説明

導電性微粒子、異方性導電材料、及び、導電接続構造体

【課題】長期の接続信頼性に優れた導電性微粒子、該導電性微粒子を用いてなる異方性導電材料、及び、導電接続構造体を提供する。
【解決手段】基材微粒子の表面に、導電性金属層が形成された導電性微粒子であって、前記基材微粒子は、ポリエポキシ化合物由来の有機骨格と金属アルコキシド由来の無機骨格とを有し、かつ、前記ポリエポキシ化合物由来の有機骨格と金属アルコキシド由来の無機骨格とは共有結合しており、前記基材微粒子における無機骨格の含有量が2.5〜15重量%である導電性微粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期の接続信頼性に優れた導電性微粒子、該導電性微粒子を用いてなる異方性導電材料、及び、導電接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性の金属層を表面に有する導電性微粒子は、バインダー樹脂や粘接着剤等と混合することにより、例えば、異方性導電ペースト、異方性導電インク、異方性導電接着剤、異方性導電フィルム、異方性導電シート等の異方性導電材料として広く用いられている。
これらの異方性導電材料は、例えば、液晶ディスプレイ、パーソナルコンピュータ、携帯電話等の電子機器において、基板同士を電気的に接続したり、半導体素子等の小型部品を基板に電気的に接続したりするために、相対向する回路基板や電極端子の間に挟み込んで使用されている。
【0003】
また、電子回路基板において、ICやLSIは、電極をプリント基板にハンダ付けすることによって接続されていた。しかし、ハンダ付けでは、プリント基板と、ICやLSIとを効率的に接続することはできなかった。また、ハンダ付けでは、ICやLSIの実装密度を向上させることが困難であった。
これを解決するためにハンダを球状にした、いわゆる「ハンダボール」でICやLSIを基板に接続するBGA(ボールグリッドアレイ)が開発された。BGAによれば、チップ又は基板に実装されたハンダボールを高温で溶融させ、基板とチップとを接続することができる。したがって、電子回路基板の生産効率が改善され、チップの実装密度が向上した電子回路基板を製造することができる。
しかし、近年、基板の多層化が進み、多層基板は使用環境の影響を受けやすいことから、基板に歪みや伸縮が発生し、基板間の接続部に断線が発生するという問題があった。
例えば、ハンダボールを用いて、半導体が基板に接続されると、半導体と基板との線膨張係数が違うため、ハンダボールに応力が加わる。その結果、ハンダボールに亀裂が入り、断線することがあった。
【0004】
特許文献1にはアクリル化合物で形成された基材微粒子の表面に金属メッキが施された金属メッキ粒子が開示されている。
しかし、アクリル化合物で形成された基材微粒子を用いた導電性微粒子は、耐熱性が低いため、基材微粒子が加熱されると、基材微粒子が変形しやすい。その結果、接続抵抗値が高くなるという問題があった。
【0005】
耐熱性を向上するために、例えば、特許文献2にはポリエポキシ化合物で形成された基材微粒子の表面に金属メッキが施された金属メッキ粒子が開示されている。
しかし、特許文献2に記載の金属メッキ粒子をバインダー樹脂に分散させた異方性導電材料を用いて、回路基板間を接続すると、金属メッキが割れたり、剥がれたりするという問題があった。これは、基材微粒子を構成するポリエポキシ化合物と、バインダー樹脂との線膨張係数の差が大きいため、金属メッキに応力が加わるためであった。
【0006】
特許文献3にはポリエポキシ化合物と無機化合物とを含有する基材微粒子が開示されている。しかし、特許文献3に開示されている基材微粒子であっても、加熱すると、基材微粒子の線膨張係数が変化するため、金属メッキが割れることがあった。また、基材微粒子の機械的強度が低いため、基材微粒子を圧縮変形させると、基材微粒子が破壊されることがあった。その結果、接続信頼性が高い導電接続ができないという問題があった。
【特許文献1】特公平7−97717号公報
【特許文献2】特開2006−12709号公報
【特許文献3】特公平9−324120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、長期の接続信頼性に優れた導電性微粒子、該導電性微粒子を用いてなる異方性導電材料、及び、導電接続構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、基材微粒子の表面に、導電性金属層が形成された導電性微粒子であって、上記基材微粒子は、ポリエポキシ化合物由来の有機骨格と金属アルコキシド由来の無機骨格とを有し、かつ、上記ポリエポキシ化合物由来の有機骨格と金属アルコキシド由来の無機骨格とは共有結合しており、上記基材微粒子における無機骨格の含有量が2.5〜15重量%である導電性微粒子である。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明の導電性微粒子は、基材微粒子の表面に、導電性金属層が形成された導電性微粒子であって、上記基材微粒子は、ポリエポキシ化合物由来の有機骨格と金属アルコキシド由来の無機骨格とを有し、上記ポリエポキシ化合物由来の有機骨格と金属アルコキシド由来の無機骨格とは共有結合している。更に、上記基材微粒子の表面には、導電性金属層が形成されている。
このような導電性微粒子は、加熱前後での線膨張率の差が小さいため、長期の接続信頼性に優れる。
【0010】
本発明において、上記ポリエポキシ化合物は、2以上のグリシジル基を有する化合物を意味する。
上記ポリエポキシ化合物は特に限定されず、グリシジルエーテル型化合物、グリシジルアミン型化合物、脂肪族型化合物、脂環式型化合物、ノボラック型化合物、アミノフェノール型化合物、ヒダントイン型化合物、イソシアヌレート型化合物、ビフェノール型化合物、ナフタレン型化合物、アダマンタン型化合物、これらの水添化物等が挙げられる。また、上記ポリエポキシ化合物は、フッ素化物等のポリエポキシ化合物であってもよい。
【0011】
また、上記ポリエポキシ化合物は、エポキシ当量が500以下であることが好ましく、エポキシ当量が200以下であることがより好ましい。上記ポリエポキシ化合物のエポキシ当量が500以下であることにより、架橋点間の距離が短くなる。その結果、架橋度が高い樹脂骨格が形成された基材微粒子を得ることができるため、基材微粒子の耐熱性及び機械的強度が向上する。
これらのポリエポキシ化合物は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0012】
エポキシ当量が200以下のポリエポキシ化合物は特に限定されず、例えば、エポトートYD115、エポトートYD127、エポトートYD128(いずれも東都化成社製)、jER825、jER827、jER828(いずれもジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON 840、EPICLON 850(いずれも大日本インキ化学社製)、RE−310S(日本化薬社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ当量が200以下のポリエポキシ化合物として、エポトートYDF−170、エポトートYDF−175S(いずれも東都化成社製)、jER806、jER807(いずれもジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON 830、EPICLON 835(いずれも大日本インキ化学社製)、RE−303S(日本化薬社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ当量が200以下のポリエポキシ化合物として、エポトートYDPN−638、エポトートYDCN−701、エポトートYDCN−702、エポトートYDCN−703、エポトートYDCN−704、エポトートYDCN−500(いずれも東都化成社製)、jER152、jER154(いずれもジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON N−655、EPICLON N−740、EPICLONN−770、EPICLON N−775、EPICLON N−865(いずれも大日本インキ化学社製)、EOCN−1020、CER−1020、EPPN−201−L(いずれも日本化薬社製)等のノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ当量が200以下のポリエポキシ化合物として、エポトートYH−434、エポトートYH434−L(いずれも東都化成社製)、jER1031S、jER1032H60、jER604、jER630(いずれもジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON 430(大日本インキ化学社製)、TETRAD−X、TETRAD−C(いずれも三菱ガス化学社製)、EPPN−501H、EPPN−501HY、EPPN−502H(日本化薬社製)等の特殊多官能タイプのエポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ当量が200以下のポリエポキシ化合物として、jERYX4000、jERYL6121H、jERYL6640、jERYL6677(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等のビフェニル型エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ当量が200以下のポリエポキシ化合物として、エポトートYH−300、エポトート−YH301、エポトートYH−315、エポトートYH−324、エポトートYH−325(いずれも東都化成社製)等の脂肪族ポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ当量が200以下のポリエポキシ化合物として、エポトートYDC−1312、エポトートYSLV−80XY(いずれも東都化成社製)等の結晶性エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ当量が200以下のポリエポキシ化合物として、EPICLON HP−4032、EPICLON EXA−4700(いずれも大日本インキ化学社製)、YSLV−80XY、YSLV−80DE(いずれも新日鐵化学社製)等のナフタレン型エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ当量が200以下のポリエポキシ化合物として、jER191P、jERYX310(いずれもジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON HP−820(大日本インキ化学社製)等の特殊機能型エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ当量が200以下のポリエポキシ化合物として、EPICLON 725(大日本インキ化学社製)等の反応性希釈剤等が挙げられる。
【0013】
エポキシ当量が200を超え、500未満のポリエポキシ化合物は特に限定されず、例えば、エポトートYD134、エポトートYD011(いずれも東都化成社製)、jER801、jER1001(いずれもジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON860、EPICLON1050、EPICLON1055(いずれも大日本インキ化学社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ当量が200を超え、500未満のポリエポキシ化合物として、エポトートYDF−2001(東都化成社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ当量が200を超え、500未満のポリエポキシ化合物として、EPICLON N−660、EPICLON N−665、EPICLON N−670、EPICLON N−673、EPICLON N−680、EPICLON N−695(いずれも大日本インキ化学社製)、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、BREN−S、BREN−105、BREN−304(いずれも日本化薬社製)等のノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ当量が200を超え、500未満のポリエポキシ化合物として、jER157S70(ジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON5500(大日本インキ化学社製)、NC−7000L(日本化薬社製)等の特殊多官能タイプのエポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ当量が200を超え、500未満のポリエポキシ化合物として、NC−3000、NC−3000−H(いずれも日本化薬社製)等のビフェニル型エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ当量が200を超え、500未満のポリエポキシ化合物として、YSLV−90CR、YSLV−120TE、GK−8001(いずれも新日鐵化学社製)等のナフタレン型エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ当量が200を超え、500未満のポリエポキシ化合物として、エポトートYDB−360、エポトートYDB−400、エポトートYDB−405(いずれも東都化成社製)、EPICLON152、EPICLON153(いずれも大日本インキ化学社製)等の臭素化エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ当量が200を超え、500未満のポリエポキシ化合物として、エポトートYD−171(東都化成社製)、jER871(ジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON TSR−960、EPICLON TSR−601(いずれも大日本インキ化学社製)等の可とう性エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ当量が200を超え、500未満のポリエポキシ化合物として、エポトートST−3000(東都化成社製)、jERYX8000、jERYX8034(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等の水添型エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ当量が200を超え、500未満のポリエポキシ化合物として、EPICLON HP−7200(大日本インキ化学社製)、XD−1000(日本化薬社製)等のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0014】
また、上記ポリエポキシ化合物は、エポキシ当量が500を超えるポリエポキシ化合物を用いてもよく、例えば、エポトートYD−012、エポトートYD−013、エポトートYD−014、エポトートYD−017、エポトートYD−019(いずれも東都化成社製)、jER1002、jER1003、jER1055、jER1004、jER1007、jER1009、jER1010(いずれもジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON3050、EPICLON4050、EPICLON AM−020−P、EPICLON AM−030−P、EPICLON AM−040−P、EPICLON 7050、EPICLON HM−091、EPICLON HM−101(いずれも大日本インキ化学社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ当量が500を超えるポリエポキシ化合物として、エポトートYDF−2004(東都化成社製)、jER4004P、jER4007P、jER4010P、jER4110、jER4210(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ当量が500を超えるポリエポキシ化合物として、エポトートYDB−405(東都化成社製)、EPICLON1123P−75M(大日本インキ化学社製)等の臭素化エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ当量が500を超えるポリエポキシ化合物として、エポトートYD−172(東都化成社製)、jER872(ジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON1600−75X(大日本インキ化学社製)等の可とう性エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ当量が500を超えるポリエポキシ化合物として、エポトートST−4000D(東都化成社製)等の水添型エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ当量が500を超えるポリエポキシ化合物として、EPICLON5800(大日本インキ化学社製)等の多官能型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0015】
上記金属アルコキシドは特に限定されず、例えば、テトラアルコキシシランや、アルキルアルコキシシランや、構造内部にエポキシ基、イソシアネート基、ウレイド基、アミノ基、メルカプト基、ハロゲン基、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、スチリル基等を有するシランカップリング剤や、同一分子内にエポキシ基を持つ有機骨格と無機骨格を有するハイブリッドオリゴマー等が挙げられる。
【0016】
上記テトラアルコキシシランは特に限定されず、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラポリメトキシシラン、テトラポリエトキシシラン等が挙げられる。
【0017】
上記アルキルアルコキシシランは特に限定されず、例えば、モノアルキルトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、トリアルキルアルコキシシラン等が挙げられる。上記アルキルアルコキシシランのアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ビニル基等が挙げられる。また、上記アルキルアルコキシシランのアルコキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
【0018】
上記構造内部にエポキシ基を有するシランカップリング剤は特に限定されず、例えば、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0019】
上記構造内部にイソシアネート基を有するシランカップリング剤は特に限定されず、例えば、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0020】
上記構造内部にウレイド基を有するシランカップリング剤は特に限定されず、例えば、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0021】
上記構造内部にアミノ基を有するシランカップリング剤は特に限定されず、例えば、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0022】
上記構造内部にメルカプト基を有するシランカップリング剤は特に限定されず、例えば、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0023】
上記構造内部にハロゲン基を有するシランカップリング剤は特に限定されず、例えば、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0024】
上記構造内部にビニル基、アクリル基、メタクリル基、スチリル基等を有する重合性のシランカップリング剤は特に限定されず、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0025】
上記シランカップリング剤の代わりにチタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤、及び、リン酸エステルカップリング剤等を単独で用いてもよいし、他の金属アルコキシドと併用してもよい。
【0026】
上記基材微粒子は、例えば、以下の方法により作製することができる。
ポリエポキシ化合物と、テトラアルコキシシランや、アルキルアルコキシシランや、構造内部にエポキシ基、イソシアネート基、ウレイド基、アミノ基、メルカプト基、ハロゲン基を有するシランカップリング剤等の金属アルコキシドとを界面重合する方法(界面重合型)が挙げられる。また、ポリエポキシ化合物と、テトラアルコキシシランや、アルキルアルコキシシランや、構造内部にビニル基、アクリル基、メタクリル基、スチリル基等を有する重合性のシランカップリング剤等の金属アルコキシドとを乳化重合、懸濁重合、分散重合、ソープフリー重合、マイクロエマルション重合、ミニエマルション重合又はマイクロサスペンション重合する方法(内部重合型)が挙げられる。
【0027】
上記基材微粒子の製造工程においては、ポリエポキシ化合物を硬化させるために硬化剤を用いることが好ましい。上記硬化剤は特に限定されず、従来公知のエポキシ樹脂用の硬化剤を用いることができる。例えば、アミン化合物、アミン化合物から合成されるポリアミノアミド化合物等の化合物、3級アミン化合物、イミダゾール化合物、ヒドラジド化合物、メラミン化合物、酸無水物、フェノール化合物、熱潜在性カチオン重合触媒、光潜在性カチオン重合開始剤、ジシアンアミド等が挙げられる。これらの硬化剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
なお、上記基材微粒子の製造を界面重合以外の方法で行う場合には、上記金属アルコキシドの分子内にアミン構造が存在すれば上記硬化剤を用いなくてもよい。
【0028】
上記アミン化合物は特に限定されず、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン等の鎖状脂肪族アミン、及び、鎖状脂肪族アミンの誘導体等が挙げられる。また、上記アミン化合物として、メンセンジアミン、イソフォロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の環状脂肪族アミン等が挙げられる。また、上記アミン化合物として、m−キシレンジアミン、α−(m/pアミノフェニル)エチルアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、α,α−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等の芳香族アミン等が挙げられる。
【0029】
上記アミン化合物から合成される化合物は特に限定されず、例えば、上記アミン化合物と、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカ二酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジヒドロイソフタル酸、テトラヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等のカルボン酸化合物とから合成されるポリアミノアミド化合物、及び、ポリアミノアミド化合物の誘導体等が挙げられる。上記アミン化合物から合成される化合物として、上記アミン化合物と、ジアミノジフェニルメタンビスマレイミド等のマレイミド化合物とから合成されるポリアミノイミド化合物、及び、ポリアミノイミド化合物の誘導体等が挙げられる。上記アミン化合物から合成される化合物として、上記アミン化合物とケトン化合物とから合成されるケチミン化合物、及び、ケチミン化合物の誘導体等が挙げられる。上記アミン化合物から合成される化合物として、上記アミン化合物と、エポキシ化合物、尿素、チオ尿素、アルデヒド化合物、フェノール化合物、アクリル化合物等の化合物とから合成されるポリアミノ化合物、及び、ポリアミノ化合物の誘導体等が挙げられる。
【0030】
上記3級アミン化合物は特に限定されず、例えば、N,N−ジメチルピペラジン、ピリジン、ピコリン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビスシクロ(5,4,0)ウンデセン−1及びそれらの誘導体等が挙げられる。
【0031】
上記イミダゾール化合物は特に限定されず、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール及びそれらの誘導体等が挙げられる。
【0032】
上記ヒドラジド化合物は特に限定されず、例えば、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド、エイコサン二酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド及びそれらの誘導体等が挙げられる。
【0033】
上記メラミン化合物は特に限定されず、例えば、2,4−ジアミノ−6−ビニル−1,3,5−トリアジン及びその誘導体等が挙げられる。
【0034】
上記酸無水物は特に限定されず、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセロールトリスアンヒドロトリメリテート、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸−無水マレイン酸付加物、ドデセニル無水コハク酸、ポリアゼライン酸無水物、ポリドデカン二酸無水物、クロレンド酸無水物及びそれらの誘導体等が挙げられる。
【0035】
上記フェノール化合物は特に限定されず、例えば、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール及びそれらの誘導体等が挙げられる。
【0036】
上記熱潜在性カチオン重合触媒は特に限定されず、例えば、6フッ化アンチモン、6フッ化リン、4フッ化ホウ素等を対アニオンとしたベンジルスルホニウム塩、4フッ化ホウ素等を対アニオンとしたベンジルアンモニウム塩、4フッ化ホウ素等を対アニオンとしたベンジルピリジニウム塩、4フッ化ホウ素等を対アニオンとしたベンジルホスホニウム塩等のイオン性熱潜在性カチオン重合触媒が挙げられる。また、上記熱潜在性カチオン重合触媒として、N−ベンジルフタルイミド、芳香族スルホン酸エステル等の非イオン性熱潜在性カチオン重合触媒が挙げられる。
【0037】
上記光潜在性カチオン重合開始剤は特に限定されず、例えば、6フッ化アンチモン、6フッ化リン、4フッ化ホウ素等を対アニオンとした芳香族ジアゾニウム塩、4フッ化ホウ素等を対アニオンとした芳香族ハロニウム塩、4フッ化ホウ素等を対アニオンとした芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩類や、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体等の有機金属錯体類等のイオン性光潜在性カチオン重合開始剤や、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスルホナート等の非イオン性光潜在性カチオン重合開始剤が挙げられる。
【0038】
また、上記基材微粒子を作製する際には、必要に応じて、界面活性剤、分散安定剤、水溶性の非重合性溶媒等を用いてもよい。
【0039】
上記基材微粒子における無機骨格の含有量の下限は2.5重量%、上限は15重量%である。無機骨格の含有量が2.5重量%未満であると、導電性微粒子が、圧縮により破壊を起こしやすく、更に、基材微粒子の線膨張率が充分に低下しない。上記無機骨格の含有量が15重量%を超えると、得られる導電性微粒子が脆くなる。上記無機骨格の含有量の好ましい下限は4.0重量%、好ましい上限は10重量%である。なお、上記無機骨格とは、金属−O(酸素)マトリックスを意味する。
【0040】
上記基材微粒子のCV値は特に限定されないが、好ましい上限は5%である。CV値が5%を超えると、粒子径分布が広くなりすぎて、安定した接続ができないことがある。CV値のより好ましい上限は3%である。
【0041】
上記導電性金属層を形成する金属は特に限定されず、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、カドミウム等の金属や、錫−鉛合金、錫−銅合金、錫−銀合金、錫−鉛−銀合金等の合金が挙げられる。また、上記合金の融点は、200〜300℃であることが好ましい。
【0042】
上記導電性金属層の厚さは特に限定されないが、例えば、好ましい下限は0.01μm、好ましい上限は100μmである。上記導電性金属層の厚さが0.01μm未満であると、導電性が充分に得られないことがある。上記導電性金属層の厚さが100μmを超えると、導電性微粒子が硬くなりすぎて電極間の間隔に追随して導電性微粒子が変形しにくくなることがある。
【0043】
上記基材微粒子の表面に、上記導電性金属層を形成させる方法は特に限定されず、例えば、無電解メッキ法、真空蒸着法、イオンプレーティング、イオンスパッタリング等が挙げられる。
【0044】
本発明の導電性微粒子をバインダー樹脂に分散させることにより異方性導電材料を製造することができる。このような異方性導電材料もまた、本発明の1つである。
【0045】
本発明の異方性導電材料は、例えば、異方性導電ペースト、異方性導電インク、異方性導電粘着剤、異方性導電フィルム、異方性導電シート等が挙げられる。
【0046】
上記バインダー樹脂は特に限定されないが、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体、エラストマー等が挙げられる。
上記ビニル樹脂は特に限定されないが、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂は特に限定されないが、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂は特に限定されないが、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性ブロック共重合体は特に限定されないが、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
また、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂、湿気硬化型樹脂であってもよい。
【0047】
本発明の異方性導電材料には、必要に応じて、例えば、増量剤、可塑剤、粘接着性向上剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤、有機溶媒等の各種添加剤が添加されてもよい。
【0048】
本発明の異方性導電材料を製造する方法は特に限定されず、例えば、上記バインダー樹脂中に本発明の導電性微粒子を添加し、均一に混合して分散させ、異方性導電ペースト、異方性導電インク、異方性導電粘着剤等とする方法が挙げられる。また、本発明の異方性導電材料を製造する方法として、上記バインダー樹脂中に本発明の導電性微粒子を添加し、均一に分散させるか、又は、加熱溶解させて、離型紙や離型フィルム等の離型材の離型処理面に所定の厚さとなるように塗工し、必要に応じて乾燥や冷却等を行って、異方性導電フィルム、異方性導電シート等とする方法も挙げられる。なお、異方性導電材料の種類に対応して、適宜の製造方法を選択することができる。
また、上記バインダー樹脂と、本発明の導電性微粒子とを混合することなく、別々に用いて異方性導電材料としてもよい。
【0049】
本発明の導電性微粒子又は本発明の異方性導電材料を用いてなる導電接続構造体もまた、本発明の1つである。
【0050】
本発明の導電接続構造体は、一対の回路基板間に、本発明の導電性微粒子又は本発明の異方性導電材料を充填することにより、一対の回路基板間を接続させた導電接続構造体である。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、長期の接続信頼性に優れた導電性微粒子、該導電性微粒子を用いてなる異方性導電材料、及び、導電接続構造体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0053】
(実施例1)
(界面重合型)
ポリエポキシ化合物の有機骨格成分としてjER154(ジャパンエポキシレジン社製)18重量部と、無機骨格として2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン12重量部と、非重合性有機溶媒としてエタノール20重量部とを混合し、混合溶液を得た。得られた混合溶液と、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部を含有するイオン交換水390重量部とを混合し、ローターステータホモジナイザーにて30分間強制乳化して、重合性液滴が分散した分散液を調製した。
【0054】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えたセパラブルフラスコの重合器を用い、重合器内を窒素置換した後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃に加熱して重合を開始した。重合器内が80℃に到達した後、アミン成分としてジエチルトリアミン10重量部を添加して反応を開始した。5時間反応し、重合器を室温まで冷却した。
【0055】
得られたスラリーを熱水及びアセトンで充分に洗浄した後、分級し、アセトンを揮発させて、基材微粒子(平均粒子径4μm)を得た。
得られた基材微粒子の表面を無電解ニッケルメッキし、厚さ0.06μmのニッケルメッキ層を形成させた。更に、置換金メッキを行い、厚さ0.03μmの金メッキ層をニッケルメッキ層の表面に形成させ導電性微粒子を得た。
【0056】
エポキシ樹脂としてjER828(ジャパンエポキシレジン社製)100重量部、トリスジメチルアミノエチルフェノール2重量部、及び、トルエン100重量部に対し、得られた導電性微粒子を添加し、遊星式撹拌機を用いて充分に混合し、混合物を得た。得られた混合物を、離型フィルム上に乾燥後の厚さが7μmとなるように塗布し、トルエンを揮発させて導電性微粒子を含有する接着フィルムを得た。なお、導電性微粒子の配合量は、フィルム中の含有量が5万個/cmとした。
その後、導電性微粒子を含有する接着フィルムを、導電性微粒子を含有させずに得た接着フィルム(厚さ10μm)と常温で貼り合わせた厚さ17μmで2層構造の異方性導電フィルムを得た。
【0057】
得られた異方性導電フィルムを5mm×5mmの大きさに切断した。切断した異方性導電フィルムを、一方に抵抗測定用の引き回し線を有するアルミニウム電極(高さ0.2μm、L/S=20μm/20μm)が形成されたガラス基板(幅200μm、長さ1mm)のアルミニウム電極側のほぼ中央に貼り付けた。次いで、同じアルミニウム電極が形成されたポリイミド基板(幅200μm、長さ1mm)を、電極同士が重なるように位置合わせをしてから貼り合わせた。このガラス基板とポリイミド基板との積層体を、圧力10N、温度150℃の条件で30秒間熱圧着し、導電接続構造体を得た。
【0058】
(実施例2)
(内部重合型)
ポリエポキシ化合物の有機骨格成分としてjER154(ジャパンエポキシレジン社製)20.5重量部と、無機骨格としてN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリエトキシシラン3重量部と、テトラエトキシシラン6.5重量部と、非重合性有機溶媒としてエタノール20重量部とを混合し、混合溶液を得た。得られた混合溶液と、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部を含有するイオン交換水390重量部とを混合し、ローターステータホモジナイザーにて30分間強制乳化して、重合性液滴が分散した分散液を調製した。
【0059】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えたセパラブルフラスコの重合器を用い、重合器内を窒素置換した後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃に加熱して重合を開始した。5時間重合し、重合器を室温まで冷却した。
【0060】
得られたスラリーを熱水及びアセトンで充分に洗浄した後、分級し、アセトンを揮発させて、基材微粒子(平均粒子径4μm)を得た。
得られた基材微粒子の表面を無電解ニッケルメッキし、厚さ0.06μmのニッケルメッキ層を形成させた。更に、置換金メッキを行い、厚さ0.03μmの金メッキ層をニッケルメッキ層の表面に形成させ導電性微粒子を得た。
以下、実施例1と同様にして異方性導電フィルム、導電接続構造体を作製した。
【0061】
(実施例3)
(内部重合型)
ポリエポキシ化合物の有機骨格成分としてjER154(ジャパンエポキシレジン社製)15重量部と、無機骨格としてN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリエトキシシラン3重量部と、テトラエトキシシラン12重量部と、非重合性有機溶媒としてエタノール20重量部とを混合し、混合溶液を得た。得られた混合溶液と、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部を含有するイオン交換水390重量部とを混合し、ローターステータホモジナイザーにて30分間強制乳化して、重合性液滴が分散した分散液を調製した。
【0062】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えたセパラブルフラスコの重合器を用い、重合器内を窒素置換した後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃に加熱して重合を開始した。5時間重合し、重合器を室温まで冷却した。
【0063】
得られたスラリーを熱水及びアセトンで充分に洗浄した後、分級し、アセトンを揮発させて、基材微粒子(平均粒子径4μm)を得た。
得られた基材微粒子の表面を無電解ニッケルメッキし、厚さ0.06μmのニッケルメッキ層を形成させた。更に、置換金メッキを行い、厚さ0.03μmの金メッキ層をニッケルメッキ層の表面に形成させ導電性微粒子を得た。
以下、実施例1と同様にして異方性導電フィルム、導電接続構造体を作製した。
【0064】
(実施例4)
(内部重合型)
ポリエポキシ化合物の有機骨格成分としてjER154(ジャパンエポキシレジン社製)4重量部と、無機骨格としてN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリエトキシシラン3重量部と、テトラエトキシシラン23重量部と、非重合性有機溶媒としてエタノール20重量部とを混合し、混合溶液を得た。得られた混合溶液と、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部を含有するイオン交換水390重量部とを混合し、ローターステータホモジナイザーにて30分間強制乳化して、重合性液滴が分散した分散液を調製した。
【0065】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えたセパラブルフラスコの重合器を用い、重合器内を窒素置換した後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃に加熱して重合を開始した。5時間重合し、重合器を室温まで冷却した。
【0066】
得られたスラリーを熱水及びアセトンで充分に洗浄した後、分級し、アセトンを揮発させて、基材微粒子(平均粒子径4μm)を得た。
得られた基材微粒子の表面を無電解ニッケルメッキし、厚さ0.06μmのニッケルメッキ層を形成させた。更に、置換金メッキを行い、厚さ0.03μmの金メッキ層をニッケルメッキ層の表面に形成させ導電性微粒子を得た。
以下、実施例1と同様にして異方性導電フィルム、導電接続構造体を作製した。
【0067】
(実施例5)
(内部重合型)
ポリエポキシ化合物の有機骨格成分としてjER154(ジャパンエポキシレジン社製)1重量部と、無機骨格としてN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリエトキシシラン3重量部と、テトラエトキシシラン26重量部と、非重合性有機溶媒としてエタノール20重量部とを混合し、混合溶液を得た。得られた混合溶液と、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部を含有するイオン交換水390重量部とを混合し、ローターステータホモジナイザーにて30分間強制乳化して、重合性液滴が分散した分散液を調製した。
【0068】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えたセパラブルフラスコの重合器を用い、重合器内を窒素置換した後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃に加熱して重合を開始した。5時間重合し、重合器を室温まで冷却した。
【0069】
得られたスラリーを熱水及びアセトンで充分に洗浄した後、分級し、アセトンを揮発させて、基材微粒子(平均粒子径4μm)を得た。
得られた基材微粒子の表面を無電解ニッケルメッキし、厚さ0.06μmのニッケルメッキ層を形成させた。更に、置換金メッキを行い、厚さ0.03μmの金メッキ層をニッケルメッキ層の表面に形成させ導電性微粒子を得た。
以下、実施例1と同様にして異方性導電フィルム、導電接続構造体を作製した。
【0070】
(実施例6)
(界面・内部重合型)
ポリエポキシ化合物の有機骨格成分としてjER154(ジャパンエポキシレジン社製)22.5重量部と、無機骨格としてテトラエトキシシラン7.5重量部と、非重合性有機溶媒としてエタノール20重量部とを混合し、混合溶液を得た。得られた混合溶液と、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部を含有するイオン交換水390重量部とを混合し、ローターステータホモジナイザーにて30分間強制乳化して、重合性液滴が分散した分散液を調製した。
【0071】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えたセパラブルフラスコの重合器を用い、重合器内を窒素置換した後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃に加熱して重合を開始した。重合器内が80℃に到達した後、アミン成分としてジエチルトリアミン10重量部を添加して反応を開始した。5時間反応し、重合器を室温まで冷却した。
【0072】
得られたスラリーを熱水及びアセトンで充分に洗浄した後、分級し、アセトンを揮発させて、基材微粒子(平均粒子径4μm)を得た。
得られた基材微粒子の表面を無電解ニッケルメッキし、厚さ0.06μmのニッケルメッキ層を形成させた。更に、置換金メッキを行い、厚さ0.03μmの金メッキ層をニッケルメッキ層の表面に形成させ導電性微粒子を得た。
以下、実施例1と同様にして異方性導電フィルム、導電接続構造体を作製した。
【0073】
(比較例1)
ポリエポキシ化合物の有機骨格成分としてjER154(ジャパンエポキシレジン社製)30重量部と、アミン成分としてジエチルトリアミン10重量部と、非重合性有機溶媒としてエタノール20重量部と、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部を含有するイオン交換水390重量部とを混合し、ローターステータホモジナイザーにて30分間強制乳化して、ポリエポキシ化合物液滴が分散した分散液を調製した。
【0074】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えたセパラブルフラスコの重合器を用い、重合器内を窒素置換した後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃に加熱して重合を開始した。5時間重合し、重合器を室温まで冷却した。
【0075】
得られたスラリーを熱水及びアセトンで充分に洗浄した後、分級し、アセトンを揮発させて、基材微粒子(平均粒子径4μm)を得た。
得られた基材微粒子の表面を無電解ニッケルメッキし、厚さ0.06μmのニッケルメッキ層を形成させた。更に、置換金メッキを行い、厚さ0.03μmの金メッキ層をニッケルメッキ層の表面に形成させ導電性微粒子を得た。
以下、実施例1と同様にして異方性導電フィルム、導電接続構造体を作製した。
【0076】
(比較例2)
ポリエポキシ化合物の有機骨格成分としてjER154(ジャパンエポキシレジン社製)27重量部と、無機骨格としてN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリエトキシシラン3重量部と、非重合性有機溶媒としてエタノール20重量部とを混合し、混合溶液を得た。得られた混合溶液と、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部を含有するイオン交換水390重量部とを混合し、ローターステータホモジナイザーにて30分間強制乳化して、重合性液滴が分散した分散液を調製した。
【0077】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えたセパラブルフラスコの重合器を用い、重合器内を窒素置換した後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃に加熱して重合を開始した。5時間重合し、重合器を室温まで冷却した。
【0078】
得られたスラリーを熱水及びアセトンで充分に洗浄した後、分級し、アセトンを揮発させて、基材微粒子(平均粒子径4μm)を得た。
得られた基材微粒子の表面を無電解ニッケルメッキし、厚さ0.06μmのニッケルメッキ層を形成させた。更に、置換金メッキを行い、厚さ0.03μmの金メッキ層をニッケルメッキ層の表面に形成させ導電性微粒子を得た。
以下、実施例1と同様にして異方性導電フィルム、導電接続構造体を作製した。
【0079】
(比較例3)
ポリエポキシ化合物の有機骨格成分としてjER154(ジャパンエポキシレジン社製)0.1重量部と、無機骨格としてN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリエトキシシラン3重量部と、テトラエトキシシラン26.9重量部と、非重合性有機溶媒としてエタノール20重量部とを混合し、混合溶液を得た。得られた混合溶液と、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部を含有するイオン交換水390重量部とを混合し、ローターステータホモジナイザーにて30分間強制乳化して、重合性液滴が分散した分散液を調製した。
【0080】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えたセパラブルフラスコの重合器を用い、重合器内を窒素置換した後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃に加熱して重合を開始した。5時間重合し、重合器を室温まで冷却した。
【0081】
得られたスラリーを熱水及びアセトンで充分に洗浄した後、分級し、アセトンを揮発させて、基材微粒子(平均粒子径4μm)を得た。
得られた基材微粒子の表面を無電解ニッケルメッキし、厚さ0.06μmのニッケルメッキ層を形成させた。更に、置換金メッキを行い、厚さ0.03μmの金メッキ層をニッケルメッキ層の表面に形成させ導電性微粒子を得た。
以下、実施例1と同様にして異方性導電フィルム、導電接続構造体を作製した。
【0082】
(比較例4)
ポリエポキシ化合物の有機骨格成分としてjER828(ジャパンエポキシレジン社製)22.5重量部と、無機骨格としてテトラエトキシシラン7.5重量部と、非重合性有機溶媒としてエタノール20重量部とを混合し、混合溶液を得た。得られた混合溶液と、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部を含有するイオン交換水390重量部とを混合し、ローターステータホモジナイザーにて30分間強制乳化して、重合性液滴が分散した分散液を調製した。
【0083】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えたセパラブルフラスコの重合器を用い、重合器内を窒素置換した後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃に加熱して重合を開始した。5時間重合し、重合器を室温まで冷却した。
【0084】
得られたスラリーを熱水及びアセトンで充分に洗浄した後、分級し、アセトンを揮発させて、基材微粒子(平均粒子径4μm)を得た。
得られた基材微粒子の表面を無電解ニッケルメッキし、厚さ0.06μmのニッケルメッキ層を形成させた。更に、置換金メッキを行い、厚さ0.03μmの金メッキ層をニッケルメッキ層の表面に形成させ導電性微粒子を得た。
以下、実施例1と同様にして異方性導電フィルム、導電接続構造体を作製した。
【0085】
(比較例5)
ポリエポキシ化合物の有機骨格成分としてjER154(ジャパンエポキシレジン社製)30重量部と、アミン成分としてジエチルトリアミン10重量部と、非重合性有機溶媒としてエタノール20重量部と、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部と、無機化合物として平均粒子径50nmの疎水性表面処理を施したシリカ粒子1.5重量部を含有するイオン交換水390重量部とを混合し、ローターステータホモジナイザーにて30分間強制乳化して、ポリエポキシ化合物液滴が分散した分散液を調製した。
【0086】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えたセパラブルフラスコの重合器を用い、重合器内を窒素置換した後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃に加熱して重合を開始した。5時間重合し、重合器を室温まで冷却した。
【0087】
得られたスラリーを熱水及びアセトンで充分に洗浄した後、分級し、アセトンを揮発させて、基材微粒子(平均粒子径4μm)を得た。
得られた基材微粒子の表面を無電解ニッケルメッキし、厚さ0.06μmのニッケルメッキ層を形成させた。更に、置換金メッキを行い、厚さ0.03μmの金メッキ層をニッケルメッキ層の表面に形成させ導電性微粒子を得た。
以下、実施例1と同様にして異方性導電フィルム、導電接続構造体を作製した。
【0088】
<評価>
実施例1〜6及び比較例1〜5で得られた導電性微粒子、異方性導電材料及び導電接続構造体について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
【0089】
(無機骨格含有量)
得られた基材微粒子をTG/DTAを用い、500℃まで加熱して1時間保持した後、残分を測定し、無機骨格含有量(重量%)を算出した。
【0090】
(接続抵抗値の測定)
得られた導電接続構造体の電極間の抵抗値を四端子法にて測定した。また、得られた導電接続構造体に対してPCT試験(80℃、95%RHの高温高湿環境下で1000時間保持)を行った後、電極間の抵抗値を測定し、以下の基準で評価した。
◎:初期の抵抗値(通常)が10Ω未満でPCT試験後の抵抗値が20Ω以下。
○:初期の抵抗値(通常)が10Ω以上15Ω未満でPCT試験後の抵抗値が20Ω以下。
×:PCT試験後の抵抗値が20Ωを超える。
【0091】
【表1】

【0092】
(実施例7)
(界面重合型)
ポリエポキシ化合物の有機骨格成分としてjER154(ジャパンエポキシレジン社製)18重量部と、無機骨格として2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン12重量部と、非重合性有機溶媒としてエタノール20重量部とを混合し、混合溶液を得た。得られた混合溶液と、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1重量部を含有するイオン交換水390重量部とを混合し、ローターステータホモジナイザーにて10分間強制乳化した後、30分間撹拌し、重合性液滴が分散した分散液を調製した。
【0093】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えたセパラブルフラスコの重合器を用い、重合器内を窒素置換した後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃に加熱して重合を開始した。重合器内が80℃に到達した後、アミン成分としてジエチルトリアミン10重量部を添加して反応を開始した。9時間反応し、重合器を室温まで冷却した。
【0094】
得られたスラリーを熱水及びアセトンで充分に洗浄した後、分級し、アセトンを揮発させて、基材微粒子(平均粒子径260μm)を得た。
得られた基材微粒子の表面にバレルめっき装置を用いて、銅メッキし、5μmの銅メッキ層を形成させた。更に、共晶ハンダメッキを行い、15μmのハンダメッキ層を銅メッキ層の表面に形成させ導電性微粒子を得た。
【0095】
(実施例8)
(内部重合型)
ポリエポキシ化合物の有機骨格成分としてjER154(ジャパンエポキシレジン社製)20.5重量部と、無機骨格としてN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリエトキシシラン3重量部と、テトラエトキシシラン6.5重量部と、非重合性有機溶媒としてエタノール20重量部とを混合し、混合溶液を得た。得られた混合溶液と、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1重量部を含有するイオン交換水390重量部とを混合し、ローターステータホモジナイザーにて10分間強制乳化した後、30分間撹拌し、重合性液滴が分散した分散液を調製した。
【0096】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えたセパラブルフラスコの重合器を用い、重合器内を窒素置換した後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃に加熱して重合を開始した。9時間重合し、重合器を室温まで冷却した。
【0097】
得られたスラリーを熱水及びアセトンで充分に洗浄した後、分級し、アセトンを揮発させて、基材微粒子(平均粒子径260μm)を得た。
得られた基材微粒子の表面にバレルめっき装置を用いて、銅メッキし、5μmの銅メッキ層を形成させた。更に、共晶ハンダメッキを行い、15μmのハンダメッキ層を銅メッキ層の表面に形成させ導電性微粒子を得た。
【0098】
(実施例9)
(内部重合型)
ポリエポキシ化合物の有機骨格成分としてjER154(ジャパンエポキシレジン社製)15重量部と、無機骨格としてN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリエトキシシラン3重量部と、テトラエトキシシラン12重量部と、非重合性有機溶媒としてエタノール20重量部とを混合し、混合溶液を得た。得られた混合溶液と、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1重量部を含有するイオン交換水390重量部とを混合し、ローターステータホモジナイザーにて10分間強制乳化した後、30分間撹拌し、重合性液滴が分散した分散液を調製した。
【0099】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えたセパラブルフラスコの重合器を用い、重合器内を窒素置換した後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃に加熱して重合を開始した。9時間重合し、重合器を室温まで冷却した。
【0100】
得られたスラリーを熱水及びアセトンで充分に洗浄した後、分級し、アセトンを揮発させて、基材微粒子(平均粒子径260μm)を得た。
得られた基材微粒子の表面にバレルめっき装置を用いて、銅メッキし、5μmの銅メッキ層を形成させた。更に、共晶ハンダメッキを行い、15μmのハンダメッキ層を銅メッキ層の表面に形成させ導電性微粒子を得た。
【0101】
(実施例10)
(内部重合型)
ポリエポキシ化合物の有機骨格成分としてjER154(ジャパンエポキシレジン社製)4重量部と、無機骨格としてN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリエトキシシラン3重量部と、テトラエトキシシラン23重量部と、非重合性有機溶媒としてエタノール20重量部とを混合し、混合溶液を得た。得られた混合溶液と、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1重量部を含有するイオン交換水390重量部とを混合し、ローターステータホモジナイザーにて10分間強制乳化した後、30分間撹拌し、重合性液滴が分散した分散液を調製した。
【0102】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えたセパラブルフラスコの重合器を用い、重合器内を窒素置換した後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃に加熱して重合を開始した。9時間重合し、重合器を室温まで冷却した。
【0103】
得られたスラリーを熱水及びアセトンで充分に洗浄した後、分級し、アセトンを揮発させて、基材微粒子(平均粒子径260μm)を得た。
得られた基材微粒子の表面にバレルめっき装置を用いて、銅メッキし、5μmの銅メッキ層を形成させた。更に、共晶ハンダメッキを行い、15μmのハンダメッキ層を銅メッキ層の表面に形成させ導電性微粒子を得た。
【0104】
(実施例11)
(内部重合型)
ポリエポキシ化合物の有機骨格成分としてjER154(ジャパンエポキシレジン社製)1重量部と、無機骨格としてN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリエトキシシラン3重量部と、テトラエトキシシラン26重量部と、非重合性有機溶媒としてエタノール20重量部とを混合し、混合溶液を得た。得られた混合溶液と、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1重量部を含有するイオン交換水390重量部とを混合し、ローターステータホモジナイザーにて10分間強制乳化した後、30分間撹拌し、重合性液滴が分散した分散液を調製した。
【0105】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えたセパラブルフラスコの重合器を用い、重合器内を窒素置換した後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃に加熱して重合を開始した。9時間重合し、重合器を室温まで冷却した。
【0106】
得られたスラリーを熱水及びアセトンで充分に洗浄した後、分級し、アセトンを揮発させて、基材微粒子(平均粒子径260μm)を得た。
得られた基材微粒子の表面にバレルめっき装置を用いて、銅メッキし、5μmの銅メッキ層を形成させた。更に、共晶ハンダメッキを行い、15μmのハンダメッキ層を銅メッキ層の表面に形成させ導電性微粒子を得た。
【0107】
(比較例6)
ポリエポキシ化合物の有機骨格成分としてjER154(ジャパンエポキシレジン社製)30重量部と、アミン成分としてジエチルトリアミン10重量部と、非重合性有機溶媒としてエタノール20重量部と、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1重量部を含有するイオン交換水390重量部とを混合し、ローターステータホモジナイザーにて10分間強制乳化した後、30分間撹拌し、ポリエポキシ化合物液滴が分散した分散液を調製した。
【0108】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えたセパラブルフラスコの重合器を用い、重合器内を窒素置換した後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃に加熱して重合を開始した。9時間重合し、重合器を室温まで冷却した。
【0109】
得られたスラリーを熱水及びアセトンで充分に洗浄した後、分級し、アセトンを揮発させて、基材微粒子(平均粒子径260μm)を得た。
得られた基材微粒子の表面にバレルめっき装置を用いて、銅メッキし、5μmの銅メッキ層を形成させた。更に、共晶ハンダメッキを行い、15μmのハンダメッキ層を銅メッキ層の表面に形成させ導電性微粒子を得た。
【0110】
(比較例7)
ポリエポキシ化合物の有機骨格成分としてjER154(ジャパンエポキシレジン社製)27重量部と、無機骨格としてN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリエトキシシラン3重量部と、非重合性有機溶媒としてエタノール20重量部とを混合し、混合溶液を得た。得られた混合溶液と、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1重量部を含有するイオン交換水390重量部とを混合し、ローターステータホモジナイザーにて10分間強制乳化した後、30分間撹拌し、重合性液滴が分散した分散液を調製した。
【0111】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えたセパラブルフラスコの重合器を用い、重合器内を窒素置換した後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃に加熱して重合を開始した。9時間重合し、重合器を室温まで冷却した。
【0112】
得られたスラリーを熱水及びアセトンで充分に洗浄した後、分級し、アセトンを揮発させて、基材微粒子(平均粒子径260μm)を得た。
得られた基材微粒子の表面にバレルめっき装置を用いて、銅メッキし、5μmの銅メッキ層を形成させた。更に、共晶ハンダメッキを行い、15μmのハンダメッキ層を銅メッキ層の表面に形成させ導電性微粒子を得た。
【0113】
(比較例8)
ポリエポキシ化合物の有機骨格成分としてjER154(ジャパンエポキシレジン社製)0.1重量部と、無機骨格としてN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリエトキシシラン3重量部と、テトラエトキシシラン26.9重量部と、非重合性有機溶媒としてエタノール20重量部とを混合し、混合溶液を得た。得られた混合溶液と、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1重量部を含有するイオン交換水390重量部とを混合し、ローターステータホモジナイザーにて10分間強制乳化した後、30分間撹拌し、重合性液滴が分散した分散液を調製した。
【0114】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えたセパラブルフラスコの重合器を用い、重合器内を窒素置換した後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃に加熱して重合を開始した。9時間重合し、重合器を室温まで冷却した。
【0115】
得られたスラリーを熱水及びアセトンで充分に洗浄した後、分級し、アセトンを揮発させて、基材微粒子(平均粒子径260μm)を得た。
得られた基材微粒子の表面にバレルめっき装置を用いて、銅メッキし、5μmの銅メッキ層を形成させた。更に、共晶ハンダメッキを行い、15μmのハンダメッキ層を銅メッキ層の表面に形成させ導電性微粒子を得た。
【0116】
(比較例9)
ポリエポキシ化合物の有機骨格成分としてjER828(ジャパンエポキシレジン社製)22.5重量部と、無機骨格としてテトラエトキシシラン7.5重量部と、非重合性有機溶媒としてエタノール20重量部とを混合し、混合溶液を得た。得られた混合溶液と、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1重量部を含有するイオン交換水390重量部とを混合し、ローターステータホモジナイザーにて10分間強制乳化した後、30分間撹拌し、重合性液滴が分散した分散液を調製した。
【0117】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えたセパラブルフラスコの重合器を用い、重合器内を窒素置換した後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃に加熱して重合を開始した。9時間重合し、重合器を室温まで冷却した。
【0118】
得られたスラリーを熱水及びアセトンで充分に洗浄した後、分級し、アセトンを揮発させて、基材微粒子(平均粒子径260μm)を得た。
得られた基材微粒子の表面にバレルめっき装置を用いて、銅メッキし、5μmの銅メッキ層を形成させた。更に、共晶ハンダメッキを行い、15μmのハンダメッキ層を銅メッキ層の表面に形成させ導電性微粒子を得た。
【0119】
(比較例10)
ポリエポキシ化合物の有機骨格成分としてjER154(ジャパンエポキシレジン社製)30重量部と、アミン成分としてジエチルトリアミン10重量部と、非重合性有機溶媒としてエタノール20重量部と、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1重量部と、無機化合物として平均粒子径50nmの疎水性表面処理を施したシリカ粒子1.5重量部を含有するイオン交換水390重量部とを混合し、ローターステータホモジナイザーにて10分間強制乳化した後、30分間撹拌し、ポリエポキシ化合物液滴が分散した分散液を調製した。
【0120】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えたセパラブルフラスコの重合器を用い、重合器内を窒素置換した後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃に加熱して重合を開始した。9時間重合し、重合器を室温まで冷却した。
【0121】
得られたスラリーを熱水及びアセトンで充分に洗浄した後、分級し、アセトンを揮発させて、基材微粒子(平均粒子径260μm)を得た。
得られた基材微粒子の表面にバレルめっき装置を用いて、銅メッキし、5μmの銅メッキ層を形成させた。更に、共晶ハンダメッキを行い、15μmのハンダメッキ層を銅メッキ層の表面に形成させ導電性微粒子を得た。
【0122】
<評価>
実施例7〜11及び比較例6〜10で得られた導電性微粒子について以下の評価を行った。結果を表2に示した。
【0123】
(無機骨格含有量)
得られた基材微粒子をTG/DTAを用い、500℃まで加熱して1時間保持した後、残分を測定し、無機骨格含有量(重量%)を算出した。
【0124】
(メッキ割れ評価)
24個の導電性微粒子をチップの電極に実装し、更に、赤外線リフロー装置を用いてチップをプリント基板に実装した。リフロー条件は、300℃で10分間加熱する条件であった。実装後の導電性微粒子を光学顕微鏡で観察し、導電性微粒子の表面の割れを観察した。なお、メッキ割れは以下の基準で評価した。
◎:導電性微粒子の表面の割れは確認されなかった。
○:表面の割れが確認された導電性微粒子が1〜3個であった。
△:表面の割れが確認された導電性微粒子が4〜8個であった。
×:表面の割れが確認された導電性微粒子が9個以上であった。
【0125】
(電極間抵抗)
24個の導電性微粒子をチップの電極に実装し、更に、赤外線リフロー装置を用いてチップをプリント基板に実装した。リフロー条件は、185℃で1分間加熱し、その後、245℃で3分間加熱する条件であった。このようにして10枚のチップが実装されたプリント基板を作製し、導電接続構造体を得た。得られた導電接続構造体を、−40〜125℃(各30分サイクル)でプログラム運転する恒温槽に入れた。100サイクル毎にすべての導電性微粒子の導通を調べ、断線したチップの数を計測した。
◎:1000サイクル後の導通不良のチップは0個であった。
○:1000サイクル後の導通不良のチップは1〜4個であった。
△:1000サイクル後の導通不良のチップは5〜7個であった。
×:1000サイクル後の導通不良のチップは8〜10個であった。
【0126】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明によれば、長期の接続信頼性に優れた導電性微粒子、該導電性微粒子を用いてなる異方性導電材料、及び、導電接続構造体を提供することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材微粒子の表面に、導電性金属層が形成された導電性微粒子であって、
前記基材微粒子は、ポリエポキシ化合物由来の有機骨格と金属アルコキシド由来の無機骨格とを有し、かつ、前記ポリエポキシ化合物由来の有機骨格と金属アルコキシド由来の無機骨格とは共有結合しており、前記基材微粒子における無機骨格の含有量が2.5〜15重量%である
ことを特徴とする導電性微粒子。
【請求項2】
基材微粒子のCV値が5%以下であることを特徴とする請求項1記載の導電性微粒子。
【請求項3】
請求項1又は2記載の導電性微粒子がバインダー樹脂に分散されてなることを特徴とする異方性導電材料。
【請求項4】
請求項1若しくは2記載の導電性微粒子、又は、請求項3記載の異方性導電材料を用いてなることを特徴とする導電接続構造体。


【公開番号】特開2009−245854(P2009−245854A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92998(P2008−92998)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】