説明

布地物品処置プロセス

改良された布地洗浄、布地外観及び/又は布地ケア効果を提供するための布地物品処置方法。より詳細には、本発明の方法は、処置される布地物品に活性物質を直接付着させることにより、洗剤活性物質及びリンス活性物質の有効な送達を提供する。本方法は、従来の浸漬型水性洗濯システムと比較して、水を節約し、エネルギー効率が良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された布地洗浄、布地外観及び/又は布地ケア効果を提供する、装置及び方法を含む布地物品処置システムに関する。より詳細には、本発明は、洗剤活性物質及びリンス活性物質が処理される布地物品に直接付着される、有効且つ直接的なデリバリーシステムに関する。本発明はまた、そのような装置及び方法における使用のための新規洗剤組成物及び布地ケア組成物に関する。本システムは、従来の浸漬型水性洗濯システムと比較して、水を節約し、エネルギー効率が良く、同時に向上した布地洗浄及び布地ケアを提供する。
【背景技術】
【0002】
従来の水性系洗濯装置及び方法は、典型的には、浸漬様式の洗浄を使用し、すなわち、チャンバ中の洗浄媒体の量は、布地物品が「遊離」又は過剰洗浄媒体に浸かっているように、布地積載量の吸収能力を遙かに超えている。しかし、完全な浸漬は、洗剤活性物質又はリンス活性物質を送達するには有効又は経済的な方法ではないことがある。多量の水性洗浄媒体で希釈されると、ごく少ない率の活性物質しか布地物品に接触せず、大部分の活性物質は、洗浄及びリンス流体中に失われる。さらに、特定の活性物質は、水に対して布地表面に対する親和性よりも高い親和性を有し、そのためこれらの活性物質は、活性物質が布地表面に接触することがあっても、水性洗浄媒体から布地表面に有効に分配されない。
【0003】
活性物質を著しく無駄にすることなく、極めて水溶性の活性物質を布地表面に送達することができる布地洗剤技術に対する、長い間の切実であるが未だに満たされていない要求が存在する。高い水溶性を有する特定の活性物質を布地表面に送達することは、要求される化学の理論的枠組みを働かせるという不運な位置に洗濯洗剤配合者を置くことになる。一方、高度な極性は、活性物質が機能すること及び洗浄又は汚れとの相互作用のような所望の効果を送達することを可能にするものであるが、他方、これらとまったく同じ特徴が活性物質の溶液からの効果的な分配を防止して、大部分の活性物質が「水の泡」となる。これまで、この目的を達成するための満足のいく方法は、たとえあったとしてもごく僅かしか存在しない。例えば、活性物質の表面活性を向上させる戦略は、通常は、性能上望まれる極性/親水性特性を弱め、「送達向上活性物質」(例えば、高分子量ポリマー)は、多くの場合、洗浄の有効性が低いか又は高価である。
【0004】
代替的手法では、活性物質を、少量の水媒体により送達するか、又は布地表面に直接送達する。しかし、少量の活性物質をチャンバ中の布地積載量における布地表面の全体にわたって均一又は実質的に均一に分配することは、依然として難問である。例えば、特定の領域にしか送達せず、他の領域には送達しない表面活性剤は、不均一な洗浄という結果になるか、又はさらに許容不能なクリーニング性能不全という結果になる。別の例は香料であり、香料は高価且つ極めて強力な活性物質であり、従って少量の香料が布地物品処置方法に典型的に使用され、実質的に均一な分布が必要となる。換言すれば、一方の処置布地物品は香料で浸されるが、他方の処置布地物品は1つの領域で一滴の香料しか受け取れないような香料の送達は望ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述に基づき、これらの活性物質を布地表面に効果的且つ経済的に送達する方法を持つことが望ましい。この送達方法は、水性媒体と布地表面の間に低分配要因を有する、現状で入手可能であるか又は新規の活性物質で布地物品を処置することを実行可能にする。この送達方法はまた、布地物品を高価な活性物質で処置することを実行可能にする。
【0006】
前述に基づき、処置布地物品がまだらの又は不均一な効果を示すことがないように、少量の活性物質の布地表面の全体にわたる均一又は実質的に均一な送達を達成する方法を持つことがさらに望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、処置の必要な布地物品に布地物品活性物質を有効的に付着する布地物品処置システムを提供することにより、上記に記載された必要性を満たす。
【0008】
本発明の1つの態様において、特定のリンス活性物質及び/又は布地ケア活性物質を処置される布地物品に有効に送達することができる、布地物品処置方法が提供される。本方法は、
a.汚れを含む布地物品を洗濯装置の処置チャンバ内部に置く工程;
b.前記布地物品が実質的に一様に洗浄溶液と接触するように、前記洗浄溶液を前記処置チャンバ内に分配する工程;
c.前記布地物品が動いている間に前記洗浄溶液と前記布地物品とを連続的又は断続的に接触させ続ける工程;
d.先リンス溶液が前記布地物品に直接又は間接的に接触するように、水を含む前記先リンス溶液を前記洗濯装置内に分配する工程であり、前記先リンス溶液の量が洗剤活性物質及び汚れを適切に懸濁するのに十分な遊離水を生成させるために十分であり、それにより先リンス溶液が、水、洗剤活性物質及び汚れを含む先リンス溶液混合物に変換される工程;
e.前記先リンス溶液の混合物の少なくとも一部分を処置チャンバから除去する工程;及び
f.所望により、工程(d)及び(e)が、後リンス溶液の1つ以上が前記布地物品に適用され、後リンス溶液混合物に変換され、前記処置チャンバから少なくとも部分的に除去されるように繰り返される工程;
g.所望により、前記布地物品が仕上げ溶液と実質的に一様に接触するように、前記仕上げ溶液を前記処置チャンバ内に分配する工程を含み、
ここで、前記先リンス溶液がリンス活性物質及び後リンス溶液を含むか、又は前記仕上げ溶液が布地ケア活性物質を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
特に記述されない限り、全ての比率は重量比である。
【0010】
特に示されない限り、分量、百分率、部分、及び比率を含む量は、全て「約」という言葉により修正されると理解され、量は有効数字を示すことが意図されていない。
【0011】
特に示されない限り、冠詞「a」、「an」及び「the」は、「1以上」を意味する。
【0012】
本明細書で使用するとき、「及び/又は」は、主題X若しくは主題Y又はその両方を意味する。
【0013】
本明細書で使用するとき、「布地物品」は、従来の洗濯方法又はドライクリーニング方法で慣用的に洗浄される布地及び/又は繊維から構成される。そのような用語は、衣料品、シーツ・枕カバー、バスリネン、テーブルクロス、カーテン類、いす張り、カーペット、及び服飾用付属品を包含する。この用語はまた、トートバッグ、スリーピングバッグ、ターポリン、テントなど全体又は一部分が布地で作られている他の品目も包含する。
【0014】
本明細書で使用するとき、「非浸漬」は、実質的に全ての洗浄流体が布地物品と密接に接触していることを意味する。多くても最小限度の「遊離」洗浄流体が存在する。これは、過剰洗浄流体が浴を形成し、布地物品がそれに水没する「浸漬」方法と異なる。適用される流体が布地物品の乾燥重量の約100%未満である場合、方法は非浸漬であり、この適用された流体の濃度において、流体が実質的に布地物品に吸収され、最小限の量の遊離流体が存在する。しかし、異なる布地の種類及び織り方により吸水性の程度が著しく変わる可能性があり、そのため、一部の合成繊維製の薄い布地は、追加の水が「遊離洗浄流体」になる前に、実質的にその乾燥重量の100%未満しか吸収しないが、一部の厚い綿織物は、追加の水が「遊離洗浄流体」になる前に、実質的にその乾燥重量の100%超(例えば、時には200%超)を吸収することがあることに留意すべきである。したがって、家庭の平均的な洗濯物の積載量では、この方法で適用される流体が布地物品積載量の乾燥重量の約80%未満である場合、方法は非浸漬である。本明細書で使用されるとき、「布地物品の乾燥重量」とは、意図的に添加した流体の重量を加えない布地物品の重量を意味する。
【0015】
本明細書で使用するとき、「布地物品処置/処置組成物」又は「処置溶液」とは、洗剤活性物質、リンス活性物質又はそれらの組み合わせ、及び所望により、極性溶媒が挙げられる1つ以上の布地処置活性物質を含む組成物を意味する。したがって、布地物品処置組成物は、洗剤組成物、リンス組成物又はリンス溶液であってよい。処置組成物の好適な形態には、液体、ゲル、ペースト、粒子又は粉末が挙げられるが、これらに限定されない。組成物は、水などの極性溶媒と混合されて、布地物品処置方法の多様な工程に使用される溶液を形成してよい。
【0016】
本明細書で使用するとき、「洗剤活性物質」又は「洗剤補助剤」とは、洗浄、汚れ/染み除去又は汚れ/染みマスキング効果を布地物品に送達することができる物質又は物質の組み合わせを意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、「リンス活性物質」又は「リンス補助剤」とは、次の布地ケア又は布地仕上げ効果:柔軟化、パリっとした感じ、撥水性及び/若しくは染みをはじく性質、リフレッシュ、静電気防止、縮み防止、抗菌、パーマネントプレス、しわ防止、匂い防止、耐磨耗性、フェルト化防止、毛羽立ち防止、外観の向上、並びにこれらの混合のうちの1つ以上を布地物品に送達することができる物質又は物質の組み合わせを意味する。
【0018】
本明細書で使用するとき、「平均分子量」とは、ゲル浸透クロマトグラフィーにより決定される、ポリマーの重量平均分子量を意味する。
【0019】
本明細書で使用するとき、「布地物品処置装置」とは、水平軸又は垂直軸、好ましくは垂直軸の自動洗濯機などの、布地物品を処置するように設計されたあらゆる装置を意味する。さらに、布地物品処置装置は、好ましくは、極性溶媒系布地物品処置装置であり、極性溶媒は、洗浄及び/又はケア工程が実施された後で布地物品をすすぐための第一級溶液である。
【0020】
布地物品処置装置は、布地物品処置組成物を保存するリザーバと、布地物品処置組成物をリザーバから布地物品に適用するアプリケータとを含む布地物品処置組成物の供給源を含んでよい。
【0021】
さらに、布地物品処置装置は、好ましくは、布地物品処置組成物を送達するのに好適なノズル、より好ましくは複数のノズルを含む。
【0022】
(布地物品処置装置)
本発明の装置は、従来の水性洗濯機から組み立てる又は改善することができ、改善された装置は、非常に低量の処置溶液(例えば、非希釈洗剤組成物又は非希釈リンス組成物)を布地処置チャンバ内及び処置チャンバ中の布地物品上に適用することができる。特に、本発明の装置は、布地物品の一様又は実質的に一様な処置を提供するように設計される。1つの実施形態において、断続的なスピン及びスプレー、同時の又は後に続くランダムタンブルにより、洗浄媒体が全て噴霧されるまで、非希釈組成物による布地物品の均質な適用範囲を保証する洗濯装置である。例えば、低濃度の処置溶液を送達する従来の低水量洗浄機具の改善が考慮されるべきであり、そのような水洗浄機具は、米国特許第4,489,574号、同第4,489,455号、同第5,191,669号、同第5,191,668号、同第5,233,718号、及び同第5,671,494号に記載されている。そのような低量処置方法に有用な自動洗浄機の別の例は、米国特許第6,691,536号に詳細に記載されている。
【0023】
図1は、本発明の布地物品処置方法を実施する装置の実施形態の模式図である。
【0024】
装置70は、洗剤組成物による、又は水を含む洗浄若しくはリンス溶液により、直接処置される布地物品を入れることができる布地物品処置チャンバ1を含む。処置される布地物品がチャンバ中に存在し、洗浄溶液が布地処置チャンバ1内に導入される場合、処置チャンバ1は、その中に含まれる布地物品の非浸漬レベルまで洗浄溶液の量を保持する。加えて、処置チャンバ1は、流体透過性(例えば、側壁の穿孔による)チャンバであることができる。
【0025】
装置70は、所望により、布地物品処置チャンバ1から前記布地処置チャンバに保持されない洗浄又はリンス溶液を受けることができる外側チャンバ2を含んでもよい。外側チャンバ2は、チャンバ1を収容するように構成される。外側チャンバ2は、典型的には出口又はドレン7を含み、それを通して外側チャンバ2により受け取られる流体が外側チャンバ2から出る。外側チャンバ2から流体が出るのは、布地処置チャンバ1中の洗浄溶液の量が、布地物品処置チャンバ1内に含まれる布地の非浸漬レベルを超えないような速度であることが望ましい。
【0026】
幾つかの実施形態において、処置チャンバ1及び外側チャンバ2は、円筒形構造であり、図2で示されるように水平出入開口部58を有する。チャンバ1に対して典型的には静止している外側チャンバの水平中心線は、外側チャンバ2内に可動的に取り付けられているチャンバ1の回転100の軸線と一致する。チャンバ1は、一般に、穿孔又は開口部のあらゆる好適なパターンを有することができ、流量を許容不能な程度に弱めることなく、穿孔表面により最大化する設計原則と一致するように設計される。チャンバ1は、流体含有布地物品の積載量の存在下で高速に回転するとき、完全に剛体であり続けるように設計される。チャンバ1は、壁体(図示されず)などの補強要素を含んでもよく、図1では見えないが背面を有し、これは典型的に平面であり、穿孔又は非穿孔であってもよい。この機具は、少なくとも洗浄溶液がチャンバ1の背面に向かうのではなく、チャンバ1の流体透過性表面に優先的に向かうよう構成される。
【0027】
別の実施形態において、リンス溶液は処置される布地物品に非直接的な方法で接触し、最初にリンス溶液が、布地物品処置チャンバ1の外側に位置するチャンバ2に導入され、次にリンス溶液が穿孔を通って処置チャンバ1の内部にある布地物品と接触するように、チャンバが回転される。
【0028】
図2の断面図により明確に示されているように、外側チャンバ2は、周囲壁62、周囲壁の一方の端に固定されている後側壁63、周囲壁の反対側の端に固定されている前側壁64を含み、前記前側壁は、装置70に洗濯物を出し入れするのに使用される出入開口部58を有する管状延長55を有する。この可撓性の管状延長55は、機械の操作中に起こる振動の伝達を最小限度にする。出入開口部58は、最も外側の周域が洗浄機械キャビネットの前側壁56に固定されている前扉59との間に、ガスシールを形成する。前扉59は、所望により、封止を確実にするために、あらゆる好適な形状に形成されるゴム、合成ゴム、又はエラストマー封止材料などの良好なシールを固定する追加の手段を含む。布地処置装置70が操作中の場合、図2に示されるように、出入口扉59は閉鎖位置にあり、可塑性管状延長55の最も外側の部分に対して「気密」封止を形成する。シールの品質は機具の過剰圧力又は減圧を許容するのに十分であるが、超圧、例えば超臨界二酸化炭素操作で必要とされる品質である必要はない。これら後者の要素は、図面の残りの部分の明瞭性を最大限に確保するため、図2の断面図においてのみ示されている。
【0029】
図2で分かるように、外側チャンバ2は、4個の支持バネ47(そのうち2個のみが示されている)により支持されており、これらは、一方の末端部が外側チャンバ2の最上部に結合され、他方の末端部が布地処置装置キャビネットに固定されている。上方のバネ47aは、コントローラと接続している積載量センサ48に結合している。機具の変形(示されず)において、例えば最新のヨーロッパ・フロント・ローダー型洗濯機用に既知であるか又は開示されているあらゆる所望の高速懸架、積載量残部又は安定化システムを、本発明の装置における使用のために適合させることができる。
【0030】
1つの実施形態において、チャンバ1は、流体透過性(例えば、穿孔)周囲壁65、前記周囲壁に固定されている実質的に無孔の後側壁66、前記周囲壁の反対側の端に固定されている実質的に無孔の前側壁67を含む。
【0031】
チャンバ1は、駆動軸49により外側チャンバ2に回転可能に固定されている。チャンバ1を回転させる動力は、同心円状に取り付けられている駆動プーリ50により伝達される。駆動システムは、外側チャンバ2の周囲壁62に固定された変速駆動モータ54を含む。外側チャンバ2のいかなる動きもチャンバ1の回転速度に影響を与えない。駆動モータ54の出力軸53は、駆動プーリ52を固定している。プーリ52は、従来の駆動ベルト51によりプーリ50と連結されている。可能な代替駆動システム(図示されず)は、単一の駆動プーリ52の代わりに2個の駆動プーリを有し、1個は偏心的に取り付けられ、1個は同心円状に取り付けられる。この代替的駆動システムにおいて、チャンバ1を回転させる動力は、両方とも駆動軸に対して一定の位置関係で固定されている、偏心的に取り付けられた駆動プーリ又は同心円状に取り付けられた駆動プーリのいずれかにより、駆動軸49の外側部分に伝達される。偏心的に取り付けられた駆動プーリは、チャンバのそれぞれの回転においてチャンバ1の回転速度を変えるために使用されるが、同心円状に取り付けられた駆動プーリは、それぞれの回転においてチャンバ1を一定に回転速度で駆動するために使用される。
【0032】
本発明の1つの実施形態において、駆動モータ54は変速であるばかりでなく可逆でもあり、そのためチャンバ1は、洗濯サイクルの特定の部分で最初に一方向、次に逆方向に回転する場合もある。流体適用/除去の工程の間にチャンバの回転方向を数回逆転することにより、より一様な攪拌が処置される布地物品に提供され、このため洗浄又はリンス溶液がより一様に適用され、それにより有効な汚れの除去及び/又はより一様な布地ケア効果が提供される。
【0033】
あらゆる特定のチャンバにおける回転速度とG抵抗力との変換は、下記の式を使用して計算することができ、
【数1】

=v/r
=a/g
式中、rはドラムの半径であり;
tは1回転の時間(分)であり;
vは回転の速度であり;
は求心加速度であり;
gは9.8m/s−2(地球の引力の加速)であり;
はG抵抗力である。
【0034】
例えば、半径26.67cm(10.5”)のドラムは、0.5Gの抵抗力を発生させるために、4.1ラド/秒で回転(毎分40回転(rpm))する必要がある。同じドラムを5.7ラド/秒(55rpm)で回転させると、0.9Gの抵抗力が発生する。これらの例示は計算を説明する他には特に意味がなく、操作のいかなる重要な範囲にも関連することがなく(本明細書の他の部分においても示されている)、本発明の範囲を制限すると解釈することはできない。
【0035】
本発明の装置は、外側チャンバ2に対して2以上の回転速度を有するチャンバ1を提供するように構成される。処置チャンバ1の多様な回転速度を選択して、洗浄/リンスサイクルの異なる工程中に特定の効果を達成することができる。1つの実施形態において、処置チャンバ1は、約1Gまで、又は約0.7G〜約1G、又は約0.5G〜約3Gの抵抗力を発生させる速度で回転して布地物品を混転させ、同時に処置溶液が、布地表面に処置溶液のより一様な付着が達成されるように適用される。低速の回転でもチャンバ1内の布地物品が攪拌される。チャンバ1は、布地物品が「スパン(spun)」するか壁に押しつけられて、布地物品及び/又はチャンバから処置溶液を有効に除去するように、約50G〜約450G、又は約150G〜約400Gの遠心力を発生させるように回転することができる。
【0036】
別の実施形態において、前側壁67は、布地処置装置70に洗濯物を積み卸しするのに使用される出入開口部58を有する管状延長55を有し、外側チャンバ2の出入開口部58と同心円状に整合されている。周囲壁65の内側周囲に等間隔に設置されているものは、実質的に三角形又は他の形状の断面を有する3個の持ち上げ羽根60である。特定の実施形態において、羽根は、それぞれチャンバ1の回転100の軸線から始まり、その高さを通り抜ける放射線状に伸びる線を中心として対称的に形状されている。これによりチャンバ1の反対方向の回転が、洗濯される物品に同等の持ち上げ効果をもたらす。大多数の従来の洗濯機は、持ち上げ羽根を有していないが、回転式乾燥機は、低速及び/又は一方向「混転」操作用に設計された持ち上げ羽根を有していることを理解されたい。さらに、チャンバ1は、その中に含まれる布地の配置を変えることを助けるために、内面に沿ってバッフル又は他の構造を含んでもよい。
【0037】
本発明のさらに別の実施形態において、処置チャンバ1は、少なくとも2個の回転可能な部分(示されず)を含み、駆動システムは、処置チャンバ1を関係回転が隣接する回転可能な部分の間に発生するように回転することができる。これによりチャンバ1内の布地物品が、従来の洗濯機で典型的に見られる一体部分、単一チャンバよりも速い速度で攪拌されることを可能にする。そのような反転処置チャンバの例は、国際公開特許第99/58753号に記載されている。
【0038】
ポンプ24が、流体をチャンバ1の内部に導入するために導管25を介してアプリケータ26に接続している。アプリケータ26は、いかなる適切な構成のスプレーノズル、アトマイザ、ネブライザなどのデバイスであってよい。
【0039】
スプレー量及びノズルの種類を含むスプレー技術は、A.H.ルフェーブル(Lefebvre)による参考文献「噴霧及びスプレー」(Atomization and Sprays)、ヘミスフェア出版社(Hemisphere Publishing Company)、米国、1989年に明確に記載されている。本発明のスプレーアプリケーターによって処置流体を適用する多くの方法がある。
【0040】
スプレーは、とりわけ、パターン、浸透程度、形状、及び液滴直径によって異なる。1つの実施形態において、アプリケータ26は、平面扇形スプレー及び/又は円錐形スプレーを放出するように構成される。中実円錐形スプレーは、液滴が中実円錐形スプレー容量全体を通して極めて一様に分配されているものである。中空円錐形スプレーは、液滴が円錐形スプレーパターンの外縁に集中しているものである。扇形スプレー又は平面スプレー又は平面扇形スプレーは、オリフィスの長軸に対して平行に液体シートを発生させ、スプレーパターンは、約75度角の円の扇形円の形状であり、断面が楕円形である。
【0041】
スプレーノズルは、約1200μm未満、典型的には約100〜約1,000μm、又は約120〜約500μm、又は約150〜約300μmの平均液滴直径を典型的に提供する。この平均液滴直径は、マルヴァーン(Malvern)粒子分析器又は高速度写真のいずれかにより測定される。スプレーノズルが微細グリッド又は膜で覆われ、100μm未満の平均粒径を有する液滴のより微細な霧状のものを発生させる場合、スプレーパターンは、典型的には、チャンバ1の中の空気の動きにより分配される。典型的には735m/sを超えるチャンバ1の高回転速度には、より大型の液滴のスプレーパターンが必要となる。
【0042】
送達導管25内の圧力は調整されてよく、温度を調節するために所望によりヒーターが付属されてもよく、本発明の装置は、全ての種類の流体、ゲル、ぺースト、並びに非ニュートン及びニュートン流体、ずり減粘及び非ずり減粘流体、多相混合物、エマルション、マイクロエマルション、及び動的装填エマルション系を含む他の物質を適用することができる。
【0043】
本発明の1つの実施形態において、好適なスプレーノズルは、流体圧力約275kPa(40psi)、最大圧力約690kPa(100psi)により毎分約1.87リットル(毎分0.5ガロン)の速度で放出し、80°のスプレー角度を形成する。
【0044】
別の実施形態において、処置溶液は、複数個のスプレーノズルを介して放出され、各スプレーノズルは、溶液が複数個のスプレーノズルから、処置される布地物品に流体が均一に分配される方法で噴霧されるように配置される。別の実施形態において、装置は、洗浄溶液を放出する1個のノズル及びリンス溶液を放出する他のノズルを有する。そのような他のスプレーノズルは、布地処置方法において(洗浄、すすぎ、又は抽出など)あらゆる好適なサイクルで操作することができ、処置溶液の適用及び/又は除去に連続して又はそれと同時であることができる。
【0045】
別の実施形態において、他のアプリケータ又は分配デバイス、例えば、アトマイザ、ネブライザなどのデバイスが使用される。ネブライザ、アトマイザなどのデバイスは、当業者に周知である。これらのデバイスは、多量の流体を微細液滴に分解することができる。この種類の典型的なアプリケータは、約100μm以下、典型的には約0.1〜約60μm、又は約0.5〜約40μm、又は約1〜約20μmの平均粒径を有する液滴を提供することができる。粒径が小さいため、液滴はチャンバ1中の空気の動きにより影響を受けやすい。ファンなどの空気循環デバイスを使用して、液滴を壁65、66、67に方向付けてもよい。
【0046】
幾つかの周知のアトマイザには、高速噴出を使用して液滴を発生させるオリフィスアトマイザ、圧力を動的エネルギーに変換して液滴を発生させる圧力アトマイザ、及び高周波数振動を使用して流体表面から微細液滴を発生させる超音波アトマイザが挙げられる。好適な超音波アトマイザは、ソノ・テック社(Sono Tek Corporation)(ニューヨーク州ミルトン(Milton))から商標名アキュ・ミスト(Acu Mist)(登録商標)で市販されている。そのようなデバイスのさらに別の例は、ドイツのオムロン・ヘルス・ケア社(Omron Health Care,GmbH)、又はイタリアのフリーム・ノーバ社(Flaem Nuove,S.P.A)から入手可能である。同様に、当該技術分野で周知のエアゾール放出システムを使用して、洗剤及び/又は仕上げ組成物を放出することができる。また静電分配デバイスを使用して、チャンバ1に組成物を分配することもできる。そのような静電分配デバイスの例は、米国特許出願10/418,595(P&Gケース8903)及び国際公開特許第03/02291号に記載されている。
【0047】
前扉59に取り外し可能に取り付けることができる他の分配デバイスは、米国特許出願10/697,735;同10/697,685;及び同10/697,736(P&Gケース9397、9398及び9400)及び米国特許出願2003/0200674A1;国際公開特許第03/087285号及び同第03/087461号に記載されている。これらの分配デバイスは、洗剤組成物、仕上げ組成物、さらには親油性(liphophilic)流体を放出するために使用できることが理解される。
【0048】
図2は、下記の実施形態におけるスプレーノズルである、アプリケータ26の内部配置の例である。アプリケータ26は、チャンバ1の回転の軸線100に平行であるように図2で示されている。別の実施形態において、アプリケータ26は、チャンバ1の回転の軸線100上に配置される。アプリケータ26は、前扉59に固定されているスプレーアーム57で支持されている。流体は、流体送達導管25とノズル26とを接続するダクト61を介してノズル26に送達される。アプリケータ26は、回転の軸線100と平行に配置され、それにより平面扇形スプレーをチャンバ1の周囲壁65、前側壁67、及び後側壁66に当たるように方向付ける。スプレーアーム57は、混転サイクルの間に別個の布地物品のいずれの衣類がスプレーアーム57に巻き付き、その結果として別個の布地物品の有効な洗浄を阻害するか、さらには場合によっては妨げることなく、チャンバ1の前側壁に噴霧することを可能にする。
【0049】
代替的実施形態において、図2では示されていないが、アプリケータ26を可撓性管状延長55に直接固定することができ、スプレーアーム57及びダクト61の必要がなくなる。したがって、アプリケータ26を、流体送達導管25に直接接続することができる。アプリケータ26を、可撓性管状延長55上の位置に配置することができ、それは平面扇形スプレーをチャンバ1の周囲壁65、前側壁67、及び後側壁66に当たるように方向付けることができる。1個のアプリケータノズル又は複数個のノズルが、操作サイクル(例えば、混転サイクル)の間にチャンバ中の布地物品がスプレーアーム57、アプリケータ26、又はアプリケータ26に関連する他のあらゆる構造に絡まるか、巻き付く可能性がある場所に配置されていない限り、アプリケータ26及び/又はスプレーアーム57の異なる配置及び/又は構成もまた好適である。本発明1つの実施形態において、アプリケータ26の配置及び/又は構成(1つのスプレーノズル又はそのようなノズルの複数個の形態)は、アプリケータ26が平面扇形スプレーを優先的に流体透過性周囲壁65に、所望により前側壁67及び/又は後側壁66にも当たるように方向付けるように選択される。
【0050】
本発明の別の実施形態において、処置組成物は、外側チャンバ2の流体レベルが処置チャンバ1内の布地物品の底より低くなるように、外側チャンバ2に送達される。処置方法の間、処置チャンバ1は、遠心力及び/又は引力が処置組成物をチャンバ1の穿孔46を通して引っ張り、チャンバ1内の布地物品と接触させるように回転できる。同様に、流体の抽出又は除去工程において、チャンバ1の処置組成物はチャンバ1の穿孔46を通り、チャンバ1の外側表面の底(すなわち、最下点)に到達するまでチャンバ1の外側表面を下りていくことができる、つまりチャンバ壁の穿孔を通ってから、外側チャンバ2の内側表面の底にいくことができる。導管7はこの底(すなわち、最下点)に配置されている。外側チャンバの内側表面は、全ての流体及び/又は液滴が導管7へ向かうように設計されている。本明細書でより詳細に後述される導管7中の流体、並びに導管37からのものは、次に、最大速度容量0.19L/s(毎分3ガロン)及び最大圧力345kPa(50psi)を有するポンプ3によりフィルタ6及びタンク8に供給される。送達導管7は典型的には直径127mm(1/2”)を有する。
【0051】
(布地物品処置方法)
本発明の別の態様は、布地処置方法を提供する。この方法は、低容量の洗剤組成物を、組成物が処置される布地物品の全ての部分に実質的に均一に分配されるように布地物品に適用する工程、その後に続く、洗剤組成物及び/又は汚れを除去し、リンス活性物質を処置される布地物品の全ての部分に実質的に均一に分配するのに十分な、1つ以上のリンス溶液を適用及び抽出する工程を含む。所望により、布地ケア活性物質を含む仕上げ溶液が布地物品に適用される。
【0052】
布地物品は、所望の効果が消費者によって認められるように、布地物品処置組成物で一様に又は実質的に一様に処置されることが望ましい。均一性の程度は、布地物品処置組成物に存在する布地物品活性物質に応じて変わることができる。例えば、香料は、その効果が全面的に一様に適用されなくても消費者に認められるのであれば、全面的に一様に適用される必要はないことがある。一方、しわ防止剤を、その効果が消費者に認められるために一様に適用する必要があることがある。
【0053】
(A)洗浄溶液適用工程
本発明の方法の洗浄溶液は、布地物品に「そのまま」又はその「非希釈形態」で適用される濃縮洗剤組成物であることができる。本発明のこの態様において、洗剤組成物は、布地物品に接触する前に、極性溶媒のようなあらゆる追加の希釈剤により希釈されない。換言すれば、布地物品処置組成物は、非希釈形態で、いずれかの別個の希釈剤又は他の溶液に接触する前に、布地物品に接触する。これは、洗剤などの布地物品処置組成物が過剰量の水などの希釈剤及び/又は他の溶液に添加されて混合物を形成し、次にそれが布地物品に接触するか、又はより典型的には布地物品を浸す従来の洗浄システムと同じではない。「非希釈形態」とは、ユーザーが組成物の供給者から得た洗剤組成物を意味し、従って、非希釈形態には、布地物品活性物質と組み合わされる水を含むことができる。水は、典型的には非希釈形態の液体又はペースト洗剤組成物に存在する。
【0054】
本発明の別の態様において、洗浄溶液はまた、ペースト又は液体濃縮洗剤組成物を水と混合するか、又は顆粒洗浄組成物を水に溶解/懸濁することにより調製して、洗浄溶液を形成することができ、これが布地物品に適用される。混合又は溶解は、装置の外側で行うことができる、又は洗浄溶液リザーバ中に洗剤組成物を置き、水供給ラインでそれを充填することにより実施できる、又は液体濃縮物の場合は、貫流セルを使用して混合し、洗浄溶液を調製することができる。本明細書で使用するとき、用語「洗浄溶液」とは、洗剤組成物が非希釈形態で布地物品に適用される実施形態と、前希釈又は前溶解された洗剤組成物(例えば、液体濃縮物、ペースト、顆粒)が布地物品に適用される実施形態の両方を包含することを意味する。
【0055】
洗浄溶液が処置される布地物品に適用されて、布地物品の全ての部分にわたる実質的に一様な分配が達成される。洗浄溶液の非均一分配はクリーンスポットを作り出し、そこでは、不均等な量の洗浄溶液が布地物品に接触し、布地物品の非接触部分又は浸透不足部分を未処理又は洗浄不足で放置する。これは、洗浄溶液の量がおよそ非浸漬レベル又はそれ未満である場合に特に当てはまる。
【0056】
要因の組み合わせが洗浄溶液の布地物品への実質的に一様な分配をより良く達成するために本発明のシステムにおいて使用され、洗浄溶液を微細液滴形状で連続的方法又は断続的/パルス方法で適用すること;布地物品の全ての部分がさらされるように、洗浄溶液が適用されている間、布地物品を移動又は混転させることであり、この移動又は混転様式が、連続的又は断続的、順方向又は逆方向、一方向、二方向又は多方向であり得ること;処置の間に布地物品が束になることを防ぐ又は最小限にするように、持ち上げ羽根、スプレーアーム、反転チャンバセクションのような追加的な構造要素を組み込むこと及び/又は使用することが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
適用される洗浄溶液の均一性は、噴霧均一性指数で表され、下記の方法に従って決定することができる。布地物品の代表的な積載量(例えば、ASTM試験D2960−98に記載されているような混合布地積載量)が装置内に置かれる。また、積載量に含まれるものは、25cm×25cmの正方形の白色綿布地を含む8枚のトレーサであり、次にトレーサはそれぞれ洗浄安全マーカーにより、5cm×5cmの正方形25個の格子にトレーサを再分割するようにマークされる。標準赤色染料溶液1%が加えられた洗浄溶液が、積載量の乾燥重量の約50%の量にアプリケータを介して適用される。次に見本を取り出し、空気乾燥させ、トレーサの5cm×5cmの正方形領域の色強度をそれぞれ視覚的に0〜10のスケールで等級付けし、等級0は、参照の綿見本に相当し、等級10は、染料を加えた洗浄溶液の溶液に10秒間完全に沈めてから乾燥させた白色綿参照見本に相当する。トレーサから得られた200の等級から、平均等級及び標準偏差をする。噴霧均一性指数は、等級が平均等級の標準偏差0.5以内である見本の百分率である。本発明の方法は、約90を超える噴霧均一性指数を提供することができる。
【0058】
したがって、本方法は、使用される洗浄溶液の量が布地物品の乾燥重量の約0.25倍の低さである可能性があるので、極めて効率的である。本方法はまた、過剰な水が存在して相互作用を弱めることがないので、極めて有効な洗剤/汚れ相互作用を可能にする。さらに、本方法は、洗剤活性物質が相対的に弱い布地親和性を有し、布地表面に付着して布地/汚れと相互作用するよりも、水性浴中に留まる方を選択するために、従来の浸漬水性洗浄システムでは有効ではない特定の親水性洗剤活性物質の使用を可能にする。特に、本発明の方法は、後述されるように、約0.3未満の洗浄中布地水分配率(Q)を有する活性物質を使用することができる。
【0059】
本発明の方法において、洗浄工程で使用される洗浄溶液の量は極めて低量である。低量の洗浄溶液を実質的に一様な方法で布地物品に直接適用することにより、得られる布地物品は、洗浄溶液の薄膜でコーティングされる。そのような薄膜で、洗剤活性物質は、布地表面と密接に接触し、汚れを布地表面から懸濁及び/又は除去することができる。さらに、使用染料分子が薄膜により閉じ込められ、別の布地表面に移動する傾向が低くなる。
【0060】
1つの実施形態において、薄膜洗浄工程で適用される洗浄溶液の量は、処置される布地の乾燥重量の約75%未満、又は約50%未満、又は約25%未満である。別の実施形態において、適用される洗浄溶液の量は、処置される布地の乾燥重量の約50%〜約200%、又は約75%〜約150%である。
【0061】
適用される洗浄溶液の量が減少されると、低量で薄膜布地処置方法により生じる斑点を最小限にするために、洗浄溶液を布地表面にわたって一様に分配することがさらに重要になる。一様な分配を達成するために、好適なアプリケータは、一様なスプレー適用範囲をもたらす許容可能なスプレーパターンを発生させることが可能でなければならず、例えば、上記で記載されたように90を超える噴霧均一性指数を有することが可能でなければならない。
【0062】
洗浄溶液は、液滴の少なくとも80%(D80)、又は少なくとも90%(D90)が約500μm未満、又は350μm未満、又は200μm未満の液滴直径を有する、洗浄溶液の液滴を含む霧又は霧状の形態で適用されてよい。
【0063】
本発明の1つの実施形態において、スプレーノズルが使用され、それは、液滴直径が上記の範囲内である中実円錐形スプレー容量で平面扇形スプレーを放出することができる。あるいは、アトマイザが使用され、それは、液滴直径が上記の範囲内に十分に収まる微細液滴を含む霧又は霧状のものを発生させることができる。好適なアプリケータは、上記の装置のセクションに記載されている。
【0064】
洗浄溶液適用方法は、下記で記載される、最適な洗浄溶液対布地の比率を達成するような量の洗浄液を使用する。理論に束縛されることなく、最適な洗浄溶液対布地の比率は、(1)大部分の洗剤が布地と密接に接触していることを確実にすること、(2)移染、汚れ再付着、及び石鹸泡を減少させること、及び(3)本方法固有の効率を保全すること、を達成するために有用であると考えられている。一方では、十分な流体が添加されない場合、衣類は洗浄溶液と完全に接触することがなく、他方では、流体が加えられすぎると、遊離(移動)洗浄溶液が存在し、濃縮洗浄溶液が1つの衣類から別の衣類に移り、染料クロッキングのような問題を引き起こす。最適な洗浄溶液対布地乾燥量の比率は、3/4:1〜1 1/2:1であると以前から考えられている。薄膜洗浄方法は、種々の布地材料、それらの織り方の形態及び厚さ、汚れの程度、及び洗剤配合者の管理を超えた他の予測し得ない要因のような要因を考慮に入れることにより、改良及び洗練できることが今では判明している。これは、異なる布地の種類及び織り方によりそれらの水の吸収力の程度が著しく変わる可能性があるからである。例えば、特定の合成繊維製の薄い布地は、追加の水が「遊離」洗浄流体になる前に、実質的にその乾燥重量の100%未満しか吸収しないが、厚い綿織物は、追加の水が「遊離」洗浄流体になる前に、実質的にその乾燥重量の100%超(例えば、時には200%超)を吸収することがある。積載量全体がどちらか一方の布地の種類に偏っている場合、洗浄溶液の最適量は、単に布地の乾燥量から決定された量と有意に変わる可能性がある。
【0065】
改良又は洗練された洗浄溶液対布地の比率、いわゆる「吸収能力重み付き洗浄溶液対布地の比率」は、上記の薄膜分配と、同時に過剰洗浄溶液を回避することの両方を可能にする特有の洗浄溶液の量の比であることができることが今では判明している。「吸収能力重み付き洗浄溶液対布地の比率」は、下記のように定義され、
Z:Y
Y=乾燥布地積載量の総質量(kg)
Z=A+A+A+...A
ここで、1、2、3、...n=異なる種類/織り方の布地の数;Bは、所定の布地/織り方の種類を含む布地積載量のその部分の質量(kg);Aは所定の布地/織り方の種類の吸収係数であり、[M/100]と等しく、ここで、Mは、前記布地が水に浸され、次に穿孔バスケットにより5分間41.8ラド/秒(400rpm)で遠心分離された後、前記の所定の布地/織り方の種類の見本100gに吸収された水の量(g)である。
【0066】
したがって、本発明の方法は、最適量の洗浄溶液を使用して、改良された布地洗浄効果を、吸収能力重み付き洗浄溶液対布地の比率に基づき約0.25〜約2、又は約0.5〜約2、又は約0.75〜約1.5の範囲で送達する。
【0067】
(B)任意の放置(Incubation)工程
適用工程の後、任意の放置工程は、洗浄溶液中の洗剤活性物質及び水が汚れ、染み、布地表面と相互作用することを可能にするために、布地物品及び洗浄溶液を十分な時間接触させ続けることを可能にする。放置時間は、少なくとも約1分間、又は少なくとも約3分間、又は少なくとも約5分間であってよい。一方、方法の時間を効率的にするために、放置時間は約30分未満、又は約15分未満、又は約10分未満続いてよい。
【0068】
所望により、放置時間は、熱的又は非熱的な(例えば、非加熱空気循環及び/又は通気により)水の蒸発除去を伴って洗浄溶液の薄膜をさらに濃縮することができる。
【0069】
所望により、布地物品が洗浄溶液と接触した後、エネルギー(熱的及び/又は機械的エネルギー)が処置チャンバにおいて布地物品に適用される。熱エネルギーは、加熱空気、気流、マイクロ波及び他の放射エネルギーにより適用されてよい。機械的エネルギーは、処置チャンバ1を回転させる、逆回転させる、混転させることにより適用されてよく、羽根46、フィン、又は処置チャンバの壁から突出している他の構造により強められてよい。
【0070】
理論により束縛されることなく、熱エネルギーは、洗浄溶液の洗浄力を下記のように向上させることがあると考えられている。熱エネルギーは、組成物/布地/汚れの相互作用を向上させることがある。熱エネルギーは、洗浄溶液の「液晶相」への推移を促進し、それはより有効な洗浄力を示す。本明細書で使用するとき、「液晶相」又は「中間相」とは、構成されたあらゆるミセル構造を意味し、棒状、六角形、及び層状配置が挙げられるが、これらに限定されない。約10℃〜約70℃の範囲の操作温度において、液晶相は、約10%以上の界面活性剤濃度に達することができる。熱エネルギーは、洗浄溶液がより濃縮して布地表面での相互作用、中間相の形成、最終的には洗浄力を促進するように、洗浄溶液を布地表面で部分的に水分含有量を失わせるために十分な温度に上昇させることがある。熱エネルギーは、漂白剤、無機過酸化物塩活性化剤又はペルオキシ酸を活性化することがあり、これらの熱活性化物質の非限定例は、米国特許第4,248,928号、米国特許第4,220,562号及び米国特許第4,100,095号で開示されている。熱エネルギーはまた、酵素活性を促進することもある。
【0071】
機械的エネルギーは、布地物品により均一に分配されるように洗浄溶液を分配することを助けることがある。機械的エネルギーはまた、同じ布地物品の表面が互いに接触している時間を最小限度にするので、移染を最小限度にすることがある。機械的エネルギーはまた、例えば布地表面から汚れを解き放すことにより洗浄効率を向上させることにも寄与する。
【0072】
(C)リンス溶液適用工程
リンス溶液は、純粋な水及び所望によりリンス活性物質を含んでよい。薄膜洗浄工程を実施するために低量の洗浄溶液が布地表面に適用されるので、洗剤活性物質、汚れ、並びに使用染料物質が布地表面に濃縮する。したがって、リンス工程の目標は、洗剤活性物質、汚れ及び染料物質を十分に除去することである。さらに、洗剤活性物質、汚れ及び染料の除去が、これらの物質が濃縮する初期段階で効率的に実施される場合、汚れの再付着及び移染を最小限度にすることができる。同時に、リンス工程で使用されるリンス水の総量は、水消費量を削減するため、及び処理される布地物品において水により引き起こされる縮みを最小限度にするために、制限される必要がある。
【0073】
上記に基づき、有効なリンスは、多量の先リンス溶液によりシステムをフラッシュ(flushing)して、洗剤活性物質、汚れ及び染料を懸濁するのに十分なほどの遊離水を布地表面に生じさせ、それによりこれらの物質が先リンスで実質的に除去されることによって達成することができる。一般に、2つ以上のリンス溶液が全ての洗剤活性物質、汚れ及び染料を除去するために必要である。後リンスは、先リンス溶液と同じ量の水を使用する必要がない。典型的な実施形態において、先リンス溶液の量は、布地物品の乾燥重量の約5〜約20倍であり、後リンス溶液の量は布地物品の乾燥重量の約1〜約10倍であるか、又は先リンス溶液の約1/5〜約1/2であり;リンス工程で使用される水の総量は、約5〜約50リットル、又は約5〜約20リットルである。
【0074】
1つの実施形態において、完全なリンス工程は2〜5サイクル、多くの場合には2〜3サイクルを含む。先リンス溶液は、典型的には純粋な水であり、最後のリンス溶液は、水及び所望によりリンス活性物質を含んでもよい。各サイクルは約1〜約15分間、又は約3〜約10分間続き、各サイクルは、同じ長さの時間である必要はないリンスサイクルの合間に、リンス溶液を除去する。リンス溶液の除去及び抽出は、処置チャンバ1を高速で回転又はスピンして、約50G〜約450G、又は約150〜約400Gの遠心力を発生させることにより達成することができる。リンス溶液を除去する他の方法には、拡張袋を使用してリンス溶液を絞り出すこと、スポンジ様物質を接触させてリンス溶液を吸い取ること、真空ポンプを使用してリンス溶液を吸い取ることが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
リンス溶液は、洗浄溶液を適用するのに使用されるのと同一又は同様のアプリケータにより液滴の形態で適用されてよく、これは、リンス溶液を均一に分配するため、リンス溶液と布地物品の密接な接触を促進するため、又は布地表面の間で汚れの再付着及び/若しくは移染を最小限度にするように布地表面の接触を減少させるために混転することと組み合わされる。1つの実施形態において、適用されるリンス溶液、特に噴霧又は霧吹きではない先リンスの量のため、リンス溶液は、約1〜約20リットル/分、又は約1〜約10リットル/分、又は2〜5リットル/分の速度でポンプによりチャンバ1内へ送られる。別の実施形態において、先リンス溶液がポンプで送られ、最終リンス溶液が噴霧又は霧吹きされる。
【0076】
1つの実施形態において、リンス溶液は処置チャンバ中の布地物品に間接的に適用される。すなわち、リンス溶液は、処置チャンバ1の底の直ぐ下のレベルまで外側チャンバ2に放出され、処置チャンバ1を回転又は混転させることにより、リンス溶液が処置チャンバ1の壁の穿孔を通り、中の布地物品に接触する。間接的方法の利点は、布地物品がリンス溶液に浸されることがなく、常時移動しているので、汚れの再付着及び/又は移染が最小限度になることである。
【0077】
リンス工程での布地物品の混転、回転又は他の移動は、リンス溶液の均一な分配を促進する。しかし、そのような移動は、高速である必要はない(例えば、1G未満)。これは、布地物品がしわ及び/又は束になる可能性を最小限度にするためである。さらに、サイクルの合間のリンス溶液の除去は、布地物品が処置チャンバの壁に固定されないように、非常に高速で実施する必要はない。
【0078】
(D)任意の工程
所望により、後リンス溶液と同様な仕上げ溶液又は後リンス溶液よりも低い水分含有量を有する仕上げ溶液を、布地物品が実質的に一様に仕上げ溶液と接触するように、リンス溶液適用と同様にして布地物品に適用することができる。好ましくは、仕上げ溶液は、布地物品に残ることが意図される布地ケア活性物質を含む。したがって、仕上げ溶液の部分的な除去は任意であり、一部の実施形態では、仕上げ溶液の適用は、乾燥工程の直後である。
【0079】
所望により、乾燥工程は、最終リンスサイクルの後、同じ装置において実施することができる。デュアルモード装置(すなわち、1つの装置で洗濯機と乾燥機)は、当該技術分野において既知である。この選択肢は、消費者が単一の装置で全洗濯方法(dry to dry)を連続的に実施することを可能にし、従って時間の節約になる可能性がある、追加の利点を提供する。
【0080】
(布地物品処置組成物)
本発明の組成物は、少なくとも1つの布地処置活性物質を含む。布地処置活性物質は、洗剤補助剤及び/又はリンス活性物質を含んでよい。
【0081】
組成物はまた、水を包含する極性溶媒を含む。
【0082】
布地物品活性物質は、布地洗浄、布地仕上げ、又は布地ケアのために好適なあらゆる布地物品補助剤であってよい。したがって、布地物品活性物質は、洗剤活性物質、リンス活性物質及びこれらの混合物であってよい。
【0083】
洗浄工程で使用される洗剤活性物質の非限定例には、界面活性剤、漂白剤、酵素、任意のビルダー、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0084】
リンス工程で使用される仕上げ活性物質の非限定例には、柔軟化剤、増白剤、香料、汚れ放出剤、しわ防止剤及びこれらの混合物が挙げられる。
【0085】
(極性溶媒)
本発明の極性溶媒は、下記のハンセン(Hansen)溶解度パラメータの少なくとも1つを示す。
−0.02を超える及び/若しくは0.05を超える部分極性値(f);並びに/又は
−0.10を超える及び/若しくは0.2を超える部分水素結合値(f)。
【0086】
本発明の布地物品処置組成物での使用に好適な極性溶媒の非限定例には、水、アルコール類、グリコール類、ポリグリコール類、エーテル類、カーボネート類、二塩基性エーテル類、ケトン類、他の酸素飽和溶媒、及びこれらの混合物が挙げられる。アルコール類の更なる例には、プロパノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのC1〜C126アルコール類、ベンジルアルコール、及び1,2−ヘキサンジオールなどのジオール類が挙げられる。ダウ・ケミカル(Dow Chemical)によるドワノール(Dowanol)(登録商標)シリーズは、ドワノール(登録商標)TPM、TPnP、DPnB、DPnP、TPnB、PPh、DPM、DPMA、DB他のような本発明で有用なグリコール類及びポリグリコール類の例である。更なる例には、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリブチレングリコール、さらに疎水性グリコール類が挙げられる。カーボネート溶媒の例には、エチレン、プロピレン、及びジェフソール(Jeffsol)(登録商標)の商標名で入手可能なものなどブチレンカーボネート類である。本発明の極性溶媒は、分散性(δ)、極性(δ)及び水素結合(δ)ハンセン溶解度パラメータによってさらに識別することができる。好ましい極性溶媒又は極性溶媒混合物は、部分極性(f)及び部分水素結合(f)が、f>0.02及びf>0.10であり、ここで、f=δ/(δ+δ+δ)及びf=δ/(δ+δ+δ)、より好ましくはf>0.05及びf>0.20、最も好ましくはf>0.07及びf>0.30である。
【0087】
1つの実施形態において、極性溶媒は、水、アルコール類、グリコール類、エーテル類、カーボネート類、エステル類、ケトン類、他の酸素飽和溶媒、アミン類、アミド類、尿素類、アルカノールアミン類、アルカノーアミド類リン酸エステル類、アルキルニトリル類及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0088】
1つの実施形態において、極性溶媒は、約0重量%〜約50重量%、及び/又は約0.01〜約20重量%の水を含む。
【0089】
(洗剤活性物質)
本発明の布地物品処置システムは、従来の水性浴処置システムで使用されるときに、布地の処置に有効ではない特定の洗剤活性物質の使用を許容する点において、独特である。これらの洗剤活性物質は、布地表面に対して相対的に低い親和性(すなわち、低い布地水分配率)を有し、これらの活性物質は、布地表面に付着するよりも水性浴中に留まることを好む。本明細書に用いるのに好適な洗剤活性物質は、低い布地水分配率、特に、低い「洗浄中布地水分配率」を有する。「洗浄中布地水分配率」は、布地表面におけるその存在が洗浄工程で望ましく、後ですすぎ落とされてよい、これらの活性物質(例えば、漂白剤、キレート化剤)に適用される。
【0090】
本発明の目的において、用語「洗浄中布地水分配率」は{(X−Y)/X}と定義され、ここで、Xは、推奨される水のレベル、設定、及び典型的な混合布地積載量で操作される従来の浸漬型北アメリカ又はヨーロッパ洗濯機に添加される活性物質の質量(完全な洗剤組成物の構成成分として存在することができる)であり、Yは、布地が10分間攪拌され、続いて水切り及びスピンにより洗浄液を除去した後、収集された排水洗浄溶液中に残留している前記活性物質の質量である。「混合布地積載量」は、米国材料試験協会の試験番号D2960−98に記載されている種類のものである。ケンモア(Kenmore)90.6L(3.2立方フィート)スーパーキャパシティ(super capacity)27インチ(69センチ)トップロード洗濯機を使用することができ、機械の設定は、「ヘビーデューティー(Heavy Duty)」及び約64.3L(17ガロン)の水の充填である。あるいは、ミーレ・ノボロトニック(Miele Novotronic)W918洗濯機を使用することができ、機械の設定は、通常サイクル(すなわち、ショートボタン)及び洗浄で約11リットル、4回のリンスで約37リットルの水の充填である。
【0091】
本明細書に用いるのに好適な洗剤活性物質は、約0.3未満、又は約0.2未満の洗浄中布地水分配率(Q)を有する。
【0092】
本発明の方法はまた、少なくとも約8、又は少なくとも約9、又は約8〜約12のHLB(親水性−親油性バランス)値を有する親水性洗剤活性物質を使用することもできる。
【0093】
1つの実施形態において、組成物は、本発明での使用に好適なQ値を有する代表的な界面活性剤を含み、これらには、C6〜C10アルキル又はアリールスルホネート類、C6〜C10アルコール類及びそれらのスルホネート類、エトキシスルホネート類、エトキシカルボキシレート類、並びにエトキシレート又はアルコキシラート誘導体のような短(すなわち、非脂肪質)鎖界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、洗剤組成物は、組成物の約1重量%〜約30重量%、又は約3重量%〜約20重量%、又は約5重量%〜約15重量%の親水性界面活性剤を含む。
【0094】
幾つかの好適な洗剤補助剤には、ビルダー類、界面活性剤、界面活性剤構成成分に関して上記記載以外のもの、酵素、漂白活性化剤、漂白触媒、漂白増進剤、漂白剤、アルカリ性供給源、抗菌剤、着色剤、香料、芳香促進剤(pro-perfume)、仕上げ助剤、石灰石鹸分散剤、臭気抑制剤、臭気中和剤、ポリマー移染防止剤、抗摩耗剤、布地向上アミン類、染料固着剤、布地回復剤、繊維防水剤、結晶成長防止剤、光漂白剤、重金属イオン封鎖剤、さび止め剤、抗菌剤、酸化防止剤、再付着防止剤、ポリマー分散剤、汚れ放出ポリマー類、電解質、pH調節剤、増粘剤、研磨剤、二価又は三価のイオン類、金属イオン塩類、酵素安定剤、腐食防止剤、ジアミン類又はポリアミン類及び/又はそれらのアルコキシレート類、泡安定化ポリマー類、溶媒、加工助剤、布地柔軟剤、蛍光増白剤、ヒドロトロープ類、泡又は泡立ち抑制剤、泡又は泡立ち促進剤、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
仕上げ活性物質として所望により使用されてもよい好適な臭気抑制剤には、シクロデキストリン類、臭気中和剤、臭気遮断剤及びこれらの混合物が挙げられる。好適な臭気中和剤としては、アルデヒド類、フラボノイド類、金属性塩類、水溶性ポリマー類、ゼオライト類、活性炭及びこれらの混合物が挙げられる。
【0096】
本発明の組成物に有用な香料及び香料的成分は、多種多様な天然の及び合成の化学成分を含み、アルデヒド類、ケトン類、エステル類などが挙げられるが、これらに限定されない。また、様々な天然抽出物及び天然エキスも挙げられ、これらは、オレンジ油、レモン油、バラ抽出物、ラベンダー、ムスク、パチョリ、バルサムエキス、ビャクダン油、松根油、シーダーなどの成分の複雑な混合物を含むことができる。完成した香料は、このような成分の極めて複雑な混合物を含んでもよい。芳香促進剤も本発明で有用である。そのような物質は、化学的に反応可能な、例えば加水分解により香料を放出する、それらの前駆体又は混合物であり、プロクター・アンド・ギャンブル(Procter and Gamble)、フィルメニッチ(Firmenich)、ジボダン(Givaudan)他に対して発行された特許及び/又は公開特許出願に記載されている。
【0097】
漂白剤、特に酸素漂白剤は、本発明の組成物での使用に好適な洗剤補助剤の別の種類である。これは、特に、ノナノイルオキシベンゼンスルホネート及び/又はその直鎖状若しくは分枝鎖状高級若しくは低級類似体のいずれか、並びに/又はテトラアセチルエチレンジアミン及び/若しくはその誘導体のいずれか、又はフタロイルイミドペルオキシカプロン酸(PAP)の誘導体、又はラクタム型を含む他のイミド−若しくはアミド−置換漂白剤活性化剤、又はより一般的に、親水性及び/若しくは疎水性漂白剤活性化剤のいずれかの混合物(特に、C〜C16置換オキシベンゼンスルホネート類のものを含むアシル誘導体)による活性化及び触媒化型に関する場合である。
【0098】
PAP及びPAP以外のものを含む有機又は無機過酸も好適である。本明細書に用いるのに好適な有機又は無機過酸としては、過カルボン酸及び塩;過炭酸及び塩;過イミド酸及び塩;ペルオキシモノ硫酸及び塩;モノペルスルフェートのようなペルスルフェート類;ジペルオキシドデカンジオン酸(DPDA)のようなペルオキシ酸;ペルオキシフタル酸マグネシウム;過ラウリン酸;過安息香酸及びアルキル過安息香酸;並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
好適な有機過カルボン酸の1つ部類は、下記の一般式を有し:
【化1】

式中、Rは炭素原子1〜約22個を含有するアルキレン若しくは置換アルキレン基、又はフェニレン若しくは置換フェニレン基であり、Yは水素、ハロゲン、アルキル、アリール、−C(O)OH、又は−C(O)OOHである。
【0100】
特に好ましい過酸化合物は、下記の式を有し:
【化2】

式中、RはC1〜4アルキルであり、nは1〜5の整数である。特に好ましい過酸は、RがCHであり、nが5である式を有しており、すなわち、米国特許第5,487,818号、同第5,310,934号、同第5,246,620号、同第5,279,757号、及び同第5,132,431号に記載されているフタロイルアミノペルオキシカプロン酸(PAP)である。PAPは、商標名ユーロコ(Euroco)としてオーシモント社(Ausimont SpA)から入手可能である。
【0101】
過酸化水素は、極めて有用な漂白剤である。
【0102】
本発明の組成物での使用に好適な他の洗浄補助剤には、ゼオライトA、P、及びいわゆる最大アルミニウムPを含むゼオライト類などの不溶型、並びにホスフェート類及びポリホスフェート類、あらゆる含水性の水溶性又は非水溶性シリケート類、2,2’−オキシジスクシネート類、タータラートスクシネート類、グリコレート類、NTA、及びその他多くのエーテルカルボキシレート類又はシトレート類などの可溶型を含むビルダー類;EDTA、S,S’−EDDS、DTPA、及びホスホネート類を含むキレート剤;水溶性ポリマー類、コポリマー類、及びターポリマー類;汚れ放出ポリマー類;蛍光増白剤;加工助剤;充填剤;再付着防止剤;保湿剤;他の香料又は芳香促進剤;光漂白剤;増粘剤;単塩類;水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、及び硫酸塩などを含むナトリウム又はカリウムに基づくものなどのアルカリ類;並びにこれらの洗浄補助剤の1つ以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
本明細書に用いるのに好適な洗剤補助剤の別の部類は、「洗剤汚れ混合促進剤」と呼ばれる。理論に束縛されるものではないが、そのような剤は、下記の方法で洗浄方法を補助すると考えられる。通常は、従来の水性洗浄方法において剪断攪拌が起こるが、遊離水溶液の浴の存在下では、本発明の薄膜洗浄工程における極めて低い洗浄溶液対布地の比率は、布地表面における有利な流体剪断力の程度を妨げて、その結果、汚れ洗剤混合は最適な程度に満たなくなる。「洗剤汚れ混合促進剤」は、汚れと水性洗剤溶液との混合を薄膜内で化学的に促進することにより、この欠点を補う。そのような剤には、オレオイルサルコシネート類などのいわゆる「キレート化界面活性剤」;ラウリルアミンオキシドなどの「固体油液化界面活性剤」;ナトリウム又はカリウムキシレンスルホネートなどのヒドロトロープ類;並びにC6〜C10アルコール類及びそれらのスルフェート、エトキシスルフェート、エトキシカルボキシレート、及びエトキシレート誘導体などの「短鎖界面活性剤」が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、汚れ洗剤混合促進剤の別の部類は、リパーゼ類及びエステラーゼ類を含む。
【0104】
本明細書に用いるのに好適な洗剤補助剤の別の部類は、無機ナノ粒子又はポリマー類のような撥汚れ剤(soil repleent agent)である。ナノ粒子の非限定例には、(a)無機金属酸化物、天然粘土類、合成粘土類及びこれらの混合物;(b)カオリナイト、モノンモリリナイト(montmorillinite)/スメクタイト、ヘクトライト、合成フルオロヘクトライト、イライト、合成粘土群の変異型及び同形置換及びこれらの混合物から成る群から選択される合成粘土類;並びに(c)層状含水ケイ酸塩、層状含水ケイ酸アルミニウム、フルオロケイ酸塩、雲母−モンモリロナイト、ハイドロタルサイト、ケイ酸リチウムマグネシウム、フルオロケイ酸リチウムマグネシウム、及びこれらの混合物から成る群から選択される合成粘土類;から成る群から選択される、ナノ粒子及び/又は機能性コロイド粒子が挙げられる。好適なナノ粒子(naoaparticle)物質は、サザン・クレー・プロダクツ社(Southern Clay Products,Inc)(テキサス州オースチン(Austin))からラポナイト(LAPONITE)(登録商標)として市販されている。撥汚れ剤としての使用に好適なポリマー類の非限定例には、約0.001(1,000)〜約8.3ag(5,000,000ダルトン)の重量平均分子量を有するポリエチレングリコール類、約0.001(1,000)〜約8.3ag(5,000,000ダルトン)の重量平均分子量を有するポリアクリレート類、及び約0.001(1,000)〜約8.3ag(5,000,000ダルトン)の重量平均分子量を有するカルボキシメチルセルロースが挙げられる。
【0105】
典型的な実施形態において、洗剤活性物質は、それぞれ洗剤組成物の少なくとも約0.01重量%、又は少なくとも0.1重量%、又は少なくとも1重量%;洗剤組成物の99重量%未満、又は50重量%未満、又は10重量%未満含む。
【0106】
(リンス活性物質)
先リンス溶液での使用に好適なリンス活性物質は、汚れ懸濁剤、ヒドロトロープ類、リンス活性化剤、pH調節剤、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
汚れ懸濁剤の非限定例は、エトキシル化アミン類、双イオン性ポリマー類、ポリカルボキシレート類、ポリアルキレングリコール類、ポリアミノ酸、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0108】
汚れ懸濁剤の1つの部類は、(a)約189〜1800ダルトンの平均分子量を有するポリエチレンイミンであり、主鎖における窒素が、それぞれ置換基(EO)を有し、ここでxが、7〜30の整数であり、末端OH基の幾つか若しくは全てが、スルフェート基で置換されている、及び/又はアミン基の幾つか若しくは全てが、メチル、エチル、若しくはベンジル基で四級化されているポリエチレンイミン;(b)約0.0002(116)〜約0.0009ag(550ダルトン)の平均分子量を有するポリヘキサメチレンイミンであり、主鎖における窒素が、それぞれ置換基(EO)を有し、ここでxが、7〜30の整数であり、末端OH基の幾つか若しくは全てが、スルフェート基で置換されている、及び/又はアミン基の幾つか若しくは全てが、メチル、エチル、若しくはベンジル基で四級化されているポリヘキサメチレンイミン;並びに(c)これらの混合物から成る群から選択されるエトキシル化アミンである。
【0109】
汚れ懸濁剤の別の部類は、ポリアクリル酸の水溶性塩、ポリ(マレイン酸)−コポリ(アクリル酸)の水溶性塩、カルボキシメチルセルロース、及びこれらの混合物から成る群から選択されるポリカルボキシレートである。
【0110】
ヒドロトロープの非限定例は、クメンスルホン酸、トルエンスルホン酸、又はキシレンスルホン酸、及びこれらの混合物の金属塩から成る群から選択される。
【0111】
リンス活性化剤の非限定例は、脂肪モノ−又はオリゴ−アミン類であって、主鎖における1個以上の窒素が、置換基(EO)を有し、ここで、xは7〜30の整数であり、末端OH基の幾つか若しくは全ては、スルフェート基で置換されている、及び/又はアミン基の幾つか若しくは全ては、メチル、エチル若しくはベンジル基で四級化されている脂肪モノ−又はオリゴ−アミン類;エトキシル化脂肪族アミン類若しくはエトキシル化された四級化脂肪族の類似体;及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0112】
移染防止ポリマー類の非限定例は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン−N−オキシド、ポリ(ビニルピロリドン)−コポリ(ビニルイミダゾール)、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ類、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0113】
pH調節剤には、慣用的に知られているpH緩衝物質が挙げられる。
【0114】
(布地ケア活性物質)
布地ケア活性物質は、後リンス溶液又は仕上げ溶液に組み込まれることができ、後者は、処置される布地物品上に残ることが意図され、すなわち、仕上げ工程の後に後リンス工程がない。
【0115】
本明細書に用いるのに好適な布地ケア活性物質は、低い布地水分配率、特に、低い「後リンス布地水分配率」を有する。用語「後リンス布地水分配率」は、{(X−Z)/X}と定義され、ここで、Xは上記と同義であり、Zは上記記載と同様の機械の設定及び水のレベルに従って、布地が「混合布地積載量」で洗浄及びすすがれた後、収集された排水洗浄溶液及びリンス溶液中に残留している前記活性物質の質量である。「後リンス布地水分配率」は、乾燥され及び/又は着用されている間に布地に留まることが望まれる活性物質(例えば、美観有益剤、撥汚れ仕上げ剤、香料など)に適用できる。
【0116】
本明細書に用いるのに好適な布地ケア活性物質は、約0.2を超える、又は約0.3を超える後リンス布地水分配率(Q)を有する。
【0117】
好適な布地ケア活性物質には、抗磨耗剤、布地向上剤、結晶成長防止剤、染料固着剤、布地柔軟化剤、布地回復剤、繊維防水剤、撥汚れ剤、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。これらの布地ケア活性物質のうちの幾つかは、下記で詳細に開示されている。
【0118】
抗磨耗剤の非限定例は、アクリルアミド、ビニルアミン、3−トリメチルアンモニオプロピルアクリレート、N−アルキルビニルピリジン、N−オキシド−ビニルピリジン、ビニルアルコール、ジアルキルジアリルアンモニウムクロリド、N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド、及びこれらの四級化誘導体、のモノマー類のいずれか1つ以上を含有するホモ又はコポリマーから実質的に成る群から選択される。
【0119】
染料固着剤の非限定例は、サンドフィックス(Sandofix)(商標)、サンドレック(Sandolec)(商標)、ルパソール(Lupasol)−SK(商標)、及びカルタフィックス(Cartafix)(商標)変異型;エピクロロヒドリンと、イミダゾール、ジメチルアミノプロピルアミンなどのアミン類とのコポリマー類;ポリビニルアミン;マグネシウム(II)と亜鉛(II)及びアルミニウム(III)の水溶性塩;ジアミンエステル類の塩酸塩、酢酸塩、メトスルフェート(metosulphate)及びベンジル塩酸塩、第三級アミン類のN−オキシド類;ポリマーアルキルジアミン類の誘導体、ポリアミン−塩化シアヌル縮合体、及びアミン化グリセリンジクロロヒドリン類から成る群から選択される。
【0120】
布地向上剤の非限定例は、トリエタノールアミン;モノエタノールアミン;N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,3−プロピレンジアミン(TPTA)、ジプロピレントリアミン(5−N’−メチルジプロピレントリアミン)、1,4−ピペラジン類、それらのN−アルキル化及びN−ヒドロキシルアルキル化誘導体、並びにこれらの混合物から成る群から選択されるアミン類である。
【0121】
好ましい布地回復剤は、アミノプロピル化ポリジメチルシロキサン、アミノプロピル−アミノエチル化ポリジメチルシロキサン、アミノシリコーン類、カチオン性アミノシリコーン類、ポリジメチルシロキサン類;ペンダントポリエチレン又はポリエチレン/ポリプロピレン側鎖を有するポリジメチルシロキサン類又はトリシロキサン類、アルキル化又はヒドロキシアルキル化セルロース類から実質的に成る群から選択される。
【0122】
結晶成長防止剤の非限定例は、グリコール酸、フィチン酸、ポリカルボン酸類、カルボン酸類とポリカルボン酸類のポリマー類及びコポリマー類、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート類、ポリアクリレートポリマー類、無水マレイン酸とエチレンエーテルとのコポリマー類、又はアクリル酸、クエン酸及びそれらの可溶性塩類のビニルメチルエーテル類とのコポリマー類、3,3−ジカルボキシ−4−オキサ−1,6−ヘキサン二酸類、アルキル及びアルケニルコハク酸、並びにこれらの塩、オルガノ−ジホスホン酸類又は塩、例えば、エチレンジホスホン酸、α−ヒドロキシ−2フェニルエチルジホスホン酸、メチレンジホスホン酸、ビニリデン−1,1−ジホスホン酸、1,2−ジヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、ヒドロキシ−エタン1,1ジホスホン酸、これらの塩、並びこれらの混合物から成る群から選択されてよい。
【0123】
繊維防水剤の非限定例は、低分子量脂肪族又は芳香族アルコール類、低分子量アルキレングリコール類、低分子量アルキレングリコールエーテル類、低分子量エステル類、又は低分子量アルキレンアミン類若しくはアルカノールアミン類から成る群から選択されてよい。本明細書において、「低分子量」は、分子の主鎖の長さが、炭素12個未満、又は約C6〜C10の長さであることを意味する。
【0124】
布地柔軟化剤の非限定例は、カチオン性ジアルキル又は姉妹第四級アンモニウム塩類であってもよい。
【0125】
典型的な実施形態において、リンス活性物質は、それぞれ洗浄組成物の少なくとも約0.01重量%、又は少なくとも0.05重量%、又は少なくとも0.1重量%含み;リンス活性組成物の99重量%未満、又は10重量%未満、又は5重量%未満を含む。
【0126】
(薄膜洗濯方法の非限定例)
(実施例1)
・布地物品(例えば、衣類)の積載量を水平軸自動洗濯機の中に置く。
・約1Gの抵抗力を発生させることができる速度で布地物品の混転を始める。
・十分な水で希釈された、洗剤組成物75gを含む洗浄溶液を、得られる溶液対布地の比率が0.25:1〜2:1になるように、上記で記載された液滴直径及び他の噴霧/霧吹き要件に従って、混転衣類上に噴霧/霧吹きする。
・合計混転時間約15分間、混転を続ける。
・得られる溶液対布地の比率が約15:1になるように、新たな水を急速に(例えば、毎分1.87リットルの速度でポンプにより送って)混転積載量に加える。
・高速スピンにより過剰溶液を全て除去する。
・混転を継続し、十分な水で希釈された、仕上げ活性物質50gを含む仕上げ組成物を、得られる溶液対布地の比率が約2:1〜5:1になるように、本発明の噴霧/霧吹き要件に従って、混転衣類上に噴霧/霧吹きする。
・高速スピン(例えば、少なくとも約450rpmの速度)により少なくとも全ての遊離溶液を除去する。
・所望により、同じ装置で混転乾燥させる。
【0127】
(実施例2)
・衣類の積載量を水平軸洗濯機中に置く。
・約0.5G〜約3Gの抵抗力を発生させることができる速度で布地物品の混転を始める。
・新たな水を加え、洗剤組成物75gを、得られる溶液対布地の比率が約7:1になるように混転衣類上に噴霧/霧吹きする。
・合計混転時間15分間、混転を続け、その間、残留溶液対布地の比率が約0.75:1以下になるように熱を加えて、適用された溶液から部分的に水を除去する。
・得られる溶液対布地の比率が約15:1になるように、新たな水を急速に混転積載量に加える。
・高速スピンにより少なくとも全ての遊離溶液を除去する。
・得られる溶液対布地の比率が約7:1になるように、新たな水を急速に混転積載量に加える。
・高速スピンにより少なくとも全ての遊離溶液を除去する。
・混転を継続し、リンス活性物質約30〜50g及び十分な水を含むリンス溶液を、得られる溶液対布地の比率が約2:1〜5:1になるように、本発明の霧吹き/噴霧要件に従って、混転衣類に噴霧する。
・高速スピンにより少なくとも全ての遊離溶液を除去する。
・所望により、同じ装置で混転乾燥させる。
・所望により、仕上げ溶液を霧吹き適用する。
【0128】
(非限定配合例)
【表1】

1.ネオドール(Neodol)(登録商標)23−9、ネオドール(登録商標)45−7及びこれらの混合物。
2.米国特許第4,597,898号(バンデル・ミーア(Vander Meer)、1986年7月1日発行)によるエトキシル化テトラエチレンペンタミン(PEI 189E15〜E18);PEI 1800E(米国特許第5,565,145号(ワトソン(Watson)ら、1996年10月15日発行)による);PEI−600−E20;米国特許第6,579,839号(プライス(Price)ら、2003年6月17日発行9による第四級化、スルホン化、エトキシル化ヘキサメチレンジアミン。
3.微量成分は、蛍光増白剤、香料、泡抑制剤、汚れ分散剤、キレート化剤、移染防止剤、追加の水、酵素安定剤、緩衝剤、溶媒、ソルバトロープ類(solvatropes)、美観剤(aethetics)、及び充填剤のような追加の活性物質を包含してよい。
【表2】

1.N’−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N,N−ジメチルプロパン−1,3−ジアミン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペリジン。
2.1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸
3.ジエチレントリアミンペンタアセテート
4.アクリルアミド/ジメチルアミノエチルアクリレートメトクロリド(methochloride)(モル比24:1、K値85)、又はカチオン性修飾ポリアクリルアミド類:アクリルアミド/ジメチルアミノエチルアクリレートメトクロリド(モル比9:1、K値70)。
5.ジメチルビス(ステロイルオキシエチル)アンモニウムクロリド
6.ジ(水素添加タロー)ジメチルアンモニウムクロリド
7.クラリアント社(Clariant,Inc.)から入手可能。
8.微量成分は、蛍光増白剤、香料、泡抑制剤、汚れ分散剤、キレート化剤、移染防止剤、追加の水、酵素安定剤、緩衝剤、溶媒、ソルバトロープ類(solvatropes)、美観剤(aethetics)、及び充填剤を包含してよい。
【0129】
本発明の特定の実施形態を例示し、記載してきたが、様々なその他の変更及び修正を、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行うことが可能であることは、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【0130】
特に指定がない限り、本明細書に記載される百分率は全て重量に基づく。本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定を、そのような小さい数値限定が本明細書に明示的に記載されたものとして包含すると理解すべきである。本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定を、そのような大きい数値限定が本明細書に明確に記載されたものとして包含する。本明細書全体を通じて記載されるあらゆる数値範囲は、そのような広い数値範囲内に入るそれよりも狭いあらゆる数値範囲を、そのような狭い数値範囲内が全て本明細書に明確に記載されたものとして包含する。
【0131】
引用される全ての文献は、関連部分において、参考として本明細書に組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であるという承認として解釈されるべきではない。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯装置における布地物品の洗浄方法であって、
a.汚れを含む布地物品を前記洗濯装置の処置チャンバ内部に置く工程;
b.前記布地物品が実質的に一様に洗浄溶液と接触するように、前記洗浄溶液を前記処置チャンバ内に分配する工程であり、前記洗浄溶液が水及び洗剤活性物質を含む工程;
c.前記布地物品が動いている間に前記洗浄溶液と前記布地物品とを連続的又は断続的に接触させ続ける工程;
d.先リンス溶液が前記布地物品に直接又は間接的に接触するように、水を含む前記先リンス溶液を前記洗濯装置内に分配する工程であり、前記先リンス溶液の量が洗剤活性物質及び汚れを適切に懸濁するのに十分な遊離水を生成するために十分であり、それにより先リンス溶液が、水、洗剤活性物質及び汚れを含む先リンス溶液混合物に変換される工程;
e.前記先リンス溶液の混合物の少なくとも一部分を処置チャンバから除去する工程;及び
f.所望により、工程(d)及び(e)が、後リンス溶液の1つ以上が前記布地物品に適用され、後リンス溶液混合物に変換され、前記処置チャンバから少なくとも部分的に除去されるように繰り返される工程;
g.所望により、前記布地物品が仕上げ溶液と実質的に一様に接触するように、前記仕上げ溶液を前記処置チャンバ内に分配する工程を含み、
前記先リンス溶液がリンス活性物質及び後リンス溶液を含むか、又は前記仕上げ溶液が布地ケア活性物質を含む、方法。
【請求項2】
前記リンス溶液が下記の工程:
a.前記リンス溶液を処置チャンバの外側に導入する工程;及び
b.前記リンス溶液が処置チャンバの穿孔を通って布地物品に接触するように前記チャンバを混転する工程、
を含む間接的な方法により布地物品に接触する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(d)の前記先リンス溶液の量が、布地物品の乾燥量の5〜20倍である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(f)の各後リンス溶液の量が、布地物品の乾燥量の1〜10倍である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(d)又は工程(f)の前記リンス溶液混合物が、前記処置チャンバから非遠心分離法により除去される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(d)の前記先リンス溶液が、汚れ懸濁剤、ヒドロトロープ類、リンス活性化剤、移染防止ポリマー類、pH変性剤、及びこれらの混合物から成る群から選択されるリンス活性物質を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記汚れ懸濁剤が、エトキシル化アミン類、双極性イオンポリマー類、ポリカルボキシレート類、ポリアルキレングリコール類、ポリアミノ酸類、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記汚れ懸濁剤が、下記:
(a)0.0003ag〜0.0029ag(189〜1800ダルトン)の平均分子量を有するポリエチレンイミンであり、主鎖における窒素が、それぞれ置換基(EO)を有し、xが、7〜30の整数であり、末端OH基の幾つか若しくは全てが、スルフェート基で置換されている、及び/又はアミン基の幾つか若しくは全てが、メチル、エチル、若しくはベンジル基で四級化されているポリエチレンイミン;
(b)0.00019〜0.0009ag(116〜550ダルトン)の平均分子量を有するポリヘキサメチレンイミンであり、主鎖における窒素が、それぞれ置換基(EO)を有し、xが、7〜30の整数であり、末端OH基の幾つか若しくは全てが、スルフェート基で置換されている、及び/又はアミン基の幾つか若しくは全てが、メチル、エチル、若しくはベンジル基で四級化されているポリヘキサメチレンイミン;及び
(c)これらの混合物、
から成る群から選択されるエトキシル化アミンである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記汚れ懸濁剤が、ポリアクリル酸の水溶性塩、ポリ(マレイン酸)−コポリ(アクリル酸)の水溶性塩、カルボキシメチルセルロース、及びこれらの混合物から成る群から選択されるポリカルボキシレートである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ヒドロトロープが、クメンスルホン酸、トルエンスルホン酸、又はキシレンスルホン酸の金属塩類、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記リンス活性化剤が、主鎖における1つ以上の窒素が、置換基(EO)を有する主鎖を有し、xが、7〜30の整数であり、末端OH基の幾つか若しくは全てが、スルフェート基で置換されている、及び/又はアミン基の幾つか若しくは全てが、メチル、エチル、若しくはベンジル基で四級化されている脂肪モノ−又はオリゴ−アミン類;エトキシル化脂肪族アミン類の又はエトキシル化された四級化脂肪族の類縁体;並びにこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記移染防止ポリマー類が、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン−N−オキシド、ポリ(ビニルピロリドン)コポリ(ビニルイミダゾール)、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ類、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記後リンス溶液及び/又は仕上げ溶液が、移染防止ポリマー類、抗磨耗剤、布地向上剤、結晶成長防止剤、染料固着剤、布地柔軟化剤、布地回復剤、繊維防水剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される布地ケア活性物質を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記抗磨耗剤が、下記のモノマー類:アクリルアミド、ビニルアミン、3−トリメチルアンモニオプロピルアクリレート、N−アルキルビニルピリジン、N−オキシド−ビニルピリジン、ビニルアルコール、ジアルキルジアリルアンモニウムクロリド、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの四級化誘導体の1つ以上を含有するホモ又はコポリマー類から成る群から選択される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記染料固着剤が、アミン類;四級化アミン類;ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド;エピクロロヒドリンと、イミダゾール、ジメチルアミノプロピルアミンのようなアミン類とのコポリマー類;ポリビニルアミン;マグネシウム(II)及び亜鉛(II)、並びにアルミニウム(III)の水溶性塩;塩酸塩、酢酸塩、メトスルフェート及びジアミンエステル類のベンジル塩酸塩、第三級アミン類のN−酸化物;ポリマーアルキルジアミン類、ポリアミン−塩化シアヌル縮合体、並びにアミノ化グリセリンジクロロヒドリン類の誘導体から成る群から選択される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記布地向上剤が、トリエタノールアミン;モノエタノールアミン;N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,3−プロピレンジアミン(TPTA)、ジプロピレントリアミン(5−N’−メチルジプロピレントリアミン)、1,4−ピペラジン類、それらのN−アルキル化及びN−ヒドロキシアルキル化誘導体、並びにこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記布地回復剤が、アミノプロピル化ポリジメチルシロキサン、アミノプロピル−アミノエチル化ポリジメチルシロキサン、アミノシリコーン類、カチオン性アミノシリコーン類、ポリジメチルシロキサン類;ペンダントポリエチレン又はポリエチレン/ポリプロピレン側鎖を有するポリジメチルシロキサン類又はトリシロキサン類、アルキル化又はヒドロキシアルキル化セルロース類から成る群から選択される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記結晶成長防止剤が、グリコール酸、フィチン酸、ポリカルボン酸、カルボン酸類とポリカルボン酸類とのポリマー類及びコポリマー類、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート類、ポリアクリレートポリマー類、無水マレイン酸と、アクリル酸のエチレンエーテル又はビニルメチルエーテル類とのコポリマー類、クエン酸及びその可溶性塩類、3,3−ジカルボキシ−4−オキサ−1,6−ヘキサンジオエート類、アルキル及びアルケニルコハク酸及びこれらの塩類、オルガノ−ジホスホン酸類又は塩類、例えば、エチレンジホスホン酸、α−ヒドロキシ−2−フェニルエチルジホスホン酸、メチレンジホスホン酸、ビニリデン−1,1−ジホスホン酸、1,2−ジヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、ヒドロキシ−エタン1,1ジホスホン酸、それらの塩、並びにこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記繊維防水剤が、低分子量脂肪族若しくは芳香族アルコール類、低分子量アルキレングリコール類、低分子量アルキレングリコールエーテル類、低分子量エステル類、又は低分子量アルキレンアミン類若しくはアルカノールアミン類から成る群から選択される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記布地柔軟化剤が、カチオン性ジアルキル又はジエステル第四級アンモニウム塩である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2007−529634(P2007−529634A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515380(P2006−515380)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/020787
【国際公開番号】WO2005/003267
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】