説明

射出成形体

【課題】衝撃強度、引張破断伸びのバランスに優れる射出成形体を提供する。
【解決手段】 脂肪族ポリエステル(A)18〜50質量%、下記の成分(B)40〜77質量%、及び相容化剤(C)3〜15質量%を含有するポリエチレン系樹脂組成物からなる射出成形体(但し、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量を100質量%とする)。
成分(B):密度が905〜950kg/mであり、メルトフローレートが0.5〜20g/10分であり、流動の活性化エネルギー(Ea)が55〜100kJ/molであるエチレン−α−オレフィン共重合体

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエチレン系樹脂組成物からなる射出成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンを含有する樹脂組成物からなる成形体の廃棄処理を容易にするために、ポリ乳酸やポリ−3−ヒドロキシ酪酸エステル等の植物由来の樹脂を添加することが知られている。
例えば、従来のポリオレフィン等と、ポリ乳酸とを組み合わせて使用する試みがなされている。特許文献1には、ポリ乳酸系樹脂10〜70質量部と、ポリエチレン樹脂90〜30質量部と、相容化剤5〜10質量部からなる樹脂組成物及び成形体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−38142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているような樹脂組成物を用いて射出成形体を製造した場合、得られる射出成形体の衝撃強度、引張破断伸びのバランスは十分なものではなかった。
以上の課題に鑑み、本発明は衝撃強度、引張破断伸びのバランスに優れる射出成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、脂肪族ポリエステル(A)18〜50質量%、下記の成分(B)40〜77質量%、及び相容化剤(C)3〜15質量%を含有するポリエチレン系樹脂組成物からなる射出成形体(但し、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量を100質量%とする)。
成分(B):密度が905〜950kg/mであり、メルトフローレートが0.5〜20g/10分であり、流動の活性化エネルギー(Ea)が55〜100kJ/molであるエチレン−α−オレフィン共重合体
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、衝撃強度、引張破断伸びのバランスに優れる射出成形体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、上記の成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有する樹脂組成物からなるポリエチレン系樹脂製射出成形体である。
なお、本発明において、「射出成形体」を単に「成形体」とすることがある。
【0008】
[樹脂組成物]
<成分(A):脂肪族ポリエステル>
本発明における脂肪族ポリエステルとしては、ヒドロキシカルボン酸を重合して得られるポリエステルや、ジオールとジカルボン酸を共重合して得られるポリエステルが挙げられる。これらは単独又は2種以上併用して用いてもよい。
【0009】
ヒドロキシカルボン酸を重合して得られるポリエステルとしては、下記一般式(1)で示される3−ヒドロキシアルカノエートに由来する繰り返し単位を有する重合体が挙げられる。
【0010】
【化1】

〔式中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜15のアルキル基であり、Rは単結合、又は炭素数1〜4のアルキレン基である〕
【0011】
上記式(1)で示される繰り返し単位を有する重合体は、単独重合体であってもよく、上記繰り返し単位を二種以上含有する多元共重合体であってもよい。多元共重合体は、ランダム共重合体、交替共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれであってもよい。
【0012】
上記単独重合体としてはポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸エステル、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシプロピオネート)等が挙げられる。多元共重合体としては、3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシプロピオネート共重合体、3−ヒドロキシブチレート−4−ヒドロキシブチレート共重合体、3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシバリレート共重合体、3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシヘキサノエート共重合体、3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシオクタノエート共重合体、3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシバリレート−3−ヒドロキシヘキサノエート−4−ヒドロキシブチレート共重合体、3−ヒドロキシブチレート−乳酸共重合体等が挙げられる。このうち、ポリ乳酸、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸エステル又はこれらの混合物を用いることが好ましい。
【0013】
ジオールとジカルボン酸を共重合して得られる脂肪族ポリエステルとしては、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ブチレンサクシネート−ブチレンアジペート共重合体、ブチレンサクシネート−ブチレンテレフタレート共重合体、ブチレンアジペート−ブチレンテレフタレート共重合体、エチレンサクシネート−エチレンテレフタレート共重合体等が挙げられる。
【0014】
脂肪族ポリエステルとして、ポリ乳酸を用いることが好ましい。ここで、本発明におけるポリ乳酸とは、L−乳酸及び/又はD−乳酸に由来する繰り返し単位のみからなる重合体、L−乳酸及び/又はD−乳酸に由来する繰り返し単位と、L−乳酸及びD−乳酸以外のモノマーに由来する繰り返し単位と、からなる共重合体、及び、前記重合体と前記共重合体の混合物、をいう。ここで、上記L−乳酸及びD−乳酸以外のモノマーとしては、グリコール酸等のヒドロキシカルボン酸、ブタンジオール等の脂肪族多価アルコール及びコハク酸等の脂肪族多価カルボン酸が挙げられる。
【0015】
ポリ乳酸におけるL乳酸又はD乳酸に由来する繰り返し単位の含有量は、得られる成形体の耐熱性を高める観点から、好ましくは80モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上であり、さらに好ましくは95モル%以上である。ポリ乳酸のメルトフローレート(MFR)は、樹脂組成物の流動性の観点から好ましくは1g/10分以上であり、より好ましくは2g/10分以上であり、更に好ましくは3g/10分以上であり、更により好ましくは5g/10分以上であり、最も好ましくは10g/10分以上である。また、成形体の強度の観点から、20g/10分以下であり、より好ましくは18g/10分以下であり、更に好ましくは15g/10分以下である。なお、MFRは、JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18N、温度190℃の条件で、A法により測定する。
【0016】
<成分(B):エチレン−α−オレフィン共重合体>
本発明におけるエチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンに由来する繰り返し単位の含有量が50質量%以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体をいう。
エチレン−α−オレフィン共重合体としては、エチレンと1種類以上の炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。炭素数3〜12のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。このうち、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンを用いることが好ましく、1−ブテン、1−ヘキセンを用いることがより好ましい。
【0017】
エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体等が挙げられる。このうち、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体を用いることが好ましく、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体を用いることがより好ましい。
【0018】
エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、905〜950kg/mである。得られる成形体の機械強度のうちの衝撃強度を高めるという観点から、好ましくは930kg/m以下である。また、得られる成形体の機械強度のうち引張強度を高める観点から、好ましくは870kg/m以上であり、より好ましくは880kg/m以上であり、更に好ましくは890kg/m以上であり、特に好ましくは900kg/m以上である。なお、成分(A)の密度は、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される。また、エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、エチレン−α−オレフィン共重合体中のエチレンに基づく単量体単位の含有量により変更することができる。
【0019】
エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR)は、0.5〜20g/10分である。成形加工性を高める観点、特に流動性の観点から、より好ましくは0.8g/10分以上であり、さらに好ましくは0.9g/10分以上である。得られる成形体の機械的強度の観点から、好ましくは15g/10分以下、より好ましくは8g/10分以下である。なお、ここでいうメルトフローレートとは、JIS K7210(1995)に従い、試験荷重21.18N、試験温度190℃の条件で測定する。
【0020】
エチレン−α−オレフィン共重合体の重量平均分子量(以下、「Mw」と記載することがある。)と数平均分子量(以下、「Mn」と記載することがある。)との比(以下、「Mw/Mn」と記載することがある。)は、2〜15である。Mw/Mnが小さすぎると、成形加工時の樹脂圧力や樹脂温度が高くなることがある。Mw/Mnは、好ましくは3以上であり、より好ましくは4以上であり、更に好ましくは5以上であり、更により好ましくは6以上であり、もっとも好ましくは7以上である。Mw/Mnが大きすぎると、得られる成形体の機械的強度が低くなる、あるいは成形体のベタツキの原因となる低分子量成分が多くなることがある。なお、ベタツキ成分量(低融点成分量)は、冷キシレン可溶部割合(CXS)測定などで定量することができる。Mw/Mnは、好ましくは14以下であり、より好ましくは13以下であり、更に好ましくは12以下である。
【0021】
Mw/Mnは、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、MwをMnで除した値(Mw/Mn)である。また、GPC法での測定条件としては、例えば、次の条件をあげることができる。
(1)装置:Waters製Waters150C
(2)分離カラム:TOSOH TSKgelGMH6−HT
(3)測定温度:140℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(5)流量:1.0mL/分
(6)注入量:500μL
(7)検出器:示差屈折計
(8)分子量標準物質:標準ポリスチレン
【0022】
エチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギー(Ea)は、55〜100kJ/molである。樹脂組成物の流動性の観点から、好ましくは60kJ/mol以上であり、より好ましくは65kJ/mol以上である。また、成形体の機械的強度を高める観点から、Eaは、好ましくは90kJ/mol以下である。
【0023】
ここで、流動の活性化エネルギー(Ea)は、190℃での溶融複素粘度(単位:Pa・sec)の角周波数(単位:rad/sec)依存性を示すマスターカーブを作成する際のシフトファクター(a)から、アレニウス型方程式により算出される数値であって、以下に示す方法で求められる値である。
すなわち、130℃、150℃、170℃及び190℃夫々の温度(T、単位:℃)におけるオレフィン重合体の溶融複素粘度−角周波数曲線を、温度−時間重ね合わせ原理に基づいて、各温度(T)での溶融複素粘度−角周波数曲線毎に、190℃でのオレフィン重合体の溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際に得られる各温度(T)でのシフトファクター(a)を求め、夫々の温度(T)と、各温度(T)でのシフトファクター(a)とから、最小自乗法により[ln(a)]と[1/(T+273.16)]との一次近似式(下記(I)式)を算出する。次に、該一次式の傾きmと下記式(II)とからEaを求める。
ln(a)=m(1/(T+273.16))+n・・・(I)
Ea=|0.008314×m|・・・・・・・・・・・・・・(II)
:シフトファクター
Ea:流動の活性化エネルギー(単位:kJ/mol)
T :温度(単位:℃)
上記計算は、市販の計算ソフトウェアを用いてもよく、該計算ソフトウェアとしては、Rheometrics社製 Rhios V.4.4.4などが挙げられる。
なお、シフトファクター(a)は、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線を、log(Y)=−log(X)軸方向に移動させて(但し、Y軸を溶融複素粘度、X軸を角周波数とする。)、190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際の移動量である。この重ね合わせでは、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線は、曲線ごとに、角周波数をa倍に、溶融複素粘度を1/a倍に移動させる。また、130℃、150℃、170℃及び190℃の4点の値から(I)式を最小自乗法で求めるときの相関係数は、通常、0.99以上である。
【0024】
溶融複素粘度−角周波数曲線の測定は、粘弾性測定装置(例えば、Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800など。)を用いて測定することが好ましい。
【0025】
エチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法としては、例えば、有機アルミニウム化合物、有機アルミニウムオキシ化合物、ホウ素化合物、有機亜鉛化合物などの助触媒成分を粒子状担体に担持させた固体粒子状の助触媒成分と、アルキレン基やシリレン基等の架橋基で2つのシクロペンタジエニル型アニオン骨格が結合した構造を持つ配位子を有するメタロセン錯体と、からなる重合触媒の存在下、エチレンとα−オレフィンとを共重合する方法が挙げられる。
【0026】
重合方法として、好ましくは、エチレン−α−オレフィン共重合体の粒子の成形を伴う連続重合方法であり、例えば、連続気相重合、連続スラリー重合、連続バルク重合であり、好ましくは、連続気相重合である。気相重合反応装置としては、通常、流動層型反応槽を有する装置であり、好ましくは、拡大部を有する流動層型反応槽を有する装置である。反応槽内に攪拌翼が設置されていてもよい。
【0027】
エチレン−α−オレフィン共重合体の製造に用いられる重合触媒の各成分を反応槽に供給する方法としては、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で供給する方法、各成分を溶媒に溶解または稀釈して、溶液またはスラリー状態で供給する方法が用いられる。重合触媒の各成分は個別に供給してもよく、任意の成分を任意の順序にあらかじめ接触させて供給してもよい。
【0028】
また、本重合を実施する前に、予備重合を実施し、予備重合された予備重合触媒成分を本重合の触媒成分または触媒として使用することが好ましい。本重合と予備重合では異なるα−オレフィンを用いてもよく、炭素数が4〜12のα−オレフィンとエチレンとを予備重合することが好ましく、炭素数が6〜8のα−オレフィンとエチレンとを予備重合することがより好ましい。
【0029】
重合温度としては、通常、エチレン−α−オレフィン共重合体が溶融する温度よりも低く、好ましくは0〜150℃であり、より好ましくは30〜100℃であり、さらに好ましくは50〜90℃である。また、エチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)を広げる観点からは、重合温度は高い方が好ましい。
【0030】
重合時間としては(連続重合反応である場合は平均滞留時間として)、通常1〜20時間である。エチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)を広げる観点からは、重合時間(平均滞留時間)は長い方が好ましい。
【0031】
また、共重合体のメルトフローレートを調節する目的で、重合反応ガスに水素を分子量調節剤として添加してもよく、重合反応ガス中に不活性ガスを共存させてもよい。重合反応ガス中のエチレンのモル濃度に対する重合反応ガス中の水素のモル濃度は、重合反応ガス中のエチレンのモル濃度100モル%として、通常、0.1〜3mol%である。また、エチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)を広げる観点からは、該重合反応ガス中の水素のモル濃度は、高い方が好ましい。
【0032】
<成分(C):相容化剤>
本発明において成分(C)とは、成分(A)と成分(B)とを相容化することができる相容化剤をいう。相容化剤としては、エポキシ基を有する重合体、スチレン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。成分(C)として好ましくは、エポキシ基を有する重合体が用いられる。
本発明における成分(C)は、次の方法で判定する。以下、ある化合物を成分(X)と称する。
まず、成分(A)、成分(B)及び成分(X)を、所定の量混合した混合物(1)を、溶融混練して樹脂組成物(1)を得る。この樹脂組成物(1)を用いて、所定の大きさの成形体(1)を製造する。
次に、成形体(1)を製造した条件と同じ条件で、成分(B)を用いて成形体(1)と同じ大きさの成形体(2)を製造する。
成形体(1)の衝撃強度と成形体(2)の衝撃強度を測定する。成形体(1)の衝撃強度が、成形体(2)の衝撃強度の20%を超えている場合、成分(X)は成分(C)である。
【0033】
エポキシ基を有する重合体としては、エチレンに由来する繰り返し単位と、エポキシ基を有する単量体に由来する繰り返し単位とを有する共重合体が挙げられる。エポキシ基を有する単量体としては、例えば、グリシジルメタアクリレート、グリシジルアクリレート等のα,β−不飽和グリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル等のα,β−不飽和グリシジルエーテルを挙げることができ、好ましくはグリシジルメタアクリレートである。
【0034】
エポキシ基を有する重合体としては、具体的には、グリシジルメタアクリレート−エチレン共重合体(例えば、住友化学製 商品名ボンドファースト)、エポキシ基を有する重合体としては、グリシジルメタアクリレート−スチレン共重合体やグリシジルメタアクリレート−アクリロニトリル−スチレン共重合体、グリシジルメタアクリルレート−プロピレン共重合体等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、水添及び非水添のスチレン−共役ジエン系等に、エポキシ基を有する単量体を、溶液若しくは溶融混練でグラフト重合させたものを用いてもよい。
【0035】
エポキシ基を有する重合体において、エポキシ基を有する単量体に由来する繰り返し単位の含有量は、0.01質量%〜30質量%であり、好ましくは0.1質量%〜20質量%であり、より好ましくは5質量%〜15質量%であり、更に好ましくは8質量%〜15質量%であり、更により好ましくは10質量%〜20質量%である(ただし、エポキシ基を有するエチレン系重合体を100質量%とする)。なお、エポキシ基を有する単量体に由来する繰り返し単位の含有量は、赤外法により測定される。具体的には、プレスシートを作成し、赤外吸収スペクトルの特性吸収の吸光度を厚さで補正して、検量線法により求める。グリシジルメタアクリレート特性吸収としては、910cm−1のピークを用いる。
【0036】
エポキシ基を有する重合体のメルトフローレート(MFR)は、1g/10分〜15g/10分である。加工性の観点から好ましくは1.5g/10分以上、より好ましくは2g/10分以上である。エポキシ基を有する重合体と他の成分との反応のしやすさの観点から、好ましくは8g/10分以下であり、より好ましくは7g/10分以下であり、更に好ましくは5g/10分以下であり、更により好ましくは4g/10分以下である。ここでいうメルトフローレートとは、JIS K 7210(1995)に規定された方法によって、試験荷重21.18N、試験温度190℃の条件で測定した値を用いる。
【0037】
エポキシ基を有する重合体の製造方法としては、例えば、高圧ラジカル重合法、溶液重合法、乳化重合法等により、エポキシ基を有する単量体とエチレンと、必要に応じて他の単量体とを共重合する方法、エチレン系樹脂にエポキシ基を有する単量体をグラフト重合させる方法等を挙げることができる。
【0038】
エポキシ基を有する重合体は、他の単量体に由来する繰り返し単位を有していてもよい。他の繰り返し単位としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等の不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和ビニルエステル等が挙げられる。
【0039】
上記樹脂組成物中の成分(C)として、スチレン系熱可塑性エラストマーを使用することもできる。スチレン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)又はその水素添加物(H−SBR)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)又はその水素添加物(SEBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIS)又はその水素添加物(SEPS、HV−SIS)、スチレン−(ブタジエン/イソプレン)ブロック共重合体、スチレン−(ブタジエン/イソプレン)ランダム共重合体等が挙げられる。
【0040】
上記樹脂組成物中の成分(C)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体を使用することもできる。エチレン−酢酸ビニル共重合体の製品例としては、三井・デュポン・ポリケミカル製「エバフレックス」、ランクセス製「レバプレン」、住友化学製「エバテート」、東ソー「ウルトラセン」、日本ポリエチレン「ノバテック」、日本ユニカー「NUC EVAコポリマー」等を挙げることができる。
【0041】
上記樹脂組成物中の成分(C)として、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体を使用することもできる。エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製品例としては、アルケマ製「ロトリル」、三井・デュポン・ポリケミカル製「エバフレックスEEA」、住友化学製「アクリフト」、日本ユニカー「NUC EEAコポリマー」等を挙げることができる。
【0042】
本発明で用いる樹脂組成物中の各成分の含有量としては、樹脂組成物に含まれる成分(A)、(B)及び(C)の合計量を100質量%として、成分(A)の含有量が18〜50質量%であり、成分(B)の含有量が40〜77質量%であり、成分(C)の含有量が3〜15質量%である。好ましくは、成分(A)の含有量が20〜45質量%であり、成分(B)の含有量が50〜77質量%であり、成分(C)の含有量が3〜15質量%であり、より好ましくは、成分(A)の含有量が20〜35質量%であり、成分(B)の含有量が55〜77質量%であり、成分(C)の含有量が3〜10質量%である。各成分の配合割合を、上記のような範囲とすることにより、衝撃強度、引張破断伸びのバランスに優れる射出成形体を得ることが可能となる。
【0043】
なお、上記樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、中和剤、滑剤、帯電防止剤、造核剤、紫外線防止剤、可塑剤、分散剤、防曇剤、抗菌剤、有機多孔質パウダー、顔料等の添加剤を添加することが可能である。
【0044】
なお、上記樹脂組成物には本発明の効果を阻害しない範囲内で、成分(B)以外のオレフィン系樹脂や、エラストマーを添加してもよい。成分(B)以外のオレフィン系樹脂としては、例えば、流動の活性化エネルギーが55kJ/mol以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体、HDPE又は高圧法低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6・66等が挙げられる。
エラストマーとしては、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0045】
樹脂組成物の製造方法は特に限定されるものではなく、公知のブレンド方法を用いることができる。公知のブレンド方法としては、例えば、成分(A)〜(C)と必要に応じて添加剤等の他の成分とを、ドライブレンドやメルトブレンドする方法等が挙げられる。ドライブレンドする方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー等の各種ブレンダーを用いる方法が挙げられ、メルトブレンドする方法としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、熱ロール等の各種ミキサーを用いる方法が挙げられる。
【0046】
〔射出成形体の製造方法〕
本発明に係る射出成形体は、型締ユニットと射出ユニットからなる射出成形機と金型を用いて加熱溶融させた上記樹脂組成物を金型内に射出注入し、冷却・固化させるという方法によって製造することができる。
【0047】
このようにして得られる射出成形体は、蓋、キャップ、中栓、ガスケット、パッキン、バケツ、ボトル、容器、箱類、等の日用品やその部品、家電製品・OA機器等の電気電子機器類の部品、玩具遊具類とその部品、スポーツ用品、機械部品、構造材等に用いることが可能である。
【実施例】
【0048】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。物性の評価は、以下の方法によって行った。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
成分(B)のメルトフローレートは、JIS K 7210(1995)に従い、試験荷重21.18N、試験温度190℃の条件で測定を行った。
(2)メルトフローレート比(MFRR)
成分(B)のメルトフローレート比は、JIS K7210(1995)に規定された方法において、試験荷重211.82N、測定温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(H−MFR)と、JIS K7210(1995)に規定された方法において、荷重21.18N及び温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(MFR)とを測定し、H−MFRをMFRで除した値を用いた。
【0049】
(3)スウェル比(SR)
成分(B)のスウェル比は、(2)のメルトフローレートの測定において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、オリフィスから15〜20mm程度の長さで押出されたストランド用いた。このストランドのオリフィスの押出し上流側先端から約5mmの位置の直径D(単位:mm)を測定した。この直径Dを、オリフィス径2.095mm(D)で除した値(D/D)を算出し、スウェル比とした。
【0050】
(4)密度(単位:kg/m
成分(B)の密度は、150℃でプレス成形して得られた厚さ1mmのシートを用い、JIS K 6760(1981)に従って測定を行った。なお、試料には、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを施した。
【0051】
(5)分子量分布(Mw/Mn)
成分(B)の分子量分布は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法を用いて、下記の条件(1)〜(8)により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、Mw/Mnを求めた。
なお、クロマトグラム上のベースラインは、試料溶出ピークが出現するよりも十分に保持時間が短い安定した水平な領域の点と、溶媒溶出ピークが観測されたよりも十分に保持時間が長い安定した水平な領域の点とを結んでできる直線とした。
(1)装置:Waters製Waters150C
(2)分離カラム:TOSOH TSKgelGMH6−HT
(3)測定温度:140℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(5)流量:1.0mL/分
(6)注入量:500μL
(7)検出器:示差屈折計
(8)分子量標準物質:標準ポリスチレン
【0052】
(6)流動の活性化エネルギー(Ea、単位:kJ/mol)
成分(B)の流動の活性化エネルギーEaは、歪制御型の回転式粘度計(レオメーター)を用いて、下記の条件(a)〜(d)で測定される各温度T(K)における動的粘弾性データを温度−時間重ね合わせ原理に基づいてシフトする際のシフトファクター(aT)のアレニウス型方程式:log(aT)=Ea/R(1/T−1/T0)(Rは気体定数、T0は基準温度463Kである。)から算出される成形性の指標をいう。計算ソフトウェアには、Reometrics社Rhios V.4.4.4を使用し、アレニウス型プロットlog(aT)−(1/T)における直線近似時の相関係数r2が0.99以上の場合のEa値を採用した。測定は窒素下で実施した。
条件(a)ジオメトリー:パラレルプレート、直径25mm、プレート間隔:1.5〜2mm
条件(b)ストレイン:5%
条件(c)剪断速度:0.1〜100rad/sec
条件(d)温度:190、170、150、130℃
【0053】
(7)スパイラルフロー長さ(L、単位:cm)
実施例及び比較例の樹脂組成物のスパイラルフロー長さは、下記の条件で射出成形を行い、そのとき得られた渦巻状の成形体の長さを測定した。この値が大きいほど、射出成形時の流動性が良い。
成形機:東芝機械製IS100EN−3A射出成形機
金型 :7.5mmφの半円×長さ200cm、ゲート4mmφ半円
成形条件:成形温度190℃
金型温度:40℃
射出圧力:98MPa
成形サイクル:射出時間10秒、冷却時間20秒
射出率:68cm/sec
【0054】
(8)引張衝撃強度(単位:kJ/m2)
実施例及び比較例の樹脂組成物の引張衝撃強度は、ASTM D1822−68に従って測定した。この値が大きいほど機械的強度に優れる。
【0055】
(9)引張破断伸び(単位:%)
実施例及び比較例の樹脂組成物の引張破断伸びは、上記(8)で製造した厚み2mmの射出成形シートから流動方向と平行になるように、JIS K6251の6号ダンベルで打抜き、チャック間50mm、標線間20mm、引張速度200mm/minの条件で引張試験を行ない、破断時の伸びを以下の式より算出した。
破断伸び=(破断時の標線間距離−20mm)/20mm×100
【0056】
本発明の実施例で使用した各成分は、以下の通りである。
<成分(A):ポリ乳酸>
ユニチカ株式会社製、商品名「テラマックTE−2000C」、MFR(190℃)=12g/10分
【0057】
<成分(B):エチレン−α−オレフィン共重合体>
(B−1):エチレン−α−オレフィン共重合体(PE(1))の製造
(1)固体触媒成分の調製
窒素置換した撹拌機を備えた反応器に、窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;50%体積平均粒子径=55μm;細孔容量=1.67ml/g;比表面積=325m/g)2.8kgとトルエン24kgとを入れて、撹拌した。これを5℃まで冷却した後、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン0.9kgとトルエン1.4kgとの混合溶液を、反応器の温度を5℃に保ちながら30分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間撹拌した後95℃まで昇温させ、95℃で3時間撹拌し、ろ過した。得られた固体生成物をトルエン20.8kgで6回、洗浄を行った。その後、トルエン7.1kgを加えスラリーとし、一晩静置した。
【0058】
上記で得られたスラリーに、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液(ジエチル亜鉛濃度:50質量%)1.73kgとヘキサン1.02kgとを投入し、撹拌した。その後、5℃に冷却した後、3,4,5−トリフルオロフェノール0.78kgとトルエン1.44kgとの混合溶液を、反応器の温度を5℃に保ちながら60分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間撹拌した後40℃に昇温し、40℃で1時間撹拌した。
その後、22℃まで冷却し、水0.11kgを、反応器の温度を22℃に保ちながら滴下した。滴下終了後、22℃に保ちながら1.5時間撹拌した。次にこれを40℃に昇温し、40℃で2時間撹拌し、更に80℃に昇温し、80℃で2時間撹拌した。
撹拌後、室温にて、残量16Lまで上澄み液を抜き出し、トルエン11.6kgを投入し、次に、95℃に昇温し、4時間撹拌した。撹拌後、室温にて、上澄み液を抜き出し、固体生成物を得た。得られた固体生成物をトルエン20.8kgで4回、ヘキサン24Lで3回、洗浄を行った。その後、乾燥することにより、固体触媒成分を得た。
【0059】
(2)予備重合触媒成分の調製
予め窒素置換した内容積210Lの撹拌機付きオートクレーブに、ブタン80Lを投入した後、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド34.5mmolを投入し、オートクレーブを50℃まで昇温して撹拌を2時間行った。次にオートクレーブを30℃まで降温して系内が安定した後、エチレンをオートクレーブ内のガス相圧力で0.03MPa分仕込み、(1)で製造した固体触媒成分0.7kgを投入し、続いてトリイソブチルアルミニウム140mmolを投入して重合を開始した。
次いでエチレンを0.7kg/Hrで連続供給しながら30分経過した後、50℃へ昇温するとともに、エチレンと水素をそれぞれ3.5kg/Hrと10.2リットル(常温常圧体積)/Hrで連続供給することによって合計4時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素ガスなどをパージして残った固体を室温にて真空乾燥し、上記固体触媒成分1g当り15gのポリエチレンが予備重合された予備重合触媒成分を得た。
【0060】
(3)エチレン−α−オレフィン共重合体の製造
上記(2)で得た予備重合触媒成分を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ブテン、1−ヘキセンの共重合を実施し、重合体パウダーを得た。重合条件としては、重合温度を81.4℃、重合圧力を2MPa、エチレンに対する水素モル比を1.82%、エチレンと1−ブテンと1−ヘキセンとの合計に対する1−ブテンモル比を2.46%、1−ヘキセンモル比をそれぞれ0.76%とした。
重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給した。また、上記予備重合触媒成分とトリイソブチルアルミニウムを連続的に供給し、流動床の総パウダー質量80kgを一定に維持した。平均重合時間4hrであった。得られた重合体パウダーを、押出機(神戸製鋼所社製 LCM50)を用いて、フィード速度50kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度50%、サクション圧力0.1MPa、樹脂温度200〜230℃の条件で造粒することによりエチレン−1−ヘキセン−1−ブテン共重合体(以下PE(1))を得た。得られた共重合体の物性評価の結果を表1に示す。
【0061】
(B−2):エチレン−α−オレフィン共重合体(PE(2))の製造
上記PE(1)の(2)で得た予備重合触媒成分を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ブテン、1−ヘキセンの共重合を実施し、重合体パウダーを得た。重合条件としては、重合温度を84℃、重合圧力を2MPa、エチレンに対する水素モル比を1.4%、エチレンと1−ブテンと1−ヘキセンとの合計に対する1−ブテンモル比を2.3%、1−ヘキセンモル比をそれぞれ1.0%とした。
重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給した。また、上記予備重合触媒成分とトリイソブチルアルミニウムを連続的に供給し、流動床の総パウダー質量80kgを一定に維持した。平均重合時間4hrであった。得られた重合体パウダーを、上記押出機を用いて、フィード速度50kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度50%、サクション圧力0.1MPa、樹脂温度200〜230℃の条件で造粒することによりエチレン−1−ヘキセン−1−ブテン共重合体(以下PE(2))を得た。得られた共重合体の物性評価の結果を表1に示す。
【0062】
(B−3):エチレン−α−オレフィン共重合体(PE(3))の製造
上記PE(1)の(2)で得た予備重合触媒成分を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ブテン、1−ヘキセンの共重合を実施し、重合体パウダーを得た。重合条件としては、重合温度を84℃、重合圧力を2MPa、エチレンに対する水素モル比を1.04%、エチレンと1−ブテンと1−ヘキセンとの合計に対する1−ブテンモル比を2.16%、1−ヘキセンモル比をそれぞれ0.73%とした。
重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給した。また、上記予備重合触媒成分とトリイソブチルアルミニウムを連続的に供給し、流動床の総パウダー質量80kgを一定に維持した。平均重合時間4hrであった。得られた重合体パウダーを、上記押出機を用いて、フィード速度50kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度50%、サクション圧力0.1MPa、樹脂温度200〜230℃の条件で造粒することによりエチレン−1−ヘキセン−1−ブテン共重合体(以下PE(3))を得た。得られた共重合体の物性評価の結果を表1に示す。
【0063】
(B−4):友化学株式会社製、商品名「スミカセン−L GA801」(エチレン−α−オレフィン共重合体、MFR(190℃)=20g/10分、密度=920kg/m
【0064】
成分(C):エポキシ基を有するエチレン系重合体
C−1:住友化学株式会社製、商品名「ボンドファーストE」(エチレン−グリシジルメタアクリレート共重合体、MFR(190℃)=3g/10分、グリシジルメタアクリレートに由来する繰り返し単位含有量=12質量%)
【0065】
【表1】

【0066】
〔実施例1〜4及び比較例1,2〕
成分(A)、成分(B)及び成分(C)を表2、3に記載の組成割合で、一括混合した後、スクリュー径40mmの押出機を用いて190℃で溶融混練し、樹脂組成物を得た。次いで、射出成形機(東芝機械製IS100EN−3A)を用い、スパイラルフロー長さ、引張衝撃強度、及び引張破断伸びの測定を行った。物性評価結果を表2,3に示す。
【0067】
【表2】

【0068】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族ポリエステル(A)18〜50質量%、下記の成分(B)40〜77質量%、及び相容化剤(C)3〜15質量%を含有するポリエチレン系樹脂組成物からなる射出成形体(但し、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量を100質量%とする)。
成分(B):密度が905〜950kg/mであり、メルトフローレートが0.5〜20g/10分であり、流動の活性化エネルギー(Ea)が55〜100kJ/molであるエチレン−α−オレフィン共重合体
【請求項2】
前記成分(A)が、ポリ乳酸、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸エステル又はそれらの混合物である請求項1に記載の射出成形体。

【公開番号】特開2012−153795(P2012−153795A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13888(P2011−13888)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】