尿分析装置および尿検体情報処理装置
【課題】尿定性の測定と沈渣の測定のうち、どちらの測定が先に行われても自動的にクロスチェックを実行できる尿分析装置および尿検体情報処理装置を提供する。
【解決手段】尿定性測定部による定性の測定結果は、定性DBに記憶され、尿沈渣測定部による沈渣の測定結果は、沈渣DBに記憶される。尿定性測定部によって検体が測定され、定性の測定結果が得られたとき、沈渣DBに当該検体の沈渣の測定結果が記憶されていれば、当該定性の測定結果と当該沈渣の測定結果とのクロスチェックが実行される。また、尿沈渣測定部によって検体が測定され、沈渣の測定結果が得られたとき、定性DBに当該検体の定性の測定結果が記憶されていれば、当該沈渣の測定結果と当該定性の測定結果とのクロスチェックが実行される。これにより、尿定性測定部の測定と尿沈渣測定部の測定のうち、どちらの測定が先に行われてもクロスチェックが実行され得る。
【解決手段】尿定性測定部による定性の測定結果は、定性DBに記憶され、尿沈渣測定部による沈渣の測定結果は、沈渣DBに記憶される。尿定性測定部によって検体が測定され、定性の測定結果が得られたとき、沈渣DBに当該検体の沈渣の測定結果が記憶されていれば、当該定性の測定結果と当該沈渣の測定結果とのクロスチェックが実行される。また、尿沈渣測定部によって検体が測定され、沈渣の測定結果が得られたとき、定性DBに当該検体の定性の測定結果が記憶されていれば、当該沈渣の測定結果と当該定性の測定結果とのクロスチェックが実行される。これにより、尿定性測定部の測定と尿沈渣測定部の測定のうち、どちらの測定が先に行われてもクロスチェックが実行され得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿定性の測定および尿沈渣の測定を実行する尿分析装置および尿検体情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
尿定性の測定および尿沈渣の測定を実行する尿分析装置が知られている。このような尿分析装置においては、尿定性の測定項目と尿沈渣の測定項目のうち、互いに関連のある測定項目について相互に測定結果チェックするクロスチェックが行われているものがある(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−98219号公報
【特許文献2】特開平9−218197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
尿沈渣は、尿定性の測定の結果、更なる検査が必要と判定された場合にのみ測定されることが多い。このため、尿検査においては、まず尿定性の測定が行われ、その後で尿沈渣の測定が行われる。また、尿定性および尿沈渣の両方の測定結果が揃わないと、クロスチェックを実行できないため、たとえば、特許文献1に記載されているように、尿沈渣の測定結果が得られた後で、自動的にクロスチェックが実行されていた。
【0005】
しかしながら、実際の検査業務においては、尿沈渣の測定後に尿定性の測定が行われることもあった。この場合、従来の尿分析装置では、クロスチェックが自動的に実行されないため、ユーザに負担がかかっていた。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、尿定性の測定と尿沈渣の測定のうち、どちらの測定が先に行われても自動的にクロスチェックを実行できる尿分析装置および尿検体情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、尿分析装置に関する。この態様に係る尿分析装置は、尿定性に関する測定項目を測定する定性測定部と、尿沈渣に関する測定項目を測定する沈渣測定部と、前記定性測定部によって検体を測定して得られた定性測定結果、および、前記沈渣測定部によって検体を測定して得られた沈渣測定結果を記憶する記憶部と、前記定性測定部によって検体が測定され、定性測定結果が得られたとき、前記記憶部に当該検体の沈渣測定結果が記憶されていれば、当該定性測定結果と当該沈渣測定結果とのクロスチェックを実行し、前記沈渣測定部によって検体が測定され、沈渣測定結果が得られたときに、前記記憶部に当該検体の定性測定結果が記憶されていれば、当該沈渣測定結果と当該定性測定結果とのクロスチェックを実行する制御部と、を備える。
【0008】
本態様に係る尿分析装置によれば、定性測定部の測定と沈渣測定部の測定のうち、どちらの測定が先に行われてもクロスチェックが実行され得る。これにより、ユーザの負担を軽減することができる。
【0009】
本態様に係る尿分析装置において、前記制御部は、前記定性測定部によって検体が測定
され、定性測定結果が得られたとき、前記記憶部に記憶された当該検体に対する沈渣測定結果が所定時間内に得られたものであれば、当該定性測定結果と当該沈渣測定結果とのクロスチェックを実行し、前記沈渣測定部によって検体が測定され、沈渣測定結果が得られたとき、前記記憶部に記憶された当該検体に対する定性測定結果が所定時間内に得られたものであれば、当該沈渣測定結果と当該定性測定結果とのクロスチェックを実行するよう構成され得る。こうすると、時間が経過して劣化したような検体に対して行われた測定結果に基づいてクロスチェックが実行されなくなるため、クロスチェックの精度が高く維持され得る。
【0010】
この場合に、本態様に係る尿分析装置は、前記所定時間を設定する設定手段をさらに備えるよう構成され得る。こうすると、ユーザは、設定手段を介して所定時間を設定することができるため、検体の劣化の度合いに対するユーザごとの許容範囲に合わせて、クロスチェックが行われる時間範囲を設定することが可能となる。
【0011】
また、この場合に、前記所定時間は、15分以上60分以下がデフォルト値として設定されているよう構成され得る。所定時間が15分以上に設定されると、沈渣測定部で使用される試薬が切れ、その交換のために、たとえば定性測定から沈渣測定までに10分を要した場合であっても、クロスチェックが実行される。また、所定時間が60分以下に設定されると、沈渣測定までに長時間が経過し、細菌が発生した検体について精度の低いクロスチェックが実行されてしまうことを防止できる。従って、クロスチェックが行われる時間範囲としては、15分以上60分以下が適切であり、このような所定時間が予めセットされていると、ユーザ自身が所定時間を設定する必要がなくなる。また、デフォルト値として設定された所定時間を目安に、簡便に、所定時間を調整することができる。
【0012】
また、本態様に係る尿分析装置において、前記記憶部は、定性測定結果を保持する第1データベースと、沈渣測定結果を保持する第2データベースと、定性測定結果と沈渣測定結果とを組み合わせるための組情報を保持する第3データベースとを記憶し、前記制御部は、前記定性測定部によって検体が測定され、定性測定結果が得られたとき、前記第2データベースに当該検体の沈渣測定結果が記憶されていれば、得られた定性測定結果と記憶された沈渣測定結果とを組み合わせるための組情報を、前記第3のデータベースに記憶し、前記沈渣測定部によって検体が測定され、沈渣測定結果が得られたとき、前記第1データベースに当該検体の定性測定結果が記憶されていれば、得られた沈渣測定結果と記憶された定性測定結果とを組み合わせるための組情報を、前記第3のデータベースに記憶するよう構成され得る。
【0013】
この場合に、前記制御部は、組み合わされた定性測定結果と沈渣測定結果について実行したクロスチェックの結果を更に前記第3データベースに記憶するよう構成され得る。
【0014】
また、本態様に係る尿分析装置は、前記定性測定部から前記沈渣測定部の順に検体を搬送する搬送部をさらに備える構成とされ得る。
【0015】
本発明の第2の態様は、尿検体情報処理装置に関する。この態様に係る尿検体情報処理装置は、前記定性測定部によって検体を測定して得られた定性測定結果、および、前記沈渣測定部によって検体を測定して得られた沈渣測定結果を記憶する記憶部と、前記定性測定部によって検体が測定され、定性測定結果が得られたとき、前記記憶部に当該検体の沈渣測定結果が記憶されていれば、当該定性測定結果と当該沈渣測定結果とのクロスチェックを実行し、前記沈渣測定部によって検体が測定され、沈渣測定結果が得られたときに、前記記憶部に当該検体の定性測定結果が記憶されていれば、当該沈渣測定結果と当該定性測定結果とのクロスチェックを実行するする制御部と、を備える。
【0016】
本態様に係る尿分析装置によれば、上記第1の態様と同様の効果が奏され得る。
【発明の効果】
【0017】
以上のとおり、本発明によれば、尿定性の測定と尿沈渣の測定のうち、どちらの測定が先に行われても自動的にクロスチェックを実行できる尿分析装置および尿検体情報処理装置を提供することができる。
【0018】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態により何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態に係る尿分析装置を含むシステム全体の構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る尿定性測定部、尿沈渣測定部、搬送ユニットおよびホストコンピュータの構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係る情報処理装置の回路構成を示す図である。
【図4】実施の形態に係る定性DBの構成を概念的に示す図および沈渣DBの構成を概念的に示す図である。
【図5】実施の形態に係るマージDBの構成を概念的に示す図およびクロスチェックテーブルの構成を概念的に示す図である。
【図6】実施の形態に係る定性の測定処理時の情報処理装置によるマージ処理を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態に係る沈渣の測定処理時の情報処理装置によるマージ処理を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態に係るマージ処理の例について説明する図である。
【図9】実施の形態に係る情報処理装置による設定処理を示すフローチャートおよびサービス設定画面を示す図である。
【図10】実施の形態に係る尿分析装置による測定の結果を表示するための結果表示画面を示す図である。
【図11】実施の形態に係るマージデータ表示画面を示す図である。
【図12】実施の形態に係る定性の測定結果のみからなるマージデータを表示する場合のマージデータ表示画面を示す図である。
【図13】実施の形態に係るマージデータ表示画面の沈渣結果表示領域の変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本実施の形態は、尿蛋白、尿糖等の検査(尿定性の検査)、および、尿中に含まれる赤血球、白血球、上皮細胞等の検査(尿沈渣の検査)を行う臨床検体分析装置に本発明を適用したものである。尿沈渣の検査は、通常、尿定性の検査が行われた結果、さらに尿沈渣の検査が必要であるとされた検体について行われる。また、尿沈渣の検査が尿定性の検査よりも先に行われる場合や、尿沈渣の検査のみが行われる場合もある。本実施の形態では、異なる検体を収容する複数の検体容器がラックにセットされ、このラックが検体分析装置にセットされて各検体の検査が行われる。
【0021】
以下、本実施の形態に係る尿分析装置について、図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、尿分析装置1を含むシステム全体の構成を示す図である。本実施の形態に係る尿分析装置1は、測定ユニット2と、搬送ユニット30と、情報処理装置40を備えている。
【0023】
測定ユニット2は、尿定性の検査を行う尿定性測定部10と、尿沈渣の検査を行う尿沈渣測定部20とを有している。尿定性測定部10と尿沈渣測定部20は、互いに通信可能に接続されている。また、尿定性測定部10と尿沈渣測定部20は、それぞれ、情報処理装置40と通信可能に接続されている。さらに、尿定性測定部10は、搬送ユニット30と通信可能に接続されている。
【0024】
尿定性測定部10は、複数の測定項目(尿定性測定項目)について検体の測定が可能である。尿定性測定項目には、ブドウ糖(GLU)、蛋白質(PRO)、アルブミン(ALB)、ビリルビン(BIL)、ウロビリノーゲン(URO)、pH(PH)、潜血(BLD)、ケトン体(KET)、亜硝酸塩(NIT)、白血球(LEU)、クレアチニン(CRE)、アルブミン/クレアチニン比(A/C)が含まれる。
【0025】
尿沈渣測定部20は、複数の測定項目(尿沈渣測定項目)について検体の測定が可能である。尿沈渣測定項目には、赤血球(RBC)、白血球(WBC)、上皮細胞(EC)、円柱(CAST)、細菌(BACT)、結晶(X’TAL)、酵母様真菌(YLC)、小型円形細胞(SRC)、細胞成分などを含む病的な円柱(Path.CAST)、粘液糸(MUCUS)、精子(SPERM)、尿導電率(Cond.)、赤血球形態情報(RBC−Info.)、尿濃度情報(Cond.−Info.)、UTI(尿路感染症)情報(UTI−Info.)が含まれる。
【0026】
搬送ユニット30は、尿定性測定部10および尿沈渣測定部20に共通の単一ユニットである。搬送ユニット30は、測定ユニット2の前面に装着されており、搬送路31を備えている。搬送路31は、搬送ユニット30の上面よりも一段低い平板状の底面を有している。搬送路31上を搬送される検体ラック50には、10本の検体容器51を保持できるよう10個の保持部が形成されている。検体容器51は、検体ラック50の保持部に保持されることにより、検体ラック50とともに搬送路31上を搬送される。検体容器51の側面には、検体を特定するためのバーコードラベル(図示せず)が貼付されている。情報処理装置40は、通信回線を介してホストコンピュータ60と通信可能に接続されている。
【0027】
搬送路31は、右側に設けられた四角形の右槽領域31aと、左側に設けられた四角形の左槽領域31cと、右槽領域31aと左槽領域31cを連結する連結領域31bとによって構成される。ユーザによって右槽領域31aの手前側に検体ラック50が載置されると、この検体ラック50は後方(測定ユニット2に近接する方向)に搬送され、右槽領域31aの奥側の端に位置付けられる。しかる後、この検体ラック50は、連結領域31bを左方向に搬送される。
【0028】
バーコードリーダ106は、バーコードリーダ106の手前に位置付けられた検体容器51に貼付されたバーコードラベルからバーコード情報を読み出す。なお、バーコードリーダ106は、後述するように尿定性測定部10の制御部101により制御されている。
【0029】
連結領域31bには、検体ラック50に保持された検体容器51から検体を吸引するための2つの吸引位置が設けられている。一方の吸引位置に位置付けられた検体容器51から、尿定性測定部10に備えられたノズル(図示せず)によって検体が吸引される。他方の吸引位置に位置付けられた検体容器51から、尿沈渣測定部20に備えられたノズル(図示せず)によって検体が吸引される。こうして、連結領域31b上の検体容器51に収容される検体の吸引は、尿定性測定部10と尿沈渣測定部20によって、順に吸引が行われる。
【0030】
全ての検体の吸引が完了した検体ラック50は、連結領域31bに沿って左方向へ搬送
され、左槽領域31cの奥側の端に位置づけられる。左槽領域31cの奥側に位置付けられている検体ラック50は、前方に搬送され、左槽領域31cの手前側に順次位置付けられる。こうして、左槽領域31cの手前に位置付けられた検体ラック50は、ユーザにより取り出される。
【0031】
図2は、尿定性測定部10と、尿沈渣測定部20と、搬送ユニット30と、ホストコンピュータ60の構成を示す図である。
【0032】
尿定性測定部10は、制御部101と、通信部102と、吸引部103と、試験紙供給部104と、検出部105と、バーコードリーダ106を有している。制御部101は、CPU101aと記憶部101bを有している。
【0033】
CPU101aは、記憶部101bに記憶されているコンピュータプログラムを実行すると共に、尿定性測定部10の各部を制御する。また、CPU101aは、通信部102を介して、搬送ユニット30の各部を制御する。記憶部101bは、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶手段を備える。
【0034】
通信部102は、制御部101からの信号を処理して、尿沈渣測定部20と、搬送ユニット30と、情報処理装置40に出力すると共に、尿沈渣測定部20と、搬送ユニット30と、情報処理装置40からの信号を処理して制御部101に出力する。吸引部103は、上述した一方の吸引位置に位置付けられている検体容器51内の検体を、尿定性測定部10のノズルを介して吸引する。試験紙供給部104は、測定に必要な試験紙を、試験紙が収容されている試験紙フィーダから取り出し、取り出した試験紙に吸引部103により吸引された検体を点着させる。検出部105は、検体が点着された試験紙を測定する。かかる測定により得られた測定結果は、制御部101に出力され、CPU101aにより解析される。バーコードリーダ106は、検体容器51に貼付されたバーコードラベルからバーコード情報を読み出し、制御部101に出力する。
【0035】
尿沈渣測定部20は、制御部201と、通信部202と、吸引部203と、試料調製部204と、検出部205を有している。制御部201は、CPU201aと記憶部201bを有している。
【0036】
CPU201aは、記憶部201bに記憶されているコンピュータプログラムを実行すると共に、尿沈渣測定部20の各部を制御する。記憶部201bは、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶手段を備える。
【0037】
通信部202は、制御部201からの信号を処理して、尿定性測定部10と情報処理装置40に出力すると共に、尿定性測定部10と情報処理装置40からの信号を処理して制御部201に出力する。吸引部203は、上述した一方の供給位置に位置付けられている検体容器51内の検体を、尿沈渣測定部20のノズルを介して吸引する。試料調製部204は、吸引部203により吸引された検体と、測定に必要な試薬とを混合攪拌し、検出部205による測定用の試料を調製する。検出部205は、試料調製部204により調製された試料を、フローサイトメータにより測定する。かかる測定により得られた測定結果は、制御部201に出力される。
【0038】
搬送ユニット30は、通信部301と、搬送駆動部302と、センサ部303を有している。通信部301は、尿定性測定部10からの信号を処理して、搬送ユニット30の各部に出力すると共に、搬送ユニット30の各部からの信号を処理して、尿定性測定部10に出力する。搬送駆動部302は、尿定性測定部10のCPU101aにより制御される。センサ部303は、搬送ユニット30に設けられた各種センサを含み、これらのセンサ
からの出力信号を、通信部301を介して尿定性測定部10に出力する。
【0039】
ホストコンピュータ60は、制御部601と通信部602を有している。制御部601は、CPU601aと記憶部601bを有している。CPU601aは、記憶部601bに記憶されているコンピュータプログラムを実行すると共に、情報処理装置40から定性オーダと沈渣オーダの問い合わせを受け付けると、それぞれ、記憶部601bに記憶している定性オーダと沈渣オーダを返す。また、CPU601aは、情報処理装置40を介して尿定性測定部10から受信した測定結果と、記憶部601bに記憶している測定要否の基準とに基づいて、尿沈渣測定部20の沈渣オーダを決定する。記憶部601bは、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶手段を備える。
【0040】
図3は、情報処理装置40の回路構成を示す図である。
【0041】
情報処理装置40は、パーソナルコンピュータからなり、本体400と、入力部410と、表示部420から構成されている。本体400は、CPU401と、ROM402と、RAM403と、ハードディスク404と、読出装置405と、入出力インターフェース406と、画像出力インターフェース407と、通信インターフェース408を有する。
【0042】
CPU401は、ROM402に記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM403にロードされたコンピュータプログラムを実行する。また、CPU401は、尿定性測定部10と尿沈渣測定部20から受信した定性オーダと沈渣オーダの問い合わせに基づいて、ホストコンピュータ60に定性オーダと沈渣オーダの問い合わせを行う。また、CPU401は、ホストコンピュータ60から受信した定性オーダと沈渣オーダを、それぞれ、尿定性測定部10と尿沈渣測定部20に送信する。
【0043】
RAM403は、ROM402およびハードディスク404に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM403は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401の作業領域としても利用される。
【0044】
ハードディスク404には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU401に実行させるための種々のコンピュータプログラムと、コンピュータプログラムの実行に用いるデータが記憶されている。また、ハードディスク404には、サービス設定画面D1(図9(b)参照)と、結果表示画面D2(図10参照)と、マージデータ表示画面D3(図11、12参照)を表示するためのプログラムがインストールされている。
【0045】
また、ハードディスク404には、尿定性測定部10による定性の測定結果(定性測定結果)が記憶される定性DB(データベース)(図4(a)参照)と、尿沈渣測定部20による沈渣の測定結果(沈渣測定結果)が記憶される沈渣DB(図4(b)参照)と、定性測定結果と沈渣測定結果に基づくマージDB(図5(a)参照)と、クロスチェックテーブル(図5(b)参照)が記憶されている。
【0046】
読出装置405は、CDドライブまたはDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムおよびデータを読み出すことができる。入出力インターフェース406には、マウスやキーボードからなる入力部410が接続されており、ユーザが入力部410を使用することにより、情報処理装置40にデータが入力される。画像出力インターフェース407は、ディスプレイ等で構成された表示部420に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部420に出力する。表示部420は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。また、通信インターフェース40
8により、尿定性測定部10と、尿沈渣測定部20と、ホストコンピュータ60に対してデータの送受信が可能となる。
【0047】
図4(a)は、定性DBの構成を概念的に示す図である。
【0048】
図示の如く、定性DBには、ナンバー項目と、検体番号項目と、測定日付項目と、測定時刻項目と、複数の定性の測定結果項目が含まれている。ナンバー項目には、レコード(行)を一意的に特定するための番号が記憶される。検体番号項目には、検体ごとに付与されている検体番号が記憶される。測定日付項目と測定時刻項目には、尿定性測定部10による測定が行われた日時が記憶される。測定結果項目には、尿定性測定部10の測定により得られる複数の定性の測定結果が記憶される。
【0049】
なお、定性DBの各項目は、過去の履歴を残しながら記憶される。すなわち、定性DBは、複数行を有しており、当該複数行を超えない情報については、新たな情報がインプットされたとしても消去されることはない。
【0050】
図4(b)は、沈渣DBの構成を概念的に示す図である。
【0051】
図示の如く、沈渣DBには、ナンバー項目と、検体番号項目と、測定日付項目と、測定時刻項目と、複数の沈渣の測定結果項目が含まれている。ナンバー項目には、レコード(行)を一意的に特定するための番号が記憶される。検体番号項目には、検体ごとに付与されている検体番号が記憶される。測定日付項目と測定時刻項目には、尿沈渣測定部20による測定が行われた日時が記憶される。測定結果項目には、尿沈渣測定部20の測定により得られる複数の沈渣の測定結果が記憶される。
【0052】
なお、沈渣DBの各項目は、過去の履歴を残しながら記憶される。すなわち、沈渣DBは、複数行を有しており、当該複数行を超えない情報については、新たな情報がインプットされたとしても消去されることはない。
【0053】
図5(a)は、マージDBの構成を概念的に示す図である。
【0054】
図示の如く、マージDBには、ナンバー項目と、定性ナンバー項目と、沈渣ナンバー項目と、クロスチェック結果項目が含まれている。ナンバー項目には、レコード(行)を一意的に特定するための番号が記憶される。測定日付項目と測定時刻項目には、マージDBにレコードが作成された日時が記憶される。定性ナンバー項目と沈渣ナンバー項目には、それぞれ、定性DBのナンバー項目の番号と沈渣DBのナンバー項目の番号が記憶される。なお、対応する定性DBのナンバー項目または沈渣DBのナンバー項目がない場合には、定性ナンバー項目または沈渣ナンバー項目には、0が記憶される。
【0055】
なお、マージDBの各項目は、過去の履歴を残しながら記憶される。すなわち、マージDBは、複数行を有しており、当該複数行を超えない情報については、新たな情報がインプットされたとしても消去されることはない。
【0056】
なお、マージDBの各レコードにおいて、定性ナンバー項目に記憶される定性DBのナンバー項目の番号と、沈渣ナンバー項目に記憶される沈渣DBのナンバー項目の番号との組み合わせが、「組情報」に相当する。
【0057】
クロスチェック結果項目には、定性ナンバー項目の番号により定性DBから得られる定性の測定結果と、沈渣ナンバー項目の番号により沈渣DBから得られる沈渣の測定結果とに基づいて行われるクロスチェックの結果が適宜記憶される。クロスチェックが行われた
結果、図5(b)のクロスチェックテーブルの何れかのチェック対象(チェック項目)について、定性の測定結果と沈渣の測定結果との間に不適合な関係(エラー)があると、当該チェック項目に対応するクロスチェックテーブルのナンバー項目の番号が、クロスチェック結果項目に記憶される。クロスチェック結果項目には、一つのレコード(行)に対して、エラーと判定されたクロスチェックテーブルのナンバー項目の番号を書き込むための欄が10個準備されている。クロスチェックテーブルのナンバー項目の番号が書き込まれない欄には0が記憶される。
【0058】
図5(b)は、クロスチェックテーブルの構成を概念的に示す図である。
【0059】
図示の如く、クロスチェックテーブルには、ナンバー項目と、対象項目と、詳細項目が含まれている。ナンバー項目には、レコード(行)を一意的に特定するための番号が記憶される。対象項目には、尿定性測定部10の測定項目と尿沈渣測定部20の測定項目との組み合わせ、すなわち、クロスチェックの対象となる定性の測定項目と沈渣の測定項目(チェック項目)が記憶される。詳細項目には、クロスチェックの対象となる定性の測定項目の測定結果と沈渣の測定項目の測定結果が、所定の関係にあるか否かを判定するために用いられる情報が記憶されている。
【0060】
たとえば、クロスチェックテーブルの番号3の詳細項目には、図5(c)に示す判定基準を設定するための情報が記憶されている。図5(c)において、横軸は定性の測定結果における“CAST”の測定値のレベル、縦軸は沈渣の測定結果における“PRO”の測定値のレベルである。この場合、“CAST”の測定値のレベルと“PRO”の測定値のレベルの交点が白塗りの枠(ノーマル)の位置にあれば、“CAST”の測定値のレベルと“PRO”の測定値のレベルは互いに適合する関係(正常)にあると判定され、交点が黒塗りの枠(エラー)の位置にあれば、“CAST”の測定値のレベルと“PRO”の測定値のレベルは互いに不適合な関係(エラー)にあると判定される。クロスチェックテーブルの他のチェック項目も同様に判定される。
【0061】
クロスチェックが行われる際には、定性の測定結果と沈渣の測定結果に対して、クロスチェックテーブルの対象項目に示される2つの測定項目が、詳細項目に示される判定基準に照らし合わせられ、両者が不適合な関係にあるか否かが判定される。不適合な関係にあると、当該チェック項目に対応するクロスチェックテーブルのナンバー項目の番号が、マージDBのクロスチェック結果項目に記憶される。
【0062】
図6は、定性の測定処理時の情報処理装置40によるマージ処理を示すフローチャートである。
【0063】
情報処理装置40のCPU401は、尿定性測定部10から受信した定性オーダの問い合わせに基づいて、ホストコンピュータ60に定性オーダの問い合わせを送信すると、ホストコンピュータ60から問い合わせ結果(定性オーダ)を受信するまで処理を待機させる(S101)。CPU401は定性オーダを受信すると(S101:YES)、受信した定性オーダを尿定性測定部10に送信すると共に、この定性オーダに含まれる測定要否に基づいて、尿定性測定部10による測定の必要があるか否かを判定する(S102)。
【0064】
尿定性測定部10による測定の必要がある場合(S102:YES)、CPU401は、定性DBに新規レコードを作成する(S103)。この新規レコードでは、ナンバー項目に一意的な番号が記憶され、検体番号項目に定性オーダに含まれる検体番号が記憶され、これら2つの項目以外の項目は空である。
【0065】
続いて、CPU401は、尿定性測定部10による測定が終了し、尿定性測定部10か
ら定性の測定結果を受信するまで処理を待機させる(S104)。CPU401は、定性の測定結果を受信すると(S104:YES)、受信した定性の測定結果を、定性DBに記憶する(S105)。すなわち、S103で作成したレコードの測定日付と測定時刻に、受信した定性の測定結果に含まれる測定日時が記憶される。また、S103で作成したレコードの測定結果項目に、受信した定性の測定結果に含まれる対応する測定結果が記憶される。
【0066】
続いて、CPU401は、受信した定性の測定結果に含まれる検体番号と同一の検体番号であって、現在時刻から遡って設定時間内の沈渣の測定結果が、沈渣DBに記憶されているか否かを判定する(S106)。なお、設定時間については、追って図9(a)、(b)を参照して説明する。このような沈渣の測定結果があると(S106:YES)、処理がS107に進められ、このような沈渣の測定結果がないと(S106:NO)、処理がS111に進められる。
【0067】
S106でYESと判定されると、CPU401は、受信した定性の測定結果と、このような沈渣の測定結果のうち最新の沈渣の測定結果からクロスチェックを行う(S107)。かかるクロスチェックの判定には、図5(b)に示したクロスチェックテーブルが用いられる。
【0068】
続いて、CPU401は、この定性の測定結果へのリンクと、最新の沈渣の測定結果へのリンクと、S107で行ったクロスチェック結果を、マージDBに記憶する(S108)。すなわち、CPU401により、マージDBに新規レコードが作成され、このレコードの測定日付と測定時刻には、この新規レコードを作成した時刻が記憶される。また、このレコードの定性ナンバー項目と沈渣ナンバー項目には、それぞれ、クロスチェックに用いた定性の測定結果を示す定性DBのナンバー項目の番号と、クロスチェックに用いた沈渣の測定結果を示す沈渣DBのナンバー項目の番号が記憶される。また、このレコードのクロスチェック結果項目には、クロスチェックの結果が適宜記憶される。
【0069】
次に、尿定性測定部10による測定の必要がない場合(S102:NO)、CPU401は、受信した定性の測定結果に含まれる検体番号と同一の検体番号であって、現在時刻から遡って設定時間内の沈渣の測定結果が、沈渣DBに記憶されているか否かを判定する(S109)。このような沈渣の測定結果があると(S109:YES)、処理がS110に進められ、このような沈渣の測定結果がないと(S109:NO)、処理がS111に進められる。
【0070】
S109でYESと判定されると、CPU401は、このような沈渣の測定結果のうち最新の沈渣の測定結果へのリンクを、マージDBに記憶する(S110)。すなわち、CPU401により、マージDBに新規レコードが作成され、このレコードの測定日付と測定時刻には、この新規レコードを作成した時刻が記憶される。また、このレコードの沈渣ナンバー項目には、このような沈渣の測定結果のうち最新の沈渣の測定結果を示す沈渣DBのナンバー項目の番号が記憶される。また、このレコードの定性ナンバー項目とクロスチェック結果項目には0が格納される。
【0071】
CPU401は、ユーザにより情報処理装置40のシャットダウン処理が行われないと(S111:NO)、S101〜S110の処理を繰り返し、シャットダウン処理が行われると(S111:YES)、処理を終了させる。
【0072】
図7は、沈渣の測定処理時の情報処理装置40によるマージ処理を示すフローチャートである。
【0073】
情報処理装置40のCPU401は、尿沈渣測定部20から受信した沈渣オーダの問い合わせに基づいて、ホストコンピュータ60に沈渣オーダの問い合わせを送信すると、ホストコンピュータ60から問い合わせ結果(沈渣オーダ)を受信するまで処理を待機させる(S201)。CPU401は沈渣オーダを受信すると(S201:YES)、受信した沈渣オーダを尿沈渣測定部20に送信すると共に、この沈渣オーダに含まれる測定要否に基づいて、尿沈渣測定部20による測定の必要があるか否かを判定する(S202)。
【0074】
尿沈渣測定部20による測定の必要がある場合(S202:YES)、CPU401は、沈渣DBに新規レコードを作成する(S203)。この新規レコードでは、ナンバー項目に一意的な番号が記憶され、検体番号項目に沈渣オーダに含まれる検体番号が記憶され、これら2つの項目以外の項目は空である。
【0075】
続いて、CPU401は、尿沈渣測定部20による測定が終了し、尿沈渣測定部20から沈渣の測定結果を受信するまで処理を待機させる(S204)。CPU401は、沈渣の測定結果を受信すると(S204:YES)、受信した沈渣の測定結果を、沈渣DBに記憶する(S205)。すなわち、S203で作成したレコードの測定日付と測定時刻に、受信した沈渣の測定結果に含まれる測定日時が記憶される。また、S203で作成したレコードの測定結果項目に、受信した沈渣の測定結果に含まれる対応する測定結果が記憶される。
【0076】
続いて、CPU401は、受信した沈渣の測定結果に含まれる検体番号と同一の検体番号であって、現在時刻から遡って設定時間内の定性の測定結果が、定性DBに記憶されているか否かを判定する(S206)。このような定性の測定結果があると(S206:YES)、処理がS207に進められ、このような定性の測定結果がないと(S206:NO)、処理がS211に進められる。
【0077】
S206でYESと判定されると、CPU401は、このような定性の測定結果のうち最新の定性の測定結果と、受信した沈渣の測定結果からクロスチェックを行う(S207)。かかるクロスチェックの判定には、図5(b)に示したクロスチェックテーブルが用いられる。
【0078】
続いて、CPU401は、最新の定性の測定結果へのリンクと、この沈渣の測定結果へのリンクと、S207で行ったクロスチェック結果を、マージDBに記憶する(S208)。すなわち、CPU401により、マージDBに新規レコードが作成され、このレコードの測定日付と測定時刻には、この新規レコードを作成した時刻が記憶される。また、このレコードの定性ナンバー項目と沈渣ナンバー項目には、それぞれ、クロスチェックに用いた定性の測定結果を示す定性DBのナンバー項目の番号と、クロスチェックに用いた沈渣の測定結果を示す沈渣DBのナンバー項目の番号が記憶される。また、このレコードのクロスチェック結果項目には、クロスチェックの結果が適宜記憶される。
【0079】
次に、尿沈渣測定部20による測定の必要がない場合(S202:NO)、CPU401は、受信した沈渣の測定結果に含まれる検体番号と同一の検体番号であって、現在時刻から遡って設定時間内の定性の測定結果が、定性DBに記憶されているか否かを判定する(S209)。このような定性の測定結果があると(S209:YES)、処理がS210に進められ、このような定性の測定結果がないと(S209:NO)、処理がS211に進められる。
【0080】
S209でYESと判定されると、CPU401は、このような定性の測定結果のうち最新の定性の測定結果へのリンクを、マージDBに記憶する(S210)。すなわち、CPU401により、マージDBに新規レコードが作成され、このレコードの測定日付と測
定時刻には、この新規レコードを作成した時刻が記憶される。また、このレコードの定性ナンバー項目には、このような定性の測定結果のうち最新の定性の測定結果を示す定性DBのナンバー項目の番号が記憶される。また、このレコードの沈渣ナンバー項目とクロスチェック結果項目には0が格納される。
【0081】
CPU401は、ユーザにより情報処理装置40のシャットダウン処理が行われないと(S211:NO)、S201〜S210の処理を繰り返し、シャットダウン処理が行われると(S211:YES)、処理を終了させる。
【0082】
図8(a)は、マージ処理の例について説明する図である。
【0083】
図8(a)において、縦軸は時間を示しており、情報処理装置40が時間軸に沿って、定性の測定結果A1、A2と沈渣の測定結果B1、B2を受信したことを示している。なお、これらの測定は全て同一検体に対して行われたものであり、測定が行われた日時と、情報処理装置40が測定結果を受信した日時は同じであるとする。また、測定結果A1と測定結果B1の得られた時間差はΔt1であり、測定結果A1と測定結果B2の得られた時間差はΔt2であり、測定結果B2と測定結果A2の得られた時間差はΔt3であるとする。また、Δt1とΔt2は上記設定時間よりも小さく、Δt3は上記設定時間よりも大きいとする。
【0084】
測定結果A1と測定結果B1は、当該検体を収容した検体容器51が、検体ラック50に保持されて、搬送ユニット30により、最初に搬送経路を搬送されたときに得られたものである。測定結果B2は、当該検体を収容した検体容器51が、検体ラック50に保持されて、搬送ユニット30により、2回目に搬送経路を搬送されたときに得られたものである。この場合、ホストコンピュータ60には、当該検体に対し、尿沈渣の測定のみを行うオーダが登録される。測定結果A2は、当該検体を収容した検体容器51が、検体ラック50に保持されて、搬送ユニット30により、3回目に搬送経路を搬送されたときに得られたものである。この場合、ホストコンピュータ60には、当該検体に対し、尿定性の測定のみを行うオーダが登録される。
【0085】
図8(a)を参照して、ホストコンピュータ60に定性オーダの問い合わせが行われた結果、定性の測定が必要であると判定されると、この検体について定性の測定が行われ、測定結果A1が得られる。測定結果A1が得られた時点で、それ以前に同一検体の沈渣の測定は行われていないため、クロスチェックは行われず、測定結果A1に基づくマージDBへのレコードの追加も行われない。
【0086】
続いて、この検体について、ホストコンピュータ60に沈渣オーダの問い合わせが行われる。測定結果A1に基づきホストコンピュータ60が沈渣の測定が必要であると判定すると、この検体について沈渣の測定を行う旨のオーダが情報処理装置40に送信される。これにより、沈渣の測定が行われ、測定結果B1が得られる。測定結果B1が得られた時点で、Δt1だけ前に測定結果A1が得られているため、測定結果A1、B1に基づいてクロスチェックが行われ、マージDBへのレコードの追加が行われる。
【0087】
続いて、ユーザは、沈渣の測定のみを再度行うために、ホストコンピュータ60に対して、この検体について沈渣の測定のみが行われるよう定性オーダと沈渣オーダを設定する。そして、ユーザは、この検体を右槽領域31aに再びセットし、測定を開始させる。しかる後に、ホストコンピュータ60に定性オーダと沈渣のオーダが問い合わされた結果、この検体について定性の測定は行われず、沈渣の測定のみが行われ、測定結果B2が得られる。測定結果B2が得られた時点で、Δt2だけ前に測定結果A1が得られているため、測定結果A1、B2に基づいてクロスチェックが行われ、マージDBへのレコードの追
加が行われる。これにより、マージDBにおいて、測定結果A1、B1に基づくレコードと、測定結果A1、B2に基づくレコードの両方が記憶された状態となる。
【0088】
続いて、ユーザは、定性の測定のみを再度行うために、ホストコンピュータ60に定性オーダと沈渣オーダを設定する。ホストコンピュータ60に定性オーダが問い合わされた結果、この検体について定性の測定が行われ、測定結果A2が得られる。次に、ホストコンピュータ60に沈渣オーダが問い合わされ、この検体について沈渣の測定は行われない旨の応答がなされる。これにより、沈渣の測定はスキップされる。測定結果A2が得られた時点で、測定結果B2は上記設定時間よりも大きなΔt3だけ前に得られたものであるため、測定結果A2、B2に基づいてクロスチェックは行われず、マージDBへのレコードの追加も行われない。
【0089】
図8(b)は、図8(a)の測定結果B1が得られるタイミングで、ホストコンピュータ60に沈渣オーダの問い合わせが行われた結果、沈渣の測定が不要であると判定された場合を示す図である。
【0090】
この場合、沈渣の測定が不要であると判定された時点において、Δt1だけ前に測定結果A1が得られているため、測定結果A1のみに基づいて、マージDBへのレコードの追加が行われる。このとき、マージDBに追加されるレコードには、図5(a)に示すように、沈渣ナンバー項目と全てのクロスチェック結果項目に0が記憶される。
【0091】
図9(a)は、情報処理装置40による設定処理を示すフローチャートである。
【0092】
情報処理装置40のCPU401は、ユーザにより入力部410を介して、サービス設定画面D1の表示指示が行われたかを判定する(S301)。サービス設定画面D1の表示指示が行われると(S301:YES)、CPU401は、後述する設定項目の設定内容をハードディスク404から読み出し、表示部420にサービス設定画面D1を表示する(S302)。
【0093】
図9(b)は、サービス設定画面D1を示す図である。サービス設定画面D1は、設定項目表示領域D11と、入力領域D12と、OKボタンD13と、キャンセルボタンD14を有している。
【0094】
設定項目表示領域D11には、変更可能な情報処理装置40の複数の設定項目が表示される。設定項目表示領域D11に表示される設定項目には、図6のS106と図7のS206で用いられる設定時間が含まれている。ユーザにより設定項目表示領域D11内の設定項目がクリックされると、クリックされた項目が図9(b)に示すように反転表示され、この設定項目の設定内容が入力領域D12に表示される。図9(b)において反転表示されている設定項目は、図6のS106と図7のS206で用いられる設定時間に関する項目である。ユーザは、入力領域D12に表示される内容を書き換え、OKボタンD13をクリックすることにより、設定項目の内容を変更することができる。
【0095】
ここで、本実施の形態における設定時間のデフォルト値(初期状態の値)は、30(分)に設定されている。設定時間のデフォルト値は、尿定性測定部10の測定と尿沈渣測定部20の測定の間に、試薬や試験紙が交換されたとしても、クロスチェックが行われる程度に設定されるのが望ましい。すなわち、試薬や試験紙が交換されるのに要すると想定される時間(たとえば、15分)以上に設定されるのが望ましい。また、設定時間のデフォルト値は、測定結果の精度が保たれる程度に設定されるのが望ましい。すなわち、時間が経過して劣化した検体の測定結果は精度が低いと考えられるため、このような測定結果に基づいてクロスチェックが行われないよう、測定結果の精度が保たれると考えられる時間
(たとえば、60分)以下に設定されるのが望ましい。
【0096】
なお、設定時間が0に設定されると、図6のS106と図7のS206において、必ずNOと判定されるため、クロスチェックは行われなくなる。
【0097】
図9(a)に戻り、サービス設定画面D1が表示されると(S302)、情報処理装置40のCPU401は、OKボタンD13またはキャンセルボタンD14がクリックされるまで処理を待機させる。OKボタンD13がクリックされると(S303:YES)、CPU401は、ユーザにより書き換えられた設定内容をハードディスク404に記憶する(S304)。キャンセルボタンD14がクリックされると(S303:NO、S305:YES)、処理がS306に進められる。
【0098】
CPU401は、ユーザにより情報処理装置40のシャットダウン処理が行われないと(S306:NO)、S301〜S305の処理を繰り返し、シャットダウン処理が行われると(S306:YES)、処理が終了する。
【0099】
図10は、尿分析装置1による測定の結果を表示するための結果表示画面D2を示す図である。結果表示画面D2は、ユーザの表示指示により表示部420に表示される。
【0100】
結果表示画面D2は、リスト表示領域D21と、切替タブD22a〜D22dと、患者情報表示領域D23と、表示ボタンD24を有している。
【0101】
リスト表示領域D21は、切替タブD22a〜D22dのうち選択されている切替タブに応じて、表示が切り替わるよう構成されている。図10は、切替タブD22cが選択され、マージDBに基づくマージデータが表示されている状態を示している。この状態におけるリスト表示領域D21には、種別項目と、定性項目と、沈渣項目と、検体番号項目と、測定日付項目と、測定時刻項目と、複数の測定結果項目が表示されている。
【0102】
種別項目には、“FIN”または“CHK”の文字列が表示される。“FIN”が表示されてい
るとき、この行で示されるマージデータは、クロスチェック結果項目にエラーとされたチェック項目が無い(全て0)ことを示している。“CHK”が表示されているとき、この行
で示されるマージデータは、クロスチェック結果項目にエラーとされたチェック項目があることを示している。
【0103】
定性項目と沈渣項目には、それぞれ、尿定性測定部10と尿沈渣測定部20による測定に関する情報が表示される。これらの項目に“Comp”が表示されているとき、この行で示されるマージデータは、測定結果が正常に得られていることを示している。
【0104】
検体番号項目には、この行で示されるマージデータの元となった検体番号が表示される。測定日付項目と測定時刻項目には、マージDBの測定日付項目と測定時刻項目が表示される。測定結果項目は、定性の全ての測定項目と沈渣の全ての測定項目を含んでおり、定性の測定結果と沈渣の測定結果が表示される。
【0105】
切替タブD22a〜D22cがクリックされると、リスト表示領域D21には、それぞれ、定性DBに基づく定性の測定結果と、沈渣DBに基づく沈渣の測定結果と、マージDBに基づくマージデータが表示される。切替タブD22dがクリックされると、リスト表示領域D21には、切替タブD22a〜D22cがクリックされたときに表示される情報の全てが表示される。
【0106】
患者情報表示領域D23には、リスト表示領域D21においてクリックされた行の検体
番号から得られる患者情報が表示される。リスト表示領域D21に図10に示すようにマージデータが表示されている場合に、リスト表示領域D21内の行をクリックし、図示の如く反転表示した状態で、表示ボタンD24がクリックされると、この行に示すマージデータの詳細がマージデータ表示画面D3に表示される。
【0107】
図11は、マージデータ表示画面D3を示す図である。なお、図11のマージデータ表示画面D3には、図10のリスト表示領域D21の上から5行目のマージデータが表示されている。
【0108】
マージデータ表示画面D3は、検体情報表示領域D31と、患者情報表示領域D32と、定性結果表示領域D33と、沈渣結果表示領域D34、D35と、クロスチェック結果表示領域D36を有している。
【0109】
検体情報表示領域D31には、マージデータ表示画面D3に表示されている測定結果の元となった検体の情報が表示される。患者情報表示領域D32には、この検体を採取した患者情報が表示される。
【0110】
定性結果表示領域D33には、定性の測定結果一覧が表示される。沈渣結果表示領域D34には、沈渣の測定結果一覧が表示される。沈渣結果表示領域D35には、沈渣の測定結果がスキャッタグラムで表示される。クロスチェック結果表示領域D36には、このマージデータに対して行われたクロスチェックの結果が表示される。エラーとされたクロスチェックが無い場合には、クロスチェック結果表示領域D36は空欄となる。
【0111】
図12は、定性の測定結果のみからなるマージデータを表示する場合のマージデータ表示画面D3を示す図である。なお、図12のマージデータ表示画面D3には、図10のリスト表示領域D21の上から4行目のマージデータが表示されている。
【0112】
この場合のマージデータ表示画面D3には、図11に示すマージデータ表示画面D3と異なり、沈渣の測定結果が含まれないため、沈渣結果表示領域D34、D35はグレーに表示される。また、クロスチェックも行われていないため、クロスチェック結果表示領域D36もグレーに表示される。
【0113】
なお、沈渣の測定結果のみからなるマージデータを表示する場合には、沈渣結果表示領域D34、D35に沈渣の測定結果が表示され、定性結果表示領域D33とクロスチェック結果表示領域D36はグレーに表示される。
【0114】
以上、本実施の形態によれば、定性の測定結果が得られたときに、同一検体番号であって、設定時間内の沈渣の測定結果が沈渣DBに記憶されていれば、これら測定結果に基づいてクロスチェックが行われる。また、沈渣の測定結果が得られたときに、同一検体番号であって、設定時間内の定性の測定結果が定性DBに記憶されていれば、これら測定結果に基づいてクロスチェックが行われる。これにより、尿定性測定部10の測定と尿沈渣測定部20の測定のうち、どちらの測定が先に行われてもクロスチェックが実行され得る。
【0115】
さらに、定性の測定結果が得られたときに、沈渣DBに記憶された沈渣の測定結果が設定時間内に得られたものであれば、クロスチェックが行われる。また、沈渣の測定結果が得られたときに、定性DBに記憶された定性の測定結果が設定時間内に得られたものであれば、クロスチェックが行われる。これにより、時間が経過して劣化したような検体に対して行われた測定結果に基づいてクロスチェックが実行されなくなるため、クロスチェックの精度が高く維持され得る。
【0116】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態はこれらに限定されるものではない。
【0117】
たとえば、上記実施の形態では、ホストコンピュータ60から送信される定性オーダと沈渣オーダにより、それぞれ、尿定性測定部10と尿沈渣測定部20における測定が行われるか否かが決定された。しかしながら、これに限らず、ユーザにより、尿定性測定部10と尿沈渣測定部20で測定が行われるか否かが決定されるようにしても良い。
【0118】
この場合、ユーザは、情報処理装置40の入力部410(図3参照)を介して、ホストコンピュータ60に対してオーダを問い合わせることなく測定が行われるような設定を、情報処理装置40に対して行う。このとき、ユーザは、尿定性の測定と尿沈渣の測定の何れを行うか、また、どのような項目について測定を行うかを、併せて設定する。この設定は、検体ごとではなく検体ラック50ごとに行われる。これにより、検体ラック50ごとに、尿定性の測定と尿沈渣の測定のうち何れかの測定のみが行われようになる。かかる設定の後、ユーザが検体容器51を保持した検体ラック50を右槽領域31aにセットして測定を開始させると、当該検体に対して、尿定性の測定と尿沈渣の測定のうち何れかの測定のみが行われる。
【0119】
また、ユーザは、尿沈渣測定部20によるマニュアル測定が行われるよう、情報処理装置40に設定を行うことにより、尿沈渣の測定のみを行うこともできる。この場合、尿沈渣測定部20の前方に設けられたマニュアル測定のためのセット位置に、ユーザにより検体容器51がセットされる。マニュアル測定が実行されると、このセット位置に尿沈渣測定部20のノズルが移動し、この位置から検体が吸引される。これにより、搬送路31上の他の検体よりも優先的に尿沈渣測定部20による測定を行うことができるようになる。
【0120】
このように、尿分析装置1では、尿定性測定部10と尿沈渣測定部20の何れか一方のみにより測定を行うことができるため、ユーザは、適宜、尿定性の測定と尿沈渣の測定を行うことができる。すなわち、尿沈渣測定部20により検体の測定が行われた後、尿定性測定部10により、この検体の測定を行うこともできる。また、上記実施の形態で示したように尿定性測定部10と尿沈渣測定部20により順に測定が行われた後、さらに尿定性測定部10または尿沈渣測定部20により測定を行うことができる。このような場合も、上記実施の形態と同様、定性の測定結果と沈渣の測定結果が、それぞれ、定性DBと沈渣DBに記憶され、図6、7に示したマージ処理が行われるようにしても良い。この場合、図6のS101と図7のS201がそれぞれ省略され、検体に対する処理の際に、情報処理装置40に対するユーザからの設定に応じて、図6のS102と図7のS202の判断が行われる。なお、マニュアル測定の場合は、必ず尿沈渣の測定が行われるため、図7のS202の判定は常にYESである。したがって、マニュアル測定の場合は、S203以降の処理が行われる。
【0121】
また、上記実施の形態では、測定対象として尿を例示したが、血液についても測定対象とされ得る。すなわち、血液を検査する検体分析装置にも本発明を適用することができ、さらに、他の臨床検体を検査する臨床検体分析装置に本発明を適用することもできる。
【0122】
また、上記実施の形態では、尿沈渣測定部20の測定は、フローサイトメータを用いて行われたが、これに限らず、尿沈渣測定部20の測定は、尿検体が撮像され、撮像された沈渣画像が解析されることにより行われるようにしても良い。この場合、図11、12の沈渣結果表示領域D35に表示されているスキャッタグラムに替えて、撮像された沈渣画像を含む沈渣結果表示領域D35’(図13参照)が表示されるようにしても良い。また、図11、12の沈渣結果表示領域D35に表示されているスキャッタグラムと共に、沈渣結果表示領域D35’が表示されるようにしても良い。このように、沈渣結果表示領域
D35’が表示されると、ユーザは、同一検体について、測定結果の組み合わせを沈渣画像とともに比較することができ、当該検体に対する測定結果をより適正に評価することができる。
【0123】
また、上記実施の形態では、マージDBには、定性DBと沈渣DBのナンバー項目の番号が記憶されたが、これに限らず、マージDBには、互いに組み合わされる定性の測定結果と沈渣の測定結果が直接記憶されるようにしても良い。また、マージDBに、組み合わせ対象となる定性と沈渣の測定日時等の情報が記憶されるようにしても良い。このような形態でマージDBに記憶される情報も、「組情報」に相当する。すなわち、請求項に記載の「組情報」は、互いに組み合わされる定性の測定結果と沈渣の測定結果を抽出できるものであれば、如何なる情報であっても良い。なお、このように、図5(a)の定性DBと沈渣DBのナンバー項目に代えて、定性と沈渣の測定結果や測定日時を記憶する場合、測定結果の組み合わせや測定日時の組み合わせからは、組み合わせ対象の検体が特定できない。このため、これらの場合には、マージDBの各レコードに、検体番号を含める必要がある。
【0124】
また、上記実施の形態では、定性の測定結果が得られたときに、沈渣DBに記憶された沈渣の測定結果が設定時間内に得られたものでなければ、組情報がマージDBに記憶されず、また、沈渣の測定結果が得られたときに、定性DBに記憶された定性の測定結果が設定時間内に得られたものでなければ、組情報がマージDBに記憶されなかった。しかしながら、これに替えて、定性の測定結果が得られたときに、沈渣DBに沈渣の測定結果が記憶されていれば、沈渣の測定結果が取得された時間にかかわらず、得られた定性の測定結果と沈渣DBに記憶された最新の沈渣の測定結果とから組情報を作成し、作成した組情報をマージDBに記憶するようにしても良い。同様に、沈渣の測定結果が得られたときに、定性DBに定性の測定結果が記憶されていれば、定性の測定結果が取得された時間にかかわらず、得られた沈渣の測定結果と定性DBに記憶された最新の定性の測定結果とから組情報を作成し、作成した組情報をマージDBに記憶するようにしても良い。
【0125】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0126】
1 … 尿分析装置
10 … 尿定性測定部(定性測定部)
20 … 尿沈渣測定部(沈渣測定部)
30 … 搬送ユニット(搬送部)
40 … 情報処理装置(尿検体情報処理装置)
401 … CPU(制御部)
404 … ハードディスク(記憶部)
D1 … サービス設定画面(設定手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿定性の測定および尿沈渣の測定を実行する尿分析装置および尿検体情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
尿定性の測定および尿沈渣の測定を実行する尿分析装置が知られている。このような尿分析装置においては、尿定性の測定項目と尿沈渣の測定項目のうち、互いに関連のある測定項目について相互に測定結果チェックするクロスチェックが行われているものがある(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−98219号公報
【特許文献2】特開平9−218197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
尿沈渣は、尿定性の測定の結果、更なる検査が必要と判定された場合にのみ測定されることが多い。このため、尿検査においては、まず尿定性の測定が行われ、その後で尿沈渣の測定が行われる。また、尿定性および尿沈渣の両方の測定結果が揃わないと、クロスチェックを実行できないため、たとえば、特許文献1に記載されているように、尿沈渣の測定結果が得られた後で、自動的にクロスチェックが実行されていた。
【0005】
しかしながら、実際の検査業務においては、尿沈渣の測定後に尿定性の測定が行われることもあった。この場合、従来の尿分析装置では、クロスチェックが自動的に実行されないため、ユーザに負担がかかっていた。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、尿定性の測定と尿沈渣の測定のうち、どちらの測定が先に行われても自動的にクロスチェックを実行できる尿分析装置および尿検体情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、尿分析装置に関する。この態様に係る尿分析装置は、尿定性に関する測定項目を測定する定性測定部と、尿沈渣に関する測定項目を測定する沈渣測定部と、前記定性測定部によって検体を測定して得られた定性測定結果、および、前記沈渣測定部によって検体を測定して得られた沈渣測定結果を記憶する記憶部と、前記定性測定部によって検体が測定され、定性測定結果が得られたとき、前記記憶部に当該検体の沈渣測定結果が記憶されていれば、当該定性測定結果と当該沈渣測定結果とのクロスチェックを実行し、前記沈渣測定部によって検体が測定され、沈渣測定結果が得られたときに、前記記憶部に当該検体の定性測定結果が記憶されていれば、当該沈渣測定結果と当該定性測定結果とのクロスチェックを実行する制御部と、を備える。
【0008】
本態様に係る尿分析装置によれば、定性測定部の測定と沈渣測定部の測定のうち、どちらの測定が先に行われてもクロスチェックが実行され得る。これにより、ユーザの負担を軽減することができる。
【0009】
本態様に係る尿分析装置において、前記制御部は、前記定性測定部によって検体が測定
され、定性測定結果が得られたとき、前記記憶部に記憶された当該検体に対する沈渣測定結果が所定時間内に得られたものであれば、当該定性測定結果と当該沈渣測定結果とのクロスチェックを実行し、前記沈渣測定部によって検体が測定され、沈渣測定結果が得られたとき、前記記憶部に記憶された当該検体に対する定性測定結果が所定時間内に得られたものであれば、当該沈渣測定結果と当該定性測定結果とのクロスチェックを実行するよう構成され得る。こうすると、時間が経過して劣化したような検体に対して行われた測定結果に基づいてクロスチェックが実行されなくなるため、クロスチェックの精度が高く維持され得る。
【0010】
この場合に、本態様に係る尿分析装置は、前記所定時間を設定する設定手段をさらに備えるよう構成され得る。こうすると、ユーザは、設定手段を介して所定時間を設定することができるため、検体の劣化の度合いに対するユーザごとの許容範囲に合わせて、クロスチェックが行われる時間範囲を設定することが可能となる。
【0011】
また、この場合に、前記所定時間は、15分以上60分以下がデフォルト値として設定されているよう構成され得る。所定時間が15分以上に設定されると、沈渣測定部で使用される試薬が切れ、その交換のために、たとえば定性測定から沈渣測定までに10分を要した場合であっても、クロスチェックが実行される。また、所定時間が60分以下に設定されると、沈渣測定までに長時間が経過し、細菌が発生した検体について精度の低いクロスチェックが実行されてしまうことを防止できる。従って、クロスチェックが行われる時間範囲としては、15分以上60分以下が適切であり、このような所定時間が予めセットされていると、ユーザ自身が所定時間を設定する必要がなくなる。また、デフォルト値として設定された所定時間を目安に、簡便に、所定時間を調整することができる。
【0012】
また、本態様に係る尿分析装置において、前記記憶部は、定性測定結果を保持する第1データベースと、沈渣測定結果を保持する第2データベースと、定性測定結果と沈渣測定結果とを組み合わせるための組情報を保持する第3データベースとを記憶し、前記制御部は、前記定性測定部によって検体が測定され、定性測定結果が得られたとき、前記第2データベースに当該検体の沈渣測定結果が記憶されていれば、得られた定性測定結果と記憶された沈渣測定結果とを組み合わせるための組情報を、前記第3のデータベースに記憶し、前記沈渣測定部によって検体が測定され、沈渣測定結果が得られたとき、前記第1データベースに当該検体の定性測定結果が記憶されていれば、得られた沈渣測定結果と記憶された定性測定結果とを組み合わせるための組情報を、前記第3のデータベースに記憶するよう構成され得る。
【0013】
この場合に、前記制御部は、組み合わされた定性測定結果と沈渣測定結果について実行したクロスチェックの結果を更に前記第3データベースに記憶するよう構成され得る。
【0014】
また、本態様に係る尿分析装置は、前記定性測定部から前記沈渣測定部の順に検体を搬送する搬送部をさらに備える構成とされ得る。
【0015】
本発明の第2の態様は、尿検体情報処理装置に関する。この態様に係る尿検体情報処理装置は、前記定性測定部によって検体を測定して得られた定性測定結果、および、前記沈渣測定部によって検体を測定して得られた沈渣測定結果を記憶する記憶部と、前記定性測定部によって検体が測定され、定性測定結果が得られたとき、前記記憶部に当該検体の沈渣測定結果が記憶されていれば、当該定性測定結果と当該沈渣測定結果とのクロスチェックを実行し、前記沈渣測定部によって検体が測定され、沈渣測定結果が得られたときに、前記記憶部に当該検体の定性測定結果が記憶されていれば、当該沈渣測定結果と当該定性測定結果とのクロスチェックを実行するする制御部と、を備える。
【0016】
本態様に係る尿分析装置によれば、上記第1の態様と同様の効果が奏され得る。
【発明の効果】
【0017】
以上のとおり、本発明によれば、尿定性の測定と尿沈渣の測定のうち、どちらの測定が先に行われても自動的にクロスチェックを実行できる尿分析装置および尿検体情報処理装置を提供することができる。
【0018】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態により何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態に係る尿分析装置を含むシステム全体の構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る尿定性測定部、尿沈渣測定部、搬送ユニットおよびホストコンピュータの構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係る情報処理装置の回路構成を示す図である。
【図4】実施の形態に係る定性DBの構成を概念的に示す図および沈渣DBの構成を概念的に示す図である。
【図5】実施の形態に係るマージDBの構成を概念的に示す図およびクロスチェックテーブルの構成を概念的に示す図である。
【図6】実施の形態に係る定性の測定処理時の情報処理装置によるマージ処理を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態に係る沈渣の測定処理時の情報処理装置によるマージ処理を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態に係るマージ処理の例について説明する図である。
【図9】実施の形態に係る情報処理装置による設定処理を示すフローチャートおよびサービス設定画面を示す図である。
【図10】実施の形態に係る尿分析装置による測定の結果を表示するための結果表示画面を示す図である。
【図11】実施の形態に係るマージデータ表示画面を示す図である。
【図12】実施の形態に係る定性の測定結果のみからなるマージデータを表示する場合のマージデータ表示画面を示す図である。
【図13】実施の形態に係るマージデータ表示画面の沈渣結果表示領域の変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本実施の形態は、尿蛋白、尿糖等の検査(尿定性の検査)、および、尿中に含まれる赤血球、白血球、上皮細胞等の検査(尿沈渣の検査)を行う臨床検体分析装置に本発明を適用したものである。尿沈渣の検査は、通常、尿定性の検査が行われた結果、さらに尿沈渣の検査が必要であるとされた検体について行われる。また、尿沈渣の検査が尿定性の検査よりも先に行われる場合や、尿沈渣の検査のみが行われる場合もある。本実施の形態では、異なる検体を収容する複数の検体容器がラックにセットされ、このラックが検体分析装置にセットされて各検体の検査が行われる。
【0021】
以下、本実施の形態に係る尿分析装置について、図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、尿分析装置1を含むシステム全体の構成を示す図である。本実施の形態に係る尿分析装置1は、測定ユニット2と、搬送ユニット30と、情報処理装置40を備えている。
【0023】
測定ユニット2は、尿定性の検査を行う尿定性測定部10と、尿沈渣の検査を行う尿沈渣測定部20とを有している。尿定性測定部10と尿沈渣測定部20は、互いに通信可能に接続されている。また、尿定性測定部10と尿沈渣測定部20は、それぞれ、情報処理装置40と通信可能に接続されている。さらに、尿定性測定部10は、搬送ユニット30と通信可能に接続されている。
【0024】
尿定性測定部10は、複数の測定項目(尿定性測定項目)について検体の測定が可能である。尿定性測定項目には、ブドウ糖(GLU)、蛋白質(PRO)、アルブミン(ALB)、ビリルビン(BIL)、ウロビリノーゲン(URO)、pH(PH)、潜血(BLD)、ケトン体(KET)、亜硝酸塩(NIT)、白血球(LEU)、クレアチニン(CRE)、アルブミン/クレアチニン比(A/C)が含まれる。
【0025】
尿沈渣測定部20は、複数の測定項目(尿沈渣測定項目)について検体の測定が可能である。尿沈渣測定項目には、赤血球(RBC)、白血球(WBC)、上皮細胞(EC)、円柱(CAST)、細菌(BACT)、結晶(X’TAL)、酵母様真菌(YLC)、小型円形細胞(SRC)、細胞成分などを含む病的な円柱(Path.CAST)、粘液糸(MUCUS)、精子(SPERM)、尿導電率(Cond.)、赤血球形態情報(RBC−Info.)、尿濃度情報(Cond.−Info.)、UTI(尿路感染症)情報(UTI−Info.)が含まれる。
【0026】
搬送ユニット30は、尿定性測定部10および尿沈渣測定部20に共通の単一ユニットである。搬送ユニット30は、測定ユニット2の前面に装着されており、搬送路31を備えている。搬送路31は、搬送ユニット30の上面よりも一段低い平板状の底面を有している。搬送路31上を搬送される検体ラック50には、10本の検体容器51を保持できるよう10個の保持部が形成されている。検体容器51は、検体ラック50の保持部に保持されることにより、検体ラック50とともに搬送路31上を搬送される。検体容器51の側面には、検体を特定するためのバーコードラベル(図示せず)が貼付されている。情報処理装置40は、通信回線を介してホストコンピュータ60と通信可能に接続されている。
【0027】
搬送路31は、右側に設けられた四角形の右槽領域31aと、左側に設けられた四角形の左槽領域31cと、右槽領域31aと左槽領域31cを連結する連結領域31bとによって構成される。ユーザによって右槽領域31aの手前側に検体ラック50が載置されると、この検体ラック50は後方(測定ユニット2に近接する方向)に搬送され、右槽領域31aの奥側の端に位置付けられる。しかる後、この検体ラック50は、連結領域31bを左方向に搬送される。
【0028】
バーコードリーダ106は、バーコードリーダ106の手前に位置付けられた検体容器51に貼付されたバーコードラベルからバーコード情報を読み出す。なお、バーコードリーダ106は、後述するように尿定性測定部10の制御部101により制御されている。
【0029】
連結領域31bには、検体ラック50に保持された検体容器51から検体を吸引するための2つの吸引位置が設けられている。一方の吸引位置に位置付けられた検体容器51から、尿定性測定部10に備えられたノズル(図示せず)によって検体が吸引される。他方の吸引位置に位置付けられた検体容器51から、尿沈渣測定部20に備えられたノズル(図示せず)によって検体が吸引される。こうして、連結領域31b上の検体容器51に収容される検体の吸引は、尿定性測定部10と尿沈渣測定部20によって、順に吸引が行われる。
【0030】
全ての検体の吸引が完了した検体ラック50は、連結領域31bに沿って左方向へ搬送
され、左槽領域31cの奥側の端に位置づけられる。左槽領域31cの奥側に位置付けられている検体ラック50は、前方に搬送され、左槽領域31cの手前側に順次位置付けられる。こうして、左槽領域31cの手前に位置付けられた検体ラック50は、ユーザにより取り出される。
【0031】
図2は、尿定性測定部10と、尿沈渣測定部20と、搬送ユニット30と、ホストコンピュータ60の構成を示す図である。
【0032】
尿定性測定部10は、制御部101と、通信部102と、吸引部103と、試験紙供給部104と、検出部105と、バーコードリーダ106を有している。制御部101は、CPU101aと記憶部101bを有している。
【0033】
CPU101aは、記憶部101bに記憶されているコンピュータプログラムを実行すると共に、尿定性測定部10の各部を制御する。また、CPU101aは、通信部102を介して、搬送ユニット30の各部を制御する。記憶部101bは、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶手段を備える。
【0034】
通信部102は、制御部101からの信号を処理して、尿沈渣測定部20と、搬送ユニット30と、情報処理装置40に出力すると共に、尿沈渣測定部20と、搬送ユニット30と、情報処理装置40からの信号を処理して制御部101に出力する。吸引部103は、上述した一方の吸引位置に位置付けられている検体容器51内の検体を、尿定性測定部10のノズルを介して吸引する。試験紙供給部104は、測定に必要な試験紙を、試験紙が収容されている試験紙フィーダから取り出し、取り出した試験紙に吸引部103により吸引された検体を点着させる。検出部105は、検体が点着された試験紙を測定する。かかる測定により得られた測定結果は、制御部101に出力され、CPU101aにより解析される。バーコードリーダ106は、検体容器51に貼付されたバーコードラベルからバーコード情報を読み出し、制御部101に出力する。
【0035】
尿沈渣測定部20は、制御部201と、通信部202と、吸引部203と、試料調製部204と、検出部205を有している。制御部201は、CPU201aと記憶部201bを有している。
【0036】
CPU201aは、記憶部201bに記憶されているコンピュータプログラムを実行すると共に、尿沈渣測定部20の各部を制御する。記憶部201bは、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶手段を備える。
【0037】
通信部202は、制御部201からの信号を処理して、尿定性測定部10と情報処理装置40に出力すると共に、尿定性測定部10と情報処理装置40からの信号を処理して制御部201に出力する。吸引部203は、上述した一方の供給位置に位置付けられている検体容器51内の検体を、尿沈渣測定部20のノズルを介して吸引する。試料調製部204は、吸引部203により吸引された検体と、測定に必要な試薬とを混合攪拌し、検出部205による測定用の試料を調製する。検出部205は、試料調製部204により調製された試料を、フローサイトメータにより測定する。かかる測定により得られた測定結果は、制御部201に出力される。
【0038】
搬送ユニット30は、通信部301と、搬送駆動部302と、センサ部303を有している。通信部301は、尿定性測定部10からの信号を処理して、搬送ユニット30の各部に出力すると共に、搬送ユニット30の各部からの信号を処理して、尿定性測定部10に出力する。搬送駆動部302は、尿定性測定部10のCPU101aにより制御される。センサ部303は、搬送ユニット30に設けられた各種センサを含み、これらのセンサ
からの出力信号を、通信部301を介して尿定性測定部10に出力する。
【0039】
ホストコンピュータ60は、制御部601と通信部602を有している。制御部601は、CPU601aと記憶部601bを有している。CPU601aは、記憶部601bに記憶されているコンピュータプログラムを実行すると共に、情報処理装置40から定性オーダと沈渣オーダの問い合わせを受け付けると、それぞれ、記憶部601bに記憶している定性オーダと沈渣オーダを返す。また、CPU601aは、情報処理装置40を介して尿定性測定部10から受信した測定結果と、記憶部601bに記憶している測定要否の基準とに基づいて、尿沈渣測定部20の沈渣オーダを決定する。記憶部601bは、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶手段を備える。
【0040】
図3は、情報処理装置40の回路構成を示す図である。
【0041】
情報処理装置40は、パーソナルコンピュータからなり、本体400と、入力部410と、表示部420から構成されている。本体400は、CPU401と、ROM402と、RAM403と、ハードディスク404と、読出装置405と、入出力インターフェース406と、画像出力インターフェース407と、通信インターフェース408を有する。
【0042】
CPU401は、ROM402に記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM403にロードされたコンピュータプログラムを実行する。また、CPU401は、尿定性測定部10と尿沈渣測定部20から受信した定性オーダと沈渣オーダの問い合わせに基づいて、ホストコンピュータ60に定性オーダと沈渣オーダの問い合わせを行う。また、CPU401は、ホストコンピュータ60から受信した定性オーダと沈渣オーダを、それぞれ、尿定性測定部10と尿沈渣測定部20に送信する。
【0043】
RAM403は、ROM402およびハードディスク404に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM403は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401の作業領域としても利用される。
【0044】
ハードディスク404には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU401に実行させるための種々のコンピュータプログラムと、コンピュータプログラムの実行に用いるデータが記憶されている。また、ハードディスク404には、サービス設定画面D1(図9(b)参照)と、結果表示画面D2(図10参照)と、マージデータ表示画面D3(図11、12参照)を表示するためのプログラムがインストールされている。
【0045】
また、ハードディスク404には、尿定性測定部10による定性の測定結果(定性測定結果)が記憶される定性DB(データベース)(図4(a)参照)と、尿沈渣測定部20による沈渣の測定結果(沈渣測定結果)が記憶される沈渣DB(図4(b)参照)と、定性測定結果と沈渣測定結果に基づくマージDB(図5(a)参照)と、クロスチェックテーブル(図5(b)参照)が記憶されている。
【0046】
読出装置405は、CDドライブまたはDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムおよびデータを読み出すことができる。入出力インターフェース406には、マウスやキーボードからなる入力部410が接続されており、ユーザが入力部410を使用することにより、情報処理装置40にデータが入力される。画像出力インターフェース407は、ディスプレイ等で構成された表示部420に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部420に出力する。表示部420は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。また、通信インターフェース40
8により、尿定性測定部10と、尿沈渣測定部20と、ホストコンピュータ60に対してデータの送受信が可能となる。
【0047】
図4(a)は、定性DBの構成を概念的に示す図である。
【0048】
図示の如く、定性DBには、ナンバー項目と、検体番号項目と、測定日付項目と、測定時刻項目と、複数の定性の測定結果項目が含まれている。ナンバー項目には、レコード(行)を一意的に特定するための番号が記憶される。検体番号項目には、検体ごとに付与されている検体番号が記憶される。測定日付項目と測定時刻項目には、尿定性測定部10による測定が行われた日時が記憶される。測定結果項目には、尿定性測定部10の測定により得られる複数の定性の測定結果が記憶される。
【0049】
なお、定性DBの各項目は、過去の履歴を残しながら記憶される。すなわち、定性DBは、複数行を有しており、当該複数行を超えない情報については、新たな情報がインプットされたとしても消去されることはない。
【0050】
図4(b)は、沈渣DBの構成を概念的に示す図である。
【0051】
図示の如く、沈渣DBには、ナンバー項目と、検体番号項目と、測定日付項目と、測定時刻項目と、複数の沈渣の測定結果項目が含まれている。ナンバー項目には、レコード(行)を一意的に特定するための番号が記憶される。検体番号項目には、検体ごとに付与されている検体番号が記憶される。測定日付項目と測定時刻項目には、尿沈渣測定部20による測定が行われた日時が記憶される。測定結果項目には、尿沈渣測定部20の測定により得られる複数の沈渣の測定結果が記憶される。
【0052】
なお、沈渣DBの各項目は、過去の履歴を残しながら記憶される。すなわち、沈渣DBは、複数行を有しており、当該複数行を超えない情報については、新たな情報がインプットされたとしても消去されることはない。
【0053】
図5(a)は、マージDBの構成を概念的に示す図である。
【0054】
図示の如く、マージDBには、ナンバー項目と、定性ナンバー項目と、沈渣ナンバー項目と、クロスチェック結果項目が含まれている。ナンバー項目には、レコード(行)を一意的に特定するための番号が記憶される。測定日付項目と測定時刻項目には、マージDBにレコードが作成された日時が記憶される。定性ナンバー項目と沈渣ナンバー項目には、それぞれ、定性DBのナンバー項目の番号と沈渣DBのナンバー項目の番号が記憶される。なお、対応する定性DBのナンバー項目または沈渣DBのナンバー項目がない場合には、定性ナンバー項目または沈渣ナンバー項目には、0が記憶される。
【0055】
なお、マージDBの各項目は、過去の履歴を残しながら記憶される。すなわち、マージDBは、複数行を有しており、当該複数行を超えない情報については、新たな情報がインプットされたとしても消去されることはない。
【0056】
なお、マージDBの各レコードにおいて、定性ナンバー項目に記憶される定性DBのナンバー項目の番号と、沈渣ナンバー項目に記憶される沈渣DBのナンバー項目の番号との組み合わせが、「組情報」に相当する。
【0057】
クロスチェック結果項目には、定性ナンバー項目の番号により定性DBから得られる定性の測定結果と、沈渣ナンバー項目の番号により沈渣DBから得られる沈渣の測定結果とに基づいて行われるクロスチェックの結果が適宜記憶される。クロスチェックが行われた
結果、図5(b)のクロスチェックテーブルの何れかのチェック対象(チェック項目)について、定性の測定結果と沈渣の測定結果との間に不適合な関係(エラー)があると、当該チェック項目に対応するクロスチェックテーブルのナンバー項目の番号が、クロスチェック結果項目に記憶される。クロスチェック結果項目には、一つのレコード(行)に対して、エラーと判定されたクロスチェックテーブルのナンバー項目の番号を書き込むための欄が10個準備されている。クロスチェックテーブルのナンバー項目の番号が書き込まれない欄には0が記憶される。
【0058】
図5(b)は、クロスチェックテーブルの構成を概念的に示す図である。
【0059】
図示の如く、クロスチェックテーブルには、ナンバー項目と、対象項目と、詳細項目が含まれている。ナンバー項目には、レコード(行)を一意的に特定するための番号が記憶される。対象項目には、尿定性測定部10の測定項目と尿沈渣測定部20の測定項目との組み合わせ、すなわち、クロスチェックの対象となる定性の測定項目と沈渣の測定項目(チェック項目)が記憶される。詳細項目には、クロスチェックの対象となる定性の測定項目の測定結果と沈渣の測定項目の測定結果が、所定の関係にあるか否かを判定するために用いられる情報が記憶されている。
【0060】
たとえば、クロスチェックテーブルの番号3の詳細項目には、図5(c)に示す判定基準を設定するための情報が記憶されている。図5(c)において、横軸は定性の測定結果における“CAST”の測定値のレベル、縦軸は沈渣の測定結果における“PRO”の測定値のレベルである。この場合、“CAST”の測定値のレベルと“PRO”の測定値のレベルの交点が白塗りの枠(ノーマル)の位置にあれば、“CAST”の測定値のレベルと“PRO”の測定値のレベルは互いに適合する関係(正常)にあると判定され、交点が黒塗りの枠(エラー)の位置にあれば、“CAST”の測定値のレベルと“PRO”の測定値のレベルは互いに不適合な関係(エラー)にあると判定される。クロスチェックテーブルの他のチェック項目も同様に判定される。
【0061】
クロスチェックが行われる際には、定性の測定結果と沈渣の測定結果に対して、クロスチェックテーブルの対象項目に示される2つの測定項目が、詳細項目に示される判定基準に照らし合わせられ、両者が不適合な関係にあるか否かが判定される。不適合な関係にあると、当該チェック項目に対応するクロスチェックテーブルのナンバー項目の番号が、マージDBのクロスチェック結果項目に記憶される。
【0062】
図6は、定性の測定処理時の情報処理装置40によるマージ処理を示すフローチャートである。
【0063】
情報処理装置40のCPU401は、尿定性測定部10から受信した定性オーダの問い合わせに基づいて、ホストコンピュータ60に定性オーダの問い合わせを送信すると、ホストコンピュータ60から問い合わせ結果(定性オーダ)を受信するまで処理を待機させる(S101)。CPU401は定性オーダを受信すると(S101:YES)、受信した定性オーダを尿定性測定部10に送信すると共に、この定性オーダに含まれる測定要否に基づいて、尿定性測定部10による測定の必要があるか否かを判定する(S102)。
【0064】
尿定性測定部10による測定の必要がある場合(S102:YES)、CPU401は、定性DBに新規レコードを作成する(S103)。この新規レコードでは、ナンバー項目に一意的な番号が記憶され、検体番号項目に定性オーダに含まれる検体番号が記憶され、これら2つの項目以外の項目は空である。
【0065】
続いて、CPU401は、尿定性測定部10による測定が終了し、尿定性測定部10か
ら定性の測定結果を受信するまで処理を待機させる(S104)。CPU401は、定性の測定結果を受信すると(S104:YES)、受信した定性の測定結果を、定性DBに記憶する(S105)。すなわち、S103で作成したレコードの測定日付と測定時刻に、受信した定性の測定結果に含まれる測定日時が記憶される。また、S103で作成したレコードの測定結果項目に、受信した定性の測定結果に含まれる対応する測定結果が記憶される。
【0066】
続いて、CPU401は、受信した定性の測定結果に含まれる検体番号と同一の検体番号であって、現在時刻から遡って設定時間内の沈渣の測定結果が、沈渣DBに記憶されているか否かを判定する(S106)。なお、設定時間については、追って図9(a)、(b)を参照して説明する。このような沈渣の測定結果があると(S106:YES)、処理がS107に進められ、このような沈渣の測定結果がないと(S106:NO)、処理がS111に進められる。
【0067】
S106でYESと判定されると、CPU401は、受信した定性の測定結果と、このような沈渣の測定結果のうち最新の沈渣の測定結果からクロスチェックを行う(S107)。かかるクロスチェックの判定には、図5(b)に示したクロスチェックテーブルが用いられる。
【0068】
続いて、CPU401は、この定性の測定結果へのリンクと、最新の沈渣の測定結果へのリンクと、S107で行ったクロスチェック結果を、マージDBに記憶する(S108)。すなわち、CPU401により、マージDBに新規レコードが作成され、このレコードの測定日付と測定時刻には、この新規レコードを作成した時刻が記憶される。また、このレコードの定性ナンバー項目と沈渣ナンバー項目には、それぞれ、クロスチェックに用いた定性の測定結果を示す定性DBのナンバー項目の番号と、クロスチェックに用いた沈渣の測定結果を示す沈渣DBのナンバー項目の番号が記憶される。また、このレコードのクロスチェック結果項目には、クロスチェックの結果が適宜記憶される。
【0069】
次に、尿定性測定部10による測定の必要がない場合(S102:NO)、CPU401は、受信した定性の測定結果に含まれる検体番号と同一の検体番号であって、現在時刻から遡って設定時間内の沈渣の測定結果が、沈渣DBに記憶されているか否かを判定する(S109)。このような沈渣の測定結果があると(S109:YES)、処理がS110に進められ、このような沈渣の測定結果がないと(S109:NO)、処理がS111に進められる。
【0070】
S109でYESと判定されると、CPU401は、このような沈渣の測定結果のうち最新の沈渣の測定結果へのリンクを、マージDBに記憶する(S110)。すなわち、CPU401により、マージDBに新規レコードが作成され、このレコードの測定日付と測定時刻には、この新規レコードを作成した時刻が記憶される。また、このレコードの沈渣ナンバー項目には、このような沈渣の測定結果のうち最新の沈渣の測定結果を示す沈渣DBのナンバー項目の番号が記憶される。また、このレコードの定性ナンバー項目とクロスチェック結果項目には0が格納される。
【0071】
CPU401は、ユーザにより情報処理装置40のシャットダウン処理が行われないと(S111:NO)、S101〜S110の処理を繰り返し、シャットダウン処理が行われると(S111:YES)、処理を終了させる。
【0072】
図7は、沈渣の測定処理時の情報処理装置40によるマージ処理を示すフローチャートである。
【0073】
情報処理装置40のCPU401は、尿沈渣測定部20から受信した沈渣オーダの問い合わせに基づいて、ホストコンピュータ60に沈渣オーダの問い合わせを送信すると、ホストコンピュータ60から問い合わせ結果(沈渣オーダ)を受信するまで処理を待機させる(S201)。CPU401は沈渣オーダを受信すると(S201:YES)、受信した沈渣オーダを尿沈渣測定部20に送信すると共に、この沈渣オーダに含まれる測定要否に基づいて、尿沈渣測定部20による測定の必要があるか否かを判定する(S202)。
【0074】
尿沈渣測定部20による測定の必要がある場合(S202:YES)、CPU401は、沈渣DBに新規レコードを作成する(S203)。この新規レコードでは、ナンバー項目に一意的な番号が記憶され、検体番号項目に沈渣オーダに含まれる検体番号が記憶され、これら2つの項目以外の項目は空である。
【0075】
続いて、CPU401は、尿沈渣測定部20による測定が終了し、尿沈渣測定部20から沈渣の測定結果を受信するまで処理を待機させる(S204)。CPU401は、沈渣の測定結果を受信すると(S204:YES)、受信した沈渣の測定結果を、沈渣DBに記憶する(S205)。すなわち、S203で作成したレコードの測定日付と測定時刻に、受信した沈渣の測定結果に含まれる測定日時が記憶される。また、S203で作成したレコードの測定結果項目に、受信した沈渣の測定結果に含まれる対応する測定結果が記憶される。
【0076】
続いて、CPU401は、受信した沈渣の測定結果に含まれる検体番号と同一の検体番号であって、現在時刻から遡って設定時間内の定性の測定結果が、定性DBに記憶されているか否かを判定する(S206)。このような定性の測定結果があると(S206:YES)、処理がS207に進められ、このような定性の測定結果がないと(S206:NO)、処理がS211に進められる。
【0077】
S206でYESと判定されると、CPU401は、このような定性の測定結果のうち最新の定性の測定結果と、受信した沈渣の測定結果からクロスチェックを行う(S207)。かかるクロスチェックの判定には、図5(b)に示したクロスチェックテーブルが用いられる。
【0078】
続いて、CPU401は、最新の定性の測定結果へのリンクと、この沈渣の測定結果へのリンクと、S207で行ったクロスチェック結果を、マージDBに記憶する(S208)。すなわち、CPU401により、マージDBに新規レコードが作成され、このレコードの測定日付と測定時刻には、この新規レコードを作成した時刻が記憶される。また、このレコードの定性ナンバー項目と沈渣ナンバー項目には、それぞれ、クロスチェックに用いた定性の測定結果を示す定性DBのナンバー項目の番号と、クロスチェックに用いた沈渣の測定結果を示す沈渣DBのナンバー項目の番号が記憶される。また、このレコードのクロスチェック結果項目には、クロスチェックの結果が適宜記憶される。
【0079】
次に、尿沈渣測定部20による測定の必要がない場合(S202:NO)、CPU401は、受信した沈渣の測定結果に含まれる検体番号と同一の検体番号であって、現在時刻から遡って設定時間内の定性の測定結果が、定性DBに記憶されているか否かを判定する(S209)。このような定性の測定結果があると(S209:YES)、処理がS210に進められ、このような定性の測定結果がないと(S209:NO)、処理がS211に進められる。
【0080】
S209でYESと判定されると、CPU401は、このような定性の測定結果のうち最新の定性の測定結果へのリンクを、マージDBに記憶する(S210)。すなわち、CPU401により、マージDBに新規レコードが作成され、このレコードの測定日付と測
定時刻には、この新規レコードを作成した時刻が記憶される。また、このレコードの定性ナンバー項目には、このような定性の測定結果のうち最新の定性の測定結果を示す定性DBのナンバー項目の番号が記憶される。また、このレコードの沈渣ナンバー項目とクロスチェック結果項目には0が格納される。
【0081】
CPU401は、ユーザにより情報処理装置40のシャットダウン処理が行われないと(S211:NO)、S201〜S210の処理を繰り返し、シャットダウン処理が行われると(S211:YES)、処理を終了させる。
【0082】
図8(a)は、マージ処理の例について説明する図である。
【0083】
図8(a)において、縦軸は時間を示しており、情報処理装置40が時間軸に沿って、定性の測定結果A1、A2と沈渣の測定結果B1、B2を受信したことを示している。なお、これらの測定は全て同一検体に対して行われたものであり、測定が行われた日時と、情報処理装置40が測定結果を受信した日時は同じであるとする。また、測定結果A1と測定結果B1の得られた時間差はΔt1であり、測定結果A1と測定結果B2の得られた時間差はΔt2であり、測定結果B2と測定結果A2の得られた時間差はΔt3であるとする。また、Δt1とΔt2は上記設定時間よりも小さく、Δt3は上記設定時間よりも大きいとする。
【0084】
測定結果A1と測定結果B1は、当該検体を収容した検体容器51が、検体ラック50に保持されて、搬送ユニット30により、最初に搬送経路を搬送されたときに得られたものである。測定結果B2は、当該検体を収容した検体容器51が、検体ラック50に保持されて、搬送ユニット30により、2回目に搬送経路を搬送されたときに得られたものである。この場合、ホストコンピュータ60には、当該検体に対し、尿沈渣の測定のみを行うオーダが登録される。測定結果A2は、当該検体を収容した検体容器51が、検体ラック50に保持されて、搬送ユニット30により、3回目に搬送経路を搬送されたときに得られたものである。この場合、ホストコンピュータ60には、当該検体に対し、尿定性の測定のみを行うオーダが登録される。
【0085】
図8(a)を参照して、ホストコンピュータ60に定性オーダの問い合わせが行われた結果、定性の測定が必要であると判定されると、この検体について定性の測定が行われ、測定結果A1が得られる。測定結果A1が得られた時点で、それ以前に同一検体の沈渣の測定は行われていないため、クロスチェックは行われず、測定結果A1に基づくマージDBへのレコードの追加も行われない。
【0086】
続いて、この検体について、ホストコンピュータ60に沈渣オーダの問い合わせが行われる。測定結果A1に基づきホストコンピュータ60が沈渣の測定が必要であると判定すると、この検体について沈渣の測定を行う旨のオーダが情報処理装置40に送信される。これにより、沈渣の測定が行われ、測定結果B1が得られる。測定結果B1が得られた時点で、Δt1だけ前に測定結果A1が得られているため、測定結果A1、B1に基づいてクロスチェックが行われ、マージDBへのレコードの追加が行われる。
【0087】
続いて、ユーザは、沈渣の測定のみを再度行うために、ホストコンピュータ60に対して、この検体について沈渣の測定のみが行われるよう定性オーダと沈渣オーダを設定する。そして、ユーザは、この検体を右槽領域31aに再びセットし、測定を開始させる。しかる後に、ホストコンピュータ60に定性オーダと沈渣のオーダが問い合わされた結果、この検体について定性の測定は行われず、沈渣の測定のみが行われ、測定結果B2が得られる。測定結果B2が得られた時点で、Δt2だけ前に測定結果A1が得られているため、測定結果A1、B2に基づいてクロスチェックが行われ、マージDBへのレコードの追
加が行われる。これにより、マージDBにおいて、測定結果A1、B1に基づくレコードと、測定結果A1、B2に基づくレコードの両方が記憶された状態となる。
【0088】
続いて、ユーザは、定性の測定のみを再度行うために、ホストコンピュータ60に定性オーダと沈渣オーダを設定する。ホストコンピュータ60に定性オーダが問い合わされた結果、この検体について定性の測定が行われ、測定結果A2が得られる。次に、ホストコンピュータ60に沈渣オーダが問い合わされ、この検体について沈渣の測定は行われない旨の応答がなされる。これにより、沈渣の測定はスキップされる。測定結果A2が得られた時点で、測定結果B2は上記設定時間よりも大きなΔt3だけ前に得られたものであるため、測定結果A2、B2に基づいてクロスチェックは行われず、マージDBへのレコードの追加も行われない。
【0089】
図8(b)は、図8(a)の測定結果B1が得られるタイミングで、ホストコンピュータ60に沈渣オーダの問い合わせが行われた結果、沈渣の測定が不要であると判定された場合を示す図である。
【0090】
この場合、沈渣の測定が不要であると判定された時点において、Δt1だけ前に測定結果A1が得られているため、測定結果A1のみに基づいて、マージDBへのレコードの追加が行われる。このとき、マージDBに追加されるレコードには、図5(a)に示すように、沈渣ナンバー項目と全てのクロスチェック結果項目に0が記憶される。
【0091】
図9(a)は、情報処理装置40による設定処理を示すフローチャートである。
【0092】
情報処理装置40のCPU401は、ユーザにより入力部410を介して、サービス設定画面D1の表示指示が行われたかを判定する(S301)。サービス設定画面D1の表示指示が行われると(S301:YES)、CPU401は、後述する設定項目の設定内容をハードディスク404から読み出し、表示部420にサービス設定画面D1を表示する(S302)。
【0093】
図9(b)は、サービス設定画面D1を示す図である。サービス設定画面D1は、設定項目表示領域D11と、入力領域D12と、OKボタンD13と、キャンセルボタンD14を有している。
【0094】
設定項目表示領域D11には、変更可能な情報処理装置40の複数の設定項目が表示される。設定項目表示領域D11に表示される設定項目には、図6のS106と図7のS206で用いられる設定時間が含まれている。ユーザにより設定項目表示領域D11内の設定項目がクリックされると、クリックされた項目が図9(b)に示すように反転表示され、この設定項目の設定内容が入力領域D12に表示される。図9(b)において反転表示されている設定項目は、図6のS106と図7のS206で用いられる設定時間に関する項目である。ユーザは、入力領域D12に表示される内容を書き換え、OKボタンD13をクリックすることにより、設定項目の内容を変更することができる。
【0095】
ここで、本実施の形態における設定時間のデフォルト値(初期状態の値)は、30(分)に設定されている。設定時間のデフォルト値は、尿定性測定部10の測定と尿沈渣測定部20の測定の間に、試薬や試験紙が交換されたとしても、クロスチェックが行われる程度に設定されるのが望ましい。すなわち、試薬や試験紙が交換されるのに要すると想定される時間(たとえば、15分)以上に設定されるのが望ましい。また、設定時間のデフォルト値は、測定結果の精度が保たれる程度に設定されるのが望ましい。すなわち、時間が経過して劣化した検体の測定結果は精度が低いと考えられるため、このような測定結果に基づいてクロスチェックが行われないよう、測定結果の精度が保たれると考えられる時間
(たとえば、60分)以下に設定されるのが望ましい。
【0096】
なお、設定時間が0に設定されると、図6のS106と図7のS206において、必ずNOと判定されるため、クロスチェックは行われなくなる。
【0097】
図9(a)に戻り、サービス設定画面D1が表示されると(S302)、情報処理装置40のCPU401は、OKボタンD13またはキャンセルボタンD14がクリックされるまで処理を待機させる。OKボタンD13がクリックされると(S303:YES)、CPU401は、ユーザにより書き換えられた設定内容をハードディスク404に記憶する(S304)。キャンセルボタンD14がクリックされると(S303:NO、S305:YES)、処理がS306に進められる。
【0098】
CPU401は、ユーザにより情報処理装置40のシャットダウン処理が行われないと(S306:NO)、S301〜S305の処理を繰り返し、シャットダウン処理が行われると(S306:YES)、処理が終了する。
【0099】
図10は、尿分析装置1による測定の結果を表示するための結果表示画面D2を示す図である。結果表示画面D2は、ユーザの表示指示により表示部420に表示される。
【0100】
結果表示画面D2は、リスト表示領域D21と、切替タブD22a〜D22dと、患者情報表示領域D23と、表示ボタンD24を有している。
【0101】
リスト表示領域D21は、切替タブD22a〜D22dのうち選択されている切替タブに応じて、表示が切り替わるよう構成されている。図10は、切替タブD22cが選択され、マージDBに基づくマージデータが表示されている状態を示している。この状態におけるリスト表示領域D21には、種別項目と、定性項目と、沈渣項目と、検体番号項目と、測定日付項目と、測定時刻項目と、複数の測定結果項目が表示されている。
【0102】
種別項目には、“FIN”または“CHK”の文字列が表示される。“FIN”が表示されてい
るとき、この行で示されるマージデータは、クロスチェック結果項目にエラーとされたチェック項目が無い(全て0)ことを示している。“CHK”が表示されているとき、この行
で示されるマージデータは、クロスチェック結果項目にエラーとされたチェック項目があることを示している。
【0103】
定性項目と沈渣項目には、それぞれ、尿定性測定部10と尿沈渣測定部20による測定に関する情報が表示される。これらの項目に“Comp”が表示されているとき、この行で示されるマージデータは、測定結果が正常に得られていることを示している。
【0104】
検体番号項目には、この行で示されるマージデータの元となった検体番号が表示される。測定日付項目と測定時刻項目には、マージDBの測定日付項目と測定時刻項目が表示される。測定結果項目は、定性の全ての測定項目と沈渣の全ての測定項目を含んでおり、定性の測定結果と沈渣の測定結果が表示される。
【0105】
切替タブD22a〜D22cがクリックされると、リスト表示領域D21には、それぞれ、定性DBに基づく定性の測定結果と、沈渣DBに基づく沈渣の測定結果と、マージDBに基づくマージデータが表示される。切替タブD22dがクリックされると、リスト表示領域D21には、切替タブD22a〜D22cがクリックされたときに表示される情報の全てが表示される。
【0106】
患者情報表示領域D23には、リスト表示領域D21においてクリックされた行の検体
番号から得られる患者情報が表示される。リスト表示領域D21に図10に示すようにマージデータが表示されている場合に、リスト表示領域D21内の行をクリックし、図示の如く反転表示した状態で、表示ボタンD24がクリックされると、この行に示すマージデータの詳細がマージデータ表示画面D3に表示される。
【0107】
図11は、マージデータ表示画面D3を示す図である。なお、図11のマージデータ表示画面D3には、図10のリスト表示領域D21の上から5行目のマージデータが表示されている。
【0108】
マージデータ表示画面D3は、検体情報表示領域D31と、患者情報表示領域D32と、定性結果表示領域D33と、沈渣結果表示領域D34、D35と、クロスチェック結果表示領域D36を有している。
【0109】
検体情報表示領域D31には、マージデータ表示画面D3に表示されている測定結果の元となった検体の情報が表示される。患者情報表示領域D32には、この検体を採取した患者情報が表示される。
【0110】
定性結果表示領域D33には、定性の測定結果一覧が表示される。沈渣結果表示領域D34には、沈渣の測定結果一覧が表示される。沈渣結果表示領域D35には、沈渣の測定結果がスキャッタグラムで表示される。クロスチェック結果表示領域D36には、このマージデータに対して行われたクロスチェックの結果が表示される。エラーとされたクロスチェックが無い場合には、クロスチェック結果表示領域D36は空欄となる。
【0111】
図12は、定性の測定結果のみからなるマージデータを表示する場合のマージデータ表示画面D3を示す図である。なお、図12のマージデータ表示画面D3には、図10のリスト表示領域D21の上から4行目のマージデータが表示されている。
【0112】
この場合のマージデータ表示画面D3には、図11に示すマージデータ表示画面D3と異なり、沈渣の測定結果が含まれないため、沈渣結果表示領域D34、D35はグレーに表示される。また、クロスチェックも行われていないため、クロスチェック結果表示領域D36もグレーに表示される。
【0113】
なお、沈渣の測定結果のみからなるマージデータを表示する場合には、沈渣結果表示領域D34、D35に沈渣の測定結果が表示され、定性結果表示領域D33とクロスチェック結果表示領域D36はグレーに表示される。
【0114】
以上、本実施の形態によれば、定性の測定結果が得られたときに、同一検体番号であって、設定時間内の沈渣の測定結果が沈渣DBに記憶されていれば、これら測定結果に基づいてクロスチェックが行われる。また、沈渣の測定結果が得られたときに、同一検体番号であって、設定時間内の定性の測定結果が定性DBに記憶されていれば、これら測定結果に基づいてクロスチェックが行われる。これにより、尿定性測定部10の測定と尿沈渣測定部20の測定のうち、どちらの測定が先に行われてもクロスチェックが実行され得る。
【0115】
さらに、定性の測定結果が得られたときに、沈渣DBに記憶された沈渣の測定結果が設定時間内に得られたものであれば、クロスチェックが行われる。また、沈渣の測定結果が得られたときに、定性DBに記憶された定性の測定結果が設定時間内に得られたものであれば、クロスチェックが行われる。これにより、時間が経過して劣化したような検体に対して行われた測定結果に基づいてクロスチェックが実行されなくなるため、クロスチェックの精度が高く維持され得る。
【0116】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態はこれらに限定されるものではない。
【0117】
たとえば、上記実施の形態では、ホストコンピュータ60から送信される定性オーダと沈渣オーダにより、それぞれ、尿定性測定部10と尿沈渣測定部20における測定が行われるか否かが決定された。しかしながら、これに限らず、ユーザにより、尿定性測定部10と尿沈渣測定部20で測定が行われるか否かが決定されるようにしても良い。
【0118】
この場合、ユーザは、情報処理装置40の入力部410(図3参照)を介して、ホストコンピュータ60に対してオーダを問い合わせることなく測定が行われるような設定を、情報処理装置40に対して行う。このとき、ユーザは、尿定性の測定と尿沈渣の測定の何れを行うか、また、どのような項目について測定を行うかを、併せて設定する。この設定は、検体ごとではなく検体ラック50ごとに行われる。これにより、検体ラック50ごとに、尿定性の測定と尿沈渣の測定のうち何れかの測定のみが行われようになる。かかる設定の後、ユーザが検体容器51を保持した検体ラック50を右槽領域31aにセットして測定を開始させると、当該検体に対して、尿定性の測定と尿沈渣の測定のうち何れかの測定のみが行われる。
【0119】
また、ユーザは、尿沈渣測定部20によるマニュアル測定が行われるよう、情報処理装置40に設定を行うことにより、尿沈渣の測定のみを行うこともできる。この場合、尿沈渣測定部20の前方に設けられたマニュアル測定のためのセット位置に、ユーザにより検体容器51がセットされる。マニュアル測定が実行されると、このセット位置に尿沈渣測定部20のノズルが移動し、この位置から検体が吸引される。これにより、搬送路31上の他の検体よりも優先的に尿沈渣測定部20による測定を行うことができるようになる。
【0120】
このように、尿分析装置1では、尿定性測定部10と尿沈渣測定部20の何れか一方のみにより測定を行うことができるため、ユーザは、適宜、尿定性の測定と尿沈渣の測定を行うことができる。すなわち、尿沈渣測定部20により検体の測定が行われた後、尿定性測定部10により、この検体の測定を行うこともできる。また、上記実施の形態で示したように尿定性測定部10と尿沈渣測定部20により順に測定が行われた後、さらに尿定性測定部10または尿沈渣測定部20により測定を行うことができる。このような場合も、上記実施の形態と同様、定性の測定結果と沈渣の測定結果が、それぞれ、定性DBと沈渣DBに記憶され、図6、7に示したマージ処理が行われるようにしても良い。この場合、図6のS101と図7のS201がそれぞれ省略され、検体に対する処理の際に、情報処理装置40に対するユーザからの設定に応じて、図6のS102と図7のS202の判断が行われる。なお、マニュアル測定の場合は、必ず尿沈渣の測定が行われるため、図7のS202の判定は常にYESである。したがって、マニュアル測定の場合は、S203以降の処理が行われる。
【0121】
また、上記実施の形態では、測定対象として尿を例示したが、血液についても測定対象とされ得る。すなわち、血液を検査する検体分析装置にも本発明を適用することができ、さらに、他の臨床検体を検査する臨床検体分析装置に本発明を適用することもできる。
【0122】
また、上記実施の形態では、尿沈渣測定部20の測定は、フローサイトメータを用いて行われたが、これに限らず、尿沈渣測定部20の測定は、尿検体が撮像され、撮像された沈渣画像が解析されることにより行われるようにしても良い。この場合、図11、12の沈渣結果表示領域D35に表示されているスキャッタグラムに替えて、撮像された沈渣画像を含む沈渣結果表示領域D35’(図13参照)が表示されるようにしても良い。また、図11、12の沈渣結果表示領域D35に表示されているスキャッタグラムと共に、沈渣結果表示領域D35’が表示されるようにしても良い。このように、沈渣結果表示領域
D35’が表示されると、ユーザは、同一検体について、測定結果の組み合わせを沈渣画像とともに比較することができ、当該検体に対する測定結果をより適正に評価することができる。
【0123】
また、上記実施の形態では、マージDBには、定性DBと沈渣DBのナンバー項目の番号が記憶されたが、これに限らず、マージDBには、互いに組み合わされる定性の測定結果と沈渣の測定結果が直接記憶されるようにしても良い。また、マージDBに、組み合わせ対象となる定性と沈渣の測定日時等の情報が記憶されるようにしても良い。このような形態でマージDBに記憶される情報も、「組情報」に相当する。すなわち、請求項に記載の「組情報」は、互いに組み合わされる定性の測定結果と沈渣の測定結果を抽出できるものであれば、如何なる情報であっても良い。なお、このように、図5(a)の定性DBと沈渣DBのナンバー項目に代えて、定性と沈渣の測定結果や測定日時を記憶する場合、測定結果の組み合わせや測定日時の組み合わせからは、組み合わせ対象の検体が特定できない。このため、これらの場合には、マージDBの各レコードに、検体番号を含める必要がある。
【0124】
また、上記実施の形態では、定性の測定結果が得られたときに、沈渣DBに記憶された沈渣の測定結果が設定時間内に得られたものでなければ、組情報がマージDBに記憶されず、また、沈渣の測定結果が得られたときに、定性DBに記憶された定性の測定結果が設定時間内に得られたものでなければ、組情報がマージDBに記憶されなかった。しかしながら、これに替えて、定性の測定結果が得られたときに、沈渣DBに沈渣の測定結果が記憶されていれば、沈渣の測定結果が取得された時間にかかわらず、得られた定性の測定結果と沈渣DBに記憶された最新の沈渣の測定結果とから組情報を作成し、作成した組情報をマージDBに記憶するようにしても良い。同様に、沈渣の測定結果が得られたときに、定性DBに定性の測定結果が記憶されていれば、定性の測定結果が取得された時間にかかわらず、得られた沈渣の測定結果と定性DBに記憶された最新の定性の測定結果とから組情報を作成し、作成した組情報をマージDBに記憶するようにしても良い。
【0125】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0126】
1 … 尿分析装置
10 … 尿定性測定部(定性測定部)
20 … 尿沈渣測定部(沈渣測定部)
30 … 搬送ユニット(搬送部)
40 … 情報処理装置(尿検体情報処理装置)
401 … CPU(制御部)
404 … ハードディスク(記憶部)
D1 … サービス設定画面(設定手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿定性に関する測定項目を測定する定性測定部と、
尿沈渣に関する測定項目を測定する沈渣測定部と、
前記定性測定部によって検体を測定して得られた定性測定結果、および、前記沈渣測定部によって検体を測定して得られた沈渣測定結果を記憶する記憶部と、
前記定性測定部によって検体が測定され、定性測定結果が得られたとき、前記記憶部に当該検体の沈渣測定結果が記憶されていれば、当該定性測定結果と当該沈渣測定結果とのクロスチェックを実行し、前記沈渣測定部によって検体が測定され、沈渣測定結果が得られたときに、前記記憶部に当該検体の定性測定結果が記憶されていれば、当該沈渣測定結果と当該定性測定結果とのクロスチェックを実行する制御部と、を備える、
ことを特徴とする尿分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の尿分析装置において、
前記制御部は、前記定性測定部によって検体が測定され、定性測定結果が得られたとき、前記記憶部に記憶された当該検体に対する沈渣測定結果が所定時間内に得られたものであれば、当該定性測定結果と当該沈渣測定結果とのクロスチェックを実行し、前記沈渣測定部によって検体が測定され、沈渣測定結果が得られたとき、前記記憶部に記憶された当該検体に対する定性測定結果が所定時間内に得られたものであれば、当該沈渣測定結果と当該定性測定結果とのクロスチェックを実行する、
ことを特徴とする尿分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の尿分析装置において、
前記所定時間を設定する設定手段をさらに備える、
ことを特徴とする尿分析装置。
【請求項4】
請求項3に記載の尿分析装置において、
前記所定時間は、15分以上60分以下がデフォルト値として設定されている、
ことを特徴とする尿分析装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載の尿分析装置において、
前記記憶部は、定性測定結果を保持する第1データベースと、沈渣測定結果を保持する第2データベースと、定性測定結果と沈渣測定結果とを組み合わせるための組情報を保持する第3データベースとを記憶し、
前記制御部は、前記定性測定部によって検体が測定され、定性測定結果が得られたとき、前記第2データベースに当該検体の沈渣測定結果が記憶されていれば、得られた定性測定結果と記憶された沈渣測定結果とを組み合わせるための組情報を、前記第3のデータベースに記憶し、前記沈渣測定部によって検体が測定され、沈渣測定結果が得られたとき、前記第1データベースに当該検体の定性測定結果が記憶されていれば、得られた沈渣測定結果と記憶された定性測定結果とを組み合わせるための組情報を、前記第3のデータベースに記憶する、
ことを特徴とする尿分析装置。
【請求項6】
請求項5に記載の尿分析装置において、
前記制御部は、組み合わされた定性測定結果と沈渣測定結果について実行したクロスチェックの結果を更に前記第3データベースに記憶する、
ことを特徴とする尿分析装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか一項に記載の尿分析装置において、
前記定性測定部から前記沈渣測定部の順に検体を搬送する搬送部をさらに備える、
ことを特徴とする尿分析装置。
【請求項8】
尿定性に関する測定項目を測定する定性測定部と、尿沈渣に関する測定項目を測定する沈渣測定部と、に接続された尿検体情報処理装置であって、
前記定性測定部によって検体を測定して得られた定性測定結果、および、前記沈渣測定部によって検体を測定して得られた沈渣測定結果を記憶する記憶部と、
前記定性測定部によって検体が測定され、定性測定結果が得られたとき、前記記憶部に当該検体の沈渣測定結果が記憶されていれば、当該定性測定結果と当該沈渣測定結果とのクロスチェックを実行し、前記沈渣測定部によって検体が測定され、沈渣測定結果が得られたときに、前記記憶部に当該検体の定性測定結果が記憶されていれば、当該沈渣測定結果と当該定性測定結果とのクロスチェックを実行するする制御部と、を備える、
ことを特徴とする尿検体情報処理装置。
【請求項1】
尿定性に関する測定項目を測定する定性測定部と、
尿沈渣に関する測定項目を測定する沈渣測定部と、
前記定性測定部によって検体を測定して得られた定性測定結果、および、前記沈渣測定部によって検体を測定して得られた沈渣測定結果を記憶する記憶部と、
前記定性測定部によって検体が測定され、定性測定結果が得られたとき、前記記憶部に当該検体の沈渣測定結果が記憶されていれば、当該定性測定結果と当該沈渣測定結果とのクロスチェックを実行し、前記沈渣測定部によって検体が測定され、沈渣測定結果が得られたときに、前記記憶部に当該検体の定性測定結果が記憶されていれば、当該沈渣測定結果と当該定性測定結果とのクロスチェックを実行する制御部と、を備える、
ことを特徴とする尿分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の尿分析装置において、
前記制御部は、前記定性測定部によって検体が測定され、定性測定結果が得られたとき、前記記憶部に記憶された当該検体に対する沈渣測定結果が所定時間内に得られたものであれば、当該定性測定結果と当該沈渣測定結果とのクロスチェックを実行し、前記沈渣測定部によって検体が測定され、沈渣測定結果が得られたとき、前記記憶部に記憶された当該検体に対する定性測定結果が所定時間内に得られたものであれば、当該沈渣測定結果と当該定性測定結果とのクロスチェックを実行する、
ことを特徴とする尿分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の尿分析装置において、
前記所定時間を設定する設定手段をさらに備える、
ことを特徴とする尿分析装置。
【請求項4】
請求項3に記載の尿分析装置において、
前記所定時間は、15分以上60分以下がデフォルト値として設定されている、
ことを特徴とする尿分析装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載の尿分析装置において、
前記記憶部は、定性測定結果を保持する第1データベースと、沈渣測定結果を保持する第2データベースと、定性測定結果と沈渣測定結果とを組み合わせるための組情報を保持する第3データベースとを記憶し、
前記制御部は、前記定性測定部によって検体が測定され、定性測定結果が得られたとき、前記第2データベースに当該検体の沈渣測定結果が記憶されていれば、得られた定性測定結果と記憶された沈渣測定結果とを組み合わせるための組情報を、前記第3のデータベースに記憶し、前記沈渣測定部によって検体が測定され、沈渣測定結果が得られたとき、前記第1データベースに当該検体の定性測定結果が記憶されていれば、得られた沈渣測定結果と記憶された定性測定結果とを組み合わせるための組情報を、前記第3のデータベースに記憶する、
ことを特徴とする尿分析装置。
【請求項6】
請求項5に記載の尿分析装置において、
前記制御部は、組み合わされた定性測定結果と沈渣測定結果について実行したクロスチェックの結果を更に前記第3データベースに記憶する、
ことを特徴とする尿分析装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか一項に記載の尿分析装置において、
前記定性測定部から前記沈渣測定部の順に検体を搬送する搬送部をさらに備える、
ことを特徴とする尿分析装置。
【請求項8】
尿定性に関する測定項目を測定する定性測定部と、尿沈渣に関する測定項目を測定する沈渣測定部と、に接続された尿検体情報処理装置であって、
前記定性測定部によって検体を測定して得られた定性測定結果、および、前記沈渣測定部によって検体を測定して得られた沈渣測定結果を記憶する記憶部と、
前記定性測定部によって検体が測定され、定性測定結果が得られたとき、前記記憶部に当該検体の沈渣測定結果が記憶されていれば、当該定性測定結果と当該沈渣測定結果とのクロスチェックを実行し、前記沈渣測定部によって検体が測定され、沈渣測定結果が得られたときに、前記記憶部に当該検体の定性測定結果が記憶されていれば、当該沈渣測定結果と当該定性測定結果とのクロスチェックを実行するする制御部と、を備える、
ことを特徴とする尿検体情報処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−132849(P2012−132849A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286711(P2010−286711)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
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