嵌合部を有する壁面パネルおよび施工方法
【課題】住宅、店舗、事務所、幼稚園、保育園、老人介護施設、病院等の建築物の壁面に使う軽くて、表面強度、耐汚染性、耐傷つき性に優れ、VOC(揮発性有機化合物)が少なく、効率良く施工および解体が容易で、且つ、リサイクルに優れている嵌合部を有する壁面パネルおよび施工方法に関する。
【解決手段】
下部受材上に複数の壁面パネルを継ぎ合わせて、建物の略垂直な壁面を覆う嵌合部を有する壁面パネルであって、
前記下部受材が金属製下部受材で、前記嵌合部を有する壁面パネルが熱可塑性樹脂単体か樹脂系基材あるいは金属製基材からなることを特徴とする嵌合部を有する壁面パネルおよびこのパネルを用いて建物の略垂直な壁面を覆う施工方法。
【解決手段】
下部受材上に複数の壁面パネルを継ぎ合わせて、建物の略垂直な壁面を覆う嵌合部を有する壁面パネルであって、
前記下部受材が金属製下部受材で、前記嵌合部を有する壁面パネルが熱可塑性樹脂単体か樹脂系基材あるいは金属製基材からなることを特徴とする嵌合部を有する壁面パネルおよびこのパネルを用いて建物の略垂直な壁面を覆う施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の壁面に使う軽くて、表面強度、耐汚染性、耐傷つき性に優れ、VOC(揮発性有機化合物)が少なく、施工および解体が容易で、且つ、リサイクルに優れている嵌合部を有する壁面パネルおよび施工方法に関する。
建築物としては、例えば、住宅、店舗、事務所、幼稚園、保育園、老人介護施設、病院、医療施設、多目的ホール、ホテル、マンション、エントランス正面等が例示できる。
【背景技術】
【0002】
建築物の壁面を被覆する化粧壁面パネル部材等は色々の種類の部材が使用され、且つ、数多く提案されている。そして、これらの部材を使用した施工方法等も数多くの方法が用いられ、提案されている。
【0003】
また、壁面パネルに使用する材料も色々の種類の物が使用されている。例えば、メラミン化粧板やDAP(ジアリルフタレート)化粧板などをMDF(中密度繊維板 以後MDFと記す)基材に積層した壁面パネルも使用されている。
【0004】
また、化粧シート付きパネルを使用した壁面施行方法(例えば、特許文献1参照。)が知られている。
【0005】
この化粧シート付きパネルは、図12に示すように互いに接合されるパネル接合部において、少なくとも一方側の化粧シートを他方側のパネル表面に重なり合う長さに延長され、そして、延長部101、102が形成されている。
【0006】
さらに、パネル本体103の両縁から一定幅だけ化粧シートが貼着されない分離部104、105が設けられている。
【0007】
また、壁面施行に際しては、両面粘着テープ106をパネル本体103の裏面に介在させてパネル支持用下地材に仮止めした後、パネル本体103表面から釘等の固定具を使用して固定される。
【0008】
また、建築物の壁面施工の効率向上と精度確保が図れる建築物の壁面施工方法およびパネルユニット(例えば、特許文献2参照。)も知られている。
【0009】
この建築物の壁面施工方法およびパネルユニットは図13に示すように縦胴縁となる複数の連結材107に対して複数のパネル状の壁面板108が取り付けられている。そして、パネルユニットを予め組み立て、そのパネルユニットを吊り上げて設置位置に導き、連結材107を縦胴縁として建築物の躯体に対して固定する。
【0010】
また、壁面パネルの多くは、矩形や略方形の板状で、且つ、側面も平面に形成されている。そして、これらの壁面パネルには、建装材料等で多く用いられ、且つ、知られている実加工(非特許文献1)等は殆ど用いられていない。
【0011】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開2002−276122号公報
【特許文献2】特開平11−256736号公報
【非特許文献1】株式会社彰国社編、「建築大辞典第」、第2版普及版、株式会社彰国社、2002年6月10日第7刷、P8、P9、P638、P1298等。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記した従来の問題点を鑑みてなされるものであり、軽く、強力な力を必要とせず、且つ、仮付けなどをせずに、嵌合部を継ぎ合わすだけで、誰にでも容易に、効率よく施工できる。そして、解体が容易で、リサイクルができる嵌合部を有する壁面パネルおよび施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その請求項1記載の発明は、
下部受材上に複数の壁面パネルを継ぎ合わせて、建物の略垂直な壁面を覆う嵌合部を有する壁面パネルであって、前記下部受材が金属製下部受材で、前記嵌合部を有する壁面パネルが熱可塑性樹脂単体か樹脂系基材または金属製基材からなることを特徴とする嵌合部を有する壁面パネルである。
【0014】
また、請求項2記載の発明は、前記金属製下部受材と金属製基材がアルミニウム系金属、マグネシウム系金属からなる金属又は/及びこれらの混合物を押出し成型、または、射出成型してなることを特徴とする請求項1に記載の嵌合部を有する壁面パネルである。
【0015】
また、請求項3記載の発明は、前記樹脂系基材が、熱可塑性樹脂と木粉の混合物からなることを特徴とする請求項1に記載の嵌合部を有する壁面パネルである。
【0016】
また、請求項4記載の発明は、前記嵌合部が呑み込み、合いじゃくり、実はぎ、合いじゃくり実はぎ、又は嵌合形状(スナップフィット形状)の少なくとも一種の実加工が施されていることを特徴とする請求項1に記載の嵌合部を有する壁面パネルである。
【0017】
また、請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂単体あるいは樹脂系基材の嵌合部を有する壁面パネルに熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートを積層したことを特徴とする嵌合部を有する壁面パネルである。
【0018】
また、請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項記載の金属製下部受材を壁面に釘又はビスにて固定した後、嵌合部を有する壁面パネルの嵌合部を継ぎ合わせ、最上部止め壁面パネルが壁面に釘又はビスで固定させることを特徴とする嵌合部を有する壁面パネルの施工方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の嵌合部を有する壁面パネルは簡単に嵌合部で継ぎ合わせすることができる。そして、一旦嵌合すると解体時以外、容易に外れることがない。
【0020】
また、嵌合部を有する壁面パネルの上方と下方が共に嵌合して載置されているために地震などの揺れに強い。そして、嵌合部を有する壁面パネルがバラバラに剥がれ落ちることがない
さらに、嵌合部を有する壁面パネルは軽く、施工時に強力な力を必要とせず、且つ、腰を痛めたりすることなく円滑に効率良く施工することができる。
【0021】
また、嵌合部を有する壁面パネルは施工時に仮付け等を要せず、且つ、一枚ずつ釘やビス等を用いて止めることがない。このために施工が速く、効率よく簡単にできる。そして
、リサイクルができる。
【0022】
また、嵌合部を有する壁面パネルには、釘やビス止めの後がないためにリサイクルに好適である。さらに、解体する際にも、下部受材と最上部の上部止め壁面パネルの釘あるいはビスを抜くだけで、容易に、且つ、速く、効率良く成される。
【0023】
さらに、嵌合部を有する壁面パネルが熱可塑性樹脂単体あるいは熱可塑性樹脂と木粉の混入物または金属製基材からなるために、軽く、水に強い。そして、耐候性処理等を施すことにより内装のみならず外装にも使用することができる。
【0024】
また、嵌合部を有する壁面パネルの表面に熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートを積層することにより美粧性、あるいは装飾性が付与される。
【0025】
さらに、熱可塑性樹脂に木粉等を混入して成形加工されているために粉砕が容易で、再成型ができる。そして、再成型も公知の成形方法で容易に成形できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の嵌合部を有する壁面パネルおよび施工方法を実施の形態に沿って以下に図面を参照にしながら詳細に説明する。図1〜図11は本発明の一実施例を示す。
【0027】
図1は本発明の嵌合部を有する壁面パネルが下部受材上に嵌合され連設されている一実施例の正面を示す正面概略図である。また、図2は図1のA−A′線断面の一実施例の概略を示す断面概略図である。
【0028】
図1に示すように本発明の嵌合部を有する壁面パネル1は壁面に釘又はビス3等で固定されている下部受材2上に下部壁面パネル4が嵌合され、その上方に複数枚の嵌合部を有する壁面パネル1が嵌合され、継ぎ合わされ連設されている。
【0029】
そして、下部受材2上に連設されている複数枚の嵌合部を有する壁面パネル1で壁面が覆われる。
【0030】
また、壁面に釘又はビス3等で固定される下部受材2は図2に示すように下部壁面パネル4の幅と同じ幅に形成されている。
【0031】
そして、下部受材2の幅中央に凹部の溝8が形成され、その凹部の溝8に嵌合部を有する壁面パネル1の下部の幅中央を凸部9に施した下部壁面パネル4が嵌合されている。
【0032】
そして、上方がスナップフィト嵌合7により他の嵌合部を有する壁面パネル1と連設されている。また、下部受材2と下部壁面パネル4を嵌合する際に、下部壁面パネル4の裏側面に両面粘着テープ6設けることにより施工作業がより効率良くできる。
【0033】
前記下部受材2と下部壁面パネル4を嵌合する場合には図6に示すようなスナップフィト形状の嵌合10を有す壁面パネル1の一方の端縁が図2に示す下部受材2の凹部の溝8に嵌合するように切削加工等が施される。
【0034】
また、嵌合部を有する壁面パネル1の嵌合部の形状は前記スナップフィト形状の嵌合10に限定されない、例えば、雄実12と雌実11が形成されている図8に示すような実はぎや13、図9に示す合いじゃくり実はぎ14、又は図10あるいは図11に示す呑み込み21等が例示できる。
【0035】
また、スナップフィト形状の嵌合部を有する壁面パネルの嵌合は図7に示すよう既に壁面に付着されているスナップフィト形状の凹部の嵌合部15に僅かな力で凸部の嵌合部16が押し込まれる。そして、複数の嵌合部を有する壁面パネル1が連設される。
【0036】
また、連設された嵌合部を有する壁面パネル1の最上部は図4に示すように嵌合部の一方が適宜の幅に切削加工等が施される。
【0037】
そして、切削加工等が施された嵌合部を有する壁面パネルの表側面の、適宜の箇所に釘又はビス等で壁面に打ち付けられ固着される。
【0038】
次ぎに、図3は図1のA−A′線の断面の他の一実施例の概略断面を示す断面概略図である。
【0039】
図3に示すように本発明の嵌合部を有する壁面パネル1は壁面17と嵌合部を有する壁面パネル1の間に空間部18を設けて、嵌合部を有する壁面パネル1を連設することもできる。
【0040】
前記空間部18は下部壁面パネル4の下部受材2と嵌合する部分の形状と下部受材2の形状等によって適宜の空間部18が形成される。
【0041】
また、嵌合部を有する壁面パネル1は図2と同様にスナップフィト形状の凹部の嵌合部15に僅かな力で凸部の嵌合部16が押し込まれる。そして、複数枚の嵌合部を有する壁面パネル1が連設される。
【0042】
また、連設されている嵌合部を有する壁面パネル1の最上部は図には示していないが、図4と同様に釘かビス等で壁面に打ち止められる。そして、壁面に打ち止める際には空間部18の幅の詰木等を設け釘又はビスが打ち込まれる。
【0043】
次ぎに、図5は嵌合部を有する壁面パネルの他の一実施例の形状の概略断面を示す断面概略図である。
【0044】
図5に示すように、本発明の嵌合部を有する壁面パネル1は壁面17を覆うだけでなく、壁面17を覆うった嵌合部を有す壁面パネル1に釘やビス等を用いることなく容易に適宜の箇所に適宜の形状の棚等を形成することができる。
【0045】
さらに、形成された棚等に、壁面に水平方向に移動可能スライド板19等を形成することもできる。そして、移動可能スライド板19等は熱可塑性樹脂単体か熱可塑性樹脂と木粉等の混合物からなる樹脂系基材で成形加工されている。
【0046】
また、移動可能スライド板19は図5では嵌合形状(スナップフィット形状)が施されているが、実はぎ、合いじゃくり、あるいは実はぎ合いじゃくり等の加工を施すこともできる。
【0047】
さらに、本発明の嵌合部を有する壁面パネル1は図10あるいは図11に示すようにフックやガラス板を形成させることもできる。
【0048】
そして、使用する目的又は方法あるいは装飾性等により熱可塑性樹脂単体か熱可塑性樹脂と木粉等の混合物からなる樹脂系基材または金属製基材からなる嵌合部を有する壁面パネル22を使用することもできる。
【0049】
また、本発明の嵌合部を有する壁面パネル1、22は図10あるいは図11に示すように一方の嵌合部が呑み込み部21で他方の嵌合部が嵌合形状(スナップフィット形状)7であっても良い。
【0050】
また、図10に示すような金属製基材からなる嵌合部を有する壁面パネル22にフック等が形成される場合には、フックの挿入部分の外周縁に樹脂部材あるいはゴム部材等が設けられる。そして、嵌合部を有する壁面パネル22に固着状態で、且つ、体裁良くフックが係合される。
【0051】
また、図11に示すように金属製基材からなる嵌合部を有する壁面パネル22にガラス板が設けられる場合にはガラス板が挿入される部分に、図には示していないがゴム製のスぺーサー等が用いられる。そして、金属製基材からなる嵌合部を有する壁面パネル22にガラス板が固着状態で、且つ、体裁良くフックが係合される。
【0052】
前記金属製基材としては、アルミニウム系金属、マグネシウム系金属からなる金属又は/及びこれらの混合物が例示できる。そして、嵌合部を有する壁面パネル22は押出し成型あるいは射出成型等で作製される。
【0053】
さらに、熱可塑性樹脂単体か熱可塑性樹脂と木粉等の混合物からなる樹脂系基材の嵌合部を有する壁面パネル1と同様に軽く、容易に嵌合して継ぎ合わし施工することができる。
【0054】
次ぎに、本発明の嵌合部を有する壁面パネルに使用される材料としては、通常、熱可塑性樹脂単体か、あるいは熱可塑性樹脂に木粉を混入したものが用いられる。
【0055】
前記熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体やそれらの酸変成物(接着性向上の目的で不飽和カルボン酸またはその無水物を共重合させたもの)、アイオノマー(オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体の金属水和物)、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、共重合ポリエステル樹脂(通称PET−G)等が例示される。そして、これらの中からから適宜選択し、使用される。
【0056】
また、前記樹脂の中から同種又は異種の樹脂を適宜混合して使用することもできる。そして、異種の樹脂を組み合わせる場合には、互いによく相溶するか、もしくは互いによく接着する樹脂の組み合わせであることが望ましい。
【0057】
しかし、そうでない場合には、両者を相溶及び/または接着させるための相溶化剤及び/または接着剤の添加により混合後の物性が維持できれば使用できる。
【0058】
また、前記樹脂の中でも、比重が1未満のポリプロピレン樹脂が軽く、リサイクル性も良いために望ましい。
【0059】
また、前記熱可塑性樹脂に混入する木粉は、10〜50%程度が好ましい。また、10%未満では温度変化に対しての寸法変化を押さえる改善が殆どない。
【0060】
さらに、50%以上では嵌合形状の自由度が少なくなり、表面がざらつき、嵌合に悪影響が出る。
【0061】
前記木粉は基本的には木材の木粉が使用されるが、天然の木材を主原料として製造された粉状、粒状ないし短繊維状のものでれば特に制限されるものではない。そして、従来公知のものから任意に選択して使用される。
【0062】
前記木材の粉状や粒状は、通常、木材をカッターミルなどによって破断する。さらに、破断したものをボールミルやインペラーミルなどにより粉砕して微粉状にする。そして、木粉として使用される。
【0063】
前記木粉の平均粒径は特に制限されるものではないが、一般的には1〜200μm、より好ましくは5〜100μm位が望ましい。また、平均粒径が1μm未満のものは取り扱いが難しい。さらに、木粉の配合量が多い場合には、樹脂中への分散状態が悪くなる。そして、機械的強度が低下する原因となっている。
【0064】
また、200μm以上になると、成形品の均質性、平滑性、機械的強度が低下する原因となりやすい。
【0065】
また、熱可塑性樹脂に木粉を混入して本発明の嵌合部を有する壁面パネルを成形加工する際には、木粉の他に、必要に応じて、例えば、熱安定剤、酸中和剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料または染料等の着色剤、木粉以外の有機系または無機系の充填剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、発泡剤、難燃剤、ブロッキング防止剤、半透明化のための光散乱剤、艶調整剤等の添加剤の1種以上を添加することもできる。
【0066】
また、熱可塑性樹脂に木粉を混入して成形加工する成形方法は特に限定されない。例えば、圧縮成形法、押出成形法、異形押出成形法、射出成形法、射出圧縮成形法、トランスファー成形法等の、公知の各種の成形方法から、嵌合部を有する壁面パネルの形状や寸法に合わせて適宜選択される。
【0067】
そして、成形加工された後、テノーナーやルーター加工等により実形状等を形成してもよい。
【0068】
また、本発明の嵌合部を有する壁面パネルの表面は熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートを積層し、美粧性等が付与される。
【0069】
前記熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートの具体的構成については、特に制限されるものではない、例えば、透明または着色されたフイルムないしシートの表面に絵柄等の印刷を施した熱可塑性樹脂の単層の熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートであっても良い。
【0070】
また、着色されたフイルムないしシートの表面に絵柄等の印刷を施し該印刷面にクリアーシート等をドライラミネート法、エクストルージョンラミネート法、熱ラミネート法等によって貼り合わせた熱可塑性樹脂の複層の熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートであっても良い。
【0071】
また、透明シートの裏面に絵柄等の印刷を施した裏刷り熱可塑性樹脂の単層の熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシート等から、用途に応じて適宜選択が可能である。
【0072】
また、熱可塑性樹脂の複層の熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートの場合には、該化粧フイルムないしシートが積層される壁面パネルと同種または同系の異種のものを使用するのが好ましい。しかし、特にこれに限定されるものではない。
【0073】
熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートに施される印刷絵柄は特に制限されるものではない。例えば、木目、石目、布目、抽象柄等、任意に選択できる。
【0074】
また、特に木目柄の熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートを用いると、嵌合部を有する壁面パネルの切断・切削加工により露出する熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートの切り口の違和感がない。
【0075】
そして、着色フイルムないしシートの採用及び/または隠蔽ベタ刷り印刷層の形成などにより、該化粧フイルムないしシートが十分な隠蔽性がある場合には、安定した意匠の再現が達成される利点がある。
【0076】
また逆に、熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートが透明性を有する場合には、熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートを透して木粉および各種の充填剤を含む嵌合部を有する壁面パネルの表面が見える。そして、嵌合部を有する壁面パネルの木質感を生かした意匠表現が可能になるという利点がある。
【0077】
また、熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートに絵柄等を印刷する印刷方法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、ドライオフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、凸版印刷法、インクジェット印刷法、静電印刷法、転写印刷法等、従来公知の印刷法を適宜選択して使用することができる。
【0078】
また隠蔽するためのベタ層は、例えば、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、キスコート法、ロッドコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、フローコート法、ディップコート法等の塗工方法を用いて設けることもできる。
【0079】
さらに、絵柄等の印刷を施す際には、印刷の前に必要に応じて、熱可塑性樹脂フイルムないしシートの印刷面に、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理、プライマーまたはアンカー処理等の表面処理を施すことにより、印刷インキとの接着性を向上させることができる。
【0080】
前記熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートに絵柄等の印刷を施す際に用いられる印刷インキのバインダーとしては、例えば、硝化綿、セルロース、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル系等の単独もしくは各変性物の中から適宜選定して用いられる。
【0081】
さらに、これらは水性、溶剤系、エマルジョンタイプのいずれでも問題がない。また1液タイプでも、硬化剤を使用した2液タイプでも任意に選定できる。
【0082】
さらに、紫外線や電子線等の照射によりインキを硬化させることもできる。中でも最も一般的なものはイソシアネート化合物からなる硬化剤で硬化させる2液硬化型ウレタン樹脂系の印刷インキである。特にポリオレフィン系樹脂への接着性に優れている。
【0083】
また、前記バインダー以外に、通常のインキに含まれている顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、各種添加剤が添加されている。
【0084】
前記顔料の中でも特によく用いられる顔料は、例えば、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリノン、アンスラキノン、イミダゾロン、フタロシアニン、カーボンブラック、コバルトブルー、酸化チタン、酸化鉄、酸化チタン被覆雲母等のパール顔料が
例示される。
【0085】
また、いずれの熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートも、嵌合部を有する壁面パネル1に積層する際には、熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートの裏面にプライマーコート等が施される。
【0086】
また、熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートの表面は表面保護や艶調整等のためのトップコート加工や、エンボス加工、ワイピング加工、グロスマット加工等による導管表現等を施しても良い。
【0087】
また、本発明の嵌合部を有する壁面パネル1に熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートの積層方法については特に限定されることはない。そして、嵌合部を有する壁面パネル1の形状によって適宜な積層方法を選択することができる。
【0088】
例えば、嵌合部を有する壁面パネル1が平板状であれば、平板状の表面及び/または熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートの裏面に接着剤を塗布し、ロールで貼り合わせるロールラミネート法等で積層できる。
【0089】
また、異形押出成形等の長手方向に同じ形状をとる嵌合部を有する壁面パネルであればラッピング加工法等で積層される。さらに、複雑な三次元面を有する該壁面パネルであれば真空プレスラミネート法などが利用できる。
【0090】
前記ラッピング法は生産性等が良く、長い嵌合部を有する壁面パネル1等の積層に優れている。そして、積層する際には、1液湿気硬化型接着剤を120℃、20g/m2程度塗布してラッピング法で行うことができる。
【0091】
また、本発明の嵌合部を有する壁面パネル1の反りなどを考慮する場合には、嵌合部を有する壁面パネルの裏面に、透湿抵抗の高い、紙基材とポリエチレン樹脂フイルムないしシートを貼り合わせて防湿性を持たせた積層フイルムないしシートが貼り合わされる。または、嵌合部を有する壁面パネル1に背割りを入れる方法を用いても良い。
【0092】
また、本発明の嵌合部を有する壁面パネル1に耐傷性を要求する場合には、嵌合部を有する壁面パネル1と熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートの間にバッカー材が設けられる。
【0093】
そして、バッカー材として合成樹脂等を挟み込んでもよい。尚、バッカー材の厚みは0.2mm〜0.5mm程度であればよい。
【0094】
次に、下部受材2は、圧延用アルミニウム合金のJIS A6000系アルミニウムやマグネシウム、及びこれらの合金等が用いられる。また、押し出し成形等により適宜の形状の下部受材2が形成される。
【0095】
また、下部壁面パネル4の下部受材2に嵌合する部分等の形状は押し出し成形する際に形成することもできる。また成形後切削加工等により形成することもできる。
【0096】
また、下部受材2は壁面の適宜の位置にビス止めあるいは釘打ち、または両面テープ等で固定できる。
【0097】
また、本発明の嵌合部を有する壁面パネル1を継ぎ合わす際に、嵌合部を有する壁面パネル1の裏側面に両面テープを用いることにより施工作業がより円滑に行うことができる
。
【0098】
さらに、嵌合部を有する壁面パネル1の厚さが必要な場合にはMDF(中密度繊維板)、パーティクルボード、合板などを裏側面に施すこともできる。
【実施例】
【0099】
上記の発明について実施例を挙げてさらに具体的に説明する。
【0100】
〈実施例1〉
ホモポリプロピレン樹脂90重量部、マレイン酸変性ホモポリプロピレン樹脂10重量部、木粉(木材をカッターミルで破断し、これをボールミルにより粉砕して微粉状にした平均粒径20μmの木粉)100重量部を2軸押出混練機によって混合し、ペレット化した。
【0101】
そして、前記ペレットで異形押出成形法により、嵌合部がスナップフィット形状の樹脂系基材からなる嵌合部を有する壁面パネルを作製した。
【0102】
また、ランダムポリプロピレンに酸化鉄、酸化チタン等の顔料を配合して、厚さ100μmの着色ポリプロピレンシートを作製した。このシートに2液硬化型ウレタン樹脂系印刷インキを用いて、グラビア印刷法により木目柄を印刷した。
【0103】
さらに、この印刷面にエクストルージョンラミネート法で厚を100μmに設定して透明なホモポリプロピレン樹脂を積層すると同時に木目導管形状のエンボス加工を施した。
【0104】
そして、表側面にトップコート加工を施し、裏側面にプライマーコート加工を施して、ポリオレフィン系樹脂を主体とする熱可塑性樹脂化粧シートを作製した。
【0105】
次に、前記作製した樹脂系基材からなる嵌合部を有する壁面パネルの表面に、ラッピング加工法により、前記熱可塑性樹脂化粧シートを貼り合わせて、嵌合部を有する化粧シート付き壁面パネルを作製した。
【0106】
また、下部受材をJIS 6061系のアルミニウムで異型押し出し成形により作製した。この下部受材を壁面にビス止め(両面テープでもよい)した後に、前記嵌合部を有する化粧シート付き壁面パネル(厚み5mm×幅450mm×長さ3000mm、4kg/m2)の裏側面に両面テープを付けて壁面に粘着しながら嵌合部を継ぎ合わせ垂直方向に施工した。そして、一人で施工した。その結果施工者は腰等を痛めることなく、容易に効率良く、且つ、短時間で成された。
【0107】
〈実施例2〉
実施例1の嵌合部を有する化粧シート付き壁面パネルの代わりに、従来市販されている針葉樹MDFとパーティクルボード(厚み30mm×幅450mm×長さ3000mm、重さ32kg)に、メラミン化粧板(厚み0.75mm×幅450mm×長さ3000mm、重さ1.1kg)を積層した壁面パネルを用いて壁面に垂直方向に釘打ち施工した。
【0108】
そして、一人で施工した。その結果、一人で壁面パネルを積み上げ、釘打ち施工の繰り返し作業で有るために、施工作業が長時間となった。さらに、積み上げる際に、非常に重く、バランスがとり難く、腰を痛める等の問題が生じた。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の嵌合部を有する壁面パネルおよび施工方法は建物の壁面を被覆すると共に美粧
性に優れている。そして、装飾性あるいは美粧性壁面パネルとして適用することができる。また、催し会場の架設や仕切あるいは牛舎、豚舎、鶏舎、園芸施設、クリーンルーム等で使用する各種部材にも利用できるなど、広い分野に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の嵌合部を有する壁面パネルが下部受材上に連設されている一実施例の正面を示す正面概略図である。
【図2】図1のA−A′線の断面の一実施例の概略断面を示す断面概略図である。
【図3】図1のA−A′線の断面の他の一実施例の概略断面を示す断面概略図である。
【図4】図1のB−B′線の断面の一実施例の概略断面を示す断面概略図である。
【図5】本発明の嵌合部を有する壁面パネルの形状の他の一実施例の概略断面を示す断面概略図である。
【図6】本発明の嵌合部を有する壁面パネルの一実施例の外観形状を示す概略図である。
【図7】本発明の嵌合部を有する壁面パネルの嵌合状態を説明するための説明図である。
【図8】本発明の嵌合部を有する壁面パネルの嵌合形状を説明するための説明図である。
【図9】本発明の嵌合部を有する壁面パネルの嵌合形状を説明するための説明図である。
【図10】本発明の嵌合部を有する壁面パネルの形状の他の一実施例の概略断面を示す断面概略図である。
【図11】本発明の嵌合部を有する壁面パネルの形状の他の一実施例の概略断面を示す断面概略図である。
【図12】従来の化粧シート付きパネルである。
【図13】従来の壁面施工方法およびパネルユニットである。
【符号の説明】
【0111】
1…嵌合部を有する壁面パネル
2…下部受材
3…釘又はビス
4…下部壁面パネル
5…上部止め壁面パネル
6…両面粘着テーブ
7…スナップフィット嵌合
8…凹部の溝
9…凸部
10…スナップフィット形状を有する嵌合
11…雌実
12…雄実
13…実はぎ
14…合じゃくり実はぎ
15…凹部のスナップフィット形状嵌合部
16…凸部のスナップフィット形状嵌合部
17…壁面
18…空間部
19…移動可能スライド板
20…嵌合部
21…呑み込み部
22…金属製基材の嵌合部を有する壁面パネル
23…ガラス板
24…フック
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の壁面に使う軽くて、表面強度、耐汚染性、耐傷つき性に優れ、VOC(揮発性有機化合物)が少なく、施工および解体が容易で、且つ、リサイクルに優れている嵌合部を有する壁面パネルおよび施工方法に関する。
建築物としては、例えば、住宅、店舗、事務所、幼稚園、保育園、老人介護施設、病院、医療施設、多目的ホール、ホテル、マンション、エントランス正面等が例示できる。
【背景技術】
【0002】
建築物の壁面を被覆する化粧壁面パネル部材等は色々の種類の部材が使用され、且つ、数多く提案されている。そして、これらの部材を使用した施工方法等も数多くの方法が用いられ、提案されている。
【0003】
また、壁面パネルに使用する材料も色々の種類の物が使用されている。例えば、メラミン化粧板やDAP(ジアリルフタレート)化粧板などをMDF(中密度繊維板 以後MDFと記す)基材に積層した壁面パネルも使用されている。
【0004】
また、化粧シート付きパネルを使用した壁面施行方法(例えば、特許文献1参照。)が知られている。
【0005】
この化粧シート付きパネルは、図12に示すように互いに接合されるパネル接合部において、少なくとも一方側の化粧シートを他方側のパネル表面に重なり合う長さに延長され、そして、延長部101、102が形成されている。
【0006】
さらに、パネル本体103の両縁から一定幅だけ化粧シートが貼着されない分離部104、105が設けられている。
【0007】
また、壁面施行に際しては、両面粘着テープ106をパネル本体103の裏面に介在させてパネル支持用下地材に仮止めした後、パネル本体103表面から釘等の固定具を使用して固定される。
【0008】
また、建築物の壁面施工の効率向上と精度確保が図れる建築物の壁面施工方法およびパネルユニット(例えば、特許文献2参照。)も知られている。
【0009】
この建築物の壁面施工方法およびパネルユニットは図13に示すように縦胴縁となる複数の連結材107に対して複数のパネル状の壁面板108が取り付けられている。そして、パネルユニットを予め組み立て、そのパネルユニットを吊り上げて設置位置に導き、連結材107を縦胴縁として建築物の躯体に対して固定する。
【0010】
また、壁面パネルの多くは、矩形や略方形の板状で、且つ、側面も平面に形成されている。そして、これらの壁面パネルには、建装材料等で多く用いられ、且つ、知られている実加工(非特許文献1)等は殆ど用いられていない。
【0011】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開2002−276122号公報
【特許文献2】特開平11−256736号公報
【非特許文献1】株式会社彰国社編、「建築大辞典第」、第2版普及版、株式会社彰国社、2002年6月10日第7刷、P8、P9、P638、P1298等。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記した従来の問題点を鑑みてなされるものであり、軽く、強力な力を必要とせず、且つ、仮付けなどをせずに、嵌合部を継ぎ合わすだけで、誰にでも容易に、効率よく施工できる。そして、解体が容易で、リサイクルができる嵌合部を有する壁面パネルおよび施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その請求項1記載の発明は、
下部受材上に複数の壁面パネルを継ぎ合わせて、建物の略垂直な壁面を覆う嵌合部を有する壁面パネルであって、前記下部受材が金属製下部受材で、前記嵌合部を有する壁面パネルが熱可塑性樹脂単体か樹脂系基材または金属製基材からなることを特徴とする嵌合部を有する壁面パネルである。
【0014】
また、請求項2記載の発明は、前記金属製下部受材と金属製基材がアルミニウム系金属、マグネシウム系金属からなる金属又は/及びこれらの混合物を押出し成型、または、射出成型してなることを特徴とする請求項1に記載の嵌合部を有する壁面パネルである。
【0015】
また、請求項3記載の発明は、前記樹脂系基材が、熱可塑性樹脂と木粉の混合物からなることを特徴とする請求項1に記載の嵌合部を有する壁面パネルである。
【0016】
また、請求項4記載の発明は、前記嵌合部が呑み込み、合いじゃくり、実はぎ、合いじゃくり実はぎ、又は嵌合形状(スナップフィット形状)の少なくとも一種の実加工が施されていることを特徴とする請求項1に記載の嵌合部を有する壁面パネルである。
【0017】
また、請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂単体あるいは樹脂系基材の嵌合部を有する壁面パネルに熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートを積層したことを特徴とする嵌合部を有する壁面パネルである。
【0018】
また、請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項記載の金属製下部受材を壁面に釘又はビスにて固定した後、嵌合部を有する壁面パネルの嵌合部を継ぎ合わせ、最上部止め壁面パネルが壁面に釘又はビスで固定させることを特徴とする嵌合部を有する壁面パネルの施工方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の嵌合部を有する壁面パネルは簡単に嵌合部で継ぎ合わせすることができる。そして、一旦嵌合すると解体時以外、容易に外れることがない。
【0020】
また、嵌合部を有する壁面パネルの上方と下方が共に嵌合して載置されているために地震などの揺れに強い。そして、嵌合部を有する壁面パネルがバラバラに剥がれ落ちることがない
さらに、嵌合部を有する壁面パネルは軽く、施工時に強力な力を必要とせず、且つ、腰を痛めたりすることなく円滑に効率良く施工することができる。
【0021】
また、嵌合部を有する壁面パネルは施工時に仮付け等を要せず、且つ、一枚ずつ釘やビス等を用いて止めることがない。このために施工が速く、効率よく簡単にできる。そして
、リサイクルができる。
【0022】
また、嵌合部を有する壁面パネルには、釘やビス止めの後がないためにリサイクルに好適である。さらに、解体する際にも、下部受材と最上部の上部止め壁面パネルの釘あるいはビスを抜くだけで、容易に、且つ、速く、効率良く成される。
【0023】
さらに、嵌合部を有する壁面パネルが熱可塑性樹脂単体あるいは熱可塑性樹脂と木粉の混入物または金属製基材からなるために、軽く、水に強い。そして、耐候性処理等を施すことにより内装のみならず外装にも使用することができる。
【0024】
また、嵌合部を有する壁面パネルの表面に熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートを積層することにより美粧性、あるいは装飾性が付与される。
【0025】
さらに、熱可塑性樹脂に木粉等を混入して成形加工されているために粉砕が容易で、再成型ができる。そして、再成型も公知の成形方法で容易に成形できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の嵌合部を有する壁面パネルおよび施工方法を実施の形態に沿って以下に図面を参照にしながら詳細に説明する。図1〜図11は本発明の一実施例を示す。
【0027】
図1は本発明の嵌合部を有する壁面パネルが下部受材上に嵌合され連設されている一実施例の正面を示す正面概略図である。また、図2は図1のA−A′線断面の一実施例の概略を示す断面概略図である。
【0028】
図1に示すように本発明の嵌合部を有する壁面パネル1は壁面に釘又はビス3等で固定されている下部受材2上に下部壁面パネル4が嵌合され、その上方に複数枚の嵌合部を有する壁面パネル1が嵌合され、継ぎ合わされ連設されている。
【0029】
そして、下部受材2上に連設されている複数枚の嵌合部を有する壁面パネル1で壁面が覆われる。
【0030】
また、壁面に釘又はビス3等で固定される下部受材2は図2に示すように下部壁面パネル4の幅と同じ幅に形成されている。
【0031】
そして、下部受材2の幅中央に凹部の溝8が形成され、その凹部の溝8に嵌合部を有する壁面パネル1の下部の幅中央を凸部9に施した下部壁面パネル4が嵌合されている。
【0032】
そして、上方がスナップフィト嵌合7により他の嵌合部を有する壁面パネル1と連設されている。また、下部受材2と下部壁面パネル4を嵌合する際に、下部壁面パネル4の裏側面に両面粘着テープ6設けることにより施工作業がより効率良くできる。
【0033】
前記下部受材2と下部壁面パネル4を嵌合する場合には図6に示すようなスナップフィト形状の嵌合10を有す壁面パネル1の一方の端縁が図2に示す下部受材2の凹部の溝8に嵌合するように切削加工等が施される。
【0034】
また、嵌合部を有する壁面パネル1の嵌合部の形状は前記スナップフィト形状の嵌合10に限定されない、例えば、雄実12と雌実11が形成されている図8に示すような実はぎや13、図9に示す合いじゃくり実はぎ14、又は図10あるいは図11に示す呑み込み21等が例示できる。
【0035】
また、スナップフィト形状の嵌合部を有する壁面パネルの嵌合は図7に示すよう既に壁面に付着されているスナップフィト形状の凹部の嵌合部15に僅かな力で凸部の嵌合部16が押し込まれる。そして、複数の嵌合部を有する壁面パネル1が連設される。
【0036】
また、連設された嵌合部を有する壁面パネル1の最上部は図4に示すように嵌合部の一方が適宜の幅に切削加工等が施される。
【0037】
そして、切削加工等が施された嵌合部を有する壁面パネルの表側面の、適宜の箇所に釘又はビス等で壁面に打ち付けられ固着される。
【0038】
次ぎに、図3は図1のA−A′線の断面の他の一実施例の概略断面を示す断面概略図である。
【0039】
図3に示すように本発明の嵌合部を有する壁面パネル1は壁面17と嵌合部を有する壁面パネル1の間に空間部18を設けて、嵌合部を有する壁面パネル1を連設することもできる。
【0040】
前記空間部18は下部壁面パネル4の下部受材2と嵌合する部分の形状と下部受材2の形状等によって適宜の空間部18が形成される。
【0041】
また、嵌合部を有する壁面パネル1は図2と同様にスナップフィト形状の凹部の嵌合部15に僅かな力で凸部の嵌合部16が押し込まれる。そして、複数枚の嵌合部を有する壁面パネル1が連設される。
【0042】
また、連設されている嵌合部を有する壁面パネル1の最上部は図には示していないが、図4と同様に釘かビス等で壁面に打ち止められる。そして、壁面に打ち止める際には空間部18の幅の詰木等を設け釘又はビスが打ち込まれる。
【0043】
次ぎに、図5は嵌合部を有する壁面パネルの他の一実施例の形状の概略断面を示す断面概略図である。
【0044】
図5に示すように、本発明の嵌合部を有する壁面パネル1は壁面17を覆うだけでなく、壁面17を覆うった嵌合部を有す壁面パネル1に釘やビス等を用いることなく容易に適宜の箇所に適宜の形状の棚等を形成することができる。
【0045】
さらに、形成された棚等に、壁面に水平方向に移動可能スライド板19等を形成することもできる。そして、移動可能スライド板19等は熱可塑性樹脂単体か熱可塑性樹脂と木粉等の混合物からなる樹脂系基材で成形加工されている。
【0046】
また、移動可能スライド板19は図5では嵌合形状(スナップフィット形状)が施されているが、実はぎ、合いじゃくり、あるいは実はぎ合いじゃくり等の加工を施すこともできる。
【0047】
さらに、本発明の嵌合部を有する壁面パネル1は図10あるいは図11に示すようにフックやガラス板を形成させることもできる。
【0048】
そして、使用する目的又は方法あるいは装飾性等により熱可塑性樹脂単体か熱可塑性樹脂と木粉等の混合物からなる樹脂系基材または金属製基材からなる嵌合部を有する壁面パネル22を使用することもできる。
【0049】
また、本発明の嵌合部を有する壁面パネル1、22は図10あるいは図11に示すように一方の嵌合部が呑み込み部21で他方の嵌合部が嵌合形状(スナップフィット形状)7であっても良い。
【0050】
また、図10に示すような金属製基材からなる嵌合部を有する壁面パネル22にフック等が形成される場合には、フックの挿入部分の外周縁に樹脂部材あるいはゴム部材等が設けられる。そして、嵌合部を有する壁面パネル22に固着状態で、且つ、体裁良くフックが係合される。
【0051】
また、図11に示すように金属製基材からなる嵌合部を有する壁面パネル22にガラス板が設けられる場合にはガラス板が挿入される部分に、図には示していないがゴム製のスぺーサー等が用いられる。そして、金属製基材からなる嵌合部を有する壁面パネル22にガラス板が固着状態で、且つ、体裁良くフックが係合される。
【0052】
前記金属製基材としては、アルミニウム系金属、マグネシウム系金属からなる金属又は/及びこれらの混合物が例示できる。そして、嵌合部を有する壁面パネル22は押出し成型あるいは射出成型等で作製される。
【0053】
さらに、熱可塑性樹脂単体か熱可塑性樹脂と木粉等の混合物からなる樹脂系基材の嵌合部を有する壁面パネル1と同様に軽く、容易に嵌合して継ぎ合わし施工することができる。
【0054】
次ぎに、本発明の嵌合部を有する壁面パネルに使用される材料としては、通常、熱可塑性樹脂単体か、あるいは熱可塑性樹脂に木粉を混入したものが用いられる。
【0055】
前記熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体やそれらの酸変成物(接着性向上の目的で不飽和カルボン酸またはその無水物を共重合させたもの)、アイオノマー(オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体の金属水和物)、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、共重合ポリエステル樹脂(通称PET−G)等が例示される。そして、これらの中からから適宜選択し、使用される。
【0056】
また、前記樹脂の中から同種又は異種の樹脂を適宜混合して使用することもできる。そして、異種の樹脂を組み合わせる場合には、互いによく相溶するか、もしくは互いによく接着する樹脂の組み合わせであることが望ましい。
【0057】
しかし、そうでない場合には、両者を相溶及び/または接着させるための相溶化剤及び/または接着剤の添加により混合後の物性が維持できれば使用できる。
【0058】
また、前記樹脂の中でも、比重が1未満のポリプロピレン樹脂が軽く、リサイクル性も良いために望ましい。
【0059】
また、前記熱可塑性樹脂に混入する木粉は、10〜50%程度が好ましい。また、10%未満では温度変化に対しての寸法変化を押さえる改善が殆どない。
【0060】
さらに、50%以上では嵌合形状の自由度が少なくなり、表面がざらつき、嵌合に悪影響が出る。
【0061】
前記木粉は基本的には木材の木粉が使用されるが、天然の木材を主原料として製造された粉状、粒状ないし短繊維状のものでれば特に制限されるものではない。そして、従来公知のものから任意に選択して使用される。
【0062】
前記木材の粉状や粒状は、通常、木材をカッターミルなどによって破断する。さらに、破断したものをボールミルやインペラーミルなどにより粉砕して微粉状にする。そして、木粉として使用される。
【0063】
前記木粉の平均粒径は特に制限されるものではないが、一般的には1〜200μm、より好ましくは5〜100μm位が望ましい。また、平均粒径が1μm未満のものは取り扱いが難しい。さらに、木粉の配合量が多い場合には、樹脂中への分散状態が悪くなる。そして、機械的強度が低下する原因となっている。
【0064】
また、200μm以上になると、成形品の均質性、平滑性、機械的強度が低下する原因となりやすい。
【0065】
また、熱可塑性樹脂に木粉を混入して本発明の嵌合部を有する壁面パネルを成形加工する際には、木粉の他に、必要に応じて、例えば、熱安定剤、酸中和剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料または染料等の着色剤、木粉以外の有機系または無機系の充填剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、発泡剤、難燃剤、ブロッキング防止剤、半透明化のための光散乱剤、艶調整剤等の添加剤の1種以上を添加することもできる。
【0066】
また、熱可塑性樹脂に木粉を混入して成形加工する成形方法は特に限定されない。例えば、圧縮成形法、押出成形法、異形押出成形法、射出成形法、射出圧縮成形法、トランスファー成形法等の、公知の各種の成形方法から、嵌合部を有する壁面パネルの形状や寸法に合わせて適宜選択される。
【0067】
そして、成形加工された後、テノーナーやルーター加工等により実形状等を形成してもよい。
【0068】
また、本発明の嵌合部を有する壁面パネルの表面は熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートを積層し、美粧性等が付与される。
【0069】
前記熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートの具体的構成については、特に制限されるものではない、例えば、透明または着色されたフイルムないしシートの表面に絵柄等の印刷を施した熱可塑性樹脂の単層の熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートであっても良い。
【0070】
また、着色されたフイルムないしシートの表面に絵柄等の印刷を施し該印刷面にクリアーシート等をドライラミネート法、エクストルージョンラミネート法、熱ラミネート法等によって貼り合わせた熱可塑性樹脂の複層の熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートであっても良い。
【0071】
また、透明シートの裏面に絵柄等の印刷を施した裏刷り熱可塑性樹脂の単層の熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシート等から、用途に応じて適宜選択が可能である。
【0072】
また、熱可塑性樹脂の複層の熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートの場合には、該化粧フイルムないしシートが積層される壁面パネルと同種または同系の異種のものを使用するのが好ましい。しかし、特にこれに限定されるものではない。
【0073】
熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートに施される印刷絵柄は特に制限されるものではない。例えば、木目、石目、布目、抽象柄等、任意に選択できる。
【0074】
また、特に木目柄の熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートを用いると、嵌合部を有する壁面パネルの切断・切削加工により露出する熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートの切り口の違和感がない。
【0075】
そして、着色フイルムないしシートの採用及び/または隠蔽ベタ刷り印刷層の形成などにより、該化粧フイルムないしシートが十分な隠蔽性がある場合には、安定した意匠の再現が達成される利点がある。
【0076】
また逆に、熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートが透明性を有する場合には、熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートを透して木粉および各種の充填剤を含む嵌合部を有する壁面パネルの表面が見える。そして、嵌合部を有する壁面パネルの木質感を生かした意匠表現が可能になるという利点がある。
【0077】
また、熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートに絵柄等を印刷する印刷方法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、ドライオフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、凸版印刷法、インクジェット印刷法、静電印刷法、転写印刷法等、従来公知の印刷法を適宜選択して使用することができる。
【0078】
また隠蔽するためのベタ層は、例えば、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、キスコート法、ロッドコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、フローコート法、ディップコート法等の塗工方法を用いて設けることもできる。
【0079】
さらに、絵柄等の印刷を施す際には、印刷の前に必要に応じて、熱可塑性樹脂フイルムないしシートの印刷面に、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理、プライマーまたはアンカー処理等の表面処理を施すことにより、印刷インキとの接着性を向上させることができる。
【0080】
前記熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートに絵柄等の印刷を施す際に用いられる印刷インキのバインダーとしては、例えば、硝化綿、セルロース、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル系等の単独もしくは各変性物の中から適宜選定して用いられる。
【0081】
さらに、これらは水性、溶剤系、エマルジョンタイプのいずれでも問題がない。また1液タイプでも、硬化剤を使用した2液タイプでも任意に選定できる。
【0082】
さらに、紫外線や電子線等の照射によりインキを硬化させることもできる。中でも最も一般的なものはイソシアネート化合物からなる硬化剤で硬化させる2液硬化型ウレタン樹脂系の印刷インキである。特にポリオレフィン系樹脂への接着性に優れている。
【0083】
また、前記バインダー以外に、通常のインキに含まれている顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、各種添加剤が添加されている。
【0084】
前記顔料の中でも特によく用いられる顔料は、例えば、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリノン、アンスラキノン、イミダゾロン、フタロシアニン、カーボンブラック、コバルトブルー、酸化チタン、酸化鉄、酸化チタン被覆雲母等のパール顔料が
例示される。
【0085】
また、いずれの熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートも、嵌合部を有する壁面パネル1に積層する際には、熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートの裏面にプライマーコート等が施される。
【0086】
また、熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートの表面は表面保護や艶調整等のためのトップコート加工や、エンボス加工、ワイピング加工、グロスマット加工等による導管表現等を施しても良い。
【0087】
また、本発明の嵌合部を有する壁面パネル1に熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートの積層方法については特に限定されることはない。そして、嵌合部を有する壁面パネル1の形状によって適宜な積層方法を選択することができる。
【0088】
例えば、嵌合部を有する壁面パネル1が平板状であれば、平板状の表面及び/または熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートの裏面に接着剤を塗布し、ロールで貼り合わせるロールラミネート法等で積層できる。
【0089】
また、異形押出成形等の長手方向に同じ形状をとる嵌合部を有する壁面パネルであればラッピング加工法等で積層される。さらに、複雑な三次元面を有する該壁面パネルであれば真空プレスラミネート法などが利用できる。
【0090】
前記ラッピング法は生産性等が良く、長い嵌合部を有する壁面パネル1等の積層に優れている。そして、積層する際には、1液湿気硬化型接着剤を120℃、20g/m2程度塗布してラッピング法で行うことができる。
【0091】
また、本発明の嵌合部を有する壁面パネル1の反りなどを考慮する場合には、嵌合部を有する壁面パネルの裏面に、透湿抵抗の高い、紙基材とポリエチレン樹脂フイルムないしシートを貼り合わせて防湿性を持たせた積層フイルムないしシートが貼り合わされる。または、嵌合部を有する壁面パネル1に背割りを入れる方法を用いても良い。
【0092】
また、本発明の嵌合部を有する壁面パネル1に耐傷性を要求する場合には、嵌合部を有する壁面パネル1と熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートの間にバッカー材が設けられる。
【0093】
そして、バッカー材として合成樹脂等を挟み込んでもよい。尚、バッカー材の厚みは0.2mm〜0.5mm程度であればよい。
【0094】
次に、下部受材2は、圧延用アルミニウム合金のJIS A6000系アルミニウムやマグネシウム、及びこれらの合金等が用いられる。また、押し出し成形等により適宜の形状の下部受材2が形成される。
【0095】
また、下部壁面パネル4の下部受材2に嵌合する部分等の形状は押し出し成形する際に形成することもできる。また成形後切削加工等により形成することもできる。
【0096】
また、下部受材2は壁面の適宜の位置にビス止めあるいは釘打ち、または両面テープ等で固定できる。
【0097】
また、本発明の嵌合部を有する壁面パネル1を継ぎ合わす際に、嵌合部を有する壁面パネル1の裏側面に両面テープを用いることにより施工作業がより円滑に行うことができる
。
【0098】
さらに、嵌合部を有する壁面パネル1の厚さが必要な場合にはMDF(中密度繊維板)、パーティクルボード、合板などを裏側面に施すこともできる。
【実施例】
【0099】
上記の発明について実施例を挙げてさらに具体的に説明する。
【0100】
〈実施例1〉
ホモポリプロピレン樹脂90重量部、マレイン酸変性ホモポリプロピレン樹脂10重量部、木粉(木材をカッターミルで破断し、これをボールミルにより粉砕して微粉状にした平均粒径20μmの木粉)100重量部を2軸押出混練機によって混合し、ペレット化した。
【0101】
そして、前記ペレットで異形押出成形法により、嵌合部がスナップフィット形状の樹脂系基材からなる嵌合部を有する壁面パネルを作製した。
【0102】
また、ランダムポリプロピレンに酸化鉄、酸化チタン等の顔料を配合して、厚さ100μmの着色ポリプロピレンシートを作製した。このシートに2液硬化型ウレタン樹脂系印刷インキを用いて、グラビア印刷法により木目柄を印刷した。
【0103】
さらに、この印刷面にエクストルージョンラミネート法で厚を100μmに設定して透明なホモポリプロピレン樹脂を積層すると同時に木目導管形状のエンボス加工を施した。
【0104】
そして、表側面にトップコート加工を施し、裏側面にプライマーコート加工を施して、ポリオレフィン系樹脂を主体とする熱可塑性樹脂化粧シートを作製した。
【0105】
次に、前記作製した樹脂系基材からなる嵌合部を有する壁面パネルの表面に、ラッピング加工法により、前記熱可塑性樹脂化粧シートを貼り合わせて、嵌合部を有する化粧シート付き壁面パネルを作製した。
【0106】
また、下部受材をJIS 6061系のアルミニウムで異型押し出し成形により作製した。この下部受材を壁面にビス止め(両面テープでもよい)した後に、前記嵌合部を有する化粧シート付き壁面パネル(厚み5mm×幅450mm×長さ3000mm、4kg/m2)の裏側面に両面テープを付けて壁面に粘着しながら嵌合部を継ぎ合わせ垂直方向に施工した。そして、一人で施工した。その結果施工者は腰等を痛めることなく、容易に効率良く、且つ、短時間で成された。
【0107】
〈実施例2〉
実施例1の嵌合部を有する化粧シート付き壁面パネルの代わりに、従来市販されている針葉樹MDFとパーティクルボード(厚み30mm×幅450mm×長さ3000mm、重さ32kg)に、メラミン化粧板(厚み0.75mm×幅450mm×長さ3000mm、重さ1.1kg)を積層した壁面パネルを用いて壁面に垂直方向に釘打ち施工した。
【0108】
そして、一人で施工した。その結果、一人で壁面パネルを積み上げ、釘打ち施工の繰り返し作業で有るために、施工作業が長時間となった。さらに、積み上げる際に、非常に重く、バランスがとり難く、腰を痛める等の問題が生じた。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の嵌合部を有する壁面パネルおよび施工方法は建物の壁面を被覆すると共に美粧
性に優れている。そして、装飾性あるいは美粧性壁面パネルとして適用することができる。また、催し会場の架設や仕切あるいは牛舎、豚舎、鶏舎、園芸施設、クリーンルーム等で使用する各種部材にも利用できるなど、広い分野に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の嵌合部を有する壁面パネルが下部受材上に連設されている一実施例の正面を示す正面概略図である。
【図2】図1のA−A′線の断面の一実施例の概略断面を示す断面概略図である。
【図3】図1のA−A′線の断面の他の一実施例の概略断面を示す断面概略図である。
【図4】図1のB−B′線の断面の一実施例の概略断面を示す断面概略図である。
【図5】本発明の嵌合部を有する壁面パネルの形状の他の一実施例の概略断面を示す断面概略図である。
【図6】本発明の嵌合部を有する壁面パネルの一実施例の外観形状を示す概略図である。
【図7】本発明の嵌合部を有する壁面パネルの嵌合状態を説明するための説明図である。
【図8】本発明の嵌合部を有する壁面パネルの嵌合形状を説明するための説明図である。
【図9】本発明の嵌合部を有する壁面パネルの嵌合形状を説明するための説明図である。
【図10】本発明の嵌合部を有する壁面パネルの形状の他の一実施例の概略断面を示す断面概略図である。
【図11】本発明の嵌合部を有する壁面パネルの形状の他の一実施例の概略断面を示す断面概略図である。
【図12】従来の化粧シート付きパネルである。
【図13】従来の壁面施工方法およびパネルユニットである。
【符号の説明】
【0111】
1…嵌合部を有する壁面パネル
2…下部受材
3…釘又はビス
4…下部壁面パネル
5…上部止め壁面パネル
6…両面粘着テーブ
7…スナップフィット嵌合
8…凹部の溝
9…凸部
10…スナップフィット形状を有する嵌合
11…雌実
12…雄実
13…実はぎ
14…合じゃくり実はぎ
15…凹部のスナップフィット形状嵌合部
16…凸部のスナップフィット形状嵌合部
17…壁面
18…空間部
19…移動可能スライド板
20…嵌合部
21…呑み込み部
22…金属製基材の嵌合部を有する壁面パネル
23…ガラス板
24…フック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部受材上に複数の壁面パネルを継ぎ合わせて、建物の略垂直な壁面を覆う嵌合部を有する壁面パネルであって、
前記下部受材が金属製下部受材で、前記嵌合部を有する壁面パネルが熱可塑性樹脂単体か樹脂系基材または金属製基材からなることを特徴とする嵌合部を有する壁面パネル。
【請求項2】
前記金属製下部受材と金属製基材がアルミニウム系金属、マグネシウム系金属からなる金属又は/及びこれらの混合物を押出し成型、または、射出成型してなることを特徴とする請求項1に記載の嵌合部を有する壁面パネル。
【請求項3】
前記樹脂系基材が、熱可塑性樹脂と木粉の混合物からなる樹脂系基材であることを特徴とする請求項1に記載の嵌合部を有する壁面パネル。
【請求項4】
前記嵌合部が呑み込み、合いじゃくり、実はぎ、合いじゃくり実はぎ、嵌合形状(スナップフィット形状)の少なくとも一種の実加工が施されていることを特徴とする請求項1に記載の嵌合部を有する壁面パネル。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂単体あるいは樹脂系基材の嵌合部を有する壁面パネルに熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートを積層したことを特徴とする嵌合部を有する壁面パネルである。
【請求項6】
請求項請求項1から5のいずれか1項記載の金属製下部受材を壁面に釘又はビスにて固定した後、嵌合部を有する壁面パネルを継ぎ合わせてなることを特徴とする嵌合部を有する壁面パネルの施工方法。
【請求項1】
下部受材上に複数の壁面パネルを継ぎ合わせて、建物の略垂直な壁面を覆う嵌合部を有する壁面パネルであって、
前記下部受材が金属製下部受材で、前記嵌合部を有する壁面パネルが熱可塑性樹脂単体か樹脂系基材または金属製基材からなることを特徴とする嵌合部を有する壁面パネル。
【請求項2】
前記金属製下部受材と金属製基材がアルミニウム系金属、マグネシウム系金属からなる金属又は/及びこれらの混合物を押出し成型、または、射出成型してなることを特徴とする請求項1に記載の嵌合部を有する壁面パネル。
【請求項3】
前記樹脂系基材が、熱可塑性樹脂と木粉の混合物からなる樹脂系基材であることを特徴とする請求項1に記載の嵌合部を有する壁面パネル。
【請求項4】
前記嵌合部が呑み込み、合いじゃくり、実はぎ、合いじゃくり実はぎ、嵌合形状(スナップフィット形状)の少なくとも一種の実加工が施されていることを特徴とする請求項1に記載の嵌合部を有する壁面パネル。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂単体あるいは樹脂系基材の嵌合部を有する壁面パネルに熱可塑性樹脂化粧フイルムないしシートを積層したことを特徴とする嵌合部を有する壁面パネルである。
【請求項6】
請求項請求項1から5のいずれか1項記載の金属製下部受材を壁面に釘又はビスにて固定した後、嵌合部を有する壁面パネルを継ぎ合わせてなることを特徴とする嵌合部を有する壁面パネルの施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−2506(P2007−2506A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−183040(P2005−183040)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]