説明

対象物の多走査平面超音波イメージング方法および超音波イメージング装置

【課題】 2つより多くの角度方向、例えば3つまたは4つの角度方向にある二次元走査平面を自由に電子的に選択できるようにするフェーズド・アレイ・トランスデューサを設計することにより、上記の問題に対する解決策を示す。
【解決手段】 共通軸線周りに回転される少なくとも3つの二次元走査平面内で対象物のリアルタイム超音波イメージングを行う方法、ならびにそのようなイメージングを可能にする超音波トランスデューサアレイの設計が提供される。本方法は、例えばLV圧力などの他の測定と組み合わせて、心機能監視の場面にも導入され、駆出分画や筋繊維応力などのパラメータが算出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多走査平面における生物構造体などの対象物の、リアルタイム超音波イメージングに関する。いくつかの電子工学的に選択可能な2D走査平面を有した二次元超音波イメージングのための効率的な超音波フェーズド・アレイ式バルク波トランスデューサの設計が与えられている。二次元走査平面方向の電子的選択により、方向を非常に迅速に切替ることができるようになり、その結果、心臓などの動く対象物の実際上リアルタイムでの観察をいくつかの走査平面において同期して行うことができるようになる。本発明は、心機能のリアルタイム超音波走査も取り扱う。
【背景技術】
【0002】
医療用超音波イメージングにおいては、対象物の形状、局所変化および容積を観察するために、様々な二次元走査平面を介して該対象物を調べることが多い。特に、壁の運動および心臓の収縮/弛緩の局所変化を調べるため、ならびに、心臓の容積の経時的変化、または心臓内の繊維応力やひずみの一時的変化を計算するために、心臓に対して上記のような多走査平面イメージングが用いられる。他の状況としては、特に成長を研究するための容積の計算のための、形状特徴、腫瘍などの観察が挙げられる。
【0003】
実際の臨床試験において、上記のような多二次元走査平面は、一般的に二次元超音波プローブを手で動かすことによって得られ、例えば、二次元フェーズド・アレイプローブを用いた心臓の経食道測定を用いる場合、遠隔操作によって超音波アレイを回転させるための専用の機構が設計されていた。超音波走査平面を2つの角度をなす方向において電子的に選択するためのフェーズド・アレイ・トランスデューサは、特許文献1に示されているが、この解決法は実際の使用には限界があることが分かっている。その主な理由としては、2つより多くの二次元面、一般には少なくとも3つまたは4つの面で対象物を観察したい場合があるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,640,291号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、2つより多くの角度方向、例えば3つまたは4つの角度方向にある二次元走査平面を自由に電子的に選択できるようにするフェーズド・アレイ・トランスデューサを設計することにより、上記の問題に対する解決策を示す。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、実際上リアルタイムで、共通軸線の周りで回転される3つまたはそれ以上の二次元超音波走査平面において対象物の超音波イメージングを行うための方法を提供する。本明細書中で用いる「実際上リアルタイム」という表現は、前記二次元走査平面内の一連のサンプルビームに沿って画像データが収集され、対象物のサンプルビームデータの収集が、画像を規定する全てのサンプルビームデータが対象物の移動に関して非常に短い時間内に収集されるように頻繁に行われることを意味する。この対象物の移動に関して非常に短い時間とは、収集されたデータが、動いている対象物の実用を目的とした静止画像を取り込めるような時間のことである。さらに画像データは、実際上の目的のために対象物の移動が見えるような非常にゆっくりとした遅延で画像スクリーン上に表示することもで
きる。
【0007】
このような多二次元リアルタイムイメージングは、心臓の局所壁運動の変化の研究に有用である。例えば心臓腔または腫瘍の縁を自動的に選択するための画像解析を用いて、腫瘍の成長を調べるために対象物の寸法および容積変化を調べたり、あるいは、心室容積または駆出分画を調べることができる。心室寸法に基づいて、心筋の歪みを計算することができ、また、ドップラー分析によって、それぞれのビーム方向における心筋の局所的な壁速度および歪み速度を定量化することができる。エラストグラフィーと呼ばれる方法による組織弾性の局所変化を調べるために、ドップラー分析を組織の強制変形とともに用いることもできる。例えば麻酔や臨床治療の監視の間に、左室圧に入力が加わる場合には、本発明は、心筋の生理的機能の正確な観察のために、左室繊維応力をリアルタイムで計算するための方法も提供する。したがって、本発明は、例えば麻酔または他の臨床的治療の監視中に、心臓の動作の監視のために上記のようなイメージングを使用することを考案する。
【0008】
本発明は、共通軸線の周りに回転される3つまたは4つの二次元走査平面内の超音波ビームの扇状走査を可能にする超音波変換器アレイの詳細な設計をさらに提供する。この設計は、バッキング材料上に実装されたサンドイッチ構造で面同士を合わせられた少なくとも2つの活性圧電フェーズド・アレイ型トランスデューサ層で構成される。圧電サンドイッチの前面は、圧電層と負荷材料の間の音響出力の結合を高めるための、一連の弾性インピーダンス・インターフェース層を介して、負荷材料に接続されている。特別な広帯域設計においては、圧電層に最も近いインピーダンス・インターフェース層が、参考文献[5]に記載のように、圧電層と同じ特性のインピーダンスを有している。
【0009】
各アレイ層の前面電極および後面電極のいずれも、切替回路に接続された分離された平行な指/素子電極の組で構成されている。各層の前面と後面上の指/素子の方向は、互いに角度をなしている。異なる圧電層の指/素子方向は、1つの層の少なくとも1組の電極の指方向が、別の層の少なくとも1組の電極の指方向と角度をなすように配向される。
【0010】
切替回路は、各圧電層面の指電極の全組が、フェーズド・アレイ超音波イメージング機器のホットワイヤのいずれかに選択的に接続されるか、あるいは、信号用接地に接続されるように、電子的に制御されている。これにより、それぞれの送信パルスに対して二次元走査平面方向の組のうちの一つを電子的に選択できるようになる。各二次元画像内のビームの数は限られているため、走査平面を順次切り替える場合、異なる走査平面内の画像が、対象物の実際上リアルタイム表示を示すような高いフレームレートを得ることができる。したがって、イメージング機器は、例えば心筋の局所収縮異常を観察するために、3または4の走査平面のリアルタイム表示を示すことができる。
【0011】
広いビームを送信し、これを何本かの並行な狭い受信ビームでカバーするので、フレームレートを2〜6倍に高めることができる。フレームレートの向上は、この他に、走査平面が交差する場所、あるいはビームが対象物についての情報をあまり得ることのできない場所でビーム密度を低減することによって得られる。上記対象物についての情報をあまり得ることのできない場所とは、例えば、左心室の内部などであるが、心室壁は、心室壁の動きを分析するための高密度のビームによってカバーされる。異なる走査平面において心臓を特に高いフレームレートで観察するためには、全心周期に対して同じ走査平面方向を保持し、例えば心臓からのECG信号が引き金となって心筋の収縮が起こる前に走査平面の方向を変えるとよい。
【0012】
本発明は、多走査平面フェーズド・アレイを、体内からの対象物のイメージングのための内視鏡の先端部に多走査平面フェーズド・アレイを取り付けた特別の実施形態も示す。
特に、そのような方法は、多くの走査平面における心臓の経食道イメージングに対して、例えば外科手術の間の麻酔の監視を助けるために有用である。この経食道アレイは、走査平面を目的領域により精細に整合させるために、あるいは、撮像される走査平面の数を増やすために内視鏡内でさらに機械的に回転されてもよい。
【0013】
超音波造影剤は、心筋の血液灌流の局所的変化を観察するために用いることができる。このような造影剤は、心室容積を効率的に判定するために投与することができる。複数の周波数帯域における撮像を可能するようなアレイ実施形態の例を示す。この実施形態は、1つの周波数帯域内での超音波パルスの送信、および送信帯域のサブハーモニクス、第2、第3または第4調波における受信に大変適している。心筋の血液灌流における局所的変化を評価するためだけでなく、心室腔の容積の検出、および血管形成が増大した腫瘍領域の検出のためにも、上記のような高調波イメージングは超音波造影剤の検出に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1a】3つの二次元走査平面において同時に対象物のリアルタイムイメージングを行うことのできるイメージング機器の一例を示す図。
【図1b】3つのリアルタイム二次元画像の例示的表示を示す図。
【図1c】心筋を横切るビーム間のラグを最小限に抑えた、心筋観察用超音波ビームの螺旋走査の説明図。
【図2】本発明によるトランスデューサ・アレイの典型的な層構造の厚み方向の断面図。
【図3a】図1aに示すような3つの二次元走査平面の電子的選択を可能にする、指電極構造を備えた2層アレイを示す図。
【図3b】図1aに示すような3つの二次元走査平面の電子的選択を可能にする、指電極構造を備えた2層アレイを示す図。
【図3c】図1aに示すような3つの二次元走査平面の電子的選択を可能にする、指電極構造を備えた2層アレイを示す図。
【図3d】図1aに示すような3つの二次元走査平面の電子的選択を可能にする、指電極構造を備えた2層アレイを示す図。
【図4】図3のトランスデューサ構造によって得ることのできる送信伝達関数を示した図。
【図5a】4つの走査平面の電子的選択を可能にする、2つの圧電層を有する本発明によるさらに別のトランスデューサ・アレイ構造を示す図。
【図5b】4つの走査平面の電子的選択を可能にする、2つの圧電層を有する本発明によるさらに別のトランスデューサ・アレイ構造を示す図。
【図5c】4つの走査平面の電子的選択を可能にする、2つの圧電層を有する本発明によるさらに別のトランスデューサ・アレイ構造を示す図。
【図5d】4つの走査平面の電子的選択を可能にする、2つの圧電層を有する本発明によるさらに別のトランスデューサ・アレイ構造を示す図。
【図5e】4つの走査平面の電子的選択を可能にする、2つの圧電層を有する本発明によるさらに別のトランスデューサ・アレイ構造を示す図。
【図6】図5のトランスデューサ・アレイ構造によって選択可能な例示的走査平面を示した図。
【図7】プローブをイメージング機器につなぐケーブルの数を減らすために、アレイ近くの超音波プローブ内に配置した電子的切替回路によって走査平面を選択する方法を示した図。
【図8】本発明による胃鏡の先端に取り付けられた電子的切替回路と超音波アレイとを有する経食道プローブを示す図。
【図9】二次元マトリックスアレイを有する共通軸線の周りに回転される3つの選択可能な二次元平面内での超音波ビームの送信を示す図。
【図10a】4つのシミュレーションのリアルタイム二次元画像の例示的表示を示した図。
【図10b】3つの二次元画像内の心筋歪みのビュレット表示を示した図。
【図11】本発明による心臓監視機器を用いて得られた心臓の生理変数の時間的表示を示す図であり、一心拍内の変化を示すファストタイムと、拍間におけるパラメータの変化を示すスロータイムフレームの両方が示されている図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明のいくつかの例示的実施形態を開示する。この開示は説明のためのものであり、添付の特許請求の範囲によって最も広い態様において定義される本発明の限定を何ら表すものでないことは明らかである。
【0016】
本発明の1つの例示的実施形態として、図1aは、例えば、共通軸線104を中心として異なる角度方向で回転された3つの二次元扇状走査平面101,102,103内において、自由にかつ電子的に操縦可能な方向で、パルス超音波ビームを送信することができるトランスデューサ・アレイ100を示している。このトランスデューサ・アレイは、ケーブル105を介して、表示画面107に与えられる画像出力を有する超音波イメージング機器106に接続されている。
【0017】
典型的なイメージングの状況において、超音波イメージング機器106は、二次元走査平面101〜103内の選択された方向に超音波ビームを送信するトランスデューサに信号を案内する。各ビーム方向に対する後方散乱信号は機器内で分析され、ビーム方向に沿った一組のレンジサンプルに対して一組の画像パラメータを生成する。典型的な画像パラメータは、組織構造のイメージングのための後方散乱振幅を圧縮したもの、あるいは血液速度、組織運動速度、または、例えば心筋の歪みなどの組織領域の歪み、あるいは弾性率計測イメージングのための腫瘍への強制歪みをイメージングするためのドップラー周波数パラメータであってもよく、これらのすべては公知の方法に従ったものである。
【0018】
ビーム走査は、例えば、各二次元走査平面に対して順番に、あるいは後述のように螺旋状に順次といったように、多くの様式で進めることができる。各走査平面に属するビーム方向に対する画像パラメータをグループ化して、これらの走査平面に対する画像パラメータの二次元画像を作成する。これらの二次元画像を、例えば図1bの画像111,112,113としてリアルタイムで表示画面上に示す。この図には、タイミング基準として用いられる心臓ECGのタイムトレースとともに、画像から抽出された英数字データまたは他の測定値を表示するための領域115も示されている。
【0019】
15cmの画像範囲を有する二次元画像について64本のビームを使用して、典型的には1秒間あたり72枚の二次元画像が得られる。したがって、3つの連続する二次元走査平面を用いた場合、1秒間あたり3つの二次元走査平面の完全な更新を24回行える。4つの連続する走査平面に増やすことにより、1秒間あたり4つの二次元走査平面の完全な更新は18回行える。16mm開口アレイによる3MHzの64本のビームにより、二次元画像の完全な角度サンプリングによる、約60度未満の二次元画像の全開口角度が与えられる。
【0020】
広い送信ビームを送信し、これをいくつかの(例えば2〜6)の狭い並行な受信ビームでカバーすることにより、イメージング速度を2〜6倍に高めることができる。これにより、各二次元走査平面の走査角度を例えば90度に広げるための時間も与えられる。特に軸線に近い平面同士の重複領域、および、心臓のアピカル長軸イメージングを用いた場合の心室の中央などの、対象物に関する情報が殆どない領域においてビーム密度を低減する
ことにより、イメージング速度および/または二次元走査の幅を増大させることができる。例えば、心臓の収縮や弛緩などの開始における詳細を調べるためなど、より迅速な2次元イメージング速度が要求される場合には、各走査平面に対して全心周期をイメージングし、例えばECG信号によってトリガされて、心周期の終了時に走査平面を変えるようにしてもよい。
【0021】
心臓の局所壁運動異常を評価するためには、異なる領域において壁のサンプリングを行うビーム同士の時間的遅延が最小限であることが重要である。有用な心臓走の走査は、アレイ中心軸線104を、図1cにおいては図面の中心の垂線として示されている左心室の長軸に沿って配置して、心室をアピカルイメージングすることによって得られる。典型的な心筋の断面は、この画像の領域125によって示されている。走査平面101,102,103の断面は、参照符号121,122,123として示されている。この特定のビーム走査パターンにおいて、走査平面の方向は、円の中で、それぞれの連続するビーム方向に切替えられ、これにより、軸線104に対して着実に増減するビーム角度を有する螺旋円錐の中でビーム走査が行われる。バツ(×)印は、インターロゲーティングビーム(interrogting beam)のいくつかを示しており、選択肢126,127,128は、方向129内で順に続くビームのサブセットを示す。軸線104に対してこのビーム角度を有する最後のビーム130において、次のビーム断面が、ビーム126と同一の走査平面121内にありながら、中心軸線104に対してより大きな(または場合によってはより小さい)ビーム角度を有する131となるように、ビーム角度は増大される。ビーム方向130の次には、本例においては、矢印で示すように二次元走査平面122内のビーム方向132が続く。この走査パターンを有する心筋125を、ビームと軸線104との間の開口角度が同一に近いようなビームを用いてイメージングすることにより、限られた時間内に全心筋をカバーできることになる。典型的には、心筋は10〜15ミリ秒の時間内に1秒あたり80フレームのフレームレートで収集可能な10×6〜60前後の連続したビームによってカバーされる。これにより、心筋の収縮、弛緩パターンにおける局所変化を研究するための非常十分な量のフレームレートが提供される。
【0022】
表示のために、それぞれの二次元走査平面に属するビーム方向からの画像データをグループ化して、図1bに例示するようなリアルタイムで表示される二次元画像を作成する。したがって、多数の走査平面は、診断および手術前および手術後の監視、および以下に検討するような他の臨床処置状況の監視を目的として、心臓内の局所壁運動の観察および心臓腔の容積計算をリアルタイムで行うため用いることができる。
【0023】
本発明に従うビーム走査を提供するトランスデューサ・アレイの2つの実施形態について以下に示す。
図2は、本発明によるフェーズド・アレイの厚み方向の断面を示しており、参照符号201,202は、バッキング材料での反射波が無視できるように高い音響力吸収を有する、バッキング構造物203上に搭載された2つの圧電アレイ層を示している。圧電層は、フェーズド・アレイの指/素子電極208,209,210,211で被覆されている。後方層の前面電極209および前方層の後面電極210は、例えば接着剤フィルムなどの薄層212によって互いに電気的に分離されている。各圧電層と音響負荷材料204との間の構造には、圧電層(201,202)の特性インピーダンスを負荷材料204の特性インピーダンスにインターフェースする(調和させる)一組の弾性層205が含まれる。
【0024】
特に広い帯域を与えるインピーダンス・インターフェーシングの方法は参考文献[5]に記載されており、この場合、圧電層と接している構造205の第1の層が、圧電層とほぼ同じ特性インピーダンスを有する弾性層を含み、これに続いて、負荷に向かって低下する特性インピーダンスを有する層を備える。このようなインピーダンス・インターフェーシングは、電気的に並列な2つの圧電層を用いて、後述するように、低周波数パルスを送
信し、例えば後方層201上で当該パルスより高い調波成分(第2〜第4)を受け取るようにする場合に、特に有用である。後述のように層201上にパルスを送信して、電気的に並列な層201,202上でサブハーモニクスパルスを受け取るようにしてもよい。他の状況において、標準的な方法に従って、より狭い帯域のインピーダンス・インターフェース層205を用いることもできる。
【0025】
低い特性インピーダンスのセラミック/ポリマー組成物を得るために、3つの2次元面内で超音波ビームを段階的に操縦できるようにした電極配列により、圧電板をダイシングする例を図3に示した。図3は、表面から見た圧電層および電極を示している。図3aにおいて、参照符号301は両層で同じのセラミック圧電層のダイシング溝を示しており、残りのセラミックポスト/アイランドは参照符号302で示されている。ダイシング溝301はポリマーで充填されており、セラミック原材料からは、セラミックの相対充填容積に応じて、約0.5倍低下した特性インピーダンスを有するセラミック/ポリマー複合材が得られる。
【0026】
本発明に従う特定の実施形態において、圧電層201の後面は、図3bに示すように分割された指/素子電極組303によって被覆されおり、後方層201の前面および前方層202の後面は、図3cに示すものと同一の形状および方向を有した分割された指電極304,305で被覆されている。圧電層202の前面は、図3dに示すような分割された指電極306によって被覆されている。電極組303〜306は、図2の電極208〜211に対応し、指電極304と指電極305とは、図2に示すように層212によって互いに電気的に分離されている。
【0027】
図3に示すアレイによって得られる二次元走査平面の原理図が図1aに示されている。図1aにおいて、アレイは参照符号100で示されている。電極組304/209,305/210および306/211を接地し、後面電極303/208を線形フェーズド・アレイ・トランスデューサの素子のホット(通電される)電極として作動させることにより、図1aに示すような二次元画像走査平面を得ることができる。電極組303/208,305/210および306/211を接地し、電極304/209をフェースド・アレイのホット素子電極として作動させることにより、図1aの102として示される二次元画像走査平面を得られる。電極組303/208,304/209および305/210を接地し、前面電極306/211をフェースド・アレイのホット素子電極として作動させることにより、図1aの103として示される二次元画像走査平面が得られる。
【0028】
図2a〜2dに示すようにダイシングおよび電極方向が互いに60度となるように選択することにより、正三角形のセラミックアイランドが得られ、図1aにおいて二次元走査平面間の角度を60度とすることができ、これにより対象物を等角度でサンプリングすることができる。このような角度により、複合材に同一寸法のセラミックアイランドが得られ、アレイの電極/素子の幅を同一にすることができる。アレイ/電極については、例えば他の所望の画像面に近づけて左心室のサンプリングを行うために、他の角度分割を用いてもよい。
【0029】
アレイの変換能力は、電極上への送信電圧から電極の前面上の振動速度への伝達関数(transfer function)として定義される、アレイ素子の送信伝達関数(transmit transfer function)Htt(ω)によって都合良く記載される。他の層を電気的に短絡させた場合の後方層201および前方層202に対する典型的な送信伝達関数は、それぞれ図4の参照符号401,402に示したとおりである。図1aの走査平面101,102はいずれも、1.5〜4.2MHzの広い周波数に亘ってほぼ平坦な伝達関数401を有する図2の後方圧電層201を使用している。図1aの走査平面103は、図4の関数402を有する図2の前方圧電層202を用いてい
る。2.8MHz〜4.2MHzの周波数範囲においては、いずれの層も類似の伝達関数(参照符号401および402)を有していることがわかる。したがって、この周波数帯域において、前方層によって得られる第3の走査平面103に対するパルスを、後方層によって得られる走査平面101,102に対するパルスと同様のものにすることができる。
【0030】
図2において、圧電層の分極化がP1(206)およびP2(207)として示されている。この例に示したように分極方向が対向する場合、前面(211/306)および後面(208/303)電極を接地し、中間電極(209/304および210/305)をフェーズド・アレイのホット電極として作動させることにより、層を電気的に並列に接続することができる。このような電気的に並列に接続された圧電層の動作に対する送信伝達関数は、図3の参照符号403で示される。この伝達関数は、0.8〜2.2MHzの周波数の低帯域をカバーする。
【0031】
したがって、3つの走査平面を電子的に選択できるかどうかは別として、この構造により、多周波数帯域内における通常の第1調波イメージングおよび高調波イメージングのいずれに対しても、走査平面102において多周波数帯域での動作が可能になる。たとえば、上述のような電気的に並列な層のカップリングを用いて、低帯域403での送信を行うことができる。電極208/303,210/305,211/306を接地し、電極209/304をフェーズド・アレイのホット素子電極として作動させることにより、後方層によって、送信帯域401の第2、第3または第4調波成分を受信することができる。同様に、電極208/303,210/305,211/306を接地し、フェーズド・アレイのホット素子電極として電極209/304を作動させることにより、高周波数帯域での送信を行うことができるとともに、電極208/303,211/306を接地し、電極209/304と電極210/305とを接続してこれらの2層が低周波数帯域に対して電気的に並列に作動するようにすることにより、送信帯域のサブハーモニクスを受信できる。
【0032】
図5には4つの走査平面が自由に選択できる二重圧電層構造が示されており、該図において、図3に示すような面からの圧電層および電極が示されている。厚み方向における構造には、図2に示すように負荷に対する弾性層のインピーダンス・インターフェーシングを有する2つの圧電層が含まれる。図5aには、セラミック圧電層のダイシングの例が示されるが、参照符号501はダイシング溝を示し、参照符号502はセラミックポスト/アイランドを示している。図3の構造との相違は、セラミック/ポリマー複合材を形成するためのセラミックダイシング、および指/素子電極の方向にある。特に、図5の構造については、層201と層202との間の2組の中間電極504/209,505/210が、図5cおよび図5dに示すように異なる方向を有している。層201の後面には、図5bに示すような指電極組503/208が設けられ、層202の前面には図5eに示すような指電極組506/211が設けられている。
【0033】
電極504/209,505/210,506/211を接地し、後面電極503/208を線形フェーズド・アレイのホット素子電極として作動させることにより、図6に参照符号601で示した二次元走査平面を得ることができる。電極503/208,505/210,506/211を接地し、電極504/209をフェーズド・アレイのホット素子電極として作動させることにより、図6中の二次元走査平面602が得られる。電極503/208,504/209,505/210を接地し、電極506/211をフェーズド・アレイのホット素子電極として作動させることにより、図6中の二次元走査平面603が得られる。電極506/211,503/208,504/209を接地し、電極505/210をフェーズド・アレイのホット素子電極として作動させることにより、図6中の二次元走査平面604が得られる。後方および前方層に対する伝達関数は、図4
に示す参照符号401,402と同じになるが、この構造では低周波数帯域403における層の電気的に並列な接続によるフェーズド・アレイ走査はできない。
【0034】
上記走査平面の電子的選択は、例えば図7に示すような集積回路によって行うことができる。図7は、図3の多層/多電極トランスデューサ・アレイを701として例示したものである。ワイヤ組703,704,705,706は、電極組303,304,305,306を、電子的切替回路702に接続し、該電子的切替回路702は、制御信号707によって、イメージング機器710によって電力供給される同軸ケーブル組708のホットワイヤに接続される電極組と、信号の基底レベル709に接続される電極組とを選択する。このような電子回路はアレイの近くに搭載されるので、ケーブル708と走査平面選択用の制御信号707のみがイメージング機器に接続することになる。
【0035】
次に、トランスデューサ・アレイおよび走査平面選択回路を、典型的には、体表面からのイメージングのために手持ち式プローブの先端に取り付けるか、あるいは、例えば心臓の経食道イメージングや腫瘍の内視鏡イメージングなど、体内部から対象物をイメージングするために、胃鏡などの内視鏡の先端に取り付ける。
【0036】
図8は、体内に挿入される胃鏡の先端に取り付けられた本発明に従うアレイ801を有する経食道プローブ800を例示している。プローブの操縦可能先端部802の角度方向は、内視鏡の先端のワイヤ制御のための標準的な方法に従って、回転ハンドル803,804によってワイヤを介して制御する。この特定の実施形態は、例えば、心臓の長軸に追従するように走査平面のうちの1つを調節するなどのために、胃鏡先端部802内のアレイ801の矢印806によって示されるような回転用の付加的な制御装置805を含む。他の走査平面は、アレイの設計に従ってこの長軸を中心にグループ化される。この調整は、心臓の局所壁運動の標準的観察または心臓腔の容積または腫瘍などの他の対象物の正確な計算のために用いることができる。内視鏡プローブは、ケーブル807を介してイメージング機器に接続される。
【0037】
選択された二次元走査平面組内のビームの電子的操縦は、図9中に参照符号900として示したような二次元マトリックスアレイを用いて行うこともできる。このアレイは、二次元マトリックスに配置された一連の小さい素子905からなり、各素子に対する信号は個々に遅延させることができる。個々の素子の信号を遅延させることにより、既知の原理に従って、ビームを操縦し、円錐906内の選択された方向への合焦が可能となる。特に、上述のような超音波ビームの走査を可能にする二次元走査平面901,902,903の組内のビーム方向を選択することができる。しかしながら、二次元マトリックスアレイは、図3および図5中のアレイに比べて、超音波走査装置の複雑さを大幅に増してしまう。
【0038】
ある組からの二次元走査平面の電子的選択により、図1に関連して検討したように、実際上、上述のアレイを有した3つまたは4つの走査平面において、実際上同期して心臓をイメージングすることができる。ここで、図1bは、例えば図3のアレイによって得られるであろう3つの二次元走査平面によるリアルタイムイメージングの表示の例を示している。同様に、図10aは、例えば図5のアレイによって得られるであろう4つの二次元走査平面によるリアルタイムイメージングの表示の例を示している。この例において、二次元画像表示1001〜1004は、図6中の二次元走査平面601〜604に対応したものであろう。タイミング基準のためのECGを示すタイムトレース1005は、拡張末期容積、収縮末期容積、駆出分画等の英数字データを表示するための領域1006とともに表示内に含まれる。図1aおよび図10中の画像は、典型的には壁運動評価のために用いることができ、この場合、評価データは周知の原理に従って、ブレットイメージ(bullet image)で示すことができる。
【0039】
二次元画像において左室腔を自動的に検出することにより、参考文献[6]に示すように、心臓腔、特に左室の容積のリアルタイム計算を行って、充填と駆出のパターンや、左心室の駆出分画を調べたりすることもできる。超音波造影剤は、心筋内の局所灌流変化を調べるために用いることができ、この場合、造影剤の高調波イメージングにより、組織出力比に対するコントラストが高まる。超音波造影剤は、イメージングの難しい患者における腔領域の判定を向上するために用いることもできる。
【0040】
多くの走査状況において、左室圧の測定値PLV(t)は、全心周期にわたって入手可能である。術前または術後などの臨床状況において、左心室内のカテーテルを用いてpLV(t)を得ることができる。他の状況では、pLV(t)は、大動脈弁の開放時の収縮期を通じて大動脈圧から得ることができる。大動脈圧は、中央血管内のカテーテルから、もしくは鎖骨下動脈または頸動脈の径を測定することによって得ることができる。左室径の超音波測定値D(t)と壁厚H(t)とを組み合わせて、参考文献[7]の既知の方法に従って、次の数式(1)のように心筋内の繊維応力σ(t)を計算することができる。
【0041】
【数1】

【0042】
上記式中、L(t)は、左室腔の長さである。
L(t)は多くの場合、一定の平均値によって近似することができる。心筋の容積は一定であるので、D(T)とL(t)から壁厚H(t)の時間的変化を得ることができる。次に、左室容積VLVを、不完全楕円(truncated ellipsoid)によって近似して、D(t)およびL(t)に基づいて算出することができる。
【0043】
左心室腔容積VLVと心筋壁容積Vwから繊維応力を算出するための下記のような式も存在する。参考文献[8]を参照のこと。
【0044】
【数2】

【0045】
本発明に従う上記のような計算により、心筋の生理的収縮/弛緩パラメータをより良好にリアルタイム表示できる。容積トレースを含むパラメータ波形の時間微分によって、収縮の開始および終了時の迅速な変化の間の生理機能についての情報が強化される。
【0046】
すべての領域において類似または均一の心筋収縮をみせる心室内の心筋繊維における平均相対歪みは、心臓径の相対変化と同等であると近似することができる、すなわち、ε(t)=D(t)/Dmax。である。虚血性心疾患などで見られるように、場所的な歪みの変化がある場合、平均歪みも心能力の興味深い尺度ではあるものの、この状況におい
ては、場所的に変化する歪みε(,t)(式中、rは心筋表面のベクトル座標である)の画像も見たいと思うに違いない。各ビーム方向に沿ったドップラー測定に基づいて、心筋中の局所歪み率を推定することができ、これを図10bのビュレット画像1007内に、例えばカラーまたはモノクロ表示するなど、様々な方法で表示することができる。図10bにおいて、ビュレット画像内の角度方向は、図1の参照符号101,102,103の走査平面の角度方向を示し、ビュレット画像内の径方向は心臓の頂部からの距離を示している。
【0047】
監視の状況をさらに説明するために、図11は本発明に従う例示的な表示を示しており、該表示においては、本発明によるアレイを用いて得られた心臓の寸法の測定値を用いて、左心室の収縮パラメータを算出している。この表示は、上から下へ、ECGトレース1101、左室圧1102、繊維応力1103および平均相対繊維歪み1104、ならびに左室容積トレース1105を示している。より長期間にわたる動向の情報については、より遅い時間尺度で、拍動あたりのVIの最小値としての収縮末期容積ESV(1106)、拍動あたりのVLVの最大値としての拡張末期容積EDV(1107)、拍出量SV(1108)、心拍出量EF(1109)、および駆出分画CO(1110)を示すことができる。これらは、次のように計算される。
【0048】
SV=EDV−ESV CO=SV*HR EF=SV/EDV(3)
上記式中、HR=60/THRは、拍動あたりの心周期の持続時間を秒で示したTHRから計算される、1分あたりの拍動数であり、例えば、ECGより各心拍に対して測定される。これらのパラメータは、HR(1111)および例えばmax(dV/dt),max(σ),max(dσ/dt),max(ε),max(dε/dt)などの他のパラメータとともに、各トレースに沿って、あるいは英数字領域1112内に、数字として都合よく表示することができる。
【0049】
このように、好ましい実施形態に適用しながら本発明の基本的な新しい特徴を示し、記載し、指摘してきたが、説明した装置の形態および詳細ならびにそれらの動作において、様々な省略や置換や変更が、本発明の精神から逸脱しない限りにおいて当業者によってなされうるものとする。たとえば、同じ結果を達成するために実質的に同じ方法で実質的に同じ機能を遂行する要素および/または方法工程のすべての組み合わせが、本発明の範囲内に含まれることは明確である。さらに、本発明のあらゆる開示された形態または実施形態に関連して示したおよび/または説明した構造および/または要素および/または方法も、一般的な設計上の選択事項として、他の任意の開示または説明また示唆された形態または実施形態に組み込んでもよいと認識すべきである。したがって、限定は、添付の請求項の範囲によって示すようにだけ行われるものとする。
【0050】
(参考文献)
[1]米国特許第4,640,291号、1987年2月3日:「超音波医療イメージング用B面フェーズド・アレイ(B−plane phased array for ultrasound medical imaging)」、発明者:ピーター ティ.
ホーエン(Pieter ’t Hoen)、譲受人:ノース アメリカ フィリップス コーポレイション(North American Philips Corporation)
[2]米国特許第5,724,976号、1998年3月10日:「超音波コントラストエコー法に好適な超音波イメージング(Ultrasound Imaging Preferable to Ultrasound Contrast Echography)」、発明者:嶺喜隆、平間信、辻野弘行、斉藤史郎、譲受人:株式会社東芝、日本
[3]米国特許第5,825,117号、1998年10月20日:「第2調波イメージングトランスデューサーズ(Second Harmonic Imaging Tra
nsducers)」、発明者:ウィリアム ジェイ. オスマン(William J.Ossmann),ラリー ペンダーガス(Larry Pendergass),マーチン ケイ. メイソン(Martin K.Mason)、譲受人:ヒューレット−パッカード カンパニー(Hewlett−Packard Company)(カリフォルニア州パロアルト)
[4]米国特許第5,957,851号、1999年9月28日:「広帯域超音波トランスデューサ(Extended bandwidth Ultrasonic Transducer)」、発明者:ジョン ホサック(John Hossack)、譲受人:アスソン コーポレイション(Acuson Corporation)(カリフォルニア州マウンテンビュー)
[5]米国特許出願60/260,023、2001年1月5日出願:「広域または複数周波数帯域トランスデューサおよびトランスデューサ・アレイ(Wide or Multiple Frequency Band Transducer and Transducer Arrays)」、発明者:ッビョルン アー. ヤー. アンゲルセン(Bjorn A.J.Angelsen)およびトニー エフ. ヨハンセン(Tonni F.Johansen)
[6]オークス エス(Aakhus S.)、マーレ ジェイ.(Maehle J.)、ビョルンスタッド ケイ.(Bjornstad K.):「左心室心内膜表面の心エコーコンピュータ化三次元再構築のための新しい方法(A New Method for echocardiographic computerized three−dimensional reconstruction of left ventricular endocardial surface):容積のインビトロ精度および臨床再現性」J Am Soc Echocard,Vol 7,No6,1994:571〜581頁
[7]ラベン エス アイ(Rabben S.I.)、イルゲンス エフ.(Irgens F.),アンゲルセン ビー.(Angelsen B.):「左心室壁内の筋繊維応力の評価式(Equations for estimating muscle fiber stress in the left ventricular wall)」Heart and Vessels 1999,14:189〜196頁
[8]アーツ ティ(Arts T),ボベンダード ピーエイチエム(Bovendeerd PHM),プリンゼン エフダブリュ(Prinzen FW),レネマン アールエス(Reneman RS):「左室腔の圧力および容積と、壁内の収縮繊維応力および歪みの関係(Relation between left ventricular cavity pressure and volume and systolic fiber stress and strain in the wall)」J Biophys 59,1991:93〜102頁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つの互いに異なる二次元走査平面において対象物を実際上リアルタイムで超音波イメージングする超音波イメージング方法であって、前記超音波イメージング方法は、
超音波トランスデューサ・アレイによって、パルス化超音波ビームを電子的に走査する工程であって、前記パルス化超音波ビームは、共通軸線を中心として互いに異なる角度方向に配置された少なくとも3つの扇状の二次元走査平面内で電子的かつ自由に選択可能なビーム方向を有し、前記ビーム方向は、1)各二次元走査平面に対して順番にビーム走査が行なわれるように各二次元走査平面内でパルス毎に電子的に切替可能、或いは2)二次元走査平面内及び二次元走査平面間でパルス毎に電子的に切替可能であることと;
各ビーム方向におけるパルスからの後方散乱信号を用いて、画像サンプルビーム方向に沿った深さの関数としての画像データを作成する工程と;
それぞれ前記画像サンプルビーム方向からの画像データをグループ化することによって、高いフレームレートで各二次元走査平面からの対象物の二次元画像を得る工程と
を含み、
前記高いフレームレートは、対象物の動きに関係する実際上の目的に対して、前記少なくとも3つの互いに異なる二次元走査平面からのリアルタイム二次元画像を表示画面上に示すことができるようなフレームレートであり、
前記高いフレームレートを得るために、前記パルス化超音波ビームを、並行な複数本の狭い受信ビームによってカバーする
ことを特徴とする、超音波イメージング方法。
【請求項2】
少なくとも3つの互いに異なる二次元走査平面において対象物を実際上リアルタイムで超音波イメージングする超音波イメージング方法であって、前記超音波イメージング方法は、
超音波トランスデューサ・アレイによって、パルス化超音波ビームを電子的に走査する工程であって、前記パルス化超音波ビームは、共通軸線を中心として互いに異なる角度方向に配置された少なくとも3つの扇状の二次元走査平面内で電子的かつ自由に選択可能なビーム方向を有し、前記ビーム方向は、1)各二次元走査平面に対して順番にビーム走査が行なわれるように各二次元走査平面内でパルス毎に電子的に切替可能、或いは2)二次元走査平面内及び二次元走査平面間でパルス毎に電子的に切替可能であることと;
各ビーム方向におけるパルスからの後方散乱信号を用いて、画像サンプルビーム方向に沿った深さの関数としての画像データを作成する工程と;
それぞれ前記画像サンプルビーム方向からの画像データをグループ化することによって、高いフレームレートで各二次元走査平面からの対象物の二次元画像を得る工程と
を含み、
前記高いフレームレートは、対象物の動きに関係する実際上の目的に対して、前記少なくとも3つの互いに異なる二次元走査平面からのリアルタイム二次元画像を表示画面上に示すことができるようなフレームレートであり、
前記高いフレームレートを得るために、前記対象物についての情報をあまり得ることのできない場所で、前記パルス化超音波ビームのビーム密度は低減される
ことを特徴とする、超音波イメージング方法。
【請求項3】
少なくとも3つの互いに異なる二次元走査平面において心臓を実際上リアルタイムで超音波イメージングする超音波イメージング装置であって、前記超音波イメージング装置は、
超音波トランスデューサ・アレイによって、パルス化超音波ビームを電子的に走査することであって、前記パルス化超音波ビームは、共通軸線を中心として互いに異なる角度方向に配置された少なくとも3つの扇状の二次元走査平面内で電子的かつ自由に選択可能な
ビーム方向を有し、前記ビーム方向は、1)各二次元走査平面に対して順番にビーム走査が行なわれるように各二次元走査平面内でパルス毎に電子的に切替可能、或いは2)二次元走査平面内及び二次元走査平面間でパルス毎に電子的に切替可能であることと;
各ビーム方向におけるパルスからの後方散乱信号を用いて、画像サンプルビーム方向に沿った深さの関数としての画像データを作成することと;
それぞれ前記画像サンプルビーム方向からの画像データをグループ化することによって、高いフレームレートで各二次元走査平面からの心臓の二次元画像を得ることと
を実行するように構成され、
前記高いフレームレートは、心臓の動きに関係する実際上の目的に対して、前記少なくとも3つの互いに異なる二次元走査平面からのリアルタイム二次元画像を表示画面上に示すことができるようなフレームレートであり、
互いに異なる二次元走査平面において心臓を前記高いフレームレートで観察するために、全心周期に対して同じ二次元走査平面方向を保持し、心臓からのECG信号が引き金となって心筋の収縮が起こる前に、二次元走査平面の方向を変えるように構成されている
ことを特徴とする、超音波イメージング装置。
【請求項4】
少なくとも3つの互いに異なる二次元走査平面において対象物を実際上リアルタイムで超音波イメージングする超音波イメージング方法であって、前記超音波イメージング方法は、
超音波トランスデューサ・アレイによって、パルス化超音波ビームを電子的に走査する工程であって、前記パルス化超音波ビームは、共通軸線を中心として互いに異なる角度方向に配置された少なくとも3つの扇状の二次元走査平面内で電子的かつ自由に選択可能なビーム方向を有し、前記ビーム方向は、1)各二次元走査平面に対して順番にビーム走査が行なわれるように各二次元走査平面内でパルス毎に電子的に切替可能、或いは2)二次元走査平面内及び二次元走査平面間でパルス毎に電子的に切替可能であることと;
各ビーム方向におけるパルスからの後方散乱信号を用いて、画像サンプルビーム方向に沿った深さの関数としての画像データを作成する工程と;
それぞれ前記画像サンプルビーム方向からの画像データをグループ化することによって、高いフレームレートで各二次元走査平面からの対象物の二次元画像を得る工程と
を含み、
前記高いフレームレートは、対象物の動きに関係する実際上の目的に対して、前記少なくとも3つの互いに異なる二次元走査平面からのリアルタイム二次元画像を表示画面上に示すことができるようなフレームレートであり、
互いに隣接する二次元走査平面におけるサンプリングビーム間の遅延を最小限にして対象物を観察するために、二次元走査平面は、円のなかで各2次元ビームサンプリング毎に変更され、その結果、螺旋円錐内における対象物の三次元走査が得られる
ことを特徴とする、超音波イメージング方法。
【請求項5】
少なくとも3つの互いに異なる二次元走査平面において対象物を実際上リアルタイムで超音波イメージングする超音波イメージング方法であって、前記超音波イメージング方法は、
超音波トランスデューサ・アレイによって、パルス化超音波ビームを電子的に走査する工程であって、前記パルス化超音波ビームは、共通軸線を中心として互いに異なる角度方向に配置された少なくとも3つの扇状の二次元走査平面内で電子的かつ自由に選択可能なビーム方向を有し、前記ビーム方向は、1)各二次元走査平面に対して順番にビーム走査が行なわれるように各二次元走査平面内でパルス毎に電子的に切替可能、或いは2)二次元走査平面内及び二次元走査平面間でパルス毎に電子的に切替可能であることと;
各ビーム方向におけるパルスからの後方散乱信号を用いて、画像サンプルビーム方向に沿った深さの関数としての画像データを作成する工程と;
それぞれ前記画像サンプルビーム方向からの画像データをグループ化することによって
、高いフレームレートで各二次元走査平面からの対象物の二次元画像を得る工程と
を含み、
前記高いフレームレートは、対象物の動きに関係する実際上の目的に対して、前記少なくとも3つの互いに異なる二次元走査平面からのリアルタイム二次元画像を表示画面上に示すことができるようなフレームレートであり、
アレイの電極の幅を同一にし対象物を等角度でサンプリングすべく、ダイシングおよび電極方向が互いに同じ角度となるように選択してセラミックアイランドを得る
ことを特徴とする、超音波イメージング方法。
【請求項6】
少なくとも3つの互いに異なる二次元走査平面において対象物を実際上リアルタイムで超音波イメージングする超音波イメージング方法であって、前記超音波イメージング方法は、
超音波トランスデューサ・アレイによって、パルス化超音波ビームを電子的に走査する工程であって、前記パルス化超音波ビームは、共通軸線を中心として互いに異なる角度方向に配置された少なくとも3つの扇状の二次元走査平面内で電子的かつ自由に選択可能なビーム方向を有し、前記ビーム方向は、1)各二次元走査平面に対して順番にビーム走査が行なわれるように各二次元走査平面内でパルス毎に電子的に切替可能、或いは2)二次元走査平面内及び二次元走査平面間でパルス毎に電子的に切替可能であることと;
各ビーム方向におけるパルスからの後方散乱信号を用いて、画像サンプルビーム方向に沿った深さの関数としての画像データを作成する工程と;
それぞれ前記画像サンプルビーム方向からの画像データをグループ化することによって、高いフレームレートで各二次元走査平面からの対象物の二次元画像を得る工程と
を含み、
前記高いフレームレートは、対象物の動きに関係する実際上の目的に対して、前記少なくとも3つの互いに異なる二次元走査平面からのリアルタイム二次元画像を表示画面上に示すことができるようなフレームレートであり、
互いに隣接する二次元走査平面間の角度は、60度である
ことを特徴とする、超音波イメージング方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図5e】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−179117(P2010−179117A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64332(P2010−64332)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【分割の表示】特願2003−575823(P2003−575823)の分割
【原出願日】平成15年3月13日(2003.3.13)
【出願人】(502275274)
【氏名又は名称原語表記】ANGELSEN,Bjorn A.J.
【出願人】(502275285)
【氏名又は名称原語表記】JOHANSEN,Tonni F.
【Fターム(参考)】