説明

導電性塗膜形成剤、その製造方法及びそれを用いた成形品

【課題】塗膜形成成分への溶解性を保ちつつ、取り扱いが容易で環境への影響がなく、高温の使用環境においても優れた導電性を有する導電性塗膜形成剤を提供する。
【解決手段】ポリオール構造を有する塗膜形成成分と、(FSON・Xで表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類から選択された少なくとも1種の化合物と、を含むことを特徴とする導電性塗膜形成剤を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性塗膜形成剤、その製造方法及びそれを用いた成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、過塩素酸リチウムなどのアルカリ金属塩を樹脂等からなる塗膜形成成分に含ませて導電性を付与した樹脂組成物を帯電防止性の塗料として、各種合成樹脂の成形品、フィルムまたはシートなどに塗布して塗膜を形成し、成形物の面の帯電を防止する方法が知られている。
【0003】
しかしながら、過塩素酸リチウムなどのアルカリ金属塩は、樹脂等からなる塗膜形成成分に対する溶解性が乏しく、均一な樹脂組成物を調製することが困難であるという問題があった。また、過塩素酸リチウムのアルカリ金属塩を重合性モノマーに溶解させる場合、溶解時に発熱するので、モノマーが重合を開始し、均一な塗膜の形成が困難であるという問題があった。さらに、アルコール類やエーテル系の化合物を溶媒にする場合、発熱、発火の危険性があるため、取り扱い上、特段の注意が必要であった。
【0004】
そこで、近年、導電性を付与するために、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸リチウムやトリス(トリスフルオロメタンスルホニル)メタン酸リチウム等のフッ素系有機アニオン塩類を樹脂等からなる塗膜形成成分に含ませた樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。上記フッ素系有機アニオン塩類によれば、従来の過塩素酸リチウムなどのアルカリ金属塩に比べて、塗膜形成成分に対する溶解性が高く、溶媒への溶解時に発熱や発火の危険性がなく、比較的に良好な導電性を塗膜に付与することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−411942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムやトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン酸リチウム等のフッ素系有機アニオン塩類は、吸湿性が高いため、製造工程においてハンドリングが困難であるという問題があった。また、近年有機フッ素化合物は炭素−フッ素間の強い結合に由来する難分解性により、環境残留性、生体蓄積性等の環境への影響が懸念されている。さらに、上記フッ素系有機アニオン塩類は、製造コストが高く、導電性を付与するための添加量が多いため、より安価な導電付与材料が望まれていた。
【0007】
更にまた、近年では、塗膜が形成された各種合成樹脂の形成品、フィルムまたはシート等は、車載用途への適用や電化製品の内部構造における使用等が検討されており、高温の使用環境においてブリードによる導電性能の低下や、長期間の使用による導電性能の低下のない導電性樹脂組成物の開発が望まれていた。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、塗膜形成成分への溶解性を保ちつつ、取り扱いが容易で環境への影響がなく、高温の使用環境及び長期間の使用においても優れた導電性を有する導電性塗膜形成剤、その製造方法及びそれを用いた成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1] ポリオール構造を有する塗膜形成成分と、下記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類から選択された少なくとも1種の化合物とを含むことを特徴とする導電性塗膜形成剤。
(FSON・X ・・・(1)
但し、上記式(1)において、Xは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム、アルキルアンモニウム、アルキルホスホニウムからなる群から選ばれた陽イオンのいずれか一種である。
[2] 上記式(1)で表されるXが、Li,Na,Kのいずれか一種の元素であることを特徴とする前項[1]に記載の導電性塗膜形成剤。
[3] 上記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類から選択された少なくとも一種の化合物中のフッ素イオンの含有量が、100ppm以下であることを特徴とする前項[1]又は[2]に記載の導電性塗膜形成剤。
[4] 上記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類から選択された少なくとも一種の化合物中のフッ素イオンの含有量が、20ppm以下であることを特徴とする前項[1]又は[2]に記載の導電性塗膜形成剤。
[5] 前記ポリオール構造を有する塗膜形成成分が、(メタ)アクリレート、ウレタン、ウレタンアクリレートの少なくとも一種を含むことを特徴とする前項[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の導電性塗膜形成剤。
[6] 上記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類から選択された少なくとも一種の化合物が、前記ポリオール構造を有する塗膜形成成分100質量部に対し、0.01〜30.0質量部含まれていることを特徴とする前項[1]乃至[5]のいずれか一項に記載の導電性塗膜形成剤。
[7] 前項[1]乃至[6]のいずれか一項に記載の導電性塗膜形成剤を、水又は有機溶媒で希釈することを特徴とする導電性塗膜形成剤。
[8] 前項[1]乃至[6]のいずれか一項に記載の導電性塗膜形成剤を、水、有機溶媒、重合性モノマー、プレポリマー、オリゴマー、ポリマーからなる群のうち1種又は2種以上の組み合わせに添加することを特徴とする導電性塗膜形成剤。
[9] 前記重合性モノマー、プレポリマー、オリゴマー、ポリマーが、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂であることを特徴とする前項[8]に記載の導電性塗膜形成剤。
[10] 前項[8]又は[9]に記載の導電性塗膜形成剤の製造方法であって、上記式(1)で示されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類から選択された少なくとも一種の化合物を、前記ポリオール構造を有する塗膜形成成分に溶解させた後に、水、有機溶媒、重合性モノマー、プレポリマー、オリゴマー、ポリマーからなる群のうち1種又は2種以上の組み合わせに添加することを特徴とする導電性塗膜形成剤の製造方法。
[11] 前項[1]乃至[9]のいずれか一項に記載の導電性塗膜形成剤からなる塗膜が形成されていることを特徴とする成形品。
【発明の効果】
【0010】
本発明の導電性塗膜形成剤によれば、上記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類から選択された少なくとも1種の化合物がポリオール構造を有する塗膜形成成分に対する溶解性に優れるため、カチオンが均一に分散された導電性塗膜形成剤を得ることができる。また、上記ビス(フルオロスルホニル)イミド塩類は吸湿性が小さいため、塗膜形成時のハンドリング性に優れ、取り扱いが容易となる。さらに、上記ビス(フルオロスルホニル)イミド塩類は、炭素−フッ素結合を有さない無機化合物であるため、環境残留性、生体蓄積性への懸念が低い導電性塗膜形成剤を提供することができる。
【0011】
また、本発明の導電性塗膜形成剤によれば、上記ビス(フルオロスルホニル)イミド塩類中のフッ素イオンの含有量が、100ppm以下である場合には、導電性の耐久性を向上させることができる。フッ素イオンの含有量が20ppm以下であれば、さらに導電性の耐久性に優れる。
【0012】
本発明の導電性塗膜形成剤の製造方法によれば、上記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類から選択された少なくとも1種の化合物が発熱や発火の危険性がないため、導電性塗膜形成剤の製造が容易となる。これにより、導電性塗膜形成剤を生産性良く製造することができる。
【0013】
本発明の導電性塗膜形成剤を用いた成形品によれば、上記ビス(フルオロスルホニル)イミド塩類の融点が高いため、高温の使用環境においても塗膜からにじみ出ることがなく、ブリードが防止されて優れた導電性を有する塗膜が形成された成形品を得ることができる。また、上記ビス(フルオロスルホニル)イミド塩類中のフッ素イオンの含有量が100ppm以下である場合には、長期間の使用においても優れた導電性を有する塗膜が形成された成形品を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の導電性塗膜形成剤について詳細に説明する。
本発明の導電性塗膜形成剤は、ビス(フルオロスルホニル)イミド塩類と、ポリオール構造を有する塗膜形成成分とを少なくとも含有して構成されている。また、本発明の導電性塗膜形成剤には、水、有機溶媒、重合性モノマー、プレポリマー、オリゴマー、ポリマー等の副成分や、光重合開始剤等のその他の成分が含まれていてもよい。
【0015】
ビス(フルオロスルホニル)イミド塩類としては、下記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類から選択された少なくとも1種の化合物が含有されている。
(FSON・X ・・・(1)
【0016】
上記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類においてカチオン成分Xは、特に制限されるものではなく、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム、アルキルアンモニウム、アルキルホスホニウムからなる群から選ばれた陽イオンのいずれか一種を適用することができる。また、本発明のビス(フルオロスルホニル)イミド塩類におけるカチオン成分Xは、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)のいずれか一種の元素であることが特に好ましい。すなわち、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム塩、ビス(フルオロスルホニル)イミドナトリウム塩、ビス(フルオロスルホニル)イミドカリウム塩は、融点が高いため、導電性塗膜形成剤を塗膜にしたときに、高温での使用時においても塗膜から滲み出ることがなく、耐ブリード性を有するため好ましい。
【0017】
なお、本発明において耐ブリード性とは、100℃で10分間加熱してから、綿製の布で塗膜表面を強く、20回拭き取った場合に、塗膜表面の表面抵抗が拭き取り前後で変化しない性質をいうものとする。
【0018】
また、本発明において上記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類は、フッ素イオン等の不純物が少ないことが好ましい。具体的には、上記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類中のフッ素イオンの含有量が、100ppm以下であることが好ましく、20ppm以下であることがより好ましい。上記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類中のフッ素イオンの含有量を100ppm以下とすることにより、導電性の耐久性を向上させることができる。
【0019】
ここで、上記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類中のフッ素イオンの含有量は、例えばイオンクロマトグラフィー法により測定された値をいうものとする。イオンクロマトグラフィー法によるフッ素イオンの含有量の測定は、具体的には、次のようにして行なうことができる。
先ず、試料0.5gをイオン交換水50mLに溶解し、測定用試料を調製する。次に、試料中のフッ素イオン含有量の測定は、例えば、DIONEX社製のイオンクロマトグラフィーシステムICS−2000(カラム:IonPacAS19、検出器:電気伝導度検出器)を用い、20mmol/Lの水酸化カリウム溶液を溶離液(流量1.0ml/min)として行う。
【0020】
塗膜形成成分は、ポリオール構造を有する塗膜形成成分である。ポリオール構造を有する塗膜形成成分としては、(メタ)アクリレート、ウレタン、ウレタンアクリレートの少なくとも一種を含むことが特に好ましい。なお、上記(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートを総称して「(メタ)アクリレート」と表記するものである。
【0021】
ここで、ポリオール構造を有する(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリル酸とポリエーテルポリオール類とが結合したものをいい、ポリオール構造を有するウレタンとは、ジイソシアネート類とポリエーテルポリオール類が結合したものをいい、ポリオール構造を有するウレタンアクリレートとは、ウレタンの分子末端に(メタ)アクリル酸が結合したものをいう。
【0022】
上記ポリエーテルポリオール類としては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコールとポリオキシプロピレングリコールのブロック共重合体などが挙げられる。
【0023】
上記ジイソシアネート類としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルイソシアネート等が挙げられる。
【0024】
上記ウレタンアクリレートでウレタンの末端に結合させるアクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ブタンジオールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート等が挙げられる。
【0025】
上記ポリオール構造を有する(メタ)アクリレートには、ポリオキシアルキレン鎖を有する他の光重合性モノマーを用いることができる。ポリオキシアルキレン鎖を有する他の光重合性モノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】
本発明では、導電性塗膜形成剤中に含まれるポリオール構造を有する塗膜形成成分100質量部に対して、上記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類から選択された少なくとも1種の化合物が、0.01〜30.0質量部含まれていることが好ましく、0.05〜20.0質量部含まれていることがより好ましく、0.1〜10.0質量部含まれていることがさらに好ましい。ここで、上記ビス(フルオロスルホニル)イミド塩類から選択された少なくとも1種の化合物が0.01質量部未満であると、導電性の効果が充分に得られないために好ましくない。一方、30.0質量部を超えると、導電性塗膜形成剤を塗膜にしたときに、高温での使用時において塗膜から滲み出してブリードしたり、相分離したりするため好ましくない。これに対して、上記質量部の範囲であれば、高温の使用環境においても塗膜からにじみ出ることがなく、耐ブリード性を備えると共に優れた導電性を有する導電性塗膜形成剤となる。
【0027】
また、本発明の導電性塗膜形成剤には、水、有機溶媒、重合性モノマー、プレポリマー、オリゴマー、ポリマー等の副成分を添加することができる。
【0028】
上記有機溶媒としては、種々の有機溶剤を用いることができる。具体的には、例えばメタノール、エタノール、i−プロパノール、n−ブタノール、n−オクタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピルグリコールモノメチルエーテル、プロピルグリコールモノエチルエーテル等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステルまたはラクトン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミドまたはラクタム等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0029】
上記重合性モノマー、プレポリマー、オリゴマー、ポリマー等としては、アクリレート、メタクリレート、スチレン誘導体、アミド基を有する化合物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリアセタール等の重合性モノマー、プレポリマー又はオリゴマー、ポリマー等を含む組成物を用いることができる。また、これらは1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
具体的には、単官能(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(n=2)(メタ)アクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキサイド変性(n=2.5)(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート等のフタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート又はその4級化物、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート又はその4級化物、フルフリル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートモノエステル等のモノマー類や、単官能ウレタン(メタ)アクリレート、単官能エポキシ(メタ)アクリレート、単官能ポリエステル(メタ)アクリレート等のオリゴマー類が挙げられる。
【0031】
2官能(メタ)アクリレートとしては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エポキシ)付加物ジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート等のモノマー類や、2官能ウレタン(メタ)アクリレート、2官能エポキシ(メタ)アクリレート、2官能ポリエステル(メタ)アクリレート等のオリゴマー類が挙げられる。
【0032】
多官能(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のモノマー類や、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、多官能エポキシ(メタ)アクリレート、多官能ポリエステル(メタ)アクリレート等のオリゴマー類が挙げられる。
【0033】
上記スチレン誘導体としては、例えば、p−tert−ブトキシスチレン、m−tert−ブトキシスチレン、p−アセトキシスチレン、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン、p−メトキシスチレン、4−ビニル安息香酸等が挙げられる。
また、上記アミド基を有する化合物としては、例えば、アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド等が挙げられる。
【0034】
上記ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)や不飽和ポリエステル等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、グリシジルエーテル系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環族系エポキシ樹脂、ポリグリシジルエステル系エポキシ樹脂、ポリグリシジルアミン系エポキシ樹脂、メチルエピクロ型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0035】
また、本発明の導電性塗膜形成剤の副成分には、プレポリマーとして、上述した塗膜形成成分を用いることができる。なお、上記副成分は、導電性塗膜形成剤の製造時において、上記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類から選択された少なくとも一種の化合物を含む導電性塗膜形成剤の希釈剤として用いることもできる。
【0036】
本発明のその他の成分としては、光重合開始剤等を用いることができる。特に、導電性塗膜形成剤中にアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂などの光硬化性化合物を含有する場合であって、紫外線等で重合硬化させる場合には光重合開始剤を導電性塗膜形成剤に含ませることが好ましい。
【0037】
光重合開始剤には、種々の光重合開始剤を用いることができる。具体的には、例えば、ベンゾフェノン、4−メチル−ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン等のモノカルボニル化合物、ベンザイル、2−エチルアントラキノン、9,10−フェナントレンキノン、メチル−α−オキソベンゼンアセテート、4−フェニルベンザイル等のジカルボニル化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のアセトフェノン化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイゾブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のエーテル化合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−n−プロピルフェニル−ジ(2,6−ジクロロベンゾイル)ホスフィンオキシド等のアシルフォスフィンオキシド化合物、メチル−4−(ジメトキシアミノ)ベンゾエート、エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート等のアミノカルボニル化合物などが使用できる。また、光重合開始剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。さらに、重合速度を向上させるために、光重合開始剤に1種又は2種以上の光反応開始助剤や光増感剤を併用してもよい。
【0038】
本発明において、導電性塗膜形成剤中のポリオール構造を有する塗膜形成成分及び上記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類から選択された少なくとも1種の化合物の組成比は、導電性塗膜形成剤100質量部に対し、0.1〜100質量部の範囲が好ましく、10.0〜100質量部の範囲がより好ましい。上記ポリオール構造を有する塗膜形成成分及びビス(フルオロスルホニル)イミド塩類が0.1質量部未満であると、導電性の効果が充分に得られないために好ましくない。これに対して、上記質量部の範囲であれば、高温の使用環境においても塗膜からにじみ出ることがなく、均一な塗膜が得られると共に、優れた耐ブリード性及び導電性を有する導電性塗膜形成剤となる。
【0039】
本発明において、導電性塗膜形成剤に対する光重合開始剤の添加量は、特に制限はされないが、ポリオール構造を有する塗膜形成成分100質量部に対して0.1〜20質量部の範囲内で添加することが好ましく、硬化速度、塗膜の硬度という観点から、1〜10質量部の範囲内で添加することが好ましい。
【0040】
また、その他の成分として、染料、顔料、充填剤、シランカップリング剤、接着性改良剤、安定剤、レベリング剤、消泡剤、沈降防止剤、潤滑剤、防錆剤などの添加剤を加えてもよい。
【0041】
本発明の導電性塗膜形成剤は、公知の塗料の形態で用いることができ、例えば、無溶剤塗料、有機溶剤塗料、水系エマルジョン塗料等を挙げることができる。また、有機溶媒塗料として用いる場合には、上記有機溶媒を用いることができる。このように塗料として用いる場合には、該溶媒の添加量としては特に制限がないが、上記ポリオール構造を有する塗膜形成成分及びビス(フルオロスルホニル)イミド塩類の合計1.0質量部に対し、溶媒を0〜20質量部の範囲が好ましく、0〜10質量部の範囲がより好ましい。
【0042】
次に、本発明の導電性塗膜形成剤の製造方法について、以下に説明する。
本発明の導電性塗膜形成剤の製造法の一例として、上記式(1)で示されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類から選択された少なくとも1種の化合物を、ポリオール構造を有する塗膜形成成分に溶解させて導電性塗膜形成剤とする。また、この導電性塗膜形成剤を、水、有機溶媒、重合性モノマー、プレポリマー、オリゴマー、ポリマーからなる群のうち1種又は2種以上の組み合わせからなる溶媒に添加する。さらに、必要に応じてその他の成分(例えば、光重合開始剤)を添加する。これにより、ポリオール構造を有する塗膜形成成分に上記ビス(フルオロスルホニル)イミド塩類が均一に分散された導電性塗膜形成剤を製造することができる。
【0043】
ここで、上記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類から選択された少なくとも1種の化合物として、当該化合物中のフッ素イオンの含有量が100ppm以下であるものを用いる場合には、以下の方法を用いて製造することができる。
なお、上記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類が、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム塩、ビス(フルオロスルホニル)イミドナトリウム塩、ビス(フルオロスルホニル)イミドカリウム塩の場合を例にして、具体的に説明する。
【0044】
先ず、ビス(フルオロスルホニル)イミドとフルオロ硫酸とを含む混合液を入手する。ビス(フルオロスルホニル)イミドとフルオロ硫酸とを含む混合液は、特に限定されるものではないが、尿素(CO(NH)とフルオロ硫酸(FSOH)との反応液であることが好ましい。
次に、上記混合液を水に溶解させて水溶液を調製する。この際、混合液を溶解させる水の量は、混合液の質量部に対して例えば1〜50倍とすることが好ましい。
【0045】
次に、上記水溶液を速やかにアルカリ水溶液で中和して中和液を調製する。これにより、ビス(フルオロスルホニル)イミド塩((FSON・M)とフルオロ硫酸塩(FSO・M)とが生成する。なお、水溶液の中和は、例えばpH4〜10の範囲となるまで行うことが好ましい。また、上記水溶液の中和に用いるアルカリとしては、例えばMOH、MCO、MHCOのいずれか一種の水溶液が好ましい。但し、上記カチオンMは、Na,K,Liのいずれか一種である。
【0046】
次に、上記中和液からビス(フルオロスルホニル)イミド塩を単離する。ここで、ビス(フルオロスルホニル)イミド塩の中和液への溶解度が低い場合には、分液(液体として分離する場合)や濾過(固体として析出する場合)等の分離操作によって中和液からビス(フルオロスルホニル)イミド塩を単離することができる。一方、ビス(フルオロスルホニル)イミド塩が中和液に溶解している場合には、酢酸エチル等の有機溶剤を用いることにより中和液からビス(フルオロスルホニル)イミド塩を抽出することができる。このようにして、上記中和液からビス(フルオロスルホニル)イミド塩のみを単離して、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム塩、ビス(フルオロスルホニル)イミドナトリウム塩、ビス(フルオロスルホニル)イミドカリウム塩を製造することができる。
上記方法により製造された上記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類から選択された少なくとも1種の化合物は、当該化合物中のフッ素イオンの含有量が100ppm以下となる。
【0047】
また、本発明の導電性塗膜形成剤の製造方法の別の例として、副成分にポリオール構造を有する塗膜形成成分を用いても良い。この場合、ポリオール構造を有する塗膜形成成分に対して、上記ビス(フルオロスルホニル)イミド塩類を溶解させてから、副成分としてのポリオール構造を有する塗膜形成成分に添加し、さらに、その他の成分として光重合開始剤を添加することが好ましい。なお、導電性塗膜形成剤において、ポリオール構造を有する塗膜形成成分100質量部に対して上記ビス(フルオロスルホニル)イミド塩類が0.01〜30.0質量部の範囲とし、ポリオール構造を有する塗膜形成成分100質量部に対して光重合開始剤が0.1〜20質量部の範囲内とすることが好ましい。この製造方法により、ポリオール構造を有する塗膜形成成分に上記ビス(フルオロスルホニル)イミド塩類をより均一に分散させることができる。
【0048】
さらに、本発明の導電性塗膜形成剤の製造方法の別の例として、上記ビス(フルオロスルホニル)イミド塩類を直接塗膜形成成分に添加しても良い。
【0049】
次に、本発明の導電性塗膜形成剤を用いた成形品について、以下に説明する。本発明の成形品は、導電性塗膜形成剤からなる塗膜が形成されて構成されている。
【0050】
成形品の基材としては、ガラス又は公知な樹脂からなるフィルムまたはシートを用いることができる。上記基材の表面に導電性塗膜形成剤が溶解された塗料を塗布した後、乾燥、硬化させることにより、導電性を有する塗膜が形成される。
【0051】
本発明の成形品は、帯電防止性に優れた塗膜が形成されているため、防塵シート、除電マット及び帯電防止床材などの導電性シート、帯電防止フィルム、帯電防止剥離フィルム、各種ディスプレイの帯電防止剤、粘着剤、導電性塗料、導電性コーティング剤等に適用することが可能であり、長期間安定した特性を持続できる。また、耐熱性、高温時の耐ブリード性にも優れているので車載用の素材としても好適に適用することができる。
【実施例】
【0052】
以下、実施例によって本発明の効果をさらに詳細に説明する。なお、本発明は実施例によって、なんら限定されるものではない。なお実施例中、「部」は「質量部」を表す。
【0053】
<評価試験1>
(実施例1)
ビス(フルオロスルホニル)イミド塩として、イオンクロマトグラフィー法により測定したフッ素イオン含有量が12ppmであるカリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(以下、「K−FSI」と略記する。)5部を、ウレタンアクリレート(アクロイル基数5(1分子中)、有効成分80部、DIC株式会社製、ユニディック17−806)95部に添加して混合し、次いで、光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン5部を添加して、実施例1の導電性塗膜形成剤を得た。
【0054】
次に、上記導電性塗膜形成剤をバーコーターにてポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布した後、1600mJ/cm相当の紫外線を10秒間照射し、膜厚が10〜20μmの塗膜を得た。この塗膜の表面抵抗率(以下、単に「表面抵抗」という)を、表面抵抗測定機(三菱化学(株)製、HT−450)を用いて測定した結果、1×1011Ω/sq.であった(表1参照)。
【0055】
(実施例2)
ビス(フルオロスルホニル)イミド塩として、イオンクロマトグラフィー法により測定したフッ素イオン含有量が18ppmであるリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(以下、「Li−FSI」と略記する。)を用いて、実施例1と同様に導電性塗膜形成剤を製造し、塗膜を得た。この塗膜の表面抵抗を測定した結果、1×1011Ω/sq.であった(表1参照)。
【0056】
(比較例1)
実施例1と同じウレタンアクリレート100部に光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン5部を添加して、比較例1の導電性塗膜形成剤を得た。次に、実施例1と同様にして塗膜を形成し、この塗膜の表面抵抗を測定した結果、1×1014Ω/sq.以上であった(表1参照)。
【0057】
(比較例2)
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩としてリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、「Li−TFSI」と略記する。)を用いて、実施例1と同様に導電性塗膜形成剤を製造し、塗膜を得た。この塗膜の表面抵抗を測定した結果、2×1012Ω/sq.であった(表1参照)。
【0058】
【表1】

【0059】
表1に示すように、比較例1では、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にウレタンアクリレートのみの被膜を形成した場合に、表面抵抗が1×1014Ω/sq.以上であることが確認された。また、イミド塩にLi−TFSIを用いた比較例2では、表面抵抗が比較例1よりも低下することが確認された。これに対して、実施例1及び実施例2では、表面抵抗が比較例2よりも低いことが確認された。以上より、ポリウレタンアクリレートからなる塗膜形成成分に含有されたビス(フルオロスルホニル)イミド塩は、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩よりも表面抵抗を低下させることが確認された。
【0060】
<評価試験2>
(実施例3)
ビス(フルオロスルホニル)イミド塩として、イオンクロマトグラフィー法により測定したフッ素イオン含有量が5ppmであるK−FSIを20部、ポリエチレングリコールジメタクリレート(オキシエチレン単位4)80部に溶解させて希釈液としてから、この希釈液2部をK−FSIを含有していないポリエチレングリコールメタクリレート(オキシエチレン単位4)98部に添加して混合し、次いで、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール4部を添加して、実施例3の導電性塗膜形成剤を得た。
【0061】
次に、上記導電性塗膜形成剤をバーコーターにてポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布した後、1600mJ/cm相当の紫外線を10秒間照射し、膜厚が30〜40μmの塗膜を得た。この塗膜の表面抵抗を、表面抵抗測定機(三菱化学(株)製、HT−450)を用いて測定した結果、1×10Ω/sq.であった(表2参照)。
【0062】
(実施例4)
ビス(フルオロスルホニル)イミド塩として、イオンクロマトグラフィー法により測定したフッ素イオン含有量が11ppmであるLi−FSIを用いて、実施例3と同様に導電性塗膜形成剤を製造し、塗膜を得た。この塗膜の表面抵抗を測定した結果、1×10Ω/sq.であった(表2参照)。
【0063】
(実施例5)
ビス(フルオロスルホニル)イミド塩として、イオンクロマトグラフィー法により測定したフッ素イオン含有量が12ppmであるアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド(以下、「NH−FSI」と略記する。)を用いて、実施例3と同様に導電性塗膜形成剤を製造し、塗膜を得た。この塗膜の表面抵抗を測定した結果、2×10Ω/sq.であった(表2参照)。
【0064】
(比較例3)
K−FSIを含有していないポリエチレングリコールメタクリレート(オキシエチレン単位4)100部に光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール4部を添加して、比較例3の導電性塗膜形成剤を得た。次に、実施例3と同様にして塗膜を形成し、この塗膜の表面抵抗を測定した結果、6×1011Ω/sq.であった(表2参照)。
【0065】
(比較例4)
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩としてLi−TFSIを用いて、実施例3と同様に導電性塗膜形成剤を製造し、塗膜を得た。この塗膜の表面抵抗を測定した結果、8×1010Ω/sq.であった(表2参照)。
【0066】
【表2】

【0067】
表2に示すように、比較例3では、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリエチレングリコールメタクリレートのみの被膜を形成した場合に、表面抵抗が高いことが確認された。また、イミド塩にLi−TFSIを用いた比較例4では、表面抵抗が比較例3よりも低くなることが確認された。これに対して、実施例3〜5では表面抵抗が比較例4よりも低いことが確認された。以上より、ポリエチレングリコールメタクリレートからなる塗膜形成成分に含有されたビス(フルオロスルホニル)イミド塩は、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩よりも表面抵抗を低下させることが確認された。
【0068】
<評価試験3>
(実施例6)
ビス(フルオロスルホニル)イミド塩として、イオンクロマトグラフィー法により測定したフッ素イオン含有量が9ppmであるカリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(以下、「K−FSI」と略記する。)20部を、オキシエチレン単位が異なる3種のポリエチレングリコールジメタクリレート(オキシエチレン単位9、14、23)80部に溶解させて希釈液としてから、この希釈液2部をK−FSIを含有していないポリエチレングリコールメタクリレート(オキシエチレン単位9、14、23)98部に添加して混合し、次いで、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール4部を添加して、実施例6の導電性塗膜形成剤を得た。
【0069】
次に、上記導電性塗膜形成剤をバーコーターにてポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布した後、1600mJ/cm相当の紫外線を10秒間照射し、膜厚が20〜30μmの塗膜を得た。この塗膜の表面抵抗を、表面抵抗測定機(三菱化学(株)製、HT−450)を用いて測定した結果、5×10Ω/sq.(オキシエチレン単位9)、4×10Ω/sq.(オキシエチレン単位14)、4×10Ω/sq.(オキシエチレン単位23)であった。また、この塗膜を温度100℃で10分間加熱し、綿製の布で強く20回表面を拭き取った後に再度測定した結果、表面抵抗に変化は見られなかった。なお、結果は、表3に表す。
【0070】
(実施例7)
ビス(フルオロスルホニル)イミド塩として、イオンクロマトグラフィー法により測定したフッ素イオン含有量が2ppmであるリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(以下、「Li−FSI」と略記する。)を用いて、実施例6と同様に導電性塗膜形成剤を製造し、塗膜を得た。この塗膜の表面抵抗を測定した結果、4×10Ω/sq.(オキシエチレン単位9)、5×10Ω/sq.(オキシエチレン単位14)、4×10Ω/sq.(オキシエチレン単位23)であった。また、この塗膜を温度100℃で10分間加熱し、綿製の布で強く20回表面を拭き取った後に再度測定した結果、表面抵抗に変化は見られなかった。なお、結果は、表3に表す。
【0071】
(比較例5)
ビス(フルオロスルホニル)イミド塩として1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(以下、「EMImFSI」と略記する。)を用いて、実施例6と同様に導電性塗膜形成剤を製造し、塗膜を得た。この塗膜の表面抵抗を測定した結果、5×10Ω/sq.(オキシエチレン単位9)、3×10Ω/sq.(オキシエチレン単位14)、2×10Ω/sq.(オキシエチレン単位23)であった。また、この塗膜を温度100℃で10分間加熱し、綿製の布で強く20回表面を拭き取った後に再度測定した結果、表面抵抗は1×1010Ω/sq.(オキシエチレン単位9)、2×10Ω/sq.(オキシエチレン単位14)、1×10Ω/sq.(オキシエチレン単位23)となり、表面抵抗の上昇が認められた。なお、結果は、表3に表す。
【0072】
【表3】

【0073】
表3に示すように、比較例5では、実施例6及び実施例7に比べ、いずれのオキシエチレン単位においても表面抵抗が高いことが確認された。また、塗膜を温度100℃で10分間加熱し、綿製の布で強く20回表面を拭き取った後に再度測定するといずれのオキシエチレン単位の結果も表面抵抗が上昇することから、100℃の温度でブリードが生じたものと考えられる。
【0074】
また、実施例6及び実施例7では、ビス(フルオロスルホニル)イミド塩の添加量が比較的少量に関わらず、表面抵抗を低下させることが確認された。さらに、実施例6及び実施例7では、塗膜を温度100℃で10分間加熱し、綿製の布で強く20回表面を拭き取った後に再度測定しても表面抵抗が変化しないことから、優れた耐ブリード性を有していることが確認された。
【0075】
<評価試験4>
(実施例8)
数平均分子量2000の両末端水酸基のポリテトラメチレンエーテルグリコール100部に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート125部およびメチルエチルケトン260部(イオンクロマトグラフィー法により測定したフッ素イオン含有量が12ppmであるK−FSI 10部溶解品)の割合で加えて、80℃で1時間反応させ、濃度30重量%のポリウレタン溶液を得た。この液をバーコーターにてポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、60℃の乾燥機で2時間加熱した後、塗膜を得た。この塗膜の膜厚をマイクロメータ(MITUTOYO製)で測定した結果、10μmであった。この塗膜の表面抵抗を、表面抵抗測定機(三菱化学(株)製、HT−450)を用いて測定した結果、1×1010Ω/sq.であった。
【0076】
(比較例6)
上記実施例8と同様に、数平均分子量2000の両末端水酸基のポリテトラメチレンエーテルグリコール100部に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート125部およびメチルエチルケトン260部の割合で加えて、80℃で1時間反応させ、濃度30重量%のポリウレタン溶液を製造し、塗膜を得た。この塗膜の表面抵抗を測定した結果、1×1014Ω/sq.以上であった。
【0077】
【表4】

【0078】
表4に示すように、比較例6では、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリウレタンのみの被膜を形成した場合に、表面抵抗が高いことが確認された。これに対して、実施例8では表面抵抗が比較例6よりも低いことが確認された。以上より、ポリウレタンからなる塗膜形成成分に含有されたビス(フルオロスルホニル)イミド塩は、表面抵抗を低下させることが確認された。
【0079】
<評価試験5>
(実施例9)
ビス(フルオロスルホニル)イミド塩として、イオンクロマトグラフィー法により測定したフッ素イオン含有量が7ppmである
K−FSIを10部、メチルエチルケトン90部に溶解させて希釈液とし、この希釈液8部をポリエーテル系ウレタン(有効成分35部、DIC株式会社製、ハイドランWLS−201)92部に添加し、導電性樹脂組成物を得た。この組成物をバーコーターにてポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、105℃で乾燥させた後、塗膜を得た。この塗膜の膜厚をマイクロメータ(MITUTOYO製)で測定した結果、20μmであった。この塗膜の表面抵抗を、表面抵抗測定機(三菱化学(株)製、HT−450)を用いて測定した結果、1×1010Ω/sq.であった。
【0080】
(比較例7)
上記実施例9と同様に、ポリエーテル系ウレタンで塗膜を形成した。この塗膜の表面抵抗を測定した結果、1×1014Ω/sq.以上であった。
【0081】
(比較例8)
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩としてLi−TFSIを用いて、実施例9と同様に導電性樹脂組成物を製造し、塗膜を得た。この塗膜の表面抵抗を測定した結果、8×1010Ω/sq.であった。
【0082】
(比較例9)
ビス(フルオロスルホニル)イミド塩として、EMImFSIを用いて、実施例9と同様に導電性樹脂組成物を製造し、塗膜を得た。この塗膜の表面抵抗を測定した結果、8×1010Ω/sq.であった。
【0083】
【表5】

【0084】
表5に示すように、比較例7では、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリエーテル系ウレタンのみの被膜を形成した場合に、表面抵抗が高いことが確認された。また、イミド塩にLi−TFSIを用いた比較例8及びEMImFSIを用いた比較例9では、表面抵抗が比較例7よりも低くなることが確認された。これに対して、実施例9では表面抵抗が比較例8及び比較例9よりも低いことが確認された。以上より、ポリエーテル系ウレタンからなる塗膜形成成分に含有されたビス(フルオロスルホニル)イミド塩は、表面抵抗を低下させることが確認された。
【0085】
<評価試験5>
(実施例10)
実施例1で得た塗膜を、温度60℃、相対湿度90%の条件下に1000時間放置した。その後、表面抵抗を測定し、耐久性を確認したところ、1×1011Ω/sq.で変化はなかった。
【0086】
(実施例11)
実施例1で使用したK−FSIを、イオンクロマトグラフィー法により測定したフッ素イオン含有量が58ppmであるK−FSIに変え、同様に耐久性試験を実施したところ、1000時間後の表面抵抗は3×1011Ω/sq.であった。
【0087】
(比較例10)
実施例1で使用したK−FSIを、イオンクロマトグラフィー法により測定したフッ素イオン含有量が116ppmであるK−FSIに変え、同様に耐久性試験を実施したところ、1000時間後の表面抵抗は1×1012Ω/sq.であった。
【0088】
上記結果より、比較例10では、K−FSI中のフッ素含有量が116ppmであり、1000時間後の表面抵抗が大きく上昇した。これに対して、実施例11では、K−FSI中のフッ素含有量が100ppm以下であるため、1000時間後の表面抵抗の上昇はわずかであった。さらに、実施例10では、K−FSI中のフッ素含有量が20ppm以下であるため、1000時間後の表面抵抗の上昇は確認されなかった。以上より、フッ素イオンの含有量が100ppm以下のK−FSIを用いた塗膜は、導電性の耐久性に優れることが確認された。
【0089】
<評価試験6>
(実施例12)
実施例3で得た塗膜を、温度60℃、相対湿度90%の条件下に1000時間放置した。その後、表面抵抗を測定し、耐久性を確認したところ、1×10Ω/sq.で変化はなかった。
【0090】
(実施例13)
実施例3で使用したK−FSIを、イオンクロマトグラフィー法により測定したフッ素イオン含有量が58ppmであるK−FSIに変え、同様に耐久性試験を実施したところ、1000時間後の表面抵抗は2×10Ω/sq. であった。
【0091】
(比較例11)
実施例3で使用したK−FSIを、イオンクロマトグラフィー法により測定したフッ素イオン含有量が116ppmであるK−FSIに変え、同様に耐久性試験を実施したところ、1000時間後の表面抵抗は9×10Ω/sq. であった。
【0092】
上記結果より、比較例11では、K−FSI中のフッ素含有量が116ppmであり、1000時間後の表面抵抗が大きく上昇した。これに対して、実施例13では、K−FSI中のフッ素含有量が100ppm以下であるため、1000時間後の表面抵抗の上昇はわずかであった。さらに、実施例12では、K−FSI中のフッ素含有量が20ppm以下であるため、1000時間後の表面抵抗の上昇は確認されなかった。以上より、フッ素イオンの含有量が100ppm以下のK−FSIを用いた塗膜は、導電性の耐久性に優れることが確認された。
【0093】
<評価試験7>
(実施例14)
実施例6で得たオキシエチレン単位が9である塗膜を、温度60℃、相対湿度90%の条件下に1000時間放置した。その後、表面抵抗を測定し、耐久性を確認したところ、5×10Ω/sq.で変化はなかった。
【0094】
(実施例15)
実施例6で使用したK−FSIを、イオンクロマトグラフィー法により測定したフッ素イオン含有量が58ppmであるK−FSIに変え、同様に耐久性試験を実施したところ、1000時間後の表面抵抗は7×10Ω/sq.であった。
【0095】
(比較例12)
実施例6で使用したK−FSIを、イオンクロマトグラフィー法により測定したフッ素イオン含有量が116ppmであるK−FSIに変え、同様に耐久性試験を実施したところ、1000時間後の表面抵抗は3×10Ω/sq.であった。
【0096】
上記結果より、比較例12では、K−FSI中のフッ素含有量が116ppmであり、1000時間後の表面抵抗率が大きく上昇した。これに対して、実施例15では、K−FSI中のフッ素含有量が100ppm以下であるため、1000時間後の表面抵抗率の上昇はわずかであった。さらに、実施例14では、K−FSI中のフッ素含有量が20ppm以下であるため、1000時間後の表面抵抗率の上昇は確認されなかった。以上より、フッ素イオンの含有量が100ppm以下のK−FSIを用いた塗膜は、導電性の耐久性に優れることが確認された。
【0097】
<評価試験8>
(実施例16)
実施例8で得た塗膜を、温度60℃、相対湿度90%の条件下に1000時間放置した。その後、表面抵抗を測定し、耐久性を確認したところ、1×1010Ω/sq.で変化はなかった。
【0098】
(実施例17)
実施例8で使用したK−FSIを、イオンクロマトグラフィー法により測定したフッ素イオン含有量が58ppmであるK−FSIに変え、同様に耐久性試験を実施したところ、1000時間後の表面抵抗は2×1010Ω/sq.であった。
【0099】
(比較例13)
実施例8で使用したK−FSIを、イオンクロマトグラフィー法により測定したフッ素イオン含有量が116ppmであるK−FSIに変え、同様に耐久性試験を実施したところ、1000時間後の表面抵抗は9×1010Ω/sq.であった。
【0100】
上記結果より、比較例13では、K−FSI中のフッ素含有量が116ppmであり、1000時間後の表面抵抗率が大きく上昇した。これに対して、実施例17では、K−FSI中のフッ素含有量が100ppm以下であるため、1000時間後の表面抵抗率の上昇はわずかであった。さらに、実施例16では、K−FSI中のフッ素含有量が20ppm以下であるため、1000時間後の表面抵抗率の上昇は確認されなかった。以上より、フッ素イオンの含有量が100ppm以下のK−FSIを用いた塗膜は、導電性の耐久性に優れることが確認された。
【0101】
<評価試験9>
(実施例18)
実施例9で得た塗膜を、温度60℃、相対湿度90%の条件下に1000時間放置した。その後、表面抵抗を測定し、耐久性を確認したところ、1×1010Ω/sq.で変化はなかった。
【0102】
(実施例19)
実施例9で使用したK−FSIを、イオンクロマトグラフィー法により測定したフッ素イオン含有量が58ppmであるK−FSIに変え、同様に耐久性試験を実施したところ、1000時間後の表面抵抗は3×1010Ω/sq.であった。
【0103】
(比較例14)
実施例9で使用したK−FSIを、イオンクロマトグラフィー法により測定したフッ素イオン含有量が116ppmであるK−FSIに変え、同様に耐久性試験を実施したところ、1000時間後の表面抵抗は2×1011Ω/sq.であった。
【0104】
上記結果より、比較例14では、K−FSI中のフッ素含有量が116ppmであり、1000時間後の表面抵抗率が大きく上昇した。これに対して、実施例19では、K−FSI中のフッ素含有量が100ppm以下であるため、1000時間後の表面抵抗率の上昇はわずかであった。さらに、実施例18では、K−FSI中のフッ素含有量が20ppm以下であるため、1000時間後の表面抵抗率の上昇は確認されなかった。以上より、フッ素イオンの含有量が100ppm以下のK−FSIを用いた塗膜は、導電性の耐久性に優れることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール構造を有する塗膜形成成分と、
下記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類から選択された少なくとも1種の化合物とを含むことを特徴とする導電性塗膜形成剤。
(FSON・X ・・・(1)
但し、上記式(1)において、Xは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム、アルキルアンモニウム、アルキルホスホニウムからなる群から選ばれた陽イオンのいずれか一種である。
【請求項2】
上記式(1)で表されるXが、Li,Na,Kのいずれか一種の元素であることを特徴とする請求項1に記載の導電性塗膜形成剤。
【請求項3】
上記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類から選択された少なくとも一種の化合物中のフッ素イオンの含有量が、100ppm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性塗膜形成剤。
【請求項4】
上記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類から選択された少なくとも一種の化合物中のフッ素イオンの含有量が、20ppm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性塗膜形成剤。
【請求項5】
前記ポリオール構造を有する塗膜形成成分が、(メタ)アクリレート、ウレタン、ウレタンアクリレートの少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の導電性塗膜形成剤。
【請求項6】
上記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類から選択された少なくとも一種の化合物が、前記ポリオール構造を有する塗膜形成成分100質量部に対し、0.01〜30.0質量部含まれていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の導電性塗膜形成剤。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の導電性塗膜形成剤を、水又は有機溶媒で希釈することを特徴とする導電性塗膜形成剤。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の導電性塗膜形成剤を、水、有機溶媒、重合性モノマー、プレポリマー、オリゴマー、ポリマーからなる群のうち1種又は2種以上の組み合わせに添加することを特徴とする導電性塗膜形成剤。
【請求項9】
前記重合性モノマー、プレポリマー、オリゴマー、ポリマーが、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂であることを特徴とする請求項8に記載の導電性塗膜形成剤。
【請求項10】
前記請求項8又は9に記載の導電性塗膜形成剤の製造方法であって、
上記式(1)で示されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩類から選択された少なくとも一種の化合物を、前記ポリオール構造を有する塗膜形成成分に溶解させた後に、水、有機溶媒、重合性モノマー、プレポリマー、オリゴマー、ポリマーからなる群のうち1種又は2種以上の組み合わせに添加することを特徴とする導電性塗膜形成剤の製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の導電性塗膜形成剤からなる塗膜が形成されていることを特徴とする成形品。

【公開番号】特開2010−121114(P2010−121114A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235507(P2009−235507)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【出願人】(597065282)三菱マテリアル電子化成株式会社 (151)
【Fターム(参考)】