説明

帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置

【課題】電子写真装置の帯電部材において、スジ状の画像及び、異なる環境における画像の濃度の差を抑制した帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供する。
【解決手段】電子写真感光体と当接する帯電部材のゴム弾性層に、ビニル基若しくはビニル重合体の側鎖にシロキサンデンドリマー構造を有する化合物を含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は帯電部材、それを用いたプロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置(以下、「電子写真装置」と呼ぶ)に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用した電子写真装置において、電子写真感光体(以降、「感光体」ともいう)に接触又は近接配置した帯電部材に電圧を印加することで感光体の表面を帯電する方式、所謂接触帯電方式が多く採用されている。また、低コスト、及び、装置の小型化という観点から、帯電部材への印加電圧は直流電圧のみの電圧が好んで用いられている。
【0003】
接触帯電方式に用いられる帯電部材には、感光体との間に適切なニップ幅を確保し、安定した放電を行う為に、導電性のゴム弾性層を設けられることがある。
ゴム弾性層を導電性とするために、ゴム材料として、エピクロルヒドリンゴムやNBR等の極性ゴムを用いる場合がある。これらのゴム材料は、ゴム弾性層の電気抵抗の制御が容易であるという利点がある。
その一方で、上記したような極性ゴムは非極性ゴムと比較して吸水性が大きい傾向にある。そのため、これらゴム材料を用いて形成されたゴム弾性層を有する帯電部材は、高温高湿下と低温低湿下とで、ゴム弾性層の電気抵抗値が変化することがある。また、ゴム弾性層の吸水によって感光体との間のニップ幅が変化することがある。これらの現象の発生により、帯電部材の帯電性能が環境に応じて変化し、その結果として、両環境で出力された電子写真画像の間に濃度差が生じたり、電子写真画像にスジ状の欠陥が発生する場合があった。これらの技術課題を改善する提案は、特許文献1及び2等に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−352857号公報
【特許文献2】特許3132095号公報
【特許文献3】特開2003−91141号公報
【特許文献4】特開平09−305024号公報
【特許文献5】特許3116000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、近年、電子写真装置に対しては、多様な環境の下での、より一層の高画質化が要求されており、上記の技術課題に対しても更なる改善が望まれている。
そこで、本発明は、電子写真装置の帯電部材において、多様な環境下で安定して高品位な電子写真画像を与え得る帯電部材を提供することを目的とする。
また、本発明は、多様な環境下で安定して高品位な電子写真画像を形成可能なプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、導電性基体と、導電性のゴム弾性層と、表面層とを有する帯電部材であり、該ゴム弾性層が、ゴムおよび下記式1で示すユニットを有する化合物を含有する帯電部材が提供される:
【化1】

(R1は、水素原子、もしくは、炭素原子数1〜4のアルキル基である。
Gは、下記式2で示す構造である。)
【化2】

(式2中、Aは炭素原子数2以上10以下のアルキレン基、メチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニレン基及び下記式6から式8で表わされる2価の基からなる群から選ばれる基を示す。aは0または1である。E1、E2及びE3は各々独立に下記式3で表わされる基を示す。)
【化3】

【化4】

【化5】

(式6から式8中、R8、R9及びR11は各々独立に、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基またはメチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニレン基である。式8中、R10は炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数1以上10以下のアルコキシル基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、アリル基またはハロゲン原子である。dは0以上4以下の整数である。eは0または1である。)
【化6】

(式3中、kは0または1である。hは0以上3以下の整数である。Z1は炭素原子数2以上10以下のアルキレン基、メチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニレン基および下記式9から式11で表わされる2価の基からなる群から選ばれる基を示す。R3、R4、R6及びR7は各々独立に炭素原子数1以上5以下のアルキル基またはメチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基を示す。
R5は炭素原子数1以上10以下のアルコキシ基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェノキシ基、下記式29または下記式30で示される基である。
Xは、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、メチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基、アリル基、ビニル基、下記式5で表わされる基及び下記式25で表わされる基からなる群から選ばれる基である。)
【化7】

【化8】

【化9】

(式9から式11中、R12、R13およびR14は各々独立に、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基またはメチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニレン基である。pは0以上3以下の整数である。)
【化10】

(式5中、R15は炭素原子数1以上6以下のアルキレン基である。)
【化11】

(式25中、rは0または1であり、sは0以上3以下の整数である。
Z2は炭素原子数2以上10以下のアルキレン基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニレン基および上記式9、式10、式11で表わされる2価の基からなる群から選ばれる基を示す。
R19、R20、R22及びR23は各々独立に炭素原子数1以上5以下のアルキル基またはメチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基を示す。R21は炭素原子数1以上10以下のアルコキシ基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェノキシ基、下記式29または下記式30で示される基である。
X2は、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基、アリル基、ビニル基、上記式5および上記式25で表わされる基からなる群から選ばれる基である。
上記式3においてXが式25である場合、式25で表わされる基の繰り返しの数は1以上10以下であり、かつ、最末端を構成している式25中のX2は、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基、アリル基、ビニル基または上記式5で示す基である。)
【化12】

(式29中、R24は、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基である。)
【化13】

(式30中、R25、R26およびR27は、各々独立に炭素原子数1以上5以下のアルキル基またはメチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基を示す。)
また、本発明によれば、上記の帯電部材が被帯電体と少なくとも一体化され、電子写真装置本体に着脱自在に構成されているプロセスカートリッジが提供される。
さらにまた、本発明によれば、上記のプロセスカートリッジ、露光装置及び現像装置を有する電子写真装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る帯電部材によれば、高温高湿の環境および低温低湿の環境との間での電気抵抗の変動を抑制され、且つ、感光体とのニップ幅を安定させることが可能になる。その結果、多様な環境の下で、高品位な電子写真画像を安定して提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の帯電部材(ローラ形状)の断面図である。
【図2】本発明の帯電部材(板状)の断面図である。
【図3】本発明の帯電部材(ベルト状)の断面図である。
【図4】帯電ローラの電気抵抗値の測定方法の説明図である。
【図5】ローラの表面粗さおよび表面層の膜厚の測定箇所の説明図である。
【図6】本発明の電子写真装置の一つの実施の形態の断面を表す概略図を示す。
【図7】本発明に係るプロセスカートリッジの断面図である。
【図8】式(3)で示される構造の具体例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(帯電部材)
本発明の帯電部材は、導電性基体と、導電性のゴム弾性層と、表面層とを有し、被帯電体を帯電するものである。
該ゴム弾性層は、ゴムおよび下記式1で示すユニットを有する化合物を含有する。
【化14】

(R1は、水素原子、もしくは、炭素原子数1〜4のアルキル基である。
Gは、下記式2で示す構造である。)
【化15】

(式2中、Aは炭素原子数2以上10以下のアルキレン基、メチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニレン基及び下記式6から式8で表わされる2価の基からなる群から選ばれる基を示す。aは0または1である。E1、E2及びE3は各々独立に下記式3で表わされる基を示す。)
【化16】

【化17】

【化18】

(式6から式8中、R8、R9およびR11は各々独立に、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基またはメチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニレン基である。式8中、R10は炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数1以上10以下のアルコキシル基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、アリル基またはハロゲン原子である。dは0以上4以下の整数である。eは0または1である。)
【化19】

(式3中、kは0または1である。hは0以上3以下の整数である。Z1は炭素原子数2以上10以下のアルキレン基、メチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニレン基および下記式9から式11で表わされる2価の基からなる群から選ばれる基を示す。R3、R4、R6及びR7は各々独立に炭素原子数1以上5以下のアルキル基またはメチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基を示す。
R5は炭素原子数1以上10以下のアルコキシ基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェノキシ基、下記式29または下記式30で示される基である。
Xは、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、メチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基、アリル基、ビニル基、下記式5で表わされる基及び下記式25で表わされる基からなる群から選ばれる基である。)
【化20】

【化21】

【化22】

(式9から式11中、R12、R13およびR14は各々独立に、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基またはメチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニレン基である。pは0以上3以下の整数である。)
【化23】

(式5中、R15は炭素原子数1以上6以下のアルキレン基である。)
【化24】

(式25中、rは0または1であり、sは0以上3以下の整数である。
Z2は炭素原子数2以上10以下のアルキレン基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニレン基および上記式9、式10、式11で表わされる2価の基からなる群から選ばれる基を示す。
R19、R20、R22及びR23は各々独立に炭素原子数1以上5以下のアルキル基またはメチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基を示す。R21は炭素原子数1以上10以下のアルコキシ基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェノキシ基、下記式29または下記式30で示される基である。
X2は、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基、アリル基、ビニル基、上記式5および上記式25で表わされる基からなる群から選ばれる基である。
上記式3においてXが式25である場合、式25で表わされる基の繰り返しの数は1以上10以下であり、かつ、最末端を構成している式25中のX2は、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基、アリル基、ビニル基または上記式5で示す基である。)
【化25】

(式29中、R24は、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基である。)
【化26】

(式30中、R25、R26およびR27は、各々独立に炭素原子数1以上5以下のアルキル基またはメチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基を示す。)
【0010】
上記式1で示される構造は、ビニル基、若しくはビニル重合体の側鎖に、シロキサンデンドリマー構造(ポリシロキサン構造を核として、シロキサン結合とシルアルキレン結合が交互に配列した高分岐構造)を有しており、バルキーな構造である。この特異的な構造を持つ化合物をゴム弾性層に含有させることで、ゴム弾性層の吸湿を抑制させることができる。その結果として、異なる環境においても電気抵抗の変動を抑制できるため、画像の濃度の差を抑制することができる。また、ニップ幅の変動を抑制できるため、スジ状の画像の発生を抑制できると考察している。
【0011】
特許文献3〜5等には、シリコーン化合物等を帯電部材の表面層に含有させるという提案がなされている。しかしながら、本発明に記載の、画像の濃度差の抑制効果及びスジ状の画像の抑制効果を発現するに至らなかった。本発明者らは、これらの結果から、本発明を提案するに至った。
【0012】
本発明の帯電部材の形状としては、ローラ形状、平板形状、ベルト形状といった各種形状が挙げられる。図1に導電性基体1の周りにゴム弾性層2及び表面層3を有するローラ形状の帯電部材(帯電ローラ)を、図2に導電性基体1の上にゴム弾性層2及び表面層3を有する平板形状の帯電部材を、図3に導電性基体1の周りにゴム弾性層2及び表面層3を設けたベルト形状の帯電部材の概略断面図をそれぞれ示す。
【0013】
本発明の帯電ローラは、感光体の帯電を良好なものとするため、通常、電気抵抗が、23℃/50%RH環境中において、1×10Ω以上、1×1010Ω以下であることがより好ましい。
【0014】
一例として、図4に帯電ローラの電気抵抗の測定法を示す。導電性基体1の両端を、荷重のかかった軸受け33、33により感光体と同じ曲率の円柱形金属32に、平行になるように当接させる。この状態で、モータ(不図示)により円柱形金属32を回転させ、当接した帯電ローラ5を従動回転させながら安定化電源34から直流電圧−200Vを印加する。この時に流れる電流を電流計35で測定し、帯電ローラの抵抗を計算する。ここで、荷重は各4.9Nとし、金属製円柱は直径φ30mm、金属製円柱の回転は周速45mm/secである。
【0015】
本発明の帯電ローラは、感光体に対して、長手のニップ幅を均一にするという観点から、長手方向中央部が一番太く、長手方向両端部にいくほど細くなる形状、いわゆるクラウン形状が好ましい。クラウン量は、中央部の外径と中央部から90mm離れた位置の外径との差が、30μm以上200μm以下であることが好ましい。
【0016】
本発明の帯電ローラの表面の十点平均粗さRzjisの目安は、2〜30μmである。また、粗さ曲線要素の平均長さRsmの目安は、15〜150μmである。
【0017】
Rzjis及びRsmの測定法について下記に示す。
JIS B0601−2001表面粗さの規格に準じて測定し、表面粗さ測定器「SE−3400」(商品名、株式会社小坂研究所製)を用いて行う。Rzjisは、帯電部材を無作為に6箇所測定し、その平均値である。また、Rsmは、帯電ローラ表面の任意の6箇所について、各々10点の凹凸間隔を測定し、その平均値を各測定箇所のRsmとし、それらの平均値を帯電ローラのRsmとする。RzjisおよびRsmを制御するためには、後述する各層、特に表面層に粗し粒子を添加すればよい。
【0018】
以下、導電性基体、ゴム弾性層、表面層について説明する。
【0019】
(導電性基体)
本発明の帯電部材に用いられる導電性基体は、導電性を有し、該基体上に設けられる表面層やゴム弾性層等を支持する機能を有するものである。材質としては、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属やその合金が挙げられる。
【0020】
(ゴム弾性層)
本発明に係るゴム弾性層は、マトリクスとしてのゴムと、前記式1で示すユニットを有する化合物(シロキサンデンドリマー)とを含む。
前記式1で示されるR1は、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基及びブチル基等が挙げられる。
前記式2で示すAは、炭素原子数2以上10以下のアルキレン基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニレン基および下記式6、7または8で示される構造のうちの少なくとも1つである。
【化27】

【化28】

【化29】

式6から式8中、R8、R9、R11は各々独立に、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基またはメチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニレン基である。式8中、R10は炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数1以上10以下のアルコキシル基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、アリル基、またはハロゲン原子である。dは0以上4以下の整数である。eは0または1である。
本構造とすることにより、化合物の安定性を更に高めることが可能になる。
【0021】
R8及びR9は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が例示され、この中でも、メチレン基、プロピレン基がより好ましい。
【0022】
R10は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が例示され、これらの中でもメチル基がより好ましい。R11は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基が例示され、これらの中でもエチレン基が、より好ましい。
【0023】
式3で示すZ1は、炭素原子数炭素原子数2以上10以下のアルキレン基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニレン基、下記式9、式10、式11で示される基であり、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基などの直鎖状アルキレン基、メチルメチレン基、メチルエチレン基、1−メチルペンチレン基、1,4−ジメチルブチレン基等の分岐状アルキレン基等が例示される。R3、R4、R6およびR7は各々独立に炭素原子数1以上5以下のアルキル基またはメチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基を示である。
R5は炭素原子数1以上10以下のアルコキシ基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェノキシ基、下記式29または下記式30で示される基である。

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

式9から式11中、R12、R13およびR14は各々独立に、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基またはメチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニレン基である。pは0以上3以下の整数である。
【化34】

式29中、R24は、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基である。
【化35】

式30中、R25、R26およびR27は、各々独立に炭素原子数1以上5以下のアルキル基またはメチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基を示す。
【0024】
式3において、Xは、水素原子または炭素原子数1以上10以下のアルキル基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基、アリル基、ビニル基、または下記式5で示される基および下記式25で表わされる基からなる群から選ばれる基である。
【化36】

式5中、R15は炭素原子数1以上6以下のアルキレン基である。
【化37】

式25中、rは0または1であり、sは0以上3以下の整数である。
Z2は炭素原子数2以上10以下のアルキレン基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニレン基および上記式9、式10、式11で表わされる2価の基からなる群から選ばれる基を示す。
R19、R20、R22及びR23は各々独立に炭素原子数1以上5以下のアルキル基またはメチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基を示す。R21は炭素原子数1以上10以下のアルコキシ基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェノキシ基、上記式29または上記式30で示される基である。
X2は、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基、アリル基、ビニル基、上記式5および上記式25で表わされる基からなる群から選ばれる基である。
上記式3においてXが式25である場合、式25で表わされる基の繰り返しの数は1以上10以下であり、かつ、最末端を構成している式25中のX2は、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基、アリル基、ビニル基または上記式5で示す基である。
ここで、式(3)において、k=0であって、Xが式(25)であり、かつ、式(25)で表わされる基の繰り返しの数が1であるときの式(3)の構造を図8(a)に示す。また、当該繰り返しの数が3であるときの式(3)の構造を図8(b)に示す。
【0025】
前記式3、式5から式11、式25、式29および式30中の各々の基は、E1、E2およびE3において、前記定義を満たしていれば各々異なる基であってもよい。例えば、E1を構成する前記式3中のZ1と、E2を構成する前記式3中のZ1は、炭素原子数2以上10以下のアルキレン基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニレン基および上記式9から式11で表わされる2価の基からなる群から選ばれる基であれば、異なっていてもよい。
【0026】
前記化合物は、前記式3で示す構造中のhおよび前記式25で示す構造中のrが0であり、Xが前記式25で表わされる基であって、式25で表わされる基の繰り返しの数が1以上3以下であることが更に好ましい。これにより、前述した、ゴム弾性層に含有させた際の吸湿抑制効果をより発現させることが可能となる。
【0027】
前記化合物は、下記式4で示すユニットを有することが、より好ましい。これにより、特に、前述した、吸湿抑制効果をより発現させることが可能となる。
【化38】

式4においてR2としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基及びブチル基等が例示される。
Jは、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基、下記式26、下記式27、または下記式28で示される基である。
【化39】

【化40】

【化41】

式26、式27中、R16およびR17は各々独立に炭素原子数1以上6以下のアルキル基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基、および前記式28で表わされる基からなる群から選ばれる基を示す。式28中、R18は炭素原子数1以上4以下のアルキル基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基である。tは1以上3以下の整数である。
【0028】
前記化合物の重量平均分子量は、2000〜2000000が好ましい。より好ましくは、5000〜1000000、更に好ましくは、10000〜700000である。これにより、前述した、ゴム弾性層の吸湿抑制効果を発現しやすくなる。また、前記化合物全体に対し、式1で示すユニットの含有量は、2.0%以上であることが好ましく、より好ましくは、3.0〜80%である。これにより、前述した、ゴム弾性層の吸湿抑制効果を発現しやすくなる。
【0029】
前記化合物は、下記式12で示す化合物、もしくは、下記式12を重合することにより得ることができる。
【化42】

(式中R1、A、a、E1、E2及びE3は、前記記載の例示と同じである)
【0030】
式12で示す構造の一例を、式13及び式14に示す。
【化43】

【化44】

【0031】
更に、前記化合物は、式12に示す化合物と、下記に記載するビニル基を有する化合物を重合反応させることにより得ることもできる。
ビニル基を有する化合物としては、ラジカル重合性のビニル基を有しており、その種類等は以下のものが挙げられる。
【0032】
ビニル基を有する化合物としては、低級アルキル(メタ)アクリレート、芳香族ビニル型単量体及びアミド基含有ビニル型単量体が好ましく用いられる。具体的に、低級アルキル(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等が例示できる。芳香族ビニル型単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が例示できる。アミド基含有ビニル型単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等が例示できる。
【0033】
また、式12で示す化合物と、上記ビニル基を有する化合物との混合比率を調整することにより、前記化合物全体に対し、式1で示すユニットの含有量を調整することができる。
【0034】
前記化合物を得るための重合法としては、ラジカル重合法やイオン重合法が使用される。この中でも、ラジカル重合法がより好ましく、ラジカル重合法の中でも、溶液重合法が更に好ましい。
【0035】
溶液重合法は、溶媒中で、式12で示す化合物のみ、あるいは、式12で示す化合物とビニル基を有する化合物とをラジカル開始剤の存在下、50から150℃の温度条件下で反応させることにより行われる。
【0036】
このとき用いる溶媒としては、ヘキサン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン等のオルガノシロキサンオリゴマー等を例示できる。
【0037】
ラジカル開始剤としては、一般にラジカル重合法に使用される従来公知の化合物が用いられ、具体的には、2,2´−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾビス系化合物、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物等を例示できる。
【0038】
このラジカル開始剤は、1種を単独で使用してもよく、また2種類以上を混合して使用してもよい。ラジカル開始剤の使用量は、重合する化合物の合計を100質量部とした時、0.1質量部から5質量部の範囲であることが好ましい。
【0039】
また、重合に際しては連鎖移動剤を添加することができる。この連鎖移動剤として具体的には、2−メルカプトエタノール、ブチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピル基を有するポリジメチルシロキサン等のメルカプト化合物、塩化メチレン、クロロホルム、臭化ブチル、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン化物等が例示できる。好ましくは、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランである。このような連鎖移動剤の配合量は、重合する化合物の合計を100質量部とした時、好ましくは、0.001から15質量部、さらに好ましくは、0.01から10質量部である。なお、本発明の重合体を製造する場合、重合後、加熱下、減圧処理して、残存する未反応のビニル系化合物を除去することが好ましい。
【0040】
ゴム弾性層のマトリクスの形成に用いられるゴム材料としては、エピクロルヒドリンゴム、NBR(ニトリルゴム)、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、EPDM等公知のゴムが使用できる。上述したように、これらの中でも抵抗調整の容易さという観点から、エピクロルヒドリンゴムやNBR等の極性ゴムを用いるのが好ましく、更に、エピクロルヒドリンゴムを用いることが好ましい。
【0041】
エピクロルヒドリンゴムは、ゴム自体が中抵抗領域の導電性を有し、導電剤の添加量が少なくても良好な導電性を発揮できる。また、位置による電気抵抗のバラツキも小さくできるので、ゴム弾性層に好適に用いられる。
【0042】
エピクロルヒドリンゴムとしては以下のものが挙げられる。エピクロルヒドリン単独化合物、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共化合物、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共化合物及びエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共化合物。この中でも安定した中抵抗領域の導電性を示すことから、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共化合物が特に好適に用いられる。エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共化合物は、重合度や組成比を任意に調整することで導電性や加工性を制御できる。
【0043】
ゴム弾性層は、エピクロルヒドリンゴム単独でもよいが、エピクロルヒドリンゴムを主成分として、本発明の効果を損なわない範囲でその他の一般的なゴムを含有してもよい。その他の一般的なゴムとしては、以下のものが挙げられる。EPM(エチレン・プロピレンゴム)、EPDM(エチレン・プロピレンゴム)、NBR(ニトリルゴム)、クロロプレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。上記の一般的なゴムを含有する場合、その含有量は、ゴム弾性層の材料100質量部に対し、1〜50質量部であるのがより好ましい。
ゴム弾性層の体積抵抗率は、イオン導電剤、電子導電剤等の導電剤により調整することができる。
【0044】
イオン導電剤としては以下のものが挙げられる。過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウムの如き無機イオン物質、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルプロピルアンモニウムブロミド、変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウムエトサルフェートの如き陽イオン性界面活性剤、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ジメチルアルキルラウリルベタインの如き両性イオン界面活性剤、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸トリメチルオクタデシルアンモニウムの如き四級アンモニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等の有機酸リチウム塩。これらを単独又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0045】
これらイオン導電剤の中でも、特に4級アンモニウム塩が好適に用いられる。4級アンモニウム塩は、環境変化に対して抵抗が安定なことから特に好適に用いられる。
【0046】
電子導電剤としては以下のものが挙げられる。アルミニウム、パラジウム、鉄、銅、銀の如き金属系の微粒子や繊維、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛の如き金属酸化物。前記記載の金属系微粒子、繊維及び金属酸化物表面に、電解処理、スプレー塗工、混合振とうにより表面処理した複合粒子。ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、PAN(ポリアクリロニトリル)系カーボン、ピッチ系カーボンの如きカーボン粉。
また、これらの導電剤を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0047】
また、導電剤は、平均粒径が0.01μmから0.9μmがより好ましく、0.01μmから0.5μmであることが更に好ましい。この範囲であれば、ゴム弾性層の体積抵抗率の制御が容易になる。
【0048】
ゴム弾性層に加えるこれらの導電剤の添加量は、ゴム100質量部に対して2質量部から80質量部、好ましくは20質量部から60質量部の範囲が適当である。
【0049】
ゴム弾性層の体積抵抗率の目安としては、23℃/50%RH環境下で測定して、10Ω・cm以上1010Ω・cm以下である。ゴム弾性層の体積抵抗率は、ゴム弾性層に使用するすべての材料を厚さ1mmのシートに成型し、両面に金属を蒸着して電極とガード電極を形成して測定用サンプルを得る。得られた体積抵抗率測定試料を、微小電流計(商品名:ADVANTEST R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METER、(株)アドバンテスト製)を用いて200Vの電圧を印加する。そして、30秒後の電流を測定し、膜厚と電極面積とから計算して求める。
【0050】
ゴム弾性層は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、UVや電子線を用いた表面加工処理や、化合物等を表面に付着及び/又は含浸させる表面改質処理が挙げられる。
【0051】
ゴム弾性層の形成は、予め所定の膜厚に形成されたシート形状又はチューブ形状の層を導電性基体に接着又は被覆することによって行うことができる。また、クロスヘッドを備えた押出し機を用いて、導電性基体と弾性層材料を一体的に押出して作製することもできる。
【0052】
(表面層)
本発明の帯電部材に用いられる表面層に使用するバインダーとしては、公知のバインダーを採用できる。その際、感光体やその他の部材を汚染せず離型性が高いという観点から、樹脂を用いることが好ましい。
【0053】
樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の公知の樹脂が使用できる。中でも、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂等がより好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いても、また共化合物であってもよい。
【0054】
本発明では、表面層の体積抵抗率は、帯電部材の電気抵抗を上記とするために、23℃/50%RH環境1×10Ω・cm以上1×1015Ω・cm以下であることが好ましい。表面層の体積抵抗率は、以下のようにして求める。まず、ローラ状態から表面層を剥がし、5mm×5mm程度の短冊形に切り出す。両面に金属を蒸着して電極とガード電極とを作製し測定用サンプルを得る。あるいはアルミシートの上に塗布して表面層塗膜を形成し、塗膜面に金属を蒸着して測定用サンプルを得る。得られた測定用サンプルについて、上記ゴム弾性層の体積抵抗率測定方法と同様にして測定する。
【0055】
表面層の体積抵抗率は、上述したイオン導電剤、電子導電剤等の導電剤により調整できる。
【0056】
導電剤は、その表面を表面処理してもよい。表面処理剤としては有機ケイ素化合物(例えば、アルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、ポリシロキサン等)が挙げられる。
【0057】
導電剤としてカーボンブラックを使用する際は、金属酸化物系微粒子にカーボンブラックを被覆した複合導電性微粒子として使用することが更に好ましい。カーボンブラックは、ストラクチャーを形成するため、バインダーに対して、均一に存在させることが困難な傾向にある。カーボンブラックを金属酸化物に被覆した複合導電性微粒子として使用すると、導電剤をバインダーへ均一に存在させることができ、体積抵抗率の制御がより容易になる。
【0058】
この目的で使用する金属酸化物系微粒子としては、金属酸化物や複合金属酸化物が挙げられる。具体的には、金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン(二酸化チタン、一酸化チタン等)、酸化鉄、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等を例示することができる。また、複合金属酸化物として、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム等を例示することができる。
【0059】
金属酸化物系微粒子は表面処理されていることがより好ましい。表面処理としては、アルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、ポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、シラン系、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系の各種カップリング剤、オリゴマー又は高分子化合物が使用可能である。これらは一種で使用しても、二種以上を用いても良い。
【0060】
表面層には、本発明の効果を損なわない範囲で絶縁性粒子等を含有させてもよい。
【0061】
表面層には、表面の離型性を向上させるために、離型剤を含有させても良い。表面層に離型剤を含有させることで、帯電部材の表面に汚れが付着することを防ぎ、帯電部材の耐久性を向上させることができる。また、帯電部材と感光体との間での相対移動が滑らかになり、スティックスリップのような不規則な移動状態の発生を低減される。その結果、帯電部材の表面の不規則な摩耗の発生、異音の発生等が抑制される。離型剤が液体の場合は、表面層を形成する際にレベリング剤としても作用する。
【0062】
このような離型剤として、低表面エネルギーを有するもの、摺動性を有するものなどを利用することができ、その性状として、固体及び液体のものを用いることができる。具体的には、黒鉛、フッ化黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化ホウ素、一酸化鉛等の金属酸化物である。また、オイル状或いは固体状(離型性樹脂或いはその粉末、ポリマーの一部に離形性を有する部位を導入したもの)の珪素やフッ素を分子内に含む化合物、ワックス、高級脂肪酸、その塩やエステル、その他誘導体も使用できる。
【0063】
表面層は、0.1μm以上100μm以下の厚さを有することが好ましい。より好ましくは、1μm以上50μm以下である。
【0064】
なお、表面層の膜厚は、図5(a)及び(b)に示す位置でローラ断面を鋭利な刃物で切り出して、光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察することで測定できる。
【0065】
表面層は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、UVや電子線を用いた表面加工処理や、化合物等を表面に付着及び/又は含浸させる表面改質処理が挙げられる。
【0066】
表面層は、静電スプレー塗布やディッピング塗布等の塗布法により形成することができる。または、予め所定の膜厚に成膜されたシート形状又はチューブ形状の層を接着又は被覆することにより形成することもできる。あるいは、型内で所定の形状に材料を硬化、成形する方法も用いることができる。この中でも、塗布法によって塗料を塗工し、塗膜を形成することが好ましい。
【0067】
(各層に含有する粒子の平均粒子径の測定)
導電剤及び絶縁性粒子等の平均粒子径は、以下のようにして算出する。各層のある任意の点を500μmにわたって、20nmずつ集束イオンビーム「FB−2000C」(商品名、株式会社日立製作所製)にて切り出し、その断面画像を撮影する。そして同じ粒子を撮影した画像を、20nm間隔で組み合わせ、立体的な粒子形状を算出する。この作業を、各層の任意の100点で行う。粒子の平均粒径は、上記で得られた立体的粒子形状から、投影面積を算出し、得られた面積の円相当径を計算する。この円相当径から体積平均粒径を求め、それを平均粒子径とする。
【0068】
(電子写真装置)
本発明に従う画像形成装置の概略構成を図6に示す。
画像形成装置は、感光体、感光体を帯電する帯電装置、露光を行う潜像形成装置、トナー像に現像する現像装置、転写材に転写する転写装置、感光体上の転写トナーを回収するクリーニング装置、トナー像を定着する定着装置などから構成される。
感光体4は、導電性基体上に感光層を有する回転ドラム型である。感光体は矢示の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
帯電装置は、感光体に所定の押圧力で当接されることにより接触配置される接触式の帯電ローラ5を有している。帯電ローラ5は、感光体回転に従い回転する従動回転であり、帯電用電源から所定の直流電圧を印加することにより、感光体を所定の電位に帯電する。
感光体に静電潜像を形成する潜像形成装置11は、例えばレーザービームスキャナーなどの露光装置が用いられる。一様に帯電された感光体に画像情報に対応した露光を行うことにより、静電潜像が形成される。
現像装置は、感光体に近接または接触して配設される接触式の現像ローラ6を有する。感光体帯電極性と同極性に静電的処理されたトナーを反転現像により、静電潜像をトナー像に可視化現像する。
転写装置は、接触式の転写ローラ8を有する。感光体からトナー像を普通紙などの転写
材(転写材は、搬送部材を有する給紙システムにより搬送される。)に転写する。
クリーニング装置は、ブレード型のクリーニング部材10、回収容器を有し、転写した後、感光体上に残留する転写残トナーを機械的に掻き落とし回収する。
ここで、現像装置にて転写残トナーを回収する現像同時クリーニング方式を採用することにより、クリーニング装置を取り除くことも可能である。
定着装置は、加熱されたロール等で構成され、転写されたトナー像を定着し、機外に排出する。
【0069】
<プロセスカートリッジ>
感光体、帯電装置、現像装置、及び、クリーニング装置などを一体化し、画像形成装置に着脱可能に設計されたプロセスカートリッジ(図7)を用いることもできる。
【実施例】
【0070】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
【0071】
前記式1で示すユニットを有する化合物において、式1で示すユニットの数をn、式4で示すユニットの数をmとし、以下、実施例を具体的に説明する。
【0072】
製造例1[化合物1の作製]
攪拌機、冷却器および温度計を備えたガラス製の1リットルフラスコに、溶媒として、エタノール300質量部を投入した。攪拌下、温度を80℃に保ち、窒素ガスを通しながら、平均分子式15で示す化合物100質量部、スチレン5質量部、メチルメタクリレート15質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)1.0質量部の混合物を1時間かけて滴下した。さらに、80℃で6時間重合反応を行った。エタノールの一部を減圧除去した後、残った溶液を多量のメタノール中に投入して、攪拌、静置し沈殿物を得た。沈殿物を減圧乾燥し、化合物1を得た。
【0073】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物1は、式1−1、式1−2、式1−3で示されるユニットを有していた。また、化合物1は、化合物全体に対し、1−1ユニットを3.73%有しており、前記式1中のnは約54、前記式4中のmは約1400、式25で表わされる基の繰返し数は1であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約840000であった。
【化45】

【化46】

【化47】

【化48】

【0074】
製造例2[化合物2の作製]
滴下する混合物を、平均分子式16で示す化合物250質量部、スチレン100質量部、メチルメタクリレート100質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.5質量部に変更した以外は、製造例1と同様に、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物2を得た。
【0075】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物2は、式2−1、式1−2、式1−3で示されるユニットを有していた。また、化合物2は、化合物全体に対し、式2−1で示されるユニットを8.64%有しており、前記式1で示すユニットの数nは約190、前記式4で示すユニットの数mは約1950、式25で表わされる基の繰返し数は0であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約450000であった。
【化49】

【化50】

【0076】
製造例3[化合物3の作製]
滴下する混合物を、平均分子式15で示す化合物200質量部、メチルメタクリレート18質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.5質量部に変更した以外は、製造例1と同様に、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物3を得た。
【0077】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物3は、式1−1、式1−3で示されるユニットを有していた。また、化合物3は、化合物全体に対し、式1−1で示されるユニットを7.87%有しており、前記式1で示すユニットの数nは約15、前記式4で示すユニットの数mは約180、式25で表わされる基の繰返し数は1であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約218000であった。
【0078】
製造例4[化合物4の作製]
滴下する混合物を、平均分子式15で示す化合物25質量部、メチルメタクリレート20質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.5質量部に変更した以外は、製造例1と同様に、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物4を得た。
【0079】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物4は、式1−1、式1−3で示されるユニットを有していた。また、化合物4は、化合物全体に対し、式1−1で示されるユニットを8.49%有しており、前記式1で示すユニットの数nは約19、式4で示すユニットの数mは約200、式25で表わされる基の繰返し数は1であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約45000であった。
【0080】
製造例5[化合物5の作製]
滴下する混合物を、平均分子式15で示す化合物60質量部、メチルメタクリレート2質量部、スチレン2質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.3質量部に変更した以外。また、重合時間を10時間とした。それ以外は製造例1と同様にして、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物5を得た。
【0081】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物5は、式1−1、式1−2、式1−3で示されるユニットを有していた。また、化合物5は、化合物全体に対し、式1−1で示されるユニットを10.5%有しており、前記式1で示すユニットの数nは約2.3、前記式4で示すユニットの数mは約19、式25で表わされる基の繰返し数は1であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約32000であった。
【0082】
製造例6[化合物6の作製]
滴下する混合物を、平均分子式17で示す化合物100質量部、メチルメタクリレート10質量部、スチレン5質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.3質量部に変更した以外は、製造例1と同様に、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物6を得た。
【0083】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物6は、式3−1、式1−2、式1−3で示されるユニットを有していた。また、化合物6は、化合物全体に対し、式3−1で示されるユニットを13.8%有しており、前記式1で示すユニットの数nは約2.3、前記式4で示すユニットの数mは約15、式25で表わされる基の繰返し数は0であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約11500であった。
【化51】

【化52】

【0084】
製造例7[化合物7の作製]
滴下する混合物を、平均分子式15で示す化合物100質量部、メチルメタクリレート1質量部、スチレン1質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.3質量部に変更した。また、重合時間を10時間とした。それ以外は製造例1と同様にして、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物7を得た。
【0085】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物7は、式1−1、式1−2、式1−3で示されるユニットを有していた。また、化合物7は、化合物全体に対し、式1−1で示されるユニットを28.2%有しており、前記式1で示すユニットの数nは約4、前記式4で示すユニットの数mは約10、式25で表わされる基の繰返し数は1であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約51000であった。
【0086】
製造例8[化合物8の作製]
滴下する混合物を、平均分子式16で示す化合物50質量部、メチルメタクリレート9質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.3質量部に変更した以外は、製造例1と同様に、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物8を得た。
【0087】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物7は、式2−1、式1−3で示されるユニットを有していた。また、化合物8は、化合物全体に対し、式2−1で示されるユニットを29.2%有しており、前記式1で示すユニットの数nは約4、前記式4で示すユニットの数mは約9、式25で表わされる基の繰返し数は0であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約5900であった。
【0088】
製造例9[化合物9の作製]
滴下する混合物を、平均分子式15で示す化合物40質量部、メチルメタクリレート0.2質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.3質量部に変更した。また、重合時間を10時間とした。それ以外は製造例1と同様にして、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物9を得た。
【0089】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物9は、式1−1、式1−3で示されるユニットを有していた。また、化合物9は、化合物全体に対し、式1−1で示されるユニットを60.6%有しており、前記式1で示すユニットの数nは約1.5、前記式4で示すユニットの数mは約1、式25で表わされる基の繰返し数は1であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約20100であった。
【0090】
製造例10[化合物10の作製]
滴下する混合物を、平均分子式16で示す化合物50質量部、メチルメタクリレート2質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.3質量部に変更した以外は、製造例1と同様に、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物10を得た。
【0091】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物10は、式2−1、式1−3で示されるユニットを有していた。また、化合物10は、化合物全体に対し、式2−2で示されるユニットを65.0%有しており、前記式1で示すユニットの数nは約3.7、前記式4で示すユニットの数mは約2、式25で表わされる基の繰返し数は0であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約5200であった。
【0092】
製造例11[化合物11の作製]
滴下する混合物を、平均分子式15で示す化合物60質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.3質量部に変更した。また、重合時間を10時間とした。それ以外は製造例1と同様にして、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物11を得た。
【0093】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物11は、式1−1で示されるユニットを有しており、前記式1で示すユニットの数nは約2.3、式25で表わされる基の繰返し数は1であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約30000であった。
【0094】
製造例12[化合物12の作製]
滴下する混合物を、平均分子式16で示す化合物70質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.3質量部に変更した以外は、製造例1と同様に、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物12を得た。
【0095】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物12は、式2−1で示されるユニットを有しており、前記式1で示すユニットの数nは約5.2、式25で表わされる基の繰返し数は0であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約7000であった。
【0096】
製造例13[化合物13の作製]
滴下する混合物を、平均分子式18で示す化合物150質量部、メチルメタクリレート25質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)1.0質量部に変更した以外は、製造例1と同様に、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物13を得た。
【0097】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物13は、式4−1、式1−3で示されるユニットを有していた。また、化合物13は、化合物全体に対し、式4−1で示されるユニットを5.06%有しており、前記式1で示すユニットの数nは約94、前記式4で示すユニットの数mは約1750、式25で表わされる基の繰返し数は7であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約1225000であった。
【化53】

【化54】

【0098】
製造例14[化合物14の作製]
滴下する混合物を、平均分子式19で示す化合物100質量部、メチルメタクリレート25質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)1.0質量部に変更した以外は、製造例1と同様に、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物14を得た。
【0099】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物14は、式5−1、式1−3で示されるユニットを有していた。また、化合物14は、化合物全体に対し、式5−1で示されるユニットを3.96%有しており、前記式1で示すユニットの数nは約70、前記式4で示すユニットの数mは約1750、式25で表わされる基の繰返し数は1であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約875000であった。
【化55】

【化56】

【0100】
製造例15[化合物15の作製]
滴下する混合物を、平均分子式20で示す化合物120質量部、メチルメタクリレート20質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.5質量部に変更した以外は、製造例1と同様に、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物15を得た。
【0101】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物15は、式6−1、式1−3で示されるユニットを有していた。また、化合物15は、化合物全体に対し、式6−1で示されるユニットを4.54%有しており、前記式1で示すユニットの数nは約9.5、前記式4で示すユニットの数mは約200、式25で表わされる基の繰返し数は8であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約140000であった。
【化57】

【化58】

【0102】
製造例16[化合物16の作製]
滴下する混合物を、平均分子式21で示す化合物250質量部、メチルメタクリレート20質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.5質量部に変更した以外は、製造例1と同様に、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物16を得た。
【0103】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物16は、式7−1、式1−3で示されるユニットを有していた。また、化合物16は、化合物全体に対し、式7−1で示されるユニットを13.4%有しており、前記式1で示すユニットの数nは約30、前記式4で示すユニットの数mは約200、式25で表わされる基の繰返し数は3であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約270000であった。
【化59】

【化60】

【0104】
製造例17[化合物17の作製]
滴下する混合物を、平均分子式18で示す化合物70質量部、メチルメタクリレート15質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.3質量部に変更した以外は、製造例1と同様に、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物17を得た。
【0105】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物17は、式4−1、式1−3で示されるユニットを有していた。また、化合物17は、化合物全体に対し、式4−1で示されるユニットを3.99%有しており、前記式1で示すユニットの数nは約0.6、前記式4で示すユニットの数mは約15、式25で表わされる基の繰返し数は7であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約8500であった。
【0106】
製造例18[化合物18の作製]
滴下する混合物を、平均分子式21で示す化合物300質量部、メチルメタクリレート10質量部、スチレン5質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.3質量部に変更した以外は、製造例1と同様に、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物18を得た。
【0107】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物18は、式7−1、式1−2、式1−3で示されるユニットを有していた。また、化合物18は、化合物全体に対し、式7−1で示されるユニットを20.1%有しており、前記式1で示すユニットの数nは約3.7、前記式4で示すユニットの数mは約15、式25で表わされる基の繰返し数は3であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約31500であった。
【0108】
製造例19[化合物19の作製]
滴下する混合物を、平均分子式22で示す化合物160質量部、メチルメタクリレート4質量部、スチレン5質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.3質量部に変更した以外は、製造例1と同様に、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物19を得た。
【0109】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物は、式8−1、式1−2、式1−3で示されるユニットを有していた。また、化合物19は、化合物全体に対し、式8−1で示されるユニットを15.0%有しており、前記式1で示すユニットの数nは約1.5、前記式4で示すユニットの数mは約9、式25で表わされる基の繰返し数は6であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約16900であった。
【化61】

【化62】

【0110】
製造例20[化合物20の作製]
滴下する混合物を、平均分子式21で示す化合物25質量部、メチルメタクリレート4質量部、スチレン4質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.3質量部に変更した以外は、製造例1と同様に、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物20を得た。
【0111】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物20は、式7−1、式1−2、式1−3で示されるユニットを有していた。また、化合物20は、化合物全体に対し、式7−1で示されるユニットを3.80%有しており、前記式1で示すユニットの数nは約0.3、前記式4で示すユニットの数mは約8、式25で表わされる基の繰返し数は3であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約3300であった。
【0112】
製造例21[化合物21の作製]
滴下する混合物を、平均分子式18で示す化合物50質量部、メチルメタクリレート2質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.3質量部に変更した以外は、製造例1と同様に、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物21を得た。
【0113】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物21は、式4−1、式1−3で示されるユニットを有していた。また、化合物21は、化合物全体に対し、式4−1で示されるユニットを18.2%有しており、前記式1で示すユニットの数nは約0.4、前記式4で示すユニットの数mは約2、式25で表わされる基の繰返し数は7であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約5200であった。
【0114】
製造例22[化合物22の作製]
滴下する混合物を、平均分子式18で示す化合物5質量部、メチルメタクリレート2質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.3質量部に変更した以外は、製造例1と同様に、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物22を得た。
【0115】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物22は、式4−1、式1−3で示されるユニットを有していた。また、化合物22は、化合物全体に対し、式4−1で示されるユニットを2.18%有しており、前記式1で示すユニットの数nは約2.2、前記式4で示すユニットの数mは約2、式25で表わされる基の繰返し数は7であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約400であった。
【0116】
製造例23[化合物23の作製]
滴下する混合物を、平均分子式23で示す化合物100質量部、メチルメタクリレート1質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.3質量部に変更した以外は、製造例1と同様に、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物23を得た。
【0117】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物23は、式9−1、式1−3で示されるユニットを有していた。また、化合物23は、化合物全体に対し、式9−1で示されるユニットを50.8%有しており、前記式1で示すユニットの数nは約1、前記式4で示すユニットの数mは約1、式25で表わされる基の繰返し数は5であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約10100であった。
【化63】

【化64】

【0118】
製造例24[化合物24の作製]
滴下する混合物を、平均分子式18で示す化合物100質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.3質量部に変更した以外は、製造例1と同様に、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物24を得た。
【0119】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物24は、式4−1で示されるユニットを有しており、前記式1で示すユニットの数nは約1、式25で表わされる基の繰返し数は7であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約7000であった。
【0120】
製造例25[化合物25の作製]
滴下する混合物を、平均分子式21で示す化合物100質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.3質量部に変更した以外は、製造例1と同様に、重合反応を行った。反応後、メタノールに投入することなく、150℃、10mmHgで減圧乾燥することにより、化合物25を得た。
【0121】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物25は、式7−1で示されるユニットを有しており、前記式1で示すユニットの数nは約1.2、式25で表わされる基の繰返し数は0であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約5000であった。
【0122】
製造例26[化合物26の作製]
滴下する混合物を、平均分子式24で示す化合物100質量部、メチルメタクリレートを100質量部、ブチルアクリレートを100質量部、ラジカル重合開始剤(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.3質量部に変更した以外は、製造例1と同様にして化合物を作製した。
【0123】
29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、出来上がった化合物26は、式10−1、式1−2、式10−4で示されるユニットを有していた。また、化合物26は、化合物全体に対し、式10−1で示されるユニットを2.67%有しており、前記式1で示すユニットの数nは約5、前記式4で示すユニットの数mは約180であった。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は約30000であった。
【化65】

【化66】

【化67】

【0124】
製造例27[複合導電性微粒子の作製]
シリカ粒子(平均粒子径15nm、体積抵抗率1.8×1012Ω・cm)7.0kgに、メチルハイドロジェンポリシロキサン140gを、エッジランナーを稼動させながら添加し、588N/cm(60kg/cm)の線荷重で30分間混合攪拌を行った。この時の攪拌速度は22rpmであった。
【0125】
その中に、カーボンブラック粒子(粒子径20nm、体積抵抗率1.0×10Ω・cm、pH6.0)7.0kgを、エッジランナーを稼動させながら10分間かけて添加し、588N/cm(60kg/cm)の線荷重で60分間混合攪拌を行った。このようにしてメチルハイドロジェンポリシロキサンで被覆されたシリカ粒子の表面にカーボンブラックを付着させた後、乾燥機を用いて80℃で60分間乾燥を行い、複合導電性微粒子を得た。この時の攪拌速度は22rpmであった。得られた複合導電性微粒子は、平均粒径が15nmであり、体積抵抗率は1.1×10Ω・cmであった。
【0126】
製造例28[表面処理酸化チタン粒子の作製]
針状ルチル型酸化チタン粒子(平均粒径15nm、縦:横=3:1、体積抵抗率2.3×1010Ω・cm)1Kgに、表面処理剤としてイソブチルトリメトキシシラン110g及び溶媒としてトルエン3Kgを配合してスラリーを調製した。
【0127】
このスラリーを、攪拌機で30分間混合した後、有効内容積の80%が平均粒子径0.8mmのガラスビーズで充填されたビスコミルに供給し、温度35±5℃で湿式解砕処理を行った。
【0128】
湿式解砕処理して得たスラリーを、ニーダーを用いて減圧蒸留(バス温度:110℃、製品温度:30〜60℃、減圧度:約100Torr)によりトルエンを除去し、120℃で2時間表面処理剤の焼付け処理を行った。焼付け処理した粒子を室温まで冷却した後、ピンミルを用いて粉砕して、表面処理酸化チタン粒子を得た。
【0129】
実施例1[ゴム弾性層を有するローラの作製]
直径6mm、長さ252.5mmのステンレス製棒に、カーボンブラックを4%含有させた熱硬化性接着剤を塗布し、乾燥したものを導電性基体として使用した。
ゴム弾性層用のコンパウンドとしては、50℃に調節した密閉型ミキサーにて下記材料を10分間混練し調製した。
エピクロルヒドリンゴム
(EO−EP−AGE三元共化合物、EO/EP/AGE=73mol%/23mol%/4mol%) 100質量部
炭酸カルシウム 60質量部
脂肪族ポリエステル系可塑剤 10質量部
化合物1 10質量部
ステアリン酸亜鉛 1質量部
2−メルカプトベンズイミダゾール 0.5質量部
酸化亜鉛 2質量部
四級アンモニウム塩 2質量部
カーボンブラック(平均粒径:100nm、体積抵抗率:0.1Ω・cm) 5質量部
これに、加硫剤として硫黄0.8質量部、加硫促進剤としてジベンゾチアジルスルフィド(DM)1質量部及びテトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)0.5質量部を添加した。その後、20℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練して、ゴム弾性層用コンパウンドを得た。
上記導電性基体とともに、ゴム弾性層用コンパウンドをクロスヘッド付き押出成型機にて押し出し、外径が約9mmのローラ形状になるように成型した。次いで、電気オーブンを用いて160℃で1時間加熱し、加硫及び接着剤の硬化を行った。ゴムの両端部を突っ切り、ゴム長さを228mmとした後、外径が8.5mmのローラ形状になるように表面の研磨加工を行って、ゴム弾性層を有するローラを得た。なお、このローラのクラウン量(中央部と、中央部から90mm離れた位置の外径の差)は120μmであった。
【0130】
[表面層用塗布溶液の調製]
カプロラクトン変性アクリルポリオール溶液にメチルイソブチルケトンを加え、固形分が14質量%となるように調整した。
この溶液714.3質量部(アクリルポリオール固形分100質量部)に対し下記成分を加え、混合溶液を調整した。
複合導電性微粒子(製造例27で作製) 45質量部
表面処理酸化チタン粒子(製造例28で作製) 20質量部
変性ジメチルシリコーンオイル(*1) 0.08質量部
ブロックイソシアネート混合物(*2) 80.14質量部
このとき、ブロックイソシアネート混合物は、イソシアネート量としては「NCO/OH=1.0」となる量であった。
(*1)変性ジメチルシリコーンオイル「SH28PA」(商品名、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)
(*2)ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とイソホロンジイソシアネート(IPDI)の各ブタノンオキシムブロック体の7:3混合物。
内容積450mLのガラス瓶に上記混合溶液200gを、メディアとしての平均粒径0.8mmのガラスビーズ200gと共に入れ、ペイントシェーカー分散機を用いて24時間分散した。
次いで、平均粒子径が10μmのアクリル粒子を10質量部添加した。その後1時間分散し、ガラスビーズを除去して表面層用塗布溶液を得た。
【0131】
[帯電ローラの作製]
作製した表面層用塗布溶液を用いて、上記のゴム弾性層を有するローラに1回ディッピング塗布した。常温で30分間以上風乾した後、熱風循環乾燥機にて80℃で1時間、更に160℃で1時間乾燥して、弾性層上に表面層を形成した帯電ローラ1を得た。
ここで、ディッピング塗布は以下の通りである。浸漬時間9秒、ディッピング塗布引き上げ速度は、初期速度20mm/s、最終速度2mm/s、その間は時間に対して直線的に速度を変化させて行った。
【0132】
[電子写真装置及びプロセスカートリッジの準備]
図6に示す構成を有する電子写真装置として、キヤノン株式会社製カラーレーザープリンタ(LBP5400)を記録メディアの出力スピード150mm/sec(A4縦出力)に改造して用いた。画像の解像度は600dpi、1次帯電の出力は直流電圧−1100Vである。
図7に示す構成を有するプロセスカートリッジとして、上記プリンター用のプロセスカートリッジを準備した(ブラック用)。
【0133】
[スジ状画像及び画像の濃度差の評価]
スジ状画像については、以下の通りに評価を実施した。
帯電ローラ1を、40℃95RH%環境下に1ヶ月間放置した。その後、準備したプロセスカートリッジから付属の帯電ローラを取り外し、放置後の帯電ローラ1をセットした。
そして、15℃/10RH%の環境(環境1)において耐久試験を行った。具体的には、印字濃度5%画像(感光体の回転方向と垂直方向に幅2ドット、間隔50ドットの横線を描くような画像)を連続複数枚印字する耐久試験を行い、初期の画像及び2万枚出力後の画像について、スジ状の画像を評価した。評価用画像としてはハーフトーン画像(感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドット、間隔2ドットの横線を描くような画像)を出力した。評価結果を表1に示す。ここで、評価の基準は以下の通りである。
ランク4:スジ状画像の発生は認められない。
ランク3:ごく軽微なスジ状画像が認められるが、ほとんど確認できないレベルである。
ランク2:一部にスジ状画像が確認できるが、実用上問題のない画質である。
ランク1:スジ状画像が目立ち、画質が低下している。
【0134】
画像の濃度差については、以下の通りに評価を実施した。
帯電ローラ1について、40℃95RH%環境下に1ヶ月間放置したもの(帯電ローラ1−A)と放置していないもの(帯電ローラ1−B)を準備した。その後、プロセスカートリッジから付属の帯電ローラを取り外し、帯電ローラ1―Aと1−Bをそれぞれセットした。
そして、帯電ローラ1−Aについては30℃/80RH%の環境(環境2)で、帯電ローラ1−Bについては環境1において、それぞれ耐久試験を行わずに評価用画像を出力し、画像の濃度の差を評価した。評価用画像としては、ハーフトーン画像を出力した。評価結果を表1に示す。ここで、評価の基準は以下の通りである。
ランク4:環境1、環境2で出力した画像を見比べた際、両者の画像濃度の差は認められない。
ランク3:わずかに濃度の差が認められるが、ほとんど確認できないレベルである。
ランク2:濃度の差が確認できるが、実用上問題はない。
ランク1:濃度の差が著しく目立っている。
【0135】
実施例1では、スジ状画像のランクは初期、2万枚後いずれも4、画像の濃度差のランクは4であり、いずれも良好な画像が得られた。
【0136】
実施例2〜6
実施例1において、ゴム弾性層に添加させる化合物の種類を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして帯電ローラ2〜6を作製した。作製した帯電ローラ2〜6について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0137】
実施例7
実施例1において、ゴム弾性層用の原料コンパウンドを下記の様に変更した以外は、実施例1と同様にして帯電ローラ7を作製した。作製した帯電ローラ7について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
エピクロルヒドリンゴム
(EO−EP−AGE三元共化合物、EO/EP/AGE=73mol%/23mol%/4mol%) 100質量部
炭酸カルシウム 60質量部
脂肪族ポリエステル系可塑剤 10質量部
化合物1 10質量部
ステアリン酸亜鉛 1質量部
2−メルカプトベンズイミダゾール 0.5質量部
酸化亜鉛 2質量部
カーボンブラック(平均粒径:100nm、体積抵抗率:0.1Ω・cm) 5質量部
【0138】
実施例8〜12
実施例7において、ゴム弾性層に添加させる化合物の種類を表1に示すように変更した以外は、実施例7と同様にして帯電ローラ8〜12を作製した。作製した帯電ローラ8〜12について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0139】
実施例13〜16
実施例1において、ゴム弾性層に添加させる化合物の種類を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして帯電ローラ13〜16を作製した。作製した帯電ローラ13〜16について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0140】
実施例17
直径6mm、長さ252.5mmのステンレス製棒に、カーボンブラックを4%含有させた熱硬化性接着剤を塗布し、乾燥したものを導電性基体として使用した。
ゴム弾性層用のコンパウンドとしては、50℃に調節した密閉型ミキサーにて下記材料を15分間混練し調製した。
アクリロニトリルブタジエンゴム 100質量部
化合物1 10質量部
カーボンブラック 48質量部
ステアリン酸亜鉛 1質量部
酸化亜鉛 5質量部
炭酸カルシウム 20質量部
これに、加硫剤として硫黄1.2質量部、及び下流促進剤としてテトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)4.5質量部を添加し、20℃に冷却した二本ロール機にて15分間混練して、ゴム弾性層用コンパウンドを得た。
【0141】
上記導電性基体とともに、ゴム弾性層用コンパウンドをクロスヘッド付き押出成型機にて押し出し、外径が約9mmのローラ形状になるように成型した。次いで、電気オーブンを用いて160℃で1時間加熱し、、加硫及び接着剤の硬化を行った。ゴムの両端部を突っ切り、ゴム長さを228mmとした後、外径が8.5mmのローラ形状になるように表面の研磨加工を行って、ゴム弾性層を有するローラを得た。なお、このローラのクラウン量(中央部と、中央部から90mm離れた位置の外径の差)は120μmであった。
【0142】
その後は、実施例1と同様にして帯電ローラ17を作製した。作製した帯電ローラ17について、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0143】
実施例18〜22
実施例17において、ゴム弾性層に添加させる化合物の種類を表1に示すように変更した以外は、実施例17と同様にして帯電ローラ18〜22を作製した。作製した帯電ローラ18〜22について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0144】
実施例23〜26
実施例7において、ゴム弾性層に添加させる化合物の種類を表1に示すように変更した以外は、実施例7と同様にして帯電ローラ23〜26を作製した。作製した帯電ローラ23〜26について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0145】
実施例27
実施例1において、ゴム弾性層に添加させる化合物の種類を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして帯電ローラ27を作製した。作製した帯電ローラ27について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0146】
実施例28
実施例7において、ゴム弾性層に添加させる化合物の種類を表1に示すように変更した以外は、実施例7と同様にして帯電ローラ28を作製した。作製した帯電ローラ28について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0147】
実施例29〜38
実施例17において、ゴム弾性層に添加させる化合物の種類を表1に示すように変更した以外は、実施例17と同様にして帯電ローラ29〜38を作製した。作製した帯電ローラ29〜38について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0148】
実施例39
実施例38において、ゴム弾性層に添加させる化合物の添加量を1.5質量部に変更した以外は、実施例38と同様にして帯電ローラ39を作製した。作製した帯電ローラ39について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0149】
実施例40〜48
実施例17において、ゴム弾性層に添加させる化合物の種類を表1に示すように変更した以外は、実施例17と同様にして帯電ローラ40〜48を作製した。作製した帯電ローラ40〜48について評価した。結果を表1に示す。
【0150】
実施例49
実施例3において、表面層用塗布溶液を以下のように変更した。まず、ポリビニルブチラールにエタノールを加え、固形分が20質量%となるように調整した。
次に、この溶液500質量部(ポリビニルブチラール固形分100質量部)に対して、下記成分を加え、混合溶液を調整した。
カーボンブラック「#52」(三菱化学社製) 50質量部
変性ジメチルシリコーンオイル*1 0.08質量部
(*1)変性ジメチルシリコーンオイル「SH28PA」(商品名、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)
内容積450mLのガラス瓶に上記混合溶液190.4gを、メディアとしての平均粒径0.8mmのガラスビーズ200gと共に入れ、ペイントシェーカー分散機を用いて24時間分散した。次いで、平均粒子径が10μmのアクリル粒子を10質量部添加した。その後1時間分散し、ガラスビーズを除去して表面層用塗布溶液を得た。
得られた表面層用塗布溶液を用いて、実施例3と同様の方法で帯電ローラ49を作製した。作製した帯電ローラ49について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0151】
実施例50
直径6mm、長さ252.5mmのステンレス製棒に、カーボンブラックを4%含有させた熱硬化性接着剤を塗布し、乾燥したものを導電性基体として使用した。
ゴム弾性層用のコンパウンドとしては、50℃に調節した密閉型ミキサーにて下記材料を15分間混練し調製した。
EPDM 100質量部
化合物3 10質量部
カーボンブラック 48質量部
ステアリン酸亜鉛 1質量部
酸化亜鉛 5質量部
炭酸カルシウム 20質量部
脂肪族ポリエステル系可塑剤 50質量部
これに、加硫剤として硫黄3.0質量部、及び下流促進剤としてテトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)4.5質量部を添加し、20℃に冷却した二本ロール機にて15分間混練して、ゴム弾性層用コンパウンドを得た。
【0152】
上記導電性基体とともに、ゴム弾性層用コンパウンドをクロスヘッド付き押出成型機にて押し出し、外径が約9mmのローラ形状になるように成型した。次いで、電気オーブンを用いて160℃で1時間加熱し、加硫及び接着剤の硬化を行った。ゴムの両端部を突っ切り、ゴム長さを228mmとした後、外径が8.5mmのローラ形状になるように表面の研磨加工を行って、ゴム弾性層を有するローラを得た。なお、このローラのクラウン量(中央部と、中央部から90mm離れた位置の外径の差)は120μmであった。
【0153】
その後は、実施例1と同様にして帯電ローラ50を作製した。作製した帯電ローラ50について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0154】
比較例1
化合物3を添加しないこと以外は、実施例49と同様にして帯電ローラ51を作製した。作製した帯電ローラ51について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。比較例1では、スジ状画像のランクは初期では4であったが、2万枚後には1であった。また、画像の濃度差のランクは1であり、画質の低下が認められた。
【0155】
比較例2
実施例1において、ゴム弾性層に添加させる化合物の種類を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして帯電ローラ52を作製した。作製した帯電ローラ52について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。比較例2では、スジ状画像のランクは初期では4であったが、2万枚後には1であった。また、画像の濃度差のランクは1であり、画質の低下が認められた。
【0156】
【表1】

【0157】
上記表1に示すように、本発明の帯電ローラは、スジ状画像、画像濃度差の発生が抑制され、電子写真装置、プロセスカートリッジに組み込んで好ましいものである。
【符号の説明】
【0158】
1 導電性基体
2 弾性層
3 表面層
4 電子写真感光体
5 帯電部材(帯電ローラ)
6 現像ローラ
7 印刷メディア
8 転写ローラ
9 定着部
10 クリーニングブレード
11 露光
12 帯電前露光装置
13 弾性規制ブレード
14 トナー供給ローラ
18、19、20、34 電源
30 トナーシール
32 円柱形金属
33 軸受け
35 電流計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基体と、導電性のゴム弾性層と、表面層とを有する帯電部材において、
該ゴム弾性層が、ゴムおよび下記式1で示すユニットを有する化合物を含有することを特徴とする帯電部材。
【化1】

(R1は水素原子又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基である。Gは下記式2で示す構造である。)
【化2】

(式2中、Aは炭素原子数2以上10以下のアルキレン基、メチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニレン基及び下記式6から式8で表わされる2価の基からなる群から選ばれる基を示す。aは0または1である。E1、E2及びE3は各々独立に下記式3で表わされる基を示す。)
【化3】

【化4】

【化5】

(式6から式8中、R8、R9及びR11は各々独立に、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基またはメチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニレン基である。式8中、R10は炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数1以上10以下のアルコキシル基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、アリル基またはハロゲン原子である。dは0以上4以下の整数である。eは0または1である。)
【化6】

(式3中、kは0または1である。hは0以上3以下の整数である。Z1は炭素原子数2以上10以下のアルキレン基、メチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニレン基および下記式9から式11で表わされる2価の基からなる群から選ばれる基を示す。R3、R4、R6及びR7は各々独立に炭素原子数1以上5以下のアルキル基またはメチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基を示す。
R5は炭素原子数1以上10以下のアルコキシ基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェノキシ基、下記式29または下記式30で示される基である。
Xは、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、メチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基、アリル基、ビニル基、下記式5で表わされる基及び下記式25で表わされる基からなる群から選ばれる基である。)
【化7】

【化8】

【化9】

(式9から式11中、R12、R13およびR14は各々独立に、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基またはメチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニレン基である。pは0以上3以下の整数である。)
【化10】

(式5中、R15は炭素原子数1以上6以下のアルキレン基である。)
【化11】

(式25中、rは0または1であり、sは0以上3以下の整数である。
Z2は炭素原子数2以上10以下のアルキレン基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニレン基および上記式9、式10、式11で表わされる2価の基からなる群から選ばれる基を示す。
R19、R20、R22及びR23は各々独立に炭素原子数1以上5以下のアルキル基またはメチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基を示す。R21は炭素原子数1以上10以下のアルコキシ基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェノキシ基、下記式29または下記式30で示される基である。
X2は、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基、アリル基、ビニル基、上記式5および上記式25で表わされる基からなる群から選ばれる基である。
上記式3においてXが式25である場合、式25で表わされる基の繰り返しの数は1以上10以下であり、かつ、最末端を構成している式25中のX2は、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基、アリル基、ビニル基または上記式5で示す基である。)
【化12】

(式29中、R24は、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基である。)
【化13】

(式30中、R25、R26およびR27は、各々独立に炭素原子数1以上5以下のアルキル基またはメチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基を示す。)
【請求項2】
前記化合物が、前記式3中のhが0であり、且つ、Xが前記式25で表わされる基であって、式25で表わされる基の繰り返しの数が1以上3以下であり、式25中のrが0である請求項1に記載の帯電部材。
【請求項3】
前記化合物が更に下記式4で示すユニットを有する請求項1又は2に記載の帯電部材。
【化14】

(式4中、R2は、水素原子または炭素原子数1以上4以下のアルキル基である。Jは、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、メチル基およびエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基、下記式26、下記式27、または下記式28で示される基である。)
【化15】

【化16】

【化17】

(式26〜式27中、R16及びR17は各々独立に炭素原子数1以上6以下のアルキル基、メチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基、及び前記式28で表わされる基からなる群から選ばれる基を示す。式28中、R18は炭素原子数1以上4以下のアルキル基、メチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも一方で置換されていてもよいフェニル基である。tは1以上3以下の整数である。)
【請求項4】
前記ゴム弾性層が、エピクロルヒドリンゴムを含有する請求項1〜3の何れか一項に記載の帯電部材。
【請求項5】
前記ゴム弾性層が4級アンモニウム塩を含有する請求項1〜4の何れか一項に記載の帯電部材。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の帯電部材が感光体と一体化され、電子写真装置の本体に着脱自在に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
請求項6に記載のプロセスカートリッジ、露光装置及び現像装置を有することを特徴とする電子写真装置。
【請求項8】
帯電部材に直流電圧のみを印加して、被帯電体を帯電することを特徴とする請求項7に記載の電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−103369(P2012−103369A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250184(P2010−250184)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】