導管内の流体流れを制御するためのベアリング・アセンブリおよび方法
バルブ・システムが、貫通する流体の流れを有する導管と、バタフライ・バルブ・アセンブリとを含んでいる。バタフライ・バルブ・アセンブリは、導管内を斜めに延びるシャフトと、バタフライ・ディスクと、導管の外部表面上に位置する第1のベアリング・アセンブリと、を含む。バタフライ・ディスクは、シャフトを通して収容するサイズの通路を含む。バタフライ・ディスクは、バタフライ・バルブ・アセンブリが閉位置にあるときに、導管を通る流体流れを制限するように動作する。第1のベアリング・アセンブリが、シャフトの第1の端部を通して収容するように構成されている。第1のベアリング・アセンブリは、複数のテーパ・ローラ・ベアリングであって、ベアリング・レース内に周方向に離間に配置され、バタフライ・バルブ・アセンブリが閉位置にあるときにバタフライ・ディスクを実質的に一定の軸方向位置に保持するように構成されたテーパ・ローラ・ベアリングを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示内容の分野は一般的に、バルブ・アセンブリに関し、より詳細には、バタフライ・バルブ・シャフト・ハウジング内で用いるテーパ・ローラ・ベアリングに関する。
【背景技術】
【0002】
バタフライ・バルブは、導管内の流体の流れを制御するために用いる多くのタイプのバルブの1つである。より具体的には、既知のバタフライ・バルブは、種々の量で貫通して流れる流体を制御する際に用いる流体流れ導管内で回転するディスク(「バタフライ」としても知られている)を含んでいる。このような既知のシステムでは、ディスクは、ディスクから半径方向外側に延びる2本のシャフトを含んでいる。2本のシャフトは、実質的に周方向に互いに対向して結合されている。各シャフトは、シャフト・ハウジング内に収容されていて、ディスクが、導管を横断する軸上で、開位置と閉位置の間で回転し得るようになっている。ディスクが開位置にあるときは、ディスクの平面は流れの方向と実質的に一致するかまたは平行であって、貫通する流体流量が最大になり得るようになっている。ディスクが閉位置にあるときは、ディスクの平面は流れの方向に対して実質的に横方向/直交であって、流体流量が最小限になるかまたは完全に遮蔽され得るようになっている。
【0003】
既知のバタフライ・バルブ・アセンブリは、シャフト・ハウジング内に位置するベアリング・アセンブリであって、各シャフトを通して収容し、開位置と閉位置との間でディスクの実質的に滑らかな回転をもたらすベアリング・アセンブリを含んでいる。このようなアセンブリでは、ベアリング・アセンブリは、シャフトがハウジング内で回転するときに生じる摩擦の低減を容易にするベアリング・レース内に位置する複数の球状のベアリングを含んでいる。
【0004】
既知のディスクの中には、代替的に、導管内に斜めに取り付けられて、一方のシャフト・ハウジングが他方の上流に位置し、ディスクの平面が流れの方向とある角度をなしてずれ得るようになっているものがある。閉位置に置かれて流れに遭遇したときに、ディスクは、背後に配置されたシャフトに沿って作用する軸力として解釈される負荷を受ける。しかし、このようなシステムにおけるディスクは、それと分かるどんな軸方向変位も受けてはならない。なぜならば、ディスクは、閉位置に戻るたびに、同じ位置に戻らなければならないからである。丸いローラ・ベアリングをベアリング・アセンブリ内で用いる既知のシステムは、ディスクの軸方向変位を受けるため、斜めに取り付けたバタフライ・バルブ・ディスクを用いるシステムに適した軸方向位置制御がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,290,615A号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様においては、バルブ・システムが提供される。バルブ・システムは、貫通する流体の流れを有する導管と、バタフライ・バルブ・アセンブリとを含む。バタフライ・バルブ・アセンブリは、導管内を斜めに延びるシャフトと、バタフライ・ディスクと、導管の外部表面上に位置する第1のベアリング・アセンブリと、を含む。バタフライ・ディスクは、シャフトを通して収容するサイズの通路を含む。バタフライ・ディスクは、バタフライ・バルブ・アセンブリが閉位置にあるときに導管を通る流体流れを制限するように動作する。第1のベアリング・アセンブリは、シャフトの第1の端部を通して収容するように構成されている。第1のベアリング・アセンブリは、複数のテーパ・ローラ・ベアリングであって、ベアリング・レース内に周方向に離間に配置され、バタフライ・バルブ・アセンブリが閉位置にあるときにバタフライ・ディスクを実質的に一定の軸方向位置に保持するように構成されたテーパ・ローラ・ベアリングを含んでいる。
【0007】
別の態様においては、ベアリング・アセンブリが提供される。ベアリング・アセンブリは、シャフトの第1の端部を通して収容するように構成されている。第1のベアリング・アセンブリは、複数のテーパ・ローラ・ベアリングであって、ベアリング・レース内に周方向に離間に配置され、バタフライ・バルブ・アセンブリが閉位置にあるときにバタフライ・バルブ・アセンブリを実質的に一定の軸方向位置に保持するように構成されたテーパ・ローラ・ベアリングを含んでいる。
【0008】
さらに別の態様においては、導管内の流体の流れを制御するための方法が提供される。本方法は、バタフライ・バルブ・アセンブリを導管内に、シャフトが導管内を斜めに延びるように配置することであって、バタフライ・バルブ・アセンブリは、開位置と閉位置との間で動作可能なバタフライ・ディスクを含む、配置することを含む。また本方法は、導管の外部表面上に位置する少なくとも1つのベアリング・アセンブリ内に周方向に離間に配置された複数のテーパ・ローラ・ベアリングを用いて、バタフライ・ディスクを実質的に一定の軸方向位置に保持することを含む。
【0009】
非限定で非網羅的な実施形態について、以下の図を参照して説明する。なお、特に指示のない限り、同様の参照数字は、種々の図の全体に渡って同様の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】典型的な航空機において用いられる典型的な防氷装置の概略図である。
【図2】図1に示す典型的な防氷装置とともに用いる典型的なバルブ・システムの断面図である。
【図3】図2に示す典型的なバルブ・システムとともに用いる典型的なベアリング・アセンブリの斜視図である。
【図4】典型的なベアリング・アセンブリの断面図である。
【図5】図3に示すベアリング・アセンブリとともに用いる典型的なベアリング・レースの端面図である。
【図6】図3に示すベアリング・アセンブリとともに用いる典型的なベアリング・レースを図5に示す線6−6に沿って見た断面図である。
【図7】図3に示すベアリング・アセンブリとともに用いる典型的なテーパ・ローラ・ベアリングの端面図である。
【図8】図3に示すベアリング・アセンブリとともに用いる典型的なテーパ・ローラ・ベアリングを図7に示す線8−8に沿って見た断面図である。
【図9】図3に示すベアリング・アセンブリとともに用いる典型的なベアリング・ケージの端面図である。
【図10】図3に示すベアリング・アセンブリとともに用いる典型的なベアリング・ケージを図9に示す線10−10に沿って見た断面図である。
【図11】図3に示すベアリング・アセンブリとともに用いる典型的な外部のベアリング・リングの端面図である。
【図12】図3に示すベアリング・アセンブリとともに用いる典型的な外部のベアリング・リングを図11に示す線12−12に沿って見た断面図である。
【図13】導管内の流体の流れを制御する方法のためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、典型的な防氷装置110を含む典型的な航空機100の概略図である。典型的な実施形態においては、航空機100は、機体120と、そこから延びる翼130とを含み、また翼130に結合されたガス・タービン・エンジン140を含む。防氷装置110は、エンジン140から翼130の前縁160に沿って延びる導管150を含む。導管150のサイズおよび方向は、高温抽気170の流れをエンジン140から前縁160に沿って送って、寒い天候条件および/または飛行中に生じる翼130上への氷の蓄積を実質的に防止するように設定されている。防氷装置110は、エンジン140から前縁160に沿って生じる抽気170の流れを調整するバルブ・アセンブリ180を含んでいる。あるいは、バルブ・アセンブリ180は、任意の航空機システム内において航空機内の任意の導管に沿って、または圧力調整と貫通する流体の制御とが必要である任意の他の車両内に配置しても良い。
【0012】
図2は、図1に示す防氷装置110ともに用いる典型的なバルブ・システム200の断面図である。典型的な実施形態においては、バルブ・システム200は導管202内に位置する。これについては、本明細書でより詳細に説明する。バルブ・システム200はバタフライ・ディスク204を含む。バタフライ・ディスク204は、導管202内に位置し、そのサイズは、図2に示すようにバタフライ・ディスク204が閉位置にあるときに、導管202を通る流体流れ(矢印206によって示す)を実質的に最小限にするように設定されている。シャフト208が、バタフライ・ディスク204内に画定された通路210を通って延びている。シャフト208のサイズおよび方向は、バタフライ・ディスク204を開位置と閉位置との間で回転させるように設定されている。より具体的には、典型的な実施形態において、シャフト208は、導管202内の第1の箇所214における孔212を通って長さL1だけ延び、同様に、導管202内の半径方向に反対側の第2の箇所218における孔216を通って長さL2だけ延びている。典型的な実施形態においては、第1のベアリング・アセンブリ220が、導管202の外部表面224上の対応するベアリング・カバー222内に位置している。第1のベアリング・アセンブリ220のサイズおよび方向は、シャフト208の第1の端部226および長さL1を内部に収容するように設定されている。同様に、第2のベアリング・アセンブリ230が、導管202の外部表面224上の対応するベアリング・カバー232に位置している。第2のベアリング・アセンブリ230のサイズおよび方向は、シャフト208の反対側の第2の端部234および長さL2を内部に収容するように設定されている。動作中、バタフライ・ディスク204が開位置と閉位置との間で回転するときに、ベアリング・アセンブリ220、230によって、バタフライ・ディスク204の実質的に無摩擦の回転が実現される。これについては、本明細書でより詳細に説明する。
【0013】
図2に例示するように、シャフト208は、導管202を中心軸240から測定した角度α1で通り抜けて延びている。典型的な実施形態においては、角度α1は約80°である。あるいは、角度α1は、約75°〜約85°の範囲の角度であっても良いし、バルブ・アセンブリ200が本明細書で説明したように機能可能になる任意の角度であっても良い。
【0014】
図3は、図2に示すバルブ・システム200とともに用いる典型的なベアリング・アセンブリ300(たとえば、第1のベアリング・アセンブリ220および/または第2のベアリング・アセンブリ230など)の斜視図であり、図4は、その断面図である。典型的な実施形態においては、ベアリング・アセンブリ300は、内部のベアリング・レース310と、ベアリング・レース310内に位置する複数のテーパ・ローラ・ベアリング320と、ベアリング・ケージ330とを含む。ベアリング・ケージ330は、複数のローラ・ベアリング320をそれぞれ、内部のベアリング・レース310の周りの周方向位置に収容して保持する。これについては、本明細書で説明する。ベアリング・アセンブリは、外部のベアリング・リング340を含む。外部のベアリング・リング340は、内部のベアリング・レース310、テーパ・ローラ・ベアリング320、およびケージ330を内部に収容する。これについては、本明細書でより詳細に説明する。
【0015】
図5は、図3に示すベアリング・アセンブリ300とともに用いる典型的なベアリング・レース310の端面図であり、図6はその断面図である。典型的な実施形態においては、ベアリング・レース310は、実質的に円筒型の断面であり、開口部350を含んでいる。開口部350のサイズおよび方向は、図2に示すように、シャフト208を通して収容するように設定されている。典型的な実施形態においては、ベアリング・レース310は、第1の端部352において直径D1を含み、第2の端部354において直径D2を含んでいる。D2はD1よりも大きく、斜めに配向された表面356が第1の端部352と第2の端部354との間を延びるようになっている。傾斜面356は、回転358の軸から角度α2でずれている。典型的な実施形態においては、角度α2は約15°である。あるいは、ベアリング・レース310のサイズおよび方向は、ベアリング・アセンブリ300が本明細書で説明したように機能可能になるように設定されている。
【0016】
典型的な実施形態においては、ベアリング・レース310は、傾斜面356上を長さL3だけ延びる溝360を含んでいる。溝360のサイズおよび方向は、テーパ・ローラ・ベアリング320を溝360内に収容するように設定されている。これについては、本明細書でより詳細に説明し、たとえば図3に示している。ベアリング・レース310は、ベアリング・レースの第1の端部352に隣接して位置する第1のフランジ362を含む。第1のフランジ362は、テーパ・ローラ・ベアリング320を溝360内に保持するものである。同様に、ベアリング・レース310は、ベアリング・レースの第2の端部354に隣接して位置する第2のフランジ364を含む。第2のフランジ364は、テーパ・ローラ・ベアリング320を溝360内にさらに保持するものである。あるいは、ベアリング・レース310は、任意のへり、延長部分、または保持要素として、テーパ・ローラ・ベアリング320を溝360内に実質的に保持し、またベアリング・アセンブリ300が本明細書で説明したように機能可能になるものを含んでいても良い。
【0017】
図7は、図3に示すベアリング・アセンブリ300とともに用いる典型的なテーパ・ローラ・ベアリング320の端面図であり、図8は、その断面図である。典型的な実施形態においては、テーパ・ローラ・ベアリング320は、実質的に円錐状の断面である。より具体的には、テーパ・ローラ・ベアリング320は、直径D3を有する第1の端部370と、直径D4を有する第2の端部372とを含んでいる。典型的な実施形態においては、D4はD3よりも大きい。テーパ・ローラ・ベアリング320は、輪郭が実質的に滑らかな外面374であって、テーパ・ローラ・ベアリング320が図6に示すようなベアリング・レース溝360内に収まるように長さL4を含む外面374を含んでいる。
【0018】
典型的な実施形態においては、テーパ・ローラ・ベアリング320は、熱処理した440Cステンレス鋼を旋削プロセスを用いて機械加工することによって製造される。あるいは、テーパ・ローラ・ベアリングを、約650°Fまでの温度で用いても良い任意の耐食材料から製造しても良い。
【0019】
図9は、図3に示すベアリング・アセンブリ300とともに用いる典型的なベアリング・ケージ330の端面図であり、図10は、その断面図である。典型的な実施形態においては、ベアリング・ケージ330は実質的に円錐状の断面である。より具体的には、ベアリング・ケージ330は、直径D5を有する第1の端部380と、直径D6を有する第2の端部382とを含む。典型的な実施形態においては、D6はD5よりも大きい。典型的な実施形態においては、ベアリング・ケージ330は、開口部383を含んでいる。開口部383のサイズおよび方向は、ベアリング・レース310(図3に示す)を通して収容するように設定されている。典型的な実施形態においては、ベアリング・ケージ330は、複数の周方向に離間に配置された容器384を含んでいる。容器384のサイズおよび方向は、図3に示すように、対応する数のテーパ・ローラ・ベアリング320を内部に収容するように設定されている。またベアリング・ケージ330のサイズは、直径D5がベアリング・レースの直径D1よりも大きくなるように、またテーパ・ローラ・ベアリング320が溝360内に位置するときにベアリング・ケージ330がベアリング・レース310とテーパ・ローラ・ベアリング320とを内部に収容するように、設定されている。
【0020】
典型的な実施形態においては、ベアリング・ケージ330は、アルミニウム/青銅合金から加工プロセスを用いて製造される。あるいは、ベアリング・ケージを、約650°Fまでの温度で用いても良い任意の耐食材料から製造しても良い。
【0021】
図11は、図3に示すベアリング・アセンブリ300とともに用いる典型的な外部のベアリング・リング340の端面図であり、図12は、その断面図である。典型的な実施形態においては、外部のベアリング・リング340は実質的に円形であり、そのサイズおよび構成は、ベアリング・レース310、テーパ・ローラ・ベアリング320、およびベアリング・ケージ330を内部に収容するように設定されている。より具体的には、典型的な実施形態において、外部のベアリング・リング340は内部の軌道面390を含んでいる。軌道面390のサイズおよび方向は、図3および4に示すように、テーパ・ローラ・ベアリング320が、対応する溝360および容器384内に位置したときに、テーパ・ローラ・ベアリング320を収容するように設定されている。内部の軌道面390は、角度α3として、テーパ・ローラ・ベアリング320が、対応する溝360および容器384内に位置したときにテーパ・ローラ・ベアリング320によって画定される角度α4(図4に示す)に実質的に等しい角度α3を含んでいる。
【0022】
図13は、導管(たとえば図1に示す導管150など)内の流体の流れを制御する方法400に対するフロー図である。典型的な実施形態においては、方法400は、本明細書で説明したように、シャフトが導管内を斜めに延びるように、バタフライ・バルブ・アセンブリを導管内に配置すること410を含む。バタフライ・バルブ・アセンブリは、開位置と閉位置との間で動作可能なバタフライ・ディスクを含む。バタフライ・バルブ・アセンブリを導管内に配置すること410はさらに、シャフトを導管内で流れの軸から約10度ずれた角度に配向すること420を含む。
【0023】
典型的な実施形態においては、方法400は、複数のテーパ・ローラ・ベアリングを加工プロセス(たとえば旋盤を用いた旋削プロセス、あるいは打ち抜きプロセスなど)を用いて製造すること430を含む。方法400は、バタフライ・ディスクを実質的に一定の軸方向位置に、導管の外部表面上に位置する少なくとも1つのベアリング・アセンブリ内の周方向に離間に配置された複数のテーパ・ローラ・ベアリングを用いて保持すること440を含む。バタフライ・ディスクを実質的に一定の軸方向位置に保持すること440はさらに、複数のテーパ・ローラ・ベアリングを約20度のベアリング角度に配向すること450を含む。
【0024】
以上、ベアリング・アセンブリおよびバルブ・システムの典型的な実施形態について詳細に説明している。前述したベアリング・アセンブリによって、動作中のバルブ・システムの構成部品に対する軸方向および半径方向位置を保持することが、テーパ・ローラ・ベアリングをベアリング・レースおよびハウジング内に含むことによって容易になる。さらに、本明細書で説明したテーパ・ローラ・ベアリングは、焼き戻しされたステンレス鋼材料から製造される。焼き戻しされたステンレス鋼材料は、高温に耐え、また腐食を実質的に防止するため、本明細書で説明したテーパ・ローラ・ベアリングは、より広範囲の用途で用いても良い。
【0025】
前述の説明には多くの詳細が含まれているが、これらは、本発明の範囲を限定するものと解釈してはならず、単に、現時点で好ましい実施形態のうちの一部についての説明を与えるものと解釈しなくてならない。同様に、本発明の趣旨または範囲から逸脱しない本発明の他の実施形態を考案しても良い。異なる実施形態から得られる特徴を組み合わせて用いても良い。したがって、本発明の範囲は、添付の請求項およびその合法的な均等物のみによって指示されて限定されるものであり、前述の説明によるものではない。本明細書で開示した本発明に対する付加、削除、および変更であって、請求項の意味および範囲に含まれるものはすべて包含される。
【0026】
本明細書で説明した装置および方法は、航空機上の防氷装置とともに用いるベアリング・アセンブリとの関連で説明しているが、当然のことながら、本装置および方法は航空宇宙用途に限定されない。同様に、例示したシステム構成要素は、本明細書で説明した特定の実施形態に限定されず、むしろシステム構成要素は、本明細書で説明した他の構成要素から独立および別個に用いることができる。
【0027】
本明細書で用いる場合、要素またはステップを単数形で記載して、その前に用語「a」または「an」がある場合には、複数の要素またはステップを排除していないものと理解しなくてはならない。ただし、このような排除が明確に記載されている場合は除く。さらに、本発明の「一実施形態」に言及する場合、記載された特徴をやはり取り入れているさらなる実施形態の存在を排除するものと解釈することは意図されていない。
【0028】
この書面の説明では、実施例を用いて、本発明を、ベスト・モードも含めて開示するとともに、どんな当業者も本発明を実施できるように、たとえば任意の装置またはシステムを作りおよび用いること、ならびに取り入れた任意の方法を実行することができるようにしている。本発明の特許可能な範囲は、請求項によって定められるとともに、当業者に想起される他の実施例を含んでいても良い。このような他の実施例は、請求項の文字通りの言葉使いと違わない構造要素を有するか、または請求項の文字通りの言葉使いとの差が非実質的である均等な構造要素を含む場合には、請求項の範囲内であることが意図されている。
【技術分野】
【0001】
開示内容の分野は一般的に、バルブ・アセンブリに関し、より詳細には、バタフライ・バルブ・シャフト・ハウジング内で用いるテーパ・ローラ・ベアリングに関する。
【背景技術】
【0002】
バタフライ・バルブは、導管内の流体の流れを制御するために用いる多くのタイプのバルブの1つである。より具体的には、既知のバタフライ・バルブは、種々の量で貫通して流れる流体を制御する際に用いる流体流れ導管内で回転するディスク(「バタフライ」としても知られている)を含んでいる。このような既知のシステムでは、ディスクは、ディスクから半径方向外側に延びる2本のシャフトを含んでいる。2本のシャフトは、実質的に周方向に互いに対向して結合されている。各シャフトは、シャフト・ハウジング内に収容されていて、ディスクが、導管を横断する軸上で、開位置と閉位置の間で回転し得るようになっている。ディスクが開位置にあるときは、ディスクの平面は流れの方向と実質的に一致するかまたは平行であって、貫通する流体流量が最大になり得るようになっている。ディスクが閉位置にあるときは、ディスクの平面は流れの方向に対して実質的に横方向/直交であって、流体流量が最小限になるかまたは完全に遮蔽され得るようになっている。
【0003】
既知のバタフライ・バルブ・アセンブリは、シャフト・ハウジング内に位置するベアリング・アセンブリであって、各シャフトを通して収容し、開位置と閉位置との間でディスクの実質的に滑らかな回転をもたらすベアリング・アセンブリを含んでいる。このようなアセンブリでは、ベアリング・アセンブリは、シャフトがハウジング内で回転するときに生じる摩擦の低減を容易にするベアリング・レース内に位置する複数の球状のベアリングを含んでいる。
【0004】
既知のディスクの中には、代替的に、導管内に斜めに取り付けられて、一方のシャフト・ハウジングが他方の上流に位置し、ディスクの平面が流れの方向とある角度をなしてずれ得るようになっているものがある。閉位置に置かれて流れに遭遇したときに、ディスクは、背後に配置されたシャフトに沿って作用する軸力として解釈される負荷を受ける。しかし、このようなシステムにおけるディスクは、それと分かるどんな軸方向変位も受けてはならない。なぜならば、ディスクは、閉位置に戻るたびに、同じ位置に戻らなければならないからである。丸いローラ・ベアリングをベアリング・アセンブリ内で用いる既知のシステムは、ディスクの軸方向変位を受けるため、斜めに取り付けたバタフライ・バルブ・ディスクを用いるシステムに適した軸方向位置制御がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,290,615A号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様においては、バルブ・システムが提供される。バルブ・システムは、貫通する流体の流れを有する導管と、バタフライ・バルブ・アセンブリとを含む。バタフライ・バルブ・アセンブリは、導管内を斜めに延びるシャフトと、バタフライ・ディスクと、導管の外部表面上に位置する第1のベアリング・アセンブリと、を含む。バタフライ・ディスクは、シャフトを通して収容するサイズの通路を含む。バタフライ・ディスクは、バタフライ・バルブ・アセンブリが閉位置にあるときに導管を通る流体流れを制限するように動作する。第1のベアリング・アセンブリは、シャフトの第1の端部を通して収容するように構成されている。第1のベアリング・アセンブリは、複数のテーパ・ローラ・ベアリングであって、ベアリング・レース内に周方向に離間に配置され、バタフライ・バルブ・アセンブリが閉位置にあるときにバタフライ・ディスクを実質的に一定の軸方向位置に保持するように構成されたテーパ・ローラ・ベアリングを含んでいる。
【0007】
別の態様においては、ベアリング・アセンブリが提供される。ベアリング・アセンブリは、シャフトの第1の端部を通して収容するように構成されている。第1のベアリング・アセンブリは、複数のテーパ・ローラ・ベアリングであって、ベアリング・レース内に周方向に離間に配置され、バタフライ・バルブ・アセンブリが閉位置にあるときにバタフライ・バルブ・アセンブリを実質的に一定の軸方向位置に保持するように構成されたテーパ・ローラ・ベアリングを含んでいる。
【0008】
さらに別の態様においては、導管内の流体の流れを制御するための方法が提供される。本方法は、バタフライ・バルブ・アセンブリを導管内に、シャフトが導管内を斜めに延びるように配置することであって、バタフライ・バルブ・アセンブリは、開位置と閉位置との間で動作可能なバタフライ・ディスクを含む、配置することを含む。また本方法は、導管の外部表面上に位置する少なくとも1つのベアリング・アセンブリ内に周方向に離間に配置された複数のテーパ・ローラ・ベアリングを用いて、バタフライ・ディスクを実質的に一定の軸方向位置に保持することを含む。
【0009】
非限定で非網羅的な実施形態について、以下の図を参照して説明する。なお、特に指示のない限り、同様の参照数字は、種々の図の全体に渡って同様の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】典型的な航空機において用いられる典型的な防氷装置の概略図である。
【図2】図1に示す典型的な防氷装置とともに用いる典型的なバルブ・システムの断面図である。
【図3】図2に示す典型的なバルブ・システムとともに用いる典型的なベアリング・アセンブリの斜視図である。
【図4】典型的なベアリング・アセンブリの断面図である。
【図5】図3に示すベアリング・アセンブリとともに用いる典型的なベアリング・レースの端面図である。
【図6】図3に示すベアリング・アセンブリとともに用いる典型的なベアリング・レースを図5に示す線6−6に沿って見た断面図である。
【図7】図3に示すベアリング・アセンブリとともに用いる典型的なテーパ・ローラ・ベアリングの端面図である。
【図8】図3に示すベアリング・アセンブリとともに用いる典型的なテーパ・ローラ・ベアリングを図7に示す線8−8に沿って見た断面図である。
【図9】図3に示すベアリング・アセンブリとともに用いる典型的なベアリング・ケージの端面図である。
【図10】図3に示すベアリング・アセンブリとともに用いる典型的なベアリング・ケージを図9に示す線10−10に沿って見た断面図である。
【図11】図3に示すベアリング・アセンブリとともに用いる典型的な外部のベアリング・リングの端面図である。
【図12】図3に示すベアリング・アセンブリとともに用いる典型的な外部のベアリング・リングを図11に示す線12−12に沿って見た断面図である。
【図13】導管内の流体の流れを制御する方法のためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、典型的な防氷装置110を含む典型的な航空機100の概略図である。典型的な実施形態においては、航空機100は、機体120と、そこから延びる翼130とを含み、また翼130に結合されたガス・タービン・エンジン140を含む。防氷装置110は、エンジン140から翼130の前縁160に沿って延びる導管150を含む。導管150のサイズおよび方向は、高温抽気170の流れをエンジン140から前縁160に沿って送って、寒い天候条件および/または飛行中に生じる翼130上への氷の蓄積を実質的に防止するように設定されている。防氷装置110は、エンジン140から前縁160に沿って生じる抽気170の流れを調整するバルブ・アセンブリ180を含んでいる。あるいは、バルブ・アセンブリ180は、任意の航空機システム内において航空機内の任意の導管に沿って、または圧力調整と貫通する流体の制御とが必要である任意の他の車両内に配置しても良い。
【0012】
図2は、図1に示す防氷装置110ともに用いる典型的なバルブ・システム200の断面図である。典型的な実施形態においては、バルブ・システム200は導管202内に位置する。これについては、本明細書でより詳細に説明する。バルブ・システム200はバタフライ・ディスク204を含む。バタフライ・ディスク204は、導管202内に位置し、そのサイズは、図2に示すようにバタフライ・ディスク204が閉位置にあるときに、導管202を通る流体流れ(矢印206によって示す)を実質的に最小限にするように設定されている。シャフト208が、バタフライ・ディスク204内に画定された通路210を通って延びている。シャフト208のサイズおよび方向は、バタフライ・ディスク204を開位置と閉位置との間で回転させるように設定されている。より具体的には、典型的な実施形態において、シャフト208は、導管202内の第1の箇所214における孔212を通って長さL1だけ延び、同様に、導管202内の半径方向に反対側の第2の箇所218における孔216を通って長さL2だけ延びている。典型的な実施形態においては、第1のベアリング・アセンブリ220が、導管202の外部表面224上の対応するベアリング・カバー222内に位置している。第1のベアリング・アセンブリ220のサイズおよび方向は、シャフト208の第1の端部226および長さL1を内部に収容するように設定されている。同様に、第2のベアリング・アセンブリ230が、導管202の外部表面224上の対応するベアリング・カバー232に位置している。第2のベアリング・アセンブリ230のサイズおよび方向は、シャフト208の反対側の第2の端部234および長さL2を内部に収容するように設定されている。動作中、バタフライ・ディスク204が開位置と閉位置との間で回転するときに、ベアリング・アセンブリ220、230によって、バタフライ・ディスク204の実質的に無摩擦の回転が実現される。これについては、本明細書でより詳細に説明する。
【0013】
図2に例示するように、シャフト208は、導管202を中心軸240から測定した角度α1で通り抜けて延びている。典型的な実施形態においては、角度α1は約80°である。あるいは、角度α1は、約75°〜約85°の範囲の角度であっても良いし、バルブ・アセンブリ200が本明細書で説明したように機能可能になる任意の角度であっても良い。
【0014】
図3は、図2に示すバルブ・システム200とともに用いる典型的なベアリング・アセンブリ300(たとえば、第1のベアリング・アセンブリ220および/または第2のベアリング・アセンブリ230など)の斜視図であり、図4は、その断面図である。典型的な実施形態においては、ベアリング・アセンブリ300は、内部のベアリング・レース310と、ベアリング・レース310内に位置する複数のテーパ・ローラ・ベアリング320と、ベアリング・ケージ330とを含む。ベアリング・ケージ330は、複数のローラ・ベアリング320をそれぞれ、内部のベアリング・レース310の周りの周方向位置に収容して保持する。これについては、本明細書で説明する。ベアリング・アセンブリは、外部のベアリング・リング340を含む。外部のベアリング・リング340は、内部のベアリング・レース310、テーパ・ローラ・ベアリング320、およびケージ330を内部に収容する。これについては、本明細書でより詳細に説明する。
【0015】
図5は、図3に示すベアリング・アセンブリ300とともに用いる典型的なベアリング・レース310の端面図であり、図6はその断面図である。典型的な実施形態においては、ベアリング・レース310は、実質的に円筒型の断面であり、開口部350を含んでいる。開口部350のサイズおよび方向は、図2に示すように、シャフト208を通して収容するように設定されている。典型的な実施形態においては、ベアリング・レース310は、第1の端部352において直径D1を含み、第2の端部354において直径D2を含んでいる。D2はD1よりも大きく、斜めに配向された表面356が第1の端部352と第2の端部354との間を延びるようになっている。傾斜面356は、回転358の軸から角度α2でずれている。典型的な実施形態においては、角度α2は約15°である。あるいは、ベアリング・レース310のサイズおよび方向は、ベアリング・アセンブリ300が本明細書で説明したように機能可能になるように設定されている。
【0016】
典型的な実施形態においては、ベアリング・レース310は、傾斜面356上を長さL3だけ延びる溝360を含んでいる。溝360のサイズおよび方向は、テーパ・ローラ・ベアリング320を溝360内に収容するように設定されている。これについては、本明細書でより詳細に説明し、たとえば図3に示している。ベアリング・レース310は、ベアリング・レースの第1の端部352に隣接して位置する第1のフランジ362を含む。第1のフランジ362は、テーパ・ローラ・ベアリング320を溝360内に保持するものである。同様に、ベアリング・レース310は、ベアリング・レースの第2の端部354に隣接して位置する第2のフランジ364を含む。第2のフランジ364は、テーパ・ローラ・ベアリング320を溝360内にさらに保持するものである。あるいは、ベアリング・レース310は、任意のへり、延長部分、または保持要素として、テーパ・ローラ・ベアリング320を溝360内に実質的に保持し、またベアリング・アセンブリ300が本明細書で説明したように機能可能になるものを含んでいても良い。
【0017】
図7は、図3に示すベアリング・アセンブリ300とともに用いる典型的なテーパ・ローラ・ベアリング320の端面図であり、図8は、その断面図である。典型的な実施形態においては、テーパ・ローラ・ベアリング320は、実質的に円錐状の断面である。より具体的には、テーパ・ローラ・ベアリング320は、直径D3を有する第1の端部370と、直径D4を有する第2の端部372とを含んでいる。典型的な実施形態においては、D4はD3よりも大きい。テーパ・ローラ・ベアリング320は、輪郭が実質的に滑らかな外面374であって、テーパ・ローラ・ベアリング320が図6に示すようなベアリング・レース溝360内に収まるように長さL4を含む外面374を含んでいる。
【0018】
典型的な実施形態においては、テーパ・ローラ・ベアリング320は、熱処理した440Cステンレス鋼を旋削プロセスを用いて機械加工することによって製造される。あるいは、テーパ・ローラ・ベアリングを、約650°Fまでの温度で用いても良い任意の耐食材料から製造しても良い。
【0019】
図9は、図3に示すベアリング・アセンブリ300とともに用いる典型的なベアリング・ケージ330の端面図であり、図10は、その断面図である。典型的な実施形態においては、ベアリング・ケージ330は実質的に円錐状の断面である。より具体的には、ベアリング・ケージ330は、直径D5を有する第1の端部380と、直径D6を有する第2の端部382とを含む。典型的な実施形態においては、D6はD5よりも大きい。典型的な実施形態においては、ベアリング・ケージ330は、開口部383を含んでいる。開口部383のサイズおよび方向は、ベアリング・レース310(図3に示す)を通して収容するように設定されている。典型的な実施形態においては、ベアリング・ケージ330は、複数の周方向に離間に配置された容器384を含んでいる。容器384のサイズおよび方向は、図3に示すように、対応する数のテーパ・ローラ・ベアリング320を内部に収容するように設定されている。またベアリング・ケージ330のサイズは、直径D5がベアリング・レースの直径D1よりも大きくなるように、またテーパ・ローラ・ベアリング320が溝360内に位置するときにベアリング・ケージ330がベアリング・レース310とテーパ・ローラ・ベアリング320とを内部に収容するように、設定されている。
【0020】
典型的な実施形態においては、ベアリング・ケージ330は、アルミニウム/青銅合金から加工プロセスを用いて製造される。あるいは、ベアリング・ケージを、約650°Fまでの温度で用いても良い任意の耐食材料から製造しても良い。
【0021】
図11は、図3に示すベアリング・アセンブリ300とともに用いる典型的な外部のベアリング・リング340の端面図であり、図12は、その断面図である。典型的な実施形態においては、外部のベアリング・リング340は実質的に円形であり、そのサイズおよび構成は、ベアリング・レース310、テーパ・ローラ・ベアリング320、およびベアリング・ケージ330を内部に収容するように設定されている。より具体的には、典型的な実施形態において、外部のベアリング・リング340は内部の軌道面390を含んでいる。軌道面390のサイズおよび方向は、図3および4に示すように、テーパ・ローラ・ベアリング320が、対応する溝360および容器384内に位置したときに、テーパ・ローラ・ベアリング320を収容するように設定されている。内部の軌道面390は、角度α3として、テーパ・ローラ・ベアリング320が、対応する溝360および容器384内に位置したときにテーパ・ローラ・ベアリング320によって画定される角度α4(図4に示す)に実質的に等しい角度α3を含んでいる。
【0022】
図13は、導管(たとえば図1に示す導管150など)内の流体の流れを制御する方法400に対するフロー図である。典型的な実施形態においては、方法400は、本明細書で説明したように、シャフトが導管内を斜めに延びるように、バタフライ・バルブ・アセンブリを導管内に配置すること410を含む。バタフライ・バルブ・アセンブリは、開位置と閉位置との間で動作可能なバタフライ・ディスクを含む。バタフライ・バルブ・アセンブリを導管内に配置すること410はさらに、シャフトを導管内で流れの軸から約10度ずれた角度に配向すること420を含む。
【0023】
典型的な実施形態においては、方法400は、複数のテーパ・ローラ・ベアリングを加工プロセス(たとえば旋盤を用いた旋削プロセス、あるいは打ち抜きプロセスなど)を用いて製造すること430を含む。方法400は、バタフライ・ディスクを実質的に一定の軸方向位置に、導管の外部表面上に位置する少なくとも1つのベアリング・アセンブリ内の周方向に離間に配置された複数のテーパ・ローラ・ベアリングを用いて保持すること440を含む。バタフライ・ディスクを実質的に一定の軸方向位置に保持すること440はさらに、複数のテーパ・ローラ・ベアリングを約20度のベアリング角度に配向すること450を含む。
【0024】
以上、ベアリング・アセンブリおよびバルブ・システムの典型的な実施形態について詳細に説明している。前述したベアリング・アセンブリによって、動作中のバルブ・システムの構成部品に対する軸方向および半径方向位置を保持することが、テーパ・ローラ・ベアリングをベアリング・レースおよびハウジング内に含むことによって容易になる。さらに、本明細書で説明したテーパ・ローラ・ベアリングは、焼き戻しされたステンレス鋼材料から製造される。焼き戻しされたステンレス鋼材料は、高温に耐え、また腐食を実質的に防止するため、本明細書で説明したテーパ・ローラ・ベアリングは、より広範囲の用途で用いても良い。
【0025】
前述の説明には多くの詳細が含まれているが、これらは、本発明の範囲を限定するものと解釈してはならず、単に、現時点で好ましい実施形態のうちの一部についての説明を与えるものと解釈しなくてならない。同様に、本発明の趣旨または範囲から逸脱しない本発明の他の実施形態を考案しても良い。異なる実施形態から得られる特徴を組み合わせて用いても良い。したがって、本発明の範囲は、添付の請求項およびその合法的な均等物のみによって指示されて限定されるものであり、前述の説明によるものではない。本明細書で開示した本発明に対する付加、削除、および変更であって、請求項の意味および範囲に含まれるものはすべて包含される。
【0026】
本明細書で説明した装置および方法は、航空機上の防氷装置とともに用いるベアリング・アセンブリとの関連で説明しているが、当然のことながら、本装置および方法は航空宇宙用途に限定されない。同様に、例示したシステム構成要素は、本明細書で説明した特定の実施形態に限定されず、むしろシステム構成要素は、本明細書で説明した他の構成要素から独立および別個に用いることができる。
【0027】
本明細書で用いる場合、要素またはステップを単数形で記載して、その前に用語「a」または「an」がある場合には、複数の要素またはステップを排除していないものと理解しなくてはならない。ただし、このような排除が明確に記載されている場合は除く。さらに、本発明の「一実施形態」に言及する場合、記載された特徴をやはり取り入れているさらなる実施形態の存在を排除するものと解釈することは意図されていない。
【0028】
この書面の説明では、実施例を用いて、本発明を、ベスト・モードも含めて開示するとともに、どんな当業者も本発明を実施できるように、たとえば任意の装置またはシステムを作りおよび用いること、ならびに取り入れた任意の方法を実行することができるようにしている。本発明の特許可能な範囲は、請求項によって定められるとともに、当業者に想起される他の実施例を含んでいても良い。このような他の実施例は、請求項の文字通りの言葉使いと違わない構造要素を有するか、または請求項の文字通りの言葉使いとの差が非実質的である均等な構造要素を含む場合には、請求項の範囲内であることが意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通する流体の流れを含む導管と、
バタフライ・バルブ・アセンブリと、を含み、
前記バタフライ・バルブ・アセンブリは、
導管内を斜めに延びるシャフトと、
前記シャフトを通して収容するサイズの通路を含むバタフライ・ディスクであって、前記バタフライ・バルブ・アセンブリが閉位置にあるときに、導管を通る流体流れを制限するように動作するバタフライ・ディスクと、
前記導管の外部表面上に位置し、前記シャフトの第1の端部を通して収容するように構成された第1のベアリング・アセンブリであって、ベアリング・レースに沿って周方向に離間に配置された複数のテーパ・ローラ・ベアリングを含み、前記バタフライ・バルブ・アセンブリが閉位置にあるときに、前記バタフライ・ディスクを実質的に一定の軸方向位置に保持するように構成された第1のベアリング・アセンブリと、を含むバルブ・システム。
【請求項2】
前記導管の外部表面上で前記第1のベアリング・アセンブリの半径方向反対側に位置する第2のベアリング・アセンブリであって、前記シャフトの第2の端部を通して収容するように構成され、ベアリング・レースに沿って周方向に離間に配置された複数のテーパ・ローラ・ベアリングを含み、前記バタフライ・バルブ・アセンブリが閉位置にあるときに、前記バタフライ・ディスクを実質的に一定の軸方向位置に保持するように構成された第2のベアリング・アセンブリをさらに含む請求項1に記載のバルブ・システム。
【請求項3】
前記第1のベアリング・アセンブリは第1のベアリング・ケージを含み、前記第1のベアリング・ケージは、前記第1の複数のテーパ・ローラ・ベアリングを内部に収容するように構成された第1の複数の容器を含み、
前記第2のベアリング・アセンブリは第2のベアリング・ケージを含み、前記第2のベアリング・ケージは、前記第2の複数のテーパ・ローラ・ベアリングを内部に収容するように構成された第2の複数の容器を含む請求項2に記載のバルブ・システム。
【請求項4】
前記第1のベアリング・アセンブリは内部のベアリング・リングを含み、前記内部のベアリング・リングは、前記シャフトの前記第1の端部を内部に収容するように構成された内孔を含む請求項2に記載のバルブ・システム。
【請求項5】
前記第1および第2の複数のテーパ・ローラ・ベアリングは、前記第1および第2のベアリング・レースに対して、約20度のベアリング角度で位置する請求項2に記載のバルブ・システム。
【請求項6】
前記第1および第2の複数のテーパ・ローラ・ベアリングはステンレス鋼から製造される請求項2に記載のバルブ・システム。
【請求項7】
前記バタフライ・バルブ・アセンブリは航空機防氷装置内に位置する請求項1に記載のバルブ・システム。
【請求項8】
前記シャフトは、前記導管内に、垂直方向から約10度ずれた角度で位置する請求項1に記載のバルブ・システム。
【請求項9】
バタフライ・バルブ用のベアリング・アセンブリであって、前記ベアリング・アセンブリは第1のベアリング・アセンブリを含み、前記第1のベアリング・アセンブリは、導管の外部表面上に位置し、シャフトの第1の端部を通して収容するように構成され、ベアリング・レース内に周方向に離間に配置された複数のテーパ・ローラ・ベアリングを含み、バタフライ・バルブ・アセンブリが閉位置にあるときにバタフライ・バルブ・アセンブリを実質的に一定の軸方向位置に保持するように構成されるベアリング・アセンブリ。
【請求項10】
前記導管の外部表面上で前記第1のベアリング・アセンブリの半径方向反対側に位置する第2のベアリング・アセンブリをさらに含み、前記第2のベアリング・アセンブリは、前記シャフトの第2の端部を通して収容するように構成され、ベアリング・レース内に周方向に離間に配置された複数のテーパ・ローラ・ベアリングを含み、前記バタフライ・バルブ・アセンブリが閉位置にあるときに、前記バタフライ・ディスクを実質的に一定の軸方向位置に保持するように構成される請求項9に記載のベアリング・アセンブリ。
【請求項11】
前記第1のベアリング・アセンブリは第1のベアリング・ケージを含み、前記第1のベアリング・ケージは、前記第1の複数のテーパ・ローラ・ベアリングを内部に収容するように構成された第1の複数の容器を含み、
前記第2のベアリング・アセンブリは第2のベアリング・ケージを含み、前記第2のベアリング・ケージは、前記第2の複数のテーパ・ローラ・ベアリングを内部に収容するように構成された第2の複数の容器を含む請求項10に記載のベアリング・アセンブリ。
【請求項12】
前記第1のベアリング・アセンブリは内部のベアリング・リングを含み、前記内部のベアリング・リングは、前記シャフトの前記第1の端部を内部に収容するように構成された内孔を含む請求項10に記載のベアリング・アセンブリ。
【請求項13】
前記第1および第2の複数のテーパ・ローラ・ベアリングは、前記第1および第2のベアリング・レースに対して、約20度のベアリング角度で位置する請求項10に記載のベアリング・アセンブリ。
【請求項14】
前記第1および第2の複数のテーパ・ローラ・ベアリングはステンレス鋼から製造される請求項10に記載のベアリング・アセンブリ。
【請求項15】
前記バタフライ・バルブ・アセンブリは航空機防氷装置内に位置する請求項9に記載のベアリング・アセンブリ。
【請求項16】
前記シャフトは、前記導管内に、垂直方向から約10度ずれた角度で位置する請求項9に記載のベアリング・アセンブリ。
【請求項17】
導管内の流体の流れを制御するための方法であって、
バタフライ・バルブ・アセンブリを導管内に、シャフトが導管内を斜めに延びるように配置することであって、バタフライ・バルブ・アセンブリは、開位置と閉位置との間で動作可能なバタフライ・ディスクを含む、配置することと、
導管の外部表面上に位置する少なくとも1つのベアリング・アセンブリ内に周方向に離間に配置された複数のテーパ・ローラ・ベアリングを用いて、バタフライ・ディスクを実質的に一定の軸方向位置に保持することと、を含む方法。
【請求項18】
導管内にバタフライ・バルブ・アセンブリを配置することはさらに、シャフトを導管内に、垂直方向から約10度ずれた角度で配置することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記バタフライ・ディスクを実質的に一定の軸方向位置に保持することはさらに、複数のテーパ・ローラ・ベアリングを約20度のベアリング角度に配向することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
複数のテーパ・ローラ・ベアリングを、加工プロセスを用いて製造することをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項1】
貫通する流体の流れを含む導管と、
バタフライ・バルブ・アセンブリと、を含み、
前記バタフライ・バルブ・アセンブリは、
導管内を斜めに延びるシャフトと、
前記シャフトを通して収容するサイズの通路を含むバタフライ・ディスクであって、前記バタフライ・バルブ・アセンブリが閉位置にあるときに、導管を通る流体流れを制限するように動作するバタフライ・ディスクと、
前記導管の外部表面上に位置し、前記シャフトの第1の端部を通して収容するように構成された第1のベアリング・アセンブリであって、ベアリング・レースに沿って周方向に離間に配置された複数のテーパ・ローラ・ベアリングを含み、前記バタフライ・バルブ・アセンブリが閉位置にあるときに、前記バタフライ・ディスクを実質的に一定の軸方向位置に保持するように構成された第1のベアリング・アセンブリと、を含むバルブ・システム。
【請求項2】
前記導管の外部表面上で前記第1のベアリング・アセンブリの半径方向反対側に位置する第2のベアリング・アセンブリであって、前記シャフトの第2の端部を通して収容するように構成され、ベアリング・レースに沿って周方向に離間に配置された複数のテーパ・ローラ・ベアリングを含み、前記バタフライ・バルブ・アセンブリが閉位置にあるときに、前記バタフライ・ディスクを実質的に一定の軸方向位置に保持するように構成された第2のベアリング・アセンブリをさらに含む請求項1に記載のバルブ・システム。
【請求項3】
前記第1のベアリング・アセンブリは第1のベアリング・ケージを含み、前記第1のベアリング・ケージは、前記第1の複数のテーパ・ローラ・ベアリングを内部に収容するように構成された第1の複数の容器を含み、
前記第2のベアリング・アセンブリは第2のベアリング・ケージを含み、前記第2のベアリング・ケージは、前記第2の複数のテーパ・ローラ・ベアリングを内部に収容するように構成された第2の複数の容器を含む請求項2に記載のバルブ・システム。
【請求項4】
前記第1のベアリング・アセンブリは内部のベアリング・リングを含み、前記内部のベアリング・リングは、前記シャフトの前記第1の端部を内部に収容するように構成された内孔を含む請求項2に記載のバルブ・システム。
【請求項5】
前記第1および第2の複数のテーパ・ローラ・ベアリングは、前記第1および第2のベアリング・レースに対して、約20度のベアリング角度で位置する請求項2に記載のバルブ・システム。
【請求項6】
前記第1および第2の複数のテーパ・ローラ・ベアリングはステンレス鋼から製造される請求項2に記載のバルブ・システム。
【請求項7】
前記バタフライ・バルブ・アセンブリは航空機防氷装置内に位置する請求項1に記載のバルブ・システム。
【請求項8】
前記シャフトは、前記導管内に、垂直方向から約10度ずれた角度で位置する請求項1に記載のバルブ・システム。
【請求項9】
バタフライ・バルブ用のベアリング・アセンブリであって、前記ベアリング・アセンブリは第1のベアリング・アセンブリを含み、前記第1のベアリング・アセンブリは、導管の外部表面上に位置し、シャフトの第1の端部を通して収容するように構成され、ベアリング・レース内に周方向に離間に配置された複数のテーパ・ローラ・ベアリングを含み、バタフライ・バルブ・アセンブリが閉位置にあるときにバタフライ・バルブ・アセンブリを実質的に一定の軸方向位置に保持するように構成されるベアリング・アセンブリ。
【請求項10】
前記導管の外部表面上で前記第1のベアリング・アセンブリの半径方向反対側に位置する第2のベアリング・アセンブリをさらに含み、前記第2のベアリング・アセンブリは、前記シャフトの第2の端部を通して収容するように構成され、ベアリング・レース内に周方向に離間に配置された複数のテーパ・ローラ・ベアリングを含み、前記バタフライ・バルブ・アセンブリが閉位置にあるときに、前記バタフライ・ディスクを実質的に一定の軸方向位置に保持するように構成される請求項9に記載のベアリング・アセンブリ。
【請求項11】
前記第1のベアリング・アセンブリは第1のベアリング・ケージを含み、前記第1のベアリング・ケージは、前記第1の複数のテーパ・ローラ・ベアリングを内部に収容するように構成された第1の複数の容器を含み、
前記第2のベアリング・アセンブリは第2のベアリング・ケージを含み、前記第2のベアリング・ケージは、前記第2の複数のテーパ・ローラ・ベアリングを内部に収容するように構成された第2の複数の容器を含む請求項10に記載のベアリング・アセンブリ。
【請求項12】
前記第1のベアリング・アセンブリは内部のベアリング・リングを含み、前記内部のベアリング・リングは、前記シャフトの前記第1の端部を内部に収容するように構成された内孔を含む請求項10に記載のベアリング・アセンブリ。
【請求項13】
前記第1および第2の複数のテーパ・ローラ・ベアリングは、前記第1および第2のベアリング・レースに対して、約20度のベアリング角度で位置する請求項10に記載のベアリング・アセンブリ。
【請求項14】
前記第1および第2の複数のテーパ・ローラ・ベアリングはステンレス鋼から製造される請求項10に記載のベアリング・アセンブリ。
【請求項15】
前記バタフライ・バルブ・アセンブリは航空機防氷装置内に位置する請求項9に記載のベアリング・アセンブリ。
【請求項16】
前記シャフトは、前記導管内に、垂直方向から約10度ずれた角度で位置する請求項9に記載のベアリング・アセンブリ。
【請求項17】
導管内の流体の流れを制御するための方法であって、
バタフライ・バルブ・アセンブリを導管内に、シャフトが導管内を斜めに延びるように配置することであって、バタフライ・バルブ・アセンブリは、開位置と閉位置との間で動作可能なバタフライ・ディスクを含む、配置することと、
導管の外部表面上に位置する少なくとも1つのベアリング・アセンブリ内に周方向に離間に配置された複数のテーパ・ローラ・ベアリングを用いて、バタフライ・ディスクを実質的に一定の軸方向位置に保持することと、を含む方法。
【請求項18】
導管内にバタフライ・バルブ・アセンブリを配置することはさらに、シャフトを導管内に、垂直方向から約10度ずれた角度で配置することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記バタフライ・ディスクを実質的に一定の軸方向位置に保持することはさらに、複数のテーパ・ローラ・ベアリングを約20度のベアリング角度に配向することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
複数のテーパ・ローラ・ベアリングを、加工プロセスを用いて製造することをさらに含む請求項17に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2012−507675(P2012−507675A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534577(P2011−534577)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/059304
【国際公開番号】WO2010/062473
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/059304
【国際公開番号】WO2010/062473
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】
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