説明

導電性ペースト用銅粉及び導電性ペースト

【課題】粒度微細ながら耐酸化性、導電性のバランス共に損なわない銅粉、さらには形状や粒度のバラツキが小さく、低含有酸素濃度である導電性ペースト用銅粉及び導電性ペーストを提供する。
【解決手段】 粒子内部にSi(ケイ素)を0.1atm%〜10atm%含有する導電性ペースト用銅粉。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ペースト用銅粉及びそれを用いた導電性ペーストに関し、特に、スクリーン印刷アディティブ法による導体回路形成用や積層セラミックコンデンサの外部電極用等の各種電気的接点部材用の導電性ペーストの導電材料等に好適な銅粉とそれを用いた導電性ペーストに関する。
【背景技術】
【0002】
銅粉は、その取り扱いの容易性から、スクリーン印刷アディティブ法による導体回路形成用や、積層セラミックコンデンサの外部電極用等の各種電気的接点部材用の導電性ペーストの導電材料等として従来から広く利用されている。
【0003】
上記導電性ペーストは、例えば、銅粉にエポキシ樹脂等の樹脂及びその硬化剤等の各種添加剤を配合して混練することにより得ることができる。このときに使用される銅粉は、銅塩を含む溶液等から還元剤により析出させる湿式還元法や、銅塩を加熱気化させて気相中で還元させる気相還元法や、溶融した銅地金を不活性ガスや水等の冷媒で急冷して粉末化するアトマイズ法等により、製造することができる。
【0004】
上述したような銅粉の製造方法のうち、アトマイズ法は、一般的に広く利用されている湿式還元法に比べて、得られる銅粉中の不純物の残留濃度を小さくすることができると共に、得られる銅粉の粒子の表面から内部に至る細孔を少なくすることができるという利点を有している。このため、アトマイズ法により製造された銅粉は、導電性ペーストの導電材料に使用した場合、ペースト硬化時のガス発生量を少なくできると共に、酸化の進行を大幅に抑制できるという利点を有している。
【0005】
しかし、銅粉は、その導電性の高さゆえ、導電性ペーストの導電材料に好適であるが、粒度が微細になるにつれ、耐酸化性に劣ることとなり、それを改善するために粒子表面を耐酸化性のある銀でコートする(特許文献1)、無機酸化物でコートする(特許文献2)等の方策が採られていた。
【0006】
【特許文献1】特開平10−152630号公報
【特許文献2】特開2005−129424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
昨今は導電性ペースト等による回路形成に際して、より微細化が求められ、必然的に導電性ペースト用に用いられる導電粉の粒度も微細化が求められている。それと同時に、ペースト特性の安定性、信頼性を確保する上で、形状や粒度のバラツキが小さく、かつ導電性を損なわないものでなければならない。そして耐酸化性改善のみ捉えれば、特許文献1ないし2等の技術で対応が可能となった。
【0008】
しかし、特許文献1ないし2等の技術では、被覆技術に依存するため、銅以外の導電性を損なう成分を多く要すこととなるのみならず、芯材である銅粉粒子からの剥離の問題が生じる。また、形状や粒度のバラツキを小さくする上でも、構成する粒子が一様に均質であり、なおかつ低含有酸素濃度であることが望まれているが、かかる銅粉については未だ満足のゆくものは見出されていない。
【0009】
本発明は、粒度微細ながら耐酸化性、導電性のバランス共に損なわない銅粉、さらには形状や粒度のバラツキが小さく、低含有酸素濃度である導電性ペースト用銅粉及び導電性ペーストを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、銅粉の粒子内部に特定量のSiを含有させると、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明の導電性ペースト用銅粉は、粒子内部にSiを0.1atm%〜10atm%含有することを特徴とする。
【0012】
さらに、粒子内部にP(りん)を0.01atm%〜0.3atm%含有してもよく、Si/P(atm比)が4〜200であることが好ましい。
【0013】
また、粒子内部にAgを0.1atm%〜10atm%含有していてもよい。
【0014】
そして、アトマイズ法により製造されたものであることが好ましい。
【0015】
また、240℃及び600℃での重量変化率(Tg(%))/比表面積(SSA)の差が1%/m/cm〜30%/m/cmであることが好ましい。
【0016】
本発明の他の態様は、上記導電性ペースト用銅粉を含有する導電性ペーストにある。
【発明の効果】
【0017】
本発明の導電性ペースト用銅粉は粒度微細ながら耐酸化性に優れ、かつ導電性のバランスも取れている。さらには形状や粒度のバラツキが小さく、低含有酸素濃度であるので、スクリーン印刷アディティブ法による導体回路形成用や、積層セラミックコンデンサの外部電極用等の各種電気的接点部材用の導電性ペーストの導電材料等に極めて良好に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明による導電性ペースト用銅粉の実施の形態を説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0019】
本発明に係る導電性ペースト用銅粉は、粒子内部にSiを0.1atm%〜10atm%含有することを特徴とする。
【0020】
ここで重要なのは、単にSiを含有しているというのではなく、特定量を粒子内部に含有することにある。
【0021】
すなわち、上記特許文献に代表される、従来技術において多く開示されているSiO等の各種化合物が芯材である銅粉粒子表面に被覆、あるいは付着した銅粉では、耐酸化性改善には効果はあるものの、本願が求める、粒度微細で、耐酸化性に加え、導電性のバランスも損なわない銅粉を得ることが出来ない。
【0022】
なお、本発明に係る導電性ペースト用銅粉に含まれているSi成分は、粒子内部の金属相中に一様に分布しているのが好ましく、合金成分として粒子内部に存在するものと推測される。
【0023】
また、Siの含有量は0.1atm%〜10atm%であり、好ましくは0.5atm%〜5atm%であり、より好ましくは0.5atm%〜3atm%である。この含有量が0.1atm%未満では、本発明の求める効果が期待できない。また、10atm%を超える場合、導電性が損なわれるのみならず、添加に見合った効果が得られない。
【0024】
また、本発明に係る導電性ペースト用銅粉は、Siの他、粒子内部にP(りん)を好ましくは0.01atm%〜0.3atm%、より好ましくは0.02atm%〜0.1atm%含有すると良い。Si及びPが銅粉中に共存し、このような特定量の範囲にあれば、粒度微細、耐酸化性を有し、導電性を損なわないこともさることながら、さらに形状や粒度のバラツキが小さく、低含有酸素濃度である特徴が向上する。
【0025】
また、本発明に係る導電性ペースト用銅粉は、Si/P(atm比)が好ましくは4〜200、より好ましくは10〜100である。P/Siの比がこのような範囲であると、粒度微細、耐酸化性、高導電性、形状や粒度のバラツキが小、低含有酸素濃度であるという特徴のバランスが取りやすい。
【0026】
また、本発明に係る導電性ペースト用銅粉は、粒子内部にAgを好ましくは0.1atm%〜10atm%、より好ましくは0.3atm%〜5atm%、最も好ましくは0.5atm%〜3atm%含有するとよい。このような特定量の範囲であれば、導電性ペースト用銅粉の耐酸化を維持したまま、より導電性を向上させることができ、かつコストも抑えられる。
【0027】
そして、Si、Ag、及びP何れも含む場合、粒度微細ながら形状や粒度のバラツキが小さく、飛躍的に耐酸化性に優れていることに加え、より導電性に優れた導電性ペースト用銅粉となる。
【0028】
また、本発明に係る導電性ペースト用銅粉は、湿式還元法で得られるものであってもそれなりの効果を期待できるが、粒子形状が均整で、導電ペーストとして用いられる際にガス発生が少ない等の利点を考慮すると、アトマイズ法により製造されたものであると好ましい。
【0029】
アトマイズ法については、ガスアトマイズ法と水アトマイズ法があるが、粒子形状の均整化を図るならばガスアトマイズ法を、粒子の微細化を図るならば水アトマイズ法を選択すれば良い。また、アトマイズ法の内、高圧アトマイズ法により製造されたものであると好ましい。このような高圧アトマイズ法により得られた銅粉は、粒子がより均整、あるいはより微細であり、好ましい。ちなみに、高圧アトマイズ法とは、水アトマイズ法においては、50MPa〜150MPa程度の水圧力でアトマイズする方法であり、ガスアトマイズ法においては、1.5MPa〜3MPa程度のガス圧力でアトマイズする方法である。
【0030】
また、本発明に係る導電性ペースト用銅粉は、熱重量・示差熱分析装置による240℃及び600℃での重量変化率(Tg(%))/比表面積(SSA)の差(以下、Δ(TG/SSA)と称す)が好ましくは1%/m/cm〜30%/m/cm、より好ましくは1%/m/cm〜25%/m/cmであることが好ましい。
【0031】
このΔ(TG/SSA)という特性値によれば、銅粉の耐酸化性をみることができる。また、240℃〜600℃という温度領域は、例えば、セラミックコンデンサの外部電極焼成用導電ペースト等、主な導電性ペースト使用の際の加熱温度領域であり、この領域で耐酸化性を有することは非常に重要である。このΔ(TG/SSA)が上記の好ましい範囲であると、耐酸化性が十分発揮され、高導電性を確保するにも好適である。
【0032】
また、本発明に係る導電性ペースト用銅粉は、さらにNi、Al、Ti、Fe、Co、Cr、Mg、Mn、Mo、W、Ta、In、Zr、Nb、B、Ge、Sn、Zn、Bi等のうちの少なくとも一種以上の元素成分を加えることにより、融点を低下させて焼結性を向上させること等をはじめとする、導電性ペーストに求められる諸特性向上効果を上げることができる。これら元素の銅に対する添加量は、添加する元素の種類に応じた導電特性やその他の各種特性等から適宜設定されるが、通常、0.001質量%〜2質量%程度である。
【0033】
また、本発明に係る導電性ペースト用銅粉は、その形状が、粒状をなしていると好ましく、特に、球状をなしているとさらに好ましい。ここで、粒状とは、アスペクト比(平均長径を平均短径で除した値)が1〜1.25程度で揃っている形状をいい、アスペクト比が1〜1.1程度で揃っている形状を特に球状という。なお、形状が揃っていない状態は、不定形状という。このような粒状をなす銅粉は、相互のからみが少なくなり、導電性ペーストの導電材料等に使用した場合、ペースト中での分散性が向上するので、非常に好ましい。
【0034】
また、本発明に係る導電性ペースト用銅粉は、例えばレーザ回折散乱式粒度分布測定装置等により測定可能な、体積累積粒径D50及び標準偏差値SDとから求められる変動係数(SD/D50)が0.2〜0.6であると、粒度分布のバラツキが少なく、導電性ペーストの導電材料等に使用した場合のペースト中での分散性を向上させることができるので、非常に好ましい。
【0035】
また、本発明に係る導電性ペースト用銅粉は、個数平均粒径を0.5μm〜50μmにすることにより、微細な前記導体回路形成用の導電性ペーストの導電材料等に好適なものとなる。
【0036】
また、本発明に係る導電性ペースト用銅粉は、含有酸素濃度を30ppm〜2500ppmとすることにより、導電性を確実に確保することができ、導電性ペーストの導電材料等に好適なものとなる。
【0037】
次に、本発明に係る導電性ペースト用銅粉の好ましい具体的な製造方法について説明する。
【0038】
本発明の導電性ペースト用銅粉は、溶融した銅にSi成分を母合金、又は化合物等の形態で、所定量添加した後、所定のアトマイズ法により粉体化することにより製造可能である。
【0039】
上記製造方法によれば、粒度微細ながら耐酸化性、導電性のバランス共に損なわない銅粉、さらには形状や粒度のバラツキが小さく、低含有酸素濃度である銅粉を製造することができる。
【0040】
この理由は定かではないが、溶融した銅または銅合金に添加したSiが、導電性を損なわない程度で、生成銅粉粒子中の酸素を捉えて酸化を抑制するものと推測される。
【0041】
さらに、Si成分に加え、P成分が加わると、アトマイズ時の溶湯の表面張力を小さくすることができ、粒子形状の均整化や溶湯中の脱酸素化が有効に行えるものと推測される。P成分の添加は、Si成分と同様、溶融した銅にP成分を母合金、又は化合物の形態で、所定量添加すれば良い。
【0042】
また、Si成分に加え、Ag成分を含有させるとことにより、銅粉の耐酸化性を確保しつつ、更に導電性を向上させることができる。
【0043】
また、上記製造方法においては、先に説明した理由から、高圧アトマイズ法を採用することが好ましい。ただし、ガスアトマイズ法に比して、水アトマイズ法では銅以外の添加成分の含有歩留まりが低い場合があるので、目的とする銅粉中の正味量に対し、Siの場合、1〜10倍量、Pの場合、1〜100倍量、Agの場合、1〜10倍量を添加する必要がある。
【0044】
また、上記製造方法においては、アトマイズした後、還元処理しても良い。この還元処理により、酸化の進行しやすい銅粉の表面の酸素濃度をさらに低減することができる。ここで、上記還元処理は、作業性の観点から、ガスによる還元が好ましい。この還元処理用ガスは、特に限定されることはないが、例えば、水素ガス、アンモニアガス、ブタンガス等を挙げることができる。
【0045】
さらに、上記還元処理は、150℃〜300℃の温度で行うと好ましく、特に、170℃〜210℃の温度で行うとより好ましい。なぜなら、上記温度が150℃未満であると、還元速度が遅くなってしまい、処理効果を充分に発現することができず、上記温度が300℃を超えると、銅粉の凝集や焼結を引き起こしてしまうおそれがあり、上記温度が170℃〜210℃であると、酸素濃度の効率のよい低減化を図りながらも、銅粉の凝集や焼結を確実に抑制することができるからである。
【0046】
また、上記製造方法においては、粉体化した後、分級すると好ましい。この分級は、目的とする粒度が中心となるように、適切な分級装置を用いて、得られた銅粉から粗粉や微粉を分離することにより容易に実施することができる。ここで、先に説明した変動係数(SD/D50)が0.2〜0.6となるように分級することが望ましい。
【0047】
以上説明したような銅粉に、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂及びその硬化剤等の各種添加剤を配合して混練するなどして製造した本発明の導電性ペースト用銅粉を含有した導電性ペーストは、当該銅粉が、粒度微細ながら耐酸化性、導電性のバランスが取れており、形状のバラツキが少なく、かつ含有酸素濃度が低いので、スクリーン印刷アディティブ法による導体回路形成用や、積層セラミックコンデンサの外部電極用等の各種電気的接点部材用の導電性ペーストの導電材料等に極めて良好に適用することができる。
【0048】
その他、本発明の導電性ペースト用銅粉は、積層セラミックコンデンサの内部電極、インダクタやレジスター等のチップ部品、単板コンデンサー電極、タンタルコンデンサー電極、樹脂多層基板、セラミック(LTCC)多層基板、フレキブルプリント基板(FPC)、アンテナスイッチモジュール、PAモジュールや高周波アクティブフィルター等のモジュール、PDP前面板及び背面板やPDPカラーフィルター用電磁遮蔽フィルム、結晶型太陽電池表面電極及び背面引き出し電極、導電性接着剤、EMIシールド、RF−ID、及びPCキーボード等のメンブレンスイッチ、異方性導電膜(ACF/ACP)等にも使用可能である。
【0049】
以下、本発明を下記実施例及び比較例に基づいてさらに詳述する。
(実施例1)
ガスアトマイズ装置(日新技研(株)製、NEVA−GP2型)のチャンバ及び原料溶解室内を窒素ガスで充填した後、溶解室内にあるカーボン坩堝で原料を加熱溶解して溶融物とした(電気銅を溶解した溶湯中に、金属ケイ素(日本金属化学工業(株)製NIKSIL)を1.77g添加して、800gの溶湯とし、充分に攪拌混合)。その後、溶湯を口径φ1.5mmのノズルから1250℃、3.0MPaで噴霧して、ケイ素を粒子内部に含む銅粉を得た。しかる後、53μmテストシーブで篩い、篩下品を最終的な銅粉とした。得られた銅粉の特徴を表2に示す。
【0050】
(実施例2〜4)
金属ケイ素添加量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様の操作を行って、銅粉を得た。
【0051】
(実施例5〜11)
金属ケイ素に加え、銅−リン母合金(リン品位15質量%)も表1に示すように添加した以外は実施例1と同様の操作を行って、銅粉を得た。
【0052】
(実施例12および13)
金属ケイ素や銅−リン母合金以外に、電気銀を表1に示すように添加した以外は実施例1と同様の操作を行って、銅粉を得た。
【0053】
(比較例1〜4)
金属ケイ素および/または銅−リン母合金の添加量を表1に示すように添加した以外は実施例1と同様の操作を行って、銅粉を得た。
【0054】
【表1】

【0055】
実施例および比較例で得られた銅粉に関して、以下に示す方法で諸特性を評価した。その結果を表2〜4、ならびに図1〜4に示す。
【0056】
(1)ケイ素、リン含有量
試料を酸で溶解し、ICPにて分析した。
(2)酸素濃度
酸素・窒素分析装置(堀場製作所株式会社製「EMGA−520(型番)」)により分析した。その結果を表2に示す。なお、経時的な耐酸化性劣化を評価するために、山陽精工製のSK−8000を用いてAir流量8L/分でそれぞれ10℃/分で200℃まで昇温し、その後1時間保持した試料の酸素濃度も測定した。その結果を表3に示す。
【0057】
(3)Δ(TG/SSA)
40℃〜600℃でのTg(%)を示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA)(SII製、TG/DTA6300高温型)(昇温速度:10℃/分、Air流量:200mL/分)で測定し、240℃〜600℃での重量変化率の差を求めた。一方、比表面積は粒度測定装置(日機装製、マイクロトラックMT−3000型)で測定した粒度分布から求め、両者の数値から算術的に求めた。温度に対応する実施例1〜13及び比較例1〜4のTG/SSAを図1、図2及び図5に示す。また、実施例1〜13及び比較例2〜4のTG/SSAを比較例1の純銅粉のTG/SSA(図中[Tg(%)/SSA]Cuと記載)で除した結果を図3、図4及び図6に示す。
【0058】
(4)粒子形状
走査型電子顕微鏡にて観察した。
(5)D50、SD、SD/D50
試料(0.2g)を純水(100ml)中に入れて超音波を照射して(3分間)分散させた後、粒度分布測定装置(日機装株式会社製「マイクロトラック(商品名)FRA(型番)」)により、体積累積粒径D50及び標準偏差値SD並びに変動係数(SD/D50)をそれぞれ求めた。
【0059】
(6)粉体抵抗
試料15gを筒状容器に入れプレス圧40×10Pa(408kgf/cm)で圧縮成形した測定サンプルを形成し、ロレスタAP及びロレスタPD−41型(いずれも三菱化学(株)社製)により測定を行った。
【0060】
【表2】

【0061】
図1〜6に示すように、実施例の銅粉は、ケイ素を含有しない、あるいはケイ素及びリンを含有しない比較例と比較して耐酸化性に優れ、特に240〜600℃の温度領域において優れていることが分かった。
【0062】
また、表3に示すように、実施例の銅粉は、酸化し易い環境下に長時間保持した場合、比較例の銅粉と比較して、経時的な耐酸化性が顕著に優れていた。
【0063】
【表3】

【0064】
また、表4に示すように、実施例の銅粉は、比較例の銅粉と比較して、体積抵抗率にあまり変化がみられず、良好な導電性を有していることが確認された。
【0065】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施例及び比較例の銅粉のTG/SSAの結果を示す図である。
【図2】実施例及び比較例の銅粉のTG/SSAの結果を示す図である。
【図3】実施例及び比較例の銅粉の純銅粉を基準としたTG/SSAの結果を示す図である。
【図4】実施例及び比較例の銅粉の純銅粉を基準としたTG/SSAの結果を示す図である。
【図5】実施例の銅粉のTG/SSAの結果を示す図である。
【図6】実施例の銅粉の純銅粉を基準としたTG/SSAの結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子内部にSi(ケイ素)を0.1atm%〜10atm%含有することを特徴とする導電性ペースト用銅粉。
【請求項2】
粒子内部にP(りん)を0.01atm%〜0.3atm%含有することを特徴とする請求項1に記載の導電性ペースト用銅粉。
【請求項3】
Si/P(atm比)が4〜200であることを特徴とする請求項2に記載の導電性ペースト用銅粉。
【請求項4】
粒子内部にAgを0.1atm%〜10atm%含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の導電性ペースト用銅粉。
【請求項5】
アトマイズ法により製造されたものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の導電性ペースト用銅粉。
【請求項6】
240℃及び600℃での重量変化率(Tg(%))/比表面積(SSA)の差が1%/m/cm〜30%/m/cmであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の導電性ペースト用銅粉。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の導電性ペースト用銅粉を含有することを特徴とする導電性ペースト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−13726(P2010−13726A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330319(P2008−330319)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000006183)三井金属鉱業株式会社 (1,121)
【Fターム(参考)】