説明

小型貯蔵システムとその使用

【課題】小型貯蔵システムと冷凍試料を貯蔵する対応する方法を提供する。
【解決手段】小型貯蔵システムは、貯蔵領域と、断熱部を有するハウジングと、少なくとも貯蔵領域を少なくとも−15℃の温度まで冷却し得る少なくとも1個の冷却装置とを含む。小型貯蔵システムは、又、冷凍された貯蔵領域内に完全に配置された貯蔵棚と、貯蔵領域の上方に配置された移送領域とを備える。実質的に水平に移動するロボットが移送領域内に配置される。小型貯蔵システムは、更に、少なくとも1個の実質的に垂直な昇降装置を備え、且つ、昇降装置が、実質的に長円形の経路上を循環すると共に実質的に水平に指向する複数の貯蔵棚を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵領域と、断熱部を有するハウジングと、少なくとも貯蔵領域を−15℃未満の温度まで冷却し得る少なくとも1個の冷却装置とを含む小型貯蔵システムに関する。小型貯蔵システムは、冷凍された貯蔵領域内に完全に配置された貯蔵棚と、貯蔵領域の上方に配置された移送領域と、貯蔵領域内に配置された少なくとも1個の実質的に垂直な昇降装置とを備え、且つ、実質的に水平に移動自在のロボットが移送領域内に配置されている。
更に、本発明は、冷凍試料を対応する小型貯蔵システムに貯蔵する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体液(例えば、血液、尿、唾液又は精液)、細胞(例えば、細菌培養)や組織サンプル等の生物学的試料は、温度に対して感度が非常に高く、入手後の劣化を防止するために冷凍貯蔵しなければならない。従って、生物学的及び大体感温性の試料の試験の重要な観点は、これらの試料の冷凍状態、即ち、低温での貯蔵と利用可能性である。これは、例えば、ディープフリーザー(即ち、−18℃以下の温度)、ドライアイス(固体CO)によって冷却される気体雰囲気(即ち、−78.5℃)、液体窒素(−196℃)内で起こり得る。更に、設計に応じて、−35℃(単段型)、−85℃(2段型)又は−135℃(3段型)の最低温度を達成し得る圧縮機を用いた機械的冷凍システムが公知である。全てのこれらの型式の貯蔵は、長い間公知であると共に、特定の長所と欠点を有する。−18℃で貯蔵されるサンプルは、氷晶の形成によりほんの短時間後に劣化の徴候を示す。氷晶のこの形成は、ドライアイス温度では大幅に低減され、液体窒素では実際上無くなる。しかしながら、全てのCOが昇華される時、ドライアイスで冷却される容器は非常に速く熱くなり、又、液体窒素内の試料の貯蔵は、複雑であると共に、作業者に対する特殊な保護手段を設けて初めて可能となる。ロボット式及び自動化システムで多数の試料を貯蔵及び供給するのに特に適した公知のシステムは殆ど無い。
【0003】
特許文献1(米国特許第6,357,983号明細書)は、自動貯蔵システムを開示する。互いに入れ子にされていると共に、中心軸心の回りを上下に配置された複数の水平棚位置に回転自在である2個のリング状ラックが、空調チャンバー内に配置され、この空調チャンバーの温度は、−20℃から+20℃までの範囲に選択され得る。これらの棚位置は、ラックの外方を垂直に移動するロボットによって装入され得る。このロボットは、特別に関節連結されたグリッパー機構を備え、グリッパー機構は、外方棚を貫通して内方棚位置に到達し得る。このシステムは、ロボット、従って、試料を、全選択プロセス中に冷たい雰囲気内に配置すると共に、エアロックを介して貯蔵システムから取出すことができるという利点を有する。しかしながら、この貯蔵システムは、棚ラックの個数について制限を受けると思われるため、相対的に少数の試料に対して相対的に大きな体積を冷却しなければならないと共に、かなり複雑なロボットを用いなければならない。
【0004】
別の貯蔵システムが、特許文献2(米国特許第6,694,767号明細書)に開示されている。−85℃から−80℃までの温度に完全に断熱された貯蔵空間が、ワークステーションを有するロボットが配置された制御雰囲気の作業領域の下方に位置する。相対的に小さな水平寸法と上下に配置された多くの棚を有する貯蔵ラックが、断熱カバーの開口に垂直に懸架されると共に、取付け状態の貯蔵空間の断熱区域を閉鎖する頂部板を備える。ロボットが、貯蔵ラックを貯蔵空間から引上げて、グリッパーが試料容器をラック位置から取外すことができる。フレームが貯蔵空間から取外される時、試料の温暖化又は解氷さえの危険があるとしても、制御されたCO雰囲気が、試料容器の冷たい表面上で水蒸気が凝縮することを防止する。
【0005】
この公知の貯蔵システムにおいて試料容器を供給するのに必要な時間は、とりわけ、多数の試料を短時間に供給しなければならない時に、長すぎるように思われる。
【0006】
冷凍試料を貯蔵及び供給する他の貯蔵システムが、特許文献3(特開2004−131249号公報)から公知である。この特許文献3は、相対的に小さな表面を有する複数の棚を各々が含む循環ラックを有する貯蔵空間を開示する。2個のこれらの循環ラック又は昇降装置が、2個の開口によって中断される壁によってロボットチャンバーから分離される冷凍チャンバー内に配置される。1つのロボットが、1つの開口に最も近くに位置する循環ラック上の特定ラック位置から試料容器を取出すと共に、この試料容器を貯蔵チャンバーと反対側の第2のロボット又は移送領域に送出する。この容器は、カメラによって識別され得る。このシステムの貯蔵チャンバーは相対的に小型のようであるけれども、特に、試料を供給したり、試料を1つの試料容器から別の試料容器に移転するのに2個のロボットを用いなければならない場合に、ロボットは大量の空間を必要とする。
【0007】
複数の昇降棚を有して、これらの昇降棚の上方に配置された少なくとも1個のロボットによって保全される貯蔵システムが、特許文献4(スイス国特許第688821号(A5))に開示されている。ロボットは、どの場合でも、1つの貯蔵容器を頂部棚から取出す。物品が、非常に小型で高利用の貯蔵空間に非特定温度で貯蔵される。特に、1個だけの容器及び/又は物体が同時に搬送され得るので、ロボットの経路は、多くの容器を効率的にするために非常に長くなるように思われる。
【0008】
更に、スイス、オーバーディースバッハのレンプ社(Remp AG)により生産されて、試料を、例えば、レンプ・スモールサイズ・ストア(REMP Small-Size Store)(登録商標)システムで+4℃又は−20℃の温度に、又は、レンプ・バイオサンプル・ストア(REMP Bio-Sample Store)システムで−80℃に貯蔵することのできる貯蔵システムが公知である。後者では、−20℃で作動するロボットが用いられる。
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,357,983号明細書
【特許文献2】米国特許第6,694,767号明細書
【特許文献3】特開2004−131249号公報
【特許文献4】スイス国特許第688821号(A5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、従来技術の公知の欠点を解消又は少なくとも最小化する、冷凍試料用の別の貯蔵システムを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、第1の態様において、貯蔵領域と、断熱部を含むハウジングと、少なくとも1個の冷凍装置とを備える小型貯蔵システムによって達成される。この冷凍装置は、少なくとも貯蔵領域を−15℃未満の温度に冷却することができる。この小型貯蔵システムは、冷凍された貯蔵領域内に完全に配置された貯蔵棚と、貯蔵領域の上方に配置された移送領域とを備え、更に、実質的に水平に移動自在のロボットが移送領域内に配置されている。本発明にかかる小型貯蔵システムは、貯蔵領域内に配置された少なくとも1個の実質的に垂直な昇降装置を備え、更に、昇降装置が、長手軸心と、実質的に長円形の経路上を循環すると共に実質的に水平に指向する複数の貯蔵棚とを備え、又、ロボットが、昇降装置と協働すると共に、貯蔵棚の取出し又は装入あるいは貯蔵棚からの物体の取出し又は貯蔵棚への物体の装入をし、且つ、少なくとも1個の貯蔵棚が昇降装置の経路の上部半円の領域に位置する時に、ロボットが上記の取出し又は装入をすることができるように構成され、更に、上記物体が、移送フレーム、容器ラックと容器よりなる群から選択されることを特徴とする。
【0012】
この目的は、第2の態様において、このような小型貯蔵システムに冷凍試料を貯蔵及び小型貯蔵システムの冷凍試料を供給する方法によって達成される。本発明にかかる方法は、冷凍試料が、小型貯蔵システムの貯蔵領域内に配置された少なくとも1個の少なくとも実質的に垂直な昇降装置に貯蔵及び該昇降装置から供給され、更に、昇降装置が、長手軸心と、実質的に長円形の経路上を循環すると共に実質的に水平に指向する複数の貯蔵棚とを備え、又、ロボットが、昇降装置と協働すると共に、貯蔵棚の取出し又は装入あるいは貯蔵棚からの物体の取出し又は貯蔵棚への物体の装入をし、且つ、少なくとも1個の貯蔵棚が昇降装置の経路の上部半円の領域に位置する時に、ロボットが上記の取出し又は装入をすることができ、更に、上記物体が、移送フレーム、容器ラックと容器よりなる群から選択されることを特徴とする。
【0013】
追加の好ましい発明的特徴は、明細書と従属請求項から得られる。
【0014】
本発明に関して、幾何学用語「長円形の」は、本質的に閉鎖された実質的に0形状の線として定義される。このような長円形では、2個の同じ長さの実質的に真直な部分は、実際上互いに平行に延在する。真直部分の2個の隣接端部は、少なくとも近似的な半円によって互いに接続されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態にかかる小型貯蔵システム1の垂直縦断面を示す。この小型貯蔵システム1は、断熱部9を設けたハウジング8内に配置された貯蔵領域2を備える。更に、この小型貯蔵システム1は、少なくとも貯蔵領域2を−15℃未満の温度に冷凍し得る少なくとも1個の冷凍装置10を備える。冷凍装置10は、ハウジング8内に(図3参照)、又は、図1に示すように、ハウジング8の外部に配置される。小型貯蔵システム1は、貯蔵位置に拘わり無く、冷凍された貯蔵領域2内に完全に配置された貯蔵棚5を備える。移送領域6が、ハウジング8内の貯蔵領域2の上方に配置され、又、実質的に水平に移動自在のロボット7が移送領域6内に収容されている(図1と図3の両方向矢印参照)。
【0016】
本発明にかかる小型貯蔵システム1は、貯蔵領域2内に配置された少なくとも1個の少なくとも実質的に垂直な昇降装置3を備える。この昇降装置3は、長手軸心4と、実質的に長円形の走行経路上を循環すると共に実質的に水平に指向する複数の貯蔵棚5とを備える。昇降装置3と協働するロボット7は、貯蔵棚5の取出し又は装入をするように構成されている。ロボット7は、又、貯蔵棚5からの物体の取出し又は貯蔵棚5への物体の装入をするように構成されている。昇降装置3との相互作用の結果として、少なくとも1個の貯蔵棚5が昇降装置3の経路の上部半円の領域に位置する時にだけ、ロボット7は、これらの動作を行うことができる。これらの物体は、移送フレーム11、容器ラック21と容器17よりなる群から選択される。
【0017】
例えば、ガラスやプラスチックで製造される試験管は、「容器」又は「試料容器」と呼ばれる。試験管は、又、「バイアル」と「管」を含む。特に、バイアルと管は、実質的に円筒形に形成されていると共に、好ましくはマガジン又はラックで貯蔵又は搬送される。マイクロプレートと実質的に同じフットプリントを設けた容器ラック21が特に好ましい。しかしながら、用語「容器」は、又、液体、固体又は液体と固体の混合物を収容するのに適した他の全ての容器を含む。例えば、ふた付きの小びんはこのような容器であり、これらの小びんは、ガラス又はプラスチックで製造され、ふたは、例えば、ねじぶた、スナップオンキャップ又はプラグとして形成される。
【0018】
ロボット化研究室では、マイクロチューブ・クラスタ・ラックが特に好ましい。何故なら、これらマイクロチューブ・クラスタ・ラックが、SBS(生体分子スクリーニング学会)規格に従うマイクロプレートのフットプリントで、しばしば「SBSフットプリント」と呼ばれるフットプリントに対応するフットプリントを有するからである。この規格は、ANSI(米国規格協会)によって、ANSI/SBS1−2004規格として採用されている。96個のマイクロチューブを有するラックが公知である。前出のレンプ社は、又、商品名レンプ・チューブ・テクノロジー(REMP Tube Technology)(登録商標)で、96個又は384個のマイクロチューブを有するマイクロチューブ・クラスタ・ラックを販売する。
【0019】
このような容器ラック21は、貯蔵棚5の上に直接載置することができる。容器ラック21が貯蔵棚5の上で摺動するのを防止することにより、貯蔵棚5上で容器ラック21を明確に位置決めするように、適当な凹所又はコンパートメント(図7参照)を貯蔵棚5に設けることが好ましい。少なくとも1個の貯蔵棚5が昇降装置3の経路の上部半円の領域に位置する時に、このように明確に位置決めされた容器ラック21は、ロボット7によってアクセスされると共に正確に把持される。貯蔵棚5は、アルミニウムシート又はクロム鋼シートで製造されることが好ましい。特に、アルミニウムは良好な熱導体であり、このようなアルミニウム棚は、相対的に軽いけれども、十分に安定性がある。
【0020】
しかしながら、このような容器ラック21は移送フレーム11の上に載置することもできる。容器ラック21が移送フレーム11の上で摺動するのを防止することにより、移送フレーム11上で容器ラック21を明確に位置決めするように、適当な凹所又はコンパートメント(図7参照)が移送フレーム11に設けられる。これらの移送フレーム11は、貯蔵棚5よりも少し短いと共に、貯蔵棚5上の正確な位置に載置することができる(図7参照)。好ましくは、移送フレーム11は、プラスチック材料で製造される。移送フレーム11は、容器ラック21の凹所又はコンパートメントの代わりに、パイロンのアレイを備えることもでき、試験管又は他の容器17がパイロンの間に挿入され得る(図7参照)。容器ラック21が、又、このようなパイロンを備えることにより、バイアルと試験管を、手動又はロボット手段で、これらの容器ラック21に挿入又は容器ラック21から除去することができる。
【0021】
昇降装置3と協働するロボット7を設けて、ロボット7が、貯蔵棚5の取出し又は装入あるいは貯蔵棚5からの物体の取出し又は貯蔵棚5への物体の装入をし、且つ、この貯蔵棚5が少なくとも昇降装置3の経路の上部変曲点12の近くに位置する時に、ロボット7が上記の取出し又は装入をすることができるように構成されている。取出すべき物体の位置が高くなればなる程、物品は、ロボット7のグリッパー20によってより簡単に把持され得る。別のやり方として、昇降装置3と協働するロボット7を設けて、ロボット7が、貯蔵棚5の取出し又は装入あるいは貯蔵棚5からの物体の取出し又は貯蔵棚5への物体の装入をし、且つ、2個の貯蔵棚5の各々が、昇降装置3の経路の上部変曲点12から昇降装置3の経路の上部半円の実質的に1/4である距離に位置する時に、ロボット7が上記の取出し又は装入をすることができるように構成されている。この別の形態は、各昇降装置3に対して、2個の貯蔵棚5をロボット7によってアクセスされるように同時に位置決めされるという利点を有する。
【0022】
単一の昇降装置3(不図示)を単一の貯蔵チャンバー13に配置することができるが、2個以上の昇降装置3,例えば、図1に示すように、4個の昇降装置3を単一の貯蔵チャンバー13に配置してもよい。少なくとも2個の昇降装置3が設けられる時、昇降装置3は、互いに近接して実質的に平行に配置されることが好ましく、ロボット7は、好ましくは、昇降装置3の長手軸心4に垂直に移動自在に構成される。これは、より簡単な第1実施形態の小型貯蔵システムの垂直断面を示す図1と、図1に示す小型貯蔵システムの平面図を示す図2との組合せより明白である。
【0023】
本発明の第2実施形態にかかる小型貯蔵システムの垂直縦断面を示す図3は、本発明の小型貯蔵システム1の好ましい改良を示す。この小型貯蔵システム1の貯蔵領域2は、断熱間仕切14によって互いに恒久的に分離された貯蔵チャンバー13を備える。この場合、昇降装置3は、各貯蔵チャンバー13内に配置されている。同様に、この場合、昇降装置3は、互いに近接して実質的に平行に配置されることが好ましく、ロボット7は、昇降装置3の長手軸心4に垂直に移動自在に構成される。これらの全ての熱的に分離された貯蔵チャンバー13内の温度は、要求条件に応じて同一に又は異なるようにすることができる。好ましくは、ロボット7は、昇降装置3を止めると共に、貯蔵棚5からの移送フレーム11の取出し又は貯蔵棚5への移送フレーム11の装入あるいは止められた昇降装置3の貯蔵棚5の取出し又は装入を行う少なくとも1個のグリッパーフレーム16を含む(図8参照)。この構成の変形例として、昇降装置3に対して分解作業や保全作業等の特殊作業を行わなければならない時あるいはこの昇降装置3を、少なくとも一時的に小型貯蔵システム1の貯蔵領域2から取外したり別の昇降装置3と交換しなければならない時、同様に絶縁されているが取外し自在の間仕切(いわゆる「可動間仕切」(不図示))を、昇降装置3の両側に組込むことができる。
【0024】
各貯蔵チャンバー13が少なくとも1個の封止搬入ハッチ15を含むことが特に好ましい。これにより、貯蔵チャンバー13が互いに完全に断熱され得る。このようにして、他の貯蔵チャンバー13や更に小型貯蔵システム1の機能を落とすことなく、単一の貯蔵チャンバー13を例えば保守作業のために解氷することができる。
【0025】
第1実施形態にも関連するが、特に第2実施形態に関して、貯蔵領域2は、−35℃以下の温度に冷凍できることが好ましい。その上、移送領域6は、−15℃未満の温度に冷凍できるべきである。この温度差は、通常、冷凍試料の品質を落とさない。何故なら、これらの試料は、容器ラック21を伴って又は伴わずにあるいは移送フレーム11を伴って又は伴わずに閉鎖容器17内に把持されているからである。この把持は、少なくとも−15℃に予備冷却されるロボット式グリッパー20によって実行される。ロボット7によって保持されて同様に−15℃に予備冷却される容器ラック21、移送フレーム11又は貯蔵棚5内で、試料を移送することができる。
【0026】
小型貯蔵システム1の特に好ましい実施形態において、貯蔵領域2を−80℃の温度に冷却することができる。この場合、移送領域6は−20℃の温度に冷却されることが好ましい。上述したこれらの温度は、例えば、圧縮機を備える冷凍装置10を使用して発生することができ、圧縮機の第1段が、移送領域6用の−20℃の温度を供給し、圧縮機の第1段と第2段が貯蔵領域2用の−80℃の温度を供給する。
【0027】
小型貯蔵システム1は、少なくとも1個のロック33を含むことが好ましい。このロック33は、貯蔵棚5、移送フレーム11と貯蔵マガジン又は容器ラック21の小型貯蔵システム1への装入又は小型貯蔵システム1からの取出し用に形成されている。これらの貯蔵棚5、移送フレーム11と貯蔵マガジン又は容器ラック21は、バイアル17、管22又は例えば、ねじぶた付き小型ガラスジャーとワークマガジン24等の他の容器で形成される試料容器を備えることが好ましい。
【0028】
好ましくは、各昇降装置3は、ラック27内に組立てられると共に、このラック27と一緒に小型貯蔵システム1のハウジング8から開口28を介して側方に取外すことができる。熱的ブリッジの発生を防止するために、一旦昇降装置3が挿入されると(図2参照)、この開口28は、断熱部9を有するカバー29によって閉鎖される。このカバー29は、昇降装置3と共に小型貯蔵システム1から取外すことができるように、ラック27に固定することができる。しかしながら、カバー29は、ドアとして形成すると共に、小型貯蔵システム1のハウジング8に止着することができる。各昇降装置3は、貯蔵領域2の外部に配置された駆動モータ54を備えることが好ましく、駆動モータ54は、断熱ロータリージョイント55を介して側部チェーンドライブ43に連結される。しかしながら、もし貯蔵領域2の温度が−20℃であるならば、駆動モータ54は貯蔵領域2内に配置することもできる。
【0029】
図6Aと図6Bは、2個の主チェーンドライブ32とこのようなラック27を有する昇降装置3の斜視図を示す。各昇降装置3は、その両端31に配置されて実質的に垂直であると共にローラーチェーンを有する2個の主チェーンドライブ32を含む。これらのローラーチェーンは、上部及び下部のスプロケットホイール34の回りを走行する。主チェーンドライブ32は、少なくとも1個の軸35によって機械的に互いに連結される。これらのローラーチェーンの隣接リンクは、棚受台37として形成されたリンクプレートによって互いに連結される。リンクピンが各棚受台37に挿通されることが好ましい。各主チェーンドライブ32は、2個の平行ローラーチェーンを含むことが好ましく、又、これらのローラーチェーンの各リンクは、U字状の棚受台37によって囲まれることが好ましい。主チェーンドライブ32のローラーチェーンへの追加の安定器として、他の本質的に非負荷支持型の支持チェーン61を主チェーンドライブ32に平行に配置することができる(図7参照)。好ましくは、各主チェーンドライブ32は、追加の平行支持チェーン61を含み、支持チェーン61のリンクは棚受台37によって囲まれない。
【0030】
図6Aは、安定化側部チェーンドライブ43を特徴とする、昇降装置3の第1変形例を示す。この側部チェーンドライブ43は、貯蔵棚5が傾斜するのを防止すると共に、貯蔵棚5が、昇降装置3内のその全走行経路に沿って少なくとも近似的に水平な位置を維持することを確実にする。実質的に水平に保持された貯蔵棚5を有する本発明にかかる昇降装置3は、連続的に前後に運転することができる。第1変形例にかかる各昇降装置3は、その一端31に配置されていると共にローラーチェーンを有する実質的に垂直な側部チェーンドライブ43を含む(図7参照)。側部チェーンドライブ43のこれらのローラーチェーンは、上部と下部のスプロケットホイール34の回りを走行すると共に、主チェーンドライブ32から軸方向オフセット寸法41と側方オフセット寸法42だけ偏倚させられる。隣接チェーンリンクは、ダミー受台44として形成されたリンクプレートによって互いに連結される。好ましくは、各側部チェーンドライブ43はローラーチェーンを含み、ローラーチェーンの各リンクは、U字状のダミー受台44によって囲まれている。好ましくは、リンクピンは、これらの棚受台37又はこれらのダミー受台44に挿通される。又、各棚受台37が、軸方向オフセット寸法41と側方オフセット寸法42を橋渡しする本質的に堅固な関節連結部46によって、ダミー受台44に連結されることが好ましい。昇降装置3の図示された第1変形例において、主チェーンドライブ32の少なくとも1個の歯付き駆動ホイール56が、中間歯付きホイール57又は歯付きベルト(図7に不図示)によって、側部チェーンドライブ43の歯付き駆動ホイール59に機械的に連結される。好ましくは、関節連結部46は、細長部品47と2個の横断シャンク48を有するZ字状部材として形成され、横断シャンク48は、棚受台37又はダミー受台44に配設されたスリーブ49に回転自在に嵌入された回転軸として形成される(図7参照)。
【0031】
更に、棚受台37に配設されたスリーブ49が、2個の周囲フランジ51を有するローラー50を更に含むように構成することができる。これらのフランジ51は、貯蔵棚5の間の正確な距離を規定し、これらのフランジの外径は、チェーンピッチの寸法の正確に2倍に相当することが好ましい。本実施形態では、15.875mmのチェーンピッチが選択されたので、フランジ51の外径は31.75mmである。
【0032】
好ましくは、このような昇降装置3を有する小型貯蔵システム1は、フットプリントと規格マイクロプレートの正規高さ又は同じフットプリントとこの正規高さの整数倍を有する貯蔵マガジン又は容器ラック21を貯蔵するように構成されている。小型貯蔵システム1は、少なくとも3個の昇降装置3と1立方メートル当たり少なくとも100個の規格マイクロプレートの特定貯蔵容量を有することが特に好ましい。
【0033】
本発明にかかる各小型貯蔵システム1は、貯蔵領域2と移送領域6の温度を調整すると共に昇降駆動のモータ54とロボット7を制御するホストコンピュータ60を備えることが好ましい。コンピュータ60に、ロボット7によって行われる作業の時間最適化スケジューリングをこのコンピュータに実行させ得るソフトウエアをインストールすることが好ましい。このスケジューリング方法により、多数の試料を極めて短時間に昇降装置3に装填又は昇降装置3から供給をすることができる。このような作業は、第3者メーカーからマガジン内にゆるくロボットに提供された管のリフォーマッティングを含む。このような個々の管を把持し得るロボット7を有することは非常に好都合である。第3者メーカーからのこのような管は、例えば、移送フレーム11に及び移送フレーム11で貯蔵棚5に装填され得る。第3者メーカーのマガジンとバイアル17用ラックに、SBS規格から外れたフットプリントを設けることができる。同様に、ロボット7は、SBS規格に従わない容器又はラックに合致する交換自在のグリッパーを含むことができる。
【0034】
図6Bは、安定化カムディスク36を有する昇降装置3の第2変形例を示す。これらの昇降装置3の各々は、その一端31に配置されていると共にカムレール45とカムベイル58を有する実質的に垂直なカムディスク36を含む。形状安定的なカムベイル58の各々は、貯蔵棚5を支承する棚受台37に対応すると共に、揺動自在に棚受台37に連結されている。昇降装置3の走行経路に対応する長円形のカムレール45及びカムベイル58との組合せにより、このカムディスク36は、貯蔵棚5が傾斜するのを防止すると共に、貯蔵棚5が、昇降装置3内のその全走行経路に沿って少なくとも近似的に水平な位置を維持することを確実にする。実質的に水平に保持された貯蔵棚5を有する本発明にかかる昇降装置3は、連続的に前後に運転することができる。
【0035】
図7は、図6Aの拡大斜視図を示す。主チェーンドライブ32の側方オフセットと、主チェーンドライブ32の側部チェーンドライブ43に対する軸方向オフセットとが明瞭に図示されている。その上、棚受台37が、主チェーンドライブ32に対して実質的に水平な位置で棚受台37を確実に支持する成形サポート52を含み得ることが明白である。好ましくは、各昇降装置3は、実質的に垂直に配置されたガイドレール53を含み、更に、ガイドレール53は、棚受台37に配置されたローラー50の回転フランジ51の間に係合する。更に、第3者メーカーの管又はバイアル17が、パイロンの間の移送フレーム11に及び移送フレーム11で貯蔵棚5に装填されることが明瞭に図示されている。
【0036】
図8は、2個のグリッパーフレーム16と、2個のヘッド18、19と、トランスファーステーション23とを有するロボット7の斜視図を示す。ロボット7は、少なくとも1個の、好ましくは2個のヘッド18、19を含む。1個のヘッド18又は2個のヘッド18、19の各々は、試料容器17を有する容器ラック21又は管22を把持あるいは容器ラック21又は移送フレーム11に配置された試料容器17を把持するグリッパー20を備える。ロボット7は、又、これらの試料容器17、22をワークマガジン24に再分配するトランスファーステーション23を含むことが好ましい。ロボット7はグリッパー20を備えることが好ましい。グリッパー20により、ロボット7は、例えば、SBSフットプリントを有する全容器ラック21等の任意の種類の容器17のみならず、試験管とバイアル等の個々の好ましくは円筒形の試料容器を保持することができる。好ましくは、ロボット7は、昇降装置3を止めると共に、貯蔵棚5からの移送フレーム11の取出し又は貯蔵棚5への移送フレーム11の装入あるいは止められた昇降装置3の貯蔵棚5の取出し又は装入を行う少なくとも1個のグリッパーフレーム16を含む。このようにして、グリッパーフレーム16は、貯蔵棚5、移送フレーム11等の好ましくは皿形の試料キャリヤーを把持する。
【0037】
トランスファーステーション23は、容器ラック21のコンパートメント26から、容器ラック21の下方に配置されたワークマガジン24のコンパートメント26に管22を圧入し得るパンチャー25を含む。前述したように、ロボット化研究室では、マイクロチューブ・クラスタ・ラックが特に好ましい。何故なら、これらマイクロチューブ・クラスタ・ラックが、SBS規格マイクロプレートのフットプリントに対応するフットプリントを有するからである。前出のレンプ社は、又、商品名レンプ・チューブ・テクノロジー(登録商標)で、96個又は384個のマイクロチューブを有するマイクロチューブ・クラスタ・ラックを販売する。これらのラック及びマイクロチューブと従来技術の間の本質的相違点は、少なくとも2個のラックを互いに上下に配置することにより、試験管が供給されると共に、試験管が、上方のラックから、下方のラックで見当合せで対応するように位置決めされた収容キャビティにマニプレーターによって圧入される。一方、この移送工程は、下方ラックから、上方ラックの適当に位置決めされた収容キャビティに試験管を圧入するマニプレーターによって実行することもできる(欧州特許第0904841号又は米国特許第6,827,907号参照)。
【0038】
ここで、再び、貯蔵マガジン又は容器ラック21又はワークマガジン24の概略斜視図を示す図4とトランスファーステーション23の垂直断面を示す図5を参照する。
【0039】
トランスファーステーション23では、パンチャー25が、試料容器を容器ラック21のコンパートメント26からワークマガジン24のコンパートメント26に圧入する。容器ラック21とワークマガジン24は、実質的に同一に製造され、とりわけその使用において互いに異なる。容器ラック21は、容器17又は管22の貯蔵と供給をするのに使用される。一方、ワークマガジン24は、ロボット7又は作業者によって使用されると共に、小型貯蔵システム1の外部で行われる処理手順や解析手順に一般に割当てられる。容器ラック21は、複数(好ましくは、96個又は384個)のコンパートメント26を互いに分離する間仕切40を有する。これらのコンパートメント26は、上部開口38と下部開口39を有するので、好ましくは封止管22からなる容器を、任意のコンパートメント26に選択的に上方から又は下方から挿入することができる。この挿入は、工具又はパンチャー25により自動的に実行されることが好ましい。容器ラック21又はワークマガジン24は、SBSフットプリントを規定する幅Aと長さBを有することが好ましい。これらのラック又はマガジンの高さは、マイクロプレートの規格高さに対応することが好ましい。管22用の図示の容器ラック21の代わりとして、容器ラックが、好ましくはSBSフットプリントを有して組織カセットを収容するように構成することができる(不図示)。好ましくは、このような代わりの容器ラックは、各々が側部を載置させた組織カセットを収容する24個のコンパートメントを有すると共に、規格マイクロプレートの高さの2倍の高さを有することが好ましい。
【0040】
ロボット7は、好ましくは、構造フレーム30内に組立てられると共に、グリッパーフレーム16、ヘッド18、19とトランスファーステーション23と一体に小型貯蔵システム1から取外すことができるように構成される。これは、移送領域6を解氷させずにロボット7全体を取外すことを可能にするので、特に保全目的に好ましい。従って、貯蔵領域2もロボット7の保全作業の影響を受けず、このことは、全ての昇降装置3が共通貯蔵チャンバー13内に位置する時に特に好都合である。
【0041】
本発明にかかる小型貯蔵システムは、冷凍試料を貯蔵及び供給する対応する方法を実施するのに使用されることが好ましい。上記の小型貯蔵システム1において、この方法は、小型貯蔵システム1の貯蔵領域2内に配置された少なくとも1個の少なくとも実質的に垂直な昇降装置3に冷凍試料を貯蔵し、昇降装置3は、長手軸心4と、実質的に長円形の経路上を循環すると共に実質的に水平に指向する複数の貯蔵棚5とを備える。昇降装置3と協働するロボット7は、貯蔵棚5の取出し又は装入をする。ロボット7は、又、貯蔵棚5からの物体の取出し又は貯蔵棚5への物体の装入をすることができる。少なくとも1個の貯蔵棚5が昇降装置3の経路の上部半円の領域に位置する時に、ロボット7は、上記の取出し又は装入の作業を行うことができる。これらの物体は、移送フレーム11、容器ラック21と容器17よりなる群から選択される。
【0042】
特に、この貯蔵棚5が少なくとも上部変曲点12の近傍に位置する時に、ロボット7は、上記の取出し又は装入の作業することができる。貯蔵棚5がこの位置に到達するのがどの方向であるかは無関係である。別のやり方として、2個の貯蔵棚5の各々が、上部変曲点12から上部循環半円の実質的に4分の1である距離だけ離隔して位置する時に、ロボット7は、上記の取出し又は装入をすることができるように構成される。
【0043】
各昇降装置3がそれ自身の駆動モータを備える時、本発明にかかる方法は特に効率的に且つ時間節約で実施され得る。このようにして、各昇降装置3を他の昇降装置3と独立して移動させることができる。このようにして、昇降装置3の少なくとも1個の貯蔵棚5を昇降装置3の上部循環半円の領域内に位置決めして、少なくとも1個の貯蔵棚5を試料の予定の装入又は取出しに好都合な位置に運ぶように、全ての昇降装置3の駆動モータ54がホストコンピュータ60によって制御されることが特に好ましい。同様にホストコンピュータ60によって制御されるロボット7も、次に、指定個数の特定の試料を貯蔵棚5に装入する又はこれらの試料を貯蔵棚5から取出す。ロボット7が移送領域6内で作動している間、昇降装置3は、既に処理された貯蔵棚5と共に別の操作位置に運ばれ得る。好ましくは、ロボット7の最短作業時間が得られるように、ホストコンピュータ60は、ロボット7の経路と昇降装置3の回転経路(及びもし必要なら回転方向)を互いに整合及び最適化する。従って、小型貯蔵システム1のハウジング8の内部又は外部に配置され得る好ましいホストコンピュータ60は、時間最適化スケジュールに従ってロボット7と昇降装置3を制御する。上述したように、特定の貯蔵棚5を昇降装置3の上部変曲点12の少なくとも近傍に位置決めするように、各昇降装置3は、特定の貯蔵棚5の現在位置に依存して必要に応じて前後に循環させ得ることが好ましい。
【0044】
ロボット7は、トランスファーステーション23を有することが好ましい。少なくとも2個のラック又はマガジンを互いに上下に配置すると共に、管22からなる試験管を上方の容器ラック21から下方のワークマガジン24において見当合せで対応するように位置決めされた収容キャビティに工具又はマニプレーターで圧入することによって、試験管が移送ステーション23に供給される。一方、この移送工程は、管22を下方のラックから上方のラックにおいて見当合わせで対応するように位置決めされた収容キャビティにマニプレーターで圧入することによって実行することもできる。容器ラック21とワークマガジン24の位置も必要に応じて交換することができ、ロボット7は、要求条件に応じて2個の容器ラック21又は2個のワークマガジンに作用する。
【0045】
ロボット7の時間最適化運転モードの見地から特に好ましくは、ロボット7は、各々がグリッパー20を有する2個のヘッド18、19を含むと共に、グリッパー20で、管22を有する容器ラック21を貯蔵棚5から又は移送フレーム11から実質的に同時に把持すると共に、これらの管22をトランスファーステーション23に再分配するように容器ラック21を供給することができる。容器17又は容器ラック21の純粋な取出し又は装入のために消費されるロボット7の運転時間は、2個のグリッパーヘッド18、19によって2分される。
【0046】
上述したように、各昇降装置3は、好ましくはラック27内に組立てられると共に、保全目的のために、このラック27と共に開口28を介して小型貯蔵システム1のハウジング8から側方に取外し可能である。これは、小型貯蔵システム1の第2実施形態において特に好都合である。何故なら、個々の貯蔵チャンバー13(図3参照)内に位置する他の昇降装置3の温度や機能を損なうことなしに、単一の昇降装置3をハウジング8から取外すことができるからである。
【0047】
取外すべき昇降装置3は、ロボット7を使用して前もって空にすることができる。これは、保守又は修理作業を昇降装置3又は関連する貯蔵チャンバー13に対して行う必要がある時に特に推奨される。
【0048】
しかしながら、取外された昇降装置3を、内部に貯蔵された全ての冷凍試料と共に別の冷凍機又は別の小型貯蔵システム1に組込むこともできる。上記の他の冷凍機は、定置又は搬送自在の冷凍機であり得る。
【0049】
昇降装置3の開示された変形例と小型貯蔵システム1の実施形態の特徴を組合せることのできる程度まで、このような組合せは本発明の範囲内に属する。図中の同じ参照番号は、たとえ明確に記載されていない場合でも同一の特徴を指す。
【0050】
小型貯蔵システム1に貯蔵された試料の明確な識別の問題は、好ましくは、小型貯蔵システム1の全ての搬送自在の部品が識別手段を備えることによって解決される。これらの搬送自在の部品は、特に、貯蔵棚5、移送フレーム11、容器又はバイアル17、管22とワークマガジン24を含む。更に、特定の管22の位置捕捉は、行と列によるコンパートメント26の番号付けを含むSBS規格によって簡略化される。低貯蔵温度に耐える全ての共通識別手段を識別手段として使用することができる。従って、1次元、2次元又は3次元のバーコード等の光学読取り式識別手段又はワイヤレス識別と例えば、無線周波数タグ(RFIDタグ)によって視覚的接触なしで読取ることのできる識別手段が特に注目されている。RuBee、ZIGBee又はBluetooth等の他のワイヤレスシステムが、適正に応じて好ましい。例えば、貯蔵棚5、移送フレーム11、容器又はバイアル17と容器ラック21等のより大型の搬送自在の部品を1次元バーコードによって識別することが特に好ましい。管22等のより小型の搬送自在の部品は2次元バーコード(不図示)を備えることが好ましい。
【0051】
ロボット7は、例えば、バーコードリーダー等の識別リーダーを備えることが好ましく、その識別リーダーは、小型貯蔵システム1において収容、搬送、取外しをする必要のある又は取外された部品上の適当な識別手段を読取ることができる(不図示)。しかしながら、各昇降装置3の及び/又は全小型貯蔵システム1の中央装置が、個々の搬送自在の部品の識別工程を担当する又は少なくとも、特定の識別作業においてロボット7を支援するように構成することができる。貯蔵リストと移送リストを表示及び/又は印刷することができるように、ホストコンピュータ60が識別を監視及び記憶することが特に好ましい。特に、試料が、好ましくはロック33を介して自動的に装入される場合、個々の試料又は他の搬送自在の部品の同一性と割当てられた貯蔵位置の決定は大いに重要である。このような識別装置により、正確な在庫品目録をいつでもホストコンピュータ60から検索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる小型貯蔵システムの垂直縦断面図である。
【図2】図1の小型貯蔵システムの平面図である。
【図3】本発明の第2実施形態にかかる小型貯蔵システムの垂直縦断面図である。
【図4】貯蔵マガジン又はワークマガジンの概略斜視図である。
【図5】パンチャーが、貯蔵マガジンのコンパートメントからワークマガジンのコンパートメントに試料容器を突出すトランスファーステーションの垂直断面図である。
【図6A】2個の主チェーンドライブとフレームを備える昇降装置において、安定化側部チェーンドライブを設けた第1変形例の斜視図である。
【図6B】2個の主チェーンドライブとフレームを備える昇降装置において、安定化カムディスクを設けた第2変形例の斜視図である。
【図7】側部チェーンドライブに対する主チェーンドライブの側方オフセットと軸方向オフセットを鮮明に見ることのできる、図6Aの拡大斜視図である。
【図8】2個のグリッパーフレーム、2個のヘッドとトランスファーステーションを備えるロボットの斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1 小型貯蔵システム
2 貯蔵領域
3 昇降装置
4 長手軸心
5 貯蔵棚
6 移送領域
7 ロボット
8 ハウジング
9 断熱部
10 冷凍装置
11 移送フレーム
13 貯蔵チャンバー
14 断熱間仕切
16 グリッパーフレーム
17 容器
20 グリッパー
21 容器ラック
22 管
23 トランスファーステーション
24 ワークマガジン
25 パンチャー
26 コンパートメント
30 構造フレーム
40 間仕切
50 ローラー
54 駆動モータ
60 ホストコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵領域(2)と、断熱部(9)を有するハウジング(8)と、少なくとも貯蔵領域(2)を−15℃未満の温度まで冷却し得る少なくとも1個の冷却装置(10)とを含む小型貯蔵システム(1)において、
冷凍された貯蔵領域(2)内に完全に配置された貯蔵棚(5)と、貯蔵領域(2)の上方に配置された移送領域(6)と、貯蔵領域(2)内に配置された少なくとも1個の実質的に垂直な昇降装置(3)とを備え、且つ、実質的に水平に移動自在のロボット(7)が移送領域(6)内に配置され、更に、昇降装置(3)が、長手軸心(4)と、実質的に長円形の経路上を循環すると共に実質的に水平に指向する複数の貯蔵棚(5)とを備え、又、ロボット(7)が、昇降装置(3)と協働すると共に、貯蔵棚(5)の取出し又は装入あるいは貯蔵棚(5)からの物体の取出し又は貯蔵棚(5)への物体の装入をし、且つ、少なくとも1個の貯蔵棚(5)が昇降装置(3)の経路の上部半円の領域に位置する時に、ロボット(7)が上記の取出し又は装入をすることができるように構成され、更に、上記物体が、移送フレーム(11)、容器ラック(21)と容器(17)よりなる群から選択される小型貯蔵システム(1)。
【請求項2】
貯蔵棚(5)が、少なくとも上部変曲点(12)の近くに位置する時に、ロボット(7)が上記の取出し又は装入をすることができるように構成された請求項1に記載の小型貯蔵システム(1)。
【請求項3】
2個の貯蔵棚(5)の各々が、上部変曲点(12)から上部循環半円の実質的に4分の1の距離だけ離隔して位置する時に、ロボット(7)が上記の取出し又は装入をすることができるように構成された請求項1に記載の小型貯蔵システム(1)。
【請求項4】
貯蔵領域(2)が、実質的に平行に並置された少なくとも2個の昇降装置(3)を備え、更に、ロボット(7)が、昇降装置(3)の長手軸心(4)に垂直に移動自在であるように構成された請求項1に記載の小型貯蔵システム(1)。
【請求項5】
貯蔵領域(2)が、断熱間仕切(14)によって互いに分離された貯蔵チャンバー(13)を備え、更に、1個の昇降装置(3)が各貯蔵チャンバー(13)内に配置された請求項1に記載の小型貯蔵システム(1)。
【請求項6】
各貯蔵チャンバー(13)が、少なくとも1個の封止搬入ハッチ(15)を備える請求項5に記載の小型貯蔵システム(1)。
【請求項7】
貯蔵領域(2)が、−35℃以下の温度に冷却可能である一方、移送領域(6)が、−15℃未満の温度に冷却可能である請求項1に記載の小型貯蔵システム(1)。
【請求項8】
貯蔵領域(2)が、−80℃の温度に冷却可能である一方、移送領域(6)が、−20℃の温度に冷却可能である請求項7に記載の小型貯蔵システム(1)。
【請求項9】
ロボット(7)が、昇降装置(3)の進行を止める少なくとも1個のグリッパーフレーム(16)を備え、且つ、グリッパーフレーム(16)が、貯蔵棚(5)からの移送フレーム(11)の取出し又は貯蔵棚(5)への移送フレーム(11)の装入あるいは進行を止められた昇降装置(3)の貯蔵棚(5)の取出し又は装入をする請求項1に記載の小型昇降装置(1)。
【請求項10】
ロボット(7)が、1個又は2個のヘッド(18、19)を備え、更に、各ヘッド(18、19)に、試料容器(17、22)を有する容器ラック(21)を把持したり、容器ラック(21)内又は移送フレーム(11)内に配置された試料容器(17、22)を把持するグリッパー(20)を設けた請求項1に記載の小型貯蔵システム(1)。
【請求項11】
ロボット(7)が、試料容器(17、22)をワークマガジン(24)に再分配するパンチャー(25)を有するトランスファーステーション(23)を備え、更に、パンチャー(25)が、容器ラック(21)のコンパートメント(26)から、容器ラック(21)の下方又は上方に配置されたワークマガジン(24)のコンパートメント(26)内に管(22)を押圧するように構成された請求項10に記載の小型貯蔵システム(1)。
【請求項12】
各昇降装置(3)が、ラック(27)内に組立てられると共に、小型貯蔵システム(1)のハウジング(8)から開口(28)を介して側方にラック(27)と共に取外し可能であり、更に、昇降装置(3)が挿入された時に、開口(28)が、断熱部(9)を設けたカバー(29)によって封止される請求項5に記載の小型貯蔵システム(1)。
【請求項13】
各昇降装置(3)が、その両端(31)において、実質的に垂直に配置されていると共にローラーチェーンを有する2個の主チェーンドライブ(32)を備え、更に、ローラーチェーンが、上方及び下方のスプロケットホイール(34)に巻回され、且つ、主チェーンドライブ(32)が、少なくとも1個の軸(35)によって互いに機械的に連結され、又、主チェーンドライブ(32)のローラーチェーンの隣接リンクが、棚受台(37)として形成されたリンクプレートによって互いに連結された請求項1に記載の小型貯蔵システム(1)。
【請求項14】
各昇降装置(3)が、その両端(31)の一方において実質的に垂直に配置されていると共にローラーチェーンを有する側部チェーンドライブ(43)を備え、更に、ローラーチェーンが、上方及び下方のスプロケットホイール(34)に巻回されると共に軸方向オフセット寸法(41)と側方オフセット寸法(42)だけ主チェーンドライブ(32)から偏倚させられ、又、側部チェーンドライブ(43)のローラーチェーンの隣接リンクが、ダミー受台(44)として形成されたリンクプレートによって互いに連結された請求項13に記載の小型貯蔵システム(1)。
【請求項15】
各棚受台(37)が、軸方向オフセット寸法(41)と側方オフセット寸法(42)を橋渡しする実質的に堅固な関節連結部(46)によって、ダミー受台(44)に連結された請求項13又は14に記載の小型貯蔵システム(1)。
【請求項16】
リンクピンが、棚受台(37)又はダミー受台(44)に挿通される請求項15に記載の小型貯蔵システム。
【請求項17】
各昇降装置(3)が、その両端(31)の一方に配置されていると共にカムレール(45)とカムベイル(58)を有する実質的に垂直なカムディスク(36)を備え、更に、形状安定的な各カムベイルが、貯蔵棚(5)を支承する棚受台(37)に対応すると共に棚受台(37)に揺動自在に連結された請求項13に記載の小型貯蔵システム(1)。
【請求項18】
貯蔵領域(2)と、断熱部(9)を有するハウジング(8)と、少なくとも貯蔵領域(2)を−15℃未満の温度まで冷却し得る少なくとも1個の冷凍装置(10)とを含む小型貯蔵システム(1)に冷凍試料を貯蔵及び小型貯蔵システム(1)の冷凍試料を供給する方法において、
小型貯蔵システム(1)が、冷凍された貯蔵領域(2)内に完全に配置された貯蔵棚(5)と、貯蔵領域(2)の上方に配置された移送領域(6)とを備え、且つ、実質的に水平に移動自在のロボット(7)が移送領域(6)内に配置される一方、冷凍試料が、小型貯蔵システム(1)の貯蔵領域(2)内に配置された少なくとも1個の少なくとも実質的に垂直な昇降装置(3)に貯蔵及び該昇降装置(3)から供給され、更に、昇降装置(3)が、長手軸心(4)と、実質的に長円形の経路上を循環すると共に実質的に水平に指向する複数の貯蔵棚(5)とを備え、又、ロボット(7)が、昇降装置(3)と協働すると共に、貯蔵棚(5)の取出し又は装入あるいは貯蔵棚(5)からの物体の取出し又は貯蔵棚(5)への物体の装入をし、且つ、少なくとも1個の貯蔵棚(5)が昇降装置(3)の経路の上部半円の領域に位置する時に、ロボット(7)が上記の取出し又は装入をすることができ、更に、上記物体が、移送フレーム(11)、容器ラック(21)と容器(17)よりなる群から選択される方法。
【請求項19】
各昇降装置(3)に、各昇降装置(3)を他の昇降装置(3)と独立して移動させ得るそれ自身の駆動モータ(54)を設けた請求項18に記載の方法。
【請求項20】
全ての昇降装置(3)の駆動モータ(54)が、試料の予定の挿入又は取出しに好都合な位置に昇降装置(3)の少なくとも1個の貯蔵棚(5)を運ぶように、ホストコンピュータ(60)によって制御されて、上記少なくとも1個の貯蔵棚(5)が、昇降装置(3)の循環経路の上部半円の領域に位置する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ロボット(7)が、ホストコンピュータ(60)によって制御されて、特定個数の所定試料を、供給された貯蔵棚(5)に挿入する又は該貯蔵棚(5)から取出す請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ホストコンピュータ(60)が、時間最適化スケジュールに従ってロボット(7)と昇降装置(3)を制御する請求項20又は21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−169042(P2008−169042A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−316936(P2007−316936)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.RuBee
2.ZIGBEE
3.Bluetooth
【出願人】(501442699)テカン・トレーディング・アクチェンゲゼルシャフト (26)
【氏名又は名称原語表記】TECAN Trading AG
【Fターム(参考)】