説明

導管用の内張り材としてのポリアミド成形材料からなる成形部材の使用

導管用の内張り材としての成形部材の使用において、前記成形部材がポリアミド成形材料からなり、前記ポリアミド成形材料は、少なくとも2のカーボナート単位を有する化合物をポリミドに対して0.005〜10質量%の量比で添加することにより縮合されたものであり、その際、a)出発ポリアミド成形材料を準備し、b)出発ポリアミド成形材料と、少なくとも2のカーボナート単位を有する化合物との予備混合物を製造し、c)予備混合物を場合により貯蔵及び/又は輸送し、かつd)予備混合物を引き続き成形部材へと加工し、その際、この工程において初めて縮合を行い、かつ、その際、成形部材が、少なくとも25mmの外径を有するパイプ又はチューブである、使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプ又はダクト(以下で"導管"と呼称される)のための、詳細に規定されたポリアミド成形材料からなる内張り材の使用に関し、その際、前記のパイプ又はダクトは、遠隔熱、新鮮水、廃水、ガス又は類似の媒体の輸送に利用される。
【0002】
遠隔熱配管、新鮮水配管、廃水配管、ガス配管又はその他の媒体を輸送する配管ないしパイプ又はダクトは、限定された寿命を有する。長期間敷設された配管はしばしば傷むため、例えば廃水の周辺の地下水への漏出や、溜まった地下水の配水パイプへの浸入が起こりうる。この理由は、一方では累増する腐食被害であり、他方では、例えば、運輸振動、圧力負荷又は地震により土木措置の範囲内又は鉱業分野において生じるような、増大する機械的負荷である。当該のパイプないしダクトは、地中約1m又はそれを上回る深さに位置しているため、全長にわたるパイプ又はダクトの交換は著しい費用をかけてのみ実施可能である。従って、欠陥を有する供給網及び処理網の配管を廉価に更生し得る更生工法が求められている。
【0003】
公知の再ライニング工法の場合、溶接されたプラスチックパイプ、例えばポリエチレンからなる長いパイプ束が、損傷を受けたダクト部分に挿入される。パイプは柔軟性がほとんどないため、このために比較的大きな工事坑が必要である。
【0004】
いわゆる短管再ライニングの場合、長さ約0.5m〜最大1mの短いプラスチックパイプが、既存の標準的なダクトの空洞中で組み立てられ、このダクト孔から更生すべきダクト部分に挿入又は取り付けられる(DE−C 3413294)。
【0005】
DE−A 2704438には、排水パイプの内側に排水パイプの内径よりも小さい外径を有する柔軟なポリエチレン導管を導入することにより、ダクトパイプを更生することが提案されており、その際、柔軟な導管は排水パイプと間隔をおいて環状空間の形成下に配置される。前記方法の場合、環状空間は低粘稠の硬化性充填材で充填され、その際、充填材として例えばマグネシウムセメントが使用される。
【0006】
WO 93/21398及びWO 93/21399から、ポリエチレンからなるそれぞれ2つの内張り材を有する再ライニング系が公知である。内側の内張り材には、スペーサーとして作用する突起状物が備えられている。
【0007】
さらに、WO 96/06298には、スペース要素が備えられたポリエチレン又はポリプロピレンからなる内張り材を更生すべき配管ないしパイプ内に導入し、かつスペースを硬化性材料ないし硬化性プラスチック材料で塞ぐことが教示されている。内張り材への前記プラスチック材料の付着性の改善のために、下塗りが推奨されている。
【0008】
WO 00/40887から、制御されたパッキング機能を有する導管系が公知であり、該導管系は、固有の剛性を有する流体密のパイプ及び柔軟な制御内張り材を含み、該パイプ及び内張り材はいずれもポリエチレンからなり、その際、制御内張り材は付加的に、アルミニウムシートの形の炭化水素に対する透過バリアを含む。しかしながら、この種の系は製造に費用がかかる。
【0009】
従来技術において主流であるポリエチレンからなる内張り材は、一連の欠点を有している。例えば、特に、有機液体、例えば原油、石油化学薬品、又は例えば溶剤のような有機液体を含有する廃水を搬送する場合、該内張り材の膨潤及び拡散挙動は劣悪である。拡散挙動はガス配管の場合にも不利である。更に、ポリエチレンは、例えば界面活性剤と接触する際に応力亀裂を生じ易く、かつ切欠き脆い。更に、ポリエチレンは、費用のかかる前処理なしに、環状の空間の充填のために使用される硬化性プラスチック材料に対して十分な付着能を有しない。更に、充填材料の硬化の際に、例えばPU樹脂の場合には、温度ピークに達することがあり、該温度ピークによって内張り材が過度に軟化してしまうために、反りが生じる。ポリエチレンの低い軟化点及び不足した媒体安定性に基づき、前記材料からの内張り材は最高で65℃の運転温度でのみ使用可能である。
【0010】
もう1つの別の技術的な解決法は、例えばDE−C 2362784に記載されている。該刊行物には、片面がプラスチックで被覆された不織布チューブが、更生すべき導管へ裏返し法で導入され、水圧を用いてチューブ壁へ押し当てられた後に系の加熱により硬化するように、樹脂及び硬化剤に予め含浸されており、このようにして剛性のパイプ壁を有する新規の配管系となる系が開示されている。支持体不織布における樹脂−硬化剤−系は、制限された加工時間(ポットライフ)を有するに過ぎないため、含浸、(場合により保冷車における)施工位置への輸送及び導入は、比較的短期間で行わなければならない。更に、パイプから樹脂が硬化前に流出し得るため、前記方法は比較的大きな亀裂又は孔を有しない更生すべきパイプのために満足のいくように適用可能であるに過ぎない。
【0011】
近年、試験的に、ポリアミドからなる内張り材が、海上の範囲内で、原油又は粗ガスを搬送する鋼パイプ内で使用されている(J. Mason, Oil & Gas Journal, Oct. 18, 1999, 第76-82頁)。しかしながら、前記使用はわずかな内径を有するパイプに限定される。確かに、ポリアミドはここで好適な内張り材の材料であるかもしれないが、ポリアミドからなる大きな寸法のパイプを十分な品質で押出により製造することは不可能である。つまり、大きな寸法のパイプを押出す際には、とりわけ重力により制限されて、工具から排出した後に様々な障害が生じ得る。排出された溶融物のチューブ状物の垂れ下がりは、ここでは、低い溶融粘度の視覚的な標識である。重力は肉厚の変動を招くため、パイプの肉厚の不規則な分布が生じ得る。慣用のポリアミドの溶融剛性は、所望の形状を技術的、経済的に、規格通りに確実に製造し得るには不十分である。更に、低い溶融剛性は不確実で不安定な押出過程を招き、これは、溶融物ストランドが不確実に校正ユニットに入るという形で表れ得る。これは製品の障害を招き得る。これに対して、溶融物のチューブ状物がノズルを去った後に高い溶融剛性を有する場合、前記チューブ状物は明らかにより安定に伸び、かつ外部の押出影響に対してより抵抗性である。しかしながら、高い溶融剛性を有するポリアミド成形材料の押出は、高い粘度のために困難である。このために、機械内に特に高い圧力構造が必要であるが;しかしながら、大きな寸法の形状であっても、すでにより低い流量で極めて高いモーター負荷が存在するために、経済的に満足のいく押出速度で製造することはできない。
【0012】
本発明の課題は、前記欠点を回避し、かつ、一方では通常使用されるポリエチレン又はGfKベースの材料よりも良好な特性を有し、他方では大きな寸法であっても確実に、かつ均一の肉厚で製造することができる導管用の内張り材を提供することであった。
【0013】
前記課題は、導管用の内張り材としての成形部材の使用において、前記成形部材がポリアミド成形材料からなり、前記ポリアミド成形材料は、少なくとも2のカーボナート単位を有する化合物をポリミドに対して0.005〜10質量%の量比で添加することにより縮合されたものであり、その際、
a)出発ポリアミド成形材料を準備し、
b)出発ポリアミド成形材料と、少なくとも2のカーボナート単位を有する化合物との予備混合物を製造し、
c)予備混合物を場合により貯蔵及び/又は輸送し、かつ
d)予備混合物を引き続き成形部材へと加工し、その際、この工程において初めて縮合を行い、
かつ、その際、成形部材が、少なくとも25mm、有利に少なくとも60mm、特に有利に少なくとも110mmの外径を有するパイプ又はチューブである使用により解決された。
【0014】
意外なことに、前記添加形式で、同時にモーター負荷が僅かである場合に、加工の間に著しい溶融剛性の向上が生じることが確認された。それによって、高い溶融粘度にもかかわらず加工の際に高い流量を達成することができ、その結果、製造法の経済性の改善が生じる。当該の導管は、輸送配管、分配配管又は家庭用接続配管であってよく、かつ、圧力配管としてか又は開水路配管として仕上げられていてよい。当該の導管は、例えば、遠隔熱、新鮮水、廃水、ガス、油類、例えば原油、軽油又は重油、燃料、例えば灯油又はディーゼル、石油化学薬品、食塩水、アルカリ液、研磨媒体又はダストの輸送に利用され、例えば供給管又は処理管であってよい。当該導管は、有利に地中、トンネル又は坑道内、又は水中、しかしながらまた場合によっては地上にも敷設されている。
【0015】
本発明の範囲内で、運転の耐用年数を延長するために、導管に、すでに工場側でか又は敷設の際に、内張り材を備えることができる。しかしながら大抵は、配管の更生のために、内張り材は後から輸送配管に導入される;ここで再ライニングについて言及される。
【0016】
当該の導管は、通常4000mmまで、有利に2000mmまで、特に有利に1000mmまでの内径を有する。
【0017】
この種の内張り材を含む導管も本発明の対象である。
【0018】
可能な実施態様において、要求に応じた導管は海上配管ではない。
【0019】
内張り材は自己支持性であることができ;該内張り材はこの場合パイプである。しかしながら、内張り材は自己支持性でなくてもよく;該内張り材はこの場合チューブである。肉厚は一般に少なくとも0.5mm、有利に少なくとも1mm、特に有利に少なくとも2mmである。本発明の範囲内で適したポリアミドは、ラクタム、アミノカルボン酸、ジアミンないしジカルボン酸をベースに構成されている。更に、前記ポリアミドは、例えばトリカルボン酸、トリアミン又はポリエチレンイミンから誘導された分枝鎖構成要素を含有することができる。適当な型は、それぞれホモポリマー又はコポリマーとして、例えばPA6、PA46、PA66、PA610、PA66/6、PA6/6T、PA66/6T並びに殊にPA612、PA1010、PA1012、PA1212、PA613、PA1014、PA11、PA12又は透明ポリアミドである。
【0020】
更に、ラクタム、アミノカルボン酸、ジアミン、ジカルボン酸及びポリエーテルジアミン及び/又はポリエーテルジオールをベースとするポリエーテルアミドは適当である。
【0021】
好ましくは、出発ポリアミドは、5000超、殊に8000超の分子量Mnを有する。この場合、末端基が少なくとも部分的にアミノ基として存在するポリアミドが使用される。例えば、末端基の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%がアミノ末端基として存在する。調節剤としてのジアミン又はポリアミンの使用下における、比較的高いアミノ末端基含分を有するポリアミドの製造は、公知技術水準である。本発明の場合には、ポリアミドの製造の際に、有利に4〜44個のC原子を有する脂肪族、脂環式又は芳香脂肪族のジアミンが調節剤として使用される。適当なジアミンは、例えばヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、2.2.4−トリメチルヘキサメチレンジアミン又は2.4.4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、1.4−ジアミノシクロヘキサン、1.4−ジメチルアミノシクロヘキサン又は1.3−ジメチルアミノシクロヘキサン、4.4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4.4′−ジアミノ−3.3′−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4.4′−ジアミノジシクロヘキシルプロパン、イソホロンジアミン、メタキシリレンジアミン又はパラキシリレンジアミンである。
【0022】
もう1つの好ましい実施態様において、ポリアミドの製造の際に、ポリアミンが調節剤として、かつそれと同時に分岐剤として使用される。これについての例は、ジエチレントリアミン、1.5−ジアミノ−3−(β−アミノエチル)ペンタン、トリス(2−アミノエチル)アミン、N,N−ビス(2−アミノエチル)−N′,N′−ビス[2−[ビス(2−アミノエチル)アミノ]−エチル]−1,2−エタンジアミン、デンドリマー並びにポリエチレンイミン、殊にアジリジンを重合することによって得ることができ(Houben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie, 第E20巻, 第1482〜1487頁, Georg Thieme Verlag Suttgart, 1987)かつ一般に以下のアミノ基分布を有する分枝鎖ポリエチレンイミンである。
1級アミノ基 25〜46%、
2級アミノ基 30〜45%、及び
3級アミノ基 16〜40%。
【0023】
本発明による方法において、少なくとも2のカーボナート単位を有する少なくとも1の化合物は、使用されるポリアミドとの比で算出された0.005〜10質量%の量比で使用される。有利に、前記比は、0.01〜5.0質量%の範囲内、特に有利に0.05〜3質量%の範囲内にある。本明細書中で、"カーボナート"の概念は、炭酸と殊にフェノールまたはアルコールとのエステルを意味する。
【0024】
少なくとも2のカーボナート単位を有する化合物は、低分子量のオリゴマー又はポリマーであることができる。前記化合物は、完全にカーボナート単位からなることができるか、又は更に他の単位を有することができる。前記単位は、有利にオリゴアミドもしくはポリアミド−、オリゴエステルもしくはポリエステル−、オリゴエーテルもしくはポリエーテル−、オリゴエーテルエステルアミドもしくはポリエーテルエステルアミド−又はオリゴエーテルアミドもしくはポリエーテルアミド−単位である。このような化合物は、公知のオリゴマー化法又は重合法によって製造されてもよいし、重合類似(polymeranalog)反応によって製造されてもよい。
【0025】
1つの好ましい実施態様において、少なくとも2のカーボナート単位を有する化合物は、例えばビスフェノールAをベースとするポリカーボナートであるか、又はこの種のポリカーボナートブロックを含有するブロックコポリマーである。
【0026】
添加剤として使用される少なくとも2のカーボナート単位を有する化合物をマスターバッチの形で供給することによって、添加剤のより正確な計量供給が可能となる。なぜならば、より多くの量が使用されるためである。その上、マスターバッチが使用されることによって、改善された押出物品質が達成されることが判明した。マスターバッチは、マトリックス材料として、有利に本発明による方法でも縮合されるポリアミド又はそれと相容性のポリアミドを含むが、しかしながら非相容性のポリアミドも反応条件下で縮合すべきポリアミドに部分的に結合することができ、これにより相容化が生じる。マトリックス材料としてマスターバッチ中で使用されるポリアミドは、有利に5000超、殊に8000超の分子量Mnを有する。この場合、末端基が主にカルボン酸基として存在するポリアミドが有利である。例えば、末端基の少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも95%は、酸基として存在する。
【0027】
マスターバッチ中での少なくとも2のカーボナート単位を有する化合物の濃度は、有利に0.15〜50質量%、特に有利に0.2〜25質量%、殊に有利に0.3〜15質量%である。このようなマスターバッチの製造は、当業者に公知の通常の方法で行われる。
【0028】
少なくとも2のカーボナート単位を有する適当な化合物並びに適当なマスターバッチは、WO 00/66650に詳細に記載されており、ここで上記刊行物を明文をもって引用する。
【0029】
前記原理に基づく、ポリアミドの場合の分子量調節のための添加剤は、Brueggemann KG社からBrueggolen M1251の商品名で販売されている。第一の適用は、押出成形材料に再使用される、PA6又はPA66からなるリサイクレートのための粘度調節の分野である。添加剤Brueggolen M1251は、酸末端基を有するPA6中の低粘稠ポリカーボナート、例えばLexan 141のマスターバッチである。縮合すべき材料中に含有されているアミノ末端基とポリカーボナートとの反応は、分子量増成の原因となる。
【0030】
方法の有効性は、WO 00/66650において、PA6及びPA66の縮合の実施例に示されており、その際、相応する重縮合物は部分的に純粋な形で使用されるが、しかしながら部分的に、添加剤、例えばガラス繊維及びモンタン酸塩をも含有している。
【0031】
本発明は、製造に起因してリン少なくとも5ppmを酸性化合物の形で含有するポリアミドにおいて適用可能である。この場合には、ポリアミド成形材料に、配合前又は配合時に、ポリアミドに対して0.001〜10質量%の弱酸の塩が添加される。適当な塩はDE−A 10337707に開示されており、ここで上記刊行物を明文をもって引用する。
【0032】
しかしながら本発明は、製造に起因してリン5ppm未満を酸性化合物の形で含有するか又はリンを全く含有しないポリアミドにおいてまさに良好に適用可能である。この場合には、弱酸の相応する塩を添加しなくてもよい。
【0033】
本発明による方法において、ポリアミド成形材料の製造の際に使用される通常の添加剤を使用することができる。これについての詳細な例は、着色剤、燃焼遅延剤及び難燃剤、安定剤、充填剤、潤滑性向上剤、離型剤、耐衝撃性改良剤、可塑剤、結晶化促進剤、帯電防止剤、潤滑剤、加工助剤並びにポリアミドと通常配合される他のポリマーである。
【0034】
前記の添加剤の例は、以下の通りである:
着色剤:二酸化チタン、鉛白、亜鉛白、リトポン、アンチモンホワイト、カーボンブラック、黒酸化鉄、マンガンブラック、コバルトブラック、アンチモンブラック、クロム酸鉛、鉛丹、亜鉛黄、亜鉛緑、カドミウムレッド、コバルトブルー、ベルリンブルー、ウルトラマリン、マンガンバイオレット、カドミウムイエロー、シュヴァインフルトグリーン、モリブデンオレンジ及びモリブデンレッド、クロムオレンジ及びクロムレッド、酸化鉄赤、酸化クロム緑、ストロンチウムイエロー、モリブデンブルー、チョーク、黄色土、アンバー、緑土、バーントシェンナ、グラファイト又は可溶性の有機着色剤。
【0035】
燃焼遅延剤及び難燃剤:三酸化アンチモン、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラクロロビスフェノール又はテトラブロモビスフェノール、ハロゲン化リン酸塩、ホウ酸塩、クロロパラフィン並びに赤リン、さらにスズ酸塩、メラミンシアヌラート及びその縮合生成物、例えばメラム、メレム、メロン、メラミン化合物、例えばメラミンピロリン酸塩及びメラミンポリリン酸塩、アンモニウムポリリン酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム並びにハロゲンを含有しない有機リン化合物、例えばレゾルシノールジフェニルホスファート又はホスホン酸エステル。
【0036】
安定剤:金属塩、殊に銅塩及びモリブデン塩並びに銅錯体、亜リン酸塩、立体障害フェノール、2級アミン、UV吸収剤及びHALS安定剤。
【0037】
充填剤:ガラス繊維、ガラス球、粉砕ガラス繊維、珪藻土、カオリン、粘土、CaF2、酸化アルミニウム並びに炭素繊維。
【0038】
潤滑性向上剤及び潤滑剤:MoS2、パラフィン、脂肪アルコール並びに脂肪酸アミド。
【0039】
離型剤及び加工助剤:ワックス(モンタン酸塩)、モンタン酸ワックス、モンタンエステルワックス、ポリシロキサン、ポリビニルアルコール、SiO2、珪酸カルシウム並びにペルフルオロポリエーテル。
【0040】
可塑剤:BBSA、POBO。
【0041】
耐衝撃性改良剤:ポリブタジエン、EPM、EPDM、HDPE、アクリラートゴム。
【0042】
帯電防止剤:カーボンブラック、炭素繊維、黒鉛繊維、多価アルコール、脂肪酸エステル、アミン、酸アミド、4級アンモニウム塩。
【0043】
他のポリマー:ABS、ポリプロピレン。
【0044】
前記添加剤は、当業者に公知の通常の量で使用することができる。
【0045】
少なくとも2のカーボナート単位を有する化合物は、本発明によれば配合後に初めて、しかし遅くとも加工の間に、そのものとして又はマスターバッチとして添加される。有利に、加工の際に、縮合すべきポリアミドないし縮合すべきポリアミド成形材料は、顆粒として、少なくとも2のカーボナート単位を有する化合物の顆粒又は相応するマスターバッチと混合される。しかしながら、配合された完成ポリアミド成形材料と少なくとも2のカーボナート単位を有する化合物ないしマスターバッチとの顆粒混合物を製造し、引続き輸送又は貯蔵し、その後加工することもできる。勿論、相応して粉末混合物を用いて処理することもできる。混合物を加工の際に初めて溶融することが重要である。加工の際に溶融物を完全に混合することが望ましい。しかしながら、マスターバッチを、溶融物流として、増結された押出機を用いて加工すべきポリアミド成形材料の溶融物に供給し、その後完全に混合導入することも同様に十分に可能である。
【0046】
内張り材の製造法は、一般的な形式で、EP1690889A1及びEP1690890A1に記載されている。
【0047】
内張り材の壁は単層でかつこの場合完全にポリアミド成形材料からなることができるが、多層であってもよく、その際、ポリアミド成形材料は、外層、内層及び/又は中層を形成することができる。他の1以上の層は、他のポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン又はフルオロポリマーをベースとする成形材料からなる。この種の多層構造は、従来技術によりとりわけ同時押出により製造することができる。
【0048】
WO 96/06298に記載されているような内張り材は、スペース要素と共に配管中に導入されることができ、その後、内張り材と配管壁との間の環状空間が、硬化性材料で、有利にモルタルで、又は硬化性プラスチック材料で充填される。しかしながら、該内張り材が自己支持性のパイプである場合には、場合によりスペース要素なしで、及び環状空間を塞ぐことなく、該内張り材を配管内に導入することもできる。
【0049】
好適なモルタル組成物によって、充填材料の均質な粒度分布及び高い密度がもたらされる。アルカリ反応性モルタルは特に有利であり、それというのも、該モルタルは鉄パイプを受動的に保護するだけでなく、アルカリ反応に基づき能動的にも保護するためである。適当なモルタルは従来技術である。
【0050】
本発明による方法に好適な硬化性プラスチック材料は、輸送すべき媒体に対して十分な安定性を示す硬化性プラスチック材料である。このことは特に、プラスチック材料が硬化後にとりわけ水密及び気密でなくてはならず、かつ湿分によって攻撃されてはならないことを意味する。
【0051】
本発明による方法に特に好適なプラスチック材料は、ポリウレタン系、シリカート樹脂、アクリル系、エポキシ系、及び、何らかの方法で硬化可能な全ての不飽和ポリエステルをベースとする系である。前記の全ての系の利点は、その低い湿分敏感性である。
【0052】
好適なポリウレタン系は、モノマー又はポリマーの多官能性イソシアナートと、多官能性反応パートナー(通常、ポリオール、ポリエーテルオール又はポリエステルオール)とから製造された、反応性イソシアナート基を有するポリウレタンプレポリマーをベースとする。プレポリマーは、硬化の際に、少なくとも2の遊離の、イソシアナート基と反応し得るOH−、SH−及び/又はNH2基を有する多官能性反応パートナー及び場合によりポリウレタン化学から当業者に公知である反応活性化添加剤と反応する。ここで例示的に、水、ポリオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール又はそのオリゴマー、ポリエステロール、ポリエーテルオール、多官能性チオール又はポリアミン及びその混合物が挙げられる。硬化促進性添加剤は、例えば3級アミン又は金属塩である。これは2成分系である。
【0053】
ケイ酸塩樹脂は、一方では水ガラス成分、他方ではイソシアナート成分を含有する。該ケイ酸塩樹脂は、発泡性又は非発泡性に調節されていてよい。その化学的安定性は、ポリウレタン及びエポキシ樹脂のそれを上回る。
【0054】
更に、アクリル系、即ち、アクリル酸又はメタクリル酸の単官能性又は多官能性モノマー又はオリゴマー誘導体のラジカル重合により製造される反応生成物を使用することができる。ここで特にアクリル酸及びメタクリル酸のエステルが挙げられる。反応開始剤、例えばペルオキシドをベースとするラジカル開始剤等を出発混合物に混入させることにより重合を生じさせることができる。更に、硬化ないし架橋を、エネルギーに富む放射線、例えばUV光又は電子線により生じさせることができる。自明のことながら、(メタ)アクリル酸及びその誘導体の共重合体もアクリル系と解釈される。
【0055】
経験上、更に、エポキシ樹脂系、即ち、少なくとも2の反応性エポキシ基を有する高分子化合物と、多官能性ポリアミン、ポリアミノアミド又は前記物質の混合物とからの反応生成物を使用することができ、これにエポキシ化学から公知である反応促進剤を添加することができる。この場合、ポリアミンは硬化剤成分の機能を果たす。
【0056】
更に、不飽和ポリエステルをベースとする系、即ち、不飽和ポリエステルのラジカル重合の反応生成物が該当する。そのような不飽和ポリエステルは、多官能性アルコールとモノ−又はポリ不飽和多官能性カルボン酸との反応から生じる。前記の不飽和ポリステルは、ラジカル重合可能なモノマー、例えばスチレン又はジビニルベンゼン中に、また、ジアリルフタラート及びモノマーアクリル酸又はメタクリル酸誘導体、例えばエステル、例えばメチルアクリラート又はメチルメタクリラート中に溶解させることができる。重合は、好適な反応開始剤を樹脂混合物に添加することにより、かつ/又は、エネルギー(熱)又はエネルギーに富む放射線(UV光又は電子線)の供給により開始される。
【0057】
前記の全ての系は、通常の添加剤、例えば充填剤、繊維、着色剤、安定剤、粘度調節剤等を含有してよい。前記の全ての系は、更に、発泡剤の添加によって、硬化反応の間に導管の外面に広がる中空空間を塞ぐために完全又は部分的に気泡状の構造が形成されるように変性されていてよい。特に、プラスチック充填の耐久性及び強度を向上させる材料、例えば鉱物充填剤及び/又は補強繊維の添加は、極めて目的にかなっている。
【0058】
充填剤として、特に鉱物性の充填剤、例えば石英砂、静電フィルター灰等が挙げられる。鉱物骨材は、プラスチック材料の2〜95質量%、特に50〜90質量%を占め得る。エポキシ樹脂1部と石英砂5部とからなる混合物が特に好適であることが判明し、その際、該エポキシ樹脂に、通常の発泡剤が、充填度に応じて0.8〜2.0g/cm3の範囲内の密度を有する微孔の独立気泡型フォームの形成のために混合されている。
【0059】
鉱物性充填剤に付加的に、又はそれに代わって、強度の向上のために必要な量でプラスチック材料中に繊維が存在していてよい。好適な繊維の例は、ポリプロピレン−スフ、スチール繊維又は鉱物繊維、例えばガラスウール又はロックウールである。一般に、プラスチック材料中で0.5〜5質量%の繊維割合で完全に十分である。
【0060】
当然のことながら、使用されるプラスチック材料及び硬化剤それ自体は公知である。
【0061】
充填材料を環状空間内に圧入ないし吸引することができる。有利に、配管の端部に材料を圧入する一方で、もう一方の端部に低圧を加えることによって、前記措置が組み合わせられる。この場合、内張り材に圧力を加えるのが有利であり、それゆえ該内張り材は崩壊しない。
【0062】
配管の壁部に施与されたプラスチック材料が硬化剤と直接混合される限り、硬化は材料に典型的な期間にわたって更なる外部への影響なしに行われる。放射線又は熱供給によるプラスチック材料の硬化が行われる場合、プラスチック材料の施与に引き続き、層に照射するか又は熱を加えることが必要であり、これは、内張り材を貫通して行うことができる。
【0063】
もう1つの可能な実施態様において、パイプ内張り材は被覆すべきパイプよりも若干大きな外径を有することもできる。内張り材を導入するために、内張り材はその横断面を延伸、圧縮又は折り畳みにより縮小される。内張り材の導入後、該内張り材は戻り作用によりパイプ内壁に付着する。前記のプロセスは圧力及び温度衝撃により促進され得る。そのように被覆されたパイプは、環状空間を有していない。当業者に公知の方法の例として、Swagelining(R)が挙げられる。内張り材を、このようにすでに工場側で施与することもできる。
【0064】
本発明のもう1つの可能な実施態様において、使用される状態で自己安定性である、トラフベルトコンベヤーとなる内側パイプを、パイプ又はダクト部分に挿入する前か又は挿入する際に折り畳み、かつ生じる輸送空間ないしトラフを遅延硬化性充填材料で充填することにより、要求に応じた内側パイプを更生すべきパイプ又はダクト部分に挿入し、挿入のために折り畳み、かつその後、それと共に外壁に割り当てられるスペーサーをパイプ又はダクトの壁部に付着させ、その後直ちに、パイプ又はダクトの壁部と内側パイプの外壁との間のスペースを充填し、その際、内側パイプの逆歪みは、端部位置への到達後にその内部空間を媒体で充填することにより支持される。
【0065】
従って、このような方法により、初めて、本来の更生を生じさせる内側パイプを、必要な充填材料、即ちプラスチックと同時に、更生すべきパイプ部分に挿入し、そこでその都度予定された使用箇所で、充填材料を形成されるスペースに導入し、かつここで同時に生じる地中の空洞をも塞ぐことが可能となる。折り畳まれた内側パイプからなるベルトコンベヤーのトラフに、十分な量の前記充填材料を導入することができ、その際、内側パイプの逆歪みにより、全範囲にわたって充填材料の均一な分布が生じる。
【0066】
本発明により、導管の極めて寿命の長い更生ないし封止を達成することができる。
【実施例】
【0067】
以下に本発明による内張り材の製造が例示的に説明されるはずである。試験において、次の材料を使用した:
NH2基50meq/kg及びCOOH基9meq/kg、ηrel約2.15を有するアミンで調節されたPA12。製造に起因してリン54.5ppmを含有。
【0068】
NH2基8meq/kg及びCOOH基50meq/kg、ηrel約2.15を有する酸で調節されたPA12。製造に起因してリン54.5ppmを含有。
【0069】
Brueggolen(R) M1251、低粘稠なポリカーボナート及び酸を末端基とするPA6からなる混合物。
【0070】
Ceasit(R) PC(ステアリン酸カルシウム)。
【0071】
Werner & Pfleiderer ZSK 30型の二軸押出機で、第1表に記載されたコンパウンドを製造した。
【0072】
比較例A及びB並びに実施例1:
3帯域スクリュー(L=25D)を有する50のReifenhaeuser社製単軸スクリュー押出機で第2表に示された装入物質を顆粒ないし顆粒混合物から出発して加工し、かつ2.9mmの肉厚及び32mmの外径を有する内張り材として押し出した。比較例Bと実施例1とを対比した場合、本発明によれば、より大きな材料圧力にもかかわらず、パイプを極めて高分子量のポリアミドから製造するのに明らかにより低いモーター負荷が必要であったことが分かる。
【0073】
比較例C及びD並びに実施例2:
3帯域スクリュー(L=30D)を有する90のReifenhaeuser社製単軸スクリュー押出機で第3表に示された装入物質を顆粒ないし顆粒混合物から出発して加工し、かつ15.3mmの肉厚及び168.3mmの外径を有する内張り材として押し出した。比較例Dと実施例2とを対比した場合、本発明によれば、より大きな材料圧力にもかかわらず、パイプを極めて高分子量のポリアミドから製造するのに明らかにより低いモーター負荷が必要であったことが分かる。
【0074】
比較例E及びF並びに実施例3:
3帯域スクリュー(L=30D)を有する60のCincinnati単軸スクリュー押出機で第4表に示された装入物質を顆粒ないし顆粒混合物から出発して加工し、かつ2.0mmの肉厚及び285mmの外径を有する内張り材として押し出した。比較例Fと実施例3とを対比した場合、本発明によれば、より大きな材料圧力にもかかわらず、パイプを極めて高分子量のポリアミドから製造するのに明らかにより低いモーター負荷が必要であったことが分かる。
【0075】
コンパウンドBを直接使用した場合には、ηrel(分子量の尺度として)は、剪断下での鎖分解により初めの2.55から2.30〜2.34(比較例B、D及びF)に低下する。本発明による方法(実施例1〜3)の場合には、そのような鎖分解は確認できない。
【0076】
比較例C及びEの場合、内張り材は、極めて困難な状況下でのみ製造することができた。特に、出来る限り低い溶融温度及びPA12溶融温度の範囲内にあるノズル温度が選択されねばならなかった。更に、肉厚分布は満足のいくものではなかった。選択された加工パラメータは、実施例1〜3とは異なり、もはや更なる余地を許容しなかった。
【0077】
【表1】

【0078】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
導管用の内張り材としての成形部材の使用において、前記成形部材がポリアミド成形材料からなり、前記ポリアミド成形材料は、少なくとも2のカーボナート単位を有する化合物をポリミドに対して0.005〜10質量%の量比で添加することにより縮合されたものであり、その際、
a)出発ポリアミド成形材料を準備し、
b)出発ポリアミド成形材料と、少なくとも2のカーボナート単位を有する化合物との予備混合物を製造し、
c)予備混合物を場合により貯蔵及び/又は輸送し、かつ
d)予備混合物を引き続き成形部材へと加工し、その際、この工程において初めて縮合を行い、
かつ、その際、成形部材が、少なくとも25mmの外径を有するパイプ又はチューブである、使用。
【請求項2】
成形部材の外径が少なくとも60mmである、請求項1記載の使用。
【請求項3】
成形部材の外径が少なくとも110mmである、請求項1記載の使用。
【請求項4】
ポリアミドが、調節剤としてのジアミン又はポリアミンの使用下に製造されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の使用。
【請求項5】
少なくとも2のカーボナート単位を有する化合物をマスターバッチとして使用する、請求項1から4までのいずれか1項記載の使用。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載の使用により使用される内張り材を含有する導管。
【請求項7】
遠隔熱、新鮮水、廃水、ガス、油類、燃料、石油化学薬品、食塩水、アルカリ液、研磨媒体又はダストの輸送に利用される、請求項6記載の導管。

【公表番号】特表2010−500519(P2010−500519A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524159(P2009−524159)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057993
【国際公開番号】WO2008/019946
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】