説明

少なくとも1種の酸化ベースと特定のポリオキシエチレン化ソルビタンエステルとを含む、ケラチン繊維染色用組成物

【課題】特に、濃い着色を維持することを可能にすると同時に、染料組成物適用時もしくは適用後に頭皮に感じられる可能性がある不快感を低減することができる、毛髪を染色するための組成物を提供する。
【解決手段】本発明はケラチン繊維、例えば、毛髪を染色するための組成物に関し、本組成物は、適切な媒体中に、少なくとも1種の酸化ベースと、場合によっては少なくとも1種のカップラーと、10以下のモル数のエチレンオキシドを有するポリオキシエチレン化ソルビタンエステルの少なくとも1種とを含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の酸化ベースと特定のポリオキシエチレン化ソルビタンエステルとを含む、ケラチン繊維を染色するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に酸化ベースとして知られている酸化染料前駆体、例えば、オルト−又はパラ−フェニレンジアミン類、オルト−又はパラ−アミノフェノール類、及び複素環化合物、を含む染料組成物でケラチン繊維、特に人の毛髪を染色することは公知の実務である。これらの酸化ベースは無色もしくは薄い色の化合物であり、これは酸化性製品と混合されると、酸化的縮合プロセスを介して着色した化合物を生じさせる。これらの酸化ベースによって得られる色調は、カップラーもしくは着色調整剤を添加することによって変えることができ、後者は、特に、芳香族メタ−ジアミノベンゼン類、メタ−アミノフェノール類、メタ−ジフェノール類、及び特定の複素環化合物、例えばインドール及びピリジン化合物から選択される。
【0003】
酸化染色は、一般に、ケラチン繊維の染色を促進するアルカリ性剤の存在下で行われる。
【0004】
酸化ベース及びカップラーとして使用される様々な化合物が、広範囲の色が得られることを可能にしている。これらの酸化染料を用いて得られる「パーマネント」着色は、所望する強さの色調が得られることを可能にし、外部因子、例えば、光、悪天候、洗浄、パーマネントウェーブ処理、発汗、及び擦過などについて良好な堅牢性を示す。
【0005】
しかし、酸化染色は酸化剤とアルカリ性剤の存在下で行われるため、時々、局所的な痛み及び/又は頭皮の熱さによって反映される不快感をもたらす。
【0006】
特に特定のポリマーを用いることによって、染料前駆体を用いる着色をする必要があるか又は着色をされたケラチン繊維を保護することは既に公知の実務である。しかし、この保護は完全には満足できるものではない:特に、これらのポリマーの存在により、あまり強力でない染色がもたらされる可能性がある。
【0007】
さらに、ケラチン繊維染色製品中にポリオキシエチレン化ソルビタンエステル類を用いることは既に公知の実務である。特に、文献DE19923438は、染色時の頭皮のしみを低減させるためにポリオキシエチレン化ソルビタンエステル類を用いることを記載している。
【特許文献1】DE19923438
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ケラチン繊維、例えば毛髪を染色するための新規な組成物であって、染色時に使用者によって経験されうる不快感を抑制することを可能にする組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は本発明によって達成され、その1つの対象は、ケラチン繊維、例えば毛髪を染色するための組成物であり、これは好適な媒体中に、少なくとも1種の酸化ベースと、場合によっては少なくとも1種のカップラーと、10以下のエチレンオキシドのモル数を有する少なくとも1種のポリオキシエチレン化ソルビタンエステルを含む。
【0010】
そのような組成物は、特に、強力な着色を保護することと、同時に、染料組成物を適用する時もしくはこの適用後に頭皮に体験されうる不快感を抑制することを可能にする。
【0011】
本発明の組成物に有用な酸化ベースは、酸化染色に通常用いられる酸化ベースである。
【0012】
酸化ベースは、例えば、パラ−フェニレンジアミン類、ビス(フェニル)アルキレンジアミン類、パラ−アミノフェノール類、ビス−パラ−アミノフェノール類、オルト−アミノフェノール類、及び複素環式ベース類、並びにそれらの付加塩から選択されうる。
【0013】
挙げることができるパラ−フェニレンジアミン類の中には、パラ−フェニレンジアミン、パラ−トリレンジアミン、2−クロロ−パラ−フェニレンジアミン、2,3−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、2,6−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、2,6−ジエチル−パラ−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、N,N−ジエチル−パラ−フェニレンジアミン、N,N−ジプロピル−パラ−フェニレンジアミン、4−アミノ−N,N−ジエチル−3−メチルアニリン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−パラ−フェニレンジアミン、4−N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)アミノ−2−メチルアニリン、4−N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)アミノ−2−クロロアニリン、2−β−ヒドロキシエチル−パラ−フェニレンジアミン、2−フルオロ−パラ−フェニレンジアミン、2−イソプロピル−パラ−フェニレンジアミン、N−(β−ヒドロキシプロピル)−パラ−フェニレンジアミン、2−ヒドロキシメチル−パラ−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−3−メチル−パラ−フェニレンジアミン、N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)−パラ−フェニレンジアミン、N−(β,γ−ジヒドロキシプロピル)−パラ−フェニレンジアミン、N−(4’−アミノフェニル)−パラ−フェニレンジアミン、N−フェニル−パラ−フェニレンジアミン、2−β−ヒドロキシエチルオキシ−パラ−フェニレンジアミン、2−β−アセチルアミノエチルオキシ−パラ−フェニレンジアミン、N−(β−メトキシエチル)−パラ−フェニレンジアミン、4−アミノフェニルピロリジン、2−チエニル−パラ−フェニレンジアミン、2−β−ヒドロキシエチルアミノ−5−アミノトルエン、及び3−ヒドロキシ−1−(4’−アミノフェニル)ピロリジン、並びに、酸とそれらの付加塩がある。
【0014】
上述したパラ−フェニレンジアミン類のなかでは、パラ−フェニレンジアミン、パラ−トリレンジアミン、2−イソプロピル−パラ−フェニレンジアミン、2−β−ヒドロキシエチル−パラ−フェニレンジアミン、2−β−ヒドロキシエチルオキシ−パラ−フェニレンジアミン、2,6−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、2,6−ジエチル−パラ−フェニレンジアミン、2,3−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−パラ−フェニレンジアミン、2−クロロ−パラ−フェニレンジアミン、及び2−β−アセチルアミノ−エチルオキシ−パラ−フェニレンジアミン、並びに酸とそれらの付加塩が特に好ましい。
【0015】
挙げることができるビス(フェニル)アルキレンジアミン類のなかには、例えば、N,N’−ビス(β−ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス(4’−アミノフェニル)−1,3−ジアミノプロパノール、N,N’−ビス−(β−ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス(4’−アミノフェニル)エチレン−ジアミン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’−ビス(β−ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−テトラメチレンジアミン、N,N’−ビス(4−メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’−ビス(エチル)−N,N’−ビス(4’−アミノ−3’−メチルフェニル)エチレンジアミン、及び1,8−ビス(2,5−ジアミノフェノキシ)−3,6−ジオキサオクタン、並びに酸とそれらの付加塩がある。
【0016】
挙げることのできるパラ−アミノフェノール類の中には、例えば、パラ−アミノフェノール、4−アミノ−3−メチルフェノール、4−アミノ−3−フルオロフェノール、4−アミノ−3−ヒドロキシメチルフェノール、4−アミノ−2−メチルフェノール、4−アミノ−2−ヒドロキシメチルフェノール、4−アミノ−2−メトキシメチルフェノール、4−アミノ−2−アミノメチルフェノール、4−アミノ−2−(β−ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール、及び4−アミノ−2−フルオロフェノール、並びに酸とそれらの付加塩がある。
【0017】
挙げることのできるオルト−アミノフェノール類のなかには、例えば、2−アミノフェノール、2−アミノ−5−メチルフェノール、2−アミノ−6−メチルフェノール、及び5−アセトアミド−2−アミノフェノール、並びに酸とそれらの付加塩がある。
【0018】
挙げることのできる複素環式ベースのなかには、例えば、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、及びピラゾール誘導体、例えば、4,5−ジアミノピラゾール誘導体がある。
【0019】
挙げることのできるピリジン誘導体のなかには、例えば、GB1026978及びGB1153196に記載された化合物、例えば、2,5−ジアミノピリジン、2−(4−メトキシフェニル)アミノ−3−アミノピリジン、2,3−ジアミノ−6−メトキシピリジン、2−(β−メトキシエチル)アミノ−3−アミノ−6−メトキシピリジン、及び3,4−ジアミノピリジン、並びに酸とそれらの付加塩がある。
【0020】
本発明に有用なその他のピリジン系酸化ベースは、3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリジン酸化ベースもしくはそれらの付加塩であり、例えば、特許出願FR2801308に記載されている。例として、以下が挙げられる。ピラゾロ[1,5−a]ピリド(pyrid)−3−イルアミン(ylamine);2−アセチルアミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−3−イルアミン;2−モルホリン−4−イルピラゾロ[1,5−a]ピリド−3−イルアミン;3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−カルボン酸、2−メトキシピラゾロ[1,5−a]ピリド−3−イルアミン;(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−7−イル)メタノール;2−(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−5−イル)エタノール;2−(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−7−イル)エタノール;(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−2−イル)メタノール;3,6−ジアミノピラゾロ[1,5−a]ピリジン;3,4−ジアミノピラゾロ[1,5−a]ピリジン;ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3,7−ジアミン;7−モルホリン−4−イルピラゾロ[1,5−a]ピリド−3−イルアミン;ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3,5−ジアミン;5−モルホリン−4−イルピラゾロ[1,5−a]ピリド−3−イルアミン;2−[(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−5−イル)(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール;2−[(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−7−イル)(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール;3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−5−オール;3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−4−オール;3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−6−オール;3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−7−オール;及び、酸もしくは塩基とそれらとの付加塩。
【0021】
挙げることのできるピリミジン誘導体のなかには、例えば、特許DE2359399又は特許JP88−169571;JP05−63124;EP0770375又は特許出願WO96/15765に記載された化合物、例えば、2,4,5,6−テトラアミノピリミジン、4−ヒドロキシ−2,5,6−トリアミノ−ピリミジン、2−ヒドロキシ−4,5,6−トリアミノピリミジン、2,4−ジヒドロキシ−5,6−ジアミノピリミジン、及び2,5,6−トリアミノ−ピリミジン、並びに、例えば、特許出願FR−A−2750048で挙げられたものなどのピラゾロピリミジン誘導体、これらのなかでは以下が挙げられる:ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3,7−ジアミン;2,5−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3,7−ジアミン;ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3,5−ジアミン;2,7−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3,5−ジアミン;3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−オール;3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−オール;2−(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イルアミノ)エタノール;2−(7−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イルアミノ)エタノール;2−[(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール;2−[(7−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール;5,6−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3,7−ジアミン;2,6−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3,7−ジアミン;2,5,N7,N7−テトラメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3,7−ジアミン;及び3−アミノ−5−メチル−7−イミダゾリル−プロピルアミノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン、及び酸とそれらの付加塩、及び互変異性体が存在する場合はそれらの互変異性形。
【0022】
ピラゾール誘導体のなかでは、特許DE3843892及びDE4133957並びに特許出願WO94/08969、WO94/08970、FR−A−2733749及びDE19543988に記載された化合物、例えば、4,5−ジアミノ−1−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−(β−ヒドロキシエチル)ピラゾール、3,4−ジアミノピラゾール、4,5−ジアミノ−1−(4’−クロロベンジル)ピラゾール、4,5−ジアミノ−1,3−ジメチル−ピラゾール、4,5−ジアミノ−3−メチル−1−フェニルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−メチル−3−フェニルピラゾール、4−アミノ−1,3−ジメチル−5−ヒドラジノピラゾール、1−ベンジル−4,5−ジアミノ−3−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−3−tert−ブチル−1−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−tert−ブチル−3−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−(β−ヒドロキシエチル)−3−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−エチル−3−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−エチル−3−(4’−メトキシフェニル)ピラゾール、4,5−ジアミノ−1−エチル−3−ヒドロキシメチルピラゾール、4,5−ジアミノ−3−ヒドロキシメチル−1−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−3−ヒドロキシメチル−1−イソプロピルピラゾール、4,5−ジアミノ−3−メチル−1−イソプロピルピラゾール、4−アミノ−5−(2’−アミノエチル)アミノ−1,3−ジメチルピラゾール、3,4,5−トリアミノピラゾール、1−メチル−3,4,5−トリアミノピラゾール、3,5−ジアミノ−1−メチル−4−メチルアミノピラゾール、及び3,5−ジアミノ−4−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−1−メチルピラゾール、並びに酸とそれらの付加塩がある。
【0023】
本発明の組成物は、少なくとも1種のパラ−フェニレンジアミン類及び/又は1種のパラ−アミノフェノール類を含むことが好ましい。
【0024】
本発明の染料組成物中に存在する酸化ベース(1種以上)は、それぞれ、通常は、染料組成物の総重量に対して約0.001〜10重量%で、好ましくは0.005〜6重量%の量で存在する。
【0025】
本発明の組成物はカップラーを含んでもよい。そのようなカップラーは、酸化染色に関連して通常用いられるカップラー、例えば、メタ−フェニレンジアミンカップラー類、メタ−アミノフェノールカップラー類、メタ−ジフェノールカップラー類、ナフタレン系カップラー類、及びヘテロ環式カップラー類、並びにそれらの付加塩である。
【0026】
挙げることができる例には、2−メチル−5−アミノフェノール、5−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−2−メチルフェノール、6−クロロ−2−メチル−5−アミノフェノール、3−アミノフェノール、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン、4−クロロ−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2,4−ジアミノ−1−(β−ヒドロキシエチルオキシ)−ベンゼン、2−アミノ−4−(β−ヒドロキシエチルアミノ)−1−メトキシベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、1,3−ビス(2,4−ジアミノフェノキシ)プロパン、3−ウレイドアニリン、3−ウレイド−1−ジメチルアミノベンゼン、セサモール、1−β−ヒドロキシエチルアミノ−3,4−メチレンジオキシベンゼン、α−ナフトール、2−メチル−1−ナフトール、6−ヒドロキシインドール、4−ヒドロキシインドール、4−ヒドロキシ−N−メチルインドール、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン、6−ヒドロキシ−ベンゾモルホリン、3,5−ジアミノ−2,6−ジメトキシピリジン、1−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−3,4−メチレンジオキシベンゼン、及び2,6−ビス(β−ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、並びに酸とそれらの付加塩類が含まれる。
【0027】
本発明の染料組成物中には、カップラー(1種以上)が存在する場合は、カップラーはそれぞれ、染料組成物の総重量に対して、約0.001〜10重量%、好ましくは0.005〜6重量%の量で通常は存在する。
【0028】
10以下のエチレンオキシドのモル数を有するポリオキシエチレン化ソルビタンエステルの例としては、4EOでオキシエチレン化されたソルビタンモノラウレートもしくはポリソルベート(polysorbate)21、4EOでオキシエチレン化されたソルビタンモノステアレートもしくはポリソルベート61、及び5EOでオキシエチレン化されたソルビタンモノオレエートもしくはポリソルベート81が挙げられる。これらのソルビタンエステル類は、例えば、Uniqema社から、Tween 21、Tween 61、又はTween 81の名称で販売されている。
【0029】
一つの特定の態様によれば、エチレンオキシドのモル数は、6モル未満のエチレンオキシドが好ましく、好ましくは2〜5モルの範囲(両端を含む)のエチレンオキシドが好ましい。
【0030】
本発明によれば、ソルビタンエステルは、例えば、着色のタイプもしくは染色されるケラチン繊維の性質に左右される非常に変動しうる量で組成物中に存在しうる。一つの特定の態様によれば、本組成物は、組成物の総重量に対して、0.01〜20重量%の範囲の量、より特には0.1〜10重量%の範囲の量、好ましくは1〜8重量%の範囲の量のソルビタンエステルを含みうる。
【0031】
本染料組成物はまた、直接染料を含んでもよい。挙げることのできる直接染料には、中性、酸性もしくはカチオン性ニトロベンゼン直接染料、中性、酸性もしくはカチオン性アゾ直接染料、中性、酸性もしくはカチオン性キノン及び特にアントラキノン直接染料、アジン直接染料、トリアリールメタン直接染料、インドアミン直接染料、並びに天然の直接染料が包含される。
【0032】
染色に適した媒体は、水又は、水と、少なくとも1種の有機溶媒、例えば、分枝状又は非分枝状のC〜C低級アルコール(例えば、エタノール及びイソプロパノール);ポリオール類及びポリオールエーテル類、例えば、2−ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びモノメチルエーテル、及びグリセロール、さらには芳香族アルコール類、例えば、ベンジルアルコールもしくはフェノキシエタノール、並びにそれらの混合物との混合物とからなる化粧品媒体であることが有利である。
【0033】
上記溶媒は、本染色組成物の総重量に対して、好ましくは約1〜40重量%、より好ましくは約5〜30重量%の割合で存在する。
【0034】
本発明の方法に有用である染料組成物はまた、毛髪を染色するための組成物中に通常用いられる様々なアジュバント、例えば、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性、もしくは両性イオン性界面活性剤もしくはそれらの混合物;アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性、もしくは両性イオン性ポリマーもしくはそれらの混合物;無機もしくは有機増粘剤;抗酸化剤;浸透剤;金属イオン封鎖剤;香料;緩衝剤;分散剤;コンディショニング剤、例えば、揮発性もしくは不揮発性の変性もしくは未変性シリコーン;皮膜形成剤、及び特にノニオン性、カチオン性、アニオン性もしくは両性固定化ポリマー類;保存剤;及び乳白剤、を含んでもよい。
【0035】
一つの特定の態様によれば、本発明の組成物は少なくとも1種の界面活性剤、好ましくはノニオン性界面活性剤、及び/又は増粘性ポリマーを含む。
【0036】
上述したアジュバントは通常、組成物の重量に対してそれぞれが0.01〜20重量%の量で存在する。
【0037】
言うまでもなく、当業者はこの又はこれらの任意選択による追加化合物を、本発明の組成物に伴う固有の有利な特性を、考慮している追加によって悪影響をうけないか又は実質的にうけないように選択するよう注意を払うだろう。
【0038】
本発明による染料組成物のpHは、通常、約2〜12、好ましくは約6〜12である。
【0039】
ケラチン繊維の染色に使用される酸性化剤もしくは塩基性化剤、又はその代わりに通常の緩衝システムを用いて、所望する値に調節することができる。
【0040】
挙げることのできる酸性化剤のなかには、例えば、無機又は有機酸、例えば、塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸(例えば、酢酸、酒石酸、クエン酸、及び乳酸)、及びスルホン酸がある。
【0041】
挙げることのできる塩基性化剤のなかには、例えば、アンモニア水、アルカリ性炭酸塩、アルカノールアミン類(例えば、モノ−、ジ−、及びトリエタノールアミン、並びにそれらの誘導体)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び下記式(III)の化合物。
【化1】

(式中、Wは、水酸基もしくはC〜Cアルキル基で置換されているか又は非置換のプロピレン基であり;R、R、R及びRは、同一か又は異なってよく、水素原子、C〜Cアルキル基、もしくはC〜Cヒドロキシアルキル基を表す。)
【0042】
本染料組成物は、アルカリ性剤を含有する組成物から通常は使い始め、このアルカリ性剤は一般に染料組成物の重量に対して5重量%より多い量である。アルカリ性剤は10重量%より多い量、特に15重量%より多い量であってもよい。
【0043】
本発明の一つの特定の態様によれば、本染料組成物は、少なくとも1種の塩基性化剤、特にアンモニア及び/又はアルカノールアミン(例えば、エタノールアミン)及び/又はナトリウムシリケートなどのシリケート、を含むか、又はそれらとともに用いられることが意図されている。
【0044】
本発明による染料組成物は、例えば、液体、クリーム、もしくはゲルの形態などの様々な形態であることができ、あるいはケラチン繊維、特に人の毛髪を染色するために適した任意のその他の形態であることができる。
【0045】
本染料組成物はまた、酸化剤をも含むことができる。ケラチン繊維の酸化染色に通常用いられる酸化剤は、例えば、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属臭素酸塩、過酸化塩(例えば、過臭素酸塩及び過硫酸塩)、過酸、及び酸化酵素であり、酸化酵素の中では、ペルオキシダーゼ、2電子オキシドリダクターゼ(例えば、ウリカーゼ)、及び4電子オキシゲナーゼ(例えば、ラッカーゼ)を挙げることができる。過酸化水素が特に好ましい。
【0046】
酸化剤は使用時に染料組成物に添加してもよく、あるいは酸化剤を含有する酸化性組成物を最初に使用することもでき、この組成物は本発明の組成物と同時に、又はそれに続いて適用される。この酸化性組成物はまた、毛髪染料組成物中に通常用いられる様々なアジュバントを含んでもよく、それらは上で定義したとおりである。
【0047】
酸化剤を含有する酸化性組成物のpHは、本染料組成物と混合後、ケラチン繊維に適用される得られる組成物のpHが、好ましくは約3〜12、なおさらに好ましくは6〜12の範囲となるpHである。pHは、(上で定義したとおりの)ケラチン繊維の染色に通常用いられる酸性化剤もしくは塩基性化剤を用いて、所望の値に調節することができる。
【0048】
ケラチン繊維に最終的に適用される染料組成物は、様々な形態、たとえば、液体、クリーム、もしくはゲル、又はケラチン繊維、特に人の毛髪を染色するために適した任意のその他の形態、であることができる。
【0049】
ケラチン繊維の染色は、通常、本染料組成物を、所望する着色が得られるのに充分な時間適用することによって行われる。放置時間(リーブオンタイム)は一般に1〜60分であり、好ましくは約5〜60分である。通常は、この染色ステップに濯ぎステップが続く。
【0050】
染色ステップは、室温又はより高い温度で行うことができ、例えば、ヘアードライヤー、乾燥用フード、ヘアアイロンなどを用いて行うことができる。
【0051】
以下の実施例は本発明を説明するためのものである。しかしながら、本発明はこれらの態様に限定されない。
【0052】
〔実施例〕
以下の染料組成物を調製した(グラム単位)。
【表1A】

【表1B】

【0053】
組成物1は、その体積の1.5倍の9ボリューム過酸化水素水(pH約3)と即時に混合する。
【0054】
組成物2は、その体積の1.5倍の20ボリューム過酸化水素水と即時に混合する。
【0055】
組成物3及び4は、組成物3についてはその体積の1.5倍の20ボリューム過酸化水素水(pH約3)と即時に混合し、組成物4についてはその体積の2倍の40ボリューム過酸化水素水(pH約3)と即時に混合する。
【0056】
そのようにして得られたそれぞれの混合物を90%の白髪を含むグレーの毛髪に、毛髪3g当たり30gで適用した。室温での放置時間は、組成物1及び2に対しては20分間であり、組成物3及び4に対しては30分間である。
【0057】
次に毛髪を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗い、乾燥させる。毛髪の着色を目視で評価する。
【0058】
【表2】

【0059】
そのように得られた繊維は、モデルにとって快適な条件下で満足な着色を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
好適な媒体中、少なくとも1種の酸化ベースと、場合によっては少なくとも1種のカップラーと、10以下のモル数のエチレンオキシドを有するポリオキシエチレン化ソルビタンエステルの少なくとも1種とを含む、ケラチン繊維染色用組成物。
【請求項2】
前記ポリオキシエチレン化ソルビタンエステルは、エチレンオキシドのモル数が6モル未満である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリオキシエチレン化ソルビタンエステルが、2〜5の範囲(両端を含む)のエチレンオキシドモル数を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリオキシエチレン化ソルビタンエステルが、4EOでオキシエチレン化されたソルビタンモノラウレート、4EOでオキシエチレン化されたソルビタンモノステアレート、及び5EOでオキシエチレン化されたソルビタンモノオレエートから選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ソルビタンエステルの量が、組成物の重量に対して0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%の範囲である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ソルビタンエステルの量が1〜8重量%の範囲である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記酸化ベース(1種以上)が、パラ−フェニレンジアミン類、ビス(フェニル)アルキレンジアミン類、パラ−アミノフェノール類、ビス−パラ−アミノフェノール類、オルト−アミノフェノール類、及びヘテロ環式ベース類、並びにそれらの付加塩から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
染料組成物中に存在する前記酸化ベース(1種以上)が、それぞれ、組成物の総重量に対して約0.001〜10重量%、好ましくは約0.005〜6重量%の量で存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記染料組成物が、メタ−フェニレンジアミンカップラー類、メタ−アミノフェノールカップラー類、メタ−ジフェノールカップラー類、ナフタレン系カップラー類、及びヘテロ環式カップラー類、並びにそれらの付加塩類から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記カップラー(1種以上)が、それぞれ、染料組成物の総重量に対して、約0.001〜10重量%、好ましくは約0.005〜6重量%の量で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物がさらに直接染料も含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記染料組成物がアルカリ化剤を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
所望する着色が得られるために充分な時間、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物をケラチン繊維に適用することを含む、ケラチン繊維の染色方法。
【請求項14】
少なくとも1種の酸化ベースを含有する組成物中における、10以下のエチレンオキシドモル数を有するポリオキシエチレン化ソルビタンエステルの使用であって、酸化剤の存在下で前記染料組成物を頭皮に適用するのに伴う不快感を除去又は低減するための使用。

【公開番号】特開2007−45826(P2007−45826A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−218911(P2006−218911)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】