説明

封着材料及びこれを用いたペースト材料

【課題】低出力のレーザでレーザ封着が可能な封着材料を創案することにより、有機EL素子パッケージを利用した有機ELデバイス等の長期信頼性を高める。
【解決手段】本発明の封着材料は、少なくともSnO含有ガラス粉末、耐火性フィラー、及び顔料を含む封着材料であって、(SnO含有ガラス粉末の平均粒径D50)/(耐火性フィラーの平均粒径D50)比が0.6〜4であり、且つレーザ封着に用いることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封着材料及びこれを用いたペースト材料に関し、具体的にはレーザによる封着処理(以下、レーザ封着)に用いる封着材料及びこれを用いたペースト材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フラットディスプレイパネルとして、有機ELディスプレイが注目されている。有機ELディスプレイは、直流電圧で駆動できるため駆動回路を簡略化できると共に、液晶ディスプレイのように視野角依存性がなく、また自己発光のため明るく、更には応答速度が速い等の利点がある。現在、有機ELディスプレイは、主に携帯電話等の小型携帯機器に利用されているが、今後は超薄型テレビへの応用が期待されている。なお、有機ELディスプレイは、液晶ディスプレイと同様にして、薄膜トランジスタ(TFT)等のアクティブ素子を各画素に配置して、駆動させる方式が主流である。
【0003】
有機ELディスプレイは、2枚のガラス基板、金属等の陰電極、有機発光層、ITO等の陽電極、接着材料等で構成される。従来、接着材料として、低温硬化性を有するエポキシ樹脂、或いは紫外線硬化樹脂等の有機樹脂系接着材料が使用されてきた。しかし、有機樹脂系接着材料では、気体の侵入を完全に遮断できない。このため、有機樹脂系接着材料を用いると、有機ELディスプレイ内部の気密性を保持することができず、これに起因して、耐水性が低い有機発光層が劣化し易くなって、有機ELディスプレイの表示特性が経時的に劣化する不具合が生じていた。また、有機樹脂系接着材料は、ガラス基板同士を低温で接着できる利点を有するものの、耐水性が低いため、有機ELディスプレイを長期に亘って使用した場合に、ディスプレイの信頼性が低下し易くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6416375号明細書
【特許文献2】特開2006−315902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガラス粉末を含む封着材料は、有機樹脂系接着材料に比べて、耐水性に優れると共に、有機ELディスプレイ内部の気密性の確保に適している。
【0006】
しかし、ガラス粉末は、一般的に、軟化温度が300℃以上であるため、有機ELディスプレイに適用が困難であった。具体的に説明すると、上記の封着材料でガラス基板同士を封着する場合、電気炉に有機ELディスプレイ全体を投入して、ガラス粉末の軟化温度以上の温度で焼成し、ガラス粉末を軟化流動させる必要があった。しかし、有機ELディスプレイに用いられるアクティブ素子は、120〜130℃程度の耐熱性しか有していないため、この方法でガラス基板同士を封着すると、アクティブ素子が熱により損傷して、有機ELディスプレイの表示特性が劣化してしまう。また、有機発光材料も耐熱性が乏しいため、この方法でガラス基板同士を封着すると、有機発光材料が熱により損傷して、有機ELディスプレイの表示特性が劣化してしまう。
【0007】
このような事情に鑑み、近年、有機ELディスプレイを封着する方法として、レーザ封着が検討されている。レーザ封着によれば、封着すべき部分のみを局所加熱できるため、アクティブ素子等の熱劣化を防止した上で、ガラス基板同士を封着することができる。
【0008】
特許文献1、2には、フィールドエミッションディスプレイのガラス基板同士をレーザ封着することが記載されている。しかし、特許文献1、2には具体的な材料構成について記載がなく、どのような材料構成がレーザ封着に好適であるのか不明であった。このため、レーザを封着材料に照射しても、封着材料がレーザを的確に吸収できず、封着すべき部分において、レーザの光を熱エネルギーに効率良く変換させることが困難であった。なお、レーザの出力を上げると、材料構成を適正化しなくても、レーザ封着が可能になるが、この場合、アクティブ素子等が加熱されて、有機ELディスプレイの表示特性が劣化する虞がある。
【0009】
そこで、本発明は、低出力のレーザでレーザ封着が可能な封着材料を創案することにより、有機EL素子パッケージを利用した有機ELデバイス等の長期信頼性を高めることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、鋭意検討の結果、少なくともSnO含有ガラス粉末、耐火性フィラー、及び顔料を含む封着材料を用いると共に、SnO含有ガラス粉末の粒度と耐火性フィラーの粒度を所定範囲に規制することにより、上記技術的課題を解決できることを見出し、本発明として、提案するものである。すなわち、本発明の封着材料は、少なくともSnO含有ガラス粉末、耐火性フィラー、及び顔料を含む封着材料であって、(SnO含有ガラス粉末の平均粒径D50)/(耐火性フィラーの平均粒径D50)比が0.6〜4であり、且つレーザ封着に用いることを特徴とする。ここで、「SnO含有ガラス粉末」とは、ガラス組成として、SnOを20モル%以上含むガラス粉末を指す。また、「平均粒径D50」は、レーザ回折式粒度分布計で測定した値を指し、レーザ回折式粒度分布計により測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して50%である粒径を表す。
【0011】
本発明の封着材料は、少なくともSnO含有ガラス粉末、耐火性フィラー、及び顔料を含む。このようにすれば、レーザ封着の効率、信頼性を高めることができる。なお、SnO含有ガラス粉末は、軟化温度が低いため、低温で軟化流動することが可能である。耐火性フィラーは、熱膨張係数が低いため、封着材料の熱膨張係数を低下させることが可能である。顔料は、発色性に優れるため、レーザの吸収性が良好である。
【0012】
本発明者等は、焼成膜と被封着物(ガラス基板等)を密着させると、低出力のレーザでレーザ封着し得ることを見出すと共に、(SnO含有ガラス粉末の平均粒径D50)/(耐火性フィラーの平均粒径D50)比を0.6〜4に規制すると、焼成膜(グレーズ膜)の表面平滑性が向上して、焼成膜と被封着物の密着性が顕著に向上することを見出した。
【0013】
したがって、本発明の封着材料は、低出力のレーザでレーザ封着が可能である。その結果、有機ELデバイス内部の気密性を適正に確保できるため、有機発光層を劣化させるHOやO等が有機ELデバイス内部に侵入する事態を防止でき、結果として、有機ELデバイスの長期信頼性を高めることができる。
【0014】
第二に、本発明の封着材料は、SnO含有ガラス粉末の平均粒径D50が1.0〜3.0μmであることが好ましい。
【0015】
第三に、本発明の封着材料は、耐火性フィラーの平均粒径D50が0.5〜2.0μmであることが好ましい。
【0016】
第四に、本発明の封着材料は、顔料が非晶質カーボン又はグラファイトであることが好ましい。非晶質カーボン又グラファイトは、発色性に優れるため、レーザの吸収性が良好であると共に、レーザ封着の際に、SnO含有ガラス粉末が変質する事態を防止する効果、つまりレーザ封着の際にガラス組成中のSnOがSnOに酸化する事態を防止する効果も有する。
【0017】
第五に、本発明の封着材料は、顔料の一次粒子の平均粒径D50が1〜100nmであることが好ましい。
【0018】
第六に、本発明の封着材料は、顔料の含有量が0.05〜1質量%であることが好ましい。顔料の含有量を0.05質量%以上に規制にすれば、レーザの光を熱エネルギーに効率良く変換できるため、封着すべき部分のみを局所加熱し易くなり、結果として、アクティブ素子等の熱劣化を防止した上で、ガラス基板同士をレーザ封着し易くなる。一方、顔料の含有量を1質量%以下に規制すれば、レーザ照射時の過剰加熱を抑制できると共に、レーザ封着の際に、ガラスが失透する事態を防止し易くなる。
【0019】
第七に、本発明の封着材料は、SnO含有ガラス粉末が、ガラス組成として、モル%で、SnO 35〜70%、P 10〜30%を含有することが好ましい。
【0020】
第八に、本発明の封着材料は、SnO含有ガラス粉末が、ガラス組成として、ZnOを1〜20モル%含むことを特徴とする。
【0021】
第九に、本発明の封着材料は、SnO含有ガラス粉末が、ガラス組成として、Bを1〜20モル%含むことが好ましい。
【0022】
第十に、本発明の封着材料は、SnO含有ガラス粉末が、ガラス組成として、Alを0.1〜10モル%含むことが好ましい。
【0023】
第十一に、本発明の封着材料は、SnO含有ガラス粉末と耐火性フィラーの混合割合が、体積%で40〜99.9%:0.1〜60%であることが好ましい。
【0024】
第十二に、本発明の封着材料は、耐火性フィラーとして、コーディエライト、ジルコン、酸化錫、酸化ニオブ、リン酸ジルコニウム系セラミック、NbZr(POから選ばれる一種又は二種以上を含むことが好ましい。
【0025】
第十三に、本発明の封着材料は、有機ELデバイスの封着に用いることが好ましい。ここで、「有機ELデバイス」には、有機ELディスプレイ、有機EL照明装置等が含まれる。
【0026】
第十四に、本発明のペースト材料は、封着材料とビークルを含むペースト材料において、封着材料が上記の封着材料であることを特徴とする。
【0027】
第十五に、本発明のペースト材料は、ビークルが、脂肪族ポリオレフィン系カーボネートを含むことが好ましい。第十六に、本発明のペースト材料は、ビークルが、更に、N,N’-ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、ジメチルスルホキサイド、炭酸ジメチル、プロピレンカーボネート、ブチロラクトン、カプロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、フェニルジグリコール(PhDG)、フタル酸ジブチル(DBP)、ベンジルグリコール(BzG)、ベンジルジグリコール(BzDG)、フェニルグリコール(PhG)から選ばれる一種又は二種以上を含むことが好ましい。
【0028】
第十七に、本発明のペースト材料は、不活性雰囲気における脱バインダー処理に供されることが好ましい。ここで、「不活性雰囲気」には、Nガス雰囲気、Arガス雰囲気等の中性ガス雰囲気、真空雰囲気等の減圧雰囲気が含まれる。
【0029】
第十八に、本発明のペースト材料は、不活性雰囲気におけるレーザ封着に供されることが好ましい。
【0030】
第十九に、本発明の焼成膜の作製方法は、ペースト材料を焼成して、焼成膜を作製する焼成膜の作製方法であって、焼成膜の表面粗さRaが0.6μm以下、表面粗さRMSが1.0μm以下になるように、上記のペースト材料を焼成することを特徴とする。ここで、「表面粗さRa」は、JIS B0601:2001に準拠した方法で測定した値を指す。また、「表面粗さRMS」は、JIS B0601:2001に準拠した方法で測定した値を指す。
【0031】
第二十に、本発明のレーザ封着方法は、上記の焼成膜にレーザを照射して、レーザ封着を行うことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】マクロ型DTA装置で測定したときの封着材料の軟化温度を示す模式図である。
【図2】フェニルグリコール(PhG)がペースト材料の乾燥速度に及ぼす影響を示すデータである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の封着材料において、(SnO含有ガラス粉末の平均粒径D50)/(耐火性フィラーの平均粒径D50)比が0.6〜4、好ましくは0.8〜3である。(SnO含有ガラス粉末の平均粒径D50)/(耐火性フィラーの平均粒径D50)比が0.6より小さいと、SnO含有ガラス粉末に対して耐火性フィラーの比表面積が大きくなり過ぎて、SnO含有ガラス粉末が失透し易くなり、結果として、封着材料の軟化流動が阻害される虞があると共に、失透に起因して、焼成膜の表面に凹凸が残存し易くなる。一方、(SnO含有ガラス粉末の平均粒径D50)/(耐火性フィラーの平均粒径D50)比が4より大きいと、SnO含有ガラス粉末の粒度に対して耐火性フィラーの粒度が大きくなり、また耐火性フィラー粉末自身は軟化流動しないため、焼成膜の表面に凹凸が残存し易くなる。なお、焼成膜の凹凸が大きいと、焼成膜の表面平滑性が損なわれて、レーザ封着の前に、被封着物同士(例えば、ガラス基板同士)を均一に密着させることが困難になり、結果として、低出力のレーザでレーザ封着を行うことが困難になる。
【0034】
本発明の封着材料は、レーザ封着に用いることを特徴とする。なお、上記の通り、レーザ封着によれば、封着すべき部分のみを局所加熱できるため、アクティブ素子等の熱劣化を防止した上で、ガラス基板同士を封着することができる。
【0035】
レーザ封着には、種々のレーザを使用することができる。特に、半導体レーザ、YAGレーザ、COレーザ、エキシマレーザ、赤外レーザ等は、取扱いが容易な点で好ましい。
【0036】
本発明の封着材料において、SnO含有ガラス粉末の平均粒径D50は1.0〜3.0μm、特に1.5〜2.5μmが好ましい。SnO含有ガラス粉末の平均粒径D50が1.0μmより小さいと、焼成時にガラスが失透し易くなり、封着材料の軟化流動が阻害される虞がある。また粉砕、分級の際に、ガラス粉末が凝集し易くなり、ペースト材料の混練後に凝集物として残存し、スクリーン印刷の際にスクリーンメッシュの目詰まり原因になる虞がある。一方、SnO含有ガラス粉末の平均粒径D50が3.0μmより大きいと、スクリーン印刷の際に印刷面の凹凸が大きくなり過ぎて、焼成膜の表面平滑性を高めることが困難になる。また焼成時に封着材料が軟化流動し難くなるため、焼成温度を上昇させる必要があり、この場合、被封着物の熱的損傷が大きくなり易く、コスト高の一因にもなり得る。
【0037】
本発明の封着材料において、耐火性フィラーの平均粒径D50は0.5〜2.0μm、特に0.5〜1.8μmが好ましい。耐火性フィラーの平均粒径D50が0.5μmより小さいと、焼成時に耐火性フィラーがガラス中に溶け込み易くなり、封着材料の軟化流動が阻害される虞がある。また粉砕、分級の際に、耐火性フィラーが凝集し易くなり、ペースト材料の混練後に凝集物として残存し、スクリーン印刷の際に、スクリーンメッシュの目詰まり原因になる虞がある。一方、耐火性フィラーの平均粒径D50が2.0μmより大きいと、スクリーン印刷の際に印刷面の凹凸が大きくなり過ぎて、焼成膜の表面平滑性を高めることが困難になる。
【0038】
本発明の封着材料において、SnO含有ガラス粉末の90%粒径D90は7.0μm以下が好ましく、また耐火性フィラーの90%粒径D90は5.0μm以下が好ましい。このようにすれば、両ガラス基板間のギャップを狭小化し易くなり、この場合、レーザ封着に要する時間が短縮されると共に、ガラス基板と封着材料の熱膨張係数に差があっても、ガラス基板や封着部分にクラック等が発生し難くなる。ここで、「90%粒径D90」は、レーザ回折式粒度分布計で測定した値を指し、レーザ回折式粒度分布計により測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して90%である粒径を表す。
【0039】
本発明の封着材料において、SnO含有ガラス粉末の最大粒径D99は15μm以下が好ましく、また耐火性フィラーの最大粒径D99は10μm以下が好ましい。このようにすれば、両ガラス基板間のギャップを狭小化し易くなり、この場合、レーザ封着に要する時間が短縮されると共に、ガラス基板と封着材料の熱膨張係数に差があっても、ガラス基板や封着部分にクラック等が発生し難くなる。ここで、「最大粒径D99」は、レーザ回折式粒度分布計で測定した値を指し、レーザ回折式粒度分布計により測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して99%である粒径を表す。
【0040】
本発明の封着材料において、顔料は、無機顔料が好ましく、カーボン、Co、CuO、Cr、Fe、MnO、SnO、Ti2n−1(nは整数)から選ばれる一種又は二種以上がより好ましく、特にカーボンが好ましい。これらの顔料は、発色性に優れており、レーザの吸収性が良好である。カーボンとして、非晶質カーボン又はグライファイトが好ましい。これらのカーボンは、一次粒子の平均粒径D50を1〜100nmに加工し易い性質を有している。
【0041】
本発明の封着材料において、顔料の一次粒子の平均粒径D50は1〜100nm、3〜70nm、5〜60nm、特に10〜50nmが好ましい。顔料の一次粒子の平均粒径D50が小さ過ぎると、顔料同士が凝集し易くなるため、顔料が均一に分散し難くなって、レーザ封着の際に封着材料が局所的に軟化流動しない虞がある。一方、顔料の一次粒子の平均粒径D50が大き過ぎても、顔料が均一に分散し難くなり、レーザ封着の際に封着材料が局所的に軟化流動しない虞がある。
【0042】
本発明の封着材料において、顔料の含有量は0.05〜1質量%、特に0.1〜0.5質量%が好ましい。顔料の含有量が少な過ぎると、レーザの光を熱エネルギーに変換し難くなる。一方、顔料の含有量が多過ぎると、レーザ封着の際に封着材料が軟化流動し難くなり、また封着強度を高めることが困難になる。
【0043】
顔料は、環境的観点から、実質的にCr系酸化物を含有しないことが好ましい。ここで、「実質的にCr系酸化物を含有しない」とは、顔料中のCr系酸化物の含有量が1000ppm(質量)以下の場合を指す。
【0044】
本発明の封着材料において、SnO含有ガラス粉末は、ガラス組成として、下記酸化物換算のモル%表示で、SnO 35〜70%、P 10〜30%を含むことが好ましい。上記のようにガラス組成範囲を限定した理由を以下に示す。なお、各成分の含有範囲の説明において、%表示は、特に断りがある場合を除き、モル%を指す。
【0045】
SnOは、ガラスを低融点化する成分であり、必須成分である。その含有量は35〜70%、40〜70%、特に50〜68%が好ましい。なお、SnOの含有量が50%以上であれば、レーザ封着の際に、ガラスが軟化流動し易くなる。SnOの含有量が35%より少ないと、ガラスの粘性が高くなり過ぎて、所望のレーザ出力でレーザ封着し難くなる。一方、SnOの含有量が70%より多いと、ガラス化が困難になる。
【0046】
は、ガラス形成酸化物であり、ガラスの熱安定性を高める成分である。その含有量は10〜30%、15〜27%、特に15〜25%が好ましい。Pの含有量が10%より少ないと、ガラスの熱的安定性が低下し易くなる。一方、Pの含有量が30%より多いと、ガラスの耐候性が低下し、有機ELデバイス等の長期信頼性を確保し難くなる。
【0047】
上記成分以外にも、例えば、以下の成分を添加してもよい。
【0048】
ZnOは、中間酸化物であり、ガラスを安定化させる成分である。その含有量は0〜30%、1〜20%、特に1〜15%が好ましい。ZnOの含有量が30%より多いと、ガラスの熱的安定性が低下し易くなる。
【0049】
は、ガラス形成酸化物であり、ガラスを安定化させる成分である。また、Bは、ガラスの耐候性を高める成分である。その含有量は0〜20%、1〜20%、特に2〜15%が好ましい。Bの含有量が20%より多いと、ガラスの粘性が高くなり過ぎて、所望のレーザ出力でレーザ封着し難くなる。
【0050】
Alは、中間酸化物であり、ガラスを安定化させる成分である。また、Alは、ガラスの熱膨張係数を低下させる成分である。その含有量は0〜10%、0.1〜10%、特に0.5〜5%が好ましい。Alの含有量が10%より多いと、ガラス粉末の軟化温度が不当に上昇して、所望のレーザ出力でレーザ封着し難くなる。
【0051】
SiOは、ガラス形成酸化物であり、ガラスを安定化させる成分である。その含有量は0〜15%、特に0〜5%が好ましい。SiOの含有量が15%より多いと、ガラス粉末の軟化温度が不当に上昇して、所望のレーザ出力でレーザ封着し難くなる。
【0052】
Inは、ガラスの熱的安定性を高める成分であり、その含有量は0〜5%が好ましい。Inの含有量が5%より多いと、バッチコストが高騰する。
【0053】
Taは、ガラスの熱的安定性を高める成分であり、その含有量は0〜5%が好ましい。Taの含有量が5%より多いと、ガラス粉末の軟化温度が不当に上昇して、所望のレーザ出力でレーザ封着し難くなる。
【0054】
Laは、ガラスの熱的安定性を高める成分であり、またガラスの耐候性を高める成分である。その含有量は0〜15%、0〜10%、特に0〜5%が好ましい。Laの含有量が15%より多いと、バッチコストが高騰する。
【0055】
MoOは、ガラスの熱的安定性を高める成分であり、その含有量は0〜5%が好ましい。MoOの含有量が5%より多いと、ガラス粉末の軟化温度が不当に上昇して、所望のレーザ出力でレーザ封着し難くなる。
【0056】
WOは、ガラスの熱的安定性を高める成分であり、その含有量は0〜5%が好ましい。WOの含有量が5%より多いと、ガラス粉末の軟化温度が不当に上昇して、所望のレーザ出力でレーザ封着し難くなる。
【0057】
LiOは、ガラスを低融点化する成分であり、その含有量は0〜5%が好ましい。LiOの含有量が5%より多いと、ガラスの熱的安定性が低下し易くなる。
【0058】
NaOは、ガラスを低融点化する成分であり、その含有量は0〜10%、特に0〜5%が好ましい。NaOの含有量が10%より多いと、ガラスの熱的安定性が低下し易くなる。
【0059】
Oは、ガラスを低融点化する成分であり、その含有量は0〜5%が好ましい。KOの含有量が5%より多いと、ガラスの熱的安定性が低下し易くなる。
【0060】
MgOは、ガラスの熱的安定性を高める成分であり、その含有量は0〜15%が好ましい。MgOの含有量が15%より多いと、ガラス粉末の軟化温度が不当に上昇して、所望のレーザ出力でレーザ封着し難くなる。
【0061】
BaOは、ガラスの熱的安定性を高める成分であり、その含有量は0〜10%が好ましい。BaOの含有量が10%より多いと、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが失透し易くなる。
【0062】
は、ガラスを低融点化する成分であり、その含有量は0〜5%が好ましい。Fの含有量が5%より多いと、ガラスの熱的安定性が低下し易くなる。
【0063】
熱的安定性と低融点特性を考慮すれば、In、Ta、La、MoO、WO、LiO、NaO、KO、MgO、BaO、Fの合量は10%以下が好ましい。
【0064】
上記成分以外にも他の成分(CaO、SrO等)を例えば10%まで添加することができる。
【0065】
本発明に係るSnO含有ガラス粉末は、実質的に遷移金属酸化物を含まないことが好ましい。このようにすれば、ガラスの熱的安定性が低下する事態を防止し易くなる。ここで、「実質的に遷移金属酸化物を含有しない」とは、ガラス組成中の遷移金属酸化物の含有量が3000ppm(質量)以下、好ましくは1000ppm(質量)以下の場合を指す。
【0066】
なお、本発明に係るSnO含有ガラス粉末は、環境的観点から、実質的にPbOを含有しないことが好ましい。ここで、「実質的にPbOを含有しない」とは、ガラス組成中のPbOの含有量が1000ppm(質量)以下の場合を指す。
【0067】
本発明の封着材料は、耐火性フィラーを含む。このようにすれば、封着材料の熱膨張係数を低下できると共に、封着材料の機械的強度を高めることができる。SnO含有ガラス粉末と耐火性フィラーの混合割合は、体積%で40〜99.9%:0.1〜60%、45〜90%:10〜55%、50〜80%:20〜50%、50〜70%:30〜50%、特に50〜65%:35〜50%が好ましい。耐火性フィラーの含有量が少な過ぎると、耐火性フィラーによる効果を享受し難くなる。一方、耐火性フィラーの含有量が多過ぎると、SnO含有ガラス粉末の割合が相対的に少なくなり、レーザ封着の効率が低下し易くなる。
【0068】
耐火性フィラーとして、ジルコン、ジルコニア、酸化錫、石英、β−スポジュメン、コーディエライト、ムライト、石英ガラス、β−ユークリプタイト、β−石英、リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウム、タングステン酸ジルコニウム、NbZr(PO等の[AB(MO]の基本構造をもつ化合物、
A:Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cu、Ni、Mn等
B:Zr、Ti、Sn、Nb、Al、Sc、Y等
M:P、Si、W、Mo等
若しくはこれらの固溶体が使用可能である。
【0069】
本発明の封着材料において、軟化温度は450℃以下、420℃以下、特に400℃以下が好ましい。軟化温度が450℃より高いと、レーザ封着の効率が低下し易くなる。軟化温度の下限は特に限定されないが、SnO含有ガラスの熱的安定性を考慮すれば、軟化温度を300℃以上に規制することが好ましい。ここで、「軟化温度」とは、窒素雰囲気下において、マクロ型示差熱分析(DTA)装置で測定した値を指し、DTAは室温から測定を開始し、昇温速度は10℃/分とする。なお、マクロ型DTA装置で測定した軟化温度は、図1に示す第四屈曲点の温度(Ts)を指す。
【0070】
現在、有機ELディスプレイには、駆動方式として、TFT等のアクティブ素子を各画素に配置して駆動させるアクティブマトリクス駆動が採用されている。この場合、有機ELディスプレイ用ガラス基板には、無アルカリガラス(例えば、日本電気硝子株式会社製OA−10G)が使用される。無アルカリガラスの熱膨張係数は、通常、40×10−7/℃以下である。一方、従来の封着材料の熱膨張係数は、通常、76〜83×10−7/℃である。このため、封着材料の熱膨張係数を無アルカリガラスの熱膨張係数に厳密に適合させることが困難であった。しかし、本発明に係るSnO含有ガラス粉末は、低膨張の耐火性フィラー、特にNbZr(PO、リン酸ジルコニウムとの適合性が良好である。従って、本発明に係るSnO含有ガラス粉末を用いると、封着材料の熱膨張係数を顕著に低下させることが可能になる。本発明の封着材料において、熱膨張係数は75×10−7/℃以下、65×10−7/℃以下、55×10−7/℃以下、特に49×10−7/℃以下が好ましい。このようにすれば、封着部分にかかる応力が小さくなるため、封着部分の応力破壊を防止し易くなる。ここで、「熱膨張係数」とは、押棒式熱膨張係数測定(TMA)装置により、30〜300℃の温度範囲で測定した平均値を指す。
【0071】
本発明の封着材料と、ビークルとを混練して、ペースト材料に加工することが好ましい。このようにすれば、塗布作業性等を高めることができる。なお、ビークルは、通常、樹脂バインダーと溶媒を含む。
【0072】
本発明のペースト材料において、樹脂バインダーは、脂肪族ポリオレフィン系カーボネート、特にポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネートが好ましい。これらの樹脂バインダーは、脱バインダー又はレーザ封着の際にSnO含有ガラス粉末を変質させ難い特徴を有する。
【0073】
本発明のペースト材料において、溶媒は、N,N’−ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、ジメチルスルホキサイド、炭酸ジメチル、プロピレンカーボネート、ブチロラクトン、カプロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、フェニルジグリコール(PhDG)、フタル酸ジブチル(DBP)、ベンジルグリコール(BzG)、ベンジルジグリコール(BzDG)、フェニルグリコール(PhG)から選ばれる一種又は二種以上が好ましい。これらの溶媒は、脱バインダー又はレーザ封着の際にSnO含有ガラス粉末を変質させ難い特徴を有する。特に、これらの溶媒の内、プロピレンカーボネート、フェニルジグリコール(PhDG)、フタル酸ジブチル(DBP)、ベンジルグリコール(BzG)、ベンジルジグリコール(BzDG)、フェニルグリコール(PhG)から選ばれる一種又は二種以上が好ましい。これらの溶媒は、沸点が240℃以上である。このため、これらの溶媒を使用すると、スクリーン印刷等の塗布作業の際に、溶媒の揮発を抑制し易くなり、結果として、ペースト材料を長期的に安定して使用することが可能になる。更に、フェニルジグリコール(PhDG)、フタル酸ジブチル(DBP)、ベンジルグリコール(BzG)、ベンジルジグリコール(BzDG)、フェニルグリコール(PhG)は、顔料との親和性が高い。このため、これらの溶媒の添加量が少量でも、ペースト材料中で顔料が分離する事態を抑制することができる。
【0074】
上記の通り、プロピレンカーボネート、フェニルジグリコール(PhDG)、フタル酸ジブチル(DBP)、ベンジルグリコール(BzG)、ベンジルジグリコール(BzDG)、フェニルグリコール(PhG)は、溶媒の揮発を抑制して、ペースト材料の長期安定性を高める効果を有する。フェニルジグリコール(PhDG)を例にとり、この効果を具体的に説明する。まずプロピレンカーボネートに対して、図2に記載の通りに、フェニルジグリコール(PhDG)を外挿添加して、各種溶媒を作製した。次に、この溶媒をガラス基板(日本電気硝子株式会社製OA−10G)に一定量滴下した上で、図2に記載の通りにガラス基板を放置した。最後に、溶媒の減量率を測定することにより、フェニルジグリコール(PhDG)がペースト材料の乾燥速度に及ぼす影響を評価した。その結果を図2に示す。図2によると、フェニルジグリコール(PhDG)の含有量が多くなると、溶媒の減量率が小さくなる。よって、フェニルジグリコール(PhDG)を添加すれば、ペースト材料の乾燥速度が遅くなり、結果として、ペースト材料の長期安定性が向上することが分かる。
【0075】
本発明のペースト材料は、不活性雰囲気における脱バインダー処理に供されることが好ましく、特にN雰囲気における脱バインダー処理に供されることが好ましい。このようにすれば、脱バインダーの際にSnO含有ガラス粉末が変質する事態を防止し易くなる。
【0076】
本発明のペースト材料は、不活性雰囲気におけるレーザ封着に供されることが好ましく、特にN雰囲気におけるレーザ封着に供されることが好ましい。このようにすれば、レーザ封着の際にSnO含有ガラス粉末が変質する事態を防止し易くなる。
【0077】
本発明の焼成膜の焼成方法は、ペースト材料を焼成して、焼成膜を作製する焼成膜の作製方法であって、焼成膜の表面粗さRaが0.6μm以下、表面粗さRMSが1.0μm以下になるように、上記のペースト材料を焼成することを特徴とする。
【0078】
焼成膜の表面粗さRaは0.6μm以下、0.5μm以下、特に0.4μm以下が好ましい。このようにすれば、レーザ封着後に強固な封着強度を確保し易くなる。
【0079】
焼成膜の表面粗さRMSは1.0μm以下、0.8μm以下、特に0.7μm以下が好ましい。このようにすれば、レーザ封着後に強固な封着強度を確保し易くなる。
【0080】
本発明のレーザ封着方法は、上記焼成膜にレーザを照射して、レーザ封着を行うことを特徴とする。このようにすれば、長期に亘って、封着部分の剥離を防止し易くなる。
【実施例】
【0081】
実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。但し、以下の実施例は単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
【0082】
表1は、本発明の実施例(試料No.1〜5)、比較例(試料No.6、7)を示している。
【0083】
【表1】

【0084】
次のようにして各SnO含有ガラス粉末を調製した。まず所定のガラス組成(モル%で、SnO 59%、P 20%、ZnO 5%、B 15%、Al 1%)になるように、原料を調合した後、この調合原料をアルミナ坩堝に入れて、窒素雰囲気下において、900℃で1〜2時間溶融した。次に、得られた溶融ガラスを水冷ローラーによりフィルム状に成形した。続いて、ボールミルによりガラスフィルムを粉砕した後、分級し、表中に記載の粒度を有するSnO含有ガラス粉末を得た。
【0085】
耐火性フィラーとして、リン酸ジルコニウム粉末を用いた。リン酸ジルコニウムの粉砕、分級条件を調整することにより、表中に記載の粒度を有する耐火性フィラーを得た。
【0086】
顔料として、ケッチェンブラック(グラファイト)を用いた。顔料の一次粒子の平均粒径D50は20nmであった。
【0087】
SnO含有ガラス粉末、耐火性フィラー、顔料の粒度は、レーザ回折式粒度分布計で測定した値である。
【0088】
上記により調製した無機粉末(SnO含有ガラス粉末 60体積%、耐火性フィラー 40体積%) 99.75質量%と顔料 0.25質量%とを混合して、封着材料を作製した。
【0089】
得られた封着材料に対して、軟化温度と30〜300℃の温度範囲における熱膨張係数を測定した。
【0090】
軟化温度は、DTA装置で測定した値である。測定は、窒素雰囲気下において、昇温速度10℃/分で行い、室温から測定を開始した。
【0091】
30〜300℃の温度範囲における熱膨張係数は、TMA装置で測定した値である。なお、測定試料として、各封着材料を緻密に焼結させたものを使用した。
【0092】
次のようにして、ペースト材料を作製した。まず粘度が約100Pa・s(25℃、Shear rate:4)になるように、封着材料とビークルを混練した後、更に三本ロールミルで均一になるまで混錬し、ペースト化した。ビークルの樹脂成分として、ポリエチレンカーボネート樹脂(MW:129000)、溶媒成分として、プロピレンカーボネートを用いた。なお、プロピレンカーボネート中にポリエチレンカーボネート(PEC、分子量:200000)を20質量%溶解させたビークルを使用した。次に、縦40mm×横50mm×厚み0.5mmのガラス基板(日本電気硝子株式会社製OA−10G)の周縁部に、上記のペースト材料を厚み:約30μm、幅:約0.6mmになるように、スクリーン印刷機で印刷した上で、大気雰囲気下にて、120℃で30分間乾燥した後、窒素雰囲気下にて、480℃で10分間焼成して、ペースト中の樹脂成分の焼却(脱バインダー処理)、及び封着材料の固着を行い、表中に記載の平均膜厚、表面粗さ(Ra、RMS)を有する焼成膜を得た。
【0093】
焼成膜の膜厚は、非接触型レーザ膜厚計で測定した値である。
【0094】
焼成膜の表面粗さ(Ra、RMS)は、表面粗さ計で測定した値である。
【0095】
続いて、焼成膜上に、縦50mm×横50mm×厚み0.5mmのガラス基板(日本電気硝子株式会社製OA−10G)を窒素雰囲気下で配置した後、焼成膜が形成されたガラス基板側から焼成膜に沿って、波長808nmのレーザを照射することにより、焼成膜を軟化流動させて、ガラス基板同士を気密封着した。なお、焼成膜の平均膜厚に応じて、レーザの照射条件(出力、照射速度)を調整した。
【0096】
高温高湿高圧試験:HAST試験(Highly Accelerated Temperature and Humidity Stress test)後の封着部分における剥離の有無を観察して、レーザ封着後の封着性を評価した。なお、HAST試験の条件は、121℃、湿度100%、2atmの、24時間である。
【0097】
表1から明らかなように、試料No.1〜5は、HAST試験後に封着部分が剥離しておらず、強固な封着性を維持していた。また、試料No.1〜5は、焼成膜の表面粗さRaが0.3〜0.5μm、表面粗さRMSが0.5〜0.8μmであり、良好な表面平滑性を有していた。一方、試料No.6、7は、HAST試験後にすべての封着部分に剥離が認められた。また、試料No.6、7は、焼成膜の表面粗さRaが1.1〜1.2μm、表面粗さRMSが1.4〜1.6μmであり、表面平滑性に劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明の封着材料は、有機ELディスプレイ、有機EL照明装置等の有機ELデバイス以外にも、色素増感型太陽電池等の太陽電池のレーザ封着、リチウムイオン二次電池のレーザ封着、MEMSパッケージのレーザ封着等にも好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともSnO含有ガラス粉末、耐火性フィラー、及び顔料を含む封着材料であって、
(SnO含有ガラス粉末の平均粒径D50)/(耐火性フィラーの平均粒径D50)比が0.6〜4であり、且つレーザ封着に用いることを特徴とする封着材料。
【請求項2】
SnO含有ガラス粉末の平均粒径D50が1.0〜3.0μmであることを特徴とする請求項1に記載の封着材料。
【請求項3】
耐火性フィラーの平均粒径D50が0.5〜2.0μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の封着材料。
【請求項4】
顔料が非晶質カーボン又はグラファイトであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の封着材料。
【請求項5】
顔料の一次粒子の平均粒径D50が1〜100nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の封着材料。
【請求項6】
顔料の含有量が0.05〜1質量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の封着材料。
【請求項7】
SnO含有ガラス粉末が、ガラス組成として、モル%で、SnO 35〜70%、P 10〜30%を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の封着材料。
【請求項8】
SnO含有ガラス粉末が、ガラス組成として、ZnOを1〜20モル%含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の封着材料。
【請求項9】
SnO含有ガラス粉末が、ガラス組成として、Bを1〜20モル%含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の封着材料。
【請求項10】
SnO含有ガラス粉末が、ガラス組成として、Alを0.1〜10モル%含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の封着材料。
【請求項11】
SnO含有ガラス粉末と耐火性フィラーの混合割合が、体積%で40〜99.9%:0.1〜60%であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の封着材料。
【請求項12】
耐火性フィラーとして、コーディエライト、ジルコン、酸化錫、酸化ニオブ、リン酸ジルコニウム系セラミック、NbZr(POから選ばれる一種又は二種以上を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の封着材料。
【請求項13】
有機ELデバイスの封着に用いることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の封着材料。
【請求項14】
封着材料とビークルを含むペースト材料において、
封着材料が請求項1〜13のいずれか一項に記載の封着材料であることを特徴とするペースト材料。
【請求項15】
ビークルが、脂肪族ポリオレフィン系カーボネートを含むことを特徴とする請求項14に記載のペースト材料。
【請求項16】
ビークルが、更に、N,N’-ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、ジメチルスルホキサイド、炭酸ジメチル、プロピレンカーボネート、ブチロラクトン、カプロラクトン、N-メチル−2−ピロリドン、フェニルジグリコール(PhDG)、フタル酸ジブチル(DBP)、ベンジルグリコール(BzG)、ベンジルジグリコール(BzDG)、フェニルグリコール(PhG)から選ばれる一種又は二種以上を含むことを特徴とする請求項14又は15に記載のペースト材料。
【請求項17】
不活性雰囲気における脱バインダー処理に供されることを特徴とする請求項14〜16のいずれか一項に記載のペースト材料。
【請求項18】
不活性雰囲気におけるレーザ封着に供されることを特徴とする請求項14〜17のいずれか一項に記載のペースト材料。
【請求項19】
ペースト材料を焼成して、焼成膜を作製する焼成膜の作製方法であって、
焼成膜の表面粗さRaが0.6μm以下、表面粗さRMSが1.0μm以下になるように、請求項14〜18のいずれか一項に記載のペースト材料を焼成することを特徴とする焼成膜の作製方法。
【請求項20】
請求項19に記載の焼成膜にレーザを照射して、レーザ封着を行うことを特徴とするレーザ封着方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−162441(P2012−162441A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37839(P2011−37839)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】