説明

幅広い温度におけるプロテアーゼ変異体の活性

本発明は、特に食器洗浄用製品に有用なプロテアーゼ組成物を提供する。
図1A

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、食器洗剤用製品に好適なプロテアーゼ組成物を提供する。
【背景施術】
【0002】
通常、従来の国内の及び工業的に生産されている食器洗剤用組成物は、食器の洗浄及び消毒のために高いアルカリ性洗剤及び塩素系漂白剤を含む。しかしながら、これらは、家庭、病院、カフェテリア、ケイタリング等における食器にしばしば存在するタンパク質含有汚れを除去することに欠点を有する。更に、非常に高いアルカリ洗剤及び塩素系漂白剤は、消費者又は環境にやさしくないと考えられている。
【0003】
タンパク質精製の汚れを除去することに効果的な洗浄用組成物を提供するために数多くの試みがなされてきた。これらの組成物はアルカリ条件下で(例えば、少なくともpH9.5)で活性を有するプロテアーゼを含む。しかしながら、そのような組成物は、消費者に食器用洗剤として好ましいと従来考えられている液体又はゲル形態に製剤化することが難しい。更に、アルカリ性食器洗剤用組成物は、しばしは、刺激物であると考えられている。
【0004】
低pH(例えば、pH9.5未満のpH)の食器用洗剤を製造するための試みがなされてきた。これらの組成物は、安全で、環境にやさしく、ゲル及び液体に製剤化することが可能であった。しかしながら。低pHの近年の食器洗浄用組成物は、該組成物中に高濃度の酵素(例えば、プロテアーゼ)が配合ざれているにも関わらず、汚れを除去するには、あまり効果的ではなかった。
【0005】
従って、食器からタンパク質性の汚れを効果的に除去する食器洗浄用組成物に対する需要が本分野において存在する。更に、環境及び使用者に対してやさしく、使用が容易な形態に製剤化することができ、経済的な食器洗浄組用成物に対する需要も存在する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は食器用洗剤製品に用いるのに改良された性質を有する変異体プロテアーゼを提供する。幾つかの好適な態様において、該変異体プロテアーゼは少なくとも以下のアミノ酸配列を有するpB92セリンプロテアーゼのアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列相同性を有する。
H2N−
【化1】

更なる態様において、変異体プロテアーゼは配列番号2に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも、99%の配列相同性を有している。本明細書における各種態様において、変異体プロテアーゼは、野生型PB92プロテアーゼと比較した場合、改良された相同性を有している。
【0007】
幾つかの好適な態様において、本発明は開始プロテアーゼと比較して改良された洗浄性能を有する変異体プロテアーゼを提供する。幾つかの好適な態様において、この酵素は、本明細書の表1で規定する置換を有し、049、045、046、047/048、050、051/052、053、054、055/056、057、058、059、及び060として設計されたものを含む。更なる態様において、本発明は追加的な変異体(例えば、置換、挿入、及び/又は欠失)を有するこれらの酵素を提供する。
【0008】
幾つか特に好適な態様において、以下のアミノ酸配列を有する049として設計された酵素を提供する。
【化2】

【0009】
本発明は、本発明で説明する変異体プロテアーゼの少なくとも1つを含む、タンパク質分解酵素製品を含む新しい酵素の食器用洗剤も提供する。
【0010】
更なる態様において、本発明は修飾されたスブチリシンを含む食器洗浄用組成物を提供する。前記スブチリシンは配列番号2で定義される配列に少なくとも1つの置換を含む。スブチリシンBPN’のアミノ酸配列の位置に各位置は対応しており、置換はG118、S128、P129、S130、及びS166から選択される。
【0011】
幾つかの好適な態様において、修飾されたスブチリシンはG118、S128、P129、及びP130における置換を含む。幾つかの特に好適な態様において、修飾されたスブチリシンはG118Vにおける置換と少なくとも1つの追加的な置換とを含む。幾つかの特に好適な態様において、修飾されたスブチリシンはS128C、S128R、P129Q、P129R、S130P、及びS130Gからなる群から選択される。幾つかの態様において、修飾されたスブチリシンのアミノ酸配列は配列番号3で定義される。
【0012】
本発明は修飾されたスブチリシンを含む食器洗浄用組成物を含む態様も提供する。各位置はスブチリシンBPN’のアミノ酸配列の位置に対応しており、スブチリシンは配列番号2で定義される配列中に1つの置換を含み、該置換はS130Tである。
【0013】
本発明は修飾されたスブチリシンをコードする単離核酸も提供する。前記スブチリシンは配列番号2で定義される配列中に少なくとも2つの置換を含む。各位置は、スブチリシンBPN’のアミノ酸配列の位置に対応する。位置はG118、S128、P129、S130、及びS166から選択される。幾つかの態様において、この核酸はG118、S128、P129、及びS130の位置における置換を含む修飾スブチリシンである。幾つかの態様において、この核酸はG118、S128、P129、及びS130の位置における置換を含む。幾つかの好適な態様において、この核酸はG118及び少なくとも1つの追加的な変異を含む修飾されたスブチリシンをコードする。幾つかの特に好適な態様において、この核酸は更に、S128F、S128L、S128N、S128R、S128V、P129E、P129L、P129M、P129N、P129L、P129Q、P129S、S130A、S130K、S130P、S130T、S130V、及びS166Dからなる群より選択される追加的な変異を含む。更なる好適な態様において、この核酸はS129、S130、及びS130の位置における変異を含む修飾されたスブチリシンをコードする。更なる好適な態様において、この核酸は、S128C、S128R、P129Q,S130D、及びS130Gから選択される置換を含む。
【0014】
幾つかの好適な態様において、修飾されたスブチリシンのアミノ酸配列は配列番号3で定義される。幾つかの追加的な態様において、本発明は配列番号3で定義するアミノ酸配列をコードする単離核酸を提供する。
【0015】
更なる追加的な態様において、本発明は前述の少なくとも1つのアミノ酸を含むベクターを提供する。更なる態様において、本発明は前で定義された単離核酸の少なくとも1つを含むベクターを提供する。更なる態様において、本発明は上で説明した少なくとも1つのベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0016】
本発明は食器の洗浄方法も提供する。該方法は、上で定義される少なくとも1つの修飾されたスブチリシンと食器とを提供する工程、並びに食器の洗浄に効果的な条件下で、食器を修飾されたスブチリシンに接触せる工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】はPB92プロテアーゼ遺伝子を含む変異誘発ベクターの構築を説明する。
【0018】
【図1B】は本発明の幾つかの態様における変異誘発手順を示す。
【0019】
【図1C】はPB92プロテアーゼ遺伝子を含む発現ベクターの構築を説明する。
【0020】
【図2A】はPB92プロテアーゼ遺伝子のヌクレオチド配列(配列番号1)及びコードされたタンパク質、プロタンパク質、及び成熟タンパク質のアミノ酸配列(配列番号2)を示す。
【0021】
【図2B】はPB92プロテアーゼ遺伝子のヌクレオチド配列(配列番号1)及びコードされたタンパク質、プロタンパク質、及び成熟タンパク質のアミノ酸配列(配列番号2)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、食器洗浄用製品のための少なくとも1つの変異プロテアーゼを含む方法及び組成物を提供する。
【0023】
特に定義しない限り、本発明の実施は、分子生物学、微生物学、タンパク質精製、タンパク質エンジニアリング、タンパク質及びDNA配列決定、組換えDNA分野、工業的な酵素の使用及び開発の分野において、当業者の知識の範囲内である技術を用いて行う。本明細書に記載されている全ての特許、特許出願、文献、及び刊行物は参照により本明細書に援用される。
【0024】
更に、ここに記載されている標題は本発明を限定するために用いるものではない。本発明は明細書全体を参照することにより理解されなければならない。従って、以下で説明する各種用語の定義は、明細書全体を参照することによりより深く理解される。しかしながら、発明の理解を促進するために以下で多くの用語を説明する。
【0025】
別途定義しない限り、本明細書で用いる化学的及び技術的用語は本発明の属する技術分野における当業者により通常理解されているものと同じ意味を有する。例えば、Singleton and Sainsbury, Dictionary of Microbiology and Molecular Biology, 2d Ed., John Wiley and Sons, NY (1994);及びHale and Markham, THE Harper Collins Dictionary of Biology, Harper Perennial, NY (1991)は本発明で用いる数多くの用語についての辞書であり、当業者はこれを参照することができる。本明細書で定義する方法及び材料と類似の又はこれらに等しいものを本発明の実施にもちいることができるけれども、好適な方法及び材料を本明細書で説明する。従って、以下で定義されている用語は明細書全体を参照することによりより深く理解されるであろう。本明細書において、「a」、「an」、及び「the」の単数について用いる冠詞は、別途定義しない限り、複数も含む。別途定義しない限り、核酸は左から右に向かって、5’末端から3’末端を表し、アミノ酸配列は、左から右に向かって、アミノ末端からカルボキシ末端方向に標記する。当業者が本発明の実施に用いるものにより、本明細書で説明する方法、手順、試薬は変化し得るので、本発明に用いるこれらのものを、開示されている特定のものに限定されることがないことは理解されるであろう。
【0026】
本明細書に記載の全ての数値の上限値は全てのより低い数値の限定を含み、そのような低い数値限定は本明細書に記載されているものとする。本明細書における各最小の数値限定はより高い数値限定を含み、そのようなより高い数値限定は本明細書に記載されているものとする。本明細書に記載の全ての数値範囲はその範囲内のより低い数値範囲を含み、そのようなより狭い数値範囲は本明細書に記載されるものとする。
【0027】
本明細書において、「相性のよい」の語は洗浄組成物が、本明細書で提供されるプロテアーゼ酵素の酵素活性を、通常の使用条件の間に効果的ではなくなるほどに低減させないことを意味する。特定の洗浄組成物物質は以下で詳述する。
【0028】
本明細書において、「効果的な量の酵素」の語は特定の製品において必要とされる酵素活性を達成するために必要とされる酵素の量を意味する。そのような効果的な量は当業者が容易に決定することができ、用いる特定の酵素変異体、洗浄用製品、洗浄組成物の特定の成分、及び組成物生物が液状か又は乾燥物(例えば、顆粒)が必要であるか否か等の多くの因子に基づいている。
【0029】
本明細書において、「変異タンパク質分解酵素」についても用いる「改善された性質を有する」の語は、改善された性能及び/又は野生型プロテアーゼの対応してその性能を維持しつつ改善された安定性を有するタンパク質分解酵素を意味する。幾つかの特に好適な態様において、この改善された性質は改善された食器洗浄能力と改善された安定性の組合せのほか、改善された食器洗浄能力と改善された安定性ならなる群より選択される。
【0030】
本明細書において、「洗剤安定性」の語は洗浄組成物の安定性を意味する、幾つかの態様において、この安定性は洗剤の使用の間に評価される。他の態様において、この語は貯蔵の間の洗浄組成物の安定性を意味する。
【0031】
「改善された安定性」の語は、貯蔵の間及び/又は泡の中における変異プロテアーゼのよりよい安定性を意味する。好適な態様において、この変異体プロテアーゼは、食器用洗剤の貯蔵の間及び/又は泡の中において、改善された食器用洗剤中の安定性を有しており、対応する野生型酵素に対して、酸化安定剤、金属イオン封鎖剤、自己消化、界面活性剤、及び高いアルカリ性に対する安定性を有している。
【0032】
本明細書において、「タンパク質分解に対する安定性」の語は、タンパク質分解に抵抗するタンパク質(例えば、酵素)の能力を意味する。この語をタンパク質安定性を評価する特定のプロテアーゼの使用に限定することを意図するものではない。
【0033】
本明細書において「酸化安定性」の語は酸化条件下で機能のするタンパク質の脳路y区を意味する。特に、この語は、H、過酸、及び他の酸化物の各種濃度の下で機能するタンパク質の能力を意味する。各種酸化条件下での安定性は当業者に既知の方法により、及び/又は本明細書で説明する方法により評価することができる。酸化安定性が大きく変化したということは、酸化化合物が存在しないときの酵素活性と比較してその酵素活性の半減期が少なくとも5%以上増加したか、又は減少したかにより明らかとなる。
【0034】
本明細書において「pH安定性」の語は、特定のpHで機能することができるタンパク質の能力を意味する。通常、大部分の酵素は、それらが機能する明確なpH範囲を有する。中性範囲のpH(即ち、pH7付近)で機能する酵素に加えて、非常に高い又は非常に低いpH条件下で作用することができる酵素もある。各種pH条件下での安定性は当業者に既知の方法及び/又は本明細書で説明する方法で評価することができる。pH安定性が大きく変化したということは、最適pHで酵素活性と比較した場合、酵素活性の半減期が少なくとも5%以上増加又は減少(大部分の態様において、増加することが好ましい)していることにより裏付けられる。しかしながら、本発明を特定のpH安定性レベル又はpH範囲に限定することは意図しない。
【0035】
本明細書において、「熱安定性」の語は特定の温度で機能するタンパク質の能力を意味する。通常、大部分の酵素はそれらが機能する温度の限界配位を有している。中程度の温度(例えば、室温)で機能する酵素のほかに、非常に高い又は低い温度で機能することができる酵素も存在する。熱安定性は当業者に既知の方法及び本明細書で説明する方法で評価することができる。熱安定性が相当変化したということは所与の温度に曝された変異体の酵素活性の半減期が少なくとも5%以上増加又は減少(大部分の態様において、増加することが好ましい)しているこことにより裏付けられる。しかしながら、本発明を特定の熱安定性レベル、又は特定の温度範囲に限定することは意図しない。
【0036】
本明細書において、「化学安定性」の語はタンパク質の活性に有害な化学薬品に対するタンパク質(例えば、酵素)の能力を意味する。幾つかの態様において、そのような化学薬品は過酸化水素、過酸、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、キレート剤等を含むがこれらに限定されない。しかしながら、本発明を特定の化学薬品安定性又は特定の安定性の範囲に限定することは意図しない。
【0037】
本明細書において、「精製された又は単離された」の語はサンプルから不純物を除去することを意味する。例えば、所望の酵素は、他の不純物タンパク質及び溶液又は調製物の中から所望の酵素ではない、他の成分を除去することにより精製される。幾つかの態様において、所望の組換え酵素がバクテリア又は糸状菌宿主細胞内で発現され、これらの所望の組換え酵素は他の宿主細胞の成分を除去して精製される。所望の組換え酵素のパーセンテージはこのサンプル中で増加する。
【0038】
本明細書において、「所望のタンパク質」の語は、解析、同定、及び/又は修飾されるタンパク質(例えば、酵素又は所望の酵素)を意味する。組換え(例えば、変異)タンパク質のほか自然発生タンパク質も本発明に用いることができる。
【0039】
本明細書において「タンパク質」の語はアミノ酸からなる任意の組成物及びタンパク質であると当業者に理解されているものを含む。「タンパク質」、「ペプチド」、及び「ポリペプチド」の語は互換的に使用される。ペプチドがタンパク質の一部分である場合、当業者はこのことを文脈上より理解することができる。
【0040】
本明細書において、機能的に及び構造的に類似のタンパク質は「関連タンパク質」であると理解されている。幾つかの態様において、これらのタンパク質は異なる遺伝子及び/又は異なる有機体のクラスを含む属由来である(例えば、バクテリアタンパク質及び/又は糸状菌タンパク質)。追加的な態様において、関連タンパク質は同じ属から提供される。すなわち、本発明を任意の特定の源に限定することは意図しない。更に、「関連タンパク質」の語は三次構想の類似体及び一次配列の類似体(例えば、本発明の酵素)を含む。更なる態様において、この語は免疫化学的交差反応を起こすタンパク質も包含する。
【0041】
本明細書において「誘導体」の語は幾つかの態様において、C末端及びN末端のいずれか又は両方に1つ以上のアミノ酸を付加すること、アミノ酸配列中の1つ以上の異なる部位に1つ以上のアミノ酸で置換すること、タンパク質の両方又は一方の末端、あるいはアミノ酸配列中の1つ以上の部位での1つ以上のアミノ酸を欠失させること、アミノ酸配列中の1つ以上の部位で1つ以上のアミノ酸を挿入すること、により生成されたタンパク質を意味する。タンパク質誘導体は天然タンパク質をコードするDNA配列の修飾、DNA配列を好適な宿主内で形質転換、及び修飾DNA配列を発現させて、変異タンパク質を形成する。
【0042】
関連する(及び誘導体)タンパク質は「変異タンパク質」を含む。幾つかの好適な態様において、変異タンパク質は親タンパク質とは異なる。これらのうちの一方は、アミノ酸残基が少ない。異なるアミノ酸残基の数は1つ以上であり、好ましくは、1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50又は、これより多くのアミノ酸残基が異なる。幾つかの好適な態様において、変異体の間で異なるアミノ酸の数は1乃至10の間である。幾つかの好適な態様において、関連タンパク質及び特に変異タンパク質は少なくとも約35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、90%、95%、97%、98%、又は99%のアミノ酸配列相同性を有している。更に、本明細書で用いる関連タンパク質又は変異タンパク質はプロミネント領域に数において、他の関連タンパク質又は親タンパク質とは異なる。例えば、幾つかの態様において、変異体タンパク質は親タンパク質と異なる1、2、3、4、5、又は10の対応するプロミネント領域を有する。
【0043】
本発明の変異体を生成するために好適である、各種組換え方法のほか、部位飽和変異誘発、スキャニング変異誘発、挿入変異誘発、ランダム変異誘発、部位指定変異誘発、及び指定進化を含むがこれらに限定されない幾つかの方法が当業者に知られている。
【0044】
本明細書において、「発現ベクター」の語は好適な宿主細胞において、DNAの発現を影響させることができる好適な制御配列に作動可能に結合しているDNA配列を含むDNA構築物を意味する。そのような制御配列は、転写に影響を及ぼすプロモーター、そのような転写を制御する任意のオペレーター配列、転写及び翻訳の停止を制御する好適なmRNAリボゾーム結合部位及び配列をコードする配列を含む。このベクターは、プラスミド、ファージ粒子、又は単に可能性のある遺伝子挿入でもよい。一旦好適な宿主細胞に形質転換されると、ベクターは複製して、独立的に宿主細胞ゲノムの機能を果たす、又は幾つかのケースにおいて、ゲノム自信に取り込まれる。このプラスミドが現在最も一般的なベクターの形態であることから、本明細書において、「プラスミド」、「発現プラスミド」、及び「ベクター」の語は同じ意味に用いる。しかしながら、当業者において、等しい機能を提供する、及び等しい機能である、又は等しい機能となりうる他の発現ベクターの形態も含むことを意図する。
【0045】
幾つかの好適な態様において、プロテアーゼ遺伝子は適切な発現プラスミドに結合される。クローン化されたプロテアーゼ遺伝子を融合し、宿主細胞を形質転換又は形質変換して、プロテアーゼ遺伝子を発現させる。このプラスミドは、プラスミドの複製に必要なよく知られた要素を含でいるか、又はこのプラスミドは宿主染色体に取り込まれるように設計されているので、宿主細胞内で複製することができる。必要なエレメントは効率的な遺伝子発現(例えば、所望の遺伝子に作動可能に結合しているプロモーター)のために提供される。幾つかの態様において、これらの必要なエレメントは、認識されるならば(すなわち、宿主細胞による転写)遺伝子自身の相同プロモーターとして、及び外来性転写ターミネーターとして供給されるか、あるいはプロテアーゼ遺伝子の内因性転写領域により供給される。幾つかの態様において、抗生物質含有培地中での育成によるプラスミド感染宿主細胞の連続的な培養を維持することができる抗生物質耐性遺伝子等の遺伝子選択も含む。
【0046】
幾つかの態様において、他の方法も用いることができるが、以下で説明するカセット変異誘発方法は、本発明のプロテアーゼ変異体を構築するのに用いられる。
【0047】
第一に、タンパク質をコードしている自然発生遺伝子を入手し、全体あるいは一部の配列を決定する。それから、コードされているタンパク質中に1以上のアミノ酸の変異(欠失、挿入または置換)を作成するために適した場所をスキャンする。この場所にフランキングしている配列は、発現したときに各種変異体をコードするオリゴヌクレオチドプールを用いて、遺伝子短断片を置換するための制限部位があるかどうか評価される。そのような制限部位は、好ましくは、遺伝子セグメントの置換を促進するためのタンパク遺伝子内の特徴的な部位である。しかしながら、アミラーゼ遺伝子中にあまり多く存在しない任意の制限部位を用いることもできる。制限消化によって、生成する遺伝子断片は、所望の配列中で再構築することもできる。もし、制限部位が、選択されたポイントから便利な距離(10から15ヌクレオチド)に存在しないときは、最終的な構築物中のリーディングフレームまたはアミノ酸のいずれも変化させずに、遺伝子中の核酸配列のヌクレオチドの置換によって、そのような部位を生成することができる。対象とする配列を確認するために、その配列を変化させるための遺伝子の変異は、既知の方法であるM13プライマーを伸長させることによって行うことができる。適切なフランキング領域の位置決め、及び、2の簡便な制限部位配列で必要な変異を発現させるための評価の作業は、遺伝子コードの余剰量(redundancy)、遺伝子の制限酵素マップ、及び、多くの異なる制限酵素を用いた、ルーチン作業で行うことができる。もし、簡便な制限フランキング部位が使用可能であるならば、上記方法は、サイトを含まないフランキング領域の結合にのみ用いる。
【0048】
一旦自然発生DNA又は、合成DNAがクローン化されると、変異位置に隣接している制限部位が同じ起源の制限酵素を用いて消化され、エンド末端に相補的なオリゴヌクレオチドの複数のカセットが、遺伝子の中に結合される。変異誘発はこの方法によって簡素化される、なぜならば、オリゴヌクレオチドの全ては、同じ制限部位を有するように合成することができ、該制限部位をつくるための合成リンカーが必要ないからである。
【0049】
本明細書で用いている「対応する」とは、タンパク質またはペプチド内に列挙された位置にある各残基、あるいはタンパク質またはペプチド内に列挙された各残基と類似、相同もしくは同等である残基を意味する。
【0050】
本明細書で用いる「対応する領域」の語は、通常、関連タンパク質又は親タンパク質中の類似する位置を言う。
【0051】
「コードしている核酸分子」、「コードしている核酸配列」、「コードしているDNA配列」、及び「コードしているDNA」の語は、デオキシリボ核酸の鎖に沿ったデオキシリボブクレオチドの配置又は配列を意味する。これらのデオキシリボヌクレオチオドの配置はポリペプチド(タンパク質)に沿ったアミノ酸の配列を決定する。従って、DNA配列はアミノ酸配列をコードする。
【0052】
本明細書で用いる「類似の(アナロガス)配列」は所望のタンパク質と、(すなわち、対象とするタンパク質と同じ起源の)、同じ機能、三次構造及び/又は、保存残基を有するタンパク質内の配列を言う。具体的な好ましい態様において、類似の配列は、エピトープ又はエピトープの近くにある配列を含む。例えば、アルファヘリックス又はベータシート構造を含むエピトープ領域内で、類似配列内で置換されたアミノ酸は、同じ特定の構造を維持していることが好ましい。この語は、アミノ酸配列の他に核酸配列についても用いる。いくつかの態様において、アナログ配列は、置換アミノ酸が、エピトープ又はエピトープに近いところのタンパク質中のアミノ酸と、同じ機能、三次構造及び/又保存される残基を示すように、構築される。従って、例えば、アルファヘリックス又はベータシート構造のようなエピトープ領域を含むところでは、アミノ酸の置換は、特定の構造を維持していることが、好ましい。
【0053】
本明細書で用いる「相同(ホモログ)タンパク質」とは、所望のタンパク質と同様な作用、構造、抗原性反応/または免疫原性反応を有するタンパク質を意味する。相同タンパク質と対象タンパク質とは、必ずしも進化の上で関係がなくてもよい。従って、この用語は、異なる種から得られる機能的に同じタンパク質(例えば、プロテアーゼ)を含むと考えられる。好ましい実施態様としては、所望のタンパク質内のエピトープを相同タンパク質からの類似のセグメントで置換すれば、変化による混乱を少なくすることができるので、所望のタンパク質と同様な三次および/または一次構造を有する相同タンパク質を用いることが望ましい。幾つかの態様において、ホモロガスタンパク質は所望のタンパク質として、低減された同様の免疫反応を有する。
【0054】
ここで用いる「相同遺伝子」とは、異なる種由来の、または通常は関連種由来の一組の遺伝子対をいい、それぞれが対応し、それぞれ同一または非常に類似しているものをいう。当該用語は種形成(すなわち、新しい種の進化)により分離した遺伝子(例えばオーソロガス遺伝子)、及び遺伝子重複により分離した遺伝子(例えばパラロガス遺伝子)を包含する。
【0055】
ここで用いる「オーソログ」及び「オーソロガス遺伝子」とは種形成により共通祖先の遺伝子(すなわち相同遺伝子)から進化した、異なる種の遺伝子をいう。通常、オーソロガスは進化の過程において同じ機能を保持する。新しく配列決定されたゲノムのオーソロガスを同定することで、信頼性の高い遺伝子機能の推測ができる。
【0056】
ここで用いる「パラログ」及び「パラロガス遺伝子」とはゲノム内で重複していることにより関連した遺伝子をいう。オーソログは進化の過程を通して同じ機能を維持するが、パラログはいくつかの機能は最初の機能に関連するが、それに加えて新しい機能も有している。パラログ遺伝子の例としては、限定されないが、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ及びトロンビンをコードする遺伝子が挙げられ、これらは全てセリンプロテイナーゼであり、同じ種内で一緒に発生する。
【0057】
本明細書で用いる「野生型」及び「天然の」タンパク質は、自然界において通常見られるタンパク質である。本明細書にて、互換的に用いる、「野生型配列」及び「野生型遺伝子」の語は、宿主細胞内で、天然に、または、自然発生的に生じる配列を言う。いくつかの態様において、野生型配列は、タンパク質工学的手法により利用されるタンパク質の開始点となる所望の配列を言う。この自然発生(すなわち、前駆体)タンパク質をエンコードしている遺伝子は、当該技術分野の当業者に既知の方法に従って得ることができる。この方法は、通常、所望のタンパク質の領域をエンコードする成熟配列を有するラベルプローブの合成、該タンパク質を発現している有機体の遺伝子ライブラリーの作成、及び、対象とする遺伝子に対するライブラリーのスクリーニングを含む。陽性ハイブリダイズクローンはその後、マッピングされ、配列決定される。
【0058】
本明細書で用いる「組換えDNA分子」の語は、分子生物学的手法によって、互いに結合されたDNAセグメントを含むDNA分子を言う。
【0059】
「組換えオリゴヌクレオチド」の語は、ポリヌクレオチド配列の制限酵素消化により生成された2つ以上のオリゴヌクレオチドのリゲーション、オリゴヌクレオチドの合成(例えば、プライマー又はオリゴヌクレオチドの合成)等を含むがこれらに限定されない分子生物学的手法を用いて生成されたオリゴヌクレオチドを意味する。
【0060】
配列間の相同性の程度は、本発明の技術分野で知られている適切な方法で決定することができる(Smith and Waterman, Adv. Appl. Math.,2:482[1981]; Needleman and Wunsch, J. Mol.Biol., 48: 443[1970]; Pearson and Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444 [1988];The Wisconsin Genetics Software Package (Genetics Computer Group, Madison, WI)のGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA等のプログラム;及びDevereux et al., Nucl. Acid Res., 12:387−395 [1984]参照のこと)。
【0061】
例えば、PILEUPは、配列のホモロジーのレベルを決定するのに有用なプログラムである。PILEUPは、累進的で対合的な配列法を用いて関係する配列の群から多重配列アラインメントを作り出す。アラインメントを作るための関係性の集積を示す系統樹(tree)もプロットすることができる。PILEUPは、Feng及びDoolittleの累進的アラインメント方法を簡素化したものである(Feng and Doolittle, J. Mol. Evol., 35: 351−360 [1987])。この方法は、Higgins及びSharpによって述べられた方法と同じである(Higgins and Sharp, CABIOS 5: 151−153 [1989])。有用なPILEUPパラメーターは、3.00のデフォルトギャップウエイト、0.10のデフォルトギャップレングス、及び、ウエイトエンドギャップを含んでいる。他の有用なアルゴリズムの例は、Altschulらによって述べられたブラストアルゴリズムである(Altschul et al., J. Mol.Biol., 215: 403−410, [1990]; 及びKarlin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873−5787 [1993])。ある具体的なBLASTプログラムは、WU−BLAST−2プログラムである(Altschul et al., Meth. Enzymol. 266 : 460−480 [1996]参照のこと)。「W」、「T」及び「X」のパラメーターは、アラインメントの速度及び感度を決定する。BLASTプログラムは、デフォルトとして、ワード長(W)11、BLOSUM62得点マトリックス(Henikoff、Henikoff、Proc. Nat’l Acad. Sci. USA,89:p10915(1989)参照)アラインメント(B)50、期待値(E)10、M’5、N’−4、および両ストランドの比較を用いる。
【0062】
本明細書で用いる「ヌクレオチド配列の相同性の割合(%)」は、候補配列中にある、配列のヌクレオチド配列と同一であるヌクレオチド残基の割合として定義される。
【0063】
本明細書で用いる、「ハイブリダイゼーション」の語は、本発明の技術分野で知られているように、塩基のペアリングを通じて、核酸のストランドに相補的なストランドが結合するプロセスであると定義される。
【0064】
本明細書で用いる「ハイブリダイゼーション条件」の語は、ハイブリダイゼーションが行われる条件を言う。これらのコンディションは、ハイブリダイゼーションが測定される条件下の「ストリンジェンシー」の程度によって通常分類される。ストリンジェンシーの程度は例えば、複合体またはプローブに結合する核酸の融解温度(Tm)を基準とする。ハイブリダイゼーション条件は核酸結合複合体またはプローブの融点(Tm)に基づく。例えば、「最大ストリンジェンシー」は通常約Tm−5℃(プローブのTmより5℃低い)で起こり、「高ストリンジェンシー」はTmより約5〜10℃低く;「中間ストリンジェンシー」はプローブのTmより約10〜20℃低く;及び「低ストリンジェンシー」はTmより約20〜25℃低い。例えば、6XSSC=とても低いストリンジェンシー;3XSSC=低〜中ストリンジェンシー;及び0.5xSSC=高ストリンジェンシーである。機能上、最大ストリンジェンシー条件はハイブリダイゼーションプローブと厳密な同一性または実質的に厳密な同一性を有する配列を同定するために用いることができ、一方、中間または低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、プローブと約80%以上の配列同一性を有する核酸配列を同定するために用いることができる。
【0065】
高度の選択性を必要とする用途に対しては、通常、ハイブリッド形成に比較的高ストリンジェンシー条件が用いられる(例えば、比較的低い塩および/または高温の条件が用いられる)。
【0066】
少なくとも2の核酸分子またはペプチドについての文脈中における、「実質的に似ている」及び「実質的に同一な」の語は、参照される配列(すなわち野生型配列)と比較して、少なくとも60%の同一性、好ましくは、少なくとも75%の同一性、より好ましくは少なくとも80%の同一性、更に、より好ましくは、少なくとも90%の同一性、更により好ましくは少なくとも95%の同一性、より好ましくは97%の同一性、時には、98%及び99%の同一性を有する配列を含む。配列同等性は、標準パラメーターを使用した、BLAST、ALIGEN及びCLUSTAL等の既知のプログラムを用いて決定される(Altschulet al., J. Mol.Biol. 215: 403-410 [1990]; Henikoff etal., Proc. Natl. Acad Sci. USA 89: 10915 [1989]; Karin etaL, Proc. Natl Acad. Sci USA 90: 5873 [1993]; 及び Higgins etal., Gene 73: 237-244 [1988]参照のこと)。BLAST解析を行うソフトウエアは、National Center for Biotechnology Informationを通じて利用可能である。また、データベースもFASTAを用いてサーチされる(Pearson et al., Proc.Natl. Acad. Sci. USA 85: 2444-2448 [1988])。2つのポリペプチドが実質的に同一であるという、ある示唆は、第一のポリペプチドが、免疫学的に第二のポリペプチドと交差反応性であるということと等しい。ペプチド内の置換されているアミノ酸が保存されているアミノ酸である場合、このペプチドは、免疫学的に交差反応性でもある。この場合、一のポリペプチドは実質的に第二のポリペプチドと同一である。例えば、二のペプチドが保存的な置換においてのみしか異ならない場合である。二のポリペプチドが実質的に同一であるという他の教示は、二の分子がお互いに、ストリンジェンシーなコンディション(例えば、高ストリンジェンシーな培地の幅ないで)でハイブリダイスするということである。
【0067】
本明細書で用いる「等しい残基」の語は、特定のアミノ酸残基を共有するタンパク質を言う。例えば、等しい残基は、X線結晶化学によって同定される三次構造を有するあるタンパク質(例えばINF−β)の三次構造のホモロジーレベルを検出することによって同定される。等しい残基は、前駆体タンパク質の特定のアミノ酸残基の2個以上の主鎖原子の原子座標(N対N、CA対CA、C対CおよびO対O)が位置合わせ後に0.13nm、好ましくは0.1nm以内であるものと定義される。位置合わせは、対象とする非水素タンパク質原子の原子座標について最大の重複を生じるように最良のモデルが配向、配置された後に達成される。この最良のモデルは、結晶学及びタンパク質の特徴付け/解析の分野において当業者に知られている方法を用いて検出され、利用できる最高の解像度において回折実験データの最低のRファクターが得られる結晶学的なモデルである。
【0068】
本明細書で用いる「調節エレメント」の語は、核酸配列の発現のいくつかの側面を調節する遺伝的エレメントを言う。例えば、プロモーターは、作動可能に結合しているコード領域の転写の開始を促進する調節エレメントである。更なる調節エレメントは、スプライシングシグナル、ポリアデニレーションシグナル及びターミネーションシグナルを含む。
【0069】
本発明で用いる「宿主細胞」の語は、発現ベクター又は所望の遺伝子を含む原核又は真核宿主細胞である。宿主細胞は組換えDNA技術を用いて構築されたベクターで形質転換、又は、トランスフェクションされる。そのような形質転換された宿主細胞はタンパク質変異体をコードする複製ベクター又は所望のタンパク質を発現する複製ベクターのいずれかである。このような変異タンパク質のプレ-又はプレプロ−型をエンコードするベクターの場合、発現したときに宿主細胞培地の中で選択される。
【0070】
目的の核酸配列を細胞内へ挿入するという文脈上用いられる「導入する」の語は、形質転換、形質導入、又は、形質感染の意味を有する。形質転換の意味は、プロトプラスト形質転換、塩化カルシウム沈降法、電気穿孔法、及び本技術分野で既知の方法を含む(Chang and Cohen (1979) Mol. Gen. Genet. 168: 111-115; Smith et al., (1986) Appl. and Env. Microbiol. 51: 634;及びthe review article by Ferrariet al., (1989) Genetics, pages 57-72 in Bacillus ed. C. Harwood, Plenum Publishing Corporation参照のこと)。
【0071】
「プロモーター/エンハンサー」とは、プロモーターとエンハンサーの両方の機能を提供することができる配列を含むDNAセグメントを言う(例えば、レトロウイルスの長い末端反復配列はプロモーターとエンハンサーの機能を含んでいる)。エンハンサー/プロモーターは、「内性」または、「外因性」あるいは、「非相同」である。内性エンハンサー/プロモーターは、染色体内で与えられた遺伝子と自然に結合している。外因性(非相同の)エンハンサー/プロモーターは、遺伝子操作の手段(すなわち、分子生物学的技術)によって、遺伝子に並列配置されたものである。
【0072】
発現ベクター上の「スプライシングシグナル」の存在は、組み替えられた転写の発現のレベルを高める。スプライシングシグナルは、一次RNA転写からイントロンの除去を仲介するものであり、スプライスドナー及びアクセプター部位を含む(Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York [1989], pp.16.7−16.8)。通常用いられるスプライスドナー及びアクセプター部位はSV40の16SRNA由来のスプライスジャンクションである。
【0073】
「安定な形質感染」又は「安定な形質導入」の語は、形質転換させる細胞の遺伝子に、外来DNAを導入し、組み込むことを言う。「安定した形質感染体」の語は、形質転換される細胞の染色体内へ、安定して組み込まれた外来あるいは外因性のDNAを有する細胞を言う。
【0074】
本明細書で用いる「選択マーカー」または、「選択遺伝子プロダクト」の語は、選択マーカーが発現されたところで、細胞の抗生物質または薬物体制を確定する酵素活性をエンコードしている遺伝子の使用を言う。
【0075】
「増幅」はテンプレート特異性に関する核酸複製の特殊なケースである。これは非特異性テンプレート複製(すなわち、テンプレート依存性であるが特定テンプレートに依存しない複製)と対比される。テンプレート特異性は複製の正確さ(すなわち、適正なポリヌクレオチド配列の合成)及びヌクレオチド(リボ−またはデオキシリボ−)特異性とはここでは区別される。テンプレート特異性は「標的」配列に対する特異性に関して説明されることが多い。標的配列は、それらがその他の核酸から選別するために探されるという意味において「標的」である。増幅技術はこの選別を第一に考えて発達してきた。
【0076】
「増幅」はテンプレート特異性に関する核酸複製の特殊なケースである。これは非特異性テンプレート複製(すなわち、テンプレート依存性であるが特定テンプレートに依存しない複製)と対比される。テンプレート特異性は複製の忠実度(すなわち、適正なポリヌクレオチド配列の合成)及びヌクレオチド(リボ−またはデオキシリボ−)特異性とはここでは区別される。テンプレート特異性は「標的「特異性に関して説明されることが多い。標的配列は、それらがその他の核酸から選別するために探されるという意味において「標的」である。増幅技術はこの選別を第一に考えて設計されてきた。
【0077】
ここで用いる「共増幅」の語は、その他の遺伝子配列が一緒に導入される増幅マーカーの1の細胞内への導入(すなわち、発現ベクター内に含まれる遺伝子のような1以上の非選択遺伝子を含む)及び細胞が増幅マーカーとその他の非選択遺伝子配列の両方を増幅するような適当な選択圧の増幅をいう。増幅マーカーはその他の遺伝子配列に物理的に結合していてもよく、またはDNAが2つの別個の断片、すなわち一方が増幅マーカーを含み、及びもう一方が非選択マーカーを含むものが同じ細胞内に導入されてもよい。
【0078】
ここで用いる、「増幅マーカー」、「増幅遺伝子」及び「増幅ベクター」の語は適当な増殖条件下で遺伝子の増幅を可能にする遺伝子をエンコードする遺伝子またはベクターをいう。
【0079】
本明細書で用いる「増幅可能な核酸」の語は、任意の増幅方法で増幅された核酸を言う。「増幅可能な核酸」は通常「サンプルテンプレート」を含む。
【0080】
本明細書で用いる「サンプルテンプレート」の語は、「標的」(下記に定義)の存在について分析されるサンプルから生じる核酸をいう。一方、「バックグラウンドテンプレート」はサンプルテンプレート以外の核酸に関して用いられ、サンプル内に存在していてもいなくてもよい。バックグラウンドテンプレートはほとんどの場合、不慮もものである。前駆体からの影響を受けているか、または、サンプルから精製すべき核酸汚染物質の存在によるものである。例えば、検出すべき微生物以外の生物由来の核酸は試験サンプル内でバックグラウンドとして存在し得る。
【0081】
「テンプレート特異性」はほとんどの増幅技術において酵素の選択により達成される。増幅酵素は使用される条件下において、核酸の外来混合物において核酸の特定配列のみ処理する酵素である。例えば、Qβレプリカーゼの場合、MDV−1 RNAはレプリカーゼの特異テンプレートである(例えば、Kacian et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69:3038[1972]を参照)。その他の核酸はこの増幅酵素によっては複製されない。同様に、T7 RNAポリメラーゼの場合、この増幅酵素はそれ自身のプロモーターにストリンジェントな特異性を有する(Chamberlin et al., Nature 228:227[1970]を参照)。T4 DNAリガーゼの場合、当該酵素は2つのオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを連結せず、ここで連結接合部分にオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド基質とテンプレート間の不整合が存在する(Wu and Wallace, Genomics 4:560[1989]を参照)。最後に、Taq及びPfuポリメラーゼは、高温で機能する能力を有するため、配列結合の高い特異性を示し、従って、プライマーにより確定され、高温が標的配列とのプライマーハイブリダイゼーションに有利に働き、非標的配列とのハイブリダイゼーションには有利でない熱力学的条件を生じる。
【0082】
本明細書で用いる、「プライマー」の語は、精製制限消化などにおいて自然に生じるまたは合成的に生成されるオリゴヌクレオチドをいい、核酸鎖に相補的なプライマー伸長生成物の合成が導入される条件下に置かれた場合(すなわち、ヌクレオチド及びDNAポリメラーゼなどの誘発剤の存在下、及び適した温度及びpHで)、合成開始点として作用するものを言う。当該プライマーは好ましくは増幅効率を最大にする1本鎖であるが、2本鎖であってもよい。2本鎖の場合、プライマーは伸長生成物の準備のために用いる前にそのストランドを分離処理する。好ましくは、プライマーはオリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーは誘発剤の存在下、伸長生成物の合成開始のため十分に長くなければならない。プライマーの正確な長さは、誘発温度、プライマーの供給源及び使用する方法など多くの因子に左右される。
【0083】
本明細書で用いる「プローブ」の語は、精製制限消化などにおいて自然に生じる、または合成、組換えまたはPCR増幅により生成されるオリゴヌクレオチド(すなわちヌクレオチド配列)をいい、別の目的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズできるものである。プローブは1本鎖または2本鎖である。プローブは特定遺伝子配列の検出、同定及び単離に有用である。本発明で使用されるいかなるプローブも任意の「リポーター分子」で標識するので、任意の検出システムにおいて検出可能であり、限定されないが、酵素(例えば、ELISA及び酵素ベースの組織化学的分析)、蛍光、放射性及び発光性システムなどがある。本発明はいかなる特定の検出システムまたは標識にも限定されない。
【0084】
本明細書で用いる「標的」の語はポリメラーゼ連鎖反応に関して用いる場合、ポリメラーゼ連鎖反応に用いるプライマーが結合する核酸領域をいう。従って、「標的」は他の核酸配列から選別された所定の核酸を言う。「断片」は標的配列内の核酸領域として定義される。
【0085】
本明細書で用いる「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)の語はここに引用する米国特許Nos.4,683,19、4,683,202、及び4,965,188の方法を言い、クローニングまたは精製することなくゲノムDNAの混合物における標的配列の断片濃度を増加させる方法を含む。標的配列を増幅するこの方法は、対象とする標的配列を含むDNA混合物に過剰量の2つのオリゴヌクレオチドプライマーを導入し、DNAポリメラーゼの存在下、サーモサイクルの正確な配列を行うことからなる。2つのプライマーは2本鎖標的配列のそれぞれの鎖に相補的である。増幅をもたらすために、混合物を変性させ、それからプライマーを標的分子内のそれらの相補配列にアニールする。アニーリングに続いて、プライマーは新しい相補鎖ペアを形成するためにポリメラーゼを用いて伸長する。変性、プライマーアニーリング及びポリメラーゼ伸長工程は何回も繰り返すことができ(すなわち変性、アニーリング、及び伸長は1「サイクル」を構成し、多数の「サイクル」を行うことができる)、対象とする標的配列の増幅断片を高濃度で得ることができる。対象とする標的配列の増幅断片の長さはお互いのプライマーの相対位置により決定され、従って、この長さは制御可能なパラメーターである。当該プロセスの繰返し側面のため、当該方法は「ポリメラーゼ連鎖反応」(以下「PCR」とする)と呼ばれる。標的配列の対象とする増幅断片は混合物中で主要な配列(濃度に関して)となるので、それらは「PCR増幅された」という。
【0086】
本明細書で用いる「増幅試薬」の語は、プライマー、核酸テンプレート及び増幅酵素以外の増幅に必要な試薬をいう(デオキシリボヌクレオチド3リン酸、バッファー等)。通常、増幅試薬はその他の反応成分と一緒に反応容器(試験管、マイクロウェル等)内に加えて含まれる。
【0087】
PCRを用いて、ゲノムDNA中の特異標的配列の1のコピーをいくつかの異なる方法で検出可能なレベルまで増幅することが可能である(例えば、標識プローブを用いるハイブリダイゼーション;ビオチン化プライマーの混合、続いてアビジン−酵素結合検出;dCTPまたはdATPなどの32P標識デオキシヌクレオチド3リン酸の増幅断片への混合)。ゲノムDNAに加えて、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列が適当なプライマー分子のセットを用いて増幅できる。特に、PCRプロセスにより作成された増幅断片はそれ自身、続くPCR増幅の効率的なテンプレートである。
【0088】
本明細書で用いる「PCR生成物」「PCR断片」及び「増幅生成物」の語は変性、アニーリング及び伸長が完結する2以上のサイクルのPCR工程後の化合物の最終混合物をいう。これらの語は1以上の標的配列の1以上の断片の増幅が行われる場合を含む。
【0089】
本明細書で用いる「制限エンドヌクレアーゼ」及び「制限酵素」の語はそれぞれ特定ヌクレオチド配列で、またはその近くで2本鎖DNAを切断する、細菌性酵素をいう。
【0090】
本明細書で用いる「表面性質」の語はタンパク質の表面に提示される親水性及び/又は疎水性等の性質の他、電荷についても意味する。
【0091】
本明細書において、「洗浄組成物」及び「洗剤」の語は、固形物質の洗浄のために洗浄媒体に用いることを意図した混合物を意味する。好適な板用において、この語は、食器、カトラリー等(例えば、食器用洗剤)の洗浄に用いる洗剤を意味する。本発明を任意の特定の洗剤製剤又は組成物に限定することは意図しない。すなわち、本発明の少なくとも1つの酵素を含む洗剤をも意味し、この語は、界面活性剤、移動剤、加水分解酵素、酸化還元剤、抑制剤、マスキング剤、酵素活性剤、抗酸化剤、及び可溶化剤を含むものをも包含する。
【0092】
本明細書において、「洗浄組成物」の語は顆粒及び液体形態を含むがこれらに限定されない、食器を洗浄するための全ての形態の組成物を意味する。本発明を特定の食器用洗浄組成物に限定することを意図しない。即ち、本発明はセラミック、プラスチック、金属、トチャイナ、ガラス、アクリル等を含むがこれらに限定されない任意物質からできた、食器(例えば、皿、カップ、グラス、ボウル等を含むがこれらに限定されない食器)及びカトラリー(スプーン、ナイフ、フォーク、サービング用具等を含むがこれらに限定されない道具)の洗浄に用いることができる。「食器」の語は本明細書において食器及びカトラリーの両方を含む。
【0093】
本明細書において、変異体の「洗浄性能」の語は変異体プロテアーゼ洗浄組成物に添加した場合と比較して、変異体プロテアーゼを添加した洗剤が提供する追加的な洗浄性能の寄与を意味する。洗浄性能は関連する洗浄条件下で比較される。
【0094】
「関連する洗浄条件」の語は、食器用洗剤の市場で意図される家庭で実際に用いられる、特定の洗浄温度、時間、洗浄機器、泡の状態、洗剤のタイプ、及び水の高度の条件を意味する。
【0095】
「改善された洗浄性能」の語は、関連する洗浄条件において食器及び/又はカトラリーからの汚れの除去において好ましい結果が得られること、又は対応する野生型酵素と比較して同じ結果が、重量ベースでより少ない変異体プロテアーゼで得られることを意味する。
【0096】
「維持された洗浄性能」の語は、関連する洗浄条件下で、対応する野生型酵素の少なくとも80%に当たる変異体プロテアーゼ酵素の性能を意味する。
【0097】
プロテアーゼの洗浄性能は適切な条件下で、特定の代表的な汚れを除去する能力により測定される。これらのシステムにおいて、洗浄組成物、泡抑制剤、水の高度、洗浄機器、時間、pH、及び/又は温度等の因子を特定のマーケットセグメントにおける課程用製品のための条件に限定されるように、制御することができる。本明細書で説明する試験的な製品試験システムはDNA変異誘発を通じて修飾されたタンパク質分解酵素を用いる家庭用製品の代表的例である。従って、本明細書で提供される方法は大量の異なる酵素の試験及び特定の製品に特に好適な酵素の選択を促進する。
【0098】
本明細書において、「殺菌」の語は、物の表面上の微生物を抑制又は殺すとこのほかに、表面から不純物を除去することも意味する。本発明を特定の表面、物、又は不純物に限定することは意図しない。
【0099】
バクテリアセリンプロテアーゼのいくつかは、「スブチリシン」といわれている。スブチリシンはバチルススブチリス(Bacillus subtilis)、バチルスアミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)(「スブチリシンBPN」)、及び/又はバチルスリケニフォルミス(Bacillus licheniformis)(「スブチリシンカールスバーグ」(subtilisin Carlsberg))を含む(例えば、Markland and Smith, in Boyer (ed.), Enzymes. THE (Boyer, ed.) vol. 3, pp.561−608, Academic Press, New York, [1971]参照)。アルカリ性バチルス株は他のプロテアーゼを生成する。後者のカテゴリーの例としては、MAXACAL(商標)プロテアーゼ(本明細書において、バチルスの新たな株PB92から単離されたPB92プロテアーゼと言う)、及びSAVINASE(商標)プロテアーゼを含む。追加的なプロテアーゼはPROPERASW(商標)プロテアーゼを含むがこれらに限定されない。
【0100】
PB92プロテアーゼのアミノ酸(配列番号2)及びDNA配列(配列番号1)を表2に示す。成熟プロテアーゼは269のアミノ酸からなり、27,000ダルトンの分子量、高アルカリ範囲に等電点を有する。PB92のタンパク質基質への活性はアルカリデルフト単位(Alkaline Delft Unit (ADU))であらわす。ADUでの活性はpHを8.5から10.0に変更した以外は、英国特許No.1,353,317に記載の方法で測定する。精製PB92プロテアーゼは1mg当たり21,000ADUの活性を有する。カゼイン上で測定される代謝回転数(cat)は90秒−1モル−1である。
【0101】
スブチリシンカールスバーグの精製された調整物の特定の活性は10,000ADU/mgであり(Delange and Smith, J. Biol. Chem., 243:2184 [1968]参照)、スブチリシンBPN’の活性は7,000ADU/mgである(Matsubara et al, J. Biol. Chem., 240:1125 [1965]参照)。特定の活性及び代謝回転数(cat)は別にして、PB92プロテアーゼはカールスバーグスブチリシン、スブチリシンBPN’及び高い正電荷を有する製剤化された他の酵素(例えば、MAXATASE(商標)及びALCALASE(商標))のようなプロテアーゼから、本来タンパク質の電気泳動により視認で区別することができる。
【0102】
PB92プロテアーゼはアルカリpHの値で汚れの除去において活性を有しているので、従来の洗剤の添加剤に、界面活性剤、ビルダー、及び酸化剤等の洗剤の成分と一緒に用いられている。後者は大部分において粉末形態で用いられている。PB92プロテアーゼは前述のスブチリシン等の他のプロテアーゼに比べて汚れを除去する能力が高い。このことは同じ洗浄能力を提供するためにより少ないPB92プロテアーゼでよいことを意味している。酸化に対する感受性は、洗剤に適用されるPB92及び他のセリンプロテアーゼに重要な欠点である(例えば、Stauffer et al., J. Biol. Chem., 244:5333−5338 [1969]; 及びEstell et al, J. Biol. Chem., 263:6518−6521 [1985]参照)。酸化されていないPB92プロテアーゼと比較して、過ホウ酸三水和物及びTAEDを含む活性剤システムにより生成されるH又は過酸によるPB92プロテアーゼの酸化は、ADU/mgにより、それぞれ50%及び10%に相当する。
【0103】
本発明は、天然のバクテリアセリンプロテアーゼ由来の変異体タンパク質分解酵素の生成、スクリーニング、及び選択のための方法及び組成物を提供する。そのような変異体は、例えば、アルカリ性バチルス株の野性型遺伝子由来の遺伝子によりコードされたものである。最も好適な態様において、この株はPB92である。
【0104】
しかしながら、アルカリ性バチルス株SAVINASE(商標)由来の変異タンパク質が好適である。本発明はアルカリ性バチルス株PB92由来のセリンプロテアーゼ以外のプロテアーゼ由来の修飾プロテアーゼの選択に用いることができる。例えば、バチルススブチリス(Bacillus subtills)、バチルスアミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、及びバチルスリケニフォルミス(Bacillus licheniformis)のセリンプロテアーゼをコードする遺伝子が知られており、変異誘発の標的に用いることができる。しかしながら、オリゴヌクレオチドを用いた部位指定変異誘発、又は領域指定ランダム変異誘発を含むがこれらに限定されない他の好適原意誘発修飾が本発明に用いられることから、本発明を特定の方法に限定することは意図しない。
【0105】
幾つかの好ましい態様において、生成及びスクリーニングを含む本発明により提供される変異タンパク質酵素の選択のための方法は、所望のタンパク質分解酵素をコードするクローン化された遺伝子又はそれらのフラグメントを変異させる工程、1つ又は複数の得られた変異プロテアーゼ遺伝子を単離する工程、この変異プロテアーゼ遺伝子を、発現及び生成に好適な宿主細胞株、好ましくは、好適なベクターに導入する工程、及び洗剤に適用するのに改善された性質を有するこれらの変異プロテアーゼを同定する工程を含む。
【0106】
変異プロテアーゼの生成のために好適な宿主細胞株はプロテアーゼを発現することができる改質転換可能な微生物を含む。特に、実質的に同じ性質を有するプロテアーゼの由来と同じ種又は属の、バチルス株、特にアルカリ性バチルス株、最も好ましくは新規なバチルス株であるPB92又はこれらの変異体である宿主株が好ましい。バチルススブチリス、バチルスリケニフォルミス、及びバチルスアミロリケファシエンス株が好適な株である。他の好適な宿主株は変異遺伝子で形質転換する前に細胞外タンパク質分解酵素の生成を行わない他の株を含む。特に好適なものは、新規なバチルスPB92の不完全誘導体等のバチルス株であると定義されたものである。プロテアーゼの発現は選択された宿主有機体で昨日するシグナルの発現を用いて得ることができる。シグナルの発現はプロテアーゼ遺伝子の転写及び翻訳を調節しているDNAの配列を含む。好適なベクターは染選択された宿主株において有意に高いコピー数を複製し、色体取り込みにより、宿主系統内において、プロテアーゼ遺伝子を維持することができるものである。
【0107】
本発明の変異タンパク質分解酵素は適した発酵条件下における培養、1つ以上の所望の変異タンパク質分解遺伝子、及び生成された酵素の回収により調製することができる。
【0108】
好ましくは、この発現されるプロテアーゼは培地内で、グラム陰性バクテリア宿主株の場合、ペルプラスム種で選択され、それらの回収を促進する。選択のためには、好適なアミノ停止シグナル配列が用いられる。好ましくはこのシグナル配列は、選択された宿主株内で機能するならば、オリジナル遺伝子によりコードされるシグナル配列である。
【0109】
幾つかの態様において、自然発生、又は自然に変異した洗浄用プロテアーゼの性質がこの酵素の変異を変えることにより、高められる。大部分において、変異は保存的又は非保存的置換であるが、幾つかの態様において、欠失及び挿入も用いることができる。
【0110】
保存的置換において以下の表を用いる
脂肪族
天然
非極性(G、A、P、L、I、V)
極性(C、M、S、T、N、Q)
電荷
負電荷(D、E)
正電荷(K、R)

芳香族
(F、H、W、Y)
任意のアミノ酸は同じカテゴリー、特に同じラインの他のアミノ酸で置換される。更に、極性アミノ酸、N、Qは電荷アミノ酸に置換するか、又はこれらにより置換される。本発明の目的のために、プロテアーゼのアニオン性質を高めることとなる、特に活性部位に直接含まれない置換が特に好ましい。
【0111】
変異のために特に好適な領域は、Eglin Cが活性部位に結合している場合は、Elin C抑制分子から4Å離れたアミノ酸である。
【0112】
以下の番号はPB92プロテアーゼに基づいているが、実質的に類似の構造、特に約70%より高い配列相同性、特に約90%より高い配列相同性を有する、他のセリンプロテアーゼについても当てはまるであろう。特に好適な位置は、タンパク質に関係する基質と相互作用することから、32、33、48−54、94−107、116、123−133、150、152−156、158−161、164、169、175−186、197、198、230−216(PB92の番号)を含む。幾つかの最も好適な態様において、変異位置は、116、126、127、及び128(PB92番号)である。代替的な態様において、追加的な変異は160の位置で起こる。
【0113】
更なる態様において、特に意図する置換位置は60、94、97−102、105、116、123−128、150、152、160、183、211、212、213、214、及び216(PB92の番号)を含む。幾つかの位置において、不安定なアミノ酸(例えば、メチオニン)をより酸化安定性のあるアミノ酸(例えば、スレオニン)で置換して、この部位におけるアミノ酸の通常の形態及び容量を維持する。幾つかの他の態様において、天然アミノ酸を大部分他のアミノ酸で置換して改良された結果を得る。特にヒドロキシル化されたアミノ酸S及び/又はTを、極性又は非極性アミノ酸、又は更には芳香族アミノ酸で置換する。
【0114】
幾つかの最も好適な態様において、置換は以下を含む(PB92の番号)、
G116 I、V、L
S126を任意のアミノ酸、P127を任意のアミノ酸、S128を任意のアミノ酸、
S160を芳香族又は中性脂肪族アミノ酸、
A166を電荷のある、特定のアミノ酸
M169を天然の脂肪族、好ましくは非極性のアミノ酸
N212 アニオンアミノ酸
M216脂肪族、極性、特に、S、T、N、Q
【0115】
驚くべきことに、共通の基質を有するプロテアーゼの低い特定の活性が多くの変異体において得られたが、洗浄性能は天然の酵素に匹敵するか又は高められていて、多くの場合貯蔵安定性が改善されていた。更に、幾つかのPB92変異プロテアーゼの洗浄性能を天然のPB92プロテアーゼと比較すると、約120乃至約180パーセントになっていた。従って、本発明は天然プロテアーゼと比較して改善された性能を有するプロテアーゼを提供する。
【0116】
幾つかの態様において、幾つかの変異を組み合わせて洗浄組成物中のプロテアーゼの安定性を高めることができる。同じプロテアーゼの洗浄に有利に影響する幾つかの変異を組み合わせて更に改善されたプロテアーゼを提供することができる(例えば、S126M、P127A、S128G、S160D、及びG116V、S126V、P127S、S128A,S128A、S160D;PB92の番号)。
【0117】
有用な変異タンパク質インデックスは本明細書の変異又は変異のセットを組み合わせて提供することもできる。更なる態様において、本明細書で提供する特に有用な変異は他の部位の変異と組み合わせられる。幾つかの態様において、これらの組合せは酵素の性質において相当の変化をもたらす。他の態様において、これらの変更はそれほど変化をもたらさない。
【0118】
本明細書で定義するように、本発明は洗剤組成物及び/又は洗浄工程において1つ以上の変異体タンパク質分解酵素の使用も含む。PB92プロテアーゼに対して相同なプロテアーゼにおいて起こる変異誘発又は自然発生のいずれかにより、プロテアーゼのポリペプチド鎖においてアミノ酸の欠失又は置換が起こると、最終的にアミノ酸の番号が変更することは理解されている。しかしながら、PB92プロテアーゼのアミノ酸の位置に相同な位置は特許請求の範囲内であることも理解されるであろう。
【実施例】
【0119】
以下の実施例は特定の好適な態様を説明する目的で提供されるものであり、本発明をこれらの範囲に限定することを意図するものではない。
【0120】
以下に示す実験において、以下の略語を用いる;℃(摂氏温度);rpm(1分当たりの回転数);HO(水);HCl(塩酸);aa(アミノ酸);bp(ベースペア);kb(キロベースペア);kD(キロダルトン);gm(グラム);μg及びug(ミクログラム);mg(ミリグラム);ng(ナノグラム);μl及びul(ミクロリットル);ml(ミリリットル);mm(ミリメートル);nm(ナノメートル);μm及びum(マイクロメートル);M(モル);mM(ミリモル);μM及びuM(マイクロモル);U(単位);V(ボルト);MW(分子量);sec(秒);min(s)(分);hr(s)(時間);MgCl(塩化マグネシウム);NaCl(塩化ナトリウム);OD28O(280nmにおける光学密度);OD6OO(600nmにおける光学密度);PAGE(ポリアクリルアミド電気泳動);EtOH(エタノール);PBS(リン酸緩衝生理食塩水[150mM NaCl、10mMリン酸ナトリウム、pH7.2]);SDS(硫酸ドデシルナトリウム);トリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン);TAED(N,N,N’N’−tテトラアセチルエチレンジアミン);w/v(重量対容量);v/v(容量対容量);MS(マススペクトロコピー);TIGR(THE Institute for Genomic Research, Rockville, MD);AATCC(American Association of Textile and Coloring Chemists);SR(シミ又は汚れの除去);WFK(wfk Testgewebe GmbH, Bruggen−Bracht, Germany);Amersham (Amersham Life Science,Inc. Arlington Heights, IL);ICN(ICN Pharmaceuticals, Inc., Costa Mesa, CA); Pierce(Pierce Biotechnology, Rockford, IL);Amicon(Amicon, Inc., Beverly, MA);ATCC(American Type Culture Collection,Manassas,VA);Amersham(Amersham Biosciences,Inc., Piscataway, NJ);Becton Dickinson (Becton Dickinson Labware, Lincoln Park, NJ); BioRad(BioRad, Richmond, CA);Clontech(CLONTECH Laboratories, Palo Alto, CA);Difco(Difco Laboratories, Detroit, MI); GIBCO BRL 又は Gibco BRL(Life Technologies, Inc., Gaithersburg, MD);Novagen(Novagen, Inc., Madison, WI);Qiagen(Qiagen, Inc., Valencia, CA);Invitrogen(Invitrogen Corp., Carlsbad, CA);Finnzymes(Finnzymes Oy,Espoo,Finland);Macherey−Nagel(Macherey−Nagel,Easton, PA);Merieux(Instirut Merieux,Codex,FR);Kelco(CP Kelco, Atlanta, GA);Genaissance(Genaissance Pharmaceuticals, Inc., New Haven, CT);DNA 2.0(DNA 2.0, Menlo Park, CA);MIDI(MIDI Labs,Newark, DE) InvivoGen (InvivoGen, San Diego, CA);Sigma(Sigma CHEMICAL Co., St. Louis, MO);Sorvall(Sorvall Instruments,a subsidiary of DuPont Co., Biotechnology Systems, Wilmington, DE);Stratagene(Stratagene Cloning Systems, La Jolla, CA);Roche(Hoffmann La Roche, Inc., Nutley, NJ);Agilent(Agilent Technologies, Palo Alto, CA);Minolta(Konica Minolta, Ramsey, NJ);Zeiss(Carl Zeiss, Inc., Thornwood, NY);Henkel(Henkel,GmbH, Dusseldorf, Germany);Cognis(Cognis Corp,USA, Cincinnati, OH);Finnzymes(Finnzymes Oy, Espoo, Finland);Reckitt Benckiser, Berks, United Kingdom);BASF(BASF Corp., Florham Park, NJ);IKW(Industrieverband Korperflege und Waschmittel, Frankfurt, Germany);及び WFK(Testgewebe GmbH, Bruggen−Bracht, Germany)。
【0121】
3.00mmolCa+Mg(16.8d)を含む幾つかの食器洗浄試験に用いた合成水を以下のように調製した。第一に、1つのストック溶液を調製した。溶液1は800mmol/l NaHCO(67.2g/l)であり、溶液2は154.2mmol/lMgSO*7HO(38.0g/l)であり、溶液3は446.1mmol/lCaCl*2HO(65.6g/l)であった。各溶液を調製した後、50mlの各ストック溶液、1、2、及び3を7Lの脱イオン水を含む管に入れ、この環に水を入れ全体を10Lにした。使用の前にこの合成水のpHの値をHCL又はNaOHで7.5に調節した。
【0122】
以下の表1は本発明の開発の環に製造され試験された変異体を示す。この表において、BPN’及びPB92の番号を参照のために示す。
【表1】

【0123】
表1において、全ての株を製造し、実施例で説明する方法を用いて特徴付けた。アスタリスク(*)で示す下部はEP0571049に記載のものである(実施例1A乃至C)を参照のこと。他の全ての変異体は実施例1Dに記載のように調製した。
実施例1
PB92プロテアーゼ変異体の構築
【0124】
この実施例において、本明細書で提供されるPB92への幾つかを構築するための方法を説明する。変異誘発からの基礎となる構築体を「pM58」と呼び、EP0283075及びEP0571049に記載されている。以下の3つの手順を含む。
A.変異誘発ベクター13M1の構築、
B.変異手順
C.pM58Ecoの構築及びベクター内での変異DNAフラグメントのサブクローニング
【0125】
更に、パートD(「PB92変異体の構築」)は本発明に有用なPB92変異体の構築の説明を含む。
A. 変異誘発ベクター13M1の構築
【0126】
基礎構築物pM58は制限酵素HpaI及び/又はBalIを用いて消化した。PB192プロテアーゼ遺伝子を含む140bpフラグメントを本分野で知られている低融点アガロース上で精製した。ベクターM13MP11(Messing et al., Nucl. Acids Res., 9:303−321 [1981]参照)をSmaIで消化した。所望の1400bpDNAフラグメントをベクターに結合し、既知の方法(Cohen et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69:2110−2114 [1972]参照)でE.coliJM101に形質転換した。
【0127】
E.coliJM101内のファージプロパゲーションの後、ssDNAを既知の方法(Heidecker et al., gene 10:69−73 [1980])で単離し、Sanger DNA配列決定(Sanger, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74:6463 [1977]を用いて挿入及び伸長をチェックした。変異誘発に適したベクターが得られ「M13M1」と名づけた。図1Aにおいてこの手順の概要を示す。
変異誘発手順
【0128】
変異誘発はM13M1のssDNAとM13mp19(Messing et al. Nucl. Acids Res., 9:303−321 [1988])のdsDNAを用いて、M13M1において行った。後者はEcoRI及びHindIIIの制限酵素で消化して、低融点アガロースで状ラージフラグメントの精製により得られたものである。
【0129】
変異誘発は変異体の選択にE.coliLM105ではなくE.coliWK30−3を用いた以外は既知の方法(Kramer et al., Nucl. AcidsRes.,12:9441−9456 [1984])で行った。
【0130】
特定の変異を生成するために用いるオリゴヌクレオチドの長さは22分子である。特定のDNA配列において同時に幾つかの変異を生成するために用いる領域特定変異誘発は、変異されるアミノ酸に対応する部位にランダムに取り込まれた4つのヌクレオチドを含む40分子の長さを用いてオリゴヌクレオチドプレパレーションを用いて行われた。
【0131】
変異誘発の後、ポテンシャル変異誘発をSangerジデオキシ法(Sangerら、上記)を用いて配列回折により関連する変異についてチェックした。完全な一本鎖ギャップ(図1B参照)を配列決定して、第二の変異の欠失を確認した。この手順を図1Bに示す。
【0132】
説明した手順はプロテアーゼ遺伝子の3’部分に変異を有するDNAフラグメントについて有用であった(アミノ酸154−269)。
【0133】
しかしながら、本分野において好適な任意の方法を用いることができるので、本発明をこれらの特定の方法に限定することは意図しない。すなわち、バチルスベクターにおいて、プロテアーゼ遺伝子の5’部分における変異を有するDNAフラグメントを生成するために、代替的な制限酵素及び/又は修飾されたPB92プロテアーゼ遺伝子を、図1Aに図示された方法と類似の方法で構築することができる。
C.pM58Ecoの構築及びベクター内での変異DNAフラグメントのサブクローニング
【0134】
pM58Ecoを構築するために、pM58を制限酵素EcoRIで消化して、本分野で知られているように、希釈条件下で、T4リガーゼを用いてリゲートした。リゲーション混合物は本発明の分野で既知の方法を用いてバチルススブチリス1−A40(Bacillus Genetic Stock Centre, Ohio)を形質転換した (Spizizen et ah, J. Bacterid., 81 :741−746 [1961]参照)。
【0135】
形質転換混合物からの細胞を、本分野で既知の方法で、20mg/mlネオマイシンを含む最小平板培地で平板培養した(EP0283075の実施例1を参照)。
【0136】
形質転換体のプラスミドDNAを本分野で既知の方法(Birnboim and DoIy, Nucl.Acids Res., 7:1513−1523 [1979]参照)で単離し、制限酵素解析で特徴付けた。従って、この方法により、pM58Ecoを単離した(図1c参照)。
【0137】
変異酵素を生成するために、上で説明したパートBにおいて生成された所望の変異を含むM13M1のDNAフラグメントをpM58Ecoにサブクローニングした。その後、M13M1の2本鎖(dsDNA)をEcoRIで消化し、pM58EcoのEcoRIにリゲートした。本分野で既知の方法(Spizizen et al., 上記)を用いてこのリゲート混合物を用いてバチルススブチリスDB104(Doi, J. Bacteriol., 160:442−444 [1984])を形質転換した。
【0138】
形質転換混合物からの細胞を20mg/mlのネオマイシン及び0.4%カゼインを含む最小平板培地で、本分野で既知の方法(EP0283075参照)を用いて平板培養した。プロテアーゼを生産している形質転換体のDNAを本分野で既知の方法(Birnboim and DoIy 上記)で単離し、制限酵素解析により特徴付けを行った。
D.PB92変異体の生成
【0139】
本分野で知られているように(米国特許出願No.01/541,737、参照により本明細書に援用する)、053乃至060と定義されたPB92変異体を融合PCRで調製した。以下の表に本明細書で述べる融合PCRに用いたプライマーを示す。
【表2】

【0140】
Pnusion(商標)ポリメラーゼ(フィンザイム)をPCR反応に用いた。これらの実験において、2μlの10mM前方向及び後ろ方向プライマー、1μlの10mMdNTPs、5μlの10×HF融合緩衝液、1.5μlのDMSO、並びに1μlのテンプレートを50μlの容量に添加した。95℃での変性を3分間、65℃のアニーリングを1分、72℃での伸長反応を1分15秒、これらを30サイクル繰り返し、続いて72℃を7分のプログラムを用いた。反応が終了したら、反応生成物を室温で貯蔵した。
【0141】
変異体「047/048」をテンプレートとして用いて、変異体053乃至058を生成した。BglII−Fwプライマーを118V−Rvdto組み合わせて、第二フラグメントをBglII−Rvと128−130−Fwプライマーと組み合わせて調製した。057の場合、BglII−Fw/S166D−Rvを組み合わせた。
【0142】
更に、変異体「051/052」をテンプレートとして用いて、変異体059乃至060を生成した。プライマー126−up−RvをBglII−Fwと組み合わせて、BglII−Rvを128−130−Fwプライマーと組み合わせた。
【0143】
予期したサイズのフラグメントをMacherey−NagelからのPCR生成カラムを用いてアガロースゲルから生成した。正確なフラグメントを融合し、Pnusion(商標)ポリメラーゼを用いてBglIIプライマーで増幅した。95℃での変性を3分、65℃でのアニーリングを1分、72℃での伸長反応を2分行い、これを25サイクル繰り返し、その後、72℃で7分のプログラムで行った。プログラムが終了したら、反応生成物を室温で貯蔵した。
【0144】
フラグメントをBlIIで消化して、アガロースゲルで精製し、本分野において既知の方法を用いて、40μl容量中、1μlのT4DNAリガーゼ、8μlの5×T4リゲーション緩衝液をもちいて、14℃で一晩リゲーションを行った。
【0145】
高度形質転換可能な株であるバチルススブチリスBG3594comKを用いて、プロテアーゼ陽性形質転換体を得た。上で説明するように得られた発現ベクターを10μlのリゲーション生成物を用いて形質転換を行った。好適なバチルススブチリスであるバチルススブチリスBG3594comKを実施例1で生成した発現プラスミドで形質転換した。キシロースを誘導可能なプロモーターの制御下のcomK遺伝子を導入してこのバクテリアをコンピテントにした(Hahn et al, MoI. Microbiol., 21:763−775 [1996]参照)。プロテアーゼ陽性クローンを選択し、単離し、配列決定し、実施例2で説明するようにバチルスクラウシ(B.clausii)PBT125に形質転換した。
実施例2
バチルスクラウシ(B.clausii)における変異体の発現
【0146】
この実施例では、実施例1で説明した発現ベクターを用いてバチルスクラウシ(B.clausii)PBT125中で発現された変異体プロテアーゼの開発に用いた方法を提供する。この株はPBT110のプロテアーゼ陰性誘導体であり、従来の株を改良する方法を用いて得られたものであり、アスポジェニティー(asporogenity)及び改善されたプロテアーゼ生産についてスクリーニングをおこなっている。
PB92プロテアーゼ陰性融合体:PBT125の形質転換手順
【0147】
本分野で既知の、Chang及びCohenのポリエチレングリコール誘導プロトプラスト形質転換方法(Hahn et al, MoI. Microbiol., 21:763−775 [1996]))を、以下で説明する変更を行い、実施例1で説明する発現ベクターを用いて、バチルスクラウシ(B.clausii)PBT125を形質転換するために用いた。第一に、プロトプラストを0.5Mスクロース、0.02MMgCl2、及び0.02Mトリスマレイン酸緩衝液(pH8.0)を含むアルカリホールディング培地に1ml当たり0.4mgのリゾザイムを添加して調製した。その後、このプロトプラストを平板培養し、3.5%(wt/vol)のBacto−Phenassay(ディフコ)ブロスと0.04%アルブミン(メリエックス)を添加したアルカリホールディング培地5ml中に懸濁した。形質転換されたプロトプラストを750mlHO中、8.0gのGELRITE(商標)gellam Gum(Kelco)、0.3gのCaCl・2HO、4.06gのMgCl・HO、5.0gのN−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸緩衝液(シグマ)、5.0gのカザミノ酸、5gの酵母抽出物、1.5mlの4M NaOHを含む変更されたDM3(5)プレート上で再生成し、250mlの2Mスクロース及び10mlの50%(wt/vol)グルコース、1mlのアルブミン(Merieux)、10mgのチアミン、5mgのビオチン、及び50mgのネオマイシンで滅菌した後に混合した。プレートを約70℃で注いだ。コンピテントバチルスクラウシ(B.clausii)の形質転換を既知の方法で行った(Tanaka, “Construction of Bacillus subtilis Plasmid and Molecular Cloning in Bacillus subtilis,” In D. Schlesinger (ed.), Microbiology. American Society for Microbiology, Washington, D.C., pp.15−18, [1982]参照)。
発酵条件及びプロテアーゼ生成
【0148】
1リットル当たり(乾燥重量に基づき)22gの酵母、1リットル当たり5gのKHPO・3HO、1リットル当たり0.05gのMgSO・7HO、1リットル当たり0.05gのCaCl、1リットル当たり0.005gのFeSO・7HO、及び1リットル当たり0.05gのMnSOを含む培地を用いて、6又は3リットルの発酵槽中で、バチルスクラウシ(B.clausii)PBT125を形質転換した。最終容量の90%の培地成分を溶解しpH7.0で120℃で、1時間滅菌した。滅菌の後、4mlの1Mカルボン酸ナトリウム溶液をスラントチューブから添加して、バチルスクラウシ(B.clausii)PBT125を100mlのTSBへ植菌することにより植菌培地を生成した。この植菌培地を振とう装置で、37℃で24時間インキュベーションした。培地を培地100容量当たり1容量の植菌培地で、pH8.0で37℃で植菌した。pH、温度、発泡の制御、並びに溶解酸素濃度及び酸素取り込み速度を連続的に測定することができる装置を備えた攪拌式発酵装置において行った。植菌の17時間後、120℃で1時間滅菌された30%のグルコース溶液を、培地1リットル当たり30グラムの最終濃度となるように添加した。
【0149】
ブロスを11,800xgで30分間遠心分離した。この上清をWhatmanガラス繊維フィルター及びブフナー漏斗中の0.8umフィルターでろ過をして、その後にセルロースパッドを用いてろ過をした。得られた物質を使用するまで4℃で保存した。次に、この物質を10kDaの分子量を取り除くPallUF−ろ過ユニットを用いて濃縮した。得られたUF濃縮物をプロピレングリコール及びギ酸ナトリウムを添加して製剤化した。ギ酸を添加してpHを6.0にした。
実施例3
精製されたプロテアーゼの精製度を確認するための解析技術
【0150】
この実施例では、精製されたプロテアーゼの精製度を確認するための方法を説明する。プロテアーゼは電気泳動及び高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)により、それぞれ、1つのバンド及び1つのピークが見られた場合に精製されたと考えられる。
【0151】
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含まないポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を本分野で既知の方法を用いて行った(Laemmli, Nature, 227:680−685 [1970]参照)。しかしながら、自己分解を避けるために、100℃でSDSでタンパク質サンプルを変性させる前に、プロテアーゼ活性を失活させることが必要となる。フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)(1mM、30分、室温)でインキュベーション、又は、トリクロロ酢酸で沈殿(TCA、8%、30分、氷上)することによりプロテアーゼの失活を行った。PAGEはpH7.45で行った(ゲル緩衝液は、5%ポリアクリルアミドゲル中、20mMのヒスチジン(His)及び50mMの3−[N−モルフォリノ]プロパンスルホン酸を含む(アクリルアミド:ビスアクリルアミドは20:1))。タンパク質サンプルをスラブゲルのトップにロードして、陰極に向かって電気泳動を行った。5His・MOPS緩衝液を電気泳動(タンク)緩衝液として用いた。pHは6.3であった。電気泳動(1−2時間で350v)の後、ゲルを8%の酢酸に浸して、タンパク質をゲル中に固定し、続いて、本分野で既知の方法で、クマシーブルーで染色し、脱色した。
【0152】
HPLCによる精製度のチェックはカチオン交換カラム(MonoS;ファルマシア)及びゲルろ過カラム(TSK2000;SW−LKB)を用いた。前者は10mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH5.5中で行った。10乃至133mMのリン酸ナトリウム、pH5.5の勾配を用いて結合したプロテアーゼの溶出を行った。ゲルろ過カラムは0.25mMの酢酸ナトリウム中で行った。
実施例4
プロテアーゼ濃度の決定
【0153】
この実施例では、プロテアーゼ濃度を決定にするための方法を説明する。いくつかの実験において、280nmで吸光度の測定を行い、計算された減衰係数(M)を用いて、以下で述べるように活性部位のタイトレーションを用いて精製されたタンパク溶液の濃度を決定した。追加的な実験において、米国特許出願No.11/011,666に定義されている方法も用いた。
【0154】
280nmにおける吸光度の測定は酵素分子当たりのトリプトファン(M=5,600M−1・cm−1)及びチロシン(M=1,330M−1.cm−1)の数から計算された。PB92プロテアーゼについて、Mは26,100M−1.cm−1(3 Trp、7Try残基)であり、E1 1%cmに等しく、280nm=9.7(Mr=26,729Da)であった。Trp残基及びTry残基の変更された数を有する変異体の場合、係数がそれに応じて作成される。
【0155】
活性酵素分子の数の評価は活性部位滴定を用いて行った。広く行われているN−トランスシナモイルイミダゾールを用いる方法(Bender et al., J. Am. Chem. Soc, 88:5890−5931 [1966])は、PB92プロテアーゼについて効果的ではないので、PMSFを用いる方法をかわりに用いた。
【0156】
この方法において、(280nmの吸光度で)評価される濃度の酵素を含むプロテアーゼ溶液を0.25、0.50、0.75、1.00及び1.25に等しいPMSFと混合し、pH6.5の10mMリン酸ナトリウム中で室温で1時間反応させた。酵素濃度は少なくとも50Mであった。
【0157】
残余活性は、スクシニル−L−アラニル−L−アラニル−L−プロリル−L−フェニルアラニル−パラ−ニトロアニリル(sAAPFpNA)を基質として用いた分光高度により測定した。PMSFの精製度(及び濃度)をNMRスペクトロコピーを用いて決定し、ストック溶液をイソプロパノール中に作成した。活性部位滴定から得られたはHPLCをもちいた精製度チェックに一致していた。
実施例5
野生型変異プロテアーゼの動的パラメーターの決定
【0158】
この実施例において、野生型及び変異プロテアーゼの動的パラメーターを決定するための方法を説明する。
【0159】
タンパク質基質(カゼイン)上の活性を英国特許No.1,353,317に記載の方法でpH10で測定した、
【0160】
基質としてカゼインを用いてあらゆるpHにおいて(pH−stat)転換数を測定した。あらゆるpHの反応チャンバーは10mlの0.1MKClと50mgのカゼイン(Hammerstein、メルク)を含んでいた。PB92プロテアーゼによりカゼインを加水分解して遊離されたプロトンを、pHを10.0に維持しながら、10mMのNaOHで滴定した(窒素ガス流れ中、40℃)。
【0161】
合成ペプチドの活性はsAAPFpNFを用いて測定した。形成された(黄色い)パラニトロアニリン(pNA)をUVIKON860(KONTRON)を用いる既知の方法(Delmar et al., Anal. Biochem., 94:316−320 [1979])を用いて、サーモスタッド制御された6つの位置のセルチャンバーを有する分光高度計により、410nm;M=8,480M−1・cm−1で測定した。動的パラメーター、kcat及びkmは(プロテアーゼ濃度で0.1乃至6.0mMの)各種濃度で、初期速度からデータを得て、このデータを多変数曲線反復方法(multivariate secant iterative method)を用いて、非直線回帰による双曲線関数に当てはめることにより計算した。特定の係数、kcat/kmをその後計算した。測定は、25℃で、最終容量1ml中0.1MトリスHClと0.1MのNaOH、pH8.6とを含む溶液を用いて行った。塩化ナトリウムが存在しないと、PB92プロテアーゼは基質抑制が起き、非直線ラインウェーバー−バークプロットを示すので、この添加が必要である。基質を最初にDNSOに溶解し、200mMの濃度にして、その後、トリスHCl、pH8.6で希釈して、20mM(315nm;M=14,000M−1・cm−1で分光光度計を用いて測定)のストック溶液を調製した。DMSOの変更のための補正は行わなかった(0.05−3.0%、v/v)。
実施例6
洗浄性能試験
【0162】
この実施例では、市販の食器用洗剤を用いたPB92プロテアーゼ変異体と市販のPROPERASE(商標)セリンプロテアーゼの食器洗浄に適用した場合の洗浄性能を決定するための試験を説明する。
【0163】
この試験において、PB92変異体(049:G116V,S126V、P127Q、S128A、並びに046:G116V、S126I、P127Q、S128A、S160D(PB92番号)を各種条件下で試験を行った。食器用洗剤の成分を以下で説明する。これらの洗剤はWFKから入手可能であり、以下に表示する。各汚れタイプ(ひき肉、黄身、黄身とミルク)についての手順は以下で説明する。それぞれの汚れを試験に用いる食器に適用する前に、食器は徹底的に洗浄する。このことは、特定の汚れが、洗浄後の食器に残っていることがあるので、必ず行う。新しい食器を試験に最初試験に用いる前に3回徹底的に洗浄した。
ステンレススチール上の黄身の汚れ
【0164】
試験に用いたステンレススチールシート(10×15cm;片面がつや消しされている)を市販の高アルカリ洗剤(ECOLBA(商標)洗剤;Henkel)を用いて実験室用の食器洗浄器中、95℃で徹底的に洗浄し、きれいで油が残っていないスチールを用意した。これらのスチールを使用する前に、デバリングした。このシートを黄身の汚れをつける前に加熱キャビネット中で80℃で30分間乾かした。つや消しされた表面を汚れをつける前に触れないようにした。水のシミもほこりも表面上にあってはならない。冷却したシートを汚れを付着させる前に重さを量った。
【0165】
10乃至11のタマゴ(200gのタマゴの黄身)の黄身を分離して汚れを付着させるための黄身を調製した。この黄身をガラスビーカーの中でフォークを用いて攪拌して黄身の懸濁液を調製した。この黄身をその後、洗い粒子及び殻の破片を取り除くために(約0.5mmメッシュ)で裏ごしした。
【0166】
平らな刷毛(2.5”)を用いて、約1.0±0.1gの黄身を出来るだけ均一に140cmのつや消しされた表面に塗り、(必要に応じて粘着テープを用いて)約1cmの汚れを塗布しない縁を作った。汚れが付着したシートを(シートの縁に液滴が形成しないように)室温で4時間(最大24時間)平らに置いて乾燥させた。
【0167】
変性剤について、(必要に応じて、固定装置を用いて)これらのシートを30秒間沸騰している脱イオン水中に置いた。その後、このシートを80℃で30分間乾燥させた。乾燥及び/又は冷却の後、シートの重さを量った。重量測定の後、試験に用いる前に、シートを少なくとも24時間放置した(20℃、40乃至60%の相対湿度)。試験の必要に応じて、(変性後の黄身が)500±100mg/140cmのシートのスチール板のみを試験に用いた。洗浄試験の後、洗浄試験を行った後、このシートを加熱キャビネット内で80℃で30分乾燥させ、重量を量り、再度冷却した。洗浄性能のパーセンテージは洗浄により放出された黄身のmg×100をスチールに適用して変性された黄身のmgで割って計算した。
【0168】
磁器プレート上のひき肉
これらの実験について、欧州規格(EN)50242、フォーム1495、No.0219、直径19cmデザートプレート(Arzberg, white, glazed porcelain)を用いた。トータル225gの赤みのブタ及びビーフ(当量の混合物)を目視可能な脂肪を取り除き、細かく刻み、冷却した。この混合物を2回、ひき肉器にかけた。35℃以上の温度を避けた。その後、この225gのひき肉を75gのタマゴと混ぜた(黄身と白身の混合物)。調製後、用いる前に3ヶ月間―18℃で保存した。これらは互換的に使用可能であるので、ブタ肉が使用できない場合、牛肉を用いた。
【0169】
ひき肉とタマゴの混合物(300g)を室温に戻して、80mlの合成水と混合した。この混合物を家庭用のブレンダーを用いて2分間ホモジナイズした。その後、フォークを用いて、このひき肉/タマゴ/水の混合物の3gを各白い磁器プレートに、塗り、約2cmの塗布していない幅広い縁を残しておいた。適用された量は11.8±0.5mg/cmであった。このプレートを120℃で2時間、予備加熱しておいた加熱チャンバー内に置いた。プレートを冷却するとすぐに試験に用いる準備をした。各プレートの間にペーパータオルを挟み、プレートを積み上げた。
【0170】
洗浄の後、このプレートにニンヒドリン溶液(1%エタノール)を吹きつけ、ひき肉の残りがよくわかるようにした。呈色反応を促進するために、このプレートを加熱チャンバー内で10分間80℃で加熱した。洗浄性能の評価はIKWフォトグラフカタログ(IKW)を参照して、ひき肉の呈色反応を目視により評価した。
ステンレススチール上のタマゴ/ミルクの汚れ
【0171】
これらの試験に用いたステンレススチール(10×15cm;片面がつや消しされている)を市販の高アルカリ洗剤を用いて実験室用の食器洗浄器で95℃で洗浄した。このシートをセルロースクロスで磨いた。磨いた面を汚れをつけるまで、触らないでいた。水のシミもホコリもこの面には付着していなかった。汚れをつける前、これらのシートを80℃の加熱キャビネットで30分間加熱した。冷却したシートを汚れをつける前に重さを量った。
【0172】
黄身と白身(3−4個のタマゴ、160g/タマゴ)をボウルの中に置き、泡だて器でかきまぜた。その後、50mlのセミスキムUHT(1.5%の脂肪、高温ホモジナイズ)ミルクをこの混合物に加えた。このミルクとタマゴを泡をたてないようにかき混ぜた。平らな刷毛で、ステンレススチールの磨かれた面に、分散を均一にするように、1.0±0.1gのタマゴ/ミルク混合物を均一に分散させた。最大値が約1.0cmになるように、シートの短い方に余白を残しておいた。この固形シートを(シートの端に液滴が形成しないように)室温で、4時間(最大約24時間)平らにおいて乾燥させた。
【0173】
このシートをその後、(必要に応じて、固定装置を用いて)沸騰している脱イオン水に30秒浸した。その後、このシートを再度、80℃で30分間乾燥させた。乾燥及び冷却の後、このシートの重量を測定した。重量を測定した後、洗浄試験に用いる前にこのシートを少なくとも24時間放置した(20℃、40−60%相対湿度)。試験の必要に応じて、190±10mgの黄身を含むシートのみを試験に用いた。
【0174】
洗浄試験を行った後、これらのシートを加熱チャンバー内で80℃で30分間乾燥させ、冷却の後、重量を測定した。洗浄性能のパーゼンテージは洗浄により放出されたタマゴ/ミルクのmg×100を適用したタマゴ/ミルクのmgで割って計算した。
洗浄装置及び条件
【0175】
洗浄試験は、上で説明した汚れを付着させた面及びステンレススチールを入れた食器洗浄器(Miele:G690SC)で行った。決められた量の洗剤を用いて、以下の表の結果を得た。試験に用いた温度は、45℃、55℃、及び65℃であった。水の高度は9又は12HG(German Hardness)(374ppm Ca)であった。
【0176】
上で説明したように、洗浄後、ひき肉の汚れを付着させたプレートを0−10にランクわけされた見本を用いて、目視により評価した。0は完全に汚れた皿を意味し、10はきれいな皿を意味する。これらの値は酵素含有洗浄のシミ又は汚れ除去(SR)能力に対応する。
【0177】
黄身及び/又は黄身とミルクの汚れを付着させた、洗浄したステンレススチールプレートの重さを測定して、洗浄後に残っている汚れの量を決定した。PB92変異体プロテアーゼ及び/又はPROPERASE(商標)プロテアーゼ及び他の変異タンパク質インデックスを洗浄1回当たり、0と20.75mg/活性タンパク質のレベルで試験を行った。
【0178】
これらの試験に用いて洗浄で説明する。これらの洗浄は試験に用いて酵素の解析を行うため酵素を含んでいない。
【表3】

【表4】

【0179】
各試験の結果を以下の表に示す。これらの結果において、指標は100である。従って、PROPERASE(商標)酵素の結果を「100」としており、変異体について得られた結果をこれらの値と比較している。例えば、PROPERASE(商標)が45%のSR(これを100とする)を示し、変異体が52%のSRを示したならば、変異体の結果は52/45×100=116(指標として)となる。
【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【0180】
本明細書で言及した特許及び刊行物は、本発明が属する技術分野における当業者のレベルを示すために用いる。全ての特許及び刊行物が、特定していること、及び示していることは、それぞれ参照により本明細書に援用される。
【0181】
好適な態様をもって本発明を説明してきたが、開示された態様における各種変更を
行う事ができることは、当業者に理解されており、そのような変更は本発明の範囲内である。
【0182】
本発明はここに含まれるもののほかに、本発明の目的を実行するための、及び/又は言及された結果及び利益を得るために、適していることは当業者が容易に理解するだろう。本明細書で述べた組成物及び方法は、例示的なものであり、本発明の範囲をこれらの限定することを意図するものではない。
【0183】
本明細書に開示されている発明は、本明細書において言及されていない任意の要素、限定がなくても行うことができるだろう。本明細書において用いる用語及び表現は説明のために用いているのであり、限定を付すために用いているのではない。更に、それらの用語及び/又は表現に示されている又は言及されている特徴又はそれらの一部の任意の均等物を排除することを意図するものではない。しかしながら、そのような変更は本発明の範囲内にあることが理解されるであろう。従って、好適な態様及び任意の特徴を開示して本発明を説明しているが、本明細書に開始されているコンセプトの変更及び変法も本発明に包含されることが当業者により理解され、そのような変更及び変法は添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲内である。
【0184】
発明はここに広く、総称的に説明されている。一般的な開示に入っているより狭い種と亜属のグループのそれぞれはまた発明の一部となる。これは、記載されていない事項がここに特に言及されるかどうかを問わず、削除されている条件または除く記載をも発明の一般的な記載に含まれることを意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
修飾されたスブチリシンを含む、食器洗浄用組成物であって、
前記スブチリシンが配列番号2で定義する配列において、少なくとも1つの置換を含み、各置換位置はスブチリシンBPN’のアミノ酸配列の位置に対応し、これらの置換がG118、S128、P129、及びS166の位置から選択される、組成物。
【請求項2】
前記修飾されたスブチリシンがG118、S128、P129、及びS130の位置における置換を含む請求項1の組成物。
【請求項3】
前記修飾されたスブチリシンがG118Vと他の1つの追加的な変異を含む請求項1の食器洗浄用組成物。
【請求項4】
前記追加的な変異が、S128F、S128L、S128N、S128R、S128V、P129E、P129L、P129M、P129N、P129L、P129Q、P129S、S130A、S130K、S130P、S130T、S130V、及びS166Dからなる群より選択される請求項3の食器洗浄用組成物。
【請求項5】
前記修飾されたスブチリシンがS128、P129、及びS130の置換位置を含む、請求項1の食器洗浄用組成物。
【請求項6】
前記置換がS128C、S128R、P129Q、P129R,S130D、及びS130Gから選択される、請求項5の食器洗浄用組成物。
【請求項7】
前記修飾されたスブチリシンのアミノ酸配列が配列番号3で定義される、請求項1の食器洗浄用組成物。
【請求項8】
修飾されたスブチリシンを含む、食器洗浄用組成物であって、
前記スブチリシンが配列番号2で定義する配列において、1つの置換を含み、各置換位置はスブチリシンBPN’のアミノ酸配列の位置に対応し、前記置換がS130Tである、食器洗浄用組成物。
【請求項9】
請求項1で定義される修飾されたスブチリシンをコードする単離アミノ酸。
【請求項10】
請求項9の単離された核酸を含むベクター。
【請求項11】
請求項10のベクターを含む宿主細胞。
【請求項12】
請求項1で定義される少なくとも1つの修飾されたスブチリシンと食器とを提供する工程、並びに前記食器を洗浄に効果的な条件下で、前記食器を前記修飾されたスブチリシンに接触せる工程とを含む、食器洗浄方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【公表番号】特表2009−543577(P2009−543577A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520754(P2009−520754)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/015642
【国際公開番号】WO2008/010925
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(508377015)ダニスコ・ユーエス・インク、ジェネンコー・ディビジョン (31)
【Fターム(参考)】