説明

導電性樹脂組成物

【課題】成形性に優れ、かつ、導電性を実用レベルで有する導電性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本導電性樹脂組成物は、マトリックス樹脂1と、導電性フィラーとしての長尺カーボンナノチューブ群2と、を含み、かつ、上記長尺カーボンナノチューブ群2が、チューブ平均長さ20μm−20mmの複数の長尺カーボンナノチューブで構成されて、体積抵抗率で106Ω・cm以下の導電性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリクス樹脂に導電性フィラーを混合することで導電性を備えた導電性樹脂組成物にかかり、特にカーボンナノチューブを導電性フィラーとした導電性樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
導電性樹脂組成物は、マトリックス樹脂に導電性フィラーを混合して構成されたものであり、各種産業界で広く使用されている。このような導電性樹脂組成物に添加するフィラーには、導電性フィラー以外に、当該組成物に他の性質、機能を付与するためのフィラー等がある。いずれにしても、導電性樹脂組成物において、一般に電気絶縁性を有するマトリックス樹脂に導電性を付与させる方法には各種あり、その方法の1つに、マトリックス樹脂に炭素系材料を導電性フィラーとして添加する方法が知られている。
【0003】
導電性フィラーとして炭素系材料が注目されるのは、近年における電子機器のますますの小型化および軽量化等に起因する。さらに炭素系材料は、導電性を付与する材料としてだけではなく、強度、熱拡散性、潤滑性、化学的不活性など多様に有利な特徴を兼ね備えた材料であり、導電性フィラーとしての採用化が進んでいる。ところで、炭素系材料には、様々な形態や構造のものが存在している。
【0004】
このような炭素系材料の中でも、カーボンナノチューブを導電性フィラーとした導電性樹脂組成物は、すでに、提案されている。このカーボンナノチューブは直径がnmオーダーで長さがμmオーダーのアスペクト比が非常に大きな材料である。カーボンナノチューブの合成にはアーク放電法、レーザー蒸発法、化学的気相成長法などがある。
【0005】
上記導電性フィラーとしてカーボンナノチューブを用いた導電性樹脂組成物においては、導電性を高めるべく、カーボンナノチューブを多量に含有させると、各種弊害が発現してくるという課題を抱えている。この弊害とは、例えば、導電性フィラーの添加量の増大に伴い導電性が高まるという反面、樹脂成形性、等に劣ってくるというものである。この樹脂成形性の低下により、成形物の機械的強度、寸法および形状の安定性、が低下すると共に、成形品表面からフィラーの粉落ち、或いはマトリックス樹脂による樹脂粉落ち等が起こる。
【0006】
このような課題に対して、従来においては、カーボンナノチューブを配合して、導電性と成形性とを両立させたとする導電性樹脂組成物は特許文献等で提案されているものの、それら従来例の導電性樹脂組成物で称される導電性とは、成形性がさほど高くない一方で、本願出願人が目指すところの導電性としては依然として体積抵抗率(体積固有抵抗:Ω・cm)が高く、実用性に極めて乏しい程度のものであった。
【0007】
そこで、本願出願人は、カーボンナノチューブの含有量をより低減させることで、樹脂の成形性を十分実用レベルにまで高める一方で、カーボンナノチューブの含有量を低減させても、導電性を実用レベルで有する導電性樹脂組成物の実現に向けて鋭意開発してきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−44815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明により解決すべき課題は、導電性フィラーとしてカーボンナノチューブを用いた導電性樹脂組成物において、成形性が高く、かつ、導電性を実用レベルで有する導電性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明第1による導電性樹脂組成物は、マトリックス樹脂と、導電性フィラーとしての長尺カーボンナノチューブ群と、を含み、かつ、上記長尺カーボンナノチューブ群が、チューブ平均長さ20μm−20mmの複数の長尺カーボンナノチューブで構成され、かつ、マトリクス樹脂中に分散されていることで、体積抵抗率106Ω・cm以下の導電性を有することを特徴とするものである。
【0011】
本発明第1において、好ましい態様は、上記長尺カーボンナノチューブ群を構成するカーボンナノチューブが、多層カーボンナノチューブである。
【0012】
本発明第2による導電性樹脂組成物は、マトリックス樹脂と、導電性フィラーとしての長尺カーボンナノチューブ群と、を含み、かつ、上記長尺カーボンナノチューブ群が、チューブ平均長さ20μm−20mmの複数の長尺多層カーボンナノチューブで構成され、かつ、濃度0.01wt%以上で、上記マトリックス樹脂中に分散されていることで、体積抵抗率106Ω・cm以下の導電性を有する、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、導電性フィラーとして長尺カーボンナノチューブ群とし、その長尺カーボンナノチューブ群を構成するカーボンナノチューブが、チューブ平均長さが20μm−20mmの複数の長尺カーボンナノチューブで構成し、体積抵抗率で106Ω・cm以下の導電性を有する導電性樹脂組成物を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1(a)(b)(c)は撮影倍率が異なる本発明の導電性樹脂組成物のSEM写真のコピー図である。
【図2】図2(a)は、図1のSEM写真に示す導電性樹脂組成物の概念構成を示す図、図2(b)は、図2(a)に対応して、長尺多層カーボンナノチューブ群と長尺多層カーボンナノチューブ群間に存在するマトリクス樹脂部分を回路記号で示す図である。
【図3】図3は本発明の導電性樹脂組成物と、他の2つの導電性樹脂組成物それぞれとを、体積抵抗率とカーボンナノチューブ濃度とで比較するデータ表図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係る導電性樹脂組成物を説明する。
【0016】
本発明の導電性樹脂組成物は、マトリックス樹脂と、導電性フィラーとしての長尺カーボンナノチューブ群と、を含む樹脂組成物である。
【0017】
本発明の導電性樹脂組成物のマトリックス樹脂に添加するフィラーは、導電性フィラーだけでなく、補強、酸化防止、潤滑、紫外線吸収、硬化、着色、光安定等、各種目的に応じて、それに対応する他のフィラーを添加してもよい。
【0018】
上記長尺カーボンナノチューブ群は、チューブ平均長さが、20μm−20mmの複数の長尺カーボンナノチューブからなる。
【0019】
本発明においては、マトリックス樹脂はその種類に特に限定されない。用途に応じて適宜に樹脂を選定することができる。マトリックス樹脂は、例えば熱可塑性、熱硬化性、等の各種樹脂である。樹脂は種類の分け方がさまざまであり、それらを含むことができる。
【0020】
長尺カーボンナノチューブは、好ましくは、長尺多層カーボンナノチューブを用いることができるが、これに限定されず、長尺単層カーボンナノチューブを用いてもよいし、これらの混合で構成してもよい。
【0021】
本発明で用いる長尺多層カーボンナノチューブは、好ましくは層数が3−44より好ましくは、3−29の多層カーボンナノチューブである。
【0022】
この多層カーボンナノチューブでは、そのチューブ平均長さは、好ましくは、20μm−20mmの範囲、より好ましくは50μm−20mmの範囲、最適には、100μm−20mmの範囲である。
【0023】
チューブ平均長さが20μm未満では、導電性が得にくくなり、20mm超ではCNT同士が絡まり易い為にマトリクス樹脂中に分散しにくくなり、また、その分散中に切断されてしまう可能性があるからである。
【0024】
この多層カーボンナノチューブのチューブ平均径は、好ましくは、3−30nmの範囲であり、より好ましくは、3−20nmの範囲、最適には3−10nmの範囲である。チューブ平均径が3nm未満では分散時に切れ易く、30nm超では単位重量当たりのカーボンナノチューブ本数が少なくなり、導電性付与には不利である。
【0025】
多層カーボンナノチューブ群を構成する多層カーボンナノチューブのアスペクト比において、導電性はチューブ長さだけでなくチューブ径にも依存性がある。すなわち、導電性付与にはチューブ径が細い方が好ましい。これはチューブ径が細くなると、単位重量当たりの多層カーボンナノチューブ本数が増加し、多層カーボンナノチューブの総延長距離が長くなる。これにより、樹脂マトリクス中に多層カーボンナノチューブを分散させた場合にはチューブ径が細い方が多層カーボンナノチューブのネットワークとしての総延長距離が長くなり、抵抗が低く、つまり、導電性が高くなるからである。
【0026】
本発明の導電性樹脂組成物においては、その実施例として、マトリックス樹脂にフッ素系樹脂ETFEを選定し、多層カーボンナノチューブ群として以下で説明する方法で製造した多層カーボンナノチューブを選択した。この多層カーボンナノチューブは、シリコン基板等の基板上に触媒作用が無い金属或いは金属酸化物例えばアルミニウムやアルミナ、酸化マグネシウムからなる下地膜を介して触媒作用が有る金属例えばコバルト、ニッケル、鉄からなる触媒微粒子を形成する。そして上記した触媒構造を備えた基板をアセチレン、エチレン、メタン、プロパン、プロピレン等のガス雰囲気中で所定温度例えば600〜800℃、所定時間例えば5〜30分間、例えば大気圧〜200Paの減圧下で加熱する熱CVD法を実施し、これにより多層カーボンナノチューブを基板上の触媒微粒子の触媒作用により、成長させたものである。この多層カーボンナノチューブは、基板の触媒微粒子上に、成長高さがほぼ均等でかつ形状の直線性と基板への垂直配向性とを持って長尺に成長している。
【0027】
上記製造した長尺多層カーボンナノチューブを用いて本発明の導電性樹脂組成物の製造例を説明する。
【0028】
まず上記製造した複数の長尺多層カーボンナノチューブからなる長尺多層カーボンナノチューブ群をマトリックス樹脂であるフッ素系樹脂ETFE(旭硝子(株)製AH2000)と共に東洋精機製作所製混練機(ラボプラストミル4C150)で混練する。この混練条件は、予熱300℃、混練温度300℃、混練時間10分、混練機回転数150rpmとした。
【0029】
この混練の後、プレス成形した。プレス成形条件は、神東金属工業製プレス成形機AYSR−5により、成形温度320℃、成形時間10分、プレス圧50kg/cm2、でプレス成形した。
【0030】
その結果、厚み約0.7mmのシート状の導電性樹脂組成物を得た。
【0031】
このシート状の導電性樹脂組成物において、その体積抵抗率(Ω・cm)の測定および断面SEM観察を行った。体積抵抗率の測定に用いた測定器は、(株)ダイアインスツルメンツ製ロレスターGP MCP−T600型、(株)ダイアインスツルメンツ製ハイレスターUP MCP−HT450型である。
【0032】
上記本発明の導電性樹脂組成物のSEM写真による断面を図1に示す。
【0033】
図1(a)は、撮影の倍率×10K、図1(b)は倍率×30k、図1(c)は倍率×50kのSEM写真である。このSEM写真中に記入した符号1は、マトリクス樹脂であり、2は長尺多層カーボンナノチューブ群である。
【0034】
図2(a)は、図1のSEM写真に示す導電性樹脂組成物の概念構成を示すものであり、長尺多層カーボンナノチューブ群2を符号2a−2dで示し、長尺多層カーボンナノチューブ群2a−2d間に介在するマトリクス樹脂1を符号1a−1cで示す。図2(b)は、図2(a)に対応して、長尺多層カーボンナノチューブ群2a−2dを抵抗値が極めて低い部分として導線記号2a−2dで示し、また、長尺多層カーボンナノチューブ群2a−2d間に存在するマトリクス樹脂1a−1cを抵抗値が極めて高い部分として抵抗記号1a−1cで示す。
【0035】
そして、長尺多層カーボンナノチューブ群2が長尺であるほど、導線記号2a−2d間の距離が短くなり、これに伴い抵抗記号1a−1cが短くなる。その結果、P1−P2間の体積抵抗率Rは、小さくなり、導電性樹脂組成物全体の導電性が高くなることを示す。図1および図2を参照して明らかであるように、長尺多層カーボンナノチューブ群2a−2dは、図中、左右方向が長手としてマトリクス樹脂1中にP1−P2間に存在し、これにより体積抵抗率RもP1−P2間で測定している。これは、長尺多層カーボンナノチューブを用いて本発明の導電性樹脂組成物の製造のための上記プレス成形の成形方向(溶融した樹脂が流体として流れる方向にカーボンナノチューブが配向する)による。
【0036】
次に、本発明の導電性樹脂組成物の製造条件と同様にして、CNI(Carbon Nanotechnology Inc.)製のカーボンナノチューブ、昭和電工製のカーボンナノチューブVGCFを用いて、それぞれ、導電性樹脂組成物を製造した。
【0037】
本発明の長尺多層カーボンナノチューブは、チューブ平均長さが500μm、チューブ平均直径が3−10nmの多層カーボンナノチューブである。
【0038】
CNI製のカーボンナノチューブは、チューブ平均長さが1−2μm、チューブ平均直径が1nmの単層カーボンナノチューブである。
【0039】
昭和電工製のカーボンナノチューブVGCFは、チューブ平均長さが8μm、チューブ平均直径が150nmの多層カーボンナノチューブである。
【0040】
そして、本発明の長尺多層カーボンナノチューブを用いた導電性樹脂組成物と、それらCNI製、昭和電工製それぞれのカーボンナノチューブを用いた導電性樹脂組成物との特性を図3に示す。
【0041】
図3で、横軸は、フッ素系樹脂ETFE内での多層カーボンナノチューブ群の濃度(wt%)、縦軸は導電性樹脂組成物の体積抵抗率(Ω・cm)である。
【0042】
図3では、特性線Aは、本発明の長尺多層カーボンナノチューブを用いた導電性樹脂組成物、BはCNI製カーボンナノチューブを用いた導電性樹脂組成物、Cは昭和電工製カーボンナノチューブVGCFを用いた導電性樹脂組成物の特性を示す。
【0043】
本発明の導電性樹脂組成物Aでは、
濃度0.01未満wt%で体積抵抗率が106Ω・cm以上、
濃度0.01wt%で体積抵抗率が7.8×105Ω・cm、
濃度0.05wt%で体積抵抗率が9.3×103Ω・cm、
濃度0.10wt%で体積抵抗率が8.9×102Ω・cm、
濃度0.5wt%で体積抵抗率が3.9×10Ω・cm、
濃度1.2wt%で体積抵抗率が4.2×10-1(=0.42)Ω・cm、
濃度5wt%で体積抵抗率が1.7×10-1(=0.17)Ω・cm、
濃度10wt%で体積抵抗率が1.1×10-1(=0.11)Ω・cmである。
【0044】
これらにより、本発明の導電性樹脂組成物Aの体積抵抗率は106Ω・cm以下の範囲である。この体積抵抗率の範囲をさらに、分けると、105Ω・cm以下、104Ω・cm以下、103Ω・cm以下、…、1Ω・cm以下と分けていくことができる。これら体積抵抗率の範囲の選定は、導電性樹脂組成物Aが使用される用途に応じて行われる。また、濃度をさらに増加すると、体積抵抗率は0.01Ω・cmにまで得られる。
【0045】
これに対して、CNI製カーボンナノチューブを用いた導電性樹脂組成物Bは、
濃度5wt%で体積抵抗率が7.13×103(=7.13k)Ω・cm、
濃度10wt%で体積抵抗率が2.47×101(=24.7)Ω・cmである。
【0046】
これらにより、導電性樹脂組成物Bの体積抵抗率は、10Ω・cmオーダーである。
【0047】
昭和電工製カーボンナノチューブVGCFを用いた導電性樹脂組成物Cは、
濃度5wt%で体積抵抗率が1.16×103(=1.16k)Ω・cm、
濃度10wt%で体積抵抗率が1.11×101(=11.1)Ω・cmである。
【0048】
これらにより、導電性樹脂組成物Cの体積抵抗率は、10Ω・cmオーダー以上である。
【0049】
以上から本発明の導電性樹脂組成物Aでは、体積抵抗率が106Ω・cm以下で、濃度が極めて低く、成形性に優れた導電性樹脂組成物である。一方、他の導電性樹脂組成物B,Cでは、体積抵抗率は本発明のそれと重複するが、濃度が極めて高い。
【0050】
そして、本発明の導電性樹脂組成物Aでは、体積抵抗率が106Ω・cm以下では、濃度は若干あがるが、それでも、体積抵抗率が小さい割りには、濃度が極めて低く、成形性に優れた導電性樹脂組成物である。
【0051】
本発明の導電性樹脂組成物Aで好ましい濃度範囲は、0.01〜5.0wt%であり、より好ましい濃度範囲は、0.01〜1.2wt%である。
【0052】
本発明の導電性樹脂組成物Aは、マトリクス樹脂1がフッ素系樹脂ETFEである。このフッ素系樹脂は、一般の汎用樹脂と比べて、軟化点が高く、化学的にも安定している。そのため、フッ素系樹脂は、耐熱性、化学的安定性が要求される自動車の燃料タンクや送液管等に用いられている。しかしながら、フッ素系樹脂は、電気的に絶縁性であるから、上記用途では静電気により発火するおそれがあるから、これを解消すべく、導電性を付与することが好ましい。この点から本発明の導電性樹脂組成物Aは、多層カーボンナノチューブ群により高導電性を提供しているので、この用途に好ましい。
【0053】
なお、本発明の導電性樹脂組成物において、マトリックス樹脂として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性エラストマー、硬化性エラストマー、合成ゴムからなる群より選ばれる1種または2種類以上の組み合わせが好ましい。
【0054】
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、シクロオレフィンポリマー、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン66、芳香族系ポリアミド、AS樹脂(アクリロ二トリル/スチレン共重合体)、ABS樹脂(アクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、液晶ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリベンズイミダゾール及びフッ素樹脂からなる群より選ばれる1種、または2種類以上の組み合わせを用いることができる。
【0055】
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、グアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アリルエステル樹脂、フラン樹脂、イミド樹脂、ウレタン樹脂、ユリア樹脂からなる群より選ばれる1種、または2種類以上の組み合わせを用いることができる。
【0056】
また、本発明で用いる樹脂は、塩化ビニル、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、等の汎用プラスチック、ABS、アクリル等の準汎用プラスチック、ポリカーボネート等のエンプラ、その他、準スーパーエンプラ、スーパーエンプラを含む。
【符号の説明】
【0057】
1 マトリックス樹脂
2 長尺カーボンナノチューブ群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス樹脂と、導電性フィラーとしての長尺カーボンナノチューブ群と、を含み、かつ、上記長尺カーボンナノチューブ群が、チューブ平均長さ20μm−20mmの複数の長尺カーボンナノチューブで構成され、かつ、マトリクス樹脂中に分散されていることで、体積抵抗率106Ω・cm以下の導電性を有する、ことを特徴とする導電性樹脂組成物。
【請求項2】
上記長尺カーボンナノチューブ群を構成するカーボンナノチューブは、多層カーボンナノチューブである、ことを特徴とする請求項1に記載の導電性樹脂組成物。
【請求項3】
マトリックス樹脂と、導電性フィラーとしての長尺カーボンナノチューブ群と、を含み、かつ、上記長尺カーボンナノチューブ群が、チューブ平均長さ20μm−20mmの複数の長尺多層カーボンナノチューブで構成され、かつ、濃度0.01wt%以上で、上記マトリックス樹脂中に分散されていることで、体積抵抗率106Ω・cm以下の導電性を有する、ことを特徴とする導電性樹脂組成物。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【公開番号】特開2010−168495(P2010−168495A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13579(P2009−13579)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(505044451)ソナック株式会社 (107)
【Fターム(参考)】