説明

少なくとも2つのハイドロリック式の消費器を制御するための制御装置および方法

少なくとも2つのハイドロリック式の消費器を制御するための制御装置および方法が開示されている。この場合、これらの消費器の1つの、予め規定された最大の負荷圧の超過時には、ポンプが、より低負荷の別の消費器の圧力媒体要求に関連して制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つのハイドロリック式の消費器を制御するための制御装置であって、消費器にポンプを介して圧力媒体が供給可能であり、消費器への圧力媒体流路内に、電気的にまたはエレクトロハイドロリック的に調節可能なそれぞれ1つの調量オリフィス絞りが配置されており、該調量オリフィス絞りを介して、消費器への圧力媒体体積流が調整可能である形式のものに関する。
【0002】
さらに、本発明は、複数のハイドロリック式の消費器を制御するための方法であって、消費器に、圧力媒体体積流を調整するための電気的にまたはエレクトロハイドロリック的に調節可能なそれぞれ1つの調量オリフィス絞りが対応配置されており、消費器の最高の負荷圧を検出しかつポンプの調整のために使用して、複数のハイドロリック式の消費器を制御するための方法に関する。
【0003】
複数の消費器を制御するためには、これらの消費器に1つの共通のポンプ(バイパス圧力補償弁を備えた定容量型ポンプまたは調節ポンプ)を介して圧力媒体が供給されるハイドロリックシステムが使用される。ポンプと各消費器との間の圧力媒体流路内には、調量オリフィス絞りと圧力補償弁とが設けられている。この調量オリフィス絞りと圧力補償弁とを介して、消費器への圧力媒体体積流が調整可能となる。この場合、流量調整原理により作業するシステムと、流量分配原理により作業するシステムとが識別される。後者のシステムでは、圧力補償弁が調量オリフィス絞りに常に後置されている。この流量分配システムはLUDVシステムとも呼ばれる。このLUDVシステムはLSシステムの下位群を成している。LSシステムでは、ポンプが、操作されるハイドロリック式の消費器の最高の負荷圧に関連(依存)して調整され、この場合、流入圧が、予め規定された圧力差だけ、最高の負荷圧を上回っている。
【0004】
LUDVシステムでは、後置された圧力補償弁が、開放方向では、各調量オリフィス絞りの後方の圧力によって負荷されていて、閉鎖方向では、通常、制御される全ての消費器の最高の負荷圧に相当する制御圧によって負荷されている。このような形式のシステムでは、サチュレーションの事例において、個々のハイドロリック式の消費器に流入する圧力媒体量が、ハイドロリック式の消費器のその都度の負荷圧に依存せずに同比率で減少させられる(負荷に依存しない流量分配)。
【0005】
流量調整原理により作業するシステムでは、調量オリフィス絞りに前置されたかまたは後置された圧力補償弁が、閉鎖方向では、調量オリフィス絞りの前方の圧力によって負荷され、開放方向では、調量オリフィス絞りの下流側の負荷圧によって負荷され、これによって、負荷に依存しない流量分配が得られない。複数のハイドロリック式の消費器が同時に操作され、調節ポンプによって吐出し量が十分に供給されない場合(サチュレーション)には、負荷圧最高の消費器に流入する圧力媒体量しか減少させられない。
【0006】
このような形式のシステムは、たとえば「Bosch Rexroth AG」社のデータシートRD64276(制御ブロックM4−12)に記載されている。
【0007】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10342037号明細書には、いわゆる「EFMシステム(Electronic Flow Matching)」が記載されている。このEFMシステムでは、調量オリフィス絞りとポンプとが電子的にまたはエレクトロハイドロリック的に調節される。この場合、消費器の負荷圧が、それぞれ消費器への圧力媒体流路内に配置されたセンサ、たとえば圧力検出器を介して検出され、このセンサの信号から負荷圧最高の消費器が検出される。その後、制御ユニットを介して、負荷圧最高の消費器に対応配置された調量オリフィス絞りが完全に開制御され、これによって、この調量オリフィス絞りを介した圧力損失ひいてはシステム全体における圧力損失が最小限に抑えられている。
【0008】
前述した制御装置を介して、2つまたはそれ以上の消費器が操作されると、これらの消費器のうちストッパに移動する消費器がさらに操作され続け、相応して、圧力媒体がポンプから消費器に圧送される。ストッパに移動させられる消費器の送り通路内の圧力は、通常、圧力制限弁を介して制限されている。この圧力制限弁はタンクへの圧力媒体接続部を開放し、これによって、過剰の圧力媒体がタンクに圧送される。
【0009】
前述した制御ブロックM4−12では、全ての消費器の負荷圧がLS通路を介してポンプに報知され、その後、このポンプが負荷圧に関連して調整され、これによって、ポンプ圧が、予め規定された圧力差だけ、最高の負荷圧を上回る。この負荷圧は各消費器からLS管路を介して取り出され、シャトル弁カスケードを介してLS通路に報知される。制御ブロックM4−12では、LS管路内にそれぞれ1つのLS圧力制限弁が配置されている。その後、ストッパに移動させられる消費器に対応配置されたLS圧力制限弁が負荷圧を最大負荷圧に制限し、これによって、相応して、ポンプがこの最大の負荷圧に関連して調整される。その後、これに相俟って、ポンプ圧が、前述した圧力差を加算したLS最大圧に調整され、したがって、ポンプがその最大の圧送圧であるものの、制限された圧送圧に調整される。これに相応して、この最大圧が別の消費器への圧力媒体流路内で各個別圧力補償弁を介して各負荷圧に絞られなければならない。ストッパに移動させられる消費器に対応配置されたLS圧力制限弁を介して、小さな制御油体積流がタンクに流出する。
【0010】
このような形式のシステムによって、確かに、ストッパへの1つの消費器の移動時に圧力媒体量が減少させられるかまたは制限される。しかし、より低負荷の消費器への圧力媒体流路内のポンプ圧の絞りによって、著しいエネルギ損失が生ぜしめられる。
【0011】
たとえば掘削機においてアタッチメントの操作のために使用されている冒頭に記載したLUDVシステムでは、ポンプ圧送流が、上述した原理に類似の原理による、いわゆる「圧力カットオフ」によって制限されるかまたは減少させられ、これによって、出力損失が回避される。圧力カットオフ式のLUDVシステムでも、より低負荷の消費器への圧力媒体体積流が個別圧力補償弁で絞られなければならない。
【0012】
これに対して、本発明の課題は、少なくとも2つのハイドロリック式の消費器を制御するための制御装置および方法を改良して、負荷圧最高の消費器の予め規定された負荷圧の超過時にエネルギ損失が最小限に抑えられているようにすることである。
【0013】
この課題を解決するために本発明の制御装置では、1つの消費器の送り通路内での最大負荷圧への到達時にポンプ圧またはポンプ量を1つまたはそれ以上の別の消費器の圧力媒体要求に関連して調整することができる装置が設けられているようにした。
【0014】
本発明の制御装置の有利な実施態様によれば、消費器の負荷圧が、LS管路によって取り出されていて、LS通路に報知されており、ポンプのポンプ圧が、LS通路内の負荷圧に関連して調整可能である。
【0015】
本発明の制御装置の有利な実施態様によれば、調量オリフィス絞りにLS個別圧力補償弁またはLUDV個別圧力補償弁が対応配置されている。
【0016】
本発明の制御装置の有利な実施態様によれば、LS管路内にLS圧力制限弁が配置されている。
【0017】
本発明の制御装置の有利な実施態様によれば、前記装置が、送り通路圧を検出するための圧力検出器を有しており、該圧力検出器の出力信号が、制御ユニットを介して、対応配置された調量オリフィス絞りを制御するための作動信号に処理可能である。
【0018】
本発明の制御装置の有利な実施態様によれば、調量オリフィス絞りが、最大負荷圧への到達時に閉制御可能である。
【0019】
本発明の制御装置の有利な実施態様によれば、閉制御が、予め規定された特性線により行われるようになっている。
【0020】
本発明の制御装置の有利な実施態様によれば、負荷圧最高の消費器の負荷圧信号が、ポンプの制御時に考慮されていないように、前記装置が形成されている。
【0021】
本発明の制御装置の有利な実施態様によれば、ポンプが、電気的にまたはエレクトロハイドロリック的に制御されており、制御ユニットを介して、ポンプ圧を減少させるための量信号が、ポンプに送信可能である。
【0022】
本発明の制御装置の有利な実施態様によれば、量信号が、調量オリフィス絞りを調節するための信号に関連して発生可能である。
【0023】
本発明の制御装置の有利な実施態様によれば、制御装置が、ポンプ圧を検出するための圧力検出器と、送り通路内の負荷圧とポンプ圧とを比較するための比較装置と、ポンプ圧と負荷圧との間の圧力差が、予め規定された値を下回った場合に、負荷最高の消費器の調量オリフィス絞りを閉制御しかつポンプを戻すための制御信号を送信するための装置とを備えている。
【0024】
本発明の制御装置の有利な実施態様によれば、制御装置が、LSシステム、LUDVシステム、EFMシステムまたはポジティブコントロールシステムとして形成されている。
【0025】
さらに、前記課題を解決するために本発明の方法では、1つの消費器の最大負荷圧の超過時にポンプ制御を1つまたはそれ以上の別の消費器の負荷圧に関連して行うようにした。
【0026】
本発明の方法の有利な実施態様によれば、最大負荷圧の超過時に、負荷圧最高の消費器の調量オリフィス絞りを閉制御する。
【0027】
本発明の方法の有利な実施態様によれば、消費器の負荷圧が、規定された圧力差、最大負荷圧未満に減少した場合に調量オリフィス絞りの開制御を行う。
【0028】
本発明によれば、ポンプを介して圧力媒体が供給される消費器への圧力媒体流路内に、調節可能なそれぞれ1つの調量オリフィス絞りが配置されており、これによって、圧力媒体体積流が個別に調整される。ポンプは消費器の最高の負荷圧に関連して調整され、これによって、制御される全ての消費器の圧力媒体要求が満たされている。本発明によれば、1つの装置を介して、個々の消費器の負荷圧が監視され、1つの消費器における予め規定された最大負荷圧の超過時に、ポンプ圧またはポンプ量が、より低負荷の別の消費器の圧力要求に関連して調整され、これによって、これらの消費器における絞り損失が、冒頭に記載した解決手段に比べて最小となる。したがって、本発明による制御装置では、1つの消費器がストッパに移動するかまたは極めて高い外的な負荷が生ぜしめられる事例において、回路の内部のエネルギ損失が最小限に抑えられる。なぜならば、ポンプの圧力レベルが、既存の解決手段に比べて減少させられているからである。
【0029】
本発明によれば、調量オリフィス絞りにLS個別圧力補償弁またはLUDV個別圧力補償器が対応配置されていると有利であり、これによって、流量調整原理または流量分配原理により作業する制御装置が形成されている。
【0030】
本発明の1つの実施態様では、制御装置の最大の負荷圧が、その都度の負荷圧を案内する各LS管路に設けられたLS圧力制限弁によって制限されており、これに相応して、前述した最大負荷圧が、LS圧力制限弁によって調整された最大のLS圧の範囲内に位置している。
【0031】
特に簡単に形成された1つの実施態様では、最大負荷圧の超過時にポンプを調節するための装置が、消費器への送り通路圧を検出するための圧力センサを備えて形成されており、この圧力センサの出力信号が、制御ユニットを介して、対応配置された調量オリフィス絞りを制御するための作動信号に処理可能である。
【0032】
この場合、対応配置された調量オリフィス絞りが、最大負荷圧への到達時に閉制御されると有利であり、これによって、該当する消費器にもはや圧力媒体が供給されず、これによって、より低負荷の別の消費器の負荷圧しかポンプ調整時に考慮されない。
【0033】
この場合、最大負荷圧で負荷された消費器の負荷圧信号がLS通路に報知され得ないように、前記装置が形成されていると有利である。
【0034】
制御装置をEFMシステムとして形成したい事例では、ポンプが電気的にまたはエレクトロハイドロリック的に制御可能に形成され、この場合、前記装置を介してポンプに、このポンプを調節するための量信号を送信することができる。
【0035】
この量信号は、たとえば負荷最高の消費器の調量オリフィス絞りを調節するための信号に関連して発生させることができる。
【0036】
このような形式のEFMシステムでは、最高の負荷圧を検出するための前述した圧力センサのほかに、ポンプ圧を検出するための付加的な圧力センサが設けられていてよい。その後、比較装置において、検出された負荷圧と、ポンプ圧とが互いに比較され、この圧力差が、予め規定された値を下回った場合に前記装置を介して、負荷最高の消費器の調量オリフィス絞りを閉制御しかつポンプを戻すための制御信号が送信される。
【0037】
調量オリフィス絞りの閉制御は段状(黒−白)に行われてもよいし、所定の特性線を介して行われてもよい。
【0038】
調量オリフィス絞りの開制御は、この負荷最高の消費器における負荷圧が再び最大負荷圧未満に減少した場合に行われる。この場合、実際の負荷圧が、予め規定された圧力差だけ最大負荷圧未満にある場合に初めて、該当する調量オリフィス絞りの開制御が行われると有利である。
【0039】
本発明による制御装置は、たとえばLSシステム(流量調整システム)、LUDVシステム(流量分配システム)、EFMシステム(LSおよびLUDV)またはエレクトロハイドロリック式のポジティブコントロールシステム(PC)として形成されていてよい。このシステムでは、ポンプの旋回角が、調量オリフィス絞りを調整するための制御信号によって増加させられる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】モービル制御ブロックのエレクトロハイドロリック式の方向制御弁エレメントの回路図である。
【0041】
以下に、本発明の有利な実施例を図面につき詳しく説明する。
【0042】
図1には、モービル制御ブロックのエレクトロハイドロリック式の方向制御弁エレメント1の回路図が示してある。モービル制御ブロックは、通常、1つの入口エレメントと、複数の方向制御弁エレメント(機械式、ハイドロリック式、エレクトロハイドロリック式)と、1つの終端エレメントとから成っている。このような形式のモービル制御ブロックは、たとえば冒頭に記載した「Bosch Rexroth AG」社のデータシートRD64276に記載されている。この場合、ハイドロリック式の各消費器に、以下に説明する図面に示した方向制御弁エレメントを対応配置することができる。
【0043】
このような形式の方向制御弁エレメント1は、1つの圧力接続部Pと、1つの制御油供給部Xと、1つの制御油返送部Yと、1つのLS接続部LSと、1つのタンク接続部Tと、2つの作業接続部A,Bとを有している。両作業接続部A,Bは、たとえばハイドロシリンダの底側のシリンダ室とピストンロッド側の環状室とに接続されている。以下に説明する実施例では、圧力接続部PにLSポンプが接続されている。このLSポンプを介して、制御ブロックの方向制御弁エレメント1に圧力媒体が供給される。LSポンプの制御は、冒頭に記載した形式で全ての消費器の最高の負荷圧に関連して行われる。この場合、この最高の負荷圧は、モービル制御ブロックに設けられたシャトル弁カスケードを介して取り出される。
【0044】
圧力接続部Pは方向制御弁エレメント1のポンプ通路2に接続されている。このポンプ通路2から、流入通路4が分岐している。この流入通路4は個別圧力補償弁6の入口接続部に通じている。個別圧力補償弁6は、調量オリフィス絞りを形成する比例調節可能な方向制御弁8と一緒に流量調整器を形成している。圧力補償弁6には、圧力補償弁ばね10を介して休止位置にプリロードがかけられている。この休止位置は、図示の方向制御弁エレメント1に接続された消費器が圧力媒体を要求しておらず、方向制御弁8がその図示の基本位置に切り換えられている場合にとられる。圧力媒体要求時には、圧力補償弁6が図示の休止位置から調整位置にシフトされる。この場合、方向制御弁8の上流側の圧力が、制御管路12を介して閉鎖方向で圧力補償弁6に作用し、方向制御弁8によって形成された調量オリフィス絞りの下流側の圧力が、圧力補償弁ばね10と一緒に開放方向で圧力補償弁6に作用する。調量オリフィス絞りの下流側の圧力は、LS管路14を介して取り出される。圧力補償弁の出口は圧力補償弁通路16を介して方向制御弁8の入口接続部Pに接続されている。さらに、方向制御弁8は2つの作業接続部A,Bと1つのタンク接続部Tとを有している。このタンク接続部Tは流出通路18を介して、タンク接続部Tに開口したタンク通路20に接続されている。両作業接続部A,Bは送り通路22と戻し通路24とを介して方向制御弁エレメントの作業接続部A;Bに接続されている。
【0045】
方向制御弁8の図示の基本位置では、両作業接続部A,Bと圧力接続部Pとが遮断されており、タンク接続部TがLS管路14と2つのLS圧力制限通路26,28とに接続されている。この場合、LS圧力制限通路26は方向制御弁エレメント1の作業接続部Aに対応配置されており、LS圧力制限通路28は方向制御弁エレメント1の作業接続部Bに対応配置されている。LS圧力制限通路26,28内には、それぞれ1つのLS圧力制限弁30;32が配置されている。このLS圧力制限弁30;32を介して、消費器接続部A,Bに加えられる最大の負荷圧が制限されている。両LS圧力制限弁30,32は調節可能に形成されており、これによって、送り通路内のかつ戻し通路内の互いに異なるLS最大圧が調整可能となる。LS圧力制限弁30,32の両出口は、制御油返送部Yに接続された制御油返送通路34に接続されている。
【0046】
方向制御弁8の調節は2つの減圧弁36,38を介して行われる。両減圧弁36,38の入口は制御油供給通路40に接続されている。減圧弁36,38のタンク接続部は制御油返送通路34に接続されている。減圧弁36,38によって調整された出口圧は制御管路42;44を介して方向制御弁ピストンの、方向a;bに有効な制御面に案内される。両減圧弁36,38の制御は、それぞれ1つの比例ソレノイドを介して制御ユニットの作動信号に関連して行われる。方向制御弁8を調節するための制御圧差を調整するためのこの作動信号は、たとえばオペレータによってジョイスティックを介して設定することができ、これによって、接続された消費器が操作される。
【0047】
図示の実施例では、戻し通路24が接続通路を介してタンク通路20に接続されている。しかし、接続通路は閉鎖ねじ46を介して遮断されている。
【0048】
送り通路22内の圧力と戻し通路24内の圧力とは、それぞれ1つの圧力センサ48,50を介して検出され、信号線路(図示せず)を介して移動式(モービル式)の作業機器の制御ユニット(図示せず)に送信される。図示の実施例では、別の圧力検出器52が設けられている。この圧力検出器52を介して、ポンプ通路2内のポンプ圧が検出される。しかし、圧力検出器52は必ずしも必要ではない。しかし、この圧力検出器52によって、択一的な圧力カットオフを実現することができる。
【0049】
方向制御弁エレメント1では、送り通路22がバイパス通路54を介してタンク通路20に接続されている。バイパス通路54内には、圧力制限補充弁56が設けられている。この圧力制限補充弁56を介して、キャビテーションを回避するために、圧力媒体をタンク通路20から補充することができ、送り通路22の圧力保護も行われる。このような形式の圧力制限補充弁56は閉鎖ねじ46の代わりに使用されてもよく、これによって、戻し通路24も保護されており、圧力媒体を補充することができる。
【0050】
減圧弁36,38を介した制御圧差の適切な調整によって、方向制御弁8の弁スプールをその図示の基本位置から、符号aで図示した位置に左向きに移動させることができる。この位置では、圧力接続部Pが、開制御された調量オリフィス絞りを介して作業接続部Aに接続されており、作業接続部Bがタンク接続部Tに接続されている。さらに、符号aで図示した位置では、圧力媒体流路の、開制御された調量オリフィス絞りの下流側に設けられた区分が、LS管路14に接続されており、これによって、(調量オリフィス絞りの下流側の)この圧力が圧力補償弁6を開放方向に負荷する。さらに、LS管路14は、符号aで図示した位置でLS圧力制限通路26に接続されており、これによって、LS管路14内の負荷圧が、LS圧力制限弁30で調整された値に制限されている。LS管路14内の圧力はシャトル弁58の入口に加えられる。このシャトル弁58の別の入口接続部は、別の方向制御弁エレメントまたはタンクに接続された通路60に接続されている。シャトル弁58の出口はLS通路62を介して、その他の消費器の別の方向制御弁エレメントのLS接続部に接続されているかもしくはポンプ調整器に接続されており、これによって、シャトル弁カスケードを介して、最高の負荷圧がポンプ調整器に案内されている。このポンプ調整器は、予め規定された圧力差、たとえば20barだけ常に最大の負荷圧を上回るようにポンプ圧を調整する。
【0051】
符号aで図示した位置への方向制御弁エレメント1の前述した移動時には、圧力媒体が作業接続部Aを介して消費器に流出し、この消費器から作業接続部Bを介してタンクTに流出する。この場合、圧力媒体体積流は負荷圧に依存せずに調量オリフィス絞りと、前置されたLS圧力補償弁6とを介してコンスタントに保持される。この場合、LS圧力補償弁はその調整位置で圧力勾配を調量オリフィス絞りを介してコンスタントに保つ。
【0052】
符号bで図示した位置への方向制御弁エレメント1の調節時には、相応して、圧力接続部Pが作業接続部Bに接続され、作業接続部Aがタンク接続部Tに接続され、これによって、実際には、送り通路22と呼ばれる通路が戻し通路になり、戻し通路24と呼ばれる通路が送り通路となる。なぜならば、圧力媒体が方向制御弁エレメント1の作業接続部Bを介して消費器に流れ、この消費器から作業接続部Aを介してタンク接続部Tに流出するからである。
【0053】
前述した位置aと同様に、方向制御弁エレメント1の入口接続部Pと作業接続部Bとの間で開制御された調量オリフィス絞りの下流側の圧力は、LS管路14を介して取り出され、LS圧力補償弁6の、開放方向に有効な制御面に案内される。LS管路14は、符号bで図示した位置でLS圧力制限通路28に接続されており、これによって、この場合、最大の負荷圧がLS圧力制限弁32によって制限されている。
【0054】
別の消費器の方向制御弁エレメント1は相応に形成されている。いま、複数の消費器が各方向制御弁エレメント1を介して同時に操作され、方向制御弁8で作業接続部A,Bに接続された消費器の負荷圧が、システムの最高の負荷圧であると仮定する。相応して、ポンプ圧が、前述した圧力差(20bar)だけ、この最高の負荷圧を上回って調整される。消費器接続部Aに圧力媒体が供給され、これによって、方向制御弁8が、符号aで図示した位置に調節されなければならないと仮定する。いま、対応配置された消費器がストッパに移動すると、作業接続部Aにおける負荷圧ひいてはLS圧力制限通路26内の負荷圧およびLS管路14内の負荷圧が増加する。しかし、この負荷圧はLS圧力制限弁30を介して、上回ることができない最大値に制限されている。圧力検出器48を介して、送り通路22内の負荷圧増加が検出され、LS圧力制限弁を介して調整された最大の負荷圧にほぼ相当する予め規定された最大圧への到達時には、制御ユニット(図示せず)を介して制御信号が両減圧弁36,38に送信され、これによって、両減圧弁36,38が調量オリフィス絞りを閉鎖し、相応して、方向制御弁8がその図示の基本位置に戻される。方向制御弁8のこの閉鎖運動は急激に行われてもよいし、設定された特性による特性線の形(ランプ)で行われてもよい。調量オリフィス絞りの完全な閉鎖時には、LS管路14に報知された負荷圧も減少し、これによって、ポンプ調整が、方向制御弁8の閉制御後、より低負荷の並列な消費器に関連して行われる。その後、この並列なより低負荷の消費器の最高の負荷圧がポンプ調整器に報知され、ポンプが、相応に低い値に調整され、これによって、より低負荷の消費器におけるチョーク絞り損失が、冒頭に記載した公知先行技術よりも著しく僅かとなる。
【0055】
負荷最高の消費器に対応配置された調量オリフィス絞りの閉鎖を伴う相応の制御は、過剰な外的な負荷の発生時に行われてもよい。
【0056】
以前に負荷最高であった消費器における負荷圧が、制御機器で入力された最大の負荷圧未満に再び減少する事例では、方向制御弁8が再びその目標位置に調節され、対応配置された消費器に再び圧力媒体が供給される。
【0057】
逆方向への消費器の操作時には、方向制御弁8が、符号bで図示した位置に調節される。この場合、その後、圧力が別の圧力検出器50を介して検出され、予め規定された最大負荷圧の超過時に調量オリフィス絞りが再び閉制御される。
【0058】
EFMシステムでは、ポンプの制御が、最高の負荷圧に関連して行われず、ポンプと、減圧弁36,38を制御するための比例ソレノイドとの、制御ユニットにファイリングされた特性線を介して電気的に行われる。このような形式のEFMシステムでは、圧力検出器52を使用することができる。この場合、制御ユニットを介して、ファイリングされた特性線と、ポンプ通路2内のかつ通路22,24内の検出された圧力と、減圧弁の調整とに関連して、調量オリフィス絞りを介した演算上の圧力勾配が、測定された圧力勾配に相当しているかどうかが検出される。この圧力勾配が過度に僅かであり、ポンプ圧が負荷圧にほぼ相当している事例では、このことは、消費器がストッパに移動させられているかまたは負荷が過度に高いことに対する確実な徴候である。この事例では、その後、調量オリフィス絞りが、前述した形式で閉制御され、ポンプ量が、より低負荷の消費器の圧力媒体要求に関連して電子的に減少させられる。すなわち、前述した制御は電気的にもエレクトロハイドロリック的にも実現することができる。
【0059】
基本的に、LSシステム、LUDVシステム、EFMシステムおよびPCシステムは、圧力センサ48,50によって機能する。この場合、LSシステムおよびLUDVシステムでは、方向制御弁8のピストンが戻されさえすればよく、EFMシステムおよびPCシステムでは、付加的にポンプ量が適合されなければならない。付加的なセンサ52が設けられている場合には、択一的な決定基準が使用されてよい。もっとも、このことは、再び全てのシステムに関係している。
【0060】
しかし、EFMシステムは、圧力検出器52なしに本発明による形式で調整されてもよい。これは、たとえばEFM演算の入力量として、消費器を操作するための当初のジョイスティック信号ではなく、減少させられた信号が使用されることによって達成することができる。この減少させられた信号は、前述した最大負荷圧への到達時に減圧弁36,38に付与され、これによって、調量オリフィス絞りが閉鎖される。その後、この信号をベースとして、制御ユニットにファイリングされたポンプ特性線と、並列な消費器の最高の負荷圧とに関連して、ポンプが制御され、これによって、損失が最小限に抑えられる。
【0061】
少なくとも2つのハイドロリック式の消費器を制御するための制御装置および方法が開示されている。この場合、これらの消費器の1つの、予め規定された最大の負荷圧の超過時には、ポンプが、より低負荷の別の消費器の圧力媒体要求に関連して制御される。
【符号の説明】
【0062】
1 方向制御弁エレメント
2 ポンプ通路
4 流入通路
6 個別圧力補償弁
8 方向制御弁
10 圧力補償弁ばね
12 制御管路
14 LS管路
16 圧力補償弁通路
18 流出通路
20 タンク通路
22 送り通路
24 戻し通路
26 LS圧力制限通路
28 LS圧力制限通路
30 LS圧力制限弁
32 LS圧力制限弁
34 制御油返送通路
36 減圧弁
38 減圧弁
40 制御油供給通路
42 制御管路
44 制御管路
46 閉鎖ねじ
48 圧力センサ
50 圧力センサ
52 圧力検出器
54 バイパス通路
56 圧力制限補充弁
58 シャトル弁
60 通路
62 LS通路
a 位置
b 位置
A 作業接続部
B 作業接続部
LS LS接続部
P 圧力接続部
T タンク接続部
X 制御油供給部
Y 制御油返送部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのハイドロリック式の消費器を制御するための制御装置であって、消費器にポンプを介して圧力媒体が供給可能であり、消費器への圧力媒体流路内に、電気的にまたはエレクトロハイドロリック的に調節可能なそれぞれ1つの調量オリフィス絞り(8)が配置されており、該調量オリフィス絞り(8)を介して、消費器への圧力媒体体積流が調整可能である形式のものにおいて、1つの消費器の送り通路(22,24)内での最大負荷圧への到達時にポンプ圧またはポンプ量を1つまたはそれ以上の別の消費器の圧力媒体要求に関連して調整することができる装置が設けられていることを特徴とする、少なくとも2つのハイドロリック式の消費器を制御するための制御装置。
【請求項2】
消費器の負荷圧が、LS管路(14;26,28)によって取り出されていて、LS通路(62)に報知されており、ポンプのポンプ圧が、LS通路(62)内の負荷圧に関連して調整可能である、請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
調量オリフィス絞り(8)にLS個別圧力補償弁(6)またはLUDV個別圧力補償弁(6)が対応配置されている、請求項1または2記載の制御装置。
【請求項4】
LS管路(14;26,28)内にLS圧力制限弁(30,32)が配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の制御装置。
【請求項5】
前記装置が、送り通路圧を検出するための圧力検出器(48,50)を有しており、該圧力検出器(48,50)の出力信号が、制御ユニットを介して、対応配置された調量オリフィス絞り(8)を制御するための作動信号に処理可能である、請求項1から4までのいずれか1項記載の制御装置。
【請求項6】
調量オリフィス絞り(8)が、最大負荷圧への到達時に閉制御可能である、請求項5記載の制御装置。
【請求項7】
閉制御が、予め規定された特性線により行われるようになっている、請求項6記載の制御装置。
【請求項8】
負荷圧最高の消費器の負荷圧信号が、ポンプの制御時に考慮されていないように、前記装置が形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の制御装置。
【請求項9】
ポンプが、電気的にまたはエレクトロハイドロリック的に制御されており、制御ユニットを介して、ポンプ圧を減少させるための量信号が、ポンプに送信可能である、請求項1から8までのいずれか1項記載の制御装置。
【請求項10】
量信号が、調量オリフィス絞り(8)を調節するための信号に関連して発生可能である、請求項9記載の制御装置。
【請求項11】
制御装置が、ポンプ圧を検出するための圧力検出器(52)と、送り通路(22,24)内の負荷圧とポンプ圧とを比較するための比較装置と、ポンプ圧と負荷圧との間の圧力差が、予め規定された値を下回った場合に、負荷最高の消費器の調量オリフィス絞り(8)を閉制御しかつポンプを戻すための制御信号を送信するための装置とを備えている、請求項6、9または10記載の制御装置。
【請求項12】
制御装置が、LSシステム、LUDVシステム、EFMシステムまたはポジティブコントロールシステムとして形成されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の制御装置。
【請求項13】
複数のハイドロリック式の消費器を制御するための方法であって、消費器に、圧力媒体体積流を調整するための電気的にまたはエレクトロハイドロリック的に調節可能なそれぞれ1つの調量オリフィス絞り(8)が対応配置されており、消費器の最高の負荷圧を検出しかつポンプの調整のために使用して、複数のハイドロリック式の消費器を制御するための方法において、1つの消費器の最大負荷圧の超過時にポンプ制御を1つまたはそれ以上の別の消費器の負荷圧に関連して行うことを特徴とする、複数のハイドロリック式の消費器を制御するための方法。
【請求項14】
最大負荷圧の超過時に、負荷圧最高の消費器の調量オリフィス絞り(8)を閉制御する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
消費器の負荷圧が、規定された圧力差、最大負荷圧未満に減少した場合に調量オリフィス絞り(8)の開制御を行う、請求項14記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−534816(P2010−534816A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518594(P2010−518594)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058760
【国際公開番号】WO2009/015999
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】