器を運転再開時に検査始めの位置に戻す装置を設置しなければならないので、検査装置2に運転停止の指令があった場合には、検査を最後まで行ってから運転を停止させなければならない。
【0009】
このように、下流側に位置する装置の運転が停止したにも拘らず、検査装置2では検査途中の容器7の検査を最後まで行ってから運転を停止させている。
【0010】
さらに、検査装置2の運転停止時には、検査装置2内に残った検査済みの容器及び容器排斥装置3内に残存する容器を全て第2搬送路4側に排出しなければ、運転再開時の検査装置2内での検査及び排斥装置3での排斥作業に支障をきたし、出荷基準を満たしていない容器7が第2搬送路4を経由して下流側の装置を通過する虞がある。
【0011】
以上のように、下流側の装置の停止により検査装置2の運転を停止させる場合には、検査装置2内の検査途中の容器を含め、容器排斥装置3に至る領域Aの容器を全て第2搬送路4の領域Bに排出しなければならない。しかしながら、運転停止前に領域B内に検査が完了した容器7が隙間なく存在する場合には、検査装置2を遅れて停止させることで排出される検査済みの容器が行き場をなくして第2搬送路4から溢れ出るか、あるいは容器7が圧迫されて潰される不都合が生じる。
【0012】
本発明の目的は、下流側の装置の運転停止時に容器排斥装置を含む検査装置内の残存容器を全て搬送路に搬出してから検査装置の運転を停止させても、搬送路内から容器が溢れ出たり、搬送路内で容器が潰されたりすることがない容器搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記目的を達成するために、検査装置の出口側に設置した容器排斥装置とそれよりも下流側に位置する他の装置との間の搬送路に、容器溜まり部を設けたのである。
【発明の効果】
【0014】
このように、容器溜まり部を設けることで、搬送路内に既に容器が隙間なく存在していても、残存容器の排出により溢れ出ようとする容器は容器溜まり部に入るので、下流側の装置の運転停止後に容器排斥装置を含む検査装置内の残存容器を全て搬送路に搬出してから検査装置の運転を停止させても、搬送路内から容器が溢れ出たり、搬送路内で容器が潰されたりすることがない容器搬送装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本発明による容器搬送装置の一実施の形態を、図1〜図3に示すペットボトル搬送装置に基づいて説明する。
【0016】
本実施の形態によるペットボトル搬送装置の基本構成は、上流側で飲料用液体を充填されて殺菌処理された透明なペットボトル7を搬送する第1搬送路1と、この第1搬送路1の搬送方向下流側に設置された検査装置2と、この検査装置2の出口側に設けられたペットボトル排斥装置3と、その下流側に設置された第2搬送路4と、その下流側に設置されたラベル貼り装置5と、その下流側に連なる第3搬送路6とを備えている点で、従来のペットボトル搬送装置と同じである。
【0017】
前記第1の搬送路1には、ペットボトル7との接触による磨耗を低減させるために、低摩擦材を表面に塗布したベルトコンベアが設けられ、このベルトコンベアによってペットボトル7は件さ装置2に搬送される。
【0018】
前記検査装置2は、搬送されてきた透明なペットボトル7の内部を底部側より撮影するカメラ8を有し、このカメラ8とペットボトル7との間には、図示は省略するがペットボトル7の撮影を妨げないペットボトル支持体が設けられている。一方、ペットボトル排斥装置3には、排斥プッシャ9が設けられており、前記カメラ8で撮影された画像を別途画像処理装置によって沈殿異物の存在が確認され、出荷基準を満たしていないと判断された場合には、その判断信号に基づいて前記排斥プッシャ9が動作し、ペットボトル排斥装置3の外側の不良品ストッカ(図示せず)に排出する。
【0019】
さらに、このペットボトル排斥装置3と下流側に位置するラベル貼り装置5との間の第2搬送路4の途中には、第2搬送路4の搬送幅W0よりも広幅W1のペットボトル溜まり部10が形成されている。
【0020】
このペットボトル溜まり部10は、図3に示すように、第2搬送路4の本流に沿ってペットボトル7を案内する第1搬送ガイド11Aと、この第1搬送ガイド11Aの反対側において第2搬送路4の本流の搬送幅W0と同じ幅から次第に拡幅して広幅W1となり、再び第2搬送路4の本流の搬送幅W0と同じ幅に次第に狭幅となるように変形する第2搬送ガイド11Bで区画されている。
【0021】
さらに、このペットボトル溜まり部10には、本流に敷設されたベルトコンベア12と、このベルトコンベア12に隣接して平行に配置された複数のベルトコンベア13,14が設置されており、各ベルとコンベア12〜14は夫々電動機12M,13M,14Mによって駆動されている。
【0022】
上記構成のペットボトル搬送装置の通常運転は、第1搬送路1から搬送されてきたペットボトル7を検査装置2で検査し、異常がなければペットボトル排斥装置3を通過させて第2搬送路4に搬出する。検査装置2で出荷基準に満たない異常が検出されれば、ペットボトル排斥装置3の排斥プッシャ9によってペットボトル7は搬送ラインから排斥される。第2搬送路4に入ったペットボトル7は、本流をベルトコンベア12によって移動し、ラベル貼り装置5でラベルを貼り終えた後、第3搬送路6に搬出されて必要な装置へ移動される。
【0023】
上記構成のペットボトル搬送装置において、例えばラベル貼り装置5が故障で運転を停止した場合、その停止信号を受けて図示しない制御装置によって検査装置2にも運転停止の指令が入る。しかし、検査装置2は、この運転停止の指令が入っても直ちに運転を停止せず、検査途中のペットボトルが存在する場合には検査を終了させた後、検査位置からペットボトル排斥装置3までの間に位置する残存ペットボトルを全て第2搬送路4内に搬出させる。そして、検査装置2のカメラ8に対応する位置からペットボトル排斥装置3の排斥プッシャ9に対応する位置までの間に残存ペットボトルがないことが確認された後、検査装置2の運転を停止する。
【0024】
このように、下流側のラベル貼り装置5の運転停止後、ペットボトル排斥装置3を含む検査装置2からペットボトルが全て第2搬送路4に搬出されてきたとき、第2搬送路4の本流に余裕がある場合には、その排出されたペットボトルは本流側のベルトコンベア12上に位置し、第2搬送路4の本流に余裕がない場合には、排出されたペットボトルに押されたペットボトルがペットボトル溜まり部10のベルトコンベア13,14側に押し出される。したがって、ペットボトルが第2搬送路4から溢れ出したり、押し潰されたりすることがなくなる。
【0025】
そして、全装置の運転が再開された場合には、第2搬送路4の本流のみにあるペットボトルは、そのまま本流に沿ってラベル貼り装置5に搬送される。他方、ペットボトル溜まり部10に入ったペットボトルは、本流のベルトコンベア12上にペットボトルが満杯の状態にあるときは、ベルトコンベア13,14の動作と第2搬送ガイド11Bの傾斜に沿って本流のベルトコンベア12側に向かって移動し、ベルトコンベア12上のペットボトル間に余裕が出たときにベルトコンベア12に移ってラベル貼り装置5に搬送される。
【0026】
このように本実施の形態によれば、ペットボトル排斥装置3を含む検査装置2の下流側においてラベル貼り装置5を含む他の装置の運転停止状態に拘わらず、第2搬送路4上でのペットボトル7の溢れ出やペットボトルの押し潰しを無くすことができる。
【0027】
ところで、上記実施の形態において、本流側のベルトコンベア12とペットボトル溜まり部10内のベルトコンベア13,14との搬送速度に差をもたせることにより、ベルトコンベア12とベルトコンベア13との間に跨ってペットボトルは相対速度差により回転されるので、ペットボトル溜まり部10内から本流のベルトコンベア12側へのペットボトルの移動を円滑に行わせることができる。さらに、ペットボトル溜まり部10内のベルトコンベア13,14の搬送速度に差をもたせることでも、隣接ベルトコンベア13,14間へのペットボトルの移動を容易にし、ペットボトルを容易に本流のベルトコンベア12側へ近づけることができる。
【0028】
尚、ペットボトル溜まり部10から第2搬送路4の本流側のベルトコンベア12へペットボトル7を円滑に移動させるためには、図4に示すように、本流側のベルトコンベア12に対してペットボトル溜まり部10内のベルトコンベア13,14の搬送面13S,14Sを傾斜させて設置すればよい。
【0029】
即ち、搬送面が略水平に設置された本流側のベルトコンベア12に対して、ペットボトル溜まり部10側のベルトコンベア13,14の搬送面13S,14Sを、前記本流側のベルトコンベア12側が傾斜下端となるように、連続した傾斜角θで傾斜させたのである。
【0030】
このように、ベルトコンベア13,14を連続した傾斜角θで傾斜させることで、ペットボトル溜まり部10内に溜まったペットボトルは、自重によって常に本流側のベルトコンベア12側への力を受けているので、容易に本流側のベルトコンベア12へ移行することができる。
【0031】
さらに、これらベルトコンベア13,14の傾斜に、ベルトコンベア13,14間の搬送速度差を加えることで、ペットボトルをより円滑に本流側のベルトコンベア12へ移行することができる。
【0032】
尚、前記傾斜角θは、実験の結果、ペットボトル溜まり部10内のペットボトルを転倒させることなく円滑に本流側のベルトコンベア12へ移行させるためには、0.5〜10°が適切であることが確認された。
【0033】
また、以上の説明は、ペットボトル溜まり部10側のベルトコンベア13,14の傾斜角θを同一としたものであるが、前記傾斜角θが0.5〜10°の範囲内であれば前記ベルトコンベア13,14の傾斜角θを夫々異なるように設定してもよい。
【0034】
ところで以上の説明は、容器として液体を封入した透明ペットボトルについての説明であるが、容器としては物体を梱包した紙製の箱などでもよく、この場合には、前記検査装置2は箱表面の汚損や損傷を検査する検査装置に、ペットボトル排斥装置3は損傷等が確認された箱を排斥するための箱排斥装置に、その下流側のラベル貼り装置5は箱に製造年月日や消費期限日等のラベルを貼ったり印字したりするラベル貼り装置や印字装置にすることで本発明の容器搬送装置を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による容器搬送装置の一実施の形態を示す概略平面図。
【図2】図1の側面図。
【図3】図1のペットボトル溜まり部の詳細を示す拡大斜視図。
【図4】ペットボトル溜まり部の変形例を示す図1のA−A線に沿う縦断拡大正面図。
【図5】従来の容器搬送装置の一例を示す概略平面図。
【図6】図5の側面図。
【図7】容器としてペットボトルを示す斜視図。
【符号の説明】
【0036】
1…第1搬送路、2…検査装置、3…ペットボトル排斥装置、4…第2搬送路、5…ラベル貼り装置、6…第3搬送路、7…ペットボトル、8…カメラ、9…排斥プッシャ、10…ペットボトル溜まり部、11A…第1搬送ガイド、11B…第2搬送路、12〜14…ベルトコンベア、12M〜14M…電動機、13S、14S…搬送面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続して搬入される容器を検査する検査装置と、この検査装置の出口側に検査終了後の出荷基準に満たない容器を検査装置外に排出する容器排斥装置と、この容器排斥装置の搬送方向下流側に設置された他の装置とを備えた容器搬送装置において、前記容器排斥装置と他の装置との間の搬送路に、容器溜まり部を設けたことを特徴とする容器搬送装置。
【請求項2】
連続して搬入される容器を検査する検査装置と、この検査装置の出口側に検査終了後の出荷基準に満たない容器を検査装置外に排出する容器排斥装置と、この容器排斥装置の搬送方向下流側に設置された他の装置とを備えた容器搬送装置において、前記容器排斥装置と他の装置との間の搬送路に、この搬送路よりも広幅の容器溜まり部を設けると共に、前記搬送路は、電動駆動される本流側のベルトコンベアを有し、前記容器溜まり部は、前記本流側のベルトコンベアと並行に電動駆動されるベルトコンベアが複数隣接設置されていることを特徴とする容器搬送装置。
【請求項3】
前記容器溜まり部の複数のベルトコンベアは、前記本流側のベルトコンベア側が傾斜下端となるように、傾斜して設置されていることを特徴とする請求項2記載の容器搬送装置。
【請求項4】
前記容器溜まり部の複数のベルトコンベアは、夫々異なる搬送速度で運転されることを特徴とする請求項2又は3記載の容器搬送装置。
【請求項5】
前記容器溜まり部の複数のベルトコンベアは、前記本流側のベルトコンベアと異なる搬送速度で運転されることを特徴とする請求項2,3又は4記載の容器搬送装置。
【請求項6】
低摩擦材を表面に塗布されたベルトコンベアにより連続して搬入される容器を検査する検査装置と、この検査装置の出口側に検査終了後の出荷基準に満たない容器を検査装置外に排出する容器排斥装置と、この容器排斥装置の搬送方向下流側に設置され検査終了後の容器にラベルを貼り付けるラベル貼り装置とを備えた容器搬送装置において、前記容器排斥装置とラベル貼り装置との間の搬送路に、容器溜まり部を設けたことを特徴とする容器搬送装置。
【請求項7】
低摩擦材を表面に塗布したベルトコンベアにより連続して搬入される容器を検査する検査装置と、この検査装置の出口側に検査終了後の出荷基準に満たない容器を検査装置外に排出する容器排斥装置と、この容器排斥装置の搬送方向下流側に設置され検査終了後の容器にラベルを貼り付けるラベル貼り装置とを備えた容器搬送装置において、前記容器排斥装置とラベル貼り装置との間の搬送路に、この搬送路よりも広幅の容器溜まり部を設けると共に、前記搬送路は、電動駆動される本流側のベルトコンベアを有し、前記容器溜まり部は、前記本流側のベルトコンベアと並行に電動駆動されるベルトコンベアが複数隣接設置されていることを特徴とする容器搬送装置。
【請求項8】
前記容器溜まり部の複数のベルトコンベアは、前記本流側のベルトコンベア側が傾斜下端となるように、傾斜して設置されていることを特徴とする請求項7記載の容器搬送装置。
【請求項9】
前記容器溜まり部の複数のベルトコンベアは、夫々異なる搬送速度で運転されることを特徴とする請求項7又は8記載の容器搬送装置。
【請求項10】
前記容器溜まり部の複数のベルトコンベアは、前記本流側のベルトコンベアとは異なる搬送速度で運転されることを特徴とする請求項7,8又は9記載の容器搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−137798(P2008−137798A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−328149(P2006−328149)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】