説明

帯状透明窓付きシート材の製造方法

【課題】巻き出される透明フイルムに、その幅方向に複数の紙シートが積層されてなる帯状透明窓付きシート材を巻き取りロールに巻き取って製造する方法で、紙シートが積層されないその透明フイルムの部位の透明度を低下させないようにする。
【解決手段】 接着剤塗布ロール21から離れた、その前と後に押え付けロール31,32を配置し、この押え付けロール31,32で、紙シート巻き出しロール200から巻き出される複数の各紙シート201の裏面201bを押え付けてその各裏面201bに接着剤15を塗布する。透明フイルム巻き出しロール100から巻き出される透明フイルム101と複数の各紙シート201とを、圧着ロール51,52間を通して接着して帯状透明窓付きシート材121を巻き取りロール130に巻き取る。各紙シート201間の透明フイルム101の部分には接着剤が塗布されていないから、透明度を低下させない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明フイルムからなる帯状の透明窓が設けられた包装袋又は包装シートを製造するのに用いられる帯状透明窓付きシート材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透明フイルムからなる帯状の透明窓が設けられた包装袋は、その内部に収容される商品がその透明窓から視認できる上に、その窓以外は紙シートなどの不透明シートからなるため、包装に要請される適度の風合いも維持できるというメリットが有るため、近年、食料品をはじめとして種々の商品の包装に使用されている。このような帯状の透明窓が設けられた包装袋を製造するのに用いられる、その素材であるシート材は、例えば、図6に示したように、所定幅W1の透明フイルム(基材)101に対し、透明窓をなす部分を除いて両端寄り部位に所定幅W2の不透明シート(以下、単に紙シートともいう)201を積層、接着してなるものであり、ロール状態から展開されると帯状透明窓付きシート材121を呈している。
【0003】
このような帯状透明窓付きシート材は、従来、図7示されるように、次のようにして製造されていた。すなわち、同図左の透明フイルム巻き出しロール100にロール巻きされた所定の幅の透明フイルム(例えば、ポリエチレン製フイルム又はポリプロピレンなど)101を、要すればアンカーコート剤の接着塗布ロール(工程)10を通して送り出す。一方、同図中のロール巻きされた所定の幅の紙シート201を紙シート巻き出しロール200から送り出す。ただし、図8に示したように、紙シート201は、透明フイルム101の両側に、所定の間隔K1がおかれるように、1つの軸200aに、2つの紙シート巻き出しロール200として離間して配置されており、相互に間隔K1をおいて送り出されるようにその軸200aに取り付けられる。
【0004】
図7において送り出された透明フイルム101は、ドライヤ41でアンカーコート剤の溶剤を分離、除去し、ガイドローラ又は送りローラにて同図中に矢印で示したようにガイドされて送られる。この透明フイルム101は、紙シート巻き出しロール200から間隔K1をおいて送り出された紙シート201と圧着されるように、互いに押え付けあう形で配置された圧着ロール(押さえロールと冷却ロール)55、56間を通される(図7、図8参照)。ただし、同図に示した製造装置では、この圧着ロール55,56間を通される直前において、押出しダイ60から、この透明フイルム101と紙シート201との間であって透明フイルム101の幅W1方向の全体に、熱溶融された圧着用の樹脂(例えば溶融ポリエチレン樹脂)をフイルム状に押出して供給し、この樹脂によって両者を圧着ロール55、56間を通して圧着すると同時に、冷却ロール56に巻き掛けて送り出すことで、その圧着における樹脂を瞬時に、冷却固化させて一体化している。こうして、透明フイルム(以下、単にフイルムともいう)101の片面の両側縁寄り部位(以下、両側ともいう)に不透明の紙シート201を積層、圧着してなる帯状透明窓付きシート材(図6)となり、これを巻取りロール130に、例えば、数千メートルの長さ分、巻上げられる。なお、本願出願人は、前記した従来の帯状透明窓付きシート材の製造方法は公知技術として知っているが、その方法を含め、本願において特許を受けようとする発明に関連する先行技術文献情報については知るものはない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記のようにして製造された帯状透明窓付きの包装用のシート材は、両側の不透明の紙シート201の相互間の部分(図6のK1部分)に透視できる部分が存在するものとはなるが、そのフイルム101に紙シート201を圧着する過程において、熱溶融された樹脂がその透明フイルム101の幅W1方向の全体に供給されて紙シート201が圧着される。このため、このような帯状透明窓付きの包装用のシート材は、図9に示したように、紙シート201が圧着されていない透明フイルム101の部分(紙シート201相互間のK1部分)にも、熱溶融されて供給されて冷却固化された樹脂が膜50となって存在する。したがって、透明フイルム101のうち、その樹脂の膜(以下、樹脂膜という)50が形成されている部分は、樹脂膜50が形成される前の透明フイルム101自体の透明度に比べると、樹脂膜50が存在する分、相対的に透明度が低下したものとなる。しかして、このようなシート材から製造された帯状透明窓付きの包装袋に、被包装物である商品を収容して包装した際には、その帯状透明窓を介して内部の商品を透視すると、商品が鮮明あるいは明瞭に視認できない、といった問題があった。
【0006】
こうした問題に対しては、押出しダイ60から供給される圧着用の樹脂の幅を紙シート201の幅に制御することも考えられるが、多種多様な幅の帯状透明窓付きの包装用のシート材を製造する上では、押出しダイ60の構造が複雑化する上に、作業段取りに多くの時間を要するなどの、製造工程が複雑化するという問題が有る。
【0007】
さらに別の方法としては、帯状透明窓の形成のために離間して送り出される2列(2つ)の紙シートの裏面(片面)に接着剤を塗布し、これを巻き出される透明フイルムの片面に接着するように、互いに押え付けあう圧着ロール間に通して圧着する、ということが考えられる。ところが、このようにして帯状透明窓付きシート材を製造するには、図10に示したような製造装置を用いることになる。この装置では、同図右のローラにロール巻きされた所定の幅の透明フイルム101を巻き出しロール100から同図中の矢印で示したように送り出す。それと同時に、同図左の紙シート巻き出しロール200から、帯状透明窓の形成のために離間して配置された2列の紙シート201を同図中の矢印で示したように送り出し、図11に示したように、この2列の紙シート201を、槽11中に一側が半没状態とされて回転するように配置された接着剤塗布ロール21と、これに押え付けられるように配置された押さえ付けロール(ゴムロール)22の両ロール間を通して、2列の紙シート201の裏面(片面)201bに接着剤を塗布するという考えである。しかして、その2列の各紙シート201の接着面側の裏面201bの幅方向全体に接着剤15を塗布し、ドライヤ41を通して溶剤を分離、除去し、その後で、これらと透明フイルム101とを互いに押え付けあう圧着ロール51,52間に通して圧着する、という考えである。すなわち、この方法によれば、片面の全体に接着剤が塗布された、2列の各紙シート201が透明フイルム101における両側に間隔を保持して接着される形となるため、そのフイルム101における2列の紙シート201に挟まれる透明帯部分には接着剤が塗布されないため、上記の問題が解決されるかのようにも考えられる。
【0008】
ところが、図11に示した接着剤塗布ロール21と、押え付けロール22との間を、幅方向に間隔をおいて2列の紙シート201を通す場合には、接着剤塗布ロール21によってその2列の紙シート201の裏面(片面)201bにのみ接着剤が塗布されるだけではなく、次のような理由からその反対の表面201aにも接着剤が付いてしまうため、実現できないのである。というのは、このようにして接着剤を塗布する場合には、図11に示したことから明らかなように、その2列の紙シート201の間においては、接着剤塗布ロール21の表面に付着している接着剤15が押えロール22の表面に塗布(転写)されることとなる。そして、この押えロール22の表面に付着した接着剤は、その表面にロールの軸方向に、紙シート201を押さえつけている部位にも濡れ拡がってしまう。その結果として、この方法による場合には、紙シート201の表面201aにも接着剤が塗布されることになる。一方、このような帯状透明窓付きの包装用のシート材の製造においては、圧着後は巻き取りロール130に巻取ることになるところ、紙シート201の表面201aに接着剤が存在していれば、巻き取り後においては巻きシート間での接着、固化によるブロッキングを起こしてしまうことから、実現できないのである。
【0009】
本発明は、こうした問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、帯状の透明窓付き包装紙又は包装袋を製造するのに用いられるシート材であって、巻き出される透明フイルムに、その幅方向に間隔を保持して複数の紙シートが接着されてなる帯状透明窓付きシート材を巻き取りロールに巻き取って製造するにあたり、紙シートが積層(圧着)されていないその透明フイルムの部位の透明度を低下させることなく、しかも、簡易にその製造ができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、透明フイルム巻き出しロールから巻き出される透明フイルムと、この透明フイルムの幅方向に間隔を保持して接着されるように不透明シート巻き出しロールから巻き出される複数の不透明シートとを、互いに押しつけ合う圧着ロール間を通すことによって接着する工程と、
接着されて帯状透明窓付きシート材とされた後に巻き取りロールに巻き取られる工程とを含む帯状透明窓付きシート材を製造する方法であって、
前記透明フイルムと前記各不透明シートとを圧着ロール間を通す前に、該各不透明シートの前記透明フイルムに対する接着面をなす裏面が、接着剤槽中の接着剤に一側が没する状態で回転する接着剤塗布ロールの表面に圧接されて、該各不透明シートの裏面に接着剤が塗布される工程を含む帯状透明窓付きシート材の製造方法において、
前記接着剤塗布ロールから離れた位置であって該接着剤塗布ロールに対する前及び後に押え付け体をそれぞれ配置すると共に、この2つの押え付け体によって前記不透明シート巻き出しロールから巻き出される複数の各不透明シートの表面を押え付けることで各不透明シートの裏面に接着剤を塗布することとしたことを特徴とする帯状透明窓付きシート材の製造方法である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記押え付け体を、軸線回りに回転する押え付けロールとし、その外周面で複数の各不透明シートの表面を押え付けることとした請求項1に記載の帯状透明窓付きシート材の製造方法である。そして、請求項3に記載の発明は、前記押え付けロールを、接着剤塗布ロールの回転軸と軸を平行に配置した請求項2に記載の帯状透明窓付きシート材の製造方法である。さらに、請求項4に記載の発明は、前記不透明シートが紙シートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯状透明窓付きシート材の製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の本発明では、接着剤は不透明シートにおける透明シートに対する接着面をなす裏面(片面)にのみ塗布することができる。すなわち、接着剤の塗布工程では、押え付け体は接着剤塗布ロールから離れているため、押え付け体の表面に接着剤が付着することはない。このため、圧着ロール間を通されて製造された帯状透明窓付きシート材は、不透明シートが接着されない、不透明シート相互間における透明フイルム部分は、透明フイルム自体の透明度が保持される。また、押え付け体の表面に接着剤が付着することはないから、不透明シートの表面に接着剤が付くこともないので、製造された帯状透明窓付きシート材が巻き取りロールに巻き取られても、ブロッキングを起こすこともない。
【0013】
このように本発明の製法によれば、簡易な製法であるにもかかわらず、不透明シートが接着されない、それら相互間における透明フイルム部分の透明度の低下がないし、製造された帯状透明窓付きシート材は、問題なく巻き取りロールに巻き取ることができる。かくして、帯状透明窓を通して包装内部の商品(被包装品)を鮮明ないし明瞭に視認することができる包装袋ないし包装を低コストで得ることができる。
【0014】
なお、本発明においては、請求項2に記載の発明のように、前記押え付け体を、軸線回りに回転する押え付けロールとし、その外周面で複数の各不透明シートの表面を押え付けることとしたものでは、不透明シートの円滑な流れ(送り出し)が得られるために製造効率が高められるので好ましい。この場合には、請求項3に記載の発明のように、前記の押え付けロールを、接着剤塗布ロールの回転軸と軸を平行に配置するのが、接着剤の均一かつ円滑な塗布が可能となるため、特に好ましい。なお、本発明において、前記不透明シートは紙シートに限られるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を具体化した実施の形態について、図1〜図5に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の製法を具体化した製造装置の概略構成を示す側面図であり、図2は、その要部の拡大平面図、図3はその要部の説明用の斜視図、そして、図4は図1を矢印Aから見た図である。
【0016】
図1に示した製造装置1においては、透明フイルム(例えば、ポリエチレンフイルム)101は、同図右下における透明フイルム巻き出しロール(透明フイルムが巻かれたロール)100から巻き出され、不透明シート(本例では紙シート。以下、紙シートともいう)201は、同図左側における紙シート巻き出しロール(紙シートが巻かれたロール)200から巻き出されるようにされている。図2に示したように、紙シート巻き出しロール200は、取付け軸200aに所定の間隔をおいて2つ取り付けられ、2列の紙シート201となってそれぞれ適度の張力を保持して送り出されるように設定されており、その2列の紙シート201の外側縁の相互間の幅Waは、後述する透明フイルム101の幅W1より小さく、しかも、各紙シート201の外側縁が透明フイルム101の外側縁より若干内側に位置するようにされている。因みに、各紙シート201の外側縁を、透明フイルム101の左右の各縁(外側縁)より若干内側に位置させるのは、透明フイルム101の左右の外側縁部位は捨て代として切断除去される部分のためである。
【0017】
紙シート巻き出しロール200から送り出された2列の紙シート201は、透明フイルム101に接着される側の裏面(片面)201bが、接着剤槽11中の接着剤(液)15に一側が没する状態とされて回転するように設けられた接着剤塗布ロール21の表面に圧接されて、その各紙シート201の裏面201bに接着剤が塗布されるようにされている。接着剤塗布ロール21の表面への圧接は、本形態では、接着剤塗布ロール21における紙シート201の流れ方向の前後であって接着剤塗布ロール21から離れた位置に、それぞれ配置された押え付け体であり、軸線回りに回転する押え付けロール31,32の外周面でもって、各紙シート201の表面201aを押し下げるようにすることで行われている。すなわち、各紙シート201は、前後の押え付けロール31,32と、接着剤塗布ロール21との間を適度の張力を保持して送られることで、その各紙シート201の裏面201bの幅方向の全体に接着剤が塗布されるように構成されている。なお、本形態では、接着剤塗布ロール21及び押え付けロール31,32とも、いずれもストレートの円筒状のものとされている。そして、押え付けロール31,32は、接着剤塗布ロール21の回転軸21gと軸を平行に配置されている。なお、接着剤塗布ロール21は、図中矢印で示したように、各紙シート201の流れ方向と逆向きに図示しない回転駆動手段によって回転するように設定され、接着剤15が各紙シート201の裏面201bに十分塗布されるように設定されている。一方、過剰な接着剤15の塗布が防止されるように接着剤安定化ロール(ドクターロール)23が槽11中において接着剤塗布ロール21に平行にして押付けられる配置で設けられている。
【0018】
接着剤塗布ロール21に押付けられて接着剤15が塗布された各紙シート201は、図1における上方のドライヤ41内に送られ、接着剤15に含まれる溶剤の分離、除去が行われる。こうして、ドライヤ41内の送りローラ43,45を介してドライヤ41の外に送り出された各紙シート201は、テンションローラ47に掛け渡され、図1右下の透明フイルム巻き出しロール100から巻き出された透明フイルム101に重ねられるようにして図4に示したように、圧着ロール51,52間を通され、各紙シート201の裏面201bに塗布された接着剤にて透明フイルム101に接着され、帯状透明窓付きシート材121となり、続いて巻き取りロール130に巻き取られるように構成されている。なお、2列の紙シート201は、所定幅W1を有する透明フイルム101に重ねられ、圧着ロール51,52間を通される際には、図4に示されるように、その2列の紙シート201の外側縁が、透明フイルム101の左右の各縁(外側縁)より、それぞれ若干内側に位置するように設定されている。
【0019】
なお、本形態の装置においては、圧着ロール51,52及び帯状透明窓付きシート材121を巻き取る巻き取りロール130に適度の回転が付与されて、透明フイルム101及び紙シート201に適度の張力が保持され、適度の送り速度で送られるように設定されている。図中の矢印は、それらの回転方向又は送り(流れ)方向を示している。なお、接着剤塗布ロール21は、上記もしたように、本形態では、紙シート201の送り方向とは逆向きに回転するように設定されている。また、透明フイルム101及び紙シート201の送りの安定及び適度の張力を付与するため、適所に回転駆動する送りロール又はテンションロールを取り付けてもよい。
【0020】
本形態の製法においては、上記したように、紙シート201の裏面201bに接着剤15を塗布するための接着剤塗布ロール21から離れた位置であって、この接着剤塗布ロール21に対してその流れ方向の前後に、2つの押え付け体として回転する押え付けロール31,32を配置し、これらの押え付けロール31,32にて、紙シート201の表面201aを押えることでその裏面201bに接着剤を塗布するようにしている。このため、接着剤15は、その塗布工程において、紙シート201の透明フイルム101に対する接着面をなす裏面201bにのみ塗布される。すなわち、接着剤15の塗布工程では、押え付けロール31,32は接着剤塗布ロール21から離れているため、押え付けロール31,32の表面に接着剤が付着することはない。
このように本形態の製法においては、圧着ロール51,52間を通されて製造された帯状透明窓付きシート材121は、一見したときは、図6に示されるものと同じであるが、紙シート201が接着されない部分には接着剤が塗布されていないから、すなわち、それら相互間の透明フイルム101の部分(図6のK1の部分)には透明フイルム101自体の透明度が保持されている。また、押え付けロール31,32の表面に接着剤が付着することはないから、紙シート201の表面201aに接着剤が付くこともないので、製造された帯状透明窓付きシート材121が巻き取りロール130に巻き取られても、ブロッキングを起こすこともない。このように本形態の製法によれば、簡易な構成の製造装置により、紙シート201が接着されないそれら相互間の透明フイルム101部分の透明度の低下がない帯状透明窓付きシート材121を、巻き取りロール130に巻き取るのにも何らの支障もなく製造できる。
【0021】
前記実施の形態においては、押え付け体を、軸線回りに回転する押え付けロール31,32とし、その外周面で複数の各紙シート201の表面201aを押え付けることとしたため、紙シート201の円滑な送り出しが得られる。しかも、2つの押え付けロール31,32を、接着剤塗布ロール21の回転軸21gと軸を平行に配置したため、接着剤15の均一かつ円滑な塗布が可能となるという効果も有る。
【0022】
また、前記形態においては、押え付け体として、軸線回りに回転する押え付けロール31,32として具体化したが、本発明における押え付け体は、軸線回りに回転する押え付けロールである必要は必ずしもない。すなわち、回転しない円筒体を接着剤塗布ロール21の回転軸21gと軸が平行にして配置されたものであってもよい。もっとも、紙シートなどの不透明シートに対する接着剤の塗布及び不透明シートの流れないし送り出しに支障がなければ、両者が平行でないとしても問題ない。また、回転しないものであれば、押え付け体は円筒体でなくても、例えば、軸に垂直な断面が割円(三日月)或いは半円状のものとし、その円弧側で不透明シートを押え付けるようにしてもよい。
【0023】
前記形態においては、押え付けロール31,32を接着剤塗布ロール21の前と後、すなわち紙シート201の流れる下流側と上流側とに、その接着剤塗布ロール21と所定の間隔を保持してそれぞれ1つづつ配置したが、この配置位置は、接着剤が押え付けロール31,32に塗布されることなく、紙シート201の裏面(透明フイルムに対する接着面)201bにのみ塗布される位置であればよい。また、押え付けロール31,32などの押え付け体は、接着剤塗布ロール21の前と後に、それぞれ複数配置してもよい。
【0024】
前記形態では、透明フイルムが、ポリエチレンフイルムの場合で説明したが、この素材は適宜の素材(フイルム)において具体化できる。また、不透明シートとして紙シートを例示して説明したが、本発明における不透明シートは、紙シートに限られるものではなく、プラスチックシート(不透明フイルム)やアルミニウム箔でもよいなど、不透明で有る限り、複数の積層或いは接着構造のシートであってもよい。
【0025】
さらに、前記形態では、透明フイルム101の両側縁寄り部位に、2列の紙シート201をその各外縁が沿うようにして接着され、各紙シート201に挟まれる透明フイルム101の幅方向における中間部位に帯状透明窓が形成されてなる帯状透明窓付き付きシート材121を製造する場合で説明したが、本発明における帯状透明窓付き付きシート材はこのようなものに限定されるものではない。具体的には、図5に示したように、透明フイルム101の幅方向の中間部位と、両側縁寄り部位に、3列の紙シート201を接着して、各紙シート201に挟まれる透明フイルム101に2列をなす帯状透明窓が形成されてなる帯状透明窓付き付きシート材122を製造する場合においても、全く同様にして具体化できる。すなわち、この場合には、紙シート201を3つの紙シート巻き出しロールから、所定の間隔を保持して送り出すようにすればよい。また、このように圧着により3列の紙シート201を接着して形成してなる帯状透明窓付き付きシート材122を、圧着後、巻き取りロールに巻き取らせた後に、中央の紙シート201の幅方向の中心(同図中の破線)で切断すること(スリット工程)で、上記したのと同様の帯状透明窓付き付きシート材を2巻き同時に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の製法を具体化した製造装置の概略構成側面図及びその要部の拡大図。
【図2】図1の要部を上から見た図(拡大平面図)。
【図3】図2の説明用の斜視図。
【図4】図1を矢印Aから見た図。
【図5】帯状透明窓付き付きシート材の別例を説明する斜視図。
【図6】帯状透明窓付き付きシート材を説明する斜視図。
【図7】従来の帯状透明窓付き付きシート材を製造する製造装置の概略構成(概念)側面図。
【図8】図7における紙シート及び透明フイルムの圧着部を上から見た説明用拡大図。
【図9】従来の帯状透明窓付き付きシート材の問題点を説明する図6におけるB−B線断面図。
【図10】考えられる別の製法による製造装置の概略構成(概念)側面図。
【図11】図10における問題点を説明する紙シートに対する接着剤の塗布状態の説明用斜視図。
【符号の説明】
【0027】
11 接着剤槽
15 接着剤
21 接着剤塗布ロールの表面
21g 接着剤塗布ロールの回転軸
31、32 押え付けロール(押え付け体)
51,52 圧着ロール
100 透明フイルム巻き出しロール
101 透明フイルム
121 帯状透明窓付きシート材
130 巻き取りロール
200 不透明シート巻き出しロール
201 紙シート(不透明シート)
201a 紙シートの表面(不透明シートの表面)
201b 紙シートの裏面(不透明シートの裏面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明フイルム巻き出しロールから巻き出される透明フイルムと、この透明フイルムの幅方向に間隔を保持して接着されるように不透明シート巻き出しロールから巻き出される複数の不透明シートとを、互いに押しつけ合う圧着ロール間を通すことによって接着する工程と、
接着されて帯状透明窓付きシート材とされた後に巻き取りロールに巻き取られる工程とを含む帯状透明窓付きシート材を製造する方法であって、
前記透明フイルムと前記各不透明シートとを圧着ロール間を通す前に、該各不透明シートの前記透明フイルムに対する接着面をなす裏面が、接着剤槽中の接着剤に一側が没する状態で回転する接着剤塗布ロールの表面に圧接されて、該各不透明シートの裏面に接着剤が塗布される工程を含む帯状透明窓付きシート材の製造方法において、
前記接着剤塗布ロールから離れた位置であって該接着剤塗布ロールに対する前及び後に押え付け体をそれぞれ配置すると共に、この2つの押え付け体によって前記不透明シート巻き出しロールから巻き出される複数の各不透明シートの表面を押え付けることで各不透明シートの裏面に接着剤を塗布することとしたことを特徴とする帯状透明窓付きシート材の製造方法。
【請求項2】
前記押え付け体を、軸線回りに回転する押え付けロールとし、その外周面で複数の各不透明シートの表面を押え付けることとした請求項1に記載の帯状透明窓付きシート材の製造方法。
【請求項3】
前記押え付けロールを、接着剤塗布ロールの回転軸と軸を平行に配置した請求項2に記載の帯状透明窓付きシート材の製造方法。
【請求項4】
前記不透明シートが紙シートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯状透明窓付きシート材の製造方法。













【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−296764(P2007−296764A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−127252(P2006−127252)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【出願人】(500561148)大和産業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】