説明

対デバイス固定体

【課題】メインフレームに組み付け可能なデバイスの流通を管理可能な対デバイス固定体を提供する。
【解決手段】製造作業を行なうために必要なデバイス22,24,50等と、そのデバイスが組み付けられるメインフレームと、デバイスを制御する制御装置70,270とを備えた製造作業機に用いられ、デバイスに固定される対デバイス固定体56,88,122等において、デバイスが制御装置によって認識されるための認識情報が記録されている認識情報記録体78,96等を対デバイス固定体の本体に装着するように構成する。このような構成によれば、認識情報記録体が装着された対デバイス固定体が固定されているデバイスのみが、制御装置によって制御可能とされる。つまり、対デバイス固定体の流通を管理することで、デバイスの流通を管理することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造作業を行なうためのデバイスに固定される対デバイス固定体に関する。
【背景技術】
【0002】
製造作業機には、例えば、下記特許文献1に記載された製造作業機、詳しく言えば、製造作業を行なうために必要なデバイスと、そのデバイスが組み付けられるメインフレームと、デバイスを制御する制御装置とを備えたものが存在する。このような製造作業機においては、メインフレームに組み付けられているデバイスを異なるデバイスに付けかえることが可能とされており、汎用性の高い製造作業機が実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−221518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メインフレームに組み付けられているデバイスを異なるデバイスに付けかえることが可能な製造作業機においては、種々のデバイスが市場で流通することで、メインフレームに種々のデバイスのうちから選択したものを組み付けることが可能となる。これにより、種々の製造作業を行なうことが可能となり、製造作業機の汎用性を高くすることが可能となっている。一方で、デバイスの流通が無秩序に行なわれると、例えば、低品質のデバイスが流通する虞があり、デバイスの信頼性を担保することができず、製造作業機の信頼性を担保することが困難となる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、デバイスの流通を管理可能な対デバイス固定体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の対デバイス固定体は、デバイスに固定される本体と、デバイスが制御装置によって認識されるための認識情報が記録されている認識情報記録体とを備えた対デバイス固定体であって、認識情報記録体が本体に装着されるように構成される。
【発明の効果】
【0006】
上記認識情報は、制御装置がデバイスを認識するために必要なものであり、制御装置がデバイスを認識できなければ、当然、制御装置はそのデバイスを制御することができない。つまり、認識情報記録体を備えた対デバイス固定体が固定されているデバイスのみが、制御装置によって制御されるのである。したがって、本発明の対デバイス固定体によれば、その対デバイス固定体の流通を管理することで、デバイスの流通を管理することが可能となる。
【発明の態様】
【0007】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0008】
なお、下記(1)項は、請求可能発明の前提となる構成を示した態様に関する項であり、それぞれの項の態様に、(2)項〜(18)項に掲げる項のいずれかに記載の技術的特徴を付加した態様が、請求可能発明の態様となる。ちなみに、(1)項に(2)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項1に相当し、請求項1に(3)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項2に、請求項2に(4)項および(5)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項3に、請求項2または請求項3に(9)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項4に、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに(10)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項5に、請求項1ないし請求項5のいずれか1つに(12)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項6に、請求項1ないし請求項6のいずれか1つに(13)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項7に、請求項1ないし請求項7のいずれか1つに(14)項および(15)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項8に、それぞれ相当する。
【0009】
(1)製造作業を行なうために必要なデバイスと、そのデバイスが組み付けられるメインフレームと、前記デバイスを制御する制御装置とを備えた製造作業機に用いられ、前記デバイスに固定される本体を備えた対デバイス固定体。
【0010】
本項に記載された態様は、請求可能発明の前提をなす態様であり、対デバイス固定体の基本的な構成要素、および、その対デバイス固定体が用いられる製造作業機の基本的な構成要素を列挙した態様である。本項に記載された「製造作業機」においては、メインフレームに組み付けられているデバイスを異なるデバイスに付けかえることが可能とされており、汎用性の高い製造作業機を実現することが可能とされている。
【0011】
本項に記載された「製造作業」、つまり、製造作業機の実施対象作業は、特に限定されるものではなく、例えば、複数の部品によって組み立てられる組立物を組み立てる組立作業を始め、作業対象物(「部品」,「組立物」,「ワーク」等を含む概念である)に対して何らかの加工,処理等を施すような種々の作業が、実施対象作業となる。より具体的に言えば、何らかの加工を施す作業としては、例えば、プレス作業等の作業対象物を変形させる作業、切断作業等の作業対象物の一部を取り除く作業、切削作業等の作業対象物を成形する作業等が実施対象作業となる。また、何らかの処理を施す作業としては、例えば、レーザ,プラズマ等による作業対象物の表面改質作業、接着剤,着色剤等を作業対象物に塗布する塗布作業、作業対象物を加熱・冷却等する熱処理作業、研磨等の表面仕上作業等の作業が実施対象作業となる。なお、組立作業,何らかの加工・処理等を施す作業等の作業結果を検査する検査作業も、実施対象作業となり得る。
【0012】
本項に記載の「デバイス」は、上記製造作業を行なうために必要なものであればよく、具体的には、例えば、実施対象作業が組立作業の場合には、(a)1つの部品を当該製造作業機外からの搬入,組立物の当該製造作業機外への搬出等の搬送を実行する搬送装置、(b)別の部品の供給を実行する部品供給装置、(c)部品供給装置によって供給された部品を基材等に組み付けるための保持を実行する作業ヘッド装置、(d)作業ヘッド装置によって保持された部品を移動させるために当該部品保持ヘッド装置を移動させるヘッド移動装置等が、デバイスとして、メインフレームに組み付けられる。組立作業において、あるいは、組立作業の結果を検査する検査作業において、部品あるいは組立物の位置,姿勢,組立精度等を認識するために当該部品,組立物を撮像するカメラ等の撮像装置も、撮像処理という作業を実行するデバイスとなり得、組立作業において、2つの部品の固着のためにそれら2つの部品の少なくとも一方に接着剤を塗布する接着剤塗布装置も、接着剤の塗布という作業を実行するデバイスとなり得る。また、レーザ処理,プラズマ処理を行う装置も、それらの処理が行われる製造作業において、デバイスとなり得る。
【0013】
(2)当該対デバイス固定体が、前記デバイスが前記制御装置によって認識されるための認識情報が記録されている認識情報記録体を備え、その認識情報記録体が、前記本体に装着された(1)項に記載の対デバイス固定体。
【0014】
製造作業機を構成するデバイスとして、上述したように、様々な種類のものを採用することが可能とされており、そのような種々のものが市場で流通することで、製造作業機の汎用性を高くすることが可能となっている。一方で、デバイスの流通が無秩序に行なわれると、例えば、低品質のデバイスが流通する虞があり、デバイスの信頼性を担保することができず、製造作業機の信頼性を担保することが困難となる。そこで、本項に記載の対デバイス固定体は、デバイスが前記制御装置によって認識されるための認識情報が記録されている認識情報記録体を備え、その認識情報記録体が、対デバイス固定体の本体に装着されている。認識情報記録体に記録されている認識情報は、制御装置がデバイスを認識するために必要なものであり、制御装置がデバイスを認識できなければ、当然、制御装置はそのデバイスを制御することができない。つまり、認識情報記録体を備えた対デバイス固定体が固定されているデバイスのみが、制御装置によって制御されるのである。このことから、例えば、製造作業機のメーカが対デバイス固定体の流通を管理すれば、認可を受けていない第三者製のデバイスの流通を阻止することが可能となり、デバイスの信頼性、および、製造作業機の信頼性を担保することが可能となる。
【0015】
本項に記載の「認識情報記録体」は、認識情報が記録されているものであればよく、例えば、メモリ等を利用し認識情報が記憶されているものであってもよく、バーコード等を利用し認識情報が記されているものであってもよい。また、認識情報記録体に記録されている認識情報は、制御装置に入力される必要があり、例えば、無線,有線等の通信によって制御装置に入力されてもよく、バーコードリーダ等の情報を読み取り可能な装置を利用して制御装置に入力されてもよい。さらに言えば、認識情報として、操作者によって視認可能な認識情報記録体が採用されている場合には、認識情報が操作者によって制御装置に入力されてもよい。
【0016】
また、「認識情報記録体」には、認識情報だけでなく、例えば、その認識情報によって認識されるデバイスが行い得る動作に関する情報である可能動作情報,識別情報記録体の識別ID等の種々の情報が記録されていてもよい。その可能動作情報には、デバイスが作製造作業を行なう際のそのデバイスが行い得る動作そのものの情報、具体的には、例えば、供給装置であれば部品を供給することが可能であるという情報,装着装置であれば部品の保持若しくは離脱することが可能であるという情報が含まれる。さらに、デバイスの性能,寸法等も含まれる。
【0017】
(3)当該対デバイス固定体が、
前記認識情報記録体に記録されている前記認識情報を発信可能な発信器を備え、その発信器に前記認識情報記録体が内蔵されており、発信器装備体として機能する(2)項に記載の対デバイス固定体。
【0018】
本項に記載の態様によれば、制御装置への認識情報の入力を自動で行なうことが可能となり、便利である。
【0019】
(4)当該対デバイス固定体の前記本体が、ある面に開口する穴を有し、前記発信器が、前記穴の内部に装着された(3)項に記載の対デバイス固定体。
【0020】
本項に記載の「穴」は、発信器を装着可能な形状であればよく、例えば、有底穴であってもよく、貫通穴であってもよい。その穴の内部に、本項に記載の「発信器」を隙間無く嵌合させてもよく、クリアランスのある状態で設けてもよい。
【0021】
(5)前記発信器が、前記穴の内部に樹脂によって封入された(4)項に記載の対デバイス固定体。
【0022】
認識情報記録体を備えた対デバイス固定体の流通を管理することで、デバイスの流通を管理することが可能となるが、認識情報記録体を備えた対デバイス固定体が容易に複製されるものであれば、対デバイス固定体自体の流通を管理し難くなる。本項に記載の対デバイス固定体では、発信器が穴の内部に樹脂によって封入されることで、発信器を穴の内部から取り出すことが困難となっている。また、無理に発信器を穴の内部から取り出した場合には、発信器が破損し、認識情報記録体も破損してしまう。このことから、本項に記載の対デバイス固定体では、第三者が認識情報記録体を手に入れることが困難となっており、認識情報記録体を備えた対デバイス固定体を複製し難くなっている。したがって、本項に記載の対デバイス固定体によれば、対デバイス固定体の流通を確実に管理することが可能となり、デバイスおよび製造作業機の信頼性を担保することが可能となる。
【0023】
(6)前記発信器を前記穴の内部に封入した状態での前記樹脂の表面と、前記本体の前記穴が開口する面とが、面一となっている(5)項に記載の対デバイス固定体。
【0024】
本項に記載の態様においては、穴の開口する面を平らにすることが可能となり、その面において対デバイス固定体をメインフレームに取りつけ易くなる。
【0025】
(7)前記樹脂が、熱可塑性樹脂である(5)項または(6)項に記載の対デバイス固定体。
【0026】
本項に記載の態様によれば、加熱により軟化させた熱可塑性樹脂を穴の内部に流し込むことで、発信器を穴の内部に隙間無く封入することが可能となり、発信器を穴の内部から取り出し難くすることが可能となる。
【0027】
(8)前記穴の開口が、
当該対デバイス固定体の前記本体が固定された前記デバイスが前記メインフレームに組み付けられた状態において、前記メインフレームに設けられて前記認識情報を受信可能なアンテナと向かい合う位置に形成された(4)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の対デバイス固定体。
【0028】
本項に記載の態様によれば、発信器の通信距離を短くすることが可能となり、発信器を小型化することが可能となる。
【0029】
(9)前記発信器が、RFタグである(3)項ないし(8)項のいずれか1つに記載の対デバイス固定体。
【0030】
本項に記載の「RFタグ」は、無線を利用して情報をやり取りするシステム、所謂、RFID(Radio Frequency Identification)に用いられるものであり、無線タグ,ICタグとも呼ばれるものである。RFタグには、そのRFタグに記録されている認識情報を読み取る際に、正規の手続を経なければ、その認識情報を読み取ることがことが非常に困難なものがある。つまり、RFタグには、複製が非常に困難なものがある。したがって、本項に記載の態様によれば、穴の内部から発信器を、万一、破損させることなく取り出せたとしても、その発信器自体が複製困難とされているため、対デバイス固定体の流通をより確実に管理することが可能となる。
【0031】
(10)前記発信器が、
前記認識情報記録体に記録されている前記認識情報が、前記デバイスを制御するための指令を前記制御装置が送信するためのプロトコルとは異なるプロトコルに従って送信されるように構成された(2)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の対デバイス固定体。
【0032】
(11)当該対デバイス固定体が、
前記本体に設けられ、前記デバイスを制御するための指令を前記制御装置が送信するための通信線を備えた(1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載の対デバイス固定体。
【0033】
認識情報記録体を備えた対デバイス固定体が用いられる製造作業機のメーカが、そのメーカとは異なるメーカ(そのメーカと区別するべく、「サードベンダ」という場合がある)にデバイスの製造を許可するような場合には、そのサードベンダに認識情報記録体を備えた対デバイス固定体を提供する必要がある。また、制御装置からの指令によるデバイスの作動を担保するために、制御装置からの指令に従った制御ロジックを開示する必要がある。ただし、制御装置からの指令の通信経路と認識情報の通信経路とが同じであれば、制御ロジックの開示に伴って、認識情報を読み取るためのロジックをも開示することになってしまう。このため、発信器として認識情報の読み取りが困難なRFタグを採用していても、RFタグから容易に認識情報を読み取ることが可能となる。つまり、本来は複製の困難なRFタグであっても、認識情報を読み取るためのロジックが開示されることにより、容易に複製することが可能となる虞がある。上記2つの項に記載の態様においては、制御装置がデバイスを制御するための指令の通信経路と、認識情報の通信経路とが異なっており、制御ロジックが開示されても、認識情報を読み取るためのロジックが開示されることはない。したがって、上記2つの項に記載の態様によれば、発信器として認識情報の読み取りが困難なRFタグを採用する効果が充分に活かされる。
【0034】
前者の項に記載の「プロトコル」は、制御装置と対デバイス固定体との間の通信に関する取り決め、手順、規約等を定めるものであり、前者の項に記載の「プロトコル」には、通信されるデータ自体の取り決め等だけでなく、制御装置と対デバイス固定体との間のデータ等の伝送路の取り決め、具体的には、有線通信の場合であれば、ケーブル・コネクタの種類等の取り決め等、無線通信の場合であれば、周波数帯等の取り決め等も含まれる。
【0035】
(12)当該対デバイス固定体が、
前記制御装置による前記デバイスの制御に際して前記デバイスと前記制御装置とを前記本体を介して電気的に接続するために前記本体に固定され、前記メインフレームに設けられているフレーム側端子に接続されるデバイス側端子を有し、そのデバイス側端子を経由して、前記デバイスを制御するための指令を前記制御装置が送信するように構成された(1)項ないし(11)項のいずれか1つに記載の対デバイス固定体。
【0036】
本項に記載の態様によれば、デバイスのメインフレームへの電気的な接続部が対デバイス固定体に設けられることから、デバイス自体にメインフレームへの電気的接続部を設ける必要が無くなり、デバイスの製造,設計等を簡略化することが可能となる。
【0037】
(13)当該対デバイス固定体が、
定められた基準位置にそのデバイスを位置させるために前記本体に設けられ、前記メインフレームに設けられたフレーム側係合部に係合するデバイス側係合部を備える(1)項ないし(12)項のいずれか1つに記載の対デバイス固定体。
【0038】
本項に記載の態様においては、基準位置にデバイスが組み付けられることで、デバイスの作動時の基準点が担保されるようになっている。ちなみに、作動時の基準点とは、デバイスが作動する際の基準点であり、その基準点を原点としてデバイスの作動が制御される。
【0039】
(14)当該対デバイス固定体の前記本体が、
自身を介して前記デバイスが前記メインフレームに組み付けられるように構成された(1)項ないし(13)項のいずれか1つに記載の対デバイス固定体。
【0040】
(15)当該対デバイス固定体の前記本体が、
前記デバイスに取付けられる対デバイス取付面と、前記本体が固定された前記デバイスが前記メインフレームに組み付けられる際にそのメインフレームの一部と密着する対フレーム密着面とを有する(14)項に記載の対デバイス固定体。
【0041】
(16)当該対デバイス固定体の前記本体が、
板状の部材を有し、その部材の互いに背向する2つの面の一方が前記対デバイス取付面として機能するとともに、他方が前記対フレーム密着面として機能し、前記デバイスが前記メインフレームに組み付けられた状態において前記板状の部材が前記デバイスと前記メインフレームとに挟まれる(15)項に記載の対デバイス固定体。
【0042】
上記3つの項に記載の態様によれば、デバイスは、対デバイス固定体を介して、メインフレームに組み付けられることから、デバイスにメインフレームへ組み付けるための機構等を設ける必要が無くなり、デバイスの製造,設計等を簡略化することが可能となる。
【0043】
(17)当該対デバイス固定体の前記本体が、ある面に開口する穴を有し、
当該対デバイス固定体が、
前記穴の内部に装着され、前記デバイスが前記制御装置によって認識されるための認識情報を発信可能な発信器を備え、
前記穴が開口する面が、前記対フレーム密着面である(15)項または(16)項に記載の対デバイス固定体。
【0044】
本項に記載の態様では、発信される認識情報をメインフレーム側で取得することが容易となる。
【0045】
(18)当該対デバイス固定体が、
前記メインフレームを構成する保持体移動装置に固定されるとともに前記デバイスを保持するためのデバイス保持体に装着された状態において、前記保持体移動装置によって、前記デバイスとともに移動させられる(1)項ないし(17)項のいずれか1つに記載の対デバイス固定体。
【0046】
デバイスとして、例えば、作業対象物に対して何らかの部品等を組み付けるための作業,作業対象物に対して何らかの加工,処理等を施すような作業を実行することが可能な装置を採用するような場合には、その装置を、作業対象物の近傍に移動させるための移動装置が必要である。本項に記載の態様は、そのような移動装置をメインフレームの構成要素とした態様である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】請求可能発明の実施例である対デバイス固定体を介してデバイスがメインフレームに組み付けられた状態の製造作業機を示す斜視図である。
【図2】図1の製造作業機を、デバイスおよび対デバイス固定体を取り外した状態において示す斜視図である。
【図3】図1に示す作業ヘッド装置の拡大図である。
【図4】図3に示す作業ヘッド装置に固定されている対デバイス固定体の斜視図である。
【図5】図4の対デバイス固定体を反対方向からの視点において示す斜視図である。
【図6】図5に示すAA線における断面図である。
【図7】図3の作業ヘッド装置を反対方向からの視点において示す斜視図である。
【図8】図1に示す部品供給装置の斜視図である。
【図9】図8に示す部品供給装置のフィーダ保持台の斜視図である。
【図10】図9のフィーダ保持台を反対方向からの視点において示す斜視図である。
【図11】図10に示すフィーダ保持台の一部の拡大図である。
【図12】図8に示す部品供給装置のテープフィーダに固定されている対デバイス固定体の斜視図である。
【図13】図1の製造作業機に取り付け可能な搬送装置を示す斜視図である。
【図14】図13に示す搬送装置に固定されている対デバイス固定体の斜視図である。
【図15】図1の製造作業機の概略を示すブロック図である。
【図16】図8に示した部品供給装置とは別の部品供給装置を示す斜視図である。
【図17】図1の製造作業機の備えるベースおよびそのベースから外された状態の複数のデバイスを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【実施例】
【0049】
<製造作業機の構成>
図1に、実施例の対デバイス固定体を備えた製造作業機10を示す。製造作業機10は、製造作業として組立作業を行うための組立作業機であり、詳しく言えば、第1部品としての基材に対して第2部品としての組付部品を組み付ける作業を行う作業機である。その製造作業機10は、自身が行う組立作業を構成する複数の作業要素の各々を実行する複数のデバイスを備えるものとされており、それら複数のデバイスの各々が、その各々に対応する対デバイス固定体を介して、図2に示すメインフレーム12に組み付けられる。なお、以下の説明において、メインフレーム12の長手方向を前後方向と、その長手方向に直角な水平の方向を左右方向と、長手方向に直角な垂直の方向を上下方向と称することにする。
【0050】
メインフレーム12は、ベース20と、後に詳しく説明する2つの作業ヘッド装置22,24を移動させるヘッド移動装置26とを含んで構成されている。保持体移動装置としてのヘッド移動装置26は、XYZロボット型の移動装置であり、ベース20の上端に配設されている。ヘッド移動装置26は、2つの作業ヘッド装置22,24が組み付けられる2つのスライダ28,30を、水平面に沿って、一緒に移動させる平面型移動装置32を備えており、その平面型移動装置32は、左右方向に2つのスライダ28,30を直線的に移動させる左右方向移動装置(X方向移動装置)34と、前後方向に2つのスライダ28,30を直線的に移動させる前後方向移動装置(Y方向移動装置)36とによって構成されている。つまり、平面型移動装置32は、2つのスライダ28,30を水平面上の任意の位置に移動させる構造とされている。また、ヘッド移動装置20は、2つのスライダ28,30をそれぞれ単独で上下方向に移動させる2つの上下方向移動装置(Z方向移動装置)38,40を備えており、上下方向移動装置38,40は、平面型移動装置32によってスライダ28,30とともに水平面上を移動させられ、その水平面上の任意の位置において、スライダ28,30の各々を上下方向の任意の位置に移動させる構造とされている。つまり、ヘッド移動装置26は、作業ヘッド装置22,24を任意の位置に移動させて、その任意の位置において作業ヘッド装置22,24に作業を実行させるための装置となっている。
【0051】
また、メインフレーム12に配設される複数のデバイスは、図1に示すように、組付部品を供給する部品供給装置50と、基材に組付部品を組み付ける作業において主たる作業を実行する第1作業ヘッド装置22と、その主たる作業に対する補助的な作業を実行する第2作業ヘッド装置24とを含んで構成されている。部品供給装置50は、メインフレーム12を構成するベース20の前後方向における一端に配設され、2つの作業ヘッド装置22,24は、メインフレーム12を構成するヘッド移動装置26のスライダ28,30に配設されている。
【0052】
第1作業ヘッド装置22は、部品供給装置50から供給された組付部品を運ぶために保持することが可能な装置とされており、図3に示すように、下端に部品吸着ノズル52を有し、その部品吸着ノズル52によって組付部品を吸着保持すること、その部品を離脱することが可能な部品保持ヘッド22である。詳しく言えば、その部品吸着ノズル52は、正負圧供給装置54(図15参照)を介して負圧エア,正圧エア通路に通じており、負圧にて部品を吸着保持し、僅かな正圧が供給されることで保持した部品を離脱する構造となっている。その部品保持ヘッド22は、図4および図5に示す対デバイス固定体としての部品保持へッド用インタフェイス(以下、「保持へッド用IF」と略す場合がある)56を介して、ヘッド移動装置26のデバイス保持体としてのスライダ28に組み付けられている。ちなみに、図5は、図4における視点と逆向きの視点における斜視図である。
【0053】
保持へッド用IF56は、概して矩形の本体としての背板部58と、その背板部58の上端部から背板部58に垂直な方向へ延び出す上板部60とを含んで構成されており、対デバイス取付面としての背板部58の上板部60が延び出す側の面(図4において示される面)において部品保持ヘッド22の背面に固定されるとともに、上板部60の下側の面において部品保持ヘッド22の上端面に固定されている。その保持へッド用IF56の背板部58の下端部には脚部62が設けられるとともに、対フレーム密着面としての背板部58の部品保持ヘッド22に固定されない側の面(図5において示される面)の上端部には、係合ブロック64が設けられている。一方、図2に示すように、ヘッド移動装置26のスライダ28の下端部には、保持ヘッド用IF56の脚部62を支承する支承部66が設けられるとともに、スライダ28の正面側の面の上部には、係合ブロック64を嵌合させて固定することが可能なブロック嵌合部68が設けられている。
【0054】
保持へッド用IF56の脚部62の先端は楔形状とされており、V字状とされたスライダ28の支承部66に嵌め合わされる。これにより、部品保持ヘッド22の上下方向の位置が規定される。また、係合ブロック64の両側面が、ブロック嵌合部68の間にぴったりと嵌りこむようにされており、これによって、部品保持ヘッド22の左右方向の位置が規定される。つまり、フレーム側係合部としての支承部66およびブロック嵌合部68に、デバイス側係合部としての脚部62および係合ブロック64を係合することで、部品保持ヘッド22を、保持へッド用IF56を介して、スライダ28の規定の基準位置に組み付けることが可能となっている。なお、ブロック嵌合部68は、係合ブロック64の固定をワンタッチで解除することが可能となっており、保持へッド用IF56、つまり、部品保持ヘッド22は、スライダ28に着脱可能とされている。
【0055】
また、保持へッド用IF56の上板部60の先端部には、保持へッド用コネクタ69が設けられており、その保持へッド用コネクタ69は通信線(図示省略)を介して部品保持ヘッド22と電気的に接続されている。デバイス側端子としての保持へッド用コネクタ69が、メインフレーム12に設けられたフレーム側端子(図示省略)に接続されることで、部品保持ヘッド22が、後に詳しく説明するメイン統括制御装置70(図15参照)と電気的に接続される。このように、保持へッド用IF56と部品保持ヘッド22とは一体化されており、保持へッド用IF56が、部品保持ヘッド22の電気的および物理的なインタフェイスとして機能している。
【0056】
また、保持へッド用IF56の背板部58のスライダ28に取付けられる側の面の下端部には、図5に示すように、有底穴72が形成されており、その有底穴72の内部には、図5におけるAA断面を示す図6に示すように、RFタグ74が樹脂76によって封入されている。RFタグ74は、後述するメイン統括制御装置70(図15参照)によって部品保持ヘッド22が認識されるための認識情報が記録されている認識情報記録体としてのICチップ78(図15参照)と、そのICチップ78に記録された認識情報を送信するアンテナ80(図15参照)とを含んで構成されており、その認識情報を発信可能な発信器として機能している。そのRFタグ74は、短円筒形状とされており、それの外径は、有底穴72の内径と略同じとされることで、有底穴72内に隙間無く嵌合されている。RFタグ74を有底穴72内に封入している樹脂76は、熱可塑性樹脂であり、RFタグ74が嵌合された有底穴72内に、加熱されて軟化した樹脂76が流し込まれ、その樹脂76が硬化することで、RFタグ74を有底穴72内に封入している。なお、過熱されて軟化した樹脂76は、有底穴72の縁まで流し込まれており、樹脂76の表面と、有底穴72が開口する背板部58の面とは面一となっている。
【0057】
発信器としてのRFタグ74を備えた保持へッド用IF56は、発信器装備体として機能しており、その保持へッド用IF56が取付けられるスライダ28には、RFタグ74から発信される認識情報を受信可能なアンテナ82(図15参照)が設けられている。そのアンテナ82は、保持へッド用IF56がスライダ28に取付けられた状態において、背板部58に形成された有底穴72の開口と向かい合う位置に設けられており、RFタグ74から発信される認識情報を受信することが可能とされている。そのアンテナ82は、メイン統括制御装置70(図15参照)に接続されており、その制御装置に受信した認識情報を送信することで、部品保持ヘッド22が制御装置によって認識されるようになっている。
【0058】
また、第2作業ヘッド装置24は、部品保持ヘッド22によって保持される組付部品をを基材に組み付けるために必要な補助的な作業要素を実行することが可能な装置とされており、具体的に言えば、図7に示すように、下端に設けられたディスペンサノズル84と、そのディスペンサノズル84から任意の量の接着剤を吐出させる吐出装置86(図15参照)とを有するディスペンサヘッド24である。ディスペンサヘッド24も、部品保持ヘッド22と同様に、保持ヘッド用IF56と略同じ構造のディスペンサ用インタフェイス(以下、「ディスペンサへッド用IF」と略す場合がある)88を介して、ヘッド移動装置26のスライダ30に組み付けられている。ディスペンサヘッド用IF88にも、脚部90,係合ブロック92,ディスペンサヘッド用コネクタ94,ICチップ96(図15参照)とアンテナ98(図15参照)とを有するRFタグ100,そのRFタグ100が樹脂102によって封入される有底穴104が設けられるとともに、スライダ30にも、ディスペンサヘッド用IF88の脚部90を支承する支承部106,係合ブロック92が嵌合されるブロック嵌合部107,RFタグ100から発信される認識情報を受信可能なアンテナ108(図15参照)が設けられている。したがって、ディスペンサヘッド用IF88は、ディスペンサヘッド24の電気的および物理的なインタフェイスとして機能するとともに、ディスペンサヘッド24の認識情報を発信可能な発信器を備えた発信器装備体として機能している。
【0059】
また、部品供給装置50は、図8に示すように、フィーダ型の供給装置であり、それぞれが組付部品を所定の部品供給位置において1個ずつ供給する複数のテープフィーダ110と、それら複数のテープフィーダ110を保持するフィーダ保持台112とを備えている。そのフィーダ保持台112は、図9および図10に示すように、水平な支持板114と、それの前後方向における一端部から鉛直方向に立設された立設壁116とを含んで構成されており、支持板114の左右方向における両側部には、1対のガイドレール118が設けられている。一方、メインフレーム12を構成するベース20の前後方向における一端部には、図2に示すように、それら1対のガイドレール118を水平方向にスライドさせるスライド機構120が設けられており、フィーダ保持台112が、そのスライド機構120に沿って、ベース20の前方からそのベース20内に挿入されるようになっている。
【0060】
そのフィーダ保持台112がベース20内に挿入されると、フィーダ保持台112は、そのフィーダ保持台112の対デバイス固定体としてのフィーダ保持台用インタフェイス(以下、「保持台用IF」と略す場合がある)122を介してベース20に取付けられるようになっている。保持台用IF122は、図10に示すように、フィーダ保持台112の支持板114の立設壁116が立設された一端部に固定的に設けられており、その支持板114の一端部から垂下する接続面124を有している。
【0061】
その接続面124には、図11に示すように、フィーダ保持台用コネクタ126が設けられており、そのフィーダ保持台用コネクタ126はフィーダ保持台112と電気的に接続されている。デバイス側端子としてのフィーダ保持台用コネクタ126が、ベース20に設けられたフレーム側端子(図示省略)に接続されることで、フィーダ保持台112が、メイン統括制御装置70(図15参照)と電気的に接続されるのである。ちなみに、図11には、フィーダ保持台112の支持板114,その支持板114に設けられる保持台用IF122および1対のガイドレール118だけが示されている。また、保持台用IF122の接続面124には、水平方向に延び出す1対の係合ピン128が設けられており、フィーダ保持台112がベース20内に挿入された際にそれら1対の係合ピン128は、ベース20に設けられた1対の係合穴(図示省略)に係合するようになっている。これにより、フィーダ保持台112は、ベース20の規定の基準位置に取付けられるようになっている。このように、保持台用IF122は、フィーダ保持台112の電気的および物理的なインタフェイスとして機能している。
【0062】
さらに、保持台用IF122の接続面124にも、上記保持ヘッド用IF56と同様に、有底穴130が形成されており、その有底穴130内に、上記RFタグ74,100と同じ構造のRFタグ132(図15参照)が樹脂134によって封入されている。ちなみに、RFタグ132も、ICチップ136およびアンテナ138(図15参照)によって構成されており、そのRFタグ132から発信される認識情報を受信可能なアンテナ140(図15参照)が、フィーダ保持台112がベース20に取付けられた状態において有底穴130の開口と向かい合うように、ベース20に設けられている。そのアンテナ140もメイン統括制御装置70(図15参照)に接続されており、その制御装置に受信した認識情報を送信することで、フィーダ保持台112が制御装置によって認識されるようになっている。つまり、保持台用IF122は、フィーダ保持台112の認識情報を発信可能な発信器を備えた発信器装備体としても機能している。
【0063】
そのフィーダ保持台112に保持される複数のテープフィーダ110の各々は、テープ化された組付部品であるテーピングが巻回されたリール(図示省略)と、そのリールからテーピングを所定のピッチずつ送り出すフィーダ駆動装置152(図15参照)とを含んで構成されており、組付部品を所定の部品供給位置において供給することが可能とされている。複数のテープフィーダ110の各々は、その各々に対応する対デバイス固定体としてのテープフィーダ用インタフェイス(以下、「フィーダ用IF」と略す場合がある)154を介してフィーダ保持台112に取付けられるようになっており、そのフィーダ用IF154が、テープフィーダ110の電気的および物理的なインタフェイスとして機能するようになっている。
【0064】
詳しく言えば、フィーダ用IF154は、図12に示すように、前後方向に延び出すT溝ガイド部156と、そのT溝ガイド部156の一端部に垂直方向に延びるようにして立設された立設部158とを含んで構成されており、側方からの視点において概して矩形とされたテープフィーダ110の底辺にT溝ガイド部156が、テープフィーダ110の前後方向における一辺に立設部158が、それぞれ固定されることで、テープフィーダ110とフィーダ用IF154とが一体化されている。フィーダ保持台112の支持板114の上面には、複数本のT溝160が前後方向に延びるようにして、互いに平行に形成されており、そのT溝160にフィーダ用IF154のT溝ガイド部156が嵌め込まれるようになっている。
【0065】
フィーダ用IF154の立設部158のテープフィーダ110が固定される面とは反対側の面には、図12に示すように、デバイス側端子としてのテープフィーダ用コネクタ162が設けられており、そのテープフィーダ用コネクタ162はテープフィーダ110と電気的に接続される。また、その立設部158の面には、前後方向に延び出す1対の係合ピン164が設けられている。一方、フィーダ保持台112の立設壁116には、図9に示すように、テープフィーダ用コネクタ162を接続可能な対テープフィーダ用コネクタ166と、1対の係合ピン164を係合可能な1対の係合穴168とが、上記複数本のT溝160に対応して設けられており、テープフィーダ100に固定されたフィーダ用IF154が1本のT溝160に嵌めこまれた状態でフィーダ保持台112の立設壁116に向かって押し付けられることで、テープフィーダ用コネクタ162が対テープフィーダ用コネクタ166に接続され、1対の係合ピン164が1対の係合穴168に係合する。これにより、テープフィーダ110は、フィーダ保持台112と電気的に接続されるとともに、フィーダ保持台112の規定の位置に取付けられるようになっている。つまり、テープフィーダ110は、フィーダ保持台112を介して、メイン統括制御装置70(図15参照)と電気的に接続されるとともに、ベース20の規定の基準位置に組み付けられるようになっている。
【0066】
さらに、フィーダ用IF154の立設部158のテープフィーダ用コネクタ162,係合ピン164が設けられた面にも、上記保持ヘッド用IF56等と同様に、有底穴170が形成されており、その有底穴170内に、上記RFタグ74等と同じ構造のRFタグ172(図15参照)が樹脂174によって封入されている。ちなみに、RFタグ172も、ICチップ176およびアンテナ178(図15参照)によって構成されており、そのRFタグ172から発信される認識情報を受信可能なアンテナ180(図15参照)が、テープフィーダ110がフィーダ保持台112に取付けられた状態において有底穴170の開口と向かい合うように、フィーダ保持台112の立設壁116に設けられている。そのアンテナ170もメイン統括制御装置70(図15参照)に接続され、テープフィーダ110が制御装置によって認識されるようになっている。つまり、フィーダ用IF154も発信器装備体として機能している。
【0067】
また、メインフレーム12に組み付けられるデバイスとしては、上記部品保持ヘッド22,ディスペンサヘッド24,部品供給装置50以外に、図13に示す搬送装置182もメインフレーム12に組み付けられる。メインフレーム12のベース20には、図1および図2に示すように、前後方向の略中央部において、左右方向に延びるようにして搬送装置組付部184が形成されており、その搬送装置組付部184に、対デバイス固定体としての搬送装置用インタフェイス(以下、「搬送装置用IF」と略す場合がある)186を介して、搬送装置182が組み付けられる。
【0068】
搬送装置182は、本体部188とその本体部188を支持する脚部190とを含んで構成されており、本体部188は、載置された基材を左右方向に搬送する1対のコンベアベルト192と、それら1対のコンベアベルト192を周回させるベルト周回装置194(図15参照)と、1対のコンベアベルト192の上方に設けられた1対の鍔部196と、それら1対の鍔部196に基材を押し付けることで固定する昇降装置198(図15参照)とを含んで構成されている。このような構成によって、搬送装置182は、基材を左右方向の特定の位置に搬送するとともに、その特定の位置において基材を固定することが可能とされている。
【0069】
搬送装置用IF186は、図14に示すように、概して矩形の平板部材とされており、それの短手方向の両端に位置する1対の脚部支持部200と、それら1対の脚部支持部200の間に位置する中央部202とを含んで構成されている。その脚部支持部200の上面に搬送装置182の脚部190が固定されており、搬送装置用IF186と搬送装置182とが一体化されている。また、ベース20に形成されている搬送装置組付部184の底面には、1対の脚部支持部200と略同形状の1対の載置板204(図1および図2において1つ示されている)が固定されており、それら1対の載置板204の各々の上面には、1対の脚部支持部200の各々の裏面(搬送装置182が固定される面とは反対側の面)に形成された係合ピン(図示省略)を係合可能な係合穴(図示省略)が形成されている。これにより、1対の脚部支持部200が1対の載置板204と略ぴったりと合わされるようにされており、搬送装置182が、ベース20の規定の基準位置に組み付けられるようになっている。
【0070】
さらに、それら1対の脚部支持部200の一方の裏面(載置板204の上面に密着される面)にも、上記保持ヘッド用IF56等と同様に、有底穴206が形成されており、その有底穴206内に、上記RFタグ74等と同じ構造のRFタグ208(図15参照)が樹脂210によって封入されている。そのRFタグ208も、ICチップ212およびアンテナ214(図15参照)によって構成されており、RFタグ208から発信される認識情報を受信可能なアンテナ216(図15参照)が、搬送装置182が搬送装置取付部184に取付けられた状態において有底穴206の開口と向かい合うように、載置板204に設けられている。そして、そのアンテナ216もメイン統括制御装置70(図15参照)に接続されており、搬送装置182がその制御装置によって認識されるようになっている。
【0071】
また、メインフレーム12には、基材や組付部品を撮像するための撮像装置220も取り付けられている。撮像装置220は、部品保持ヘッド22によって保持された組付部品を撮像するためのベースカメラ222(図1参照)と、搬送装置182上の基材等を撮像するためのヘッドカメラ224(図1,図3,および図7参照)とを含んで構成される。ベースカメラ222は、搬送装置182と部品供給装置50との間においてベース20に配設され、自身の上方を撮像可能とされており、組付部品を保持した部品保持ヘッド22が、ベースカメラ222上に移動させられて撮像が行われるようにされている。一方、ヘッドカメラ224は、部品保持ヘッド22が取付けられるスライダ28に保持されており、自身の下方を撮像可能とされている。これにより、ヘッドカメラ224が、ヘッド移動装置26によって、搬送装置182,部品供給装置50上に移動させられることで、基材,組付部品を撮像可能となっている。
【0072】
本製造作業機10は、部品保持ヘッド22,ディスペンサヘッド24,ヘッド移動装置26,部品供給装置50,搬送装置182,撮像装置220の6つの装置によって構成されており、それら6つの装置の各々は、個別の制御装置を備えている。具体的には、図15に示すように、ヘッド移動装置26は、X方向移動装置34,Y方向移動装置36および2つのZ方向移動装置38,40の作動を制御するために、移動装置制御装置230を備えている。また、ヘッド移動装置26は、4つの移動装置34,36,38,40に対応する4つのサーボアンプ232,234,236,238を備えており、移動装置制御装置230が各サーボアンプ232,234,236,238に制御信号を送信することで、各移動装置34,36,38,40の作動を制御する構造とされている。
【0073】
部品保持ヘッド22は、正負圧供給装置54の作動を制御するための部品保持ヘッド制御装置240と、正負圧供給装置54の駆動回路242とを備えており、部品保持ヘッド制御装置240が駆動回路242に制御信号を送信することで正負圧供給装置54の作動を制御する構造とされている。ディスペンサヘッド24は、吐出装置86の作動を制御するためのディスペンサヘッド制御装置244と、吐出装置86の駆動回路246とを備えており、ディスペンサヘッド制御装置244が駆動回路246に制御信号を送信することで吐出装置86の作動を制御する構造とされている。
【0074】
部品供給装置50のフィーダ保持台112は、各テープフィーダ110の有するフィーダ駆動装置152の作動を制御するための供給装置制御装置248を備えており、各テープフィーダ110は、フィーダ駆動装置152の駆動回路250を備えている。供給装置制御装置248と駆動回路250とは、フィーダ用IF154のテープフィーダ用コネクタ162によって接続されており、供給装置制御装置248が駆動回路250に制御信号を送信することでフィーダ駆動装置152の作動を制御する構造とされている。搬送装置182は、ベルト周回装置194および昇降装置198の作動を制御するための搬送装置制御装置252と、ベルト周回装置194の駆動回路254と、昇降装置198の駆動回路256とを有しており、搬送装置制御装置252が駆動回路254,256に制御信号を送信することで、ベルト周回装置194および昇降装置198の作動を制御する構造とされている。
【0075】
撮像装置220は、ベースカメラ222およびヘッドカメラ224による撮像を実行するための制御信号の送信、および撮像によって得られた画像データの処理を実行するために、撮像装置コントローラ258を有している。撮像装置コントローラ258は、後に説明するサブ統括制御装置260内に設けられているが、サブ統括制御装置260内で独立しており、バス262を介して撮像装置220のキャプチャボード264に接続されている。このため、撮像装置コントローラ258は、サブ統括制御装置260の構成要素ではなく、撮像装置220の構成要素として取り扱うものとする。
【0076】
また、製造作業機10は、部品保持ヘッド22,ディスペンサヘッド24,ヘッド移動装置26,部品供給装置50,搬送装置182,撮像装置220を統括して制御するためのメイン統括制御装置70とサブ統括制御装置260とによって構成される制御装置を備えている。メイン統括制御装置70は、主に、各装置22,24,26,50,182,220の個別の制御装置230,240,244,248,252,258に動作指令を送信するための制御装置であり、リピータハブ266を介して、動作指令を送信するための同種類のシリアル通信ケーブル268によって各個別制御装置230,240,244,248,252,258と接続されている。
【0077】
また、サブ統括制御装置260は、サブ統括コントローラ270を有しており、そのサブ統括コントローラ270には、各個別制御装置への動作指令の基となるソースプログラム、つまり、ある特定の製造作業を実行するためのソースデータが記憶されている。その記憶されているソースデータは、上記6つの装置22,24,26,50,182,220の作動がコード化されたものである。サブ統括コントローラ270は、そのソースデータをある特定のプログラミング言語での動作指令に変換し、変換された動作指令をメイン統括制御装置70に送信するように構成されている。サブ統括コントローラ270とメイン統括制御装置70とは、ハブ272を介してLANケーブル274によって接続されており、サブ統括コントローラ270において変換された動作指令が、LANケーブル274を介して、メイン統括制御装置70に送信されるようになっている。また、ハブ272には、そのLANケーブル274と同種類の6本のLANケーブル274の一端が接続されており、それら6本のLANケーブル274の各々の他端が各装置の個別制御装置に接続されている。
【0078】
また、本製造作業機10においては、部品保持ヘッド22,ディスペンサヘッド24,部品供給装置50,搬送装置182の各々の認識情報が、同種類のUSBケーブル276を介して、メイン統括制御装置70に送信されるようになっている。詳しく言えば、部品保持ヘッド22,ディスペンサヘッド24の認識情報を受信可能なアンテナ82,106が、リーダ・ライタ278および切換器280を介して、USBケーブル276によってメイン統括制御装置70に接続されており、部品供給装置50のフィーダ保持台112,搬送装置182の認識情報を受信可能なアンテナ140,216が、リーダ・ライタ282および切換器284を介して、USBケーブル276によってメイン統括制御装置70に接続されている。また、部品供給装置50のテープフィーダ110の認識情報を受信可能なアンテナ180が、リーダ・ライタ286および切換器288を介して、USBケーブル276によってメイン統括制御装置70に接続されている。切換器280,284,288は、複数のアンテナと1つのリーダ・ライタとを接続するものであり、リーダ・ライタ278,282,284は、アンテナが受信した認識情報を解読し、メイン統括制御装置70に送信するものである。RFタグ74,100,132,172,208から送信されてアンテナによって受信される認識情報は暗号化されており、暗号化された認識情報では、メイン統括制御装置70によって認識されない。このため、リーダ・ライタ278,282,284によって暗号化された認識情報を解読する必要があるのである。
【0079】
また、本製造作業機10には、製造作業機10の作動に関する情報を入出力するためのタッチパネル式のディスプレイ290が設けられており、メイン統括制御装置70とサブ統括コントローラ270とに接続されている。詳しくは、ディスプレイ290は、ハブ272を介して上記LANケーブル274と同種類のLANケーブル274によってメイン統括制御装置70に接続されており、シリアル通信ケーブル292とRGBアナログケーブル294とによってサブ統括コントローラ270に接続されている。製造作業機10には、さらに、非常停止スイッチ296が設けられており、ターミナルリレー298を介してI/Oケーブル300によってメイン統括制御装置70および各装置22,24,26,50,182,220の個別制御装置に接続されている。また、製造作業機10の主電源スイッチ,起動スイッチ等の複数のスイッチ302と、起動中であることを示す表示灯,作動可能であることを示す表示灯等の複数の表示灯304とが、メイン統括制御装置70に接続されている。なお、部品保持ヘッド22,ディスペンサヘッド24,部品供給装置50の各々の個別制御装置240,244,248に接続されるシリアル通信ケーブル268,LANケーブル274,I/Oケーブル300は、各装置22,24,50に対応したインタフェイス56,88,122に設けられたコネクタ62,94,126を介して、各個別制御装置240,244,248に接続されている。
【0080】
<製造作業機の作動>
本製造作業機10は、サブ統括コントローラ270に記憶されているソースデータに従って、部品保持ヘッド22,ディスペンサヘッド24,ヘッド移動装置26,部品供給装置50,搬送装置182,撮像装置220の6つの装置が各々の作業を実行することで、基材への部品の組み付け作業を実行するようになっている。ただし、上記6つの装置22,24,26,50,182,220のうちの部品保持ヘッド22,ディスペンサヘッド24,部品供給装置50,搬送装置182に関しては、それら4つの装置22,24,50,182の各々の認識情報がメイン統括制御装置70によって確認された場合にのみ、それら4つの装置22,24,50,182は各々の作業を実行することが可能とされている。
【0081】
詳しく言えば、それら4つの装置22,24,50,182の各々が、その各々に対応したインタフェイス56,88,122,154,186を介してメインフレーム12に取り付けられている場合には、各インタフェイス56,88,122,154,186に内蔵されたRFタグ74,100,132,172,208から、製造作業機10の起動時に、各装置の認識情報が発信される。その発信された認識情報を、各装置に対応して設けられているアンテナ82,106,140,180,216が受信し、その受信された認識情報が、切換器280,284,288を介して、リーダ・ライタ278,282,286に送信される。リーダ・ライタ278,282,286は、その送信されてきた認識情報を解読し、USBケーブル276を介して、メイン統括制御装置70に送信する。これにより、各装置22,24,50,182の認識情報がメイン統括制御装置70によって確認され、各装置22,24,50,182がメイン統括制御装置70によって認識されるのである。そして、各装置22,24,50,182が認識されると、ソースデータに従って、上記6つの装置22,24,26,50,182,220が各々の作業を実行するようになっている。
【0082】
具体的には、組立作業に関するソースデータが、まず、サブ統括コントローラ270において、各装置毎の複数の動作指令に変換される。そして、それら複数の動作指令が、サブ統括コントローラ270からメイン統括制御装置70へ、LANケーブル274を介して送信され、それら複数の動作指令が、順次、メイン統括制御装置70によって6つの装置22,24,26,50,182,220の各々の個別制御装置に、シリアル通信ケーブル268を介して送信される。メイン統括制御装置70から送信される動作指令は、送信先を定めずに、全ての個別制御装置に送信されるが、動作指令には、その動作指令によって作動するべき装置が示されているため、その作動するべき装置の個別制御装置が自身に対応する動作指令を受信し、その動作指令に従って作動するようになっている。このように、メイン統括制御装置70は、ある特定のプロトコルに従って動作指令を上記6つの装置22,24,26,50,182,220の各々に送信するようになっており、一方、上記4つの装置22,24,50,182の認識情報は、その特定のプロトコルとは異なるプロトコルに従ってメイン統括制御装置70に送信されるようになっている。
【0083】
上記6つの装置22等に対応する動作指令について簡単に説明すると、搬送装置182に関しては、基材を特定位置まで搬入するための動作指令と、その特定の位置から基材を搬出するための動作指令とがあり、部品供給装置50に関しては、組付部品を特定の位置に供給するための動作指令がある。また、ディスペンサヘッド24に関しては、基材上に接着剤を吐出するための動作指令があり、部品保持ヘッド22に関しては、部品供給装置50によって供給されている組付部品を保持するための動作指令と、接着剤が吐出されている基材上に保持している組付部品を離脱するための動作指令がある。さらに、ヘッド移動装置26に関しては、部品保持ヘッド22およびディスペンサヘッド24を基材上の特定の位置,部品供給装置50によって供給されている組付部品を保持可能な位置等に移動させるための動作指令があり、撮像装置220に関しては、ベースカメラ222によって部品保持ヘッド22が保持している組付部品を撮像し、その撮像データに基づき保持状態の情報を取得するための動作指令と、ヘッドカメラ224によって基材を撮像し、その撮像データに基づき基材の位置情報を取得するための動作指令とがある。このような動作指令に基づいて、上記6つの装置22等が各々の作業を実行することで、基材上に接着剤によって組付部材が固着されたものが製造される。
【0084】
なお、各装置22,24,50,182の認識情報がメイン統括制御装置70によって確認された場合には、通常、動作指令が送信され、各装置の作業が実行されるようになっているが、認識情報がメイン統括制御装置70によって確認された場合であっても、各作業が実行されない場合がある。具体的には、上記構造の製造作業機10であれば、1つのアンテナは1台の装置の認識情報しか受信することはない。しかし、本製造作業機10で採用されているアンテナは、所謂、アンチコリジョン対応とされており、複数の認識情報を受信し確認することが可能なものとなっており、1つのアンテナが、何らかの理由により、複数の認識情報を受信することがある。このようなことは、通常の製造作業機の使用において発生することは殆ど無く、何らかの異常が発生していると考えられる。このため、1つのアンテナから複数の認識情報が確認された場合には、動作指令の送信が停止されるようになっている。
【0085】
また、サブ統括コントローラ270においてソースデータが複数の動作指令に変換される際には、各装置が行い得る動作に関する情報である可能動作情報が参照されるが、この可能動作情報を、予めサブ統括コントローラ270等に記憶しておき、各装置から送信される認識情報を利用して各装置の可能動作情報を参照することが可能である。具体的には、例えば、起動時に送信される装置の認識情報にその装置の識別IDを含んでおき、その識別IDとその装置の可能動作情報との対応表を、サブ統括コントローラ270等に記憶させておく。そして、識別IDに基づいて可能動作情報を参照可能に構成しておく。このような構成によって、動作指令作製時において、各装置の認識情報を利用して可能動作情報を参照することが可能となる。また、認識情報に可能動作情報を直接含んでおくことも可能である。さらに、認識情報に、認識ID,可能動作情報だけでなく、種々の情報を含んでおくことも可能である。具体的には、例えば、装置の製造元を特定可能な装置製造元特定情報(例えば、A社製の装置であれば01),装置の実行し得る作業を特定可能な装置種特定情報(例えば、部品を保持離脱するための装置、所謂、キャリーヘッド装置であればCH),装置自体を特定可能な装置特定情報(例えば、装置の製造ロット番号,型式番号)等を含んでおくことも可能である。
【0086】
なお、可能動作情報には、各装置が行い得る動作,各装置の作動範囲,寸法,性能,制御ゲイン等が含まれる。各装置が行い得る動作は、装置が作業を実行する際のその装置が行い得る動作、具体的には、例えば、部品供給装置50であれば部品の供給,部品保持ヘッド22であれば部品の保持若しくは離脱等が含まれる。また、装置の性能には、例えば、その装置が電磁モータを有している場合にはその電磁モータの出力性能,具体的には、部品供給装置50のテープフィーダ110であれば、電磁モータによるテーピングの送り出しピッチ等が含まれる。
【0087】
<メインフレームに取付けられる装置の交換>
図2に、部品保持ヘッド22,ディスペンサヘッド24,部品供給装置50,搬送装置182を取り外した図面を示したように、部品保持ヘッド22,ディスペンサヘッド24,部品供給装置50,搬送装置182は、メインフレーム12に対して、容易に取り付けることおよび取り外すことが可能とされている。具体的には、部品保持ヘッド22およびディスペンサヘッド24の作業ヘッド装置22,24は、保持ヘッド用IF56およびディスペンサヘッド用IF88の作業ヘッド装置用インタフェイス(以下、「ヘッド装置用IF」と略す場合がある)56,88を介して、スライダ28,30に容易に着脱可能とされている。また、部品供給装置50のテープフィーダ110は、フィーダ用IF154を介して、フィーダ保持台112に着脱可能とされており、そのフィーダ保持台112は、保持台用IF122および1対のガイドレール118を介して、スライド機構120を利用してベース20に容易に着脱可能とされている。また、搬送装置182は、搬送装置用IF186を介して、ベース20の搬送装置組付部184に容易に着脱可能とされている。このように、上記装置22等は、その装置に対応したインタフェイス56等を介してメインフレーム12に取付けられることで、容易に着脱することが可能とされている。
【0088】
また、それら作業ヘッド装置22,24,部品供給装置50,搬送装置182が取付けられていた位置には、それら作業ヘッド装置22,24,部品供給装置50,搬送装置182の代わりに、他の作業ヘッド装置,部品供給装置,搬送装置を取り付けることが可能とされている。具体的には、例えば、部品供給装置50の代わりに、図16に示す部品供給装置310を取付けることが可能とされている。部品供給装置310は、上記テープフィーダ110と同じ構造のテープフィーダが取付けられるフィーダ保持部312と、組付部品が載置される複数の部品トレイ314が収納される収納部316と、部品保持ヘッド22に部品を供給可能な位置に複数の部品トレイ140のうちの1つを収納部142から移動させるトレイ移動装置318とを有している。つまり、部品供給装置310は、テープフィーダ型の供給装置とトレイユニット型の供給装置とが一体化されたものとなっている。その部品供給装置310には、上記部品供給装置50のフィーダ保持台112に装着されていた保持台用IF122および1対のガイドレール118とおなじものが装着されている。これにより、部品供給装置310を、部品供給装置50の代わりに、ベース20に容易に取り付けることが可能とされている。また、例えば、部品供給装置50の代わりに、トレイユニット型の供給装置320(図17参照)を取付けることが可能とされており、その供給装置320にも、上記保持台用IFおよび1対のガイドレール118が装着されている。これにより、供給装置320も、部品供給装置50の代わりに、ベース20に容易に取り付けることが可能とされている。ちなみに、トレイユニット型の供給装置であれば、テープフィーダ型の供給装置と比較して大きな部品を供給することが可能となる。つまり、本製造作業機10においては、供給する部品に応じて部品供給装置を交換することが可能となり、種々の製品を製造することが可能となる。
【0089】
また、作業ヘッド装置22,24が取付けられる位置、つまり、スライダ28,30には、作業ヘッド装置22,24の代わりに、他の作業ヘッド装置を取付けることが可能とされている。具体的に言えば、例えば、高周波による熱処理を実行する高周波ウェルダー330,レーザー加工を実行するレーザー発信装置332,UV照射による処理を実行するUV照射装置334,ホットエアーを送風することで熱処理を実行するホットエアー送風装置336,ねじ締め処理を実行するねじ締め装置338,ねじの保持・離脱および、ねじを保持した状態でのねじ締め処理を実行するねじ装着・ねじ締め装置340,2つのディスペンサノズルを有し、2種類の補助剤の放出を実行するダブルディスペンサ装置342,他の部材を保持・離脱および部材の保持位置の調整を実行する装着装置344,クリームはんだ印刷装置346等に交換することが可能とされている。作業ヘッド装置22,24の代わりに取り付け可能な高周波ウェルダー330,レーザー発信装置332等にも、ヘッド装置用IF56,88が装着されており、高周波ウェルダー330,レーザー発信装置332等は、そのヘッド装置用IF56,88を介して、スライダ28,30に取付けられるようになっている。したがって、高周波ウェルダー330,レーザー発信装置332等も、容易にスライダ28,30に着脱することが可能となっている。
【0090】
このように、本製造作業機10においては、作業ヘッド装置として種々の機能のものを採用することが可能であることから、例えば、設計変更等により、基材に部品を接着剤によって固定させるための作業の代わりに、基材に部品をねじによって固定させるための作業を行うことが必要となった場合には、製造作業機自体を変更するのではなく、ディスペンサヘッド24をねじ装着・ねじ締め装置340に交換することで対処可能である。さらに言えば、上記製造作業機10での製造作業は組立作業であったが、作業対象物に対して何らかの加工・処理等を施すような作業を製造作業として実行できるように、作業ヘッド装置を変更してもよい。詳しく言えば、プレス作業等の作業対象物を変形させる作業、切断作業等の作業対象物の一部を取り除く作業、切削作業等の作業対象物を成形する作業、レーザ,プラズマ等による作業対象物の表面改質作業、研磨等の表面仕上作業等の作業、固着,硬化等の目的で作業対象物に光線,紫外線,電磁波等を照射等する作業等の種々の作業を実行できるように、作業ヘッド装置を変更することが可能である。つまり、本製造作業機によれば、作業ヘッド装置を変更することで、多岐にわたる製造作業を実行することが可能となる。
【0091】
また、搬送装置182の代わりには、他の種類の搬送装置、具体的には、例えば、モジュールタイプのダブルコンベア350(図17参照),シングルコンベア,リフトアンドキャリー型の搬送装置,ピックアンドプレース型の搬送装置(図示省略)等を取付けることが可能とされている。搬送装置182の代わりに取り付け可能なダブルコンベア350,シングルコンベア等にも、搬送装置用IF186が装着されており、それらダブルコンベア350,シングルコンベア等は、その搬送装置用IF186を介して、ベース20の搬送装置組付部184に取付けられるようになっている。したがって、ダブルコンベア350,シングルコンベア等も、容易にベース20に着脱することが可能となっている。ちなみに、リフトアンドキャリー型の搬送装置は、基材等が載置される保持台を昇降装置によって上昇させて、その状態において運搬装置によって保持台を搬送方向に移動させる構造とされている。このため、リフトアンドキャリー型の搬送装置は、比較的重い作業対象物であっても適切に搬送することが可能となっている。また、ピックアンドプレース型の搬送装置は、吸着によって基材等の作業対象物を持ち上げ、その状態において搬送方向に移動させる構造とされており、比較的脆い構造の作業対象物であっても適切に搬送することが可能となっている。このように、本製造作業機10においては、基材等の作業対象物に応じて搬送装置を交換することが可能となり、種々の製品を製造することが可能となっている。
【0092】
なお、ヘッド移動装置26,ベースカメラ222,ヘッドカメラ224もベース20から取り外すことは可能であり、それらヘッド移動装置26,ベースカメラ222,ヘッドカメラ224の代わりに、他のヘッド移動装置,カメラに変更することも可能であるが、本製造作業機10においては、ヘッド移動装置26,ベースカメラ222,ヘッドカメラ224に、各装置に応じたインタフェイスが装着されておらず、それらの装置26等を容易にベース20に着脱し難くなっている。ただし、それらの装置26等にも各装置に応じたインタフェイスを装着し、そのインタフェイスを介してベース20に取付けることで、ベースへの容易な着脱を実現することが可能となる。
【0093】
<製造作業機の構築>
本製造作業機は、上述したように、メインフレーム12と、そのメインフレーム12に組み付けられる複数のデバイスによって構成され、メインフレーム12に組み付けられる複数のデバイスは、種々の装置の中から選択することが可能となっている。このため、ユーザーは、自身の要求に応じた製造作業機を構築するべく、実行すべき製造作業に応じてメインフレーム12に組付けるべきデバイスを決定し、その決定された複数のデバイスを準備する必要がある。
【0094】
それら複数のデバイスを準備する方法としては、例えば、ユーザーが、メインフレーム12をある特定のメーカから購入し、そのメインフレーム12に取付ける複数のデバイスもその特定のメーカから購入することが可能である。つまり、この場合には、ユーザーは、製造作業機をその特定のメーカから購入することになる。また、ユーザーが、メインフレーム12をある特定のメーカから購入し、そのメインフレーム12に取付ける複数のデバイスのうちの1以上のものをその特定のメーカとは異なるメーカ(その特定のメーカと区別するべく、「サードベンダ」という場合がある)から購入することも可能である。この場合には、技術力の高いサードベンダ製のデバイスを使用することが可能となる。さらに言えば、複数のデバイスのうちの1以上のものをユーザー自身が製造することも可能である。この場合には、例えば、製造物に関する情報を他のものに知られることがなくなり、製造物に関する情報の秘匿性を確保することが可能となる。
【0095】
ただし、先に述べたように、各デバイスをメインフレーム12の組み付けるためには、各デバイスに対応するインタフェイスが必要である。具体的に言えば、作業ヘッド装置にはヘッド装置用IF56,88が、部品供給装置には保持台用IF122が、テープフィーダにはフィーダ用IF154が、搬送装置には搬送装置用IF186が、それぞれ必要である。また、制御装置による制御時にその制御装置によって各デバイスが認識されるためには、各デバイスの認識情報を発信可能なRFタグが必要であり、このことからも、各デバイスに対応するインタフェイスが必要である。したがって、サードベンダ等の上記特定のメーカ以外のものがメインフレームに取付けられるデバイスを製造する場合には、そのメーカ以外のものは、上記メーカから各デバイスに対応したインタフェイスを購入し、デバイスにそのインタフェイスを装着して製造する必要がある。なお、部品供給装置に関しては、ベース20への取付け易さを考慮して、保持台用IF122だけでなく、1対のガイドレール18も上記メーカから購入し、1対のガイドレール18を部品供給装置に装着しておく必要がある。
【0096】
このように、メーカ以外のものが、各デバイスに対応したインタフェイスを購入し、そのインタフェイスを装着してデバイスを製造すれば、メインフレーム12に応じた設計等をすることなく、メインフレーム12に物理的および電気的に着脱可能なデバイスを製造することが可能となる。また、メインフレーム12および製造作業機を製造販売するメーカとしては、メインフレームに取付けられるデバイスを製造するものを把握しておくことが可能となり、そのデバイスの信頼性を担保するとともに、製造作業機自体の信頼性を担保することが可能となる。
【0097】
ただし、サードベンダ等のなかには、メーカからのインタフェイスの購入を嫌がり、自身でインタフェイスをも製造しようとするものが現れる虞がある。このようなものの出現は、メインフレームに取付けられるデバイスの信頼性を担保できず、製造作業機自体の信頼性をも失墜させる虞がある。そこで、本製造作業機において採用されているインタフェイスでは、各デバイスの認識情報を発信可能なRFタグを穴の内部に樹脂によって封入している。これにより、RFタグをインタフェイスから取り出し難くなり、例えば、悪意のあるサードベンダ等が、無理にRFタグをインタフェイスから取り出そうとすると、RFタグが破損し易くなっている。さらに、RFタグは穴の内部に隙間無く嵌合されていることから、RFタグを破損することなくインタフェイスから取り出すことは、非常に困難となっている。RFタグが無ければ、サードベンダ等はインタフェイスを製造することはできず、メインフレームに取付けられるデバイスの製造を望むものは、上記メーカからのインタフェイスの購入が必須となる。
【0098】
なお、悪意のあるサードベンダ等が、万一、RFタグをインタフェイスから取り出して、そのRFタグを、認識情報を受信可能なアンテナの近傍に取付けた場合には、正規のインタフェイスが装着されていないデバイスでも、製造作業機において、作動することはある。ただし、そのようにRFタグがアンテナ近傍に取付けられた箇所に、正規のインタフェイスが装着されたデバイスを取付けると、本製造作業機で採用しているアンテナはアンチコリジョン対応であるため、アンテナが2種類の認識情報を受信することになる。このような場合には、上述したように、制御装置は、何らかの異常が発生しているとみなし、動作指令の送信を停止するようになっている。このように、万一、RFタグがインタフェイスから取り出された場合であっても、そのRFタグの悪用を阻止することが可能となっている。
【符号の説明】
【0099】
10:製造作業機 12:メインフレーム 22:部品保持ヘッド(デバイス) 24:ディスペンサヘッド(デバイス) 26:ヘッド移動装置(保持体移動装置) 28:スライダ(デバイス保持体) 30:スライダ(デバイス保持体) 50:部品供給装置(デバイス) 56:部品保持ヘッド用インタフェイス(対デバイス固定体)(発信器装備体) 58:背板部(本体) 62:脚部(デバイス側係合部) 64:係合ブロック(デバイス側係合部) 66:支承部(フレーム側係合部) 68:ブロック係合部(フレーム側係合部) 69:保持ヘッド用コネクタ(デバイス側端子) 70:メイン統括制御装置(制御装置) 72:有底穴(穴) 74:RFタグ(発信器) 76:樹脂(熱可塑性樹脂) 78:ICチップ(認識情報記録体) 82:アンテナ 88:ディスペンサヘッド用インタフェイス(対デバイス固定体)(発信器装備体) 90:脚部(デバイス側係合部) 92:係合ブロック(デバイス側係合部) 94:ディスペンサヘッド用コネクタ(デバイス側端子) 96:ICチップ(認識情報記録体) 100:RFタグ(発信器) 102:樹脂(熱可塑性樹脂) 104:有底穴(穴) 106:支承部(フレーム側係合部) 107:ブロック係合部(フレーム側係合部) 108:アンテナ 110:テープフィーダ(デバイス) 112:フィーダ保持台(デバイス) 122:フィーダ保持台用インタフェイス(対デバイス固定体)(発信器装備体) 124:接続面(対フレーム密着面) 126:フィーダ保持台用コネクタ(デバイス側端子) 128:係合ピン(デバイス側係合部) 130:有底穴(穴) 132:RFタグ(発信器) 134:樹脂(熱可塑性樹脂) 136:ICチップ(認識情報記録体) 140:アンテナ 154:テープフィーダ用インタフェイス(対デバイス固定体)(発信器装備体) 156:T溝ガイド部(デバイス側係合部) 160:T溝(フレーム側係合部) 162:テープフィーダ用コネクタ(デバイス側端子) 164:係合ピン(デバイス側係合部) 166:対テープフィーダ用コネクタ(フレーム側端子) 168:係合穴(フレーム側係合部) 170:有底穴(穴) 172:RFタグ(発信器) 174:樹脂(熱可塑性樹脂) 176:ICチップ(認識情報記録体) 180:アンテナ 182:搬送装置(デバイス) 186:搬送装置用インタフェイス(対デバイス固定体)(発信器装備体) 206:有底穴(穴) 208:RFタグ(発信器) 210:樹脂(熱可塑性樹脂) 212:ICチップ(認識情報記録体) 216:アンテナ 310:部品供給装置(デバイス) 320:部品供給装置(デバイス) 330:高周波ウェルダー(デバイス) 332:レーザー発信装置(デバイス) 334:UV照射装置(デバイス) 336:ホットエアー送風装置(デバイス) 338:ねじ締め装置(デバイス) 340:ねじ装着・ねじ締め装置(デバイス) 342:ダブルディスペンサ装置(デバイス) 344:装着装置(デバイス) 346:クリームはんだ印刷装置(デバイス) 350:ダブルコンベア(デバイス)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造作業を行なうために必要なデバイスと、そのデバイスが組み付けられるメインフレームと、前記デバイスを制御する制御装置とを備えた製造作業機に用いられ、前記デバイスに固定される本体を備えた対デバイス固定体であって、
当該対デバイス固定体が、
前記デバイスが前記制御装置によって認識されるための認識情報が記録されている認識情報記録体を備え、その認識情報記録体が、前記本体に装着された対デバイス固定体。
【請求項2】
当該対デバイス固定体が、
前記認識情報記録体に記録されている前記認識情報を発信可能な発信器を備え、その発信器に前記認識情報記録体が内蔵されており、発信器装備体として機能する請求項1に記載の対デバイス固定体。
【請求項3】
当該対デバイス固定体の前記本体が、ある面に開口する穴を有し、
前記発信器が、前記穴の内部に樹脂によって封入された請求項2に記載の対デバイス固定体。
【請求項4】
前記発信器が、RFタグである請求項3に記載の対デバイス固定体。
【請求項5】
前記発信器が、
前記認識情報記録体に記録されている前記認識情報が、前記デバイスを制御するための指令を前記制御装置が送信するためのプロトコルとは異なるプロトコルに従って送信されるように構成された請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の対デバイス固定体。
【請求項6】
当該対デバイス固定体が、
前記制御装置による前記デバイスの制御に際して前記デバイスと前記制御装置とを前記本体を介して電気的に接続するために前記本体に固定され、前記メインフレームに設けられているフレーム側端子に接続されるデバイス側端子を有し、そのデバイス側端子を経由して、前記デバイスを制御するための指令を前記制御装置が送信するように構成された請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の対デバイス固定体。
【請求項7】
当該対デバイス固定体が、
定められた基準位置にそのデバイスを位置させるために前記本体に設けられ、前記メインフレームに設けられたフレーム側係合部に係合するデバイス側係合部を備える請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の対デバイス固定体。
【請求項8】
当該対デバイス固定体の前記本体が、
前記デバイスに取付けられる対デバイス取付面と、前記本体が固定された前記デバイスが前記メインフレームに組み付けられる際にそのメインフレームの一部と密着する対フレーム密着面とを有し、自身を介して前記デバイスが前記メインフレームに組み付けられるように構成された請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の対デバイス固定体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−160557(P2012−160557A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18873(P2011−18873)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】