説明

容器詰製品検査方法及び装置

【課題】容器詰製品の密封性を確実に判定できるようにする。
【解決手段】搬送用ベルト9に直立した姿勢で載って移動中のペットボトル詰製品の容器胴部10にその径方向へ一定の押圧力を付与する加圧機構11と、当該製品の容器口部1の径方向へX線12を照射し得るX線発生器13と、容器口部1のX線透過像を得るX線ラインセンサカメラ14と、X線ラインセンサカメラ14からの画像信号15に基づきペットボトル詰製品の密閉性の可否を判定する判定手段16とを備えた構成を採る。
一定の押圧力を容器胴部10に付与すると、容器口部1に対するキャップ本体2の嵌め合い不良や、ピンホールなどに由来するペットボトル自体の欠陥がある場合には、ペットボトル内の空気が抜けて容器胴部10が変形を来たし、液面位置が上がり、容器口部1が内容液で満たされることになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器詰製品検査方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲料、液状調味料などの液体の販売に用いる容器としては、一般にガラスビンやペットボトルが使われ、これらの容器密封手段には、スクリュー方式のものと打栓方式のものがある。
【0003】
図3はスクリュー方式の容器密封手段の一例であり、ペットボトルの容器口部1の端面に被さり且つその外側面を全周にわたって覆うキャップ本体2と、容器口部1の外側面のおねじ部分3に螺合するようにキャップ本体2の内側面に形作っためねじ部分4と、容器口部1の先端内側面の全周に密着するようにキャップ本体2の天板部に一体的に形作った短円筒状のインナグリップ部分5と、容器口部1のおねじ部分3よりも容器底部側に位置しているフランジ部分6に嵌着されたリング7と、キャップ本体2及びリング7の双方をつないで周方向に等間隔な目打ち(ミシン目)を形作る接合部分8とを備えている。
【0004】
これら容器密封手段の主要構成部は、ポリエチレンテレフタレート(PET)に比べて弾力性に富んだポリエチレン(PE)などを素材とし、キャップ本体2とインナグリップ部分5は、出荷にあたって内容液をペットボトルに密封する役割を果たす。
【0005】
内容液が充填済みで且つ上記のような容器密封手段により容器口部1が封じられているペットボトル詰製品を購入した消費者がキャップ本体2を螺合解除方向に回すと、リング7にキャップ本体2をつないでいる接合部分8がねじきれ、容器口部1からキャップ本体2が外れ、ペットボトル詰製品が開封されることになる。
【0006】
従来、内容液の密封性を確認するために、容器を密封しているキャップをカメラにより撮影し、その画像情報に基づいてキャップの嵌着状態の判定を行なうように構成した検査装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−229695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図3に示す容器密封手段では、ごく希ではあるが、容器口部1に対するインナグリップ部分5の嵌め合い不良が生じたり、あるいは成形加工時にペットボトルにピンホールが形成された場合には、製品の密封性を保てない。
【0008】
ところが、容器口部1にキャップ本体2が螺合し且つリング7が嵌着してある容器密封手段やペットボトル自体の検査に特許文献1の検査装置を用いても、当該検査装置はあくまでも外観からキャップの嵌着状態を判定するものであるため、インナグリップ部分5の嵌め合い不良、並びにピンホールなどに由来するペットボトル自体の欠陥は検知できない。
【0009】
本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、容器詰製品の密封性を確実に判定できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明では、容器口部が密封してある容器詰製品の容器胴部に一定の押圧力を付与しながら、当該製品の容器口部の径方向へX線を透過させ、そのX線透過像に基づき容器口部における液面位置を検出して製品の密封性の可否判定を行なう。
【0011】
より具体的には、容器口部が密封してあり且つ直立した姿勢で搬送経路を移動中の容器詰製品の容器胴部に一定の押圧力を付与する加圧機構と、当該製品の容器口部の径方向へX線を照射するX線発生器と、容器口部のX線透過像を得るX線撮像器と、該X線撮像器の画像信号に基づき容器口部における液面位置を検出して製品の密封性の可否を判定する判定手段とを備え、加圧機構が、搬送経路の両側に配置されて移動中の製品の容器胴部に等速で当接し得る無端状ベルトを有する構成を採る。
【0012】
つまり、一定の押圧力を容器詰製品の容器胴部に付与すると、当該製品の容器口部に対するキャップの嵌め合い不良や、ピンホールなどに由来する容器自体の欠陥があった場合、内部の空気が抜けて容器胴部が変形を来たし、液面位置が上がり、容器口部が内容液で満たされることになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の容器詰製品検査方法及び装置によれば、容器口部に対するキャップの嵌め合い不良や容器自体の欠陥を、一定の押圧力を容器胴部に付与したときの液面位置の上昇として発現させるので、製品の密封性を確実に判定することができる、という優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0015】
図1は本発明の容器詰製品検査装置の一例であり、搬送用ベルト9に直立した姿勢で載って移動中のペットボトル詰製品の容器胴部10にその径方向へ一定の押圧力F(図2参照)を付与する加圧機構11と、当該製品の容器口部1の径方向へX線12を照射し得るX線発生器13と、容器口部1のX線透過像を得るX線ラインセンサカメラ14と、該X線ラインセンサカメラ14からの画像信号15に基づきペットボトル詰製品の密閉性の可否を判定する判定手段16とを備えている。
【0016】
ペットボトルは内容液が充填済みであり、図2に示すように容器胴部10に連なる容器口部1には、先述したキャップ本体2、インナグリップ部分5、リング7、及び接合部分8を主要構成部とするスクリュー方式の容器密閉手段が装着してある。
【0017】
加圧機構11は、搬送用ベルト9の両側に配置したベルトユニット17と、当該ベルトユニット17を互いに近接離反させる位置調整ユニット18とで構成されている。
【0018】
ベルトユニット17は、搬送用ベルト9に載ったペットボトル詰製品の容器胴部10にキャリヤ面が相対し且つモータを動力にして当該製品の移動速度と等速で周回する無端状ベルト19を有している。
【0019】
位置調整ユニット18は、ペットボトル詰製品の搬送経路の上方に位置し且つ搬送用ベルト9の幅方向に水平に延びる前後のガイドレール20と、該ガイドレール20に沿って移動可能な左右一対のフレーム21と、一方のフレーム21に付帯する順ねじナット22と、他方のフレーム21に付帯する逆ねじナット23と、これらナット22,23に螺合したシャフト24と、各フレーム21から下方へ突出してベルトユニット17を支持するピラー25を有し、シャフト24を順方向、または逆方向へ回すと搬送用ベルト9を中心としてその両側の無端状ベルト19のキャリヤ面の間隔が拡大、または縮小する。
【0020】
無端状ベルト19のキャリヤ面の間隔は、ペットボトル詰製品の容器胴部10が搬送用ベルト9と等速で移動する無端状ベルト19に挟まれている間、ペットボトルが損傷せずに径方向へ一定の押圧力Fが働き得るように、容器胴部10の外径よりも若干小さく設定しておく。
【0021】
これにより、無端状ベルト19に挟まれたペットボトル詰製品に、容器口部1に対するインナグリップ部分5の嵌め合い不良や、ピンホールなどに由来するペットボトル自体の欠陥があると、ペットボトル内の空気が抜けて容器胴部10が変形を来たし、液面位置が上がり、容器口部1が内容液で満たされ、容器口部1内の気液境界がなくなる。
【0022】
X線ラインセンサカメラ14による透過X線像の輝度の高低は、容器口部1を形作っているポリエチレンテレフタレート、キャップ本体2を形作っている高分子材料、並びに内容液のX線透過率に応じて、
内容液<容器口部1<キャップ本体2<空間
という関係になる。
【0023】
容器口部1やキャップ本体2によるX線減衰率を見込んでも、ペットボトル内において、内容液が存在している部分と内容液が存在しない空間では、透過X線像の輝度の高低が明らかに相違することになる。
【0024】
すなわち、インナグリップ部分5の嵌め合い不良や、ピンホールなどに由来するペットボトル自体の欠陥があると、内容液で満たされた容器口部1の透過X線像の輝度が全体的に低くなり、製品の密封性が欠如していることを検知できる。
【0025】
このような原理に従って判定手段16は、
a)X線ラインセンサカメラ14の画像信号15に基づき、容器口部1が内容液で満たされていないときに、適格ランプ26を点灯する機能、
b)X線ラインセンサカメラ14の画像信号15に基づき、容器口部1が内容液で満たされているときに、不適格ランプ27を点灯する機能、
を具備しており、ペットボトル詰製品の密封性を確実に判定することができる。
【0026】
なお、本発明の容器詰製品検査方法及び装置は、上述した実施の形態のみに特に限定されるものではなく、紙パック詰製品の検査に転用すること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の容器詰製品検査方法及び装置は、様々な内容液に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の容器詰製品検査装置の一例を示す概念図である。
【図2】ペットボトル詰製品と押圧力の関係を示す概念図である。
【図3】スクリュー方式の容器密閉手段の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0029】
1 容器口部
2 キャップ本体
10 容器胴部
11 加圧機構
12 X線
13 X線発生器置
14 X線ラインセンサカメラ(X線撮像器)
15 画像信号
16 判定手段
19 無端状ベルト
F 押圧力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器口部が密封してある容器詰製品の容器胴部に一定の押圧力を付与しながら、当該製品の容器口部の径方向へX線を透過させ、そのX線透過像に基づき容器口部における液面位置を検出して製品の密封性の可否判定を行なうことを特徴とする容器詰製品検査方法。
【請求項2】
容器口部が密封してあり且つ直立した姿勢で搬送経路を移動中の容器詰製品の容器胴部に一定の押圧力を付与する加圧機構と、当該製品の容器口部の径方向へX線を照射するX線発生器と、容器口部のX線透過像を得るX線撮像器と、該X線撮像器の画像信号に基づき容器口部におけるの液面位置を検出して製品の密封性の可否を判定する判定手段とを備え、加圧機構が、搬送経路の両側に配置されて移動中の製品の容器胴部に等速で当接し得る無端状ベルトを有していることを特徴とする容器詰製品検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−85839(P2007−85839A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−273816(P2005−273816)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(391051485)高嶋技研株式会社 (10)
【Fターム(参考)】