説明

封筒加工機

【課題】便箋を傷つけずに簡単に開封でき、開封後の見た目が良く、そのまま保管できるような封筒を製造する、封筒加工機を提供する。
【解決手段】封筒を連続的に供給する封筒供給部20と、供給された封筒を一定の間隔で搬送するための位置決めコンベア部30と、切り糸に糊剤を塗布して供給する糸供給部40と、封筒に切り糸を貼り付ける糸貼り部50と、糊剤を乾燥するための乾燥部60及び切り糸を切断する糸切断部70を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封筒に切り糸を取り付けて簡単に開封できるようにする封筒加工機に関し、特に、開封の後にも封筒の見栄えを良くすることができる封筒加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、封筒を受け取った人は、封筒を指で引き千切るか、鋏やカッターを用いて開封していた。そして、開封部が醜く千切れてしまったり、中の便箋まで傷付けてしまったりすることがあった。このために、開封する際には気を付けて開封する必要があった。
【0003】
このような問題を解決して簡単に開封することができる封筒として、例えば、特許文献1に記載された封筒が知られている。図8に示すように、この文献に記載された封筒110は、封じ片の折り返しがなされる折線上に切り糸117を糊付けすると共に、上部両端が三角形に千切れる分断穴119を備えている。そして、分断穴119に沿って上端部を千切り、そのまま引っ張ると、切り糸117によって折線が切り開かれ、開封できるようになっている。
【0004】
また、特許文献1には、このような封筒110を作るための製造方法が記載されている。図9に示すように、封筒110はコンベア190上で加工されるようになっており、封筒110を所定の位置に配置するための定規191、切断穴116を形成するための切断穴成形機192、切断穴116に糊剤143を塗布する糊剤塗布機193、糊剤143が塗布された折線に切り糸117を押し付けるローラー194、糊剤143を乾燥させる乾燥機195、切り糸117をカットするカッター196、封じ片111を折曲する折曲機197、分断穴119を形成する穴成形機198等が記載されている。
【0005】
このように加工された封筒110は、短時間で簡単に開封することができるので、非常に便利である。しかしながら、中の便箋を傷付ける心配があり、切り糸117により切り開かれた切り口がギザギザとなることは避けられず、開封後に多少の醜さが残るのが難点である。特に、手紙を封筒110と共に保管しておくような場合には、再度挟みやカッターを用いて、上辺部の見た目を良くする必要がある。
【特許文献1】再表2003−86885号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の課題を解決したものであり、中の便箋を傷付けずに、短時間で簡単に開封することができる封筒を製造することができる封筒加工機を提供することを目的とする。そして、開封後においても見た目が良く、そのまま保管することができるような封筒を、安価に製造することができる封筒加工機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、鋭意試行錯誤を行った結果、次のような知見を得ることができた。
1)封筒に糊剤を塗布するのではなく、切り糸に糊剤を塗布して接着することにより、糊剤の使用量を最低限に抑えることができる。
2)糊剤の使用量を減らすことにより、開封時における切り口のギザギザを極端に少なくし、綺麗にすることが可能となる。
3)糊剤を乾燥する前後にローラーで圧着することにより、接着強度を向上すると共に、切り口を一層綺麗にすることができる。
【0008】
本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものであり、上記の課題を解決するために、本発明の請求項1に係る封筒加工機は、封筒の封じ片等に開封用の切り糸を設ける封筒加工機であって、前記封筒を連続的に供給する封筒供給部と、供給された前記封筒を一定の間隔で搬送するための位置決めコンベア部と、前記切り糸に糊剤を塗布して供給する糸供給部と、前記封筒に前記切り糸を貼り付ける糸貼り部と、前記糊剤を乾燥するための乾燥部及び前記切り糸を切断する糸切断部を備えている手段を採用している。
【0009】
また、本発明の請求項2に係る封筒加工機は、請求項1に記載の封筒加工機であって、前記糸供給部が、前記切り糸の糸巻き及び前記糊剤を入れる糊壷を備えている手段を採用している。また、本発明の請求項3に係る封筒加工機は、請求項1又は2に記載の封筒であって、前記糸貼り部が、二つのロールからなる糸接着ローラーを備え、両ロール間で接着する手段を採用している。また、本発明の請求項4に係る封筒加工機は、請求項3に記載の封筒加工機であって、前記糸接着ローラーの少なくとも一つのロールが、加熱ロールである手段を採用している。
【0010】
また、本発明の請求項5に係る封筒加工機は、請求項1乃至4の何れかに記載の封筒加工機であって、前記乾燥部が、前記切り糸の接着部に加熱した空気を噴射するドライヤー及び該接着部を圧着する圧着ローラーを備えている手段を採用している。また、本発明の請求項6に係る封筒加工機は、請求項1乃至5の何れかに記載の封筒加工機であって、前記切り糸を貼り付ける位置に、ミシン線を施すためのミシン目加工部を備えている手段を採用している。また、本発明の請求項7に係る封筒加工機は、請求項1乃至6の何れかに記載の封筒加工機であって、前記封筒を開封するときに前記切り糸の端部が摘めるように、前記封じ片に摘みを形成するための摘み加工部を備えている手段を採用している。
【発明の効果】
【0011】
本発明の封筒加工機は上記の手段を採用することにより、得られる封筒は中の便箋を傷付けることなく、短時間で簡単に開封することができる。そして、開封後においても見た目が美しく、そのまま保管することができるような封筒を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に示す本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明による封筒加工機全体についての一実施の形態を示している。また、図5は、この封筒加工機によって、配列された封筒が順次加工される様子を示している。また、図6は、加工された封筒の裏面を示している。
【0013】
図6のように、完成した封筒10は、開口した一辺に備えられた封じ片11を折り返して貼着することにより封緘するようになっている。すなわち、封じ片11は、折線12に沿って裏面側に折り返される。封じ片11の裏面端部側には、貼着剤が施された貼着部分13を備えており、折り返された封じ片11が、本体15側に貼着されるようになっている。
【0014】
折線12と貼着部分13との間には、貼着剤が施されていない非貼着部分14を備えている。そして、この非貼着部分14に、折線12とほぼ平行にミシン線16が設けられ、また、このミシン線16上に開封用の切り糸17が糊付けされている。さらに、非貼着部分14の少なくとも一端が一定の形状に千切れるように、ミシン目によって円形等の摘み18が形成されている。
【0015】
本発明の封筒加工機1は、封筒10の封じ片11等に開封用の切り糸17を設けるものである。そして、封筒10を連続的に供給する封筒供給部20を備えている。すなわち、処理前の封筒10の束を保持すると共に、一つずつタイミングを取って、次の位置決めコンベア部30に供給するようになっている。
【0016】
位置決めコンベア部30は、各封筒10を一定の間隔で搬送すると同時に、搬送方向に対して直行する方向に対しても一定の位置となるように位置決めされる。この実施形態では、図5に示すように、封筒10の裏面を上にして、封じ片11が一列に並ぶ状態で位置決めされるようになっている。この状態で封筒10は、主コンベア80に乗り移り、一連の加工を受けることになる。
【0017】
この封筒加工機1は、摘み加工部81を備えている。封じ片11の非貼着部分14にミシン目によって円形の摘み18を形成することにより、開封するときに摘み18を千切って、切り糸17の端部を容易に摘むことができる。摘み加工部81は、例えば、互いに接触して回転する上下2つのロールを備え、一方のロールに雄刃を他方のロールに雌刃を形成したものであり、両ロール間に封筒を通すことにより円形のミシン目を形成することができる。また、刃の形状により任意の形状の摘み18を形成することができる。
【0018】
また、この封筒加工機1は、切り糸17を貼り付ける位置に、ミシン線16を施すためのミシン目加工部82を備えている。ミシン線16を形成することによって、切り糸17による開封が容易となり、また、綺麗な切り口とすることができる。ミシン線16の位置は、折線12上でも良いが、封じ片11の非貼着部分14に形成することが好ましい。ミシン目加工部82は、通常、回転するミシン刃を封筒10に押し付ける構造とすることが多い。
【0019】
本発明の封筒加工機1は、切り糸17に糊剤を塗布して供給する糸供給部40を備えている。糸供給部40は、図2に示すように、切り糸17を保持する糸巻き41及び糊剤43を入れる糊壷42とを備えている。そして、糊壷42内を通過して切り糸17が引き出されることにより、糊剤43が塗布された切り糸17が供給されることになる。
【0020】
また、本発明の封筒加工機1は、封筒10に切り糸17を貼り付ける糸貼り部50を備えている。この実施態様では、封筒10のミシン線16の上に切り糸17を貼り付けている。糸貼り部50は、図3に示すように、上下2つのロール51、52からなる接着ローラー53を備え、主コンベア80で搬送される封筒10と糸ガイド54で導かれる切り糸17を、両ロール51、52間で接着するようになっている。そして、下部ロール52は、封筒10の接着部を予熱するために、ヒーターを備えた加熱ロールとしている。
【0021】
また、本発明の封筒加工機1は、接着に用いた糊剤43を乾燥するための乾燥部60を備えている。この実施態様では、乾燥部60は、封筒10と切り糸17の接着部に、加熱した空気を噴射するドライヤー61及び圧着するための2段階の圧着ローラー62、63を備えている。これらにより、封筒10に切り糸17が圧着され、糊剤43が完全に乾燥される。
【0022】
また、本発明の封筒加工機1は、切り糸17を切断する糸切断部70を備えている。糸切断部70は、例えば、連続して搬送されている封筒10の間に、回転するロールに取り付けられたカッターが押し付けられる構造とすることが多い。これによって、切り糸17は、封筒10の封じ片11の両端から少しはみ出した状態で切断されることになる。また、この封筒加工機1は、製品ストッカ83を備えることが好ましい。そして、完成した封筒10の数量を数えると共に、一定量毎に束にすることが好ましい。
【0023】
このようにして、本発明の封筒加工機1により、図6に示すような封筒10が完成する。また、封緘した後は図7に示すようになる。そして、開封する場合には、非貼着部分14に形成された摘み18を指で摘むことにより、ミシン目が千切れて切り糸17の一端を指で摘むことができる。そして、そのまま切り糸17を引っ張ると、ミシン線16に沿って封じ片11が切り開かれることになる。切り口は、ミシン線16に沿ったものとなり、また、糊剤43の使用量が少なく、接着部分が広がらないので、綺麗な切り口とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の封筒加工機であって、全体構成の一態様を示す概略説明図である。
【図2】本発明の封筒加工機を構成する糸供給部の一態様を示す概略説明図である。
【図3】本発明の封筒加工機を構成する糸貼り部の一態様を示す概略説明図である。
【図4】本発明の封筒加工機を構成する乾燥部の一態様を示す概略説明図である。
【図5】図1に示す封筒加工機によって、配列された封筒が順次加工される様子を示す説明図である。
【図6】図1に示す封筒加工機によって加工された封筒の裏面を示す説明図である。
【図7】図6に示す封筒を封緘した後の裏面を示す説明図である。
【図8】従来の封筒の一例を示す説明図である。
【図9】従来の封筒加工機の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1 封筒加工機
10、110 封筒
11、111 封じ片
12 折線
13 貼着部分
14 非貼着部分
15 本体
16 ミシン線
17、117 切り糸
18 摘み
20 封筒供給部
30 位置決めコンベア部
40 糸供給部
41 糸巻き
42 糊壷
43、143 糊剤
50 糸貼り部
51、52 ロール
53 接着ローラー
54 糸ガイド
60 乾燥部
61 ドライヤー
62、63 圧着ローラー
70 糸切断部
80 主コンベア
81 摘み加工部
82 ミシン目加工部
83 製品ストッカ
116 切断穴
119 分断穴
190 コンベア
191 定規
192 切断穴成形機
193 糊剤塗布機
194 ローラー
195 乾燥機
196 カッター
197 折曲機
198 穴成形機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒の封じ片等に開封用の切り糸を設ける封筒加工機であって、
前記封筒を連続的に供給する封筒供給部と、
供給された前記封筒を一定の間隔で搬送するための位置決めコンベア部と、
前記切り糸に糊剤を塗布して供給する糸供給部と、
前記封筒に前記切り糸を貼り付ける糸貼り部と、
前記糊剤を乾燥するための乾燥部及び前記切り糸を切断する糸切断部を備えていることを特徴とする封筒加工機。
【請求項2】
前記糸供給部が、前記切り糸の糸巻き及び前記糊剤を入れる糊壷を備えていることを特徴とする請求項1に記載の封筒加工機。
【請求項3】
前記糸貼り部が、二つのロールからなる糸接着ローラーを備え、両ロール間で接着することを特徴とする請求項1又は2に記載の封筒加工機。
【請求項4】
前記糸接着ローラーの少なくとも一つのロールが、加熱ロールであることを特徴とする請求項3に記載の封筒加工機。
【請求項5】
前記乾燥部が、前記切り糸の接着部に加熱した空気を噴射するドライヤー及び該接着部を圧着する圧着ローラーを備えていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の封筒加工機。
【請求項6】
前記切り糸を貼り付ける位置に、ミシン線を施すためのミシン目加工部を備えていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の封筒加工機。
【請求項7】
前記封筒を開封するときに前記切り糸の端部が摘めるように、前記封じ片に摘みを形成するための摘み加工部を備えていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の封筒加工機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−61712(P2009−61712A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−232657(P2007−232657)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(507227810)株式会社大栄製作所 (5)
【Fターム(参考)】