説明

帯状部材の粘着防止処理方法及びその装置

【課題】未加硫ゴム材料から成る帯状部材の表面全体に粘着防止剤を短時間で確実に付着させることができ、しかも装置の小型化を図ることのできる粘着防止処理方法及びその装置を提供する。
【解決手段】容器41内に堆積している粘着防止剤PW内を各帯状部材BM3が通過するように、容器41内に配置された駆動ローラ42の外周面に各帯状部材BM3が巻掛けられている状態で、駆動ローラ42を回転駆動させて各帯状部材BM3を長手方向に搬送するようにしたことから、堆積している粘着防止剤PW内において各帯状部材BM3がその長手方向に円滑に移動し、粘着防止剤PW内を通過する際に、各帯状部材BM3に全周に亘って粘着防止剤PWが付着する。このため、未加硫ゴム材料から成る各帯状部材BM3の表面全体に短時間で粘着防止剤PWを付着させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばホースや電線等の長尺状部材の製造や自動車用空気入りタイヤの製造に用いる未加硫ゴム材料から成る帯状部材に粘着防止処理を施す粘着防止処理方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の帯状部材の粘着防止処理装置としては、粉状の粘着防止剤を収容している中空状の密閉容器と、密閉容器の下端側に堆積している粘着防止剤を密閉容器内に吹き上げる吹上装置と、吹上装置によって吹き上げられた粘着防止剤を空気と分離して空気のみを外部に排出する分離装置と、分離装置によって分離された粘着防止剤を密閉容器の下端側に送る循環装置と、密閉容器内に未加硫ゴム材料から成る帯状部材を供給及び排出する供給口及び排出口とを備え、供給口から密閉容器内に入った帯状部材が吹上装置によって吹き上げられた粘着防止剤内を通過し、帯状部材の表面全体に短時間で粘着防止剤を付着させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−109061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記帯状部材の粘着防止処理装置では、粘着防止剤を吹き上げるとともに、吹き上げられた粘着防止剤内を帯状部材が通過するようにしたので、粘着防止剤を吹き上げるためのスペースが必要になり、前記スペースを設ける分だけ装置が大型化するという問題点があった。
【0004】
また、吹き上げられた粘着防止剤を空気と分離するための分離装置と、分離装置によって分離された粘着防止剤を密閉容器の下端側に送る循環装置とを必要とすることから、分離装置と循環装置の分だけ装置が大型化するという問題点もあった。
【0005】
さらに、吹き上げられた粘着防止剤内を帯状部材が通過するだけでは、粘着防止剤が帯状部材に押付けられることがなく、帯状部材の表面に粘着防止剤が付着し難いという問題点もあった。
【0006】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、未加硫ゴム材料から成る帯状部材の表面全体に粘着防止剤を短時間で確実に付着させることができ、しかも装置の小型化を図ることのできる粘着防止処理方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、未加硫ゴム材料から成る帯状部材に粉状の粘着防止剤を付着させる帯状部材の粘着防止処理方法において、容器内に堆積している粘着防止剤内を帯状部材が通過するように容器内に配置された駆動ローラの外周面に帯状部材が巻掛けられている状態で、駆動ローラを回転駆動することにより帯状部材を長手方向に搬送し、帯状部材に連続的に粘着防止剤を付着させるようにしている。
【0008】
これにより、容器内に堆積している粘着防止剤内を帯状部材が通過するように、容器内に配置された駆動ローラの外周面に帯状部材が巻掛けられている状態で、駆動ローラを回転駆動して帯状部材を長手方向に搬送するようにしたことから、堆積している粘着防止剤内において帯状部材がその長手方向に円滑に移動し、粘着防止剤内を通過する際に帯状部材に全周に亘って粘着防止剤が付着する。この時、粘着防止剤がその自重によって帯状部材の表面に押付けられる。
【0009】
また、本発明は、未加硫ゴム材料から成る帯状部材に粉状の粘着防止剤を付着させる帯状部材の粘着防止処理装置において、前記粘着防止剤を収容する容器と、容器内に配置され、容器内に堆積している粘着防止剤内を帯状部材が通過するように帯状部材が外周面に巻掛けられるとともに、巻掛けられた帯状部材をその長手方向に搬送する駆動ローラとを備えている。
【0010】
これにより、容器内に堆積している粘着防止剤内を帯状部材が通過するように帯状部材が駆動ローラの外周面に巻掛けられるとともに、駆動ローラは巻掛けられた帯状部材をその長手方向に搬送するようになっていることから、堆積している粘着防止剤内において帯状部材がその長手方向に円滑に移動する。また、粘着防止剤内を通過する際に、帯状部材に全周に亘って粘着防止剤が付着する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、堆積している粘着防止剤内において帯状部材をその長手方向に円滑に移動させることができるとともに、粘着防止剤内を通過する際に帯状部材に全周に亘って粘着防止剤を付着させることができ、この時に粘着防止剤がその自重によって帯状部材の表面に押付けられるので、未加硫ゴム材料から成る帯状部材の表面全体に粘着防止剤を短時間で確実に付着させることができる。また、粘着防止剤の吹き上げを要することなく粘着防止剤を帯状部材に付着させることができるので、粘着防止剤を吹き上げるためのスペースや吹き上げた粘着防止剤を回収するための装置を設ける必要がなく、装置の小型化を図る上で極めて有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1乃至図6は本発明の一実施形態を示すもので、図1は帯状部材の成形装置の側面図、図2は粘着防止処理装置の側面断面図、図3は吸引部材の斜視図、図4は帯状部材の成形装置の要部斜視図、図5及び図6は帯状部材の成形装置の動作説明図である。
【0013】
本実施形態の粘着防止処理装置40は帯状部材の成形装置に備わっている。この帯状部材の成形装置は、押出機10と、押出機10から押出された未加硫ゴム材料から成る帯状部材BM1を所定の厚さに圧延する圧延ローラ20と、圧延ローラ20によって圧延された帯状部材BM2を幅方向複数箇所で切断してそれぞれ所定の幅寸法を有する複数の帯状部材BM3を成形する切断装置30と、切断装置30によって切断されて成る各帯状部材BM3に粘着防止剤を付着させる粘着防止処理装置40と、粘着防止処理装置40を通過した各帯状部材BM3をその長手方向に搬送する搬送装置50と、搬送装置50から送り出された各帯状部材BM3を案内するための案内装置60と、それぞれ上面を開口するように形成された複数の上面開口容器70と、各上面開口容器70を搬送する容器搬送装置80とを備えている。
【0014】
押出機10は未加硫ゴム材料を所定形状の口金から押出す周知の機構を有しており、未加硫ゴム材料が押出機10から押出されることにより、未加硫ゴム材料が所定の幅寸法及び厚さ寸法を有する帯状部材BM1となる。
【0015】
圧延ローラ20は一対のローラ21を有し、各ローラ21の回転速度や間隙を調整可能な周知の構成を有している。押出機10から押出された帯状部材BM1が各ローラ21の間を通過することにより、帯状部材BM1が所定の厚さに圧延され、帯状部材BM2となる。
【0016】
切断装置30は、帯状部材BM2が巻掛けられるとともに帯状部材BM2を長手方向に搬送する搬送ローラ31と、搬送ローラ31の外周面に当接している複数のカッター32とを有する。搬送ローラ31は図示しない電動モータによって回転自在である。帯状部材BM2がローラ31に巻掛けられるとともに、帯状部材BM2が長手方向に搬送されている状態で、帯状部材BM2の幅方向複数個所に各カッター32が配置されることにより、帯状部材BM2が幅方向複数個所で切断され、それぞれ所定の幅寸法を有する複数の帯状部材BM3が成形される。即ち、押出機10、圧延ローラ20及び切断装置30によって各帯状部材BM3が連続成形される。
【0017】
粘着防止処理装置40は、粉状である周知の粘着防止剤PWを収容する容器41と、容器41内に設けられた駆動ローラ42と、容器41内に設けられた羽根車43と、容器41内に設けられた空気供給手段としての複数の空気吐出部材44と、容器41内に設けられた複数のスクレーパー45と、容器41の外部に設けられた一対の吸引部材46とを有する。尚、各吸引部材46を容器41内に設けることも可能である。
【0018】
容器41は、上面を開口した本体41aと、本体41aの上面の開口を閉鎖可能な蓋41bとを有する。容器41内に収容された粘着防止剤PWは本体41a内に堆積する。蓋41bには、各帯状部材BM3を容器41内に送り込むための入口41cと、容器41内から各帯状部材BM3を送り出すための出口41dとが設けられている。蓋41bは図示しない昇降装置によって上下動するようになっており、蓋41bを昇降装置によって上昇させると、本体41aの上面の開口部が開放され、蓋41bを昇降装置によって下降させると、本体41aの上面の開口部が閉鎖されるようになっている。
【0019】
駆動ローラ42は図示しない電動モータによって回転するようになっている。また、入口41cから容器41内に送り込まれた各帯状部材BM3は第1補助ローラ42aを介して駆動ローラ42の外周面に下方から巻掛けられ、駆動ローラ42を通過した各帯状部材BM3は第2補助ローラ42bを介して出口41dから容器41外に送り出されるようになっている。即ち、各帯状部材BM3は堆積している粘着防止剤PW内を通過し、粘着防止剤PW内を通過する際に各帯状部材BM3に全周に亘って粘着防止剤PWが付着する。この時、粘着防止剤PWがその自重によって各帯状部材BM3の表面に押付けられ、各帯状部材BM3の表面に粘着防止剤PWが確実に付着する。駆動ローラ42の外周面には上方からスクレーパー42cが当接している。スクレーパー42cは駆動ローラ42の軸方向に延びるように形成されるとともに、駆動ローラ42の外周面に径方向に当接し、駆動ローラ42の外周面に塊状となって付着している粘着防止剤PWを除去するようになっている。また、駆動ローラ42を通過した各帯状部材BM3に厚さ方向から当接する当接部材42dが設けられている。ここで、駆動ローラ42は各帯状部材BM3の厚さ方向一方の面に接触するようになっており、当接部材42は各帯状部材BM3の厚さ方向他方の面に当接するようになっている。当接部材42dは各帯状部材BM3の幅方向に延びるように形成され、堆積している粘着防止剤PW内に配置されている。これにより、駆動ローラ42によって各帯状部材BM3の厚さ方向一方の面に粘着防止剤PWが押付けられ、当接部材42dによって各帯状部材BM3の厚さ方向他方の面に粘着防止剤PWが押し付けられるので、各帯状部材BM3の厚さ方向両方の面に粘着防止剤PWをより確実に付着させることができる。
【0020】
羽根車43は図示しない電動モータによって回転するようになっている。羽根車43は、駆動ローラ42の軸方向に延びるように形成された軸部材43aと、軸部材43aの外周面に設けられた複数の羽根部材43bとを有する。羽根車43が回転することにより、容器41の本体41a内に堆積している粘着防止剤PWが攪拌される。
【0021】
各空気吐出部材44は容器41における本体41aの側面に取付けられている。各空気吐出部材44は略直方体形状を有しており、本体41aとの取付け部以外の大部分が空気を吐出する吐出口44aとなっている。吐出口44aは金属材料、繊維材料、プラスチック材料等から成る布状部材または網状部材によって覆われている。空気吐出部材44は図示しない空気供給装置に接続され、空気供給装置から供給される空気が吐出口44aから吐出されるようになっている。また、容器41における本体41a内に粘着防止剤PWが収容されている状態では、各空気吐出部材44は堆積している粘着防止剤PW内に配置されるようになっている。ここで、各空気吐出部材44の吐出口44aは布状部材または網状部材によって覆われているので、粘着防止剤PWは空気吐出部材44内に入り込み難い。また、各空気吐出部材44の吐出口44aは布状部材または網状部材によって覆われているので、空気供給装置から供給される空気が吐出口44aの布状部材または網状部材を介して粘着防止剤PW内に静かに供給される。粘着防止剤PW内に空気が静かに供給されると、供給された空気は粘着防止剤PWを吹き上げないように粘着防止剤PW内における各粉粒の間を移動するとともに、堆積している粘着防止剤PWの上面から外部に放出される。このため、各空気吐出部材44を設けない場合は、粘着防止剤PWの各粉粒が密着しており、粘着防止剤PWが固まり易いが、粘着防止剤PWを吹き上げないように静かに空気が供給されると、供給された空気が粘着防止剤PWの各粉粒の間を通過するので、堆積している粘着防止剤PWが固まることがない。
【0022】
各スクレーパー45は駆動ローラ42を通過した各帯状部材BM3にそれぞれ厚さ方向に当接するようになっている。各スクレーパー45は各帯状部材BM3の幅方向に延びるように形成され、各スクレーパー45のうち一部のスクレーパー45は各帯状部材BM3の厚さ方向一方の面に当接し、他のスクレーパー45は各帯状部材BM3の厚さ方向他方の面に当接するようになっている。
【0023】
各吸引部材46は両端が閉鎖された円筒状部材から成るとともに、各帯状部材BM3の幅方向に延びるように形成され、外周面の周方向所定位置に吸引孔46aが形成されている(図3参照)。吸引孔46aは吸引部材46の軸方向に延びるように形成された長孔である。各吸引部材46のうち一方の吸引部材46の外周面は容器41の出口41dから送り出された各帯状部材BM3の厚さ方向一方の面に当接し、各吸引部材46のうち他方の吸引部材46の外周面は出口41dから送り出された各帯状部材BM3の厚さ方向他方の面に当接している。また、各吸引部材46はその軸方向に延びる回転軸Aを中心に回転方向の位置を任意に設定可能に設けられている。即ち、各吸引部材46の回転方向の位置を変えることにより、各吸引部材46の外周面に設けられた吸引孔46aと各帯状部材BM3との距離が変化するようになっている。各吸引部材46は図示しない空気吸引装置に接続され、吸引孔46aから空気を吸引可能になっている。
【0024】
搬送装置50は例えば周知のベルトコンベヤから成り、粘着防止処理装置40を通過した各帯状部材BM3が載置されるとともに、各帯状部材BM3を長手方向に搬送するようになっている。
【0025】
案内装置60は、案内部材61と、案内部材61を例えば搬送装置50による各帯状部材BM3の搬送方向(以下、部材搬送方向と称する)に往復動させる移動機構62とを有する。また、案内部材61は、互いに部材搬送方向に対向するように設けられた一対の案内板61aと、各案内板61aを固定する一対の固定板61bとを有する。各案内板61aはそれぞれ平板状に形成され、上方から下方に向かって徐々に互いの間隔が狭くなるように配置されている。移動機構62は案内部材61を支持するとともに、例えばモータやボールネジ等の周知の機構によって案内部材61を往復動させるようになっている。また、案内部材61は搬送装置50の先端の下方に配置され、搬送装置50から送り出された各帯状部材BM3が案内部材61の各案内板61aの間を通過するようになっている。
【0026】
上面開口容器70は、平板状の底面板71と、底面板71における部材搬送方向の両端部から上方に向かって延びる一対の側面板72とを有する。
【0027】
容器搬送装置80は例えば周知のローラコンベヤやベルトコンベヤから成り、部材搬送方向に延びるように設けられた第1搬送路81と、各帯状部材BM3の幅方向に延びるように設けられた第2搬送路82とを有する。容器搬送装置80上には複数の上面開口容器70が載置され、各上面開口容器70は第2搬送路82側から第1搬送路81側に搬送されるようになっている。また、第1搬送路81上の各上面開口容器70のうち何れか1つの上面開口容器70が案内装置60の下方に配置されるようになっている。
【0028】
以上のように構成された帯状部材の成形装置において、帯状部材を成形する場合は、先ず、押出機10、圧延ローラ20及び切断装置30によって各帯状部材BM3を連続成形するとともに、粘着防止処理装置40によって各帯状部材BM3に粘着防止剤を連続的に付着させる。
【0029】
ここで、粘着防止処理装置40では、各帯状部材BM3が入口41cから容器41内に送り込まれるとともに、各帯状部材BM3が第1補助ローラ42aを介して駆動ローラ42に下方から巻掛けられ、駆動ローラ42を通過した各帯状部材BM3が第2補助ローラ42bを介して出口41dから容器41外に送り出される。また、容器41内に堆積している粘着防止剤PW内を各帯状部材BM3が通過するように、容器41内に配置された駆動ローラ42の外周面に各帯状部材BM3が巻掛けられている。さらに、駆動ローラ42を回転させることにより、各帯状部材BM3を長手方向に移動させるようになっている。即ち、堆積している粘着防止剤PW内を各帯状部材PW3が長手方向に通過し、粘着防止剤PW内を通過する際に各帯状部材PWに全周に亘って粘着防止剤が付着する。
【0030】
一方、出口41dから容器41外に送り出された各帯状部材BM3の厚さ方向両方の面には各吸引部材46がそれぞれ当接している。この各吸引部材46は外周面にそれぞれ設けられた吸引孔46aから空気を吸引し、各帯状部材BM3に無用に付着している粘着防止剤PWを吸引する。
【0031】
粘着防止処理装置40によって粘着防止剤PWを付着させた各帯状部材BM3は搬送装置50によって連続的に搬送され、搬送装置50から送り出された各帯状部材BM3は案内装置60の案内部材61における各案内板61aの間を通過する。
【0032】
また、容器搬送装置80上の各上面開口容器70のうち何れか1つの上面開口容器70が案内装置60の案内部材61の下方に配置されているので、各案内板61aの間を通過した各帯状部材BM3は上面開口容器70内に収容される。この状態において、案内装置60の移動機構62は案内部材61を往復動させるようになっている。即ち、案内部材61の各案内板61aの間を各帯状部材BM3が連続的に通過している状態で、案内部材61が部材搬送方向に往復動するので、各帯状部材BM3は上面開口容器70内につづら折り状に収容される(図1参照)。
【0033】
各帯状部材BM3の収容を行っている上面開口容器70に各帯状部材BM3が所定量だけ収容されると、移動機構62による案内部材61の往復動を停止させるとともに、容器搬送装置80によって第1搬送路81上の上面開口容器70を部材搬送方向に移動させる(図5参照)。前述のように各帯状部材BM3が所定量だけ収容されたことは、案内部材61の往復動の回数や光センサ等の周知の検知手段によって検知することが可能である。次に、容器搬送装置80によって第2搬送路82上の空の上面開口容器70を案内装置60の案内部材61の下方に配置し、所定時間が経過した後に案内部材61の往復動を開始する(図6参照)。これにより、案内部材61の各案内板61aの間を通過した各帯状部材BM3が前記空の上面開口容器70内につづら折り状に収容され、各帯状部材BM3を無用に切断することなく複数の上面開口容器70に収容することがきる。このため、例えば各帯状部材BM3をホース製造装置に供給する際に、各帯状部材BM3の長さが有限である場合と異なり、各帯状部材BM3の端部同士の接続作業を省くことができ、生産効率の向上及び品質の向上を図る上で極めて有利である。
【0034】
このように、本実施形態によれば、容器41内に堆積している粘着防止剤PW内を各帯状部材BM3が通過するように、容器41内に配置された駆動ローラ42の外周面に各帯状部材BM3が巻掛けられている状態で、駆動ローラ42を回転駆動させて各帯状部材BM3を長手方向に搬送するようにしたことから、堆積している粘着防止剤PW内において各帯状部材BM3がその長手方向に円滑に移動する。また、粘着防止剤PW内を通過する際に、各帯状部材BM3に全周に亘って粘着防止剤PWが付着する。この時、粘着防止剤PWがその自重によって各帯状部材PWの表面に押付けられる。このため、未加硫ゴム材料から成る各帯状部材BM3の表面全体に粘着防止剤PWを短時間で確実に付着させることができる。また、粘着防止剤PWの吹き上げを要することなく粘着防止剤PWを各帯状部材BM3に付着させることができるので、粘着防止剤PWを吹き上げるためのスペースや吹き上げた粘着防止剤PWを回収するための装置を設ける必要がなく、装置の小型化を図る上で極めて有利である。
【0035】
また、堆積している粘着防止剤PW内において各帯状部材BM3がその長手方向に円滑に移動することから、各帯状部材BM3が薄く成形されている場合や軟らかい未加硫ゴム材料から成る場合でも、各帯状部材BM3の寸法精度を確保することができ、品質の向上を図る上で極めて有利である。
【0036】
また、容器41内に堆積している粘着防止剤PW内に粘着防止剤PWを吹き上げないように空気を供給するようにしたので、粘着防止剤PW内に空気を供給しない場合は、粘着防止剤PWの各粉粒が密着して粘着防止剤PWが固まり易いのに対し、粘着防止剤PWの各粉粒の間を空気が通過し、堆積している粘着防止剤PWが固まることがないので、堆積している粘着防止剤PW内において各帯状部材BM3をその長手方向により円滑に移動させることができ、各帯状部材BM3の寸法精度を確保する上で極めて有利である。また、粘着防止剤PWが固まることによる粘着防止剤PWの付着むらを防止することもでき、各帯状部材BM3の品質の向上を図る上で極めて有利である。
【0037】
また、容器41内に堆積している粘着防止剤PW内において羽根車43を回転させるようにしたので、堆積している粘着防止剤PWが固まることをより効果的に防止可能である。
【0038】
また、粘着防止剤PW内を通過した各帯状部材BM3の厚さ方向両方の面に各吸引部材46を当接させ、各吸引部材46の外周面にそれぞれ設けられた吸引孔46aから空気を吸引するようにしたので、各帯状部材BM3に無用に付着している粘着防止剤PWを除去することができ、各帯状部材BM3に無用に付着している粘着防止剤PWによって案内部材50等の他の装置が汚れることがない。また、各帯状部材BM3に付着する粘着防止剤PWの量を均一にする上で有利である。さらに、吸引部材46は各帯状部材BM3に厚さ方向に当接しているので、例えば各帯状部材BM3の厚さ方向の表面に塊状となった粘着防止剤PWが付着している場合に、その塊状となった粘着防止剤PWを各帯状部材PWから除去することができ、各帯状部材PWに付着する粘着防止剤PWの量を均一にする上でより有利である。
【0039】
また、駆動ローラ42の軸方向に延びるように形成されたスクレーパー42cを駆動ローラ42の外周面に当接させるようにしたので、駆動ローラ42の外周面に粘着防止剤PWが固着することがない。このため、粘着防止剤PWの固着によって駆動ローラ42の外径が大きくなることがなく、各帯状部材BM3の搬送速度を常に一定にすることが可能である。また、駆動ローラ42に塊状となって固着した粘着防止剤PWが各帯状部材BM3に付着することがなく、各帯状部材PWに付着する粘着防止剤PWの量を均一にする上で有利である。
【0040】
また、各帯状部材BM3の幅方向に延びるように形成された各スクレーパー45を粘着防止剤PW内を通過した各帯状部材BM3にその厚さ方向から当接させるようにしたので、各帯状部材BM3に付着する粘着防止剤PWの量を均一にすることができる。
【0041】
尚、本実施形態では、複数のスクレーパー45を設けるようにしたものを示したが、スクレーパー45を1つだけ設けることも可能である。
【0042】
また、本実施形態では、複数の空気吐出部材44を設けるようにしたものを示したが、空気吐出部材44を1つだけ設けることも可能である。
【0043】
また、本実施形態では、一対の吸引部材46を設けるようにしたものを示したが、吸引部材46を1つだけ設けることも可能である。
【0044】
尚、本実施形態では、吸引部材46を円筒状に形成したものを示したが、吸引部材46を多角柱状に形成することも可能であり、板状に形成することも可能である。
【0045】
また、本実施形態では、吸引部材46に1つの吸引孔46aを設け、吸引孔46aを長孔としたものを示した。これに対し、吸引部材46の外周面に複数の吸引孔46aを設け、各吸引孔46aをそれぞれ丸孔や長孔にするとともに、各吸引孔46aを吸引部材46の軸方向に並ぶように設けることも可能である。
【0046】
尚、本実施形態では、各空気吐出部材44の吐出口44aを布状部材や網状部材で覆い、粘着防止剤PW内に静かに空気を供給するようにしたものを示した。これに対し、各空気吐出部材44に小さな吐出口を複数設けることにより、粘着防止剤PW内に静かに空気を供給することも可能である。さらに、吐出口を周知の多孔質部材によって形成し、粘着防止剤PW内に静かに空気を供給することも可能である。
【0047】
また、本実施形態では、押出機10、圧延ローラ20及び切断装置30によって複数の帯状部材BM3を連続的に成形し、各帯状部材BM3に連続的に粘着防止処理装置40によって粘着防止剤PWを付着させるようにしたものを示したが、押出機10、圧延ローラ20及び切断装置30によって1本の帯状部材を連続的に成形し、その帯状部材に粘着防止処理装置40によって粘着防止剤PWを付着させることも可能である。
【0048】
尚、本実施形態では、粘着防止剤PWを付着させた各帯状部材BM3が上面を開口した上面開口容器70内につづら折り状に収容されるものを示したが、粘着防止剤PWを付着させた各帯状部材BM3を巻取軸に巻取ることも可能であり、その他の方法によって各帯状部材BM3を保管可能な状態にすることも可能である。
【0049】
また、本実施形態では、粘着防止剤PW内を通過した各帯状部材BM3の厚さ方向両方の面に各吸引部材46を当接させ、各吸引部材46の外周面にそれぞれ設けられた吸引孔46aから空気を吸引するものを示した。これに対し、図7に示すように、各吸引部材46の代わりにそれぞれブラシ100及び集塵ノズル110を設けることも可能である。この場合、粘着防止剤PW内を通過した各帯状部材BM3の厚さ方向両方の面に円柱状に形成されたブラシ100をそれぞれ当接させ、各集塵ノズル110によって各ブラシ100に付着した粘着防止剤PWを吸引するようにする。各ブラシ100の回転速度や押付力は任意に設定可能である。これにより、各ブラシ100の回転速度や押付力を変更することにより、各帯状部材BM3に無用に粘着防止剤PWが付着することが防止され、各帯状部材BM3に付着させる粘着防止剤PWの量を調整することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明における一実施形態を示す帯状部材の成形装置の側面図
【図2】粘着防止処理装置の側面断面図
【図3】吸引部材の斜視図
【図4】帯状部材の成形装置の要部斜視図
【図5】帯状部材の成形装置の動作説明図
【図6】帯状部材の成形装置の動作説明図
【図7】本実施形態の変形例を示す粘着防止処理装置の側面断面図
【符号の説明】
【0051】
10…押出機、20…圧延ローラ、21…ローラ、30…切断装置、31…搬送ローラ、32…カッター、40…粘着防止処理装置、41…容器、42…駆動ローラ、42c…スクレーパー、43…羽根車、44…空気吐出部材、44a…吐出口、45…スクレーパー、46…吸引部材、46a…吸引孔、50…搬送装置、60…案内装置、61…案内部材、61a…案内部材、61b…固定板、62…移動機構、70…上面開口容器、71…底面板、72…側面板、80…容器搬送装置、100…ブラシ、110…集塵ノズル、BM1…帯状部材、BM2…帯状部材、BM3…帯状部材、PW…粘着防止剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未加硫ゴム材料から成る帯状部材に粉状の粘着防止剤を付着させる帯状部材の粘着防止処理方法において、
容器内に堆積している粘着防止剤内を帯状部材が通過するように容器内に配置された駆動ローラの外周面に帯状部材が巻掛けられている状態で、駆動ローラを回転駆動することにより帯状部材を長手方向に搬送し、帯状部材に連続的に粘着防止剤を付着させる
ことを特徴とする帯状部材の粘着防止処理方法。
【請求項2】
前記容器内に堆積している粘着防止剤内に粘着防止剤を吹き上げないように空気を供給する
ことを特徴とする請求項1記載の粘着防止処理方法。
【請求項3】
前記容器内に堆積している粘着防止剤内において羽根車を回転させる
ことを特徴とする請求項1または2記載の粘着防止処理方法。
【請求項4】
前記帯状部材の幅方向に延びるように形成された吸引部材を粘着防止剤内を通過した帯状部材にその厚さ方向から当接させ、吸引部材の外周面に設けられた少なくとも1つの吸引孔から空気を吸引する
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の粘着防止処理方法。
【請求項5】
前記駆動ローラの軸方向に延びるように形成されたスクレーパーを駆動ローラの外周面に当接させる
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の粘着防止処理方法。
【請求項6】
前記帯状部材の幅方向に延びるように形成されたスクレーパーを、粘着防止剤内を通過した帯状部材にその厚さ方向から当接させる
ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の粘着防止処理方法。
【請求項7】
未加硫ゴム材料から成る帯状部材に粉状の粘着防止剤を付着させる帯状部材の粘着防止処理装置において、
前記粘着防止剤を収容する容器と、
容器内に配置され、容器内に堆積している粘着防止剤内を帯状部材が通過するように帯状部材が外周面に巻掛けられるとともに、巻掛けられた帯状部材をその長手方向に搬送する駆動ローラとを備えた
ことを特徴とする帯状部材の粘着防止処理装置。
【請求項8】
前記容器内に堆積している粘着防止剤内に粘着防止剤を吹き上げないように空気を供給する空気供給手段を備えた
ことを特徴とする請求項7記載の粘着防止処理装置。
【請求項9】
前記容器内に体積している粘着防止剤内に配置された回転自在な羽根車を備えた
ことを特徴とする請求項7または8記載の粘着防止処理装置。
【請求項10】
前記粘着防止剤内を通過した帯状部材にその厚さ方向から当接するとともに、帯状部材の幅方向に延びるように形成され、外周面に空気を吸引する少なくとも1つの吸引孔を有する吸引部材を備え、
吸引部材を、帯状部材の幅方向に延びる回転軸を中心に回転方向の位置を任意に設定可能に設けた
ことを特徴とする請求項7、8または9記載の粘着防止処理装置。
【請求項11】
前記駆動ローラの軸方向に延びるように形成されて駆動ローラの外周面に当接するスクレーパーを備えた
ことを特徴とする請求項7、8、9または10記載の粘着防止処理装置。
【請求項12】
前記帯状部材の幅方向に延びるように形成されて粘着防止剤内を通過した帯状部材にその厚さ方向から当接するスクレーパーを備えた
ことを特徴とする請求項7、8、9、10または11記載の粘着防止処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−112918(P2009−112918A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287335(P2007−287335)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】