説明

差動ノイズ・キャンセル機能付電子式指紋感知装置

像感知装置は、対象物、例えば指、の予想運動方向に関してほぼ直角に配置される像ピックアップ・プレートと、像ピックアップ・プレートに対して離隔配置された多数の像駆動プレートと、イメージピックアップ・プレートに対して実質的にほぼ平行に配置された基準プレートとを有し、前記複数の像駆動プレートは、各像駆動プレートと像ビックアップ・プレート間にセンサー・ギャップを画定するように、像ピックアップ・プレートから離隔配置されている。基準プレートは、共通モード・ノイズと結合が打ち消されるように像ピックアップ・プレートから隔てられていて、且つ像ピックアップ・プレートと基準プレート間に差動像信号が作りだされるように像駆動プレートから隔てられている。像ピックアップ・プレートに接続された差動増幅器と基準プレートとにより、ノイズが打ち消される。前記装置は更に、基準プレートから隔てられ、且つ例えば接地電位のような基準電位に連結された、櫛状プレートを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば指紋のような対象物の生体的特徴を電子的に感知するシステムと方法に関するするもので、更に詳しくは、差動ノイズ・キャンセル機能を用いた電子式指紋感知用のシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子的指紋感知手段は、個人特定用の信頼できる技術として注目度が高まっている。電子的指紋感知手段は、例えば警備チェックポイントのような固定した装置として用いることもできるし、例えば、携帯電話およびその他の無線装置あるいはICカード(smart
cards)といったポータブルな装置として用いることもできる。従って、電子式指紋感知システムは、コンパクトであって信頼性が高く且つ価格が低廉であることが要求されている。
【0003】
これまでにも、種々の電子式指紋感知方法が提案されてきた。よく知られている方法としては、光学的感知法と、二次元配列された電極のアレイを有する静電容量(capacitive)感知法とが含まれる。
【0004】
指を通す手法を用いた静電容量型指紋感知方法は、2002年6月13日に発行された国際特許公告第WO02/47018号公報に開示されている。絶縁性基板に導電素子即ちプレート(plates)が形成されていて、指のような対象物における地形図的変化を検出するための一次元静電容量感知アレイ(a one−dimensional capacitive sensing array)をつくりだしている。前記アレイは、短期電子波形バースト(short duration electronic waveform bursts)によって順次励起される(are excited)複数の駆動プレート(multiple drive plates)を有している。センサー・ギャップ(sensor gap)によって各駆動プレートから隔てられ且つ電荷感知回路に接続された直交ピックアップ・プレートが、各駆動素子によってつくりだされる電界の強さを検出する。各駆動プレートの走査の完了ごとに指紋の一次元的断片(スライス)(one−dimensional slice)が得られる。前記駆動プレートとピックアップ・プレートの間のギャップを横切るように指を通し、その通す速度よりもずっと高速に前記ギャップを走査することによって、静電容量(capacitance)に基づいた二次元像が生成される。前記像は指紋を表している。
【0005】
この種の指紋感知方法によっても満足できる性能を得ることはできるが、センサー・ギャップの外の指のリッジ(畝部)から指の本体を通して結合される妨害信号(interference)と組み合わされた寄生結合およびノイズの影響を受けやすい。従って、上述のような影響を少なくした改良された電子式指紋感知装置および方法が要求されている。
【発明の開示】
【0006】
本発明の第一の態様による像感知装置は、例えば指のような対象物の予想される運動方向に対してほぼ直行するように配置された像ピックアップ・プレートと、複数個の像駆動プレートと、前記像ピックアップ・プレートに対して実質的に平行に配置された基準プレート(a reference plate)とを備え、前記像駆動プレートは、各像駆動プレートと各像ピックアップ・プレートとの間に複数の感知ギャップが形成されるように前記像ピックアップ・プレートに対して離隔配置されている。前記基準プレートは、共
通のモード・ノイズおよび結合が打ち消されるように像ピックアップ・プレートから離隔配置され、且つ前記像ピックアップ・プレートとこの基準プレートとの間に差動像信号が生成されるように像駆動プレートから離隔配置されている。
【0007】
前記像感知装置は更に、前記基準プレートから離隔配置され且つ例えば接地電位といった基準電位に接続された櫛状プレート(comb plate)を備えることができる。この櫛状プレートは、前記基準プレートに対して直角に配置され且つ前記基準プレートから離隔配置された、実質的に平行な相互連結用導体(interconnected conductors)を備えることができる。いくつかの実施例において、櫛状プレートの前記平行な相互連結用導体の前記基準プレートに対する配置は、像ピックアップ・プレートに対する像駆動プレートの配置と実質的に一致するようにできる。
【0008】
基準プレート上の信号は、像ピックアップ・プレート上の信号から差し引かれ、ノイズおよび寄生信号が実質的に打ち消された像信号を得ることができる。
【0009】
前記像ピックアップ・プレート、前記複数個の像駆動プレート、前記基準プレート、および前記櫛状プレートは、存在する場合には、基板上の導体パターン(connductive traces)として構成してもよい。かかる導体パターンは実質的に同一平面上にあり、指紋の感知用として寸法取りされ離隔配置される。
【0010】
本発明の第2の態様により、指紋感知システムが提供される。この指紋感知システムは、動いている指の指紋のリッジ・ピーク(ridge peaks:指紋の隆起線)とリッジ・バレイ(ridge valleys:指紋の谷部)とを検出するためのセンサー・アレイを有しており且つ上述したように構成されている像センサーと、前記像センサーを横切って指が動いていく際にその指の速度を感知するための指センサーと、像駆動信号により前記像センサーを励起し、前記像ピックアップ・プレートと基準プレートとの間の像信号を像駆動信号に応じて検出し、指駆動信号により指センサーを励起すると共に前記指駆動信号に応じて指信号を検出し、指紋像を得るために前記像信号と前記指信号とを調和させるためのセンサー回路とを備えている。
【0011】
前記センサー回路には、像駆動信号により像駆動プレートを順番に活性化(energize)するための励起回路(excitation circuit)と、像信号を得るために前記像駆動プレートから像ピックアップ・プレートへ結合される像駆動信号を検出するための検出回路を含めてもよい。この検出回路は、像ピックアップ・プレートと基準プレートとにそれぞれ接続される第1および第2の差動入力を有する差動増幅器を含んでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
第1図は、本発明の特徴を備えた指紋感知システム100のブロック図を示している。センサー・ブロック102は、センサー回路108から駆動信号を受け取り、同センサー回路108へ感知信号を送り出す。センサー・ブロック102は像センサー110および位置センサー112を有している。像センサー110および位置センサー112は、以下に述べるように、一枚の単一の基板上に構成することができる。センサー回路108は、像感知回路124と、位置感知回路122と、マイクロ・プロセッサーおよびメモリー130とを有している。像センサー110は、像感知回路124から駆動信号104を受け取り、同像感知回路124へ感知信号106を送り出す。位置センサー112は、位置感知回路122から駆動信号105を受け取り、同位置感知回路へ感知信号107を送り出す。マイクロ・プロセッサーおよびメモリー130は、像データと位置データを受け取りシステム全体の動作を制御する。指紋感知システム100構成の構成(部品)については後述する。
【0013】
国際特許公告第WO02/47018号公報に記載された像センサーが第2図に示されている。像センサー150は、複数像駆動プレート152および像ピックアップ・プレート154を有している駆動プレート152は、実質的に相互に平行しており、駆動回路156に接続されている。ピックアップ・プレート154は、駆動プレート152に対して実質的に直角に配置されている。各駆動プレート152は、各センサー・ギャップ160によりピックアップ・プレート154から隔てられている。それ故、像センサー150は、各駆動プレート152およびピックアップ・プレート154間に線状のセンサー・ギャップ・アレイを有している。
【0014】
指は、ピックアップ・プレート154に直角な方向162へ動かして通すことになる。駆動回路156は、駆動信号により駆動プレート152を順番に活性化する。指紋のリッジ・ピークとリッジ・バレイがセンサー・ギャップ160を通過すると、駆動プレート152に与えられていた駆動信号は、個々のセンサー・ギャップの静電容量により、ピックアップ・プレート154へ静電容量的に結合される。静電容量は、センサー・ギャップを通過する指紋のリッジ・ピークとリッジ・バレーとに従って変化する。静電容量的に結合された駆動信号は、ピックアップ・プレート154に結合され、感知回路158によって検出されて、指紋画像の線が得られる。指紋像の多数の断片(スライス)(multiple slices)を組み合わせて、一つの完全な指紋像が形成される。
【0015】
第2図に示されているタイプの指紋像センサーは、満足できる性能を持ってはいるが、センサー・ギャップの外側の指のリッジ(畝部)から指本体を通って結合される妨害信号と共に人間の身体により拾われる寄生結合およびノイズの影響を受けやすくなる。かかる影響を、少なくともその一部が打ち消されるようにした、改良された像センサーが第3図に示されている。像センサー200は、複数の像駆動プレート210および像ピックアップ・プレート212を有している。駆動プレート212は実質的に相互に平行しており、駆動回路214へ接続されている。この駆動回路214は、第1図に示されている像感知回路124の一部を形成するすることができる。ピックアップ・プレート212は、駆動プレート210に対して実質的に直角に配置されている。各駆動プレート210は、センサー・ギャップ220によってピックアップ・プレートから隔てられている。それゆえ、像センサー200は各駆動プレート210とピックアップ・プレート212との間にセンサー・ギャップ220の線状アレイを有している。駆動回路214は駆動信号により駆動プレート210を順番に活性化する。
【0016】
像センサー200は更に基準プレート230を有し、この基準プレート230は、ピックアップ・プレート212に対して実質的に平行で同ピックアップ・プレートから隔てられていてもよい。基準プレート230は、駆動プレート210から見てピックアップ・プレート212の向こう側に位置せしめられており、従って、駆動プレート210から見れば、ピックアップ・プレート212よりもより遠いところに位置している。基準プレート230は、共通のモード・ノイズを打ち消すためのノイズおよび寄生結合基準を得るために必要な距離だけ駆動プレート210から離隔すべきである。いくつかの実施例において、基準プレート230とピックアップ・プレート212は、同一の長さと幅を有し、相互に平行して並んだ構成として位置せしめられるようにすることができる。基準プレート230は、ピックアップ・プレート212と同じように、リッジ/バレイ信号を感知するが、実質的に弱められている。基準プレート230とピックアップ・プレート212とは近接して配置されており、しかも同一寸法となっているため、これら二つのプレートは、ほぼ等しいノイズと寄生信号を発生する。基準プレート230上の信号をピックアップ・プレート212上の信号から差し引くことによって、感知された信号間の差に比例したリッジ/バレイ信号が生成される。このリッジ/バレイ信号は、センサー・ギャップ220からの2つのプレートの相対的位置のせいで、充分に大きい。しかしながら、同じように結
合されたノイズ信号と寄生信号とは、二つのプレート上の信号を差し引くことによって打ち消される。
【0017】
ピックアップ・プレート212および基準プレート230は、差動バンドパス・フィルター240を介して差動増幅器242へ連結している。バンドパス・フィルター240と差動増幅器242は、像感知回路124(第1図)の一部を構成している。特に、ピックアップ・プレート212は、フィルター240を介して差動増幅器242の非反転入力(a non−inverting input)へ連結してもよく、また基準プレート230は、フィルター240を介して差動増幅器242の反転入力(an inverting input)へ連結してもよい。差動増幅器242は、ピックアップ・プレート212上の信号と基準プレート230上の信号を電子的に差し引くので、ノイズおよび寄生信号は打ち消される。当業者であれば理解されるように、像センサー200と差動増幅器242間の接続は、本発明の範囲内において逆にすることができる。
【0018】
像センサー200は更に、基準プレート230から離隔配置される櫛状プレート250を有することができる。第3図に示されているように、櫛状プレート250は更に、基準プレート230に対して垂直に、且つ基準プレート230からギャップ254分だけ隔てられた実質的に平行な導体252を有することができる。平行な導体252は導体256によって電気的に相互連結されており、また、導体258によって駆動回路214へ接続されている。いくつかの実施例において、基準プレート230に対する平行導体252の配置は、ピックアップ・プレート212に対する駆動プレート210の配置に一致させている。それ故、平行導体252の幅、平行導体252間の間隔、およびギャップ254の寸法は、駆動プレート210の幅、駆動プレート210間の間隔、およびセンサー・ギャップ220の寸法とそれぞれ同一にすることができる。
【0019】
櫛状プレート250は、指紋像の感知が行われている間、基準電位、例えば接地電位、に結合される。従って、指紋像感知期間中のいかなる瞬間であっても、駆動プレート210の一つが駆動信号によって活性化されて、残りの駆動プレート210は基準電位、例えば接地電位に結合される。250本の駆動プレート210を有する像センサー200の一例として、像感知期間中、250本のうちの1本を除く全ての駆動プレートがどのようなときであれ接地され、櫛状プレート250の平行導体252の全てがどのようなときであれ接地されている。このような構成により、接地電位の導体上にあるノイズは、ピックアップ・プレート212と基準プレート230とに実質的に等しく結合される。結合されたノイズは、差動増幅器242により差し引かれて、その結果打ち消される。懸案の指紋像信号は、ピックアップ・プレート212および基準プレート230間で感知され、差動増幅器242によって打ち消されることはない。
【0020】
ピックアップ・プレート212、駆動プレート210、基準プレート230、および櫛状プレート250は、実質的に基板270上の同一平面に形成された導体パターンとすることができる。前記基板270は、どのような絶縁性材料のものでも適切なものであればよい。いくつかの実施例において、基板は、指全体の外形に合わせられるように可撓性あるものとしてもよい。しかしながら、平らな基板も、センサーの性能を毀損することなく用いることができる。基板は、硬いかもしくは可撓性のあるプリント回路基板であってもよく、駆動プレートおよびピックアップ・プレートは、従来の蒸着技術、エッチング技術、フォトリソグラフィ(光刻)技術を用いて形成することができる。
【0021】
像センサー200の一例においては、駆動プレートの幅は25μm(マイクロメートル)、また隣接する駆動プレート間の間隔は25μmであった。センサー・ギャップ220は、32μmの寸法を有していた。ピックアップ・プレート212と基準プレート230との間の間隔は、32μmであった。櫛状プレート250の平行導体252は、25μm
の幅を有し、隣接する導体252間の間隔は、32μmであった。これらの寸法は、単なる例に過ぎないものであり、本発明の範囲を制限するものではないことは理解されよう。一般に、センサー・ギャップ220は、典型的な指紋におけるリッジとリッジ間の間隔よりも小さい寸法を有しており、通常25μmから50μmである。
【0022】
第1図の像感知回路124とマイクロプロセッサーおよびメモリー130の実施例は、第4図に示されている。マスター・クロック(master clock)302は、マックス走査論理回路304(mux scanning logic)と検波器306とへクロック信号を供給する。マスター・クロック302は、例えば20−80MHzの周波数範囲で動作することができるが、この周波数範囲に限定されることはない。マイクロプロセッサーおよびメモリー130は、マックス走査論理回路304用の制御信号を発生させる。マックス走査論理回路304の出力はスイッチ310に対する制御入力として働く。
【0023】
マスター・クロック302からのクロック信号は、信号バーストを供給するためにスイッチ310によりゲートされる。低インピーダンス・バッファー314は、信号バースト312により各駆動プレート210を活性化する。信号バースト312は、当業者であれば周知の標準的回路素子によって生成されるが、もともとは共通の基準周波数即ちマスター・クロック302によるものである。
【0024】
マックス走査論理回路304は、像駆動プレートを走査するために、スイッチ群310を順番に作動させる。一実施例において、マスター・クロック302は、48KHzで動作し、バッファー314へ与えられる前に16MHzに分周される。各スイッチ310は、約0.5−5マイクロ秒間だけゲートされる。駆動プレートへ順次与えられる信号バースト312によって、像センサー200の走査が行われる。この走査速度は指を通す速度よりも高速なので、指紋像の多数の線を得ることができる。
【0025】
像センサー200の駆動プレート群210は、順番に活性化されるが、特定の順番で活性化される必要はない。更に、駆動プレートは、マスター・クロック302のバーストにより活性化される必要はなく、例えば正弦波(サインウェーブ)のような周期的信号によって活性化されてもよい。
【0026】
各スイッチ310の制御入力が作動されると、各スイッチは、マスター・クロック302からの信号バーストをバッファー314へ与える。バッファー314による信号バースト312出力は、駆動プレート210の一つからピックアップ・プレート212へ結合される。結合された信号は、像センサー200に接触した指の指紋の特徴の関数である。スイッチ310に対する制御入力が作動されないときには、バッファー314は、そこに接続された駆動プレートを接地する。活性化された駆動プレートと活性化されない駆動プレートとの間の寄生電界は、それ故、グランドへ短絡されることになる。ピックアップ・プレート212は、信号バーストを検出し、バンドパス・フィルター240へ結合された信号を与える。更に、バッファーは、櫛状プレート250を駆動して像感知期間中に櫛状プレート250を接地する。
【0027】
バンドパス・フィルター240は、マスター・クロック302の周波数に中心周波数を合わせてあり、そのQは10となっている。バンドパス・フィルター240の出力は、可変利得(variable gain)を有する差動増幅器242へ与えられる。差動増幅器242の利得は、マイクロプロセッサーおよびメモリー130によって制御される。かかる利得は、感知状態が変化するのに合わせ所望の出力レベルが得られるように調整される。
【0028】
差動増幅器242の出力は、検波器306において復調される。検波器306は、信号バースト312の同期包絡線検波を行う。検波器306の出力は、結合された信号バーストの包絡線を表すベースバンド・パルスである。別の実施例の場合、包絡線を取り出すために同期整流技術を使用してもよい。検波器306によるパルス出力の振幅は、駆動プレート210からピックアップ・プレート212へ結合された信号の大きさの関数である。パルス振幅に復調された信号(pulse amplitude modulated signal)は、ロー・パス・フィルター322へ供給される。ロー・パス・フィルター322は、復調プロセスにおいて生成された不要な高調波(high frequency harmonics)を取り除く。ロー・パス・フィルター322は、群遅延特性(group delay characteristics)を有しており、この特性により、その前の信号処理段階において生じた位相歪が補償される。ロー・パス・フィルター322は、検波器306から来た情報を、駆動プレートが走査される速度で処理するために最適化される。
【0029】
A/Dコンバータ(アナログ信号をデジタル信号に変換する変換器)324は、ロー・パス・フィルター322の出力をデジタル値に変換する。A/Dコンバータ324は、例えば、8−12ビットの分解能を有し、従ってこの例ではロー・パス・フィルター322の出力を256から4096の値に分解する。A/Dコンバータ324は、像センサー200の走査を調整するために十分な速度(例えば、1メガサンプル/秒)で動作する。マイクロプロセッサーおよびメモリー130は、A/Dコンバータ324の出力を受け取り、それをバッファーへ保存する。保存された各デジタル値は、駆動プレートが信号バーストによって活性化されたときの、駆動プレート210とピックアップ・プレート212との間の結合信号を表している。
【0030】
像センサー200の各走査により、指紋の断片(slice)が得られる。保存されたデジタル値は、指紋像の多数の断片(slices)を表しており、指紋像を生成するために用いられる。
【0031】
以上、本発明の一実施例のいくつかの態様についての説明がなされているが、当業者であれば、それらに対する種々の変更、変形、および改良をなし得ることは明らかである。そのような変更、変形、および改良は、本説明の一部とみなされ、且つ本発明の精神と範囲内にあるものとみなされる。従って、以上の説明および図面は、単なる例に過ぎないものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明のより良き理解のために、添付された図面を参照する。添付図面はここに一体とされており、言及すれば以下の通りである。
【図1】本発明の特徴を備えた指紋感知システムのブロック図である。
【図2】従来の指紋像センサーを示す図である。
【図3】本発明の一実施例による指紋像センサーを示す図である。
【図4】本発明の一実施例による像感知回路のブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の予想される運動方向に対してほぼ直角に配置された像ピックアップ・プレートと、
複数個の像駆動プレートと、
前記像ピックアップ・プレートに対して実質的に平行に配置された基準プレートと
を備え、
前記複数個の像駆動プレートは、各像駆動プレートと前記像ピックアップ・プレートとの間に複数のセンサー・ギャップが画定されるように、前記像ピックアップ・プレートに対して離隔配置されており、また、
前記基準プレートは、共通モード・ノイズおよび結合が打ち消されるように前記像ピックアップ・プレートから離隔配置され、且つ前記像ピックアップ・プレートと前記基準プレートとの間に差動像信号が生成されるように前記像駆動プレートから離隔配置されている
ことを特徴とする、像感知装置。
【請求項2】
請求項1の像感知装置であって、更に、基板を備え、
前記像ピックアップ・プレートと、前記複数個の像駆動プレートと、前記基準プレートとは、前記基板上の導体パターンを含む、装置。
【請求項3】
請求項1の像感知装置であって、前記像ピックアップ・プレートと、前記複数個の像駆動プレートと、前記基準プレートとは、実質的に同一平面上にある、装置。
【請求項4】
請求項1の像感知装置であって、前記像ピックアップ・プレートと、前記複数個の像駆動プレートと、前記基準プレートとは、指紋感知のための寸法とされ、離隔配置されている、装置。
【請求項5】
請求項4の像感知装置であって、前記センサー・ギャップの各々は、標準的な指紋のリッジ間隔の約半分未満の寸法を有している、装置。
【請求項6】
請求項1の像感知装置であって、前記像駆動プレートが、前記像ピックアップ・プレートと前記基準プレートに対して垂直に配置された、平行する複数の導体を含む、装置。
【請求項7】
請求項1の像感知装置であって、更に、前記基準プレートから離隔配置される櫛状プレートを備えている、装置。
【請求項8】
請求項7の像感知装置であって、前記櫛状プレートは、前記基準プレートに対して垂直に配置され、且つ前記基準プレートから隔てられている、実質的に平行な、相互連結された複数の導体を備えている、像感知装置。
【請求項9】
請求項8の像感知装置であって、前記基準プレートに対する前記平行な、相互連結された複数の導体の配置は、前記像ピックアップ・プレートに対する前記複数個の像駆動プレートの配置に実質的に一致している、像感知装置。
【請求項10】
請求項1の像感知装置であって、更に、
駆動信号により前記複数個の像駆動プレートを順番に活性化させる励起回路と、
前記複数個の像駆動プレートから前記像ピックアップ・プレートに結合される駆動信号を検波して、像信号を作る検波回路と、を備えている像感知装置。
【請求項11】
請求項10の像感知装置であって、
前記駆動信号は、前記複数個の像駆動プレートの各々に順番に供給される信号バーストを含み、また、前記励起回路は、活性化されない像駆動プレートを基準電位に結合するための回路を有している、像感知装置。
【請求項12】
請求項10の像感知装置であって、
前記検波回路は、前記像ピックアップ・プレートと前記基準プレートへそれぞれ結合された第1および第2差動入力を有する差動増幅器を備えた、像感知装置。
【請求項13】
請求項10の像感知装置であって、更に、
前記基準プレートに対して離隔配置された櫛状プレートを備え、
前記励起回路は、活性化されていない像駆動プレートと前記櫛状プレートとを基準電位に結合するための回路を有している、像感知装置。
【請求項14】
移動する指の指紋のリッジ・ピークとリッジ・バレイとを感知するためのセンサーのアレイを有する像センサーを備えた指紋感知システムであって、
前記像センサーは、
前記指の予想される運動方向に対してほぼ直角に配置される像ピックアップ・プレートと、
各像駆動プレートと前記像ピックアップ・プレートとの間に複数の感知ギャップが画定されるように前記像ピックアップ・プレートに対して離隔配置される、複数個の像駆動プレートと、
前記像ピックアップ・プレートに対して実質的に平行に配置され、且つ
る基準プレートと、
前記指が像センサーを横切って動くときの前記指の速度を感知する、指センサーと、
像駆動信号により前記像センサーを励起し、前記像ピックアップ・プレートと前記基準プレートとの間の像信号を前記像駆動信号に応じて検出し、指駆動信号により前記指センサーを励起すると共に前記指駆動信号に応じて指信号を検出し、指紋像を得るために前記像信号と前記指信号を調和するための、センサー回路と、
を備え、
前記基準プレートは、共通モード・ノイズおよび結合が打ち消されるように前記像ピックアップ・プレートから離隔配置され、且つ前記像ピックアップ・プレートと前記基準プレートとの間に差動像信号が生成されるように前記像駆動プレートから離隔配置されている、指紋感知システム。
【請求項15】
請求項14の指紋感知システムであって、更に、基板を備え、
前記像ピックアップ・プレートと、前記複数個の像駆動プレートと、前記基準プレートとは、前記基板上の導体パターンを含む、
指紋感知システム。
【請求項16】
請求項14の指紋感知システムであって、
前記像ピックアップ・プレートと、前記複数個の像駆動プレートと、前記基準プレートとは、実質的に同一平面上にある、指紋感知システム。
【請求項17】
請求項14の指紋感知システムであって、前記像センサーは更に、前記基準プレートに対して離隔配置された櫛状プレートを備えている、指紋感知システム。
【請求項18】
請求項17の指紋感知装置であって、前記櫛状プレートは、前記基準プレートに対して垂直に、且つ前記基準プレートから離隔して配置されている実質的に平行な、相互連結された複数の導体を備えている、指紋感知システム。
【請求項19】
請求項14の指紋感知システムであって、前記センサー回路は、
前記像駆動信号により前記複数の像駆動プレートを順番に活性化するための励起回路と、
前記複数の像駆動プレートから前記像ピックアップ・プレートへ結合される像駆動信号を検波して前記像信号を得る検波回路と、
を備えている指紋感知システム。
【請求項20】
請求項19の指紋感知システムであって、
前記検波回路は前記像ピックアップ・プレートと前記基準プレートとにそれぞれ結合される第1および第2の差動入力を有する差動増幅器を備えている、
指紋感知システム。
【請求項21】
請求項19の指紋感知システムであって、前記像センサーは更に、前記基準プレートに対して離隔配置される櫛状プレートを備え、
前記励起回路は、活性化されていない像駆動プレートと前記櫛状プレートとを基準電位に結合するための回路を有している、
指紋感知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−503646(P2009−503646A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522823(P2008−522823)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/027060
【国際公開番号】WO2007/011607
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(508018314)ヴァリディティー センサーズ,インク. (3)
【氏名又は名称原語表記】VALIDITY SENSORS,INC.
【出願人】(591013469)ナショナル セミコンダクタ コーポレイション (64)
【氏名又は名称原語表記】NATIONAL SEMICONDUCTOR CORPORATION
【Fターム(参考)】