説明

小型電動車両及びハンドルユニット

【課題】 小型電動車両の前部まわりに乗り降りの際に手を置けるような平坦面を確保する。
【解決手段】 小型電動車両のステアリングシャフト120の上端に設けられたハンドルユニット10は、前後に比べて左右に長いループハンドル11と、ループハンドル11の中央で前後に架け渡すようにして設けられる操作ボックス12と、操作ボックス12の上面に設けられる平坦面12Bと、平坦面12Bのループハンドル11の後側辺に沿う位置で左右幅方向に並べて配置される複数のプッシュボタンスイッチ15、16l、16rと、平坦面12Bの左右幅方向中央位置であってプッシュボタンスイッチ15、16l、16rより前方位置で前後に並べて配置される複数のスイッチ13、14とを具備する。これにより、スイッチ13、14の両側に広いスペースSを確保することができ、乗り降りの際に、そのスペースSに手を置いて身体を支えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に高齢者や足の不自由な人の利用に供する小型電動車両及びそれに用いられるハンドルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
小型電動車両は、高齢者等の足代わりになるものとして極めて利用価値が高い。かかる小型電動車両の基本構成において、例えば車体後部に乗員が着座するシートが設置され、その下方に駆動輪としての後輪が配設される。シートの前方下部には乗員が足を載せるためのフロアが設けられ、さらにその前方に前輪を操舵するためのステアリングシャフトが立設される。ステアリングシャフトの上端にはハンドルが取り付けられ、乗員はシートに着座して該ハンドルを操作するようになっている。
【0003】
この種の小型電動車両においてはいわゆるループハンドルが多く採用され、特許文献1、2等に開示されているように、ループハンドルの中央部に各種スイッチ類が配設される操作ボックスが設けられる。
【0004】
【特許文献1】特開2003−325588号公報
【特許文献2】特開2004−82781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
小型電動車両への乗車に際しては、基本動作として、乗員は起立状態から、歩行(片足立ちを含む)、ステップ段差越え、中腰、身体の捩じり、着座といった動作を複合して行う(降車の場合は逆順)。これらの動作中には、ハンドル、シートの座面、背もたれ、アームレスト等を利用して身体を支えるようにしている。特に小型電動車両のユーザは高齢者等であり、その乗り降りに際して身体を支えるために手を置いたり、手を掛けたりする部分が多ければ、それだけ利便性が高める。
【0006】
しかしながら、小型電動車両の前部まわりでは、ハンドルをつかむことはできるが、手を置いて体重をかけるのに都合のよい部分がない。特許文献1、2等に開示されたものでは、操作ボックスの全面に各種スイッチが配設されているため、操作ボックスに手を置くことはできない。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、小型電動車両の前部まわりに乗り降りの際に手を置けるような平坦面を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の小型電動車両は、乗員が着座するシートと、前記シートの前方下部に設けられたフロアと、前記フロアの前方に立設されたステアリングシャフトと、前記ステアリングシャフトの上端に設けられたハンドルユニットと、前記ハンドルユニットの操作により左右に揺動する前輪と、駆動輪として設けられた後輪とを備えた小型電動車両であって、前記ハンドルユニットは、前後に比べて左右に長いループハンドルと、前記ループハンドルの中央で前後に架け渡すようにして設けられる操作ボックスと、前記操作ボックスの上面に設けられる平坦面と、前記平坦面の前記ループハンドルの後側辺に沿う位置で左右幅方向に並べて配置される複数のプッシュボタンスイッチと、前記平坦面の左右幅方向中央位置であって前記複数のプッシュボタンスイッチより前方位置で前後に並べて配置される複数のスイッチとを具備する点に特徴を有する。
また、本発明の小型電動車両の他の特徴とするところは、前記複数のプッシュボタンスイッチは、ホーンボタンスイッチと、左右のターンシグナルボタンスイッチとである点にある。
また、本発明の小型電動車両の他の特徴とするところは、前記複数のスイッチは、最大速度を設定するための最大速度設定スイッチと、前進・後進を切替えるための前進・後進切替えスイッチとである点にある。
また、本発明の小型電動車両の他の特徴とするところは、前記操作ボックスは、前記ループハンドルを含む面より上方に立ち上がる左右の側面を有し、前記平坦面は前記ループハンドルを含む面より上方に位置するとともに、前記平坦面の左右の縁部それぞれが前記側面につながる部分に角部が形成される点にある。
また、本発明の小型電動車両の他の特徴とするところは、前記ループハンドル内の前記操作ボックスの両側或いはいずれか片側にアクセルレバーが配置されるとともに、前記アクセルレバーが所定位置にあるときに、前記アクセルレバーの操作部と前記複数のプッシュボタンスイッチとが並んで位置する点にある。この場合に、前記アクセルレバーの所定位置とは、アクセルを開く位置であるようにすればよい。
また、本発明の小型電動車両の他の特徴とするところは、前記平坦面の左右に滑り止め部が設けられる点にある。
本発明のハンドルユニットは、乗員が着座するシートと、前記シートの前方下部に設けられたフロアと、操向輪として設けられた前輪と、駆動輪として設けられた後輪とを備えた小型電動車両にあって、前記フロアの前方に立設されたステアリングシャフトの上端に設けられるハンドルユニットであって、前後に比べて左右に長いループハンドルと、前記ループハンドルの中央で前後に架け渡すようにして設けられる操作ボックスと、前記操作ボックスの上面に設けられる平坦面と、前記平坦面の前記ループハンドルの後側辺に沿う位置で左右幅方向に並べて配置される複数のプッシュボタンスイッチと、前記平坦面の左右幅方向中央位置であって前記複数のプッシュボタンスイッチより前方で前後に並べて配置される複数のスイッチとを備えた点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作ボックスの上面に設けられる平坦面の左右幅方向中央位置で複数のスイッチを前後に並べて配置するようにしたので、その両側に広いスペースを確保することができる。したがって、乗り降りの際に、そのスペースに手を置いて身体を支えることができ、利便性を高めることができる。しかも、操作ボックスがループハンドルの前後に架け渡すように設けられるので、体重を支えるのに十分な剛性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。図1は本実施形態に係る小型電動車両の全体構成を示す側面図、図2は正面図、図3は平面図である。小型電動車両100において、車体フレーム101には、左右一対の前輪102及び左右一対の後輪103がサスペンションを介して支持される。車体フレーム101はその一部を除き、前部カバー104、レッグシールド105、フロア106、及び後部カバー107等からなる樹脂製カバーにより覆われる。
【0011】
車体後部において概略箱状もしくは箱型の後部カバー107が上方に突設され、後部カバー107の内側には後輪103を駆動するための駆動モータ108や駆動モータ108の出力を車軸109に伝達するギヤユニット110(図2や図3等参照)、さらにバッテリ及びその充電器等を含む動力装置が収容されている。
【0012】
後部カバー107の上側には、車体フレーム101から例えば門型に立ち上がるブラケット111を介して、乗員が着座するシート112が搭載される。シート112はシートクッション113とシートバック(背もたれ)114を含み、後部カバー107上で水平方向に旋回可能に支持される。この旋回角度は車体センタから左右に例えば45度及び90度等に設定され、シートクッション113の両側部に付設された操作レバー115の操作で適宜旋回させることができる。
【0013】
さらに、シートバック114の両側部にはアームレスト116が設けられ、各アームレスト116は、支点117のまわりに回動可能に支持される。各アームレスト116の側面にはそれぞれウィンカ118が配設される。また、シートバック114の背面には、例えば小型電動車両100を手押しするときに把持することのできる把持部119が設けられる。
【0014】
レッグシールド105は車体前部で上方に突設され、シート112に着座した乗員の脚まわりを風等があたらないように保護する。レッグシールド105の内部には前輪102を操舵するためのステアリングシャフト120が立設されており、該ステアリングシャフト120の上端には、後述するハンドルユニット10が回動可能に取り付けられる。乗員は、図1に示すように、シート112に着座してハンドルユニット10を操作するようになっている。また、ハンドルユニット10の適所には、左右一対のバックミラー121がステー122を介して支持される。
【0015】
レッグシールド105の前面部には収納籠もしくはキャリヤケース123が装架され、該キャリヤケース123を適宜物入れとして使用することができる。なお、キャリヤケース123の下方適所にヘッドライトが取り付けられる。
【0016】
以下、ハンドルユニット10の具体的構成例について説明する。フロア106の前方に立設されたステアリングシャフト120は、図1に示すように、その上部がシート112側へ適度に傾倒しており、上端にハンドルユニット10が支持される。これにより、フロア空間を広く確保するとともに、ハンドルユニット10を乗員の近くに位置させることができる。この場合に、ステアリングシャフト120は、シート112の座面より上方位置にてシート112側へ傾倒するようにするのが好適である。
【0017】
また、ステアリングシャフト120の上端に支持されるハンドルユニット10は水平から乗員側へ適度に傾斜して配置され、無理に手を伸ばすことなくハンドル11の所望位置を握ることができ、自然な姿勢でハンドル操作を行うことができる。
【0018】
図4、5に示すように、ハンドルユニット10のハンドル11は、乗員の前方で左右に延伸する第1のバー部11Aと、第1のバー部11Aの両端からそれぞれ前方に延伸する左右の第2のバー部11B、11Bと、左右の第2のバー部11B、11Bの前端間をつなぐ第3のバー部11Cとを有し、左右対称であって前後に比べて左右に長い略長方形のループハンドルとなっている。
【0019】
ハンドル11の中央には、前後(第1のバー部11A及び第3のバー部11C)に架け渡すようにして各種コントロールスイッチ等を搭載した操作ボックス12が設けられる。操作ボックス12は、図5に示すように、対面視において前部が後部(乗員側)に比べてやや幅広となる台形状となっており、前面には不図示のブレーキレバー(主に駐輪用に用いられる)を取り付けるための取り付け部12Aが形成される。
【0020】
操作ボックス12の上面には平坦面12Bが設けられる。操作ボックス12は、ハンドル11を含む面より上方に立ち上がる左右の側面12Cを有し、平坦面12Bはハンドル11を含む面より上方にハンドル11と略平行に位置する。また、平坦面12Bの左右の縁部には凸状の段部12Dが形成されるとともに、側面12Cにつながる部分に角部12Eが形成される。
【0021】
操作ボックス12の平坦面12Bには、最大速度を設定するためのロータリスイッチからなる最大速度設定ノブ(スイッチ)13、前進・後進を切替えるためのレバースイッチからなる前進・後進切替えスイッチ14、ホーンボタンスイッチ15、及び左右のターンシグナルボタンスイッチ16l、16rが配置される。詳しくは、平坦面12Bの第1のバー部11Aに沿う位置では、左から順に左ターンシグナルボタンスイッチ16l、ホーンボタン15、右ターンシグナルボタンスイッチ16rが左右幅方向に並べて配置される。また、平坦面12Bの左右幅中央位置であってホーンボタンスイッチ15及び左右のターンシグナルボタンスイッチ16l、16rより前方位置では、下から順に前進・後進切替えスイッチ14、最大速度設定スイッチ13が前後に並べて配置される。
【0022】
さらに、平坦面12Bの第3のバー部11Cに沿う位置では、バッテリ残量LEDや充電表示LED等からなる表示部17が列設される。
【0023】
操作ボックス12の内部には、後述するようにアクセル機構部20が収容されており、アクセルレバー18と相俟ってアクセル操作を行うことができるようになっている。
【0024】
ここで、アクセルレバー18は全体として変形C字形状をなし、操作ボックス12(アクセル機構部20)に沿って配置される基部18Aと、基部18Aの後端(第1のバー部11A側)に連続して第2のバー部11B方向に延伸する第1の操作部18Bと、基部18Aの前端(第3のバー部11C側)に連続して第2のバー部11B方向に延伸し、先端が第2のバー部11Bに沿って湾曲する第2の操作部18Cとを有する。
【0025】
そして、図6に示すように、アクセルレバー18の第1の操作部18Bがハンドル11より上方に、かつ、第2の操作部18Cがハンドル11より下方に位置し、基部18Aが後述するアクセル機構部20から延出するアクセルレバー軸21により支持される。図示例では、操作ボックス12の両側に左右一対のアクセルレバー18を備え、いずれのアクセルレバー18でもアクセル操作が可能となっている。
【0026】
図7は、アクセル機構部20まわりを示す図である。ハンドル11は内部の鋼管11Dの外側に樹脂製のグリップ11E(図6)が外嵌する2重構造を有し、中央部前後にハンドルベース19(支持板)が架け渡され、ハンドル11と一体的に結合している。ハンドルベース19がステアリングシャフト120と結合しており、これによりハンドル11の操作でステアリングシャフト120を回転し、図示しない操舵機構を介して左右の前輪102を操舵することができる。
【0027】
ハンドルベース19の上内側にアクセル機構部20が配設される。アクセル機構部20では、左右方向に延出するアクセルレバー軸21が回転可能に支持されており、各アクセルレバー軸21の端部にアクセルレバー18の基部18Aが取り付けられる。したがって、アクセルレバー18はアクセルレバー軸21を軸として回動し、図6に示すように、実線で示される初期位置(アクセル全閉位置)と、2点鎖線で示される回動位置(アクセル全開位置)の間を往復動する。なお、図7では、右側のアクセルレバー18が初期位置にあり、左側のアクセルレバー18が回動位置にある状態を示す。
【0028】
アクセルレバー軸21にはドライブギヤ22が取り付けられ、ドライブギヤ22はドリブンギヤ23と噛合する。ドリブンギヤ23の軸24はポテンショメータ25に連結し、アクセルレバー軸21の回転によりドライブギヤ22及びドリブンギヤ23を介して、その回転量に応じてポテンショメータ25が駆動される。ポテンショメータ25の出力はメインコントローラ(図示せず)に送出され、このメインコントローラからの制御信号により駆動モータ108が駆動されるようになっている。
【0029】
アクセルレバー軸21には、リターンスプリング26が装着されている。リターンスプリング26は、その弾力によりアクセルレバー軸21を介してアクセルレバー18をその初期位置方向へ回動付勢する。したがって、アクセルレバー18に入力がない限り、初期位置に自動復帰するようになっている。この場合、アクセルレバー軸21上には、例えば略矩形状のプレートからなるストッパ27が取り付けられており、アクセルレバー18の全閉位置及び全開位置が規定される。これらドライブギヤ22、ドリブンギヤ23、軸24、ポテンショメータ25、リターンスプリング26、及びストッパ27の各部材によりアクセル信号変換機構が構成される。
【0030】
図8は、操作ボックス12の構成例を示す分解斜視図である。操作ボックス12は、樹脂製のロアケース30及びアッパケース31に分割構成され、その内側の左右両側に列設されたボス部30A、31Aを介して結合する。ロアケース30及びアッパケース31の内部には、防水ケース32、プリント基板33、前進・後進切替えスイッチ14、ウィンドウ34、ボリューム35、リフレクタ36等が組み付けられる。
【0031】
また、アッパケース31の上表面には平坦面12Bを構成するパネル37が貼着されるとともに、ボリューム35に対して最大速度設定ノブ(スイッチ)13が装着され、プッシュスプリング38を介してホーンボタン15及びターンシグナルボタン16r、16lが装着される。
【0032】
ロアケース30の側部にはハンドル11の第1のバー部11A及び第2のバー部11Cを挿通するための切り欠き39が形成され、前述したハンドルベース19及びアクセル機構部20はロアケース30の内部であって防水ケース32の裏側空間40に配設される。
【0033】
上記構成とされた小型電動車両100において、図1に示すように、シート112に着座した乗員はハンドルユニット10のハンドル11を持ち(或いは軽く手を掛け)、該ハンドル11に装着されたアクセルレバー18を操作することで車両を走行させることができる。
【0034】
すなわち、ハンドル11の第1のバー部11Aを握っている状態であれば、図9に示すように、親指以外の指でアクセルレバー18の第1の操作部18Bを軽く押し下げればよい。このように第1の操作部18Bを押し下げると、アクセル信号変換機構を介してポテンショメータ25からメインコントローラへ信号が送出され、その信号に応じて駆動モータ108が駆動されるので、走行することができる。その際、アクセルレバー18の押し下げ加減を適宜調節することで、増速或いは減速しスピードがコントロールされる。そして、図6の2点鎖線で示されるアクセル全開位置までアクセルレバー18を回動することで、最大速度設定スイッチ13により設定されている最大速度が得られる。
【0035】
それに対して、ハンドル11の第2のバー部11Bを握っている状態であれば、親指以外の指でアクセルレバー18の第2の操作部18Cを軽く持ち上げればよい。この場合も、アクセルレバー18の第1の操作部18Bを押し下げるのと同様に、アクセルレバー18の持ち上げ加減を適宜調節することで、増速或いは減速しスピードがコントロールされ、アクセル全開位置までアクセルレバー18を回動することで、最大速度設定スイッチ13により設定されている最大速度が得られる。
【0036】
また、アクセルレバー18から指を離せば、リターンスプリング26の弾力によりアクセルレバー18が図6の実線で示されるアクセル全閉位置に復帰し、車両を停止させることができる。
【0037】
ここで、ホーンボタンスイッチ15や左右のターンシグナルボタンスイッチ16r、16lは主に走行中に使用するものであるが、図4、5に示すように、アクセルレバー18が回動位置(アクセル全開位置)にあるときに、アクセルレバー18の第1の操作部18bとホーンボタンスイッチ15及び左右のターンシグナルボタンスイッチ16r、16lとは横に並んで位置する。したがって、ハンドル11の第1のバー部11Aを握ってアクセルレバー18の第1の操作部18Bを押し下げた状態(すなわち、車両走行中)において、ハンドル11やアクセルレバー18から手を離すことなく、ホーンボタンスイッチ15や左右のターンシグナルボタンスイッチ16r、16lを無理なく操作することができる。
【0038】
一方、ホーンボタンスイッチ15や左右のターンシグナルボタンスイッチ16r、16lはそれぞれ単一機能であり、押下の繰り返しによりオン/オフを切替えるだけなので、視認性はさほど必要ではない。それに対して、最大速度設定スイッチ13や前進・後進切替えスイッチ14は車両走行中に頻繁に操作することはないが、走行に関するパラメータを設定するものであるため視認による確認が要求される。そして、これら最大速度設定スイッチ13や前進・後進切替えスイッチ14が、操作ボックス12の中央という視認性の高い位置に配置されるので、視認性という要求を満たすことができる。
【0039】
以上述べたように、操作ボックス12の平坦面12Bの左右幅方向中央位置で前進・後進切替えスイッチ14、最大速度設定スイッチ13を前後に並べて配置するようにしたので、その両側に広いスペースSを確保することができる(図5参照)。したがって、乗り降りの際に、そのスペースSに手を置いて身体を支えることができ、利便性を高めることができる。
【0040】
この場合に、ハンドル11の前後にハンドルベース19が架け渡されるとともに、そのハンドルベース19を支持枠にして操作ボックス12がハンドル11の前後に架け渡すように設けられるので、体重を支えるのに十分な剛性を確保することができる。さらに、図8に示したように、ロアケース30及びアッパケース31は、その内側の左右両側(すなわちスペースSの裏側付近)に配置されたボス部30A、31Aを介して結合するので、樹脂製であってもスペースSでは十分な剛性を維持することができる。
【0041】
また、平坦面12Bの左右の縁部には側面12Cにつながる角部12Eが形成されるので、乗り降りの際に乗員が身体の向きを変えるときには、側面12Cで横方向への荷重をしっかりと受けることができる。また、単に平坦面12Bに手を置くよりも、角部12Eに手の一部を掛けた方が手の収まりがよく、安定感を生じさせることができる。
【0042】
さらに、平坦面12Bの左右には段部12Dが形成されるので、その段部12Dが滑り止め部として機能し、例えば乗員が防寒のため手袋をしているような場合でも手が滑るのを防止して、安定して手を置くことができる。滑り止め部としては、図示例の段部12D以外にも、例えばスペースS(望ましくは操作ボックス12の前後幅に連続的に)に滑り止めシートを貼着するような構成であってもよい。
【0043】
なお、図示例では、平坦面12Bがわずかに湾曲する形状を有するが(図6参照)、本発明でいう平坦面とは、厳密な意味での平面をいうのではなく、要するに、略平面であって手を置くのに妨げとなるような起伏がないものをいうものである。
【0044】
以上、本発明を実施形態とともに説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。例えば、操作ボックス12の両側に左右一対のアクセルレバー18を備えた例を説明したが、いずれか片側にのみアクセルレバー18を配置するようにしてもよい。ただ、上記実施形態のように左右にアクセルレバー18を備え、ハンドルユニット11を略左右対称とすれば、利き手の違いによる操作性の相違を無くすことができる。
【0045】
また、本実施形態では、アクセルレバー18が環状の一部を切り欠いたような変形C字形状となっているが、環状としてもよい。ただし、アクセルレバー18はアクセルレバー軸21を支点として回動操作するので、アクセルレバー軸21に対向する部分では操作しにくい。そういった観点から、本実施形態では、アクセルレバー18をアクセルレバー軸21に対向する部分で切り欠いたものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施形態に係る小型電動車両の全体構成を示す側面図である。
【図2】実施形態に係る小型電動車両の全体構成を示す正面図である。
【図3】実施形態に係る小型電動車両の全体構成を示す平面図である。
【図4】ハンドルユニットの外観斜視図である。
【図5】ハンドルユニットの図4の矢印V方向から見た対面視図である。
【図6】ハンドルユニットの側面図である。
【図7】ハンドルユニットの内部構造を示す図である。
【図8】操作ボックスの構成例を示す分解斜視図である。
【図9】アクセルレバーの使用例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0047】
10 ハンドルユニット
11 ハンドル
12 操作ボックス
12B 平坦面
12C 側面
12D 段部
12E 角部
13 最大速度設定ノブ(スイッチ)
14 前進・後進切替えスイッチ
15 ホーンボタンスイッチ
16l、16r ターンシグナルボタンスイッチ
18 アクセルレバー
19 ハンドルベース
20 アクセル機構部
21 アクセルレバー軸
53 アクセル操作部材
100 小型電動車両
102 前輪
103 後輪
106 フロア
108 駆動モータ
112 シート
120 ステアリングシャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が着座するシートと、前記シートの前方下部に設けられたフロアと、前記フロアの前方に立設されたステアリングシャフトと、前記ステアリングシャフトの上端に設けられたハンドルユニットと、前記ハンドルユニットの操作により左右に揺動する前輪と、駆動輪として設けられた後輪とを備えた小型電動車両であって、
前記ハンドルユニットは、
前後に比べて左右に長いループハンドルと、
前記ループハンドルの中央で前後に架け渡すようにして設けられる操作ボックスと、
前記操作ボックスの上面に設けられる平坦面と、
前記平坦面の前記ループハンドルの後側辺に沿う位置で左右幅方向に並べて配置される複数のプッシュボタンスイッチと、
前記平坦面の左右幅方向中央位置であって前記複数のプッシュボタンスイッチより前方位置で前後に並べて配置される複数のスイッチとを具備することを特徴とする小型電動車両。
【請求項2】
前記複数のプッシュボタンスイッチは、ホーンボタンスイッチと、左右のターンシグナルボタンスイッチとであることを特徴とする請求項1に記載の小型電動車両。
【請求項3】
前記複数のスイッチは、最大速度を設定するための最大速度設定スイッチと、前進・後進を切替えるための前進・後進切替えスイッチとであることを特徴とする請求項1又は2に記載の小型電動車両。
【請求項4】
前記操作ボックスは、前記ループハンドルを含む面より上方に立ち上がる左右の側面を有し、前記平坦面は前記ループハンドルを含む面より上方に位置するとともに、前記平坦面の左右の縁部それぞれが前記側面につながる部分に角部が形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の小型電動車両。
【請求項5】
前記ループハンドル内の前記操作ボックスの両側或いはいずれか片側にアクセルレバーが配置されるとともに、前記アクセルレバーが所定位置にあるときに、前記アクセルレバーの操作部と前記複数のプッシュボタンスイッチとが並んで位置することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の小型電動車両。
【請求項6】
前記アクセルレバーの所定位置とは、アクセルを開く位置であることを特徴とする請求項5に記載の小型電動車両。
【請求項7】
前記平坦面の左右に滑り止め部が設けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の小型電動車両。
【請求項8】
乗員が着座するシートと、前記シートの前方下部に設けられたフロアと、操向輪として設けられた前輪と、駆動輪として設けられた後輪とを備えた小型電動車両にあって、前記フロアの前方に立設されたステアリングシャフトの上端に設けられるハンドルユニットであって、
前後に比べて左右に長いループハンドルと、
前記ループハンドルの中央で前後に架け渡すようにして設けられる操作ボックスと、
前記操作ボックスの上面に設けられる平坦面と、
前記平坦面の前記ループハンドルの後側辺に沿う位置で左右幅方向に並べて配置される複数のプッシュボタンスイッチと、
前記平坦面の左右幅方向中央位置であって前記複数のプッシュボタンスイッチより前方で前後に並べて配置される複数のスイッチとを備えたことを特徴とするハンドルユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−103511(P2006−103511A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−293015(P2004−293015)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】