説明

容積形ポンプにおける搬送流量の均一化方法及び装置

【課題】 比較的経済的な費用で単純な構造的手段によって、容積形ポンプにおける搬送流量を均一又は一定にすること。
【解決手段】 搬送流量の均一化方法は、搬送管(5)における流体の搬送流量が、ポンプ駆動が回転軸による駆動モータにより行われる少なくとも2つの容積形ポンプ(1,2)によって生成される。それらポンプの駆動モータ(6,7)は、搬送管(5)に集約される搬送流量が均一又は一定になるように制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容積形ポンプにおける搬送流量を均一化する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
容積形ポンプの作用における基本的な重要事項は、搬送流量を大量で一定にすることである。これは、不都合な現象が吐出管及び/又は搬送管に生じるときに問題となる。そのような不都合な現象とは、例えば、吐出行程中の搬送管に脈動が生じることであり、その脈動は、システム全体のラインに否定的な影響を与え、その結果別途のパルス・ダンパーのような手段により抑制又は停止しなければならない。
【0003】
このように、容積形ポンプにおいて、大量かつ一定の搬送流量を得るために、例えば、単動式のポンプではなく、一定の偏心オフセットを有する少なくとも3連式のポンプを用いることは公知である。その結果、搬送流体の合流により、搬送流量の脈動は、シリンダー数の増加にともなって減少する。しかし、多くの場合、脈動を減衰させるための付加手段が必要になることから、十分ではないし、構成上の出費も少なくない。
【0004】
また、容積形ポンプの搬送流量を適切な値に設定するために、容積形ポンプの駆動軸を使用することも知られている(特許文献1)。この方法は、搬送流量を適切な値に設定するために、駆動軸の回転運動を揺動(枢軸)運動に変換する、またその逆に変換する。この種の方法は実用化されているが、ポンプの吸入行程の間は、それが如何に短時間であっても、流体を搬送することができず、搬送流の連続性が阻害されることから、全ての流体について搬送流量を均一又は一定の連続的な流れとすることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE 198 49 758 C1(ドイツ国特開公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点を解消し、比較的経済的な費用で単純な構造的手段によって、搬送流量を均一又は一定にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る搬送流量の均一化方法は、搬送管に生じる流体流が少なくとも2つの容積形ポンプによって行われ、搬送管に生じた総搬送流量が均一又は一定になるように、ポンプの駆動モータが制御することを含む。
【0008】
本発明に係る搬送流量の均一化装置は、総搬送流量を主として均一又は一定にするために、機械的な連結をすることなく、電子的同期化によって作用し得る駆動モータを有する少なくとも2つの容積形ポンプと、該ポンプの吐出管がそれぞれの搬送流量を合流させるために共通に接続された搬送管とを含む。
【0009】
本発明に係る方法は、事実上、無脈動の均一化した搬送流量(体積流量)が1つの共通する搬送管に生じるように、容積形ポンプを電子的に同期化して作動させることを含むことができる。
【0010】
本発明に係る方法は、容積形ポンプの複数の搬送流量が大量でかつ連続的な総搬送流量になるように、各容積形ポンプの駆動モータの回転速度を変化させる方法によって、効果的に機能する。
【0011】
総搬送流量の連続性を達成するために、各容積形ポンプの駆動モータ軸が適切な回転運動を行えば、格別の効果が生ずる。
【0012】
各容積形ポンプの駆動は、極めて動的なもの、例えばサーボモータ、より正確には、永久励起式の三相同期サーボモータによってもよい。また、容積形ポンプはダイアフラムポンプであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、少なくとも2つの独立したポンプによる搬送流が合流されて連続的で大量の搬送流量を得ることができ、その結果パルス・ダンパーなしに、共通の搬送管における脈動を回避することができる。これは、機械的な連結のない容積形ポンプの正確な電子的同期化によって生じさせることができる。
【0014】
搬送流量の望ましい連続性が達成されたか否かを確認するために、様々な方法が公知となっており(DE 35 46 189 C2)、例えば、ポンプ・シリンダにおける圧力プロファイルが圧力センサによって計測される方法や、実際に搬送されたポンプの体積流量がポンプピストン運動の運動学的手法を介して検出された測定値から計算される方法がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】総搬送流量を均一化するために、機械的な連結のない2つの容積形ポンプを用いた本発明に係るポンプの一実施例を示す図である。
【図2】100%のポンプ吐出効率の場合において、一定流速でかつ均一の搬送流量が達成されることを明らかにするために、時間tに対するポンプの各種測定値を示す図である。
【図3】約90%のポンプ吐出効率の場合において、時間tに対し対応するポンプの各種測定値を示す図である。
【実施例1】
【0016】
図1を参照するに、本発明に係る方法を実施するためのポンプの典型的な実施例においては、2つの容積形ポンプがダイアフラムポンプ1,2の形式で用いられている。それらダイアフラムポンプ1及び2の吐出管3及び4は、1つの共通する搬送管5に接続されている。
【0017】
機械的に連結されていないダイアフラムポンプ1及び2は、それぞれ、駆動モータ6及び7を極めて動的な駆動源として用いている。各モータは、サーボモータ、正確には、特に、1つの永久励起式(例えば、永久磁石を用いた)三相同期サーボモータとすることができる。
【0018】
2つのダイアフラムポンプ1,2の駆動モータ6,7は、一定の又は連続的な大量の総搬送流量が共通の搬送管5に得られるように、正確な電子的同期によって作動される。
【0019】
本発明の方法による手順を図2(a)〜(d)に示す。図2において、各ポンプの吐出効率は100%である。図2においては、便宜上、ダイアフラムポンプ1,2の吐出行程のみが示されている。図2(a)〜(d)のそれぞれにおいて、左側は、ダイアフラムポンプ1の吐出行程の間の、関連する計測値プロファイルを実線で示し、対応する右側は、ダイアフラムポンプ2の吐出行程の間の測定値プロファイルを破線で示す。
【0020】
図2(a)は、両ダイアフラムポンプ1,2において時間tに対するピストン行程のプロファイルを示す。図2(a)に示す例は、従来技術と異なり、また2つのダイアフラムポンプ1,2の駆動モータ6,7の特別な作用の結果として、図2bに示す一定の連続的なピストン速度を得ることができる。
【0021】
上記の結果、時間tに関して示す、ダイアフラムポンプ1,2の偏心軸の角(運動)速度が図2(c)のプロファイル、すなわち、従来技術とは対照的に、各ケースにおいて始動速度及び終止速度の高速化にともなって、これら2つのベンチマーク値の間に一定速度の期間が存在するプロファイルが得られる。
【0022】
図2(d)は、時間tに関して示す一定の連続的な流量速度が本発明によってもたらされることを示す。図2(d)は、直接的な結果として搬送管5における搬送流量が連続的で一定になることを示している。
【0023】
図3(a)〜(c)は、ダイアフラムポンプ1(実線)及びダイアフラムポンプ2(破線)の異なる計測値を示す。すなわち、各ケースにおけるダイアフラムポンプ1,2が約90%に減じた吐出効率であるときの計測値を示す。図3(a)は、各ケースにおける吐出行程開始時に生じる“死圧縮行程hK”の結果としての損失を補填しない、時間tに対する流体速度を示す。しかし、この流体速度の損失は、従来技術に比べ、極めて小さく、ごく僅かである。
【0024】
それにもかかわらず、この損失値が補填されるならば、図3(b)に示す、時間tに対する流速を得ることができる。図3(b)においては、吐出効率が補填されている。吐出行程の開始時において生ずる“死圧縮行程hK”は公知であり、または、自明のことである。これに対応する方法は、例えば、DE.35 46 189 C2により公知である。
【0025】
上記点に関し、図3(c)に示すように、ポンプピストンは、吸入行程の終了後、実際の吐出行程の開始前に、死圧縮行程hKの位置において動き始める。その後、ピストン行程は死圧縮行程hKで開始しており、すなわち流体は吐出管に直ちに移送される。
【0026】
“死圧縮行程”という表現を理解するために、各容積形ポンプには搬送サイクルがある、という公知事実が想定される。この搬送サイクルは、流体がポンプ室に吸入される誘導期、吸入された流体に吐出圧がかけられる圧縮期、圧縮された流体の一部がポンプ室から放出される吐出期、及びポンプ室に留まる流体に再度誘導圧がかけられる減圧期又は拡張期から構成される。ここで、吸入圧から吐出圧への流体の圧縮のために、各容積形ポンプは、既定の小さなピストン行程が要求されるが、死圧縮行程hKとして知られているのは、その吸入圧から吐出圧への圧縮時におけるものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された趣旨を逸脱しない限り、種々に変更することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 ダイアフラムポンプ
2 ダイアフラムポンプ
3 吐出管
4 吐出管
5 搬送管
6 駆動モータ
7 駆動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送管(5)における総搬送流量が均一又は一定になるように制御される駆動モータ(6,7)を有する少なくとも2つの容積形ポンプ(1,2)により、搬送管(5)に流体の搬送流量を生成することを含む、容積形ポンプにおける搬送流量を均一化する方法。
【請求項2】
前記容積形ポンプ(1,2)を機械的な連結なしに他の組み合わせによって作用させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
事実上脈動のない一定の搬送流量(体積流量)が共通の搬送管(5)において生成されるように、前記容積形ポンプ(1,2)を電子的に同期化させる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記容積形ポンプ(1,2)の重合された搬送流量が大量で連続的な搬送総量をもたらすように、各容積形ポンプ(1,2)の駆動モータ(6,7)の回転速度を変更する、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
各容積形ポンプ(1,2)の駆動モータ(6,7)の軸に一定の総搬送流量を達成するために適した回転運動を行わせる、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
均一又は一定の搬送総量を達成するために機械的な連結をすることなく、電子的同期化によって作用し得る駆動モータ(6,7)を有する少なくとも2つの容積形ポンプ(1,2)と、該ポンプの吐出管(3,4)がそれぞれの搬送流量を合流させるために共通に接続された搬送管(5)とを含む、容積形ポンプにおける搬送流量を均一化する装置。
【請求項7】
各容積形ポンプ(1,2)の駆動モータ(6,7)は、高度に動的に駆動されるモータであって、永久励起式の三相同期サーボモータを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
容積形ポンプ(1,2)はダイアフラムポンプを含む、請求項6又は7に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−261461(P2010−261461A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−107949(P2010−107949)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(510127642)レバ・ゲーエムベーハー (2)
【氏名又は名称原語表記】LEWA GmbH
【住所又は居所原語表記】ULMER STR. 10, 71229 LEONBERG, GERMANY
【Fターム(参考)】