屋根ユニット
【課題】日光による明かりを活用して暗さを低減でき且つ日焼けなどを招くおれが少ないと共に、組立や施工が容易な屋根ユニットを提供する。
【解決手段】一端の凸形部と他端の凹形部とを含む偏平な断面を有する複数の単位パネル1と、上記凸形部または凹形部を一端に有し且つ他端に固定部を有する偏平な断面を有する一対の固定用パネル20,26と、係る固定用パネル20,26の固定部21間に固定される透明または半透明の採光パネル30と、を含み、上記複数の単位パネル1同士および単位パネル1と固定用パネル20,26とを、それらの凸形部と凹形部とを嵌合して、上記各断面に沿った幅方向に接続し、係る接続がされ且つ対向する一対の固定用パネル20,26の固定部21間にまたがって、上記採光パネル30が固定される、屋根ユニットU。
【解決手段】一端の凸形部と他端の凹形部とを含む偏平な断面を有する複数の単位パネル1と、上記凸形部または凹形部を一端に有し且つ他端に固定部を有する偏平な断面を有する一対の固定用パネル20,26と、係る固定用パネル20,26の固定部21間に固定される透明または半透明の採光パネル30と、を含み、上記複数の単位パネル1同士および単位パネル1と固定用パネル20,26とを、それらの凸形部と凹形部とを嵌合して、上記各断面に沿った幅方向に接続し、係る接続がされ且つ対向する一対の固定用パネル20,26の固定部21間にまたがって、上記採光パネル30が固定される、屋根ユニットU。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばバス停留所やカーポートなどの上方を覆うため、複数の支柱の上端に取り付けられる独立形式の屋根ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、バス停留所やカーポートなどの上方を覆う屋根ユニットとしては、アルミニウム合金の押出形材からなる棟形材と、その両側にそれぞれ対称で斜め下向きに接続される同様な押出形材からなる複数の斜面用形材と、により構成する屋根ユニットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、一対の平行な軒桁の間に、円弧形を呈する複数の垂木を介して、係る垂木と同様にカーブした透明な樹脂からなる屋根パネルを複数枚取り付けたバス停留所用シェルタなどの組立建物も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−328706号公報(第1〜13頁、図3)
【特許文献2】特開2000−170254号公報(第1〜7頁、図1)
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載の屋根ユニットによれば、全てがアルミニウム合金の押出形材から形成されているため、雨水および日光を確実に遮断できる反面、晴天時はもとより、特に曇天や雨天時には、当該屋根ユニットの下方が暗くなり易く、冬季には暗さに加えて寒さも募り易くなる。このため、照明器具やその配線の取付を必要とし、コスト高になる、という問題があった。
一方、前記特許文献2に記載のバス停留所用シェルタによれば、透明な屋根パネルを日光が透過するため、バスを待っている利用者にとって、まぶしいだけでなく、日焼けや甚だしくは熱中症を招来しかねないと共に、直射日光に長期間にわたり曝されるため、屋根パネル自体が劣化し易くなる、という問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記背景技術における問題点を解決し、日光による明かりを活用して暗さを低減でき且つ日焼けなどを招くおれが少ないと共に、組立や施工が容易な屋根ユニットを提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、
即ち、本発明の屋根ユニット(請求項1)は、一端の凸形部と他端の凹形部とを含む偏平な断面を有する複数の単位パネルと、上記凸形部または凹形部を一端に有し且つ他端に固定部を有し且つ偏平な断面を有する一対または一対以上の固定用パネルと、係る対となる固定用パネルの固定部間に固定される透明または半透明の採光パネルと、を含み、上記複数の単位パネル同士および単位パネルと固定用パネルとを、それらの凸形部と凹形部とを嵌合して、上記各断面に沿った幅方向に接続し、係る接続がされ且つ対向する一対の固定用パネル同士の固定部間にまたがって、上記採光パネルが固定される、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、複数の単位パネル同士および単位パネルと固定用パネルとは、それらの凸形部と凹形部とを嵌合して接続することにより、所要広さの屋根面を形成できると共に、接続されて対向する一対の固定用パネル同士の固定部間にまたがって、上記採光パネルが固定された屋根ユニットとなる。このため、日光が採光パネルを透過して地表付近を明るくするため、係る屋根ユニットをバス停留所に適用した場合、利用者には、四季を通じてまぶしくない程度の明るさが得られ、且つ夏季にも日焼けや熱中症などに至るおそれを低減することができる。
しかも、上記各パネルの凸形部と凹形部とを嵌合して組立られるため、施工を容易且つ短期間に行うことも可能となる。
尚、前記各パネルは、予め凹形部に塗布した接着剤を介して、それらの凸形部および凹形部を嵌合と同時に接着しても良い。係る接着剤には、防水性と耐候性とを兼ね備えたものを用いることで、雨水の漏水を長期間にわたり防ぐことができる。また、採光パネルの幅は、例えば、その1枚が単位パネルの実質的な幅(凸形部の頂面から凹形部の底面までの距離)の整数倍で用いられ、その取り付け枚数も1枚に限らず、同じ幅寸法または異なる幅寸法の2枚以上を互いに離隔させつつ単一の屋根ユニットに取り付けることも可能である。加えて、前記屋根ユニットは、現場での施工後において全体に水勾配が付される。
【0008】
また、本発明には、前記接続された複数の単位パネルおよび前記対となる固定用パネルの上面と、前記採光パネルの上面とは、ほぼ面一とされる、屋根ユニット(請求項2)も含まれる。
これによれば、複数の単位パネルの上面および一対以上の固定用パネルの上面がほぼ面一となるため、単一の平坦な屋根面を有し且つ意匠性に優れた屋根ユニットとすることができる。尚、本発明の屋根ユニットの形状は、片流れに限らず、断面がほぼへ字形でその両端に前記凹部を有する棟部材を用いることで、切妻または招き形にすることも可能である。あるいは、断面がほぼV字形でその両端に前記凸形部などを有する軒元部材を用いて、バタフライにすることも可能である。
【0009】
更に、本発明には、前記採光パネルは、幅広の平坦面と、その両端に位置する一対の縦片と、各縦片の下端から上記平坦面とほぼ平行に延びる一対のフランジと、からなる偏平なハット形の断面を有する共に、上記採光パネルが固定される前記固定用パネルの固定部は、前記断面の他端に設けた上向きの凹溝とその直下の中空部とからなり、上記採光パネルの平坦面の両端における縦片とフランジとを、上記凹溝に挿入し且つ上記フランジを当該凹溝の底面にネジ止めする、屋根ユニット(請求項3)も含まれる。
これによれば、前記接続がされ且つ対向する一対の固定用パネルの各固定部に、採光パネルの断面方向における両端に位置する縦片およびフランジをそれぞれ挿入し、係るフランジから上記中空部に向けてネジをネジ込むことで、採光パネルを精度良くして容易且つ迅速に固定することができる。しかも、万一ネジ部から雨水が浸入しても中空部から当該固定部の両端に排水でき、雨漏りを防止できる。
【0010】
また、本発明には、前記固定用パネルにおける固定部の凹溝内において、当該凹溝に挿入され且つネジ止めされる前記採光パネルのフランジの上方に、上記固定用パネルおよび前記単位パネルの上面とほぼ面一になるようにしてシール材が充填される、屋根ユニット(請求項4)も含まれる。
これによれば、採光パネルの断面方向の両端における縦片およびフランジと隣接する固定用パネルとの間がシール材を介してほぼ面一となるため、採光パネル付近における雨水の漏水を確実に防止できると共に、前記各パネルの上面を雨水が流下し易くなり、且つ屋根ユニット全体の意匠も良好にすることができる。また、万一シール材が劣化し雨水がネジ部から浸入しても、固定部の中空部から両端の妻側に排水できるため、雨漏りを確実に防止できる。
【0011】
更に、本発明には、前記単位パネルおよび前記固定用パネルは、アルミニウム合金の押出形材からなる、屋根ユニット(請求項5)も含まれる。
これによれば、単位パネル同士および単位パネルと固定用パネルとの凹部および凸部を形状および寸法精度良く形成できるため、係るパネル同士の凹形部と凸形部との嵌合を容易に行える。しかも、対となる固定パネルの各固定部における凹溝と中空部も精度良く形成されるため、採光パネルの縦片およびフランジを上記凹部に挿入し且つその底面でネジ止めすることも容易となる。
【0012】
また、本発明には、前記採光パネルは、透明または半透明のポリカーボネート、透明または半透明のアクリル樹脂、透明または半透明のガラスの何れかからなる、屋根ユニット(請求項6)も含まれる。
これによれば、屋根ユニットを用いる地方や地勢や環境などに応じて、あるいは周囲の環境との調和に対応して、透明な採光パネルや任意の透光度を有する半透明の採光パネルを一部に含む屋根ユニットを得ることができる。尚、上記半透明の採光パネルには、全体が均一な曇り面のものの他、各種の模様を全体または一部に施したものも含まれる。また、上記ガラスには、強化ガラスも含まれる。
【0013】
加えて、本発明には、前記複数の単位パネルのうち最下部に位置する単位パネルの軒元側には、単位パネル、前記一対の固定用パネル、および前記採光パネルの上面を流下した雨水を集水する軒樋が取り付けられる、屋根ユニット(請求項7)も含まれる。
これによれば、複数の単位パネルおよび上記固定用パネルに落下した雨水を、上記軒樋に集水し、係る軒樋に接続する縦樋や鎖などを介して、地表に排水することができる。このため、係る屋根ユニットの下方にたたずむ利用者が、雨水に不用意に濡れる事態を回避することが可能となる。
付言すれば、上記最下部に位置する単位パネルの軒元側に位置する前記凹形部に凸形部が嵌合して固定される複数のブラケット(金物)を介して、上記軒樋が取り付けられる、屋根ユニットとすることもできる。これによる場合、軒樋の取付を容易且つ強度をもって行うことが可能となる。尚、上記ブラケットには、凸形部を含む所要の断面形状を有する押出形材を、短尺に切断したものを用いる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下において、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の屋根ユニットUを用いたバスまたは路面電車の停留所を、斜め前方から見た姿図、図2は、上記停留所を、斜め後方から見た姿図である。
上記停留所は、地表GLから高く形成されたプラットフォームH上に左右2本の支柱Pを立設し、各支柱Pの上端から斜め上方に延びる梁Kに固定した図示しない垂木を介して、屋根ユニットUを図示しないボルトなどで固定している。
片流れの屋根ユニットUは、図1,図2に示すように、互いに接続される複数の単位パネル1と、これらの単位パネル1と接続される一対の対向し且つ離隔する固定用パネル20,26と、係る固定用パネル20,26の間にまたがって固定される採光パネル30と、を含む。上記各パネル1,20,26,30を含む屋根ユニットUの全体が、施工後において傾斜する水勾配を付されている。尚、図1,図2において、軒元側の単位パネル1は、図示の数よりも多く用いられる。
【0015】
上記各パネル1,20,26,30は、それぞれ長手方向を屋根ユニットUにおける両端の妻側−妻側の方向と平行にして配置される。
因みに、図1,図2に示す屋根ユニットUは、妻−妻側方向の長さが約5メートルで、且つ軒先(最上部)・軒元(最下部)方向の幅が約2メートルである。
尚、図1,図2に示すように、軒先側の最上部に位置する単位パネル1の軒先面には、軒先化粧材35が、上記各パネル1,20,26,30の長手方向の両端には、断面ほぼコ字形の妻部化粧材60が、軒元側で最下部の単位パネル1の軒元面側には、複数のブラケット50を介して、軒樋40が取り付けられる。係る軒樋40には、各支柱Pに沿って取り付けた図示しない縦樋が接続される。
【0016】
単位パネル1は、アルミニウム合金(例えば、JIS A6063−T5)の押出形材からなり、図3に示すように、押出方向と直交する断面が偏平なほぼ矩形を呈し、平坦な上面板2a,下面板2bと、これらのほぼ中央を連結する仕切壁3と、係る仕切壁3の両側に位置する中空部4,5と、両端の凸形部6,凹形部10と、を図示の前後方向の全長に沿って有する。上面板2aは、下面板2bに対して、図示で右側から左側に沿ってやや離れるように僅かに傾斜している。
また、図3で右端(一端)に位置する凸形部6は、その厚み方向のほぼ中央に位置する凸条7と、その上下に隣接する屈曲片8と、下側の屈曲片8の下端と下面板2bとの間に位置する断面ほぼL字形の段部9と、を有する。
【0017】
更に、図3にて左端(他端)に位置する凹形部10は、上記凸形部6と嵌合可能であり、その厚み方向の中央に位置する凹溝14と、その上下に隣接する屈曲片12と、上側の屈曲片12の上端から延びる水切片11と、下側の屈曲片12の下端から延びる断面ほぼL字形の樋部16を有する。水切片11と樋部16とは、上面板2a,下面板2bとそれぞれ平行に突設され、樋部16の上面は、樋面18となっている。
因みに、単位パネル1は、妻−妻側方向の長さが約5メートル、軒先・軒元方向の実質的な幅w(凸形部6の凸条7の頂面から凹形部10の凹溝14の底面までの距離)が約120mm(最大300mm)、厚みが約30mmである。
【0018】
屋根ユニットUで軒先側に位置する固定用パネル20は、前記同様の押出形材からなり、図4に示すように、押出方向と直交する断面が偏平なほぼ矩形を呈し、前記同様の上面板2a,下面板2b、仕切壁3、中空部4,5、および図示で右端(一端)に位置する凸形部6を備え、更に、図示で左端(他端)に位置する固定部21を、図示の前後方向の沿って有する。上記固定部21は、断面が長方形の中空部23を内設する角形部22と、その外壁から立設する縦壁24と、係る縦壁24の内側に位置する上向きの凹溝25とからなる。
一方、屋根ユニットUで軒元側に位置する固定用パネル26も、前記同様の押出形材からなり、図5に示すように、押出方向と直交する断面が偏平なほぼ矩形を呈し、前記同様の上面板2a,下面板2b、仕切壁3、中空部4,5、および図示で左端(他端)に位置する凹形部10を備えると共に、図示で右端(一端)に前記と同じ固定部21を、図示の前後方向の全長に沿って有する。
尚、固定用パネル20,26は、単位パネル1と同様のサイズである。
【0019】
図1中のXa−Xbの矢視に沿った断面のうち、軒先側であるXa寄りの断面を図6に示す。屋根ユニットUで軒先側の最上部に位置する単位パネル1の凹形部10には、固定用パネル20の凸形部6が、図示しない接着剤を介して嵌合される。即ち、図6の中程に示すように、凹形部10の凹溝14に凸形部6の凸条7が嵌合し、凹形部10の各屈曲片12に凸形部6の各屈曲片8が隣接すると共に、凸形部6の段部9に凹形部10の樋部16が進入し、両者の間に樋面18が位置する。係る樋面18は、上記接着剤が経年変化で劣化して万一破れた場合に、凸・凹形部6,10間を浸透した雨水を単位パネル1の妻側に排水する。
【0020】
尚、最上部に位置する単位パネル1の軒先面側には、図6の右側に示すように、軒先化粧材35が固定される。係る軒先化粧材35は、前記同様の押出形材からなり、化粧板36と、これから直角で互いに平行に延びる固定片37,38と、これらに囲まれた凹部39と、を図示の前後方向に沿って有する。
上記軒先化粧材35は、その凹部39に単位パネル1の凸形部6を挿入し、上側の固定片37から隣接する上面板2aに向けて、ブラインドリベットrをシール材(図示せず)を介して打ち込むことにより、単位パネル1に固定される。
【0021】
また、固定用パネル20の固定部21には、図6,図7に示すように、採光パネル30の一端が固定される。尚、図7は、図1中のXa−Xbの矢視に沿った断面のうち、軒先側と軒元側とのほぼ中間における断面を示す。
採光パネル30は、例えば、透明なポリカーボーネートからなり、図7に示すように、幅広な平坦面32と、その両端から直角に垂下する一対の縦片33と、各縦片33の下端から平坦面32と平行に外側に延びる一対のフランジ34とからなるほぼハット形の断面を、図示の前後方向の全長に沿って有する。係る採光パネル30の平坦面32の幅は、例えば240mmまたは360mmで、単位パネル1の前記幅wの2倍または3倍(整数倍)である。
図6,図7に示すように、採光パネル30の軒先側の端部に位置する縦片33とフランジ34とを、固定用パネル20の固定部21における凹溝25に挿入し、上記フランジ34を凹溝25の底面に固定すべく、ネジnを中空部23に向ってネジ込む。固定されたフランジ34の上方における凹溝25には、シリコン系のシール材Sが充填される。係るシール材Sの上面は、固定用パネル20の上面板2aや採光パネル30の平坦面32の上面と面一とされる。
【0022】
図1中のXa−Xbの矢視に沿った断面のうち、軒元側であるXb寄りの断面を図8に示す。屋根ユニットUの軒元側では、最下部に位置する単位パネル1を含む複数枚の単位パネル1が、それぞれの凸形部6と凹形部10とを前記同様に嵌合して接続される。これらの複数枚の単位パネル1のうちで軒先寄りの単位パネル1における凸形部6には、図8の中程に示すように、前記固定パネル20と対となる固定用パネル26の凹形部10が前記同様に嵌合して接続される。
図7,図8に示すように、採光パネル30の軒元側の端部に位置する縦片33とフランジ34とを、固定用パネル26の固定部21における凹溝25に挿入し、ネジnをフランジ34から中空部23に向ってネジ込むと共に、固定されたフランジ34の上方における凹溝25には、シリコン系のシール材Sが充填される。係るシール材Sの上面も、前記単位パネル1や固定用パネル26の上面板2aや採光パネル30の平坦面32の上面と面一とされる。
【0023】
図2および図8の左側に示すように、前記複数枚の単位パネル1のうち、最下部に位置する単位パネル1の軒元面側の凹形部10には、複数のブラケット(金物)50が図示の前後方向に沿って、互いに間隔を置いて固定される。
ブラケット50は、前記同様の押出形材を押出方向に沿って短尺に切断しものである。係るブラケット50は、図8に示すように、単位パネル1の凹形部10における屈曲部12,12に当接する凸片52,52を有するコ形部51、その上端から後方に延びる上面板53、その後端から斜め下方に延びる傾斜板54、コ形部51の下端から延びるL形片55、その後端から後方に延びる下面板58、および、傾斜板54と下面板58との交点から後方に延びる固定片59を、一体に有する。また、L形片55の中間には、突起56が垂下している。
【0024】
図8に示すように、ブラケット50のコ形部51を単位パネル1の凹形部10の内側に挿入し、且つ屈曲部12,12に凸片52,52を当接した状態で、長めのネジNを凹形部10の凹溝14にネジ込むことで、当該ブラケット50を単位パネル1の凹形部10側に固定する。この際、各ブラケット50の突起56は、凹形部10における樋部16の樋面18に当接する。
次いで、単位パネル1の凹形部10側および複数個のブラケット50にまたがって、図8に示す断面を有する軒樋40を取り付ける。
係る軒樋40は、前記同様の押出形材または合成樹脂の押出成形材からなり、図8に示すように、単位パネル1の下面板2bと平行な樋板41、係る樋板41から斜め前方に立ち上がる傾斜板43、および樋板41の後端から立設する化粧板42と、これらに囲まれた樋部44と、を備えている。
【0025】
図8に示すように、軒樋40における傾斜板43の上端には、縦片45および横片46が形成され、係る横片46は、単位パネル1の下面板2bに添接され且つブラインドリベットrにより固定される。尚、横片46を省略し、縦片45の上端を下面板2bに当接し、縦片45と下面板2bとの間に図示しないアングル片を配置し、係るアングル片を介して上記リベットrにより固定しても良い。
また、軒樋40における化粧板42の上端には、L形片48が位置し、そのやや下側で且つ単位パネル1寄りの内側面には、水平片47が突出し、係る水平片47は、ブラケット50の固定片59と面接触する。図8の左側示すように、水平片47から固定片59に向かってネジnをネジ込むことで、軒樋40を複数個のブラケット50を介して、単位パネル1の軒元側に沿って取り付けられる。
【0026】
尚、軒樋40には、前記図1,図2に示した支柱P,Pに沿って取り付ける図示しない縦樋が接続されるか、図示しない鎖が両端部付近から垂らされる。また、前記各単位パネル1、固定用パネル20,26、および採光パネル30の妻側の両端部には、前記図1,図2に示した妻側化粧材60が固定される。
以上の片流れの屋根ユニットUによれば、軽量なアルミニウム合金の押出形材からなる複数の単位パネル1と固定用パネル20,26とを、それらの凸形部6と凹形部10とを嵌合・接着して容易に単一面に接続できると共に、対向する一対の固定用パネル20,26間にまたがって採光パネル30を容易且つ防水性をもって固定できる。このため、施工を正確・容易で短期間に行うことができる。
【0027】
また、雨水は、複数の単位パネル1、固定用パネル20,26、および採光パネル30にわたる面一な上面を流下した後、軒樋40に集水されて排水される。しかも、前記シール材Sが経年変化で劣化し、万一雨水が固定部21の凹溝25内のネジn付近から浸透しても、中空部23を介して固定部21の両端部に排水できるため、雨漏りを確実に防止できる。
更に、採光パネル30は、平面視で当該屋根ユニットUの面積における10〜数10%を占めるため、利用者にとって四季を通じてまぶしくない程度の明るさが得られ、且つ夏季などの日焼けや熱中症などに至るおそれも低減可能となる。尚、採光パネル30の面積は、屋根ユニットU全体の約5〜50%で選択される。
【0028】
図9は、異なる形態の単位パネル61の断面図、図10,図11は、異なる形態の一対の固定用パネル70,71の断面図を示し、これらは、前記採光パネル30と共に、後述する異なる形態の片流れの屋根ユニットU′に用いられる。
単位パネル61は、前記同様の押出形材からなり、図9に示すように、押出方向と直交する断面が偏平なほぼ矩形を呈し、平坦な上面板62a,下面板62b、これらを中間で連結する仕切壁64、係る仕切壁64の両側に位置する一対の中空部63、図示で右端(一端)に位置する凸形部65、および図示で左端(他端)に位置する凹形部72を、図示の前後方向の全長に沿って有する。
上記凸形部65は、図9の右側に示すように、断面ほぼコ字形の凸条66と、その上下の基端に位置する一対の細溝67と、これらの外側にて上・下面板62a,62bから平行に延びる一対の凸片68と、を備えている。
また、凹形部72は、図9の左側に示すように、断面ほぼコ字形の凹溝73と、その両側で上・下面板62a,62bから平行に延びる一対の厚肉片74と、それらの先端の内側から延びる一対の細凸片74aと、を備えている。
【0029】
更に、軒先側に用いる単位パネル70も前記同様の押出形材からなり、図10に示すように、前記同様の上・下面板62a,62b、中空部63、仕切壁64を有すると共に、その右端(一端)に前記と同じ凸形部65を、左端(他端)に固定部75を、それぞれ図示の前後方向の全長に沿って有する。固定部75は、断面が長方形の中空部77を内設する角形部76と、その外壁から立設する縦壁78と、係る縦壁78の内側に位置する上向きの凹溝79とからなる。
また、軒元側に用いる単位パネル71も前記同様の押出形材からなり、図11に示すように、前記同様の上・下面板62a,62b、中空部63、仕切壁64を有すると共に、その左端(一端)に前記と同じ凹形部72を、右端(他端)に前記と同じ固定部75を、それぞれ図示の前後方向の全長に沿って有する。
【0030】
図12は、複数個の前記単位パネル61、対向する一対の固定用パネル70,71、および前記同様の採光パネル30を用いた片流れの屋根ユニットU′の概略を示す断面図である。尚、単位パネル61は、図12で示す枚数よりも多くしても良い。
即ち、屋根ユニットU′は、図12に示すように、軒先(右端)側に位置する単数または複数の単位パネル61と、係る単位パネル61の凹形部72に凸形部65が嵌合して接続される軒先側の固定用パネル70と、係る固定用パネル70と対をなして対向する軒元側の固定用パネル71と、係る固定用パネル71の凹形部72に凸形部65が嵌合して接続される軒元(左端)側の単数または複数の単位パネル61と、を含んでいる。尚、上記嵌合は、凹形部72の凹溝73に凸形部65の凸条66が接着剤(図示せず)を介して挿入され、且つ凸形部65の各細溝67に凹形部72の各細凸片74aが挿入されることで成される。
【0031】
図12に示すように、固定用パネル70,71の固定部75,75間には、前記同様の採光パネル30が前記同様にして固定されると共に、各固定部75の凹溝79内において、ネジnで固定されたフランジ34の上方には、シール材Sが前記各パネル61,70,71の上面と面一となるようにそれぞれ充填される。
尚、軒先側の単位パネル61の軒先面側には、前記軒先化粧材35が固定され、軒元側の単位パネル61の軒元面側には、複数の前記ブラケット50に相当する金具を介して、前記軒樋40がそれぞれ前記形態と同様にして取り付けられる。
以上のような屋根ユニットU′も、前記屋根ユニットUと同様に施工を正確・容易で短期間に行える。施工後では、前記各パネル61,70,71,30の上面を流下した雨水を、軒樋40に集水して外部に排水できると共に、固定部75付近での雨漏りも防げる。更に、採光パネル30を透過する日光により、四季を通じてまぶしくない程度の明るさが得られ、且つ夏季などの日焼けなどを防ぐことが可能となる。
【0032】
図13は、前記屋根ユニットUの応用形態である屋根ユニットU″を含むバスなどの停留所を示す前記図1と同様な姿図である。
屋根ユニットU″は、図13に示すように、互いに接続される複数の単位パネル1と、これらの単位パネル1と接続される2組(2対)の対向する固定用パネル20,26と、係る2組の固定用パネル20,26の間ごとにまたがって個別に固定される一対の採光パネル30aと、を含む。
係る採光パネル30aは、透明または半透明のポリカーボネートからなり、前記採光パネル30の平坦面32の幅寸法が半分で、且つ単位パネル1や固定用パネル20,26の前記幅wと同じ幅寸法である。尚、採光パネル30aも前記幅wの整数倍の幅寸法のものとしても良い。
【0033】
図13に示すように、2組の固定用パネル20,26は、互いに平行に配置され且つこれらの間には、採光パネル30aが前記同様に個別に固定される。
係る屋根ユニットU″によれば、前記屋根ユニットU,U′と同様な効果が得られると共に、二条の幅狭な採光パネル30aを分散して透過する日光により、当該屋根ユニットU″の下方における明暗差を少なくして均一に明るくでき、且つ日焼けなどの心配を一層抑制することが可能となる。
尚、屋根ユニットU″に用いる一対の採光パネル30aは、軒先側と軒元側とで、一方を透明に他方を半透明にしたり、半透明の度合を相違させたり、互いの平坦面32の幅寸法を相違させても良い。また、前記屋根ユニットU′にも、一対またはそれ以上の採光パネル30aを上記と同様にして適用しても良い。
【0034】
図14は、棟パネル80の断面図と、係る棟パネル80および前記屋根ユニットUを用いた切妻形を呈する応用形態の屋根ユニットU1の部分断面図である。
棟パネル80は、前記同様の押出形材からなり、図14に示すように、中央の頂部81に対し左右対称に傾斜する上面体82a,下面板82bと、これらを連結する仕切壁83と、係る仕切壁83の両側に位置する対称な一対の中空部84と、左右の各軒先側に対称に位置する一対の凹形部10と、を図示の前後方向の全長に沿って有する。
図14に示すように、棟パネル80における上記一対の凹形部10には、前記単位パネル1の凸形部6がそれぞれ嵌合して左右対称に接続される。
また、図14で左右の外側に位置する各単位パネル1の前記凹形部10(図示せず)の各軒先側には、前記屋根ユニットU,U″と同様に一対の固定用パネル20,26と、これらの固定部21,21間に固定される採光パネル30(30a)と、固定用パネル26の凹形部10の各軒先側に、単数または複数の単位パネル1とが接続され、全体として切妻の屋根ユニットU1が形成される。
【0035】
以上のような切妻の屋根ユニットU1によれば、前記プラットフォームHが平面視でほぼ正方形の場合にも適用でき、前記屋根ユニットU,U′,U″と同様な効果が得られると共に、採光パネル30(30a)によって、利用者に対し適度な明るさと健康さを与えることが可能となる。
尚、前記棟パネル80の各凹形部10を前記凹形部72に替えることで、当該棟パネル80の左右に前記単位パネル61、固定用パネル70,71、および採光パネル30(30a)を用いた屋根ユニットU′を左右対称に有する切妻形の屋根ユニットを形成することもできる。また、前記棟パネル80の左右何れの凹形部10(72)に、単数または複数の単位パネル1(61)のみを接続することにより、招き形の屋根ユニットを形成することも可能である。
【0036】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記単位パネル1,61は、軒先側を凹形部10,72とし、軒元側を凸形部6,65としても良い。また、これに応じて、前記固定用パネル20,21の凸形部6と凹形部10との位置を置き換えたり、前記固定用パネル70,71の凸形部65と凹形部72との位置を置き換えても良い。更に、前記棟パネル80における左右の凹形部10を凸形部6に置き換え、これに上記置き換えた単位パネル1,61を嵌合して接続するようにしても良い。
また、前記棟パネル80を上下逆にして、断面が偏平なほぼV字形の軒元パネルとし、係る軒元パネルの左右において、左右対称に上向きに傾斜して、前記単位パネル1,61、前記固定用パネル20,21,70,71、および採光パネル30,30aを接続して、前記屋根ユニットU,U′,U″を左右対称に有するバタフライ形の屋根ユニットを形成することも可能である。
尚、本発明の屋根ユニットは、建物の庇、建物間の連絡通路の屋根、カーポートの屋根、または公園などの休憩所の屋根などにも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の屋根ユニットを用いた停留所を斜め前方から示す姿図。
【図2】上記停留所を斜め後方から示す姿図。
【図3】上記屋根ユニットに用いる単位パネルの断面図。
【図4】上記屋根ユニットに用いる一方の固定用パネルの断面図。
【図5】上記屋根ユニットに用いる他方の固定用パネルの断面図。
【図6】図1中のXa−Xbの矢視に沿った断面のうちXa寄りの断面図。
【図7】図1中のXa−Xbの矢視に沿った断面のうち中程の断面図。
【図8】図1中のXa−Xbの矢視に沿った断面のうちXb寄りの断面図。
【図9】異なる形態の単位パネルを示す断面図。
【図10】異なる形態で且つ一方の固定用パネルを示す断面図。
【図11】異なる形態で且つ他方の固定用パネルを示す断面図。
【図12】上記単位パネルと一対の固定用パネルとを用いた異なる形態の屋根ユニットの概略を示す断面図。
【図13】前記屋根ユニットの応用形態の屋根ユニットなどを示す姿図。
【図14】棟パネルとこれを用いた応用形態の屋根ユニットを示す断面図。
【符号の説明】
【0038】
1,61……………………単位パネル
6,65……………………凸形部
10,72…………………凹形部
20,26,70,71…固定用パネル
21,75…………………固定部
23,77…………………中空部
25,79…………………凹溝
30,30a………………採光パネル
32…………………………平坦面
33…………………………縦片
34…………………………フランジ
40…………………………軒樋
U,U′,U″,U1……屋根ユニット
S……………………………シール材
n……………………………ネジ
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばバス停留所やカーポートなどの上方を覆うため、複数の支柱の上端に取り付けられる独立形式の屋根ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、バス停留所やカーポートなどの上方を覆う屋根ユニットとしては、アルミニウム合金の押出形材からなる棟形材と、その両側にそれぞれ対称で斜め下向きに接続される同様な押出形材からなる複数の斜面用形材と、により構成する屋根ユニットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、一対の平行な軒桁の間に、円弧形を呈する複数の垂木を介して、係る垂木と同様にカーブした透明な樹脂からなる屋根パネルを複数枚取り付けたバス停留所用シェルタなどの組立建物も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−328706号公報(第1〜13頁、図3)
【特許文献2】特開2000−170254号公報(第1〜7頁、図1)
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載の屋根ユニットによれば、全てがアルミニウム合金の押出形材から形成されているため、雨水および日光を確実に遮断できる反面、晴天時はもとより、特に曇天や雨天時には、当該屋根ユニットの下方が暗くなり易く、冬季には暗さに加えて寒さも募り易くなる。このため、照明器具やその配線の取付を必要とし、コスト高になる、という問題があった。
一方、前記特許文献2に記載のバス停留所用シェルタによれば、透明な屋根パネルを日光が透過するため、バスを待っている利用者にとって、まぶしいだけでなく、日焼けや甚だしくは熱中症を招来しかねないと共に、直射日光に長期間にわたり曝されるため、屋根パネル自体が劣化し易くなる、という問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記背景技術における問題点を解決し、日光による明かりを活用して暗さを低減でき且つ日焼けなどを招くおれが少ないと共に、組立や施工が容易な屋根ユニットを提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、
即ち、本発明の屋根ユニット(請求項1)は、一端の凸形部と他端の凹形部とを含む偏平な断面を有する複数の単位パネルと、上記凸形部または凹形部を一端に有し且つ他端に固定部を有し且つ偏平な断面を有する一対または一対以上の固定用パネルと、係る対となる固定用パネルの固定部間に固定される透明または半透明の採光パネルと、を含み、上記複数の単位パネル同士および単位パネルと固定用パネルとを、それらの凸形部と凹形部とを嵌合して、上記各断面に沿った幅方向に接続し、係る接続がされ且つ対向する一対の固定用パネル同士の固定部間にまたがって、上記採光パネルが固定される、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、複数の単位パネル同士および単位パネルと固定用パネルとは、それらの凸形部と凹形部とを嵌合して接続することにより、所要広さの屋根面を形成できると共に、接続されて対向する一対の固定用パネル同士の固定部間にまたがって、上記採光パネルが固定された屋根ユニットとなる。このため、日光が採光パネルを透過して地表付近を明るくするため、係る屋根ユニットをバス停留所に適用した場合、利用者には、四季を通じてまぶしくない程度の明るさが得られ、且つ夏季にも日焼けや熱中症などに至るおそれを低減することができる。
しかも、上記各パネルの凸形部と凹形部とを嵌合して組立られるため、施工を容易且つ短期間に行うことも可能となる。
尚、前記各パネルは、予め凹形部に塗布した接着剤を介して、それらの凸形部および凹形部を嵌合と同時に接着しても良い。係る接着剤には、防水性と耐候性とを兼ね備えたものを用いることで、雨水の漏水を長期間にわたり防ぐことができる。また、採光パネルの幅は、例えば、その1枚が単位パネルの実質的な幅(凸形部の頂面から凹形部の底面までの距離)の整数倍で用いられ、その取り付け枚数も1枚に限らず、同じ幅寸法または異なる幅寸法の2枚以上を互いに離隔させつつ単一の屋根ユニットに取り付けることも可能である。加えて、前記屋根ユニットは、現場での施工後において全体に水勾配が付される。
【0008】
また、本発明には、前記接続された複数の単位パネルおよび前記対となる固定用パネルの上面と、前記採光パネルの上面とは、ほぼ面一とされる、屋根ユニット(請求項2)も含まれる。
これによれば、複数の単位パネルの上面および一対以上の固定用パネルの上面がほぼ面一となるため、単一の平坦な屋根面を有し且つ意匠性に優れた屋根ユニットとすることができる。尚、本発明の屋根ユニットの形状は、片流れに限らず、断面がほぼへ字形でその両端に前記凹部を有する棟部材を用いることで、切妻または招き形にすることも可能である。あるいは、断面がほぼV字形でその両端に前記凸形部などを有する軒元部材を用いて、バタフライにすることも可能である。
【0009】
更に、本発明には、前記採光パネルは、幅広の平坦面と、その両端に位置する一対の縦片と、各縦片の下端から上記平坦面とほぼ平行に延びる一対のフランジと、からなる偏平なハット形の断面を有する共に、上記採光パネルが固定される前記固定用パネルの固定部は、前記断面の他端に設けた上向きの凹溝とその直下の中空部とからなり、上記採光パネルの平坦面の両端における縦片とフランジとを、上記凹溝に挿入し且つ上記フランジを当該凹溝の底面にネジ止めする、屋根ユニット(請求項3)も含まれる。
これによれば、前記接続がされ且つ対向する一対の固定用パネルの各固定部に、採光パネルの断面方向における両端に位置する縦片およびフランジをそれぞれ挿入し、係るフランジから上記中空部に向けてネジをネジ込むことで、採光パネルを精度良くして容易且つ迅速に固定することができる。しかも、万一ネジ部から雨水が浸入しても中空部から当該固定部の両端に排水でき、雨漏りを防止できる。
【0010】
また、本発明には、前記固定用パネルにおける固定部の凹溝内において、当該凹溝に挿入され且つネジ止めされる前記採光パネルのフランジの上方に、上記固定用パネルおよび前記単位パネルの上面とほぼ面一になるようにしてシール材が充填される、屋根ユニット(請求項4)も含まれる。
これによれば、採光パネルの断面方向の両端における縦片およびフランジと隣接する固定用パネルとの間がシール材を介してほぼ面一となるため、採光パネル付近における雨水の漏水を確実に防止できると共に、前記各パネルの上面を雨水が流下し易くなり、且つ屋根ユニット全体の意匠も良好にすることができる。また、万一シール材が劣化し雨水がネジ部から浸入しても、固定部の中空部から両端の妻側に排水できるため、雨漏りを確実に防止できる。
【0011】
更に、本発明には、前記単位パネルおよび前記固定用パネルは、アルミニウム合金の押出形材からなる、屋根ユニット(請求項5)も含まれる。
これによれば、単位パネル同士および単位パネルと固定用パネルとの凹部および凸部を形状および寸法精度良く形成できるため、係るパネル同士の凹形部と凸形部との嵌合を容易に行える。しかも、対となる固定パネルの各固定部における凹溝と中空部も精度良く形成されるため、採光パネルの縦片およびフランジを上記凹部に挿入し且つその底面でネジ止めすることも容易となる。
【0012】
また、本発明には、前記採光パネルは、透明または半透明のポリカーボネート、透明または半透明のアクリル樹脂、透明または半透明のガラスの何れかからなる、屋根ユニット(請求項6)も含まれる。
これによれば、屋根ユニットを用いる地方や地勢や環境などに応じて、あるいは周囲の環境との調和に対応して、透明な採光パネルや任意の透光度を有する半透明の採光パネルを一部に含む屋根ユニットを得ることができる。尚、上記半透明の採光パネルには、全体が均一な曇り面のものの他、各種の模様を全体または一部に施したものも含まれる。また、上記ガラスには、強化ガラスも含まれる。
【0013】
加えて、本発明には、前記複数の単位パネルのうち最下部に位置する単位パネルの軒元側には、単位パネル、前記一対の固定用パネル、および前記採光パネルの上面を流下した雨水を集水する軒樋が取り付けられる、屋根ユニット(請求項7)も含まれる。
これによれば、複数の単位パネルおよび上記固定用パネルに落下した雨水を、上記軒樋に集水し、係る軒樋に接続する縦樋や鎖などを介して、地表に排水することができる。このため、係る屋根ユニットの下方にたたずむ利用者が、雨水に不用意に濡れる事態を回避することが可能となる。
付言すれば、上記最下部に位置する単位パネルの軒元側に位置する前記凹形部に凸形部が嵌合して固定される複数のブラケット(金物)を介して、上記軒樋が取り付けられる、屋根ユニットとすることもできる。これによる場合、軒樋の取付を容易且つ強度をもって行うことが可能となる。尚、上記ブラケットには、凸形部を含む所要の断面形状を有する押出形材を、短尺に切断したものを用いる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下において、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の屋根ユニットUを用いたバスまたは路面電車の停留所を、斜め前方から見た姿図、図2は、上記停留所を、斜め後方から見た姿図である。
上記停留所は、地表GLから高く形成されたプラットフォームH上に左右2本の支柱Pを立設し、各支柱Pの上端から斜め上方に延びる梁Kに固定した図示しない垂木を介して、屋根ユニットUを図示しないボルトなどで固定している。
片流れの屋根ユニットUは、図1,図2に示すように、互いに接続される複数の単位パネル1と、これらの単位パネル1と接続される一対の対向し且つ離隔する固定用パネル20,26と、係る固定用パネル20,26の間にまたがって固定される採光パネル30と、を含む。上記各パネル1,20,26,30を含む屋根ユニットUの全体が、施工後において傾斜する水勾配を付されている。尚、図1,図2において、軒元側の単位パネル1は、図示の数よりも多く用いられる。
【0015】
上記各パネル1,20,26,30は、それぞれ長手方向を屋根ユニットUにおける両端の妻側−妻側の方向と平行にして配置される。
因みに、図1,図2に示す屋根ユニットUは、妻−妻側方向の長さが約5メートルで、且つ軒先(最上部)・軒元(最下部)方向の幅が約2メートルである。
尚、図1,図2に示すように、軒先側の最上部に位置する単位パネル1の軒先面には、軒先化粧材35が、上記各パネル1,20,26,30の長手方向の両端には、断面ほぼコ字形の妻部化粧材60が、軒元側で最下部の単位パネル1の軒元面側には、複数のブラケット50を介して、軒樋40が取り付けられる。係る軒樋40には、各支柱Pに沿って取り付けた図示しない縦樋が接続される。
【0016】
単位パネル1は、アルミニウム合金(例えば、JIS A6063−T5)の押出形材からなり、図3に示すように、押出方向と直交する断面が偏平なほぼ矩形を呈し、平坦な上面板2a,下面板2bと、これらのほぼ中央を連結する仕切壁3と、係る仕切壁3の両側に位置する中空部4,5と、両端の凸形部6,凹形部10と、を図示の前後方向の全長に沿って有する。上面板2aは、下面板2bに対して、図示で右側から左側に沿ってやや離れるように僅かに傾斜している。
また、図3で右端(一端)に位置する凸形部6は、その厚み方向のほぼ中央に位置する凸条7と、その上下に隣接する屈曲片8と、下側の屈曲片8の下端と下面板2bとの間に位置する断面ほぼL字形の段部9と、を有する。
【0017】
更に、図3にて左端(他端)に位置する凹形部10は、上記凸形部6と嵌合可能であり、その厚み方向の中央に位置する凹溝14と、その上下に隣接する屈曲片12と、上側の屈曲片12の上端から延びる水切片11と、下側の屈曲片12の下端から延びる断面ほぼL字形の樋部16を有する。水切片11と樋部16とは、上面板2a,下面板2bとそれぞれ平行に突設され、樋部16の上面は、樋面18となっている。
因みに、単位パネル1は、妻−妻側方向の長さが約5メートル、軒先・軒元方向の実質的な幅w(凸形部6の凸条7の頂面から凹形部10の凹溝14の底面までの距離)が約120mm(最大300mm)、厚みが約30mmである。
【0018】
屋根ユニットUで軒先側に位置する固定用パネル20は、前記同様の押出形材からなり、図4に示すように、押出方向と直交する断面が偏平なほぼ矩形を呈し、前記同様の上面板2a,下面板2b、仕切壁3、中空部4,5、および図示で右端(一端)に位置する凸形部6を備え、更に、図示で左端(他端)に位置する固定部21を、図示の前後方向の沿って有する。上記固定部21は、断面が長方形の中空部23を内設する角形部22と、その外壁から立設する縦壁24と、係る縦壁24の内側に位置する上向きの凹溝25とからなる。
一方、屋根ユニットUで軒元側に位置する固定用パネル26も、前記同様の押出形材からなり、図5に示すように、押出方向と直交する断面が偏平なほぼ矩形を呈し、前記同様の上面板2a,下面板2b、仕切壁3、中空部4,5、および図示で左端(他端)に位置する凹形部10を備えると共に、図示で右端(一端)に前記と同じ固定部21を、図示の前後方向の全長に沿って有する。
尚、固定用パネル20,26は、単位パネル1と同様のサイズである。
【0019】
図1中のXa−Xbの矢視に沿った断面のうち、軒先側であるXa寄りの断面を図6に示す。屋根ユニットUで軒先側の最上部に位置する単位パネル1の凹形部10には、固定用パネル20の凸形部6が、図示しない接着剤を介して嵌合される。即ち、図6の中程に示すように、凹形部10の凹溝14に凸形部6の凸条7が嵌合し、凹形部10の各屈曲片12に凸形部6の各屈曲片8が隣接すると共に、凸形部6の段部9に凹形部10の樋部16が進入し、両者の間に樋面18が位置する。係る樋面18は、上記接着剤が経年変化で劣化して万一破れた場合に、凸・凹形部6,10間を浸透した雨水を単位パネル1の妻側に排水する。
【0020】
尚、最上部に位置する単位パネル1の軒先面側には、図6の右側に示すように、軒先化粧材35が固定される。係る軒先化粧材35は、前記同様の押出形材からなり、化粧板36と、これから直角で互いに平行に延びる固定片37,38と、これらに囲まれた凹部39と、を図示の前後方向に沿って有する。
上記軒先化粧材35は、その凹部39に単位パネル1の凸形部6を挿入し、上側の固定片37から隣接する上面板2aに向けて、ブラインドリベットrをシール材(図示せず)を介して打ち込むことにより、単位パネル1に固定される。
【0021】
また、固定用パネル20の固定部21には、図6,図7に示すように、採光パネル30の一端が固定される。尚、図7は、図1中のXa−Xbの矢視に沿った断面のうち、軒先側と軒元側とのほぼ中間における断面を示す。
採光パネル30は、例えば、透明なポリカーボーネートからなり、図7に示すように、幅広な平坦面32と、その両端から直角に垂下する一対の縦片33と、各縦片33の下端から平坦面32と平行に外側に延びる一対のフランジ34とからなるほぼハット形の断面を、図示の前後方向の全長に沿って有する。係る採光パネル30の平坦面32の幅は、例えば240mmまたは360mmで、単位パネル1の前記幅wの2倍または3倍(整数倍)である。
図6,図7に示すように、採光パネル30の軒先側の端部に位置する縦片33とフランジ34とを、固定用パネル20の固定部21における凹溝25に挿入し、上記フランジ34を凹溝25の底面に固定すべく、ネジnを中空部23に向ってネジ込む。固定されたフランジ34の上方における凹溝25には、シリコン系のシール材Sが充填される。係るシール材Sの上面は、固定用パネル20の上面板2aや採光パネル30の平坦面32の上面と面一とされる。
【0022】
図1中のXa−Xbの矢視に沿った断面のうち、軒元側であるXb寄りの断面を図8に示す。屋根ユニットUの軒元側では、最下部に位置する単位パネル1を含む複数枚の単位パネル1が、それぞれの凸形部6と凹形部10とを前記同様に嵌合して接続される。これらの複数枚の単位パネル1のうちで軒先寄りの単位パネル1における凸形部6には、図8の中程に示すように、前記固定パネル20と対となる固定用パネル26の凹形部10が前記同様に嵌合して接続される。
図7,図8に示すように、採光パネル30の軒元側の端部に位置する縦片33とフランジ34とを、固定用パネル26の固定部21における凹溝25に挿入し、ネジnをフランジ34から中空部23に向ってネジ込むと共に、固定されたフランジ34の上方における凹溝25には、シリコン系のシール材Sが充填される。係るシール材Sの上面も、前記単位パネル1や固定用パネル26の上面板2aや採光パネル30の平坦面32の上面と面一とされる。
【0023】
図2および図8の左側に示すように、前記複数枚の単位パネル1のうち、最下部に位置する単位パネル1の軒元面側の凹形部10には、複数のブラケット(金物)50が図示の前後方向に沿って、互いに間隔を置いて固定される。
ブラケット50は、前記同様の押出形材を押出方向に沿って短尺に切断しものである。係るブラケット50は、図8に示すように、単位パネル1の凹形部10における屈曲部12,12に当接する凸片52,52を有するコ形部51、その上端から後方に延びる上面板53、その後端から斜め下方に延びる傾斜板54、コ形部51の下端から延びるL形片55、その後端から後方に延びる下面板58、および、傾斜板54と下面板58との交点から後方に延びる固定片59を、一体に有する。また、L形片55の中間には、突起56が垂下している。
【0024】
図8に示すように、ブラケット50のコ形部51を単位パネル1の凹形部10の内側に挿入し、且つ屈曲部12,12に凸片52,52を当接した状態で、長めのネジNを凹形部10の凹溝14にネジ込むことで、当該ブラケット50を単位パネル1の凹形部10側に固定する。この際、各ブラケット50の突起56は、凹形部10における樋部16の樋面18に当接する。
次いで、単位パネル1の凹形部10側および複数個のブラケット50にまたがって、図8に示す断面を有する軒樋40を取り付ける。
係る軒樋40は、前記同様の押出形材または合成樹脂の押出成形材からなり、図8に示すように、単位パネル1の下面板2bと平行な樋板41、係る樋板41から斜め前方に立ち上がる傾斜板43、および樋板41の後端から立設する化粧板42と、これらに囲まれた樋部44と、を備えている。
【0025】
図8に示すように、軒樋40における傾斜板43の上端には、縦片45および横片46が形成され、係る横片46は、単位パネル1の下面板2bに添接され且つブラインドリベットrにより固定される。尚、横片46を省略し、縦片45の上端を下面板2bに当接し、縦片45と下面板2bとの間に図示しないアングル片を配置し、係るアングル片を介して上記リベットrにより固定しても良い。
また、軒樋40における化粧板42の上端には、L形片48が位置し、そのやや下側で且つ単位パネル1寄りの内側面には、水平片47が突出し、係る水平片47は、ブラケット50の固定片59と面接触する。図8の左側示すように、水平片47から固定片59に向かってネジnをネジ込むことで、軒樋40を複数個のブラケット50を介して、単位パネル1の軒元側に沿って取り付けられる。
【0026】
尚、軒樋40には、前記図1,図2に示した支柱P,Pに沿って取り付ける図示しない縦樋が接続されるか、図示しない鎖が両端部付近から垂らされる。また、前記各単位パネル1、固定用パネル20,26、および採光パネル30の妻側の両端部には、前記図1,図2に示した妻側化粧材60が固定される。
以上の片流れの屋根ユニットUによれば、軽量なアルミニウム合金の押出形材からなる複数の単位パネル1と固定用パネル20,26とを、それらの凸形部6と凹形部10とを嵌合・接着して容易に単一面に接続できると共に、対向する一対の固定用パネル20,26間にまたがって採光パネル30を容易且つ防水性をもって固定できる。このため、施工を正確・容易で短期間に行うことができる。
【0027】
また、雨水は、複数の単位パネル1、固定用パネル20,26、および採光パネル30にわたる面一な上面を流下した後、軒樋40に集水されて排水される。しかも、前記シール材Sが経年変化で劣化し、万一雨水が固定部21の凹溝25内のネジn付近から浸透しても、中空部23を介して固定部21の両端部に排水できるため、雨漏りを確実に防止できる。
更に、採光パネル30は、平面視で当該屋根ユニットUの面積における10〜数10%を占めるため、利用者にとって四季を通じてまぶしくない程度の明るさが得られ、且つ夏季などの日焼けや熱中症などに至るおそれも低減可能となる。尚、採光パネル30の面積は、屋根ユニットU全体の約5〜50%で選択される。
【0028】
図9は、異なる形態の単位パネル61の断面図、図10,図11は、異なる形態の一対の固定用パネル70,71の断面図を示し、これらは、前記採光パネル30と共に、後述する異なる形態の片流れの屋根ユニットU′に用いられる。
単位パネル61は、前記同様の押出形材からなり、図9に示すように、押出方向と直交する断面が偏平なほぼ矩形を呈し、平坦な上面板62a,下面板62b、これらを中間で連結する仕切壁64、係る仕切壁64の両側に位置する一対の中空部63、図示で右端(一端)に位置する凸形部65、および図示で左端(他端)に位置する凹形部72を、図示の前後方向の全長に沿って有する。
上記凸形部65は、図9の右側に示すように、断面ほぼコ字形の凸条66と、その上下の基端に位置する一対の細溝67と、これらの外側にて上・下面板62a,62bから平行に延びる一対の凸片68と、を備えている。
また、凹形部72は、図9の左側に示すように、断面ほぼコ字形の凹溝73と、その両側で上・下面板62a,62bから平行に延びる一対の厚肉片74と、それらの先端の内側から延びる一対の細凸片74aと、を備えている。
【0029】
更に、軒先側に用いる単位パネル70も前記同様の押出形材からなり、図10に示すように、前記同様の上・下面板62a,62b、中空部63、仕切壁64を有すると共に、その右端(一端)に前記と同じ凸形部65を、左端(他端)に固定部75を、それぞれ図示の前後方向の全長に沿って有する。固定部75は、断面が長方形の中空部77を内設する角形部76と、その外壁から立設する縦壁78と、係る縦壁78の内側に位置する上向きの凹溝79とからなる。
また、軒元側に用いる単位パネル71も前記同様の押出形材からなり、図11に示すように、前記同様の上・下面板62a,62b、中空部63、仕切壁64を有すると共に、その左端(一端)に前記と同じ凹形部72を、右端(他端)に前記と同じ固定部75を、それぞれ図示の前後方向の全長に沿って有する。
【0030】
図12は、複数個の前記単位パネル61、対向する一対の固定用パネル70,71、および前記同様の採光パネル30を用いた片流れの屋根ユニットU′の概略を示す断面図である。尚、単位パネル61は、図12で示す枚数よりも多くしても良い。
即ち、屋根ユニットU′は、図12に示すように、軒先(右端)側に位置する単数または複数の単位パネル61と、係る単位パネル61の凹形部72に凸形部65が嵌合して接続される軒先側の固定用パネル70と、係る固定用パネル70と対をなして対向する軒元側の固定用パネル71と、係る固定用パネル71の凹形部72に凸形部65が嵌合して接続される軒元(左端)側の単数または複数の単位パネル61と、を含んでいる。尚、上記嵌合は、凹形部72の凹溝73に凸形部65の凸条66が接着剤(図示せず)を介して挿入され、且つ凸形部65の各細溝67に凹形部72の各細凸片74aが挿入されることで成される。
【0031】
図12に示すように、固定用パネル70,71の固定部75,75間には、前記同様の採光パネル30が前記同様にして固定されると共に、各固定部75の凹溝79内において、ネジnで固定されたフランジ34の上方には、シール材Sが前記各パネル61,70,71の上面と面一となるようにそれぞれ充填される。
尚、軒先側の単位パネル61の軒先面側には、前記軒先化粧材35が固定され、軒元側の単位パネル61の軒元面側には、複数の前記ブラケット50に相当する金具を介して、前記軒樋40がそれぞれ前記形態と同様にして取り付けられる。
以上のような屋根ユニットU′も、前記屋根ユニットUと同様に施工を正確・容易で短期間に行える。施工後では、前記各パネル61,70,71,30の上面を流下した雨水を、軒樋40に集水して外部に排水できると共に、固定部75付近での雨漏りも防げる。更に、採光パネル30を透過する日光により、四季を通じてまぶしくない程度の明るさが得られ、且つ夏季などの日焼けなどを防ぐことが可能となる。
【0032】
図13は、前記屋根ユニットUの応用形態である屋根ユニットU″を含むバスなどの停留所を示す前記図1と同様な姿図である。
屋根ユニットU″は、図13に示すように、互いに接続される複数の単位パネル1と、これらの単位パネル1と接続される2組(2対)の対向する固定用パネル20,26と、係る2組の固定用パネル20,26の間ごとにまたがって個別に固定される一対の採光パネル30aと、を含む。
係る採光パネル30aは、透明または半透明のポリカーボネートからなり、前記採光パネル30の平坦面32の幅寸法が半分で、且つ単位パネル1や固定用パネル20,26の前記幅wと同じ幅寸法である。尚、採光パネル30aも前記幅wの整数倍の幅寸法のものとしても良い。
【0033】
図13に示すように、2組の固定用パネル20,26は、互いに平行に配置され且つこれらの間には、採光パネル30aが前記同様に個別に固定される。
係る屋根ユニットU″によれば、前記屋根ユニットU,U′と同様な効果が得られると共に、二条の幅狭な採光パネル30aを分散して透過する日光により、当該屋根ユニットU″の下方における明暗差を少なくして均一に明るくでき、且つ日焼けなどの心配を一層抑制することが可能となる。
尚、屋根ユニットU″に用いる一対の採光パネル30aは、軒先側と軒元側とで、一方を透明に他方を半透明にしたり、半透明の度合を相違させたり、互いの平坦面32の幅寸法を相違させても良い。また、前記屋根ユニットU′にも、一対またはそれ以上の採光パネル30aを上記と同様にして適用しても良い。
【0034】
図14は、棟パネル80の断面図と、係る棟パネル80および前記屋根ユニットUを用いた切妻形を呈する応用形態の屋根ユニットU1の部分断面図である。
棟パネル80は、前記同様の押出形材からなり、図14に示すように、中央の頂部81に対し左右対称に傾斜する上面体82a,下面板82bと、これらを連結する仕切壁83と、係る仕切壁83の両側に位置する対称な一対の中空部84と、左右の各軒先側に対称に位置する一対の凹形部10と、を図示の前後方向の全長に沿って有する。
図14に示すように、棟パネル80における上記一対の凹形部10には、前記単位パネル1の凸形部6がそれぞれ嵌合して左右対称に接続される。
また、図14で左右の外側に位置する各単位パネル1の前記凹形部10(図示せず)の各軒先側には、前記屋根ユニットU,U″と同様に一対の固定用パネル20,26と、これらの固定部21,21間に固定される採光パネル30(30a)と、固定用パネル26の凹形部10の各軒先側に、単数または複数の単位パネル1とが接続され、全体として切妻の屋根ユニットU1が形成される。
【0035】
以上のような切妻の屋根ユニットU1によれば、前記プラットフォームHが平面視でほぼ正方形の場合にも適用でき、前記屋根ユニットU,U′,U″と同様な効果が得られると共に、採光パネル30(30a)によって、利用者に対し適度な明るさと健康さを与えることが可能となる。
尚、前記棟パネル80の各凹形部10を前記凹形部72に替えることで、当該棟パネル80の左右に前記単位パネル61、固定用パネル70,71、および採光パネル30(30a)を用いた屋根ユニットU′を左右対称に有する切妻形の屋根ユニットを形成することもできる。また、前記棟パネル80の左右何れの凹形部10(72)に、単数または複数の単位パネル1(61)のみを接続することにより、招き形の屋根ユニットを形成することも可能である。
【0036】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記単位パネル1,61は、軒先側を凹形部10,72とし、軒元側を凸形部6,65としても良い。また、これに応じて、前記固定用パネル20,21の凸形部6と凹形部10との位置を置き換えたり、前記固定用パネル70,71の凸形部65と凹形部72との位置を置き換えても良い。更に、前記棟パネル80における左右の凹形部10を凸形部6に置き換え、これに上記置き換えた単位パネル1,61を嵌合して接続するようにしても良い。
また、前記棟パネル80を上下逆にして、断面が偏平なほぼV字形の軒元パネルとし、係る軒元パネルの左右において、左右対称に上向きに傾斜して、前記単位パネル1,61、前記固定用パネル20,21,70,71、および採光パネル30,30aを接続して、前記屋根ユニットU,U′,U″を左右対称に有するバタフライ形の屋根ユニットを形成することも可能である。
尚、本発明の屋根ユニットは、建物の庇、建物間の連絡通路の屋根、カーポートの屋根、または公園などの休憩所の屋根などにも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の屋根ユニットを用いた停留所を斜め前方から示す姿図。
【図2】上記停留所を斜め後方から示す姿図。
【図3】上記屋根ユニットに用いる単位パネルの断面図。
【図4】上記屋根ユニットに用いる一方の固定用パネルの断面図。
【図5】上記屋根ユニットに用いる他方の固定用パネルの断面図。
【図6】図1中のXa−Xbの矢視に沿った断面のうちXa寄りの断面図。
【図7】図1中のXa−Xbの矢視に沿った断面のうち中程の断面図。
【図8】図1中のXa−Xbの矢視に沿った断面のうちXb寄りの断面図。
【図9】異なる形態の単位パネルを示す断面図。
【図10】異なる形態で且つ一方の固定用パネルを示す断面図。
【図11】異なる形態で且つ他方の固定用パネルを示す断面図。
【図12】上記単位パネルと一対の固定用パネルとを用いた異なる形態の屋根ユニットの概略を示す断面図。
【図13】前記屋根ユニットの応用形態の屋根ユニットなどを示す姿図。
【図14】棟パネルとこれを用いた応用形態の屋根ユニットを示す断面図。
【符号の説明】
【0038】
1,61……………………単位パネル
6,65……………………凸形部
10,72…………………凹形部
20,26,70,71…固定用パネル
21,75…………………固定部
23,77…………………中空部
25,79…………………凹溝
30,30a………………採光パネル
32…………………………平坦面
33…………………………縦片
34…………………………フランジ
40…………………………軒樋
U,U′,U″,U1……屋根ユニット
S……………………………シール材
n……………………………ネジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端の凸形部と他端の凹形部とを含む偏平な断面を有する複数の単位パネルと、
上記凸形部または凹形部を一端に有し且つ他端に固定部を有し且つ偏平な断面を有する一対または一対以上の固定用パネルと、
上記対となる固定用パネルの固定部間に固定される透明または半透明の採光パネルと、を含み、
上記複数の単位パネル同士および単位パネルと固定用パネルとを、それらの凸形部と凹形部とを嵌合して、上記各断面に沿った幅方向に接続し、
上記接続がされ且つ対向する一対の固定用パネル同士の固定部間にまたがって、上記採光パネルが固定される、
ことを特徴とする屋根ユニット。
【請求項2】
前記接続された複数の単位パネルおよび前記対となる固定用パネルの上面と、前記採光パネルの上面とは、ほぼ面一とされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の屋根ユニット。
【請求項3】
前記採光パネルは、幅広の平坦面と、その両端に位置する一対の縦片と、各縦片の下端から上記平坦面とほぼ平行に延びる一対のフランジと、からなる偏平なハット形の断面を有する共に、
上記採光パネルが固定される前記固定用パネルの固定部は、前記断面の他端に設けた上向きの凹溝とその直下の中空部とからなり、
上記採光パネルの平坦面の両端における縦片とフランジとを、上記凹溝に挿入し且つ上記フランジを当該凹溝の底面にネジ止めする、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の屋根ユニット。
【請求項4】
前記固定用パネルにおける固定部の凹溝内において、当該凹溝に挿入され且つネジ止めされる前記採光パネルのフランジの上方に、上記固定用パネルおよび前記単位パネルの上面とほぼ面一になるようにしてシール材が充填される、
ことを特徴とする請求項3に記載の屋根ユニット。
【請求項5】
前記単位パネルおよび前記固定用パネルは、アルミニウム合金の押出形材からなる、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の屋根ユニット。
【請求項6】
前記採光パネルは、透明または半透明のポリカーボネート、透明または半透明のアクリル樹脂、透明ガラスまたは半透明のガラスの何れかからなる、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の屋根ユニット。
【請求項7】
前記複数の単位パネルのうち最下部に位置する単位パネルの軒元側には、単位パネル、前記一対の固定用パネル、および前記採光パネルの上面を流下した雨水を集水する軒樋が取り付けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の屋根ユニット。
【請求項1】
一端の凸形部と他端の凹形部とを含む偏平な断面を有する複数の単位パネルと、
上記凸形部または凹形部を一端に有し且つ他端に固定部を有し且つ偏平な断面を有する一対または一対以上の固定用パネルと、
上記対となる固定用パネルの固定部間に固定される透明または半透明の採光パネルと、を含み、
上記複数の単位パネル同士および単位パネルと固定用パネルとを、それらの凸形部と凹形部とを嵌合して、上記各断面に沿った幅方向に接続し、
上記接続がされ且つ対向する一対の固定用パネル同士の固定部間にまたがって、上記採光パネルが固定される、
ことを特徴とする屋根ユニット。
【請求項2】
前記接続された複数の単位パネルおよび前記対となる固定用パネルの上面と、前記採光パネルの上面とは、ほぼ面一とされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の屋根ユニット。
【請求項3】
前記採光パネルは、幅広の平坦面と、その両端に位置する一対の縦片と、各縦片の下端から上記平坦面とほぼ平行に延びる一対のフランジと、からなる偏平なハット形の断面を有する共に、
上記採光パネルが固定される前記固定用パネルの固定部は、前記断面の他端に設けた上向きの凹溝とその直下の中空部とからなり、
上記採光パネルの平坦面の両端における縦片とフランジとを、上記凹溝に挿入し且つ上記フランジを当該凹溝の底面にネジ止めする、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の屋根ユニット。
【請求項4】
前記固定用パネルにおける固定部の凹溝内において、当該凹溝に挿入され且つネジ止めされる前記採光パネルのフランジの上方に、上記固定用パネルおよび前記単位パネルの上面とほぼ面一になるようにしてシール材が充填される、
ことを特徴とする請求項3に記載の屋根ユニット。
【請求項5】
前記単位パネルおよび前記固定用パネルは、アルミニウム合金の押出形材からなる、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の屋根ユニット。
【請求項6】
前記採光パネルは、透明または半透明のポリカーボネート、透明または半透明のアクリル樹脂、透明ガラスまたは半透明のガラスの何れかからなる、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の屋根ユニット。
【請求項7】
前記複数の単位パネルのうち最下部に位置する単位パネルの軒元側には、単位パネル、前記一対の固定用パネル、および前記採光パネルの上面を流下した雨水を集水する軒樋が取り付けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の屋根ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−97256(P2006−97256A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−281741(P2004−281741)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(500538715)株式会社住軽日軽エンジニアリング (58)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(500538715)株式会社住軽日軽エンジニアリング (58)
【Fターム(参考)】
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