説明

工作機械の電源制御装置

【課題】工場機械の移転や転売等による移設を確実に検知し、その旨を操作者に報知する。
【解決手段】工作機械1に給電する工場電源電圧の喪失時に、電源制御装置に設けた電源監視部40のコンデンサ45により所定期間、第2リレー42の通電を保持し、工場電源電圧の喪失後、所定期間が経過した場合に、第2リレー42により対応する経過痕跡を記録し、次回電源投入時に電源遮断信号としてCPU31に出力する。これにより、RAM33の記憶データを読み取り、経過痕跡を検出した場合に、その旨を操作者に報知することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械への給電を制御する工作機械の電源制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
操作者が精密加工を要求する工作機械は、精密性を維持するために、例えば移設や転売等によって工作機械が大きく移動した場合には、メーカ等の技術担当者が出向いて性能保証のためのチェックを行う必要がある。このような観点から、工作機械の移設や転売等を検知して操作者に報知警告するための従来技術として、例えば特許文献1記載のものが存在する。
【0003】
この従来技術では、工作機械に振動が加わったことを振動検出手段が検出し、検出した振動の有無を振動履歴記憶手段が振動履歴として記録する。そして、振動履歴記憶手段が振動履歴を記憶していた場合、その旨を報知するとともに起動禁止手段が工作機械の起動を禁止する。
【特許文献1】特開2003−35595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、移転や転売等による工作機械の移設を、振動履歴によってのみ判定する。このため、工場内での配置換えを行ったときや地震発生時等、移転や転売等ではない場合の振動についても、工作機械の移設であると誤判定し、操作者に警告報知したり起動を制限してしまうおそれがあった。
【0005】
本発明の目的は、工場機械の移転や転売等による移設を確実に検知し、その旨を操作者に報知することができる、工作機械の電源制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の発明は、工作機械に給電する主電源電圧の喪失時に、所定期間、代用電源として通電を保持する通電保持手段と、前記主電源電圧の喪失後、前記通電保持手段による通電が完了したことを検知する通電完了検知手段と、前記通電完了検知手段によって前記通電保持手段による通電が完了したことを検知された場合、前記工作機械の起動において所定の起動制限を与える起動制限手段とを有することを特徴とする。
【0007】
本願第1発明の工作機械の電源制御装置は、通電保持手段と、通電完了検知手段と、起動制限手段とを有する。通電保持手段は、何らかの理由で主電源からの工作機械の電圧供給が停止したとき、それに代わって所定期間の間、電圧を供給し通電を保持する。主電源電圧の供給が停止したまま所定期間が経過すると、通電保持手段による通電保持ができなくなり、通電が停止する。通電完了検知手段は、所定期間が経過し通電保持ができなくなったことを検知する。
【0008】
したがって、通電完了検知手段が通電保持ができなくなったことを検知した場合には、その旨を操作者に報知することが可能となる。この結果、主電源からの電圧供給が単に停止したときにその旨を操作者に報知するのではなく、停止状態が所定期間継続したことを条件に操作者に報知を行うことができる。したがって、停電発生時や工場内での配置換え等による短時間の給電停止を除外し、移転や転売等による長時間の給電停止状態のみを確実に操作者に報知することができる。
【0009】
また、このように停電発生や配置換え等の場合を除外することで、起動制限手段が、長時間の給電停止状態の検出時に(移転や転売等とみなして)起動に対する制限を付与する。これにより、工作機械に対し不適当な移転や転売を行った場合に、そのまま起動することによる機器の破損や耐久性の低下が起こること、または盗難などによる不正使用を抑制または防止することができる。
【0010】
第2発明は、上記第1発明において、前記工作機械の振動を検出する振動検出手段を更に有し、前記起動制限手段は、前記通電完了検知手段によって前記通電保持手段による通電が完了したことを検知された場合、前記振動検出手段の検出結果に応じて、前記起動制限を与えることを特徴とする。
【0011】
長時間の給電停止状態を検出したときでも、単に停電の時間が長かった場合もある。本願第2発明の工作機械の電源制御装置は、振動検出手段が工作機械の振動を検出し、起動制限手段は、通電完了検知手段が通電保持手段による通電の完了を検出した場合でも振動検出手段の検出結果に応じて起動制限を行う。これにより、長時間の給電停止でも振動を検出していない場合には、(停電時間の長期化等とみなし)起動制限を加えないようにすることが可能である。これにより、本来不要である起動制限を回避できるので、操作者の利便性をさらに向上することができる。
【0012】
第3発明は、上記第2発明において、前記振動検出手段によって前記工作機械の振動を検出したことを記憶する振動履歴記憶手段と、前記通電完了検知手段によって前記通電保持手段による通電が完了したことを検知されない場合、且つ前記振動履歴記憶手段に前記工作機械の振動を検出したことが記憶されていた場合に、前記振動履歴記憶手段に記憶されていた情報を消去する初期化手段とを更に備えたことを特徴とする。
【0013】
振動を検出した場合でも長時間の給電停止がない場合は、起動制限を加えないようにすると共に工作機械の振動があった履歴を消去する。給電中の振動を問題としないことで、地震発生等のときの、不要な起動制限を確実に回避することができる。また、初期化手段によって給電中の振動の場合、振動履歴を消去するため、給電が停止しているときの振動のみを検出することができ、不要な起動制限を更に回避することができる。
【0014】
第4発明は、上記第1乃至第3発明において、前記主電源電圧を、前記通電保持手段が保持可能な通電電圧と同等の電圧に変換する電圧変換手段を有することを特徴とする。
【0015】
本願第4発明の工作機械の電源制御装置は、電圧変換手段を有する。電圧変換手段は、主電源電圧を通電保持手段による通電電圧と同等の値に変換する。これにより、主電源電圧の供給時には電圧変換手段で変換した電圧を供給し、主電源電圧の喪失時には通電保持手段からの通電電圧を供給可能となる。
【0016】
第5発明は、上記第4発明において、前記通電保持手段は、前記主電源電圧を前記電圧変換手段で変換した後の電荷を貯留するように、前記電圧変換手段の出力側に接続したコンデンサであることを特徴とする。
【0017】
本願第5発明の工作機械の電源制御装置は、通電保持手段としてコンデンサを用いる。これにより、主電源電圧の供給時には電圧変換手段で変換した電圧を供給する一方、変換電圧により生じた電荷をコンデンサに貯留することができる。主電源電圧の喪失時には、貯留した電荷を用いて、所定期間、通電電圧を供給することができる。
【0018】
第6発明は、上記第1乃至第5発明のいずれかにおいて、前記主電源電圧または前記通電電圧の供給時には閉じ状態となり、前記主電源電圧及び前記通電電圧のいずれも非供給となった場合には開き状態となる、スイッチを有するリレーをさらに備え、前記通電完了検知手段は、前記スイッチの前記開き状態を検出することを特徴とする。
【0019】
主電源電圧及び通電電圧がいずれも非供給となったときには、スイッチが閉じ状態から開き状態となる。そして、通電完了検知手段がスイッチの開き状態を検出することで、主電源電圧の供給が停止しさらに所定期間が経過して通電電圧の供給も停止したことを検出することができる。
【0020】
第7発明は、上記第6発明において、前記リレーは、前記主電源電圧または前記通電電圧の供給時に励磁し、前記スイッチを閉じ状態に駆動するスイッチ開閉用コイルを備えることを特徴とする。
【0021】
スイッチ開閉用コイルがスイッチを閉じ状態に駆動することで、所定期間が経過して通電電圧の供給が停止したことを確実に記録することができる。また、閉じ状態に駆動することで、それまでの開き状態の痕跡の記録の履歴をリセットすることができる。
【0022】
第8発明は、上記第1乃至第5発明のいずれかにおいて、前記主電源電圧または前記通電電圧の供給時には所定の情報を記憶保持し、前記主電源電圧及び前記通電電圧のいずれも非供給となった場合には記憶した前記所定の情報を喪失する揮発性の記憶手段をさらに備え、前記通電完了検知手段は、前記記憶手段の前記所定の情報の喪失状態を検出することを特徴とする。
【0023】
主電源電圧及び通電電圧がいずれも非供給となったときには、記憶手段は、記憶保持した所定の情報を喪失する。通電完了検知手段は、記憶手段において所定の情報が失われていることを検出することで、主電源電圧の供給が停止しさらに所定期間が経過して通電電圧の供給も停止したことを検出することができる。
【0024】
第9発明は、上記第1乃至第5発明のいずれかにおいて、前記主電源電圧または前記通電電圧の供給時には第1位置に位置し、前記主電源電圧及び前記通電電圧のいずれも非供給となった場合には第2位置に移動する、移動体をさらに備え、前記通電完了検知手段は、前記移動体が前記第2位置にあることを検出することを特徴とする。
【0025】
主電源電圧及び通電電圧がいずれも非供給となったときには、移動体が第1位置から第2位置に移動する。通電完了検知手段は、移動体が第2位置にあることを検出することで、主電源電圧の供給が停止しさらに所定期間が経過して通電電圧の供給も停止したことを検出することができる。
【0026】
第10発明は、上記第9発明において、前記移動体を電極で構成し、前記第2位置にある前記移動体を前記主電源電圧または前記通電電圧の供給時に励磁して前記第1位置に駆動する電極移動用コイルを備えることを特徴とする。
【0027】
電極移動用コイルが電極を第1位置に駆動することで、所定期間が経過して通電電圧の供給が停止したことを確実に記録することができる。また、第1位置に駆動することで、それまでの第2位置による痕跡の記録の履歴をリセットすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、工場機械の移転や転売等による移設を確実に検知し、その旨を操作者に報知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0030】
図1は、本発明の電源制御装置の一実施形態を備えた工作機械を示す正面図であり、図2は、工作機械の機械本体を示す斜視図である。
【0031】
図1及び図2に示すように、工作機械1は、鉄製のベース2と、該ベース2の上部に設けた機械本体3と、ベース2の上部に設けた、機械本体3を覆うスプラッシュカバー4とを有している。スプラッシュカバー4の正面には正面開口(図示せず)を設け、正面開口には一対のスライド式の開閉扉5,6を設けている。開閉扉5,6の略中央には、矩形状のガラス窓部5a,6aをそれぞれ各々設けている。開閉扉5の右端部には取手部5bを設け、開閉扉6の左端部には取手部6bを設けている。
【0032】
工作機械1は、ワークと工具とを相対移動させることによって、ワークに所望の切削加工を施す。正面開口の右側には、工作機械1を操作するための操作パネル10を設けている。操作パネル10の下側には、各種操作ボタンを備えたキーボード13を設け、操作パネル10の上側には、後述する工具データ等を設定するための各種設定画面等を表示する表示パネル34を設けている。
【0033】
機械本体3は、コラム16と、主軸ヘッド7と、主軸9と、工具交換装置20と、工具マガジン21と、テーブル15とを有している。コラム16は、ベース2の上部後方に立設している。コラム16の前面に沿って主軸ヘッド7を昇降可能に設けている。主軸ヘッド7の下部に、主軸9を回転可能に支持している。工具交換装置20は主軸ヘッド7の右側に設けており、主軸9に装着した工具を自動的に交換する。工具マガジン21は工具交換装置20の右側に設けてあり、複数の工具を収納保持する。テーブル15は、ベース2の上部に設けてある。
【0034】
コラム16の背面には制御ボックス17を設け、該制御ボックス17の内側には、工作機械1の制御装置を収納している。この制御装置が、工作機械1の動作を制御するNC制御装置や、本実施形態の電源制御装置30(後述の図3参照)を備えている。
【0035】
主軸ヘッド7を、コラム16の前面側に設けたガイドレール(図示せず)に沿って昇降自在に支持しており、主軸ヘッド7を取り付けた送りねじをZ軸モータで正逆に回転駆動することで、主軸ヘッド7が昇降する。主軸9には、工具を装着するスピンドルを設け、該スピンドルは、主軸ヘッド7に設けた主軸モータによってスピンドルを回転駆動することで、工具が回転する。
【0036】
ベース2の上部には、テーブル15を、X軸方向及びY軸方向に移動可能に設けている。テーブル15の移動機構は、ベース2の上部に設けた、Y軸方向に延びるY軸送りガイドと、該Y軸送りガイドに沿って移動可能に支持した支持台12と、該支持台12の上面に設けた、X軸方向に延びるX軸送りガイドとを備えている。X軸送りガイド上には、テーブル15を移動可能に支持している。テーブル15は、サーボモータからなるX軸モータ及びY軸モータによって、X軸方向及びY軸方向に移動する。
【0037】
工具交換装置20は、主軸9に装着した工具と、工具マガジン21の待機位置(工具交換準備位置)にある工具とを交換する。工具交換装置20は、工具交換用のモータ(図示省略)の駆動によって旋回する旋回軸(図示省略)を備えている。旋回軸の下部には、工具を把持する工具交換アーム20aを連結している。工具交換アーム20aに工具を把持した状態で、工具交換アーム20aが旋回軸とともに旋回することによって、主軸9に装着した工具と、工具マガジン21の待機位置にある工具とが入れ替わる。
【0038】
工具マガジン21は、図示しないマガジンベースと、該マガジンベースに設けた一対のスプロケットと、該スプロケット間に架け渡した無端状のチェーンと、該チェーンの外周側に固着した複数のブラケット等を備えている。ブラケットには、タップやドリル等の工具が嵌る工具ポットをそれぞれ取り付けている。一方のスプロケットをマガジンモータで回転駆動することで、複数の工具ポットを工具マガジン21の内側においてチェーンとともに移送する。以上の構成により、工作機械1は、機械本体3の主軸9に装着した工具を用いてテーブル15に設置したワークをNC制御により加工する。
【0039】
図3及び図4により本実施形態の電源制御装置について説明する。図3に示すように、電源制御装置30は、CPU31、ROM32、及びRAM33からなるマイクロコンピュータを備えている。
【0040】
CPU31には、入出力インタフェース(図示せず)を介してROM32、RAM33、表示部34、入力部35、及び機械動作部36を接続している。機械動作部36は、例えば、工作機械1の機械本体3に備えた、X軸モータ、Y軸モータ、Z軸モータ、主軸モータ、工具交換用のモータ等の各動作部や、操作パネル10等の操作部、表示パネル34等の表示部等を含む。またCPU31には、入出力インタフェース39を介し電源監視部40を接続している。電源監視部40は、給電線L1により所定電圧(例えば単相200V)の工場電源(主電源)を接続している。
【0041】
電源制御装置30は、給電線L2により工場電源と接続したAC/DCコンバータ38(第1AC/DCコンバータ)を備えている。給電線L2には、機械式ブレーカー37を設けている。AC/DCコンバータ38は、機械DC電源を構成しており、工場電源からの交流単相200V(主電源電圧)を直流3.3VにDC変換し、各制御回路部分に給電する。機械式ブレーカー37の後に図示しないリレーを介して交流3相200Vを直接機械動作部36に接続する。電源監視部40は、AC/DCコンバータ38にも接続している。
【0042】
電源監視部40は、図4に示すように、第1リレー41と、第2リレー42と、AC/DCコンバータ43(第2AC/DCコンバータ。電圧変換手段)と、コンデンサ45(通電保持手段)とを備えている。
【0043】
AC/DCコンバータ43は、主電源電圧である工場電源からの単相200Vの交流を、コンデンサ45が保持可能な通電電圧と同等の電圧、本例では、3.3Vの直流にDC変換する。AC/DCコンバータ43の入力側は、給電線L1に接続している。AC/DCコンバータ43の出力側は、ダイオード44を介して第2リレー42の制御側に設けたコイル42a(スイッチ開閉用コイル)の一端に接続している。ダイオード44の出力側と第2リレー42の制御側の一端との間に、コンデンサ45の一端を接続し、コンデンサ45の他端を接地している。コンデンサ45は、後述する所定期間の電荷を供給可能な容量(例えば1F)となっている。
【0044】
第2リレー42は、コイル42aで第1及び第2のスイッチ42b,42cを開閉する2接点式のリレーである。第2リレー42のスイッチ42bの一端は、第2リレー42のコイル42aの他端に接続し、スイッチ42bの他端は接地している。スイッチ42cの一端は、機械DC電源、すなわち第1AC/DCコンバータ38の出力側に接続し、スイッチ42cの他端は、電源制御装置30の入出力インタフェース39に接続している。
【0045】
第1リレー41は、コイル41aでスイッチ41bを開閉する1接点式のリレーである。第1リレー41のスイッチ41bの一端は第2リレー42のコイル42aの一端に接続し、スイッチ41bの他端は接地している。第1リレー41のコイル41aの一端は電源制御装置30の入出力インタフェース39に接続し、コイル41aの他端は接地している。
【0046】
第1リレー41及び第2リレー42の動作は以下のようである。
【0047】
(a)平常時
工場電源の非喪失時(平常時)において機械式ブレーカー32をONした時には、第1リレー41のスイッチ41bは閉じ状態となっている。また、第2AC/DCコンバータ43からの電圧供給により励磁するコイル42aの励磁吸引力で、第2リレー42のスイッチ42b,42cも閉じ状態となっている。
【0048】
工場電源の非喪失時において機械式ブレーカー32をOFFした時にはAC/DCコンバータ38からの電源供給が遮断され、CPU31からのラッチ信号がなくなるのでコイル41aが非励磁となり、第1リレー41のスイッチ41bは開き状態となる。ただし、工場電源が喪失していないため、スイッチ42bを介してコイル42aを励磁する電流は流れ続ける。
【0049】
(b)工場電源喪失後
何らかの理由で工場電源が喪失すると、CPU31からのラッチ信号がなくなるのでコイル41aが非励磁となり、第1リレー41のスイッチ41bは開き状態となる。また、工場電源の喪失により、電源制御装置30の第1AC/DCコンバータ38から第2リレー42(詳細にはスイッチ42c)への電圧供給が停止する。さらに、第2AC/DCコンバータ43から第2リレー42(詳細はコイル42a)への電圧供給も停止する。この結果、第2AC/DCコンバータ43に代わってコンデンサ45が代用電源として作用し、コンデンサ45に蓄えている電荷が第2リレー42のコイル42aに流れ、第2リレー42のコイル42aに電圧を所定期間(例えば1分程度)供給する。これにより、コンデンサ45からの電圧供給により励磁するコイル42aの励磁吸引力で、第2リレー42のスイッチ42b,42cは、工場電源を喪失した時点から所定期間、閉じ状態を維持する。なお、スイッチ42cは閉じ状態を維持するが、工場電源の喪失により第1AC/DCコンバータ38からスイッチ42cへの電圧供給は停止しており、通電は行わない。
【0050】
そして、工場電源の電圧供給(第2AC/DCコンバータ43からの電圧供給)が停止したまま所定期間が経過してコンデンサ45の電荷が尽きると、コイル42aの励磁吸引力が喪失する。これにより、第2リレー42のスイッチ42b,42cの接点が開く(このことが、通電保持手段による通電が完了したことを示し、後述のように次回電源投入時にこの通電完了を検出する。後述)。なお、工場電源の喪失後所定期間が経過する前に工場電源が復帰した場合は、コンデンサ45の電荷が尽きる前に第2AC/DCコンバータ43からコイル42aへの電圧供給が再開するので、第2リレー42のスイッチ42b,42cの接点は開くことがない(通電完了検知手段による通電の検知はできない)。
【0051】
(c)工場電源の復帰
その後工場電源が復帰し、機械式ブレーカー32をONした後機械電源を投入して工作機械1を起動すると(=次回起動時)、CPU31は、入出力インタフェース39を介して第2リレー42のスイッチ42cの状態を検出し、RAM33にスイッチ42cの状態を記憶する。第2リレー42のスイッチ42cの接点が開いている場合(機械DC電源が入力されていない状態)、操作パネル10に設けたキーボード13からのパスワード入力を条件に、CPU31は、入出力インタフェース39を介して第1リレー41へラッチ信号の出力を行う。すなわち、第1リレー41のコイル41aにラッチ信号を出力し、コイル41aを励磁する。励磁したコイル41aの吸引力によりスイッチ41bが閉じ状態となる結果、第2AC/DCコンバータ43での電圧変換で生じた電流が第2リレー42及び第1リレー41に流れ、コイル42aを励磁する。励磁したコイル42aの吸引力によりスイッチ42b,42cの接点は再び閉じ状態となる。これにより、スイッチ42c及び入出力インタフェース39を介しCPU31に機械DC電源が入力されていることを告知する。
【0052】
次に、本実施形態の電源制御装置における制御を説明する。本実施形態では、工場電源遮断後の復帰時には、操作パネル10に設けたキーボード13でのパスワード入力を条件に、CPU31は第1リレー41へラッチ信号を出力する。図5は、電源制御装置30のCPU31が実行する詳細手順を示すフローチャートである。本フローは、工場電源喪失後、操作者が工作機械1を起動するために、電源制御装置30の機械式ブレーカー37を閉じて工場電源を投入すると開始する。
【0053】
図5において、まず、ステップS10で、電源制御装置30のRAM33の記憶データを読み取り、コンデンサ45による電圧供給が完了したか否かを判定する(通電完了検知手段)。工場電源が所定期間喪失した後、コンデンサ45による電圧供給が停止した場合は、前述のようにしてその痕跡を電源遮断履歴としてRAM33に記憶している。したがって、ステップS10の判定を満足し、次のステップS20に移る。
【0054】
一方、工場電源の喪失がない場合、または工場電源の喪失があっても、コンデンサ45による電圧供給中に工場電源が復帰した場合は、上記RAM33に対する電源遮断履歴の記憶はない。したがって、ステップS10の判定を満足せず、そのまま本フローを終了する。
【0055】
ステップS20では、機械動作部36に制御信号を出力して、工作機械1の起動を禁止するとともに、工作機械1の操作パネル10の表示部34に制御信号を出力して、表示部34に警告メッセージを表示させる。警告メッセージは、パスワードを入力しないと工作機械1の起動ができない旨などの内容である。これにより、操作者は表示部34の表示を見て、キーボード13により工作機械1にパスワードを入力することができる。
【0056】
次のステップS30では、操作者が入力したパスワードが正しいか否か、つまり工作機械1に設定したパスワードと一致するか否かを判定する。入力したパスワードが一致するまでステップS30の判定を満足せずステップS20に戻って同様の手順を繰り返す。入力したパスワードが一致したらステップS30の判定を満足し、次のステップS40に移る。なお、上記ステップS20及びステップS30の手順が、各請求項記載の起動制限手段を構成する。
【0057】
次のステップS40では、入力したパスワードが一致したことを受けて、機械動作部36に制御信号を出力し、工作機械1の起動禁止を解除する。操作パネル10の表示部34に制御信号を出力し、表示部34の警告メッセージの表示を解除する。CPU31から第1リレー41へラッチ信号の出力を行う。RAM33に制御信号を出力して、RAM33に記憶している電源遮断履歴を消去し、本フローを終了する。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の電源制御装置30は、コンデンサ45が、何らかの理由で工場電源からの電圧供給が停止したとき、それに代わって所定期間、第2リレー42のコイル42aに電圧を供給して通電を保持する。その後(工場電源電圧の供給が停止したまま)所定期間が経過してコンデンサ45に蓄えた電荷が尽きると、コイル42aの通電が停止する。これにより、スイッチ42cが開き状態となることで、工場電源の喪失から所定期間が経過した痕跡を記録する。そして工場電源が復帰し工作機械1を起動する次回起動時、スイッチ42cが開き状態となっていることにより、CPU31が電源遮断履歴信号としてRAM33へ記憶する。CPU31は、RAM33に記憶された情報に対応する報知(メッセージ表示)を操作者に行う(ステップS20参照)。
【0059】
以上のようにして、本実施形態の電源制御装置30は、工場電源からの電圧供給が単に停止したときにその旨を操作者に報知するのではなく、停止状態が所定期間継続したことを条件に操作者に報知を行うことができる。したがって、停電発生時や工作機械1の工場内での配置換え等による短時間の給電停止を除外し、移転や転売等による長時間の給電停止状態のみを確実に操作者に報知することができる。
【0060】
また、本実施形態では特に、長時間の給電停止状態があった場合に、ステップS20において、パスワードを入力しなければ正常な起動ができない旨の警告メッセージを表示部34へ表示するとともに、工作機械1の起動を禁止する。これにより、工作機械1に対し不適当な移転や転売を行った場合に、そのまま起動することによる機器の破損や耐久性の低下が起こること、または盗難などによる不正使用を抑制または防止することができる。
【0061】
なお、本発明は、上記に限らず、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
【0062】
(1)SRAMを用いる場合
本変形例では、図6に示すように、電源監視部40Aに通電完了検知手段としてSRAM50を設け、工場電源の喪失後のコンデンサ45の電荷が尽きるまでの所定時間の経過痕跡を、SRAM50(揮発性記憶手段)に記録させる。SRAM50は、CPU51に接続する。SRAM50の電源は第2AC/DCコンバータ43の出力側をダイオード44を介し接続している。ダイオード44とSRAM50との間には接地したコンデンサ45を接続している。
【0063】
SRAM50は、電圧を供給している間は記憶したデータを消去しないが、電圧供給が停止するとデータを消去する性質がある。そこで、本変形例では、CPU51が、SRAM50に対し、予め判別データとして何か特定の値を書き込んでおく。
【0064】
工場電源の喪失により第2AC/DCコンバータ43からのSRAM50への電圧供給が停止すると、上記実施形態と同様、代わりにコンデンサ45からの電圧供給が始まる。そして、コンデンサ45の電荷が尽きるまでの所定期間が経過すると、電圧をSRAM50に供給しなくなる。この結果、SRAM50に記憶したデータが消失し、判別データがない(記憶したデータが何もない)ことをもって、所定期間が経過した経過痕跡として記録することができる。
【0065】
工場電源が復帰した後に工作機械1を起動すると(=次回起動時)、CPU31がSRAM50のデータを読み込む。データが消えていることを検出すれば(通電完了検知手段)、工作機械1の移転や転売等による長時間の給電停止状態であると判断し、(上記実施形態同様に)操作者に報知したり起動禁止を行うことができ、同様の効果を得ることができる。
【0066】
(2)電極の移動を用いる場合
図7は、本変形例を示す説明図である。図7に示すように、電源監視部40Bは、電極落下装置160(移動体検出装置)を備えている。電極落下装置160は、筒体61内に収容した電極60(移動体)と、筒体61の上方に配置した保持用電磁石54及びリセット用電磁石55とを備えている。
【0067】
保持用電磁石54は、電極60を筒体61の上部(第1位置)に保持するためのものである。保持用電磁石54には、第2AC/DCコンバータ43の出力側をダイオード44を介して接続している。ダイオード44と保持用電磁石54との間には、接地したコンデンサ45を接続している。リセット用電磁石55(電極移動用コイル)は、落下により筒体61の下部(第2位置)に位置する電極60を第1位置に引き上げるためのものである。
【0068】
保持用電磁石54は、第1位置にある電極60を第1位置に保持する磁力は備えるが、第2位置にある電極60を第2位置から第1位置に吸い上げる大きな磁力は備えない。リセット用電磁石55には、大きな磁力を発生させるためにリセット用電磁石駆動回路56が接続している。筒体61の上部と下部の側方には、電極60が第1位置または第2位置に存在するのをそれぞれ検出する電極センサ64a,64bを配置している。電極センサ64a,64bの出力側は入出力インタフェース39を介してCPU31に接続している。
【0069】
保持用電磁石54に第2AC/DCコンバータ43からの電圧を供給すると、筒体61内の電極60を、励磁した保持用電磁石54の磁力で第1位置に保持する。工場電源が喪失して、第2AC/DCコンバータ43からの電圧供給が停止し、工場電源の喪失から所定期間経過すると、コンデンサ45による保持用電磁石54への電圧供給が停止する。この結果、保持用電磁石54による電極60の保持がなくなって、電極60は重力で筒体61内を落下し、筒体61上部の第1位置から下部の第2位置に至る。したがって、電極センサ64aで第1位置に存在していることを検出した後、電極センサ64bで電極60が第2位置にあることを検出することで、上記所定期間が経過したことの痕跡を検出する(通電完了検知手段)。これにより、工作機械1の移転や転売等による長時間の給電停止状態であると判断し、(上記実施形態同様に)操作者に報知したり起動禁止を行うことができ、同様の効果を得ることができる。
【0070】
工場電源が復帰した後に工作機械1を起動すると(=次回起動時)、CPU31がリセット用電磁石駆動回路56に制御信号を入力し、リセット用電磁石55を励磁する。これにより、電極60を磁力により第2位置から第1位置に吸い上げることができる。このようにして電極60を移動させた後は、(第1位置に復帰したことから)上記所定期間の経過痕跡をリセットすることになる。その後は、保持用電磁石54による保持で電極60を第1位置に維持することができる。
【0071】
(3)リセットをシリンダで行う場合
上記(2)の変形例では、リセット用電磁石55により電極60を筒体61の下部の第2位置から上部の第1位置に戻し復帰させたが、これに限らない。本変形例では、図8に示すように、リセット用電磁石55の代わりにシリンダ62を設け、電極60を第1位置に復帰させる。シリンダ62は筒体61の下方に設けてあり、シリンダ62から延出したピストンロッド62aを筒体61内に挿入している。このピストンロッド62aの先端に支持板63を設け、支持板63は筒体61内の下部に設けてある。
【0072】
本変形例では、工場電源の喪失から所定期間経過し、電極60が筒体61の上部の第1位置から筒体61内を落下すると、支持板63が筒体61の下部の第2の位置で電極60を受けとめる。その後、シリンダ62のピストンロッド62aを伸張することで、支持板63上の電極60を筒体61上部の第1位置に持ち上げ、復帰させることができる。
【0073】
(4)振動検出を併用する場合
本変形例では、図9に示すように、電源制御装置30Aは、図3の電源制御装置30に振動検出装置70(振動検出手段)を付加している。また、電源監視部40は、図4を用いて上述したものと同じ構成となる。
【0074】
振動検出装置70は、振動を検出する機能と、検出データを履歴として(電源供給に関係なく)RAM33に記憶保持する機能とを備えている。RAM33が振動履歴記憶手段に相当する。
【0075】
本変形例における制御を図10により説明する。図10は、電源制御装置30のCPU31が実行する詳細手順を示すフローチャートである。本フローは、工場電源喪失後、操作者が工作機械1を起動するために、電源制御装置30の機械式ブレーカー37を閉じて工場電源を投入すると開始する。
【0076】
図10において、まず、ステップS110で、電源遮断履歴があるか否かを判定する。これは、図5のステップS10と同様に電源制御装置30のRAM33の記憶データを読み取り、電源遮断履歴があるか否かを判定する。電源遮断履歴があればステップS110の判定を満足し、次のステップS120に移る。電源遮断履歴がなければステップS110の判定を満足せず、ステップS160に移る。
【0077】
ステップS120では、電源遮断中の振動履歴があるか否かを判定する。これは、前述のようにして振動検出装置70から読み込みRAM33に記憶したデータに、振動履歴があったかどうかによって判定することができる。振動履歴があればステップS120の判定を満足し、その振動履歴をRAM33に記憶するとともに、次のステップS130に移る。振動履歴がなければステップS120の判定を満足せず、ステップS180でRAM33にある電源遮断履歴をクリアし、本フローを終了する。
【0078】
ステップS130では、上記ステップS20と同様、機械動作部36に制御信号を出力して、工作機械1の起動を禁止するとともに、工作機械1の操作パネル10の表示部34に制御信号を出力して、表示部34に前述と同様の警告メッセージを表示させる。これにより、操作者は表示部34の表示を見て、キーボード13により工作機械1にパスワードを入力する。
【0079】
次のステップS140では、上記ステップS30と同様、操作者が入力したパスワードが正しいか否かを判定する。入力したパスワードが一致するまでステップS140を満足せずステップS130に戻って同様の手順を繰り返す。入力したパスワードが一致したらステップS140の判定を満足し、次のステップS150に移る。なお、上記ステップS130及びステップS140の手順が、各請求項記載の起動制限手段を構成する。
【0080】
次のステップS150では、ステップS40と同様、機械動作部36に制御信号を出力して、工作機械1の起動禁止を解除するとともに、表示部34の警告メッセージの表示を解除する。またRAM33に記憶している電源遮断履歴と振動履歴とを消去し、本フローを終了する。
【0081】
一方、上記ステップS160では、振動履歴があるか否かを判定する。前述したように、電源喪失のない平常時にCPU31は振動検出装置70から定期的に検出データを読み込み、RAM33に記憶している。したがってこのステップS160では、そのRAM33の検出データに、振動履歴があるかどうかによって判定することができる。
【0082】
RAM33の検出データに振動履歴がなかった場合には、ステップS160の判定を満足せず、このフローを終了する。RAM33の検出データに振動履歴があった場合は、ステップS160の判定を満足し、ステップS170に移る。
【0083】
ステップS170では、(電源遮断履歴がなく工作機械1の配置換え等の短時間の移設による振動や、単なる地震である事が推定されることから)RAM33の振動履歴を消去し初期化して、本フローを終了する。
【0084】
上記フローのうち、上記ステップS110の手順が各請求項記載の通電完了検知手段を構成する。また、ステップS130及びステップS140の手順が起動制限手段を構成する。ステップS170の手順が初期化手段を構成する。振動履歴記憶手段としてRAM33で構成したが、振動検出装置70に記憶手段を設けてもよい。
【0085】
本変形例においては、振動検出装置70が工作機械1の振動を検出し、電源遮断履歴があった(長時間の給電停止があった)場合でも振動を検出していない場合には、起動制限を加えないようにする。これにより、停電の時間が長かった場合等の、本来不要である起動制限を回避でき、操作者の利便性をさらに向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の電源制御装置の一実施形態を備えた工作機械を示す正面図である。
【図2】工作機械の機械本体を示す斜視図である。
【図3】電源制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】図3の電源制御装置に設けた電源監視部の概略構成を示す説明図である。
【図5】図3の電源制御装置における制御を示すフローチャートである。
【図6】通電完了を検知するためにSRAMを設けた変形例における電源監視部の概略構成を示す説明図である。
【図7】通電完了を検知するために電極の移動を利用した変形例における電源監視部の概略構成を示す説明図である。
【図8】通電完了検知のリセットをシリンダで行う変形例における電源監視部の要部を示す説明図である。
【図9】振動検出装置を付加した電源制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図10】図9の電源制御装置における制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0087】
1 工作機械
30 電源制御装置
31 CPU
33 RAM
34 表示部
35 入力部
38 第1AC/DCコンバータ
40 電源監視部
41 第1リレー
42 第2リレー
43 第2AC/DCコンバータ
45 コンデンサ(通電保持手段)
50 SRAM
54 保持用電磁石
55 リセット用電磁石
60 電極
62 シリンダ
70 振動検出装置
71 第3リレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械に給電する主電源電圧の喪失時に、所定期間、代用電源として通電を保持する通電保持手段と、
前記主電源電圧の喪失後、前記通電保持手段による通電が完了したことを検知する通電完了検知手段と、
前記通電完了検知手段によって前記通電保持手段による通電が完了したことを検知された場合、前記工作機械の起動において所定の起動制限を与える起動制限手段とを有することを特徴とする工作機械の電源制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の工作機械の電源制御装置において、
前記工作機械の振動を検出する振動検出手段を更に有し、
前記起動制限手段は、
前記通電完了検知手段によって前記通電保持手段による通電が完了したことを検知された場合、前記振動検出手段の検出結果に応じて、前記起動制限を与える
ことを特徴とする工作機械の電源制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の工作機械の電源制御装置において、
前記振動検出手段によって前記工作機械の振動を検出したことを記憶する振動履歴記憶手段と、
前記通電完了検知手段によって前記通電保持手段による通電が完了したことを検知されない場合、且つ前記振動履歴記憶手段に前記工作機械の振動を検出したことが記憶されていた場合に、前記振動履歴記憶手段に記憶されていた情報を消去する初期化手段とを更に備えた
ことを特徴とする工作機械の電源制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の工作機械の電源制御装置において、
前記主電源電圧を、前記通電保持手段が保持可能な通電電圧と同等の電圧に変換する電圧変換手段を有する
ことを特徴とする工作機械の電源制御装置。
【請求項5】
請求項4記載の工作機械の電源制御装置において、
前記通電保持手段は、
前記主電源電圧を前記電圧変換手段で変換した後の電荷を貯留するように、前記電圧変換手段の出力側に接続したコンデンサである
ことを特徴とする工作機械の電源制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の工作機械の電源制御装置において、
前記主電源電圧又は前記通電電圧の供給時には閉じ状態となり、前記主電源電圧及び前記通電電圧のいずれも非供給となった場合には開き状態となる、スイッチを有するリレーを更に備え、
前記通電完了検知手段は、前記スイッチの前記開き状態を検出する
ことを特徴とする工作機械の電源制御装置。
【請求項7】
請求項6記載の工作機械の電源制御装置において、
前記リレーは、
前記主電源電圧又は前記通電電圧の供給時に励磁し、前記スイッチを閉じ状態に駆動するスイッチ開閉用コイルを備える
ことを特徴とする工作機械の電源制御装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の工作機械の電源制御装置において、
前記主電源電圧又は前記通電電圧の供給時には所定の情報を記憶保持し、前記主電源電圧及び前記通電電圧のいずれも非供給となった場合には記憶した前記所定の情報を喪失する揮発性の記憶手段を更に備え、
前記通電完了検知手段は、前記記憶手段の前記所定の情報の喪失状態を検出することを特徴とする工作機械の電源制御装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の工作機械の電源制御装置において、
前記主電源電圧又は前記通電電圧の供給時には第1位置に位置し、前記主電源電圧及び前記通電電圧のいずれも非供給となった場合には第2位置に移動する、移動体を更に備え、
前記通電完了検知手段は、前記移動体が前記第2位置にあることを検出する
ことを特徴とする工作機械の電源制御装置。
【請求項10】
請求項9記載の工作機械の電源制御装置において、
前記移動体を電極で構成し、
前記第2位置にある前記移動体を前記主電源電圧又は前記通電電圧の供給時に励磁して前記第1位置に駆動する電極移動用コイルを備える
ことを特徴とする工作機械の電源制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−230189(P2009−230189A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71206(P2008−71206)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】