導電性微粒子の製造方法
【課題】簡便かつ高効率な導電性微粒子の製造方法を提供すること。さらに、導電性微粒子の突起の大きさを容易に調節可能な導電性微粒子の製造方法を提供すること。
【解決手段】被めっき粒子の表面に触媒を担持させる触媒担持工程と、被めっき粒子の被めっき面積2.5m2/L〜30m2/Lに対して、めっき液1L当たりニッケル塩0.017mol〜2.56mol、還元剤0.34モル当量〜3.4モル当量含有する酸性めっき液中、温度25℃〜75℃において、ニッケル塩又は還元剤を添加することなく、かつ1回の建浴によって被めっき粒子にめっき処理を施す無電解ニッケルめっき工程と、を含む方法によって、導電性微粒子を製造する。
【解決手段】被めっき粒子の表面に触媒を担持させる触媒担持工程と、被めっき粒子の被めっき面積2.5m2/L〜30m2/Lに対して、めっき液1L当たりニッケル塩0.017mol〜2.56mol、還元剤0.34モル当量〜3.4モル当量含有する酸性めっき液中、温度25℃〜75℃において、ニッケル塩又は還元剤を添加することなく、かつ1回の建浴によって被めっき粒子にめっき処理を施す無電解ニッケルめっき工程と、を含む方法によって、導電性微粒子を製造する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属被膜を有する導電性微粒子の製造方法に関し、詳細には、電気的接続に利用される異方導電性接合材に使用される導電性微粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の電極、液晶表示ディスプレイ等の電子部品の電気的接続には、異方性導電フィルム(ACF;Anisotropic Conductive Film)が使用されている。異方性導電フィルムは、接続する電極間に介在させて加熱圧着することにより、電極間を接着すると同時に電気的に接続することができるものであり、圧力をかけた方向の導電性は確保されるが、その方向の垂直方向、例えば隣接する電極間、の絶縁性は維持することができる。このような異方性導電フィルムは、通常、絶縁性樹脂に導電性微粒子を分散させて形成されている。
【0003】
異方性導電フィルムに使用されるような導電性粒子は、一般的には、球状の基材に無電解めっきを施すことによって製造される。例えば、特許文献1に記載の方法においては、基材粒子を分散させた水性懸濁液に無電解めっき液を添加することによって、めっき反応を制御しながら基材に均一なめっき処理を施している。また、特許文献2に記載の方法においては、金属イオンの濃度が低濃度(1.5g/L以下)の無電解めっき液に基材粒子を投入し、めっき液を補給することなく、基材粒子に均一なめっき処理を施している。
【0004】
また、特許文献3に記載の方法によれば、無電解めっき液に基材粒子スラリーを添加する工程と基材粒子のスラリーに無電解めっき液を少なくとも2つに分離して、それぞれを同時かつ経時的に添加する工程の2段階のめっき工程を行うことにより、皮膜表層に突起を形成するめっき処理を施している。
【0005】
【特許文献1】特開平1−242782号公報
【特許文献2】特開2002−339077号公報
【特許文献3】特開2000−243132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
異方性導電フィルムに使用される導電性微粒子が、金属からなる突起(凸状部分)を有すると、異方性導電フィルムに圧力をかけた際に、突起部分によって絶縁フィルムに局所的な圧力が加わることになる。これにより、突起部分が絶縁フィルムを突き破ったり、隣接する導電性粒子と接触したりして、圧力方向の導電性が確保しやすくなる。したがって、導電性微粒子の使用条件、例えば異方性導電性フィルムの絶縁材の材質、接合時の圧力等、によって、導電性微粒子の突起を所望の高さや大きさに形成できると好ましい。
【0007】
特許文献1及び特許文献2に記載の方法によれば、均一な金属皮膜を有する導電性粒子が得られている。しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の方法は、めっき過程におけるめっき液の添加の有無は異なるが、いずれも金属イオンの濃度を低くしためっき液によってめっき処理を施している。低濃度のめっき液を使用している理由は、高濃度のめっき液を使用すると粒子が凝集してしまうこと、基材粒子間でめっきにばらつきが生じる等の問題が生じるだめである。しかしながら、めっき液が低濃度であると、めっき液の体積当たりのめっき面積(基材粒子量)を小さくするしかなく非効率であるばかりでなく、めっき面積に対して、廃液となるめっき液の量も多くなり、廃棄物処理費用等の増大を招く。また、めっき処理において、めっき反応を制御するためにめっき液を添加しながらめっき処理を施すことや建浴を数回行うことは面倒であり、めっき液を調整することなく1回の建浴だけで所望の導電性微粒子が得られることが望まれる。
【0008】
特許文献3に記載の方法によれば、突起を有する導電性微粒子が得られるが、突起の核を形成する工程及び核から突起を成長させる工程の少なくとも2工程をおこなわなければならない。特に、そのうちの1工程は、少なくとも2液を所定の速度で同時かつ経時的に添加しなければならず、無電解めっき工程全体としても突起の調整手段としても非常に手間を要する。
【0009】
本発明の目的は、簡便かつ高効率な導電性微粒子の製造方法を提供することである。さらに、本発明の目的は、導電性微粒子の突起(凸状部分)の大きさを容易に調節可能な導電性微粒子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、被めっき粒子の表面に触媒を担持させる触媒担持工程と、被めっき粒子の被めっき面積2.5m2/L〜30m2/Lに対して、めっき液1L当たりニッケル塩0.017mol〜2.56mol、還元剤0.34モル当量〜3.4モル当量含有する酸性めっき液中、温度25℃〜75℃において、ニッケル塩及び還元剤を補充することなく、かつ1回の建浴によって被めっき粒子にめっき処理を施す無電解ニッケルめっき工程と、を含む導電性微粒子の製造方法を提供する。
【0011】
本発明の無電解ニッケルめっき工程においては、反応性を高める条件と反応性を低くする条件とのバランスをとることによって、簡便かつ高効率の導電性微粒子の製造方法を提供する。反応性を高める条件とは、めっき液の単位体積当たりの被めっき面積を大きくする(被めっき粒子濃度を高くする)こと及びめっき液のニッケル塩濃度及び還元剤濃度を高くすることである。一方、反応性を低くする条件とは、めっき液を酸性にすること及びめっき液の温度を低温にすることである。
【0012】
本発明の好ましい形態によれば、めっき液の温度及び/又は還元剤濃度の設定によって、導電性微粒子の面粗度を調整する(好ましくは導電性微粒子表面に突起を形成する)。さらに好ましい形態によれば、めっき液の温度及び/又は還元剤濃度の設定によって高さを寸法制御した突起を形成する。さらに好ましい形態によれば、めっき液の温度を25℃〜75℃の範囲に設定して、高さを0.05μm未満〜0.20μm以上に寸法制御した突起を形成する。別の好ましい形態によれば、めっき液の還元剤濃度を0.2mol/L〜1.5mol/Lの範囲に設定して、高さを0.05μm未満〜0.18μm以上に寸法制御した突起を形成する。
【0013】
本発明において、ニッケル塩とは、ニッケルを含む塩である。ニッケル塩は、還元により金属ニッケルを析出可能な物質であればいずれの物質でもよい。例えば、めっき液中において、解離してニッケルイオンを形成するものでもよく、又は錯体構造を形成するものでもよい。
【0014】
本発明において、還元剤1モル当量とは、電子1molを与える還元剤のモル数を示している。例えば、還元剤に次亜リン酸ナトリウムを使用する場合、ニッケルめっき反応は以下の式のように進行すると考えられる。このとき、めっき液1L当たり還元剤0.34モル当量〜3.4モル当量とは、次亜リン酸ナトリウムを0.17mol/L(15g/L)〜1.7mol/L(150g/L)含有することを意味する。
【0015】
【化1】
【発明の効果】
【0016】
本発明の製造方法によれば、高濃度のめっき液で大きな被めっき面積をめっき処理するので、効率良くめっき処理を行うことができる。また、高濃度のめっき液を使用することにより、めっき工程を複数回に分けることなく1回のめっき処理で、かつめっき処理の過程においてめっき液の添加をすることなく、簡便な工程で所望の導電性微粒子を得ることができる。さらに、めっき液を高濃度にすることにより、廃液の量を削減することもできる。通常、高濃度のめっき液を使用すると、めっき反応が急速に起こり、粒子間のばらつきや粒子の凝集といった問題が生じることが考えられる。しかしながら、本発明の製造方法においては、めっき液を酸性にすること及びめっき液の温度を低温にすることによってめっき反応の速度を抑えている。これにより、粒子全体に偏りなくめっき処理を施すと共に、粒子の凝集を防止することができる。
【0017】
また、本発明の製造方法によれば、めっき液温度及び/又は還元剤の濃度を変更することによって、導電性微粒子表面を所定の面粗度に調整することができる。詳細には、導電性微粒子表面に所定の高さを有する突起を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の製造方法は、基材粒子に無電解めっきを施すことによって、少なくとも表層に金属(皮膜)を有する導電性微粒子を製造するものである。特に、本発明の製造方法は、無電解ニッケルめっき工程を含む方法よって導電性微粒子を製造するものである。
【0019】
導電性微粒子の基となる基材粒子は、めっき液に対して耐性を有するものであればいずれの材質を使用することができ、金属、非金属、有機物を問わず種々の材質を使用することができる。例えば、基材粒子の材質として、金属単体、合金等の金属、シリカ、アルミナ、ガラス等のセラミックスや鉱物、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル樹脂等の有機高分子等を使用することができ、特に、シリカ、ガラス、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
【0020】
基材粒子の形状については、粒子表面全体にわたってめっきを施せる形状であれば、所望の形状の粒子を使用することができる。基材粒子の最も好ましい形状は球形状であるが、ラグビーボール形状、直方体形状等でもよい。また、基材粒子は、複数の突起(凸部)を有するものでもよい。
【0021】
基材粒子の大きさは、球状粒子の場合、粒径が、好ましくは1μm〜100μm、より好ましくは2.5μm〜40μm、さらに好ましくは3μm〜10μmである。球状以外の粒子の場合は、短手方向の径が上記範囲であると好ましい。
【0022】
基材粒子表面に形成する金属皮膜は、無電解めっき可能な金属であればいずれの金属でも良い。例えば、銅、銀、金、ニッケル等の金属を形成することができ、複数の金属の多層構造にすることもできる。なお、本発明において形成する金属には合金を含むものとする。例えば、ニッケルめっき、ニッケル皮膜のような表記がしてある場合であっても、ニッケルにはニッケル−リン合金、ニッケル−硼素合金等の合金も含めるものとする。
【0023】
次に、本発明の製造方法における無電解めっき工程について説明する。本発明におけるめっき工程は、1種の金属を被覆させるに当たり、被めっき粒子をめっき液に1回建浴させることによってめっきを形成し、めっき反応の開始から終了までにめっき液に新たなめっき液を補給(添加)しないことを特徴とする。ここで、めっき液とは、少なくともめっきする金属(化合物ないしイオン含む)を含有するものをいう。
【0024】
1回のめっき処理における被めっき粒子の総表面積は、好ましくは2.5m2/L〜30m2/L、より好ましくは3.5m2/L〜20m2/L、さらに好ましくは4.5m2/L〜10m2/Lである。総表面積が2.5m2/Lより小さいと非効率である。また、総表面積が30m2/L以上であると、均一なめっき処理ができないおそれがある。
【0025】
基材粒子には、めっき処理前に、基材粒子表面に触媒付与処理を施す。さらに、触媒付与処理前には、触媒を付着しやすくするため、基材粒子表面の改質処理を施すことが好ましい。表面改質は、界面活性剤を使用することができ、カチオン系、アニオン系、非イオン系のいずれのものを使用してもよい。例えば、アルカリ溶液中においてカチオン系界面活性剤で基材粒子表面を処理することにより、表面に水酸化物イオンの極性を付与することができる。カチオン系界面活性剤としては、アルキル酢酸エステルナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルファオレフィンスルフォン酸ナトリウム、アルキルスルフォン酸ナトリウム等を使用することができる。
【0026】
基材粒子の表面改質後、基材粒子表面に触媒を付与する。触媒としては、パラジウム等の貴金属を使用することができる。触媒としてパラジウムを担持させる場合、塩化スズ(塩化第一スズ)を基材表面に付与し塩化パラジウムを還元させるか、塩化スズと塩化パラジウムのコロイドを基材表面に付与し、希塩酸あるいは希硫酸で塩化スズを除去することによって、基材表面にパラジウムを付着させることができる。このとき、被触媒処理面積2.5m2/L〜30m2/L当たり、塩化パラジウム50mg/L〜200mg/L、塩化スズ5g/L〜20g/L、濃塩酸80mL/L〜120mL/L、の濃度にすると好ましい。触媒付与後、基材粒子を濾別し、水洗する。
【0027】
次に、被めっき粒子へのめっき工程を説明する。本発明の無電解めっき工程においては、触媒を担持させた被めっき粒子を水等の溶媒に懸濁させたスラリーを作製し、そのスラリーを予め調整しておいためっき準備液に投入することによって、被めっき粒子にめっき処理を施す。なお、以下に説明するめっき液の組成(濃度)は、めっき準備液にスラリーを投入した時点の組成、すなわちめっき準備液とスラリーとを混合したとき(めっき反応開始前)組成である。
【0028】
本発明のめっき工程における被めっき粒子の撹拌及び分散においては、めっき液中の被めっき粒子に超音波振動を与えると好ましい。本発明においては、めっき液中の被めっき粒子濃度、金属濃度及び還元剤濃度が共に高いために、被めっき粒子が凝集しやすくなるためである。超音波振動を与える方法としては、超音波振動子ないし超音波振動装置を容器に取り付けてもよいし、超音波振動子ないし超音波振動装置をめっき液に直接投入しても良い。好ましくは、めっき液の撹拌操作によるめっき液の流路に超音波振動子ないし超音波振動装置を投入する。例えば、めっき浴中央下部に配置した撹拌器によってめっき液を旋回撹拌する。そして、めっき液、すなわち被めっき粒子、が超音波振動子ないし超音波振動装置の近傍を通過するような構成にすると好ましい。
【0029】
めっき液は、必須成分として金属塩(析出させる金属を含む塩、金属イオンを生じる化合物)及び還元剤を含有し、補助成分として緩衝剤、錯化剤、安定剤、pH調整剤、促進剤、改良剤等を添加することができる。各成分の種類及び濃度、めっき液の温度及びpH等のめっき液の条件は、析出させる金属に応じて適宜設定する。
【0030】
次に、被めっき粒子へのめっき工程として、ニッケルの無電解めっき工程を説明する。このニッケルめっき工程においては、基材粒子上に直接ニッケルめっきを形成してもよいし、多層構造となるように、基材粒子上に形成した銅等の金属皮膜上にニッケル皮膜を形成してもよい。金属皮膜上にめっき処理を施す場合も、先に説明した触媒付与処理を当該金属皮膜上に施す。
【0031】
めっき液が含有するニッケル塩としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケル等の水溶性のニッケル塩を使用することができる。また、還元剤としては、次亜リン酸ナトリウム、水素化硼素ナトリウム、ヒドラジン等を使用することができる。
【0032】
本発明のニッケルめっき液において、ニッケル塩の好ましい濃度は、被めっき粒子の被めっき面積2.5m2/L〜30m2/Lに対して、0.017mol/L〜2.56mol/L、より好ましくは0.256mol/L〜0.767mol/L、さらに好ましくは0.426mol/L〜0.596mol/Lである。例えば、ニッケルイオンの好ましい濃度は、1g/L〜150g/L、より好ましくは、15g/L〜45g/Lさらに好ましくは25g/L〜35g/Lである。ニッケル塩の濃度が上記範囲外であると、所望の膜厚ないし突起の高さが得られない、反応が激しくなりすぎる等の問題が生じることがある。
【0033】
本発明のニッケルめっき液において、還元剤の好ましい濃度は、被めっき粒子の被めっき面積2.5m2/L〜30m2/Lに対して、めっき液1L当たり0.34当量〜3.4当量であるであるが、詳細には、所望のめっき反応速度、めっきの厚さ又は突起の高さに応じて適宜設定する。還元剤の濃度が上記範囲外であると、所望の膜厚ないし突起の高さが得られない、反応が激しくなりすぎる等の問題が生じることがある。
【0034】
また、ニッケルめっき液は、補助成分として、酢酸アンモニウム(好ましくは、20g/L〜125g/L、より好ましくは25g/L〜35g/L)、グリシン(好ましくは7g/L〜35g/L、より好ましくは9g/L〜12g/L)、及び硫黄系添加剤(好ましくは2ppm〜15ppm、より好ましくは2ppm〜3ppm)のうち少なくとも一種を添加しても良い。これらの濃度範囲において、好適なニッケル皮膜が得られている。
【0035】
ニッケルめっき液の温度は、好ましくは25℃〜75℃にするが、詳細には、所望のめっき反応速度、めっきの厚さ又は突起の高さに応じて適宜設定する。めっき液の温度が上記範囲外であると、所望の膜厚ないし突起の高さが得られない、反応が激しくなりすぎる等の問題が生じることがある。めっき液のpHは、酸性が好ましく、より好ましくはめっき反応開始時において4.5〜7、さらに好ましくはpH5.8〜6.2にする。なお、めっき反応が急激に起こる等の問題がなければ、アルカリ性浴でもめっき処理は可能である。
【0036】
本発明の製造方法の無電解ニッケルめっき工程においては、めっき液の温度を調節することによって、導電性微粒子表面の面粗度、すなわち導電性微粒子表面に形成される突起の大きさ(高さ・面積)を調節することができる。例えば、還元剤濃度がめっき液1L当たり0.34モル当量〜3.4モル当量(例えば次亜リン酸ナトリウムの場合、0.17mol/L〜1.7mol/L)のとき、めっき液の温度を25℃以上35℃未満にして被めっき粒子にめっき処理を施すと、めっき膜厚(突起のない部分)を0.05μm〜0.2μm、突起の高さを0.05μm未満にすることができる。還元剤濃度がめっき液1L当たり0.34モル当量〜2.28モル当量(例えば次亜リン酸ナトリウムの場合、0.17mol/L〜1.14mol/L)のとき、めっき液の温度を35℃以上45℃未満にして被めっき粒子にめっき処理を施すと、めっき膜厚(突起のない部分)を0.05μm〜0.2μm、少なくとも1つの突起の高さを0.05μm以上0.2μm以下にすることができる。還元剤濃度がめっき液1L当たり0.34モル当量〜1.82モル当量(例えば次亜リン酸ナトリウムの場合、0.17mol/L〜0.91mol/L)のとき、めっき液の温度を45℃以上55℃未満にして被めっき粒子にめっき処理を施すと、めっき膜厚(突起のない部分)を0.05μm〜0.2μm、少なくとも1つの突起の高さを0.08μm以上0.3μm以下にすることができる。還元剤濃度がめっき液1L当たり0.34モル当量〜1.14モル当量(例えば次亜リン酸ナトリウムの場合、0.17mol/L〜0.57mol/L)のとき、めっき液の温度を55℃以上65℃未満にして被めっき粒子にめっき処理を施すと、めっき膜厚(突起のない部分)を0.05μm〜0.2μm、少なくとも1つの突起の高さを0.15μm以上0.4μm以下にすることができる。還元剤濃度がめっき液1L当たり0.34モル当量〜0.8モル当量(例えば次亜リン酸ナトリウムの場合、0.17mol/L〜0.4mol/L)のとき、めっき液の温度を65℃以上75℃未満にして被めっき粒子にめっき処理を施すと、めっき膜厚(突起のない部分)を0.05μm〜0.2μm、少なくとも1つの突起の高さを0.20μm以上0.5μm以下にすることができる。
【0037】
また、本発明の製造方法の無電解ニッケルめっき工程においては、還元剤の濃度を調節することによっても、導電性微粒子表面の面粗度、すなわち導電性微粒子表面に形成される突起の大きさ(高さ・面積)を調節することができる。例えば、めっき液の温度が25℃〜35℃のとき、還元剤の濃度をめっき液1L当たり0.34モル当量〜0.80モル当量(例えば次亜リン酸ナトリウムの場合、0.17mol/L以上0.40mol/L未満)にしてめっき処理を施すと、めっき膜厚(突起のない部分)を0.05μm〜0.2μm、突起の高さを0.05μm未満にすることができる。めっき液の温度が25℃〜35℃のとき、還元剤の濃度をめっき液1L当たり0.80モル当量〜0.90モル当量(例えば次亜リン酸ナトリウムの場合、0.40mol/L以上0.45mol/L未満)にしてめっき処理を施すと、めっき膜厚(突起のない部分)を0.05μm〜0.2μm、少なくとも1つの突起の高さを0.05μm以上0.3μm以下にすることができる。めっき液の温度が25℃〜35℃のとき、還元剤の濃度をめっき液1L当たり0.90モル当量〜1.14モル当量(例えば次亜リン酸ナトリウムの場合、0.45mol/L以上0.57mol/L未満)にしてめっき処理を施すと、めっき膜厚(突起のない部分)を0.05μm〜0.2μm、少なくとも1つの突起の高さを0.15μm以上0.4μm以下にすることができる。めっき液の温度が25℃〜35℃のとき、還元剤の濃度をめっき液1L当たり1.14モル当量〜3.4モル当量(例えば次亜リン酸ナトリウムの場合、0.57mol/L以上1.7mol/L未満)にしてめっき処理を施すと、めっき膜厚(突起のない部分)を0.05μm〜0.2μm、少なくとも1つの突起の高さを0.18μm以上0.5μm以下にすることができる。
【0038】
ニッケルめっき処理は、好ましくは10分間〜30分間、より好ましくは15分間〜25分間行う。ニッケルめっき処理は、粒子を濾別し、水洗することによって終了する。
【0039】
本発明の導電性微粒子の製造方法においては、ニッケル皮膜又は銅皮膜の上にさらに金皮膜を形成すると好ましい。金皮膜は無電解金めっきによって形成することができ、好ましくは置換金めっきにより形成する。金めっき液は、必須成分として、被めっき粒子の被めっき面積2.5m2/L〜30m2/Lに対して、例えば、シアン化金カリウム0.1〜8g/L、クエン酸カリウム25〜35g/L、リン酸25〜35g/L、エチレンジアミン四酢酸10〜20g/Lを含有する。また、金めっき液は、補助成分として、アスコルビン酸0.5〜2.5g/L、亜硫酸ナトリウム0.5〜2.5g/L、硝酸タリウム1ppm〜15ppm、及びヒドラジン0.5〜2g/Lのうち少なくとも一種を添加することができる。特に、アスコルビン酸及び亜硫酸ナトリウムは、還元力補助剤として使用され、粒子の凝集及び下地Ni皮膜の溶解を効果的に防止することができる。金めっき処理は、めっき液温度50℃〜95℃、好ましくは80℃〜90℃、pH4〜5で、5分間〜20分間、好ましくは10分間〜15分間行う。金めっき処理は、粒子を濾別し、水洗することによって終了する。
【0040】
金めっき処理により、導電性微粒子は、好ましくは0.005μm〜0.1μm、より好ましくは0.01μm〜0.05μm、さらに好ましくは0.02μm〜0.04μmの厚さの金皮膜を有することができる。
【0041】
本発明の導電性微粒子の製造方法においては、ニッケルめっき又は金めっきの前に、基材粒子に銅皮膜を形成してもよい。銅皮膜も無電解銅めっきによって形成することができる。銅めっき液は、必須成分として、被めっき粒子の被めっき面積2.5m2/L〜30m2/Lに対して、例えば、硫酸銅3〜10g/L、ホルマリン8g/L〜15g/Lを含有する。また、銅めっき液は、補助成分として、酒石酸ナトリウムカリウム10〜50g/L、ジピリジル10ppm〜50ppm、ポリエチレングリコール100ppm〜700ppmのうち少なくとも一種を添加することができる。銅めっき処理は、めっき液温度10℃〜50℃、好ましくは30℃〜40℃、pH11.5〜13で、10分間〜100分間、好ましくは15分間〜25分間行う。銅めっき処理は、粒子を濾別し、水洗することによって終了する。
【0042】
銅めっき処理により、導電性微粒子は、好ましくは0.04μm〜0.5μm、より好ましくは0.06〜0.15μm、さらに好ましくは0.8μm〜0.12μmの厚さの銅皮膜を有することができる。
【0043】
ここで、めっきの膜厚及び突起の高さは、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope (TEM))によって計測すると好ましい。TEMを使用する場合、導電性微粒子を集束イオンビーム(Focused Ion Beam(FIB))で切断し、導電性微粒子の切断面をTEMで観察して、膜厚及び突起の高さを測定する。また、導電性微粒子の突起の高さは、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope(SEM))で測定することもできる。図1に、めっき膜厚及び突起の高さを測定する方法を説明するための概略図を示す。図1(a)は、TEMで導電性微粒子の切断面を観察しているときの概略図であり、図2(b)は、SEMで導電性微粒子の外観を観察しているときの概略図である。TEMで突起の高さを測定する場合は、めっきの膜厚を差し引いて測定する。これにより、SEMで測定した突起の高さとの整合をとることができる。TEM又はSEMで測定する場合、倍率5000〜50000倍の写真から測定することが好ましい。
【0044】
めっき膜厚を算出する別の方法として、導電性微粒子のめっき(ニッケル)を溶解し、ICP発光分光分析によって析出金属量を定量分析することによって、めっき膜厚を算出することもできる。この場合、めっき膜厚は、導電性微粒子表面の突起部分を含めた平均膜厚として算出されることになる。
【実施例1】
【0045】
実施例1においては、基材粒子に直接無電解めっき処理を施して、導電性微粒子を製造した。粒子径4μmの球状のポリスチレン粒子を基材粒子として、まず基材表面を改質するため基材粒子5g(総表面積560dm2/L)をカチオン系界面活性剤(市販品)にて処理した。水洗後、塩化パラジウム100mg/L、塩化スズ10g/L及び濃塩酸100mL/Lである水溶液に浸漬し、ろ過及び水洗後、10%塩酸で処理して基材粒子表面にパラジウム触媒を担持させた。基材粒子を水洗後、水に加えてスラリーを作製し、そのスラリーをニッケルめっき液に投入して、無電解ニッケルめっきを行った。このとき、スラリー投入後のめっき液量が1Lになるように、スラリー及びめっき液の量を調整した。めっき液の組成は、スラリー投入後において、硫酸ニッケル30g/L、酢酸アンモニウム30g/L、グリシン30g/L、硫黄系添加剤3ppm、次亜リン酸ナトリウム30g/L(0.34mol/L)であり、pH6、温度30℃に調整した。めっき液を撹拌すると同時に超音波振動を付与しながら、20分間めっきを行った。めっきされた基材粒子を濾別し、水洗後乾燥させた。
【0046】
製造した導電性微粒子のSEM写真を図2〜図4に示す。図2は1000倍、図3は5000倍、図4は15000倍の写真である。なお、図2及び図3はめっき時間10分のときの導電性微粒子の写真である。得られた導電性微粒子の膜厚をTEMによって測定したところ、膜厚は0.038μmであった。導電性微粒子表面の突起は、図2及び図3からは観測されず、15000倍のSEM写真において約0.03μmのものを数個発見されただけであった。
【実施例2】
【0047】
実施例2においては、めっき浴の温度を40℃にし、それ以外の条件は実施例1と同条件で基材粒子をめっき処理した。製造した導電性微粒子のSEM写真を図5〜図7に示す。図5は1000倍、図6は5000倍、図7は15000倍の写真である。なお、図5及び図6はめっき時間10分のときの導電性微粒子の写真である。得られた導電性微粒子の膜厚をTEMによって測定したところ、膜厚は0.055μmであった。図6において、導電性微粒子表面の突起を確認することができた。15000倍のSEM写真から突起の高さを測定したところ、大きいもので0.06μm〜0.09μmの高さがあった。
【実施例3】
【0048】
実施例3においては、めっき浴の温度を50℃にし、それ以外の条件は実施例1と同条件で基材粒子をめっき処理した。製造した導電性微粒子のSEM写真を図8〜図10に示す。なお、図8及び図9はめっき時間10分のときの導電性微粒子の写真である。図8は1000倍、図9は5000倍、図10は15000倍の写真である。また、導電性微粒子のTEM写真を図11〜図12に示す。図11は15000倍、図12は50000倍の写真である。得られた導電性微粒子の膜厚をTEMによって測定したところ、膜厚は0.080μmであった。図9において、導電性微粒子表面の突起を確認することができた。15000倍のSEM写真から突起の高さを測定したところ、大きいもので0.09μm〜0.18μmの高さがあった。
【実施例4】
【0049】
実施例4においては、めっき浴の温度を70℃にし、それ以外の条件は実施例1と同条件で基材粒子をめっき処理した。製造した導電性微粒子のSEM写真を図13〜図15に示す。なお、図13及び図14はめっき時間10分のときの導電性微粒子の写真である。図13は1000倍、図14は5000倍、図15は15000倍の写真である。得られた導電性微粒子の膜厚をTEMによって測定したところ、膜厚は0.088μmであった。図14において、導電性微粒子表面の突起を確認することができた。15000倍のSEM写真から突起の高さを測定したところ、0.2μm以上の高さがあった。
【0050】
実施例1〜実施例4の各めっき条件において、10分間めっき処理を施したときの各めっき温度に対するニッケルの膜厚と導電性微粒子の比重を示すグラフを図16に示す。実施例1〜4は、それぞれめっき液の温度を変えてあり、図16からはめっき温度と膜厚の相関を考察することができる。図16によれば、めっき温度が高くなるにつれて膜厚も厚くなっている。これにより、膜厚及び突起の高さをめっき温度で調整することが有効な方法であることが分かる。
【実施例5】
【0051】
実施例5においては、実施例1と比較してめっき液の負荷を5倍にしてめっき処理した。すなわち、基材粒子の濃度を25g/L(2800dm2/L)にすると共に、硫酸ニッケル等のその他の成分の濃度も5倍に調整した。得られた導電性微粒子の膜厚をTEMによって測定したところ、膜厚は0.042μmであった。また、導電性微粒子表面の突起は、0.03μm以下であった。
【実施例6】
【0052】
実施例6においては、実施例1と比較して還元剤濃度を1.2倍にした。すなわち、次亜リン酸ナトリウムの濃度を36g/L(0.41mol/L)にし、それ以外の条件は実施例1と同条件で基材粒子をめっき処理した。製造した導電性微粒子の15000倍のSEM写真を図17に示す。得られた導電性微粒子の膜厚をTEMによって測定したところ、膜厚は0.06μmであった。15000倍のSEM写真から突起の高さを測定したところ、大きいもので0.06μm以上の高さがあった。
【実施例7】
【0053】
実施例7においては、実施例1と比較して還元剤濃度を1.5倍にした。すなわち、次亜リン酸ナトリウムの濃度を45g/L(0.51mol/L)にし、それ以外の条件は実施例1と同条件で基材粒子をめっき処理した。製造した導電性微粒子の15000倍のSEM写真を図18に示す。得られた導電性微粒子の膜厚をTENによって測定したところ、膜厚は0.09μmであった。15000倍のSEM写真から突起の高さを測定したところ、大きいもので0.15μm〜0.25μm以上の高さがあった。
【実施例8】
【0054】
実施例8においては、実施例1と比較して還元剤濃度を2倍にした。すなわち、次亜リン酸ナトリウムの濃度を60g/L(0.68mol/L)にし、それ以外の条件は実施例1と同条件で基材粒子をめっき処理した。製造した導電性微粒子の15000倍のSEM写真を図19に示す。得られた導電性微粒子の膜厚をTEMによって測定したところ、膜厚は0.11μmであった。15000倍のSEM写真から突起の高さを測定したところ、大きいもので0.18μm〜0.30μm以上の高さがあった。
【0055】
実施例1、6〜8の無電解ニッケルめっき条件下において、めっき速度及び膜厚と還元剤濃度との関係を調べた。各還元剤濃度において、めっき時間に対する膜厚の変化を示すグラフを図20に示す。図20によれば、還元剤の濃度が高くなるにつれて、めっき反応の速度が高くなると共に、得られる膜厚も厚くなっている。これより膜厚及び突起の高さを還元剤濃度によって調節することが有効な方法であることが分かる。
【実施例9】
【0056】
実施例9では、実施例1において処理時間を20分として作製したニッケル皮膜を有する導電性微粒子に置換金めっきを施した。置換金めっき工程は、ニッケルめっき工程と同様にして行った。ニッケル皮膜を有する被めっき粒子に水を加えてスラリーを作製し、そのスラリーを金めっき液に投入して、被めっき粒子に無電解金めっき処理を施した。めっき液の組成は、クエン酸カリウム30g/L、エチレンジアミン四酢酸15g/L、クエン酸20g/L、酢酸タリウム5ppm、シアン化金カリウム6g/L、亜硫酸ナトリウム1.0g/L、pH4.5、温度85℃であり、スラリー投入後のめっき液量が1Lになるように、スラリー及びめっき液の量を調整した。超音波振動を与えながらめっき液を撹拌して、12分間めっき処理を施した。得られた導電性微粒子のTEM写真を図21〜図22に示す。図21は15000倍、図22は50000倍の写真である。導電性微粒子の金めっき厚は0.03μm、ニッケルめっき厚は0.06μmであった。
【実施例10】
【0057】
実施例10においては、ニッケルめっきの前に、基材粒子に銅めっきを施した。粒子径4μmの球状のポリスチレン粒子10g(総表面積1120dm2/L)を基材粒子として、実施例1と同様にして基材粒子表面の改質及び触媒付与を行った。その基材粒子に水を加えてスラリーを作製し、銅めっき液に投入して、無電解銅めっきを行った。このとき、スラリー投入後のめっき液量が1Lになるように、スラリー及びめっき液の量を調整した。銅めっき液の組成は、硫酸銅3g/L、ロッセル塩30g/L、ジピリジル30ppm、ホルマリン10g/L、ポリエチレングリコール(4000)500mg/L、pH12、温度30℃であった。超音波振動を与えながらめっき液を撹拌して、20分間めっき処理を施した。その後、ろ過及び水洗により、銅皮膜を有する導電性微粒子が得られた。
【0058】
銅めっきを施した粒子に、塩化パラジウム水溶液に浸漬し、ろ過及び水洗後、10%塩酸で処理し銅めっき後粒子表面にパラジウム触媒を担持させた。めっき粒子を水洗後、水を加えてスラリーにし、ニッケルめっき液に投入してニッケルめっき処理を施した。実施例1と比較して基材粒子量が倍あるので、ニッケルめっき液の濃度も実施例1のめっき液の倍にした。得られた導電性微粒子の銅めっき厚は、0.1μm、ニッケルめっき厚は0.074μmであった。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の方法、特に無電解めっき方法、は、微粒子へのめっきに限定されることなく、その他の物品に対しても何ら問題なく適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】めっき膜厚及び突起の高さを測定する方法を説明するための概略図。
【図2】実施例1で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率1000倍)。
【図3】実施例1で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率5000倍)。
【図4】実施例1で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率15000倍)。
【図5】実施例2で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率1000倍)。
【図6】実施例2で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率5000倍)。
【図7】実施例2で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率15000倍)。
【図8】実施例3で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率1000倍)。
【図9】実施例3で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率5000倍)。
【図10】実施例3で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率15000倍)。
【図11】実施例3で製造した導電性微粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真(倍率15000倍)。
【図12】実施例3で製造した導電性微粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真(倍率50000倍)。
【図13】実施例4で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率1000倍)。
【図14】実施例4で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率5000倍)。
【図15】実施例4で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率15000倍)。
【図16】実施例1〜4におけるめっき温度と膜厚及び比重との関係を示すグラフ。
【図17】実施例6で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率15000倍)。
【図18】実施例7で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率15000倍)。
【図19】実施例8で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率15000倍)。
【図20】実施例1、6〜8における各還元剤濃度に対するめっき時間と膜厚との関係を示すグラフ。
【図21】実施例9で製造した導電性微粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真(倍率15000倍)。
【図22】実施例9で製造した導電性微粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真(倍率50000倍)。
【符号の説明】
【0061】
1 導電性微粒子
2 めっき
2a 突起
3 基材粒子
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属被膜を有する導電性微粒子の製造方法に関し、詳細には、電気的接続に利用される異方導電性接合材に使用される導電性微粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の電極、液晶表示ディスプレイ等の電子部品の電気的接続には、異方性導電フィルム(ACF;Anisotropic Conductive Film)が使用されている。異方性導電フィルムは、接続する電極間に介在させて加熱圧着することにより、電極間を接着すると同時に電気的に接続することができるものであり、圧力をかけた方向の導電性は確保されるが、その方向の垂直方向、例えば隣接する電極間、の絶縁性は維持することができる。このような異方性導電フィルムは、通常、絶縁性樹脂に導電性微粒子を分散させて形成されている。
【0003】
異方性導電フィルムに使用されるような導電性粒子は、一般的には、球状の基材に無電解めっきを施すことによって製造される。例えば、特許文献1に記載の方法においては、基材粒子を分散させた水性懸濁液に無電解めっき液を添加することによって、めっき反応を制御しながら基材に均一なめっき処理を施している。また、特許文献2に記載の方法においては、金属イオンの濃度が低濃度(1.5g/L以下)の無電解めっき液に基材粒子を投入し、めっき液を補給することなく、基材粒子に均一なめっき処理を施している。
【0004】
また、特許文献3に記載の方法によれば、無電解めっき液に基材粒子スラリーを添加する工程と基材粒子のスラリーに無電解めっき液を少なくとも2つに分離して、それぞれを同時かつ経時的に添加する工程の2段階のめっき工程を行うことにより、皮膜表層に突起を形成するめっき処理を施している。
【0005】
【特許文献1】特開平1−242782号公報
【特許文献2】特開2002−339077号公報
【特許文献3】特開2000−243132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
異方性導電フィルムに使用される導電性微粒子が、金属からなる突起(凸状部分)を有すると、異方性導電フィルムに圧力をかけた際に、突起部分によって絶縁フィルムに局所的な圧力が加わることになる。これにより、突起部分が絶縁フィルムを突き破ったり、隣接する導電性粒子と接触したりして、圧力方向の導電性が確保しやすくなる。したがって、導電性微粒子の使用条件、例えば異方性導電性フィルムの絶縁材の材質、接合時の圧力等、によって、導電性微粒子の突起を所望の高さや大きさに形成できると好ましい。
【0007】
特許文献1及び特許文献2に記載の方法によれば、均一な金属皮膜を有する導電性粒子が得られている。しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の方法は、めっき過程におけるめっき液の添加の有無は異なるが、いずれも金属イオンの濃度を低くしためっき液によってめっき処理を施している。低濃度のめっき液を使用している理由は、高濃度のめっき液を使用すると粒子が凝集してしまうこと、基材粒子間でめっきにばらつきが生じる等の問題が生じるだめである。しかしながら、めっき液が低濃度であると、めっき液の体積当たりのめっき面積(基材粒子量)を小さくするしかなく非効率であるばかりでなく、めっき面積に対して、廃液となるめっき液の量も多くなり、廃棄物処理費用等の増大を招く。また、めっき処理において、めっき反応を制御するためにめっき液を添加しながらめっき処理を施すことや建浴を数回行うことは面倒であり、めっき液を調整することなく1回の建浴だけで所望の導電性微粒子が得られることが望まれる。
【0008】
特許文献3に記載の方法によれば、突起を有する導電性微粒子が得られるが、突起の核を形成する工程及び核から突起を成長させる工程の少なくとも2工程をおこなわなければならない。特に、そのうちの1工程は、少なくとも2液を所定の速度で同時かつ経時的に添加しなければならず、無電解めっき工程全体としても突起の調整手段としても非常に手間を要する。
【0009】
本発明の目的は、簡便かつ高効率な導電性微粒子の製造方法を提供することである。さらに、本発明の目的は、導電性微粒子の突起(凸状部分)の大きさを容易に調節可能な導電性微粒子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、被めっき粒子の表面に触媒を担持させる触媒担持工程と、被めっき粒子の被めっき面積2.5m2/L〜30m2/Lに対して、めっき液1L当たりニッケル塩0.017mol〜2.56mol、還元剤0.34モル当量〜3.4モル当量含有する酸性めっき液中、温度25℃〜75℃において、ニッケル塩及び還元剤を補充することなく、かつ1回の建浴によって被めっき粒子にめっき処理を施す無電解ニッケルめっき工程と、を含む導電性微粒子の製造方法を提供する。
【0011】
本発明の無電解ニッケルめっき工程においては、反応性を高める条件と反応性を低くする条件とのバランスをとることによって、簡便かつ高効率の導電性微粒子の製造方法を提供する。反応性を高める条件とは、めっき液の単位体積当たりの被めっき面積を大きくする(被めっき粒子濃度を高くする)こと及びめっき液のニッケル塩濃度及び還元剤濃度を高くすることである。一方、反応性を低くする条件とは、めっき液を酸性にすること及びめっき液の温度を低温にすることである。
【0012】
本発明の好ましい形態によれば、めっき液の温度及び/又は還元剤濃度の設定によって、導電性微粒子の面粗度を調整する(好ましくは導電性微粒子表面に突起を形成する)。さらに好ましい形態によれば、めっき液の温度及び/又は還元剤濃度の設定によって高さを寸法制御した突起を形成する。さらに好ましい形態によれば、めっき液の温度を25℃〜75℃の範囲に設定して、高さを0.05μm未満〜0.20μm以上に寸法制御した突起を形成する。別の好ましい形態によれば、めっき液の還元剤濃度を0.2mol/L〜1.5mol/Lの範囲に設定して、高さを0.05μm未満〜0.18μm以上に寸法制御した突起を形成する。
【0013】
本発明において、ニッケル塩とは、ニッケルを含む塩である。ニッケル塩は、還元により金属ニッケルを析出可能な物質であればいずれの物質でもよい。例えば、めっき液中において、解離してニッケルイオンを形成するものでもよく、又は錯体構造を形成するものでもよい。
【0014】
本発明において、還元剤1モル当量とは、電子1molを与える還元剤のモル数を示している。例えば、還元剤に次亜リン酸ナトリウムを使用する場合、ニッケルめっき反応は以下の式のように進行すると考えられる。このとき、めっき液1L当たり還元剤0.34モル当量〜3.4モル当量とは、次亜リン酸ナトリウムを0.17mol/L(15g/L)〜1.7mol/L(150g/L)含有することを意味する。
【0015】
【化1】
【発明の効果】
【0016】
本発明の製造方法によれば、高濃度のめっき液で大きな被めっき面積をめっき処理するので、効率良くめっき処理を行うことができる。また、高濃度のめっき液を使用することにより、めっき工程を複数回に分けることなく1回のめっき処理で、かつめっき処理の過程においてめっき液の添加をすることなく、簡便な工程で所望の導電性微粒子を得ることができる。さらに、めっき液を高濃度にすることにより、廃液の量を削減することもできる。通常、高濃度のめっき液を使用すると、めっき反応が急速に起こり、粒子間のばらつきや粒子の凝集といった問題が生じることが考えられる。しかしながら、本発明の製造方法においては、めっき液を酸性にすること及びめっき液の温度を低温にすることによってめっき反応の速度を抑えている。これにより、粒子全体に偏りなくめっき処理を施すと共に、粒子の凝集を防止することができる。
【0017】
また、本発明の製造方法によれば、めっき液温度及び/又は還元剤の濃度を変更することによって、導電性微粒子表面を所定の面粗度に調整することができる。詳細には、導電性微粒子表面に所定の高さを有する突起を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の製造方法は、基材粒子に無電解めっきを施すことによって、少なくとも表層に金属(皮膜)を有する導電性微粒子を製造するものである。特に、本発明の製造方法は、無電解ニッケルめっき工程を含む方法よって導電性微粒子を製造するものである。
【0019】
導電性微粒子の基となる基材粒子は、めっき液に対して耐性を有するものであればいずれの材質を使用することができ、金属、非金属、有機物を問わず種々の材質を使用することができる。例えば、基材粒子の材質として、金属単体、合金等の金属、シリカ、アルミナ、ガラス等のセラミックスや鉱物、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル樹脂等の有機高分子等を使用することができ、特に、シリカ、ガラス、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
【0020】
基材粒子の形状については、粒子表面全体にわたってめっきを施せる形状であれば、所望の形状の粒子を使用することができる。基材粒子の最も好ましい形状は球形状であるが、ラグビーボール形状、直方体形状等でもよい。また、基材粒子は、複数の突起(凸部)を有するものでもよい。
【0021】
基材粒子の大きさは、球状粒子の場合、粒径が、好ましくは1μm〜100μm、より好ましくは2.5μm〜40μm、さらに好ましくは3μm〜10μmである。球状以外の粒子の場合は、短手方向の径が上記範囲であると好ましい。
【0022】
基材粒子表面に形成する金属皮膜は、無電解めっき可能な金属であればいずれの金属でも良い。例えば、銅、銀、金、ニッケル等の金属を形成することができ、複数の金属の多層構造にすることもできる。なお、本発明において形成する金属には合金を含むものとする。例えば、ニッケルめっき、ニッケル皮膜のような表記がしてある場合であっても、ニッケルにはニッケル−リン合金、ニッケル−硼素合金等の合金も含めるものとする。
【0023】
次に、本発明の製造方法における無電解めっき工程について説明する。本発明におけるめっき工程は、1種の金属を被覆させるに当たり、被めっき粒子をめっき液に1回建浴させることによってめっきを形成し、めっき反応の開始から終了までにめっき液に新たなめっき液を補給(添加)しないことを特徴とする。ここで、めっき液とは、少なくともめっきする金属(化合物ないしイオン含む)を含有するものをいう。
【0024】
1回のめっき処理における被めっき粒子の総表面積は、好ましくは2.5m2/L〜30m2/L、より好ましくは3.5m2/L〜20m2/L、さらに好ましくは4.5m2/L〜10m2/Lである。総表面積が2.5m2/Lより小さいと非効率である。また、総表面積が30m2/L以上であると、均一なめっき処理ができないおそれがある。
【0025】
基材粒子には、めっき処理前に、基材粒子表面に触媒付与処理を施す。さらに、触媒付与処理前には、触媒を付着しやすくするため、基材粒子表面の改質処理を施すことが好ましい。表面改質は、界面活性剤を使用することができ、カチオン系、アニオン系、非イオン系のいずれのものを使用してもよい。例えば、アルカリ溶液中においてカチオン系界面活性剤で基材粒子表面を処理することにより、表面に水酸化物イオンの極性を付与することができる。カチオン系界面活性剤としては、アルキル酢酸エステルナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルファオレフィンスルフォン酸ナトリウム、アルキルスルフォン酸ナトリウム等を使用することができる。
【0026】
基材粒子の表面改質後、基材粒子表面に触媒を付与する。触媒としては、パラジウム等の貴金属を使用することができる。触媒としてパラジウムを担持させる場合、塩化スズ(塩化第一スズ)を基材表面に付与し塩化パラジウムを還元させるか、塩化スズと塩化パラジウムのコロイドを基材表面に付与し、希塩酸あるいは希硫酸で塩化スズを除去することによって、基材表面にパラジウムを付着させることができる。このとき、被触媒処理面積2.5m2/L〜30m2/L当たり、塩化パラジウム50mg/L〜200mg/L、塩化スズ5g/L〜20g/L、濃塩酸80mL/L〜120mL/L、の濃度にすると好ましい。触媒付与後、基材粒子を濾別し、水洗する。
【0027】
次に、被めっき粒子へのめっき工程を説明する。本発明の無電解めっき工程においては、触媒を担持させた被めっき粒子を水等の溶媒に懸濁させたスラリーを作製し、そのスラリーを予め調整しておいためっき準備液に投入することによって、被めっき粒子にめっき処理を施す。なお、以下に説明するめっき液の組成(濃度)は、めっき準備液にスラリーを投入した時点の組成、すなわちめっき準備液とスラリーとを混合したとき(めっき反応開始前)組成である。
【0028】
本発明のめっき工程における被めっき粒子の撹拌及び分散においては、めっき液中の被めっき粒子に超音波振動を与えると好ましい。本発明においては、めっき液中の被めっき粒子濃度、金属濃度及び還元剤濃度が共に高いために、被めっき粒子が凝集しやすくなるためである。超音波振動を与える方法としては、超音波振動子ないし超音波振動装置を容器に取り付けてもよいし、超音波振動子ないし超音波振動装置をめっき液に直接投入しても良い。好ましくは、めっき液の撹拌操作によるめっき液の流路に超音波振動子ないし超音波振動装置を投入する。例えば、めっき浴中央下部に配置した撹拌器によってめっき液を旋回撹拌する。そして、めっき液、すなわち被めっき粒子、が超音波振動子ないし超音波振動装置の近傍を通過するような構成にすると好ましい。
【0029】
めっき液は、必須成分として金属塩(析出させる金属を含む塩、金属イオンを生じる化合物)及び還元剤を含有し、補助成分として緩衝剤、錯化剤、安定剤、pH調整剤、促進剤、改良剤等を添加することができる。各成分の種類及び濃度、めっき液の温度及びpH等のめっき液の条件は、析出させる金属に応じて適宜設定する。
【0030】
次に、被めっき粒子へのめっき工程として、ニッケルの無電解めっき工程を説明する。このニッケルめっき工程においては、基材粒子上に直接ニッケルめっきを形成してもよいし、多層構造となるように、基材粒子上に形成した銅等の金属皮膜上にニッケル皮膜を形成してもよい。金属皮膜上にめっき処理を施す場合も、先に説明した触媒付与処理を当該金属皮膜上に施す。
【0031】
めっき液が含有するニッケル塩としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケル等の水溶性のニッケル塩を使用することができる。また、還元剤としては、次亜リン酸ナトリウム、水素化硼素ナトリウム、ヒドラジン等を使用することができる。
【0032】
本発明のニッケルめっき液において、ニッケル塩の好ましい濃度は、被めっき粒子の被めっき面積2.5m2/L〜30m2/Lに対して、0.017mol/L〜2.56mol/L、より好ましくは0.256mol/L〜0.767mol/L、さらに好ましくは0.426mol/L〜0.596mol/Lである。例えば、ニッケルイオンの好ましい濃度は、1g/L〜150g/L、より好ましくは、15g/L〜45g/Lさらに好ましくは25g/L〜35g/Lである。ニッケル塩の濃度が上記範囲外であると、所望の膜厚ないし突起の高さが得られない、反応が激しくなりすぎる等の問題が生じることがある。
【0033】
本発明のニッケルめっき液において、還元剤の好ましい濃度は、被めっき粒子の被めっき面積2.5m2/L〜30m2/Lに対して、めっき液1L当たり0.34当量〜3.4当量であるであるが、詳細には、所望のめっき反応速度、めっきの厚さ又は突起の高さに応じて適宜設定する。還元剤の濃度が上記範囲外であると、所望の膜厚ないし突起の高さが得られない、反応が激しくなりすぎる等の問題が生じることがある。
【0034】
また、ニッケルめっき液は、補助成分として、酢酸アンモニウム(好ましくは、20g/L〜125g/L、より好ましくは25g/L〜35g/L)、グリシン(好ましくは7g/L〜35g/L、より好ましくは9g/L〜12g/L)、及び硫黄系添加剤(好ましくは2ppm〜15ppm、より好ましくは2ppm〜3ppm)のうち少なくとも一種を添加しても良い。これらの濃度範囲において、好適なニッケル皮膜が得られている。
【0035】
ニッケルめっき液の温度は、好ましくは25℃〜75℃にするが、詳細には、所望のめっき反応速度、めっきの厚さ又は突起の高さに応じて適宜設定する。めっき液の温度が上記範囲外であると、所望の膜厚ないし突起の高さが得られない、反応が激しくなりすぎる等の問題が生じることがある。めっき液のpHは、酸性が好ましく、より好ましくはめっき反応開始時において4.5〜7、さらに好ましくはpH5.8〜6.2にする。なお、めっき反応が急激に起こる等の問題がなければ、アルカリ性浴でもめっき処理は可能である。
【0036】
本発明の製造方法の無電解ニッケルめっき工程においては、めっき液の温度を調節することによって、導電性微粒子表面の面粗度、すなわち導電性微粒子表面に形成される突起の大きさ(高さ・面積)を調節することができる。例えば、還元剤濃度がめっき液1L当たり0.34モル当量〜3.4モル当量(例えば次亜リン酸ナトリウムの場合、0.17mol/L〜1.7mol/L)のとき、めっき液の温度を25℃以上35℃未満にして被めっき粒子にめっき処理を施すと、めっき膜厚(突起のない部分)を0.05μm〜0.2μm、突起の高さを0.05μm未満にすることができる。還元剤濃度がめっき液1L当たり0.34モル当量〜2.28モル当量(例えば次亜リン酸ナトリウムの場合、0.17mol/L〜1.14mol/L)のとき、めっき液の温度を35℃以上45℃未満にして被めっき粒子にめっき処理を施すと、めっき膜厚(突起のない部分)を0.05μm〜0.2μm、少なくとも1つの突起の高さを0.05μm以上0.2μm以下にすることができる。還元剤濃度がめっき液1L当たり0.34モル当量〜1.82モル当量(例えば次亜リン酸ナトリウムの場合、0.17mol/L〜0.91mol/L)のとき、めっき液の温度を45℃以上55℃未満にして被めっき粒子にめっき処理を施すと、めっき膜厚(突起のない部分)を0.05μm〜0.2μm、少なくとも1つの突起の高さを0.08μm以上0.3μm以下にすることができる。還元剤濃度がめっき液1L当たり0.34モル当量〜1.14モル当量(例えば次亜リン酸ナトリウムの場合、0.17mol/L〜0.57mol/L)のとき、めっき液の温度を55℃以上65℃未満にして被めっき粒子にめっき処理を施すと、めっき膜厚(突起のない部分)を0.05μm〜0.2μm、少なくとも1つの突起の高さを0.15μm以上0.4μm以下にすることができる。還元剤濃度がめっき液1L当たり0.34モル当量〜0.8モル当量(例えば次亜リン酸ナトリウムの場合、0.17mol/L〜0.4mol/L)のとき、めっき液の温度を65℃以上75℃未満にして被めっき粒子にめっき処理を施すと、めっき膜厚(突起のない部分)を0.05μm〜0.2μm、少なくとも1つの突起の高さを0.20μm以上0.5μm以下にすることができる。
【0037】
また、本発明の製造方法の無電解ニッケルめっき工程においては、還元剤の濃度を調節することによっても、導電性微粒子表面の面粗度、すなわち導電性微粒子表面に形成される突起の大きさ(高さ・面積)を調節することができる。例えば、めっき液の温度が25℃〜35℃のとき、還元剤の濃度をめっき液1L当たり0.34モル当量〜0.80モル当量(例えば次亜リン酸ナトリウムの場合、0.17mol/L以上0.40mol/L未満)にしてめっき処理を施すと、めっき膜厚(突起のない部分)を0.05μm〜0.2μm、突起の高さを0.05μm未満にすることができる。めっき液の温度が25℃〜35℃のとき、還元剤の濃度をめっき液1L当たり0.80モル当量〜0.90モル当量(例えば次亜リン酸ナトリウムの場合、0.40mol/L以上0.45mol/L未満)にしてめっき処理を施すと、めっき膜厚(突起のない部分)を0.05μm〜0.2μm、少なくとも1つの突起の高さを0.05μm以上0.3μm以下にすることができる。めっき液の温度が25℃〜35℃のとき、還元剤の濃度をめっき液1L当たり0.90モル当量〜1.14モル当量(例えば次亜リン酸ナトリウムの場合、0.45mol/L以上0.57mol/L未満)にしてめっき処理を施すと、めっき膜厚(突起のない部分)を0.05μm〜0.2μm、少なくとも1つの突起の高さを0.15μm以上0.4μm以下にすることができる。めっき液の温度が25℃〜35℃のとき、還元剤の濃度をめっき液1L当たり1.14モル当量〜3.4モル当量(例えば次亜リン酸ナトリウムの場合、0.57mol/L以上1.7mol/L未満)にしてめっき処理を施すと、めっき膜厚(突起のない部分)を0.05μm〜0.2μm、少なくとも1つの突起の高さを0.18μm以上0.5μm以下にすることができる。
【0038】
ニッケルめっき処理は、好ましくは10分間〜30分間、より好ましくは15分間〜25分間行う。ニッケルめっき処理は、粒子を濾別し、水洗することによって終了する。
【0039】
本発明の導電性微粒子の製造方法においては、ニッケル皮膜又は銅皮膜の上にさらに金皮膜を形成すると好ましい。金皮膜は無電解金めっきによって形成することができ、好ましくは置換金めっきにより形成する。金めっき液は、必須成分として、被めっき粒子の被めっき面積2.5m2/L〜30m2/Lに対して、例えば、シアン化金カリウム0.1〜8g/L、クエン酸カリウム25〜35g/L、リン酸25〜35g/L、エチレンジアミン四酢酸10〜20g/Lを含有する。また、金めっき液は、補助成分として、アスコルビン酸0.5〜2.5g/L、亜硫酸ナトリウム0.5〜2.5g/L、硝酸タリウム1ppm〜15ppm、及びヒドラジン0.5〜2g/Lのうち少なくとも一種を添加することができる。特に、アスコルビン酸及び亜硫酸ナトリウムは、還元力補助剤として使用され、粒子の凝集及び下地Ni皮膜の溶解を効果的に防止することができる。金めっき処理は、めっき液温度50℃〜95℃、好ましくは80℃〜90℃、pH4〜5で、5分間〜20分間、好ましくは10分間〜15分間行う。金めっき処理は、粒子を濾別し、水洗することによって終了する。
【0040】
金めっき処理により、導電性微粒子は、好ましくは0.005μm〜0.1μm、より好ましくは0.01μm〜0.05μm、さらに好ましくは0.02μm〜0.04μmの厚さの金皮膜を有することができる。
【0041】
本発明の導電性微粒子の製造方法においては、ニッケルめっき又は金めっきの前に、基材粒子に銅皮膜を形成してもよい。銅皮膜も無電解銅めっきによって形成することができる。銅めっき液は、必須成分として、被めっき粒子の被めっき面積2.5m2/L〜30m2/Lに対して、例えば、硫酸銅3〜10g/L、ホルマリン8g/L〜15g/Lを含有する。また、銅めっき液は、補助成分として、酒石酸ナトリウムカリウム10〜50g/L、ジピリジル10ppm〜50ppm、ポリエチレングリコール100ppm〜700ppmのうち少なくとも一種を添加することができる。銅めっき処理は、めっき液温度10℃〜50℃、好ましくは30℃〜40℃、pH11.5〜13で、10分間〜100分間、好ましくは15分間〜25分間行う。銅めっき処理は、粒子を濾別し、水洗することによって終了する。
【0042】
銅めっき処理により、導電性微粒子は、好ましくは0.04μm〜0.5μm、より好ましくは0.06〜0.15μm、さらに好ましくは0.8μm〜0.12μmの厚さの銅皮膜を有することができる。
【0043】
ここで、めっきの膜厚及び突起の高さは、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope (TEM))によって計測すると好ましい。TEMを使用する場合、導電性微粒子を集束イオンビーム(Focused Ion Beam(FIB))で切断し、導電性微粒子の切断面をTEMで観察して、膜厚及び突起の高さを測定する。また、導電性微粒子の突起の高さは、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope(SEM))で測定することもできる。図1に、めっき膜厚及び突起の高さを測定する方法を説明するための概略図を示す。図1(a)は、TEMで導電性微粒子の切断面を観察しているときの概略図であり、図2(b)は、SEMで導電性微粒子の外観を観察しているときの概略図である。TEMで突起の高さを測定する場合は、めっきの膜厚を差し引いて測定する。これにより、SEMで測定した突起の高さとの整合をとることができる。TEM又はSEMで測定する場合、倍率5000〜50000倍の写真から測定することが好ましい。
【0044】
めっき膜厚を算出する別の方法として、導電性微粒子のめっき(ニッケル)を溶解し、ICP発光分光分析によって析出金属量を定量分析することによって、めっき膜厚を算出することもできる。この場合、めっき膜厚は、導電性微粒子表面の突起部分を含めた平均膜厚として算出されることになる。
【実施例1】
【0045】
実施例1においては、基材粒子に直接無電解めっき処理を施して、導電性微粒子を製造した。粒子径4μmの球状のポリスチレン粒子を基材粒子として、まず基材表面を改質するため基材粒子5g(総表面積560dm2/L)をカチオン系界面活性剤(市販品)にて処理した。水洗後、塩化パラジウム100mg/L、塩化スズ10g/L及び濃塩酸100mL/Lである水溶液に浸漬し、ろ過及び水洗後、10%塩酸で処理して基材粒子表面にパラジウム触媒を担持させた。基材粒子を水洗後、水に加えてスラリーを作製し、そのスラリーをニッケルめっき液に投入して、無電解ニッケルめっきを行った。このとき、スラリー投入後のめっき液量が1Lになるように、スラリー及びめっき液の量を調整した。めっき液の組成は、スラリー投入後において、硫酸ニッケル30g/L、酢酸アンモニウム30g/L、グリシン30g/L、硫黄系添加剤3ppm、次亜リン酸ナトリウム30g/L(0.34mol/L)であり、pH6、温度30℃に調整した。めっき液を撹拌すると同時に超音波振動を付与しながら、20分間めっきを行った。めっきされた基材粒子を濾別し、水洗後乾燥させた。
【0046】
製造した導電性微粒子のSEM写真を図2〜図4に示す。図2は1000倍、図3は5000倍、図4は15000倍の写真である。なお、図2及び図3はめっき時間10分のときの導電性微粒子の写真である。得られた導電性微粒子の膜厚をTEMによって測定したところ、膜厚は0.038μmであった。導電性微粒子表面の突起は、図2及び図3からは観測されず、15000倍のSEM写真において約0.03μmのものを数個発見されただけであった。
【実施例2】
【0047】
実施例2においては、めっき浴の温度を40℃にし、それ以外の条件は実施例1と同条件で基材粒子をめっき処理した。製造した導電性微粒子のSEM写真を図5〜図7に示す。図5は1000倍、図6は5000倍、図7は15000倍の写真である。なお、図5及び図6はめっき時間10分のときの導電性微粒子の写真である。得られた導電性微粒子の膜厚をTEMによって測定したところ、膜厚は0.055μmであった。図6において、導電性微粒子表面の突起を確認することができた。15000倍のSEM写真から突起の高さを測定したところ、大きいもので0.06μm〜0.09μmの高さがあった。
【実施例3】
【0048】
実施例3においては、めっき浴の温度を50℃にし、それ以外の条件は実施例1と同条件で基材粒子をめっき処理した。製造した導電性微粒子のSEM写真を図8〜図10に示す。なお、図8及び図9はめっき時間10分のときの導電性微粒子の写真である。図8は1000倍、図9は5000倍、図10は15000倍の写真である。また、導電性微粒子のTEM写真を図11〜図12に示す。図11は15000倍、図12は50000倍の写真である。得られた導電性微粒子の膜厚をTEMによって測定したところ、膜厚は0.080μmであった。図9において、導電性微粒子表面の突起を確認することができた。15000倍のSEM写真から突起の高さを測定したところ、大きいもので0.09μm〜0.18μmの高さがあった。
【実施例4】
【0049】
実施例4においては、めっき浴の温度を70℃にし、それ以外の条件は実施例1と同条件で基材粒子をめっき処理した。製造した導電性微粒子のSEM写真を図13〜図15に示す。なお、図13及び図14はめっき時間10分のときの導電性微粒子の写真である。図13は1000倍、図14は5000倍、図15は15000倍の写真である。得られた導電性微粒子の膜厚をTEMによって測定したところ、膜厚は0.088μmであった。図14において、導電性微粒子表面の突起を確認することができた。15000倍のSEM写真から突起の高さを測定したところ、0.2μm以上の高さがあった。
【0050】
実施例1〜実施例4の各めっき条件において、10分間めっき処理を施したときの各めっき温度に対するニッケルの膜厚と導電性微粒子の比重を示すグラフを図16に示す。実施例1〜4は、それぞれめっき液の温度を変えてあり、図16からはめっき温度と膜厚の相関を考察することができる。図16によれば、めっき温度が高くなるにつれて膜厚も厚くなっている。これにより、膜厚及び突起の高さをめっき温度で調整することが有効な方法であることが分かる。
【実施例5】
【0051】
実施例5においては、実施例1と比較してめっき液の負荷を5倍にしてめっき処理した。すなわち、基材粒子の濃度を25g/L(2800dm2/L)にすると共に、硫酸ニッケル等のその他の成分の濃度も5倍に調整した。得られた導電性微粒子の膜厚をTEMによって測定したところ、膜厚は0.042μmであった。また、導電性微粒子表面の突起は、0.03μm以下であった。
【実施例6】
【0052】
実施例6においては、実施例1と比較して還元剤濃度を1.2倍にした。すなわち、次亜リン酸ナトリウムの濃度を36g/L(0.41mol/L)にし、それ以外の条件は実施例1と同条件で基材粒子をめっき処理した。製造した導電性微粒子の15000倍のSEM写真を図17に示す。得られた導電性微粒子の膜厚をTEMによって測定したところ、膜厚は0.06μmであった。15000倍のSEM写真から突起の高さを測定したところ、大きいもので0.06μm以上の高さがあった。
【実施例7】
【0053】
実施例7においては、実施例1と比較して還元剤濃度を1.5倍にした。すなわち、次亜リン酸ナトリウムの濃度を45g/L(0.51mol/L)にし、それ以外の条件は実施例1と同条件で基材粒子をめっき処理した。製造した導電性微粒子の15000倍のSEM写真を図18に示す。得られた導電性微粒子の膜厚をTENによって測定したところ、膜厚は0.09μmであった。15000倍のSEM写真から突起の高さを測定したところ、大きいもので0.15μm〜0.25μm以上の高さがあった。
【実施例8】
【0054】
実施例8においては、実施例1と比較して還元剤濃度を2倍にした。すなわち、次亜リン酸ナトリウムの濃度を60g/L(0.68mol/L)にし、それ以外の条件は実施例1と同条件で基材粒子をめっき処理した。製造した導電性微粒子の15000倍のSEM写真を図19に示す。得られた導電性微粒子の膜厚をTEMによって測定したところ、膜厚は0.11μmであった。15000倍のSEM写真から突起の高さを測定したところ、大きいもので0.18μm〜0.30μm以上の高さがあった。
【0055】
実施例1、6〜8の無電解ニッケルめっき条件下において、めっき速度及び膜厚と還元剤濃度との関係を調べた。各還元剤濃度において、めっき時間に対する膜厚の変化を示すグラフを図20に示す。図20によれば、還元剤の濃度が高くなるにつれて、めっき反応の速度が高くなると共に、得られる膜厚も厚くなっている。これより膜厚及び突起の高さを還元剤濃度によって調節することが有効な方法であることが分かる。
【実施例9】
【0056】
実施例9では、実施例1において処理時間を20分として作製したニッケル皮膜を有する導電性微粒子に置換金めっきを施した。置換金めっき工程は、ニッケルめっき工程と同様にして行った。ニッケル皮膜を有する被めっき粒子に水を加えてスラリーを作製し、そのスラリーを金めっき液に投入して、被めっき粒子に無電解金めっき処理を施した。めっき液の組成は、クエン酸カリウム30g/L、エチレンジアミン四酢酸15g/L、クエン酸20g/L、酢酸タリウム5ppm、シアン化金カリウム6g/L、亜硫酸ナトリウム1.0g/L、pH4.5、温度85℃であり、スラリー投入後のめっき液量が1Lになるように、スラリー及びめっき液の量を調整した。超音波振動を与えながらめっき液を撹拌して、12分間めっき処理を施した。得られた導電性微粒子のTEM写真を図21〜図22に示す。図21は15000倍、図22は50000倍の写真である。導電性微粒子の金めっき厚は0.03μm、ニッケルめっき厚は0.06μmであった。
【実施例10】
【0057】
実施例10においては、ニッケルめっきの前に、基材粒子に銅めっきを施した。粒子径4μmの球状のポリスチレン粒子10g(総表面積1120dm2/L)を基材粒子として、実施例1と同様にして基材粒子表面の改質及び触媒付与を行った。その基材粒子に水を加えてスラリーを作製し、銅めっき液に投入して、無電解銅めっきを行った。このとき、スラリー投入後のめっき液量が1Lになるように、スラリー及びめっき液の量を調整した。銅めっき液の組成は、硫酸銅3g/L、ロッセル塩30g/L、ジピリジル30ppm、ホルマリン10g/L、ポリエチレングリコール(4000)500mg/L、pH12、温度30℃であった。超音波振動を与えながらめっき液を撹拌して、20分間めっき処理を施した。その後、ろ過及び水洗により、銅皮膜を有する導電性微粒子が得られた。
【0058】
銅めっきを施した粒子に、塩化パラジウム水溶液に浸漬し、ろ過及び水洗後、10%塩酸で処理し銅めっき後粒子表面にパラジウム触媒を担持させた。めっき粒子を水洗後、水を加えてスラリーにし、ニッケルめっき液に投入してニッケルめっき処理を施した。実施例1と比較して基材粒子量が倍あるので、ニッケルめっき液の濃度も実施例1のめっき液の倍にした。得られた導電性微粒子の銅めっき厚は、0.1μm、ニッケルめっき厚は0.074μmであった。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の方法、特に無電解めっき方法、は、微粒子へのめっきに限定されることなく、その他の物品に対しても何ら問題なく適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】めっき膜厚及び突起の高さを測定する方法を説明するための概略図。
【図2】実施例1で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率1000倍)。
【図3】実施例1で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率5000倍)。
【図4】実施例1で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率15000倍)。
【図5】実施例2で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率1000倍)。
【図6】実施例2で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率5000倍)。
【図7】実施例2で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率15000倍)。
【図8】実施例3で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率1000倍)。
【図9】実施例3で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率5000倍)。
【図10】実施例3で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率15000倍)。
【図11】実施例3で製造した導電性微粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真(倍率15000倍)。
【図12】実施例3で製造した導電性微粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真(倍率50000倍)。
【図13】実施例4で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率1000倍)。
【図14】実施例4で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率5000倍)。
【図15】実施例4で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率15000倍)。
【図16】実施例1〜4におけるめっき温度と膜厚及び比重との関係を示すグラフ。
【図17】実施例6で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率15000倍)。
【図18】実施例7で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率15000倍)。
【図19】実施例8で製造した導電性微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率15000倍)。
【図20】実施例1、6〜8における各還元剤濃度に対するめっき時間と膜厚との関係を示すグラフ。
【図21】実施例9で製造した導電性微粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真(倍率15000倍)。
【図22】実施例9で製造した導電性微粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真(倍率50000倍)。
【符号の説明】
【0061】
1 導電性微粒子
2 めっき
2a 突起
3 基材粒子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被めっき粒子の表面に触媒を担持させる触媒担持工程と、
前記被めっき粒子の被めっき面積2.5m2/L〜30m2/Lに対して、めっき液1L当たりニッケル塩0.017mol〜2.56mol、還元剤0.34モル当量〜3.4モル当量含有する酸性めっき液中、温度25℃〜75℃において、ニッケル塩及び還元剤を補充することなく、かつ1回の建浴によって被めっき粒子にめっき処理を施す無電解ニッケルめっき工程と、を含むことを特徴とする導電性微粒子の製造方法。
【請求項2】
前記めっき液の温度設定によって導電性微粒子表面に突起を形成することを特徴とする請求項1に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項3】
前記めっき液の温度設定によって高さを寸法制御した突起を形成することを特徴とする請求項2に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項4】
前記めっき液の温度を25℃〜75℃の範囲に設定して、高さを0.05μm未満〜0.20μm以上に寸法制御した突起を形成することを特徴とする請求項3に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項5】
前記めっき液の温度を25℃以上35℃未満、還元剤濃度をめっき液1L当たり0.34モル当量〜3.4モル当量にして、高さ0.05μm未満の突起を形成することを特徴とする請求項4に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項6】
前記めっき液の温度を35℃以上45℃未満、還元剤濃度をめっき液1L当たり0.34モル当量〜2.28モル当量にして、高さ0.05μm以上の突起を形成することを特徴とする請求項4に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項7】
前記めっき液の温度を45℃以上55℃未満、還元剤濃度をめっき液1L当たり0.34モル当量〜1.82モル当量にして、高さ0.08μm以上の突起を形成することを特徴とする請求項4に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項8】
前記めっき液の温度を55℃以上65℃未満、還元剤濃度をめっき液1L当たり0.34モル当量〜1.14モル当量にして、高さ0.15μm以上の突起を形成することを特徴とする請求項4に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項9】
前記めっき液の温度を65℃以上75℃以下、還元剤濃度をめっき液1L当たり0.34モル当量〜0.8モル当量にして、高さ0.20μm以上の突起を形成することを特徴とする請求項4に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項10】
前記めっき液の還元剤濃度の設定によって導電性微粒子表面に突起を形成することを特徴とする請求項1に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項11】
前記めっき液の還元剤濃度の設定によって高さを寸法制御した突起を形成することを特徴とする請求項10に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項12】
前記めっき液の還元剤濃度をめっき液1L当たり0.34モル当量〜3.4モル当量の範囲に設定して、高さを0.05μm未満〜0.18μm以上に寸法制御した突起を形成することを特徴とする請求項11に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項13】
前記めっき液の還元剤濃度をめっき液1L当たり0.34モル当量以上0.80モル当量未満、温度を25℃〜35℃にして、高さ0.05μm未満の突起を形成することを特徴とする請求項11に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項14】
前記めっき液の還元剤濃度をめっき液1L当たり0.80モル当量以上0.90モル当量未満、温度を25℃〜35℃にして、高さ0.05μm以上の突起を形成することを特徴とする請求項11に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項15】
前記めっき液の還元剤濃度をめっき液1L当たり0.90モル当量以上1.14モル当量未満、温度を25℃〜35℃にして、高さ0.15μm以上の突起を形成することを特徴とする請求項11に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項16】
前記めっき液の還元剤濃度をめっき液1L当たり1.14モル当量以上3.4モル当量以下、温度を25℃〜35℃にして、高さ0.18μm以上の突起を形成することを特徴とする請求項11に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項17】
前記触媒担持工程において、スズ塩及びパラジウム塩を使用して触媒を担持することを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項18】
前記無電解ニッケルめっき工程後に、ニッケル皮膜上に金めっき処理を施す無電解金めっき工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項19】
前記無電解ニッケルめっき工程前に、基材粒子に銅めっき処理を施す無電解銅めっき工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項20】
導電性微粒子の基材粒子として、樹脂ないしセラミックスを使用することを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項1】
被めっき粒子の表面に触媒を担持させる触媒担持工程と、
前記被めっき粒子の被めっき面積2.5m2/L〜30m2/Lに対して、めっき液1L当たりニッケル塩0.017mol〜2.56mol、還元剤0.34モル当量〜3.4モル当量含有する酸性めっき液中、温度25℃〜75℃において、ニッケル塩及び還元剤を補充することなく、かつ1回の建浴によって被めっき粒子にめっき処理を施す無電解ニッケルめっき工程と、を含むことを特徴とする導電性微粒子の製造方法。
【請求項2】
前記めっき液の温度設定によって導電性微粒子表面に突起を形成することを特徴とする請求項1に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項3】
前記めっき液の温度設定によって高さを寸法制御した突起を形成することを特徴とする請求項2に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項4】
前記めっき液の温度を25℃〜75℃の範囲に設定して、高さを0.05μm未満〜0.20μm以上に寸法制御した突起を形成することを特徴とする請求項3に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項5】
前記めっき液の温度を25℃以上35℃未満、還元剤濃度をめっき液1L当たり0.34モル当量〜3.4モル当量にして、高さ0.05μm未満の突起を形成することを特徴とする請求項4に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項6】
前記めっき液の温度を35℃以上45℃未満、還元剤濃度をめっき液1L当たり0.34モル当量〜2.28モル当量にして、高さ0.05μm以上の突起を形成することを特徴とする請求項4に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項7】
前記めっき液の温度を45℃以上55℃未満、還元剤濃度をめっき液1L当たり0.34モル当量〜1.82モル当量にして、高さ0.08μm以上の突起を形成することを特徴とする請求項4に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項8】
前記めっき液の温度を55℃以上65℃未満、還元剤濃度をめっき液1L当たり0.34モル当量〜1.14モル当量にして、高さ0.15μm以上の突起を形成することを特徴とする請求項4に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項9】
前記めっき液の温度を65℃以上75℃以下、還元剤濃度をめっき液1L当たり0.34モル当量〜0.8モル当量にして、高さ0.20μm以上の突起を形成することを特徴とする請求項4に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項10】
前記めっき液の還元剤濃度の設定によって導電性微粒子表面に突起を形成することを特徴とする請求項1に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項11】
前記めっき液の還元剤濃度の設定によって高さを寸法制御した突起を形成することを特徴とする請求項10に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項12】
前記めっき液の還元剤濃度をめっき液1L当たり0.34モル当量〜3.4モル当量の範囲に設定して、高さを0.05μm未満〜0.18μm以上に寸法制御した突起を形成することを特徴とする請求項11に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項13】
前記めっき液の還元剤濃度をめっき液1L当たり0.34モル当量以上0.80モル当量未満、温度を25℃〜35℃にして、高さ0.05μm未満の突起を形成することを特徴とする請求項11に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項14】
前記めっき液の還元剤濃度をめっき液1L当たり0.80モル当量以上0.90モル当量未満、温度を25℃〜35℃にして、高さ0.05μm以上の突起を形成することを特徴とする請求項11に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項15】
前記めっき液の還元剤濃度をめっき液1L当たり0.90モル当量以上1.14モル当量未満、温度を25℃〜35℃にして、高さ0.15μm以上の突起を形成することを特徴とする請求項11に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項16】
前記めっき液の還元剤濃度をめっき液1L当たり1.14モル当量以上3.4モル当量以下、温度を25℃〜35℃にして、高さ0.18μm以上の突起を形成することを特徴とする請求項11に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項17】
前記触媒担持工程において、スズ塩及びパラジウム塩を使用して触媒を担持することを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項18】
前記無電解ニッケルめっき工程後に、ニッケル皮膜上に金めっき処理を施す無電解金めっき工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項19】
前記無電解ニッケルめっき工程前に、基材粒子に銅めっき処理を施す無電解銅めっき工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載の導電性微粒子の製造方法。
【請求項20】
導電性微粒子の基材粒子として、樹脂ないしセラミックスを使用することを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載の導電性微粒子の製造方法。
【図1】
【図16】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図21】
【図22】
【図16】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2007−184115(P2007−184115A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−57(P2006−57)
【出願日】平成18年1月4日(2006.1.4)
【出願人】(391003015)株式会社野毛電気工業 (20)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月4日(2006.1.4)
【出願人】(391003015)株式会社野毛電気工業 (20)
【Fターム(参考)】
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