説明

寄生虫の駆除および阻止用組成物

本発明は、本質的に、本明細書において前に定義した通り、式(I)の概ね知られているβアミノアルコール誘導体の使用に基づいている寄生虫を阻止するための非治療的な方法を記載している。さらに、本発明は、活性成分としてこれらの物質を含有する対応する寄生虫阻止組成物、寄生虫阻止組成物を調製するための式(I)の化合物、および寄生虫に対する防御における式(I)の化合物の使用を記載している。したがって、本発明は、物から寄生虫を阻止するための、式(I)の化合物またはこれらの酸付加塩を使用する方法および形態を記載している。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本質的に、下記に示される式Iの概ね知られているβアミノアルコール誘導体の使用に基づいている、寄生虫を阻止するための非治療的な方法に関する。さらに、本発明は、活性成分としてこれらの物質を含有する対応する寄生虫駆除組成物、寄生虫阻止組成物を調製するための式Iの化合物および寄生虫に対する防御における式Iの化合物の使用に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
驚くべきことに、下記の式I
【0003】
【化1】

の化合物またはこれらの酸付加塩
(式中、
R1は、水素、ハロゲン、NH、OH、C−CアルキルまたはC−Cアルコキシであり、
mは、1、2または3であり、
R2は、水素、ハロゲン、非置換もしくは置換ベンジル、−C(O)−R8、C−C20アルキル、ハロC−C20アルキル、C−C20アルケニルアルキル、C−Cシクロアルキル、C−C20アルコキシアルキル、C−C20ヒドロキシアルキル、C−C20アルコキシ、非置換または置換アリールであり、
R3は、
【0004】
【化2】

からなる群から選択される置換基であり、
R4は、水素、C−C20アルコキシメチル、ベンジル、−C(O)−R8であり、
nは、0または1であり、
R5、R6およびR7は、それぞれ互いに独立して、水素、ハロゲン、非置換または置換ベンジル、C−C20アルキル、ハロC−C20アルキル、C−C20アルケニルアルキル、C−Cシクロアルキル、C−C20アルコキシアルキル、C−C20ヒドロキシアルキル、C−C20アルコキシ、非置換または置換アリールであり、および
R8は、C−C20アルキル、C−C20アルコキシ、非置換または置換アリール、非置換または置換アリールオキシ、ベンジル、ベンジルオキシである。)は寄生虫を阻止するのに極めて適切であることが見出された。上記化合物の本発明に従った使用を介し、ヒト、動物、物体または特定の場所の最も多様化した寄生虫を阻止することができ、これにより式Iの範囲内の多数の化合物は、これらの特に長い有効性の持続が注目される。
【0005】
少なくとも1つの塩基性中心を有する式Iの化合物は、例えば酸付加塩を形成することができる。これらは、例えば、鉱酸(例えば過塩素酸、硫酸、硝酸、亜硝酸)、リン酸もしくはハロゲン化水素酸などの強無機酸で形成され、強有機カルボン酸、通常、適切な場合不飽和であるジカルボン酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸もしくはフタル酸など、適切な場合ハロゲンにより置換されているC−Cアルカンカルボン酸、例えば酢酸で、通常ヒドロキシカルボン酸、例えば、アスコルビン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸もしくはクエン酸または安息香酸で形成され、または有機スルホン酸、通常、適切な場合例えばハロゲンにより置換されているC−Cアルカンスルホン酸もしくはアリールスルホン酸、例えば、メタンスルホン酸もしくはp−トルエンスルホン酸で形成される。該塩のうち、特に好ましいのは、強酸、特に鉱酸、とりわけハロゲン化水素酸のHClおよびHBrで形成される塩である。全ての多重置換は、同一でありまたは異なる置換基が同時に生じるように実行されることになる。
【0006】
置換基の定義にあるアルキル基は、炭素原子の数に依存して直鎖または分枝であってよく、これらは例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシルなど、ならびにこれらの分枝異性体、例えば、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはイソヘキシルであってよい。アルコキシ基、ハロアルキル基およびハロアルコキシ基は、前記アルキル基から誘導される。
【0007】
ハロまたはハロゲンは、通常、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくはフッ素または塩素、特にフッ素を示し、これにより、対応する置換基または基は、1つまたは複数の同一でありまたは異なるハロゲン原子を含有することができる。
【0008】
ハロアルキルまたはハロアルコキシなどのハロゲン置換炭素含有基は、部分的にハロゲン化またはパーハロゲン化することができ、これにより多重ハロゲン化の場合、ハロゲン置換基は同一でありまたは異なってよい。基それ自体ならびにハロアルコキシなどの他の基および化合物の構造成分としてのハロアルキルの例は、CHFまたはCFなど、フッ素、塩素および/または臭素により一置換から三置換されているメチル;CHCF、CFCF、CFCCl、CFCHCl、CFCHF、CFCFCl、CFCHBr、CFCHClF、CFCHBrFまたはCClFCHClFなど、フッ素、塩素および/または臭素により一置換から五置換されているエチル;CHCHBrCHBr、CFCHFCF、CHCFCFまたはCH(CFなど、フッ素、塩素および/または臭素により一置換から七置換されているプロピルまたはイソプロピル;ならびにCF(CF)CHFCFまたはCH(CFCFなど、フッ素、塩素および/または臭素により一置換から九置換されているブチルまたはこの異性体の1つである。
【0009】
基それ自体ならびにアルケンオキシ、ハロゲンアルケニルまたはハロゲンアルケンオキシなどの他の基および化合物の構造成分としてのアルケニルは、問題の基または化合物における炭素原子の特定数を十分考慮したいずれの場合においても、直鎖、例えばビニル、1−メチルビニル、アリル、1−ブテニルもしくは2−ヘキセニル、または分枝、例えばイソプロペニルのいずれかである。
【0010】
適当なシクロアルキル置換基は、3個から8個の炭素原子を含有し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルである。
【0011】
対応するシクロアルケニル置換基は、単一不飽和または繰り返し不飽和でもよく、例えば、シクロペンタジエニルまたはシクロオクタテトラエニルであってよい。シクロペンチルおよびシクロヘキシルが好ましい。
【0012】
本発明の文脈において、アリールは、フェニルまたはナフチル、特にフェニルであると理解される。これらのアリール基は非置換である、またはC−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、アミノもしくはニトロにより1度または3度まで、稀には4度置換されており、これにより、各多重置換は同一置換基に限定されることなく、代わりに混合置換基が現れてもよい。置換基C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシの中で、1個のC原子だけを持つ置換基が最も好ましい。
【0013】
アルコキシ基は、1個から6固の炭素原子の鎖長を有するのが好ましい。さらに好ましいのは、1個から3個の炭素原子の鎖長を有するアルコキシ基である。アルコキシは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシおよびtert−ブトキシならびに異性体ペンチルオキシおよびヘキシルオキシであり、好ましくはメトキシおよびエトキシである。ハロアルコキシ基は、1個から6固の炭素原子の鎖長を有するのが好ましい。ハロアルコキシは、例えば、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ、2−フルオロエトキシ、2−クロロエトキシ、2,2−ジフルオロエトキシおよび2,2,2−トリクロロエトキシであり、好ましくはジフルオロメトキシ、2−クロロエトキシおよびトリフルオロメトキシである。
【0014】
アルコキシアルキルは、炭素原子の鎖が酸素原子により一度遮断されているのが好ましいアルキル基を表す。ヒドロキシアルキルは、好ましくは1つのヒドロキシル基を保有しているアルキル基である。
【0015】
式Iの化合物内において、以下のサブグループの化合物は、これらの顕著な駆除活性により特に好ましい。
式Ia
【0016】
【化3】

(式中、R1、R2およびR4は、式Iに明記した意味を有する。)の化合物。式Ia内で最も好ましいのは、R1が水素;ハロゲン、特にフッ素または塩素であり、mが、1または2であり、R2が水素、C−Cアルキル、特にメチル;またはフェニルであり、R4が、水素またはアセチルである化合物である。式Iaの代表の具体例を、以下の表1に示す。式Iaの化合物は、例えば、Apollo Chemical Company、LLC;Burlington、North Carolina、USAから市販されている。
式Ib
【0017】
【化4】

(式中、R1、R2、R4およびmは、式Iで明記した意味を有する。)の化合物。式Ib内で最も好ましいのは、R1が水素;ハロゲン、特にフッ素または塩素であり、mが、1または2であり、R2が、水素、C−Cアルキル、特にメチル;またはフェニルであり、R4が、水素またはアセチルである化合物である。式Ibの代表の具体例を、以下の表2に示す。式Ibの化合物は、例えば、Sigma−Aldrich Chemie Gmbh、Munich、GermanyまたはFluka Chemie AG、Buchs、SwitzerlandまたはChembridge、San Diego、California、USAまたはABCR GmbH&Co.KG、Karlsruhe、Germanyから市販されている。
式Ic
【0018】
【化5】

(式中、R1、R2、R4およびmは、式Iに明記した意味を有する。)の化合物。式Ib内で最も好ましいのは、R1が、水素;ハロゲン、特にフッ素または塩素であり、mが、1または2であり、R2が、水素、C−Cアルキル、特にメチル;またはフェニルであり、R4が、水素またはアセチルである化合物である。式Icの代表の具体例を、以下の表3に示す。式Icの化合物は、例えば、Sigma−Aldrich Chemie Gmbh、Munich、GermanyまたはFluka Chemie AG、Buchs、SwitzerlandまたはABCR GmbH&Co.KG、Karlsruhe、GermanyまたはApollo Chemical Company、LLC;Burlington、North Carolina、USAまたはBeta Pharma、Inc.、New Haven、Connecticut、USAまたはOakwood Products、Inc.、West Columbia、South Carolina USAまたはTCI America、Portland、Oregon、USAから市販されている。
式Id
【0019】
【化6】

(式中、R1、R2、R4およびmは、式Iに明記した意味を有する。)の化合物。式Id内で最も好ましいのは、R1が、水素;ハロゲン、特にフッ素または塩素であり、mが、1または2であり、R2が、水素C−Cアルキル、特にメチル;またはフェニルであり、R4が、水素またはアセチルである化合物である。式Idの代表の具体例を、以下の表4に示す。式Idの化合物は、例えば、Sigma−Aldrich Chemie Gmbh、Munich、GermanyまたはFluka Chemie AG、Buchs、SwitzerlandまたはABCR GmbH&Co.KG、Karlsruhe、GermanyまたはApollo Chemical Company、LLC;Burlington、North Carolina、USAまたはBeta Pharma、inc.、New Haven、Connecticut、USAまたはAcros Organics、Geel、BelgiumまたはAlfa Chemicals Ltd.、Binfield、Bracknell、Berkshire、UKまたはAlfa Aesar GmbH&Co KG、Karlsruhe、Germanyから市販されている。
式Ie
【0020】
【化7】

(式中、R1、R2、R4およびmは、式Iに明記した意味を有する。)の化合物。式Ie内で最も好ましいのは、R1が、水素;ハロゲン、特にフッ素または塩素であり、mが、1または2であり、R2が、水素、C−Cアルキル、特にメチル;またはフェニルであり、R4が、水素またはアセチルであり、R5が水素であり、R6が、水素またはフェニルであり、R7が、水素、C−Cアルキル、特にメチル;またはベンジルである化合物である。式Ieの代表の具体例を、以下の表5に示す。式Ieの化合物は、例えば、Sigma−Aldrich Chemie Gmbh、Munich、GermanyまたはABCR GmbH&Co.KG、Karlsruhe、GermanyまたはAlfa Chemicals Ltd.、Binfield、Bracknell、Berkshire、UKまたはTCI America、Portland、Oregon、USAまたはBioNEt、Newcastle University、NE2 4HH、UKから市販されている。
【0021】
以下の基から選択される化合物はいずれも本発明の最も好ましい実施形態を構成する:2−ジベンジルアミノ−エチル酢酸エステル;ジベンジルアミノ−エタノール;2−プロピル−ペンタン酸2−ジベンジルアミノ−エチルエステル;1−ベンジルピロリジン−3−オール;1−ベンジル−ピロリジン−3−イル酢酸エステル;2,2−ジメチル−プロピオン酸1−ベンジル−ピロリジン−3−イルエステル;1−ベンジル−ピロリジン−3−イル安息香酸エステル;(1−ベンジル−ピロリジン−2−イル)−メタノール;1−ベンジル−ピペリジン−3−オール;(1−ベンジル−ピペリジン−2−イル)−メタノール;2−(ベンジル−メチル−アミノ)−エタノール;2−ジベンジルアミノ−プロパン−1−オール;2−ベンジルアミノ−エタノール;および2−ベンジルアミノ−1−フェニル−エタノール。
【0022】
本発明の化合物の大多数は市販されている、または市販されている代表的なものと同じ方法で製造することができる。本発明の化合物は、様々な方法によって、例えば下記のスキーム1において示す通りに製造することができる。したがって、保護されたヒドロキシル基を持つアミノ−アルコールは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子によりまたは別法としてトシレート、メシレートまたはトリフレートなどの他の任意の脱離基により活性化されたベンジル位の炭素と反応させることがある。この反応は、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの第3級アミン)の存在を必要とすることもありまたは必要としないこともあり、該反応は、0℃と100℃との間の温度で、THF、ジクロロメタンなどの有機溶媒中で行うことができる。保護基は、よく知られている条件を用いて除去することができる(Protective Groups in Organic Synthesis、T.W.Greene/P.G.M.Wuts,Wiley Interscience)。
【0023】
遊離ヒドロキシ分子のプロドラッグ(エステル、アルキルオキシメチル誘導体)は、ヒドロキシル基を塩化アルキルオキシメチルと反応させることにより合成してアセタール生産され、またはヒドロキシル基とカルボン酸またはこれに対応する酸塩化物との間での古典的なエステル化により合成され得る。
【0024】
【化8】

【0025】
式Idの化合物には、スキーム2で記載した通り、別の合成を用いてもよい。これらは対応する2級アミンから非置換または置換βアミノアルコールに素早くアクセスするのを可能にする。ベンジルアミンは、いずれの溶媒も使用することはないがテトラブチルアンモニウムヨージドの存在下でエチルカーボネートと反応させて対応する非置換アミノアルコールを生産することができる。置換アミノアルコールは、脱離基Xにより置換されたヒドロキシル保護エタノール上の窒素原子の求核攻撃によって調製される。この反応は、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの第3級アミン)とともにTHFまたは類似の有機溶媒中で古典的に行う。
【0026】
スキーム1に関して既に言及した通り、遊離ヒドロキシ分子のプロドラッグ(エステル、アルキルオキシメチル誘導体)は、ヒドロキシル基を塩化アルキルオキシメチルと反応させることにより合成されてアセタールが生産される、またはヒドロキシル基とカルボン酸またはこれに対応する酸塩化物との間での古典的なエステル化により合成され得る。
【0027】
【化9】

【0028】
式Iの化合物は、例えば不斉炭素原子の数ならびにこれらの絶対配置および相対配置に依存して、可能な異性体の形態またはこれらの混合物の形態で、純粋な異性体の形態またはエナンチオマーの混合物もしくはジアステレオマーの混合物など異性体の混合物の形態であり得る。本発明は、純粋な異性体および全ての可能な異性体の混合物の両方に関しており、このことは、立体化学の詳細が各例において特に言及されていない場合でも、上文および下文においてそれ相応に理解されることである。
【0029】
選択した出発原料および手順に依存する該方法に従ってまたは他の手段により得られる式Iの化合物のジアステレオマーの混合物およびラセミ体の混合物は、構成物質間の物理化学的相違に基づく公知の方法で、例えば、分別結晶、蒸留および/またはクロマトグラフィーにより、純粋なジアステレオマーまたはラセミ体に分離することができる。こうして得られるエナンチオマーまたはラセミ体の混合物は、公知の方法によって、例えば、光学活性溶媒からの再結晶により、キラル吸着剤上のクロマトグラフィー、例えば適当な微生物の助剤を用いるアセチルセルロース上の高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)により、特定の固定化酵素を用いる分割により、または例えば、唯一エナンチオマーが複合される、キラルクラウンエーテルを使用する包接化合物の形成を介して光学対掌体に分離することができる。純粋なジアステレオマーおよびエナンチオマーは、異性体の対応する混合物の分離によるだけでなく、本発明によると、ジアステレオ選択的合成またはエナンチオ選択的合成の周知の方法によっても、例えば、適当な立体化学的性質を有する出発原料を用いて本発明による方法を行うことによっても得ることができる。
【0030】
本発明の文脈において、寄生虫は、特に昆虫、ダニおよびマダニであると理解される。これらには、鱗翅目(Lepidoptera)、甲虫目(Coleoptera)、同翅目(Homoptera)、異翅目(Heteroptera)、双翅目(Diptera)、総翅目(Thysanoptera)、直翅目(Orthoptera)、裸尾目(Anoplura)、隠翅目(Siphonaptera)、食毛目(Mallophaga)、総尾目(Thysanura)、等翅目(Isoptera)、チャタテムシ目(Psocoptera)および膜翅目(Hymenoptera)の昆虫が挙げられる。しかし、特に言及できる寄生虫は、ヒトまたは動物を悩まし、病原体を運ぶ寄生虫、例えば、ムスカ・ドメスチカ(Musca domestica)、ムスカ・ベツスチッシマ(Musca vetustissima)、ムスカ・アウツムナリス(Musca autumnalis)、ファンニア・カニクラリス(Fannia canicularis)、サルコファガ・カルナリア(Sarcophaga carnaria)、ルシリア・クプリナ(Lucilia cuprina)、ヒポデルマ・ボビス(Hypoderma bovis)、ヒポデルマ・リネアツム(Hypoderma lineatum)、クリソミイア・キオロピガ(Chrysomyia chloropyga)、デルマトビア・ホミニス(Dermatobia hominis)、コクリオミイア・ホミニボラキス(Cochliomyia hominivorax)、ガステロフィルス・インテスチナリス(Gasterophilus intestinalis)、オエストルス・オビス(Oestrus ovis)、ストモキシス・カルシトランス(Stomoxys calcitrans)、ハエマトビア・イリタンス(Haematobia irritans)などのハエ、およびクリシダ(Culicidae)、シムリイダ(Simuliidae)、プシコジダ(Psychodidae)などの小昆虫(ネマトセラ(Nematocera))、その上吸血寄生虫、例えば、クテノセファリデス・フェリス(Ctenocephalides felis)およびクテノセファリデス・カニス(Ctenocephalides canis)(ネコノミおよびイヌノミ)、キセノプシルラ・ケオピス(Xenopsylla cheopis)、プレックス・イリタンス(Pulex irritans)、デルマトフィルス・ペネトランス(Dermatophilus penetrans)などのノミ、ダマリナ・オビス(Damalina ovis)、ペジクルス・フマニス(Pediculus humanis)などのシラミ、刺すハエおよびウマバエ(タバニダ(Tabanidae))、ハエマトポタ・プルビアリス(Haematopota pluvialis)などのハエマトポタ(Haematopota)種、タバヌス・ニグロビッタツス(Tabanus nigrovittatus)などのタバニデア(Tabanides)種、クリソプス・カエクチエンス(Chrysops caecutiens)などのクリソプシナ(Chrysopsinae)種、グロッシニア(Glossinia)などのツェツェバエ、刺咬昆虫、特に、ブラテラ・ゲルマニカ(Blatella germanica)、ブラッタ・オリエンタリス(Blatta orientalis)、ペリプラネタ・アメリカナ(Periplaneta americana)などのゴキブリ、デルマニッスス・ガリナ(Dermanyssus gallinae)、サルコプテス・スカビエイ(Sarcoptes scabiei)、プソロプテス・オビス(Psoroptes ovis)およびプソレルガテス(Psorergates)種などのダニ、ならびに最後であるが特にマダニである。後者は、ダニ目(Acarina)に属している。マダニの公知の代表は、ウシ、ブタ、ヒツジおよびヤギなどの農場動物、ニワトリ、シチメンチョウおよび雌ガチョウなどの家禽、ミンク、キツネ、チンチラ、ウサギなどの毛皮動物など、ならびにネコおよびイヌなどの家庭動物、その上ヒトを含める温血動物に好ましくは外寄生する、例えば、ボオフィルス(Boophilus)、アンブリオンマ(Amblyomma)、アノセントル(Anocentor)、デルマセントル(Dermacentor)、ハエマフィサリス(Haemaphysalis)、ヒアロンマ(Hyalomma)、ルキソデス(lxodes)、リピセントル(Rhipicentor)、マルガロプス(Margaropus)、リピセファルス(Rhipicephalus)、アルガス(Argas)、オトビウス(Otobius)およびオルニトドロス(Ornithodoros)などである。
【0031】
マダニは、カタダニおよびヒメマダニに分けることができ、1つ、2つまたは3つの宿主動物に外寄生することを特徴とする。これらは通過する宿主動物に付着して血液または体液を吸う。十分飽血した雌性マダニは、宿主動物から落下して、床の適当な割れ目または他の任意の保護部位で大量の卵(2000個から3000個)を産み、そこで幼虫が孵化する。これらは次々に宿主動物を求めて宿主動物から血液を吸う。ただ1つの宿主動物に外寄生したマダニの幼虫は、2回脱皮することにより、マダニが選択した宿主から離れることなく若虫となり、最後に成虫マダニとなる。2つまたは3つの宿主動物に外寄生したマダニの幼虫は、血液を摂食した後に動物から離れ、局所的環境で脱皮し、若虫または成虫のマダニとして第二または第三の宿主を求めてその血液を吸う。
【0032】
マダニは、世界中における多くのヒトおよび動物の疾病の伝染および伝播の原因である。これらの経済的影響力からすると、最も重要なマダニは、ボオフィルス、リピセファルス、ルキソデス、ヒアロンマ、アンブリオンマおよびデルマセントルである。これらは、細菌性、ウイルス性、リケッチア性および原生動物の疾病のキャリアーであり、マダニ麻痺症およびマダニ中毒症を引き起こす。マダニの唾液が摂取中の宿主動物に侵入することにより、たった一匹のマダニでさえ麻痺を引き起こすことができる。マダニにより引き起こされた疾病は、通常、いくつかの宿主動物に外寄生するマダニにより伝染する。こうした疾病、例えば、バベシア症、アナプラズマ症、タイレリア症および心水病は、全世界における多数の家庭内動物および農場動物の死亡または障害の原因である。温帯気候の多くの国で、イクソジデ(Ixodide)マダニは、慢性的に有害なライム病の病原体を野生動物からヒトへ伝染させる。マダニは、疾病の伝染だけでなく、畜産物生産における多大な経済的損失の原因である。損失は宿主動物の死亡にとどまらず、毛皮の損傷、成長の減少、乳汁産生における低下および低下した食肉の価値も含まれる。動物上のマダニ外寄生の有害な影響は何年も前から知られており、マダニ防除プログラムを用いて大きく前進してきたが、これらの寄生虫を防除または除去する完全に満足のいく方法はこれまで見出されておらず、さらに、マダニは、化学活性成分に対する耐性をしばしば発達させてきた。
【0033】
家庭内動物およびペット上のノミの外寄生は、未だ同様に、所有者にとって満足に解決されたことがないまたは多額の費用でしか解決できない問題の代表である。マダニと同様に、ノミは厄介であるだけでなく疾病のキャリアーでもあり、特に、湿気の多い温暖気候の地域、例えば、地中海沿岸、USAの南部などで、様々な真菌性疾患を宿主動物から宿主動物および動物の管理者へ伝染させる。特に危険に曝されているのは、弱まった免疫系を持つ人々または免疫系が未だ十分に発達していない小児である。これらの複雑な生活環のせいで、特に、最も知られている方法が基本的に毛皮における成虫のノミ防除を対象としており、動物の毛皮の中だけでなく、床の上、カーペットの中、動物の寝床の中、椅子の上、庭園の中および外寄生された動物が接触する全ての他の場所に存在するノミの異なる幼若期は完全に未開発のままであるため、完全に満足の行くノミ防除のための公知の方法は1つもない。ノミの処理は通常高価であり、長期間にわたって続けなければならない。成功は通常、外寄生された動物、例えばイヌまたはネコだけでなく、同時に、外寄生された動物が頻繁に出入りする全ての場所を処置することにかかっている。
【0034】
考察中である式Iの化合物の特定の利点は、これらが極めて有効であり、同時に標的寄生虫および温血動物の両方に対して毒性が非常に低いことであることから、こうした複雑な手順は式(I)の本化合物には必要ない。このことは、本化合物の活性が標的寄生虫の死亡に基づくのでなく、標的寄生虫が攻撃したり、刺したり、咬みつく前または他のいずれかの方法で宿主生物を害する前の標的寄生虫回避型防御に基づくからである。本明細書において考察されている式Iの化合物の存在は、寄生虫が咬みついたりもしくは刺したりすることなく、処理した環境を突然離れることまたは処理された宿主動物に全く外寄生することがない方法で寄生虫を妨害すると思われる。特筆すべきことは、寄生虫が活性成分と短時間接触すると、効果が出始めることである。短時間の接触後、寄生虫は、活性成分とのそれ以上のいかなる接触も回避する。例えば、非常に有効であるがかなり急激に揮発するため、およそ2時間後には既に再適用していなければならず、したがって動物の長期処理には適当ではないDEET(N,N−ジエチル−m−トルアミド)と比較して、さらなる利点は長期効果にある。本活性成分はほとんど無臭であるため、本活性成分の使用は快適である。
【0035】
本活性成分は、当然、同じ範囲の活性を有する他の物質と混合、または駆虫剤と混合、またはさらに向上した活性もしくは持続が長くなった活性を達成するための他の活性向上物質と混合し、次いで適用することができるが、従来技術の多くの化合物とは対照的に、本活性成分は全ての有利な特性を既に組み合わせているので、この混合は全く必要としない。
【0036】
寄生虫を寄せ付けないだけでなく殺すこともする場合、当然これは、適当な殺虫剤および/または殺ダニ剤を添加することにより達成することができる。しかし実際には、大抵の場合これを必要としない。
【0037】
本活性成分は、希釈形態で使用するのが好ましい。通常、これらは適当な製剤用賦形剤を使用することにより最終の適用形態とされ、次いで、0.1重量%と95重量%との間、好ましくは0.5重量%から90%重量の活性成分を含有する。
【0038】
該活性成分は多くの場合温血動物に適用され、当然皮膚と接触するため、適当な製剤用賦形剤は化粧品において知られている賦形剤および投与形態である。これらは溶液、乳濁液、軟膏剤、クリーム、ペースト剤、粉末、スプレー剤などの形態で投与することができる。
【0039】
農場動物、または雌ウシ、ウマ、ロバ、ラクダ、イヌ、ネコ、家禽、ヒツジ、ヤギ等などのペットへの投与には、いわゆる「ポアオン」製剤または「スポットオン」製剤が特に適当であり、これらの液状または半液状の製剤は、毛皮または羽の小領域に適用するだけでよく、拡散オイルまたは他の拡散添加剤の割合により、他に何もする必要もなく毛皮または羽全体に自ら分散して全領域上で活性化するという利点を有する。当然、無生物体、例えば衣類またはイヌおよびネコのかご、畜舎、カーペット、カーテン、居住区域、温室などは、前記製剤で処理することにより寄生虫の外寄生から保護することができる。
【0040】
ゴキブリを防除するため、これらの部位、通常壁、家具などの割れ目に噴霧するまたは粉末をかけることができる。ゴキブリは極めて強く、完全に撃退することはほとんど不可能なので、本活性成分を使用する時に、ゴキブリに対して活性を有する殺虫剤をさらに使用することが勧められる。人間への適用には、快い香りの芳香物質、例えば芳香剤を添加して、適用をより魅力的にすることができる。
【0041】
本発明による活性成分の以下の調製および使用の実施例は、本発明を限定することなく本発明を例示する役目をしている。
【0042】
特に好ましい製剤は、以下の通りに構成される。
【実施例】
【0043】
製剤実施例1
皮膚に適用するためのローションの形態における寄生虫阻止組成物は、表1から表5の1つに列挙した化合物から選択される本発明による活性成分の1つを30部、芳香剤1.5部およびイソプロパノール68.5部を混合することにより調製するが、イソプロパノールをエタノールと替えることができる。
【0044】
製剤実施例2
ペットの毛皮に噴霧するためのエアゾールの形態における寄生虫阻止組成物は、表1から表5の1つに列挙されている化合物から選択される本発明による活性成分の1つを30部、芳香剤1.5部およびイソプロパノール68.5部からなる50%活性成分溶液を、エアゾール缶内の噴霧剤としての50%フリゲン11/12(ハロゲン化炭化水素)とともに配合することにより調製する。
【0045】
製剤実施例3
皮膚上に噴霧するためのエアゾールの形態における寄生虫阻止組成物は、表1から表5の1つに列挙されている化合物から選択される本発明による活性成分の1つを20部、芳香剤1部、イソプロパノール79部からなる40%活性成分溶液を、エアゾール缶内の噴霧剤としての60%プロパン/ブタン(15:85の割合)と配合することにより調製する。
【0046】
調製実施例:調製 2−ジベンジルアミノ−エチル酢酸エステル
【0047】
【化10】

【0048】
ステップ1:ジベンジルアミン0.5グラム(2.5mmol)、エチレンカルボネート0.446グラム(5mmol)およびテトラエチルアンモニウムヨージド0.215グラム(083mmol)を一緒に室温で混合した。固体混合物を、次いで、140℃で加熱し、結果として得られた懸濁液をこの温度で26時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水酸化ナトリウムの0.5M溶液10mLで抽出した。水性相を酢酸エチルで洗浄し、合わせた有機相をブラインで2回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮し、シリカゲル(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン 1/2)上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、N,N−ジベンジル−2−アミノエタノール0.5グラム(収率:83%)をオイルとして得た。
【0049】
ステップ2:N,N−ジベンジル−2−アミノエタノール18.5グラム(76.6mmol)を、ジクロロメタン(350mL)中に室温で希釈し、続けてN,N−ジイソプロピルエチルアミン(16.47mL、99.7mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(0.937グラム)を添加した。反応物を15分間10℃で撹拌し、塩化アセチル5.2mL(92mmol)を0℃で20分かけて滴下により添加する。反応混合物を、次いで、30分間0℃でおよび20時間室温で撹拌した後、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液200mLを添加する。有機相を抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して黄色がかったオイル23.48グラムを得る。該オイルをシリカゲル(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン 1/9)上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題生成物18.2グラムを無色オイル(収率83%)として得る。
【0050】
以下の表は、本発明の教示に従って使用することができる化合物を例示するが、本発明をこれらの具体例に限定するものではない。
【0051】
【表1】



【0052】
【表2】



【0053】
【表3】



【0054】
【表4】



【0055】
【表5】





【0056】
生物学的実施例
活動領域試験:寄生虫阻止物質を試験するための一般的方法
この方法は、コンピューター支援によるビデオシステムを使用し、断面が各5cmである6つのウェルを有する滴定プレート内で行われる。滴定プレートの各ウェルに、円形ろ紙または他の適当なキャリアー材料を敷く。試験する式Iの物質を、難溶性の物質のために利用する超音波処理および加熱により、メタノール、アセトニトリルまたは他の適当な溶媒中に溶解する。1μg/cmから100μg/cmの量で、溶解した試験物質を半径およそ2.4cmの四分円領域上または円形領域上のろ紙の中心に置く。6ウェルのうち4ウェルに、異なる試験物質でまたは異なる希釈度(例えば、1μg/cm、3.2μg/cm、5μg/cm、10μg/cmおよび20μg/cm)の同じ試験物質を充填する。標準物質として、第5ウェルをDEET(N,N−ジエチル−m−トルアミド)で処理する。第6ウェルに純溶媒を充填し、対照としての役目をさせる。試験する寄生虫のうち、60幼虫から100幼虫または25若虫から50若虫または10成虫から25成虫を、例えば、マダニを各ろ紙に添加し、該系を1枚のガラスで覆い、ビデオカメラの下に設置した。
【0057】
5秒間隔で、ビデオカメラが6ウェル全ての個々の写真を撮る。定性的評価のため、これらの画像を、ろ紙上の寄生虫の動きを光学的に追ってNo.6の対照ウェルの動きまたは第5ウェルの標準と比較しながら、連続フィルムとして経時的に観察する。定性的観察は、したがって、試験寄生虫がろ紙の表面全体にわたり均等に移動し、試験物質を無視するかどうか、または試験寄生虫が処理した区域を回避するかどうか、および回避した時間、ならびに何の影響を試験物質の希釈度が試験寄生虫の行動に及ぼすのかに関して行う。この方法において、中立物質および阻止物質を決定する。同時に、試験物質の活性の持続時間を決定し、標準の活性の持続時間と比較する。個々のウェルそれぞれの画像全てを互いの上でプロットすることにより、密度の異なる領域を得る。これは寄生虫が特定の場所を訪れる頻度を表す。対照および標準との比較におけるWillcoxon方法により、この頻度を統計的に、したがって定量的に評価する。表1、表2、表3、表4および表5の化合物を、様々な寄生虫を用いてこのプロトコールに従って試験した。例えば、化合物番号1.001、2.001、3.001、4.001、5.001、5.184、5.185および5.186の化合物は優れた活性を示す。
【0058】
アンブリオンマ・ヘブラエウム(hebraeum)またはバリエガツム(variegatum)(若虫)に対するインビトロ活動領域試験
試験は、ウェル当たり、添加されているおよそ25若虫から50若虫を用いて上記した通りに行う。溶解した試験物質10mgを、半径2.4cmの領域に適用する。ビデオ画像の評価によって、式Iの化合物がアンブリオンマ若虫に対して、DEETの阻止作用より相当長く持続する顕著な阻止作用を示すことが認められる。特に著しく長期にわたる活性は、例えば、化合物番号1.001、2.001、3.001、4.001、5.001、5.184、5.185および5.186を使用することにより、希釈度が最高3.2μg/cmまでも認められる。
【0059】
ボーフィルス・ミクロプルス(Boophilus microplus)ビアッラ(Biarra)(幼虫)に対するインビトロ活動領域試験
試験は、ウェル当たり、添加されているおよそ60幼虫から100幼虫を用いて上記した通りに行う。溶解した試験物質10mgを半径2.4cmの領域に適用する。ビデオ画像の評価によって、式Iの化合物がボフィルス(Bophilus)幼虫に対してDEETの阻止作用より相当長く持続する顕著な阻止作用を示すことが認められる。特に著しく長期にわたる活性は、例えば、化合物番号1.001、2.001、3.001、4.001、5.001、5.184、5.185および5.186を使用することにより、希釈度が最高10μg/cmまでも認められる。
【0060】
リピセファルス・サングイネウス(Rhipicephalus sanguineus)(若虫)に対するインビトロ活動領域試験
試験は、およそ40若虫から50若虫を使用し、実施例Bと同じように行う。ビデオ画像の評価は、本発明による化合物が、良好な阻止作用を示すことを明らかにしている。特に、該化合物は、DEETの阻止作用より相当長く持続するほとんど完璧な阻止作用が顕著である。特に著しい長期にわたる活性は、例えば、化合物番号1.001、2.001、3.001、4.001、5.001、5.184、5.185および5.186により、希釈度が最高10μg/cmまでも認められる。
【0061】
類似の試験により、ムスカ・ドメスティカなどの様々なハエ種に対して長期にわたる活性が示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化11】

の化合物またはこれらの酸付加塩
(式中、
R1は、水素、ハロゲン、NH、OH、C−CアルキルまたはC−Cアルコキシであり、
mは、1、2または3であり、
R2は、水素、ハロゲン、非置換もしくは置換ベンジル、−C(O)−R8、C−C20アルキル、ハロC−C20アルキル、C−C20アルケニルアルキル、C−Cシクロアルキル、C−C20アルコキシアルキル、C−C20ヒドロキシアルキル、C−C20アルコキシ、非置換または置換アリールであり、
R3は、
【化12】

からなる群から選択される置換基であり、
R4は、水素、C−C20アルキル、ベンジル、−C(O)−R8であり、
nは、0または1であり、
R5、R6およびR7は、それぞれ互いに独立して、水素、ハロゲン、非置換または置換ベンジル、−C(O)−R8、C−C20アルキル、ハロC−C20アルキル、C−C20アルケニルアルキル、C−Cシクロアルキル、C−C20アルコキシアルキル、C−C20ヒドロキシアルキル、C−C20アルコキシ、非置換または置換アリールであり、および
R8は、C−C20アルキル、C−C20アルコキシ、非置換または置換アリール、非置換または置換アリールオキシ、ベンジルである。)
を拡散添加剤と一緒に、温血動物の皮膚、毛皮または羽に対して局所的に適用する、温血動物から寄生虫を阻止するための非治療的方法。
【請求項2】
式Iの化合物が、式Iaの化合物またはこの酸付加塩
【化13】

(式中、R1、R2およびR4は、請求項1において定義した通りである。)
の1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R1が、水素またはハロゲンであり、mが、1または2であり、R2が、水素、C−Cアルキルまたはフェニルであり、R4が、水素またはアセチルである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
式Iの化合物が、式Ibの化合物またはこの酸付加塩
【化14】

(式中、R1、R2、R4およびmは、式Iに明記した意味を有する。)
の1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
R1が、水素またはハロゲンであり、mが、1または2であり、R2が、水素、C−Cアルキルまたはフェニルであり、R4が、水素またはアセチルである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
式Iの化合物が、式Icの化合物またはこの酸付加塩
【化15】

(式中、R1、R2、R4およびmは、式Iに明記した意味を有する。)
の1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
R1が、水素またはハロゲンであり、mが、1または2であり、R2が、水素、C−Cアルキルまたはフェニルであり、R4が、水素またはアセチルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
式Iの化合物が、式Idの化合物またはこの酸付加塩
【化16】

(式中、R1、R2、R4およびmは、式Iに明記した意味を有する。)
の1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
R1が、水素またはハロゲンであり、mが、1または2であり、R2が、水素、C−Cアルキルまたはフェニルであり、R4が、水素またはアセチルである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
式Iの化合物が、式Ieの化合物またはこの酸付加塩
【化17】

(式中、R1、R2、R4およびmは、式Iに明記した意味を有する。)
の1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
R1が、水素またはハロゲンであり、mが、1または2であり、R2が、水素、C−Cアルキルまたはフェニルであり、R4が、水素またはアセチルであり、R5が水素であり、R6が、水素またはフェニルであり、R7が、水素、C−Cアルキルまたはベンジルである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
使用される活性成分が、以下の指定物質:2−ジベンジルアミノ−エチル酢酸エステルの1つまたはこれらの酸付加塩の1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
式Iの化合物が、ポアオン製剤またはスポットオン製剤の形態で適用される、請求項1から12の一項に記載の方法。
【請求項14】
害虫、マダニ(tics)またはダニを阻止したいと思う場所または物に、請求項1から12の一項に記載の式Iの化合物の有効量を適用する、寄生虫が望まれない場所または物から寄生虫を阻止するための方法。
【請求項15】
請求項1から12の一項に記載の式Iの化合物および拡散添加剤を含む、寄生虫を撃退する組成物。
【請求項16】
請求項1から12の一項に記載の式Iの化合物が拡散添加剤と混合される、寄生虫を撃退するための組成物を調製する方法。
【請求項17】
動物または物の上での使用に適当な寄生虫阻止組成物を調製するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項18】
寄生虫に対する防御における、請求項1から12のいずれか一項に記載の式Iの化合物の使用。

【公表番号】特表2010−510285(P2010−510285A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537625(P2009−537625)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/062619
【国際公開番号】WO2008/062006
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】