説明

寝台装置

【課題】利用者の体重情報と重心位置情報を組み合わせた情報を判断することによって、より正確に利用者の動きを監視でき、誤検出が少なくまた検出精度が高く、高信頼性で利用者の動きを監視できる検知システムを備えた寝台装置を提供する。
【解決手段】体重閾値判定部がベッド上の利用者の体重が体重閾値以下であり、重心位置領域判定部がその重心位置が監視対象領域(端座位置)に移動したと判定した場合であって、体重重心位置監視部がこの状態が所定時間以上継続したことを検知したときに、ベッド利用者が端座位位置にいることを検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認知症の高齢者及び手術後間もない患者等を対象に、離床・在床の判別と、ベッド上での利用者の動きから離床予測を実現する離床予測・検知システムを備えた寝台装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、認知症の高齢者の徘徊及びベッド周りでの転倒・転落の事故が社会的な問題となっており、その対策が求められている。また、高齢者及び術後間もない患者等、長期間にわたってベッドに在床している利用者のベッド上での動きをベッドの荷重情報によって監視することで、異常事態の際に、より迅速な対応ができることを期待されている。
【0003】
特許文献1が開示している技術は、重量情報を利用して、利用者がベッドに在床しているか離床しているかを判断しており、ベッド上の利用者の動きを監視することができない。
【0004】
この問題点を改善すべく、特許文献2乃至4及び非特許文献1が開示している技術は、ベッド上の4点の荷重情報から重心位置を求め、この重心位置情報を利用して在床時の利用者の動きを監視するというものである。
【0005】
【特許文献1】特開平2−280733
【特許文献2】特許3093745号公報
【特許文献3】特許3322632号公報
【特許文献4】USP 5,276,432
【非特許文献1】J.C.Barbenel et al., Monitoring the mobility of patients in bed, Medical & Biological Engineering & Computing, pp.466-468(Sep 1985)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2乃至4の技術においては、利用者のベッド上の重心位置に関する情報のみによる監視では、例えばベッドの端に利用者がいることは検知できても、それが寝返り等の動作によってベッド端部にいる状態であるのか、離床しようとしてベッド端部にいる状態なのか、又は利用者が寝ている寝床部に品物を置いたり、利用者でない別の人間が寝床部に寄りかったり、座ったりしたことによる重心位置の変動なのかの区別ができない。また、柵などの付帯物を取り除く等といった行為によって重心移動が発生した場合に、起き上がり動作と区別ができず、誤判定することがあるという問題点がある。
【0007】
また、非特許文献1には、ベッド上の患者の動きを監視するために4本のベッド足の荷重をロードセルにより測定してベッド上の患者の体重を測定し、各ベッド足の荷重測定値の相違からベッド上の重心位置を演算し、重心位置の移動距離を演算する技術及びベッド上の患者の移動回数から患者の状態を判断する技術が開示されている。
【0008】
しかしながら、非特許文献1に開示されている技術においても、ベッド上の利用者の動きをベッド上の重心位置の移動距離のみによって監視しているため、利用者が寝ている寝床部に品物を置いたり、利用者でない別の人間が寝床部に寄りかったり、座ったりしたことによる重心位置の移動なのかの区別ができず、誤判定をすることがあるという問題点がある。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、利用者の体重情報と重心位置情報を組み合わせた情報を判断することによって、より正確に利用者の動きを監視でき、誤検出が少なくまた検出精度が高く、高信頼性で利用者の動きを監視できる検知システムを備えた寝台装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明に係る寝台装置は、寝床部の荷重を検出して荷重信号を生成する荷重計測手段と、前記荷重信号に基づいて寝床部上に位置する利用者の体重を演算する体重演算手段と、前記体重が所定の体重閾値以下にあるか否かを判定する体重閾値判定手段と、前記荷重信号に基づいて前記利用者の重心位置を演算する重心位置演算手段と、前記重心位置が寝床部の監視対象領域にあるか否かを判定する重心位置領域判定手段と、前記体重閾値判定手段及び重心位置領域判定手段の判定結果を基に前記体重が前記所定の閾値以下であり且つ前記重心位置が前記監視対象領域にある時間を監視する体重重心位置監視手段と、を有し、前記体重重心位置監視手段が監視する時間が継続して所定時間を超えたときに、前記利用者の状態を検知することを特徴とする。
【0011】
前記体重閾値がベッド利用者の体重の73%以上96%以下の値で設定され、前記所定時間が1秒以上10秒以下の値で設定されることが好ましい。また、前記利用者の状態は、例えば、利用者が端座位にいることを検知するものである。更にまた、前記利用者の状態が、検知されたときに、警報を発令することが好ましい。
【0012】
利用者がベッド上で移動すると、利用者の重心はベッド上で移動する。そして、重心位置領域判定手段が重心位置が監視対象領域(例えば、端座位置)にあると判定した場合に、一応、ベッド利用者が端座位置にいると検知することができる。しかし、ベッド利用者が寝返りをうって、重心位置が監視対象領域に位置している可能性もある。そこで、本発明においては、体重測定値が体重閾値以下である場合に、ベッド利用者が端座位置に座って足が床に着いた結果、体重測定値が低下していると判定され、寝返りではなく、ベッド利用者が端座位置に座していることを検知する。よって、重心位置が監視対象領域にあることと、体重測定値が閾値以下であることを判定することにより、ベッド利用者が端座位置に座していることを検知する。しかし、ベッド利用者が端座位置に座しているときに、必ずしも体重測定値の明確な変化が生じず、体重測定値の低下が小さく、体重閾値以下にならない可能性がある。そこで、検出精度をあげるために、体重閾値をベッド利用者の体重に近い値に設定し、僅かでも体重測定値の低下があったときに、これを端座位置にいるとして検知するようにすることもできる。しかし、このようにすると、僅かでも体重測定値の低下があったときに、端座位置として検知してしまうので、誤報が発生しやすくなる。そこで、本発明においては、体重重心位置監視手段が、重心位置が監視対象領域内にあり、体重測定値が体重閾値以下である時間を監視し、この監視時間が継続して所定時間を超えたときに、利用者が端座位置にいることを検知する。これにより、誤報を増やすことなく、利用者に離床の意志がない場合の端座位置検知を防止することができる。これにより、ベッド利用者が端座位置にいて、離床しようとしていることを高精度で検知することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、利用者の体重情報と重心位置情報とを組み合わせて判断し、更に、体重が体重閾値以下であり、重心位置が監視対象領域内にある時間が所定時間継続した場合に、ベッド利用者が離床しようとしていることを検知するので、正確に利用者の離床を検知することができ、誤検出及び検出精度の低下を防止することができる。これにより、システムの信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る寝台装置について、添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、離床検知予測機能を備えた実施形態の寝台装置について説明する。この離床検知予測機能とは、ベッド上の患者(利用者)が、ベッドの縁部の端座位置(監視対象領域)に位置していることを検知し予測する機能である。図1は本発明の実施形態に係る寝台装置の概略図、図2は寝床部1の4端に4つの荷重センサ3−1乃至3−4を配置した例を示す概略図、図3は各荷重センサ3の信号をコントローラ5で情報処理し、各機能を動作させるときのブロック図を示す。図1に示すように、寝床部1を支持する脚付のフレーム2の4隅に寝床部1の上の荷重を検出して荷重信号を生成する荷重センサ3(3−1,3−2,3−3,3−4)が1個ずつ計4個備えられている。この荷重センサ3によって生成された荷重信号は、寝床部1の2つの短辺に設けられた壁部4の一方に備えられた離床予測・検知システムコントローラ5(以下、コントローラ5)によって一定時間毎に読み込まれる。
【0015】
コントローラ5には、体重演算部、重心位置演算部、体重閾値判定部、重心位置領域判定部、体重重心位置監視部、重心位置監視対象領域設定部、記憶部、警報装置、警報選択部等が設けられており、各部の検知がソフトウェアによって実施されるようになっている。コントローラ5は、荷重センサ3によって生成された荷重信号を一定時間毎に読み込む。体重演算部は、この読み込んだ信号を基に、寝床部1の上の利用者の体重を演算する。寝床部1には、マットレス、掛け布団及び柵等(図示せず)の付帯物が設置されているので、体重演算部は、この状態を基準(=0kg、重心位置の原点補正)とし、利用者が寝床部1の上に寝たときの寝床部1の荷重信号をコントローラ5によって読み込み、基準からの荷重増加分を演算することによって利用者の体重Wを演算する。
【0016】
重心位置演算部は、コントローラ5が一定時間毎に読み込む荷重センサ3によって生成された荷重信号を基に、寝床部1の上の利用者の重心位置を演算する。図2に示すように、第1の荷重センサ3−1と第3の荷重センサ3−3とを結ぶ辺を頭側、第2の荷重センサ3−2と第4の荷重センサ3−4とを結ぶ辺を足側とする。寝床部1の頭側左端(図2において寝床部1の左下端部)を原点(0,0)とし、第1の荷重センサ3−1と第2の荷重センサ3−2との間の距離をB、第1の荷重センサ3−1と第3の荷重センサ3−3との間の距離をBとする。利用者が寝床部1の上に寝たときの、第1乃至4の荷重センサ3−1乃至3−4によって生成される荷重信号の基準からの荷重増加分の演算値をW乃至W(W+W+W+W=W)とすると、利用者の重心位置(X,Y)は下記の数式1で表すことができる。この式に従って、重心位置演算部は、寝床部1の上の利用者の重心位置を演算する。
【0017】
【数1】

【0018】
体重閾値判定部は体重演算部によって演算される寝床部1の上の利用者の体重Wを監視して、利用者の体重Wが所定の体重閾値WT1以下にあるか否かを判定する。即ち、ベッド利用者が、ベッドの端座位置に座っており、足が床についているときは、体重検出値が利用者の体重よりも低下し、体重閾値WT1未満となる。この体重閾値は、例えば、ベッド利用者の体重の96%である。また、重心位置領域判定部は、利用者の重心位置(X,Y)を監視して、利用者の重心位置(X,Y)が寝床部1の重心位置監視対象領域にあるか否かを判定する。この重心位置監視領域は、図5にハッチングにて示すように、ベッドの縁部、即ち離床するときの端座位置である。従って、重心位置監視対象領域は、ベッドを取り囲む4縁部の全てでも良いし、ベッドの一側縁が壁等に接している場合は、この壁側のベッド側縁は端座位置にならない。
【0019】
体重閾値設定部は、寝床部1の上の利用者がベッド上に位置しているか否かを判定するときの体重閾値WT1を設定する。また、重心位置監視対象領域設定部は、重心位置の監視対象領域を設定する。体重閾値WT1及び監視対象領域はコントローラ5に接続されたパソコンから入力され、コントローラ5の演算部において演算され、記憶部に記憶される。
【0020】
警報装置は体重閾値判定部及び重心位置領域判定部の判定結果によって警報を発生し、また、警報選択部は、警報の有無及び種類を選択する機能を有している。
【0021】
図3は図1の第1の荷重センサ3−1乃至第4の荷重センサ3−4の信号をコントローラ5で情報処理し、各機能を動作させるときのブロック図を示したものである。第1乃至4の荷重センサ3−1乃至3−4によって生成される荷重信号は、コントローラ5の演算部21によって一定時間毎に読み込まれ、演算される。演算部21は寝床部1の上の利用者の体重Wを演算する体重演算部、寝床部1の上の利用者の重心位置を演算する重心位置演算部、利用者の体重が所定の体重閾値WT1以下にあるかどうかを判定する体重閾値判定部、利用者の重心位置(X,Y)を監視して、利用者の重心位置(X,Y)が寝床部1の重心位置監視対象領域にあるかどうかを判定する重心位置領域判定部、各判定部の判定結果を基に体重が所定の閾値以下であり且つ重心位置が監視対象領域にある時間を監視する体重重心位置監視部、体重の閾値を設定する体重閾値設定部、重心位置監視対象領域を設定する重心位置監視対象領域設定部、記憶部、警報装置、警報選択部等を有し、また、判定に使用する体重閾値及び重心位置監視対象領域等が記憶される記憶部22、各判定部の判定結果により警報を発生する警報信号発信部31を有している。また、更にコントローラ5は、操作スイッチ、電源スイッチ等の設定操作部24、警報表示部25及びナースコール29等の警報/停止操作部26を有している。
【0022】
各警報装置は、コントローラ5より警報信号を発信し、ナースコール29を介してナースステーション30に通報するか又は複数台のベッドを管理する場合は通信コネクタ12よりLAN(Local Area Network)アクセスポイント27を中継して遠隔地のパソコン30に通報することができる。
【0023】
次に、上述の如く構成された本発明の第1実施形態に係る端座位検知システムの動作について説明する。寝床部1には、マットレス、掛け布団及び柵等(図示せず)の付帯物が設置されているので、体重演算部は、この状態を基準(=0kg、重心位置の原点補正)とし、利用者が寝床部1の上に寝たときの寝床部1の荷重信号をコントローラ5によって読み込み、基準からの荷重増加分を演算することによって利用者の体重Wを演算する。利用者が寝床部1の上に寝た直後の状態でコントローラ5の操作スイッチ(図示せず)を押すか又はパソコンを操作することによって、コントローラ5の記憶部22に利用者の体重を記憶させることができ、このときの利用者の体重を利用者の基準体重Wとする。また、体重計等によって得られた利用者の体重をコントローラ5に接続されたパソコンから入力することによって、利用者の基準体重Wをコントローラ5の記憶部に記憶させることもできる。
【0024】
図4は、端座位検知のフローチャートを示す。予め、コントローラ5の演算部21の体重演算部によって寝床部1の上の利用者の基準体重Wtが演算され、体重閾値設定部によって体重閾値Ws2が設定され、重心位置監視対象領域設定部によって端座位置検知領域Ds(監視対象領域)が設定され、更に、体重重心位置監視部において体重が所定の閾値以下であり且つ重心位置が監視対象領域にあることを監視する監視時間Tsが設定され、これらの各値がコントローラ5の記憶部22に記憶される(ステップS1)。また、本実施形態においては、体重WtがWs1以下(Ws1<Ws2)というように、大きく低下した場合は、時間Tsの経過をまつまでもなく、重心位置が監視領域内にあることを条件として、これを端座位置にいると判定する。このため、このような低い体重閾値Ws1もステップS1で設定する。この体重閾値Ws1は、利用者の体重の例えば80%である。
【0025】
そして、ステップS2において、体重測定値Wtが体重閾値Ws1以下であるか否かが判定され、重心位置が監視対象領域内にある(D≧Ds)か否かが判定され、これらの両条件を満たす場合に、その判定の瞬間に、ベッド利用者が端座位置にいることを検知し、警報を作動させる(ステップS5)。
【0026】
一方、ステップS3において、体重測定値Wtが体重閾値Ws2以下であるか否かが判定され、更に、重心位置が監視対象領域(端座位置)にあるか否かが判定される。そして、両条件が満たされたとき、制御間隔をΔtとして、監視時間tがt+Δtになる。そして、時間tが所定の時間T未満である場合には(ステップS4)、再度、ステップS2及びS3に戻り、体重閾値及び重心位置の判定が行われる。ステップS3で、重心位置が監視領域内にあると共に、体重測定値が閾値Ws2以下にあると判定された場合には、監視時間tが更にΔtだけ増大し、再度、ステップS4にて、時間tが所定の監視時間T以上であるか否かが判定され、時間tがT以上になったときに、ベッド利用者が端座位置にいることを検知する。そして、警報を発令する(ステップS5)。
【0027】
このようにして、本実施形態においては、ベッド利用者がベッド上の端座位置にいるか否かを、体重を加味して判定し、しかもこの状態が所定時間経過した時点で、端座位置にいることを検知して警報するから、体重判定の際の閾値Ws2を体重未満ではあるが体重に近い値にして、ステップS3では敏感に端座位置であると判定すると共に、ステップS4でこの状態が所定時間Tだけ継続したときに、初めて端座位置であることを検知するから、ベッド利用者が端座位置にいるか否かを、高精度で且つ誤検知することなく、行うことができる。
【0028】
入院している4人の高齢者の端座位から離床までの動作時間(端座位から即時に立ち上がる場合を除く)を計測すると、平均で43秒であった。この計測対象動作回数は94回であった。これにより、端座位後、直ちに起立動作をしない場合は、端座位状態を長時間に渡り維持している場合が多いことがわかる。従って、端座位状態の継続を監視する時間Tとしては、端座位後直ちに起立動作をしない場合という意味で、少なくとも1秒間にする。一方、端座位姿勢になると、利用者は床上に足をおろすため、寝台上の重量が減少する。この重量減少は、ベッド使用時のベッドの床からの高さが低い場合に、大きなものとなる。そこで、通常のベッドにおいて、高さを最も低い高さにし、これにマットレスの厚さである330mmを加算した高さにおいて、多数の人に端座位に座してもらい、ベッド上の重量変化を実測した。その結果、被験者の体重を基準とした端座位時のベッド上の重量減少率は平均で26.7%、標準偏差で7.6%であった(図5)。従って、3σを考慮することにより、96.1%となる。即ち、重量減少率は平均で体重の26.7%であるので、重量減少が少ない方に3σをみると、26.7−3×7.6=3.9%となる。これを閾値としてみると、体重の100−3.9=96.1%となる。
【0029】
そこで、体重閾値は、ベッド利用者の体重の96%以下とし、端座位検知を監視する時間Tを1秒以上とすることにより、多数の利用者に適合した端座位検知が可能となり、誤報を増やすことなく、利用者に離床の意志がない場合の端座位姿勢を離床と誤検知することがなく、高精度で離床を検知することができる。
【0030】
また、端座位姿勢によるベッド重量の変化量が多い分には検知しやすいので、3σまで考慮する必要はない。そこで、体重減少量の平均値である26.7%から、体重閾値の下限値は73%(100−26.7=73.3)とする。更に、体重が所定の体重閾値以下にあり、重心位置が監視対象領域にある時間を監視する体重重心位置監視部が、この監視時間が継続して1秒以上10秒以下経過したときに、これを利用者が端座位にいると検知する。端座位姿勢をとってから検知までに、一定の時間がかかる。また、早期検知のためには、監視時間を長時間に設定することは好ましくない。このため、監視時間の上限値は10秒間が好ましい。一方、監視時間が短すぎると、看護師がベッド側柵を持ち上げるというような動作により、ベッド重量が減少し、重心位置も監視対象領域に含まれるようになり、これを端座位と誤検知してしまう可能性がある。このため、監視時間の下限値は1秒間とすることが好ましい。
【0031】
なお、警報装置は端座位の検知結果によって警報を発生し、また、警報選択部は、警報の有無及び種類を選択する機能を有している。警報発生中は、ナースコール29又はパソコン28等を経由して看護師に通報するほか、コントローラ5の警報表示部25で通報することもできる。
【0032】
以上、本発明の実施形態において、各閾値、所定の範囲、端座位置等は、コントローラ5に接続されたパソコンより入力し、コントローラ5の演算部21によって演算されるものとしているが、この演算操作をパソコンによって行うこともでき、この演算結果をパソコンよりコントローラ5に入力することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る寝台装置の概略図である。
【図2】寝床部1の4端に4つの荷重センサ3−1乃至3−4を配置した例を示す概略図である。
【図3】各荷重センサ3の信号をコントローラ5で情報処理し、各機能を動作させるときのブロック図を示したものである。
【図4】本発明の実施形態の端座位置検知のフローを示す図である。
【図5】体重減少率を示すグラフ図である。
【符号の説明】
【0034】
1 ; 寝床部
2 ; フレーム
3 ; 荷重センサ
3−1; 第1の荷重センサ
3−2; 第2の荷重センサ
3−3; 第3の荷重センサ
3−4; 第4の荷重センサ
4 ; 壁部
5 ; 離床予測・検知システムコントローラ
6 ; 端座位検知領域
20 ; 制御部
21 ; 演算部
22 ; 記憶部
23 ; 操作表示部
24 ; 設定操作部
25 ; 警報表示部
26 ; 警報/停止操作部
27 ; LAN AP
28 ; パソコン
29 ; ナースコール
30 ; ナースステーション
31 ; 警報信号発信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝床部の荷重を検出して荷重信号を生成する荷重計測手段と、前記荷重信号に基づいて寝床部上に位置する利用者の体重を演算する体重演算手段と、前記体重が所定の体重閾値以下にあるか否かを判定する体重閾値判定手段と、前記荷重信号に基づいて前記利用者の重心位置を演算する重心位置演算手段と、前記重心位置が寝床部の監視対象領域にあるか否かを判定する重心位置領域判定手段と、前記体重閾値判定手段及び重心位置領域判定手段の判定結果を基に前記体重が前記所定の閾値以下であり且つ前記重心位置が前記監視対象領域にある時間を監視する体重重心位置監視手段と、を有し、前記体重重心位置監視手段が監視する時間が継続して所定時間を超えたときに、前記利用者の状態を検知することを特徴とする寝台装置。
【請求項2】
前記体重閾値がベッド利用者の体重の73%以上96%以下の値で設定され、前記所定時間が1秒以上10秒以下の値で設定されることを特徴とする請求項1に記載の寝台装置。
【請求項3】
前記利用者の状態は、利用者が端座位にいることを検知するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の寝台装置。
【請求項4】
前記利用者の状態が、検知されたときに、警報を発令することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の寝台装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−206869(P2008−206869A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48184(P2007−48184)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(390039985)パラマウントベッド株式会社 (165)
【Fターム(参考)】