説明

帳票圧着装置

【課題】剥離自在な接着剤が塗布され折り加工された帳票を圧着する帳票圧着装置に関し、圧着時のモータ過電流による過電流遮断器の遮断動作を回避させる。
【解決手段】圧着ローラ側に帳票を送り出すための第1モータM1を駆動する第1駆動部34と、累積型の過電流遮断器に接続され、圧着ローラを予め設定された速度で一定回転させる第2モータM2を駆動する第2駆動部36とを備え、第2モータM2のモータ電流を電流検出演算手段37が検出して所定時間単位で使用された累積電流値又は当該累積電流の所定時間当たりの平均値を演算し、判定手段44が当該演算値を所定時間毎に取得して当該演算値が予め設定された基準値を超えているか否かを判別し、判別の結果に基づいて第1駆動制御手段45が第1駆動部34に第1モータM1の回転を制御すべく制御信号を出力する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離自在な接着剤が塗布されて折り加工された帳票を圧着ローラにより圧着する帳票圧着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、剥離可能に折り畳まれて接着された帳票としてハガキなどが大量に作製されており、最終段階での接着工程で折り畳まれた帳票を圧着ローラで圧着する圧着装置が、専門の請負印刷業者に設置される他に、当該ハガキなどの帳票を作製する企業等に設置される場合も多い。そのため、圧着装置の設置に際して設置先の電源事情を考慮して過電流による装置停止を回避する必要がある。
【0003】
圧着装置を用いて折り畳みメールフォームを作成する装置が以下の特許文献で知られている。特許文献1には、供給される第1の連続帳票と第2の連続帳票とを丁合部で丁合し、断裁部にてハガキ大に断裁して圧着部で圧着するメールフォーム作成装置が示されている。このメールフォーム作成装置の断裁部は、丁合されたメールフォームの分量が搬送されてきたときに断裁を行うものであるが、丁合部の処理速度と断裁部の処理速度が異なることを考慮して、丁合部より搬送されてくるメールフォームの断裁のための分量(一のハガキの量)を検出して断裁部の処理速度を制御するというものである。
【0004】
従来の圧着装置は、100V電源を使用するものが殆どであり、電源系には、漏洩遮断器、過電流遮断器(アンペアブレーカ)が介在される。圧着装置は、圧着ローラを所定ギャップに調整し、通過する折り畳まれた帳票を圧着するもので圧着用モータによって回転される。圧着ローラは一定速が望ましく、そのために圧着対象の厚みの変動により圧着モータへの負荷が増え、その分モータ電流が大となり過電流になりやすいという事情がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3319535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、圧着時に圧着ローラのギャップを調整するものの、圧着対象の帳票の例えば1ロット毎の厚みなどの違いにより適正ギャップより厚みのある折り畳み帳票を圧着する場合には、圧着ローラを等速回転させている圧着モータのモータ電流(負荷)が増えることとなる。上記圧着対象の帳票の厚みが異なる原因としては、紙厚の違い、プリンタにおけるインキ盛量の不良(インキ盛量の多くなる傾向)や、プリント定着時の温度による接着剤の劣化、接着剤の時間的劣化などが考えられる。
【0007】
上記のように、圧着装置は過電流遮断器を介在させており、圧着モータの適正モータ電流は当該過電流遮断器に対して過電流にならないように多少の余裕をもって設定されるが、処理速度や効率性を鑑みて多大な余裕で設定することができないことから、過電流となりやすく、これによって過電流遮断器が作動して装置停止となるという問題を生じ、これに対処した圧着装置は現存しない。
【0008】
このような場合に、折り畳み帳票の厚みに応じて圧着ローラのギャップをその都度調整すればよいが、ギャップ調整がマニュアル操作でなさることからして多ロットを連続的に処理する場合などには装置を一旦停止させて調整する必要があって効率的でない。このような問題は上記特許文献1に示されているメールフォーム作成装置においても同様に生じることである。
【0009】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、圧着時のモータ過電流による過電流遮断器の遮断動作を回避させる帳票圧着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、剥離自在な接着剤が塗布されて折り加工された帳票を圧着ローラにより圧着する帳票圧着装置であって、少なくとも、前記圧着ローラ側に前記帳票を送り出すための第1モータを駆動する第1駆動部と、前記圧着ローラを予め設定された速度で一定回転させる第2モータを駆動するもので、累積型の過電流遮断器に接続される第2駆動部と、前記第2モータのモータ電流を検出し、所定時間単位で使用された累積電流値又は当該累積電流の所定時間当たりの平均値を演算するモータ電流検出演算手段と、前記モータ電流検出演算手段による演算値を所定時間毎に取得し、当該演算値が前記過電流遮断器の遮断電流に応じて予め設定された基準値を超えているか否かを判別し、判別の結果に基づき前記第1駆動部に指示して第1モータの回転を制御させる制御手段と、を有する構成とする。
【0011】
請求項2〜4の発明では、「前記制御手段は、前記判別の結果、前記演算値が前記基準値を超えている場合に前記第1モータを減速させる」構成であり、
「前記制御手段は、前記判別の結果、前記演算値が前記基準値を超えている場合に前記第1モータを減速させ、当該基準値以下の場合に当該第1モータを初期設定値までを限度に加速させる」構成であり、
「前記制御手段は、前記判別結果で前記演算値が前記基準値を超えている場合の判別以降の前記演算値を取得する時間を、基準値以下の場合の判別以降の演算値を取得する時間より、短く設定される」構成である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、圧着ローラ側に前記帳票を送り出すための第1モータを駆動する第1駆動部と、累積型の過電流遮断器に接続され、圧着ローラを予め設定された速度で一定回転させる第2モータを駆動する第2駆動部とを備え、第2モータのモータ電流を検出して所定時間単位で使用された累積電流値又は当該累積電流の所定時間当たりの平均値を演算し、当該演算値を所定時間毎に取得して当該演算値が予め設定された基準値を超えているか否かを判別し、判別の結果に基づいて第1駆動部に指示して第1モータの回転を制御させる構成とすることにより、第2モータの圧着時の過電流を第1モータによる帳票送り出し間隔の長短による被圧着時の電流で吸収させることができ、過電流遮断器の遮断動作を確実に回避させることができるものである。
【0013】
請求項2の発明によれば、制御手段による判別の結果、演算値が基準値を超えている場合に第1モータを減速させることにより、帳票送り出しの間隔が長くなって第2モータの圧着時の過電流を被圧着時の電流で吸収させることができ、過電流遮断器の遮断動作を確実に回避させることができるものである。
【0014】
請求項3の発明によれば、制御手段による判別の結果、演算値が基準値を超えている場合に第1モータを減速させ、当該基準値以下の場合に当該第1モータを初期設定値までを限度に加速させることにより、第2モータの圧着時の過電流を被圧着時の電流で吸収させて過電流遮断器の遮断動作を確実に回避させつつ帳票送り出し能力を最大限に発揮させることができるものである。
【0015】
請求項4の発明によれば、制御手段による判別結果で演算値が基準値を超えている場合の判別以降の前記演算値を取得する時間を、基準値以下の場合の判別以降の演算値を取得する時間より短く設定させることにより、第2モータの過電流に対する第1モータの加減速の応答性を良好とさせることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る帳票圧着装置の概略構成図である。
【図2】本発明に係る帳票圧着装置における制御手段のブロック説明図である。
【図3】本発明に係る帳票圧着装置における第1モータ制御の第1実施形態のフローチャートである。
【図4】図3における第1モータ制御の説明図(1)である。
【図5】図3における第1モータ制御の説明図(2)である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる第1モータ駆動制御手段における設定制御値の説明図である。
【図7】図6の場合の第1モータ制御のフローチャートである。
【図8】図7における第1モータ制御の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図により説明する。
図1に、本発明に係る帳票圧着装置の概略構成図を示す。図1(A)において、帳票圧着装置11は、一例として、折加工部12、断裁部13、圧着部14が連続的に設けられた形態として構成され、圧着部14にはスタッカ15が設けられる。なお、これら全部の要素に限らず、断裁部13と圧着部14との連設だけで帳票圧着装置11としてもよい。また、帳票圧着装置11として、既に折り畳まれた状態の帳票を単に圧着部14に供給する給紙部を当該圧着部14に連接した場合でもよい。要するに、圧着部14に帳票を送り出す機構が前段に連設された形態のものが、本発明における帳票圧着装置11である。
【0018】
上記折加工部12には、連続帳票16が例えば1ロット分セットされる。当該連続帳票16は、送り方向に所定数の折ミシン線が形成され、送り方向に対する垂直方向に単帳票とさせる切取ミシン線が形成されており、また、剥離可能な接着剤が全面に塗布されて当該接着剤上に所定情報が印刷されているものである。当該折加工部12において当該連続帳票16を折ミシン線で折り畳みながら断裁部13に供給する。
【0019】
上記断裁部13は、2組のローラ21,22と断裁治具23が配置され、前段ローラ21の回転数より後段ローラ22の回転数を早くすることで断裁治具23に上記切取ミシン線が位置されたときに単帳票として断裁される。後段ローラ22が圧着部14の圧着ローラ24側に送り出す。この場合、2組のローラ21,22は、後述の第1モータM1により回転される。
【0020】
上記圧着部14は圧着ローラ24を備え、ローラギャップはマニュアル操作により調整される。当該圧着ローラ24は後述の第2モータM2により回転される。当該圧着ローラ24で圧着された重ね合わせ帳票はスタッカ15に排出されるものである。
【0021】
そこで、図1(B)において、帳票圧着装置11は、電源(例えば100V,20A)31で作動するもので、主遮断器32を通して、第1遮断器33を介在させて第1モータM1を駆動する第1駆動部34が接続される。また、主遮断器32から、第2遮断器35を介在させて第2モータM2を駆動する第2駆動部36が接続される。この場合、第2駆動部36は、第2モータM2のモータ電流に対する電流検出演算手段(モータ電流検出演算手段)37を備える。
【0022】
上記主遮断器32、第1遮断器33、第2遮断器35は、いわゆるアンペアブレーカであり、例えば主遮断器32が電源31の設定電流に対して20A、第1遮断器33が5A、第2遮断器35が15Aのそれぞれ累積型のものが用いられる。累積型は、消費電流を所定時間毎の累積値で監視しているものであり、例えば125パーセント負荷で10分、200パーセント負荷で1分などで遮断作動(時限作動)するもので、時限は製造するメーカにより様々であり、一律的なものではない。
【0023】
第1モータM1を駆動する第1駆動部34及び第2モータM2を駆動する第2駆動部36は、共にインバータ駆動であり、第2駆動部36の電流検出演算手段37が第2モータM2のモータ電流を検出し、所定時間単位で使用された累積電流値又は当該累積電流の所定時間当たりの平均値を演算し、図示しないメモリに記憶するもので、当該演算値(この実施形態では平均値として説明するが、累積電流値としても判別手法に変わりはない)は演算毎に更新される。
【0024】
続いて、図2に、本発明に係る帳票圧着装置における制御手段のブロック説明図を示す。図2(A)において、制御手段41は、この帳票圧着装置11を全体的に統括制御する図示しない中央制御手段の他に、バス42、インタフェース(IF)43、判別手段44、第1モータ駆動制御手段45及び第2モータ駆動制御手段46を適宜備える。
【0025】
上記判別手段44は、電流検出演算手段37による演算値を所定時間毎に取得しにいき、当該演算値が第2遮断器35の遮断電流に応じて予め判別基準値44Aに設定された基準値を超えているか否かを判別し、判別の結果に基づき第1駆動部34に指示(減速コマンド、加速コマンド)して第1モータM1の回転を制御させるプログラムである。詳細は、減速コマンドのみを指示する場合を図3〜図6で説明し、減速コマンド及び加速コマンドの両方を判別結果に基づいて指示する場合を図6〜図8で説明する。
【0026】
上記第1モータ駆動制御手段45は、第1駆動部34に対して、図1に示す2組のローラ21,22を回転する第1モータM1を駆動する駆動制御信号を送出するプログラムであり、上記判別手段44の判別結果に応じて、例えば第1モータM1により2組のローラ21,22を全体的(一律的)に加減速させる指示を行うもので、減速の程度は、設定制御値45Aに予め設定されている減速率に応じた制御信号となる。当該設定制御値45Aは、減速コマンドのみを指示する場合として、例えば図2(B)に示すように、判別手段44から減速コマンドの受信回数に応じた減速率が、例えば5パーセント毎に設定される。
【0027】
上記第2モータ駆動制御手段46は、圧着ローラ24を回転させる第2駆動部36に対して、予め定めた一定速度(等速)で圧着ローラ24で回転させるべく第2モータM2を駆動する第2駆動部36に駆動制御信号を送出するプログラムである。この速度が、当該帳票圧着装置11における圧着処理速度となる。
【0028】
そこで、図3に本発明に係る帳票圧着装置における第1モータ制御の第1実施形態のフローチャートを示すと共に、図4及び図5に図3における第1モータ制御の説明図を示す。ここで、一例として、圧着ローラ24のギャップを正常(紙厚が指定通りの紙厚であり、接着剤の劣化のない状態)の帳票(圧着対象の折り畳まれた帳票)を対象として調整され、第2モータM2(圧着ローラ24)が、例えば140mm長の帳票(折り畳まれた帳票であって、以下、単に帳票とする)を70m/minで処理すべく等速で回転(一定回転)されるように第2モータ駆動制御手段46が第2駆動部36に対して制御信号を送出する。なお、第2モータM2は、正常の帳票を圧着するとき(通過時)に使用されるモータ電流が14Aで、帳票無通過時(被圧着の空転時)のモータ電流が4Aであるものとして選択されている。
【0029】
また、第1モータM1は、断裁部13のローラ22の回転により帳票を70m/minで処理すべく、かつ、40msec間隔で圧着部14に供給すべく回転するように第1モータ駆動制御手段45が第1駆動部34に対して制御信号を送出する。なお、第1モータM1は、2組のローラ21,22を回転駆動するのに使用されるモータ電流が3Aであるものとして選択されている。
【0030】
すなわち、図4(A)に示すように、圧着ローラ24が帳票を圧着している帳票通過の時間が80msecとなり、断裁部13から供給されない当該圧着ローラ24が空転している帳票無通過の時間40msecであるから、帳票1枚を圧着するトータル時間は120msecとなる。なお、図4(A)等のグラフに示されている15Aは、第2遮断器35の設定されている遮断電流を示しており、所定時間(時限)毎に累積されたモータ電流の平均値が超えているか否かの基準値として示したものである。したがって、判別手段44における判別基準値44Aは、これに応じて例えば15Aとして予め設定される。また、グラフにおいて、時間軸では0.02sec毎の目盛りとし、電流軸では1A毎の目盛りとしている。
【0031】
そこで、第2駆動部36の電流検出演算手段37は、図3(A)に示すように、第2モータM2のモータ電流を随時検出し(ステップ(S)1)、例えば0.3sec分の電流累積値から平均値を順次演算し(S2)、演算した平均電流値を図示しないメモリに順次更新しながら記憶していくものである(S3)。演算は、図4(A)で示されるように、帳票通過時の80secで使用された電流と無通過時の40secで使用された電流とを、0.3sec分で累積し、所定時間(ここではグラフ目盛りの1目盛り分0.02secとする)当たりの平均電流値を算出するものである。
【0032】
一方、制御手段41の判別手段44は、電流検出演算手段37で演算された演算値(平均値)を、まず最初に取得する(S11)。この演算値は、取得時前の直近に更新されたものである。判別手段44は、取得した演算値と、判別基準値44Aの基準値とを比較し、当該演算値が基準値を超えているか否かを判別する(S12)。具体例として、図4(A)の最初の0.3secの演算値を示せば、通過と無通過の0.3sec分の累積電流値は170Aであり、単位時間(0.02sec)の平均電流値は11.3Aとなる。
【0033】
図4(A)に示すように圧着対象の帳票が正常であり、上記演算値が基準値(15A)以下の場合には、そのままに0.7sec経過した後に電流検出演算手段37に対して演算値を取得しにいく(S13)。圧着対象の帳票が正常の場合にはS11〜S13が繰り返される。
【0034】
例えば、正常な帳票より厚みが大の帳票が圧着対象となると、その通過時(圧着時)に第2モータM2のモータ電流が、図3(B)に示すように増加することとなる。電流検出演算手段37がこの増加分を含めた演算値を判別手段44が取得(図4(B)に図示した最初の取得)し(S11)、取得した演算値と、判別基準値44Aの基準値とを比較し、当該演算値が基準値を超えているか否かを判別して(S12)、当該演算値が判別基準値44Aを超えていると判別した場合、当該判別手段44は第1モータ駆動制御手段45に対して減速コマンドの駆動制御信号を送出する(S14)。
【0035】
第1モータ駆動制御手段45では、判別手段44より減速コマンドを受信すると、図2(B)に示す設定制御値45Aを参照して、1回目の受信として5パーセントの減速率の回転速度の駆動制御信号を第1駆動部34に送出する(S15)。これにしたがって、第1モータM1が減速されると、断裁部13から圧着部14への帳票供給間隔がその分長くなり、圧着ローラ24の無通過時間が長くなる(図4(B)の最初の無通過時間の延長)。電流検出演算手段37は、この長くなった無通過時間の電流を含めた区間(0.3sec)の累積電流値の平均値を演算してその演算値(減少傾向の演算値)が更新される。
【0036】
判別手段44は、減速コマンドを第1モータ駆動制御手段45に送出した後の0.5sec経過後に、電流検出演算手段37に演算値を取得(図4(B)の2回目の取得)しにいく(S16,S11)。取得した演算値と、判別基準値44Aの基準値とを比較し、当該演算値が基準値を超えているか否かを判別して(S12)、当該演算値が判別基準値44Aの基準値を超えていると判別した場合、当該判別手段44は第1モータ駆動制御手段45に対して再度の減速コマンドの駆動制御信号を送出する(S14)。
【0037】
第1モータ駆動制御手段45では、判別手段44より減速コマンドを受信すると、図2(B)に示す設定制御値45Aを参照して、2回目の受信として10パーセントの減速率(初期回転速度の10パーセント減)の回転速度の駆動制御信号を第1駆動部34に送出する(S15)。すなわち、第1モータ駆動制御手段45は、減速コマンドを受信する毎に、設定制御値45Aに設定されいている段階(回数)に応じた減速率の駆動制御信号を第1駆動部34に送出するものである。
【0038】
これにしたがって、第1モータM1が減速されることで断裁部13から圧着部14への帳票供給間隔がさらに長くなり、圧着ローラ24の無通過時間がさらに長くなる(図4(B)の2度目の無通過時間の延長)。電流検出演算手段37は、このさらに長くなった無通過時間の電流を含めた区間(0.3sec)の累積電流値の平均値を演算してその演算値(減少傾向の演算値)が更新される。
【0039】
そして、判別手段44が、減速コマンドを第1モータ駆動制御手段45に送出した後の0.5sec経過後に、電流検出演算手段37に演算値を取得(図4(C)の最初の取得)しにいく(S16,S11)。取得した演算値と、判別基準値44Aの基準値とを比較し、当該演算値が基準値を超えているか否かを判別して(S12)、上記演算値が基準値(15A)以下となった場合には、減速コマンドを発せずに、0.7sec経過した後に電流検出演算手段37より演算値を取得しにいく(S13)。上記演算値が基準値(15A)以下の場合には、S11〜S13が繰り返される。
【0040】
これによって、第2モータM2が過電流となっても、無通過時間を長くすることで、電流検出演算手段37による演算対象の時間(0.3sec)での累積電流値は、累積型の第2遮断器35の遮断電流以下で作動させることとなり、当該第2遮断器35の遮断動作を回避させることとなるものである。
【0041】
その後、さらに厚みが大の帳票が圧着対象となった場合、判別手段44が取得(図5(A)の取得)し(S11)、取得した演算値と、判別基準値44Aの基準値とを比較し、当該演算値が基準値を超えているか否かを判別して(S12)、当該演算値が判別基準値44Aを超えていると判別した場合、当該判別手段44は第1モータ駆動制御手段45に対して減速コマンドの駆動制御信号を送出する(S14)。
【0042】
第1モータ駆動制御手段45では、判別手段44より減速コマンドを受信すると、図2(B)に示す設定制御値45Aを参照して、例えば3回目の受信として15パーセントの減速率の回転速度の制御信号を第1駆動部34に送出する(S15)。電流検出演算手段37は、この長くなった無通過時間の電流を含めた区間(0.3sec)の累積電流値の平均値を演算してその演算値(減少傾向の演算値)が更新される。
【0043】
判別手段44は、減速コマンドを第1モータ駆動制御手段45に送出した後の0.5sec経過後に、電流検出演算手段37に演算値を取得(図5(B)の取得)しにいく(S16,S11)。取得した演算値と、判別基準値44Aの基準値とを比較し、当該演算値が基準値を超えているか否かを判別して(S12)、上記演算値が基準値(15A)以下となった場合には、減速コマンドを発せずに、0.7sec経過した後に電流検出演算手段37より演算値を取得しにいく(S13)。上記のように、S11〜S16が繰り返されるものである。
【0044】
このように、第2モータM2の圧着時の過電流を第1モータM1による帳票送り出し間隔の長さ(第1モータM1の減速)による被圧着時(無通過時)の電流で吸収させることができ、第2遮断器35の遮断動作を確実に回避させることができるものである。
【0045】
次に、図6に、本発明の第2実施形態にかかる第1モータ駆動制御手段における設定制御値の説明図を示す。図6において、上記第1モータ駆動制御手段45の備える設定制御値45Aには、図2(B)に示す減速コマンドに対する第1モータM1の減速率の設定値の他に、当該第1モータM1の加速率の設定値をも各加速コマンドの段階(連続回数)に応じて予め設定したものである(不連続の場合には「1回」に戻る)。すなわち、この第2実施形態は、第1モータM1の減速のみならず、加速をも行わせるものである。
【0046】
そこで、図7に図6の場合の第1モータ制御のフローチャートを示すと共に、図8に図7における第1モータ制御の説明図を示す。図7において、S11,S12,S14〜S16は図3(B)と同様であり、図5(B)の続きとして説明する。
【0047】
すなわち、図5(B)では、判別手段44が減速コマンドを第1モータ駆動制御手段45に送出した後の0.5sec経過後に、電流検出演算手段37に演算値を取得(図5(B)の取得を図8(A)の最初の取得とする)しにいき(S16,S11)、当該演算値が基準値を超えているか否かを判別して(S12)、上記演算値が基準値(15A)以下の場合に、図8(A)に示すように、当該判別手段44は第1モータ駆動制御手段45に対して加速コマンドの駆動制御信号を送出する(S21)。
【0048】
第1モータ駆動制御手段45では、判別手段44より加速コマンドを受信すると、図6に示す設定制御値45Aを参照して、不連続による1回目の受信として現行速度の5パーセントの加速率の回転速度の駆動制御信号を第1駆動部34に送出する(S22)。これにしたがって、第1モータM1が加速されると、断裁部13から圧着部14への帳票供給間隔がその分短くなり、圧着ローラ24の無通過時間が短くなる(図8(A)の最初の無通過時間の短縮)。
【0049】
判別手段44は、加速コマンドを第1モータ駆動制御手段45に送出した後の0.7sec経過後に、電流検出演算手段37に演算値を取得(図8(A)の2回目の取得)しにいく(S23,S11)。この間、圧着対象の帳票の厚みの状態の変化(小となる傾向)などで、第2モータM2のモータ電流が小となった場合(圧着時のモータ電流のバラツキ)に、その間の0.3sec分の累積電流の平均値が減少する。
【0050】
判別手段44が取得した演算値と判別基準値44Aの基準値とを比較し、当該演算値が基準値を超えているか否かを判別して(S12)、当該演算値が判別基準値44Aの基準値を超えていると判別した場合、当該判別手段44は第1モータ駆動制御手段45に対して減速コマンドの駆動制御信号を送出する(S14)。
【0051】
第1モータ駆動制御手段45では、判別手段44より減速コマンドを受信すると、図6に示す設定制御値45Aを参照して、不連続による1回目の受信として現行速度の5パーセントの減速率の回転速度の駆動制御信号を第1駆動部34に送出する(S15)。これにしたがって、第1モータM1が減速されると、図8(A)に示すように、断裁部13から圧着部14への帳票供給間隔がその分長くなり、圧着ローラ24の無通過時間が長くなる(図8(A)の無通過時間の延長)。
【0052】
続いて、判別手段44が減速コマンドを第1モータ駆動制御手段45に送出した後の0.5sec経過後に、電流検出演算手段37に演算値を取得(図8(B)の最初の取得)しにいき(S16,S11)、当該演算値が基準値を超えているか否かを判別して(S12)、上記演算値が基準値(15A)以下の場合に、当該判別手段44は第1モータ駆動制御手段45に対して加速コマンドの駆動制御信号を送出する(S21)。
【0053】
第1モータ駆動制御手段45では、判別手段44より加速コマンドを受信すると、図6に示す設定制御値45Aを参照して、1回目の受信として現行速度の5パーセントの加速率の回転速度の駆動制御信号を第1駆動部34に送出する(S22)。これにしたがって、第1モータM1が加速されると、図8(B)に示すように、断裁部13から圧着部14への帳票供給間隔がその分短くなり、圧着ローラ24の無通過時間が短くなる(図8(A)の最初の無通過時間の短縮)。
【0054】
上記のように、圧着対象の帳票の厚みバラツキや第2モータM2のモータ電流(過電流)のバラツキに応じて、第1モータM1を減速したり、加速したりするものである。なお、第1モータM1に対する加速は、当該第1モータM1を初期設定値までを限度することで、過剰な加速を防止することができるものである。
【0055】
このように、第2モータM2の圧着時の過電流を被圧着時(無通過時)の電流で吸収させて第2遮断器35の遮断動作を確実に回避させるつつ、減速、加速により帳票送り出し能力を最大限に発揮させることができるものである。また、判別手段44による判別結果で演算値が基準値を超えている場合の判別以降の演算値を取得する時間を、基準値以下の場合の判別以降の演算値を取得する時間より短く設定させることにより、第2モータM2の過電流に対する第1モータM1の減速は早いタイミングで行わせ、加速は遅いタイミングで行わせることで加減速の応答性を良好とさせることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の帳票圧着装置は、帳票に印刷を行い、その後に、少なくとも接着剤により帳票を多層に形成させる帳票作製産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
11 帳票圧着装置
12 折加工部
13 断裁部
14 圧着部
24 圧着ローラ
32 主遮断器
33 第1遮断器
34 第1駆動部
35 第2遮断器
36 第2駆動部
37 電流検出演算手段
41 制御手段
44 判別手段
45 第1モータ駆動制御手段
M1 第1モータ
M2 第2モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離自在な接着剤が塗布されて折り加工された帳票を圧着ローラにより圧着する帳票圧着装置であって、
少なくとも、前記圧着ローラ側に前記帳票を送り出すための第1モータを駆動する第1駆動部と、
前記圧着ローラを予め設定された速度で一定回転させる第2モータを駆動するもので、累積型の過電流遮断器に接続される第2駆動部と、
前記第2モータのモータ電流を検出し、所定時間単位で使用された累積電流値又は当該累積電流の所定時間当たりの平均値を演算するモータ電流検出演算手段と、
前記モータ電流検出演算手段による演算値を所定時間毎に取得し、当該演算値が前記過電流遮断器の遮断電流に応じて予め設定された基準値を超えているか否かを判別し、判別の結果に基づき前記第1駆動部に指示して第1モータの回転を制御させる制御手段と、
を有することを特徴とする帳票圧着装置。
【請求項2】
請求項1記載の帳票圧着装置であって、前記制御手段は、前記判別の結果、前記演算値が前記基準値を超えている場合に前記第1モータを減速させることを特徴とする帳票圧着装置。
【請求項3】
請求項1記載の帳票圧着装置であって、前記制御手段は、前記判別の結果、前記演算値が前記基準値を超えている場合に前記第1モータを減速させ、当該基準値以下の場合に当該第1モータを初期設定値までを限度に加速させることを特徴とする帳票圧着装置。
【請求項4】
請求項3記載の帳票圧着装置であって、前記制御手段は、前記判別結果で前記演算値が前記基準値を超えている場合の判別以降の前記演算値を取得する時間を、基準値以下の場合の判別以降の演算値を取得する時間より、短く設定されることを特徴とする帳票圧着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−25597(P2011−25597A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175564(P2009−175564)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】