説明

導電性ポリマー及び導電性ポリマーの製法

【課題】水中に容易に分散可能な導電性ポリマーを提供する。
【解決手段】 下記式の繰返し単位を有するポリマーを含む組成物:


(ZはSe、S、O、NR又はPR;Yは、NH、O、C(R)2、N(R)2及びS;Xは、O,S、Se又はNH、そしてEは、官能性又は非官能性末端基である。)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本発明の主題は、「縮合した複素環式イミダゾロン、ジオキソロン、イミダゾールチオン及びジオキソールチオンモノマー」と題する、本出願と同日に出願され、同時係属であり、そして同一出願人による特許出願第11/446,075号に関連する。当該公表を参照することにより、本明細書に組み入れる。
【0002】
本発明は、組成物、詳細には、重合された縮合した複素環式モノマーを含有する導電性ポリマー、上記組成物の製法、及び上記組成物を利用する用途に向けられている。本発明に従う組成物を、エレクトロクロミックディスプレイ、電解コンデンサ、光透過性電極及び帯電防止コーティングを含む種々の産業用途に利用することができる。
【背景技術】
【0003】
バンドギャップ(Eg)が比較的低い、チオフェン及び置換化チオフェンモノマーから生成したポリマーは、適度な導電率を実証している。上記ポリマーを、本質的な導電性ポリマーと称することが多い。用語「バンドギャップ(Eg)」は、伝導体及び荷電子帯と称される電子エネルギー順位の間のエネルギー差を指す。所与のポリマーによって示されるバンドギャップは、ポリマーを構成するモノマーの構造を含む種々の要因によって決まる。例えば、ポリチオフェンは、2.1eVのバンドギャップを示し、ポリ(2−デシルチエノ[3,4−b]チオフェン)は0.92eVのバンドギャップを示し、そしてポリ(2−フェニルチエノ[3,4−b]チオフェン)は0.85eVのバンドギャップを示す。
【0004】
ポリマー主鎖の芳香族の繰返し単位から単に成る本質的な導電性ポリマーは、水に可溶ではないのが通常である。従って、上記ポリマーを、典型的には、有機溶媒を用いて処理する。種々の有機溶媒中で本質的な導電性ポリマーの溶解性を増すために、いくつかの方法が用いられてきた。上記方法には、(1)所与の有機溶媒中でモノマー側鎖の溶解性を増すために、モノマー誘導体を生成させること;(2)オリゴマーの共役系及び軟質のスペーサーを用いることにより、ポリマー主鎖を改良すること;及び(3)電荷補正ドーパントを用いることが含まれる。
【0005】
米国特許第5,300,575号明細書(’575特許)は、プラスチックモールド用の帯電防止コーティングとして用いるために好適なポリチオフェンの分散液を開示している。これらのポリチオフェンは、概してピロールの酸化重合向けに用いられる酸化剤の存在下及び/又はポリアニオンの存在下で、対応するモノマーを重合させることにより調製されている。’575特許のポリチオフェンは、2.1eVのEgを有するポリ(チオフェン)に匹敵する1.7eVの比較的低いEgを有する。
【0006】
’575特許のポリチオフェンは、ポリ(スチレンスルホン酸)の存在下で、3,4−エチレンジオキシチオフェンを重合させることにより調製されるのが通常である。得られた線状ポリマーを、アニオン及びカチオン交換樹脂の両方を用いて精製する。そこでは、ポリ(スチレンスルホネート)が、電荷補正ドーパントとしてはたらく。得られたポリマーは、水中でコロイド分散液を生成する。というのは、ポリ(スチレンスルホネート)は水に可溶であり、そしてカチオン性ポリマー主鎖と強いイオン相互作用を示すからである。上記で特定した特許の公表を参照することにより、本明細書に組み入れる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
産業用途向けに有用なバンドギャップを示し、水中に容易に分散することができ、そして溶液中で安定であり、有用な有効期限を与える本質的な導電性ポリマーに対する、当技術分野における必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、化合物、縮合した複素環式モノマー単位の重合単位から生成させた組成物、及び創作したポリマーを含有する生成物を含む。
本発明の実施形態の一つでは、本発明は、次の式P1を有する繰返し単位を有するポリマーを提供する:
【化1】

(式中、nは4超の整数であり;ZはSe、S、O、NR1又はPR1であり、ここでR1は、水素、アルキルアリール、アリールアルキル、又はアリールであり;Yは、NH、O、C(R)2、N(R)2及びSから独立して選択され;XはO、S、Se又はNHであり、そしてEは、官能性又は非官能性末端基から独立して選択される。Rは、置換又は未置換のC1〜C4アルキル基である。Eは、官能性及び非官能性末端基から独立して選択される)。
本発明に従う繰返し構造は、実質的に同一であり、ホモポリマーを生成することができ、あるいは、各単位に関して独立して選択されたZ、Y、及びXを有し、コポリマー化合物を生成することができる。上記繰返し単位は、任意の好適な様式で終わることができ、そして官能性又は非官能性末端基を含むことができる。好適な末端の例には、水素、重水素、ビニル、フェニル、アセチレン、ニトリル、2−チエニル、又は3−チエニル基が含まれる。
【0009】
本発明に従うコポリマーは、次の式C1の繰返し単位を有するコポリマーを含むことができる:
【化2】

(式中、n及びmは、4超のn+mの総数を有する整数から独立して選択され、そしてX、Y、Z及びEは、式P1に関して規定される基と同一である)。
上記コポリマーのn−単位基礎構造及びm−単位基礎構造は、ランダムコポリマー、グラフトコポリマー、ブロックコポリマー、及び樹状構造体を含む(それらに限定されるものではない)、コポリマーを生成させる任意の方法で準備することができる。
【0010】
本発明に従う別のコポリマーは、次の式C2を有する繰返し単位を有するコポリマーを含むことができる:
【化3】

(式中、n及びmは、4超のn+mの総数を有する整数から独立して選択され、そしてX、Y、Z及びEは、式P1に関して規定される基と同一である)。
上記コポリマーのn−単位基礎構造及びm−単位基礎構造は、ランダムコポリマー、グラフトコポリマー、ブロックコポリマー、及び樹状構造体を含む(それらに限定されるものではない)、コポリマーを生成させる任意の方法で準備することができる。
式C2構造内のMoは、チエノ[3,4−b]チオフェン、および置換化チオフェンを含む(それらに限定されるものではない)、式C2のn−単位基礎構造と共重合性を有する電気活性又は非電気活性モノマーであることができる。
【0011】
本発明のポリマー中に導入し、コポリマーを生成することができる有用な置換化チエノ[3,4−b]チオフェンは、次の式:
【化4】

(式中、R=C1〜C12の第一級、第二級又は第三級アルキル基、フェニル、置換化フェニル、シクロヘキシル、ナフタレン、ヒドロキシル、アルキルエーテル、カルボン酸、カルボン酸エステル及びスルホン酸)
によって表される。
【0012】
本発明のポリマー中に導入し、コポリマーを生成することができる他の置換化チオフェンは、次の式:
【化5】

(式中、Xは、S、O、Se、はNHである。)
によって表される。
【0013】
本発明のポリマー中に導入し、コポリマーを生成することができるさらなる置換化チオフェンは、次の式:
【化6】

(式中、R1及びR2は、H、C1〜C4アルキル基、1,2−シクロへキシレン基、フェニル置換化フェニル等から成る群から独立して選択される。)
によって表すことができる。
【0014】
本発明のポリマー及びコポリマーは、ジオキソールアミン、イミダゾロン、ジオキソロン、イミダゾールチオン又はジオキソールチオン構造体を含む縮合した複素環式構造体の重合単位を含むことができる。有用なポリマーの一つは、ポリ(1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン)を含むか、またはそれから実質的に成る。本発明のポリマーは、電気活性モノマーの重合単位をさらに含むコポリマーを含むことができる。有用な電気活性モノマーは、チオフェン、チエノ[3,4−b]チオフェン、チエノ[3,2−b]チオフェン、置換化チオフェン、置換化チエノ[3,4−b]チオフェン、置換化チエノ[3,2−b]チオフェン、ジチエノ[3,4−b:3’,4’−d]チオフェン、ピロール、ビチオフェン、置換化ピロール、フェニレン、置換化フェニレン、ナフタレン、置換化ナフタレン、ビフェニル及びテルフェニル、置換化テルフェニル、フェニレンビニレン及び置換化フェニレンビニレンから成る群から選択される要素を少なくとも1つ含むことができる。電気活性モノマーに加えて、本発明に従うコポリマーは、非電気活性モノマーの重合単位を含むことができる。
【0015】
本発明のポリマーは、1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンの重合単位を含むことができ、そして末端基が官能化された1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンを含むオリゴマー、3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合単位及びピロールの重合単位をさらに含むことができる。
本発明のポリマーを、p−ドーパント又はn−ドーパントを用いてドープし、当該ポリマーの電気特性を改良することができる。
【0016】
本発明の別の実施形態は、次のモノマー構造単位の式M1:
【化7】

から生成させたポリチオフェン及びポリセレノフェンに関する。
【0017】
ZはSe、S、O、NR1又はPR1であり、ここでR1は、水素、アルキルアリール、アリールアルキル、又はアリールであり;Yは、NH、O、C(R)2、N(R)2及びSから独立して選択され;XはO、S、Se又はNHである。Rは、置換又は未置換のC1〜C4アルキル基である。W及びW’は、H、ハロゲン原子、例えば、F、Cl、Br、及びI、有機金属、例えば、MgCl、MgBr、MgI、Sn(R23、ここでR2は、C1〜6のアルキル又はC1〜6のアルキルエーテルである、ボロン酸、ボロン酸エステル、ビニル単位、例えば、−CH=CHR3、ここでR3は、H又はC1〜6のアルキルである、エーテル、すなわち、−OC1〜6アルキル、エステル、すなわち,−COOC1〜6のアルキル、−S−COR4及び−COR4、ここでR4は、H又はC1〜6のアルキルである、−C≡CH、及び重合性芳香環、例えば、フェニル、ナフタレン、ピロール、及びチオフェンである。
【0018】
本発明の別の実施形態は、導電性ポリマー及びコポリマーを調製するための方法を含む。上述のモノマーの重合反応を、1種又は2種以上の反応機構を用いて得ることができる。
本発明と共に用いるために好適な反応には;
1)水性相/酸化剤重合、
2)有機溶媒相/酸化剤重合、
3)金属触媒重合、及び
4)電気化学系重合:
が含まれる。
本発明の実施形態の一つでは、1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンの重合単位を含むポリマーを生成させるために十分な反応条件の下、水、少なくとも1種のポリアニオン及び少なくとも1種の酸化剤の存在下で、1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンを反応させる段階を含む方法による、1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンの重合単位が含まれる。
【0019】
水性相反応で用いるためのポリアニオンは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスルホン酸(例えば、Nafion(商標)として市販される)、ポリマレイン酸、ポリスチレンスルホン酸及びポリビニルスルホン酸から成る群から選択される要素を少なくとも1つ含むことができる。水性相及び有機相反応に用いるための酸化剤は、FeCl3、Fe(ClO43、H22、K2Cr27、過硫酸アンモニウム、過マンガン酸カリウム、テトラフルオロほう酸銅、ヨウ素、空気及び酸素から成る群から選択される要素を少なくとも1つ含むことができる。
【0020】
本発明の実施形態の一つでは、本発明のポリマー組成物の優位性は、当該組成物を簡易に調製できること、容易に貯蔵できること、そして有機溶媒から生成させた分散液の使用に関連する環境問題を減少又は排除できることである。本発明のポリマー及び当該ポリマーの製法は、溶媒を実質的に含まないことが可能である。溶媒を「実質的に含まない」は、約1%未満から約15%のエーテル、アルコール、又はクロロアルカン化合物が存在することを意味している。
【0021】
本発明の組成物の水性分散液(例えば、溶媒を実質的に含まない分散液)をキャストし、使用の際に、エレクトロクロミックディスプレイ、光透過性電極、帯電防止コーティングを含む非常に多くの用途に実用性を有する均一な薄膜を与えることができる。本発明の典型的な分散液には、約45〜約99%の水(例えば、脱イオン水)、約1%〜約10%のポリマー、及び0.1〜50%の添加剤、例えば、界面活性剤、5〜60%の低分子量又は高分子量アニオン(例えば、カンファースルホン酸又はポリスルホン酸[Nafion(商標)]のアニオン)、並びに0〜60%のアルコール又はポリアルコール、例えば、エタノール、2−メトキシエタノール、若しくはソルビトール又はDMSOが含まれる。
【0022】
本発明の別の優位性は、望ましい電気特性(例えば、有用なバンドギャップ)を有する本質的な導電性ポリマーを規定する、重合反応の際のモノマー成分の望ましいアライメントを有する重合反応が行われることである。本発明のポリマーは、約10-5〜約1000S/cmにわたる導電率を有することができる。本発明により得ることができる有用なバンドギャップの例は、約1.3eV〜約3.3eVの範囲にわたる。
【0023】
本発明のさらに別の優位性は、本発明のポリマーを、種々の製品、例えば、光学、電気光学又は電子素子、ポリマー発光ダイオード(すなわち、PLED)、エレクトロルミネセンス素子、有機電界効果トランジスタ(すなわち、FET又はOFET)、フラットパネルディスプレイ用途(例えば、LCD)、無線IC(すなわち、RFID)タグ、印刷エレクトロニクス、ウルトラコンデンサ、有機光電池(すなわち、OPV)、センサー、レーザー、小分子又はポリマー系記憶装置、電解コンデンサ、防食コーティングにおける、あるいは水素貯蔵材料として正孔注入材料、電荷輸送材料、半導体、及び/又は導体に形成(それらに限定されるものではない)することができることである。
【0024】
本発明の他の特徴及び優位性は、一定の実施形態の、下記のさらに詳細な説明から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、縮合した複素環式モノマー構造体の重合単位を含む本質的な導電性ポリマーを含む化合物及び組成物を含んでいる。本明細書に規定するポリマーは、縮合した複素環式モノマー構造体の繰返し単位の重合単位を少なくとも4つ有する化合物及び組成物を意味するものとする。これらの化合物及び組成物を、非常に多くの最終用途向けに望ましい種々の特性を示すように調製することができる。
【0026】
詳細には、上記組成物は、次の式P1を有する重合単位を含むポリマー、コポリマー及びオリゴマーを含む:
【化8】

(式中、nは4超の整数であり;ZはSe、S、O、NR1又はPR1であり、ここでR1は水素、アルキルアリール、アリールアルキル、又はアリールであり;Yは、NH、O、C(R)2、N(R)2及びSから独立して選択され;XはO、S、Se又はNHであり、そしてEは、官能性又は非官能性末端基から独立して選択される。Rは、置換又は未置換のC1〜C4のアルキル基であり;Eは、官能性及び非官能性末端基から独立して選択される)。
【0027】
本明細書に規定するコポリマーは、縮合した複素環式モノマー構造体の繰返し単位の重合単位を少なくとも4つ有する組成物、及び縮合した複素環式モノマー構造体以外の、異なる重合されたモノマーを意味するものとする。
【0028】
本明細書に規定する用語「基板」は、本発明に従う組成物の堆積に好適な固形物(軟質又は硬質でありうる)を意味するものとする。基板は、ガラス、有機ポリマー、例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフタレネート)(poly(ethylene naphthalenate))、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、又はポリ(スチレン)、プラスチック、ケイ素、無機物、半導体材料、セラミック、金属、例えば、タンタル、アルミニウム、若しくはニオブ、上述の金属の酸化物表面等を含む材料(それらに限定されるものではない)の形状をなすことができる。上記基板は、本質的に導電性であることができる。上記基板をまた、本発明のポリマーと接するフィルム又は層を有するように、プレコート又は前処理することができる。
【0029】
本明細書に規定する用語「電気活性モノマー」は、導電特性、例えば、導電率、半導体性、エレクトロルミネッセンス、エレクトロクロミシティー(electrochromicity)又は光電池特性を有するポリマーを得る重合又は共重合可能なモノマーを意味するものとする。
【0030】
本明細書に規定する用語「非電気活性モノマー」は、電気活性モノマーの定義の下で説明された特性を示さない、重合又は共重合可能なモノマーを意味するものとする。本明細書に規定する用語「バンドギャップ」は、伝導帯及び荷電子帯と称される電子エネルギー順位の間のエネルギー差を意味するものとする。
【0031】
本明細書に規定する用語「置換化(置換された)」は、組成物に関して用いられ、上記組成物に付加した電子豊富な又は電子が不足した基を意味するものとする。有用な置換基には、H、ヒドロキシル、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナト、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド、及びカルバモイルが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本明細書に規定する用語「アリール」は、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン等(例えば、ベンゼンの6−炭素環、又は他の芳香族誘導体の縮合した6−炭素環)の環構造の特徴を有する化合物を意味するものとする。例えば、アリール基は、フェニル(例えば、C65)又はナフチル(例えば、C107)であることができる。一方、アリール基では、置換基それ自体が、さらなる置換基(例えば、この定義の下、開示された置換基)を有することができる。
【0033】
本明細書に規定する用語「アルキル」は、パラフィン系炭化水素基を意味するものとし、当該式から水素を一つ欠落させたアルカンから誘導することができる。例は、メチル(CH3−)、エチル(C25−)、プロピル(CH3CH2CH2−)、イソプロピル(CH32CH−)である。
本明細書に規定する用語「ハロゲン」は、周期表のVIIA族の陰性元素(フッ素、塩素、臭素及びヨウ素)の一つを意味するものとする。
【0034】
本明細書に規定する用語「パーフルオロアルキル」は、全ての水素原子をフッ素原子で置換させたアルキル基を意味するものとする。
本明細書に規定する用語「パーフルオロアリール」は、全ての水素原子をフッ素原子で置換させたアリール基を意味するものとする。
【0035】
本明細書に規定する用語「スルホキシル」は、組成RS(O)−の基(式中、Rは、アルキル、アリール、シクロアルキル、パーフルオロアルキル又はパーフルオロアリール基である。)を意味するものとする。例には、メチルスルホキシル、フェニルスルホキシル等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
本明細書に規定する用語「スルホニル」は、組成RS(O)2−の基(式中、Rは、アルキル、アリール、シクロアルキル、パーフルオロアルキル、又はパーフルオロアリール基である。)の基を意味するものとする。例には、メチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
本明細書に規定する用語「アシル」は、カルボキシル基のヒドロキシルを、別の置換基で置換し、構造R(C=O)−を生成させた有機酸基を意味するものとする。例には、アセチル、ベンゾイル等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
縮合した複素環式モノマー化合物を、本発明の実施形態に従うポリマーを生成させるために用いることができる。
好適な複素環式の縮合環モノマーの例には、全てが次の構造によって示される、チエノ[3,4−d]−1,3−ジオキソラン−2−イミン(1a)、チエノ[3,4−d]−1,3−ジオキソラン−2−オン(1b)、セレノロ[3,4−d]−1,3−ジオキソラン−2−オン(1c)、1H−セレノロ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン(1d)、及び1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン(1e)並びにチオカルボニル化合物、チエノ[3,4−d]−1,3−ジオキソラン−2−チオン(1f)、セレノロ[3,4−d]−1,3−ジオキソラン−2−チオン(1g)、1H−セレノロ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−チオン(1h)、及び1H−チエノ[3,4d]イミダゾール−2(3H)−チオン(1i)の少なくとも1種が含まれうる:
【化9】

【0038】
任意の上記モノマー化合物を本発明の方法に用いて、導電性ポリマーを生成させることができる。上記重合反応に利用されるモノマーは、同一(例えば、単独重合)、又は異なる(例えば、共重合)ことができる。本発明に用いるために好適なモノマーをまた、既に特定した、本出願と同日に出願され、同時係属であり、そして同一出願人による米国特許出願第11/446,075号に見出すことができる。
【0039】
本発明の実施形態の一つにおいて有用なモノマーは、1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンを含み、当該モノマーの各硫黄原子に近接した2つのα位を含む。
本発明のこの実施形態に従うポリマーを、次の式M2において描写されるモノマーのα位(アステリスクによって表される)において反応を実施することにより、1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンから成長させて重合単位を生成することができる:
【化10】

(式中、X、Y及びZは、式P1に関して上述した基である)。
【0040】
上記M2モノマーの反応性α位が、さらにM1モノマーと反応し、ホモポリマーの重合単位を生成することができ、あるいは、1種又は2種以上のさらなる電気活性モノマー又は非電気活性モノマーと反応して、コポリマー、例えば、ランダムコポリマー、グラフトコポリマー、ブロックコポリマー、及び樹状構造体を生成することができる。
【0041】
本発明の実施形態の一つは、1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンを重合させることによる生成したホモポリマーを含む。得られたポリマーの1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンは、重合性単位を構成する。上記ホモポリマーは、ポリ(1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン)と称される。
【0042】
本発明のポリマーに導入し、コポリマーを生成させるために好適な電気活性モノマーには、電気活性を示しかつチオフェン、チエノ[3,4−b]チオフェン、チエノ[3,2−b]チオフェン、置換化チオフェン、置換化チエノ[3,4−b]チオフェン、置換化チエノ[3,2−b]チオフェン、ジチエノ[3,4−b:3’,4’−d]チオフェン、ピロール、ビチオフェン、置換化ピロール、フェニレン、置換化フェニレン、ナフタレン、置換化ナフタレン、ビフェニル及びテルフェニル、置換化テルフェニル、フェニレンビニレン並びに置換化フェニレンビニレンから成る群から選択される要素を少なくとも1つ含むことができるモノマーが含まれる。
【0043】
本発明のポリマーに導入し、コポリマーを生成させるために好適な置換化チエノ[3,4−b]チオフェンは、次の式により表される;
【化11】

(式中、R=C1〜C12の第一級、第二級又は第三級アルキル基、フェニル及び置換化フェニル基、シクロヘキシル、ナフタレン、ヒドロキシル、アルキルエーテル、カルボン酸、エステル及びスルホン酸基)。
【0044】
本発明のポリマーに導入し、コポリマーを生成させるために好適な置換化チオフェンには、米国特許第4,959,430号明細書に記載される下記の置換化チオフェンが含まれる(参照することにより、全体を本明細書に組み入れる。):
【化12】

(式中、xは、置換されたC1〜C4のアルキル基、C1〜C12のアルキル又はフェニル置換された1,2−エチレン基又は1,2−シクロへキシレン基を表す)。
所望により、上記アルキル又はフェニル基を、例えば、ヒドロキシル、エーテル等の置換基でさらに置換してもよい。
【0045】
本発明のポリマーに導入し、コポリマーを生成させるために好適なさらなる置換化チオフェンには、米国特許第4,910,645号明細書に開示される次の置換化チオフェンが含まれうる(参照することにより、全体を本明細書に組み入れる。):
【化13】

(式中、R1及びR2は、H、C1〜C4のアルキル基、1,2−シクロへキシレン基及びフェニル置換化フェニルから成る群から独立して選択される)。
【0046】
本発明に従う組成物はまた、末端基が官能化され、かついずれかのブロックコポリマーに導入されるか又は二官能性反応物質と結合される複素環式の縮合環モノマーを含有するオリゴマーを含む(一例として、ヒドロキシル末端基は、ジイソシアネート又は酸塩化物と結合させることができる)。上記オリゴマーは、本発明の組成物の結合長を制御するために好都合な方法を提供する。上記オリゴマー構造体の結合長を変化させ、種々の用途に対して所望の特性を得ることができる。例えば、より高い透明性を得るために上記結合長を長くすることができ、又はより低い配合粘性率を得るために上記結合長を短くすることができる。
【0047】
本発明の組成物はまた、1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンと重合させることができる非電気活性モノマーの繰返し単位を含むことができる。大部分の用途において、繰返し単位として用いられる非電気活性モノマーは、得られる組成物の電気活性特性に悪影響を与えてはならない。
【0048】
本発明の組成物を、所望のポリマー(コポリマー及びオリゴマーを含む)を、水、及び少なくとも1種の水混和性有機溶媒又は少なくとも1種の有機溶媒と混合することにより、分散液として利用することができる。本発明に従う組成物を含む分散液を、インクジェット印刷、スクリーン印刷、ロール焼付け法、スピンコーティング、メニスカス及びディップコーティング、スプレーコーティング、はけ塗り、ドクターブレード塗装、カーテンキャスティング等を含む方法により適用することができる。上記溶液又は分散液に導入すべきポリマー(コポリマー及びオリゴマーを含む)の量は、組成物の分子量及び最終用途を含む種々の要因によって変わりうる。上記分散液に導入すべき組成物の実際量を、過度の実験を行うことなく簡潔に決定することができる。
【0049】
分散させたフィルムを、エバポレーションを含む技法により乾燥させ、溶媒を除去し、所望のフィルムを得ることができる。乾燥は、室温又は得られたフィルムの目的とする特性に悪影響を与えない任意の温度において実施することができる。しかし、より速い処理速度を得るために、当該温度が、得られるフィルムの特性に悪影響を与えないという条件(例えば、室温〜200℃の温度において乾燥させる)の下、上記フィルムを高温で乾燥させることができる。上記フィルムの厚さは、通常、約50nm〜約25μmの範囲にわたる。
【0050】
本発明の組成物を、帯電防止コーティング、導電性コーティング、エレクトロクロミック素子、光電池素子、発光ダイオード、フラットパネルディスプレイ、感光回路(photoimageable circuit)、印刷回路、薄膜トランジスタ素子、バッテリ、電気スイッチ、コンデンサコーティング、防蝕コーティング、電磁遮へい、センサー、LED照明及び他のオプトエレクトロニクスを含む様々な一般用途で利用することができる(オプトエレクトロニクスは、光の物理学を電気と結合させた技術分野である。オプトエレクトロニクスには、電気信号を光信号へ転換させる(そして逆もまた同様)ハードウェア素子を研究、設計及び製造することが包含される。電気−光、又は光−電気トランスデューサとして作動する任意の素子を、光電子素子をみなす)。
【0051】
本発明に従う組成物の導電率は、必要であれば、前述の用途のいずれかの要件に適合させるために一般的な酸性ドーパント(p−ドーパント)及び塩基性ドーパント(n−ドーパント)を用いてこれらの組成物をドーピングすることにより簡潔に変えることができる。
【0052】
好適なp−ドーパントは、少なくとも1種の鉱酸、例えば、HCl、HNO3、H2SO4、H3PO4、HBr、HI;有機スルホン酸、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、ラウリルスルホン酸、カンファースルホン酸、有機酸染料、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、高分子量のスルホン酸、例えば、ポリ(スチレンスルホン酸)及びコポリマー;カルボン酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、アジピン酸、アゼライン酸、シュウ酸、並びに高分子量のポリカルボン酸、例えば、ポリ(アクリル酸)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(メタクリル酸)及びこれらの酸のコポリマーを含むことができる。混合されたドーパント、例えば、鉱酸/有機酸をまた、本発明の組成物に所望の電気活性特性を与えるために利用することができる。
【0053】
p−ドーピングを用いることができる一方で、本発明に従う組成物を、Na、K、Li及びCaを含む(それらに限定されるものではない)一般的な塩基性ドーパントを用いてn−ドープ化することができる。他の好適なドーパントは、I2、(PF6-、(SbF6-、及びFeCl3を含むことができる。ドーパントの量は、上記組成物の約1重量%〜約98重量%を含むことができるか、あるいは、少なくとも1%のドーピングを行うために十分な量である。
【0054】
本発明の組成物を、発光ダイオード(LED)の一定の部品の製造に用いるために良好に適合させることができる。LEDは、概して、基板を含む非常に多くの層、並びにインジウムスズ酸化物(ITO)陽極、正孔注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極を有する。本発明の組成物のp−ドープ化組成物を、LEDのインジウムスズ酸化物陽極を置換するように、特に適合させる。本発明の組成物のp−ドープ化組成物をまた、LEDの正孔注入層として用いるように特に適合させる。本発明の組成物の未ドープ化組成物を、LEDのホール輸送層、発光層及び/又は電子輸送層に利用することができる。
【0055】
本発明の組成物と、他の電気活性材料、例えば、レーザー用色素、他の電気活性ポリマー、ホール輸送又は電子輸送材料(電気活性有機金属化合物を含む)との混和材料をまた、本発明において用いる。
【0056】
また、本発明の組成物を利用して、光透過性電極、透明導電性接着剤、ステルスコーティング、透明なEMF遮蔽材、タッチスクリーン、フラットスクリーンディスプレイ、モバイル用途向けの平面アンテナ、透明な蓄電板等に用いるための光学的に透明な導電性コーティングを調製することができる。本発明に従うポリマー向けのさらなる用途には、光学、電気光学若しくは電子素子、ポリマー発光ダイオード(すなわち、PLED)、エレクトロルミネセンス素子、有機電界効果トランジスタ(すなわち、FET又はOFET)、フラットパネルディスプレイ用途(例えば、LCD)、無線IC(すなわち、RFID)タグ、印刷エレクトロニクス、ウルトラコンデンサ、有機光電池(すなわち、OPV)、センサー、レーザー、小分子又はポリマー系記憶装置、電解コンデンサにおいて、又は水素貯蔵材料としての正孔注入材料、電荷輸送材料、半導体、及び/又は導体が含まれうるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
光起電性素子は、LEDと特有の類似点を有し、そして同様に、本発明組成物を用いて製造することができる。LED素子の場合、光を発生させるために上記素子の両端にかける電圧の代わりに、光(例えば、太陽光)の入力により、上記素子の両端に電圧差が生じ、電流が発生する。LED及び光起電性素子の層は、類似しているが、同等ではない。集光性の有機物又はポリマーは、陽極及び陰極の間に所望により置かれたホール輸送/電子輸送層を有する中間体層を含む。本発明の組成物を、陽極及び正孔注入層(ドープ化)として、又は、集光性層(未ドープ化)において利用することができる。
【0058】
本発明に従う組成物を、当業界に公知の一般的な基板の両端に電圧をかけることにより、透明基板を介して、光の透過を許可する又は防ぐエレクトロクロミック素子を製造する上で利用することができる。本発明に従う組成物向けの他の用途には、電磁遮へい及び減光用(dimmable)ミラーが含まれる。
【0059】
ドープ化した本発明に従う組成物を、水性若しくは有機溶媒系溶液又は分散液から、上記定義の下列挙された基板に適用される帯電防止コーティングとして利用することとができる。上記帯電防止コーティングは、エマルションを含む他のポリマーとの混和材料を含み、導電性及びフィルム特性(適切な基板への付着等)のバランスを達成することができる。本発明の組成物をまた、帯電防止コーティング及び電気めっき法、印刷回路、感光回路、半導体素子等向けの上記種々の基板を含む製品に導電性を付与するための種々の市販の製品に対するコーティング又は添加剤として利用することができる。
【0060】
本発明のある実施形態は、透明/導電性材料として上記組成物を用いることを含むが、本発明の組成物に基づく導電性の不透明コーティングをまた、透明性は重要でないが、導電性が重要である特定の用途に実用性を有すると考えられる。一定の用途、例えば、帯電防止コーティングは、透明性が損失する顔料着色並びに種々の導電性塗料の適用を要求する場合がある。これらの材料を用いる印刷回路はまた、透明性を要求しないことが一般的であろう。
【0061】
本発明の実施形態の一つは、電解質コンデンサ内の固体電解質として、一定のポリチオフェン及びポリセレノフェン(式P1)を使用すること、そして固体電解質として、これらのポリチオフェン及びポリセレノフェンを含む電解質コンデンサに関する。
【0062】
本発明の別の実施形態は、固体電解質として、上記式P1の構造単位から作られたポリマーを含む電解質コンデンサに関する。
この種の固体電解質コンデンサは、次の構造体を有することができる;
a)第一の層:酸化可能な金属、例えば、アルミニウム、ニオブ又はタンタルの箔;
b)第二の層:上記金属箔上に形成した金属の酸化物層;
c)第三の層:上記金属酸化物層上に形成し、そして適切な場合、次の式M1の構造単位から作られたポリマー:
【化14】

(式中、ZはSe、S、O、NR1又はPR1であり、ここでR1は、水素、アルキルアリール、アリールアルキル、又はアリールであり;Yは、NH、O、C(R)2、N(R)2及びSから独立して選択され;XはO、S、Se又はNHである。
Rは、置換又は未置換のC1〜C4のアルキル基である。
W及びW’は、H、ハロゲン原子、例えば、F、Cl、Br、及びI、有機金属、例えば、MgCl、MgBr、MgI、Sn(R23(ここでR2は、C1〜C6のアルキル又はC1〜C6のアルキルエーテルである)、ボロン酸、ボロン酸エステル、ビニル単位、例えば、−CH=CHR3(ここでR3は、H又はC1〜6のアルキルである)、エーテル、すなわち、−OC1〜6アルキル、エステル、すなわち、−COOC1〜6のアルキル、−S−COR4及び−COR4(ここでR4は、H又はC1〜6のアルキルである)、−C≡CH、及び重合性芳香環、例えば、フェニル、ナフタレン、ピロール、及びチオフェンである)。
d)第四の層:
例えば、上記ポリマー上に形成され、そして電流の良好な導体である物質(例えば、導電性の銀、銅又はカーボンブラックで満たされたペイント)の薄層を含む接点。
【0063】
上記コンデンサは、式P1のポリマーに関して記載されているが、コポリマーを用いることもできる。本発明は、電解質コンデンサ向けの固体電解質として特に好適である特定のチオフェンの酸化重合により得ることができるポリチオフェンを含むことができる。これらの特定のポリチオフェンを適用し、そしてそれらの導電性に影響を与えることなく、電解質コンデンサ内の陽極として用いられる金属箔に接着させることができ、そして良好な電気特性(例えば、周波数に実質的に依存しない高いキャパシティー)により特徴付けられ、そしてさらに、低い誘電損失及び低い漏れ電流により特徴付けられるコンデンサを生成する。本発明の化合物を、任意の好適な構造体に用いることができるが、好適な構造体の一つは、米国特許第4,910,645号明細書に開示されている(参照により本明細書に組み入れる)。
【0064】
本発明に従って用いるべきポリチオフェン及びポリセレノフェンを、酸化物コーティングでコーティングし、そして陽極として用いる金属箔の面に直接生成させることができる。上記酸化物コーティングは、タンタル、ニオブ、又はアルミニウムの酸化物を含むことができる。上記陽極は、アルミニウム、ニオブ又はタンタルから作られた箔等の箔を含むことができる。上記ポリチオフェン及びポリセレノフェンを、本発明のモノマーを酸化重合することにより、酸化物コーティングされたフィルム上に、その場で(in situ)生成させることができる。
【0065】
上記箔は、概して溶液状の酸化剤と共に1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン等のモノマーを上記金属箔の酸化物コーティングされた面上に、別個に、順々に適用するか、あるいは、必要に応じて一緒に適用することにより、コーティングされうる。適切な場合、上記酸化重合を、酸化物コーティングされたフィルム上で完了させる。ある場合には、上記重合は、当該溶液を加熱する(例えば、約30℃〜約150℃まで)ことにより促進される。
【0066】
添加剤、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、マンニトール、プロピレン1,3−グリコール、ブタン1,4−グリコール、N−メチルピロリドン、ソルビトール、グリセロール、プロピレンカーボネート及び他の適切な高沸点有機物から成る群から選択される要素少なくとも1つを、本発明の組成物の分散液に添加して、導電性を改良することができる。
【0067】
追加の添加剤は、少なくとも1種の伝導性充填剤、例えば、微粒子の銅、銀、ニッケル、アルミニウム、カーボンブラック等を含むことができる。非導電性の充填剤、例えば、タルク、マイカ、ウォラストナイト、シリカ、粘土、TiO2、染料、顔料等をまた上記分散液に添加して、特有の特性、例えば、増加した弾性率、表面硬度、表面カラー等を促進することができる。
【0068】
本発明の組成物の分散液はまた、特定の用途に要求される場合には、酸化防止剤、UV安定化剤及び界面活性剤を含むことができる。界面活性剤を、分散液に添加して、安定性、表面張力、及び表面湿潤性を制御するのが典型的である。有用な界面活性剤の一つには、アセチレンのジオールが含まれる。粘度調整剤(例えば、会合性(associative)増粘剤)をまた、上記分散液に添加して、特定の最終用途向けに粘性率を調整することができる。
【0069】
種々の方法により、本発明に従う組成物を好適に調製することができる。本発明に従う組成物を、ポリ(1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン)を生成させるために十分な条件の下、水の存在下で、1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン、少なくとも1種のポリアニオン及び少なくとも1種の酸化剤を反応させる水性相重合法を利用して調製することができる。重合を実施するための温度は重要ではないが、重合速度に影響を与える。好適な温度は、約5℃〜約90℃の範囲にわたる。
【0070】
本発明の別の実施形態は、次の式M1:
【化15】

(式中、ZはSe、S、O、NR1又はPR1であり、ここでR1は、水素、アルキルアリール、アリールアルキル又はアリールであり;Yは、NH、O、C(R)2、N(R)2及びSから独立して選択され;XはO、S、Se又はNHである。Rは、置換又は未置換のC1〜C4アルキル基である。W及びW’は、H、ハロゲン原子、例えば、F、Cl、Br、及びI、有機金属、例えば、MgCl、MgBr、MgI、Sn(R23(ここでR2は、C1〜6のアルキル又はC1〜6のアルキルエーテルである)、ボロン酸、ボロン酸エステル、ビニル単位、例えば、−CH=CHR3(ここでR3は、H又はC1〜6のアルキルである)、エーテル、すなわち、−OC1〜6のアルキル、エステル、すなわち、−COOC1〜6のアルキル、−S−COR4及び−COR4(ここでR4は、H又はC1〜6のアルキル、−C≡CHである)、並びに重合性芳香環、例えば、フェニル、ナフタレン、ピロール、及びチオフェンである)
の構造単位から形成されるポリチオフェン及びポリセレノフェンに関する。
特許請求の範囲に記載される置換された組成物の誘導体を、第二級又は第三級官能基を添加する前又は後に生成させることができる。
【0071】
ホモポリマー及びコポリマーを生成させるために有用なモノマーは、W及びW’がHであるモノマーであり、そして次の式M3により表される:
【化16】

(X、Y及びZは、式M1に関して上述した基である)。
【0072】
本発明に従うポリマーは、次の式P1を有する繰返し単位を有するホモポリマーを含む:
【化17】

(式中、nは4超の整数であり;Zは、Se、S、O、NR1又はPR1であり、ここでR1は水素、アルキルアリール、アリールアルキル、又はアリールであり;Yは、NH、O、C(R)2、N(R)2及びSから独立して選択され;XはO、S、Se又はNHであり、そしてEは、官能性又は非官能性末端基から独立して選択される。Rは、置換又は未置換のC1〜C4アルキル基である。Eは、官能性及び非官能性末端基から独立して選択される)。
【0073】
本発明に従う繰返し構造は、実質的に同一で、ホモポリマーを生成することができ、あるいは、各単位に関して独立して選択されるZ、Y、及びXを有し、コポリマー化合物を得ることができる。上記繰返し単位を、当業界に公知の好適な様式で停止させ、そして官能性又は非官能性末端基を含ませることができる。
【0074】
モノマーの共重合単位が含まれる導電性のオリゴマー及びポリマーは、本発明の別の態様であり、そして次の式P2により表される:
【化18】

(式中、nは整数であり、Wは−CZ1=CZ2−又は−C≡C−であり、そしてZ1及びZ2は、お互いに独立して、H、F、Cl又はCNである)。
【0075】
オリゴマーは、約2〜10単位のn値を有することが多く、そしてこれらの生成物は、メモリ及び電界効果トランジスタ素子の製造に役に立つ。約11〜約50,000単位(約20〜約10,000単位であることも多い)のn値を有するポリマーは、種々の電気光学用途における正孔注入材料としてのフィルムを調製する上で非常に有用である。式P2のコポリマーは、任意の好適な様式(例えば、水素、重水素、ビニル、アセチレン、又はニトリル)で停止することができ、そして任意の好適な重合末端基(例えば、ビニル、アセチレン、フェニル、ピロール、チオフェン、フルオレン、又はカルバゾール)を含むことができる。
【0076】
上述のモノマーの重合を、いくつかの反応機構によって行うことができる。好適な反応機構には、1)水性相/酸化剤重合、2)有機溶媒相/酸化剤重合、3)金属触媒重合、及び4)電気化学系重合が含まれる。ある場合では、上記重合を、基板上でその場で(in situ)実施することができる。最終用途にもよるが、上記基板を前処理するか、若しくは重合前にコーティングすることができ、そして/又は重合された表面を、さらに処理することができる(例えば、追加のフィルム又は層を、上記ポリマー上に適用することができる)。
【0077】
本発明の実施形態の一つの方法から生成させた導電性ポリマーは、水素結合相互作用を介した半導体光学を可能とする機能性を有する。式M1のY及びXの選択にもよるが、水素結合相互作用により発生した構造モチーフを、大きく変えることができる。上記構造モチーフを、公開されている文献に記載されるような添加剤又は他の水素結合を生ずることができる分子を添加することにより変化させることができる。例えば、Journal of the American Chemical Society,1996,118,4018−4029と、そこに記載されるリファレンスとを参照のこと。本発明に従うポリマーを生成させるためのモノマー、例えば、1H−チエノ[3,4d]イミダゾール−2(3H)−オンは、線状型として特徴付けることができる構造モチーフを生成することができる。上記線状のモチーフを、非常に高い光沢により明らかな、高度に配列しているポリマーフィルムをもたらす全重合を通して維持することができる。重合の際に導電性ポリマーを生成するが、水素結合を介した半導体工学に欠けるモノマーは、平坦であることは明らかであり、そして高い表面粗度値を示す。
【0078】
水性相重合用の典型的な反応条件は、約0℃〜約100℃の範囲の温度を含む。上記重合は、所望の重合度に影響を与える当該反応が完了するまでの間続けられる。重合度は、本発明の重要な要素ではないが、最終用途によって変化するであろう。所望の重合度は、最終用途によって決まり、過度の実験を行うことなく、当業者により簡潔に決定される。当該重合時間は、数分から最大約48時間の範囲にわたることができ、そして重合に利用する反応器のサイズ、重合温度、及び重合法に利用する酸化剤を含む多くの要因によって決まる。
【0079】
上記水性重合法に用いるべきポリアニオン及び酸化剤の量は広く変わることができ、そして過度の実験を行うことなく、所与の重合に関して決定することができる。例えば、1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンモノマーの、所望のポリアニオンに対する重量比は、典型的には、約0.001〜約10、概して約0.05〜約1.0の範囲にわたる。1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンモノマーの、所望の酸化剤に対する重量比は、典型的には、約0.01〜約10、多くは約0.1〜約2.0の範囲にわたる。硫酸第二鉄の場合には、用いられる量は、1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンの約0.1wt%〜約5wt%の範囲にわたる。
【0080】
好適なポリアニオンは、ポリカルボン酸、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ナフィオン、ポリマレイン酸、及び高分子量のスルホン酸、例えば、ポリスチレンスルホン酸及びポリビニルスルホン酸の群に由来する要素を少なくとも1つ含むことができる。上記ポリカルボン酸及びポリスルホン酸はまた、他のモノマー(例えば、アクリレート及びスチレン)と、ビニルカルボン酸及びビニルスルホン酸のコポリマーであることができる。ポリアニオンを供給する酸の分子量は、通常、約1,000〜約500,000、多くは約2000〜約500,000の範囲であり、そして通常、約70,000である。ポリアニオンを誘導する酸は、市販されるか、あるいは公知の方法により生成させることができる。
【0081】
好適な酸化剤は、鉄(III)塩、例えば、FeCl3、Fe(ClO43及び有機酸の鉄(III)塩及び有機残差を含む無機酸の鉄(III)塩、H22、K2Cr27、アルカリ又は過硫酸アンモニウム、アルカリパーボレート、過マンガン酸カリウム及び銅塩、例えば、テトラフルオロほう酸銅の群に由来する要素を少なくとも1つ含むことができる。さらに、ヨウ素、空気及び酸素を、酸化剤として有利に用いることができる。過硫酸塩及び有機酸の鉄(III)塩及び有機残差を含む無機酸の鉄(III)塩が有用である。というのは、それらは、上記基板、例えば、ITO、又はアルミニウム、タンタル若しくはニオブの酸化物に対して腐食性を有しないからである。
【0082】
有機酸の鉄(III)塩の例は、C1〜30のアルキルスルホン酸、例えば、メタン又はドデカンスルホン酸;脂肪族C1〜20のカルボン酸、例えば、2−エチルヘキシルカルボン酸、脂肪族パーフルオロカルボン酸、例えば、トリフルオロ酢酸及びパーフルオロオクタン酸;脂肪族ジカルボン酸、例えば、シュウ酸、及び芳香族の、所望によりC1〜20のアルキル置換化されたスルホン酸、例えば、ベンゼンスルホン酸、p−トルエン−スルホン酸及びドデシルベンゼンスルホン酸のFe(III)塩、並びに前述の有機酸のFe(III)塩の混合物の群に由来する要素を少なくとも1つ含むことができる。有機残差を含む無機酸の鉄(III)塩の例は、C1〜20のアルカノールの硫酸半エステルの鉄(III)塩、例えば、ラウリルスルフェートのFe(III)塩の群に由来する要素を少なくとも1つ含むことができる。
【0083】
ホモポリマーを含むポリマーを、次の水性相反応により生成させることができる。
【化19】

【0084】
本発明に従うコポリマーを、次の水性反応により生成させることができる。
【化20】

【0085】
上記共重合反応は、共重合剤として置換化チオフェンを示しているが、任意の数の化合物を用い、本発明に従う反応中で重合させることができる。
【0086】
上記水性溶媒相中の上述のモノマーの酸化重合は、用いられる酸化剤及び所望の反応時間にもよるが、一般的に、約20℃〜約250℃の温度、通常、約20℃〜約200℃の温度で実施される。
ホモポリマーを含むポリマーを、次の有機相反応により生成させることができる。
【化21】

【0087】
水性相で実施される反応と同様に、コポリマーをまた、追加のモノマー構造体を供給することにより形成させることができる。式M1のモノマー及び/又は酸化剤と用いるために好適な溶媒は、特に、上記反応条件の下で一般的に不活性であり、そして下記の群に由来する要素を少なくとも1つ含むことできる:脂肪族アルコール、例えば、メタノール、エタノール及びi−プロパノール;脂肪族ケトン、例えば、アセトン及びメチルエチルケトン;脂肪族カルボン酸エステル、例えば、エチルアセテート及びブチルアセテート;芳香族炭化水素、例えば、トルエン及びキシレン;脂肪族炭化水素、例えば、ヘキサン、ヘプタン及びシクロヘキサン;塩素化炭化水素、例えば、ジクロロメタン及びジクロロエタン;脂肪族ニトリル、例えば、アセトニトリル;脂肪族スルホキシド及びスルホン、例えば、ジメチルスルホキシド及びスルホラン;脂肪族カルボキサミド、例えば、メチルアセトアミド及びジメチルホルムアミド;脂肪族及びアルアリファチック(araliphatic)エーテル、例えば、ジエチルエーテル及びアニソール。さらに、水又は上述の有機溶媒と水との混合物をまた、溶媒として用いることができる。
【0088】
本発明と共に用いることが好適な酸化剤には、ピロールの酸化重合用に好適な酸化剤が含まれる。これらの酸化剤は、例えば、J.Am.Chem.Soc.85,484(1963)に記載されている(参照により本明細書に組み入れる)。安価な酸化剤は、例えば、鉄(III)塩、例えば、FeCl3、Fe(ClO43及び有機酸及び有機基を含む無機酸の鉄(III)塩、さらにH22、K2Cr27、アルカリ金属の過硫酸塩、過流酸アンモニウム、アルカリ金属の過ホウ酸塩、過マンガン酸カリウム及び銅塩、例えば、テトラフルオロほう酸銅等の酸化剤を含むことができ、有用である。
【0089】
式M1のモノマーの酸化重合において、1モルのモノマーあたり、約2〜約2,5当量の酸化剤が、理論上要求される(例えば、J.Polym.Sc.Part A Polymer Chemistry Vol.26,S.1287(1988)を参照のこと;参照により本明細書に組み入れる)。しかし、実際には、上記酸化剤は、一定の過剰量、例えば、1モルのモノマーあたり、約0.1〜約2当量の過剰量で適用される。
【0090】
過硫酸塩並びに有機酸及び有機基を含む無機酸の鉄(III)塩の使用は、それらが腐食性作用を有しない(例えば、ITO、又はアルミニウム、タンタル、若しくはニオブの酸化物に対して)際立った適用の優位性と、特に式M1のモノマーの酸化が、それらが用いられる際、比較的ゆっくりと進み、モノマー及び酸化剤を、溶液状又は印刷ペーストから金属箔又は金属酸化物表面上に一緒に適用することができる際立った適用の優位性とを有する。この実施形態では、上記溶液又はペーストを適用した後、上記酸化を、コーティングされた金属箔又はコーティングされた金属酸化物表面を温める(例えば、約200℃の温度まで加温する)ことにより促進することができる。
【0091】
上述の他の酸化剤、例えば、FeCl3、H22又は過ホウ酸塩が用いられる場合、上記酸化重合は、酸化剤及びモノマーを、コーティングすべき基板上に分離して適用することが望ましいように、比較的速く進むが、対照的に、加温を省略することができる。
【0092】
上述の有機基を含む無機酸の鉄(III)塩の例は、C1〜20のアルカノールを有する硫酸のモノエステルの鉄(III)塩、例えば、ラウリルスルフェートのFe(III)塩の群に由来する要素を少なくとも1つ含むことができる。
【0093】
上述の有機酸の鉄(III)塩の例は、C1〜20のアルキルスルホン酸、例えば、メタン−及びドデカン−スルホン酸;脂肪族のC1〜20のカルボン酸、例えば、2−エチルヘキシルカルボン酸;脂肪族のパーフルオロカルボン酸、例えば、トリフルオロ酢酸及びパーフルオロオクタン酸;脂肪族のジカルボン酸、例えば、シュウ酸、並びに、特に、所望によりC1〜20のアルキル基で置換されている芳香族スルホン酸、例えば、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸及びドデシルベンゼンスルホン酸のFe(III)塩の群に由来する要素を少なくとも1つ含むことができる。これらの上述の有機酸のFe(III)塩の混合物をまた用いることができる。
【0094】
式M1のモノマー及び酸化剤を分離して適用する場合、初めに、金属箔基板を酸化剤の溶液でコーティングし、続いて、モノマーの溶液でコーティングすることができる。所望により、モノマー及び酸化剤を金属箔上に一緒に適用する場合、当該金属箔は、1つの溶液、すなわちモノマー及び酸化剤を含む溶液でコーティングされるのが典型的である。この共適用の際、モノマーの一部が蒸発するので、上記酸化剤を、モノマーの予想される損失に従って減量して、上記溶液に添加することができる。
【0095】
さらに、上記溶液は、有機溶媒に可溶な有機バインダー、例えば、ポリ(ビニルアセテート)、ポリカーボネート、ポリ(ビニルブチレート)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ(塩化ビニル)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリエーテル、ポリエステル、シリコーン、及びピロール/アクリレート、ビニルアセテート/アクリレート及びエチレン/ビニルアセテートコポリマー(それぞれは、有機溶媒に可溶性である)の群に由来する要素を少なくとも1つ含むことができる。水溶性バインダー、例えば、ポリビニルアルコールを、増粘剤として用いることができる。
【0096】
上記金属箔に適用すべき溶液は、式M1のモノマー誘導体を約1〜約30重量%と、バインダーを約0〜約30重量%とを含むことができ、両重量%は、上記溶液の総重量に基づく。上記溶液は、公知の方法、例えば、スプレー塗装、ナイフコーティング、散布(spreading)又は印刷により基板に適用される。乾燥後のコーティングに適用される厚さは、コーティングの所望の導電率にもよるが、一般的に約1.0〜約500μm、通常約10〜約200μmである。
【0097】
上記溶液を適用した後、当該溶液を、室温で蒸発させて除去することができる。しかし、より高い処理速度を得るためには、高温、例えば、約20℃〜約300℃、通常は約40℃〜約250℃において溶媒を取り除くことがさらに有利である。高温における溶媒の除去はまた、さらに有利である。というのは、約50℃〜約250℃、普通は約100℃〜約200℃の温度におけるコーティングの熱後処理により、コーティングの導電率が実質的に上がるからである(すなわち、最大10の電力)。当該熱後処理を、溶媒の除去と直接併用するか、あるいは上記コーティングが終了してから一定の間隔において実施することができる。上記コーティングに用いられるポリマーの種類にもよるが、上記熱処理は、約5秒〜約5分かかる場合がある。
【0098】
上記熱処理を、例えば、所望の温度において、選択された温度における望ましい滞留時間が得られるような速度において、熱チャンバーを介してコーティングされた金属箔を動かすことにより、あるいはコーティングされた金属箔を所望の滞留時間の間、所望の温度においてホットプレートと接触させることにより実施することができる。上記溶媒を除去(乾燥)した後かつ熱後処理の前に、水を用いてコーティングから過剰の酸化剤を洗浄することが有利である場合がある。
【0099】
どのW及びW’基が存在するかにより、重合及び所望のポリマーの性質を制御することができる。炭素−炭素結合形成反応を、次の好適な方法により完了することができる。本発明のモノマーと用いるために好適な方法には、Suzuki反応、Yamamoto反応、Heck反応、Stille反応、Sonogashira−Hagihara反応、Kumada−Corriu反応、Riecke反応、及びMcCullogh反応が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
式M1のモノマーは、金属触媒化重合に役に立つことができる。例えば、Heck,Chem.Rev.2000,100,3009−3066;Stille,Chem.Rev.2003,103,169−196;Suzuki,Chem.Rev.1995,95,2457−2483;Sonogashira−Hagihara,Chem.Rev.2003,103,1979−2017;及びKumada−Corriu,Chem.Rev.2002,102,1359−1469を参照のこと(参照により本明細書に組み入れる)。条件は、W及びW’置換基の性質によって大きく変わりうる。
【0101】
オリゴマー及びポリマー、例えば、ポリ(1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン)を調製するための別の方法には電気化学系の工程が含まれ、そこでは、1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンを、3つの電極配置を用いた電気化学系セル内で重合する。好適な3つの電極配置には、白金、金及びガラス質のカーボンボタン作用電極、白金フラッグ対電極及びAg/Ag+非水性基準電極から成る群から選択されるボタン作用電極が含まれる。好適な電解質には、テトラブチルアンモニウムパークロレート/アセトニトリル、リチウムトリフラート/アセトニトリル及びテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート/アセトニトリルから成る群から選択される要素が少なくとも1つ含まれうる。
【0102】
ホモポリマーを含むポリマーを、次の電気化学反応により生成することができる。
【化22】

【0103】
1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンは、1.1V超のピークにおいて電気化学系酸化を受けて、作用電極の表面にポリマー、ポリ(1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン)を生じさせることができる。重合が完了すると、上記ポリマーを、溶媒、例えば、アセトニトリルを用いた洗浄により、作用電極から取り除く。
【0104】
一般的な電解質セルを利用して、本発明の組成物を製造する電気化学系工程を実施することができる。本発明の組成物を製造するための好適な作用電極の一つは、ガラス質のカーボン電極であり、そして電解質は、テトラブチルアンモニウムパークロレート/アセトニトリルを含むことができる。
【0105】
1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンをまた、シクロボルタメトリー系重合を用いて、ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)の存在下で電気化学系重合することができる。酸化に対する立ち上がりを、重合が後に続くことができる電位に相当する約1.12Vにおいて観察することができる。重合は、より低いレドックス法に対する電流感度の増加により示されるように明らかであり、電極表面上に電気析出した導電性ポリマーの還元及び酸化に対応する。
【0106】
本発明の実施形態の一つでは、1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンの酸化重合を、ポリアニオンとしてのポリ(スチレンスルホン酸)と、化学系酸化剤としての過硫酸アンモニウム及び/又は硫酸鉄(III)とを利用して実施することができる。
【0107】
上記重合は、単独重合に関しているが、本発明の方法を、他の反応の間で、1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンと他のモノマー(例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン又はピロール)との共重合を実施するために用いることができる。
【実施例】
【0108】
次の実例は、上記組成物をどのように製造し、そして用いるかをさらに記載することを提供し、そして特許請求の範囲に記載された発明の範囲を制限することを意図するものではない。他の状態がない限り、例中の部及び%は、重量によって与えられる。
【0109】
例1
ポリ(1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン)の水中合成
1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンを50mg(0.36ミリモル)と、10mLの脱イオン水中の18%ポリ(スチレンスルホン酸)水溶液を830mgとを、25mLの一首フラスコに添加した。当該混合物を、600rpmにおいて撹拌した。113.0mg(0.48ミリモル)の(NH4228及び2mgのFe2(SO43を、反応フラスコに添加した。1時間を超えて、酸化重合を実施した。重合後、当該水溶液を、イオン交換カラム(Amberlite IR−120及びMP62)により精製して、濃いブラックのポリ(1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン)/ポリ(スチレンスルホン酸)水性分散液を得た。透明なフィルムを、1,000rpmにおいてガラス基板上にポリ(1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン)/ポリ(スチレンスルホン酸)混合物をスピンコーティングすることにより調製し、導電性表面を得た。
【0110】
例2
ポリ(1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン)の水中合成
1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンを50mg(0.36ミリモル)と、45mLの脱イオン水中の18%ポリ(スチレンスルホン酸)水溶液を5.55gとを、100mLの一首フラスコに添加した。当該混合物を、1200rpmにおいて撹拌した。7mLの脱イオン水に溶解させた300mg(1.98ミリモル)のFe2(SO43を上記反応フラスコに添加した。1時間を超えて、酸化重合を実施した。重合後、当該水溶液を、イオン交換カラムを用いて精製して、濃いブラックのポリ(1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン)/ポリ(スチレンスルホン酸)水性分散液を得た。透明なフィルムを、1,000rpmにおいてガラス基板上にポリ(1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン)/ポリ(スチレンスルホン酸)混合物をスピンコーティングすることにより調製し、導電性表面を得た。上記ポリマーの光学バンドギャップを、1.5eVとして測定した。
【0111】
例3
ポリ(1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン)の水中合成
1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンを50mg(0.36ミリモル)と、42mLの脱イオン水中の12%NAFION(商標)パーフルオロ化イオン交換樹脂水性分散液を8.4gとを、100mLの一首フラスコに添加した。NAFION(商標)は、E.I.DuPont deNemours and Company,Wilmington,DEの、連邦政府によって認められた登録商標である。当該混合物を1200rpmで撹拌した。7mLの脱イオン水に溶解させた300mg(1.98ミリモル)のFe2(SO43を、上記反応フラスコに添加した。1時間を超えて、酸化重合を実施した。重合後、当該水溶液を、イオン交換カラムを用いて精製して、濃いブラックのポリ(1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン)/NAFION(商標)水性分散液を得た。透明なフィルムを、1,000rpmにおいて、ガラス基板上にポリ(1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン)/NAFION(商標)混合物をスピンコーティングすることにより調製し、導電性表面を得た。上記ポリマーの光学バンドギャップを、1.5eVとして測定した。
【0112】
広範囲のモノマーの、ポリスルホン酸(NAFION(商標))に対する比(重量ベース)を特徴とするいくつかの分散液を製造し、望ましい特性、例えば、仕事関数、粒子サイズ、及びフィルム平滑性の範囲を表示した。次の表は、上記分散液の特性を具体的に説明するものである。
【0113】
【表1】

【0114】
例4
ポリ(1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン)の水中合成
1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンを50mg(0.36ミリモル)と、42mLの脱イオン水中の12%NAFION(商標)パーフルオロ化イオン交換樹脂水性分散液を8.4gとを、100mLの一首フラスコに添加した。当該混合物を1200rpmで撹拌した。113.0mg(0.48ミリモル)の(NH4228及び2mgのFe2(SO43を、上記反応フラスコに添加した。1時間を超えて、酸化重合を実施した。重合後、当該水溶液を、イオン交換カラム(Amberlite IR−120及びMP62)を用いて精製して、濃いブラックのポリ(1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン)/NAFION(商標)水性分散液を得た。透明なフィルムを、1,000rpmにおいて、ガラス基板上にポリ(1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン)/ポリ(スチレンスルホン酸)混合物をスピンコーティングすることにより調製し、導電性表面を得た。上記ポリマーの光学バンドギャップを、1.5eVとして測定した。
【0115】
例5
ポリ(1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン)の溶媒合成(in situ)
280mg(2ミリモル)の1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンを、15mLの無水n−ブタノールに溶解させた。5mLの無水n−ブタノールに溶解させた。2.25g(3.3ミリモル)のp−トルエントルエンスルホン酸鉄(III)六水和物を、当該モノマー溶液に添加し、濃いレッドの溶液を得た。当該混合物を、ガラス基板にドロップキャストし、そして乾燥させた。当該乾燥させたフィルムを、最大15分、最大120℃の温度で硬化させた。得られたフィルムは、4点プローブ測定により測定されたように導電性を有していた。生成したポリマーフィルムは、可視スペクトルの全域で弱くそして均一に吸収し、肉眼でグレーに見えた。vis−NIRスペクトルは、1700nm付近にバイポーラロンバンドを示した。
【0116】
例6
ポリ(1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン)の電気化学系合成及び特性化
1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンを、5mMのモノマー及び100mMの電解液の濃度まで、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート/アセトニトリル溶液に溶解させ、そして白金ボタン作用電極(直径2mm)、白金フラッグ対電極(1cm2)、及びAg/Ag+非水性基準電極(フェロセン溶液を用いた較正により測定されるように、減圧レベルに対して4.82V)を用いた3電極配置を用いて電気化学的に重合した。上記モノマーは、5.66eVにおける立ち上がりを有する低い酸化電位を示した。重合は、反復スキャンの際の、より低いレドックス電位における一定間隔の電流感度の増加から明白であった。
【0117】
上記ポリマーの電子特性を、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート中の100mMであるアセトニトリル溶液中で評価した。スキャン速度依存性を、25、50、100、200及び400mV/sのスキャン速度で実施した。ポリマーの還元工程に関するピーク電流は、スキャン速度と直線的に比例することが見出され、ポリ(1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン)が電極表面に付着したことを示していた。生成したポリマーを、サイクリックボルタンメトリーにより評価し、そして−4.7eVのHOMOを示した。電気化学バンドギャップは、1.65eVであることが見出された。微分パルスボルタンメトリーにより、−4.67eVのHOMOが生じた。
【0118】
例7
1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン及び3,4−エチレンジオキシチオフェンの共重合
1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン及び3,4−エチレンジオキシチオフェンのコポリマーを、0.1Mのテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート(TBAPF6)/ACN中の5mMの1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン及び5mMのエチレンジオキシチオフェンからなる溶液を調製したことを除いて、例6で説明した手順に従って調製した。重合は、微分パルスボルタンメトリーにより測定されるような、生成したコポリマーの酸化の発現及び連続スキャニングの際のより低いレドックス法の電流の増加により証明された。上記コポリマーは、フェロセンに対して−0.36Vの立ち上がりを示した。(電気化学合成されたポリ(1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン)は、−0.15Vの立ち上がりを有し、そしてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)は、−0.71Vの立ち上がりを有する。)
【0119】
本発明は、一定の実施形態に関連して記載されているが、当業者により種々の改変がなされ、そして本発明の範囲から外れることなく、均等物によりそれらの要素を置換することができることが当業者に理解されるであろう。さらに、それらの必須要素の範囲から外れることなく、本発明の教示に、特定の状況又は材料を適合させるために多くの改良をなすことができるであろう。従って、本発明は、本発明を実施するために企図された最良の態様として開示された特定の実施形態に制限されるものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲内にある全ての実施形態を含むことを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の段階を含む導電性ポリマーの生成方法;
下記を含む混合物を準備する段階;
下記構造を有するモノマー成分:
【化1】

(式中、Zは、Se、S、O、NR1又はPR1から成る群から選択される要素を少なくとも1つ含み、ここでR1は、水素、アルキルアリール、アリールアルキル、又はアリールであり;Yは、NH、O、C(R)2、N(R)2及びSから成る群から独立して選択される要素を含み;Xは、O、S、Se又はNHから成る群から独立して選択される要素を含み;W及びW’は、H、ハロゲン原子、有機金属、ボロン酸、ボロン酸エステル、ビニル単位、−S−COR4及び−COR4から成る群から独立して選択され;Rは、置換又は未置換のC1〜C4アルキル基から成る群から独立して選択される要素を含み;そしてR4は、H又はC1〜6アルキル、−C≡CH、及び重合性芳香環から成る群から独立して選択される要素を含む);
水;
ポリアニオン;及び
酸化剤:
前記混合物を、十分な時間の間、そして十分な温度において反応させ、導電特性を有するポリマーを生成させる段階。
【請求項2】
前記混合物を、約5分〜約48時間反応させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記混合物を、約0℃〜約100℃の温度に保持する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリアニオンが、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスルホン酸、ポリマレイン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ビニルカルボン酸とアクリレート又はスチレンとのコポリマー、ビニルスルホン酸とアクリレート又はスチレンとのコポリマー、及びそれらの組み合わせから成る群から選択されるアニオンを少なくとも1種含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリアニオンが、約1,000〜約500,000の分子量を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記酸化剤が、鉄(III)塩、H22、K2Cr27、アルカリパースルフェート、過硫酸アンモニウム、アルカリパーボレート、過マンガン酸カリウム、銅塩、ヨウ素、空気及び酸素から成る群から選択される化合物を少なくとも1種含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記混合物を基板に適用する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記基板が、ガラス、有機ポリマー、プラスチック、ケイ素、無機物、半導体材料、セラミック、金属及びそれらの組み合わせから成る群から選択される材料を少なくとも1種含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記混合物を、HCl、HNO3、H2SO4、H3PO4、HBr、HI、ドデシルベンゼンスルホン酸、ラウリルスルホン酸、カンファースルホン酸、有機酸染料、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ポリ(スチレンスルホン酸)、スルホン酸のコポリマー、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、アジピン酸、アゼライン酸、シュウ酸、ポリ(アクリル酸)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(メタクリル酸)及びカルボン酸のコポリマー並びにそれらの組み合わせから成る群から選択される化合物を少なくとも1種含むドーパントとさらに反応させる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記混合物を、Na、K、Li、Ca、I2、(PF6-、(SbF6-、及びFeCl3から成る群から選択される化合物を少なくとも1種含むドーパントとさらに反応させる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
次の段階を含む導電性ポリマーの生成方法;
下記を含む混合物を準備する段階;
下記構造を有するモノマー成分:
【化2】

(式中、ZはSe、S、O、NR1又はPR1であり、ここでR1は、水素、アルキルアリール、アリールアルキル又はアリールであり;Yは、NH、O、C(R)2、N(R)2及びSから成る群から独立して選択され;Xは、O、S、Se又はNHから成る群から独立して選択され;W及びW’は、H、ハロゲン原子、有機金属、ボロン酸、ボロン酸エステル、ビニル単位、−S−COR4及び−COR4から成る群から独立して選択され;Rは、置換又は未置換のC1〜C4アルキル基から成る群から独立して選択され;そしてR4は、H又はC1〜6のアルキル、−C≡CH、及び重合性芳香環から成る群から独立して選択される);
溶媒;及び
酸化剤:
前記混合物を、十分な時間の間、そして十分な温度において反応させ、導電特性を有するポリマーを生成させる段階。
【請求項12】
前記混合物を、約5分〜約48時間反応させる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記混合物を、約20℃〜約250℃の温度において保持する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒が、脂肪族アルコール、脂肪族ケトン、脂肪族カルボン酸エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、塩素化炭化水素、脂肪族ニトリル、脂肪族スルホキシド及びスルホン、脂肪族カルボキサミド、脂肪族の及びアルアリファチックエーテル、それらの水溶液及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記酸化剤が、鉄(III)塩、H22、K2Cr27、アルカリパースルフェート、過硫酸アンモニウム、アルカリパーボレート、過マンガン酸カリウム、銅塩、ヨウ素、空気及び酸素から成る群から選択される化合物を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記混合物を基板に適用する段階をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記基板が、ガラス、有機ポリマー、プラスチック、ケイ素、無機物、半導体材料、セラミック、金属及びそれらの組み合わせから成る群から選択される材料を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記混合物を、HCl、HNO3、H2SO4、H3PO4、HBr、HI、ドデシルベンゼンスルホン酸、ラウリルスルホン酸、カンファースルホン酸、有機酸染料、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ポリ(スチレンスルホン酸)、スルホン酸のコポリマー、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、アジピン酸、アゼライン酸、シュウ酸、ポリ(アクリル酸)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(メタクリル酸)及びカルボン酸のコポリマー並びにそれらの組み合わせから成る群から選択されるドーパント化合物とさらに反応させる、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記混合物を、Na、K、Li、Ca、I2、(PF6-、(SbF6-、及びFeCl3から成る群から選択されるドーパント化合物とさらに反応させる、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
次の段階を含む導電性ポリマーの生成方法:
下記を含む混合物を準備する段階:
下記構造を有するモノマー成分:
【化3】

(式中、ZはSe、S、O、NR1又はPR1であり、ここでR1は、水素、アルキルアリール、アリールアルキル又はアリールであり;Yは、NH、O、C(R)2、N(R)2及びSから成る群から独立して選択され;Xは、O、S、Se又はNHから成る群から独立して選択され;W及びW’は、H、ハロゲン原子、有機金属、ボロン酸、ボロン酸エステル、ビニル単位、−S−COR4及び−COR4から成る群から独立して選択され;Rは、置換又は未置換のC1〜C4アルキル基から成る群から独立して選択され;そしてR4は、H又はC1〜6のアルキル、−C≡CH、及び重合性芳香環から成る群から独立して選択される);
電解質:
前記混合物を電解質セルと接して置く段階;
前記混合物を通して電流を供給し、前記モノマーを重合する段階。
【請求項21】
前記混合物を基板に適用する段階をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記基板が、ガラス、有機ポリマー、プラスチック、ケイ素、無機物、半導体材料、セラミック、金属及びそれらの組み合わせから成る群から選択される材料を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記混合物を、HCl、HNO3、H2SO4、H3PO4、HBr、HI、ドデシルベンゼンスルホン酸、ラウリルスルホン酸、カンファースルホン酸、有機酸染料、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ポリ(スチレンスルホン酸)、スルホン酸のコポリマー、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、アジピン酸、アゼライン酸、シュウ酸、ポリ(アクリル酸)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(メタクリル酸)及びカルボン酸のコポリマー並びにそれらの組み合わせから成る群から選択されるドーパント化合物とさらに反応させる、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記混合物を、Na、K、Li、Ca、I2、(PF6-、(SbF6-、及びFeCl3から成る群から選択されるドーパント化合物とさらに反応させる、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
下記を含む組成物;
下記構造を有するポリマー:
【化4】

(式中、nは4超の整数であり;Zは、Se、S、O、NR1又はPR1から成る群から選択される要素を少なくとも1つ含み、ここでR1は、水素、アルキルアリール、アリールアルキル又はアリールであり;Yは、NH、O、C(R)2、N(R)2及びSから成る群から独立して選択される要素を少なくとも1つ含み;Xは、O、S、Se又はNHから成る群から独立して選択され;Eは、官能性又は非官能性末端基から独立して選択される要素を少なくとも1つ含み;そしてRは、置換又は未置換のC1〜C4アルキル基から成る群から独立して選択される要素を少なくとも1つ含む)。
【請求項26】
水性分散液を含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
基板をさらに含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記基板が、ガラス、有機ポリマー、プラスチック、ケイ素、無機物、半導体材料、セラミック、金属及びそれらの組み合わせから成る群から選択される材料を少なくとも1種含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記基板及びポリマーが、帯電防止コーティングされた基板、導電性コーティングされた基板、エレクトロクロミック素子、光起電性素子、発光ダイオード、フラットパネルディスプレイ、感光回路、印刷回路、薄膜トランジスタ素子、バッテリ、電気スイッチ、コーティングされたコンデンサ、耐蝕性コーティングされた基板、電磁遮へい材料、センサー及び他の光電子素子から成る群から選択される素子を少なくとも1つ形成する、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
形成した前記ポリマーが、電気特性を含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記電気特性が、導電性、半導体性、エレクトロルミネッセンス、エレクトロクロミシティー、光電池特性及びそれらの組み合わせから成る群から選択される特性を少なくとも1つ含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記ポリマーが、下記構造を有する繰返し構造単位をさらに含む、請求項25に記載の組成物:
【化5】

(式中、n及びmは、4超のn+mの総数を有する整数から独立して選択され、そしてZは、Se、S、O、NR1、又はPR1から成る群から選択される要素を少なくとも1つ含み、ここでR1は、水素、アルキルアリール、アリールアルキル、又はアリールを含み;Yは、NH、O、C(R)2、N(R)2及びSから独立して選択される要素を少なくとも1つ含み;Xは、O、S、Se又はNHから成る群から独立して選択される要素を少なくとも1つ含み、そしてEは、官能性又は非官能性末端基から独立して選択される要素を少なくとも1つ含み、Rは、置換又は未置換のC1〜C4アルキル基を少なくとも1種含み、ここで当該コポリマーのn−単位基礎構造及びm−単位基礎構造は、ランダムコポリマー、グラフトコポリマー、ブロックコポリマー、及び樹状構造体から成る群から選択される要素を少なくとも1つ含み、
そして前記構造中のMoは、チエノ[3,4−b]チオフェン及び置換化チオフェンから成る群から選択される要素を少なくとも1つ含む、n−単位基礎構造と共重合性を有する電気活性又は非電気活性モノマーを少なくとも1種含む)。
【請求項33】
前記ポリマーがホモポリマーを少なくとも1種含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項34】
前記ポリマーがブロックコポリマーを少なくとも1種含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項35】
下記構造の重合単位を有するポリマー:
【化6】

(式中、nは4超の整数であり;Zは、Se、S、O、NR1又はPR1から成る群から選択される要素を少なくとも1つ含み、ここでR1は、水素、アルキルアリール、アリールアルキル、又はアリールであり;Yは、NH、O、C(R)2、N(R)2及びSから成る群から独立して選択される要素を少なくとも1つ含み;Xは、O、S、Se又はNHから成る群から独立して選択され;Eは、官能性又は非官能性末端基から成る群から独立して選択される要素を少なくとも1つ含み;そしてRは、置換又は未置換のC1〜C4アルキル基から成る群から独立して選択される要素を少なくとも1つ含む)。
【請求項36】
水性分散液が、微粒子の銅、銀、ニッケル、アルミニウム、カーボンブラック、タルク、マイカ、ウォラストナイト、シリカ、粘土、TiO2、染料、顔料及びそれらの組み合わせから成る群から選択される添加剤少なくとも1種をさらに含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項37】
次の段階を含むポリマーコーティングの生成方法;
下記を含む水性分散液を準備する段階;
下記構造を有するポリマー:
【化7】

(式中、nは4超であり;Zは、Se、S、O、NR1又はPR1であり、ここでR1は水素、アルキルアリール、アリールアルキル、又はアリールであり;Yは、NH、O、C(R)2、N(R)2及びSから成る群から独立して選択され;Xは、O、S、Se又はNHから成る群から独立して選択され;Eは、官能性又は非官能性末端基から独立して選択され;そしてRは、置換又は未置換のC1〜C4アルキル基から成る群から独立して選択される);
前記水性分散液を基板に適用する段階:そして
導電性ポリマーコーティングを生成させるために、前記水性分散液を乾燥する段階。
【請求項38】
前記適用段階が、インクジェット印刷、スクリーン印刷、ロール焼付け、スピンコーティング、メニスカス及びシップ(sip)コーティング、スプレーコーティング、はけ塗り、ブレード塗装、カーテンキャスティング及びそれらの組み合わせから成る群から選択される適用技法の一つを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記乾燥段階が、室温における蒸発を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記乾燥段階が、前記水性分散液を加熱することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
下記を含む電解質コンデンサ;
酸化可能な金属を少なくとも1種含む第一の層;
前記第一の層の表面の少なくとも一部を覆う、前記金属の酸化物を少なくとも1種含む第二の層;及び
下記式:
【化8】

(式中、nは4超であり;Zは、Se、S、O、NR1又はPR1から成る群から選択される要素を少なくとも1つ含み、ここでR1は水素、アルキルアリール、アリールアルキル、又はアリールであり;Yは、NH、O、C(R)2、N(R)2及びSから成る群から独立して選択される要素を少なくとも1つ含み;Xは、O、S、Se又はNHから成る群から独立して選択される要素を少なくとも1つ含み;Eは、官能性の又は非官能性の末端基から独立して選択される要素を少なくとも1つ含み;そしてRは、置換又は未置換のC1〜C4アルキル基から成る群から独立して選択される要素を少なくとも1つ含む)
を有する、前記第二の層の表面の少なくとも一部を覆うポリマーを少なくとも1種含む第三の層。
【請求項42】
前記金属が、アルミニウム、ニオブ及びタンタルから成る群から選択される要素を少なくとも1つ含む、請求項40に記載のコンデンサ。
【請求項43】
導電性材料を含む前記第三の層の表面の少なくとも一部を覆う第四の層をさらに含む、請求項40に記載のコンデンサ。
【請求項44】
前記導電性材料が、銀、銅又はカーボンブラックから成る群から選択される要素を少なくとも1つ含む、請求項42に記載のコンデンサ。

【公開番号】特開2008−31430(P2008−31430A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−146991(P2007−146991)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】