説明

射出伸長ブロー成形品およびそれに使用されるランダム共重合体

射出伸長ブロー成形(ISBM)された製品およびその製造法が記載されている。ISBM製品は一般にメタロセンを用いてつくられるプロピレンをベースにしたランダム共重合体を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に射出伸長ブロー成形法(ISBM、injection stretch blow molding)に使用するのに適した重合体に関する。特に本発明の具体化例は、射出伸長ブロー成形法に使用するのに適したメタロセンを用いて得られるプロピレンをベースとしたランダム共重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
射出伸長ブロー成形法(ISBM)に用いるために、プロピレンをベースとしたランダム共重合体を使用することが従来から試みられてきた。しかしISBM級のポリプロピレン樹脂ha,高度の透明性を達成するために通常ソルビトールをベースにした透明化剤によって透明化されるが、医療用品に対する用途としてはこのことは望ましくない。また、ポリプロピレン(PP)を用いるISBM法はポリエチレンテレフタレートのISBM法に比べ、特に再加熱を行う際に、多量のエネルギーを必要とする。
【0003】
従って、ISBM処理工程においてもっと容易に再加熱でき、望ましくない透明化剤を使わずに高度の透明性をもったISBM製品が得られる樹脂を開発することが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の具体化例は射出伸長ブロー成形された(ISBM)製品を含んでいる。ISBM製品は一般にメタロセンを用いてつくられるプロピレンをベースとしたランダム共重合体を含んでいる。
【0005】
さらに本発明の具体化例には、メルトフローレートが約1dg/分〜約40dg/分であり、融点が130℃より低く、曇り(haze)は5%より小さく、且つ45°における光沢は75%より大きい、メタロセンを用いてつくられたプロピレンをベースとしたランダム共重合体を含んで成る射出伸長ブロー成形(ISBM)でつくられた医療品用および化粧品用の包装材料および可撓性の容器が含まれる。
【0006】
さらに本発明の具体化例は、メタロセンを用いてつくられるプロピレンをベースにしたランダム共重合体を提供し、該プロピレンをベースとした耐衝撃性の共重合体を射出成形してプリフォームをつくり、該プリフォームを伸長ブロー成形して製品にする段階を含む射出伸長ブロー成形法(ISBM)を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ISBM製品の最大頂部荷重(トップロード、top load)強度を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0008】
序論および定義
次に本発明の詳細な説明を行う。添付された各特許請求の範囲は、特許侵害に関連する目的に対し該特許請求の範囲に規定された種々の要素または制限に対する同等物を含むものとして認識されるべき別々の発明を定義している。「本発明」という言葉に対し下記に挙げたすべての参照は、文脈に依存して或る場合には或る特定の具体化例だけを参照することができる。他の場合には、「本発明」という言葉に対する参照は一つまたはそれ以上ではあるが必ずしも全部ではない特許請求の範囲の中に挙げられた対象主題を参照するであろう。次にこれらの発明の各々を特定の具体化例、変形および実施例を含めて下記にさ
らに詳細に説明するが、各発明は、これらの具体化例、変形または実施例に限定されるものではなく、これらは該発明における情報が入手可能な情報および技術と組み合わされた場合、当業界の通常の専門家が該発明を利用できるようにするために含まれているのものである。
【0009】
次に本明細書に使用されている種々の言葉を説明する。ある一つの特許請求の範囲に使用されている言葉が下記に定義されていない範囲においては、その言葉は関連する業界における人々に対し出願時における印刷出版物および公告された特許の中に反映されている最も広範な定義を与えるものと考えなければならない。さらに、特記しない限りここに記載されたすべての化合物は置換基をもっていることもいないこともでき、これらの化合物のリストの中にはそれらの誘導体が含まれている。
【0010】
下記には種々の範囲および/または数値の限界が参照されている。特記しない限り終端の点は相互に交換し得るものと理解すべきである。さらに、この範囲の中の任意の点は本明細書に記載されているものとする。
【0011】
本明細書において使用される場合、「不透明」と云う言葉は可視光線に対して不透過であることを意味する。即ち不透明な物体は実質的にすべての可視光線の透過を妨げる。「透明な」と云う言葉は実質的にすべての可視光線が製品を透過することを意味する。「半透明」という言葉は、若干の、しかしすべてではない可視光線が該製品を透過することを意味する。
【0012】
本明細書において使用される場合、「触覚(haptics)」と云う言葉は例えば布またはプラスティックスのような異物に皮膚が接触することによって生じる感覚を意味する。従って本明細書において用いられる場合「良好な触覚」とは握った場合の瓶の触感、例えば瓶の柔らかさを云う。
【0013】
触媒系
オレフィン単量体を重合させるのに使用される触媒系には当業界の専門家に公知の任意の触媒系が含まれる。例えばこれらの触媒系はメタロセン触媒系、単一部位触媒系、Ziegler−Natta触媒系、またはこれらの組み合わせを含んでいることができる。当業界に公知のように、後で重合を行うために触媒を賦活させることができ、また支持材料に担持させることもさせないこともできる。下記にこのような触媒系について簡単な説明を行うが、これらの説明は本発明の範囲をそのような触媒に限定するものではない。
【0014】
例えばZiegler−Natta触媒系は一般に金属成分(例えば触媒)と1種またはそれ以上の付加的な成分、例えば触媒支持体、助触媒および/または1種またはそれ以上の電子供与体との組み合わせからつくられる。
【0015】
一般にメタロセン触媒は、π結合により1個の遷移金属に配位した1種またはそれ以上のシクロペンタジエニル(Cp)基(これは置換基をもちまたはもたないことができ、各置換基は同一または相異なることができる)を含む配位化合物であることができる。Cp上の置換基は例えば直鎖の、分岐した、または環式のヒドロカルビル基であることができる。環式のヒドロカルビル基はさらに例えばインデニル、アズレニルおよびフルオレニル基を含む他の隣接した環式構造をつくることができる。これらの隣接した環式構造はまた置換基をもったまたはもたないヒドロカルビル基、例えばC〜C20のヒドロカルビル基で置換されていることができる。
【0016】
重合方法
本明細書の他の部分に示したように、触媒系はポリオレフィン組成物をつくるのに使用
される。上記のようにしておよび/または当業界の専門家に公知の方法でいったん触媒系がつくられると、この組成物を用いて種々の重合方法を行うことができる。或る与えられた方法においては、所望の組成物および生成する重合体の性質に依存し、装置、処理条件、反応物、添加物、および重合に使用される他の材料は異なるであろう。このような方法には溶液相、気相、スラリ相、塊状相、高圧相における方法、またはこれらの組合せが含まれる(米国特許第5,525,678号明細書;米国特許第6,420,580号明細書;米国特許第6,380,328号明細書;米国特許第6,359,072号明細書;米国特許第6,346,586号明細書;米国特許第6,340,730号明細書;米国特許第6,339,134号明細書;米国特許第6,300,436号明細書;米国特許第6,274,684号明細書;米国特許第6,271,323号明細書;米国特許第6,248,845号明細書;米国特許第6,245,868号明細書;米国特許第6,245,705号明細書;米国特許第6,242,545号明細書;米国特許第6,211,105号明細書;米国特許第6,207,606号明細書;米国特許第6,180,735号明細書;および米国特許第6,147,173号明細書参照のこと。これらの特許は引用により本明細書に包含される。)。
【0017】
或る種の具体化例において、上記方法は一般に1種またはそれ以上のオレフィン単量体を重合させて重合体をつくる方法を含んでいる。オレフィン単量体はC〜C30のオレフィン単量体、またはC〜C12のオレフィン単量体(例えばエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、ヘキセン、オクテン、およびデセン)を含んでいることができる。単量体はオレフィン性不飽和の単量体、C〜C18ジオレフィン、共役または非共役ジエン、ポリエン、ビニル単量体、および環式オレフィンを含んでいることができる。本発明を限定しない他の単量体には例えばノルボルネン、ノルボルナジエン、イソブチレン、イソプレン、ビニルベンゾシクロブタン、スチレン、アルキル置換スチレン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、およびシクロペンテンが含まれていることができる。生じた重合体は例えば単独重合体、共重合体、または三元重合体であることができる。
【0018】
溶液相の方法の例は米国特許第4,271,060号明細書,米国特許第5,001,205号明細書,米国特許第5,236,998号明細書および米国特許第5,589,555号明細書に記載されている。これらの特許は引用により本明細書に包含される。
【0019】
気相重合法の一例は連続循環系を含んでおり、この場合循環ガス流(また再循環流または流動媒質としても知られている)は反応器の中で重合熱により加熱される。熱は循環の他の部分において、反応器に対して外部にある冷却系により循環ガス流からを除去される。反応条件下において触媒を存在させ、1種またはそれ以上の単量体を含む循環ガス流を流動ベッドを通して連続的に循環させることができる。一般に循環ガス流は流動ベッドから取り出され、反応器へと循環し戻される。同時に重合体生成物を反応器から取り出し、新しい単量体を加えて重合した単量体と置き換えることができる。気相法における反応器の圧力は例えば約100〜約500psig、または約200〜約400psig、または約250〜約350psigの範囲で変えることができる。気相法における反応器の温度は例えば約30〜約120℃、または約60〜約115℃、または約70〜約110℃、または約70〜約95℃の間で変えることができる(例えば米国特許第4,543,399号明細書;米国特許第4,588,790号明細書;米国特許第5,028,670号明細書;米国特許第5,317,036号明細書;米国特許第5,352,749号明細書;米国特許第5,405,922号明細書;米国特許第5,436,304号明細書;米国特許第5,456,471号明細書;米国特許第5,462,999号明細書;米国特許第5,616,661号明細書;米国特許第5,627,242号明細書;米国特許第5,665,818号明細書;米国特許第5,677,375号明細書および米国特許第5,668,228号明細書参照。これらの特許は引用により本明細書に包含される
。)。
【0020】
一般にスラリ相法には、液体の重合媒質中に固体の粒状の重合体を含む懸濁液をつくり、これに触媒と共に単量体および随時水素を加える方法が含まれる。懸濁液(希釈剤を含んでいることができる)を間欠的にまたは連続的に反応器から取り出し、随時蒸溜を行った後、揮発性の成分を重合体から分離し反応器へと再循環させることができる。重合媒質中に使用される液体希釈剤は例えばC〜Cのアルカン(例えばヘキサンまたはイソブタン)を含んでいることができる。使用される媒質は一般に重合条件下において液体であり、比較的不活性である。塊状相法はスラリ相法に似ているが、塊状相法においては液体媒質がまた反応物(例えば単量体)である点が異なっている。しかし或る一つの方法が例えば塊状相法、スラリ相法、または塊状スラリ相法であることができる。
【0021】
或る特定の具体化例においては、スラリ相法または塊状相法は一つまたはそれ以上のループ反応器の中で連続的に行うことができる。触媒は、スラリとして或いは乾燥した自由流動性の粉末として規則的に反応器のループの中に注入することができ、該ループ自身は例えば希釈剤中で成長しながら循環している重合体のスラリで充たされていることができる。例えば得られる重合体の分子量を制御するために、工程に随時水素を加えることができる。ループ反応器は例えば約27〜約50バール、または約35〜約45バールの圧力、および約38〜約121℃の温度に保つことができる。反応熱は当業界の専門家には公知の任意の適当な方法で、例えば二重ジャケットを備えたパイプまたは熱交換器を介してループの壁から除去することができる。
【0022】
一具体化例においては、重合触媒を存在させ、反応器の長さ方向に沿った2カ所以上の点において少なくとも1種のオレフィン共重合単量体を注入する方法を含む方法で、直線状の液体スラリ法または気相反応器中で重合を行ない共重合体を製造することができる(例えば米国特許第7,053,163号明細書参照。この特許は引用により本明細書に包含される。)。
【0023】
別法として、他のタイプの重合法、例えば直列、並列またはこれらを組合せた方法で連結された撹拌式反応器を使用することもできる。反応器から取り出す場合、重合体を重合体回収系に通し、さらに例えば添加物の添加および/または抽出などの処理を行うことができる。
【0024】
重合体生成物
上記方法でつくられた重合体(およびそれらの配合物)は、これだけには限定されないが、例えば直鎖低密度ポリエチレン、エラストマー、プラストマー、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、およびプロピレン共重合体を含んでいることができる。
【0025】
本明細書においては特記しない限りすべての試験法は出願時における最新の方法であるものとする。
【0026】
一つまたはそれ以上の具体化例においては、重合体はプロピレンをベースにした重合体を含んでいる。本明細書においては「プロピレンをベースにした」と云う言葉は「プロピレン重合体」または「ポリプロピレン」と互換的に使用され、重合体の全重量に関し例えば少なくとも約50重量%、または少なくとも約70重量%、または少なくとも約75重量%、または少なくとも約80重量%、または少なくとも約85重量%、または少なくとも約90重量%のポリプロピレンを含む重合体を意味する。
【0027】
プロピレンをベースにした重合体は例えば約1.0〜約20、または約1.5〜約15
、または約2〜約12の分子量分布(M/M)をもっていることができる。
【0028】
一具体化例においては、プロピレン重合体は例えば約89〜約99%のマイクロタクティシティー(microtacticity)をもっている。
【0029】
一具体化例においては、プロピレンをベースにした重合体は70〜120℃、または80〜110℃、または85〜100℃の再結晶温度(Tc)(DSCにより測定)を有していることができる。
【0030】
一具体化例においては、プロピレンをベースにした重合体は150,000〜230,000の範囲、または170,000〜210,000の範囲、または180,000〜200,000の範囲の分子量(M)(ゲル透過クロマトグラフ法で測定)をもっていることができる。
【0031】
一具体化例においては、プロピレンをベースにした重合体は例えば少なくとも約105℃、または115〜約175℃の範囲の融点(T)(DSCにより測定)を有していることができる。
【0032】
プロピレンをベースにした重合体はキシレンに可溶な材料(XS)を(ASTM D5492−06で測定して)例えば約15重量%以下、または約12重量%以下、または約10重量%以下、または約6重量%以下、または約5重量%以下、または約4重量%以下の量で含んでいることができる。
【0033】
プロピレンをベースにした重合体は約0.01〜約1000dg/分の範囲、また約0.01〜約100dg/分の範囲のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238で測定)をもっていることができる。プロピレンをベースにしたランダム共重合体は例えば少なくとも約1dg/分、または約5〜約30dg/分、または約10〜約20dg/分の範囲のメルトフローレートを示すことができる。
【0034】
一つまたはそれ以上の具体化例においては、プロピレンをベースにした重合体は低いメルトフローレート(MFR)をもっている。本明細書において低いメルトフローレートという言葉は例えば約10dg/分より小さい、または約6dg/分より小さい、または約2.6dg/分より小さい、または約0.5〜約10dg/分の範囲の、または約0.5〜約6dg/分の範囲のMFRを有する重合体に対して参照される。
【0035】
一つまたはそれ以上の具体化例においては、重合体はプロピレンをベースにしたランダム共重合体を含んでいる。特記しない限り、「プロピレンをベースにしたランダム共重合体」という言葉は、主としてプロピレンから成る重合体であって、該重合体は、該重合体の全重量に対し、例えば少なくとも約0.5重量%、または少なくとも約0.8重量%、または少なくとも約2重量%、または約0.5〜約5.0重量%の範囲、または約0.6〜約1.0重量の範囲の共重合単量体を含む共重合体に対して参照される。共重合単量体はC〜C10のアルケンから選ぶことができる。例えば共重合単量体はエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、4−メチル―1―ペンテン、およびこれらの組合せから選ぶことができる。一特定の具体化例においては、共重合単量体はエチレンを含んでいる。さらに「ランダム共重合体」という言葉は、重合鎖の任意の或る与えられた部位に或る与えられた単量体単位を見出す確率が隣接した単量体単位の種類に依存しない高分子から構成された共重合体を意味する。
【0036】
一具体化例においては、最終組成物の中に添加物を含ませることができる。添加物は当
業界の専門家に公知の任意の方法で重合体に接触させることができる。例えば押出しの前において(重合工程の中で)或いは押出し機の内部で添加物を重合体と接触させることができる。一具体化例においては、添加物は独立に重合体と接触させる。他の具体化例においては、添加物は重合体と接触させる前に互いに接触させる。一具体化例においては接触は例えば機械的な配合のような配合操作を含んでいる。
【0037】
生成物の用途
本発明の重合体およびその配合物は当業界の専門家に公知の用途、例えば成形操作(例えばフィルム、シート、パイプおよび繊維の押出しおよび同時押出し、並びにブロー成形、射出成形、および回転成形)に有用である。フィルムは押出しまたは同時押出し、或いは積層化によってつくられた吹き込み、配向または注型されたフィルムを含み、例えば食品に接触させまたは接触させずに使用される収縮フィルム、包装用ラップフィルム、伸長フィルム、密封フィルム、配向フィルム、スナック類の包装材、頑丈な袋、食品用の袋、焼いたまたは凍結させた食品の包装材、医薬品の包装材、工業用ライニング製品、並びに膜類として有用である。繊維は縦切りしたフィルム、モノフィラメント、織物または不織布に使用される熔融紡糸、溶液紡糸、および繊維に対する熔融ブロー成形操作でつくられたものを含み、例えばサック、袋、ロープ、撚糸、絨毯の裏地、絨毯用の糸、フィルター、おむつ用繊維布、医療用の衣類、および地盤補強用シートの製造に使用される。押出し製品は例えば医療用の管、針金およびケーブルの被覆、シート、熱成形シート、地盤補強用の膜、および池のライニング材を含んでいる。型成形された製品は瓶、タンク、大きな中空製品、かたい食品用の容器および玩具の形をした単一および多層構造物を含んでいる。
【0038】
一つまたはそれ以上の具体化例においては、これらの重合体は射出伸長ブロー成形(ISBM)工程においてISBM製品をつくるために使用される。ISBM製品には例えば薄壁の瓶または他のタイプの容器が含まれる。ISBM製品は任意の適当な方法でつくることができる。例えばISBM処理は、重合体を射出成形してプリフォームをつくり、次にプリフォームを伸長ブロー成形して所望の最終的な形にする操作を含んでいることができる。
【0039】
一つまたはそれ以上の具体化例においては、メタロセンを用いてつくられるプロピレンをベースにしたランダム共重合体を使用してISBM製品をつくる。
【0040】
一つまたはそれ以上の具体化例においては、該ISBM製品は医療品級または化粧品用級の製品である。一つまたはそれ以上の具体化例においては、ISBM製品は瓶である。このような化粧品級の包装品は例えば粘稠なローション、ペースト、および液滴のような生成物を含んでいるであろう。
【0041】
メタロセンを用いてつくられるプロピレンをベースにしたランダム共重合体は、透明化剤を使用しないでも高度の透明度、製品の可撓性、および良好な触覚を示す。
【0042】
一つまたはそれ以上の具体化例においては、ISBM製品は高度の透明度を示す。例えばISBM成形品は15%より低い、または10%より低い、または5%より低い、または2%より低い曇り(ASTM D1003により測定)を示すことができる。
【0043】
一つまたはそれ以上の具体化例においては、ISBM製品は高度の光沢を示す。例えばISBM製品は45°において50%より大きい、または65%より大きい、または75%より大きい光沢(ASTM D2457により測定)を示すことができる。
【0044】
一つまたはそれ以上の具体化例においては、ISBM(例えば23g)製品は例えばA
STM D2659により測定して少なくとも約70N、または少なくとも約100N、または少なくとも約110Nの最大頂部荷重を示すことができる。
【0045】
一つまたはそれ以上の具体化例においてこの製品は1個のキャビティ当たり毎時少なくとも約500個、または毎時750〜2000個、または毎時1000〜1500個の速度で伸長ブロー成形により製造される。
【実施例】
【0046】
mRCP樹脂は融点が約119℃のメタロセンを用いてつくられるプロピレンをベースにしたランダム共重合体であり、TOTAL Petrochemicals USA,
Incから市販されているTOTAL Petrochemicals EOD02−15である。
【0047】
対照の樹脂はTOTAL Petrochemicals 7525MZであって、これはMFRが10dg/分のプロピレンをベースにしたランダム共重合体であり、TOTAL Petrochemicals USA, Inc.から市販されている。
【0048】
重合体の試料を射出伸長ブロー成形(ISBM)法で成形して瓶にした。次にこの瓶を頂部荷重および光学的性質について試験した。
【0049】
プリフォームは次のようにしてつくった。Netstal射出成形機の上でmRCP樹脂を、表1に記載した射出成形条件において射出成形の成形型の上に射出成形し、23gのプリフォームをつくった。ADS G62の線形の射出伸長ブロー成形型の上で伸長ブロー成形して瓶にする前に、このプリフォームを室温において24時間コンディショニングした。
【0050】
【表1】

【0051】
mRCP樹脂は融点が低いから、230℃という比較的低いバレル温度およびランナー(runner)温度の設定で射出成形を行った。
【0052】
1個のキャビティ当たり毎時1000個および1500個の両方の速度において、問題を生じることなく(棄却率<1%)mRCP樹脂のプリフォームをブロー成形して瓶にした。評価の途中において、期待通り遥かに低い加熱プロフィールを用いてmRCP樹脂のプリフォームをブロー成形できることが観測された。これに加えてこのプリフォームは正規のアイソタクティック・ポリプロピレンに比べ遥かに低いブロー圧力しか必要としなかった。成形された瓶は非常に透明であったが柔らかいように感じられた。mRCP樹脂を加工するためのエネルギーの節約量を推定するために、比較のため対照樹脂を使用した。
【0053】
同様な加熱効果および低い棄却率(<1%)を得ることができる加熱器の出力の組み合わせは多数あることを留意しておかなければならない。矛盾のない比較を行うためには、同様なタイプの加熱温度のプロフィール(プリフォームに沿って同様な加熱出力分布が得ること)を用いる必要がある。従ってmRCP樹脂の温度プロフィールの最適化は、対照樹脂に対して温度プロフィールを予備的に最適化することから開始した。個々の加熱器上の温度設定を徐々に減少させることによりmRCP樹脂に対する最適化された温度プロフィールを得た。各材料に対する最適化された温度プロフィールを得るためには、得られた瓶が均一な壁厚を示し、視覚的に検査した場合の欠陥が最低限度に抑制されている必要がある。表2にこの二つのプリフォームに対する最適化された温度プロフィールを示す。
【0054】
【表2】

【0055】
この結果によれば、mRCP樹脂をブロー成形するのに必要な熱エネルギーは対照樹脂に対する熱エネルギーに比べ約21%低いことが示される。さらに、mRCP樹脂のプリフォームは極端に低い圧力でうまくブロー成形して瓶にすることができた。温度プロフィールを最適化した後、ブロー圧力を徐々に8バールまで低下させた。この値はISBMの高圧ガスラインに対する調節器の下限の値である。mRCP樹脂の瓶は8バールにおいて何ら問題なくうまくブロー成形された。予備成形圧力(6バール)だけで瓶をブロー成形することも試みた。この場合も瓶はうまくつくられた。しかし6バールの予備ブロー成形圧力しか使わない場合には、瓶の上の彫刻の模様はあまり明瞭ではなかった。
【0056】
表2に記載した条件でブロー成形されたmRCP樹脂の瓶を頂部荷重および透明度について試験した。最大頂部荷重に対し表3に与えられ図1に図示されている結果によれば、mRCP樹脂の瓶の頂部荷重強度は対照の瓶よりも低いことが示される。しかしこの瓶は高度の可撓性をもち、且つ柔らかい触感をもっており、これは或る種の用途においては有利であろう。これに加えて、この瓶は高度の光沢と低い曇りを示し、透明化剤の必要はない。
【0057】
【表3】

【0058】
mRCP樹脂はISBMの用途においていくつかの有用な寄与を示す。融点が低いから、mRCP樹脂は低い加熱プロフィール(対照樹脂に比べて約20%低い)および極めて低い圧力(対照樹脂に比べて約70%低い)でうまくブロー成形を行って瓶にすることができる。mRCP樹脂の瓶は十分な頂部荷重強度を有し、またこの瓶は良好な可撓性を示す。これに加えて、mRCP樹脂は透明化剤を含んでいないにも拘わらず、このmRCP樹脂の瓶は高度の透明性を示す。ソルビトールをベースにした透明化剤の使用を避け得る能力は、メタロセンを用いてつくられたポリプロピレンからの抽出可能物質の含量が極めて低いことと相俟って、医療品用および化粧品用の包装品に対するような用途に適しているであろう。
【0059】
以上、種々の具体化例を示して説明したが、当業界の専門家は本発明の精神および記載範囲を逸脱することなくその変形をおこなうことができる。本明細書に記載された具体化例は例示的なものに過ぎず、本発明を限定するものではない。上記の具体化例は多くの変更および改変が可能であり、これらは本発明の範囲内である。数値に対する範囲または限界値が明示的に示されている場合、このような明示的な範囲または限界は、明示的に示された範囲内に入る同様な大きさの反復する範囲または限界を含むものと考えるべきである(例えば約1〜約10は2、3、4等を含み;0.10より大きいは0.ll、0.12、0.13等を含んでいる)。請求項の任意の要素に関し「随時」という言葉は、該対象主題の要素が必要とされるか或いはまた必要とされないことを意味する。両方の記述とも請求項の範囲内に入るものとする。「含んで成る」、「含む」、「有する」等の広範囲の意味をもつ言葉は、「から成る」、「から実質的に成る」、または「実質的に含んで成る」等のような狭い意味の言葉を補足、支援するものと了解されたい。
【0060】
従って本特許において保護される範囲は上記に記載された説明により限定されるものではなく、下記の請求項によってのみ限定される。これらの範囲は下記の請求項の対象主題の事項のすべての同等物を含んでいる。下記の各請求項およびいずれの請求項も本発明の具体化例として本明細書の中に組み込まれている。従ってこれらの請求項は本発明のさらなる説明であり、本明細書に記載された具体化例の追加でもある。
【0061】
本明細書に記載された参照文献に関する議論は、それが本明細書の記載事項に対して先行技術であることを容認するものではない。特に参照文献の刊行日が本明細書の優先日の後であることもできる。本明細書に引用されたすべての特許、特許出願、および刊行物の記述は、本明細書に記載された記述に対する例示的、手続き的または他の詳細な補足的な事項である範囲において引用により本明細書に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタロセンを用いてつくられるプロピレンをベースにしたランダム共重合体を含んで成り、透明化剤を含まないことを特徴とする射出伸長ブロー成形された(ISBM)製品。
【請求項2】
該メタロセンを用いてつくられるプロピレンをベースにしたランダム共重合体は約1〜約40dg/分の範囲のメルトフローレートを示すことを特徴とする請求項1記載のISBM製品。
【請求項3】
該製品は5%より少ない曇りを有することを特徴とする請求項1記載のISBM製品。
【請求項4】
該製品は45°において75%より大きい光沢を有することを特徴とする請求項1記載のISBM製品。
【請求項5】
該製品は医療品用の包装容器であることを特徴とする請求項1記載のISBM製品。
【請求項6】
該製品は化粧品用の包装容器であることを特徴とする請求項1記載のISBM製品。
【請求項7】
該製品は約23gの重量において少なくとも約100Nの最大頂部荷重を示すことを特徴とする請求項1記載の製品。
【請求項8】
メルトフローレートが約1〜約40dg/分であって、融点が105〜130℃であり;23gの重量において少なくとも約100Nの最大頂部荷重を示し;5%より少ない曇りを有し;かつ、45°において75%より大きい光沢を有する、メタロセンを用いてつくられるプロピレンをベースにしたランダム共重合体を含んで成ることを特徴とする射出伸長ブロー成形された(ISBM)包装または容器。
【請求項9】
メタロセンを用いてつくられるプロピレンをベースにしたランダム共重合体を提供し;
該メタロセンを用いてつくられるプロピレンをベースにしたランダム共重合体を射出成形してプリフォームにし;
該プリフォームを伸長ブロー成形して製品をつくることを特徴とする射出伸長ブロー成形された(ISBM)製品の製造法。
【請求項10】
該製品はキャビティー1個当たり、製品を毎時少なくとも約1000個製造する速度で伸長ブロー成形されることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
該製品はキャビティー1個当たり、製品を毎時少なくとも約1500個製造する速度で伸長ブロー成形されることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
メタロセンを用いてつくられるプロピレンをベースにしたランダム共重合体はメルトフローレートが約1〜約40dg/分であり、融点が105〜130℃であることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項13】
該製品は、医療品用の包装または化粧品用の包装から成る群から選ばれることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項14】
該製品は良好な触覚を有することを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項15】
伸長ブロー成形は8バールの圧力で行われることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項16】
伸長ブロー成形は、メタロセンを用いないでつくられるプロピレンをベースにしたランダム共重合体の同様な伸長ブロー成形に比べ、少なくとも20%少ない熱エネルギーしか必要としないことを特徴とする請求項9記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−521901(P2012−521901A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502188(P2012−502188)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/028408
【国際公開番号】WO2010/111330
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(391024559)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (98)
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
【Fターム(参考)】