巻取ユニット、自動ワインダ、及び給糸ボビンの位置合わせ方法
【課題】給糸ボビンの長さ等に関わらず給糸ボビンの位置を目標位置に対して確実に合わせることが可能な巻取ユニットを提供する。
【解決手段】ワインダユニット(巻取ユニット)は、ボビン保持部と、長さ情報取得部と、位置検出部と、記憶部と、ユニット制御部と、を備える。ボビン保持部は、給糸ボビンを保持する。長さ情報取得部は、給糸ボビンの軸方向の長さに関する情報である長さ情報を取得する。位置検出部は、ボビン保持部に保持された給糸ボビンの位置を検出可能である。記憶部は、解舒基準位置の情報と、位置検出部が設けられている位置の情報と、を記憶する。ユニット制御部は、長さ情報に基づいて、ボビン保持部に保持された給糸ボビンを位置検出部が検出できるように当該位置検出部を移動させる制御と、長さ情報及び記憶部の記憶内容に基づいて、給糸ボビンを解舒基準位置に合わせるように当該給糸ボビンを移動させる制御と、を行う。
【解決手段】ワインダユニット(巻取ユニット)は、ボビン保持部と、長さ情報取得部と、位置検出部と、記憶部と、ユニット制御部と、を備える。ボビン保持部は、給糸ボビンを保持する。長さ情報取得部は、給糸ボビンの軸方向の長さに関する情報である長さ情報を取得する。位置検出部は、ボビン保持部に保持された給糸ボビンの位置を検出可能である。記憶部は、解舒基準位置の情報と、位置検出部が設けられている位置の情報と、を記憶する。ユニット制御部は、長さ情報に基づいて、ボビン保持部に保持された給糸ボビンを位置検出部が検出できるように当該位置検出部を移動させる制御と、長さ情報及び記憶部の記憶内容に基づいて、給糸ボビンを解舒基準位置に合わせるように当該給糸ボビンを移動させる制御と、を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、給糸ボビンから解舒された糸を巻き付けてパッケージを形成する巻取ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、給糸ボビンから解舒された糸を巻取ボビンに巻き取って、パッケージを形成する巻取ユニットが知られている。この給糸ボビンから解舒された糸をガイドしてテンションを調整し、良好な巻取パッケージを得るためには、給糸ボビンと、この給糸ボビンの上方に配置される糸ガイドと、の位置関係が一定であることが好ましい。この糸ガイドとしては、給糸ボビンから糸を解舒する際に発生するバルーンを適切に規制する(適切な形状にする)解舒補助装置が知られている。
【0003】
しかし、巻取ユニットには糸種等に応じて様々な形状や内径の給糸ボビンが供給されるため、供給される給糸ボビンの種類が変更される毎に給糸ボビンと解舒補助装置との位置関係が変わってしまう。この位置関係が変わると、給糸ボビンから糸が解舒される際の解舒テンションが給糸ボビンの周回位置によって不均一となる。そのため、オペレータは巻取ユニットに供給される給糸ボビンの種類が変更される毎に、給糸ボビンと解舒補助装置との位置関係を調整する必要があった。
【0004】
この点、特許文献1及び2には、給糸ボビンの内周を複数の爪部材(緊締クロー群、把持片)により複数の支点で支持することで、異なる芯管内径に対してもボビンと巻取装置との位置関係を変えずに巻取作業を行うことができるボビン保持ペッグが記載されている。特許文献1及び2に記載のボビン保持ペッグを用いることにより、給糸ボビンの解舒時の軸芯を解舒補助装置(詳細には解舒筒部材)の軸芯と一致させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−124230号公報
【特許文献2】特開2006−89284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、近年では、様々な種類の糸が用いられるようになり、また、糸巻取機の前工程で給糸ボビンを巻き上げる機械としても種々のものが使用されているので、巻取ユニットに供給される給糸ボビンの種類や形状も多様化している。その中で、ボビン内部に凹凸がある等の複雑な形状の給糸ボビンが巻取ユニットに供給された場合に、給糸ボビン内部の凹凸に爪部材の先端が引っ掛かり、給糸ボビンが爪部材に対して斜めの姿勢で保持されてしまうという問題が発生している。
【0007】
しかし、特許文献1及び2に記載のボビン保持ペッグを備えた巻取ユニットは、給糸ボビンを保持させる構成であり、供給された給糸ボビンの位置を確認できる構成ではない。そのため、給糸ボビンの軸心が解舒側においてバルーン規制部の軸芯とズレて保持されたとしても、それを検出できないまま巻取作業が進められてしまうことがあった。
【0008】
本発明は以上の事情に鑑みてなされたものであり、その主要な目的は、給糸ボビンの長さ等に関わらず給糸ボビンの位置を目標位置に対して確実に合わせることが可能な巻取ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の巻取ユニットが提供される。即ち、この巻取ユニットは、ボビン保持機構と、長さ情報取得部と、位置検出部と、記憶部と、制御部と、を備える。前記ボビン保持機構は、給糸ボビンを保持する。前記長さ情報取得部は、給糸ボビンの軸方向の長さに関する情報である長さ情報を取得する。前記位置検出部は、前記ボビン保持機構に保持された給糸ボビンの位置を検出可能である。前記記憶部は、糸の巻取り時に給糸ボビンを保持すべき位置である目標位置の情報と、前記位置検出部が設けられている位置の情報と、を記憶する。前記制御部は、前記長さ情報に基づいて、前記ボビン保持機構に保持された給糸ボビンを前記位置検出部が検出できるように当該位置検出部を移動させる制御と、前記位置検出部の検出結果及び前記記憶部の記憶内容に基づいて、給糸ボビンを前記目標位置に合わせるように当該給糸ボビンを移動させる制御と、を行う。
【0010】
これにより、長さ情報取得部が取得した長さ情報を利用することで、給糸ボビンの長さに応じた位置に位置検出部を移動させることができる。従って、給糸ボビンの長さにバラツキがある場合においても、位置検出部が給糸ボビンの検出に失敗しないので、給糸ボビンを目標位置に合わせる動作(位置合わせ動作)を確実に行うことができる。
【0011】
前記の巻取ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この巻取ユニットは、給糸ボビンの糸の解舒を補助する解舒補助装置を備える。前記目標位置は、前記解舒補助装置の解舒基準位置である。前記制御部は、前記ボビン保持機構に保持された給糸ボビンを前記解舒補助装置の解舒基準位置に合わせるように当該給糸ボビンを移動させる。
【0012】
これにより、解舒基準位置で給糸ボビンの糸を解舒することができるので、給糸ボビンと解舒補助装置との間に適切な形状のバルーンを形成することができる。従って、給糸ボビンから解舒された糸のテンションを適正に保ちながら糸の巻取りを行うことができる。
【0013】
前記の巻取ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記解舒補助装置は、パッケージの巻取動作の進行に伴う給糸ボビンの糸層端部であるチェース部の変化に追従して移動することで、給糸ボビンの糸の解舒を補助する第1補助部材を有する。前記位置検出部は、解舒作業時に前記第1補助部材とともに移動して前記チェース部を検出するチェース部検出センサである。
【0014】
これにより、給糸ボビンの長さに応じてチェース部検出センサの位置を調整することで、給糸ボビンの位置合わせ動作を確実に行うことができる。また、チェース部検出センサとともに第1補助部材が移動するので、第1補助部材の位置を調整するための個別の制御が不要になる。また、位置合わせ動作時(糸の解舒の開始前)に第1補助部材の位置が給糸ボビンの長さに応じて調整されることで、給糸ボビンの糸の解舒を開始するときにおける給糸ボビンと第1補助部材との位置関係を良好にすることができる。この結果、糸の適切な解舒を行うことができる。また、チェース部検出センサが位置検出部を兼ねるため、位置検出部として新たなセンサ等を備える必要がなく、構成を簡素化してコストを削減することができる。
【0015】
前記の巻取ユニットにおいては、前記チェース部検出センサは、前記長さ情報取得部を兼ねており、前記チェース部検出センサは、通過する給糸ボビンの検出結果から前記長さ情報を取得することが好ましい。
【0016】
これにより、長さ情報取得部として新たなセンサ等を備える必要がないので、構成を簡素化してコストを削減することができる。
【0017】
前記の巻取ユニットにおいては、前記第1補助部材及び前記チェース部検出センサは、共通の駆動源によって駆動されることが好ましい。
【0018】
これにより、駆動源の数を減らすことができるので、構成を簡素化してコストを削減することができる。また、単純な構成で、第1補助部材及びチェース部検出センサを一体的に移動させることが容易となる。
【0019】
前記の巻取ユニットにおいては、前記駆動源として、ステッピングモータが用いられることが好ましい。
【0020】
これにより、ステッピングモータのステップ数を用いて給糸ボビンを目標位置に合わせることで、簡易かつ精巧に給糸ボビンの位置を調整することができる。
【0021】
前記の巻取ユニットにおいては、前記長さ情報取得部は、前記長さ情報を計測により取得する長さ計測センサであることが好ましい。
【0022】
これにより、給糸ボビンの長さを少なくともある程度具体的に検出することができるので、位置検出部を給糸ボビンの検出に失敗しない位置に移動させることができる。従って、給糸ボビンの位置合わせ動作をより確実かつ正確に行うことができる。
【0023】
前記の巻取ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この巻取ユニットは、給糸ボビンの糸の解舒を補助する解舒補助装置を備える。前記目標位置は、前記解舒補助装置の解舒基準位置である。前記解舒補助装置は、パッケージの巻取動作の進行に伴う給糸ボビンの糸層端部であるチェース部の変化に追従して移動することで、給糸ボビンの糸の解舒を補助する第1補助部材を有する。前記位置検出部は、解舒作業時に前記第1補助部材とともに移動して前記チェース部を検出するチェース部検出センサである。前記制御部は、前記長さ計測センサの計測結果に基づいて前記チェース部検出センサの位置を調整する。
【0024】
これにより、少なくともある程度具体的に検出された給糸ボビンの長さに応じてチェース部検出センサ(位置検出部)の位置を調整できるので、給糸ボビンの位置合わせ動作をより確実に行うことができる。また、チェース部検出センサとともに第1補助部材が移動するので、第1補助部材の位置を調整するための個別の制御が不要になる。また、位置合わせ動作時(糸の解舒の開始前)において、第1補助部材の位置が給糸ボビンの具体的な長さに応じて調整されることで、給糸ボビンの糸の解舒を開始するときにおける給糸ボビンと第1補助部材との位置関係を良好にすることができる。この結果、糸の適切な解舒を行うことができる。
【0025】
前記の巻取ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記解舒補助装置は、前記第1補助部材の糸の巻取り方向下流側で給糸ボビンの糸の解舒を補助する第2補助部材を備える。前記制御部は、前記長さ計測センサの計測結果に基づいて、前記第2補助部材の位置を調整する。
【0026】
これにより、第1補助部材だけでなく第2補助部材についても、給糸ボビンの長さに応じた適切な位置に移動させることができる。従って、給糸ボビンから解舒される糸のテンションをより適正に保ちながら巻取りを行うことができる。
【0027】
前記の巻取ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この巻取ユニットは、マガジン式のボビン供給装置と、ボビン案内部と、を備える。前記マガジン式のボビン供給装置は、複数のボビン収納孔を備える。前記ボビン案内部は、前記ボビン収納孔に収納された給糸ボビンを前記ボビン保持機構まで案内する案内経路を有する。前記制御部は、前記案内経路を介して前記ボビン保持機構が受け取った給糸ボビンを前記目標位置まで移動させる制御を行う。前記長さ計測センサは、給糸ボビンが前記ボビン収納孔に収納されてから前記目標位置に到達するまでの間に、前記長さ情報を計測して取得する。
【0028】
これにより、給糸ボビンが通常搬送される経路において、長さ情報を計測して取得することができる。従って、長さ情報の計測のために特別な経路等を設ける必要がなく、巻取ユニットの構成が複雑化することを防止できる。
【0029】
前記の巻取ユニットにおいては、前記長さ計測センサは、複数の前記ボビン収納孔に収納された給糸ボビンのうち少なくとも1つの前記ボビン収納孔に保持された給糸ボビンについて、前記長さ情報を計測して取得することが好ましい。
【0030】
これにより、長さ情報を比較的早い段階で計測して取得することができる。従って、この検出結果に応じた位置に位置検出部を移動させる制御を無理なく行うことができる。
【0031】
前記の巻取ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記ボビン保持機構は、受け取った給糸ボビンを少なくとも前記目標位置まで旋回移動させることが可能である。前記長さ計測センサは、前記ボビン保持機構が給糸ボビンを受け取ってから前記目標位置まで旋回移動させるまでの間に当該給糸ボビンの前記長さ情報を計測して取得可能である。
【0032】
これにより、給糸ボビンを旋回移動させているため、給糸ボビンの経路をコンパクトにすることができる。また、給糸ボビンの供給ミス又は受取ミスについても長さ計測センサで検出することができる。
【0033】
前記の巻取ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記長さ計測センサは、物体の有無を検出可能なセンサ素子を複数備えている。前記センサ素子は、当該長さ計測センサを通過するときの給糸ボビンの軸方向に沿って配置される。
【0034】
これにより、センサ素子を並べた簡単な構成で、当該給糸ボビンの長さを少なくともある程度具体的に取得することができる。
【0035】
前記の巻取ユニットにおいては、前記長さ計測センサは、検出範囲において物体が存在する部分を検出可能なエリアセンサであり、前記検出範囲において給糸ボビンが占める割合に基づいて、当該給糸ボビンの長さを検出することが好ましい。
【0036】
これにより、給糸ボビンの長さをより具体的に取得することができるので、位置合わせ動作をより確実に行うことができる。
【0037】
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の自動ワインダが提供される。即ち、この自動ワインダは、前記の巻取ユニットと、機台制御装置と、入力部と、を備える。前記機台制御装置は、複数の前記巻取ユニットを制御する。前記入力部は、前記巻取ユニット及び機台制御装置のうち少なくとも何れか一方に設けられ、給糸ボビンに関する情報を入力可能である。また、前記長さ情報取得部は、前記入力部に入力された情報に基づいて、前記長さ情報を取得する入力長さ取得部である。前記制御部は、前記入力長さ取得部が取得した前記長さ情報に基づいて、給糸ボビンの位置合わせを行う際に前記位置検出部を予め待機させておく位置である開始基準位置を決定し、前記位置検出部を前記開始基準位置に移動させる制御を行う。
【0038】
これにより、入力内容に基づいて決定した開始基準位置に位置検出部を移動させることで、給糸ボビンが供給される度に当該給糸ボビンの長さを取得(計測)する手間を省くことができる。また、各巻取ユニットに対してまとめて給糸ボビンの長さを設定することが容易になる。
【0039】
前記の自動ワインダにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この自動ワインダは、給糸ボビンの糸の解舒を補助する解舒補助装置を備える。前記目標位置は、前記解舒補助装置の解舒基準位置である。前記解舒補助装置は、パッケージの巻取動作の進行に伴う給糸ボビンの糸層端部であるチェース部の変化に追従して移動することで、給糸ボビンの糸の解舒を補助する第1補助部材を有する。前記位置検出部は、解舒作業時に前記第1補助部材とともに移動して前記チェース部を検出するチェース部検出センサである。前記制御部は、前記入力長さ取得部の取得内容に基づいて、前記チェース部検出センサの位置を調整する。
【0040】
これにより、チェース部検出センサとともに第1補助部材が移動するので、第1補助部材の位置を調整するための個別の制御が不要になる。また、位置合わせ動作時(糸の解舒の開始前)に第1補助部材の位置が、給糸ボビンの長さに応じて調整されることで、給糸ボビンの糸の解舒を開始するときにおける給糸ボビンと第1補助部材との位置関係を良好にすることができる。この結果、糸の適切な解舒を行うことができる。
【0041】
前記の巻取ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記解舒補助装置は、前記第1補助部材の糸の巻取り方向下流側で給糸ボビンの糸の解舒を補助する第2補助部材を備える。前記制御部は、前記入力長さ取得部が取得した前記長さ情報に基づいて、前記第2補助部材の位置を調整する。
【0042】
これにより、第1補助部材だけでなく第2補助部材についても適切な位置に移動させることができる。従って、給糸ボビンから解舒された糸のテンションをより適正に保ちながら巻取りを行うことができる。
【0043】
なお、自動ワインダについては、以下の構成することもできる。即ち、この自動ワインダは、前記の巻取ユニットと、機台制御装置と、入力部と、を備える。前記機台制御装置は、複数の前記巻取ユニットを制御する。前記入力部は、前記巻取ユニット及び機台制御装置のうち少なくとも何れか一方に設けられ、給糸ボビンの長さに関する情報を入力可能である。また、前記長さ情報取得部は、第1長さ情報取得部と、第2長さ情報取得部と、で構成されている。前記第1長さ情報取得部は、前記入力部に入力された情報に基づいて、前記長さ情報を取得する。前記第2長さ情報取得部は、供給される給糸ボビンを計測することにより、前記長さ情報を取得する。前記制御部は、前記第1長さ情報取得部が取得した前記長さ情報に基づいて、給糸ボビンの位置合わせを行う際に前記位置検出部を予め待機させておく位置である開始基準位置を決定する制御と、前記開始基準位置の前記位置検出部が給糸ボビンを検出できないと判断したときに、前記第2長さ情報取得部が取得した前記長さ情報に基づいて、当該位置検出部を移動させる制御を行う。
【0044】
これにより、入力部への入力内容に基づいた開始基準位置に位置検出部を位置させることで、供給される給糸ボビンのうちの大部分について、位置検出部が給糸ボビンの検出を行うことができる。一方で、通常と長さの異なる給糸ボビンが供給された場合には、当該給糸ボビンに応じた位置へ位置検出部を移動させることで、その給糸ボビンを問題なく検出することができる。
【0045】
本発明の第3の観点によれば、給糸ボビンから解舒された糸を巻き付けてパッケージを形成する巻取ユニットによる給糸ボビンの位置合わせ方法において、以下の工程を含む方法が提供される。即ち、この給糸ボビンの位置合わせ方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第4工程と、を含む。前記第1工程は、給糸ボビンの位置を検出可能である位置検出部を通過するように給糸ボビンを移動させる。前記第2工程は、前記位置検出部が給糸ボビンを検出できなかった場合に、当該位置検出部を移動させる。前記第3工程は、給糸ボビンを再び前記位置検出部に向けて移動して、給糸ボビンを前記位置検出部により検出させて、当該給糸ボビンの位置合わせのための始動基準位置を決定する。前記第4工程は、決定された始動基準位置から、予め設定された距離だけ給糸ボビンを移動させて、当該給糸ボビンの位置を、給糸ボビンを保持すべき位置である目標位置に合わせる。
【0046】
これにより、例えば短い芯管に糸が巻かれた給糸ボビンが供給されて位置検出部が給糸ボビンを検出できなかった場合でも、位置検出部を移動させることで、給糸ボビンを検出することができる。従って、位置合わせ動作を確実に行うことができる。
【0047】
本発明の第4の観点によれば、給糸ボビンから解舒された糸を巻き付けてパッケージを形成する巻取ユニットによる給糸ボビンの位置合わせ方法において、以下の工程を含む方法が提供される。即ち、この給糸ボビンの位置合わせ方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第4工程と、を含む。前記第1工程は、給糸ボビンの軸方向の長さに関する情報である長さ情報を、長さ計測センサが計測することで取得する。前記第2工程は、前記長さ計測センサが取得した前記長さ情報に基づいて、給糸ボビンの位置を検出可能な位置検出部を移動させる。前記第3工程は、給糸ボビンを前記位置検出部に向けて移動して、給糸ボビンを前記位置検出部により検出させて、当該給糸ボビンの位置合わせのための始動基準位置を決定する。前記第4工程は、前記始動基準位置から給糸ボビンを保持すべき位置である目標位置までの距離を示す調整距離を、前記位置検出部の位置と前記給糸ボビンの位置とに基づいて取得し、当該調整距離に基づいた距離だけ給糸ボビンを始動基準位置から移動させて、給糸ボビンの位置を目標位置に合わせる。
【0048】
これにより、給糸ボビンの長さを少なくともある程度具体的に検出することができるので、給糸ボビンを確実に検出可能な位置に位置検出部を移動させることができる。従って、給糸ボビンの位置合わせ動作を確実かつ正確に行うことができる。
【0049】
本発明の第5の観点によれば、給糸ボビンから解舒された糸を巻き付けてパッケージを形成する複数の巻取ユニットと、複数の前記巻取ユニットを制御する機台制御部と、を備えた自動ワインダによる給糸ボビンの位置合わせ方法において、以下の工程を含む方法が提供される。即ち、この給糸ボビンの位置合わせ方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第4工程と、を含む。前記第1工程では、前記巻取ユニット及び機台制御装置のうち少なくとも何れか一方に設けられた入力部に入力された給糸ボビンに関する情報に基づいて、給糸ボビンの軸方向の長さに関する情報である長さ情報を取得する。前記第2工程では、取得した前記長さ情報に基づいて給糸ボビンの位置合わせを行う際に位置検出部を予め待機させておく位置である開始基準位置を決定し、前記位置検出部を前記開始基準位置に移動させる。前記第3工程では、給糸ボビンを前記位置検出部に向けて移動して、給糸ボビンを前記位置検出部に検出させて、当該給糸ボビンの位置合わせのための始動基準位置を決定する。前記第4工程では、前記始動基準位置から給糸ボビンを保持すべき位置である目標位置までの距離を示す調整距離を、前記位置検出部の位置と前記給糸ボビンの位置とに基づいて取得し、当該調整距離に基づいた距離だけ給糸ボビンを始動基準位置から移動させて、給糸ボビンの位置を目標位置に合わせる。
【0050】
これにより、入力内容に基づいて決定した位置に位置検出部を移動させることで、給糸ボビンが供給される度に当該給糸ボビンの長さを検出(取得)する手間を省くことができる。また、機台制御装置に設けられた入力部に給糸ボビンの長さに関する情報を入力することにより、各巻取ユニットに対して給糸ボビンの長さをまとめて設定することができる。
【0051】
前記の巻取ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この巻取ユニットは、ボビン保持機構と、位置検出部と、制御部と、を備える。前記ボビン保持機構は、給糸ボビンを保持する。前記位置検出部は、前記ボビン保持機構に保持された給糸ボビンを検出する。前記制御部は、前記ボビン保持機構を制御して最適な位置に位置決めする。
【0052】
これにより、給糸ボビンを巻取ユニットが巻取作業を行うために最適な位置に位置決めすることができるので、糸切れ等の不具合が発生することなく、給糸ボビンの解舒作業を行うことができる。
【0053】
前記の巻取ユニットにおいては、前記位置検出部を移動させるために給糸ボビンの長さ情報を取得する長さ情報取得部を備えることが好ましい。
【0054】
これにより、ボビンの長さ情報を取得し、それに応じて位置検出部を移動させるので、位置検出部がボビン保持機構に保持された給糸ボビンを確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動ワインダの全体的な構成を示す外観斜視図。
【図2】ワインダユニットの模式的な側面図。
【図3】ワインダユニットの主要な構成を示すブロック図。
【図4】解舒補助装置の構成を示す拡大斜視図。
【図5】ボビンセット部の構成を示す斜視図。
【図6】動力伝達部が備えるカムの形状を示す側面図。
【図7】主芯部材が受取姿勢にあるときの調整部の構成を示す側面図。
【図8】主芯部材が解舒姿勢にあるときの調整部の構成を示す側面図。
【図9】主芯部材が排出姿勢にあるときの調整部の構成を示す側面図。
【図10】給糸ボビンが供給されたときにワインダユニットが行う処理を示すフローチャート。
【図11】給糸ボビンの位置合わせ動作の前半部を説明する側面図。
【図12】給糸ボビンの位置合わせ動作の後半部を説明する側面図。
【図13】給糸ボビンが短い場合における給糸ボビンの位置合わせ動作の前半部を説明する側面図。
【図14】給糸ボビンが短い場合における給糸ボビンの位置合わせ動作の後半部を説明する側面図。
【図15】第1変形例における、給糸ボビンが供給されたときにワインダユニットが行う処理を示すフローチャート。
【図16】第1変形例における給糸ボビンの位置合わせ動作の前半部を説明する側面図。
【図17】第1変形例における給糸ボビンの位置合わせ動作の後半部を説明する側面図。
【図18】長さ計測センサとしてエリアセンサを用いた例を示す側面図。
【図19】ボビン供給装置に配置される長さ計測センサの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0056】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。初めに、本実施形態の自動ワインダ1の概要について図1を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る自動ワインダ1の外観斜視図である。なお、以下の説明において、ワインダユニット4の正面側を単に「正面側」、ワインダユニット4の背面側を単に「背面側」と称することがある。
【0057】
本実施形態の自動ワインダ1は、並べて配置された複数のワインダユニット(巻取ユニット)4と、複数のワインダユニット4の並べられた方向の一端に配置された機台制御装置7と、を備えている。
【0058】
各ワインダユニット4は、正面視で左右一側に設けられたユニットフレーム5と、このユニットフレーム5の側方に設けられた巻取ユニット本体6と、を備えている。ユニットフレーム5の内部には、巻取ユニット本体6の各部を制御するユニット制御部50(制御部、図3を参照)が配置されている。このユニット制御部50は、各種の情報を記憶可能な記憶部52を備えている。なお、この記憶部52の記憶内容の詳細は後述する。
【0059】
また、ユニットフレーム5は、巻取ユニット本体6の設定等を入力可能なユニット入力部(入力部)18と、巻取作業の状況等を表示可能なユニット表示部19と、を備えている。このユニット入力部18は、例えばキー及びボタンとして構成することができる。
【0060】
機台制御装置7はこのユニット制御部50と通信可能に構成されているため、機台制御装置7によって複数のワインダユニット4の動作を集中的に管理することが可能となっている。また、機台制御装置7は、機台入力部(入力部)8と、機台表示部9と、を備えている。オペレータは、機台入力部8を適宜操作することで、各ワインダユニット4に対して様々な設定(例えば、各ワインダユニット4の巻取作業に用いられる給糸ボビン21の種類の設定)を行うことができる。また、オペレータは、機台表示部9の表示を見ることで、各ワインダユニット4の巻取作業の状況等を確認することができる。
【0061】
次に、図2及び図3を参照して、ワインダユニット4について詳細に説明する。図2は、ワインダユニット4の模式的な側面図である。図3は、ワインダユニット4の主要な構成を示すブロック図である。
【0062】
ワインダユニット4は、給糸ボビン21の糸を巻取ボビン22に巻き取ってパッケージ29を形成するための装置である。
【0063】
図1及び図2に示すように、ワインダユニット4の正面側には、オペレータが給糸ボビン21を供給するためのボビン供給装置60が配置されている。ボビン供給装置60は、ワインダユニット4の下部から正面上方向に延出されたマガジン保持部61と、このマガジン保持部61の先端に取り付けられているマガジンカン62と、マガジンカン62の下方に設置されたボビン案内部64と、開閉部68と、を備えている。
【0064】
マガジンカン62には複数の収納孔が円状に並べて形成されており、それぞれの収納孔には、給糸ボビン21を傾斜姿勢でセットすることができる。また、このマガジンカン62は、図略のモータによって間欠的な回転送り駆動が可能であるように構成されている。そして、このマガジンカン62の間欠駆動と、マガジンカン62が備える図略の制御弁の開閉動作とによって、所定の給糸ボビン21を斜め下方へ落下させることができる。
【0065】
ボビン案内部64は、マガジンカン62から落下してきた給糸ボビン21を斜めに滑落させて、ボビンセット部10まで案内するように構成されている。なお、ボビンセット部10の詳細な構成は後述する。
【0066】
開閉部68は、正面側(図2における右側)と背面側(図2における左側)との間で揺動可能な一対の開閉部材68a,68bで構成されており、一対の開閉部材68a,68bが、閉じた状態(図2で示す状態)と開いた状態とを切替可能になっている。開閉部68が閉じた状態においては、当該開閉部68の内面はボビン案内部64の一部分を構成する。つまり、開閉部68の内面は、マガジンカン62から落下してくる給糸ボビン21と接触して、当該給糸ボビン21を斜め下方のボビンセット部10まで案内する。一方、開閉部68が開いた状態においては、巻取りが完了して糸が巻かれていない状態になった給糸ボビン21を正面側に排出することができる。なお、開閉部68の正面側にはコンベア3(図1を参照)が配設されているので、自動ワインダ1は、開閉部68から排出された給糸ボビン21を、当該コンベア3によって、このコンベア3の搬送方向端部に配置された図示しない給糸ボビン回収ボックスまで搬送することができる。
【0067】
また、ボビンセット部10が備えるボビン保持部110は、図2及び図3に示すステッピングモータ100が駆動することによって、正面側及び背面側に揺動可能に構成されている。なお、このステッピングモータ100は、図3に示すように、ステッピングモータ制御部102によって制御されている。
【0068】
上記ボビン保持部110は、背面側から正面側へ回動することにより、ボビン案内部64によって案内される給糸ボビン21を受取可能となっている。そして、ボビン保持部110は、背面側に回動することにより、受け取った給糸ボビン21を略直立状態にすることができる。なお、ステッピングモータ100の駆動によってボビン保持部110を揺動させる機構、及びステッピングモータ制御部102が行う制御等の詳細は後述する。
【0069】
そして、上記のようにボビンセット部10のボビン保持部110にセットされた給糸ボビン21から、糸20が解舒されて巻取部16によって巻き取られる。この巻取部16は、図2に示すように、巻取ボビン22を装着可能に構成されたクレードル23と、糸20をトラバースさせるとともに前記巻取ボビン22を駆動するための綾振ドラム24と、を備えている。
【0070】
また、前記巻取ユニット本体6は、ボビンセット部10と綾振ドラム24との間の糸走行経路中に各種の装置を備えている。具体的に説明すると、前記糸走行経路に配置される主要な装置として、ボビンセット部10側から綾振ドラム24側へ向かって順に、糸縮れ発生防止装置11と、解舒補助装置12と、テンション付与装置13と、糸継装置14と、クリアラ(糸品質測定器)15と、が配置されている。
【0071】
以下、解舒補助装置12の構成について、図3及び図4を参照して説明する。図4は、解舒補助装置12の構成を示す拡大斜視図である。
【0072】
解舒補助装置12は、図3及び図4に示すように、固定部材71と、可動部材(第1補助部材)72と、昇降部材73と、チェース部検出センサ(位置検出部、長さ情報取得部)74と、昇降部材駆動部75(図3を参照)と、を備える。
【0073】
固定部材71は、適宜の部材を介してユニットフレーム5に固定されている。この固定部材71は筒状に形成されており、その下部には、バルーンを制御するための絞り部(図略)が形成されている。可動部材72は、筒状に形成されており、固定部材71の外側を覆うように配置されている。なお、以下の説明において、この筒状に構成された可動部材72の中心軸線及び当該中心軸線を延長した線を仮想線L1と称する。
【0074】
昇降部材73は、この可動部材72と一体的に形成されている。また、昇降部材73は、ステッピングモータ又はエアシリンダ等で構成される昇降部材駆動部75が駆動することによって、鉛直方向に移動可能に構成されている。これにより、可動部材72及び昇降部材73を一体的に鉛直方向に移動させることができる。図3に示すように、昇降部材駆動部75はユニット制御部50によって制御されている。これにより、ユニット制御部50は、昇降部材駆動部75(ひいてはチェース部検出センサ74)の高さを、自身の制御内容に基づいて取得できる。そして、ユニット制御部50は、このチェース部検出センサ74の高さを記憶部52に記憶している。
【0075】
なお、本実施形態では固定部材71は移動不能に構成されているが、固定部材71のように筒部を有する部材をユニットフレーム5ではなく昇降部材73に取り付けて、可動部材72及び昇降部材73とともに当該部材を移動させることも可能である。また、当該部材が、昇降部材駆動部75以外の駆動源の駆動によって鉛直方向に移動するように構成して、可動部材72及び昇降部材73と独立して移動させるようにすることもできる。
【0076】
また、昇降部材73は、給糸ボビン21のチェース部21b(図4を参照)を検出するためのチェース部検出センサ74を備えている。なお、チェース部21bとは、巻取動作の進行に伴う給糸ボビン21の糸層端部である。また、チェース部検出センサ74は、投光部74aと受光部74bとを有する透過式のフォトセンサとして構成されている。チェース部検出センサ74が検出した検出信号は、図3に示すように、ユニット制御部50に入力される。
【0077】
なお、上記したように、チェース部検出センサ74は、可動部材72と一体的に形成された昇降部材73に取り付けられている。従って、昇降部材駆動部75は、可動部材72及びチェース部検出センサ74の共通の駆動源として機能する。この結果、構成の簡素化が実現されている。
【0078】
この構成により、チェース部検出センサ74の検出信号に基づいてユニット制御部50が昇降部材駆動部75を駆動させて、昇降部材73を鉛直方向に移動させることで、チェース部21bから所定の距離に可動部材72を位置させることができる。そして、給糸ボビン21が解舒されてチェース部21bの位置が下降するに従って昇降部材駆動部75を駆動して昇降部材73を下降させることで、チェース部21bと可動部材72との距離を常に一定にすることができる。これにより、給糸ボビン21が解舒される際にチェース部21bから糸が解離する位置で発生するバルーンを適切に規制することができ、給糸ボビン21から解舒された糸の張力を一定に保ちながら巻取作業を行うことができる。
【0079】
なお、上記のような解舒補助装置12の機能を適切に発揮させるためには、給糸ボビン21(詳細には給糸ボビン21の中心軸線)を仮想線L1上の位置(目標位置、解舒基準位置)に合わせる必要がある。なお、この給糸ボビン21の位置を調整する制御等の詳細については後述する。
【0080】
解舒補助装置12の背面側には、糸の縮れの発生を防止するための糸縮れ発生防止装置11が配置されている。ここで糸縮れとは、糸に生じる不具合の1つであり、糸が縮れ、螺旋状に絡み合っている状態である。前記糸縮れ発生防止装置11は、ブラシアーム11aと、ブラシアーム11aの先端に形成されたブラシ部11bと、を備えている。このブラシアーム11aは回動可能に構成されており、回動させることで、ブラシ部11bを給糸ボビン21の上端部分に接触させることができる。これにより、後述の糸継作業時等において糸20に適切なテンションを付与し、糸縮れの発生を防止することができる。
【0081】
テンション付与装置13は、走行する糸20に所定のテンションを付与するものである。本実施形態のテンション付与装置13は、固定の櫛歯に対して可動の櫛歯を配置するゲート式に構成されている。可動側の櫛歯は、櫛歯同士が噛合せ状態又は解放状態になるように、ロータリ式のソレノイドにより回動可能に構成されている。
【0082】
また、解舒補助装置12とテンション付与装置13との間には下糸検出センサ31が配置されている。下糸検出センサ31は、配置される位置において糸が走行しているか否かを検出可能に構成されている。
【0083】
クリアラ15は、糸20の糸太さを監視することにより、スラブ等の糸欠陥(糸欠点)を検出するように構成されている。また、クリアラ15よりも糸道の上流側(下方)には、当該クリアラ15が糸欠陥を検出したときに直ちに糸20を切断するためのカッタ39が配置されている。
【0084】
糸継装置14は、クリアラ15が糸欠陥を検出してカッタ39で糸を切断する糸切断時、給糸ボビン21からの解舒中の糸の糸切れ時、又は給糸ボビン21の交換時等に、給糸ボビン21側の糸である下糸と、パッケージ29側の糸である上糸とを糸継ぎするものである。このような糸継装置14としては、圧縮空気等の流体を用いるものや、機械式のものを使用することができる。
【0085】
糸継装置14の下側及び上側には、給糸ボビン21側の下糸を捕捉して案内する下糸案内パイプ25と、パッケージ29側の上糸を捕捉して案内する上糸案内パイプ26と、が設けられている。下糸案内パイプ25の先端には吸引口32が形成され、上糸案内パイプ26の先端にはサクションマウス34が備えられている。下糸案内パイプ25及び上糸案内パイプ26には適宜の負圧源がそれぞれ接続されており、前記吸引口32及びサクションマウス34に吸引力を生じさせることができる。
【0086】
この構成で、給糸ボビン21の交換時等においては、下糸案内パイプ25の吸引口32が下方へ回動して下糸を吸引捕捉し、その後、軸33を中心にして上方へ回動することで糸継装置14まで下糸を案内する。また、これとほぼ同時に、ワインダユニット4は、図2の位置から軸35を中心として上糸案内パイプ26を上方へ回動させるとともにパッケージ29を逆回転させ、当該パッケージ29から巻き出される上糸をサクションマウス34によって捕捉する。続いて、ワインダユニット4は、上糸案内パイプ26を軸35を中心として下方へ回動させることで、糸継装置14に上糸を案内するようになっている。そして、糸継装置14において、下糸と上糸の糸継が行われる。
【0087】
また、ユニットフレーム5には、図2及び図3に示すように報知ランプ56が配置されている。この報知ランプ56は、図3に示すようにユニット制御部50と接続されており、巻取ユニット本体6の各部に発生した異常をオペレータに知らせることができる。なお、この報知ランプ56は、光を用いてオペレータに異常の発生を知らせる構成であるが、この構成に代えて、ブザー等によって報知する構成にしても良い。
【0088】
以上の構成で、自動ワインダ1の各ワインダユニット4は、給糸ボビン21から解舒された糸20を巻取ボビン22に巻き取って所定長のパッケージ29を形成することができる。
【0089】
次に、図5から図9までを参照して、ボビンセット部10について詳細に説明する。図5は、ボビンセット部10の構成を示す斜視図である。図6は、動力伝達部120が備えるカムの形状を示す側面図である。図7は、主芯部材80が受取姿勢にあるときの動力伝達部120の構成を示す側面図である。図8は、主芯部材80が解舒姿勢にあるときの動力伝達部120の構成を示す側面図である。図9は、主芯部材80が排出姿勢にあるときの動力伝達部120の構成を示す側面図である。
【0090】
前述のように、ボビンセット部10は、供給された給糸ボビン21を保持するためのボビン保持部110と、糸の解舒が完了した給糸ボビン21(芯管21a)を排出するための跳ね板40と、ボビン保持部110及び跳ね板40を動作させる駆動部200と、を備えている。また、駆動部200は、ステッピングモータ100と、このステッピングモータ100の動力を跳ね板40及びボビン保持部110に伝達する動力伝達部120と、で構成されている。
【0091】
ボビン保持部110は、図7から図9までに示すように揺動して、給糸ボビン21の解舒側端部の位置を変更させることができる。また、ボビン保持部110は、主芯部材(規定部材)80と、補助芯部材(保持部材)90と、で構成されている。この主芯部材80及び補助芯部材90は、図7に示すように、給糸ボビン21が供給されたときには閉じた状態となっており、芯管21aの内部に入り込むようになっている。そして、この状態で補助芯部材90が主芯部材80から離れる方向に回動することで、給糸ボビン21を内側から保持することができる(図8を参照)。また、このボビン保持部110による給糸ボビン21の保持が解除された状態で、跳ね板40を回動させることにより、芯管21aの底部を押し出して主芯部材80及び補助芯部材90から抜き、給糸ボビン21を排出することができる(図9を参照)。
【0092】
次に、動力伝達部120について説明する。この動力伝達部120は、ボビン保持部110を構成する主芯部材80及び補助芯部材90と、跳ね板40と、を互いに連動させながら駆動するものである。
【0093】
最初に、主芯部材80を駆動するための構成を説明する。動力伝達部120は、主芯部材80を揺動させるための構成として、主芯部材駆動カム81と、ベアリング82と、揺動アーム83と、位置決めアーム84aと、接触アーム84bと、伝達軸85と、押当てバネ86と、を備えている。また、動力伝達部120は、ステッピングモータ100の動力を主芯部材駆動カム81等に伝えるための構成として、伝達ベルト103と、プーリ104と、カム軸105と、を備えている。
【0094】
プーリ104はカム軸105に固定されており、このプーリ104は、ステッピングモータ100の出力軸に対し伝達ベルト103を介して連結されている。伝達ベルト103は図5では簡略的に描かれているが、歯付きのタイミングベルトとして構成されており、ステッピングモータ100の出力軸の回転を滑りなくカム軸105に伝達することができる。
【0095】
前記プーリ104には原点センサ101(図5には示していない)が取り付けられており、この原点センサ101は、プーリ104ないしカム軸105が所定の回転位相であるときに検知信号を送るように構成されている。そして、この原点センサ101が検知信号を送信するときの回転状態がステッピングモータ100の原点とされており、ステッピングモータ100の回転制御はこの原点を基準として行われるようになっている。
【0096】
主芯部材駆動カム81は前記カム軸105に固定されており、当該カム軸105と一体的に回転する。また、主芯部材駆動カム81よりも背面側には揺動アーム83が配置されており、この揺動アーム83の中途部には回転可能なベアリング82が取り付けられている。このベアリング82は、主芯部材駆動カム81の外周面に接触しながら適宜回転できるように構成されている。
【0097】
揺動アーム83の先端部は、動力伝達部120の適宜の位置に揺動可能に支持された位置決めアーム84aの下端部に、棒状のリンクを介して連結されている。位置決めアーム84aの上端部には、回転可能な回転部材87が支持されている。
【0098】
位置決めアーム84aよりも正面側には、接触アーム84bが配置されている。この接触アーム84bの先端は、前記位置決めアーム84aに取り付けられた前記回転部材87に対して接触可能に構成されている。接触アーム84bの基部には伝達軸85の一端が固定されており、伝達軸85の他端は主芯部材80に固定されている。従って、主芯部材80は接触アーム84bに連動して一体的に回転する。また、前記接触アーム84bには捩りコイルバネ状の押当てバネ86が取り付けられており、接触アーム84bを図5の矢印方向に付勢している。
【0099】
以上の構成で、接触アーム84bには押当てバネ86の弾性力が作用するため、その突出部が回転部材87に接触し、位置決めアーム84aを押す。更に、位置決めアーム84aの下端部がリンクを介して揺動アーム83を引っ張るので、揺動アーム83のベアリング82が主芯部材駆動カム81に押し当てられる。このように、押当てバネ86は、主芯部材駆動カム81とベアリング82とを接触させるとともに、接触アーム84bを位置決めアーム84aに接触させるためのバネ力を発生させている。
【0100】
この状態で主芯部材駆動カム81が回転し、主芯部材駆動カム81の周縁部(後述の膨らみ部)がベアリング82を押すと、揺動アーム83がカム軸105から離れる方向に回動し、当該揺動アーム83の先端がリンクを介して位置決めアーム84aの下端部を引っ張る。その結果、位置決めアーム84aの上端の回転部材87が接触アーム84bを押すので、主芯部材80を接触アーム84bとともに正面側へ回動させることができる(図8を参照)。
【0101】
次に、補助芯部材90を駆動するための構成を説明する。動力伝達部120は、ステッピングモータ100の動力を補助芯部材90に伝えるための構成として、補助芯部材駆動カム91と、ベアリング92と、揺動アーム93と、伝達アーム94と、伝達軸95と、保持バネ96と、を備えている。
【0102】
補助芯部材駆動カム91は、主芯部材駆動カム81と同様に、前記カム軸105に固定されている。補助芯部材駆動カム91よりも背面側には揺動アーム93が配置されており、この揺動アーム93の中途部には回転可能なベアリング92が取り付けられている。このベアリング92は、補助芯部材駆動カム91の外周面に接触しながら適宜回転できるように構成されている。
【0103】
揺動アーム93の先端部は、動力伝達部120の適宜の位置に揺動可能に支持された伝達アーム94の下端部に、棒状のリンクを介して連結されている。伝達アーム94の基部には伝達軸95の一端が取り付けられており、伝達軸95の他端は補助芯部材90に固定されている。従って、補助芯部材90は伝達アーム94に連動して一体的に回転する。また、前記伝達アーム94には捩りコイルバネ状の保持バネ96が取り付けられており、伝達アーム94を図5の点線矢印方向に付勢している。
【0104】
以上の構成で、保持バネ96は、補助芯部材90を背面側に回動させる方向(主芯部材80から離れる方向)のバネ力を、伝達アーム94及び伝達軸95を介して当該補助芯部材90に作用させている。同時に、保持バネ96の弾性力が作用する伝達アーム94の先端部が、リンクを介して揺動アーム93を引っ張るので、揺動アーム93のベアリング92が補助芯部材駆動カム91に押し当てられる。このように、保持バネ96は、補助芯部材駆動カム91とベアリング92とを接触させるためのバネ力を発生させている。
【0105】
この状態で補助芯部材駆動カム91が回転し、補助芯部材駆動カム91の周縁部(後述の膨らみ部)がベアリング92を押すと、揺動アーム93がカム軸105から離れる方向に回動し、当該揺動アーム93の先端がリンクを介して伝達アーム94の下端部を引っ張る。その結果、補助芯部材90を正面側(主芯部材80に近づく方向)に回動させることができる。
【0106】
なお、所定の角度を超えて補助芯部材90を正面側に回動させた場合、当該補助芯部材90が主芯部材80の図略の部分と接触し、それ以後は補助芯部材90が主芯部材80を押すようにして一体的に回動するように構成されている(この場合、接触アーム84bの先端部と回転部材87とが適宜離間することになる)。即ち、補助芯部材90が所定の角度を超えて正面側に回動している状態(例えば図7の状態)では、主芯部材80は主芯部材駆動カム81ではなく補助芯部材駆動カム91によって駆動されることになる。
【0107】
次に、跳ね板40を駆動するための構成を説明する。動力伝達部120は、ステッピングモータ100の動力を跳ね板40に伝えるための構成として、跳ね板駆動カム41と、ベアリング42と、揺動アーム43と、伝動アーム44と、伝達軸45と、戻しバネ46と、を備えている。
【0108】
跳ね板駆動カム41は、補助芯部材駆動カム91及び主芯部材駆動カム81と同様に、前記カム軸105に固定されている。跳ね板駆動カム41よりも背面側には揺動アーム43が配置されており、この揺動アーム43の中途部には回転可能なベアリング42が取り付けられている。このベアリング42は、跳ね板駆動カム41の外周面に接触しながら適宜回転できるように構成されている。
【0109】
揺動アーム43の先端部は、動力伝達部120の適宜の位置に揺動可能に支持された伝動アーム44の下端部に、棒状のリンクを介して連結されている。伝動アーム44の基部には伝達軸45の一端が固定されており、伝達軸45の他端は跳ね板40に固定されている。従って、跳ね板40は伝動アーム44に連動して一体的に回転する。また、前記伝動アーム44には捩りコイルバネ状の戻しバネ46が取り付けられており、伝動アーム44を図5の矢印方向に付勢している。
【0110】
以上の構成で、戻しバネ46の弾性力が作用する伝動アーム44の先端部が、リンクを介して揺動アーム43を引っ張るので、揺動アーム43のベアリング42が跳ね板駆動カム41に押し当てられる。このように、戻しバネ46は、跳ね板駆動カム41とベアリング42とを接触させるためのバネ力を発生させている。
【0111】
この状態で跳ね板駆動カム41が回転し、跳ね板駆動カム41の周縁部(後述の膨らみ部)がベアリング42を押すと、揺動アーム43がカム軸105から離れる方向に移動し、当該揺動アーム43の先端がリンクを介して伝動アーム44の下端部を引っ張る。その結果、跳ね板40を正面側へ跳ね上げることができる(図9を参照)。
【0112】
次に、ワインダユニット4が、給糸ボビン21の受取り、給糸ボビン21の糸20が解舒される所定の位置での保持、及び排出を行う構成について説明する。前述のように、本実施形態において跳ね板駆動カム41、主芯部材駆動カム81及び補助芯部材駆動カム91は、共通のカム軸105に固定された同軸カム機構130として構成されており、3つのカム41,81,91が一体的に駆動されるようになっている。また、図6に示すように、3つのカム41,81,91にはそれぞれ膨らみ部が形成されており、この膨らみによって跳ね板40、主芯部材80、補助芯部材90の姿勢を変更させることができる。
【0113】
補助芯部材駆動カム91の膨らみ部(保持カム動作領域)及び跳ね板駆動カム41の膨らみ部(排出カム動作領域)は緩やかに形成されているが、主芯部材駆動カム81の膨らみ部(規定カム動作領域)はやや鋭く形成されている。また、補助芯部材駆動カム91の膨らみ部と跳ね板駆動カム41の膨らみ部とはほぼ同じ位相で形成される一方、それらとほぼ180°異なる位相において主芯部材駆動カム81の膨らみ部が形成されている。
【0114】
以上の構成において、給糸ボビン21の受取りを行うときは、ステッピングモータ100を適宜駆動して3つのカム41,81,91を回転させ、揺動アーム93が有するベアリング92が、補助芯部材駆動カム91において膨らみ部のピーク部分を若干通り過ぎた箇所に接触した状態とし、この状態でカム41,81,91の回転を停止させる。これにより、図7に示すように、補助芯部材90は、直立状態から正面側に若干倒れた姿勢となる。また、このとき、揺動アーム43が有するベアリング42は、跳ね板駆動カム41において膨らみ部を通り過ぎた部分に接触している。従って、跳ね板40は図7に示すように水平な姿勢となっている。
【0115】
この状態においては、補助芯部材90が所定の角度を超えて回動しているため、前述のように主芯部材80も補助芯部材90に押される形で正面側に回動しており、その姿勢は、補助芯部材90と同様に、直立状態から正面側に若干倒れている。そして、この状態で給糸ボビン21がマガジン保持部61から供給されると、ボビン保持部110(主芯部材80及び補助芯部材90)が芯管21aの内部に入り込む。なお、本明細書において、給糸ボビン21の受取りを行うときの主芯部材80の姿勢(図7の姿勢)を受取姿勢と称する。
【0116】
そして、受け取った給糸ボビン21について糸の解舒を行うときは、ステッピングモータ100を再び駆動し、カム軸105を図7の矢印で示す方向に回転させる。これにより、揺動アーム93が有するベアリング92が、補助芯部材駆動カム91において膨らみ部を完全に通り過ぎ、非膨らみ部に接触するようになる。また、揺動アーム83が有するベアリング82は、主芯部材駆動カム81において膨らみ部に接触するようになる。
【0117】
これに伴って、図8に示すように、補助芯部材90は背面側へ若干倒れるように回動する。また、前述したように補助芯部材90によって正面側に押されていた主芯部材80も、補助芯部材90の背面側への回動に伴って同様に背面側に回動していくが、やがて接触アーム84bが位置決めアーム84aの回転部材87に接触することで主芯部材80の回動が止められ、以後は補助芯部材90のみが、保持バネ96のバネ力によって背面側へ回動することになる。即ち、補助芯部材90が主芯部材80から相対的に離れるように変位するため、給糸ボビン21の芯管21aをボビン保持部110によって内側から保持することができる。
【0118】
このときの主芯部材80の回動が止められる姿勢は、位置決めアーム84aが有する回転部材87の位置によって定まる。また、この位置決めアーム84aはリンクを介して揺動アーム83に連結されているので、主芯部材80の姿勢は、前記揺動アーム83のベアリング82が前記主芯部材駆動カム81の膨らみ部におけるどの部分に接触しているか(膨らみ部の立ち上がり部分に接触しているのか、ピーク部分に接触しているのか等)によって変更することができる。即ち、主芯部材駆動カム81の回転位相を変更することで、主芯部材80の姿勢を調整することができるのである。なお、このように主芯部材80の姿勢が変更される場合でも、補助芯部材90は保持バネ96の弾性力によって、給糸ボビン21の保持状態を問題なく維持することができる。
【0119】
なお、本明細書において、給糸ボビン21の解舒を行うときの主芯部材80の姿勢を解舒姿勢と称する。また、前記原点センサ101は、図8のように主芯部材80がほぼ直立した姿勢となっている状態でのプーリ104の回転位相を検出することとし、この状態がステッピングモータ100の回転制御における原点となるように設定されている。なお、主芯部材80の解舒姿勢は給糸ボビン21の種類等によって変化するものであるので、原点センサ101が検出する原点と前記解舒姿勢とは必ずしも一致しない。
【0120】
次に、給糸ボビン21の排出を行うときは、ステッピングモータ100を適宜駆動して3つのカム41,81,91を回転させる。これにより、揺動アーム43,93が有するベアリング42,92が、跳ね板駆動カム41及び補助芯部材駆動カム91の膨らみ部に接触する。従って、図9に示すように、跳ね板40は正面側に大きく回動する。また、これと連動して、補助芯部材90が正面側に回動することで給糸ボビン21の保持が解除されるとともに、当該補助芯部材90が主芯部材80を押しながら正面側に大きく回動する。これにより、跳ね板40が給糸ボビン21の芯管21aの下端を押し上げて、当該給糸ボビン21を排出することができる。なお、本明細書において、給糸ボビン21の排出を行うときの主芯部材80の姿勢を排出姿勢と称する。
【0121】
以上のように、本実施形態では、単一の駆動源であるステッピングモータ100を駆動するだけで、給糸ボビン21の受取り、解舒姿勢での給糸ボビン21の保持(及び当該解舒姿勢の調整)、及び給糸ボビン21の排出を行うことができる。
【0122】
次に、図10から図14までを参照して、ボビンセット部10に給糸ボビン21が供給されてから糸20の巻取りを開始するまでの流れ、特に、給糸ボビン21の位置合わせ動作について説明する。図10は、給糸ボビンが供給されたときにワインダユニット4が行う処理を示すフローチャートである。図11から図14までは、給糸ボビン21の位置合わせ動作を説明する側面図である。なお、このフローチャート及び以下で示すフローチャートで示す処理は一例であって、処理内容を変更したり、処理順序を前後させたりした場合でも本発明の効果が得られることがある。
【0123】
ステッピングモータ制御部102は、ステッピングモータ100を駆動させて、主芯部材80を受取姿勢まで予め移動させておく。ユニット制御部50は、糸20の巻取りを開始する旨の指示を受けると、ボビン供給装置60に給糸ボビン21の供給を行わせる(S101)。ボビン供給装置60から供給された給糸ボビン21は、図11(a)に示すように、ボビン保持部110(詳細には受取姿勢で待機していた主芯部材80及び補助芯部材90)によって受け取られる。そして、ステッピングモータ制御部102は、ボビン保持部110を背面側に回動させる(S102)。
【0124】
本実施形態のワインダユニット4では、ボビン保持部110を背面側に回動させるときにおいて、給糸ボビン21の芯管21aの軸方向の長さ(以下、単に給糸ボビン21の長さと称する)に応じて、異なる処理を行っている。本実施形態では、ユニット制御部50が、チェース部検出センサ74の検出結果に基づいて、給糸ボビン21が所定の長さよりも長いか否かを判断している(S103)。そのため、本実施形態におけるチェース部検出センサ74は長さ情報取得部として機能している。ここで、所定の長さとは、給糸ボビン21がチェース部検出センサ74によって検出可能な最低限の芯管21aの長さに対応する。
【0125】
具体的には、ボビン保持部110を背面側に回動するときに、チェース部検出センサ74が給糸ボビン21を検出した場合は、給糸ボビン21がチェース部検出センサ74の検出範囲を横切った(図11(a)を参照)ことになる。従って、給糸ボビン21の長さが所定の長さ以上であると判断することができる。一方、ボビン保持部110を背面側に回動するときに、チェース部検出センサ74が給糸ボビン21を検出しなかった場合は、給糸ボビン21がチェース部検出センサ74の検出範囲の下方を通過した(図13(a)の鎖線を参照)ことになる。この結果、給糸ボビン21の長さが所定の長さ未満であると判断することができる。
【0126】
初めに、S103の判断で、給糸ボビン21の長さが所定の長さ以上であった場合に行われる処理について説明する。この場合、ステッピングモータ制御部102は、ボビン保持部110を背面側に回動し、給糸ボビン21を一度直立させる(S105)。本実施形態では、S105で、前記の原点センサ101が原点を検出するまでステッピングモータ100を駆動することで、給糸ボビン21を直立させることとしている。なお、この段階では、給糸ボビン21が概ね直立姿勢となっていれば十分であるので、給糸ボビン21の厳密な姿勢制御は行われない。
【0127】
また、ユニット制御部50は、糸縮れ発生防止装置11のブラシ部11bを給糸ボビン21の上端部分に接触させて(図11(b)を参照)、糸20に適切なテンションを付与し、糸縮れの発生を防止する(S105)。その後、ステッピングモータ制御部102は、給糸ボビン21を再び正面側へ若干倒すように、ボビン保持部110を回動させる(S106)。そして、ユニット制御部50は、チェース部検出センサ74によって給糸ボビン21が検出されたときにボビン保持部110の回動を停止させる(S107,図12(a))。
【0128】
また、ユニット制御部50が備える記憶部52は、チェース部検出センサ74によって給糸ボビン21が検出され始めた位置から何パルス分だけステッピングモータ100を駆動させれば給糸ボビン21を解舒基準位置に合わせられるかを示す情報(以下、調整距離と称する)を記憶している。本実施形態では、チェース部検出センサ74によって給糸ボビン21が検出され始めた位置を基準として、給糸ボビン21を上記の調整距離だけ移動させる(具体的には逆方向に戻す)ことで、給糸ボビン21を解舒基準位置に合わせている。そのため、チェース部検出センサ74によって給糸ボビン21が検出され始めた位置を、本明細書で「始動基準位置」と称することがある。このように、チェース部検出センサ74は、給糸ボビン21を解舒基準位置に合わせるために当該給糸ボビン21を検出する位置検出部としても機能する。
【0129】
ここで、記憶部52が記憶している調整距離は、使用する給糸ボビン21の種類と対応付けられている。また、記憶部52は、前記調整距離を、給糸ボビン21の長さが所定の長さ以上である場合と、そうでない場合と、についてそれぞれ記憶している。このため、ユニット制御部50は、以下の処理を行うことにより、今回採用すべき調整距離を決定する。即ち、ユニット制御部50は、オペレータによって予め入力されている、使用する給糸ボビン21の種類に基づいて、上記した2つの場合の調整距離を読み出す。そして、2つの場合のうち、給糸ボビン21の長さが所定の長さ以上である場合の調整距離を、今回用いる調整距離として決定する。
【0130】
そして、ユニット制御部50は、決定した調整距離に基づいて、ステッピングモータ100に所定のパルス数を出力し、ボビン保持部110を背面側に回動させる(S108,図12(b))。
【0131】
これにより、給糸ボビン21の中心軸と、可動部材72の中心軸(仮想線L1)と、を合わせることができる(給糸ボビン21を解舒基準位置に合わせることができる)。従って、給糸ボビン21と解舒補助装置12との間に適切な形状のバルーンを形成することができるので、給糸ボビン21から解舒される糸20のテンションを適正に保ちながら糸20の巻取りを行うことができる。
【0132】
次に、S103の判断で、給糸ボビン21の長さが所定の長さ未満であった場合に行われる処理について説明する。この場合、ユニット制御部50は、給糸ボビン21を直立させる前又は後において、昇降部材駆動部75を駆動して、昇降部材73を所定量(例えば10mm)だけ下降させる(S104)。これにより、可動部材72及びチェース部検出センサ74は、昇降部材73とともに所定量だけ下降する(図13(b)の鎖線を参照)。なお、このときに昇降部材73を下降させる距離については、オペレータがユニット入力部18又は機台入力部8等を操作することで、値の設定及び変更を行うことができる。
【0133】
そして、ユニット制御部50は、上記と同様に、給糸ボビン21を一度直立させ(S105)、糸縮れ発生防止装置11のブラシ部11bを給糸ボビン21の上端部分に接触させる。その後、ステッピングモータ制御部102は、給糸ボビン21を再び正面側へ若干倒すように、ボビン保持部110を回動させる(S106)。なお、昇降部材73を下降する制御は、ボビン保持部110を正面側に回動させる前までに完了していれば良い。また、昇降部材73を下降する制御を開始するタイミングは、給糸ボビン21を直立させる前であっても良いし、給糸ボビン21を直立させた後であっても良い。なお、給糸ボビン21を直立させた後に、昇降部材73を下降する制御を開始する場合は、昇降部材73の下降が完了するまで給糸ボビン21を静止させておく必要がある。
【0134】
昇降部材73及びチェース部検出センサ74を下降させることにより、給糸ボビン21の長さが所定の長さ未満の場合においても、チェース部検出センサ74が給糸ボビン21を検出することが可能となる。従って、上記と同様にユニット制御部50は、チェース部検出センサ74によって給糸ボビン21が検出されたときにボビン保持部110の回動を停止させる(S107,図14(a))。
【0135】
次に、ユニット制御部50は、今回採用すべき調整距離を決定する。具体的には、ユニット制御部50は、予め設定されている給糸ボビン21の種類に基づいて、上記の2つの場合の調整距離を読み出すとともに、この2つの中から、給糸ボビン21の長さが所定の長さ未満である場合の調整距離を、今回用いる調整距離として決定する。そして、ユニット制御部50は、決定した調整距離に基づいて、ステッピングモータ100に所定のパルス数を出力し、ボビン保持部110を背面側に回動させる(S108,図14(b))。
【0136】
これにより、供給される給糸ボビン21の芯管21aが短いために、位置検出部としてのチェース部検出センサ74が給糸ボビン21を検出できなかった場合でも、当該チェース部検出センサ74を下降させることで、短い芯管21aに糸が巻かれた給糸ボビン21を検出することができるようになる。従って、給糸ボビン21を問題なく解舒基準位置に合わせることができる。
【0137】
なお、使用する給糸ボビン21の種類が変更された場合は、ユニット入力部18に適宜の入力を行うことにより、適切な調整距離をユニット制御部50の記憶部52に設定することができる。また、この入力は、ユニット入力部18に行うことに代えて、機台入力部8に行うこともできる。この場合、機台制御装置7は、機台入力部8に入力された内容を各ワインダユニット4に送信する。これにより、各ワインダユニット4のユニット制御部50に対して、適切な調整距離を一括して設定することができる。
【0138】
以上に示したように、本実施形態のワインダユニット4は、ボビン保持部110と、長さ情報取得部及び位置検出部として機能するチェース部検出センサ74と、記憶部52と、ユニット制御部50と、を備える。ボビン保持部110は、給糸ボビン21を保持する。チェース部検出センサ74は、給糸ボビン21の軸方向の長さに関する情報である長さ情報を取得する。チェース部検出センサ74は、ボビン保持部110に保持された給糸ボビン21の位置を検出可能である。記憶部52は、糸20の巻取り時に給糸ボビン21を保持すべき位置である解舒基準位置の情報と、チェース部検出センサ74が設けられている位置の情報と、を記憶する。ユニット制御部50は、長さ情報に基づいて、ボビン保持部110に保持された給糸ボビン21をチェース部検出センサ74が検出できるように当該チェース部検出センサ74を移動させる制御と、チェース部検出センサ74の検出結果及び記憶部52の記憶内容に基づいて、給糸ボビン21を目標位置に合わせるように当該給糸ボビン21を移動させる制御と、を行う。
【0139】
これにより、チェース部検出センサ74が取得した長さ情報を利用することで、給糸ボビン21の長さに応じた位置に当該チェース部検出センサ74を移動させることができる。従って、給糸ボビン21の長さにバラツキがある場合においても、チェース部検出センサ74が給糸ボビン21の検出に失敗しないので、給糸ボビン21を目標位置に合わせる動作(位置合わせ動作)を確実に行うことができる。
【0140】
また、本実施形態では、チェース部検出センサ74が長さ情報取得部と位置検出部との両方を兼ねている。このため、センサの個数を減らすことができ、構成を簡素化してコストを削減することができる。
【0141】
次に、図15から図19までを参照して、上記実施形態の第1変形例を説明する。図15は、第1変形例において、給糸ボビン21が供給されたときにワインダユニット4が行う処理を示すフローチャートである。図16及び図17は、第1変形例における給糸ボビン21の位置合わせ動作を説明する側面図である。図18は、長さ計測センサとしてエリアセンサ58を用いた例を示す側面図である。図19は、ボビン供給装置60に配置される長さ計測センサの例を示す図である。
【0142】
なお、本変形例においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。また、本変形例においては、給糸ボビン21の周囲を見易くするために、糸縮れ発生防止装置11の図示を省略している。
【0143】
即ち、上記した実施形態の構成(図11)では、長さ情報取得部としてチェース部検出センサ74が用いられている。一方で、本変形例は、長さ情報取得部として、チェース部検出センサ74とは別のセンサを用いる構成となっている。具体的には、本変形例では、上記実施形態の構成に加えて、図16に示すように長さ計測センサ57を備える構成となっている。
【0144】
長さ計測センサ57は、ボビンセット部10がボビンを受け取ってから、給糸ボビン21を旋回させて直立姿勢とするまでの間に、当該給糸ボビン21の長さを計測可能となっている。具体的には、長さ計測センサ57は、チェース部検出センサ74と同等のセンサ素子を4つ備えている。なお、それぞれのセンサ素子は、チェース部検出センサ74と同様に、投光部と受光部とから構成されている。また、この4つのセンサ素子が並べられる方向は、長さ計測センサ57を通過するときの当該給糸ボビン21の軸方向と等しくなっている(図16(a)の鎖線を参照)。本実施形態においては、2つのセンサ素子に給糸ボビン21の芯管21aが検出される状態で、チェース部検出センサ74が給糸ボビン21の芯管21aを最適に検出できるように昇降部材73の初期位置を設定している。
【0145】
この構成で、給糸ボビン21が長さ計測センサ57を通過するときに給糸ボビン21を検出したセンサ素子の個数が多いほど、給糸ボビン21の長さが長いということができる。従って、本変形例では、当該給糸ボビン21を検出したセンサ素子の個数に基づいて、給糸ボビン21の長さをある程度把握することができる。このように、長さ計測センサ57は、給糸ボビン21の長さを、2段階(所定以上か否か)ではなく3段階以上の多段階で表現できるので、給糸ボビン21の長さをより具体的に計測することができる。以下、長さ情報取得部として長さ計測センサ57を用いたときにおける、給糸ボビン21の位置合わせ動作について説明する。
【0146】
ユニット制御部50は、糸20の巻取りを開始する旨の指示を受けると、ボビン供給装置60に給糸ボビン21の供給を行わせる(図15のS201)。ボビン供給装置60から供給された給糸ボビン21は、図16(a)に示すように、ボビン保持部110によって受け取られる。次に、ステッピングモータ制御部102は、ボビン保持部110を背面側に回動させる(S202)。長さ計測センサ57は、ボビン保持部110を背面側に回動する途中において、給糸ボビン21の長さを計測する(S203、図16(a)の鎖線を参照)。そして、長さ計測センサ57は、計測した給糸ボビン21の長さをユニット制御部50に送信する。
【0147】
ユニット制御部50は、長さ計測センサ57から受信した給糸ボビン21の長さに基づいて、解舒補助装置12の位置を調整する(S204)。なお、本変形例における解舒補助装置12は、固定部材71に代えて、第2可動部材(第2補助部材)171を備えている。第2可動部材171は、図略の駆動源から動力が供給されることにより、鉛直方向に移動可能となっている。そのため、第2可動部材171は、昇降部材73と独立して移動可能である。
【0148】
長さ計測センサ57が測定した給糸ボビン21の長さに基づいて行う解舒補助装置12の位置の調整には、様々なパターンが考えられる。即ち、適切な形状のバルーンを形成するためには、給糸ボビン21と可動部材72との位置関係だけでなく、給糸ボビン21(又は可動部材72)と第2可動部材171との位置関係も重要である。特に、昇降部材73を大きく移動させるときにおいては、同じ向きに第2可動部材171を移動させることが好ましい。
【0149】
図16では、比較的長い芯管21aに糸が巻かれた給糸ボビン21がワインダユニット4に供給された例が示されている。この例では、仮に解舒補助装置12を移動させないとすると、図16(b)に示すように、チェース部検出センサ74の高さが、芯管21aとチェース部21bとの境界付近の高さとなってしまう。この場合、チェース部検出センサ74が芯管21aでなく糸層を検出してしまうおそれがあるので、位置合わせ動作を精度良く行うことが困難になる。これを避けるために、ユニット制御部50は、長さ計測センサ57を構成する4個のセンサ素子のうち3個以上が給糸ボビン21を検出するような場合は、昇降部材73を上昇させる(図16(b)の鎖線を参照)。これにより、チェース部検出センサ74の高さが芯管21aを検出可能な高さとなるため、位置合わせ動作を適切に行うことができる。
【0150】
また、本変形例では、今回の例のように比較的長い芯管21aに糸が巻かれた給糸ボビン21が供給されている場合、ユニット制御部50は、昇降部材73だけでなく、第2可動部材171も上昇させている(図16(b)の鎖線を参照)。このように、可動部材72だけでなく第2可動部材171についても給糸ボビン21の長さに応じた適切な位置に移動させることで、給糸ボビン21から解舒される糸のテンションをより適正に保ちながら糸20の巻取りを行うことができる。
【0151】
ユニット制御部50は、解舒補助装置12の位置を調整した後に、上記と同様に、給糸ボビン21を一度直立させる(S205)。なお、上述のとおり本変形例の図では糸縮れ発生防止装置11を省略しているが、このときに糸縮れ発生防止装置11のブラシ部11bが給糸ボビン21の上端部分に接触させられる。その後、ステッピングモータ制御部102は、給糸ボビン21を再び正面側へ若干倒すように、ボビン保持部110を回動させる(S206)。そして、ユニット制御部50は、チェース部検出センサ74によって給糸ボビン21が検出されたときにボビン保持部110の回動を停止させる(S207,図17(a))。
【0152】
ここで、上記と同様に記憶部52の記憶内容に基づいて調整距離を求めるが、本変形例では、給糸ボビン21の長さを3段階以上の多段階で取得できるようになっているので、給糸ボビン21の種類毎に各段階についての調整距離を記憶部52で(例えばテーブル形式で)記憶させている。また、記憶内容の肥大化を避けるため、ユニット制御部50は、給糸ボビン21の種類と、チェース部検出センサ74の高さと、解舒基準位置と、に基づき、記憶部52に記憶された所定の計算式に従って調整距離を求めるようにしても良い。そして、ユニット制御部50は、計算した調整距離に基づいて、ステッピングモータ100に所定のパルス数を出力して、ボビン保持部110を背面側に回動させる(S208,図17(b))。
【0153】
このように、本変形例では、ある程度具体的に検出した給糸ボビン21の長さに応じて、位置検出部としてのチェース部検出センサ74を移動させている。そのため、給糸ボビン21の位置合わせ動作をより確実に行うことができる。また、上記実施形態(図11)では、想定より長い芯管21aに糸が巻かれた給糸ボビン21が供給されたときに位置合わせを適切に行うことができない場合があるが、本変形例では、長い芯管21aに糸が巻かれた給糸ボビン21及び短い芯管21aに糸が巻かれた給糸ボビン21の両方に対応することができる。
【0154】
なお、長さ計測センサ57に代えて、図18に示すようなエリアセンサ58を用いても良い。エリアセンサ58は、長さ計測センサ57と同様に複数のセンサ素子から構成されているが、長さ計測センサ57のように独立して動作可能なセンサ素子が組み合わせて構成されている訳ではなく、初めから所定の検出範囲を検出するセンサとして一体的に構成されている。このエリアセンサ58においては、センサ素子間の間隔が極めて短いため、給糸ボビン21の長さを具体的な数値として取得することができる。従って、位置合わせ動作をより確実に行うことができる。また、単一組のセンサ素子で構成され、受光量の変化に応じて対象物の占めるエリアを検出するエリアセンサを用いることもできる。
【0155】
また、図16及び図18の構成においては、ボビンセット部10がボビンを受け取ってから、給糸ボビン21が直立するまでの間に、当該給糸ボビン21の長さが計測される。これにより、給糸ボビン21の長さだけでなく、給糸ボビン21の供給ミス及び受取りミス等を検出することができる。即ち、ユニット制御部50が給糸ボビン21を供給させたにも関わらず、長さ計測センサ57又はエリアセンサ58が給糸ボビン21を全く検出しない場合は、マガジンカン62に給糸ボビン21が挿入されていないこと、或いは、ボビン保持部110が芯管21aに適切に挿入されなかったこと等が疑われる。このようなミスを検出することにより、素早く次の給糸ボビン21を供給させることが可能となり、巻取効率を向上させることができる。
【0156】
長さ計測センサが配置される場所は任意であるが、ボビン供給装置60(マガジンカン62の収納孔)から前記解舒基準位置までの前記給糸ボビン21の経路に配置されると、構成を簡素化できる点で有利である。例えば図19に示すように、長さ計測センサとしてのボビン検出センサ59がボビン供給装置60の近傍に配置される構成であっても良い。このボビン検出センサ59は、マガジンカン62に収納される給糸ボビン21の上部を検出可能な2つの接触センサ(センサ素子)59aと、給糸ボビン21の下部を検出可能な接触センサ59bと、を備えている。これらの接触センサ59a,59bは、マガジンカン62とともに回転しないように取り付けられているため、マガジンカン62が回転しても、常に、次にボビンセット部10に供給される給糸ボビン21の長さを計測できるようになっている。下部に配置される接触センサ59bは、給糸ボビン21の有無を検出するために用いられ、上部に配置される2つの接触センサ59aは、給糸ボビン21の長さを3段階で計測するために用いられる。なお、ボビン検出センサ59としては、接触センサを用いても良いし、非接触タイプのセンサを用いても良い。
【0157】
このボビン検出センサ59の構成において、下部の接触センサ59bが給糸ボビン21を検出し、かつ上部の接触センサ59aが2つとも給糸ボビン21を検出したときは、次に供給される給糸ボビン21の長さが比較的長いということになる。また、下部の接触センサ59bが給糸ボビン21を検出したときに、上部の接触センサ59aのうち1つだけが給糸ボビン21を検出したときは、次に供給される給糸ボビン21は中程度の長さということになる。更に、下部の接触センサ59bが給糸ボビン21を検出したときに、上部の接触センサ59aのうち何れも給糸ボビン21を検出していないときは、次に供給される給糸ボビン21は比較的短いということになる。
【0158】
なお、下部の接触センサ59bが給糸ボビン21を検出しなかった場合は、ボビン収納孔に給糸ボビン21が収納されていないので、マガジンカン62が回転して下部のボビン検出センサ59が給糸ボビン21を検出できるようになるまで、上記のような給糸ボビン21の長さの判断を行わない。そして、ユニット制御部50は、ボビン検出センサ59が検出した長さに応じて解舒補助装置12の位置を調整することにより、位置合わせ動作を確実に行うことができる。
【0159】
なお、図19のようにボビン供給装置60の近傍にボビン検出センサ59が配置される構成では、比較的早い段階で給糸ボビン21の長さを計測することができる。従って、解舒補助装置12の位置の調整に際して時間的な余裕があるため、この調整を無理なく行うことができる。
【0160】
以上に示したように、第1変形例のワインダユニット4においては、長さ計測センサ57は、長さ情報を計測により取得する。
【0161】
これにより、給糸ボビン21の長さをある程度具体的に検出することができるので、位置検出部としてのチェース部検出センサ74を給糸ボビン21の検出に失敗しない位置に移動させることができる。従って、給糸ボビン21の位置合わせ動作をより確実かつ正確に行うことができる。
【0162】
また、本変形例のワインダユニット4は、マガジン式のボビン供給装置60と、ボビン案内部64と、を備える。ボビン供給装置60は、複数のボビン収納孔を備える。ボビン案内部64は、ボビン収納孔に収納された給糸ボビン21をボビン保持部110まで案内する案内経路を有する。ユニット制御部50は、案内経路を介してボビン保持部110が受け取った給糸ボビン21を解舒基準位置まで移動させる制御を行う。長さ計測センサ57(又はエリアセンサ58、ボビン検出センサ59)は、給糸ボビン21がボビン収納孔に収納されてから解舒基準位置に到達するまでの間に、長さ情報を計測して取得する。
【0163】
これにより、給糸ボビン21が通常搬送される経路において長さ情報を計測して取得することができる。従って、長さ情報の計測のために特別な経路等を設ける必要がなく、ワインダユニット4の構成が複雑化することを防止できる。
【0164】
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
【0165】
即ち、上記実施形態及び第1変形例においては、給糸ボビン21の長さをセンサによって計測することで取得する構成であるが、本変形例では、機台入力部8又はユニット入力部18によって入力された情報に基づいて、長さ情報取得部及び入力長さ取得部としてのユニット制御部50が給糸ボビン21の長さを取得する構成である。つまり、ユニット制御部50は、事前に設定された給糸ボビン21の種類に基づいて、給糸ボビン21の長さの情報を得る。
【0166】
ユニット制御部50は、給糸ボビン21の長さを取得すると、この給糸ボビン21の長さに応じて、給糸ボビン21の位置合わせを行う際に解舒補助装置12(チェース部検出センサ74)を予め待機させる位置を決定する。この決定は、第1変形例のS204で説明した方法と同様に行われる。以下では、給糸ボビン21の位置合わせ時に位置検出部を予め待機させておく位置を開始基準位置と称することがある。ここで決定された開始基準位置は、使用する給糸ボビン21の設定が変更されない限り変化しない。
【0167】
ワインダユニット4は、この開始基準位置を用いて給糸ボビン21の位置合わせ動作を行うが、このときの位置合わせの方法としては以下の2種類が考えられる。
【0168】
即ち、1つ目の方法は、位置合わせ動作時においては、位置検出部としてのチェース部検出センサ74を開始基準位置から全く移動させないようにする方法である。つまり、同一の種類の給糸ボビン21であれば、その長さは大きくは変化しないものであるから、チェース部検出センサ74の位置が適切であれば、殆どの場合、当該チェース部検出センサ74で芯管21aを問題なく検出できる。従って、この方法では、給糸ボビン21の長さを個別に測定してチェース部検出センサ74を移動させることはせず、チェース部検出センサ74を開始基準位置で常に静止させた状態で位置合わせ動作を行う。これにより、制御を簡素化することができる。
【0169】
2つ目の方法は、給糸ボビン21の長さを個別に測定し、この測定結果によって、チェース部検出センサ74を開始基準位置から移動させるか否かを決定するものである。ここで、給糸ボビン21の長さを個別に測定する方法としては、上記実施形態のようにチェース部検出センサ74を用いる方法や、第1変形例のように専用のセンサ(長さ計測センサ57等)を用いる方法が考えられる。つまり、この方法においては、ユニット制御部50が、設定に基づいて給糸ボビン21の長さを取得する第1長さ情報取得部として機能する。また、チェース部検出センサ74が、給糸ボビン21の長さを個別に測定する第2長さ情報取得部として機能する。そして、ユニット制御部50は、給糸ボビン21の計測結果に基づいて、位置検出部としてのチェース部検出センサ74が開始基準位置にあるのでは給糸ボビン21を検出できないと判断したときに、当該チェース部検出センサ74の位置を前記開始基準位置から変更するように制御を行う。
【0170】
この2つ目の方法を用いることにより、供給される給糸ボビン21のうちの大部分については、位置検出部としてのチェース部検出センサ74を開始基準位置から移動することなく、給糸ボビン21の位置合わせ動作を行うことができる。一方で、通常と長さの異なる給糸ボビン21が供給された場合には、当該給糸ボビン21に応じた位置へ位置検出部を移動させることで、この場合でも問題なく位置合わせを行うことができる。
【0171】
以上に示したように、第2変形例の自動ワインダは、ワインダユニット4と、機台制御装置7と、入力部(機台入力部8及びユニット入力部18)と、を備える。機台制御装置7は、複数のワインダユニット4を制御する。入力部は、給糸ボビン21に関する情報を入力可能である。ユニット制御部50は、入力部に入力された情報に基づいて長さ情報を取得する(即ち、長さ情報取得部として機能する)。そして、ユニット制御部50は、この長さ情報に基づいて、開始基準位置を決定し、チェース部検出センサ74を開始基準位置に移動させる制御を行う。
【0172】
これにより、入力内容に基づいて決定した開始基準位置にチェース部検出センサ74を移動させることで、給糸ボビン21が供給される度に当該給糸ボビン21の長さを取得(計測)する手間を省くことができる。また、複数のワインダユニット4に対して給糸ボビン21の長さをまとめて設定することが容易になる。
【0173】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0174】
上記実施形態及び変形例では、解舒補助装置12において筒状の可動部材72が用いられているが、これに代えて、ガイド穴を有する板部材や針金等で成形された線状ガイド部材や多角柱部材等、様々な形状の可動部材を用いることができる。
【0175】
上記実施形態及び変形例では、給糸ボビン21を解舒補助装置12の解舒基準位置に合わせるための位置合わせ動作について説明したが、本発明の位置合わせにおいては、解舒基準位置に限らず任意の位置を目標位置とすることができる。そのため、解舒補助装置12を有しないタイプのワインダユニット4に本発明の構成を適用することも可能である。この場合、目標位置としては、例えば、糸20が巻取ボビン22に対してトラバースさせられるセンター位置の延長線上の位置や、給糸ボビン21から解舒された糸をガイドするガイド部材の鉛直線上の位置とすることが考えられる。
【0176】
上記実施形態及び変形例では、ステッピングモータ100を用いて跳ね板40及びボビン保持部110等を駆動する構成であるが、これに代えて、例えばサーボモータ若しくはリニアモータ若しくはボイスコイルモータ等を用いて動力伝達部120を駆動する構成にしても良い。
【0177】
上記実施形態及び変形例では、チェース部検出センサ74及び長さ計測センサ57として透過式のフォトセンサが用いられているが、これに代えて、例えば反射式フォトセンサ等を用いる構成にしても良い。
【0178】
上記実施形態及び変形例では、テンション付与装置13としてゲート式のテンション付与装置が用いられているが、これに代えて、例えば公知のディスク式のテンション付与装置を用いて、走行する糸に所定のテンションを付与する構成にしても良い。
【0179】
上記実施形態及び変形例に示すワインダユニット4は、マガジンカン62を備えたボビン供給装置60を備えているが、このボビン供給装置は、給糸ボビン21を、糸20が解舒される所定の位置に供給するものである限り、任意の構成とすることができる。例えば、給糸ボビン21を複数積載して収納可能な柱形状の収納部材を備え、前記収納部材から給糸ボビン21を供給する構成としてもよい。
【0180】
また、ボビン供給装置は、給糸ボビン21を積載したトレーをコンベアベルトによって搬送することで解舒位置へと供給するトレータイプのボビン供給装置であってもよい。トレータイプのボビン供給装置を備えるワインダユニットでは、コンベアの搬送方向を切替えることにより、給糸ボビン21の位置を前後方向に平行移動させて給糸ボビン21の位置を目標位置に合わせることができる。また、解舒位置にトレーを揺動させる揺動部材を設け、解舒位置において給糸ボビン21をトレーとともに前後方向に揺動させることで、給糸ボビン21の解舒側端部の位置を目標位置に合わせることも考えられる。
【符号の説明】
【0181】
1 自動ワインダ
4 ワインダユニット(巻取ユニット)
7 機台制御装置
8 機台入力部(入力部)
110 ボビン保持部(ボビン保持機構)
12 解舒補助装置
18 ユニット入力部(入力部)
50 ユニット制御部(制御部、入力情報取得部)
52 記憶部
57 長さ計測センサ(長さ情報取得部)
58 エリアセンサ(長さ情報取得部、長さ計測センサ)
59 ボビン検出センサ(長さ情報取得部)
72 可動部材(第1補助部材)
74 チェース部検出センサ(長さ情報取得部、位置検出部)
171 第2可動部材(第2補助部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、給糸ボビンから解舒された糸を巻き付けてパッケージを形成する巻取ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、給糸ボビンから解舒された糸を巻取ボビンに巻き取って、パッケージを形成する巻取ユニットが知られている。この給糸ボビンから解舒された糸をガイドしてテンションを調整し、良好な巻取パッケージを得るためには、給糸ボビンと、この給糸ボビンの上方に配置される糸ガイドと、の位置関係が一定であることが好ましい。この糸ガイドとしては、給糸ボビンから糸を解舒する際に発生するバルーンを適切に規制する(適切な形状にする)解舒補助装置が知られている。
【0003】
しかし、巻取ユニットには糸種等に応じて様々な形状や内径の給糸ボビンが供給されるため、供給される給糸ボビンの種類が変更される毎に給糸ボビンと解舒補助装置との位置関係が変わってしまう。この位置関係が変わると、給糸ボビンから糸が解舒される際の解舒テンションが給糸ボビンの周回位置によって不均一となる。そのため、オペレータは巻取ユニットに供給される給糸ボビンの種類が変更される毎に、給糸ボビンと解舒補助装置との位置関係を調整する必要があった。
【0004】
この点、特許文献1及び2には、給糸ボビンの内周を複数の爪部材(緊締クロー群、把持片)により複数の支点で支持することで、異なる芯管内径に対してもボビンと巻取装置との位置関係を変えずに巻取作業を行うことができるボビン保持ペッグが記載されている。特許文献1及び2に記載のボビン保持ペッグを用いることにより、給糸ボビンの解舒時の軸芯を解舒補助装置(詳細には解舒筒部材)の軸芯と一致させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−124230号公報
【特許文献2】特開2006−89284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、近年では、様々な種類の糸が用いられるようになり、また、糸巻取機の前工程で給糸ボビンを巻き上げる機械としても種々のものが使用されているので、巻取ユニットに供給される給糸ボビンの種類や形状も多様化している。その中で、ボビン内部に凹凸がある等の複雑な形状の給糸ボビンが巻取ユニットに供給された場合に、給糸ボビン内部の凹凸に爪部材の先端が引っ掛かり、給糸ボビンが爪部材に対して斜めの姿勢で保持されてしまうという問題が発生している。
【0007】
しかし、特許文献1及び2に記載のボビン保持ペッグを備えた巻取ユニットは、給糸ボビンを保持させる構成であり、供給された給糸ボビンの位置を確認できる構成ではない。そのため、給糸ボビンの軸心が解舒側においてバルーン規制部の軸芯とズレて保持されたとしても、それを検出できないまま巻取作業が進められてしまうことがあった。
【0008】
本発明は以上の事情に鑑みてなされたものであり、その主要な目的は、給糸ボビンの長さ等に関わらず給糸ボビンの位置を目標位置に対して確実に合わせることが可能な巻取ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の巻取ユニットが提供される。即ち、この巻取ユニットは、ボビン保持機構と、長さ情報取得部と、位置検出部と、記憶部と、制御部と、を備える。前記ボビン保持機構は、給糸ボビンを保持する。前記長さ情報取得部は、給糸ボビンの軸方向の長さに関する情報である長さ情報を取得する。前記位置検出部は、前記ボビン保持機構に保持された給糸ボビンの位置を検出可能である。前記記憶部は、糸の巻取り時に給糸ボビンを保持すべき位置である目標位置の情報と、前記位置検出部が設けられている位置の情報と、を記憶する。前記制御部は、前記長さ情報に基づいて、前記ボビン保持機構に保持された給糸ボビンを前記位置検出部が検出できるように当該位置検出部を移動させる制御と、前記位置検出部の検出結果及び前記記憶部の記憶内容に基づいて、給糸ボビンを前記目標位置に合わせるように当該給糸ボビンを移動させる制御と、を行う。
【0010】
これにより、長さ情報取得部が取得した長さ情報を利用することで、給糸ボビンの長さに応じた位置に位置検出部を移動させることができる。従って、給糸ボビンの長さにバラツキがある場合においても、位置検出部が給糸ボビンの検出に失敗しないので、給糸ボビンを目標位置に合わせる動作(位置合わせ動作)を確実に行うことができる。
【0011】
前記の巻取ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この巻取ユニットは、給糸ボビンの糸の解舒を補助する解舒補助装置を備える。前記目標位置は、前記解舒補助装置の解舒基準位置である。前記制御部は、前記ボビン保持機構に保持された給糸ボビンを前記解舒補助装置の解舒基準位置に合わせるように当該給糸ボビンを移動させる。
【0012】
これにより、解舒基準位置で給糸ボビンの糸を解舒することができるので、給糸ボビンと解舒補助装置との間に適切な形状のバルーンを形成することができる。従って、給糸ボビンから解舒された糸のテンションを適正に保ちながら糸の巻取りを行うことができる。
【0013】
前記の巻取ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記解舒補助装置は、パッケージの巻取動作の進行に伴う給糸ボビンの糸層端部であるチェース部の変化に追従して移動することで、給糸ボビンの糸の解舒を補助する第1補助部材を有する。前記位置検出部は、解舒作業時に前記第1補助部材とともに移動して前記チェース部を検出するチェース部検出センサである。
【0014】
これにより、給糸ボビンの長さに応じてチェース部検出センサの位置を調整することで、給糸ボビンの位置合わせ動作を確実に行うことができる。また、チェース部検出センサとともに第1補助部材が移動するので、第1補助部材の位置を調整するための個別の制御が不要になる。また、位置合わせ動作時(糸の解舒の開始前)に第1補助部材の位置が給糸ボビンの長さに応じて調整されることで、給糸ボビンの糸の解舒を開始するときにおける給糸ボビンと第1補助部材との位置関係を良好にすることができる。この結果、糸の適切な解舒を行うことができる。また、チェース部検出センサが位置検出部を兼ねるため、位置検出部として新たなセンサ等を備える必要がなく、構成を簡素化してコストを削減することができる。
【0015】
前記の巻取ユニットにおいては、前記チェース部検出センサは、前記長さ情報取得部を兼ねており、前記チェース部検出センサは、通過する給糸ボビンの検出結果から前記長さ情報を取得することが好ましい。
【0016】
これにより、長さ情報取得部として新たなセンサ等を備える必要がないので、構成を簡素化してコストを削減することができる。
【0017】
前記の巻取ユニットにおいては、前記第1補助部材及び前記チェース部検出センサは、共通の駆動源によって駆動されることが好ましい。
【0018】
これにより、駆動源の数を減らすことができるので、構成を簡素化してコストを削減することができる。また、単純な構成で、第1補助部材及びチェース部検出センサを一体的に移動させることが容易となる。
【0019】
前記の巻取ユニットにおいては、前記駆動源として、ステッピングモータが用いられることが好ましい。
【0020】
これにより、ステッピングモータのステップ数を用いて給糸ボビンを目標位置に合わせることで、簡易かつ精巧に給糸ボビンの位置を調整することができる。
【0021】
前記の巻取ユニットにおいては、前記長さ情報取得部は、前記長さ情報を計測により取得する長さ計測センサであることが好ましい。
【0022】
これにより、給糸ボビンの長さを少なくともある程度具体的に検出することができるので、位置検出部を給糸ボビンの検出に失敗しない位置に移動させることができる。従って、給糸ボビンの位置合わせ動作をより確実かつ正確に行うことができる。
【0023】
前記の巻取ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この巻取ユニットは、給糸ボビンの糸の解舒を補助する解舒補助装置を備える。前記目標位置は、前記解舒補助装置の解舒基準位置である。前記解舒補助装置は、パッケージの巻取動作の進行に伴う給糸ボビンの糸層端部であるチェース部の変化に追従して移動することで、給糸ボビンの糸の解舒を補助する第1補助部材を有する。前記位置検出部は、解舒作業時に前記第1補助部材とともに移動して前記チェース部を検出するチェース部検出センサである。前記制御部は、前記長さ計測センサの計測結果に基づいて前記チェース部検出センサの位置を調整する。
【0024】
これにより、少なくともある程度具体的に検出された給糸ボビンの長さに応じてチェース部検出センサ(位置検出部)の位置を調整できるので、給糸ボビンの位置合わせ動作をより確実に行うことができる。また、チェース部検出センサとともに第1補助部材が移動するので、第1補助部材の位置を調整するための個別の制御が不要になる。また、位置合わせ動作時(糸の解舒の開始前)において、第1補助部材の位置が給糸ボビンの具体的な長さに応じて調整されることで、給糸ボビンの糸の解舒を開始するときにおける給糸ボビンと第1補助部材との位置関係を良好にすることができる。この結果、糸の適切な解舒を行うことができる。
【0025】
前記の巻取ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記解舒補助装置は、前記第1補助部材の糸の巻取り方向下流側で給糸ボビンの糸の解舒を補助する第2補助部材を備える。前記制御部は、前記長さ計測センサの計測結果に基づいて、前記第2補助部材の位置を調整する。
【0026】
これにより、第1補助部材だけでなく第2補助部材についても、給糸ボビンの長さに応じた適切な位置に移動させることができる。従って、給糸ボビンから解舒される糸のテンションをより適正に保ちながら巻取りを行うことができる。
【0027】
前記の巻取ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この巻取ユニットは、マガジン式のボビン供給装置と、ボビン案内部と、を備える。前記マガジン式のボビン供給装置は、複数のボビン収納孔を備える。前記ボビン案内部は、前記ボビン収納孔に収納された給糸ボビンを前記ボビン保持機構まで案内する案内経路を有する。前記制御部は、前記案内経路を介して前記ボビン保持機構が受け取った給糸ボビンを前記目標位置まで移動させる制御を行う。前記長さ計測センサは、給糸ボビンが前記ボビン収納孔に収納されてから前記目標位置に到達するまでの間に、前記長さ情報を計測して取得する。
【0028】
これにより、給糸ボビンが通常搬送される経路において、長さ情報を計測して取得することができる。従って、長さ情報の計測のために特別な経路等を設ける必要がなく、巻取ユニットの構成が複雑化することを防止できる。
【0029】
前記の巻取ユニットにおいては、前記長さ計測センサは、複数の前記ボビン収納孔に収納された給糸ボビンのうち少なくとも1つの前記ボビン収納孔に保持された給糸ボビンについて、前記長さ情報を計測して取得することが好ましい。
【0030】
これにより、長さ情報を比較的早い段階で計測して取得することができる。従って、この検出結果に応じた位置に位置検出部を移動させる制御を無理なく行うことができる。
【0031】
前記の巻取ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記ボビン保持機構は、受け取った給糸ボビンを少なくとも前記目標位置まで旋回移動させることが可能である。前記長さ計測センサは、前記ボビン保持機構が給糸ボビンを受け取ってから前記目標位置まで旋回移動させるまでの間に当該給糸ボビンの前記長さ情報を計測して取得可能である。
【0032】
これにより、給糸ボビンを旋回移動させているため、給糸ボビンの経路をコンパクトにすることができる。また、給糸ボビンの供給ミス又は受取ミスについても長さ計測センサで検出することができる。
【0033】
前記の巻取ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記長さ計測センサは、物体の有無を検出可能なセンサ素子を複数備えている。前記センサ素子は、当該長さ計測センサを通過するときの給糸ボビンの軸方向に沿って配置される。
【0034】
これにより、センサ素子を並べた簡単な構成で、当該給糸ボビンの長さを少なくともある程度具体的に取得することができる。
【0035】
前記の巻取ユニットにおいては、前記長さ計測センサは、検出範囲において物体が存在する部分を検出可能なエリアセンサであり、前記検出範囲において給糸ボビンが占める割合に基づいて、当該給糸ボビンの長さを検出することが好ましい。
【0036】
これにより、給糸ボビンの長さをより具体的に取得することができるので、位置合わせ動作をより確実に行うことができる。
【0037】
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の自動ワインダが提供される。即ち、この自動ワインダは、前記の巻取ユニットと、機台制御装置と、入力部と、を備える。前記機台制御装置は、複数の前記巻取ユニットを制御する。前記入力部は、前記巻取ユニット及び機台制御装置のうち少なくとも何れか一方に設けられ、給糸ボビンに関する情報を入力可能である。また、前記長さ情報取得部は、前記入力部に入力された情報に基づいて、前記長さ情報を取得する入力長さ取得部である。前記制御部は、前記入力長さ取得部が取得した前記長さ情報に基づいて、給糸ボビンの位置合わせを行う際に前記位置検出部を予め待機させておく位置である開始基準位置を決定し、前記位置検出部を前記開始基準位置に移動させる制御を行う。
【0038】
これにより、入力内容に基づいて決定した開始基準位置に位置検出部を移動させることで、給糸ボビンが供給される度に当該給糸ボビンの長さを取得(計測)する手間を省くことができる。また、各巻取ユニットに対してまとめて給糸ボビンの長さを設定することが容易になる。
【0039】
前記の自動ワインダにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この自動ワインダは、給糸ボビンの糸の解舒を補助する解舒補助装置を備える。前記目標位置は、前記解舒補助装置の解舒基準位置である。前記解舒補助装置は、パッケージの巻取動作の進行に伴う給糸ボビンの糸層端部であるチェース部の変化に追従して移動することで、給糸ボビンの糸の解舒を補助する第1補助部材を有する。前記位置検出部は、解舒作業時に前記第1補助部材とともに移動して前記チェース部を検出するチェース部検出センサである。前記制御部は、前記入力長さ取得部の取得内容に基づいて、前記チェース部検出センサの位置を調整する。
【0040】
これにより、チェース部検出センサとともに第1補助部材が移動するので、第1補助部材の位置を調整するための個別の制御が不要になる。また、位置合わせ動作時(糸の解舒の開始前)に第1補助部材の位置が、給糸ボビンの長さに応じて調整されることで、給糸ボビンの糸の解舒を開始するときにおける給糸ボビンと第1補助部材との位置関係を良好にすることができる。この結果、糸の適切な解舒を行うことができる。
【0041】
前記の巻取ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記解舒補助装置は、前記第1補助部材の糸の巻取り方向下流側で給糸ボビンの糸の解舒を補助する第2補助部材を備える。前記制御部は、前記入力長さ取得部が取得した前記長さ情報に基づいて、前記第2補助部材の位置を調整する。
【0042】
これにより、第1補助部材だけでなく第2補助部材についても適切な位置に移動させることができる。従って、給糸ボビンから解舒された糸のテンションをより適正に保ちながら巻取りを行うことができる。
【0043】
なお、自動ワインダについては、以下の構成することもできる。即ち、この自動ワインダは、前記の巻取ユニットと、機台制御装置と、入力部と、を備える。前記機台制御装置は、複数の前記巻取ユニットを制御する。前記入力部は、前記巻取ユニット及び機台制御装置のうち少なくとも何れか一方に設けられ、給糸ボビンの長さに関する情報を入力可能である。また、前記長さ情報取得部は、第1長さ情報取得部と、第2長さ情報取得部と、で構成されている。前記第1長さ情報取得部は、前記入力部に入力された情報に基づいて、前記長さ情報を取得する。前記第2長さ情報取得部は、供給される給糸ボビンを計測することにより、前記長さ情報を取得する。前記制御部は、前記第1長さ情報取得部が取得した前記長さ情報に基づいて、給糸ボビンの位置合わせを行う際に前記位置検出部を予め待機させておく位置である開始基準位置を決定する制御と、前記開始基準位置の前記位置検出部が給糸ボビンを検出できないと判断したときに、前記第2長さ情報取得部が取得した前記長さ情報に基づいて、当該位置検出部を移動させる制御を行う。
【0044】
これにより、入力部への入力内容に基づいた開始基準位置に位置検出部を位置させることで、供給される給糸ボビンのうちの大部分について、位置検出部が給糸ボビンの検出を行うことができる。一方で、通常と長さの異なる給糸ボビンが供給された場合には、当該給糸ボビンに応じた位置へ位置検出部を移動させることで、その給糸ボビンを問題なく検出することができる。
【0045】
本発明の第3の観点によれば、給糸ボビンから解舒された糸を巻き付けてパッケージを形成する巻取ユニットによる給糸ボビンの位置合わせ方法において、以下の工程を含む方法が提供される。即ち、この給糸ボビンの位置合わせ方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第4工程と、を含む。前記第1工程は、給糸ボビンの位置を検出可能である位置検出部を通過するように給糸ボビンを移動させる。前記第2工程は、前記位置検出部が給糸ボビンを検出できなかった場合に、当該位置検出部を移動させる。前記第3工程は、給糸ボビンを再び前記位置検出部に向けて移動して、給糸ボビンを前記位置検出部により検出させて、当該給糸ボビンの位置合わせのための始動基準位置を決定する。前記第4工程は、決定された始動基準位置から、予め設定された距離だけ給糸ボビンを移動させて、当該給糸ボビンの位置を、給糸ボビンを保持すべき位置である目標位置に合わせる。
【0046】
これにより、例えば短い芯管に糸が巻かれた給糸ボビンが供給されて位置検出部が給糸ボビンを検出できなかった場合でも、位置検出部を移動させることで、給糸ボビンを検出することができる。従って、位置合わせ動作を確実に行うことができる。
【0047】
本発明の第4の観点によれば、給糸ボビンから解舒された糸を巻き付けてパッケージを形成する巻取ユニットによる給糸ボビンの位置合わせ方法において、以下の工程を含む方法が提供される。即ち、この給糸ボビンの位置合わせ方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第4工程と、を含む。前記第1工程は、給糸ボビンの軸方向の長さに関する情報である長さ情報を、長さ計測センサが計測することで取得する。前記第2工程は、前記長さ計測センサが取得した前記長さ情報に基づいて、給糸ボビンの位置を検出可能な位置検出部を移動させる。前記第3工程は、給糸ボビンを前記位置検出部に向けて移動して、給糸ボビンを前記位置検出部により検出させて、当該給糸ボビンの位置合わせのための始動基準位置を決定する。前記第4工程は、前記始動基準位置から給糸ボビンを保持すべき位置である目標位置までの距離を示す調整距離を、前記位置検出部の位置と前記給糸ボビンの位置とに基づいて取得し、当該調整距離に基づいた距離だけ給糸ボビンを始動基準位置から移動させて、給糸ボビンの位置を目標位置に合わせる。
【0048】
これにより、給糸ボビンの長さを少なくともある程度具体的に検出することができるので、給糸ボビンを確実に検出可能な位置に位置検出部を移動させることができる。従って、給糸ボビンの位置合わせ動作を確実かつ正確に行うことができる。
【0049】
本発明の第5の観点によれば、給糸ボビンから解舒された糸を巻き付けてパッケージを形成する複数の巻取ユニットと、複数の前記巻取ユニットを制御する機台制御部と、を備えた自動ワインダによる給糸ボビンの位置合わせ方法において、以下の工程を含む方法が提供される。即ち、この給糸ボビンの位置合わせ方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第4工程と、を含む。前記第1工程では、前記巻取ユニット及び機台制御装置のうち少なくとも何れか一方に設けられた入力部に入力された給糸ボビンに関する情報に基づいて、給糸ボビンの軸方向の長さに関する情報である長さ情報を取得する。前記第2工程では、取得した前記長さ情報に基づいて給糸ボビンの位置合わせを行う際に位置検出部を予め待機させておく位置である開始基準位置を決定し、前記位置検出部を前記開始基準位置に移動させる。前記第3工程では、給糸ボビンを前記位置検出部に向けて移動して、給糸ボビンを前記位置検出部に検出させて、当該給糸ボビンの位置合わせのための始動基準位置を決定する。前記第4工程では、前記始動基準位置から給糸ボビンを保持すべき位置である目標位置までの距離を示す調整距離を、前記位置検出部の位置と前記給糸ボビンの位置とに基づいて取得し、当該調整距離に基づいた距離だけ給糸ボビンを始動基準位置から移動させて、給糸ボビンの位置を目標位置に合わせる。
【0050】
これにより、入力内容に基づいて決定した位置に位置検出部を移動させることで、給糸ボビンが供給される度に当該給糸ボビンの長さを検出(取得)する手間を省くことができる。また、機台制御装置に設けられた入力部に給糸ボビンの長さに関する情報を入力することにより、各巻取ユニットに対して給糸ボビンの長さをまとめて設定することができる。
【0051】
前記の巻取ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この巻取ユニットは、ボビン保持機構と、位置検出部と、制御部と、を備える。前記ボビン保持機構は、給糸ボビンを保持する。前記位置検出部は、前記ボビン保持機構に保持された給糸ボビンを検出する。前記制御部は、前記ボビン保持機構を制御して最適な位置に位置決めする。
【0052】
これにより、給糸ボビンを巻取ユニットが巻取作業を行うために最適な位置に位置決めすることができるので、糸切れ等の不具合が発生することなく、給糸ボビンの解舒作業を行うことができる。
【0053】
前記の巻取ユニットにおいては、前記位置検出部を移動させるために給糸ボビンの長さ情報を取得する長さ情報取得部を備えることが好ましい。
【0054】
これにより、ボビンの長さ情報を取得し、それに応じて位置検出部を移動させるので、位置検出部がボビン保持機構に保持された給糸ボビンを確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動ワインダの全体的な構成を示す外観斜視図。
【図2】ワインダユニットの模式的な側面図。
【図3】ワインダユニットの主要な構成を示すブロック図。
【図4】解舒補助装置の構成を示す拡大斜視図。
【図5】ボビンセット部の構成を示す斜視図。
【図6】動力伝達部が備えるカムの形状を示す側面図。
【図7】主芯部材が受取姿勢にあるときの調整部の構成を示す側面図。
【図8】主芯部材が解舒姿勢にあるときの調整部の構成を示す側面図。
【図9】主芯部材が排出姿勢にあるときの調整部の構成を示す側面図。
【図10】給糸ボビンが供給されたときにワインダユニットが行う処理を示すフローチャート。
【図11】給糸ボビンの位置合わせ動作の前半部を説明する側面図。
【図12】給糸ボビンの位置合わせ動作の後半部を説明する側面図。
【図13】給糸ボビンが短い場合における給糸ボビンの位置合わせ動作の前半部を説明する側面図。
【図14】給糸ボビンが短い場合における給糸ボビンの位置合わせ動作の後半部を説明する側面図。
【図15】第1変形例における、給糸ボビンが供給されたときにワインダユニットが行う処理を示すフローチャート。
【図16】第1変形例における給糸ボビンの位置合わせ動作の前半部を説明する側面図。
【図17】第1変形例における給糸ボビンの位置合わせ動作の後半部を説明する側面図。
【図18】長さ計測センサとしてエリアセンサを用いた例を示す側面図。
【図19】ボビン供給装置に配置される長さ計測センサの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0056】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。初めに、本実施形態の自動ワインダ1の概要について図1を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る自動ワインダ1の外観斜視図である。なお、以下の説明において、ワインダユニット4の正面側を単に「正面側」、ワインダユニット4の背面側を単に「背面側」と称することがある。
【0057】
本実施形態の自動ワインダ1は、並べて配置された複数のワインダユニット(巻取ユニット)4と、複数のワインダユニット4の並べられた方向の一端に配置された機台制御装置7と、を備えている。
【0058】
各ワインダユニット4は、正面視で左右一側に設けられたユニットフレーム5と、このユニットフレーム5の側方に設けられた巻取ユニット本体6と、を備えている。ユニットフレーム5の内部には、巻取ユニット本体6の各部を制御するユニット制御部50(制御部、図3を参照)が配置されている。このユニット制御部50は、各種の情報を記憶可能な記憶部52を備えている。なお、この記憶部52の記憶内容の詳細は後述する。
【0059】
また、ユニットフレーム5は、巻取ユニット本体6の設定等を入力可能なユニット入力部(入力部)18と、巻取作業の状況等を表示可能なユニット表示部19と、を備えている。このユニット入力部18は、例えばキー及びボタンとして構成することができる。
【0060】
機台制御装置7はこのユニット制御部50と通信可能に構成されているため、機台制御装置7によって複数のワインダユニット4の動作を集中的に管理することが可能となっている。また、機台制御装置7は、機台入力部(入力部)8と、機台表示部9と、を備えている。オペレータは、機台入力部8を適宜操作することで、各ワインダユニット4に対して様々な設定(例えば、各ワインダユニット4の巻取作業に用いられる給糸ボビン21の種類の設定)を行うことができる。また、オペレータは、機台表示部9の表示を見ることで、各ワインダユニット4の巻取作業の状況等を確認することができる。
【0061】
次に、図2及び図3を参照して、ワインダユニット4について詳細に説明する。図2は、ワインダユニット4の模式的な側面図である。図3は、ワインダユニット4の主要な構成を示すブロック図である。
【0062】
ワインダユニット4は、給糸ボビン21の糸を巻取ボビン22に巻き取ってパッケージ29を形成するための装置である。
【0063】
図1及び図2に示すように、ワインダユニット4の正面側には、オペレータが給糸ボビン21を供給するためのボビン供給装置60が配置されている。ボビン供給装置60は、ワインダユニット4の下部から正面上方向に延出されたマガジン保持部61と、このマガジン保持部61の先端に取り付けられているマガジンカン62と、マガジンカン62の下方に設置されたボビン案内部64と、開閉部68と、を備えている。
【0064】
マガジンカン62には複数の収納孔が円状に並べて形成されており、それぞれの収納孔には、給糸ボビン21を傾斜姿勢でセットすることができる。また、このマガジンカン62は、図略のモータによって間欠的な回転送り駆動が可能であるように構成されている。そして、このマガジンカン62の間欠駆動と、マガジンカン62が備える図略の制御弁の開閉動作とによって、所定の給糸ボビン21を斜め下方へ落下させることができる。
【0065】
ボビン案内部64は、マガジンカン62から落下してきた給糸ボビン21を斜めに滑落させて、ボビンセット部10まで案内するように構成されている。なお、ボビンセット部10の詳細な構成は後述する。
【0066】
開閉部68は、正面側(図2における右側)と背面側(図2における左側)との間で揺動可能な一対の開閉部材68a,68bで構成されており、一対の開閉部材68a,68bが、閉じた状態(図2で示す状態)と開いた状態とを切替可能になっている。開閉部68が閉じた状態においては、当該開閉部68の内面はボビン案内部64の一部分を構成する。つまり、開閉部68の内面は、マガジンカン62から落下してくる給糸ボビン21と接触して、当該給糸ボビン21を斜め下方のボビンセット部10まで案内する。一方、開閉部68が開いた状態においては、巻取りが完了して糸が巻かれていない状態になった給糸ボビン21を正面側に排出することができる。なお、開閉部68の正面側にはコンベア3(図1を参照)が配設されているので、自動ワインダ1は、開閉部68から排出された給糸ボビン21を、当該コンベア3によって、このコンベア3の搬送方向端部に配置された図示しない給糸ボビン回収ボックスまで搬送することができる。
【0067】
また、ボビンセット部10が備えるボビン保持部110は、図2及び図3に示すステッピングモータ100が駆動することによって、正面側及び背面側に揺動可能に構成されている。なお、このステッピングモータ100は、図3に示すように、ステッピングモータ制御部102によって制御されている。
【0068】
上記ボビン保持部110は、背面側から正面側へ回動することにより、ボビン案内部64によって案内される給糸ボビン21を受取可能となっている。そして、ボビン保持部110は、背面側に回動することにより、受け取った給糸ボビン21を略直立状態にすることができる。なお、ステッピングモータ100の駆動によってボビン保持部110を揺動させる機構、及びステッピングモータ制御部102が行う制御等の詳細は後述する。
【0069】
そして、上記のようにボビンセット部10のボビン保持部110にセットされた給糸ボビン21から、糸20が解舒されて巻取部16によって巻き取られる。この巻取部16は、図2に示すように、巻取ボビン22を装着可能に構成されたクレードル23と、糸20をトラバースさせるとともに前記巻取ボビン22を駆動するための綾振ドラム24と、を備えている。
【0070】
また、前記巻取ユニット本体6は、ボビンセット部10と綾振ドラム24との間の糸走行経路中に各種の装置を備えている。具体的に説明すると、前記糸走行経路に配置される主要な装置として、ボビンセット部10側から綾振ドラム24側へ向かって順に、糸縮れ発生防止装置11と、解舒補助装置12と、テンション付与装置13と、糸継装置14と、クリアラ(糸品質測定器)15と、が配置されている。
【0071】
以下、解舒補助装置12の構成について、図3及び図4を参照して説明する。図4は、解舒補助装置12の構成を示す拡大斜視図である。
【0072】
解舒補助装置12は、図3及び図4に示すように、固定部材71と、可動部材(第1補助部材)72と、昇降部材73と、チェース部検出センサ(位置検出部、長さ情報取得部)74と、昇降部材駆動部75(図3を参照)と、を備える。
【0073】
固定部材71は、適宜の部材を介してユニットフレーム5に固定されている。この固定部材71は筒状に形成されており、その下部には、バルーンを制御するための絞り部(図略)が形成されている。可動部材72は、筒状に形成されており、固定部材71の外側を覆うように配置されている。なお、以下の説明において、この筒状に構成された可動部材72の中心軸線及び当該中心軸線を延長した線を仮想線L1と称する。
【0074】
昇降部材73は、この可動部材72と一体的に形成されている。また、昇降部材73は、ステッピングモータ又はエアシリンダ等で構成される昇降部材駆動部75が駆動することによって、鉛直方向に移動可能に構成されている。これにより、可動部材72及び昇降部材73を一体的に鉛直方向に移動させることができる。図3に示すように、昇降部材駆動部75はユニット制御部50によって制御されている。これにより、ユニット制御部50は、昇降部材駆動部75(ひいてはチェース部検出センサ74)の高さを、自身の制御内容に基づいて取得できる。そして、ユニット制御部50は、このチェース部検出センサ74の高さを記憶部52に記憶している。
【0075】
なお、本実施形態では固定部材71は移動不能に構成されているが、固定部材71のように筒部を有する部材をユニットフレーム5ではなく昇降部材73に取り付けて、可動部材72及び昇降部材73とともに当該部材を移動させることも可能である。また、当該部材が、昇降部材駆動部75以外の駆動源の駆動によって鉛直方向に移動するように構成して、可動部材72及び昇降部材73と独立して移動させるようにすることもできる。
【0076】
また、昇降部材73は、給糸ボビン21のチェース部21b(図4を参照)を検出するためのチェース部検出センサ74を備えている。なお、チェース部21bとは、巻取動作の進行に伴う給糸ボビン21の糸層端部である。また、チェース部検出センサ74は、投光部74aと受光部74bとを有する透過式のフォトセンサとして構成されている。チェース部検出センサ74が検出した検出信号は、図3に示すように、ユニット制御部50に入力される。
【0077】
なお、上記したように、チェース部検出センサ74は、可動部材72と一体的に形成された昇降部材73に取り付けられている。従って、昇降部材駆動部75は、可動部材72及びチェース部検出センサ74の共通の駆動源として機能する。この結果、構成の簡素化が実現されている。
【0078】
この構成により、チェース部検出センサ74の検出信号に基づいてユニット制御部50が昇降部材駆動部75を駆動させて、昇降部材73を鉛直方向に移動させることで、チェース部21bから所定の距離に可動部材72を位置させることができる。そして、給糸ボビン21が解舒されてチェース部21bの位置が下降するに従って昇降部材駆動部75を駆動して昇降部材73を下降させることで、チェース部21bと可動部材72との距離を常に一定にすることができる。これにより、給糸ボビン21が解舒される際にチェース部21bから糸が解離する位置で発生するバルーンを適切に規制することができ、給糸ボビン21から解舒された糸の張力を一定に保ちながら巻取作業を行うことができる。
【0079】
なお、上記のような解舒補助装置12の機能を適切に発揮させるためには、給糸ボビン21(詳細には給糸ボビン21の中心軸線)を仮想線L1上の位置(目標位置、解舒基準位置)に合わせる必要がある。なお、この給糸ボビン21の位置を調整する制御等の詳細については後述する。
【0080】
解舒補助装置12の背面側には、糸の縮れの発生を防止するための糸縮れ発生防止装置11が配置されている。ここで糸縮れとは、糸に生じる不具合の1つであり、糸が縮れ、螺旋状に絡み合っている状態である。前記糸縮れ発生防止装置11は、ブラシアーム11aと、ブラシアーム11aの先端に形成されたブラシ部11bと、を備えている。このブラシアーム11aは回動可能に構成されており、回動させることで、ブラシ部11bを給糸ボビン21の上端部分に接触させることができる。これにより、後述の糸継作業時等において糸20に適切なテンションを付与し、糸縮れの発生を防止することができる。
【0081】
テンション付与装置13は、走行する糸20に所定のテンションを付与するものである。本実施形態のテンション付与装置13は、固定の櫛歯に対して可動の櫛歯を配置するゲート式に構成されている。可動側の櫛歯は、櫛歯同士が噛合せ状態又は解放状態になるように、ロータリ式のソレノイドにより回動可能に構成されている。
【0082】
また、解舒補助装置12とテンション付与装置13との間には下糸検出センサ31が配置されている。下糸検出センサ31は、配置される位置において糸が走行しているか否かを検出可能に構成されている。
【0083】
クリアラ15は、糸20の糸太さを監視することにより、スラブ等の糸欠陥(糸欠点)を検出するように構成されている。また、クリアラ15よりも糸道の上流側(下方)には、当該クリアラ15が糸欠陥を検出したときに直ちに糸20を切断するためのカッタ39が配置されている。
【0084】
糸継装置14は、クリアラ15が糸欠陥を検出してカッタ39で糸を切断する糸切断時、給糸ボビン21からの解舒中の糸の糸切れ時、又は給糸ボビン21の交換時等に、給糸ボビン21側の糸である下糸と、パッケージ29側の糸である上糸とを糸継ぎするものである。このような糸継装置14としては、圧縮空気等の流体を用いるものや、機械式のものを使用することができる。
【0085】
糸継装置14の下側及び上側には、給糸ボビン21側の下糸を捕捉して案内する下糸案内パイプ25と、パッケージ29側の上糸を捕捉して案内する上糸案内パイプ26と、が設けられている。下糸案内パイプ25の先端には吸引口32が形成され、上糸案内パイプ26の先端にはサクションマウス34が備えられている。下糸案内パイプ25及び上糸案内パイプ26には適宜の負圧源がそれぞれ接続されており、前記吸引口32及びサクションマウス34に吸引力を生じさせることができる。
【0086】
この構成で、給糸ボビン21の交換時等においては、下糸案内パイプ25の吸引口32が下方へ回動して下糸を吸引捕捉し、その後、軸33を中心にして上方へ回動することで糸継装置14まで下糸を案内する。また、これとほぼ同時に、ワインダユニット4は、図2の位置から軸35を中心として上糸案内パイプ26を上方へ回動させるとともにパッケージ29を逆回転させ、当該パッケージ29から巻き出される上糸をサクションマウス34によって捕捉する。続いて、ワインダユニット4は、上糸案内パイプ26を軸35を中心として下方へ回動させることで、糸継装置14に上糸を案内するようになっている。そして、糸継装置14において、下糸と上糸の糸継が行われる。
【0087】
また、ユニットフレーム5には、図2及び図3に示すように報知ランプ56が配置されている。この報知ランプ56は、図3に示すようにユニット制御部50と接続されており、巻取ユニット本体6の各部に発生した異常をオペレータに知らせることができる。なお、この報知ランプ56は、光を用いてオペレータに異常の発生を知らせる構成であるが、この構成に代えて、ブザー等によって報知する構成にしても良い。
【0088】
以上の構成で、自動ワインダ1の各ワインダユニット4は、給糸ボビン21から解舒された糸20を巻取ボビン22に巻き取って所定長のパッケージ29を形成することができる。
【0089】
次に、図5から図9までを参照して、ボビンセット部10について詳細に説明する。図5は、ボビンセット部10の構成を示す斜視図である。図6は、動力伝達部120が備えるカムの形状を示す側面図である。図7は、主芯部材80が受取姿勢にあるときの動力伝達部120の構成を示す側面図である。図8は、主芯部材80が解舒姿勢にあるときの動力伝達部120の構成を示す側面図である。図9は、主芯部材80が排出姿勢にあるときの動力伝達部120の構成を示す側面図である。
【0090】
前述のように、ボビンセット部10は、供給された給糸ボビン21を保持するためのボビン保持部110と、糸の解舒が完了した給糸ボビン21(芯管21a)を排出するための跳ね板40と、ボビン保持部110及び跳ね板40を動作させる駆動部200と、を備えている。また、駆動部200は、ステッピングモータ100と、このステッピングモータ100の動力を跳ね板40及びボビン保持部110に伝達する動力伝達部120と、で構成されている。
【0091】
ボビン保持部110は、図7から図9までに示すように揺動して、給糸ボビン21の解舒側端部の位置を変更させることができる。また、ボビン保持部110は、主芯部材(規定部材)80と、補助芯部材(保持部材)90と、で構成されている。この主芯部材80及び補助芯部材90は、図7に示すように、給糸ボビン21が供給されたときには閉じた状態となっており、芯管21aの内部に入り込むようになっている。そして、この状態で補助芯部材90が主芯部材80から離れる方向に回動することで、給糸ボビン21を内側から保持することができる(図8を参照)。また、このボビン保持部110による給糸ボビン21の保持が解除された状態で、跳ね板40を回動させることにより、芯管21aの底部を押し出して主芯部材80及び補助芯部材90から抜き、給糸ボビン21を排出することができる(図9を参照)。
【0092】
次に、動力伝達部120について説明する。この動力伝達部120は、ボビン保持部110を構成する主芯部材80及び補助芯部材90と、跳ね板40と、を互いに連動させながら駆動するものである。
【0093】
最初に、主芯部材80を駆動するための構成を説明する。動力伝達部120は、主芯部材80を揺動させるための構成として、主芯部材駆動カム81と、ベアリング82と、揺動アーム83と、位置決めアーム84aと、接触アーム84bと、伝達軸85と、押当てバネ86と、を備えている。また、動力伝達部120は、ステッピングモータ100の動力を主芯部材駆動カム81等に伝えるための構成として、伝達ベルト103と、プーリ104と、カム軸105と、を備えている。
【0094】
プーリ104はカム軸105に固定されており、このプーリ104は、ステッピングモータ100の出力軸に対し伝達ベルト103を介して連結されている。伝達ベルト103は図5では簡略的に描かれているが、歯付きのタイミングベルトとして構成されており、ステッピングモータ100の出力軸の回転を滑りなくカム軸105に伝達することができる。
【0095】
前記プーリ104には原点センサ101(図5には示していない)が取り付けられており、この原点センサ101は、プーリ104ないしカム軸105が所定の回転位相であるときに検知信号を送るように構成されている。そして、この原点センサ101が検知信号を送信するときの回転状態がステッピングモータ100の原点とされており、ステッピングモータ100の回転制御はこの原点を基準として行われるようになっている。
【0096】
主芯部材駆動カム81は前記カム軸105に固定されており、当該カム軸105と一体的に回転する。また、主芯部材駆動カム81よりも背面側には揺動アーム83が配置されており、この揺動アーム83の中途部には回転可能なベアリング82が取り付けられている。このベアリング82は、主芯部材駆動カム81の外周面に接触しながら適宜回転できるように構成されている。
【0097】
揺動アーム83の先端部は、動力伝達部120の適宜の位置に揺動可能に支持された位置決めアーム84aの下端部に、棒状のリンクを介して連結されている。位置決めアーム84aの上端部には、回転可能な回転部材87が支持されている。
【0098】
位置決めアーム84aよりも正面側には、接触アーム84bが配置されている。この接触アーム84bの先端は、前記位置決めアーム84aに取り付けられた前記回転部材87に対して接触可能に構成されている。接触アーム84bの基部には伝達軸85の一端が固定されており、伝達軸85の他端は主芯部材80に固定されている。従って、主芯部材80は接触アーム84bに連動して一体的に回転する。また、前記接触アーム84bには捩りコイルバネ状の押当てバネ86が取り付けられており、接触アーム84bを図5の矢印方向に付勢している。
【0099】
以上の構成で、接触アーム84bには押当てバネ86の弾性力が作用するため、その突出部が回転部材87に接触し、位置決めアーム84aを押す。更に、位置決めアーム84aの下端部がリンクを介して揺動アーム83を引っ張るので、揺動アーム83のベアリング82が主芯部材駆動カム81に押し当てられる。このように、押当てバネ86は、主芯部材駆動カム81とベアリング82とを接触させるとともに、接触アーム84bを位置決めアーム84aに接触させるためのバネ力を発生させている。
【0100】
この状態で主芯部材駆動カム81が回転し、主芯部材駆動カム81の周縁部(後述の膨らみ部)がベアリング82を押すと、揺動アーム83がカム軸105から離れる方向に回動し、当該揺動アーム83の先端がリンクを介して位置決めアーム84aの下端部を引っ張る。その結果、位置決めアーム84aの上端の回転部材87が接触アーム84bを押すので、主芯部材80を接触アーム84bとともに正面側へ回動させることができる(図8を参照)。
【0101】
次に、補助芯部材90を駆動するための構成を説明する。動力伝達部120は、ステッピングモータ100の動力を補助芯部材90に伝えるための構成として、補助芯部材駆動カム91と、ベアリング92と、揺動アーム93と、伝達アーム94と、伝達軸95と、保持バネ96と、を備えている。
【0102】
補助芯部材駆動カム91は、主芯部材駆動カム81と同様に、前記カム軸105に固定されている。補助芯部材駆動カム91よりも背面側には揺動アーム93が配置されており、この揺動アーム93の中途部には回転可能なベアリング92が取り付けられている。このベアリング92は、補助芯部材駆動カム91の外周面に接触しながら適宜回転できるように構成されている。
【0103】
揺動アーム93の先端部は、動力伝達部120の適宜の位置に揺動可能に支持された伝達アーム94の下端部に、棒状のリンクを介して連結されている。伝達アーム94の基部には伝達軸95の一端が取り付けられており、伝達軸95の他端は補助芯部材90に固定されている。従って、補助芯部材90は伝達アーム94に連動して一体的に回転する。また、前記伝達アーム94には捩りコイルバネ状の保持バネ96が取り付けられており、伝達アーム94を図5の点線矢印方向に付勢している。
【0104】
以上の構成で、保持バネ96は、補助芯部材90を背面側に回動させる方向(主芯部材80から離れる方向)のバネ力を、伝達アーム94及び伝達軸95を介して当該補助芯部材90に作用させている。同時に、保持バネ96の弾性力が作用する伝達アーム94の先端部が、リンクを介して揺動アーム93を引っ張るので、揺動アーム93のベアリング92が補助芯部材駆動カム91に押し当てられる。このように、保持バネ96は、補助芯部材駆動カム91とベアリング92とを接触させるためのバネ力を発生させている。
【0105】
この状態で補助芯部材駆動カム91が回転し、補助芯部材駆動カム91の周縁部(後述の膨らみ部)がベアリング92を押すと、揺動アーム93がカム軸105から離れる方向に回動し、当該揺動アーム93の先端がリンクを介して伝達アーム94の下端部を引っ張る。その結果、補助芯部材90を正面側(主芯部材80に近づく方向)に回動させることができる。
【0106】
なお、所定の角度を超えて補助芯部材90を正面側に回動させた場合、当該補助芯部材90が主芯部材80の図略の部分と接触し、それ以後は補助芯部材90が主芯部材80を押すようにして一体的に回動するように構成されている(この場合、接触アーム84bの先端部と回転部材87とが適宜離間することになる)。即ち、補助芯部材90が所定の角度を超えて正面側に回動している状態(例えば図7の状態)では、主芯部材80は主芯部材駆動カム81ではなく補助芯部材駆動カム91によって駆動されることになる。
【0107】
次に、跳ね板40を駆動するための構成を説明する。動力伝達部120は、ステッピングモータ100の動力を跳ね板40に伝えるための構成として、跳ね板駆動カム41と、ベアリング42と、揺動アーム43と、伝動アーム44と、伝達軸45と、戻しバネ46と、を備えている。
【0108】
跳ね板駆動カム41は、補助芯部材駆動カム91及び主芯部材駆動カム81と同様に、前記カム軸105に固定されている。跳ね板駆動カム41よりも背面側には揺動アーム43が配置されており、この揺動アーム43の中途部には回転可能なベアリング42が取り付けられている。このベアリング42は、跳ね板駆動カム41の外周面に接触しながら適宜回転できるように構成されている。
【0109】
揺動アーム43の先端部は、動力伝達部120の適宜の位置に揺動可能に支持された伝動アーム44の下端部に、棒状のリンクを介して連結されている。伝動アーム44の基部には伝達軸45の一端が固定されており、伝達軸45の他端は跳ね板40に固定されている。従って、跳ね板40は伝動アーム44に連動して一体的に回転する。また、前記伝動アーム44には捩りコイルバネ状の戻しバネ46が取り付けられており、伝動アーム44を図5の矢印方向に付勢している。
【0110】
以上の構成で、戻しバネ46の弾性力が作用する伝動アーム44の先端部が、リンクを介して揺動アーム43を引っ張るので、揺動アーム43のベアリング42が跳ね板駆動カム41に押し当てられる。このように、戻しバネ46は、跳ね板駆動カム41とベアリング42とを接触させるためのバネ力を発生させている。
【0111】
この状態で跳ね板駆動カム41が回転し、跳ね板駆動カム41の周縁部(後述の膨らみ部)がベアリング42を押すと、揺動アーム43がカム軸105から離れる方向に移動し、当該揺動アーム43の先端がリンクを介して伝動アーム44の下端部を引っ張る。その結果、跳ね板40を正面側へ跳ね上げることができる(図9を参照)。
【0112】
次に、ワインダユニット4が、給糸ボビン21の受取り、給糸ボビン21の糸20が解舒される所定の位置での保持、及び排出を行う構成について説明する。前述のように、本実施形態において跳ね板駆動カム41、主芯部材駆動カム81及び補助芯部材駆動カム91は、共通のカム軸105に固定された同軸カム機構130として構成されており、3つのカム41,81,91が一体的に駆動されるようになっている。また、図6に示すように、3つのカム41,81,91にはそれぞれ膨らみ部が形成されており、この膨らみによって跳ね板40、主芯部材80、補助芯部材90の姿勢を変更させることができる。
【0113】
補助芯部材駆動カム91の膨らみ部(保持カム動作領域)及び跳ね板駆動カム41の膨らみ部(排出カム動作領域)は緩やかに形成されているが、主芯部材駆動カム81の膨らみ部(規定カム動作領域)はやや鋭く形成されている。また、補助芯部材駆動カム91の膨らみ部と跳ね板駆動カム41の膨らみ部とはほぼ同じ位相で形成される一方、それらとほぼ180°異なる位相において主芯部材駆動カム81の膨らみ部が形成されている。
【0114】
以上の構成において、給糸ボビン21の受取りを行うときは、ステッピングモータ100を適宜駆動して3つのカム41,81,91を回転させ、揺動アーム93が有するベアリング92が、補助芯部材駆動カム91において膨らみ部のピーク部分を若干通り過ぎた箇所に接触した状態とし、この状態でカム41,81,91の回転を停止させる。これにより、図7に示すように、補助芯部材90は、直立状態から正面側に若干倒れた姿勢となる。また、このとき、揺動アーム43が有するベアリング42は、跳ね板駆動カム41において膨らみ部を通り過ぎた部分に接触している。従って、跳ね板40は図7に示すように水平な姿勢となっている。
【0115】
この状態においては、補助芯部材90が所定の角度を超えて回動しているため、前述のように主芯部材80も補助芯部材90に押される形で正面側に回動しており、その姿勢は、補助芯部材90と同様に、直立状態から正面側に若干倒れている。そして、この状態で給糸ボビン21がマガジン保持部61から供給されると、ボビン保持部110(主芯部材80及び補助芯部材90)が芯管21aの内部に入り込む。なお、本明細書において、給糸ボビン21の受取りを行うときの主芯部材80の姿勢(図7の姿勢)を受取姿勢と称する。
【0116】
そして、受け取った給糸ボビン21について糸の解舒を行うときは、ステッピングモータ100を再び駆動し、カム軸105を図7の矢印で示す方向に回転させる。これにより、揺動アーム93が有するベアリング92が、補助芯部材駆動カム91において膨らみ部を完全に通り過ぎ、非膨らみ部に接触するようになる。また、揺動アーム83が有するベアリング82は、主芯部材駆動カム81において膨らみ部に接触するようになる。
【0117】
これに伴って、図8に示すように、補助芯部材90は背面側へ若干倒れるように回動する。また、前述したように補助芯部材90によって正面側に押されていた主芯部材80も、補助芯部材90の背面側への回動に伴って同様に背面側に回動していくが、やがて接触アーム84bが位置決めアーム84aの回転部材87に接触することで主芯部材80の回動が止められ、以後は補助芯部材90のみが、保持バネ96のバネ力によって背面側へ回動することになる。即ち、補助芯部材90が主芯部材80から相対的に離れるように変位するため、給糸ボビン21の芯管21aをボビン保持部110によって内側から保持することができる。
【0118】
このときの主芯部材80の回動が止められる姿勢は、位置決めアーム84aが有する回転部材87の位置によって定まる。また、この位置決めアーム84aはリンクを介して揺動アーム83に連結されているので、主芯部材80の姿勢は、前記揺動アーム83のベアリング82が前記主芯部材駆動カム81の膨らみ部におけるどの部分に接触しているか(膨らみ部の立ち上がり部分に接触しているのか、ピーク部分に接触しているのか等)によって変更することができる。即ち、主芯部材駆動カム81の回転位相を変更することで、主芯部材80の姿勢を調整することができるのである。なお、このように主芯部材80の姿勢が変更される場合でも、補助芯部材90は保持バネ96の弾性力によって、給糸ボビン21の保持状態を問題なく維持することができる。
【0119】
なお、本明細書において、給糸ボビン21の解舒を行うときの主芯部材80の姿勢を解舒姿勢と称する。また、前記原点センサ101は、図8のように主芯部材80がほぼ直立した姿勢となっている状態でのプーリ104の回転位相を検出することとし、この状態がステッピングモータ100の回転制御における原点となるように設定されている。なお、主芯部材80の解舒姿勢は給糸ボビン21の種類等によって変化するものであるので、原点センサ101が検出する原点と前記解舒姿勢とは必ずしも一致しない。
【0120】
次に、給糸ボビン21の排出を行うときは、ステッピングモータ100を適宜駆動して3つのカム41,81,91を回転させる。これにより、揺動アーム43,93が有するベアリング42,92が、跳ね板駆動カム41及び補助芯部材駆動カム91の膨らみ部に接触する。従って、図9に示すように、跳ね板40は正面側に大きく回動する。また、これと連動して、補助芯部材90が正面側に回動することで給糸ボビン21の保持が解除されるとともに、当該補助芯部材90が主芯部材80を押しながら正面側に大きく回動する。これにより、跳ね板40が給糸ボビン21の芯管21aの下端を押し上げて、当該給糸ボビン21を排出することができる。なお、本明細書において、給糸ボビン21の排出を行うときの主芯部材80の姿勢を排出姿勢と称する。
【0121】
以上のように、本実施形態では、単一の駆動源であるステッピングモータ100を駆動するだけで、給糸ボビン21の受取り、解舒姿勢での給糸ボビン21の保持(及び当該解舒姿勢の調整)、及び給糸ボビン21の排出を行うことができる。
【0122】
次に、図10から図14までを参照して、ボビンセット部10に給糸ボビン21が供給されてから糸20の巻取りを開始するまでの流れ、特に、給糸ボビン21の位置合わせ動作について説明する。図10は、給糸ボビンが供給されたときにワインダユニット4が行う処理を示すフローチャートである。図11から図14までは、給糸ボビン21の位置合わせ動作を説明する側面図である。なお、このフローチャート及び以下で示すフローチャートで示す処理は一例であって、処理内容を変更したり、処理順序を前後させたりした場合でも本発明の効果が得られることがある。
【0123】
ステッピングモータ制御部102は、ステッピングモータ100を駆動させて、主芯部材80を受取姿勢まで予め移動させておく。ユニット制御部50は、糸20の巻取りを開始する旨の指示を受けると、ボビン供給装置60に給糸ボビン21の供給を行わせる(S101)。ボビン供給装置60から供給された給糸ボビン21は、図11(a)に示すように、ボビン保持部110(詳細には受取姿勢で待機していた主芯部材80及び補助芯部材90)によって受け取られる。そして、ステッピングモータ制御部102は、ボビン保持部110を背面側に回動させる(S102)。
【0124】
本実施形態のワインダユニット4では、ボビン保持部110を背面側に回動させるときにおいて、給糸ボビン21の芯管21aの軸方向の長さ(以下、単に給糸ボビン21の長さと称する)に応じて、異なる処理を行っている。本実施形態では、ユニット制御部50が、チェース部検出センサ74の検出結果に基づいて、給糸ボビン21が所定の長さよりも長いか否かを判断している(S103)。そのため、本実施形態におけるチェース部検出センサ74は長さ情報取得部として機能している。ここで、所定の長さとは、給糸ボビン21がチェース部検出センサ74によって検出可能な最低限の芯管21aの長さに対応する。
【0125】
具体的には、ボビン保持部110を背面側に回動するときに、チェース部検出センサ74が給糸ボビン21を検出した場合は、給糸ボビン21がチェース部検出センサ74の検出範囲を横切った(図11(a)を参照)ことになる。従って、給糸ボビン21の長さが所定の長さ以上であると判断することができる。一方、ボビン保持部110を背面側に回動するときに、チェース部検出センサ74が給糸ボビン21を検出しなかった場合は、給糸ボビン21がチェース部検出センサ74の検出範囲の下方を通過した(図13(a)の鎖線を参照)ことになる。この結果、給糸ボビン21の長さが所定の長さ未満であると判断することができる。
【0126】
初めに、S103の判断で、給糸ボビン21の長さが所定の長さ以上であった場合に行われる処理について説明する。この場合、ステッピングモータ制御部102は、ボビン保持部110を背面側に回動し、給糸ボビン21を一度直立させる(S105)。本実施形態では、S105で、前記の原点センサ101が原点を検出するまでステッピングモータ100を駆動することで、給糸ボビン21を直立させることとしている。なお、この段階では、給糸ボビン21が概ね直立姿勢となっていれば十分であるので、給糸ボビン21の厳密な姿勢制御は行われない。
【0127】
また、ユニット制御部50は、糸縮れ発生防止装置11のブラシ部11bを給糸ボビン21の上端部分に接触させて(図11(b)を参照)、糸20に適切なテンションを付与し、糸縮れの発生を防止する(S105)。その後、ステッピングモータ制御部102は、給糸ボビン21を再び正面側へ若干倒すように、ボビン保持部110を回動させる(S106)。そして、ユニット制御部50は、チェース部検出センサ74によって給糸ボビン21が検出されたときにボビン保持部110の回動を停止させる(S107,図12(a))。
【0128】
また、ユニット制御部50が備える記憶部52は、チェース部検出センサ74によって給糸ボビン21が検出され始めた位置から何パルス分だけステッピングモータ100を駆動させれば給糸ボビン21を解舒基準位置に合わせられるかを示す情報(以下、調整距離と称する)を記憶している。本実施形態では、チェース部検出センサ74によって給糸ボビン21が検出され始めた位置を基準として、給糸ボビン21を上記の調整距離だけ移動させる(具体的には逆方向に戻す)ことで、給糸ボビン21を解舒基準位置に合わせている。そのため、チェース部検出センサ74によって給糸ボビン21が検出され始めた位置を、本明細書で「始動基準位置」と称することがある。このように、チェース部検出センサ74は、給糸ボビン21を解舒基準位置に合わせるために当該給糸ボビン21を検出する位置検出部としても機能する。
【0129】
ここで、記憶部52が記憶している調整距離は、使用する給糸ボビン21の種類と対応付けられている。また、記憶部52は、前記調整距離を、給糸ボビン21の長さが所定の長さ以上である場合と、そうでない場合と、についてそれぞれ記憶している。このため、ユニット制御部50は、以下の処理を行うことにより、今回採用すべき調整距離を決定する。即ち、ユニット制御部50は、オペレータによって予め入力されている、使用する給糸ボビン21の種類に基づいて、上記した2つの場合の調整距離を読み出す。そして、2つの場合のうち、給糸ボビン21の長さが所定の長さ以上である場合の調整距離を、今回用いる調整距離として決定する。
【0130】
そして、ユニット制御部50は、決定した調整距離に基づいて、ステッピングモータ100に所定のパルス数を出力し、ボビン保持部110を背面側に回動させる(S108,図12(b))。
【0131】
これにより、給糸ボビン21の中心軸と、可動部材72の中心軸(仮想線L1)と、を合わせることができる(給糸ボビン21を解舒基準位置に合わせることができる)。従って、給糸ボビン21と解舒補助装置12との間に適切な形状のバルーンを形成することができるので、給糸ボビン21から解舒される糸20のテンションを適正に保ちながら糸20の巻取りを行うことができる。
【0132】
次に、S103の判断で、給糸ボビン21の長さが所定の長さ未満であった場合に行われる処理について説明する。この場合、ユニット制御部50は、給糸ボビン21を直立させる前又は後において、昇降部材駆動部75を駆動して、昇降部材73を所定量(例えば10mm)だけ下降させる(S104)。これにより、可動部材72及びチェース部検出センサ74は、昇降部材73とともに所定量だけ下降する(図13(b)の鎖線を参照)。なお、このときに昇降部材73を下降させる距離については、オペレータがユニット入力部18又は機台入力部8等を操作することで、値の設定及び変更を行うことができる。
【0133】
そして、ユニット制御部50は、上記と同様に、給糸ボビン21を一度直立させ(S105)、糸縮れ発生防止装置11のブラシ部11bを給糸ボビン21の上端部分に接触させる。その後、ステッピングモータ制御部102は、給糸ボビン21を再び正面側へ若干倒すように、ボビン保持部110を回動させる(S106)。なお、昇降部材73を下降する制御は、ボビン保持部110を正面側に回動させる前までに完了していれば良い。また、昇降部材73を下降する制御を開始するタイミングは、給糸ボビン21を直立させる前であっても良いし、給糸ボビン21を直立させた後であっても良い。なお、給糸ボビン21を直立させた後に、昇降部材73を下降する制御を開始する場合は、昇降部材73の下降が完了するまで給糸ボビン21を静止させておく必要がある。
【0134】
昇降部材73及びチェース部検出センサ74を下降させることにより、給糸ボビン21の長さが所定の長さ未満の場合においても、チェース部検出センサ74が給糸ボビン21を検出することが可能となる。従って、上記と同様にユニット制御部50は、チェース部検出センサ74によって給糸ボビン21が検出されたときにボビン保持部110の回動を停止させる(S107,図14(a))。
【0135】
次に、ユニット制御部50は、今回採用すべき調整距離を決定する。具体的には、ユニット制御部50は、予め設定されている給糸ボビン21の種類に基づいて、上記の2つの場合の調整距離を読み出すとともに、この2つの中から、給糸ボビン21の長さが所定の長さ未満である場合の調整距離を、今回用いる調整距離として決定する。そして、ユニット制御部50は、決定した調整距離に基づいて、ステッピングモータ100に所定のパルス数を出力し、ボビン保持部110を背面側に回動させる(S108,図14(b))。
【0136】
これにより、供給される給糸ボビン21の芯管21aが短いために、位置検出部としてのチェース部検出センサ74が給糸ボビン21を検出できなかった場合でも、当該チェース部検出センサ74を下降させることで、短い芯管21aに糸が巻かれた給糸ボビン21を検出することができるようになる。従って、給糸ボビン21を問題なく解舒基準位置に合わせることができる。
【0137】
なお、使用する給糸ボビン21の種類が変更された場合は、ユニット入力部18に適宜の入力を行うことにより、適切な調整距離をユニット制御部50の記憶部52に設定することができる。また、この入力は、ユニット入力部18に行うことに代えて、機台入力部8に行うこともできる。この場合、機台制御装置7は、機台入力部8に入力された内容を各ワインダユニット4に送信する。これにより、各ワインダユニット4のユニット制御部50に対して、適切な調整距離を一括して設定することができる。
【0138】
以上に示したように、本実施形態のワインダユニット4は、ボビン保持部110と、長さ情報取得部及び位置検出部として機能するチェース部検出センサ74と、記憶部52と、ユニット制御部50と、を備える。ボビン保持部110は、給糸ボビン21を保持する。チェース部検出センサ74は、給糸ボビン21の軸方向の長さに関する情報である長さ情報を取得する。チェース部検出センサ74は、ボビン保持部110に保持された給糸ボビン21の位置を検出可能である。記憶部52は、糸20の巻取り時に給糸ボビン21を保持すべき位置である解舒基準位置の情報と、チェース部検出センサ74が設けられている位置の情報と、を記憶する。ユニット制御部50は、長さ情報に基づいて、ボビン保持部110に保持された給糸ボビン21をチェース部検出センサ74が検出できるように当該チェース部検出センサ74を移動させる制御と、チェース部検出センサ74の検出結果及び記憶部52の記憶内容に基づいて、給糸ボビン21を目標位置に合わせるように当該給糸ボビン21を移動させる制御と、を行う。
【0139】
これにより、チェース部検出センサ74が取得した長さ情報を利用することで、給糸ボビン21の長さに応じた位置に当該チェース部検出センサ74を移動させることができる。従って、給糸ボビン21の長さにバラツキがある場合においても、チェース部検出センサ74が給糸ボビン21の検出に失敗しないので、給糸ボビン21を目標位置に合わせる動作(位置合わせ動作)を確実に行うことができる。
【0140】
また、本実施形態では、チェース部検出センサ74が長さ情報取得部と位置検出部との両方を兼ねている。このため、センサの個数を減らすことができ、構成を簡素化してコストを削減することができる。
【0141】
次に、図15から図19までを参照して、上記実施形態の第1変形例を説明する。図15は、第1変形例において、給糸ボビン21が供給されたときにワインダユニット4が行う処理を示すフローチャートである。図16及び図17は、第1変形例における給糸ボビン21の位置合わせ動作を説明する側面図である。図18は、長さ計測センサとしてエリアセンサ58を用いた例を示す側面図である。図19は、ボビン供給装置60に配置される長さ計測センサの例を示す図である。
【0142】
なお、本変形例においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。また、本変形例においては、給糸ボビン21の周囲を見易くするために、糸縮れ発生防止装置11の図示を省略している。
【0143】
即ち、上記した実施形態の構成(図11)では、長さ情報取得部としてチェース部検出センサ74が用いられている。一方で、本変形例は、長さ情報取得部として、チェース部検出センサ74とは別のセンサを用いる構成となっている。具体的には、本変形例では、上記実施形態の構成に加えて、図16に示すように長さ計測センサ57を備える構成となっている。
【0144】
長さ計測センサ57は、ボビンセット部10がボビンを受け取ってから、給糸ボビン21を旋回させて直立姿勢とするまでの間に、当該給糸ボビン21の長さを計測可能となっている。具体的には、長さ計測センサ57は、チェース部検出センサ74と同等のセンサ素子を4つ備えている。なお、それぞれのセンサ素子は、チェース部検出センサ74と同様に、投光部と受光部とから構成されている。また、この4つのセンサ素子が並べられる方向は、長さ計測センサ57を通過するときの当該給糸ボビン21の軸方向と等しくなっている(図16(a)の鎖線を参照)。本実施形態においては、2つのセンサ素子に給糸ボビン21の芯管21aが検出される状態で、チェース部検出センサ74が給糸ボビン21の芯管21aを最適に検出できるように昇降部材73の初期位置を設定している。
【0145】
この構成で、給糸ボビン21が長さ計測センサ57を通過するときに給糸ボビン21を検出したセンサ素子の個数が多いほど、給糸ボビン21の長さが長いということができる。従って、本変形例では、当該給糸ボビン21を検出したセンサ素子の個数に基づいて、給糸ボビン21の長さをある程度把握することができる。このように、長さ計測センサ57は、給糸ボビン21の長さを、2段階(所定以上か否か)ではなく3段階以上の多段階で表現できるので、給糸ボビン21の長さをより具体的に計測することができる。以下、長さ情報取得部として長さ計測センサ57を用いたときにおける、給糸ボビン21の位置合わせ動作について説明する。
【0146】
ユニット制御部50は、糸20の巻取りを開始する旨の指示を受けると、ボビン供給装置60に給糸ボビン21の供給を行わせる(図15のS201)。ボビン供給装置60から供給された給糸ボビン21は、図16(a)に示すように、ボビン保持部110によって受け取られる。次に、ステッピングモータ制御部102は、ボビン保持部110を背面側に回動させる(S202)。長さ計測センサ57は、ボビン保持部110を背面側に回動する途中において、給糸ボビン21の長さを計測する(S203、図16(a)の鎖線を参照)。そして、長さ計測センサ57は、計測した給糸ボビン21の長さをユニット制御部50に送信する。
【0147】
ユニット制御部50は、長さ計測センサ57から受信した給糸ボビン21の長さに基づいて、解舒補助装置12の位置を調整する(S204)。なお、本変形例における解舒補助装置12は、固定部材71に代えて、第2可動部材(第2補助部材)171を備えている。第2可動部材171は、図略の駆動源から動力が供給されることにより、鉛直方向に移動可能となっている。そのため、第2可動部材171は、昇降部材73と独立して移動可能である。
【0148】
長さ計測センサ57が測定した給糸ボビン21の長さに基づいて行う解舒補助装置12の位置の調整には、様々なパターンが考えられる。即ち、適切な形状のバルーンを形成するためには、給糸ボビン21と可動部材72との位置関係だけでなく、給糸ボビン21(又は可動部材72)と第2可動部材171との位置関係も重要である。特に、昇降部材73を大きく移動させるときにおいては、同じ向きに第2可動部材171を移動させることが好ましい。
【0149】
図16では、比較的長い芯管21aに糸が巻かれた給糸ボビン21がワインダユニット4に供給された例が示されている。この例では、仮に解舒補助装置12を移動させないとすると、図16(b)に示すように、チェース部検出センサ74の高さが、芯管21aとチェース部21bとの境界付近の高さとなってしまう。この場合、チェース部検出センサ74が芯管21aでなく糸層を検出してしまうおそれがあるので、位置合わせ動作を精度良く行うことが困難になる。これを避けるために、ユニット制御部50は、長さ計測センサ57を構成する4個のセンサ素子のうち3個以上が給糸ボビン21を検出するような場合は、昇降部材73を上昇させる(図16(b)の鎖線を参照)。これにより、チェース部検出センサ74の高さが芯管21aを検出可能な高さとなるため、位置合わせ動作を適切に行うことができる。
【0150】
また、本変形例では、今回の例のように比較的長い芯管21aに糸が巻かれた給糸ボビン21が供給されている場合、ユニット制御部50は、昇降部材73だけでなく、第2可動部材171も上昇させている(図16(b)の鎖線を参照)。このように、可動部材72だけでなく第2可動部材171についても給糸ボビン21の長さに応じた適切な位置に移動させることで、給糸ボビン21から解舒される糸のテンションをより適正に保ちながら糸20の巻取りを行うことができる。
【0151】
ユニット制御部50は、解舒補助装置12の位置を調整した後に、上記と同様に、給糸ボビン21を一度直立させる(S205)。なお、上述のとおり本変形例の図では糸縮れ発生防止装置11を省略しているが、このときに糸縮れ発生防止装置11のブラシ部11bが給糸ボビン21の上端部分に接触させられる。その後、ステッピングモータ制御部102は、給糸ボビン21を再び正面側へ若干倒すように、ボビン保持部110を回動させる(S206)。そして、ユニット制御部50は、チェース部検出センサ74によって給糸ボビン21が検出されたときにボビン保持部110の回動を停止させる(S207,図17(a))。
【0152】
ここで、上記と同様に記憶部52の記憶内容に基づいて調整距離を求めるが、本変形例では、給糸ボビン21の長さを3段階以上の多段階で取得できるようになっているので、給糸ボビン21の種類毎に各段階についての調整距離を記憶部52で(例えばテーブル形式で)記憶させている。また、記憶内容の肥大化を避けるため、ユニット制御部50は、給糸ボビン21の種類と、チェース部検出センサ74の高さと、解舒基準位置と、に基づき、記憶部52に記憶された所定の計算式に従って調整距離を求めるようにしても良い。そして、ユニット制御部50は、計算した調整距離に基づいて、ステッピングモータ100に所定のパルス数を出力して、ボビン保持部110を背面側に回動させる(S208,図17(b))。
【0153】
このように、本変形例では、ある程度具体的に検出した給糸ボビン21の長さに応じて、位置検出部としてのチェース部検出センサ74を移動させている。そのため、給糸ボビン21の位置合わせ動作をより確実に行うことができる。また、上記実施形態(図11)では、想定より長い芯管21aに糸が巻かれた給糸ボビン21が供給されたときに位置合わせを適切に行うことができない場合があるが、本変形例では、長い芯管21aに糸が巻かれた給糸ボビン21及び短い芯管21aに糸が巻かれた給糸ボビン21の両方に対応することができる。
【0154】
なお、長さ計測センサ57に代えて、図18に示すようなエリアセンサ58を用いても良い。エリアセンサ58は、長さ計測センサ57と同様に複数のセンサ素子から構成されているが、長さ計測センサ57のように独立して動作可能なセンサ素子が組み合わせて構成されている訳ではなく、初めから所定の検出範囲を検出するセンサとして一体的に構成されている。このエリアセンサ58においては、センサ素子間の間隔が極めて短いため、給糸ボビン21の長さを具体的な数値として取得することができる。従って、位置合わせ動作をより確実に行うことができる。また、単一組のセンサ素子で構成され、受光量の変化に応じて対象物の占めるエリアを検出するエリアセンサを用いることもできる。
【0155】
また、図16及び図18の構成においては、ボビンセット部10がボビンを受け取ってから、給糸ボビン21が直立するまでの間に、当該給糸ボビン21の長さが計測される。これにより、給糸ボビン21の長さだけでなく、給糸ボビン21の供給ミス及び受取りミス等を検出することができる。即ち、ユニット制御部50が給糸ボビン21を供給させたにも関わらず、長さ計測センサ57又はエリアセンサ58が給糸ボビン21を全く検出しない場合は、マガジンカン62に給糸ボビン21が挿入されていないこと、或いは、ボビン保持部110が芯管21aに適切に挿入されなかったこと等が疑われる。このようなミスを検出することにより、素早く次の給糸ボビン21を供給させることが可能となり、巻取効率を向上させることができる。
【0156】
長さ計測センサが配置される場所は任意であるが、ボビン供給装置60(マガジンカン62の収納孔)から前記解舒基準位置までの前記給糸ボビン21の経路に配置されると、構成を簡素化できる点で有利である。例えば図19に示すように、長さ計測センサとしてのボビン検出センサ59がボビン供給装置60の近傍に配置される構成であっても良い。このボビン検出センサ59は、マガジンカン62に収納される給糸ボビン21の上部を検出可能な2つの接触センサ(センサ素子)59aと、給糸ボビン21の下部を検出可能な接触センサ59bと、を備えている。これらの接触センサ59a,59bは、マガジンカン62とともに回転しないように取り付けられているため、マガジンカン62が回転しても、常に、次にボビンセット部10に供給される給糸ボビン21の長さを計測できるようになっている。下部に配置される接触センサ59bは、給糸ボビン21の有無を検出するために用いられ、上部に配置される2つの接触センサ59aは、給糸ボビン21の長さを3段階で計測するために用いられる。なお、ボビン検出センサ59としては、接触センサを用いても良いし、非接触タイプのセンサを用いても良い。
【0157】
このボビン検出センサ59の構成において、下部の接触センサ59bが給糸ボビン21を検出し、かつ上部の接触センサ59aが2つとも給糸ボビン21を検出したときは、次に供給される給糸ボビン21の長さが比較的長いということになる。また、下部の接触センサ59bが給糸ボビン21を検出したときに、上部の接触センサ59aのうち1つだけが給糸ボビン21を検出したときは、次に供給される給糸ボビン21は中程度の長さということになる。更に、下部の接触センサ59bが給糸ボビン21を検出したときに、上部の接触センサ59aのうち何れも給糸ボビン21を検出していないときは、次に供給される給糸ボビン21は比較的短いということになる。
【0158】
なお、下部の接触センサ59bが給糸ボビン21を検出しなかった場合は、ボビン収納孔に給糸ボビン21が収納されていないので、マガジンカン62が回転して下部のボビン検出センサ59が給糸ボビン21を検出できるようになるまで、上記のような給糸ボビン21の長さの判断を行わない。そして、ユニット制御部50は、ボビン検出センサ59が検出した長さに応じて解舒補助装置12の位置を調整することにより、位置合わせ動作を確実に行うことができる。
【0159】
なお、図19のようにボビン供給装置60の近傍にボビン検出センサ59が配置される構成では、比較的早い段階で給糸ボビン21の長さを計測することができる。従って、解舒補助装置12の位置の調整に際して時間的な余裕があるため、この調整を無理なく行うことができる。
【0160】
以上に示したように、第1変形例のワインダユニット4においては、長さ計測センサ57は、長さ情報を計測により取得する。
【0161】
これにより、給糸ボビン21の長さをある程度具体的に検出することができるので、位置検出部としてのチェース部検出センサ74を給糸ボビン21の検出に失敗しない位置に移動させることができる。従って、給糸ボビン21の位置合わせ動作をより確実かつ正確に行うことができる。
【0162】
また、本変形例のワインダユニット4は、マガジン式のボビン供給装置60と、ボビン案内部64と、を備える。ボビン供給装置60は、複数のボビン収納孔を備える。ボビン案内部64は、ボビン収納孔に収納された給糸ボビン21をボビン保持部110まで案内する案内経路を有する。ユニット制御部50は、案内経路を介してボビン保持部110が受け取った給糸ボビン21を解舒基準位置まで移動させる制御を行う。長さ計測センサ57(又はエリアセンサ58、ボビン検出センサ59)は、給糸ボビン21がボビン収納孔に収納されてから解舒基準位置に到達するまでの間に、長さ情報を計測して取得する。
【0163】
これにより、給糸ボビン21が通常搬送される経路において長さ情報を計測して取得することができる。従って、長さ情報の計測のために特別な経路等を設ける必要がなく、ワインダユニット4の構成が複雑化することを防止できる。
【0164】
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
【0165】
即ち、上記実施形態及び第1変形例においては、給糸ボビン21の長さをセンサによって計測することで取得する構成であるが、本変形例では、機台入力部8又はユニット入力部18によって入力された情報に基づいて、長さ情報取得部及び入力長さ取得部としてのユニット制御部50が給糸ボビン21の長さを取得する構成である。つまり、ユニット制御部50は、事前に設定された給糸ボビン21の種類に基づいて、給糸ボビン21の長さの情報を得る。
【0166】
ユニット制御部50は、給糸ボビン21の長さを取得すると、この給糸ボビン21の長さに応じて、給糸ボビン21の位置合わせを行う際に解舒補助装置12(チェース部検出センサ74)を予め待機させる位置を決定する。この決定は、第1変形例のS204で説明した方法と同様に行われる。以下では、給糸ボビン21の位置合わせ時に位置検出部を予め待機させておく位置を開始基準位置と称することがある。ここで決定された開始基準位置は、使用する給糸ボビン21の設定が変更されない限り変化しない。
【0167】
ワインダユニット4は、この開始基準位置を用いて給糸ボビン21の位置合わせ動作を行うが、このときの位置合わせの方法としては以下の2種類が考えられる。
【0168】
即ち、1つ目の方法は、位置合わせ動作時においては、位置検出部としてのチェース部検出センサ74を開始基準位置から全く移動させないようにする方法である。つまり、同一の種類の給糸ボビン21であれば、その長さは大きくは変化しないものであるから、チェース部検出センサ74の位置が適切であれば、殆どの場合、当該チェース部検出センサ74で芯管21aを問題なく検出できる。従って、この方法では、給糸ボビン21の長さを個別に測定してチェース部検出センサ74を移動させることはせず、チェース部検出センサ74を開始基準位置で常に静止させた状態で位置合わせ動作を行う。これにより、制御を簡素化することができる。
【0169】
2つ目の方法は、給糸ボビン21の長さを個別に測定し、この測定結果によって、チェース部検出センサ74を開始基準位置から移動させるか否かを決定するものである。ここで、給糸ボビン21の長さを個別に測定する方法としては、上記実施形態のようにチェース部検出センサ74を用いる方法や、第1変形例のように専用のセンサ(長さ計測センサ57等)を用いる方法が考えられる。つまり、この方法においては、ユニット制御部50が、設定に基づいて給糸ボビン21の長さを取得する第1長さ情報取得部として機能する。また、チェース部検出センサ74が、給糸ボビン21の長さを個別に測定する第2長さ情報取得部として機能する。そして、ユニット制御部50は、給糸ボビン21の計測結果に基づいて、位置検出部としてのチェース部検出センサ74が開始基準位置にあるのでは給糸ボビン21を検出できないと判断したときに、当該チェース部検出センサ74の位置を前記開始基準位置から変更するように制御を行う。
【0170】
この2つ目の方法を用いることにより、供給される給糸ボビン21のうちの大部分については、位置検出部としてのチェース部検出センサ74を開始基準位置から移動することなく、給糸ボビン21の位置合わせ動作を行うことができる。一方で、通常と長さの異なる給糸ボビン21が供給された場合には、当該給糸ボビン21に応じた位置へ位置検出部を移動させることで、この場合でも問題なく位置合わせを行うことができる。
【0171】
以上に示したように、第2変形例の自動ワインダは、ワインダユニット4と、機台制御装置7と、入力部(機台入力部8及びユニット入力部18)と、を備える。機台制御装置7は、複数のワインダユニット4を制御する。入力部は、給糸ボビン21に関する情報を入力可能である。ユニット制御部50は、入力部に入力された情報に基づいて長さ情報を取得する(即ち、長さ情報取得部として機能する)。そして、ユニット制御部50は、この長さ情報に基づいて、開始基準位置を決定し、チェース部検出センサ74を開始基準位置に移動させる制御を行う。
【0172】
これにより、入力内容に基づいて決定した開始基準位置にチェース部検出センサ74を移動させることで、給糸ボビン21が供給される度に当該給糸ボビン21の長さを取得(計測)する手間を省くことができる。また、複数のワインダユニット4に対して給糸ボビン21の長さをまとめて設定することが容易になる。
【0173】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0174】
上記実施形態及び変形例では、解舒補助装置12において筒状の可動部材72が用いられているが、これに代えて、ガイド穴を有する板部材や針金等で成形された線状ガイド部材や多角柱部材等、様々な形状の可動部材を用いることができる。
【0175】
上記実施形態及び変形例では、給糸ボビン21を解舒補助装置12の解舒基準位置に合わせるための位置合わせ動作について説明したが、本発明の位置合わせにおいては、解舒基準位置に限らず任意の位置を目標位置とすることができる。そのため、解舒補助装置12を有しないタイプのワインダユニット4に本発明の構成を適用することも可能である。この場合、目標位置としては、例えば、糸20が巻取ボビン22に対してトラバースさせられるセンター位置の延長線上の位置や、給糸ボビン21から解舒された糸をガイドするガイド部材の鉛直線上の位置とすることが考えられる。
【0176】
上記実施形態及び変形例では、ステッピングモータ100を用いて跳ね板40及びボビン保持部110等を駆動する構成であるが、これに代えて、例えばサーボモータ若しくはリニアモータ若しくはボイスコイルモータ等を用いて動力伝達部120を駆動する構成にしても良い。
【0177】
上記実施形態及び変形例では、チェース部検出センサ74及び長さ計測センサ57として透過式のフォトセンサが用いられているが、これに代えて、例えば反射式フォトセンサ等を用いる構成にしても良い。
【0178】
上記実施形態及び変形例では、テンション付与装置13としてゲート式のテンション付与装置が用いられているが、これに代えて、例えば公知のディスク式のテンション付与装置を用いて、走行する糸に所定のテンションを付与する構成にしても良い。
【0179】
上記実施形態及び変形例に示すワインダユニット4は、マガジンカン62を備えたボビン供給装置60を備えているが、このボビン供給装置は、給糸ボビン21を、糸20が解舒される所定の位置に供給するものである限り、任意の構成とすることができる。例えば、給糸ボビン21を複数積載して収納可能な柱形状の収納部材を備え、前記収納部材から給糸ボビン21を供給する構成としてもよい。
【0180】
また、ボビン供給装置は、給糸ボビン21を積載したトレーをコンベアベルトによって搬送することで解舒位置へと供給するトレータイプのボビン供給装置であってもよい。トレータイプのボビン供給装置を備えるワインダユニットでは、コンベアの搬送方向を切替えることにより、給糸ボビン21の位置を前後方向に平行移動させて給糸ボビン21の位置を目標位置に合わせることができる。また、解舒位置にトレーを揺動させる揺動部材を設け、解舒位置において給糸ボビン21をトレーとともに前後方向に揺動させることで、給糸ボビン21の解舒側端部の位置を目標位置に合わせることも考えられる。
【符号の説明】
【0181】
1 自動ワインダ
4 ワインダユニット(巻取ユニット)
7 機台制御装置
8 機台入力部(入力部)
110 ボビン保持部(ボビン保持機構)
12 解舒補助装置
18 ユニット入力部(入力部)
50 ユニット制御部(制御部、入力情報取得部)
52 記憶部
57 長さ計測センサ(長さ情報取得部)
58 エリアセンサ(長さ情報取得部、長さ計測センサ)
59 ボビン検出センサ(長さ情報取得部)
72 可動部材(第1補助部材)
74 チェース部検出センサ(長さ情報取得部、位置検出部)
171 第2可動部材(第2補助部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給糸ボビンを保持するボビン保持機構と、
給糸ボビンの軸方向の長さに関する情報である長さ情報を取得する長さ情報取得部と、
前記ボビン保持機構に保持された給糸ボビンの位置を検出可能である位置検出部と、
糸の巻取り時に給糸ボビンを保持すべき位置である目標位置の情報と、前記位置検出部が設けられている位置の情報と、を記憶する記憶部と、
前記長さ情報に基づいて、前記ボビン保持機構に保持された給糸ボビンを前記位置検出部が検出できるように当該位置検出部を移動させる制御と、前記位置検出部の検出結果及び前記記憶部の記憶内容に基づいて、給糸ボビンを前記目標位置に合わせるように当該給糸ボビンを移動させる制御と、を行う制御部と、
を備えることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の巻取ユニットであって、
給糸ボビンの糸の解舒を補助する解舒補助装置を備え、
前記目標位置は、前記解舒補助装置の解舒基準位置であり、
前記制御部は、前記ボビン保持機構に保持された給糸ボビンを前記解舒補助装置の解舒基準位置に合わせるように当該給糸ボビンを移動させることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の巻取ユニットであって、
前記解舒補助装置は、パッケージの巻取動作の進行に伴う給糸ボビンの糸層端部であるチェース部の変化に追従して移動することで、給糸ボビンの糸の解舒を補助する第1補助部材を有し、
前記位置検出部は、解舒作業時に前記第1補助部材とともに移動して前記チェース部を検出するチェース部検出センサであることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の巻取ユニットであって、
前記チェース部検出センサは、前記長さ情報取得部を兼ねており、前記チェース部検出センサは、通過する給糸ボビンの検出結果から前記長さ情報を取得することを特徴とする巻取ユニット。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の巻取ユニットであって、
前記第1補助部材及び前記チェース部検出センサは、共通の駆動源によって駆動されることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の巻取ユニットであって、
前記駆動源として、ステッピングモータが用いられることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項7】
請求項1から3までの何れか一項に記載の巻取ユニットであって、
前記長さ情報取得部は、前記長さ情報を計測により取得する長さ計測センサであることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項8】
請求項7に記載の巻取ユニットであって、
給糸ボビンの糸の解舒を補助する解舒補助装置を備え、
前記目標位置は、前記解舒補助装置の解舒基準位置であり、
前記解舒補助装置は、パッケージの巻取動作の進行に伴う給糸ボビンの糸層端部であるチェース部の変化に追従して移動することで、給糸ボビンの糸の解舒を補助する第1補助部材を有し、
前記位置検出部は、解舒作業時に前記第1補助部材とともに移動して前記チェース部を検出するチェース部検出センサであり、
前記制御部は、前記長さ計測センサの計測結果に基づいて前記チェース部検出センサの位置を調整することを特徴とする巻取ユニット。
【請求項9】
請求項8に記載の巻取ユニットであって、
前記解舒補助装置は、前記第1補助部材の糸の巻取り方向下流側で給糸ボビンの糸の解舒を補助する第2補助部材を備え、
前記制御部は、前記長さ計測センサの計測結果に基づいて、前記第2補助部材の位置を調整することを特徴とする巻取ユニット。
【請求項10】
請求項7から9までの何れか一項に記載の巻取ユニットであって、
複数のボビン収納孔を備えたマガジン式のボビン供給装置と、
前記ボビン収納孔に収納された給糸ボビンを前記ボビン保持機構まで案内する案内経路を有するボビン案内部と、
を備え、
前記制御部は、前記案内経路を介して前記ボビン保持機構が受け取った給糸ボビンを前記目標位置まで移動させる制御を行い、
前記長さ計測センサは、給糸ボビンが前記ボビン収納孔に収納されてから前記目標位置に到達するまでの間に、前記長さ情報を計測して取得することを特徴とする巻取ユニット。
【請求項11】
請求項10に記載の巻取ユニットであって、
前記長さ計測センサは、複数の前記ボビン収納孔に収納された給糸ボビンのうち少なくとも1つの前記ボビン収納孔に保持された給糸ボビンについて、前記長さ情報を計測して取得することを特徴とする巻取ユニット。
【請求項12】
請求項7から10までの何れか一項に記載の巻取ユニットであって、
前記ボビン保持機構は、受け取った給糸ボビンを少なくとも前記目標位置まで旋回移動させることが可能であり、
前記長さ計測センサは、前記ボビン保持機構が給糸ボビンを受け取ってから前記目標位置まで旋回移動させるまでの間に当該給糸ボビンの前記長さ情報を計測して取得可能であることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項13】
請求項7から12までの何れか一項に記載の巻取ユニットであって、
前記長さ計測センサは、物体の有無を検出可能なセンサ素子を複数備えており、
前記センサ素子は、当該長さ計測センサを通過するときの給糸ボビンの軸方向に沿って配置されることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項14】
請求項7から12までの何れか一項に記載の巻取ユニットであって、
前記長さ計測センサは、検出範囲において物体が存在する部分を検出可能なエリアセンサであり、前記検出範囲において給糸ボビンが占める割合に基づいて、当該給糸ボビンの長さを検出することを特徴とする巻取ユニット。
【請求項15】
請求項1から3までの何れか一項に記載の複数の巻取ユニットと、
複数の前記巻取ユニットを制御する機台制御装置と、
前記巻取ユニット及び機台制御装置のうち少なくとも何れか一方に設けられ、給糸ボビンに関する情報を入力可能である入力部と、
を備え、
前記長さ情報取得部は、前記入力部に入力された情報に基づいて、前記長さ情報を取得する入力長さ取得部であり、
前記制御部は、前記入力長さ取得部が取得した前記長さ情報に基づいて、給糸ボビンの位置合わせを行う際に前記位置検出部を予め待機させておく位置である開始基準位置を決定し、前記位置検出部を前記開始基準位置に移動させる制御を行うことを特徴とする自動ワインダ。
【請求項16】
請求項15に記載の自動ワインダであって、
給糸ボビンの糸の解舒を補助する解舒補助装置を備え、
前記目標位置は、前記解舒補助装置の解舒基準位置であり、
前記解舒補助装置は、パッケージの巻取動作の進行に伴う給糸ボビンの糸層端部であるチェース部の変化に追従して移動することで、給糸ボビンの糸の解舒を補助する第1補助部材を有し、
前記位置検出部は、解舒作業時に前記第1補助部材とともに移動して前記チェース部を検出するチェース部検出センサであり、
前記制御部は、前記入力長さ取得部の取得内容に基づいて、前記チェース部検出センサの位置を調整することを特徴とする自動ワインダ。
【請求項17】
請求項16に記載の自動ワインダであって、
前記解舒補助装置は、前記第1補助部材の糸の巻取り方向下流側で給糸ボビンの糸の解舒を補助する第2補助部材を備え、
前記制御部は、前記入力長さ取得部が取得した前記長さ情報に基づいて、前記第2補助部材の位置を調整することを特徴とする自動ワインダ。
【請求項18】
請求項1から3までの何れか一項に記載の複数の巻取ユニットと、
複数の前記巻取ユニットを制御する機台制御装置と、
巻取ユニット又は機台制御装置に設けられ、給糸ボビンの長さに関する情報を入力可能である入力部と、
を備え、
前記長さ情報取得部は、第1長さ情報取得部と、第2長さ情報取得部と、で構成されており、
前記第1長さ情報取得部は、前記入力部に入力された情報に基づいて、前記長さ情報を取得し、
前記第2長さ情報取得部は、供給される給糸ボビンを計測することにより、前記長さ情報を取得し、
前記制御部は、前記第1長さ情報取得部が取得した前記長さ情報に基づいて、給糸ボビンの位置合わせを行う際に前記位置検出部を予め待機させておく位置である開始基準位置を決定する制御と、前記開始基準位置の前記位置検出部が給糸ボビンを検出できないと判断したときに、前記第2長さ情報取得部が取得した前記長さ情報に基づいて、当該位置検出部を移動させる制御を行うことを特徴とする自動ワインダ。
【請求項19】
給糸ボビンから解舒された糸を巻き付けてパッケージを形成する巻取ユニットによる給糸ボビンの位置合わせ方法において、
給糸ボビンの位置を検出可能である位置検出部を通過するように給糸ボビンを移動させる第1工程と、
前記位置検出部が給糸ボビンを検出できなかった場合に、当該位置検出部を移動させる第2工程と、
給糸ボビンを再び前記位置検出部に向けて移動して、給糸ボビンを前記位置検出部により検出させて、当該給糸ボビンの位置合わせのための始動基準位置を決定する第3工程と、
決定された始動基準位置から、予め設定された距離だけ給糸ボビンを移動させて、当該給糸ボビンの位置を、給糸ボビンを保持すべき位置である目標位置に合わせる第4工程と、
を含むことを特徴とする給糸ボビンの位置合わせ方法。
【請求項20】
給糸ボビンから解舒された糸を巻き付けてパッケージを形成する巻取ユニットによる給糸ボビンの位置合わせ方法において、
給糸ボビンの軸方向の長さに関する情報である長さ情報を、長さ計測センサが計測することで取得する第1工程と、
前記長さ計測センサが取得した前記長さ情報に基づいて、給糸ボビンの位置を検出可能な位置検出部を移動させる第2工程と、
給糸ボビンを前記位置検出部に向けて移動して、給糸ボビンを前記位置検出部により検出させて、当該給糸ボビンの位置合わせのための始動基準位置を決定する第3工程と、
前記始動基準位置から給糸ボビンを保持すべき位置である目標位置までの距離を示す調整距離を、前記位置検出部の位置と前記給糸ボビンの位置とに基づいて取得し、当該調整距離に基づいた距離だけ給糸ボビンを始動基準位置から移動させて、給糸ボビンの位置を目標位置に合わせる第4工程と、
を含むことを特徴とする給糸ボビンの位置合わせ方法。
【請求項21】
給糸ボビンから解舒された糸を巻き付けてパッケージを形成する複数の巻取ユニットと、複数の前記巻取ユニットを制御する機台制御部と、を備えた自動ワインダによる給糸ボビンの位置合わせ方法において、
前記巻取ユニット及び機台制御装置のうち少なくとも何れか一方に設けられた入力部に入力された給糸ボビンに関する情報に基づいて、給糸ボビンの軸方向の長さに関する情報である長さ情報を取得する第1工程と、
取得した前記長さ情報に基づいて給糸ボビンの位置合わせを行う際に位置検出部を予め待機させておく位置である開始基準位置を決定し、前記位置検出部を前記開始基準位置に移動させる第2工程と、
給糸ボビンを前記位置検出部に向けて移動して、給糸ボビンを前記位置検出部に検出させて、当該給糸ボビンの位置合わせのための始動基準位置を決定する第3工程と、
前記始動基準位置から給糸ボビンを保持すべき位置である目標位置までの距離を示す調整距離を、前記位置検出部の位置と前記給糸ボビンの位置とに基づいて取得し、当該調整距離に基づいた距離だけ給糸ボビンを始動基準位置から移動させて、給糸ボビンの位置を目標位置に合わせる第4工程と、
を含むことを特徴とする給糸ボビンの位置合わせ方法。
【請求項22】
給糸ボビンを保持するボビン保持機構と、
前記ボビン保持機構に保持された給糸ボビンを検出する位置検出部と、
前記ボビン保持機構を制御して最適な位置に位置決めする制御部と、
を備えることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項23】
請求項22に記載の巻取ユニットであって、
前記位置検出部を移動させるために給糸ボビンの長さ情報を取得する長さ情報取得部を備えることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項1】
給糸ボビンを保持するボビン保持機構と、
給糸ボビンの軸方向の長さに関する情報である長さ情報を取得する長さ情報取得部と、
前記ボビン保持機構に保持された給糸ボビンの位置を検出可能である位置検出部と、
糸の巻取り時に給糸ボビンを保持すべき位置である目標位置の情報と、前記位置検出部が設けられている位置の情報と、を記憶する記憶部と、
前記長さ情報に基づいて、前記ボビン保持機構に保持された給糸ボビンを前記位置検出部が検出できるように当該位置検出部を移動させる制御と、前記位置検出部の検出結果及び前記記憶部の記憶内容に基づいて、給糸ボビンを前記目標位置に合わせるように当該給糸ボビンを移動させる制御と、を行う制御部と、
を備えることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の巻取ユニットであって、
給糸ボビンの糸の解舒を補助する解舒補助装置を備え、
前記目標位置は、前記解舒補助装置の解舒基準位置であり、
前記制御部は、前記ボビン保持機構に保持された給糸ボビンを前記解舒補助装置の解舒基準位置に合わせるように当該給糸ボビンを移動させることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の巻取ユニットであって、
前記解舒補助装置は、パッケージの巻取動作の進行に伴う給糸ボビンの糸層端部であるチェース部の変化に追従して移動することで、給糸ボビンの糸の解舒を補助する第1補助部材を有し、
前記位置検出部は、解舒作業時に前記第1補助部材とともに移動して前記チェース部を検出するチェース部検出センサであることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の巻取ユニットであって、
前記チェース部検出センサは、前記長さ情報取得部を兼ねており、前記チェース部検出センサは、通過する給糸ボビンの検出結果から前記長さ情報を取得することを特徴とする巻取ユニット。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の巻取ユニットであって、
前記第1補助部材及び前記チェース部検出センサは、共通の駆動源によって駆動されることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の巻取ユニットであって、
前記駆動源として、ステッピングモータが用いられることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項7】
請求項1から3までの何れか一項に記載の巻取ユニットであって、
前記長さ情報取得部は、前記長さ情報を計測により取得する長さ計測センサであることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項8】
請求項7に記載の巻取ユニットであって、
給糸ボビンの糸の解舒を補助する解舒補助装置を備え、
前記目標位置は、前記解舒補助装置の解舒基準位置であり、
前記解舒補助装置は、パッケージの巻取動作の進行に伴う給糸ボビンの糸層端部であるチェース部の変化に追従して移動することで、給糸ボビンの糸の解舒を補助する第1補助部材を有し、
前記位置検出部は、解舒作業時に前記第1補助部材とともに移動して前記チェース部を検出するチェース部検出センサであり、
前記制御部は、前記長さ計測センサの計測結果に基づいて前記チェース部検出センサの位置を調整することを特徴とする巻取ユニット。
【請求項9】
請求項8に記載の巻取ユニットであって、
前記解舒補助装置は、前記第1補助部材の糸の巻取り方向下流側で給糸ボビンの糸の解舒を補助する第2補助部材を備え、
前記制御部は、前記長さ計測センサの計測結果に基づいて、前記第2補助部材の位置を調整することを特徴とする巻取ユニット。
【請求項10】
請求項7から9までの何れか一項に記載の巻取ユニットであって、
複数のボビン収納孔を備えたマガジン式のボビン供給装置と、
前記ボビン収納孔に収納された給糸ボビンを前記ボビン保持機構まで案内する案内経路を有するボビン案内部と、
を備え、
前記制御部は、前記案内経路を介して前記ボビン保持機構が受け取った給糸ボビンを前記目標位置まで移動させる制御を行い、
前記長さ計測センサは、給糸ボビンが前記ボビン収納孔に収納されてから前記目標位置に到達するまでの間に、前記長さ情報を計測して取得することを特徴とする巻取ユニット。
【請求項11】
請求項10に記載の巻取ユニットであって、
前記長さ計測センサは、複数の前記ボビン収納孔に収納された給糸ボビンのうち少なくとも1つの前記ボビン収納孔に保持された給糸ボビンについて、前記長さ情報を計測して取得することを特徴とする巻取ユニット。
【請求項12】
請求項7から10までの何れか一項に記載の巻取ユニットであって、
前記ボビン保持機構は、受け取った給糸ボビンを少なくとも前記目標位置まで旋回移動させることが可能であり、
前記長さ計測センサは、前記ボビン保持機構が給糸ボビンを受け取ってから前記目標位置まで旋回移動させるまでの間に当該給糸ボビンの前記長さ情報を計測して取得可能であることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項13】
請求項7から12までの何れか一項に記載の巻取ユニットであって、
前記長さ計測センサは、物体の有無を検出可能なセンサ素子を複数備えており、
前記センサ素子は、当該長さ計測センサを通過するときの給糸ボビンの軸方向に沿って配置されることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項14】
請求項7から12までの何れか一項に記載の巻取ユニットであって、
前記長さ計測センサは、検出範囲において物体が存在する部分を検出可能なエリアセンサであり、前記検出範囲において給糸ボビンが占める割合に基づいて、当該給糸ボビンの長さを検出することを特徴とする巻取ユニット。
【請求項15】
請求項1から3までの何れか一項に記載の複数の巻取ユニットと、
複数の前記巻取ユニットを制御する機台制御装置と、
前記巻取ユニット及び機台制御装置のうち少なくとも何れか一方に設けられ、給糸ボビンに関する情報を入力可能である入力部と、
を備え、
前記長さ情報取得部は、前記入力部に入力された情報に基づいて、前記長さ情報を取得する入力長さ取得部であり、
前記制御部は、前記入力長さ取得部が取得した前記長さ情報に基づいて、給糸ボビンの位置合わせを行う際に前記位置検出部を予め待機させておく位置である開始基準位置を決定し、前記位置検出部を前記開始基準位置に移動させる制御を行うことを特徴とする自動ワインダ。
【請求項16】
請求項15に記載の自動ワインダであって、
給糸ボビンの糸の解舒を補助する解舒補助装置を備え、
前記目標位置は、前記解舒補助装置の解舒基準位置であり、
前記解舒補助装置は、パッケージの巻取動作の進行に伴う給糸ボビンの糸層端部であるチェース部の変化に追従して移動することで、給糸ボビンの糸の解舒を補助する第1補助部材を有し、
前記位置検出部は、解舒作業時に前記第1補助部材とともに移動して前記チェース部を検出するチェース部検出センサであり、
前記制御部は、前記入力長さ取得部の取得内容に基づいて、前記チェース部検出センサの位置を調整することを特徴とする自動ワインダ。
【請求項17】
請求項16に記載の自動ワインダであって、
前記解舒補助装置は、前記第1補助部材の糸の巻取り方向下流側で給糸ボビンの糸の解舒を補助する第2補助部材を備え、
前記制御部は、前記入力長さ取得部が取得した前記長さ情報に基づいて、前記第2補助部材の位置を調整することを特徴とする自動ワインダ。
【請求項18】
請求項1から3までの何れか一項に記載の複数の巻取ユニットと、
複数の前記巻取ユニットを制御する機台制御装置と、
巻取ユニット又は機台制御装置に設けられ、給糸ボビンの長さに関する情報を入力可能である入力部と、
を備え、
前記長さ情報取得部は、第1長さ情報取得部と、第2長さ情報取得部と、で構成されており、
前記第1長さ情報取得部は、前記入力部に入力された情報に基づいて、前記長さ情報を取得し、
前記第2長さ情報取得部は、供給される給糸ボビンを計測することにより、前記長さ情報を取得し、
前記制御部は、前記第1長さ情報取得部が取得した前記長さ情報に基づいて、給糸ボビンの位置合わせを行う際に前記位置検出部を予め待機させておく位置である開始基準位置を決定する制御と、前記開始基準位置の前記位置検出部が給糸ボビンを検出できないと判断したときに、前記第2長さ情報取得部が取得した前記長さ情報に基づいて、当該位置検出部を移動させる制御を行うことを特徴とする自動ワインダ。
【請求項19】
給糸ボビンから解舒された糸を巻き付けてパッケージを形成する巻取ユニットによる給糸ボビンの位置合わせ方法において、
給糸ボビンの位置を検出可能である位置検出部を通過するように給糸ボビンを移動させる第1工程と、
前記位置検出部が給糸ボビンを検出できなかった場合に、当該位置検出部を移動させる第2工程と、
給糸ボビンを再び前記位置検出部に向けて移動して、給糸ボビンを前記位置検出部により検出させて、当該給糸ボビンの位置合わせのための始動基準位置を決定する第3工程と、
決定された始動基準位置から、予め設定された距離だけ給糸ボビンを移動させて、当該給糸ボビンの位置を、給糸ボビンを保持すべき位置である目標位置に合わせる第4工程と、
を含むことを特徴とする給糸ボビンの位置合わせ方法。
【請求項20】
給糸ボビンから解舒された糸を巻き付けてパッケージを形成する巻取ユニットによる給糸ボビンの位置合わせ方法において、
給糸ボビンの軸方向の長さに関する情報である長さ情報を、長さ計測センサが計測することで取得する第1工程と、
前記長さ計測センサが取得した前記長さ情報に基づいて、給糸ボビンの位置を検出可能な位置検出部を移動させる第2工程と、
給糸ボビンを前記位置検出部に向けて移動して、給糸ボビンを前記位置検出部により検出させて、当該給糸ボビンの位置合わせのための始動基準位置を決定する第3工程と、
前記始動基準位置から給糸ボビンを保持すべき位置である目標位置までの距離を示す調整距離を、前記位置検出部の位置と前記給糸ボビンの位置とに基づいて取得し、当該調整距離に基づいた距離だけ給糸ボビンを始動基準位置から移動させて、給糸ボビンの位置を目標位置に合わせる第4工程と、
を含むことを特徴とする給糸ボビンの位置合わせ方法。
【請求項21】
給糸ボビンから解舒された糸を巻き付けてパッケージを形成する複数の巻取ユニットと、複数の前記巻取ユニットを制御する機台制御部と、を備えた自動ワインダによる給糸ボビンの位置合わせ方法において、
前記巻取ユニット及び機台制御装置のうち少なくとも何れか一方に設けられた入力部に入力された給糸ボビンに関する情報に基づいて、給糸ボビンの軸方向の長さに関する情報である長さ情報を取得する第1工程と、
取得した前記長さ情報に基づいて給糸ボビンの位置合わせを行う際に位置検出部を予め待機させておく位置である開始基準位置を決定し、前記位置検出部を前記開始基準位置に移動させる第2工程と、
給糸ボビンを前記位置検出部に向けて移動して、給糸ボビンを前記位置検出部に検出させて、当該給糸ボビンの位置合わせのための始動基準位置を決定する第3工程と、
前記始動基準位置から給糸ボビンを保持すべき位置である目標位置までの距離を示す調整距離を、前記位置検出部の位置と前記給糸ボビンの位置とに基づいて取得し、当該調整距離に基づいた距離だけ給糸ボビンを始動基準位置から移動させて、給糸ボビンの位置を目標位置に合わせる第4工程と、
を含むことを特徴とする給糸ボビンの位置合わせ方法。
【請求項22】
給糸ボビンを保持するボビン保持機構と、
前記ボビン保持機構に保持された給糸ボビンを検出する位置検出部と、
前記ボビン保持機構を制御して最適な位置に位置決めする制御部と、
を備えることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項23】
請求項22に記載の巻取ユニットであって、
前記位置検出部を移動させるために給糸ボビンの長さ情報を取得する長さ情報取得部を備えることを特徴とする巻取ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−197147(P2012−197147A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62595(P2011−62595)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
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