説明

導電性ゴムローラ、導電性ゴムローラの製造方法及び画像形成装置用ローラ

【課題】製造が効率的に行われるとともに、セル分布が均一で、且つ硬度、抵抗ムラが無く、加工性に優れたローコストな導電性ゴムローラ及び導電性ゴムローラの製造方法。
【解決手段】導電性芯材と、該導電性芯材上に形成された発泡体ゴム層とを有する導電性ゴムローラであって、該発泡体ゴム層は、アクリロニトリルブタジエンゴム及びエピクロルヒドリンゴムのいずれか一方又は両方から形成され、該発泡体ゴム層の吸水率は、70%以上150%以下である、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写装置、プリンター、静電記録装置等の画像形成装置において使用される導電性ゴムローラ及び導電性ゴムローラの製造方法に関する。本発明は、更に、感光体等の像担持体に電子写真プロセス、静電記録プロセス等の作像手段で形成担持させたトナー像による可転写画像を紙等の記録媒体、転写材に転写させる転写装置の転写ローラ等の画像形成装置用ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンターなど、電子写真方式の画像形成装置の多くには、帯電ローラ、転写ローラ、現像ローラ等の導電性ゴムローラが用いられている。これらのゴムローラは、装置の高速化、良画質化に応えるために、感光体との当接により一様なニップ幅を保つことが要求され、発泡セルが緻密かつ均一であることが望まれている。これらのゴムローラの製造方法として、高圧蒸気による加硫缶加硫(特許文献1)、金型を用いた加硫方法(特許文献2)、マイクロ波照射によるUHF加硫(特許文献3)などが挙げられる。
【0003】
これらの方法は、例えば加硫缶加硫では比較的微細なセルを容易に得ることができるが、加硫チューブの径方向で発泡体のセルが不均一となり、所望のセルを表面に出すために多量の研磨が必要になってしまうという問題があった。金型加硫においては、発泡ゴムローラを型内(割型)発泡法で作製する場合、二つの金型の合わせ目が存在する。化学発泡剤を含むゴム組成物をこのような割型を使用して加硫発泡を行った場合、この合わせ目からゴム組成物の漏れ(パーティングライン)が生じ、脱型後の発泡ゴムには、この影響が現れる。その結果、例えば、電気抵抗、硬度、セル形状などにおいて、この割型合わせ面で異常が発生しやすい。したがって、これらの特性が均質であることが望まれる発泡ゴムローラにおいては、特性の不均質化は大きな問題となる。さらに、段取りに時間がかかり、且つ金型洗浄を行う必要があるため量を数多く作るのには不向きであった。
【0004】
UHF加硫では、押し出し直後に連続してマイクロ波を用いて加硫発泡を行うため非常に効率の良い生産が可能である。さらに、このUHF加硫では、以下に例示される各工程を比較的容易に連続化することができる。
【0005】
(1)加硫後の工程であるチューブを冷却する冷却工程
(2)チューブを所望の寸法に切断する切断工程
(3)チューブに芯金を挿入する圧入工程
(4)チューブ両端部を製品寸法に合わせて切り落とす突っ切り工程
(5)研磨機によりローラ外径を所望の寸法に研削する研磨工程
(6)研磨屑を除去する清掃工程
(7)清掃したローラを製品トレーに梱包する工程
【0006】
これらの工程を連続化することによって、押し出し機に材料を投入するところからローラを製品トレーに梱包するところまでを一貫したラインにすることが可能である。このような一貫ライン、特にマイクロ波加硫炉を用いて連続的に押し出し後に未加硫チューブ加熱する工程を含む加硫発泡工程では、押し出し後の未加硫チューブを均質に加熱する。このため、均一な抵抗値、硬度、セル径を有する加硫チューブを得ることができる。さらに、上記のような一貫ラインでは製造工程の少人化が容易となり、ローラコストを低く抑えることが可能となるという特徴があった。しかし、このような一貫ラインでは、加硫後のチューブが高温であるため、ローラを研磨する際に十分な寸法精度を得るためには、巨大な冷却槽によりチューブを冷却する必要があった。また、このような一貫ラインでは、ローラのゴム層の熱膨張を考慮に入れて研磨時のローラ径を決定する必要があった。さらに、最悪の場合には、十分にチューブ冷却するために、例えば1日〜3日程度チューブをエージングすることが必要となり、一貫ラインとして生産することが不可能となるという問題が生じる。
【0007】
これらの方法では、設備が大きくなり、装置コストが上昇し、ローラコストが上がってしまうという問題や、加工が困難である等の問題が生じやすくなってしまう。一貫ラインとしての製造が不可能な場合には、一貫ラインと比較して省力化しにくく、ローラコストを抑えることができなくなってしまうという問題が生じる。
【0008】
また、電子写真装置用の導電性ゴムローラにおいては、ローラの抵抗、硬度、発泡状態が均一であり、かつ寸法精度に優れており、ローコストであることが要求されている。つまり、ローラ抵抗値、硬度、発泡状態が均一で、加工性が良くローコストな導電性発泡ゴムローラの製造方法を確立することが望まれている。
【特許文献1】特開平11−114978号公報
【特許文献2】特開2002−115714号公報
【特許文献3】特開2002−221859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の従来の課題に鑑み提案されたものであり、製造が効率的に行われるとともに、セル分布が均一で、且つ硬度、抵抗ムラが無く、加工性に優れたローコストな導電性ゴムローラ及び導電性ゴムローラの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
さらに、本発明は、この導電性ゴムローラを有する画像形成装置用ローラ及び転写ローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による導電性ゴムローラは、導電性芯材と、該導電性芯材上に形成された発泡体ゴム層とを有する導電性ゴムローラであって、該発泡体ゴム層は、アクリロニトリルブタジエンゴム及びエピクロルヒドリンゴムのいずれか一方又は両方から形成され、該発泡体ゴム層の吸水率は、70%以上150%以下である、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明による導電性ゴムローラの製造方法は、導電性芯材と、該導電性芯材上に形成された発泡体ゴム層とを有する導電性ゴムローラの製造方法であって、アクリロニトリルブタジエンゴム及びエピクロルヒドリンゴムのいずれか一方又は両方を含むゴム材料にマイクロ波を照射してゴム組成物を得る工程と、該ゴム組成物を加熱空気で加温する工程と、を有し、該発泡体ゴム層の吸水率は、70〜150%であることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明による画像形成装置用ローラは、上述の導電性ゴムローラからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、成形が効率的に行われるとともに、加工性に優れ、高画質で良好な画像の得られるローコストな導電性ゴムローラおよびその導電性ゴムローラの製造方法を提供することが可能になり、優れた画像を得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態につき説明する。
【0016】
図1は、転写ローラで例示される、本発明による導電性ゴムローラの全体斜視図である。本発明において、導電性ゴムローラは、芯金61と、芯金61上に形成された発泡体ゴム層62とを有する。
【0017】
本発明において、芯金61としては、アルミニウム、ステンレススチール、めっき処理した鉄、黄銅またはこれらを含む合金などの良導体が好適に用いられる。本発明に用いられる芯金61は、3〜10mmの直径を有していることが好ましく、0.1〜1.5mm程度の厚さを有する金属管であっても、また棒状であってもよい。
【0018】
本発明において、発泡体ゴム層62は、下述のゴム材料を加硫発泡して、形成される。このゴム材料としては、アクリロニトリルブタジエンゴム及び/又はエピクロルヒドリンゴムを有する材料であれば、特に制約はない。ゴム材料は、このほかに、充填材、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤、発泡剤を有してもよい。
【0019】
充填材としては、酸化亜鉛、ステアリン酸やカーボンブラック、炭酸カルシウムが挙げられる。
【0020】
加硫促進剤としては、チウラム系、チアゾール系、グアニジン系、スルフェンアミド系、ジチオカルバミン酸塩系、チオウレア系、またはその数種の混合物が挙げられる。
【0021】
発泡剤としては、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドを用いることが好ましい。発泡剤としてアゾジカルボンアミドを用いると、アゾジカルボンアミドの分解生成物としてアンモニアやシアン酸等の物質が生成し、これらの分解生成物が材料中でイオン導電材として作用したり、材料中の極性を変化させたりする場合がある。これにより、経時でローラ抵抗値が上昇してしまうという問題が生じる。特に、高温高湿環境(例えば32.5℃/80%RH)におけるローラ抵抗値の上昇が大きい。
【0022】
その他の発泡剤としては、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンや炭酸水素ナトリウムが挙げられる。N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンは、分解時に有害なホルムアルデヒドが発生することおよびそのもの自体が変異原性を疑われており、人体への安全性に劣るという欠点を有する。炭酸水素ナトリウムは、均一な発泡を得難く、ローラ抵抗値の環境変動を悪化させるという欠点がある。
【0023】
ゴム材料の加硫発泡工程は、マイクロ波照射及び加熱空気によって行われるマイクロ波加硫炉を用いた工程によって行われ、これにより、発泡体ゴム層が形成される。この加硫発泡工程は、上述のゴム材料をバンバリーミキサーなどの密閉式混練機を用いて混練し、適当に成形加工して得たゴム組成物に、所定のマイクロ波を照射し、さらに加温することにより、行えばよい。以下、この加硫発泡工程について、図2を参照して説明する。
【0024】
図2は、マイクロ波を用いた連続加硫を行う加硫成形装置を示す全体断面図である。この加硫成形装置は、押出機11と、マイクロ波加硫装置(UHF)12と、熱風加硫装置(HAV)13と、引取機14と、定尺切断機15とで構成される。
【0025】
まず、上述のゴム材料をバンバリーミキサー又はニーダー等の密閉式混練機を用い混練した後、オープンロールとリボン成形分出し機によりリボン状に成形したゴム組成物を、押出機11に投入する。マイクロ波加硫装置(UHF)12は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)でコーティングされたメッシュのベルト、又はPTFEを被覆したコロで押出機11より押出されたゴムチューブを搬送する。熱風加硫装置(HAV)13は、PTFEを被覆したコロで搬送を行う。なお、マイクロ波加硫装置(UHF)12と熱風加硫装置(HAV)13との間は、PTFEを被覆したコロで連結されている。
【0026】
各装置12、13、14の長さは図示の通りで、本実施形態では、順に、4m、6m、1mとなっている。マイクロ波加硫装置(UHF)12と熱風加硫装置(HAV)13との間隔、及び熱風加硫装置(HAV)13と引取機14との間隔は、0.1〜1.0mとなるように設定してもよい。
【0027】
マイクロ波を用いた連続加硫を行う加硫成形装置において、押出機11より、外径φ8〜φ15mm、内径φ2〜8mmのチューブ状に成形され押出されてもよい。このように成形/押し出されたゴムチューブは、押出機11より押し出された直後にマイクロ波強度0.5〜3.0kW、炉内温度160〜230℃、搬送速度0.5〜3.0m/分に設定したマイクロ波加硫装置(UHF)12内に搬送され加硫発泡される。つづいて160〜230℃に設定した熱風加硫装置(HAV)13に搬送し、加硫発泡を完了される。
【0028】
加硫発泡後に引取機14より排出された直後に、定尺切断機15により所望の寸法に切断し、チューブ状の導電性ゴム成形物を作成する。次いで、φ4〜10mmの導電性芯材を前記チューブ状の導電性ゴム成形物の内径部に圧入した後、ゴム長を220mmに切断してローラ状の成形体が得られる。この成形体を、研磨砥石GC80を取り付けた研磨機(図示せず)にセットし、研磨条件として回転速度2000RPM、送り速度500m/分で外径がφ15mmになるように研磨し、導電性発泡ゴムローラを作製する。
【0029】
本発明において、発泡体ゴム層の吸水率は、70%以上150%以下であり、好ましくは、85%以上115%以下である。70%未満であると、独立気泡の割合が高くなりすぎ、温度によって独立気泡内のガスが膨張/収縮するために、加硫チューブの寸法が大きく変化してしまうという問題が生じやすくなる。このため、押し出し工程から研磨工程までを連続化した導電性ゴムローラの製造ラインで十分な寸法精度を得ることが困難になる。また、巨大な冷却設備が必要になってしまうという問題が生じやすくなってしまったり、研磨によってスキン層および外径側のゴム層が取り除かれることによって、研磨後に外径が太くなってしまうという問題が生じやすくなったりする。発泡体ゴム層の吸水率が150%より高いと、このゴム層の強度が不十分となってしまい、例えば研削加工性に劣ってしまう等の問題が生じやすくなってしまう。
【0030】
吸水率は、後述する方法によって求められ、所定の条件で水中に浸漬したときに吸収する水の量の多少を示す指標である。同程度の発泡倍率であれば、この吸水率が高いほど発泡体ゴム層の全発泡セルに占める連続気泡の割合が高く、逆に低いと連続気泡の割合が低く独立気泡の割合が高いといえる。
【0031】
吸水率は、加硫速度と発泡速度とを調整することによって制御される。加硫速度よりも発泡速度が充分に速い場合において、連続気泡の割合が高くなり易く、吸水率も高くなり易い。発泡速度が加硫速度に近づきすぎると、独立気泡が多く生成し易く、吸水率は低くなり易い。
【0032】
次に、図3を参照して、本発明における画像形成装置について説明する。図3は、本発明における画像形成装置の全体断面図である。本発明における画像形成装置は、電子写真方式のプロセスカートリッジを使用したレーザプリンタであり、同図はその概略構成を示す縦断面図である。また、同図に示す画像形成装置には転写ローラを有する転写装置が装着されている。
【0033】
図3に示す画像形成装置は、像担持体として、ドラム型の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という。)1を備えている。感光ドラム1は、接地された円筒アルミニウム基体の外周面に、有機光導電体(OPC)からなる感光層を設けたものである。感光ドラム1は、駆動手段(図示せず)により、矢印R1の方向に所定のプロセススピード(周速度)、例えば50mm/秒で回転駆動される。
【0034】
感光ドラム1の表面は、接触帯電部材としての帯電ローラ2によって均一に帯電される。帯電ローラ2は、帯電ローラ2の表面に接触配置されており、感光ドラム1の矢印R1の方向への回転に伴って、矢印R2の方向に従動回転する。帯電ローラ2には、帯電バイアス印加電源(高圧電源)により振動電圧(交流電圧VAC+直流電圧VDC)が印加され、これにより、感光ドラム1の表面は、−600V(暗部電位Vd)に一様に帯電処理される。帯電後の感光ドラム1表面は、レーザスキャナから出力されてミラーによって反射されたレーザ光3、すなわち、目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して変調されたレーザ光により走査露光を受ける。これにより、感光ドラム1表面には、目的の画像情報に対応した静電潜像(明電部位Vl=−150V)が形成される。
【0035】
この静電潜像には、現像装置4の現像スリーブに印加された現像バイアスによって、負に帯電されたトナーが付着され、トナー像として反転現像される。
【0036】
一方、給紙部(図示せず)から給搬送された紙等の転写材7が、転写ガイドにガイドされて、感光ドラム1と転写ローラ6との間の転写部(転写ニップ部)Tに、感光ドラム1上のトナー像と同期して供給される。転写部Tに供給された転写材7の表面は、転写バイアス印加電源により転写ローラ6に印加された転写バイアスによって、感光ドラム1上のトナー像が転写される。このとき、転写材7に転写されずに感光ドラム1表面に残ったトナー(残留トナー)は、クリーニング装置9によって除去される。
【0037】
転写部Tを通った転写材7は、感光ドラム1から分離されて定着装置10へ導入され、ここでトナー像の定着処理を受け、画像形成物(プリント)として画像形成装置本体外部に排出される。
【実施例】
【0038】
以下、実施例について述べる。なお、表1の各材料欄に記載の数値は、いずれも、質量部を示す。なお、各実施例及び比較例で使用した材料は、以下の通りである。
【0039】
アクリロニトリルブタジエンゴム
[商品名:ニポールDN401LL 日本ゼオン(株)]
エピクロルヒドリンゴム
[商品名:ゼクロン3106 日本ゼオン(株)]
2−メルカプトベンゾチアゾール(M)
[商品名:ノクセラーM−P 大内新興化学(株)]
ジベンゾチアジルジスルフィド(DM)
[商品名:ノクセラーDM−P 大内新興化学(株)]
テトラエチルチウラムジスルフィド(TET)
[商品名:ノクセラーTET−G 大内新興化学(株)]
テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT)
[商品名:ノクセラーTOT−N 大内新興化学(株)]
硫黄(S)
[商品名:サルファックスPMC 鶴見化学(株)]
p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)
[商品名:ネオセルボンN#1000S 永和化成工業(株)]
【0040】
(実施例1乃至6)
表1に示す各材料を、バンバリーミキサーを用い混練した後、オープンロールとリボン成形分出し機とにより、リボン状に成形した。このようにして成形したゴム組成物を、表1に示す各条件で発泡加硫を行い、本発明による導電性ゴムローラを得た。各導電性ゴムローラについて、吸水率、外径変化量及び研削加工性を評価した。
【0041】
<吸水率の測定方法>
吸水率の測定は、以下の通り行った。まず、ローラ径φ15mm、芯金径φ6mm、ゴム長220mmになるように加工した導電性発泡ゴムローラを用意し、ローラ質量(W1)を測定した。次に、深さ約50mmの水中にローラを固定し、100mmHgまで減圧した状態で2分間保持した。その後、常圧に戻して2分間保持した後、水中から取り出してローラ表面の水分を除去し、ローラ質量(W2)を測定した。ローラ質量W1及びW2並びに芯金の質量WSから、発泡体ゴム層の吸水率を下記式(1)に従って求めた。
【0042】
((W2−WS)−(W1−WS))/(W1−WS)×100・・・(1)
【0043】
<外径の測定方法>
導電性ゴムローラの外径の測定は、東京光電子工業株式会社製のRSV−860PCを用いてローラを回転させながら測定した。導電性ゴムローラのゴム部の両端から15mmの位置とゴム部中央位置の合計3箇所を研磨直後と研磨から24時間後に測定し、各々の測定位置において24時間後の値から研磨直後の値を引いたものの平均値をローラ外径の変化量とした。この値が0に近いほど連続加工性に優れているといえる。
【0044】
<研削加工性の評価方法>
研磨工程において、導電性ローラの発泡ゴム層の強度が十分有り、問題なく研削加工ができるものを○、発泡ゴム層の強度が不十分で、研磨する際に問題が生じるものを×とした。
【0045】
その結果、表1に示すように、実施例1では、吸水率が92%であり、ローラの外径変化量が−0.02mmと良好な結果を得た。
【0046】
実施例2、3では、吸水率がそれぞれ88%、86%であるためローラの外径変化量も−0.02mm、−0.03mmと良好な値であった。
【0047】
実施例4では、吸水率が73%であり、ローラの外径変化量も−0.03mmと良好であった。
【0048】
実施例5では、吸水率が84%であり、ローラの外径変化量が−0.02mmと良好であった。
【0049】
実施例6では、マイクロ波出力を2.5kWとすることで、吸水率は146%となり、ローラ外径の変化量は−0.01mmと良好であった。
【0050】
(比較例1乃至6)
【0051】
上述と同様に、表1に示す各材料を、成形し、発泡加硫して、比較ローラを得た。この比較ローラについて、吸水率、外径変化量及び研削加工性を評価した。
【0052】
その結果、比較例1では、吸水率が18%となり、ローラの外径変化量が0.24mmと、大きすぎる結果となった。
【0053】
比較例2、3では、吸水率がそれぞれ14%、10%となり、ローラの外径変化量も0.30mm、0.38mmと大きすぎる値となった。
【0054】
比較例4、5では、吸水率がそれぞれ32%、47%となり、ローラの外形変化量がそれぞれ0.18mm、0.12mmと大きすぎる結果となった。
【0055】
比較例6では、吸水率が155%となり、ローラ外径の変化量が0.06mmと大きく、さらに発泡ゴム層の強度が低くなりすぎたために研削加工性が不十分であった。
【0056】
上記により作製した導電性ゴムローラを電子写真方式のレーザービームプリンタ「LBP−1310」の転写ローラとして組み込み、23℃、55%RHの環境で画像評価を行った。得られた画像の印字精度を目視により調べ、下記基準で評価した。結果を表1及び表2に示す。
【0057】
○:印字精度が高く、画像上問題がない。
△:印字精度は高くないが、実用上問題がない。
×:印字精度が低く、実用上も問題がある。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明による導電性ゴムローラの全体斜視図
【図2】マイクロ波を用いた連続加硫を行う加硫成形装置を示す全体断面図
【図3】本発明における画像形成装置の全体断面図
【符号の説明】
【0062】
1 感光ドラム
2 帯電ローラ
3 レーザ光
4 現像装置
5 トナー
6 転写ローラ
7 転写材
8 クリーニングブレード
9 クリーニング装置
10 定着装置
11 押出機
12 マイクロ波加硫装置
13 熱風加硫装置
14 引取機
15 定尺切断機
61 芯金
62 発泡体ゴム層
R1 矢印
R2 矢印
T 転写部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性芯材と、該導電性芯材上に形成された発泡体ゴム層とを有する導電性ゴムローラであって、
該発泡体ゴム層は、アクリロニトリルブタジエンゴム及びエピクロルヒドリンゴムのいずれか一方又は両方から形成され、
該発泡体ゴム層の吸水率は、70%以上150%以下である、
ことを特徴とする導電性ゴムローラ。
【請求項2】
導電性芯材と、該導電性芯材上に形成された発泡体ゴム層とを有する導電性ゴムローラの製造方法であって、
アクリロニトリルブタジエンゴム及びエピクロルヒドリンゴムのいずれか一方又は両方を含むゴム材料にマイクロ波を照射してゴム組成物を得る工程と、
該ゴム組成物を加熱空気で加温する工程と、
を有し、
該発泡体ゴム層の吸水率は、70〜150%であることを特徴とする導電性ゴムローラの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の導電性ゴムローラからなることを特徴とする画像形成装置用ローラ。
【請求項4】
当該画像形成装置用ローラは、転写ローラである、請求項3に記載の画像形成装置用ローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−322654(P2007−322654A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151779(P2006−151779)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】