説明

対男性好感度向上剤

【課題】職場等の男女が共同で作業する環境における良好な人間関係の形成に寄与することができ、また、男性の基本的願望も満たすことのできる対男性好感度向上剤を提供する。
【解決手段】柑橘系、ハーブ系、グリーン系、およびムスク系の少なくとも1種の香料成分と4,16−アンドロスタジエン−3−オンとを含有させたものを、対男性好感度向上剤として使用する。4,16−アンドロスタジエン−3−オンに併用する香料成分としては、シトラール、リモネン、ミント、リナロール、酢酸リナリル、ピネン、シネオール、シトロネロール、ヘキセナール、ムスコン、シベトン、エクサルトライド、アンブレットライドが好ましく、特にリモネン、リナロール、酢酸リナリルが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、男性に対する好ましい印象を女性に生じさせる対男性好感度向上剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、女性の社会進出が当然のこととなり、各種職場における女性の比率も多くなってきている。各種職場にあって同一の仕事に従事しながらも、女性と男性とは感性が異なるために、不必要な摩擦が生じる場合もある。社会生活、特に職場にあっては、互いに嫌悪し合うよりは、互いに好印象を持っていた方が好ましいことは当然である。職場における連係作業の必要な仕事の効率には、良好な人間関係が重要であることは周知であり、感性の異なる女性と男性とが連係して仕事をするような場合、互いの悪印象は避ける必要がある。
【0003】
互いの印象を良くするためには、清潔に気をつけ、服装に気を付けるなどが必要であるが、そのような通常の方法では、現代生活、特に職場におけるストレスによる人間関係の軋轢を防ぐことはできない。女性にあっては、男性の女性に対する印象を好ましい方向に変えるために、香水を用いることが多いが、香水に対する好みは多岐に亘るので、場合によっては、マイナスの印象を与えてしまうこともある。
【0004】
従来、前述の現代生活、特に職場におけるストレスによる人間関係の不要な軋轢を防ぐというような目的ではないが、女性に対する男性の印象を好ましい方向に変える女性認識強化剤が提案されている(特許文献1)。この女性認識強化剤は、炭素数19のステロイドからなるもので、前記炭素数19のステロイドは、具体的には、アンドロステロン、アンドロステノン、デヒドロアンドロステロンである。そして、その作用効果は、女性を強く認識させ、好ましい印象を男性に形成させる点にあるとされている。
【0005】
【特許文献1】特開平08−003580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に開示の剤は、男性に対して女性を強く認識させるもので、双方向的な作用はなく、女性の周囲の男性に対する印象を好ましいものに変化させる効果はない。現在の職場などの男女がともに作業する環境において、感性の異なる男女間の良好な人間関係を形成するには、男性の周囲の女性に対する印象を好ましいものに変化させるだけでは不足であることは明らかであり、双方向的に印象が良好であることが必要である。かかる意味において、女性が周囲の男性に対して容易に好印象を持つことができるような対男性好感度向上剤が望まれる。
【0007】
また、職場などの男女が共同で作業する場合の人間関係を良好にするという目的とは若干ながら離れるが、男性にとって、女性に好印象を持ってもらいたいとの願望は、時代の新旧、洋の東西を問わない男性本来の基本的な願望である。そのために、男性は体を鍛えたり、清潔に気を配ったりする。これらの多くは視覚的に女性に訴えかけるものであるが、視覚的に印象を変えることは時間と労力を要することが多く、限界がある。一方で、男女が対面する状況下で男女間の印象形成に影響を及ぼすものとしては嗅覚的な情報も重要である。そして、嗅覚的な印象を変えることは視覚的な印象を変えることよりもはるかに簡便である。かかる嗅覚的な情報をコントロールし、女性への印象を良くする方法としては、制汗剤に代表されるような体臭による不快感を低減する方法、あるいは、香水に代表されるような好ましい香りを付与する方法が挙げられる。しかしながら、制汗剤の作用は、汗を抑えること、さらに汗をかいたときの不快な臭気の発生を抑えることであり、不快に思われないようにすることが目的で、より好ましく見てもらうためのものではない。まして、汗をかいていない状況での印象の向上効果は期待できない。また、香水等の好ましい香りを付与する方法についても、先にも述べたように、香りの好みは千差万別でもあり、場合によっては、逆効果になることがある。仮に香りとしての好みは評価されても、その香りをつけた男性に対する好みについては大きく変化させることはできていない。
かかる男性の女性に良い印象を持ってもらいたいという男性の基本的願望に対して、これを実現し得るような対男性好感度向上剤の提供は、大いに歓迎されるものと考えられる。
【0008】
本発明は、前記従来の事情に鑑みてなされたもので、その課題は、職場等の男女が共同で作業する環境における良好な人間関係の形成に寄与することができ、また、男性の基本的願望も満たすことのできる対男性好感度向上剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明者らは、鋭意、実験、検討を重ねたところ、以下のような知見を得るに到った。
すなわち、男女が混在する環境下において、4,16−アンドロスタジエン−3−オンを雰囲気中に所定濃度範囲になるように放出し、女性に自然吸引させると、周囲の男性に対する印象が好ましいものに変化すること、この4,16−アンドロスタジエン−3−オンの放出と同時に特定の香料成分を放出すると、4,16−アンドロスタジエン−3−オンの対男性好感度向上効果がさらに高まることが、知見された。
【0010】
前記特定の香料成分としては、柑橘系、ハーブ系、グリーン系、フローラル系、レジン系およびムスク系が好ましく、これらの群から選ばれる少なくとも一種を用いればよいことも、確認された。効果が確認された柑橘系香料成分は、シトラール、リモネンであり、ハーブ系香料成分は、ミントであり、グリーン系香料成分は、ヘキセナールであり、フローラル系香料成分は、リナロール、酢酸リナリル、シトロネロールであり、レジン系香料成分は、ピネン、シネオールであり、ムスク系香料成分はムスコン、シベトン、エクサルトライド、アンブレットライドであった。
【0011】
なお、ここで言う柑橘系香料成分とは、柑橘類を想起させる香気を有するという定義により分類される香料成分であり、代表的なものとしてシトラールやリモネンがあげられる。また、ハーブ系香料成分とは、食用ハーブを想起させる香気を有するという定義により分類される香料成分であり、代表的なものとしてミントやセージがあげられる。また、グリーン系香料成分とは、青葉を想起させる香気を有するという定義により分類される香料成分であり、代表的なものとして青葉アルコールや青葉アルデヒドが挙げられる。フローラル系香料成分とは、花を想起させる香気を有するという定義により分類される香料成分であり、代表的なものとしてシトロネロールやゲラニオールが挙げられる。レジン系香料成分とは、樹木の樹脂を想起させる香気を有するという定義により分類される香料成分であり、代表的なものとしてピネンやシネオールが挙げられる。そして、ムスク系香料成分とは、動物の分泌物を想起させる香気を有するという定義により分類される香料成分であり、意表的なものとしてムスコンやシベトンが挙げられる。
【0012】
本発明は、前述の知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明に係る対男性好感度向上剤は、柑橘系、ハーブ系、グリーン系、フローラル系、レジン系、およびムスク系の少なくとも1種の香料成分と4,16−アンドロスタジエン−3−オンとを含有することを特徴とする。
【0013】
前記柑橘系香料成分としては、シトラール、リモネンが好ましく、前記ハーブ系香料成分としては、ミントが好ましく、前記グリーン系香料成分としては、ヘキセナールが好ましく、前記フローラル系香料成分としては、リナロール、酢酸リナリル、シトロネロールが好ましく、前記レジン系香料成分としては、ピネン、シネオールが好ましく、前記ムスク系香料成分としては、ムスコン、シベトン、エクサルトライド、アンブレットライドが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる対男性好感度向上剤は、周囲の男性に対する女性の印象を好ましいものに変化させることができ、職場等の男女が共同して作業する環境下における良好な人間関係の形成に寄与することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
前述のように、本発明に係る対男性好感度向上剤は、柑橘系、ハーブ系、グリーン系、フローラル系、レジン系、およびムスク系の少なくとも1種の香料成分と4,16−アンドロスタジエン−3−オンとを含有することを特徴としている。
以下に、本発明に係る対男性好感度向上剤の有効成分である4,16−アンドロスタジエン−3−オンと、特定の各種香料成分について、個々に説明する。
【0016】
4,16−アンドロスタジエン−3−オンとは、フェロモン様作用を有する化合物である16−アンドロステンステロイドに属する化合物である。この化合物には、所定範囲の濃度を女性に吸引させることにより、女性の男性に対する印象を好ましいものに変化させる効果がある。
【0017】
前記4,16−アンドロスタジエン−3−オンを有効成分として本発明の対男性好感度向上剤に配合する場合、その配合量は、0.01〜100ppm(0.01μg/mL〜100μg/mL)が好ましく、より好ましくは、0.1〜10ppm(0.1μg/mL〜10μg/mL)である。配合量が0.01ppm未満であると、所望とする対男性好感度向上効果を得ることができない。また、100ppmを超えると、吸引した女性によっては、不快に感じることがある。
【0018】
前記4,16−アンドロスタジエン−3−オンの配合量に併用させることによって女性に生じる対男性好感度向上効果が増大する香料成分として、下記の植物系香料成分と動物系香料成分を挙げることができる。植物系香料成分としては、柑橘系、ハーブ系、グリーン系、フローラル系、およびレジン系の各香料成分が好ましい。これら植物系香料成分としては、具体的には、シトラール、リモネン、ミント、リナロール、酢酸リナリル、ピネン、シネオール、シトロネロール、ヘキセナールが好ましい。また、動物系香料成分としては、ムスク系香料成分が好ましく、より具体的には、ムスコン、シベトン、エクサルトライド、アンブレットライドが好ましい。作業が重視される職場など環境では、リラックス効果や鎮静効果も期待できる植物系香料成分との組み合わせが好ましく、職場以外での男女間のつき合いなどでは、動物系香料成分との組み合わせが、より男性に対する識別を強めるので、好ましいと言える。これら植物系香料成分と動物系香料成分との中でも、対男性好感度向上効果を増大させる補助効果の点では、リモネン、リナロール、酢酸リナリルが好ましい。
【0019】
前記特定の香料成分の配合量は、重量基準で、0.001〜10%の範囲内に設定することが望ましい。配合量が0.001%未満であると、人の臭覚に認知されず、所望とする対男性好感度向上効果を得ることができない。また、10%を超えると、使用者によっては、不快に感じることがある。なお、香料としての配合量としては、0.001%というのは、臭覚に認知されるための配合量としては大変低い値であるが、かかる低い配合量で臭覚に認知され得ることは、4,16−アンドロスタジエン−3−オンの同時存在があるためである。係る臭覚に対する作用も、本発明の主目的である対男性好感度向上効果にプラスの働きをしているものと推測される。
【0020】
前記植物系香料成分も動物系香料成分も公知の香料成分であり、従来公知の方法により、特定の植物の特定部位あるいは動物の分泌物から得ることができる。また、一部化学合成により得られることも周知であり、それら合成品を使用しても良い。また、これら香料成分を含む精油を使用しても良い。
【0021】
本発明に係る対男性好感度向上剤において、前記4,16−アンドロスタジエン−3−オンの配合量と特定の香料成分の好適な配合比は、最終製剤中の配合比として、1:10〜1:100000が好ましく、より好ましくは1:100〜1:10000が好ましい。前記配合比を超えて4,16−アンドロスタジエン−3−オンの配合比が高まると、4,16−アンドロスタジエン−3−オンの臭気が強くなりすぎて本発明の良好な効果を得られない場合がある。また、前記配合比未満に4,16−アンドロスタジエン−3−オンの配合比が下がると、4,16−アンドロスタジエン−3−オンの嗅覚刺激が不十分になる場合があり、本発明の良好な効果を得られない場合がある。
【0022】
本発明に係る対男性好感度向上剤を多種多様な具体的な製剤に適用することができる。例えば、本発明に係る対男性好感度向上剤は、香水、化粧品、身体洗浄剤、入浴剤などの身体ケア剤、空気清浄剤、空間芳香剤、衣類ケア剤、衣類洗浄剤などの環境芳香組成物、さらに、布製品、革製品、化学繊維製品、プラスティック製品などの、身体被服素材、アクセサリー素材に使用することができ、最終製品に応じ、公知の配合成分を添加することができる。前記添加成分としては、例えば、界面活性剤、油分、アルコール類、保湿剤、増粘剤、防腐剤、キレート剤、pH調整剤、香料、色素、紫外線吸収・散乱剤、ビタミン類、水等があり、これらは必要に応じて適宜配合することができる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の実施例を示す。以下に示す実施例は、本発明を説明するための好適な例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。
【0024】
(実施例1〜12、比較例1〜20)
実施例の対男性好感度向上剤の評価サンプルを12種(実施例1〜12)、比較例の評価サンプルを20種(比較例1〜20)用意し、それぞれの評価サンプルを香りとして各試行の影響を受けないように時間を置いて、60名の女性パネラーに雰囲気を介して吸引してもらい、吸引後、顔写真を見てもらい、その印象評価を行った。
【0025】
(印象評価方法)
印象評価には男性の正面向き顔写真を用い、女性パネラーにその顔写真を見た印象を回答してもらった。印象としては、男らしい感じと好感度について質問し、各項目における印象レベルをVAS(visual analog scale)で回答してもらった。VASとは、長さ10.0cmの水平な直線を提示し、左端を最も否定的(マイナスの印象)、右端をもっとも肯定的(プラスの印象)とし、各質問項目に対するパネラー自身の感覚がどの程度のレベルに位置するかを直線上に印してもらうという方法で、心理学評価に用いられる手法である。評価結果の測定は、各パネラーが印した点の位置を左端からの距離として測定し、数値化した。最も否定的な端(左端)を0点、最も肯定的な端(右端)を10.0点とした。
【0026】
(予備評価:パネラーの群分けと印象と相関性の高い因子の抽出)
顔写真には財団法人ソフトピアより研究用に販売されている画像データを用いた。このうち、20代〜30代男性の正面向き顔写真を任意に選んで用いた。女性評価者は、20代〜40代の嗅覚に問題のない健康な女性を選定した。予備評価として、特徴的な臭気のない会議室で、室温にて行った。まずは、香り(評価サンプル)を提示しない状況下で、画像データから任意に選んだ3枚の顔写真について印象評価をしてもらった。パネラー60名全員に3枚の顔写真について評価してもらった結果から、その第一印象評価点が均等になるように60名のパネラーを1群5名からなる12群に群分けした。
【0027】
(評価サンプル提示による顔印象への作用評価)
評価サンプルをパネラーに吸引させた状況下で、「男らしい印象」と「好感度」の2点に関して印象評価を行った。評価は前記予備評価を行った同じ会議室を使用し、室温にて評価を行った。前記予備評価において群分けした12群それぞれに順次異なる香りの評価サンプルを吸引させ、顔写真は画像データより予備評価で使用した3枚を除く、20代〜30代の写真を任意に10枚選定し、12群すべてに同じ10枚の写真について評価してもらった。評価サンプルの作用方法は、各評価群ごとに調製した評価サンプル溶液約15mLを90mmのガラスシャーレに入れ、パネラーが評価を実施する机のパネラー側の端から60cmの位置にそのシャーレを蓋をせず置き、そのすぐ後方(パネラーと反対側)に簡易型のファン式アロマ芳香器(アルタコーポレーション社製、商品名「アロマブリーズNOVA」)を設置し、パネラーの顔の方向に向けてファンを稼動させ、シャーレから揮発する評価サンプルが香りとしてパネラーに届き、自然に吸引されるようにした。
【0028】
各群に自然吸引させた評価サンプルは、実施例1〜12、比較例1〜20で、(表1)〜(表5)にそれらの組成を示す。また、それぞれの例の評価サンプルに対する評価点は、10枚の顔写真に対する女性パネラー5名(各群の全評価者)の印象評価VAS値データの平均値で示した。
【0029】
(表1)〜(表5)に示した各評価サンプルに用いた各組成分は、以下のものを用いた。
【0030】
4,16−アンドロスタジエン−3−オン(表ではANDと略記)、1,3,5(10),16−エストラテトラエン−3−オール(表ではESTと略記)、5α−アンドロスト−16−エン−3−オン(表ではASNと略記)としては、Steraloids社製のものを用いた。
また、溶媒のプロピレングリコールとしては、和光純薬社製のものを用いた。
【0031】
一方、各香料成分は、それぞれ以下の市販品を用いた。
シトラール、リモネン、ヘキセナール、リナロール、酢酸リナリル、シトロネロール、ピネン、シネオールは和光純薬社製のものを用いた。ミント、ムスコン、シベトン、エクサルトライド、アンブレットライドとしてはヴェ・マン・フィス香料社製のものを用いた。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
【表3】

【0035】
【表4】

【0036】
【表5】

【0037】
上記(表1)〜(表5)から明らかなように、4,16−アンドロスタジエン−3−オンは男らしい印象を高め、さらに、特定の香料成分、特にシトラール等の柑橘系香料成分の併用により、4,16−アンドロスタジエン−3−オンを単独で使用した場合に比べて、男性の好感度を相乗的に高めていることが、確認された。
【0038】
(評価例1〜16、評価比較例1〜18)
(4,16−アンドロスタジエン−3−オンの配合による香り立ち評価)
(表6)〜(表9)に示すように、20ppmのモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット(日光ケミカル、商品名「GL−1」)溶液に4,16−アンドロスタジエン−3−オンの配合量ならびに各香料成分を溶解して各評価例1〜16および評価比較例1〜18のサンプルを得た。これら評価例1〜16および評価比較例1〜18のサンプルに用いた各組成分は、以下のものを用いた。
【0039】
4,16−アンドロスタジエン−3−オン(表ではANDと略記)としてはSteraloids社製のものを用いた。また、溶媒のモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビットとしては、日光ケミカルズ社製のものを用いた。
【0040】
一方、各香料成分は、それぞれ以下の市販品を用いた。
シトラール、リモネン、ヘキセナール、リナロール、酢酸リナリル、シトロネロール、ピネン、シネオールは和光純薬社製のものを用いた。ミント、ムスコン、シベトン、エクサルトライド、アンブレットライドとしてはヴェ・マン・フィス香料社製のものを用いた。
【0041】
各サンプル10mLを口径27mmのスクリュー瓶(マルエム社製、商品番号「NO.5」)に入れ、キャップを閉め常温で放置した。その後、男性2名、女性3名の専門パネラーにてキャップをあけた際にサンプルの香気を感じるかどうかの評価を行った。その結果を(表6)〜(表9)に併記した。
【0042】
【表6】

【0043】
【表7】

【0044】
【表8】

【0045】
【表9】

【0046】
前記(表6)〜(表9)から明らかなように、4,16−アンドロスタジエン−3−オンと香料成分を組み合わせると、それらを単独で使用した場合に比べて、香気を感じられる濃度が低く、香気が増強されることが、確認された。この4,16−アンドロスタジエン−3−オンによる香気増強作用は、本発明に係る対男性好感度向上剤の作用効果に密接に関与しているものと、推測された。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明にかかる対男性好感度向上剤は、周囲の男性に対する女性の印象を好ましいものに変化させることができ、職場等の男女が共同して作業する環境下における良好な人間関係の形成に寄与することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柑橘系、ハーブ系、グリーン系、フローラル系、レジン系およびムスク系の少なくとも1種の香料成分と4,16−アンドロスタジエン−3−オンとを含有することを特徴とする対男性好感度向上剤。
【請求項2】
前記柑橘系香料成分がシトラール、リモネン;ハーブ系香料成分がミント;グリーン系香料成分がヘキセナール;フローラル系香料成分がリナロール、酢酸リナリル、シトロネロール;レジン系香料成分がピネン、シネオール;ムスク系香料成分がムスコン、シベトン、エクサルトライド、アンブレットライドであることを特徴とする請求項1に記載の対男性好感度向上剤。
【請求項3】
前記4,16−アンドロスタジエン−3−オンの配合量が0.01〜100ppmであることを特徴とする請求項1または2に記載の対男性好感度向上剤。
【請求項4】
前記香料成分の配合量が0.001〜10重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の対男性好感度向上剤。

【公開番号】特開2008−156467(P2008−156467A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−346600(P2006−346600)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】