説明

小径縞鋼板製鋼管

【課題】主として滑り防止が必要となる用途の小径鋼管を、安価にかつ簡便に提供できるようにする。
【解決手段】本発明の小径縞鋼板製鋼管は、外径が85mm以下であって、格子模様などの溝を刻んだロールを通す圧延により表面に多数の突起部を形成した縞鋼板を素材として電縫管製造設備により製造されたことを特徴とする。この小径縞鋼板製鋼管1は、パイプを枠材として構築される枠組構築物における枠材等に用いることができる。例えば、枠組足場や単管足場の手摺や支柱、その他種々の用途に用いることができる。管表面に多数の突起部2があるので、手で掴んだ時に滑らない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、縞鋼板を用いて製造された、主として滑り防止の用途に供して好適な小径の鋼管に関する。
【背景技術】
【0002】
主として建築、土木用などに用いられる鋼管は、継ぎ目のある溶接鋼管の場合、表面の平坦な鋼板から製造する。この種の鋼管で大径のものは、鋼管杭や鋼管矢板や低層鉄骨構造の建築物の支柱その他に用いられているが、鋼管杭の外径は一般に大であり、JIS A 5525の表4では318.5〜2000mm(厚み6.9〜25mm)、実際に使用されているものでも通常は114.3mm以上、最小でも89.1mmである。
【0003】
また、例えば外径42.7mmφ等の小径鋼管は、枠組足場や単管足場等の仮設用の足場の枠材(支柱、腕木、手摺)としても広く用いられている。枠組足場や単管足場の枠材に用いる鋼管には、従来、表面が平坦な単なる丸鋼管が用いられている。
【0004】
上記のように、足場の枠材等に用いる鋼管は表面が平坦であるが、鋼管杭や鋼管矢板用の場合には、縞鋼板からなる鋼管を用いたものがある(特許文献1〜3参照)。
なお、鋼管杭や鋼管矢板の本体に縞鋼板の鋼管を用いたもの(特許文献1、2)では、地盤に対する摩擦を増大させる作用を利用している。
また、コンクリート杭を繋ぐ継手用鋼管として用いたもの(特許文献3参照)では、縞鋼板の凹凸面を鋼管の内面にしており、鋼管内に充填したコンクリートとの結合力が確保されることを利用している。
【特許文献1】特開2001−90061
【特許文献2】実開平1−147040
【特許文献3】実開昭60−162132
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように仮設足場の枠材用鋼管には表面が平坦な通常の丸鋼管を用いているが、作業者が支柱や手摺に手を掛けて移動したりする際に、手が滑る恐れがないとは言えない。鋼管杭や鋼管矢板等の場合には作業者が手を掛けて滑るという問題は起きないが、仮設足場の枠材として用いた場合には上記の問題がある。
また、鋼管杭や鋼管矢板に用いる大径管の場合と異なり、小径の鋼管は、仮設テントの骨組みに用いたり、組立棚を構成する支柱に用いたりするなど、管どうしあるいは他の部材と結合させて構築する構築物における枠材として用いる場合も多いが、そのような場合に、管どうしの結合部や管と他の部材との結合部に滑りが生じて構築物が安定しない場合もある。
また、仮設足場に限らず、駅舎の階段等に設置した手摺やその他手で掴むことのあるものに用いる場合に、手が滑り易いことが不都合な場合も多い。
【0006】
本発明は上記従来の欠点を解消するためになされたもので、主として滑り防止が必要となる種々の用途に供する場合に、それらの用途に安価にかつ簡便に供することのできる小径縞鋼板製鋼管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の小径縞鋼板製鋼管は、外径が85mm以下であって、格子模様などの溝を刻んだロールを通す圧延により表面に多数の突起部を形成した縞鋼板を素材として電縫管製造設備により製造されたことを特徴とする。
請求項2は、請求項1の小径縞鋼板製鋼管が、パイプを枠材として構築される枠組構築物における枠材として用いられたことを特徴とする。
請求項3は、請求項1の小径縞鋼板製鋼管が、パイプを枠材として構築される仮設用の足場における枠材として用いられたことを特徴とする。
請求項4は、請求項3における小径縞鋼板製鋼管が、仮設用の足場における支柱として用いられたことを特徴とする。
請求項5は、請求項3における小径縞鋼板製鋼管が、仮設用の足場における手摺として用いられたことを特徴とする。
請求項6は、請求項1の小径縞鋼板製鋼管が、建設物に設置した階段に沿って設けた手摺として用いられたことを特徴とする。
請求項7は、請求項1の小径縞鋼板製鋼管が、梯子の横桟として用いられたことを特徴とする。
請求項8は、請求項1の小径縞鋼板製鋼管が、パイプ支柱と水平材とを結合部材で結合し棚板を取り付けて組み立てる組立棚におけるパイプ支柱として用いられたことを特徴とする。
請求項9は、請求項1の小径縞鋼板製鋼管が、地面や路面などに設置される標識板取付用などのポストとして用いられたことを特徴とする。
請求項10は、請求項1〜9の小径縞鋼板製鋼管の断面形状が丸形又は角形であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の小径縞鋼板製鋼管によれば、縞鋼板から製造された鋼管であり表面に多数の突起部があるので、例えば手摺や支柱等のように、手で掴む箇所あるいは掴む場合のある箇所に用いられた場合に、滑り防止が有効に図られる。
また、本発明の小径縞鋼板製鋼管どうしあるいは小径縞鋼板製鋼管と他の部材とを結合する必要がある場合には、表面の多数の突起部により、結合部の相互の滑りを防止することができ、安定した結合状態が維持されたる。
なお、通常の表面が平坦な鋼管に対して、滑り防止対策として表面に凹凸を設けるとすれば、繁雑でありきわめて工数がかかりコストが極めて高いものとなるが、本発明では素材として縞鋼板を用いて電縫鋼管製造設備で製造することができるので、容易であり殆ど工数が増すこともなく、コストが高くなることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の小径縞鋼板製鋼管の実施例を図1〜図20参照して説明する。
【実施例1】
【0010】
図1(イ)は本発明の一実施例の小径縞鋼板製鋼管の一部分の正面図、(ロ)は(イ)のA−A断面図である。この小径縞鋼板製鋼管1は、外径Dが85mm以下であって、不連続格子模様などの溝を刻んだロールを通す圧延により表面に多数の突起部を形成した縞鋼板を素材として電縫管製造設備により製造されたものである。表面に多数形成した突起部を符号2で示す。
縞鋼板とは、上記の通り、不連続格子模様などの溝を刻んだロールを通す圧延により表面に多数の突起部を形成した鋼板であり、その突起部配列の模様としては、図18に示した縞鋼板3Aのように斜めの短い突条(突起部)2が互いに直交する向きで規則的に配列された不連続の格子模様をなすものが一般的であり、図1の縞鋼板製鋼管1はこの縞鋼板3Aを用いたものであるが、その他種々の縞模様があり、特に限定されない。
電縫管製造設備は、冷間ロール成形法による電縫管成形機で帯板を円形に湾曲成形した後、突き合わされた素材エッジを通電加熱しスクイズロールで加圧して圧接する設備であり、一般的な電縫管製造設備を用いることができる。なお、成形ロールとしては、特に縞鋼板専用のロールを用いる必要はなく、通常の丸鋼管成形用のロールを用いることができる。
【0011】
上記の縞鋼板製鋼管1を、丸鋼管で構成した仮設用の足場に用いた実施例を図2、3に示す。図示の足場は、鋼管を加工した建枠11や布枠12や交差筋交い13などで枠組みし足場板14を取り付けて構成したいわゆる枠組足場10であり、この枠組足場10の各種枠材として上記の縞鋼板製鋼管1を用いることができる。
例えば、図2において、階段(昇降桟橋)15に沿って設けた手摺16や、足場板14に沿って設けた枠形の手摺17として上記の縞鋼板製鋼管1を用いることができる。また、図3において、通路端(枠組足場10の側端)に設ける水平な保護枠18として上記の縞鋼板製鋼管1を用いることができる。
【0012】
上記のように、階段の手摺16や通路の手摺17や通路端の保護枠18のように、手で掴む枠材に縞鋼板製鋼管1を用いると、それらを手で掴んだ時、表面に多数配列された突起部2が摩擦を大きくするので、滑りにくく、安全性が向上する。作業者は軍手をして作業をすることが多いが、そのような場合の滑り防止に特に有効である。
また、建枠11の支柱部分(建地部分)11aも手で掴むことがあるので、この支柱部分11aを縞鋼板製鋼管1とすることも有効である。
仮に、出来上がった単なる丸鋼管の表面に滑り防止対策として多数の突起部を形成するとすれば、極めて繁雑で工数がかかりコストが極めて高いものとなるが、本発明では素材として縞鋼板を用いて電縫鋼管製造設備で製造するので、表面に多数の突起部を持つ鋼管を製造することが容易であり殆ど工数が増すこともなく、コストが高くなることもない。
また、溝を刻んだロールを通す圧延により突起部を形成する方法によれば、シャープな角を持つ突起ではなく角に比較的丸みのある突起部を形成することができるので、手で掴むパイプの表面に設ける突起として、適切な突起が得られる。
さらに、ロール成形機の成形ロールとして通常の丸管用成形ロールを用いるので、縞鋼板を円形に湾曲成形する際、縞鋼板の突起部は、ロール面で押し込まれて、鋼管の平滑面に対する高さ(突起部の背の高さ)が僅かではあるが低くなる。このように突起部が若干押し込まれる形となり僅かに背が低くなるので、手で掴まれる管表面として適度の摩擦を与える凹凸面が形成される。また、ロール成形に際して縞鋼板の突起部の角がロールの圧力を受けて若干潰れることにもなるので、この点でも突起部の角が比較的丸みのある角部となり、手で掴むパイプの表面に設ける突起として、一層適切な突起が得られることになる。
【実施例2】
【0013】
仮設用の足場に図4のような梯子20を用いることがあるが、この梯子20の横木20aに上記の縞鋼板製鋼管1を用いることができる。
梯子20の登り降りに際して、縞鋼板製鋼管1からなる横木20aは、上述と同様に滑り防止に有効である。
なお、梯子20の柱材20b部分を手で掴むこともあるので、柱材20bに縞鋼板製鋼管1を用いてもよい。
【実施例3】
【0014】
鋼管を用いた仮設用の足場として、図示は省略するが、単なる丸鋼管である単管どうしを例えば直交クランプを介して連結して組み立てたいわゆる単管足場(ないしパイプ足場)があるが、この単管足場における単管として上記縞鋼板製鋼管1を用いることができる。
この場合、例えば手で掴むことも多い支柱部分(建地)に用いた場合、上述と同様に滑り防止に有効であるが、さらに、例えば単管どうしをクランプを介して連結する場合に、クランプは、単管(縞鋼板製鋼管1)の表面の突起部2があることで、単管1を滑らないように堅固に把持することが容易である。
【実施例4】
【0015】
図5に示すように、例えば駅舎等の建設物に設置した階段30に沿って設けた手摺31として、上記の縞鋼板製鋼管1を用いることができる。
この場合も、表面に多数の突起部を持つ縞鋼板製鋼管1(手摺31)が滑り防止を有効に果たすことができる。
適用可能な手摺としては、建築物の手摺に限らず、土木構造物を含めて種々の建設物に設置される手摺を含む。また、必ずしも階段に沿って設置される手摺に限らず、種々の手摺に適用できる。例えば公園や広場等で平坦地に設置されるフェンス的な手摺等も含む。
また、貨物自動車や鉄道貨車等で手摺ないし囲いを設ける場合に、それらの手摺や囲いに縞鋼板製鋼管1を用いることもできる。さらに、手押しタイプの台車における取っ手部分に用いることもできる。
また、手摺の形状としては特に限定されず、種々の形態が可能である。
【実施例5】
【0016】
また、パイプ支柱と水平材とを結合部材で結合し棚板を取り付けて組み立てる組立棚に上記の縞鋼板製鋼管1を用いることができる。図6にそのような組立棚40の一例を示す。この組立棚40は、水平材41と結合部材42と棚板43とを一体とし、パイプ支柱44に上記の縞鋼板製鋼管1を用いている。
結合部材42は、図7に示すように、縞鋼板製鋼管1であるパイプ支柱44を嵌入させる円筒状をなしており、結合部材42にあけたネジ穴42aに螺合させた固定用ボルト45をねじ込み締め付けると、棚板43がパイプ支柱44に水平に固定される。この場合、パイプ支柱44(縞鋼板製鋼管1)の表面の突起部2が固定用ボルト45に対する滑り止めとなり、係合部材42がパイプ支柱44に堅固に係合し、棚板43がずり落ちる恐れはない。
このように、パイプ支柱44に縞鋼板製鋼管1を用いるという単純構造で、堅固な結合機構を簡単かつ安価に実現できる。
なお、図示の係合部材42は単なる一例であり、種々の構造の係合部材を採用することができる。
また、棚板43を水平部材41や係合部材42と別部材としてもよい。
【実施例6】
【0017】
図8に示すように、高さ調節可能なコートハンガー50の支柱51に用いることもできる。すなわち、この支柱51は大径の下部支柱52とこの下部支柱52内に嵌入される上部支柱53とからなり、下部支柱52にあけたネジ穴52aに螺合させた固定用ボルト55をねじ込み締め付けて、上部支柱53を所定の高さ位置に固定する。56は両側の上部支柱53の上端間に一体に掛け渡されたハンガーレール、57は両側の下部支柱52を一体に繋ぐ部材、58はベースである。前記上部支柱53として上記縞鋼板製鋼管1を用いることができる。
固定用ボルト55による固定機構は図7の固定機構と概ね同じである。上部支柱53(縞鋼板製鋼管1)の表面の突起部2が固定用ボルト55に対する滑り止めとなり、上部支柱53は、固定用ボルト55を介して下部支柱52に堅固に係合し、ずり落ちる恐れはない。
【実施例7】
【0018】
図9に単なる伸縮ポール60としての使用例を示す。この伸縮ポール60は、図8の支柱51の部分と基本構造としては同じであり、大径管62とこの大径管62内に嵌入される小径管63とからなり、前記小径管63として前記縞鋼板製鋼管1を用いている。大径管62にあけたネジ穴62aに螺合させた固定用ボルト65をねじ込み締め付けて、縞鋼板製鋼管1である小径管63を所定の伸縮位置に固定する。
この固定用ボルト65による固定機構は図7の固定機構(あるいは図8の固定機構)と概ね同じである。小径管63(縞鋼板製鋼管1)の表面の突起部2が固定用ボルト65に対する滑り止めとなり、小径管63は、固定用ボルト55を介して下部支柱52に堅固に係合し、伸縮長が一定に維持される。
この伸縮ポール60は種々の用途に用いることができる。
【実施例8】
【0019】
図10に示すように、高さ調節機能付き椅子70における脚部71に用いることができる。この脚部71は、大径管状の下部軸72と、この下部軸72内に嵌入されるとともに上端がシート部74の下面に一体固定された小径管状の上部軸73とからなり、下部軸72にあけたネジ穴72aに螺合させた固定用ボルト75をねじ込み締め付けて、上部軸73を所定の高さ位置に固定する構造であるが、前記上部軸73として上記の縞鋼板製鋼管1を用いる。
作用は上記の図6〜図9の実施例と概ね同様である。
【実施例9】
【0020】
図11に示すように、コンクリート台付き物干し台80の支柱81として、上記の縞鋼板製鋼管1を用いることができる。
この場合、縞鋼板製鋼管1(支柱81)の表面の突起部2がコンクリート82に対する一体化の作用をするので、別途抜け止め部を設ける必要がない。
【実施例10】
【0021】
図12に示すように、道路標識90の支柱91として上記縞鋼板製鋼管1を用いることができる。同図において、道路標識90の標識板92に取り付けた締め付けバンド93を支柱91の外周に被せ、締め付けバンド93の両端部にあけたボルト挿通穴にボルト95を貫通させナットで締め付けることで、標識板92を支柱91に固定することができる。
この場合、縞鋼板製鋼管1(支柱91)の表面の突起部2が締め付けバンド93に対して摩擦を大きくする作用をし、締め付けバンド93が支柱91に堅固に結合し標識板92がずり落ちる恐れはない。但し、締め付けバンド93は、上下に隣接する突起部2間に入る程度に幅の狭いものを用いるのがよい。
【実施例11】
【0022】
図13に示すように、樹木の倒れを防止するための樹木サポート100に、上記縞鋼板製鋼管1を用いることができる。図示例の樹木サポート100は、2本のサポート杭101間に横木102を掛け渡し紐で縛り付けた構成であり、かつ、樹木103を横木102に紐で縛り付けている。サポート杭101及び横木102として、上記の縞鋼板製鋼管1を用いることができる。
この場合、縞鋼板製鋼管1(サポート杭101及び横木102)の表面に突起部2があるので、相互の接触摩擦は大きく、サポート杭101に紐で縛り付けた横木102が抜ける恐れは少ない。
なお、樹木のサポートの態様としては、例えば、樹木を囲む4本のサポート杭を立てたり、3本のサポート杭を上部で交差するように斜めに立てる等、種々の態様があるが、それらの種々の場合に適用できる。
【実施例12】
【0023】
管表面の突起部の配列パターンは上述した各実施例の配列パターンに限らず、種々のバリエーションが可能である。図14(イ)に示した縞鋼板製鋼管1’の突起部2の配列パターンは、短い突条の突起部2の長さ方向が管の長手方向及び円周方向をなすパターンである。この縞鋼板製鋼管1’は図19に示した配列パターンの突起部2を持つ縞鋼板3Bを用いたものである。
図14(ロ)に示した縞鋼板製鋼管1”の突起部2の配列パターンは、短い突条の突起部2の長さ方向が円周方向のみであるパターンである。この縞鋼板製鋼管1”は図20に示した配列パターンの突起部2を持つ縞鋼板3Cを用いたものである。
図14(ロ)のように、円周方向に伸びる突起部2のみを持つ配列パターンの縞鋼板製鋼管1”は、図6〜図10、図12等のような固定手段を採用する場合に、固定用ボルトを所定の位置にセットすることが容易であり、かつ、滑り止め作用が有効に機能するので、好適である。
【実施例13】
【0024】
本発明の縞鋼板製鋼管は大径の鋼管杭などと比べて小径である。鋼管杭の外径は、JIS A 5525の表4では318.5〜2000mmφ(厚みt=6.9〜25mm)、実際に使用されているものでも通常は114.3mmφ以上、最小でも89.1mmφである。これに対して本発明ではそれより小径で85mmφ以下であるが、特に60mmφ以下に適用される場合に好適である。
例えば、仮設用の足場の枠材に用いる場合であれば、外径が42.7mmφ、48、6mmφ等が一般的であり、50mmφ以下が好適である。
手摺などの手で掴む箇所に用いる場合も、通常は50mm程度以下のものが用いられが、特に21.7〜48.6mmφが好適である。
また、組立用棚の支柱等に用いる場合であれば、さらに細く例えば34.0mmφ以下が好適である。
現在市販されている縞鋼板の板厚は2.3mmが最薄厚である。これに対して、本発明の縞鋼板製鋼管は主として軽荷重の用途に用いるので、板厚tは2.3mm以下が好適である(但し外径にもよる)が、やや荷重の掛かる箇所に用いる場合には、板厚3.2mmも考えられる。仮設用の足場の枠材に用いる場合であれば、2.0〜2.5mm程度、特に2.3mmが好適である。また、手摺や組立棚等で外径42.7mmφ以下程度の場合には、板厚tは1.2〜2.0mm程度が好適である。また、特に小荷重の使用箇所であれば、板厚0.8〜1.2mm程度も考えられる。なお、さらに荷重の掛かる箇所に用いる場合には最大で板厚6.0mmも考えられる。
【実施例14】
【0025】
上述の各実施例はいずれも丸鋼管とした実施例であるが、図15に示した小径縞鋼板製角形鋼管5のように、断面形状を角形(四角形)にすることもできる。小径縞鋼板製角形鋼管5の製造方法は、通常の角形鋼管の製造方法と同様に行うことができる。
【実施例15】
【0026】
縞鋼板製鋼管の断面形状は上述の丸管、角管に限らず、図16(イ)〜(ヘ)に示すように、その他種々の筒状断面形状とすることもできる。
さらに、完全に閉じた筒状断面に限らず、開放の筒状断面形状であってもよい。さらには、その開放部を広くした場合にはいわゆる軽量形鋼となるが、そのような断面形状でもよい。例えば図17に示すようなC型断面とすることもできる。
【0027】
また、上述の各実施例では素材が鋼板(縞鋼板)であるが、鋼板に限らず、アルミ又はアルミ合金板その他の非鉄金属板の表面に、圧延により多数の突起部を形成した縞非鉄金属板からなる金属管に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例の小径縞鋼板製鋼管を示すもので、(イ)は一部分の正面図、(ロ)は(イ)のA−A切断端面図である。
【図2】図1の小径縞鋼板製鋼管の使用例を示すもので、仮設用の枠組足場の一部分の正面図である。
【図3】図2の枠組足場の左側面図である。
【図4】上記の枠組足場に用いる梯子の横桟に用いた使用例を示すもので、梯子の正面図である。
【図5】図1の小径縞鋼板製鋼管の他の使用例を示すもので、駅舎などに設置される階段に沿って設けた手摺の図である。
【図6】図1の小径縞鋼板製鋼管のさらに他の使用例を示すもので、組立棚の斜視図である。
【図7】図6の組立棚における棚板と支柱との係合部の構造を示す要部断面図である。
【図8】図1の小径縞鋼板製鋼管のさらに他の使用例を示すもので、(イ)はコートハンガーの正面図、(ロ)は同側面図である。
【図9】図1の小径縞鋼板製鋼管のさらに他の使用例を示すもので、伸縮ポールの正面図である。
【図10】図1の小径縞鋼板製鋼管を高さ調節機能付き椅子の脚部の軸に用いた使用例を示すもので、椅子の側面図である。
【図11】図1の小径縞鋼板製鋼管をコンクリート台付き物干し台の支柱に適用した使用例を示すもので、コンクリート台付き物干し台の側面図である。
【図12】図1の小径縞鋼板製鋼管を道路標識の支柱に適用した使用例を示すもので、(イ)は道路標識の正面図、(ロ)は側面図、(ハ)は(ロ)のB−B断面図である。
【図13】図1の小径縞鋼板製鋼管を樹木サポートに用いた使用例を示す図である。
【図14】管表面の突起部の配列パターンが図1とは異なる縞鋼板製鋼管の例を示すもので、(イ)、(ロ)はそれぞれ縞鋼板製鋼管の一部分の正面図である。
【図15】断面形状を角形にした実施例を示すもので、(イ)縞鋼板製角形鋼管の一部分の正面図、(ロ)は(イ)のC−C切断端面図である。
【図16】断面形状についてのさらに他の例を示すもので、(イ)〜(ヘ)はそれぞれ異なる実施例の断面図である。
【図17】断面形状を開放断面にした場合の実施例を示す断面図である。
【図18】図1の縞鋼板製鋼管の製造に用いた縞鋼板の一部分の平面図である。
【図19】図14(イ)の縞鋼板製鋼管の製造に用いた縞鋼板の一部分の平面図である。
【図20】図14(ロ)の縞鋼板製鋼管の製造に用いた縞鋼板の一部分の平面図である。
【符号の説明】
【0029】
1、1’、1” 小径縞鋼板製鋼管
2 突起部
3A、3B、3C 縞鋼板
5 小径縞鋼板製角形鋼管
10 枠組足場
11 建枠
11a 支柱部分
13 交差筋交い
14 足場板
15 階段(昇降桟橋)
16、17 手摺
18 保護枠
20 梯子
20a 横木
20b 柱材
30 階段
31 手摺
40 組立棚
41 水平材
42 係合部材
42a ネジ穴
43 棚板
44 パイプ支柱
45 固定用ボルト
50 コートハンガー
51 支柱
52 下部支柱
52a ネジ穴
53 上部支柱
55 固定用ボルト
60 伸縮ポール
62 大径管
62a ネジ穴
63 小径管
65 固定用ボルト
70 (高さ調節機能付き)椅子
71 脚部
72 大径管状の下部軸
72a ネジ穴
73 小径管状の上部軸
75 固定用ボルト
80 コンクリート台付き物干し台
81 支柱
82 コンクリート
90 道路標識
91 支柱
92 標識板
93 締め付けバンド
95 ボルト
100 樹木サポート
101 サポート杭
102 横木

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外径が85mm以下であって、不連続格子模様などの溝を刻んだロールを通す圧延により表面に多数の突起部を形成した縞鋼板を素材として電縫管製造設備により製造されたことを特徴とする小径縞鋼板製鋼管。
【請求項2】
パイプを枠材として構築される枠組構築物における枠材として用いられたことを特徴とする請求項1記載の小径縞鋼板製鋼管。
【請求項3】
パイプを枠材として構築される仮設用の足場における枠材として用いられたことを特徴とする請求項1記載の小径縞鋼板製鋼管。
【請求項4】
前記足場における支柱として用いられたことを特徴とする請求項3記載の小径縞鋼板製鋼管。
【請求項5】
前記足場における手摺として用いられたことを特徴とする請求項3記載の小径縞鋼板製鋼管。
【請求項6】
建設物に設置した階段に沿って設けた手摺として用いられたことを特徴とする請求項1記載の小径縞鋼板製鋼管。
【請求項7】
梯子の横桟として用いられたことを特徴とする請求項1記載の小径縞鋼板製鋼管。
【請求項8】
パイプ支柱と水平材とを結合部材で結合し棚板を取り付けて組み立てる組立棚におけるパイプ支柱として用いられたことを特徴とする請求項1記載の小径縞鋼板製鋼管。
【請求項9】
地面や路面などに設置される標識板取付用などのポストとして用いられたことを特徴とする請求項1記載の小径縞鋼板製鋼管。
【請求項10】
断面形状が丸形又は角形であることを特徴とする請求項1〜9記載の小径縞鋼板製鋼管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−154523(P2007−154523A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−351839(P2005−351839)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(599078738)株式会社新三興鋼管 (6)
【Fターム(参考)】