説明

屋外用手摺

【課題】 部品点数の増加や製造工程の煩雑さを生じさせたり、電力を消費したりすることなく、利用者に視認しやすくするとともに、美観の面でも優れた手摺を提供することを解決課題とする。
【解決手段】 利用者が把持する手摺棒を有する屋外用手摺であって、前記手摺棒の外周面が、前記手摺における他の部分と異なる色に着色されていることを特徴とする屋外用手摺を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常階段や渡廊下等に設置される屋外用手摺に関し、より詳しくは、視認しやすく、美観の面でも優れた屋外用手摺に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者の歩行の安全性を確保するため、屋外の様々な場所(例えば、非常階段、渡廊下、傾斜路、凹凸路、屋上等の高所等)に屋外用手摺が設置されている。
屋外用手摺の材料としては一般的に、鉄に溶融亜鉛メッキを施したものやステンレス等を挙げることができる。
【0003】
しかし、このような屋外用手摺は夜間等の暗中では視認しづらいという問題を有している。
当該問題は、照明を設置することである程度は解消できるが、全ての場所において照明を設置することは困難である。特に、普段利用しない場所(例えば非常階段等)には照明が設置されていないことが多い。
また、たとえ照明が設置されたとしても、照明の光が弱い場合等は、やはり手摺が視認しづらい。
手摺が視認しづらいと、利用者は手摺の位置を正確に把握することが困難となり、手摺棒を把持するのに時間を要したり、手摺棒を把持することができなかったりするので、利用者の安全を十分に確保することができない。また、手摺にぶつかって怪我をする恐れもある。
特に、非常階段にこのような屋外用手摺が設置されている場合等は、利用者が迅速に避難することが困難となるため、早急な解決が求められる。
【0004】
このような現状に鑑み、下記特許文献1では、手摺にLEDを内蔵させ、手摺を利用者に視認しやすくする技術が開示されている。
しかし、LEDを内蔵した場合、配線等も必要となるため、部品点数が増加し、製造工程も煩雑となるという問題と有している。また、LEDを点灯させるためには電力も必要である。
【0005】
また、屋外用手摺(特に普段利用しない場所(非常階段等)に設置された屋外用手摺)は、手摺の材料であるステンレスや亜鉛メッキがそのまま露出したものが多く、利用者に殺風景な印象を与えるので、美観の面でもあまり優れたものとはいえないという問題も有している。
しかし、特許文献1で開示された手摺は、LEDにより手摺が視認しやすくなっているものの、手摺の美観は一般的な屋外用手摺と殆ど差異のないものであり、美観に関する問題を解決するものではない。
【0006】
【特許文献1】特開平11−111016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであって、部品点数の増加や製造工程の煩雑さを生じさせたり、電力を消費したりすることなく、利用者に視認しやすくするとともに、美観の面でも優れた手摺を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、利用者が把持する手摺棒を有する屋外用手摺であって、前記手摺棒の外周面が、前記手摺における他の部分と異なる色に着色されていることを特徴とする屋外用手摺に関する。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記手摺棒がフィルムの貼着又は塗料の塗布により着色されていることを特徴とする請求項1記載の屋外用手摺。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記フィルムが反射フィルムであることを特徴とする請求項2記載の屋外用手摺に関する。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記塗料が蛍光塗料であることを特徴とする特徴とする請求項2記載の屋外用手摺に関する。
【0012】
請求項5に係る発明は、少なくとも前記手摺棒の側面を露出させるように前記手摺棒の上面を覆う保護カバーを有することを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の屋外用手摺に関する。
【0013】
請求項6に係る発明は、前記保護カバーが前記手摺棒とビスで接合されており、該ビスの頭部は前記保護カバーに埋め込まれていることを特徴とする請求項5記載の屋外用手摺に関する。
【0014】
請求項7に係る発明は、前記手摺棒が取り外し可能であることを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の屋外用手摺に関する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、利用者が把持する手摺棒を有する屋外用手摺であって、前記手摺棒の外周面が、前記手摺における他の部分と異なる色に着色されていることにより、手摺棒を利用者に視認しやすくすることができる。それにより、利用者は屋外用手摺の位置を正確に把握することができ、手摺棒を把持するのに時間を要したり、手摺棒を把持できなかったりすることがないので、利用者の安全性を十分に確保することができる。
また、屋外用手摺にぶつかって怪我をすることも防ぐことができる。
特に、このような屋外用手摺を非常階段に設置した場合等は、利用者が迅速に避難することができるので有効である。
また、手摺棒が着色されているため、美観の面でも優れたものとなる。
さらに、LEDやLEDを点灯させるための配線も用いないので、部品点数の増加や製造工程の煩雑さも生じない。また、LEDを点灯させるための電力も必要としない。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、前記手摺棒がフィルムの貼着又は塗料の塗布により着色されていることで、手摺棒の着色を容易に行うことができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、前記フィルムが反射フィルムであることにより、暗部での視認性をさらに向上させることができる。特に近くに照明が設置されている場所や、車のライトが照射される道路等では、手摺棒に照射された光が反射するため、視認性がより向上する。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、前記塗料が蛍光塗料であることにより、手摺棒が光るため、視認性をさらに向上させることができる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、少なくとも前記手摺棒の側面を露出させるように前記手摺棒の上面を覆う保護カバーを有することにより、手摺棒が雨や直射日光に曝されることを防ぐことができる。それにより、手摺棒が色落ちするのを防ぐことができる。また、手摺棒が埃を被ることにより、手摺棒の色が視認できなくなることも防ぐことができる。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、前記保護カバーが前記手摺棒とビスで接合されており、該ビスの頭部は前記保護カバーに埋め込まれていることにより、利用者が手摺棒を把持したとき、ビスの頭部で手を怪我することを防ぐことができる。
また、ビスで接合することにより、手摺棒と保護カバーを確実に接合することができる。
【0021】
請求項7に係る発明によれば、前記手摺棒が取り外し可能であることにより、手摺棒が色落ちした場合等、手摺棒を容易に取り換えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る屋外用手摺(以下、単に手摺と称す)について、図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の実施形態に係る手摺(100)を示す平面図である。
図2は本発明の実施形態に係る手摺(100)を示す側面図である。
図3〜6は手摺(100)の部材同士の接合方法を説明するための説明図である。
図7は図1のA−A線断面図である。
図8は図1のB−B線断面図である。
【0023】
以下、図1を主として、適宜他の図も参照しつつ手摺(100)について説明する。
手摺(100)は、利用者が把持する手摺棒(1)と、手摺棒(1)を支持する支持部(2)よりなり、手摺棒(1)が、ある一定の高さに支持されている。
手摺棒(1)が支持される高さは、消防法等に準拠し決定すればよく、一般的には1200mm以上である。
【0024】
まず、手摺棒(1)を支持する支持部(2)について説明する。
支持部(2)は、支持構造物(図示せず)に固定されるベースプレート(21)、ベースプレート(21)に立設される支柱(22)、隣り合う支柱(22)間に架設される下桟(23)、手摺棒(1)と下桟(23)間に互いに平行に架設された複数の格子部材(24)等から構成されている。
【0025】
ベースプレート(21)は支持構造物(非常階段、渡廊下、道路等)と支柱(22)との間に介設されるものであり、図3で示すように、矩形板(211)上に円筒部材(212)が溶接されてなる。
そして、円筒部材(212)が、中空円柱状の支柱(22)の中に挿入され、ボルト・ナットで接合されている。そして、矩形板(211)が支持構造物とアンカーボルトで接合されている。
【0026】
また、下桟(23)は、長手方向両端部が支柱(22)と接合されている。
下桟(23)は長手方向両端部に接続板(231)を有する。接続板(231)は、図4に示すように、支柱(22)の外周面に沿うように湾曲され円弧状となっている。そして、接続板(231)と支柱(22)がビス(S)で接合されることにより、下桟(23)と支柱(22)が接合されている。
【0027】
複数の格子部材(24)は夫々の下端が下桟(23)と溶接されている。
また、格子部材(24)の上端には、図5で示すように、手摺棒(1)を載置するための載置部(241)が設けられている。載置部(241)は手摺棒(1)の外周面に沿うように湾曲された円弧状の板であり、複数の格子部材(24)上に架設されている。
【0028】
次いで、手摺棒(1)について説明する。
手摺棒(1)は、下面が格子部材(24)の載置部(241)と接合され、長手方向両端部が支柱(22)と接合されて、支持部(2)に支持される。
手摺棒(1)と格子部材(24)の接合は、図5で示すように、格子部材(24)の載置部(241)に手摺棒(1)を載置し、手摺棒(1)と載置部(241)にビス(S)を挿通することにより行う。
また、手摺棒(1)と支持部(2)の接合は、図6で示すように、中空のエルボー部材(L)の一方開口端部から手摺棒(1)を、他方開口端部から支柱(22)を挿入することにより行う。
なお、手摺棒(1)には、載置部(241)、後述する保護カバー(11)が接合されるが、本実施形態では載置部(241)及び保護カバー(11)はエルボー部材(L)に挿入されない。
但し、載置部(241)及び保護カバー(11)を、手摺棒(1)に接合した状態で、手摺棒(1)とともにエルボー部材(L)に挿入してもよい。これにより、手摺棒(1)と、載置部(241)及び保護カバー(11)の接合強度をより向上させることができる。
【0029】
手摺棒(1)は外周面(図5,6における斜線部分)が、手摺(100)における他の部分と異なる色で着色されている。これにより、利用者は暗部でも手摺棒(1)を視認しやすくなる。
そのため、利用者は手摺棒(1)の位置を正確に把握することができ、手摺棒(1)を把持するのに時間を要したり、手摺棒(1)を把持できなかったりすることを防ぐことができる。また、利用者が手摺(100)にぶつかって怪我をすることも防ぐことができる。
このように、手摺棒(1)を視認しやすくすることにより、利用者の安全性を十分に確保することができる。特に、非常階段に手摺(100)を設置した場合等は、非常階段を利用して避難する際でも、利用者は迅速に避難することができるため、有効である。
加えて、手摺棒を照らすためのLEDやLEDを点灯させるための配線等も用いないので、部品点数の増加や製造工程の煩雑さも生じない。また、LEDを点灯させるための電力も必要としない。
【0030】
さらに、手摺棒(1)が着色されていることにより、利用者に殺風景な印象を与えることがなく、手摺(100)全体の美観を向上させることができる。
また、手摺棒(1)を予め工場等で着色しておくことにより、現場で色を塗る必要がないので、現場での作業を簡素化することができる。さらに、現場での着色作業により現場を汚すこともない。
【0031】
手摺棒(1)の色としては特に限定されないが、赤色や黄色といった目立つ明度の高い色が好ましい。利用者が視認しやすいためである。また、単色に限定されるわけでもなく、複数の色で手摺棒(1)を着色してもよい。
【0032】
本実施形態では、色つきフィルムを貼着することで、手摺棒(1)の外周面を着色している。
外周面に貼着される色つきフィルムとしては特に限定されないが、光を反射する反射フィルムが好ましい。反射フィルムを用いることにより、暗部での視認性がさらに向上するからである。特に近くに照明が設置されている場所や、車のライトが照射される道路等の場合、手摺棒(1)に照射された光が反射するため、視認性がより向上する。
また、着色の方法は色つきフィルムの貼着に限られず、ペンキ等の塗料を塗布することにより行ってもよい。この場合、用いる塗料は蛍光塗料が好ましい。蛍光塗料を用いることにより手摺棒(1)が光るため、視認性が向上するからである。
なお、手摺棒(1)の材料としては特に限定されないが、鉄に溶融亜鉛メッキを施したものやステンレス、合成樹脂等、従来から用いられている材料を用いることができる。
【0033】
手摺棒(1)は、手摺棒(1)の側面を露出させるように上面のみを覆う保護カバー(11)が接合されている。
保護カバー(11)は、図5に示すように、手摺棒(1)の外周面に沿うように湾曲しており、手摺棒(1)とはビス(S)で接合されている(図7参照)。
保護カバー(11)を有することにより、手摺棒(1)が雨や直射日光に曝されることを防ぐことができる。それにより、手摺棒(1)が色落ちするのを防ぐことができる。また、手摺棒(1)が埃を被ることにより、手摺棒(1)の色が視認できなくなることも防ぐことができる。
また、保護カバー(11)を手摺棒(1)と同様の色で着色したり、保護カバー(11)を透明としたりすることが好ましい。これにより、保護カバー(11)を設けることで手摺棒(1)の上面が視認できなくなるという弊害を防止することができる。
また、保護カバー(11)を手摺棒(1)と異なる色で着色してもよい。それにより、手摺棒を目立たせることができる。
保護カバー(11)の材料としては特に限定されないが、鉄やステンレス、合成樹脂等を挙げることができる。
【0034】
また、手摺棒(1)と保護カバー(11)及び載置部(241)の接合に用いられるビス(S)は、図7で示すように、頭部が保護カバー(11)及び載置部(241)に埋め込まれていることが好ましい。ビス(S)の頭部が埋め込まれていることにより、利用者が手摺棒(1)を把持したとき、ビス(S)の頭部で手を怪我することを防ぐことができるからである。
【0035】
また、上記したように、手摺棒(1)は、エルボー部材(L)に挿入され、格子部材(24)の載置部(241)とビス(S)で接合されているだけであるため、取り外しが容易である。そのため、手摺棒(1)が色落ちした場合等、容易に取り換えることができる。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
例えば、保護カバー(11)の手摺棒(1)への接合方法もビス(S)に限定されず、接着剤で接合してもよいし、手摺棒(1)と保護カバー(11)を締結用バンドで巻着することで接合してもよい。
また、上記実施形態では、手摺棒(1)の外周面全面を着色しているが、保護カバー(11)や載置部(241)で覆われる部分については着色しなくてもよい。
また、支持部(2)についても、格子部材(24)が支柱(22)と直角に設けられていてもよいし、格子部材(24)の代わりにガラスや合成樹脂等からなるパネルを用いてもよい。また、支柱(22)及び格子部材(24)の数や配置も特に限定されない。
さらに、手摺棒(1)が壁等に取り付けられる構造でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、屋外の様々な場所、例えば非常階段、渡廊下、傾斜路、凹凸路、屋上等の高所等に好適に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態に係る手摺を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る手摺を示す側面図である。
【図3】ベースプレートと支柱の接合方法を説明するための説明図である。
【図4】支柱と下桟の接合方法を説明するための説明図である。
【図5】格子部材と手摺棒の接続方法を説明するための説明図である。
【図6】支柱と手摺棒の接合方法を説明するための説明図である。
【図7】図1のA−A線断面図である。
【図8】図1のB−B線断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 手摺棒
2 支持部
100 屋外用手摺
S ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が把持する手摺棒を有する屋外用手摺であって、
前記手摺棒の外周面が、前記手摺における他の部分と異なる色に着色されていることを特徴とする屋外用手摺。
【請求項2】
前記手摺棒がフィルムの貼着又は塗料の塗布により着色されていることを特徴とする請求項1記載の屋外用手摺。
【請求項3】
前記フィルムが反射フィルムであることを特徴とする請求項2記載の屋外用手摺。
【請求項4】
前記塗料が蛍光塗料であることを特徴とする特徴とする請求項2記載の屋外用手摺。
【請求項5】
少なくとも前記手摺棒の側面を露出させるように前記手摺棒の上面を覆う保護カバーを有することを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の屋外用手摺。
【請求項6】
前記保護カバーが前記手摺棒とビスで接合されており、
該ビスの頭部は前記保護カバーに埋め込まれていることを特徴とする請求項5記載の屋外用手摺。
【請求項7】
前記手摺棒が取り外し可能であることを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の屋外用手摺。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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