説明

射出成形円筒回転部品

【課題】 特定の形状精度を有することにより得られる回転精度の高い円筒回転部品を提供すること。
【解決手段】 外周と軸穴の各円筒度の平行度が部品高さあたり5μm/mm未満を満たす射出成形円筒回転部品。或いは軸穴への嵌合率が20%以上であり、かつ外周の部品高さあたりの円筒度が10μm/mm未満であることを満たす射出成形円筒回転部品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外周と軸穴の平行度で規定されて得られる回転精度に優れた高精度の円筒回転部品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアセタール樹脂は、金属と比較して大幅に軽量、自己潤滑性、静音性などに優れるエンジニアリングプラスチックであり、摩擦摩耗性、繰り返し衝撃性、そして大量生産が可能なことから多種の分野において回転体の用途として広く利用されてきた。近年、製品の回転高精度化、高速化が求められ、それに伴い 歯車やフランジ等の円筒回転部品の回転時の高精度化が求められている。
【0003】
従来技術では、高精度円筒回転部品を得る方法として分子量を下げて流動性をあげたり、部分的に金型内を加圧した成形方法と組み合わせて成形したり、精度を保つために金属をインサート成形したりする方法がとられていた。そのために、新たな装置や工程を施さなくては精度をあげることが困難であった。(特許文献1、特許文献2、特許文献3)また、高精度に回転をするための評価方法として真円度、円筒度、同軸度などが用いられてきたがどれも内側または外側のみの精度であり、歯車を代表例として内側軸穴回転角度と外側歯車の回転角度の相関正確性は確認されてこなかった。(特許文献3)
ポリアセタールのような結晶性樹脂で成形品を作成した場合、樹脂自体が収縮特性を持つために部分的に反りやヒケが生じてしまうという問題があった。そのために充填材を添加して対策としているが、成形性を低下させたり、異方性、収縮むらなどが生じ、精度低下を引き起こしたりしてしまっていた。したがってその配合量として、好ましくは10重量%以下とされていた。(特許文献4、非特許文献1)
なお、本発明で使用する用語は下記の意味である。
円筒回転部品:中空円筒状の軸穴を中心部にもち、更に軸穴の開口部を含む面を有し、軸穴を中心として回転する円筒形の部品のことをさす。特に形状に限定はされるものではないが、プリンターや複写機のドラムフランジや軸受け、歯車、現像ローラー、戸車などが例としてあげられる。
円筒度の平行度:円筒回転部品の外周及び軸穴部を高さ方向に分割して真円度を測定し、中心線からの各位置の径のバラツキを円筒度として求め、更に軸穴の円筒形状を真直とみなした時に外周の円筒形状がどれだけ曲がっているかを示したものであり軸穴に対してどれだけ平行に回転をすることができるかを表すことができる。図1はこの円筒度の平行度の測定手法を模式的に説明するものである。
嵌合率:軸穴にシャフトを嵌合させた際にどれだけ軸穴内部の面がシャフトに接触するかを示したもので、軸穴全表面積に対するシャフトの接触割合を数値化したものである。具体的には真円度測定器にて表面の凹凸を測定し、その凹凸の最小径点から軸穴径の0.2%以内の距離に存在する面積をBearingRatioから計算して求める。なお、測定方向は軸穴の高さ方向でも円周方向でもどちらでも構わない。
【特許文献1】特開2005−144763
【特許文献2】特開2002−96366
【特許文献3】特開2001−229593
【特許文献4】特開平11−51154
【非特許文献1】テナックハンドブック 2002年5月発行版 P167
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、特定の形状精度を有することにより得られる回転精度の高い円筒回転部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、良好な外周と軸穴の円筒度の平行度をもつ円筒回転体の回転伝達精度が良いことを見出した。更にポリアセタール樹脂の分子量を良好にした円筒部品、もしくは特定の形状、粒径を有するフィラーを配合してなるポリアセタール樹脂組成物によって得られる円筒部品の軸穴円筒平行度が良好になることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は
(1)外周と軸穴の各円筒度の平行度が部品高さあたり5μm/mm未満を満たす射出成形円筒回転部品。
(2)軸穴への嵌合率が20%以上でありかつ外周の円筒度が部品高さあたり10μm/mm未満であることを満たす射出成形円筒回転部品。
(3)ASTM-D1238に定められるメルトフローレート値が25g/10min以上であるポリアセタール樹脂(I)であることを特徴とする(1)または(2)に記載の円筒回転部品。
(4)ポリアセタール樹脂(I)100質量部に対して、フィラー(II)を1を超えて100質量部未満を配合してなる(1)または(2)に記載の円筒回転部品。
(5)フィラー(II)の粒径が0.01μmを超えて10μm未満であり、かつ粒子の平均長径(L)と粒子の平均短径(D)の比である平均アスペクト比(L/D)が25未満であることを特徴とする(1)から(4)いずれかに記載の円筒回転部品。
(6)(1)から(5)いずれかに記載の材料から成る歯車。
である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の円筒部品は、回転伝達精度に優れる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本願発明について具体的に説明する。
【0008】
本発明において成形品の精度評価測定方法として真円度測定器を用いた円筒度の平行度を用いた。この測定方法は軸穴部分と外周部分の各円筒度を測定し、これは回転する部品が、部品自体としてどれだけ正確に回転するかという軸穴の精度と 次の部品にどれだけ正確に回転を伝えられるかを部品外周の精度を組み合わせることにより成形品全体の回転精度を確認することができる方法でその値が小さいものほど回転精度が良いものである。この評価方法と実際の回転伝達の正確性との相関に関しては歯車形状サンプルを用い、片歯噛合い試験機にて確認を行った。この片歯噛合い試験とは、相噛合う歯車を中心間距離を一定にして回転させた時、どれだけ駆動側の歯車と同じように従動側サンプルが回転できるかを噛合い誤差として計算させるもので実際の円筒物回転の回転方法と近似した動きの下、測定をすることができる。
【0009】
片歯噛合い試験結果より、高精度な回転体として必要な円筒度の平行度は歯幅あたり5μm/mm未満、好ましくは4μm/mm未満、更に好ましくは3μm/mm未満である。
【0010】
また、本発明におけるもうひとつの精度評価測定方法として真円度測定器を用いた嵌合率を利用した。これは円筒部品を回転させる際に軸穴にシャフトを嵌合させることが必須でありそのシャフトがどれだけ部品軸穴部の壁面と接触しているかを計算させることにより円筒部品がどれだけ安定して回転することができるかを判別することが可能な方法である。この値は数値が大きいものほどシャフトへの接触割合が高く軸穴が安定して回転を行うことができる。また、更に部品外側の円筒度の精度を高めることにより軸穴の回転角度をより正確に伝達することができるため部品外周の円筒度と軸穴の嵌合率を組み合わせてより精度の高い回転部品の定義方法とした。
【0011】
上記測定においてより正確な回転伝達を行うことのできる成形品の精度は嵌合率20%以上、歯幅あたりの外周円筒度10μm/mm未満好ましくは嵌合率30%以上、外周円筒度8μm未満/mm更に好ましくは嵌合率50%以上、外周円筒度5μm/mm未満である。
上記の数値を満たすためには2つの方法が考えられる。まずは分子量を下げることにより成形時の流動性を上げ、金型転写性を向上させる方法、2つ目はフィラー添加により成形品冷却時の収縮等による変形を抑える方法である。
【0012】
本発明において必要なポリアセタール樹脂(I)の分子量変化によるASTM-D1238に定められるメルトフローレート値は、25以上好ましくは30以上である。これよりも低いと流動性がおちるため、成形時に金型内に完全充填されず結果として不均一な収縮変形を起こしてしまう。ここで規定されるポリアセタール樹脂(I)は、公知のポリアセタール樹脂であって特に限定されるものではない。本発明において、上記ポリアセタール樹脂は一種類、もしくは二種類以上の混合物で用いても差し支えない。
【0013】
本発明で用いられるフィラー(II)は、その粒径が細かく、更に粒子の平均長径(L)と粒子の平均短径(D)の比である平均アスペクト比(L/D)が小さいものほど成形品表面にてその収縮をおさえ精度をあげることができ、分散性と精度の関係より、平均粒径が0.01μmから10μm未満であり、かつ平均アスペクト比が25未満のフィラーが必須とされる。好ましくは平均粒径が5μm未満、平均アスペクト比が10未満、更に好ましくは平均粒径が4μm未満、平均アスペクト比が2未満である。樹脂に対して添加される公知のフィラーであれば特に限定されるものではなく、大別して有機フィラー、無機フィラーをあげることができる。
【0014】
上記有機フィラーとは、ポリアセタール樹脂(I)と比較して、融点またはガラス転移点が高い炭化水素系の微細な有機フィラーであり、例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン樹脂、飽和または不飽和ポリエステル樹脂、脂肪族または芳香族ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂等の微紛、微粒子や、液晶ポリマー樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリサルフォン樹脂等のスーパーエンプラ樹脂の微粉、微粒子をあげることができる。前記樹脂は、低分子量の樹脂の粉末、微粒子であってもよいし、高分子量、または架橋された樹脂の粉末、微粒子であってもよく、また重合によって得られた樹脂を粉砕等の機械的処理によって上記記述の形状、粒径としたものであっても差し支えない。また、これらは一種類で用いてもよいし、二種類以上の混合物で用いても差し支えない。
【0015】
上記無機フィラーとしては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、ウォラストナイトの如き珪酸塩、酸化鉄、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛の如き金属酸化物、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き金属硫酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩、その他炭化珪素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末、マイカ、ガラスフレーク、ガラスバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、金属バルーン等をあげることができる。これらは一種類で用いてもよいし、二種類以上の混合物で用いても差し支えない。
【0016】
ここで、粒径がより小さく、粒度分布がシャープであるといった観点から好ましい無機フィラーとしては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、酸化鉄、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、窒化硼素、マイカ、ガラスフレークをあげることができ、さらに好ましくはカーボンブラック、カーボンナノチューブ、シリカ、ガラスビーズ、ガラス粉、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、窒化硼素、マイカであり、最も好ましくはカーボンブラック、カーボンナノチューブ、シリカ、カオリン、タルク、酸化亜鉛、炭酸カルシウムであり、最もより好ましくは炭酸カルシウムである。
【0017】
ここで、本発明ではフィラーの粒子の形状においては、Heywoodの定義を用いて、粒子の平面図について輪郭に接する二つの平行線の最短距離を短径、それに直角方向の平行線の最大距離を長径とする。また、平均粒径、平均長径、平均短径、平均アスペクト比とは、単位体積中に長径L、短径dのフィラーがN個存在するとき、
平均粒径=平均長径=ΣL/ΣL
平均短径=Σd/Σd
平均アスペクト比L/D=(ΣL/ΣL)/(Σd/Σd
と定義して用いる。より具体的には、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて検査するフィラーのサンプリングを行い、これを用いて粒子像を倍率1千倍から5万倍で撮影し、無作為に選んだ最低100個の炭酸カルシウムフィラーの粒子からそれぞれ長さを測定し求める。
更に本発明で用いられるポリアセタール樹脂組成物が、より機械的特性に優れるといった観点から、好ましいフィラー(II)の添加量は、ポリアセタール樹脂(I)100質量部に対して、1を超えて100質量部未満であり、さらに好ましくは15を超えて60質量部であり、最も好ましくは20質量部を超えて50質量部である。これよりも少ないとフィラー添加の効果が出ずに収縮による変形が生じ、これよりも多く添加をすると成形性がおちたり耐久性がもたなくなったりしてしまう。
【0018】
本発明の歯車部品としては公知のものであれば特に限定されるものではないが、例えば、平歯車、内歯車、ラック歯車、はすば歯車、やまば歯車、すぐばかさ歯車、はすばかさ歯車、まがりばかさ歯車、冠歯車、フェースギア、ねじ歯車、円筒ウオームギア、ハイポイドギア、ノビコフ歯車等をあげることができる。
本発明の円筒部品は高回転角度伝達精度の特徴をもつ。従来は材料の改良よる精度向上には限界があるために、金属インサート成形して特殊な構造としたり、特殊な成形方法や二次加工等によって精度を高めたりする方法がとられるが、本発明によれば軸穴と外周の円筒度の平行度または軸穴の嵌合率と円筒度を規定することによって高精度の定義を確立し、さらに分子量またはフィラー種を特定した材料によって、容易に高精度を出すことができ、回転角度伝達に優れることが特徴である。ここで、本発明の円筒部品を製造する方法に関しては特に限定されるものではなく、公知の製造方法を用いることができるが、精度を保つために特殊設備や後加工などを取り入れる必要はなく一般的な射出成形を用いることが可能である。
【実施例】
【0019】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に制限されるものではない。なお、以下の実施例、比較例において記載した評価は、以下の方法により実施した。
(1)円筒度の平行度、嵌合率測定
真円度円筒形状測定機(テーラーホブソン社製 Talyrond365)を用いてサンプル軸穴部の円筒度を測定し、解析ソフト(テーラーホブソン社製 TalyMap)平行度及び嵌合率を計算させた。
(2)メルトフローレート(MFR:g/10min.)
ASTM−D1238により東洋精機株式会社製のMELT INDEXERを用いて190℃、2160gの条件下で測定した。
(3)走査型電子顕微鏡(SEM)観察
フィラーの平均粒径、平均アスペクト比(平均長径および平均短径の測定)および形状の観察には以下の装置を用いて求めた。
ファインコーター:日本電子株式会社製
コーティング条件は30mA、60秒間で行った。
走査型電子顕微鏡:日本電子株式会社製
測定条件は加速電圧9.00kV、印加電流10.0μAで行った。
【0020】
平均粒径は、得られた粒子像から無作為に選択した最低100個の粒子についてそれぞれの長径を計測し、平均粒径=平均長径=ΣLi2Ni/ΣLiNiの式に従って求めた。
【0021】
平均アスペクト比は、得られた粒子像から無作為に選択した最低100個の粒子についてそれぞれの長径、短径を計測し、平均長径=ΣLi2Ni/ΣLiNi、平均短径=Σdi2Ni/ΣdiNi、平均アスペクト比L/D=(ΣLi2Ni/ΣLiNi)/(Σdi2Ni/ΣdiNi)の式に従って求めた。
(5)歯車サンプル成形
射出成形機(ファナック株式会社製 ROBOSHOT α−50iA)を用いて シリンダー温度190℃、射出時間3秒、保圧時間15秒、冷却時間15秒に設定し、モジュール0.6、歯数100、ピッチ円直径60mmの平歯、及び同サイズのネジレ角20度のはす歯歯車金型を80℃の金型温度で歯先円直径が61.2mm(平歯)、64.6mm(はす歯)になるような条件で成形した。
(6)歯車の片歯噛み合い試験
歯車噛合回転角伝達誤差測定機(株式会社小笠原プレシジョンラボラトリー製)を用いて 以下の条件にて行い、JIS B1702−1に準じて全噛合い誤差を確認し、以下の指標でその精度を確認した。
全噛合い誤差 ◎:〜3’00” ○:3’01” 〜4’00”×:4’01”〜
相手歯車:モジュール0.6、ピッチ円直径60mm、歯数100、ネジレ角20度、精度プレ級のはす歯金属歯車
軸間距離(はす歯)62.157mm、トルク0〜8kgf・cm、回転数300rpm
【0022】
また、実施例、比較例には下記成分を用いた。
<ポリアセタール樹脂>
(a−1)旭化成ケミカルズ株式会社製ポリアセタール樹脂(コポリマー) テナック−C(登録商標)HC750
MFR=25g/10min.
(a−2)旭化成ケミカルズ株式会社製ポリアセタール樹脂(コポリマー) テナック(登録商標)HC450を65質量部と、旭化成ケミカルズ株式会社製ポリアセタール樹脂(コポリマー) テナック−C(登録商標)HC750を35質量部混合したもの
MFR=15g/10min.
(a−3)旭化成ケミカルズ株式会社製ポリアセタール樹脂(コポリマー) テナック−C(登録商標)4520
MFR=10g/10min.
【0023】
<炭酸カルシウム>
(b−1)白石工業株式会社製Brilliant−15(軽質炭酸カルシウム)
平均粒径0.20μm
平均L/D=1.0
(b−2)丸尾カルシウム製スーパーS
平均粒径4μm
平均L/D=1
(b−3)神島化学工業株式会社製神島80nm
平均粒径0.08μm
平均L/D=1
(b−4)白石工業株式会社製PC
平均粒径1.20μm
平均L/D=2.5
(b−5)白石工業株式会社製シルバーW
平均粒径2.0μm
平均L/D=3.8
【0024】
[製造例1]
ポリアセタール樹脂(a−2)100質量部に対して、炭酸カルシウム(b−1)20質量部、ステアリン酸(川研ファインケミカル株式会社製F−3)0.6質量部を計量し、二軸押し出し機(池貝株式会社製PCM−30)を用いて、押出機のトップからそれぞれを添加して溶融混練し、ポリアセタール樹脂組成物(c−1)を得た。その際、溶融混錬条件は温度200度、回転数150rpmで行った。
MFR=12g/10min.
【0025】
[製造例2]
ポリアセタール樹脂(a−2)100質量部に対して、炭酸カルシウム(b−1)30質量部、ステアリン酸(川研ファインケミカル(株)製F−3)0.9質量部を計量し、製造例1と以下同様にしてポリアセタール樹脂組成物(c−2)を得た。
MFR=10g/10min.
【0026】
[製造例3]
ポリアセタール樹脂(a−2)100質量部に対して、炭酸カルシウム(b−1)40質量部、ステアリン酸(川研ファインケミカル株式会社製F−3)1.2質量部を計量し、製造例1と以下同様にしてポリアセタール樹脂組成物(c−3)を得た。
MFR=9g/10min.
【0027】
[製造例4]
ポリアセタール樹脂(a−2)100質量部に対して、炭酸カルシウム(b−2)30質量部、ステアリン酸(川研ファインケミカル株式会社製F−3)0.9質量部を計量し、製造例1と以下同様にしてポリアセタール樹脂組成物(c−4)を得た。
MFR=10g/10min
【0028】
[製造例5]
ポリアセタール樹脂(a−2)100質量部に対して、炭酸カルシウム(b−3)30質量部、ステアリン酸(川研ファインケミカル株式会社製F−3)0.9質量部を計量し、製造例1と以下同様にしてポリアセタール樹脂組成物(c−5)を得た。
MFR=10g/10min
【0029】
[製造例6]
ポリアセタール樹脂(a−2)100質量部に対して、炭酸カルシウム(b−4)30質量部、ステアリン酸(川研ファインケミカル株式会社製F−3)0.9質量部を計量し、製造例1と以下同様にしてポリアセタール樹脂組成物(c−6)を得た。
MFR=10g/10min
【0030】
[製造例7]
ポリアセタール樹脂(a−2)100質量部に対して、炭酸カルシウム(b−5)30質量部、ステアリン酸(川研ファインケミカル株式会社製F−3)0.9質量部を計量し、製造例1と以下同様にしてポリアセタール樹脂組成物(c−7)を得た。
MFR=10g/10min
【0031】
[製造例8]
ポリアセタール樹脂(a−2)100質量部に対して、ウォラストナイト(平均粒子径4μm、L/D:30)25質量部添加してポリアセタール樹脂組成物(c−8)を得た。
MFR=25g/10min
【0032】
[製造例9]
ポリアセタール樹脂(a−2)100質量部に対して、タルク(平均粒子径3μm、L/D:20)25質量部添加し、ポリアセタール樹脂組成物(c−9)を得た。
MFR=20g/10min
以上の(a−1)〜(a−3)のポリアセタール樹脂および(c−1)〜(c−9)のポリアセタール樹脂組成物を使用して歯車サンプルを射出成形し、以下の表に示す様に評価した。
表1にメルトフローレート値による評価結果を示す。
表2にフィラー添加による評価結果を示す。
【0033】
【表1】


【表2】

【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明で得られる円筒回転体は、回転角度精度に優れるため、OA、自動車、電気電子、その他工業などの各種分野で好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】円筒度の平行度の測定手法を模式的に説明する図である。 先ず軸穴と外周それぞれの円筒度を測定する。軸穴円筒度を0μmとした時、すなわち軸穴の円筒形状を真直とみなした時、外周形状がどのようになっているかを再計算し、再計算した外周形状の円筒度を数値化したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周と軸穴の各円筒度の平行度が部品高さあたり5μm/mm未満を満たす射出成形円筒回転部品。
【請求項2】
軸穴への嵌合率が20%以上であり かつ外周の部品高さあたりの円筒度が10μm/mm未満であることを満たす射出成形円筒回転部品。
【請求項3】
ASTM-D1238に定められるメルトフローレート値が25g/10min以上であるポリアセタール樹脂(I)であることを特徴とする請求項1または2に記載の円筒回転部品。
【請求項4】
ポリアセタール樹脂(I)100質量部に対して、フィラー(II)を5を超えて100質量部未満を配合してなる請求項1または2に記載の円筒回転部品。
【請求項5】
フィラー(II)の粒径が0.01μmを超えて10μm未満であり、かつ粒子の平均長径(L)と粒子の平均短径(D)の比である平均アスペクト比(L/D)が25未満であることを特徴とする請求項1から4いずれかに記載の円筒回転部品。
【請求項6】
請求項1から5いずれかに記載の材料から成る歯車。

【図1】
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【公開番号】特開2007−296800(P2007−296800A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128201(P2006−128201)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】