説明

帯電部材及び画像形成装置

【課題】 被帯電体とのニップ部を広く取るために低硬度で、かつ画像不良(C‐setスジ)を発生させない程度の復元力を有する単層の導電性発泡体で構成される帯電部材及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 シャフトを中心に円筒状に接着された単層の導電性発泡体で構成される帯電部材であって、該発泡体が表面近傍の平均気泡径より発泡体内部の平均気泡径が小さく、かつ該発泡体内部の平均気泡径よりシャフトとの接着面付近の平均気泡径が大きい帯電部材であり、
該帯電部材の外径をFmm、シャフトの外径をSmm、表面から内部1mmの間の平均気泡径Cs、内部の(F−S)/6mm〜(F−S)/4mmの間の平均気泡径Cc、内部の(F−S−2)/2mm〜(F−S)/2mmの間の平均気泡径をCfとすると、Cs、Cc、Cfの関係が1<Cs/Cc<10かつ1<Cf/Cc<10である帯電部材及び該帯電部材を有する画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真装置等や静電記録装置等の画像形成装置に用いられる帯電部材に関し、詳しくは、接触帯電方式における帯電部材及び該帯電部材を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
注入帯電方式は、帯電部材に被帯電体を当接させて、帯電部材から被帯電体へ電荷が直接注入されることで被帯電体表面を帯電する機構である。特許文献1及び特許文献2等で提案されている。中抵抗の帯電部材が被帯電体表面の接触して、放電現象を介さずに、つまり放電機構を基本的に用いないで、被帯電体表面に直接電荷注入を行うものである。よって、帯電部材への印加電圧が放電閾値以下であって、被帯電体を印加電圧相当の電位に帯電することができる。この注入帯電機構は、イオンの発生を伴わないため放電生成による弊害は生じない。より具体的には、帯電ローラ、帯電ブラシ及び帯電磁気ブラシ等の接触帯電部材に電圧を印加して、被帯電体(像担持体)表面にあるトラップ順位又は電荷注入層の導電促進粒子等の電荷保持部材に電荷を注入して直接注入帯電を行う機構である。放電現象が支配的でないため、帯電に必要とされる電圧は所望する像担持体表面のみであり、オゾンの発生も無い。帯電部材として、スポンジローラのような多孔状のローラに、接触帯電性を向上させるための導電促進粒子をコートしたものを用いる場合には、接触帯電部材と被帯電体間の接触を密にすることが可能であり、帯電性を高める上で有効である。
【0003】
しかしながら、帯電ローラを用いた簡易な構成では被帯電体を充分に帯電させることは簡単ではなく、帯電不良による帯電ムラ等が生じる。帯電ムラは画像を出力したときに、画像ムラとして現れる。このような帯電ムラの要因は、帯電部材として発泡体を用いた場合、一般に発泡体の気泡が発泡剤分解に伴うガス発生により形成されるためセルが大きくなり、導電促進粒子をローラ表面に有効に保持できていないことによるものと思われる。より微細で均一な大きさのセルを表面に有する導電性発泡体を帯電部材として用いると、帯電ムラによる画像ムラが低減する。これは、微細なセルによりスポンジローラの表面上に導電促進粒子が保持され、均一に被帯電体を覆うことにより、より均一に被帯電体表面を注入帯電できるからである。また、導電性発泡体を用いた場合、帯電部材と被帯電体との間の接触面積(ニップ部)を稼ぐことができ、このことにより被帯電体への帯電効率や均一帯電性が増すことが知られている。
【0004】
しかし、ニップ部を広く取ると帯電部材と被帯電体の長期接触により導電性発泡体の圧縮永久歪が起こり、帯電部材に圧縮永久歪による変形スジが発生する。この変形スジが画像を出力したときに、画像不良のスジ(C‐setスジ)として現れる。C‐setスジを防止するためには、導電性発泡体の硬度を硬くして圧縮永久歪に対する復元力を上げなければならない。硬度を硬くした導電性発泡体を帯電ローラとして用いた場合、当接した被帯電体と導電性弾性体とのニップ部を十分に確保するためには大きな加圧力が必要である。このような場合、被帯電体表面の電子写真感光体が導電性弾性体との摩擦により磨耗劣化してしまう。電子写真感光体の磨耗劣化は、画質の低下やピンホールリークの要因である。従って、導電性帯電体の硬度とC‐setスジの防止はトレードオフの関係にあり、微妙なバランスでこの二つを満たさなければならない。
【0005】
この二つを満たすために特許文献3では、二層以上の弾性体から構成される導電性弾性体で、内部弾性体が発泡体であり、しかも、発泡体の表層平均気泡径が深層平均気泡径に比べて10%以上小さくなっている導電性弾性体を提案している。内部弾性体の表層平均気泡径が深層平均気泡径に比べて10%以上小さくなるにより、そうでない場合に比べてC‐setスジを発生しない程度の復元力を有する導電性発泡体を得られる。しかし、この提案では、被覆弾性層に帯電促進粒子を保持させるための発泡層を形成することが困難であり、表層に微細なセル層を形成させ、かつ、導電性発泡体内部のセルが深層部に比べて小さい導電性発泡体を提供する必要がある。
【特許文献1】特開平6−3921号公報
【特許文献2】特開平11−65231号公報
【特許文献3】特開2001−357725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、被帯電体とのニップ部を広く取るために低硬度で、かつ、画像不良(C‐setスジ)を発生させない程度の復元力を有する単層の導電性発泡体で構成される帯電部材及び該帯電部材を有する画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従って、シャフトを中心に円筒状に接着された単層の導電性発泡体で構成される帯電部材であり、該導電性発泡体が表面近傍の平均気泡径より導電性発泡体内部の平均気泡径が小さく、かつ、該導電性発泡体内部の平均気泡径よりシャフトとの接着面付近の平均気泡径が大きい帯電部材であって、
該帯電部材の外径をFmm、シャフトの外径をSmm、表面から内部1mmの間の平均気泡径Cs、内部の(F−S)/6mm〜(F−S)/4mmの間の平均気泡径Cc、内部の(F−S−2)/2mm〜(F−S)/2mmの間の平均気泡径をCfとすると、Cs、Cc、Cfの関係が、1<Cs/Cc<10かつ1<Cf/Cc<10であることを特徴とする帯電部材が提供される。
【0008】
また、本発明に従って、被帯電体である電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電するための上記帯電部材を有する帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段及び定着手段を有する画像写真装置であって、該帯電部材が帯電ローラであることを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
表面からゴム内部に行くに従って気泡径が小さくなるように形成し、かつ、ゴム内部からシャフトとの接着面付近に行くに従って気泡径が大きくなるように形成した該導電性発泡体で構成されることにより、画像不良を発生しない、圧縮永久歪に強い帯電部材及び該帯電部材を有する画像形成装置を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明にかかる導電性発泡体の気泡径は、該導電性発泡体が表面近傍の平均気泡径より導電性発泡体内部の平均気泡径が小さく、かつ、該導電性発泡体内部の平均気泡径よりシャフトとの接着面付近の平均気泡径が大きいことを必須とし、図1に示されるように導電性発泡体が外径Fmm、シャフトの外径がSmmである帯電部材として用いられた時、図2に示されるように帯電部材の表面から内部1mmの間の平均気泡径Cs、内部の(F−S)/6mmから(F−S)/4mmの間の平均気泡径Cc、内部の(F−S−2)/2mmから(F−S)/2mmの間の平均気泡径をCfとすると、Cs、Cc、Cfの関係が、1<Cs/Cc<10かつ1<Cf/Cc<10であることを特徴とする。更に、1<Cs/Cc<2かつ1<Cf/Cc<2であると尚一層好ましい。
【0011】
この理由は、帯電部材は被帯電体に対して、加圧力をかけて当接させているため、応力がかかる部分、すなわち、シャフトとの接触面と被帯電体との接触部分の気泡径は内部に比べて大きいことにより、導電性発泡体にかかる応力を緩和させて、圧縮永久歪に対する復元力を持たせる効果があるからである。また、応力がかかる部分の気泡径が大き過ぎても、圧縮永久歪に対する復元力を持たせる効果が劣ってしまう。よって、上記に示すCs、Cc、Cfの関係を満たす範囲が好適である。
【0012】
本発明にかかる導電性発泡体の処方において、原料ゴムとしては、天然ゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム及びエピクロルヒドリンゴム等が挙げられるが、主ポリマー鎖に不飽和結合を有さず耐侯性、耐熱性及び耐オゾン性に優れるエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)が好ましい。すなわち、本発明では、導電性エチレンプロピレンゴム発泡体から帯電部材を製造するのが好適である。
【0013】
エチレンプロピレンジエンゴムとしては、特にジエン量が5〜15質量%、かつムーニー粘度ML1+4(100℃)が50〜100のエチレンプロピレンジエンゴムが好適に使用される。ジエン量が5質量%未満のエチレンプロピレンゴムでは、微細な発泡ゴムを形成するための加硫速度が上がり難く、セルが粗大になり、また、ジエン量が15質量%を超えると、オゾン等に対する耐侯性が弱くなり易い。ムーニー粘度が40未満では、これを用いた未加硫ゴム組成物の粘度が小さくなり過ぎ、発泡が過度に起こるため、セルが粗大になり易く、また、ムーニー粘度が100を超えると、未加硫ゴム組成物の粘度が大きくなり、発泡が不十分となるため、発泡体密度が大きくなり易い。発泡ゴムの硬度に関しては、アスカーCで15°〜30°であることが好ましい。この範囲内とすることにより、柔らか過ぎることによる帯電ローラの変形や、帯電性能の悪化を抑えることができ、また柔軟性がなくなり、導電粒子の保持量が少なくなることによる帯電性能の悪化も抑えることができる。発泡ゴムの密度に関しては、0.1〜0.7g/cmであることが好ましい。更に、0.2〜0.5g/cmであると尚一層好ましい。この範囲内とすることで、帯電ローラとして必要なニップ部分を十分に取ることができ、また、帯電ローラとして十分な強度を有することとなるため、変形が起こり難く、帯電性能の悪化を抑えることができる。
【0014】
発泡剤としては、例えば、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、ベンゼンスルホニルヒドラジド及びトルエンスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド;アゾジカルボンアミドやアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンやN,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド等のニトロソ化合物;等の有機発泡剤、重炭酸ナトリウムや重炭酸アンモニウム等の無機発泡剤が挙げられる。これらの中でもアゾジカルボンアミドを用いるのが好ましい。また、場合によっては、発泡助剤として、例えば、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、ラウリン酸、尿素とその誘導体等を用いることも可能である。
【0015】
本発明にかかる導電性発泡体は、エチレンプロピレンジエンゴムとアゾジカルボンアミドを用いたものが好ましく、他の成分は適宜選定しても構わないが、好ましくは上記原料ゴム100質量部に対して、(A)加硫剤0.1〜20質量部、(B)プロセスオイル10〜100質量部、(C)導電剤10〜80質量部を添加して加硫、発泡することにより得ることができる。なお、原料ゴムとしてエチレンプロピレンゴム以外のものを用いた場合も、同様に原料ゴム100質量部に対して、(A)〜(C)成分を添加することが好ましく、以下に示すものと同様の成分を添加することができる。
【0016】
(A)成分の加硫剤としては、種々ものを用いることができるが、エチレンプロピレンゴム組成物の発泡及び加硫の制御を容易に行うことができる点から、硫黄系加硫剤が好ましい。ここで、硫黄系加硫剤とは、硫黄と加硫促進剤との組み合わせ、あるいは含硫黄有機化合物をいう。加硫促進剤としては、チアゾール類、スルフェンアミド類、チオウレア類、チウラム類、ジチオカルバミン酸塩類、グアニジン類、アルデヒドアミン類及びアルデヒドアンモニア類が挙げられ、これらの一種を単独で又は二種以上を混合して用いることができる。含硫黄有機化合物としては、例えば、モルホリンジスルフィド、テトラアルキルチウラムジスルフィド及びジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等が挙げられる。加硫剤の添加量は、エチレンプロピレンゴム100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましい。
【0017】
(B)成分のプロセスオイルとしては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等を使用することができる。この中で、電子写真感光体等の他の部材を汚染することがない点からパラフィン系プロセスオイルが好ましい。プロセスオイルの添加量は、エチレンプロピレンゴム100質量部に対して10〜100質量部が好ましく、40〜80質量部が特に好ましい。プロセスオイルの添加量を上記範囲とすることで、未発泡ゴム組成物の粘度が大きくなることによる加工性の悪化や、未発泡ゴム組成物の粘度が小さくなり過ぎることで生じる過度の発泡によるセルの粗大化や、加工性の悪化を抑えることができる。また、発泡が不十分となることによる発泡体の密度の増大を抑えることができる。
【0018】
(C)成分の導電材としては、ケッチェンブラックやアセチレンブラック等の導電性カーボンブラック;SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT及びMT等のゴム用カーボンブラック;酸化カーボンブラック等のインク用カーボンブラック、熱分解カーボンブラック、グラファイト;酸化スズ、酸化チタン及び酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;ニッケルや銅等の金属;カーボンウィスカー、黒鉛ウィスカー、炭化チタンウィスカー、導電性チタン酸カリウムウィスカー、導電性チタン酸バリウムウィスカー、導電性酸化チタンウィスカー及び導電性酸化亜鉛ウィスカー等の導電性ウィスカー;等が挙げられる。導電材の添加量は、エチレンプロピレンゴム100質量部に対して10〜80質量部が好ましい。上記導電材の添加により、導電性発泡ゴムから構成されるローラ形状の帯電部材の体積抵抗を10〜1010Ω・cmに調整することができる。本発明の帯電部材において、体積抵抗は10〜10Ω・cmの範囲にあることが、良好な画像を得る点から特に好ましい。
【0019】
本発明にかかる発泡ゴムには、上記の添加剤以外に、充填材、亜鉛華、ステアリン酸等の加硫促進剤、スコーチ防止剤、粘着付与剤、滑剤、その他ゴム用添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜添加することができる。充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、珪酸マグネシウム及びクレー等が挙げられる。この中で、発泡セルの安定化の点から、炭酸カルシウムが好ましい。
【0020】
上記ゴム組成物の練り工程としては、通常のバンバリーミキサーあるいはニーダー等の混練り機内で上述の原料ゴム、導電剤、プロセスオイル、その他添加剤等を投入して混練りし、次工程としてロール練り機等により、発泡剤、発泡助剤、加硫促進剤、加硫剤等を投入して混練りし、未加硫ゴム組成物をシーティングする方法を採用し得る。
【0021】
押出成形の方法としては、チューブ状に押し出した後、そのまま熱風又はマイクロ波、もしくは、加硫缶で発泡加硫し、シャフトを挿入する方法、あるいは、シャフトに対して直角方向に未加硫ゴムを押し出してロール形状にし、これを加硫缶あるいはプレス機で発泡加硫する方法等が採用できる。ここで、無圧力での熱風あるいはマイクロ波による発泡加硫はチューブが割れ易く気泡も粗大になり易い。このため、蒸気圧力を併用した加硫缶を使用する。これは圧力をかけた方が架橋前に分解ガス同士が連結して気泡径が大きくなり難く、10〜100μmの微細な気泡径を有する発泡体が得られ易いからである。また、加硫缶の昇温条件を第一段階に110℃〜130℃で5〜15分間加硫を行い、第二段階に160℃以上の温度で30〜40分間加硫を行う。このことにより、本発明の請求範囲に記載した特徴を有する導電性発泡体が得られる。
【0022】
押出成形後、得られたゴムチューブを直径Fmmのシャフトに圧入接着し、表面スキン層を研磨し、形状を整え、ローラ表面にケバのない均一な空孔部を持った導電性発泡体帯電ローラを得た。導電性発泡体の研磨方法としては、一般に、砥石又は被削材を、該被削材の軸方向に動かして(縦送りして)、研磨するトラバース方式と、砥石及び被削材のいずれも縦送りせずに研磨するプランジ方式が知られており、それらどちらの方法を取ってもよい。
【0023】
次に、本発明の帯電部材にかかる帯電ローラを有する画像形成装置を図3により説明する。
【0024】
帯電ローラ32は、被帯電体としての電子写真感光体31に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設してある。nは電子写真感光体31と帯電ローラ32のニップ部である帯電ニップ部である。この帯電ニップ部幅は3mmである。この帯電ローラ32を帯電ニップ部nにおいて帯電ローラ表面と電子写真感光体表面と互いに逆方向に等速で移動するよう凡そ80rpmで矢印方向に回転駆動させた。
【0025】
また、帯電ローラ32のシャフト32aには帯電バイアス印加電源S1から−620Vの直流電圧を帯電バイアスとして印加するようにした。本例では電子写真感光体31の表面は、帯電ローラ32に対する印加電圧とほぼ等しい電位(−600V)に帯電処理される。
【0026】
電子写真感光体31の基本構成は、外径30mmのアルミニウムシリンダー表面に、電荷発生層、電荷輸送層及び電荷注入層をこの順で有する。電荷発生層は、ジスアゾ系電荷発生顔料をポリビニルブチラール樹脂に2:1の割合(質量比)で分散させた膜厚が1μmの層である。電荷輸送層は、ヒドラゾン系電荷輸送化合物をポリカーボネート樹脂に1:1の割合で分散させた膜厚が20μmの層である。電荷注入層は、帯電ロールからの電荷を電荷輸送層に注入させ易くさせる層であり、導電フィラーとしてSnO粉体をホスファゼン樹脂に7:10の割合で分散させた膜厚が10μmの層である。電子写真感光体31は矢印方向に50mm/secの周速で回転する。
【0027】
露光器33は、レーザーダイオード・ポリゴンミラー等を含むレーザービームスキャナである。このレーザービームスキャナは、目的の画像情報の時系列電気ディジタル画素信号に対応して強度変調されたレーザー光を出力し、該レーザ光で上記回転電子写真感光体31の一様帯電面に露光光Lを走査露光する。この露光光Lにより回転電子写真感光体31の面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0028】
電子写真感光体31面の静電潜像は、現像装置34によりトナー画像として現像される。該現像装置は磁性一成分絶縁トナー(ネガトナー)を用いた反転現像装置である。34aはマグネットロール34bを内包させた、現像剤担持搬送部材として非磁性回転現像スリーブであり、この回転現像スリーブ34aに規制ブレード34cで現像剤34dが薄層にコートされる。現像剤34dのトナーは、規制ブレード34cで回転現像スリーブ34aに対する層厚が規制され、また電荷が付与される。回転現像スリーブ34aにコートされた現像剤はスリーブ34aの回転により、電子写真感光体31とスリーブ34aの対向部である現像部(現像領域部)aに搬送される。また、スリーブ34aには現像バイアス印加電源S2により現像バイアス電圧が印加される。現像バイアス電圧は、−500VのDC電圧と、周波数1800Hz、ピーク間電圧1600Vの矩形のAC電圧を重畳したものを用いた。これにより、電子写真感光体31の静電潜像がトナーで現像される。
【0029】
現像剤34dはトナーtと導電性粒子mの混合物であり、トナーtは結着樹脂、磁性体粒子、電荷制御剤を混合し、混練、粉砕、分級の各工程を経て作製し、これに、導電性粒子mや流動化剤を外添剤として添加して作製されたものである。トナーtの重量平均粒径(D4)は7μmであった。導電性粒子mとしては、比抵抗は10Ω・cm、二次凝集体を含めた平均粒径は3μmの導電性酸化亜鉛粒子を用いた。また、トナーt100質量部に対して導電性粒子mを2質量部である。
【0030】
導電性粒子mの抵抗は、粒子を介した電荷の授受を行うため比抵抗としては10−1Ω・cm〜1012Ω・cmが好ましい。粒子の抵抗測定は、錠剤法により測定し正規化して求めた。底面積2.26cmの円筒内に凡そ0.5gの粉体試料を入れ、上下電極に15kgの加圧を行うと同時に100Vの電圧を印加し、抵抗値を計測その後正規化して比抵抗を算出する。また、粒径は良好な帯電均一性を得るために10μm以下が好ましい。粒径の下限値は、粒子が安定して得られるものとして10nmが限界である。また、粒径の制御の点で1.0μmが好適である。本発明において、粒子が凝集体として構成されている場合の粒径は、その凝集体としての平均粒径として定義した。粒径の測定には、光学あるいは電子顕微鏡による観察から、100個以上抽出し、水平方向の最大弦長をもって体積粒度分布を算出し、その50%平均粒径をもって平均粒径とする。
【0031】
35は転写手段としての中抵抗の転写ローラであり、電子写真感光体31に所定に圧接させて転写ニップ部bを形成させてある。この転写ニップ部bに不図示の給紙部から所定のタイミングで記録媒体としての転写紙Pが給紙され、かつ転写ローラ35に転写バイアス印加電源S3から所定の転写バイアス電圧が印加されることで、電子写真感光体31側のトナー像が転写ニップ部bに給紙された転写紙Pの面に順次に転写されていく。ローラ抵抗値は5×10Ωのものを用い、+2000VのDC電圧を印加して転写を行った。即ち、転写ニップ部bに導入された転写紙Pはこの転写ニップ部bを挟持搬送されて、その表面側に回転電子写真感光体31の表面に形成担持されているトナー画像が順次に静電気力と押圧力にて転写されていく。
【0032】
転写ニップ部bに給紙されて電子写真感光体31側のトナー像の転写を受けた転写紙Pは、回転電子写真感光体31の面から分離されて熱定着方式等の定着装置36に導入され、トナー像の定着を受けて画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ排出される。
【0033】
電子写真感光体31上のトナー画像は、転写ニップ部bにおいて転写バイアスの影響で転写紙P側に引かれて積極的に転移するが、電子写真感光体31上の導電性粒子mは導電性であることで転写紙P側には積極的には転移せず、電子写真感光体31上に実質的に付着保持されて残留する。
【0034】
転写後の電子写真感光体31面に残存の転写残トナー及び上記の導電性粒子mは、電子写真感光体31と帯電ローラ32の帯電ニップ部nに電子写真感光体31の回転でそのまま持ち運ばれて帯電ローラ32に付着・混入する。
【0035】
従って、電子写真感光体31と帯電ローラ32とのニップ部nにこの導電性粒子mが存在した状態で電子写真感光体31の接触帯電が行なわれる。なお、印字初期においては、帯電ローラ32表面に帯電促進粒子が供給されず帯電が行えないので帯電ローラ表面には予め導電粒子を塗布しておく。
【0036】
また、帯電ローラに移行したトナーは、帯電ローラから徐々に吐き出され、現像器7に回収され、再び現像に用いられる。
【実施例】
【0037】
本発明の実施例により、更に詳しく説明していく。ただし、本発明はこれら実施例によってなんら限定されるものではない。尚、実施例と比較例で得られた帯電ローラの物性値は、下記に示す物性試験により得られたものである。
【0038】
表1に示めす各実施例ならびに各比較例の材料を加圧ニーダーならびにオープンロールを用いて混練して、押出し成形によってチューブ状に成形し、加硫缶による一次加硫(120℃で0.12MPaの条件で10分間加硫後、160℃で0.52MPaの条件で30分間加硫した)とその後更に、160℃で2時間の熱風による二次加硫を行った。
【0039】
このようにして得られたチューブを、外径6mm(S)、長さ250mmのシャフトを圧入して、表面の研磨を行い外径18mm(F)の帯電ローラを製造した。
【0040】
<体積抵抗値>
導電性発泡体ローラの電気抵抗は、図4に示すようにアルミニウムドラム43と帯電ローラ42を接触させ、帯電ローラ42の軸41の両端部に各500g加重をかけ、回転させながら100Vの電圧をかけて流れる電流を測定し、帯電ローラの電気抵抗(Ω)を求め、体積抵抗値(Ω・cm)に換算した。
【0041】
<硬度>
アスカーC硬度計により、500g加重における帯電ローラの硬度を測定した。
【0042】
<平均気泡径>
平均気泡径は、ビデオマイクロ(キーエンス社製)により、任意20個の気泡の直径を倍率200倍で測定し、平均値を求めた。また、Cs、Cc、Cfの値は、本実施例において特に断りのない限り、帯電部材の外径F=18mm、シャフトの外径S=6mmであるため、Csは表面〜内部1mmの間、Ccは表面側から内部2mm〜3mmの間、Cfは表面側から内部5mm〜6mmの間である。
【0043】
画像評価は、図3に示される画像形成装置を組み立て、これに実施例1〜4及び比較例1〜4に従い、8本の帯電ローラを適用して、形成されたトナー画像を評価した。
【0044】
トナー画像は、過酷H/H環境(温度40℃/湿度80%RH)に二週間感光ドラムに当接(当接加重500g)し放置した帯電ローラを、標準的な室内(温度23±2℃/湿度50±5%RH)の環境下に30分間開放放置して、その後、ハーフトーン画像に見られる横スジ(C‐setスジ)の発生の有無で評価した。C‐setスジは、初期画像から見られる不良画像であるため、初期画像を評価した。◎レベルのトナー画像にはC‐setスジが見られず、高画質なトナー画像が得られる。〇レベルは◎レベルには劣るが、C‐setスジがほとんど観察されないトナー画像が得られる。×レベルのトナー画像はC‐setスジが観察される。
【0045】
【表1】

表1における(1)〜(6)の材料は以下の通りである。
(1)商品名:EPT8075E(三井化学製)
(2)商品名:EPT4095(三井化学製)
(3)商品名:EPT4045(三井化学製)
(4)商品名:ビニホールAC#1L‐K3(永和化成工業製)
(5)商品名:ビニホールAC#3(永和化成工業製)
(6)商品名:ビニホールAC#3M(永和化成工業製)
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の帯電部材を示す概略図である。
【図2】本発明の帯電部材を示す断面図である。
【図3】本発明の帯電部材を有する画像形成装置を示す概略構成図である。
【図4】実施例で帯電部材の体積抵抗を測定する概略を説明する図である。
【符号の説明】
【0047】
1 帯電ローラの表面
2 シャフト
3 気泡
31 電子写真感光体
32 帯電ローラ
33 露光器
34 現像器
35 転写ローラ
36 定着器
41 軸
42 帯電ローラ
43 アルミニウムローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトを中心に円筒状に接着された単層の導電性発泡体で構成される帯電部材であり、該導電性発泡体が表面近傍の平均気泡径より導電性発泡体内部の平均気泡径が小さく、かつ、該導電性発泡体内部の平均気泡径よりシャフトとの接着面付近の平均気泡径が大きい帯電部材であって、
該帯電部材の外径をFmm、シャフトの外径をSmm、表面から内部1mmの間の平均気泡径Cs、内部の(F−S)/6mm〜(F−S)/4mmの間の平均気泡径Cc、内部の(F−S−2)/2mm〜(F−S)/2mmの間の平均気泡径をCfとすると、Cs、Cc、Cfの関係が、1<Cs/Cc<10かつ1<Cf/Cc<10であることを特徴とする帯電部材。
【請求項2】
前記導電性発泡体の硬度がアスカーCで15°〜30°である請求項1に記載の帯電部材。
【請求項3】
前記導電性発泡体の比重が0.1〜0.7g/cmである請求項1又は2に記載の帯電部材。
【請求項4】
前記導電性発泡体の体積抵抗値が10〜10Ω・cmである請求項1〜3のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項5】
被帯電体である電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電するための請求項1〜4のいずれかに記載の帯電部材を有する帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段及び定着手段を有する画像写真装置であって、該帯電部材が帯電ローラであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−154441(P2006−154441A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−346334(P2004−346334)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】