説明

巻締不良検査機

【課題】 巻締検査において缶の良否の判断基準の単純化を図り、検査対象である缶の巻締部の全周検査のコスト低減を可能とする。
【解決手段】 画像処理が開始されると、先ず、1つの缶2について撮像した4個の画像を赤外線カメラ4〜7から受信し、画像を白黒レベルにするなど、取込画像の処理を行い(S1)、S1により赤外線カメラ4〜7から受信した複数の画像のそれぞれについて、測定領域枠W1と缶外形レベルSの設定を行ない(S2)、缶巻幅H0に従って下エッジLEと上限と上エッジUEをトレースし(S3)、上エッジUEと缶巻エラーERを比較し、S4で肯定判定、即ち、上エッジUEが缶巻エラーERを超えていると判定した場合、缶2を巻締め不良と判定し、対応する不良排出信号(NG信号)を排出装置30に出力し(S5)、排出装置30は不良缶をシュート31に排出するように駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理により缶詰、特に、食料品の缶詰の不良を検出する巻締不良検査機に関する。
【背景技術】
【0002】
光学式の巻締検査装置は種々の発明が提案されている。これはカメラによって検査対象物を撮影し、画像処理装置で処理することによって不良缶を検出するものである。
【0003】
まず、特許文献1に示す通り、缶或いは塗料の材質等に拘らず、正確な舌出し部検査を行うため、検査対象となる缶10の缶蓋巻締め部外側斜上方より光を照射するカメラ22と、前記缶蓋巻締め部側方より缶蓋巻締め部近傍の画像を撮影するカメラ6,7,8,9と、前記画像より缶蓋巻締め部と缶胴の境界の暗部に舌出しのエッジを示す明部があるか否かを検出処理する画像処理手段38とを備えたことを特徴とする舌出し缶検査装置の発明が提案されている。
【特許文献1】特開平5−126763号公報
【0004】
また、特許文献2に示す通り、缶の塗装色の濃度に影響されずに舌出しの検出ができる不良缶検査装置を得るため、画像処理装置38の中に仮想口金処理部61を有し、仮想口金処理部61は口金検出部81、口金パターンメモリ部82、口金創造部83から構成されている。口金46の仮想は仮想口金処理部61の中の口金検出部81において口金が全て映っていなくても一部表面に表れている口金46より口金パターンメモリ82から類似パーンを検出して口金創造部83において口金46を仮想する。この仮想口金を基準にして処理エリア内の舌だしを暗部中に三日月状に浮かび上がらせて検出することができる発明が提案されている。
【特許文献2】特開平6−331567号公報
【0005】
特許文献3に示す通り、連続鋳造機における鋳片のノロカミないしは地金噛み込み異常を自動的に検出し得るシステムおよび方法を提供するため、連続鋳造機のモールドからカッターまでの間に設けられた撮影装置と、画像処理を行なうための画像処理装置と、地金噛み込みが発生していると判断された場合に警報を出すための警報装置からなり、前記画像処理装置が、ノイズを除去するための手段、前記ノイズが除去された画像データの白色領域の面積を算出するための面積算出手段、前記白色領域の面積と正常に鋳造されたときの白色領域の面積との面積差を算出するための面積差算出手段、および前記面積差算出手段によって算出された面積差が所定の値以上の場合に、地金噛み込みが発生している旨の警報信号を前記警報装置に送信する警報信号送信手段を備えてなることを特徴とする発明が提案されている。
【特許文献3】特開2003−94156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2の発明は、画像処理上、斜め上方からしか撮像することができないので、カメラの配置に制限がある。また、画像処理は画像の明暗が基本となっているので、画像処理が複雑になるという問題がある。特許文献3は、赤外線を使用しているが、高温部の検出と面積の算出により画像処理の複雑化をもたらす問題がある。
【0007】
本発明は、巻締検査において缶の良否の判断基準の単純化を図り、検査対象である缶の巻締部の全周検査のコスト低減を可能とするためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明は、請求項1〜3に記載の発明である。
【0009】
本発明の具体的態様については、赤外線カメラを検査対象の缶を中心に隣接するカメラの軸線方向が90度をなすようにしてカメラ4台以上を配置する。この赤外線カメラは検査対象の色・模様に影響されずに検査に値する画像を撮像できるという特徴があり、巻締検査において色・模様は検査において対象とならないので、コストがカラーカメラよりも安価となることで、コストの低減を行える。
【0010】
全周検査を可能とするため、缶を赤外線カメラ4台で同時に撮像し、各視点で撮像された4つの画像においてパラメータを用いて良品・不良品の判別を行う。そして、いずれか1つの画像において異常があった場合は、不良品と判別する。
【0011】
次に缶の撮像と画像処理を行う。
検査の流れは、まずカメラが配置されている手前に光電管を設置されており、検査対象の缶詰が光電管を通り過ぎるとき、光電管前の光は遮られる。遮られた時点からパルスの計測開始。作業ごとに設定されているパルスに到達すると作業開始となる。
撮像した画像を例えば4つのパラメータを元に良品・不良品の判別し、そして不良品を示す排出信号を送信し、送信された排出信号を元に不良品排出装置(例えば、エアーノズル等)で不良品を除外する。不良品を示す排出信号を不良品排出装置に送信する。
【0012】
缶の構造や製造現場に応じて、例えば、巻締部を缶の上部に位置するように撮像するときには、カメラの上下の位置を下方にだけでなく、照明などの位置などを改造すれば、カメラの位置を上げることもできる。巻締部を缶の上部、下部いずれににあったとしても検査が可能である。
【0013】
基本パラメータについて説明する。まず、「缶外形レベル」は、4台以上のカメラで撮像した各画像において、「外界(例えば、コンベア等)」と「缶」の境目(例えば、接地部分等)を設定する。このパラメータで缶巻幅を適切に検出できる。
【0014】
「缶巻幅」は缶巻幅の下エッジと上限の幅(高さ)を表している。このパラメータはオフセットになっている。缶の種類によってこの巻締部の幅が違ってくるので、その幅を設定する。
【0015】
「缶巻エラー」は、正常な缶であっても巻締部に多少の凹凸があり、この部分を検出してしまうと、本来正常な缶が不良と判定されてしまうおそれがあることから、これを防止するために設定されたパラメータを表す。巻締部の「上エッジ」の計測数値が、パラメータで設定された数値より大きかった場合、巻締め不良と判定されます。
【0016】
丸缶等ではあまりでないが、角缶、楕円缶の場合、角の巻締め部分で一部分が少しはみ出してしまうおそれがある。これは良品でも現れるものであり、3つのパラメータだけで検査してしまうと、良品・不良品に関わらず全て検査で引っ掛かり、不良品として除去されてしまうためである。
【0017】
なお、写真図面において、「缶巻幅」の指定距離で設定される、画像の下限(下エッジ)と上限は緑色のライン、巻締部の「上エッジ」は黄色のライン、「缶巻エラー」で数値を超えたときには赤のラインである。色彩を相違することで、ラインの把握を容易にする。缶巻締部の下エッジ(缶底)を照明やコンベア色などにより検出できない場合は、缶底を固定位置として缶巻締部の上エッジのみを巻締幅とすることもある。コンベアが平坦に保たれている場合は、巻締不良が存在する上エッジのみを対象とするのでエッジ検出ノイズに強くなる。また、赤外線カメラ複数台(たとえば4台)で検出した巻締幅の平均値を検査した缶の巻締幅とすることも好ましい。巻締幅が最小限界、最大限界をはずれる場合が指定回数以上続いたか否かを判定し、肯定判定の場合は缶巻締装置の調整不良が考えられる。指定回数は缶巻締装置の調整基準に使用できる。
【0018】
通常であれば、「缶外形レベル」、「缶巻幅」、「缶巻エラー」の3つのパラメータで検査は可能であるが、缶の種類等によってはこれだけでは不十分な場合がある。
【0019】
この「缶巻はみ出し」は、「缶巻幅」の指定距離で設定される上限に隣接する上部の範囲を指定したものである。この範囲の輝度の微分画像を調べて明るさが均一でない場合は巻締のはみ出しが有ると判断する。「缶巻はみ出し」は、絵柄の誤検出防止のためである。
【0020】
4つの位置から缶詰の巻締め部分を撮像し、撮像された画像に対して予め設定しておいた「缶外形レベル」、「缶巻幅」を用いて、「缶巻エラー」を測定し、巻締めの良否を検査する。「缶外形レベル」、「缶巻幅」、「缶巻エラー」の3つのパラメータに加えて、「缶巻はみ出し」のパラメータを追加的に用いてもよい。
【0021】
巻締不良検査の手順の流れは、まず、予め、コンベアの搬送速度、照明装置の照明等を設定する。また、画像検査装置の「缶外形レベル」、「缶巻幅」、必要により「缶巻はみ出し」等、測定設定を行う。その他、表示設定を行う。コンベア、照明装置、画像検査装置が作動すると、赤外線カメラの撮像の手前の位置で、缶の通過を検出する。たとえば、赤外線カメラが配置されている手前に光電管を設置し、缶が光電管を通り過ぎるとき、光電管から発光した光は遮られるので、遮られた時点からパルスの計測開始を行い、撮像のタイミングを決定する。作業ごとに設定されているパルスに到達すると撮像及び画像処理を開始する。赤外線カメラで撮像された画像は、画像検査装置に送信される。この画像検査装置では、まず、巻締部の画像の上エッジが「缶巻幅」を超えているか否かに基づいて、少なくとも1台のカメラで撮像された画像において不良が検出された場合には、検査対象を不良品と判定する。不良品は不良品排出装置によりラインから除外され、シュートにより排出される。
【発明の効果】
【0022】
本発明の検査装置は、缶詰の巻締めの不良を自動的に検出し、検査員の目視検査に頼らず高精度で不良品を排除することを可能にしたことで、検査員の巻締めに対する良否の判断基準を一本化し、労力とコストの軽減の実現し、そしてさまざまな缶詰に対応して巻締検査を行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態の巻締不良検査機1について図1〜図15を参照して説明する。本装置1は、検査対象となる例えば食料品の缶2を間接照明装置3で照射し、缶2の巻締部2aの良否を全周検査するため、撮像箇所を中心にして少なくとも4台の赤外線カメラ4、5、6、7を視界が互いに重なり合うように撮像箇所の側方に配置したものである。また、缶2をコンベア8で搬送させながら、赤外線カメラ4、5、6、7で缶2の巻締部2aを同時に撮像し、撮像された画像から、缶と外界との境界を示す缶外形レベルと、缶の巻幅を示す缶巻幅Hと、を設定し、巻締部2aの境界の上エッジUEが缶巻幅Hに基づいて設定される缶巻エラーERを超えているか否かに基づいて、少なくとも1台のカメラで撮像された画像において不良が検出された場合には、検査対象を不良品と判定する画像検査装置9を備えている。さらに、コンベア8等を制御する電気制御盤10と、コンベア8等を操作する操作盤20と、不良品を排出する排出装置30と、支持脚40とを備えている。以下、各部を詳細に説明する。
【0024】
間接照明装置3はコンベア8の上方から光を投光するため、コンベア8の上部に設置されたものである。
【0025】
赤外線カメラ4〜7は、間接照明装置3を中心とする同心円上に等間隔で配置され、間接照明装置3の中心を缶2が通過するときに、画像を撮像するように制御される。ここでカラーカメラを使えば、もちろん好適に検査はできるが、価格的に高くなるという問題がある。また、白黒カメラであると、色によって濃淡レベルがある。そこで、赤外線を使うことによって色や模様の影響をなくそうということである。
【0026】
コンベア8は、缶2を一定の間隔又は任意間隔を置いて搬送するものであり、複数のプーリ80〜83と、プーリ80〜83に掛けられたベルト84と、ベルト84を駆動する駆動プーリ85と、駆動プーリ85を回転させる駆動ベルト86と、駆動ベルト86が掛けられる一対のプーリ87、88と、プーリ88を駆動するモータ89を備えている。
【0027】
赤外線カメラ4、5の前方のコンベア8には、光電管15が設置されている。光電管15は、缶2が通過したことを検出するセンサである。光電管15からの信号に応答して、赤外線カメラ4〜7が所定の位置で画像を撮像する。また、赤外線カメラ6、7の下流にあるプーリ88の付近にエンコーダー17が設けてあり、駆動装置8の駆動パルスを検出し、間接照明装置3の中心点に缶2が到達するまでのパルス数を計算し、カメラのシャッターを切るタイミングを決定する。また、排出装置30の動作のタイミングも決定する。
【0028】
画像検査装置9は、赤外線カメラ4〜7で缶2の全周を撮像した画像を受信し、その画像の処理を行い、画像に基づいて、缶2の巻締部2aの不良検査するものである。
【0029】
この画像検査装置9は、図14に示す通り、赤外線カメラ4〜7からの画像信号の処理を司るマイクロコンピュータを備え、CPU90、RAM91、ROM92、カウンタ93、タイマ94、ハードディスク等から構成された記憶装置95、入出力インタフェース96をバス97により相互に接続したものである。入出力インタフェース96には、間接照明装置3、赤外線カメラ4〜7、電気制御盤10、操作盤20、排出装置30、タッチパネル式操作盤を備えたディスプレイ98、光電管15等が接続され、各種の入力信号や出力信号が入出力されるようになっている。
【0030】
電気制御盤10は、間接照明装置3、コンベア8(モータ89等)、排出装置30、画像検査装置9の電気系統を制御するものである。
【0031】
操作盤20は、間接照明装置3、コンベア8(モータ89等)、排出装置30、画像検査装置9のための各種のスイッチを設けたものである。
【0032】
排出装置30は、赤外線カメラ6、7の後方に配置され、エアーを缶2に吹き付けて気力で缶2を左右に可動させ、コンベア8のラインで搬送される缶2のうち、不良を判定されたものをシュート31へ排出するようにしている。エアーに限らず、アクチュエータを缶2に衝突させて排出させるようにしてもよい。
【0033】
実施形態の特長は次の通りである。
(1)赤外線カメラを4台使用し、90度分割・赤外線同時撮影方式により、缶の形状、色、図柄の影響を受けずに巻締部2aの全周検査が可能である。
(2)300個/時の処理能力、1画素当たりの分解能0.15ミリの高性能である。
(3)事前の各種製品の検査基準の設定登録で、検査製品の切り替えはワンタッチで行なうことができる。
(4)タッチパネル式操作盤の採用で、誰にでも簡単に操作できる。又、日々の製品検査履歴がパソコンで保存、管理ができる。
(5)本体は、すべてステンレス製であり、コンベアは、IP65対応の防水、耐食性、清掃性を考慮した検査装置である。
【0034】
画像検査装置9での検査パラメータについて図4、図5を参照して説明する。ディスプレイ98上で、「測定テスト」、「画像保存」を行うことができる。「測定テスト」ボタンはディスプレイ98に表示されている缶2のテストを行うことができる。このボタンにより測定パラメータや検査パラメータの効果を確認することができる。また、測定設定として、「缶外形レベル」、「缶巻幅」、「缶巻エラー」、「缶巻はみ出し」を指定することができる。
【0035】
「缶外形レベル」は缶2の外形を%2値化してコンベア8と缶2を分離するため、%単位で指定する分離パラメータである。設定値を小さくすると明るい部分である缶2が大きめに検出されて、コンベア8も缶2の一部として誤検出してしまうおそれがある。設定値を大きくするとコンベア8との分離は正しく検出できるが、缶2の巻締部2aも小さく認識されてしまう。そこで、適切な設定値を入力する必要がある。
【0036】
「缶巻幅H0」は、巻締部2aの幅をピクセル単位で指定するものである。コンベア8に接する缶部分(巻締部2aの下エッジLE)からの距離を指定することにより、指定距離で設定される上限をトレースし、巻締部2aの上エッジUEを限定して検出することができる。つまり、この上限の近辺に上エッジUEがあるとして近くのエッジを検出している。設定値を小さくすると巻締部2aは小さめに、大きくすると巻締部2aは大きめに検出される。
【0037】
「缶巻エラーER」は、巻締部2aの画像の上エッジUEをトレースして上限よりも突出している量についてピクセル単位で指定するものである。本数値以上の場合は缶巻エラーとしている。設定値を小さくすると、小さいはみ出しを検出し、大きいと、大きいはみ出しを検出する。
【0038】
「缶巻はみ出しTS」は、絵柄の誤検出防止のため、上限に隣接する上部の範囲をピクセル単位で指定するものである。この範囲の輝度の微分画像を調べて明るさが均一でない場合は、巻締部2aのはみ出しが有ると判断する。設定値が小さいと検出範囲が狭まるために、はみ出し検出感度が下がり、大きいと検出範囲が広がるために感度があがる。設定値が大きすぎると缶2の絵柄などを誤検出することがある。0を指定すると本機能をOFFにできる。
【0039】
「測定領域W1」は測定対象となる角形の領域である。「測定領域W1」は予め設定しておくことが好ましいが、拡大縮小設定は可能である。画像には「ライブ」、「ロード」、「セーブ」のボタンが設けてある。「ライブ」ボタンを押すと、「ポーズ」ボタンに切り替わり、「ポーズ」ボタンを押すと、「ライブ」ボタンに切り替わり、この「ライブ」,「ポーズ」ボタンは、カメラ入力画像の表示を静止画/動画に切り替えることができる。「ロード」,「セーブ」は画像ファイルの画像をロード、表示画像のファイルセーブを行うことができる。表示には、「寸法測定」、「画面印刷」、「2Dプロファイル」、「画面セーブ」、「モード」のボタンがある。「画面印刷」,「画面セーブ」は表示画像のグラフィック表示も含めて印刷や画像ファイリングすることができる。印刷を行うにはパソコンのプリンタ設定を正しく行う必要がある。「2Dプロファイル」は表示画像に水平,垂直の罫線を表示して罫線上の輝度データを波形表示することができる。マウスで画像をクリックすると罫線を移動することができる。「寸法測定」ボタンを選択すると「距離測定メニュー」が表示されて、画像の寸法測定を行うことができる。その下に、不良缶の場合には「NG」、良缶の場合には「OK」の表示がなされている。その下に「測定中」又は「停止中」の表示がなされる。本例においては、1ピクセルを0.15mmとしている。
【0040】
ディスプレイ98に表示された画像Gは、保存や印刷も可能である。これにより、後で検査に関する問題が生じたときに、保存、印刷した画像を参照することで、問題点を探るのが容易に可能となる。更に、マウスで操作可能なポインタを操作することにより、画像Gから缶2の画像の寸法や実寸を測ること出来るようにすると好適である。
【0041】
図6〜図8は、巻締め不良の角缶の場合のディスプレイ98の表示例である。外線カメラ4〜7からの取込画像は4つの画像Gが升目状に表示される。測定される範囲は測定範囲枠Wで囲まれる通り表示されている。右側に画像設定の領域が表示される。図9〜図11は、正常な丸缶の場合のディスプレイ98の表示例である。
【0042】
次に、画像検査装置9のCPU90により行われる画像処理について図15のフローチャートにて説明する。画像処理は、缶2が撮像される毎に行われる処理である。画像処理が開始されると、先ず、1つの缶2について撮像した4個の画像を赤外線カメラ4〜7から受信し、画像を白黒レベルにするなど、取込画像の処理を行う(S1)。次に、S1により赤外線カメラ4〜7から受信した複数の画像のそれぞれについて、測定領域W1と缶外形レベルSの設定を行なう(S2)。缶巻幅H0に従って下エッジLEと上限と上エッジUEをトレースする(S3)。次に上エッジUEと缶巻エラーERを比較する(S4)。S4で肯定判定、即ち、上エッジUEが缶巻エラーERを超えていると判定した場合、缶2を巻締不良と判定し、対応する不良排出信号(NG信号)を排出装置30に出力し(S5)、排出装置30は不良缶をシュート31に排出するように駆動する。一方、S4で否定判定、即ち、上エッジUEが缶巻エラーER以下と判定した場合、缶2を巻締良好と判定し、排出装置30へNG信号は出力せずに、リターンに抜ける。
【0043】
前記不良判定について具体的に説明すると、図12に示す通り、缶巻幅H0(ここでは17ピクセル)にしたがって、下エッジLEと上限を検出し、2本のラインを緑色で引く。缶2の巻締幅が製品によって違う場合があり、全部一定ではないからである。撮像した缶2の上エッジUEを黄色で引く。巻締異常がなくても、画像にて、上エッジUEのラインが波打っている箇所があり、ラインにシワが寄ることがある。そこで、「缶巻エラーER」を設定してある。ここでは、3ピクセルであるが、これを超えた場合に、缶巻エラーとし、3ピクセルを超えない場合には、缶巻エラーとしない。丸缶はそのように極端ではないが、こういう角缶や楕円缶の場合には、例えば0.2mmの幅で凹凸がでることがある。そのような凹凸をとらえると、全部不良になってしまう可能性がある。そこで、許容範囲を設定する。例えば、ある程度の0.2mmの凸凹部分を考慮して、しきい値を上げる。1ピクセルが0.15mmであるので、3ピクセルでは0.45mmとなり、上エッジUEのもう一段上に、仮想的な基準範囲を設ける。このような仮想的な基準範囲は、適宜設定可能であり、1、2、4・・・等でもよい。その基準値から上が缶巻エラーということになる。これにより、遊びの部分を設けて基準値を高くすることで、凹凸によるエラーを防止できる。以上のように、17ピクセルのラインにオフセットのかかったラインからみ出した部分につき異常という判定が下される。缶巻締部2aの下エッジ(缶底)LEを照明やコンベア色などにより検出できない場合は、缶底を固定位置として缶巻締部2aの上エッジUEのみを巻締幅とすることもある。コンベアが平坦に保たれている場合は、巻締不良が存在する上エッジのみを対象とするのでエッジ検出ノイズに強くなる。また、赤外線カメラ4〜7の4台で検出した巻締幅の平均値を検査した缶の巻締幅とすることも好ましい。巻締幅が最小限界、最大限界をはずれる場合が指定回数以上続いたか否かを判定し、肯定判定の場合は缶巻締装置(図示略)の調整不良が考えられる。指定回数は缶巻締装置(図示略)の調整基準に使用できる。
【0044】
図13に示す通り、「缶巻エラーER」に加えて、絵柄の誤検出防止のため、「缶巻はみ出しTS」を考慮する場合がある。上エッジUEに隣接する上方の部分で指定距離を設定する。この指定範囲の輝度の微分画像を調べて明るさが均一でない場合は、絵柄の誤検出が有ると判断する。設定値が小さいと検出範囲が狭くなるために、はみ出し検出感度が下がり、大きいと検出範囲が広がるために感度があがる。設定値が大きすぎると缶2の絵柄などを誤検出することがある。「0」を指定すると本機能をOFFにできる。OFFの場合には、「缶巻エラーER」のみで巻締不良を判断する。
【0045】
次に本実施形態が行う動作について説明する。光電管15が缶2の通過を検出すると、赤外線カメラ4〜7に検出信号を送信し、赤外線カメラ4〜7は、この検出信号を基に缶2が間接照明装置3の中心に差し掛かったタイミングで撮像する。赤外線カメラ4〜7は、缶2の表面を面視野で捉え、画像信号として出力するものである。赤外線カメラ4〜7の出力は画像処理装置9に入力され、画像処理する。この画像処理装置の結果はディスプレー98に表示され、不良缶と判断された缶2は、NG信号が排出装置30に送信され、NG信号の受信後、予め設定されたタイミングでエアーノズルからエアーを吹いて排出することにより、コンベア8のラインからシュート31へ排出される。一方、缶2がOKの場合には、そのままコンベア8上を搬送される。
【0046】
以上、本実施形態の好適な実施の形態を説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではないことは無論であり、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で多くの変更などをし得ることは当業者であれば当然である。例えば、本実施形態の巻締不良検査機1では、角缶、丸缶を例に挙げたが、他の形状、例えば楕円缶、コンビーフのような変則的な形状の缶にも適用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態の巻締不良検査機1の正面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】同左側面図である。
【図4】同装置の画像表示装置の表示例(NG)を示す説明図である。
【図5】同装置の画像表示装置の表示例(OK)を示す説明図である。
【図6】角缶不良品の斜視撮影図である。
【図7】同角缶不良品の取込画像を示す画像図である。
【図8】同角缶不良品の処理画像を示す画像図である。
【図9】丸缶良品の斜視撮影図である。
【図10】同丸缶良品の取込画像を示す画像図である。
【図11】同丸缶良品の処理画像を示す画像図である。
【図12】本検査機1の検査基準を示す説明図である。
【図13】同じく別の検査基準を示す説明図である。
【図14】画像検査装置の電気回路のブロック図である。
【図15】画像検査装置での検査処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
1・・・巻締不良検査機 2・・・缶 2a・・・巻締部 3・・・間接照明装置
4、5、6、7・・・赤外線カメラ 8・・・コンベア
17・・・ロータリーエンコーダ 80〜83・・・プーリ 84・・・ベルト
85・・・駆動プーリ 86・・・駆動ベルト 87・・・プーリ
88・・・モータ側駆動プーリ 89・・・モータ 9・・・画像検査装置
10・・・電気制御盤 20・・・操作盤 30・・・排出装置
31・・・不良品排出シュート LE・・・下エッジ UE・・・上エッジ
ER・・・缶巻エラー H0・・・缶巻幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象となる缶を照明装置で照射し、前記缶の巻締めの良否を全周検査するため、撮像箇所を中心にして少なくとも4台の赤外線カメラを視界が互いに重なり合うように配置し、
前記缶をコンベアで搬送させながら前記赤外線カメラで前記缶の巻締め部分を同時に撮像し、撮像された画像から、缶と外界との境界を示す缶外形レベルと、前記缶の巻幅を示す缶巻幅を設定し、前記缶の検出された上エッジが前記缶巻幅に基づいて定められる基準ラインを超えているか否かに基づいて、前記少なくとも1台のカメラで撮像された画像において不良が検出された場合には、前記検査対象を不良品と判定する画像検査装置を備えたことを特徴とする巻締不良検査機。
【請求項2】
前記缶外形レベル及び缶巻幅に加えて、前記缶巻幅から更なる幅を備えた缶巻はみ出しを設定し、前記缶巻はみ出しで設定された範囲での画像の明るさの情報に基づいて、前記検査対象を不良品と判定する請求項1の巻締不良検査機。
【請求項3】
被写体である缶外形の照明装置を間接照明とし、照明光が局部的にテカリ現象にならないようにし、又写体に均一の光を照射して精度を確保する間接照明装置を備えた請求項1又は2の巻締不良検査機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−63564(P2009−63564A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205071(P2008−205071)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(500125881)有限会社新選技研 (3)
【出願人】(300036589)有限会社ランデック (2)
【出願人】(302040478)株式会社ソプロ (2)
【Fターム(参考)】