説明

少なくとも1つの2−アルキルフランの、脱色素または美白活性成分としての使用

本発明は、脱色素組成物における脱色素活性成分としての、少なくとも1つの2−アルキルフランの美容的使用、および関連する美容的処置方法に関する。本発明はまた、脱色素剤としての活性薬剤を調製するための、少なくとも1つの2−アルキルフランの使用にも関する。本発明は、さらに、脱色素活性成分として、少なくとも1つの2−アルキルフランを含む脱色素用化粧料組成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの2−アルキルフランを活性成分として含む、脱色素作用又は美白作用を有する化粧料組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
2−アルキルフランは、特にアボカドから抽出することができ、2位で一つ置換されたフランである。2−アルキルフランを糖尿病(国際出願PCT/FR/2005/001310)、蜂巣炎(国際出願PCT/FR/2005/01311)および肥満症(国際出願PCT/FR/2005/01312)の治療に使用することについては既に記載されている。
【0003】
皮膚の色は幾つかの物質に起因する(血管からのヘモグロビン、真皮からのカロテノイド、および、とりわけ表皮からのメラニン)。このメラニンは、チロシナーゼ、銅および酸素の作用下で、基底層にあるメラノサイトによって生成される。
【0004】
皮膚メラニンは、ユーメラニンおよびフェオメラニンの複合体結合(complex association)によって形成される。
【0005】
ユーメラニンおよびフェオメラニンの生合成は、ドーパキノン(銅含有酵素であるチロシナーゼによるチロシンの二重酸化)までは同じである。それ以降、それらの生合成経路は分岐する。
【0006】
褐色ユーメラニンは、インドール−5−6−キノンポリマーであるが、桃色〜赤色の色相に関与するフェノメラニンは、およそ10%の硫黄と、システイニルドーパポリマー構造とを有する化合物である。
【0007】
チロシナーゼ以外の酵素は、メラニンの発生及び制御に関与している(ドーパクロムオキシドレダクターゼ、α−グルタミルトランスペプチダーゼ、グルタチオン系(レダクターゼ−ペルオキシダーゼ)、ドーパクロムトートメラーゼ)。
【0008】
外因性または内因性刺激の影響により皮膚の色相に変化が現れることがある。これらの変化は、皮膚異常変色(血色素増加症及び血色素減少症)と呼ばれる。
【0009】
表皮または真皮で生じ得るこれらの変化は、メラニンの量又はメラノサイトの数の変動に起因し得る。
【0010】
血色素増加症は、メラニン色素、カロテノイドまたは外因性色素の蓄積である。血色素増加症としては黒皮症が挙げられ、この黒皮症は、後天性顔面過剰メラニン沈着(acquired facial hypermelanosis)と定義され、全人種のいずれの性別においても認められる。黒皮症は、経口避妊薬を使用しているか、あるいは妊娠中の女性に頻繁に現れる(妊娠黒皮症、肝斑)。
【0011】
妊娠黒皮症または肝斑は、女性ホルモンのレベルが高く、太陽に皮膚を曝している女性に現れる。従って、妊娠中または経口避妊薬を摂取している女性が主として当該疾患に罹患する。当該疾患は、多少なりとも規則的な形状を有し、多くの場合には対称的である褐色の色素沈着斑の形状をとる。
【0012】
皮膚の老化も色素斑の出現を特徴とする。例としては、最も頻繁に光に曝された領域(顔、手、首および肩)における日光黒子、ならびに、老人の手、顔および腕に現れる、かなり大きな色素斑である老年性黒子が挙げられる。
【0013】
脱色素剤または美白剤は、組織、細胞または細胞下レベルで作用可能な化学化合物である。これらの化合物は、メラニン自体の形成、輸送、および色またはメラノサイト(メラニン細胞毒性)の存在に作用する。
【0014】
さらに、色素過剰症を治療する前に、当該疾患を誘発する要因(紫外線照射、香料、混合型経口避妊薬)を同定して排除すること、および、治療過程においては最大限の日焼け防止(protection solar protection)を推奨することが必要である。
【0015】
さらに、メラニンを含有する角質細胞の表層を除去することにより、表面を物理的に脱色素化することが可能であり、この処置もまた脱色素剤の普及を裏付けるものである。
【0016】
皮膚を脱色素化する動機は様々である。皮膚の色が浅黒いアフリカ人は、皮膚の外観および構造に極めて有害な副作用を有する伝統的または化学的な溶液を用いて、皮膚を美白する。アジア人は、できる限り低い毒性で作用する分子(アルブチン、コウジ酸、アスコルビン酸)を用いて顔の皮膚を美白する。
【0017】
白人の被験者における色素過剰斑の治療は様々な分子を利用して行われる。その主たるハイドロキノンはますます監視されており、化粧料におけるその最大濃度は2%である。
【0018】
それゆえ、皮膚に対して十分に許容できる、脱色素活性または美白活性を有する組成物が求められている。
【発明の概要】
【0019】
この理由のため、本発明は、化粧料組成物における美容的脱色素または美白活性成分としての、少なくとも1つの2−アルキルフランの使用に関する。
【0020】
本発明は、脱色素用化粧料組成物を製造するための、少なくとも1つの2−アルキルフランの使用に関する。脱色素用化粧料組成物は、有利には、色素斑を低減する、および/または除去する、および/または予防する、こと、または自然に色素沈着した皮膚を美白することを目的としている。
【0021】
本発明の範囲内で、「2−アルキルフラン」という表現は、一般式(I)で表される、2位が一置換されたアルキルフランを意味する。
【化1】

式中、Rは、C−C35、好ましくはC10−C22、より好ましくはC12−C20、さらに好ましくはC13−C17アルキル基、C−C35、好ましくはC10−C22、より好ましくはC12−C20、さらに好ましくはC13−C17アルケニル基、または、C−C35、好ましくはC10−C22、より好ましくはC12−C20、さらに好ましくはC13−C17アルキニル基を表わすが、前記アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、1つ以上のハロゲン、および/または、エポキシド、ヒドロキシル(−OH)、チオール(−SH)、エーテル(−OR)、第1級アミノ(−NH)、第2級アミノ(−NHR)、第3級アミノ(−NR)、アルデヒド(−CHO)、ケトン(−COR)、アセチル(−O−CO−R)を含む官能基(functional groups)から選択される1つ以上の官能基(functions)により置換されていてもよい(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、C−C35、このましくはC10−C22、より好ましくはC12−C20、さらに好ましくはC13−C17アルキル基、またはC−C35、好ましくはC10−C22、より好ましくはC12−C20、さらに好ましくはC13−C17アルケニル基を表す。)。
【0022】
本発明の範囲内で、「アルキル」という用語は、不飽和の直鎖または分岐鎖炭化水素残基を意味する。「アルケニル」という用語は、不飽和オレフィン(二重結合)を含む直鎖または分岐鎖炭化水素残基を意味する。「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの三重結合および任意に不飽和オレフィンを含む直鎖または分岐鎖炭化水素残基を意味する。
【0023】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、前述のアルキルフランは、特にアボカドのフラン不鹸化物中に存在する天然2−アルキルフランであって、一般式(I)中のRが、下記の基(−R)からなる群から選択される基を表すものである。
【化2】

【0024】
アボカドのフラン不鹸化物の組成は、アボカドのステロール不鹸化物またはアボカドオイルステロール(sterolic avocado oil)として既知である「従来の」アボカド不鹸化物の組成とはかなり異なることに留意すべきである。実際、従来のアボカド不鹸化物は、アルカン、長鎖アルコール、トリテルペンアルコールおよびステロールを含有し得る(国際公開WO99/43298)。それらは主にステロールを主成分とする。
【0025】
【表1】

【0026】
したがって、国際公開WO99/43298(従来のアボカド不鹸化物を萎縮性皮膚線条の治療に使用できることが明らかにされている)には、アボカドのフラン不鹸化物の治療的又は美容的使用については記載されていない。
【0027】
アボカドのフラン不鹸化物において、2−アルキルフランは、当該不鹸化物の総重量に対して30重量%〜70重量%を占める。
【0028】
アボカドオイルは、当該オイルの総重量に対して2重量%〜4重量%の2−アルキルフランを含有し得る。
【0029】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、アボカドの精製フラン不鹸化成分(当該成分の総重量に対して70重量%〜100重量%、好ましくは90重量%〜100重量%の2−アルキルフランを含有するもの)を使用して、脱色素用化粧料組成物を調製する。
【0030】
不鹸化物は、塩基性アルカリを長時間作用させた後も依然として水不溶性であり、かつ有機溶媒により抽出可能である脂肪物質の成分である。5つの主要な物質群が、大部分の植物油不鹸化物中に存在する(飽和または不飽和炭化水素、脂肪族またはテルペンアルコール、ステロール、トコフェロール、ならびに、カロテノイドおよびキサントフィル色素)。
【0031】
アボカドオイルのフラン誘導体は、当業者にとって既知の化合物である。例えば、それらの誘導体は、Farines, M.ら, 1995, J. of Am. Oil Chem. Soc. 72, 473に記載されている。
【0032】
フラン脂質を豊富に含む(furanic lipid-rich)アボカド不鹸化物は、連結組織に対して有利な治療作用を有する薬剤を製造する際、とりわけ、変形性関節症、歯周炎および強皮症などの炎症性病変の治療におけるアボカド不鹸化物の使用については既に記載されている。
【0033】
本発明の範囲内において、「アルキルフラン」および「フラン脂質」という表現は、アボカドのフラン不鹸化物と同義語である。
【0034】
アボカドは、有利には、Hass、Fuerte、Ettinger、Bacon、Nabal、Anaheim、Lula、Reed、Zutano、Queen、Criola Selva、Mexicana Canta、Region Dschang、Hall、Booth、PetersonおよびCollinson Red種、より有利には、Hass、FuerteおよびReed種から選択される。好ましくは、Hass、Fuerte、EttingerおよびBacon種が選択され、より好ましくはHassおよびFuerte種が選択される。
【0035】
ラボラトワールエクスパンシアンス社が開発したようなアボカド不鹸化物の精製フラン成分において(国際公開WO01/21605を参照)、2−アルキルフランは、当該成分の重量に対して70重量%〜100重量%を占める。同定した各フランの相対重量比率を下記の表2に示す。
【0036】
【表2】

【0037】
国際公開WO01/21605において、ラボラトワールエクスパンシアンスは、フラン脂質の含有量が80重量%よりも多く、さらには略100重量%であるアボカドのフラン脂質を選択的に抽出するための特定の方法を実施した。
【0038】
上記の方法は、アボカド不鹸化物を調製し、次いで、調節された温度および圧力下でアボカド不鹸化物を分子蒸留工程に供することにより、アボカドのフラン脂質を主として含む留出物を得る工程を含む。
【0039】
好ましくは、アボカド不鹸化物は、とりわけ仏国特許出願2,678,632に記載されるように、油分の抽出および鹸化の前に予め熱処理した果実から調製される。前記熱処理は、好ましくは生の果実を少なくとも4時間、有利には24時間〜48時間、好ましくは少なくとも約80℃、より好ましくは約80℃〜約120℃の温度で制御乾燥させることからなり、温度および乾燥時間は相互に依存している。
【0040】
その鹸化前に、濃縮物中で回収した不鹸化物成分の大部分を分離することによって、不鹸化物において予め油分を濃縮することができる。低温結晶化、流体−流体抽出または分子蒸留などの種々の方法を使用することができる。分子蒸留が特に好ましく、これは、圧力を10−3mmHg〜10−2mmHgに維持しつつ、有利には約180℃〜約230℃の温度において行われる。
【0041】
次いで、上記のようにして得られたアボカド不鹸化物を分子蒸留工程に供する。前述の分子蒸留工程は、100℃〜160℃に調節可能な温度で、10−3mmHg〜5×10−2mmHgに調節可能な圧力で行われる。とりわけ、温度を100℃〜140℃に調節し、圧力を10−3mmHg〜5×10−2mmHgに調節することにより、アボカドのフラン脂質を主に含む留出物が得られる。
【0042】
国際公開WO04/016106においては、ラボラトワールエクスパンシアンスは、フラン脂質を豊富(即ち、50%〜80%の濃度)に含み、重生成物および過酸化物を低濃度で含むアボカド不鹸化物を、高収率で得るための方法を開発した。
【0043】
上記の方法は、以下の連続する工程を含む。
(1)生のアボカドまたは事前に形質転換を受けたアボガドを、−50℃〜+75℃の温度で制御脱水する工程、
(2)乾燥させた果実から油分を抽出する工程、
(3)二者択一的に、
a.抽出した油分を、80℃〜150℃で変動し得る温度で、任意には不活性雰囲気下で、熱処理し、次いで、その不鹸化成分中の油分を濃縮する工程、又は
b.その不鹸化成分中の油分を濃縮し、次いで、80℃〜150℃で変動し得る温度で、任意には不活性雰囲気下で、熱処理する工程、次いで、
(4)鹸化し、不鹸化物を抽出する工程。
【0044】
前記方法の工程(1)において行われるような脱水は、より一般的には、化合物から水を抽出するための、当業者に公知のあらゆる技術を意味する。好ましい技術としては、通気乾燥機内にて薄層で、熱風の流動下、70℃〜75℃の温度にて8〜36時間乾燥を行うことを含む。
【0045】
前記工程(3)aまたは(3)bにおいて行う熱処理工程は、酸触媒、好ましくはアルミナ酸触媒の存在下または不存在下で行うことができる。前記工程(3)aまたは(3)bの濃縮工程は、低温結晶化又は分子蒸留であってよい。
【0046】
あるいは、アルキルフランを含むアボカド不鹸化成分の調製は、アボカドオイル抽出方法の副産物である原料、即ち、予め乾燥させていない生の果実から得られた油分を必要とすることがある。
【0047】
このような副産物としては、いかようにも限定されるものではないが、果実からの脂質の放出を促進するための遠心分離または酵素的方法(とりわけ、果肉内の植物細胞の酵素的事前消化など)により生じる、i)脂肪相およびii)水相、が挙げられる。原油洗浄液(crude oil washes)から遠心分離により抽出した固形残渣(ペレット)も望ましい原料となり得る。
【0048】
さらに、別の代替方法は、予め皮を剥いて種を取った果実から得られた冷凍果肉の使用を包含する。同様に、アボカドオイル脱臭排出物(deodorization exhaust)も、アボカド不鹸化物およびアルキルフランの供給源となる。
【0049】
さらに、果実(生のものまたは乾燥させたもの)を低温で機械加圧している間、または溶媒を用いてアボカドオイルの流体−固体抽出を行っている間、に共生成したアボカドオイル粕も、直ちに使用できる代替原料となり得る。
【0050】
最後に、油分含有量は低いが、アボカドの核も、アボカド脂質、最も顕著にはアルキルフランの潜在的な供給源となり得る。
【0051】
本発明の範囲内で、脱色素用化粧料組成物は、有利には、当該化粧料組成物の総重量に対して、0.001重量%〜25重量%の2−アルキルフラン、より有利には0.01重量%〜10重量%の2−アルキルフラン、更に有利には0.1重量%〜5重量%の2−アルキルフランと、化粧料として許容可能な媒質とを含む。
【0052】
本発明による組成物は、脱色素作用を有する他の美容的活性物質を添加して、補完的効果または相乗効果を付与することができる。2−アルキルフランは、ハイドロキノンおよびその誘導体、アルブチン、レチノイン酸、レチノール、レチナールデヒド、コウジ酸、アゼライン酸、ビタミンB3又はPP、レゾルシノール誘導体、レスベラトロル、カンゾウ又はトウグワ抽出物、α−リポ酸、リノール酸、カチオンキレーター(例えば、EDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸))ならびに、ダイズ抽出物などの当業者に公知の脱色素剤と結合することができる。
【0053】
また、2−アルキルフランを、化粧料としての酸化防止剤と組み合わせて、補完的効果又は相乗効果を付与することができる。酸化防止剤の例としては、最も顕著には、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール(とりわけ、緑茶またはブドウまたはマツから抽出されたもの)および硫黄誘導体が挙げられる。
【0054】
また、2−アルキルフランを、Sepiwhite(登録商標)(Seppic社が販売するN−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニン)などの、化粧料としての脱色素剤と組み合わせて、補完的効果または相乗効果を付与することができる。
【0055】
本発明の別の実施形態によれば、本発明による化粧料組成物はまた、おそらくは相乗効果を伴って、少なくとも1つのUVAおよびUVBサンフィルターまたはスクリーン、例えば、当業者に公知の無機および/または有機スクリーンもしくはフィルターを含有するものであり、当業者は、必要とする保護度に応じて最良の選択および濃度に到達するであろう。
【0056】
本発明による化粧料組成物はまた、αヒドロキシ酸、サリチル酸およびそれらのエステル型誘導体などの剥脱剤を含有し得る。
【0057】
最後に、本発明による化粧料組成物はまた、抗炎症剤若しくは鎮静剤、皮膚減感剤(例えば、NSAID(非ステロイド性抗炎症薬))、皮膚用コルチコイド(dermocorticoids)、PPAR(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体)アゴニスト、カンゾウ誘導体、ビサボロール、(例えばダイズの)グリコシル化もしくは非グリコシル化イソフラボン、パルミトイルエタノールアミド、フィトステロール、およびビタミンEを含有する不鹸化物、COX(シクロオキシゲナーゼ)および/またはLOX(リポキシダーゼ)阻害剤、温泉水、海水、または外因性微量元素から再構成された水を含有し得る。
【0058】
本発明による化粧料組成物は、化粧料として許容可能な媒質、即ち、皮膚と適合する媒質を含む。有利には、この媒質は、典型的には局所投与に使用されるいずれかのガレノス形態、とりわけ、水性、水性アルコール性又は油性溶液、水中油型若しくは油中水型エマルション、または複合エマルション(水性または油性ゲル)、固体状、液状またはペースト状無水物、球体(spheroids)(ナノ球体、ナノカプセル、脂質小胞)を用いて油分が水相中に分散した分散液、経皮デバイスの形態、またはその他の局所適用のための形態、において提供することができる。
【0059】
上記の組成物は、多少なりとも流体であり、かつ、白色または着色クリーム、軟膏、ミルク、ローション、血清、ペースト、フォームもしくはゲルの形態をとり得る。任意には、当該組成物をエアロゾルの形態で皮膚に適用することができる。また、当該組成物は、固体形状、例えばスティックの形状を有することもできる。当該組成物は、パッチにより適用することもできる。
【0060】
本発明による組成物はまた、化粧料、皮膚科学および/または薬理学の分野において典型的に使用される添加物、例えば、安定剤、防腐剤、酸化防止剤、溶媒、香料、キレート化剤、臭気吸収剤、化学または無機フィルター、無機顔料、界面活性剤、ポリマー、シリコーン油および染料を含有し得る。
【0061】
本発明はまた、色素斑を低減するおよび/または除去するための美容的処置方法に関し、美容的脱色素活性成分として少なくとも1つの2−アルキルフランを含む化粧料組成物を局所経路により適用することを特徴とする。この美容的処置方法により、皮膚の色がより均一になる。当該化粧料組成物は、有利には上記のものである。
【0062】
色素斑としては、何ら制限されるものではないが、しみ(age spots)、UV誘発斑若しくは光毒性斑(香料、薬物、外因性毒素、日焼け)、または肝斑が挙げられる。
【0063】
本発明はまた、皮膚を美白するための美容的処置方法に関し、美容的脱色素活性成分として少なくとも1つの2−アルキルフランを含む化粧料組成物を局所経路により適用することを特徴とする。当該化粧料組成物は、有利には上記のものである。
【0064】
本発明の別の実施形態によれば、2−アルキルフランが脱色素特性を有するので、脱色素剤としての活性薬剤を調製するために、活性成分として少なくとも1つの2−アルキルフランを使用することができる。
【0065】
当該薬剤を製造するために使用される2−アルキルフランは、有利には上記のものである。2−アルキルフランは、おそらくは相乗効果を伴って、上記のような少なくとも1つの他の脱色素剤、および/または、少なくとも1つの有機もしくは無機サンフィルターおよび/または抗炎症剤と組み合わせて使用することができる。
【0066】
本発明による化合物および組成物の最適な投与方法、投与量(dosing)ならびにガレノス形態は、皮膚の種類などに応じて患者に適合した美容的、および/または皮膚科学的、および/または医薬的処置を行う際に一般に考慮される基準に従って決定することができる。
【実施例】
【0067】
以下の実施例は本発明を例証するものである。
【0068】
実施例1:脱色素用皮膚クリーム(番号1)
【表3】

【0069】
実施例2:脱色素用皮膚クリーム(番号2)
【表4】

【0070】
実施例3:脱色素用スプレー(日焼け防止指数(SPF)30)
【表5】

【0071】
実施例4:脱色素用皮膚クリーム(SPF50)
【表6】

【0072】
実施例5:脱色素用皮膚クリーム(番号3)
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの2−アルキルフランの、脱色素用化粧料組成物における脱色素用化粧料活性成分としての美容的使用。
【請求項2】
前記化粧料組成物が、色素斑を低減する、および/または除去する、および/または予防する、ことを目的としている、請求項1に記載の美容的使用。
【請求項3】
前記化粧料組成物が、皮膚の色調均一性及び明度を改善することを目的としている、請求項1または2に記載の美容的使用。
【請求項4】
前記2−アルキルフランが、一般式(I)によって表される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の美容的使用。
【化1】

(式中、
Rは、C−C35アルキル基、C−C35アルケニル基、またはC−C35アルキニル基を表すが、前記アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、1つ以上のハロゲン、および/または、エポキシド、ヒドロキシル(−OH)、チオール(−SH)、エーテル(−OR)、第1級アミノ(−NH)、第2級アミノ(−NHR)、第3級アミノ(−NR)、アルデヒド(−CHO)、ケトン(−COR)、アセチル(−O−CO−R)を含む官能基から選択される1つ以上の官能基により置換されていてもよい(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、C−C35アルキル基、またはC−C35アルケニル基を表す。))。
【請求項5】
前記2−アルキルフランが、前記一般式(I)中のRが、下記の基(−R)からなる群から選択させる基を表す、特にアボカドのフラン不鹸化物中に存在する天然2−アルキルフランである、請求項4に記載の美容的使用。
【化2】

【請求項7】
前記組成物が、組成物の総重量に対して0.001重量%〜25重量%の2−アルキルフランと、化粧料として許容可能な媒質とを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記化粧料組成物が、別の脱色素用化粧料活性成分をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記化粧料組成物が、少なくとも1つの有機又は無機(mineral)サンフィルターをさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
色素斑を低減するおよび/または除去するための美容的処置方法であって、美容的脱色素活性成分として、少なくとも1つの2−アルキルフランを含む化粧料組成物を、局所経路により適用する、ことを特徴とする、方法。
【請求項11】
前記色素斑が、しみ(age spots)、太陽誘発斑もしくは光毒性に関連する斑、または肝斑である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
皮膚を美白するための美容的処置方法であって、美容的脱色素活性成分として、少なくとも1つの2−アルキルフランを含む組成物を、局所経路により適用する、ことを特徴とする、方法。
【請求項13】
脱色素剤としての活性薬剤を調製するための、少なくとも1つの2−アルキルフランの使用。
【請求項14】
脱色素用化粧料活性成分として、少なくとも1つの2−アルキルフランを含む脱色素用化粧料組成物。

【公表番号】特表2009−506097(P2009−506097A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528518(P2008−528518)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065836
【国際公開番号】WO2007/025994
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(503028525)ラボラトワール エクスパンシアンス (12)
【Fターム(参考)】