説明

密封装置、及びこれを備えた転がり軸受装置

【課題】高速回転時の発熱による不都合を可及的に解消してシール効果を維持することができる密封装置を提供する。
【解決手段】転がり軸受の内部側と外部側との境界部において、互いに相対回転する内周側部材20と外周側部材19との間の環状空間を密封する密封装置18である。内周側部材20及び外周側部材19のうち一方の部材に取り付けられ、複数のシールリップ36,37を有するシール部材23と、内周側部材20及び外周側部材19のうち他方の部材に設けられ、各シールリップ36,37が摺動可能に接触する摺接面24A,24Bと、を備えており、複数のシールリップ36,37は、転がり軸受のより外部側に配置されたものほど摺接面24A,24Bに対する接触圧が高められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密封装置、及びこれを備えた転がり軸受装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧延機の圧延ロールを回転可能に支持する転がり軸受には、内輪と外輪との間の環状空間を密封するために密封装置が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された密封装置は、内輪側に取り付けられた内周側部材と外輪側に取り付けられた外周側部材との間を密封するものであり、内周側部材に取り付けられ、外周側部材の側面に摺動自在に密接するシールリップを有している。このシールリップは、低速回転時には外周側部材に摺動自在に密接するが、高速回転時には遠心力による弾性変形で外周側部材から離れ、ラビリンスシールを形成するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−254840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術は、転がり軸受の低速回転時にはシールリップが外周側部材に密接するが、高速回転時にはシールリップが外周側部材から離れてラビリンスシールを形成するので、高速回転時にシールリップが外周側部材に摺接することに伴う発熱を防止することができ、当該発熱に起因するシール性能の低下や寿命の短縮等を抑制することができる。
しかし、外周側部材と内周側部材との軸方向の相対位置変化やシールリップの製造誤差等によって、高速回転時のシールリップと外周側部材との隙間を適切に調整するのが非常に困難であり、当該隙間が小さすぎたり大きすぎたりすることによって、所望の発熱防止効果やシール効果を得られなくなってしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、高速回転時の発熱による不都合を可及的に解消しつつシール効果も好適に維持することができる密封装置、及びこれを備えた転がり軸受装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る密封装置は、
転がり軸受の内部側と外部側との境界部において、互いに相対回転する内周側部材と外周側部材との間の環状空間を密封する密封装置であって、
前記内周側部材及び前記外周側部材のうち一方の部材に取り付けられ、複数のシールリップを有するシール部材と、
前記内周側部材及び前記外周側部材のうち他方の部材に設けられ、前記各シールリップが摺動可能に接触する摺接面と、を備えており、
前記複数のシールリップは、前記転がり軸受のより外部側に配置されたものほど前記摺接面に対する接触圧が高められていることを特徴とする。
【0007】
一般に、転がり軸受は、内部側ほど熱がこもり易く高温となり、外部側は外気や冷却水等に触れることによって放熱性が高まり、内部側と比較して低温となる。
本発明の密封装置は、より放熱性が高い転がり軸受の外部側ほどシールリップの接触圧を高めることによって、シール性能を高めながらも高速回転時の発熱を抑制し、熱のこもり易い転がり軸受の内部側では、シールリップの接触圧を相対的に下げることによって高速回転時の発熱を抑制している。したがって、密封装置全体として、シール性能を低下させることなく高速回転時の発熱も抑制することができ、当該発熱に起因する不都合(寿命の低下等)を抑制することができる。
【0008】
前記複数のシールリップは、前記摺接面に対する締め代の相違により接触圧が相互に異なっていてもよい。
このような構成によって、同じ形状や同じ剛性に形成された複数のシールリップを、摺接面に対して異なる接触圧で接触させることができる。
【0009】
前記複数のシールリップは、前記摺接面への接触方向における曲げ剛性の相違により接触圧が相互に異なっていてもよい。
このような構成によって、摺接面に対する締め代が同じであっても複数のシールリップを、異なる接触圧で摺接面に接触させることができる。
【0010】
前記シールリップは、径方向に複数設けられており、より径方向外側のシールリップが転がり軸受の外部側に配置されていてもよい。
【0011】
前記シール部材は、回転運動する内周側部材に取り付けられていてもよい。また、内周側部材の回転に伴う前記シール部材の回転速度に対する前記シールリップの接触圧の変化率は、前記転がり軸受のより内部側に配置されたシールリップほど大きくなっていることが好ましい。
回転運動する内周側部材にシール部材が取り付けられている場合、シール部材の回転速度が高まるほど、その遠心力によってシールリップの接触圧が小さくなる。そして、シール部材の回転速度に対するシールリップの接触圧の変化率が、前記転がり軸受のより内部側に配置されたシールリップほど大きい場合、シール部材の回転速度が大きくなると、より内部側のシールリップほど接触圧が大きく低下する。したがって、高速回転時に、熱のこもり易い転がり軸受の内部側のシールリップの発熱をより効果的に適切に抑制することができる。逆に、転がり軸受のより外部側のシールリップほど接触圧の低下が小さくなるので、高速回転時におけるシール性の低下を抑制することができる。
【0012】
前記シール部材は、回転運動する内周側部材に取り付けられていてもよい。また、前記シール部材は、その径方向外端に前記外周側部材の内周面に対して隙間をあけて配置される先端部を有していてもよい。そして、この先端部は、互いに逆向きに傾斜する内側面及び外側面を有していて径方向外方へ向けて先細り形状に形成されていることが好ましい。
これにより、シール部材の内側に入り込んだ水は先端部の内側面によってシール部材の回転に伴い外部へ流れやすくなり、シール部材の外面にかかった水は、先端部の外側面によって外部へはね返されやすくなる。したがって、シール部材に対して水が入りにくく、入った水を排出し易くすることができる。
【0013】
本発明に係る転がり軸受装置は、内輪と、この内輪の径方向外方に設けられる外輪と、前記内輪と前記外輪との間に転動可能に設けられた複数の転動体とを備えている転がり軸受と、
前記転がり軸受の軸方向端部に設けられる上述の密封装置と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高速回転時の発熱による不都合を可及的に解消しつつシール効果も維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る密封装置が組み付けられた転がり軸受装置を示す断面図である。
【図2】図1における密封装置を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態におけるシール部材の回転速度とシールリップの接触圧との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の密封装置、及び転がり軸受装置の実施形態を説明する。
《第1の実施の形態》
図1は、本発明の第1の実施形態に係る密封装置と転がり軸受装置とを示す断面図である。図2は、図1における密封装置を示す拡大断面図である。なお、これらの図における左右方向を軸方向といい、上下方向を径方向という。また、軸方向に関して、転がり軸受10の内部から外部へ向かう側(又は方向)を軸方向外側(又は軸方向外方)といい、転がり軸受10の外部から内部へ向かう側(又は方向)を軸方向内側(又は軸方向内方)という。
【0017】
図1に示されるように、転がり軸受10は、例えば圧延ロール支持用の軸受として用いられる4列の円すいころ軸受とされている。転がり軸受10は、圧延ロールの端部外周面に嵌合される軸方向に2つの内輪11と、この内輪11の径方向外方に同軸心状に配置される軸方向に3つの外輪12と、内輪11に形成された内輪軌道面13及び外輪12に形成された外輪軌道面14の間に配置され、各軌道面上を転動する4列の円すいころ15と、各列の円すいころ15の周方向の間隔を保持する4つの保持器16とを備えている。
【0018】
転がり軸受10の軸方向端部には、転がり軸受10の内部に供給された潤滑油の漏洩を防止するとともに、圧延ロール冷却用の冷却水等が転がり軸受10の内部へ浸入するのを防止するために、転がり軸受10の内部側と外部側との間を密封する密封装置18が設けられている。
具体的に、密封装置18は、転がり軸受10の軸方向端部に設けられた外周側部材19と内周側部材20との間の環状空間を密封している。内周側部材20は、2つの内輪11の各軸方向外側の端部に設けられた、軸方向外方に張り出す張出部によって構成されている。外周側部材19は、各内輪11の張出部20の径方向外方であって外輪12に隣接する位置に配置され、外輪12とともにハウジング21に嵌合されている。
【0019】
図2に示されるように、密封装置18は、内周側部材20の外周面に取り付けられるとともに、複数のシールリップ36,37を有するシール部材23と、外周側部材19に設けられるとともに、シールリップ36,37が摺動可能に接触する摺接面24A,24Bと、を有している。
シール部材23は、断面形状が略L字形状に形成された芯金25にゴム等の弾性材からなるシール部26を固着したものである。芯金25は、全体が環状に形成されており、円筒形状に形成されて内輪11の張出部(内周側部材)20の外周面に嵌合される円筒部27と、この円筒部27の軸方向外側の端部から径方向外方へ略垂直に屈曲して延びる円環部28とからなっている。芯金25は、例えば、冷延鋼板であるSPCC,SPCD,SPCE等をプレス加工することで形成される。
【0020】
芯金25の円筒部27の内周面には凹部30が形成されており、内周側部材20の外周面には凹部31が形成されている。そして、この凹部30と凹部31とに可撓性棒体33を挿入することによって、内周側部材20に対する芯金25の軸方向の位置ずれが規制されている。また、内周側部材20には、Oリング50を収容する凹部32も形成されている。
【0021】
シール部26は、主として芯金25の円筒部27の外周面と円環部28の軸方向内側の側面(図2の左側の側面)に固着されている。そして、シール部26は、円筒部27と円環部28との間の屈曲部付近から、径方向外方かつ軸方向内方(図2の左方向)へ斜めに延びる2つのシールリップ36,37を備えている。シール部26の軸方向内端部には、周方向に複数の突起34が形成されており、この突起34が内周側部材20の内周部に形成された嵌合凹部35に嵌合されることによって、シール部材23の周方向の周り止めがなされている。
【0022】
2つのシールリップ36,37は、相互に径方向の位置が異なっており、本実施形態では、径方向内側のシールリップ36を内側シールリップといい、径方向外側のシールリップ37を外側シールリップという。また、図2では、摺接面24A,24Bに当接して弾性変形した状態のシールリップ36,37を実線で示し、摺接面24A,24Bに当接する前の自然状態(無負荷状態)のシールリップ36,37を2点鎖線で示している。
【0023】
内側シールリップ36は、その基部側にやや径方向外方へ折曲する内側折曲部39を有している。同様に、外側シールリップ37も、その基部側にやや径方向外方へ折曲する外側折曲部40を有している。そして、内側シールリップ36及び外側シールリップ37は、内側折曲部39及び外側折曲部40を支点として、上方へ屈曲し易くなっている。
【0024】
外周側部材19の内周面は、軸方向外側ほど内径が大きくなるように階段状に形成されている。具体的には、外周側部材19の内周部には、軸方向内側から外側へ3つの段部(第1段部42、第2段部43、第3段部44)が形成されている。各段部42,43,44の高さ(径方向の寸法)は、第1段部42が最も大きく、第3段部44が最も小さい。また、第1段部42及び第2段部43は、軸心に対して略垂直な第1側面24A及び第2側面24Bを備えているが、第3段部44は、軸方向外側ほど内径が大きくなるような傾斜した第3側面47を有している。そして、第1段部42の第1側面24Aは、内側シールリップ36が摺動可能に摺接する内側摺接面を構成し、第2段部43の第2側面24Bは、外側シールリップ37が摺動可能に摺接する外側摺接面を構成している。
【0025】
内側シールリップ36は、締め代s1をもって内側摺接面24Aに接触している。これに対して外側シールリップ37は、締め代s2をもって外側摺接面24Bに接触しており、締め代s1と締め代s2とは、s1<s2の関係がある。より好ましくは、s1/s2=0.3〜0.6の関係がある。内側シールリップ36と外側シールリップ37とは、略同じ肉厚に形成され、曲げ剛性も略同等とされているが、締め代s1,s2が異なっているため、内側摺接面24Aに対する内側シールリップ36の接触圧と、外側摺接面24Bに対する外側シールリップ37の接触圧とは互いに異なり、前者の方が後者よりも小さい。言い換えると、複数のシールリップ36,37は、転がり軸受10の外部側ほど摺接面24A,24Bに対する接触圧が高められている。
【0026】
なお、内側シールリップ36と外側シールリップ37とは、締め代s1,s2の相違によって接触圧を異ならせるに限らず、例えば、内側シールリップ36と外側シールリップ37の曲げ剛性の相違によって接触圧を異ならせてもよい。この場合、両者の締め代s1,s2は同一とすることができる。
【0027】
密封装置18よりも軸方向内側(転がり軸受10の内部側)は、転がり軸受10が回転運動を行うことによって高温となり、しかも熱が逃げずにこもり易くなっている。これに対して、密封装置18よりも軸方向外側(転がり軸受10の外部側)では、圧延ロールを冷却するための冷却水がかかったり外気が触れたりすることによって放熱性が高くなっている。
【0028】
そして、本実施形態では、転がり軸受10の外部側に配置されている外側シールリップ37は、内側シールリップ36と比較して外側摺接面24Bに対する接触圧が高いため、より高いシール性能を有しており、しかも放熱性が高い位置に配置されているために、高速回転時の発熱も抑制されるようになっている。他方、内側シールリップ36は、熱のこもり易い転がり軸受10の内部側に配置されているが、内側摺接面24Aに対する接触圧が低いため、高速回転時の発熱は抑制されている。
したがって、内側シールリップ36と外側シールリップ37との双方によって、シール性能を適切に維持しながら高速回転時の発熱も抑制することができ、当該発熱に起因する寿命低下などの不都合を解消することができる。
【0029】
シール部材23は、円環部28の径方向外端部を覆うシール部26の一部(先端部)52が、径方向外方に向けて先細りとなるように尖った形状に形成されている。すなわち、シール部材23の先端部52には、互いに逆向きに傾斜した内側面53と外側面54とが形成されている。内側面53は、第3側面47に対して略平行に対向している。そして、内側面53の傾斜は、シール部材23の内部に入り込んだ水を回転に伴ってシール部材23の外側へ振り切るように作用する。また、外側面54の傾斜は、外側からかけられた水を径方向外側へはね返すように作用する。したがって、このようなシール部材23の先端部52の形状によって、シール部材23の内側に水が入りにくくなり、また入った水を排出し易くすることができる。
【0030】
《第2の実施の形態》
図2に示すように、内周側部材20が回転すると、これに伴ってシール部材23も回転し、内側シールリップ36及び外側シールリップ37には径方向外方へ開く方向へ遠心力が作用する。このような遠心力が作用すると、内側接触面24A及び外側接触面24Bに対する各シールリップ36,37の接触圧が変化する。そして、第2の実施の形態では、シール部材23の回転速度に対する内側シールリップ36と外側シールリップ37との接触圧の変化率を以下のように互いに異なるものとしている。
【0031】
内周側部材20の回転に伴うシール部材23の回転周速度をVとし、内側シールリップ36の内側摺接面24Aに対する接触圧をPIとすると、回転速度Vに対する接触圧PIの変化率ΔPIは、次の式(1)のように表すことができる。
ΔPI=PI/V ・・・(1)
【0032】
また、外側シールリップ37の外側摺接面24Bに対する接触圧をPOとすると、回転速度Vに対する接触圧OPの変化率ΔPOは、次の式(2)のように表すことができる。
ΔPO=PO/V ・・・(2)
【0033】
そして、本実施の形態では、変化率ΔPIとΔPOとを、次の式(3)の関係に設定している。
ΔPI/ΔPO>1.3 ・・・(3)
【0034】
上記式(1)〜(3)の関係をグラフで示すと、図3に示すようになる。このグラフによれば、内側シールリップ36の内側摺接面24Aに対する接触圧の変化率は、外側シールリップ37の同変化率よりも大きく(グラフの傾きが大きく)なっている。
このように設定することによって、シール部材23の回転速度Vが高まるほど、内側シールリップ36の接触圧は、外側シールリップ37の接触圧よりも大きく低下する。言い換えると、外側シールリップ37の接触圧は、内側シールリップ36の接触圧ほど低下しない。したがって、高速回転時における内側シールリップ36の発熱をより効果的に抑制することができ、外側シールリップ37によるシール性の低下を抑制することができる。なお、上記のように接触圧の変化率ΔPI,ΔPOは、シールリップ36,37の曲げ剛性等を調整することによって相互に異ならせることができる。
【0035】
本発明は、上記実施の形態に限定されることなく特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において適宜変更できるものである。
密封装置18のシール部材23には、3個以上のシールリップが設けられていてもよい。この場合、転がり軸受10の外部側のシールリップほど摺接面に対する接触圧が高められていればよい。また、複数のシールリップは、軸方向に並べて配置されていてもよい。
【0036】
上記実施形態では、シール部材23が内周側部材20に設けられ、摺接面24が外周側部材19に設けられていたが、その逆であってもよい。また、内側シールリップ36が転がり軸受10の内部側に配置され、外側シールリップ37が転がり軸受10の外部側に配置されているが、その逆であってもよい。
【0037】
内周側部材20は、内輪11と別体であってもよく、外周側部材19は外輪12と一体であってもよい。また、内周側部材20は圧延ロール等の軸と一体であってもよく、外周側部材19は、ハウジング21と一体であってもよい。
本発明は、圧延ロールの軸支持装置に使用される密封装置18や転がり軸受10に限らず、他のあらゆる装置に使用される密封装置18や転がり軸受10に適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
10:転がり軸受、11:内輪、12:外輪、18:密封装置、19:外周側部材、20:内周側部材、23:シール部材、24A:内側摺接面、24B:外側摺接面、25:芯金、26:シール部、36:内側シールリップ、37:外側シールリップ、53:内側面、54:外側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転がり軸受の内部側と外部側との境界部において、互いに相対回転する内周側部材と外周側部材との間の環状空間を密封する密封装置であって、
前記内周側部材及び前記外周側部材のうち一方の部材に取り付けられ、複数のシールリップを有するシール部材と、
前記内周側部材及び前記外周側部材のうち他方の部材に設けられ、前記各シールリップが摺動可能に接触する摺接面と、を備えており、
前記複数のシールリップは、前記転がり軸受のより外部側に配置されたものほど前記摺接面に対する接触圧が高められていることを特徴とする密封装置。
【請求項2】
前記複数のシールリップは、前記摺接面に対する締め代の相違により接触圧が相互に異なっている請求項1に記載の密封装置。
【請求項3】
前記複数のシールリップは、前記摺接面への接触方向における曲げ剛性の相違により接触圧が相互に異なっている請求項1又は2に記載の密封装置。
【請求項4】
前記シールリップが、径方向に複数設けられており、より径方向外側のシールリップが転がり軸受の外部側に配置される請求項1〜3のいずれか1項に記載の密封装置。
【請求項5】
前記シール部材が、回転運動する内周側部材に取り付けられており、
前記内周側部材の回転に伴う前記シール部材の回転速度に対する前記シールリップの接触圧の変化率が、前記転がり軸受のより内部側に配置されたシールリップほど大きくなっている請求項1〜4のいずれか1項に記載の密封装置。
【請求項6】
前記シール部材が、回転運動する前記内周側部材に取り付けられ、かつその径方向外端に前記外周側部材の内周面に対して隙間をあけて配置される先端部を有しており、この先端部は、互いに逆向きに傾斜する内側面及び外側面を有していて径方向外方へ向けて先細り形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の密封装置。
【請求項7】
内輪、この内輪の径方向外方に設けられる外輪、及び前記内輪と前記外輪との間に転動可能に設けられた複数の転動体を備え、軸を支持するための転がり軸受と、
前記転がり軸受の軸方向端部に設けられる請求項1〜6のいずれか1項に記載の密封装置と、を備えていることを特徴とする転がり軸受装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−137122(P2012−137122A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288423(P2010−288423)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【出願人】(000167196)光洋シーリングテクノ株式会社 (57)
【Fターム(参考)】