説明

射出装置、成形機、射出装置の制御方法

【課題】本発明は、駆動装置の寿命の低下や動作精度の低下を抑制することができる射出装置を提供する。
【解決手段】射出装置30は、射出部30aと、駆動装置50と、駆動装置50を冷却する、第1〜4の冷却通路91〜94と制御部1とポンプ100とタンク80とを備える。射出部30aは、可塑化された材料Mを収容する射出用バレル32と、射出用バレル32に形成されるノズル38と、射出用バレル32に収容されて可塑化された材料Mをノズル38を通して射出装置30の外部に押し出すプランジャ33とを備える。駆動装置50は、プランジャ33を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可塑化された材料を射出する射出部と、射出部を駆動する駆動装置とを備える射出装置に関する。他の本発明は、可塑化された材料を射出する射出部と、射出部を駆動する駆動装置とを備える射出装置を備える成形機に関する。他の本発明は、可塑化された材料を射出する射出部と、射出部を駆動する駆動装置とを備える射出装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可塑化された材料を射出する射出装置は、可塑化された材料を収容するシリンダと、このシリンダ内に収容されて材料を押し出すプランジャとを備えている。この種の射出装置では、プランジャの軸部に付着した材料を軸部から容易に剥離させるために、シリンダ内に冷却水を流す通路を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、シリンダとプランジャとの隙間に可塑化された材料が入り込むことに起因する不具合を低減するために、シリンダにおいてプランジャのピストン部の近傍の範囲に冷媒を流すシリンダ冷却用通路を形成するとともに、ピストン部に冷媒を流すピストン冷却用通路を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−263605号公報
【特許文献2】特開2000−117793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、可塑化された材料を射出するべくプランジャを駆動する駆動装置は、例えばボールねじなどの部品や装置を備えている。これらの部品や装置は、高温にさらされることによって、熱膨張するなど熱の影響を受ける。熱の影響により、駆動装置の寿命が低下すること、または、駆動装置の動作の精度が低下することが考えられる。特許文献1,2に開示される技術は、駆動装置を冷却する技術ではない。
【0006】
本発明は、駆動装置の寿命の低下や動作精度の低下を抑制することができる射出装置を提供することを目的とする。他の本発明は、駆動装置の寿命の低下や動作精度の低下を抑制することができる射出装置を備える成形機を提供することを目的とする。他の本発明は、駆動装置の寿命の低下や動作精度の低下を抑制することができる射出装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の射出装置は、可塑化された材料を射出する射出部と、前記射出部を駆動する駆動装置と、前記駆動装置を冷却する冷却手段とを備える。
【0008】
他の本発明の成形機は、前記射出装置と、型締装置とを備える。
【0009】
他の本発明の射出装置の制御方法は、可塑化された材料を射出する射出部と、前記射出部を駆動する駆動装置と、前記駆動装置内に設けられる冷媒通路と、前記冷媒通路内を流れる冷媒とを具備する射出装置の制御方法であって、前記冷媒を連続的に前記冷媒通路に流すように制御する。
【0010】
他の本発明の射出装置の制御方法は、可塑化された材料を射出する射出部と、前記射出部を駆動する駆動装置と、前記駆動装置内に設けられる冷媒通路と、前記冷媒通路内を流れる冷媒とを具備する射出装置の制御方法であって、前記冷媒を間欠的に前記冷媒通路に流すように制御する。
【0011】
他の本発明の射出装置の制御方法は、可塑化された材料を射出する射出部と、前記射出部を駆動する駆動装置と、前記駆動装置内に設けられる冷媒通路と、前記冷媒通路内を流れる冷媒と、前記駆動装置の温度を検出する温度検出手段とを具備する射出装置の制御方法であって、前記温度検出部の検出結果が予め設定される所定値以上になると、前記冷媒を前記冷媒用通路に流すように制御する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、駆動装置への熱の影響を抑制できるので、駆動装置の寿命の低下や駆動装置の動作精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る成形機を示す側面図。
【図2】図1に示された駆動装置を、一部切断して示す平面図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る成形機が備える駆動装置を、一部切断して示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施形態に係る成形機について、図1,2を用いて説明する。図1は、成形機10を示す側面図である。図1に示すように、成形機10は、型締装置20と、射出装置30とを備えている。
【0015】
型締装置20は、内側に金型21が設置されている。金型21内には、成形する製品に対応する空間が形成されている。この空間内に、後述される射出装置30によって可塑化された材料が射出されることによって、製品が成形される。
【0016】
射出装置30は、制御部1(図2に示す)と、フレーム31と、射出用バレル32と射出用バレル32内に収容されるプランジャ33とを備える射出部30aと、可塑化装置40と、射出用バレル32内でプランジャ33を進退させる駆動装置50と、タンク80(図2に示す)と、ポンプ100(図2に示す)と、第1〜4の冷却通路91,92,93,94(図2に示す)とを備えている。
【0017】
フレーム31は、基台5上に配置される。フレーム31と基台5との間には、射出装置30を型締装置20に近づく方向に沿う移動と型締装置20から離れる方向に沿う移動をガイドする移動機構6が設けられている。フレーム31は、内側に、後述される射出用バレル32と、駆動装置50とを収容している。
【0018】
射出用バレル32は、一例として円筒形状である。射出用バレル32の内側は、後述されるプランジャ33が収容される収容スペースが設けられている。射出用バレル32の先端には、ノズル38が設けられている。射出用バレル32とプランジャ33とノズル38とは、射出部の一例を構成している。
【0019】
射出装置30が移動機構6によって型締装置20に近づいたとき、ノズル38は、金型21内の空間内に連通する。図1は、射出装置30のノズル38が金型21から離れている状態を示している。
【0020】
プランジャ33は、射出用バレル32内に収容されている。プランジャ33は、後述される駆動装置50によって、射出用バレル32内を進退する。プランジャ33が射出用バレル32内を前進することによって、射出用バレル32内に収容された、可塑化された材料がノズル38を通して金型21内(射出装置30の外部)に射出される。なお、射出用バレル32内を前進するとは、プランジャ33が射出用バレル32内をノズル38に向かって移動することである。また、プランジャ33が後退するとは、プランジャ33がノズル38から離れる方向に移動することである。前進する方向と後退する方向とは互いに逆方向であり、直線方向である。
【0021】
可塑化装置40は、フレーム31の上に配置される。ここで、射出装置30の前後方向Lと、上下方向Vと、幅方向Wとについて説明する。上下方向Vは、平面上に射出装置30が配置されたとき、この平面に垂直な方向に平行である。そして、この平面に垂直な方向のうち、平面において射出装置30が配置される側から平面に向かう方向を下方向とし、逆方向を上方向とする。重力が作用する方向に垂直な平面上に射出装置30が配置されたとき、重力が作用する方向は下方向になる。前後方向Lは、射出装置30の型締装置20に向かう方向および離れる方向に平行であり、射出装置30が型締装置20に向かって前進する方向を前方向とする。前方向とは反対方向を、後方向とする。前後方向Lは、上下方向Vに垂直である。幅方向Wは、上下方向Vと前後方向Lとに垂直な方向である。本実施形態では、プランジャ33の進退方向は、前後方向Lに平行である。
【0022】
可塑化装置40の構成の説明に戻る。可塑化装置40は、可塑化用バレル41と、可塑化用バレル41内に収容される可塑化用スクリュ42と、材料Mの供給口となるホッパ取付台43と、可塑化用スクリュ42を回転する回転装置44と、ヒータ49を備えている。
【0023】
可塑化用バレル41は、内側に可塑化用スクリュ42を収容する。また、可塑化用バレル41は、例えば、外周にヒータ49を備えている。可塑化用スクリュ42は、可塑化用バレル41内に収容されている。可塑化用スクリュ42は、一方向に長い棒形状である。可塑化用スクリュ42が回転することによって、材料が前方に(ノズル38の方に)送られながら、ヒータ49の熱によって溶融されて、可塑化される。また、可塑化用スクリュ42の回転にともなって可塑化された材料Mは、可塑化用バレル41の先端に導かれる。
【0024】
可塑化用バレル41は、射出用バレル32に連結されている。可塑化用バレル41と射出用バレル32との連結構造について、具体的に説明する。射出用バレル32において、ノズル38が形成される側の端部には、バレルホルダ36が形成されている。バレルホルダ36は、射出用バレル32に対して上側に位置している。バレルホルダ36内には、射出用バレル32内に形成される収容空間、つまりプランジャ33が収容される空間と連通する連通通路37が形成されている。
【0025】
可塑化用バレル41は、連結キャップ45を介してバレルホルダ36に連結される。図1は、可塑化用バレル41が、連結キャップ45を介してバレルホルダ36に連結されている状態を示している。連結キャップ45内は、連結キャップ45を貫通する通路46が形成されている。連結キャップ45が可塑化用バレル41に連結されると、連結キャップ45の通路46は、可塑化用バレル41内の空間、つまり可塑化用スクリュ42が収容される空間に連通する。連結キャップ45がバレルホルダ36に連結されると、連結キャップ45の通路46は、バレルホルダ36内の連通通路37に連通する。
【0026】
このように、可塑化用バレル41は、連結キャップ45とバレルホルダ36とを介して、射出用バレル32に連結される。
【0027】
ホッパ取付台43は、可塑化用バレル41に固定されている。ホッパ取付台43の内側は、可塑化用バレル41の内側の空間に連通している。材料Mは、図示しないホッパからホッパ取付台43内に供給される。ホッパ取付台43内に供給された材料Mは、可塑化用バレル41内に供給される。
【0028】
回転装置44は、本実施形態では、動力発生装置と、動力発生装置によって発生された動力を可塑化用スクリュ42の回転に変換して可塑化用スクリュ42に伝達する伝達機構とを備えている。本実施形態では、動力発生装置は、一例として電動モータである。
【0029】
可塑化装置40は、複数の前側支持台48と、複数の後側支持台47とによって、フレーム31に支持されている。可塑化装置40は、材料を可塑化して射出部に供給する可塑化部の一例である。
【0030】
図2は、駆動装置50を、一部切断して示す平面図である。図2に示すように、駆動装置50は、基台5に固定される固定側プレート51と、プランジャ33が固定されて固定側プレート51に対して移動可能な移動側プレート52と、移動側プレート52を固定側プレート51に対して移動可能にする第1,2の駆動機構60,70とを備えている。図2では、後述される、ベアリング53と、貫通孔54と、第1〜4の冷却通路91〜94を示すために、固定側プレート51と移動側プレート52とは、切断されて示されている。駆動装置50は、射出部30aを駆動させる駆動装置の一例である。
【0031】
第1の駆動機構60は、固定側プレート51に設けられた第1のサーボモータ61と、第1のボールねじ62と、第1のサーボモータ61の回転を第1のボールねじ62に伝えるための回転伝達機構63とを備えている。
【0032】
第2の駆動機構70は、固定側プレート51に設けられた第2のサーボモータ71と、第2のボールねじ72と、第2のサーボモータ71の回転を第2のボールねじ72に伝えるための回転伝達機構73をと備えている。第1,2のサーボモータ61,71は、それぞれ、制御部1によって回転が制御されるようになっている。
【0033】
第1のボールねじ62は、第1のボールねじ軸64と、第1のボールナット65とを備えている。第1のボールナット65は、第1のボールねじ軸64に螺合している。第2のボールねじ72は、第2のボールねじ軸74と、第2のボールナット75とを備えている。第2のボールナット75は、第2のボールねじ軸74に螺合している。
【0034】
第1,2のボールねじ軸64,74は、互いに平行となるように配置されており、かつ、射出用バレル32内でのプランジャ33の進退方向に平行である。
【0035】
第1,2のボールねじ軸64,74は、各々、固定側プレート51にベアリング53で回転可能に支持されている。移動側プレート52には、第1,2のボールねじ軸64,74を通す貫通孔54が形成されている。貫通孔54は、第1,2のボールねじ軸64,74の回転を阻害しない大きさを有している。
【0036】
第1,2のサーボモータ61,71によって第1,2のボールねじ軸64,74が同期して回転すると、その回転量と回転方向に応じて、移動側プレート52が固定側プレート51に対して移動する。
【0037】
第1のボールナット65と移動側プレート52との間に、第1の力伝達部66が存在する。第1のボールねじ61の回転によって生じる推力は、この第1の力伝達部66を介して移動側プレート52に伝達される。第2のボールナット75と移動側プレート52との間に、第2の力伝達部76が存在する。第2のボールねじ72の回転によって生じる推力は、この第2の力伝達部76を介して移動側プレート52に伝達される。
【0038】
上記のように構成される駆動装置50によって、プランジャ33が射出用バレル32内を進退し、それゆえ、ノズル38より可塑化された材料Mが射出される。本実施形態のように、射出用バレル32とプランジャ33とノズル38とによって、可塑化された材料を射出する射出部の一例が構成される場合、プランジャ33が進退移動されることが射出部を駆動することである。言い換えると、プランジャ33を進退移動することは、射出部を駆動することの一例である。
【0039】
第1の冷却通路91は、固定側プレート51内に設けられる第1の内側通路91aと、固定側プレート51外に設けられる第1の外側通路91bとを備えている。第1の冷却通路91は、一例として、一条の通路である。第1の内側通路91aは、固定側プレート51内においてプランジャ33を内側に収容するように螺旋状に形成されている。第1の外側通路91bの途中には、タンク80とポンプ100とが設けられている。タンク80内には、冷媒の一例である冷却水が蓄えられている。ポンプ100の動作は、制御部1によって制御されている。
【0040】
第2の冷却通路92は、固定側プレート51内に設けられる第2の内側通路92aと、固定側プレート51外に設けられる第2の外側通路92bとを備えている。第2の冷却通路92は、一例として、一条の通路である。第2の内側通路92aは、固定側プレート51内においてベアリング53を内側に配置するように螺旋状に形成されている。第2の外側通路92bの途中には、タンク80とポンプ100とが設けられている。
【0041】
第3の冷却通路93は、移動側プレート52内に設けられる第3の内側通路93aと、移動側プレート52外に設けられる第3の外側通路93bとを備えている。第3の冷却通路93は、一例として、一条の通路である。第3の内側通路93aは、移動側プレート52内においてプランジャ33を内側に収容するように螺旋状に形成されている。第3の外側通路93bには、途中に、タンク80とポンプ100とが設けられている。
【0042】
第4の冷却通路94は、移動側プレート52内に設けられる第4の内側通路94aと、移動側プレート52外に設けられる第4の外側通路94bとを備えている。第4の冷却通路94は、一例として、一条の通路である。第4の内側通路94aは、移動側プレート52内において第1,2のボールねじ軸64,74を内側に収容するように螺旋状に形成されている。第4の外側通路94bの途中には、タンク80とポンプ100とが設けられている。
【0043】
なお、本実施形態では、タンク80からポンプ100までは冷却水Cが流れる1つの通路が形成されており、この通路が第1〜4の冷却通路91〜94として機能する。他の例として、タンク80からポンプ100までにおいても、第1〜4の冷却通路91〜94が、各々独立して1つずつ形成されてもよい。
【0044】
制御部1は、常に、つまり、連続的にポンプ100を駆動して、第1〜4の冷却通路91〜94内に冷却水Cを流している。第1〜4の冷却通路91〜94と、タンク80と、ポンプ100と、制御部1とは、駆動装置を冷却する冷却手段の一例である。
【0045】
このように構成される成形機10では、第1〜4の冷却通路91〜94によって、駆動装置50の寿命と動作精度の低下とを抑制することができる。この点について説明する。
【0046】
駆動装置50は、第1〜2のボールねじ62,72を備えており、第1,2のボールねじ軸64,74とボールナット65,75との摩擦によって熱が発生する。さらに、第1,2のボールねじ軸64,75を回転可能に支持するベアリング53からも摩擦熱が発生する。さらに、駆動装置50の上方には、可塑化装置40が配置されている。可塑化装置40は、材料Mを可塑化するために、高温になる。この熱が、駆動装置50に伝達される。また、射出用バレル32は、可塑化された材料Mが固まることを防ぐために、周囲にヒータなどの熱源を有している。駆動装置50は、この熱源からも熱を受ける。
【0047】
しかしながら、第1〜4の冷却通路91〜94を流れる冷却水Cによって駆動装置50は冷却することができる。このため、動力発生装置としての第1,2のサーボモータ61,71の寿命や、第1,2のボールねじ62,72の寿命が低下することを抑制できる。さらに、冷却できることによって、第1,2のボールねじ62,72やベアリング53の熱に起因して生じる変形の発生を抑制できるので、動作の精度が低下することを抑制できる。
【0048】
このように、駆動装置50を構成する部品や装置を冷却できることによって、駆動装置50の寿命の低下と、駆動装置50の動作の精度の低下とを抑制できる。
【0049】
また、駆動装置50の寿命の低下を抑制できるので、駆動装置50のメンテナンスコストが高騰することを抑制できる。
【0050】
また、駆動装置50の動作精度の低下を抑制することができるため、駆動装置50から射出部30aへ無駄なく力を伝達できるようになり、射出速度や、射出位置の精度の向上も図れる。
【0051】
なお、本実施形態では、制御部1は、ポンプ100を常に駆動して、第1〜4の冷却通路91〜94内に常に冷却水Cが流れる状態を維持している。しかしながら、例えば、制御部1は、間欠的にポンプ100を駆動して、第1〜4の冷却通路91〜94内に間欠的に冷却水Cが流れるようにしてもよい。このときの、冷却水Cを流れる状態と流れない状態との切り替えは、予め設定されている間隔で行われてもよい。
【0052】
つぎに、本発明の第2の実施形態に係る成形機を、図3を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符合を付して説明を省略する。本実施形態では、射出用バレル32の温度を検出する温度検出センサ110を備える点と、制御部1におけるポンプ100の制御とが、第1の実施形態と異なる。他の点は、第1の実施形態と同じである。上記異なる点について、説明する。
【0053】
図3は、本実施形態の駆動装置50を一部切断して図2と同様に示す平面図である。図3に示すように、温度検出センサ110は、一例として、射出用バレル32に設けられている。この場合、温度検出センサ110は、射出用バレル32の温度を検出する。温度検出センサ110は、検出結果を制御部1に送信する。
【0054】
制御部1は、一例として、温度検出センサ110の検出結果と駆動装置50の温度関係とを示す情報を有している。制御部1は、この情報に基づいて、温度検出センサ110の検出結果に基づいて駆動装置50の各部分の温度情報を得ることができる。温度検出センサ110と制御部1とは、駆動装置50の温度を検出する温度検出手段の一例を構成している。
【0055】
制御部1は、温度検出センサ110の検出結果が予め設定されている所定値以上になると、ポンプ100を駆動して第1〜4の冷却通路91〜94内に連続的にまたは間欠的に冷却水Cを流す。予め設定されている所定温度は、一例として、駆動装置50を構成する部品や装置が好ましくない温度になる温度である。好ましくない温度とは、例えば、熱変形を開始する温度や熱変形を開始する温度よりも少し低い温度(例えば、熱変形を開始する温度より数度または数十度だけ低い温度)である。この例では、第1,2のボールねじ62,74が熱によって変形を開始する温度としている。
【0056】
本実施形態では、第1の実施形態と同様の作用と効果とを得ることができる。さらに、駆動装置50の温度に基づいて冷却水を第1〜4の冷却通路91〜94に流すことによって、ポンプ100を駆動するエネルギを最小限に抑えつつ、駆動装置50の寿命の低下と動作の精度の低下とを抑制することができる。
【0057】
なお、本実施形態では、制御部1は、温度検出センサ110の検出結果に基づいてポンプ100を駆動した。しかしながら、制御部1は、第1の実施形態で説明したように予め設定された所定間隔で間欠的にポンプ100を駆動しながら、かつ、温度検出センサ110の検出結果が所定温度以上になるとポンプ100を連続的にまたは間欠的に駆動してもよい。
【0058】
また、本実施形態では、温度検出手段の一例として、温度検出センサ110によって射出用バレル32の温度を検出するとともに、制御部1はこの検出結果に基づいて駆動装置50の温度を推定している。しかしながら、駆動装置50のいずれかの部分に温度検出センサが用いられて、この温度検出センサの検出結果をそのまま用いてもよい。要するに、駆動装置50の温度が得られる構成であればよい。
【0059】
また、第1,2の実施形態では、駆動装置50に形成される冷媒通路の一例として、第1〜4の冷却通路91〜94が用いられている。そして、これら第1〜4の冷却通路91〜94のうち、第1〜4の内側通路91a〜94aが、固定側プレート51内または移動側プレート52内に形成されている。しかしながら、第1〜4の外側通路91b〜94bにおいても、駆動装置50の各種部品や装置の近傍を流れることによって、駆動装置50を冷却することができる。
【0060】
このように、冷媒通路は、駆動装置の構造にあうように適宜自由に形成される。例えば、冷媒通路は、駆動装置において、高温になることが好ましくない部位を冷却するように形成される。このとき、冷媒通路は、第1,2の実施形態のように、部品の内側に形成されてもよいし、例えば、外部から巻きつくように形成されてもよい。要するに、冷却すべき部位を効果的に冷却できるように形成されることが好ましい。
【0061】
また、第1,2の実施形態では、射出装置は、可塑化を行う装置と射出を行う装置とが別々の構成つまり可塑化部と射出部とが別々の構成となる、いわゆる予備可塑化式射出装置(プリプラ式射出装置)である。しかしながら、例えば、1つのバレルとそのバレル内に設けられたスクリュとで可塑化機能と射出機能の両方を果たすつまり1つの構成で可塑化機能と射出機能の両方の機能を併せ持つ射出装置に本発明が用いられてもよい。この例としては、例えば、射出用のバレル内に可塑化用のスクリュが設けられており、可塑化用スクリュを回転させることにより射出用のバレル内で材料を可塑化するとともに、可塑化用スクリュを可塑化スクリュの回転軸方向に前進させてこの可塑化された材料を射出する構成の射出装置であってもよい。
【0062】
また、本発明の射出装置は、第1,2の実施形態のように射出成形以外に用いられてもよく、例えば、ダイカストマシンやトランスファ成形機の射出装置に本発明の射出装置が用いられてもよい。
【0063】
また、第1,2の実施形態では、冷媒の一例として、冷却水が用いられている。冷媒としては、冷却水の他に、空気や油などがある。要するに、冷媒は、駆動装置を冷却する機能を有すればよい。
【0064】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0065】
1…制御部(制御部、温度検出手段、冷却手段)、10…成形機、30…射出装置、30a…射出部、40…可塑化装置(可塑化部)、50…駆動装置、91〜94…第1〜4の冷却通路(冷媒通路、冷却手段)、100…ポンプ(ポンプ、冷却手段)、110…温度検出センサ(温度検出手段、冷却手段)、C…冷却水(冷媒)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を可塑化する可塑化部と、
可塑化された前記材料を射出する射出部と、
前記射出部を駆動する駆動装置と、
前記駆動装置を冷却する冷却手段と
を具備することを特徴とする射出装置。
【請求項2】
可塑化された材料を射出する射出部と、
前記射出部を駆動する駆動装置と、
前記駆動装置を冷却する冷却手段と
を具備することを特徴とする射出装置。
【請求項3】
前記冷却手段は、
前記駆動装置内に設けられる冷媒通路と、
前記冷媒通路内を流れる冷媒と
を具備することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の射出装置。
【請求項4】
前記冷却手段は、
前記冷媒を連続的に前記冷媒通路に流す制御部を具備する
ことを特徴とする請求項3に記載の射出装置。
【請求項5】
前記冷却手段は、
前記冷媒を間欠的に前記冷媒通路に流す制御部を具備する
ことを特徴とする請求項3に記載の射出装置。
【請求項6】
前記冷却手段は、
前記駆動装置の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段の検出結果が予め設定される所定値以上になると、前記冷媒を前記冷媒用通路に流す制御部と
を具備する
ことを特徴とする請求項3〜5のうちのいずれか1項に記載の射出装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の射出装置と、
型締装置と
を具備することを特徴とする成形機。
【請求項8】
材料を可塑化する可塑化部と、
可塑化された材料を射出する射出部と、
前記射出部を駆動する駆動装置と、
前記駆動装置内に設けられる冷媒通路と、
前記冷媒通路内を流れる冷媒と、
を具備する射出装置の制御方法であって、
前記冷媒を連続的に前記冷媒通路に流すように制御する
ことを特徴とする射出装置の制御方法。
【請求項9】
材料を可塑化する可塑化部と、
可塑化された材料を射出する射出部と、
前記射出部を駆動する駆動装置と、
前記駆動装置内に設けられる冷媒通路と、
前記冷媒通路内を流れる冷媒と、
を具備する射出装置の制御方法であって、
前記冷媒を間欠的に前記冷媒通路に流すように制御する
ことを特徴とする射出装置の制御方法。
【請求項10】
材料を可塑化する可塑化部と、
可塑化された材料を射出する射出部と、
前記射出部を駆動する駆動装置と、
前記駆動装置内に設けられる冷媒通路と、
前記冷媒通路内を流れる冷媒と、
前記駆動装置の温度を検出する温度検出手段と
を具備する射出装置の制御方法であって、
前記温度検出手段の検出結果が予め設定される所定値以上になると、前記冷媒を前記冷媒用通路に流すように制御する
ことを特徴とする射出装置の制御方法。
【請求項11】
可塑化された材料を射出する射出部と、
前記射出部を駆動する駆動装置と、
前記駆動装置内に設けられる冷媒通路と、
前記冷媒通路内を流れる冷媒と、
を具備する射出装置の制御方法であって、
前記冷媒を連続的に前記冷媒通路に流すように制御する
ことを特徴とする射出装置の制御方法。
【請求項12】
可塑化された材料を射出する射出部と、
前記射出部を駆動する駆動装置と、
前記駆動装置内に設けられる冷媒通路と、
前記冷媒通路内を流れる冷媒と、
を具備する射出装置の制御方法であって、
前記冷媒を間欠的に前記冷媒通路に流すように制御する
ことを特徴とする射出装置の制御方法。
【請求項13】
可塑化された材料を射出する射出部と、
前記射出部を駆動する駆動装置と、
前記駆動装置内に設けられる冷媒通路と、
前記冷媒通路内を流れる冷媒と、
前記駆動装置の温度を検出する温度検出手段と
を具備する射出装置の制御方法であって、
前記温度検出手段の検出結果が予め設定される所定値以上になると、前記冷媒を前記冷媒用通路に流すように制御する
ことを特徴とする射出装置の制御方法。
【請求項14】
前記駆動装置の温度を検出する検出手段を有し、
前記温度検出手段の検出結果が予め設定される所定値以上になると、前記冷媒用通路に前記冷媒を流すように制御する
ことを特徴とする請求項8、9、11、12のうちのいずれか1項に記載の射出装置の制御方法。
【請求項15】
前記制御は、前記駆動装置を冷却するように実行される
ことを特徴とする請求項8〜14のうちのいずれか1項に記載に射出装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−49179(P2013−49179A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187925(P2011−187925)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000003458)東芝機械株式会社 (843)
【Fターム(参考)】