説明

対物レンズ保持装置、光ピックアップ装置

【課題】内周側対物レンズがターンテーブルと衝突せずに、外周側対物レンズがディスクの最内周にレーザーを集光可能な対物レンズ保持装置、光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】レンズ部Aと縁部Aを有しディスクAにレーザーAを集光する対物レンズAとレンズ部Bと縁部Bを有しディスクBにレーザーBを集光する対物レンズBと孔部A及びBと当接部A及びBを有しディスクA及びBの径方向に対物レンズA及びBを外周側及び内周側として一体保持し移動可能なレンズホルダーとを備えた対物レンズ保持装置であり、縁部Aの縁部Bと面する側の距離Aは面しない側の距離未満か縁部Bの縁部Aと面する側の距離Bは面しない側の距離未満かの少なくとも一方であり対物レンズA及びBの中心軸間距離は距離A及びBに応じてディスクAの最内周にレーザーAを集光する場合縁部Bがターンテーブルと衝突しない距離に設定されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対物レンズ保持装置、光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報記録/再生のための記録媒体として、赤外レーザー光を用いるCD(Compact Disc)や赤色レーザー光を用いるDVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクがある。更に、近年、従来の光ディスクに比して高密度記録が可能な青紫色レーザー光を用いた光ディスク(HD DVD(High Definition DVD)やBlu-ray Disc(登録商標))が提唱されている。そして、これらの光ディスクに対して情報記録/再生を行うべく、例えば、従来の光ディスク用のレーザー光を集光するための対物レンズと、Blu-ray Disc等用の青紫色レーザー光を集光するための対物レンズとを1つのレンズホルダーに搭載した光ピックアップ装置がある。この2つの対物レンズの光ディスクに対する配置としては、例えば図9に示すように、光ディスクの径方向(以下、ラジアル方向という)に配置したもの(a)や、光ディスクの情報記録層に螺旋状に形成されたトラックの接線方向(以下、タンジェンシャル方向という)に配置したもの(b)等がある。
【0003】
ところで、光ディスクに対する情報記録/再生においては、情報記録/再生の対象となるトラック(以下、情報記録/再生対象トラックという)にレーザー光を追従させるべくトラッキング制御が行われる。そして、このトラッキング制御においては、回折格子等によりレーザー光を回折した例えば3つのレーザー光(0次光、±1次回折光)を用いる差動プッシュプル法や3ビーム法等が一般的に採用されている。この3つのレーザー光を用いる差動プッシュプル法等は、情報記録/再生対象トラックの接線方向に対して+1次回折光と−1次回折光とを線対称に照射させることにより、従来のプッシュプル法等よりも優れたトラッキング制御を可能としている。
【0004】
ここで、ラジアル方向に2つの対物レンズ101、102が配置される場合(図9(a))においては、対物レンズ101、102からの0次光及び±1次回折光の出射の何れの場合においても、情報記録/再生対象トラックの接線方向に対して+1次回折光と−1次回折光とを線対称に照射させることが可能となり、差動プッシュプル法等に基づくトラッキング制御を行うことが可能となる。一方、タンジェンシャル方向に対物レンズが配置される場合(図9(b))、対物レンズ103からの0次光及び±1次回折光の出射においては、情報記録/再生対象トラックの接線方向に対して+1次回折光と−1次回折光とを線対称に照射させることが可能となる。しかしながら、対物レンズ104からの0次光及び±1次回折光の出射においては、情報記録/再生対象トラックの接線方向に対して+1次回折光と−1次回折光とが非線対称に照射されることとなる。このため、0次光及び±1次回折光の反射光に応じたトラッキングエラー信号の振幅が変動し、差動プッシュプル法等によるトラッキング制御が出来なくなる可能性があった。そこで、タンジェンシャル方向に対物レンズを配置する場合、差動プッシュプル法等よりもトラッキング制御において劣る可能性のある、0次光の反射光に基づくプッシュプル法等が採用されていた。
【0005】
このように、光ピックアップ装置において、2つの対物レンズを1つのレンズホルダーに搭載するにあっては、差動プッシュプル法等に基づく良好なトラッキング制御を行うことが可能なラジアル方向への配置を選択することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開WO98/02874
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、2つの対物レンズ101、102をラジアル方向へ配置すると、例えば外周側の対物レンズ102が光ディスク107の情報記録層112のトラックにレーザー光を集光する場合、内周側の対物レンズ101のラジアル方向における位置は、タンジェンシャル方向への配置又は1つの対物レンズのみをレンズホルダーに搭載したときよりも内周側に位置する。そして、外周側の対物レンズ102が、例えば、光ディスク107の情報記録層112のリードイン領域(又はPCA(Power Calibration Area)領域)よりも更に内周側の領域のトラック(以下、情報記録層の最内周という)にレーザー光を集光する場合、内周側の対物レンズ101はラジアル方向において最も内周側に位置することとなる。尚、リードイン領域等よりも更に内周側の領域には、例えば光ディスク107がライトスクライブ対応であることを示す情報等が記録されている。そして、リードイン領域(又はPCA領域)よりも更に内周側の領域に移動する必要がない仕様のレンズホルダー105を単に利用したものの場合、当該レンズホルダー105の形状や対物レンズ101、102に対して相応の制限が施されていないため、図10、図11に示すように情報記録層112の最内周に移動した際、例えば、内周側の対物レンズ101の縁部110がターンテーブル109と衝突する可能性があった。図10は、ラジアル方向におけるターンテーブル109の外周の位置をゼロとし、ターンテーブル109と対物レンズ101の縁部110との間の距離をMとした場合の、情報記録112の最内周へのレンズホルダー105の移動を示す図である。尚、+側の距離Mは、縁部110がターンテーブル109の外周と離れているときの距離Mを示し、−側(ゼロを含む、以下同じ)の距離Mは、縁部110がゼロよりも内周側へ移動すると仮定したときの距離Mを示すものである。図11は、図10の平面図である。
【0008】
また、情報記録層112の最内周に移動した際に縁部110がターンテーブル109と衝突しない場合(距離Mが+側)であっても、このときの距離Mが、外周側の対物レンズ102からのレーザー光が情報記録層112の最内周に追従するためのトラッキング制御によって、レンズホルダー105がラジアル方向へ移動するときの移動量よりも小さくなる場合、対物レンズ101の縁部110がターンテーブル109と衝突する可能性があった。そして、仮に、対物レンズ101の縁部110がターンテーブル109と衝突した場合、情報記録層112の最内周にレーザー光を集光することが出来なくなり、当該情報記録層112の最内周に対する情報記録/再生が出来なくなる可能性があった。更に、衝突に起因して、対物レンズ101、102がレンズホルダー105とともに傾いてしまった場合、情報記録層112の全体のトラックにレーザー光を集光することが出来なくなり、光ディスク107に対する情報記録/再生が出来なくなる可能性があった。
【0009】
そこで、この問題を解決するための手段の1つとして、対物レンズ101、102の径を小さく設けることが考えられる。しかしながら、対物レンズ101、102の径を小さく設けるとレーザー光を集光するための有効径が小さくなり、ディスク偏心等に追従するために対物レンズ101、102を搭載したアクチュエータ(不図示)がラジアル方向にシフトすると、光ディスク107に集光するレーザー光の光量低下やレーザー光の反射光に応じた信号(再生信号等)の振幅劣化等を招く可能性があり、結果として新たな問題が生じる可能性があった。
【0010】
そこで、本発明は、ラジアル方向において内周側の対物レンズがターンテーブルと衝突することなく、外周側の対物レンズが光ディスクの情報記録層の最内周にレーザー光を集光することが可能な対物レンズ保持装置、光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための発明は、第1光ディスクがターンテーブルに装着された場合、前記第1光ディスクの情報記録層に第1レーザー光を集光する第1レンズ部と、前記第1レンズ部の前記第1レーザー光が出射される側の周面から突出する第1縁部と、を有する第1対物レンズと、前記第1光ディスクとは異なる情報記録フォーマットの第2光ディスクが前記ターンテーブルに装着された場合、前記第2光ディスクの情報記録層に前記第1レーザー光とは異なる波長の第2レーザー光を集光する第2レンズ部と、前記第2レンズ部の前記第2レーザー光が出射される側の周面から突出する第2縁部と、を有する第2対物レンズと、前記第1レンズ部を落とし込む第1孔部と、前記第1孔部への前記第1レンズ部の落とし込みを制限するべく前記第1縁部と当接する第1当接部と、前記第2レンズ部を落とし込む第2孔部と、前記第2孔部への前記第2レンズ部の落とし込みを制限するべく前記第2縁部と当接する第2当接部と、を有し、前記第1光ディスク及び前記第2光ディスクが前記ターンテーブルに装着された場合の前記第1光ディスク及び前記第2光ディスクの径方向に沿って、前記第1対物レンズ及び前記第2対物レンズを各々前記径方向の外周側及び内周側として隣接させて一体保持し、前記径方向に沿って移動可能であるレンズホルダーと、を備えた対物レンズ保持装置であって、前記第1縁部の前記第2縁部と面する側の前記径方向の第1距離は、前記第1縁部の前記第2縁部とは面しない反対側の前記径方向の距離未満であるか、前記第2縁部の前記第1縁部と面する側の前記径方向の第2距離は、前記第2縁部の前記第1縁部とは面しない反対側の前記径方向の距離未満であるか、の少なくとも一方であり、前記第1対物レンズの中心軸と前記第2対物レンズの中心軸との軸間距離は、前記第1距離及び前記第2距離に応じて、前記第1対物レンズが前記第1光ディスクの情報記録層の最内周に前記第1レーザー光を集光する場合、前記第2縁部が前記ターンテーブルと衝突しない距離に設定される、ことを特徴とする。
【0012】
また、第1光ディスクがターンテーブルに装着された場合、前記第1光ディスクの情報記録層に第1レーザー光を集光する第1レンズ部と、前記第1レンズ部の前記第1レーザー光が出射される側の周面から突出する第1縁部と、を有する第1対物レンズと、前記第1光ディスクとは異なる情報記録フォーマットの第2光ディスクが前記ターンテーブルに装着された場合、前記第2光ディスクの情報記録層に前記第1レーザー光とは異なる波長の第2レーザー光を集光する第2レンズ部と、前記第2レンズ部の前記第2レーザー光が出射される側の周面から突出する第2縁部と、を有する第2対物レンズと、前記第1レンズ部を落とし込む第1孔部と、前記第1孔部への前記第1レンズ部の落とし込みを制限するべく前記第1縁部と当接する第1当接部と、前記第2レンズ部を落とし込む第2孔部と、前記第2孔部への前記第2レンズ部の落とし込みを制限するべく前記第2縁部と当接する第2当接部と、を有し、前記第1光ディスク及び前記第2光ディスクが前記ターンテーブルに装着された場合の前記第1光ディスク及び前記第2光ディスクの径方向に沿って、前記第1対物レンズ及び前記第2対物レンズを各々前記径方向の外周側及び内周側として隣接させて一体保持し、前記径方向に沿って移動可能であるレンズホルダーと、を備えた対物レンズ保持装置であって、前記第1対物レンズと前記第2対物レンズとを一体とするべく、前記第1縁部の前記第2縁部と面する側と、前記第2縁部の前記第1縁部と面する側とは、結合されてなる、ことを特徴とする。
【0013】
また、光ピックアップ装置は、上述の対物レンズ保持装置を備えた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ラジアル方向において内周側の対物レンズがターンテーブルと衝突することなく、外周側の対物レンズが光ディスクの情報記録層の最内周にレーザー光を集光することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る対物レンズ保持装置及び対物レンズ、レンズホルダーを示した図である。
【図2】本発明に係る光ピックアップ装置の全体構成を示す図である。
【図3】本発明に係る対物レンズ保持装置の正面図及び背面図である。
【図4】本発明に係る対物レンズ保持装置の正面図である。
【図5】本発明に係る対物レンズ保持装置のその他の形態を示す図である。
【図6】本発明に係る対物レンズ保持装置のその他の形態を示す図である。
【図7】本発明に係る対物レンズ保持装置のその他の形態を示す図である。
【図8】本発明に係る対物レンズ保持装置のその他の形態を示す図である。
【図9】2つの対物レンズのラジアル方向及びタンジェンシャル方向への配置を示す図である。
【図10】内周側の対物レンズとターンテーブルとの衝突を示す図である。
【図11】内周側の対物レンズとターンテーブルとの衝突を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0017】
=== 光ピックアップ装置の構成例 ===
図2、図3を参照しつつ、本発明に係る対物レンズ保持装置8、光ピックアップ装置1の全体構成について説明する。図2は、本発明に係る光ピックアップ装置1の全体構成の一例を示す図である。図3(a)は、−タンジェンシャル方向からの正面図である。図3(b)は、図3(a)の背面図である。尚、本実施形態におけるラジアル方向とは、HD DVDやBlu−ray Disc(以下、HD DVD50という)、CD52、DVD54がターンテーブル109(図4参照)に装着された場合のラジアル方向を示すものとする。また、タンジェンシャル方向とは、HD DVD50、CD52、DVD54がターンテーブル109に装着された場合の情報記録層51、53、55に形成されたトラックの接線方向を示すものとする。
【0018】
光ピックアップ装置1は、青紫色半導体レーザー2、回折格子3、10、14、ビームスプリッタ4、コリメータレンズ5、16、液晶収差補正素子6、立上ミラー7、17、対物レンズ保持装置8、赤色半導体レーザー9、ダイクロイックプリズム11、赤外半導体レーザー12、カップリングレンズ13、平板ビームスプリッタ15、センサーレンズ18、20、光検出器19、21を有している。尚、本発明の要旨に関係しないため不図示としたが、光ピックアップ装置1は、一般的な光ピックアップ装置が有しているフロントモニタダイオード等を有している。
【0019】
<<HD DVD50用の光学系>>
青紫色半導体レーザー2は、例えばp型半導体とn型半導体とをpn接合したダイオード(不図示)から構成されている。青紫色半導体レーザー2は、不図示のレーザー駆動回路からの制御電圧が印加されることにより、HD DVD50の情報記録層51までの保護層の厚み(HD DVD:0.6mm、Blu-ray Disc:0.75〜0.1mm)に対応する波長(400〜410nm)のInGaN系青紫色レーザー光(2点鎖線)を出射する。
【0020】
回折格子3は、青紫色レーザー光を回折することにより、例えば0次光と±1次回折光とを発生してビームスプリッタ4に出射する。尚、本実施形態においては、特に明示する場合を除いて当該0次光と±1次回折光とを青紫色レーザー光と称して以下説明する。
【0021】
ビームスプリッタ4は、青紫色レーザー光を透過してコリメータレンズ5に出射する。また、ビームスプリッタ4は、コリメータレンズ5からのHD DVD50の情報記録層51を照射した後の青紫色レーザー光の反射光を反射して、センサーレンズ18に出射する。
【0022】
コリメータレンズ5は、青紫色レーザー光を平行光に変換して液晶収差補正素子6に出射する。また、コリメータレンズ5は、液晶収差補正素子6からの青紫色レーザー光の反射光を収束光に変換して、ビームスプリッタ4に出射する。
【0023】
液晶収差補正素子6は、対向するように配置されたガラス基板30A、30Bと、当該ガラス基板30A、30B間に液晶分子が封止された液晶分子層31を有する。この液晶分子層31の液晶分子の向きは、青紫色レーザー光の光軸に対するHD DVD50の傾きによって発生するコマ収差を補正する方向に予め設定されている。そして、この液晶収差補正素子6は、液晶分子層31を介した青紫色レーザー光を、立上ミラー7に出射する。また、液晶収差補正素子6は、立上ミラー7からの青紫色レーザー光の反射光を、コリメータレンズ5に出射する。
【0024】
立上ミラー7は、青紫色レーザー光を反射することにより、対物レンズ保持装置8の第2対物レンズ29に青紫色レーザー光を入射させる。また、立上ミラー7は、対物レンズ保持装置8からの青紫色レーザー光の反射光を反射して、液晶収差補正素子6に出射する。
【0025】
センサーレンズ18は、例えば差動非点収差法に基づくフォーカシング制御を行うべく、ビームスプリッタ4からの青紫色レーザー光の反射光に非点収差を付与して、光検出器19に出射する。
【0026】
光検出器19は、青紫色レーザー光の反射光である0次光の反射光と±1次回折光の反射光とを各々受光するための、例えば4分割された受光領域を有している。光検出器19は、0次光の反射光の光量に応じて光電変換した電気信号を生成して、後段の処理回路(不図示)に出力する。この結果、0次光の反射光に応じた電気信号に基づいて、HD DVD50の情報記録層51からの情報再生が行われることとなる。また、光検出器19は、±1次回折光の反射光の光量に応じて光電変換した電気信号を生成して、0次光の反射光に応じた電気信号とともに、後段のサーボ制御回路(不図示)に出力する。この結果、0次光と±1次回折光の反射光に応じた電気信号に基づいてトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号等が生成され、前述の磁気部材を介して、差動プッシュプル法によるトラッキング制御、差動非点収差法によるフォーカシング制御等が施されることとなる。
【0027】
<<CD52/DVD54用の光学系>>
赤色半導体レーザー9は、例えばp型半導体とn型半導体とをpn接合したダイオード(不図示)から構成されている。そして、赤色半導体レーザー9は、不図示のレーザー駆動回路からの制御電圧が印加されることにより、DVD54の情報記録層55までの保護層の厚み(0.6mm)に対応する波長(650〜660nm)のAlGaInP系赤色レーザー光(1点鎖線)を出射する。
【0028】
回折格子10は、赤色レーザー光を回折することにより、例えば0次光と±1次回折光とを発生してダイクロイックプリズム11に出射する。尚、本実施形態においては、特に明示する場合を除いて当該0次光と±1次回折光とを赤色レーザー光と称して以下説明する。
【0029】
赤外半導体レーザー12は、例えばp型半導体とn型半導体とをpn接合したダイオード(不図示)から構成されている。そして、赤外半導体レーザー12は、不図示のレーザー駆動回路からの制御電圧が印加されることにより、CD52の情報記録層53までの保護層の厚み(1.2mm)に対応する波長(780〜790nm)のAlGaAs系赤外レーザー光(1点鎖線)を出射する。
【0030】
カップリングレンズ13は、拡散光である赤外レーザー光の広がり角を変換して回折格子14に出射する。
回折格子14は、赤外レーザー光を回折することにより、例えば0次光と±1次回折光とを発生してダイクロイックプリズム11に出射する。尚、本実施形態においては、特に明示する場合を除いて当該0次光と±1次回折光とを赤外レーザー光と称して以下説明する。
ダイクロイックプリズム11は、赤色レーザー光を透過して平板ビームスプリッタ15に出射する。また、ダイクロイックプリズム11は、赤外レーザー光を反射して平板ビームスプリッタ15に出射する。
【0031】
平板ビームスプリッタ15は、赤色レーザー光及び赤外レーザー光を反射して、コリメータレンズ16に出射する。また、平板ビームスプリッタ15は、コリメータレンズ16からのDVD54の情報記録層55を照射した後の赤色レーザー光の反射光、及びCD52の情報記録層53を照射した後の赤外レーザー光の反射光を透過して、センサーレンズ20に出射する。
【0032】
コリメータレンズ16は、赤色レーザー光及び赤外レーザー光を平行光に変換して立上ミラー17に出射する。また、コリメータレンズ16は、立上ミラー17からの赤色レーザー光の反射光及び赤外レーザー光の反射光を収束光に変換して、平板ビームスプリッタ15に出射する。
【0033】
立上ミラー17は、赤色レーザー光及び赤外レーザー光を反射することにより、対物レンズ保持装置8の第1対物レンズ28に赤色レーザー光及び赤外レーザー光を入射させる。また、立上ミラー17は、対物レンズ保持装置8からの赤色レーザー光の反射光及び赤外レーザー光の反射光を反射して、コリメータレンズ16に出射する。
【0034】
センサーレンズ20は、例えば差動非点収差法に基づくフォーカシング制御を行うべく、平板ビームスプリッタ15からの赤色レーザー光の反射光及び赤外レーザー光の反射光に非点収差を付与して、光検出器21に出射する。
【0035】
光検出器21は、赤色レーザー光の反射光及び赤外レーザー光の反射光である0次光の反射光と±1次回折光の反射光とを各々受光するための、例えば4分割された受光領域を有している。光検出器21は、0次光の反射光の光量に応じて光電変換した電気信号を生成して、後段の処理回路(不図示)に出力する。この結果、0次光(赤色レーザー光)の反射光に応じた電気信号に基づいて、DVD54の情報記録層55からの情報再生が行われることとなる。また、0次光(赤外レーザー光)の反射光に応じた電気信号に基づいて、CD52の情報記録層53からの情報再生が行われることとなる。更に、光検出器21は、±1次回折光の反射光の光量に応じて光電変換した電気信号を生成して、0次光の反射光に応じた電気信号とともに、後段のサーボ制御回路(不図示)に出力する。この結果、0次光と±1次回折光の反射光に応じた電気信号に基づいてトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号等が生成され、前述の磁気部材を介して、差動プッシュプル法によるトラッキング制御、差動非点収差法によるフォーカシング制御等が施されることとなる。
【0036】
<<対物レンズ保持装置8>>
対物レンズ保持装置8は、第1対物レンズ28、第2対物レンズ29、レンズホルダー25を有する。尚、本発明に係る対物レンズ保持装置8の特徴については、後段において詳述する。レンズホルダー25は、不図示のトラッキング制御用コイル、フォーカシング制御用コイル等を有する。また、レンズホルダー25は、アクチュエータ基板(不図示)に一端が固着されたサスペンションワイヤー26A乃至26Fの他端を保持するワイヤー保持部材27が、一体成型されている。そして、レンズホルダー25は、サスペンションワイヤー26A乃至26Fの弾性力により、アクチュエータ基板上に弾性保持されている。更に、レンズホルダー25は、アクチュエータ基板上の磁気部材(マグネット、ヨーク等。不図示)とトラッキング制御用コイル、フォーカシング制御用コイルとの磁気作用により、ラジアル方向への移動(トラッキング制御)、レーザー光の光軸方向への移動(フォーカシング制御)等が施される。第1対物レンズ28は、DVD54の保護層の厚みに対応した開口数(0.6〜0.65)を有し、立上ミラー17からの赤色レーザー光をDVD54の情報記録層55に集光させる。また、第1対物レンズ28は、立上ミラー17からの赤外レーザー光をCD52の情報記録層53に集光させる。更に、第1対物レンズ28は、DVD54の情報記録層55を照射した後の赤色レーザー光の反射光を平行光に変換して、立上ミラー17に出射する。また、第1対物レンズ28は、CD52の情報記録層53を照射した後の赤外レーザー光の反射光を平行光に変換して、立上ミラー17に出射する。第2対物レンズ29は、HD DVD50の保護層の厚みに対応した開口数(0.65)を有し、立上ミラー7からの青紫色レーザー光をHD DVD50の情報記録層51に集光させる。また、第2対物レンズ29は、HD DVD50の情報記録層51を照射した後の青紫色レーザー光の反射光を平行光に変換して、立上ミラー7に出射する。
【0037】
尚、本発明の要旨に関係ないため説明は簡略化するが、光ピックアップ装置1は、当該光ピックアップ装置1が組み込まれる光ディスク装置(不図示)を構成するステッピングモータ(不図示)の回転に応じた駆動力により、HD DVD50、CD52、DVD54のラジアル方向を例えば内周側(+)から外周側(−)へ移動することとなる(スレッド制御)。
【0038】
===対物レンズ保持装置8の詳細===
以下、図10を適宜参照しつつ、図1、図4を用いて本発明に係る対物レンズ保持装置8について詳述する。図1(a)は、図10に示す従来の対物レンズ101、102及びレンズホルダー105を光軸方向から示した正面図である。図1(b)は、対物レンズ保持装置8を光軸方向から示した正面図である。図4は、+タンジェンシャル方向からの正面図である。
【0039】
先ず、第1対物レンズ28、第2対物レンズ29について詳述する。第1対物レンズ28は、前述したように赤色レーザー光及び赤外レーザー光を集光し、又は赤色レーザー光の反射光及び赤外レーザー光の反射光を平行光に変換するための第1レンズ部33と、第1縁部34(図4・斜線部参照)とを有している。第1縁部34は、第1レンズ部33の赤色レーザー光及び赤外レーザー光がDVD54及びCD52に出射される側の面(出射面)を囲む周面からラジアル方向に突出している。第2対物レンズ29は、前述したように青紫色レーザー光を集光し、又は青紫色レーザー光の反射光を平行光に変換するための第2レンズ部35と、第2縁部36とを有している。第2縁部36は、第2レンズ部35の青紫色レーザー光がHD DVD50に出射される側の面(出射面)を囲む周面からラジアル方向に突出している。尚、図1、図4に示すように、第1縁部34の第2縁部36と面する側と、第2縁部36の第1縁部34と面する側とは結合されている。この結果、第1対物レンズ28及び第2対物レンズ29は、一体化されている。
【0040】
そして、この第1対物レンズ28の中心軸と第2対物レンズ29の中心軸とのラジアル方向における軸間距離Xは、図4に示すように、外周側の第1対物レンズ28が情報記録層53(55)の最内周にレーザー光を集光する場合、内周側の第2対物レンズ29の第2縁部36がターンテーブル109と衝突することを回避するべく、以下に説明する距離に設定される。尚、本実施形態において、情報記録層53(55)の最内周とは、情報記録/再生のためのアドレス情報等が記録されているリードイン領域の最内周を示し、又は、当該光ディスクが追記又は書き換え可能な光ディスクである場合においてはリードイン領域よりも更に内周側のPCA領域の最内周を示すものとする。或いは、光ディスクがライトスクライブ対応である場合、PCA領域よりも更に内周側のLight Scribe対応を示す情報が記録されている領域の最内周を示すものとする。つまり、本実施形態における情報記録層の最内周とは、光ディスクに対して情報記録/再生(描画等も含む)をするためにレーザー光が照射される最も内周側のトラックを示すものとする。
【0041】
以下、図4を適宜参照して、図1(a)と図1(b)とを比較しつつ、第1対物レンズ28の中心軸と第2対物レンズ29の中心軸との軸間距離Xの設定について説明する。尚、以下において説明する距離L1乃至L7は、ラジアル方向における距離を示すものである。
【0042】
第1縁部34の第2縁部36と結合されている側の距離L5(第1距離)は、対物レンズ102の縁部111の対物レンズ101の縁部110と面する側の距離L3+L5よりもL3短い距離である。つまり、距離L5は、第1縁部34の第2縁部36と結合されていない反対側の距離L7よりもL3短い距離である。
【0043】
また、第2縁部36の第1縁部34と結合されている側の距離L5(第2距離)は、対物レンズ101の縁部110の対物レンズ102の縁部111と面する側の距離L2+L5よりもL2短い距離である。つまり、距離L5は、対物レンズ101の縁部110の対物レンズ102の縁部111と面していない反対側の距離L4+L6よりもL2短い長さである。
【0044】
また、第1縁部34の第2縁部36と結合されている側の距離L5と、第2縁部36の第1縁部34と結合されている側の距離L5とは、各々共通している。
また、第2縁部36の第1縁部34と結合されていない反対側の距離L6は、対物レンズ101の縁部110の対物レンズ102の縁部111と面していない反対側の距離L4+L6よりもL4短い距離である。
更に、対物レンズ101の縁部110と対物レンズ102の縁部111とが面している間の距離L1は、第1縁部34と第2縁部36との結合によりゼロである。
【0045】
この結果、ラジアル方向における第1縁部34と第2縁部36との距離の和は、対物レンズ101の縁部110と対物レンズ102の縁部111との距離に和に対して、L2+L3+L4+L5短い距離となる。更に、距離L1はゼロである。故に、第1対物レンズ28の中心軸と第2対物レンズ29の中心軸との軸間距離Xは、対物レンズ101の中心軸と対物レンズ102の中心軸との軸間距離X´よりも、L1+L2+L3+L4+L5短い距離で設定されることとなる。つまり、第1対物レンズ28の中心軸と第2対物レンズ29の中心軸との軸間距離Xは、ラジアル方向における第1縁部34と第2縁部36との距離の和に応じて設定されることとなる。そして、例えば、レンズホルダー25に保持されるときのラジアル方向における第1対物レンズ28の位置を、対物レンズ102と同じ位置に設定することにより、第2縁部36の第1縁部34と結合されていない反対側の位置を、対物レンズ101の縁部110の対物レンズ102の縁部111と面していない反対側の位置よりもL1+L2+L3+L4+L5短くすることが可能となる。この結果、L1+L2+L3+L4+L5が、図10に示す対物レンズ101の縁部110とターンテーブル109との間の−側の距離Mよりも大きい場合、第2縁部36とターンテーブル109との間の距離M(図4参照)を+側とすることが可能となる。つまり、第2縁部36がターンテーブル109と衝突しないこととなる。
【0046】
次に、レンズホルダー25について詳述する。レンズホルダー25は、第1孔部37、第1当接部38、第2孔部39、第2当接部40を有する。尚、第1縁部34と第2縁部36とが面する側の第1当接部38と第2当接部40とは結合されている。第1孔部37には、第1レンズ部33が落とし込まれる。そして、第1当接部38と第1縁部34とが当接することにより、第1孔部37への第1レンズ部33の落とし込みが所定位置で制限されることとなる。尚、第1当接部38と第1縁部34との当接は、接着剤の塗布等により固着させることが可能である。第2孔部39には、第2レンズ部35が落とし込まれる。そして、第2当接部40と第2縁部36とが当接することにより、第2孔部39への第2レンズ部35の落とし込みが所定位置で制限されることとなる。尚、第2当接部40と第2縁部36との当接も同様に、接着剤の塗布等により固着させることが可能である。この結果、レンズホルダー25は、第1対物レンズ28及び第2対物レンズ29を、隣接させて一体保持することとなる。更に、レンズホルダー25は、ラジアル方向に沿って、第1対物レンズ28をラジアル方向の外周側、第2対物レンズ29を内周側として保持するように光ピックアップ装置1に組み込まれることとなる。この結果、立上ミラー17からの赤色レーザー光及び赤外レーザー光が第1孔部37を透過して第1対物レンズ28に入射し、第1対物レンズ28からの赤色レーザー光及び赤外レーザー光の反射光が第1孔部37を透過して立上ミラー17に出射することとなる。また、立上ミラー7からの青紫色レーザー光が第2孔部39を透過して第2対物レンズ29に入射し、第2対物レンズ29からの青紫色レーザー光の反射光が第2孔部39を透過して立上ミラー7に出射することとなる。
【0047】
そして、このレンズホルダー25のラジアル方向における距離Yは、外周側の第1対物レンズ28が情報記録層53(55)の最内周にレーザー光を集光する場合、当該レンズホルダー25がターンテーブル109と衝突することを確実に回避するべく、以下に説明する距離に設定される。
【0048】
以下、図4を適宜参照して、図1(a)と図1(b)とを比較しつつ説明する。前述したように、ラジアル方向における第1縁部34と第2縁部36との距離の和は、対物レンズ101の縁部110と対物レンズ102の縁部111との距離の和に対して、L2+L3+L4+L5短い距離となる。更に、距離L1はゼロである。そして、レンズホルダー25のラジアル方向における距離Yは、レンズホルダー105のラジアル方向の距離Y´よりも、L1+L2+L3+L4+L5短い距離で設定されることとなる。つまり、レンズホルダー25のラジアル方向における距離Yは、ラジアル方向における第1縁部34と第2縁部36との距離の和に応じて設定されることとなる。そして、例えば、光ピックアップ装置1に組み込まれるときの、ラジアル方向におけるレンズホルダー25のターンテーブル109と面しない反対側の位置を、レンズホルダー105と同じ位置に設定することにより、レンズホルダー25のターンテーブル109と面する側の位置を、レンズホルダー105のターンテーブル109と面する側の位置よりもL1+L2+L3+L4+L5短くすることが可能となる。この結果、L1+L2+L3+L4+L5が、図10に示すレンズホルダー105とターンテーブル109との間の−側の距離Nよりも大きい場合、レンズホルダー25とターンテーブル109との距離M(図4参照)を+側とすることが可能となる。つまり、レーザー光の光軸方向におけるCD52(DVD54)とレンズホルダー25との距離が、CD52(DVD54)とターンテーブル109のCD52(DVD54)が装着されていない側の面との距離よりも短く設定される場合であって、レンズホルダー25とターンテーブル109とのラジアル方向における距離Nが−側となる場合であっても、当該レンズホルダー25がターンテーブル109と衝突しないこととなる。或いは、距離Nが−側となる場合であって(図10)、レーザー光の光軸方向におけるレンズホルダー25とターンテーブル109との距離が、フォーカシング制御による当該レンズホルダー25の移動距離未満となる場合、レンズホルダー25がターンテーブル109と衝突しないこととなる。
【0049】
尚、上述した実施形態によれば、ラジアル方向における第2縁部36とターンテーブル109との間の距離Mを+側(及び(又は)距離Nを+側)とするべく、第2縁部36の第1縁部34と結合されていない反対側の距離L6を、対物レンズ101の縁部110の対物レンズ102の縁部111と面していない反対側の距離L4+L6よりもL4短い距離としているが、これに限るものではない。例えば、L1+L2+L3+L5が距離M(及び(又は)距離N)を+側とすることを満たす場合、図5に示すように、第2縁部36の第1縁部34と結合されていない反対側の距離を、対物レンズ101の縁部110の対物レンズ102の縁部111と面していない反対側の距離L4+L6と同じ距離としても良い。この結果、第1縁部34と結合されていない反対側の第2縁部36と第2当接部40との当接をより確実なものとすることが可能となり、レンズホルダー25が第2対物レンズ29をより安定して保持することが可能となる。
【0050】
また、ラジアル方向における第2縁部36とターンテーブル109との間の距離Mを+側(及び(又は)距離Nを+側)とするべく、第1縁部34の第2縁部36と結合されている側の距離L5(又は第2縁部36の第1縁部34と結合されている側の距離L5)を設けているが、これに限るものではない。例えば、L1+L2+L3+L4+L5が距離M(及び(又は)距離N)を+側とすることを満たさない場合、第1縁部34の第2縁部36と結合されている側の距離L5(又は第2縁部36の第1縁部34と結合されている側の距離L5)をゼロとするように設けても良い。この結果、ラジアル方向における対物レンズ101の縁部110と対物レンズ102の縁部111との距離の和に対して、第1縁部34と第2縁部36との距離の和をより短くすることが可能となる。そして、L1+L2+L3+L4+2・L5が、図10に示す対物レンズ101の縁部110とターンテーブル109との間の−側の距離Mよりも大きい場合、距離Mを+側とすることが可能となる。
【0051】
上述した実施形態によれば、第1縁部34の第2縁部36と面する側と、第2縁部36の第1縁部34と面する側とを結合させることにより、第1対物レンズ28と第2対物レンズ29とを一体とすることが可能となる。この結果、第1対物レンズ28の中心軸と第2対物レンズ29の中心軸との軸間距離Xを、対物レンズ101の中心軸と対物レンズ102の中心軸との軸間距離X´よりも短くすることも可能となる。また、第1対物レンズ28と第2対物レンズ29とが一体ではない場合、例えば、経年劣化や衝撃等によって、HDHD DVD50、CD52、DVD54に対して第1対物レンズ28、第2対物レンズ29がそれぞれ別個の方向へ傾く可能性がある。この場合、第1対物レンズ28の傾きに応じた補正と、第2対物レンズ29の傾きに応じた補正とを、それぞれの傾きに応じて行う必要がある。しかしながら、第1対物レンズ28と第2対物レンズ29とを一体とすることにより、当該第1対物レンズ28及び第2対物レンズ29の傾きを同一とすることが可能となる。そのため、例えば、HD DVD50、CD52、DVD54からの情報記録/再生の開始時における傾きに対する補正を同一とすることが可能となり、当該補正に係る制御を容易なものとすることが可能となる。また、第1レンズ部33及び第2レンズ部35の径を小さくすることを要しないため、赤色レーザー光(赤外レーザー光)の光量が減ずることなく、良好な情報記録/再生を行うことが可能となる。
【0052】
更に、軸間距離Xを、第1縁部34の第2縁部36と面する側のラジアル方向の距離L5と、第2縁部36の第1縁部34と面する側のラジアル方向の距離L5とに応じて、第1対物レンズ28がCD52(DVD54)の情報記録層53(55)の最内周に赤色レーザー光(赤外レーザー光)を集光する場合、第2縁部36がターンテーブル109と衝突しない距離に設定することが可能となる。この結果、CD52(DVD54)の情報記録層53(55)の最内周に対する情報記録/再生を良好に行うことが可能となる。
【0053】
更に、レンズホルダー25のラジアル方向の距離Yを、第1縁部34の第2縁部36と面する側のラジアル方向の距離L5と、第2縁部36の第1縁部34と面する側のラジアル方向の距離L5とに応じて、第1対物レンズ28がCD52(DVD54)の情報記録層53(55)の最内周に赤色レーザー光(赤外レーザー光)を集光する場合、レンズホルダー25がターンテーブル109と衝突しない距離に設定することが可能となる。この結果、CD52(DVD54)の情報記録層53(55)の最内周に対する情報記録/再生を良好に行うことが可能となる。
【0054】
また、対物レンズ保持装置8を備えた光ピックアップ装置1を提供することが可能となる。つまり、軸間距離Xが、第1縁部34の第2縁部36と面する側のラジアル方向の距離L5と、第2縁部36の第1縁部34と面する側のラジアル方向の距離L5とに応じて、第1対物レンズ28がCD52(DVD54)の情報記録層53(55)の最内周に赤色レーザー光(赤外レーザー光)を集光する場合、第2縁部36がターンテーブル109と衝突しない距離に設定された光ピックアップ装置1を提供することが可能となる。
【0055】
===その他の実施形態===
以上、本発明に係る対物レンズ保持装置について説明したが、上記の説明は、本発明の理解を容易とするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得る。
【0056】
<<対物レンズ保持装置のその他の形態>>
上述した実施形態によれば、ラジアル方向における第2縁部36とターンテーブル109との間の距離Mを+側(及び(又は)距離Nを+側)とするべく、第1縁部34の第2縁部36と面する側と、第2縁部36の第1縁部34と面する側とを結合させることにより、第1対物レンズ28及び第2対物レンズ29とを一体化させているが、これに限るものではない。
【0057】
例えば、図6に示すように、第1縁部34の第2縁部36と面する側と、第2縁部36の第1縁部34と面する側とを結合させずに、第1対物レンズ28と第2対物レンズ29とを別体とすることも可能である。そして、第1縁部34の第2縁部36と面する側は、タンジェンシャル方向(ラジアル方向と直交する方向)に切り欠かれた形状である。また、第2縁部36の第1縁部34と面する側も同様に、タンジェンシャル方向(ラジアル方向と直交する方向と同一方向)に切り欠かれた形状である。この第1縁部34の第2縁部36と面する側の距離(第1距離)と、第2縁部36の第1縁部34と面する側の距離(第2距離)と、当該第1縁部34と第2縁部36との間の距離との和は、図1に示す距離L5であり、また、第2縁部36の第1縁部34と面しない反対側の距離は、図1に示す距離L6である。このように、第1対物レンズ28と第2対物レンズ29とを別体に設けることによっても、当該第1対物レンズ28の中心軸と第2対物レンズ29の中心軸との軸間距離Xを、L1+L2+L3+L4+L5短くすることが可能となる。また、例えば、第1対物レンズ28のみに不良品が生じた場合や、当該第1対物レンズ28のみを交換、改良したい場合、第2対物レンズ29をレンズホルダー25から外すことなく処理を行うことが可能なり、コストダウンや煩雑さを防止することが可能なる。尚、第1縁部34の第2縁部36と面する側は、タンジェンシャル方向に切り欠かれた形状とし、第2縁部36の第1縁部34と面する側も同様に、タンジェンシャル方向に切り欠かれた形状としているが、これに限るものではない。例えば、図7に示すように、第1縁部34の第2縁部36と面する側は、切り欠き41が第1レンズ部33にかからない範囲内で、タンジェンシャル方向に対して所定角度θとなる方向に切り欠かれた形状とし、第2縁部36の第1縁部34と面する側は、切り欠き42が第2レンズ部35にかからない範囲内で、タンジェンシャル方向に対して所定角度となる方向と同一方向に切り欠かれた形状としても良い。つまり、第1縁部34の第2縁部36と面する側と、第2縁部36の第1縁部34と面する側とが同一方向に切り欠かれた形状とすることによっても、第1対物レンズ28と第2対物レンズ29との軸間距離Xを、第2縁部36がターンテーブル109と衝突しない距離に設定することが可能となる。
【0058】
また、第1縁部34の切り欠き41と、第2縁部36の切り欠き42は、直線状に限るものではなく、当該第1縁部34と第2縁部36との間が一定間隔を保つことが可能であれば三角波状や波状等でも良い。尚、図5において前述した第1対物レンズ28及び第2対物レンズ29を、図8に示すように別体とすることも可能である。
【0059】
尚、第1縁部34の第2縁部36と面する側とは切り欠かれた部分(切り欠き42側)のことであり、第1縁部34の第2縁部36とは面しない反対側とは当該切り欠かれた部分と同じラジアル方向における(図8、破線間)切り欠かれていない部分(斜線)のことである。そして、図8の破線間における第1縁部34の切り欠かれた部分のラジアル方向の距離は、当該破線間における第1縁部34の切り欠かれていない部分の当該ラジアル方向の距離未満である。また、同様に、第2縁部36の第1縁部34と面する側とは切り欠かれた部分(切り欠き41側)のことであり、第2縁部36の第1縁部34とは面しない反対側とは当該切り欠かれた部分と同じラジアル方向(破線間)における切り欠かれていない部分(斜線)のことである。そして、図8の破線間における第2縁部36の切り欠かれた部分のラジアル方向の距離は、当該破線間における第2縁部36の切り欠かれていない部分の当該ラジアル方向の距離未満である。
【0060】
上述のその他の実施形態によれば、第1対物レンズ28の中心軸と第2対物レンズ29の中心軸との軸間距離Xを、第1縁部34の第2縁部36と面する側のラジアル方向の距離L5と、第2縁部36の第1縁部34と面する側のラジアル方向の距離L5とに応じて、第1対物レンズ28がCD52(DVD54)の情報記録層53(55)の最内周に赤色レーザー光(赤外レーザー光)を集光する場合、第2縁部36がターンテーブル109と衝突しない距離に設定することが可能となる。この結果、CD52(DVD54)の情報記録層53(55)の最内周に対する情報記録/再生を良好に行うことが可能となる。
【0061】
更に、第1縁部34の第2縁部36と面する側を、ラジアル方向と交差する方向に切り欠かれた形状とし、第2縁部36の第1縁部34と面する側を、ラジアル方向と交差する方向と同一方向に切り欠かれた形状とすることが可能となる。この結果、第1縁部34の第2縁部36と面する側と、第2縁部36の第1縁部34と面する側との間の距離を効果的に短くすることが可能となり、軸間距離Xを第2縁部36がターンテーブル109と衝突しない距離に設定することが可能となる。
【0062】
更に、第1縁部34の第2縁部36と面する側を、ラジアル方向と直交する方向に切り欠かれた形状とし、第2縁部36の第1縁部34と面する側を、ラジアル方向と直交する方向と同一方向に切り欠かれた形状とすることが可能となる。この結果、第1縁部34の第2縁部36と面する側と、第2縁部36の第1縁部34と面する側との間の距離を、最小値にまで短くすることが可能となる。
【0063】
更に、レンズホルダー25のラジアル方向の距離Yを、第1縁部34の第2縁部36と面する側のラジアル方向の距離L5と、第2縁部36の第1縁部34と面する側のラジアル方向の距離L5とに応じて、第1対物レンズ28がCD52(DVD54)の情報記録層53(55)の最内周に赤色レーザー光(赤外レーザー光)を集光する場合、レンズホルダー25がターンテーブル109と衝突しない距離に設定することが可能となる。この結果、CD52(DVD54)の情報記録層53(55)の最内周に対する情報記録/再生を良好に行うことが可能となる。
【0064】
また、対物レンズ保持装置8を備えた光ピックアップ装置1を提供することが可能となる。つまり、軸間距離Xが、第1縁部34の第2縁部36と面する側のラジアル方向の距離L5と、第2縁部36の第1縁部34と面する側のラジアル方向の距離L5とに応じて、第1対物レンズ28がCD52(DVD54)の情報記録層53(55)の最内周に赤色レーザー光(赤外レーザー光)を集光する場合、第2縁部36がターンテーブル109と衝突しない距離に設定された光ピックアップ装置1を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0065】
1 光ピックアップ装置 2 青紫色半導体レーザー
3 回折格子 4 ビームスプリッタ
5 コリメータレンズ 6 液晶収差補正素子
7、17 立上ミラー 8 対物レンズ保持装置
9 赤色半導体レーザー 10、14 回折格子
11 ダイクロイックプリズム 12 赤外半導体レーザー
13 カップリングレンズ 15 平板ビームスプリッタ
16 コリメータレンズ 18、20 センサーレンズ
19、21 光検出器 22 凹形レンズ
23 凸形レンズ 25、105、106 レンズホルダー
26 サスペンションワイヤー 27 ワイヤー保持部材
28 第1対物レンズ 29 第2対物レンズ
30 ガラス基板 31 液晶分子層
33 第1レンズ部 34 第1縁部
35 第2レンズ部 36 第2縁部
37 第1孔部 38 第1当接部
39 第2孔部 40 第2当接部
41、42 切り欠き 50 HD DVD
51、53、55 情報記録層 52 CD
54 DVD 101、102、103、104 対物レンズ
107 光ディスク 108 スピンドルモータ
109 ターンテーブル 110、111 縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光ディスクがターンテーブルに装着された場合、前記第1光ディスクの情報記録層に第1レーザー光を集光する第1レンズ部と、前記第1レンズ部の前記第1レーザー光が出射される側の周面から突出する第1縁部と、を有する第1対物レンズと、
前記第1光ディスクとは異なる情報記録フォーマットの第2光ディスクが前記ターンテーブルに装着された場合、前記第2光ディスクの情報記録層に前記第1レーザー光とは異なる波長の第2レーザー光を集光する第2レンズ部と、前記第2レンズ部の前記第2レーザー光が出射される側の周面から突出する第2縁部と、を有する第2対物レンズと、
前記第1レンズ部を落とし込む第1孔部と、前記第1孔部への前記第1レンズ部の落とし込みを制限するべく前記第1縁部と当接する第1当接部と、前記第2レンズ部を落とし込む第2孔部と、前記第2孔部への前記第2レンズ部の落とし込みを制限するべく前記第2縁部と当接する第2当接部と、を有し、前記第1光ディスク及び前記第2光ディスクが前記ターンテーブルに装着された場合の前記第1光ディスク及び前記第2光ディスクの径方向に沿って、前記第1対物レンズ及び前記第2対物レンズを各々前記径方向の外周側及び内周側として隣接させて一体保持し、前記径方向に沿って移動可能であるレンズホルダーと、
を備えた対物レンズ保持装置であって、
前記第1縁部の前記第2縁部と面する側の前記径方向の第1距離は、前記第1縁部の前記第2縁部とは面しない反対側の前記径方向の距離未満であるか、前記第2縁部の前記第1縁部と面する側の前記径方向の第2距離は、前記第2縁部の前記第1縁部とは面しない反対側の前記径方向の距離未満であるか、の少なくとも一方であり、
前記第1対物レンズの中心軸と前記第2対物レンズの中心軸との軸間距離は、前記第1距離及び前記第2距離に応じて、前記第1対物レンズが前記第1光ディスクの情報記録層の最内周に前記第1レーザー光を集光する場合、前記第2縁部が前記ターンテーブルと衝突しない距離に設定される、
ことを特徴とする対物レンズ保持装置。
【請求項2】
前記第1縁部の前記第2縁部と面する側は、前記径方向と交差する方向に切り欠かれた形状であって、
前記第2縁部の前記第1縁部と面する側は、前記径方向と交差する前記方向と同一方向に切り欠かれた形状である、
ことを特徴とする請求項1に記載の対物レンズ保持装置。
【請求項3】
前記第1縁部の前記第2縁部と面する側は、前記径方向と直交する方向に切り欠かれた形状であって、
前記第2縁部の前記第1縁部と面する側は、前記径方向と直交する方向と同一方向に切り欠かれた形状である、
ことを特徴とする請求項2に記載の対物レンズ保持装置。
【請求項4】
前記レンズホルダーの前記径方向の距離は、
前記第1距離及び前記第2距離に応じて、前記第1対物レンズが前記第1光ディスクの情報記録層の最内周に前記第1レーザー光を集光する場合、前記レンズホルダーが前記ターンテーブルと衝突しない距離に設定される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の対物レンズ保持装置。
【請求項5】
第1光ディスクがターンテーブルに装着された場合、前記第1光ディスクの情報記録層に第1レーザー光を集光する第1レンズ部と、前記第1レンズ部の前記第1レーザー光が出射される側の周面から突出する第1縁部と、を有する第1対物レンズと、
前記第1光ディスクとは異なる情報記録フォーマットの第2光ディスクが前記ターンテーブルに装着された場合、前記第2光ディスクの情報記録層に前記第1レーザー光とは異なる波長の第2レーザー光を集光する第2レンズ部と、前記第2レンズ部の前記第2レーザー光が出射される側の周面から突出する第2縁部と、を有する第2対物レンズと、
前記第1レンズ部を落とし込む第1孔部と、前記第1孔部への前記第1レンズ部の落とし込みを制限するべく前記第1縁部と当接する第1当接部と、前記第2レンズ部を落とし込む第2孔部と、前記第2孔部への前記第2レンズ部の落とし込みを制限するべく前記第2縁部と当接する第2当接部と、を有し、前記第1光ディスク及び前記第2光ディスクが前記ターンテーブルに装着された場合の前記第1光ディスク及び前記第2光ディスクの径方向に沿って、前記第1対物レンズ及び前記第2対物レンズを各々前記径方向の外周側及び内周側として隣接させて一体保持し、前記径方向に沿って移動可能であるレンズホルダーと、
を備えた対物レンズ保持装置であって、
前記第1対物レンズと前記第2対物レンズとを一体とするべく、
前記第1縁部の前記第2縁部と面する側と、前記第2縁部の前記第1縁部と面する側とは、結合されてなる、
ことを特徴とする対物レンズ保持装置。
【請求項6】
前記第1縁部の前記第2縁部と面する側の前記径方向の第1距離は、前記第1縁部の前記第2縁部とは面しない反対側の前記径方向の距離未満であるか、前記第2縁部の前記第1縁部と面する側の前記径方向の第2距離は、前記第2縁部の前記第1縁部とは面しない反対側の前記径方向の距離未満であるか、の少なくとも一方であり、
前記第1対物レンズの中心軸と前記第2対物レンズの中心軸との軸間距離は、前記第1距離及び前記第2距離に応じて、前記第1対物レンズが前記第1光ディスクの情報記録層の最内周に前記第1レーザー光を集光する場合、前記第2縁部が前記ターンテーブルと衝突しない距離に設定される、
ことを特徴とする請求項5に記載の対物レンズ保持装置。
【請求項7】
前記レンズホルダーの前記径方向の距離は、
前記第1距離及び前記第2距離に応じて、前記第1対物レンズが前記第1光ディスクの情報記録層の最内周に前記第1レーザー光を集光する場合、前記レンズホルダーが前記ターンテーブルと衝突しない距離に設定される、
ことを特徴とする請求項6に記載の対物レンズ保持装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れかに記載の対物レンズ保持装置を備えた、
ことを特徴とする光ピックアップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−175727(P2011−175727A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21237(P2011−21237)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【分割の表示】特願2006−103458(P2006−103458)の分割
【原出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(504464070)三洋オプテックデザイン株式会社 (315)
【Fターム(参考)】