説明

干渉フィルター、光センサー、および光モジュール

【課題】分光精度の高い干渉フィルター、光センサー、および光モジュールを提供する。
【解決手段】エタロン5は、互いに対向する固定基板51および可動基板52と、これらの固定基板51および可動基板52間にそれぞれ設けられる一対の反射膜56,57と、備える。可動基板52には、第一ギャップ形成領域、および、その外周側に形成される可動側接合面523が形成され、固定基板51には、第二ギャップ形成領域、その外周側に形成される固定側接合面513、固定側接合面513内に形成され、接着剤515が塗布される接着用溝514、接着用溝514および第二ギャップ形成領域の間に形成される撓み低減溝516が設けられる。そして、固定基板51および可動基板52は、固定側接合面513および可動側接合面523を接合させた状態で、接着用溝514に塗布される接着剤515により接着接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射光から所定波長の光を分光する干渉フィルター、この干渉フィルターを備えた光センサー、およびこの光センサーを備えた光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入射光から所定波長の光のみを透過または反射させる干渉フィルターが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1には、一対の基板が対向配置させ、これらの基板の互いに対向する面に、それぞれ反射膜が形成される光学デバイス(干渉フィルター)が記載されている。このような干渉フィルターでは、一対の反射膜間にギャップが形成され、このギャップの寸法に応じて分光可能な波長が決定される。
【0004】
ところで、このような干渉フィルターでは、所定波長の光を精度よく分光させるために、一対の反射膜を平行に維持する必要がある。ここで、例えば、基板間に接着剤による接着層を形成し、接着層により基板同士を接合する場合、接着層の厚みの制御が困難であり、反射膜を平行に維持することが困難であるという問題があった。
そこで、基板同士を貼り合せる接合面に接着剤を塗布する接着用溝を形成し、この接着用溝に接着剤を塗布することで基板を接合する接合方法が考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−134027公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような接着用溝に塗布した接着剤による基板を接合する場合、接着剤の硬化時に伴う体積収縮により、接着剤の塗布部分で基板を撓ませる方向に応力が生じる。
例えば、第一基板および第二基板を接着する際、第二基板に接着剤を塗布するための接着用溝を形成して接着剤を塗布し、この溝を閉塞するように第一基板を重ね合わせた場合、接着剤の硬化収縮により、第一基板を接着用溝側に撓ませるような応力が発生する。このため、第一基板が接着用溝内に撓み、第一基板全体に作用する力のバランスが不安定となり、一対の反射膜が平行に維持できないという問題がある。このように、一対の反射膜が平行に維持されない場合、反射膜内の位置に応じて、分光される光の波長が異なり、例えば、ギャップの間隔が大きい部分では、長波長の光が分光され、ギャップの間隔が小さい部分では、短波長の光が分光されてしまう。したがって、干渉フィルターの分光精度が悪化してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記のような問題に鑑みて、分光精度の高い干渉フィルター、光センサー、および光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の干渉フィルターは、第一基板と、前記第一基板の一面側に対向配置され、前記第一基板に接合される第二基板と、前記第一基板の前記第二基板に対向する面に形成される第一反射膜と、前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜に対向する第二反射膜と、を備えた干渉フィルターであって、前記第一基板は、前記第一反射膜が設けられるとともに、前記第二基板に当接しない第一ギャップ形成領域と、前記第一ギャップ形成領域の外周側に設けられ、前記第二基板に当接する第一接合領域と、を備え、前記第二基板は、前記第二反射膜が設けられるとともに、ギャップを介して前記第一ギャップ形成領域に対向する第二ギャップ形成領域と、前記第二ギャップ形成領域の外周側に設けられ、前記第一基板の前記第一接合領域に当接する第二接合領域と、前記第二接合領域内に形成されるとともに、接着剤が塗布される接着用溝と、前記接着用溝および前記第二ギャップ形成領域の間に形成される撓み低減溝と、を備え、前記第一基板および前記第二基板は、前記第一接合領域および前記第二接合領域を接合させた状態で、前記接着用溝に塗布される前記接着剤により接着接合されることを特徴とする。
【0009】
この発明では、第一基板の第一接合領域と、第二基板の第二接合領域を当接させ、第二接合領域内に形成される接着用溝内に接着剤を塗布して接着接合する。接着用溝に塗布された接着剤は、硬化接着時に収縮するため、第一基板の接着用溝に対向する部分は、第二基板側に向かう応力(ここで、この応力を接着収縮応力と称す)を受ける。ここで、本発明では、第二基板の第二接合領域内には、接着用溝と第二ギャップ形成領域との間に、撓み低減溝が形成されているため、接着収縮応力による第一基板の撓みを撓み低減溝内に逃がすことができ、第一基板の第一ギャップ形成領域での撓みを防止することができる。
【0010】
つまり、第一基板接着用溝に対向する部分(接着接合部)は、接着圧縮応力により、接着用溝内に撓み、第一基板にはこの撓みを補正するように反力(ここで、この反力を撓み反力と称す)が発生する。
ここで、撓み低減溝が形成されていない場合、第一基板と第二基板とが当接していない第一接合領域と第一ギャップ形成領域との境界まで、上記撓み反力が伝達され、この撓み反力に対して第一基板を元の状態に戻すように、第一ギャップ形成領域に撓みが発生する場合がある。この場合、第一ギャップ形成領域と第二ギャップ形成領域とが平行とならず、第一反射膜および第二反射膜も平行に維持できない。
これに対して、第二基板に撓み低減溝を形成すると、第一基板の接着接合部が接着用溝側に撓んだ場合、撓み反力により、第一基板の撓み低減溝に対向する領域が、第一基板の力のバランスを元に戻すように撓む。したがって、第一基板が撓み低減溝内に撓むことにより、上記のような接着剤の硬化による撓み反力を逃がすことができ、第一ギャップ形成領域まで伝達される撓み反力を低減させることができる。このため、第一ギャップ形成領域における力のバランスを安定させることができ、第一ギャップ形成領域は、第二ギャップ形成領域に対して平行に維持され、第一反射膜および第二反射膜も平行に維持される。これにより、干渉フィルターの分光精度を向上させることができる。
【0011】
本発明の干渉フィルターでは、前記第一接合領域および前記第二接合領域は、光学面であり、前記第一基板および前記第二基板は、前記第一接合領域および前記第二接合領域をオプティカルコンタクトにより接合されるとともに、前記接着用溝に塗布される接着剤により接着接合されることが好ましい。
【0012】
この発明では、第一基板および第二基板は、オプティカルコンタクトによる接合と、接着剤による接着接合との双方により接合される。オプティカルコンタクトにより、第一基板および第二基板を密着させることができるため、より精密に平行状態に維持することができる。また、オプティカルコンタクトのみでは、接合強度に問題があるが、接着剤による接合を併用することで、接合強度を強めることもできる。したがって、このような接合方法を用いることで、第一ギャップ形成領域と第二ギャップ形成領域をより精密に平行に維持した状態で、強固に第一基板および第二基板を接合することができる。
【0013】
本発明の干渉フィルターでは、前記撓み低減溝は、前記接着用溝の周縁のうち前記第二ギャップ形成領域に対向するギャップ対向周縁部から、前記第二ギャップ形成領域の周縁のうち前記接着用溝に対向する溝対向周縁部までの間の中心位置よりも、前記接着用溝側に設けられることが好ましい。
ここで、ギャップ対向周縁部とは、第二基板を基板厚み方向から見た平面視において、接着用溝の内周側の部分、すなわち第二ギャップ形成領域に最も近接する辺または曲線部分を指す。また、溝対向周縁部とは、第二ギャップ形成領域の周縁のうち、ギャップ対向周縁部に最も近い辺または曲線部分を指す。
【0014】
この発明では、撓み低減溝は、第二ギャップ形成領域よりも接着用溝に近接する位置に設けられている。このような構成とすることで、接着剤の収縮により受ける応力をより確実に撓み低減溝に逃がすことができ、第一ギャップ形成領域に応力が加わる不都合を回避することができる。
つまり、第一基板が接着用溝側に撓んだ場合、第一基板が撓み低減溝側に撓むことで、第一ギャップ形成領域に伝達される撓み反力を低減させることができるが、この撓み低減溝内に第一基板が撓むことで、撓み低減溝と第一ギャップ形成領域との間の第一接合領域に、僅かな反力が発生する。このとき、撓み低減溝が第二ギャップ形成領域に近接する側に設けられている場合、上記のような僅かな反力が、第一ギャップ形成領域に伝達され、第一ギャップ形成領域を撓ませたり、第一ギャップ形成領域における力のバランスを不安定にしたりすることが考えられる。これに対して、撓み低減溝を接着用溝側に近接して形成することで、上記のような僅かな反力が第一ギャップ形成領域まで伝達されず、第一ギャップ形成領域における力のバランスをより安定化させることができる。したがって、より精度よく第一反射膜および第二反射膜を平行に維持することができ、干渉フィルターの分光精度もより向上させることができる。
【0015】
本発明の干渉フィルターでは、前記撓み低減溝は、前記接着用溝の周縁のうち前記第二ギャップ形成領域に対向するギャップ対向周縁部と、前記第二ギャップ形成領域の周縁のうち前記接着用溝に対向する溝対向周縁部とにより囲われる溝・ギャップ間領域内に設けられることが好ましい。
【0016】
接着用溝内に第一基板が撓んだ場合、その撓みによる応力は、第一基板の接着用溝のギャップ対向周縁部に当接する部分から第一ギャップ形成領域に向かって伝達される。したがって、撓み低減溝は、少なくとも、ギャップ対向周縁部と溝対向周縁部とに囲われる溝・ギャップ間領域内に形成することで、接着剤の硬化時に発生する接着収縮応力に十分抗することができる。また、この溝・ギャップ間領域以外の部分には、撓み低減溝を形成せず、第二接合領域を形成することで、第一接合領域と第二接合領域の接合面積が増大し、より強い接合強度を得ることができる。
【0017】
本発明の干渉フィルターでは、前記撓み低減溝は、前記溝・ギャップ間領域内において、前記ギャップ対向周縁部に沿って複数設けられることが好ましい。
【0018】
撓み低減溝としては、溝・ギャップ間隔領域内で、ギャップ対向周縁部に沿うように、1つの長手状の溝を形成する構成としてもよいが、複数の撓み低減溝が、前記ギャップ対向周縁部に沿って設けられる構成とすることで、接着接合部が接着用溝内に撓んだ際に第一基板に作用する力を十分に軽減することができる。このように、複数の撓み低減溝を形成することで、これらの撓み低減溝の間を第二接合領域とすることができ、第一接合領域と第二接合領域との接合面積が増大し、より強い接合強度を得ることができる。
【0019】
本発明の干渉フィルターでは、前記第一基板および前記第二基板は平面視矩形状に形成され、前記接着用溝および前記撓み低減溝は、前記第二基板の矩形の四隅近傍に形成されることが好ましい。
【0020】
この発明では、第一基板および第二基板が平面視矩形状に形成され、その中央部に第一ギャップ形成領域および第二ギャップ形成領域が形成される場合に、矩形状の第二基板の四隅部に接着用溝が形成される。すなわち、第一基板および第二基板が矩形状に形成される場合、その四隅部が第一ギャップ形成領域および第二ギャップ形成領域から最も離隔した位置となる。このような四隅部に接着用溝を設けることで、第一基板が接着用溝に撓んだ場合に発生する力が、第一ギャップ形成領域に伝達されにくくなり、第一ギャップ形成領域の撓みをより確実に防止することができる。
【0021】
本発明の光センサーは、上述したような干渉フィルターと、前記干渉フィルターにより分光される光を受光する受光手段と、を備えることを特徴とする。
【0022】
この発明では、上述したように、干渉フィルターの第一基板における第一ギャップ形成領域の撓みを低減させることができるため、干渉フィルターから所望の波長の光を精度よく分光させることができる。したがって、このような干渉フィルターを備えた光センサーでは、分光精度が良好な干渉フィルターにより分光された光を受光手段にて受光することができるので、所望の波長の受光量を正確に検出することができる。
【0023】
本発明の光モジュールは、上述のような光センサーと、前記受光手段により受光された光の光量に基づいて、前記干渉フィルターにより分光された光を分析処理する処理手段とを備えることを特徴とする。
【0024】
この発明では、光センサーにて検出される正確な受光量に基づいて分析処理を実施することができる。したがって、干渉フィルターに入射した光の正確な分析処理を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る第一実施形態の測色モジュールの概略構成を示す図である。
【図2】前記第一実施形態のエタロンの概略構成を示す平面図である。
【図3】前記第一実施形態のエタロンの断面図である。
【図4】前記第一実施形態の固定基板の平面図である。
【図5】前記第一実施形態の可動基板を固定基板に対向する面側から見た平面図である。
【図6】前記第一実施形態の固定基板の製造工程を示す図である。
【図7】前記第一実施形態の可動基板の製造工程を示す図である。
【図8】前記第一実施形態の固定基板および可動基板を接合したエタロンの断面図、および撓み低減溝の作用を説明するための図である。
【図9】第二実施形態のエタロンの固定基板を示す平面図である。
【図10】その他の実施形態におけるエタロンの固定基板を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第一実施形態〕
以下、本発明に係る第一実施形態の光モジュールとしての測色モジュールの説明を図面に基づいて説明する。
〔1.測色モジュールの全体構成〕
図1は、本発明に係る第一実施形態の測色モジュールの概略構成を示す図である。
この測色モジュール1は、図1に示すように、被検査対象Aに光を射出する光源装置2と、本発明の光センサーである測色センサー3と、測色モジュール1の全体動作を制御する制御装置4とを備えている。そして、この測色モジュール1は、光源装置2から射出される光を被検査対象Aにて反射させ、反射された検査対象光を測色センサーにて受光し、測色センサー3から出力される検出信号に基づいて、検査対象光の色度、すなわち被検査対象Aの色を分析して測定するモジュールである。
【0027】
〔2.光源装置の構成〕
光源装置2は、光源21、複数のレンズ22(図1には1つのみ記載)を備え、被検査対象Aに対して白色光を射出する。また、複数のレンズ22には、コリメーターレンズが含まれており、光源装置2は、光源21から射出された白色光をコリメーターレンズにより平行光とし、図示しない投射レンズから被検査対象Aに向かって射出する。
【0028】
〔3.測色センサーの構成〕
測色センサー3は、図1に示すように、本発明の干渉フィルターを構成するエタロン5と、エタロン5を透過する光を受光する受光手段としての受光素子31と、エタロン5で透過させる光の波長を可変する電圧制御手段6と、を備えている。また、測色センサー3は、エタロン5に対向する位置に、被検査対象Aで反射された反射光(検査対象光)を、内部に導光する図示しない入射光学レンズを備えている。そして、この測色センサー3は、エタロン5により、入射光学レンズから入射した検査対象光のうち、所定波長の光のみを分光し、分光した光を受光素子31にて受光する。
受光素子31は、複数の光電交換素子により構成されており、受光量に応じた電気信号を生成する。そして、受光素子31は、制御装置4に接続されており、生成した電気信号を受光信号として制御装置4に出力する。
【0029】
(3−1.エタロンの構成)
図2は、本発明の波長可変干渉フィルターを構成するエタロン5の概略構成を示す平面図であり、図3は、エタロン5の概略構成を示す断面図である。なお、図1では、エタロン5に検査対象光が図中下側から入射しているが、図3では、検査対象光が図中上側から入射するものとする。
エタロン5は、図2に示すように、平面正方形状の板状の光学部材であり、一辺が例えば20mmに形成されている。このエタロン5は、図3に示すように、第二基板である固定基板51、および第一基板である可動基板52を備えている。これらの2枚の基板51,52は、それぞれ例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどの各種ガラスや、水晶などにより形成されている。これらの中でも、各基板51,52の構成材料としては、例えばナトリウム(Na)やカリウム(K)などのアルカリ金属を含有したガラスが好ましく、このようなガラスにより各基板51,52を形成することで、後述する反射膜56,57や、各電極の密着性や、基板同士の接合強度を向上させることが可能となる。そして、これらの2つの基板51,52は、外周部近傍に形成される接合面513,523が接合されることで、一体的に構成されている。
【0030】
また、固定基板51と、可動基板52との間には、本発明の第二反射膜である固定反射膜56および第一反射膜である可動反射膜57が設けられる。ここで、固定反射膜56は、固定基板51の可動基板52に対向する面に固定され、可動反射膜57は、可動基板52の固定基板51に対向する面に固定されている。また、これらの固定反射膜56および可動反射膜57は、反射膜間ギャップを介して対向配置されている。
さらに、固定基板51と可動基板52との間には、固定反射膜56および可動反射膜57の間の反射膜間ギャップの寸法を調整するための静電アクチュエーター54が設けられている。
【0031】
(3−1−1.固定基板の構成)
図4は、エタロン5の厚み方向から見た平面視(エタロン平面視)における固定基板51の平面図である。
固定基板51は、厚みが例えば500μmに形成される略正方形状のガラス基材をエッチングにより加工することで形成される。具体的には、図3、図4に示すように、固定基板51には、エッチングにより電極形成溝511、反射膜固定部512、接着用溝514、および撓み低減溝516が形成される。ここで、本実施形態の固定基板51では、電極形成溝511および反射膜固定部512により本発明の第二ギャップ形成領域が形成され、この電極形成溝511の外方に本発明の第二接合領域を形成する固定側接合面513が形成されている。
【0032】
電極形成溝511は、図4に示すようなエタロン平面視において、平面中心点を中心とした直径が例えば5mmの円形に形成されている。反射膜固定部512は、前記平面視において、電極形成溝511の中心部から可動基板52側に突出して形成される。
電極形成溝511には、反射膜固定部512の外周縁から、当該電極形成溝511の内周壁面までの間に、リング状の電極固定面511Aが形成され、この電極固定面511Aに固定側電極541が形成される。
【0033】
また、固定基板51には、図4に示すように、電極形成溝511の外周縁から正方形の4辺の中心位置に向かって延出して、電極固定面511Aと同一深さ寸法となる引出部形成溝511Bが形成されている。そして、これらの4つの引出部形成溝511Bのうち、電極形成溝511を挟んで対となる引出部形成溝511B(本実施形態では、図4における紙面左右方向に配置される引出部形成溝511B)には、それぞれ固定側電極541に連続する固定側引出電極541Aがそれぞれ形成されている。さらに、これらの固定側引出電極541Aの先端には、それぞれ固定側電極パッド541Bが形成され、これらの固定側電極パッド541Bが電圧制御手段6に接続される。
ここで、静電アクチュエーター54を駆動させる際には、電圧制御手段6により、一対の固定側電極パッド541Bのうちのいずれか一方にのみに電圧が印加される。そして、他方の固定側電極パッド541Bは、固定側電極541の電荷保持量を検出するための検出端子として用いられる。
【0034】
反射膜固定部512は、上述したように、電極形成溝511と同軸上で、電極形成溝511よりも小さい径寸法となる円柱状に形成されている。なお、本実施形態では、図3に示すように、反射膜固定部512の可動基板52に対向する反射膜固定面512Aが、電極固定面511Aよりも可動基板52に近接して形成される例を示すが、これに限らない。電極固定面511Aおよび反射膜固定面512Aの高さ位置は、反射膜固定面512Aに固定される固定反射膜56、および可動基板52に形成される可動反射膜57の間の反射膜間ギャップの寸法、固定側電極541および可動基板52に形成される後述の可動側電極542の間の寸法、固定反射膜56や可動反射膜57の厚み寸法により適宜設定されるものであり、上記のような構成に限られない。例えば反射膜56,57として、誘電体多層膜反射膜を用い、その厚み寸法が増大する場合、電極固定面511Aと反射膜固定面512Aとが同一面に形成される構成や、電極固定面511Aの中心部に、円柱凹溝上の反射膜固定溝が形成され、この反射膜固定溝の底面に反射膜固定面512Aが形成される構成などとしてもよい。
【0035】
そして、反射膜固定面512Aには、直径が約3mmの円形状に形成される固定反射膜56が固定されている。この固定反射膜56は、AgC単層により形成される反射膜であり、スパッタリングなどの手法により反射膜固定面512Aに形成される。
なお、本実施形態では、固定反射膜56として、エタロン5で分光可能な波長域として可視光全域をカバーできるAgC単層の反射膜を用いる例を示すが、これに限定されず、例えば、エタロン5で分光可能な波長域が狭いが、AgC単層反射膜よりも、分光された光の透過率が大きく、透過率の半値幅も狭く分解能が良好な、例えばTiO−SiO系誘電体多層膜反射膜を用いる構成としてもよい。ただし、この場合、上述したように、固定基板51の反射膜固定面512Aや電極固定面511Aの高さ位置を、固定反射膜56や可動反射膜57、分光させる光の波長選択域などにより、適宜設定する必要がある。
【0036】
そして、上記したように、固定基板51の電極形成溝511の外方には、第二接合領域である固定側接合面513が形成されている。この固定側接合面513は、鏡面加工により形成される光学面であり、後述する可動基板52の可動側接合面523との間で、オプティカルコンタクトにより接合される。
【0037】
また、固定側接合面513には、エタロン平面視における固定基板51の四隅位置に、それぞれ接着用溝514が形成されている。この接着用溝514は、固定基板51の隣り合う2つの外周辺と平行する外周縁部514Aと、これらの外周縁部514Aの両端を結ぶ略円弧状に形成される、本発明のギャップ対向周縁部である内周縁部514Bとを備える形状に形成されている。
具体的には、各接着用溝514の外周縁部514Aは、固定基板51の角部を形成する2つの外周辺と平行し、互いに直交する外周直線部514A1と、これらの外周直線部514A1の一端部から電極形成溝511に向かって延びる連結直線部514A2とを備えている。ここで、外周直線部514A1は、それぞれ例えば3mmの長さ寸法に形成され、連結直線部514A2は、例えば0.5mmの長さ寸法に形成されている。また、接着用溝514の内周縁部514Bは、2つの連結直線部514A2の端部間を結ぶ円弧状に形成され、その曲率は、電極形成溝511の外周縁と略同一曲率に形成されている。
また、外周直線部514A1には、それぞれ固定基板51の外周側に延出する空気逃げ溝514Cが形成されている。これにより、接着用溝514は、固定基板51および可動基板52を接合した際に、接着用溝514は、この空気逃げ溝514Cを介して外部空間と連通される。なお、本実施形態では、1つの接着用溝514に対して、2つの空気逃げ溝514Cが形成される例を示したが、例えば1つのみ形成される構成としてもよく、3つ以上形成される構成としてもよい。ただし、固定基板51および可動基板52を接合した際に、最も剥離しやすい部分は、矩形の頂点位置となるため、固定基板51の頂点部分に空気逃げ溝514Cを形成すると、この空気逃げ溝514Cから固定基板51および可動基板52の剥離が発生するおそれがある。したがって、固定基板51の矩形頂点位置には、固定側接合面513が形成されていることが好ましい。
【0038】
これらの接着用溝514には、固定基板51および可動基板52の接合時に接着剤515が塗布される。この接着剤515としては、熱硬化型接着剤や、紫外線硬化型接着剤などを用いることができるが、本実施形態では、例えば熱硬化型接着剤であるエポキシ樹脂系接着剤が用いられる。
【0039】
ここで、エタロン平面視において、電極形成溝511の外周縁のうち、接着用溝514の内周縁部514Bに対向する周縁部分は、本発明の溝対向周縁部511Cを形成する。具体的には、本実施形態では、電極形成溝511の外周縁のうち、引出部形成溝511Bに挟まれる周縁部分が、溝対向周縁部511Cとなる。そして、接着用溝514の内周縁部514Bと、電極形成溝511の引出部形成溝511Bと、これらの内周縁部514Bの両端部および引出部形成溝511Bの両端部を結ぶ線分で囲われる領域が、本発明の溝・ギャップ間領域513Aとなる。
【0040】
そして、撓み低減溝516は、溝・ギャップ間領域513A内で、内周縁部514Bと溝対向周縁部511Cとの中心位置よりも、接着用溝514側に近接する位置に形成される。より具体的には、撓み低減溝516は、電極形成溝511の溝対向周縁部511Cや、接着用溝514の内周縁部514Bと略同一曲率の円弧状の溝であり、その溝幅寸法は、例えば1mmに形成されている。また、撓み低減溝516の外周側円弧と、接着用溝514の内周縁部514Bとの間の距離は、例えば0.6mmに形成されている。さらに、撓み低減溝516の溝深さとしては、特に限定されないが、例えば、接着用溝514と同様に、200nmの深さ寸法に形成されている。
【0041】
そして、固定基板51は、可動基板52に対向する上面とは反対側の下面において、固定反射膜56に対応する位置に図示略の反射防止膜(AR)が形成されている。この反射防止膜は、低屈折率膜および高屈折率膜を交互に積層することで形成され、固定基板51の表面での可視光の反射率を低下させ、透過率を増大させる。
【0042】
(3−1−2.可動基板の構成)
可動基板52は、厚みが例えば200μmに形成されるガラス基材をエッチングにより加工することで形成される。図5は、可動基板52の固定基板51に対向する面の構成を示す平面図である。
具体的には、可動基板52には、図2に示すような平面視において、基板中心点を中心とした円形の可動部521と、可動部521と同軸であり可動部521を保持する連結保持部522と、を備えている。連結保持部522の外周径寸法は、固定基板51の電極形成溝511の外周径寸法と同一寸法に形成されている。そして、可動基板52において、可動部521および連結保持部522の固定基板51に対向する面は、同一平面上に形成され、固定基板51の電極形成溝511および反射膜固定部512と所定のギャップを介して対向配置されている。すなわち、可動基板52において、可動部521および連結保持部522の固定基板51に対向する面が、本発明の第一ギャップ形成領域を構成する。
そして、可動基板52の固定基板51に対向する面のうち、第一ギャップ形成領域の外側領域、すなわち連結保持部522の外周縁よりも径外側の領域の面が、本発明の第一接合領域である可動側接合面523となる。ここで、本実施形態では、可動基板52において、可動側接合面523、可動部521、および連結保持部522の固定基板51に対向する面が同一平面となり、鏡面加工により光学面が形成されている。
なお、本実施形態では、可動側接合面523、可動部521、および連結保持部522を同一平面とするが、例えば、可動部521や連結保持部522を凹溝状に形成する構成などとしてもよい。
【0043】
可動部521は、連結保持部522よりも厚み寸法が大きく形成され、例えば、本実施形態では、可動基板52の厚み寸法と同一寸法である200μmに形成されている。また、可動部521は、反射膜固定部512に平行な可動面521Aを備え、この可動面521Aに可動反射膜57が固定されている。
ここで、この可動反射膜57は、上述した固定反射膜56と同一の構成の反射膜が用いられ、本実施形態では、AgC単層反射膜が用いられる。また、AgC単層反射膜の膜厚寸法は、例えば0.03μmに形成されている。
【0044】
さらに、可動部521は、可動面521Aとは反対側の上面において、可動反射膜57に対応する位置に図示略の反射防止膜(AR)が形成されている。この反射防止膜は、固定基板51に形成される反射防止膜と同様の構成を有し、低屈折率膜および高屈折率膜を交互に積層することで形成される。
【0045】
連結保持部522は、可動部521の周囲を囲うダイヤフラムであり、例えば厚み寸法が50μmに形成されている。この連結保持部522の固定基板51に対向する面には、固定側電極541と、所定間隔の電磁ギャップを介して対向する、リング状の可動側電極542が形成されている。ここで、この可動側電極542および前述した固定側電極541により、可動部521を変位させる静電アクチュエーター54が構成される。
また、可動側電極542の外周縁の一部からは、図5に示すように、一対の可動側引出電極542Aが外周方向に向かって形成され、これらの可動側引出電極542Aの先端には可動側電極パッド542Bが形成されている。より具体的には、可動側引出電極542Aは、エタロン平面視において、固定側引出電極541Aが形成される方向とは直行する方向に形成される。本実施形態では、固定側引出電極541Aは、図4に示すように、エタロン平面視において、左右方向に形成される引出部形成溝511Bに沿って形成されているため、可動側引出電極542Aは、図5の紙面上下方向に沿って、すなわち、固定側引出電極541Aが形成されていない引出部形成溝511Bに沿うように、可動基板52上に形成されている。また、可動側電極パッド542Bも、固定側電極パッド541Bと同様に、電圧制御手段6に接続され、静電アクチュエーター54の駆動時には、一対の可動側電極パッド542Bのうちのいずれか一方にのみに電圧が印加される。そして、他方の可動側電極パッド542Bは、可動側電極542の電荷保持量を検出するための検出端子として用いられる。
【0046】
(3−2.電圧制御手段の構成)
電圧制御手段6は、上記エタロン5とともに、本発明の波長可変干渉フィルターを構成する。この電圧制御手段6は、制御装置4からの入力される制御信号に基づいて、静電アクチュエーター54の固定側電極541および可動側電極542に印加する電圧を制御する。
【0047】
〔4.制御装置の構成〕
制御装置4は、測色モジュール1の全体動作を制御する。
この制御装置4としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューターなどを用いることができる。
そして、制御装置4は、図1に示すように、光源制御部41、測色センサー制御部42、および測色処理部43などを備えて構成されている。
光源制御部41は、光源装置2に接続されている。そして、光源制御部41は、例えば利用者の設定入力に基づいて、光源装置2に所定の制御信号を出力し、光源装置2から所定の明るさの白色光を射出させる。
測色センサー制御部42は、測色センサー3に接続されている。そして、測色センサー制御部42は、例えば利用者の設定入力に基づいて、測色センサー3にて受光させる光の波長を設定し、この波長の光の受光量を検出する旨の制御信号を測色センサー3に出力する。これにより、測色センサー3の電圧制御手段6は、制御信号に基づいて、利用者が所望する光の波長のみを透過させるよう、静電アクチュエーター54への印加電圧を設定する。
【0048】
〔5.エタロンの製造方法〕
次に、上記エタロン5の製造方法について、図面に基づいて説明する。
(5−1.固定基板の製造)
図6は、エタロン5の固定基板51の製造工程を示す図であり、(A)は、固定基板51に電極形成溝を形成するためのレジストを成膜した状態を示す固定基板形成工程の一部を示す概略図、(B)は、接着用溝514、撓み低減溝516、および反射膜固定部512を形成するためのレジストを成膜した固定基板形成工程の一部を示す概略図、(C)は、固定基板成形工程により形成された固定基板の概略を示す図、(D)は、固定側電極541を形成する固定側電極形成工程の概略図、(D)は、固定反射膜を形成する固定反射膜形成工程の概略図、(E)は、接着用溝514に接着剤を塗布する接着剤塗布工程を示す概略図である。
【0049】
固定基板51を製造するためには、まず、固定基板51の製造素材である石英ガラス基板に、エッチングにより電極形成溝511、反射膜固定部512、接着用溝514、および撓み低減溝516を形成する固定基板成形工程を実施する。ここで、石英ガラス基材は、例えば厚み寸法が500μmに形成されており、表面に予め鏡面加工が施されて、平均表面粗さRaが1nm以下となる基板を用いる。
この固定基板成形工程では、まず、図6(A)に示すように、上記石英ガラス基板上に、フォトリソグラフィ法により、電極形成溝511を形成するためのレジストR1を形成する。すなわち、固定基板51を形成するための石英ガラス基材の一面側の全面にレジストR1を成膜形成し、このうち、電極形成溝511および引出部形成溝511Bに対応する部分のみに紫外光または遠紫外光を照射してレジストを除去する。
そして、この石英ガラス基材の一面側に異方性エッチングを施して、例えば深さ寸法が1μmの電極形成溝511、および引出部形成溝511Bを形成する(電極形成溝形成工程)。
【0050】
また、電極形成溝形成工程の後、図6(B)に示すように、反射膜固定部512、接着用溝514、および撓み低減溝516に対応する領域以外に、上記電極形成溝形成工程と同様に、フォトリソグラフィ法によりレジストR2を形成する。そして、エッチング処理を実施することで、図6(C)に示すように、深さ寸法が例えば200nmとなる接着用溝514、撓み低減溝516、反射膜固定部512が形成される。
【0051】
そして、上記固定基板成形構成の後、図6(D)に示すように、固定基板51のレジストを除去し、電極形成溝511および引出部形成溝511Bに、固定側電極541、固定側引出電極541A、および固定側電極パッド541Bを形成する(固定側電極形成工程)。具体的には、この固定側電極形成工程では、固定基板51のうち、電極形成溝形成工程および固定基板形成工程により溝が形成された一面側に、例えばスパッタリングなどによりCr/Au層を、例えば厚み寸法が10nm/200nmとなるように成膜する。そして、フォトリソグラフィ処理、エッチング処理により電極パターンを形成する。すなわち、固定側電極541、固定側引出電極541A、および固定側電極パッド541Bの形状パターンに対応したレジストを形成した後、エッチング処理によりレジストが形成されない領域をエッチングにより除去することで、固定側電極541、固定側引出電極541A、および固定側電極パッド541Bを形成する。
さらに、電極が形成された固定基板51の全面に固定反射膜56形成用のAgC層を例えばスパッタリングにより成膜し、固定側電極形成工程と同様に、フォトリソグラフィ処理、エッチング処理を行うことで、図6(E)に示すように、例えば直径3mmの固定反射膜56を反射膜固定部512に形成する(固定反射膜形成工程)。
【0052】
この後、図6(F)に示すように、接着用溝514内に、接着剤515を塗布する(接着剤塗布工程)。この接着剤塗布工程における接着剤の塗布方法としては、特に限定されず、例えばフィルム転写、スキージ、ディスペンスなどにより、接着剤を塗布する。
【0053】
(5−2.可動基板の製造)
次に、可動基板52の製造方法について説明する。
図7は、第二基板の製造工程の概略を示す断面図であり、(A)は、可動基板52に導電性膜を成膜する導電性膜形成工程を示す概略図、(B)は、可動基板52上の導電性膜をフォトリソグラフィ法により成形する電極形成工程、(C)は、可動部521および連結保持部522を形成する可動基板成形工程の概略図、(D)は、可動反射膜57を形成する可動反射膜形成工程の概略図を示す概略図である。
【0054】
可動基板52の形成では、まず、可動基板52の形成素材である例えば厚み寸法が200nmで、鏡面加工により平均表面粗さRaが1nm以下に処理された石英ガラス基板を用い、図7(A)に示すように、可動基板52の全面に、可動側電極542形成用の導電性膜M1を成膜する。ここで、この導電性膜M1としては、例えば固定側電極541と同様に、Cr/Au層を10nm/200nmの厚み寸法で形成する。
【0055】
そして、フォトリソグラフィ処理、エッチング処理により、図7(B)に示すように、導電性膜M1を所定の形状パターンに成形する。具体的には、可動基板52の一方の面(固定基板51に対向しない面)では、連結保持部522の形成位置のみの導電性膜M1を除去し、可動基板52の他方の面(固定基板51に対向する面)では、可動側電極542、可動側引出電極542A、および可動側電極パッド542Bの形成位置以外の導電性膜を除去する。
この後、図7(C)に示すように、可動基板52の一方の面(固定基板51に対向しない面)側を、導電性膜をエッチングマスクとして、例えば150μmの深さ寸法で異方性エッチングを行い、連結保持部522および可動部521を形成する。また、エッチング処理後、可動基板52の固定基板51に対向しない面側の導電性膜M1を除去する。
【0056】
この後、図7(D)に示すように、可動基板52の固定基板51に対向する面に可動反射膜57を形成する可動反射膜形成工程を実施する。この可動反射膜形成工程は、固定反射膜形成工程と同様の手法により可動反射膜57を形成する。すなわち、可動基板52の固定基板51に対向する面の全面に可動反射膜57形成用のAgC層を例えばスパッタリングにより成膜し、フォトリソグラフィ処理、エッチング処理を行うことで、例えば直径3mmの可動反射膜57を可動部521に形成する。
【0057】
(5−3.エタロンの製造)
次に、上述のように製造された固定基板51および可動基板52を用いたエタロン5の製造について説明する。
図8は、エタロン5の製造工程を示す図であり、(A)は、接合工程を示す概略図、(B)は、接着剤515の硬化した後のエタロンの一部を示す概略図であり、(C)は、撓み低減溝516が形成されていない場合のエタロンの一部を示す概略図である。
【0058】
エタロン5の製造では、上述のように製造された固定基板51および可動基板52を接合することで製造される。
この時、固定側接合面513および可動側接合面523同士を当接させ、基板厚み方向に沿って加重を与えることで、固定側接合面513の光学面および可動側接合面523の光学面同士がオプティカルコンタクトにより接合される。すなわち、固定基板51および可動基板52が密着し、固定基板51の反射膜固定面512Aおよび可動基板52の可動面521Aが平行に維持される。
そして、接着用溝514に塗布された接着剤515により、固定基板51を可動基板52が接着接合されるため、固定基板51および可動基板52の剥離が防止され、強固な接着強度が得られる。
【0059】
ここで、上記のように、接着用溝514に塗布された接着剤515により接着接合を実施した場合、接着剤515の硬化収縮により、可動基板52の接着用溝514に対向する部分が接着用溝514内に撓む場合がある。
可動基板52が接着用溝514側に撓むと、固定基板51の接着用溝514の内周縁部514Bに対向する位置から、ギャップ形成領域を形成する連結保持部522に、接着用溝514内への撓みに対抗する反力(以降、撓み反力と称す)が発生する。
この撓み反力は、接着用溝514から離隔するに従って小さくなるが、図8(C)に示すように、固定基板51に撓み低減溝516が形成されていない場合、十分に低減させることができず、連結保持部522まで伝達されてしまい、連結保持部522が撓み反力による影響を受けて撓む場合がある。
これに対して、本実施形態では、固定基板51には、接着用溝514および電極形成溝511の間に撓み低減溝516が形成されている。この場合、可動基板52が接着用溝514内に撓んだ場合でも、図8(B)に示すように、撓み低減溝516において、撓み反力を逃がす撓みが発生する。すなわち、可動基板52が接着用溝514内に撓むことで、撓み反力を低減させることができ、連結保持部522に伝達される撓み反力を小さくすることができ、連結保持部522の撓みを防止することができる。これにより、可動面521Aおよび反射膜固定面512Aの平行を維持でき、一対の反射膜56,57の平行関係を維持できる。
【0060】
また、接着用溝514内に可動基板52が撓んだ際に発生する撓み反力よりも小さいものの、撓み低減溝516内に可動基板52が撓むことで、その撓みに対する反力が発生する。これに対して、本実施形態では、撓み低減溝516が、接着用溝514の内周縁部514Bから溝対向周縁部511Cまでの間の中心位置より接着用溝514側に位置して形成されている。このため、撓み低減溝516で可動基板52が撓んだ場合に発生する上記反力を十分に低減でき、連結保持部522に伝達される撓み力をより確実に低減させることが可能となる。
【0061】
さらに、接着用溝514内に可動基板52が撓んだ場合、接着用溝514の内周縁部514Bに対向する位置から連結保持部522に向かって撓みに対抗する撓み反力が発生する。ここで、接着用溝514の内周縁部514Bは、電極形成溝511の外周縁の溝対向周縁部511C)と同一曲率に形成されている。また、エタロン平面視において、連結保持部522は、電極形成溝511と同一形状に形成されている。そして、撓み低減溝516は、接着用溝514の内周縁部514Bと同一曲率となる円弧状に形成されている。このため、内周縁部514Bから伝達される撓み反力を一様に低減させることができ、例えば連結保持部522の溝対向周縁部511Cに対向する周縁部のうち、一部のみに大きな撓み反力が加わるなどの不都合はない。
【0062】
〔6.第一実施形態の作用効果〕
上述したように、上記第一実施形態の測色モジュール1の測色センサー3を構成するエタロン5では、固定基板51の固定側接合面513内に、接着用溝514が形成され、接着用溝514と、電極形成溝511との間に、撓み低減溝516が形成されている。そして、固定基板51の固定側接合面513と、可動基板52の可動側接合面523とを当接させ、かつ接着用溝514内に塗布される接着剤515により固定基板51および可動基板52を接着接合することで、エタロン5が形成されている。
このため、固定基板51および可動基板52の接合時において、接着剤515の硬化収縮により、可動基板52が接着用溝514内に撓み、この撓みにより可動基板52に撓み反力が発生したとしても、撓み低減溝516にてその撓み反力を逃がすことができる。したがって、撓み低減溝516が形成されない構成に比べて、連結保持部522に伝達される撓み反力を効果的に低減させることができ、連結保持部522における撓みを防止することができる。これにより、可動部521の可動面521Aと、固定基板51の反射膜固定部512の反射膜固定面512Aとを平行に維持することができるため、これらの可動面521Aおよび反射膜固定面512Aに形成される可動反射膜57および固定反射膜56の平行関係も維持される。よって、エタロン5を透過する光を所望の波長に絞ることができ、分光精度を向上させることができる。
また、測色センサー3では、このような分光精度が良好なエタロン5により分光された光の光量を取得することができるため、測色センサーにおいて分光光の光量を正確に測定することができる。
さらには、測色モジュール1では、このような測色センサーで測定される光量に基づいて、測色処理を実施する。したがって、各分光光の正確な光量に基づいて、被検査対象Aの色度を正確に分析することができ、正確な測色測定を実施することができる。
【0063】
また、固定側接合面513および可動側接合面523は、鏡面加工により光学面に形成され、オプティカルコンタクトにより接合されている。
このため、オプティカルコンタクトにより、固定基板51および可動基板52を密着させて、精密に平行状態に維持することができる。また、オプティカルコンタクトのみ、または接着剤515による接着接合のみでは接合力が弱くなるが、上記のように接着剤515により接着接合を併用することで、接合強度を強くすることができる。
【0064】
そして、撓み低減溝516は、接着用溝514の内周縁部514Bと、電極形成溝511の溝対向周縁部511Cとの間の溝・ギャップ間領域513Aにおいて、内周縁部514Bと溝対向周縁部511Cとの中心点より接着用溝514側に形成されている。
このため、可動基板52における撓み低減溝516の対向位置と、連結保持部522との間の距離を十分大きく採ることができ、撓み低減溝516内に可動基板52が撓んだ際に発生する反力が連結保持部522に伝達されにくくなる。したがって、連結保持部522の撓みをより効果的に防止することができ、一対の反射膜56,57をより確実に平行に維持することができる。
【0065】
また、接着用溝514および撓み低減溝516は、固定基板51の四隅部分近傍に形成されている。
すなわち、接着用溝514および撓み低減溝516は、電極形成溝511からの距離が遠くなる位置に形成されている。このため、接着用溝514内に可動基板52が撓むことで発生する撓み反力が、より連結保持部522に伝達されにくく、連結保持部522の撓みをより確実に防止することができる。
【0066】
さらに、接着用溝514の内周縁部514B、および撓み低減溝516は、電極形成溝511の溝対向周縁部511Cと同一曲率に形成されている。このため、接着用溝514内に可動基板52が撓んだ場合に発生する撓み反力は、溝対向周縁部511Cに均等に伝達される。ここで、上記のように、撓み低減溝516により、この撓み反力は十分低減されるが、可動基板52の溝対向周縁部511Cに対向する領域に加わる撓み反力が一様でなく、例えば一部のみが大きい場合では、連結保持部522に加わる応力のバランスが不安定になる場合がある。これに対して、上記実施形態では、上述のように、連結保持部522に一様に応力が作用し、応力のバランスも安定させることができ、より確実に連結保持部522の撓みを防止することができる。
【0067】
また、接着用溝514は、空気逃げ溝514Cを介してエタロン5の外部空間と連通されている。このため、固定基板51および可動基板52の接合時に、接着剤515の硬化収縮により可動基板52が接着用溝514内に撓んだ場合でも、接着用溝514内の圧力が増大することがなく、接着用溝514内の圧力増による固定側接合面513および可動側接合面523の剥離を防止できる。
【0068】
〔第二実施形態〕
次に本発明に係る第二実施形態の測色モジュールについて説明する。
第二実施形態の測色モジュールでは、第一実施形態の測色モジュール1のうち、エタロン5の撓み低減溝516の形状のみが異なるものであり、エタロンの固定基板の構成についてのみ説明する。
【0069】
図9は、第二実施形態のエタロン5Aの固定基板51を示す平面図である。なお、以降の説明において、上記第一実施形態と同様の構成については、同符号を付すとともに、その説明を省略または簡略する。
図9に示すように、第二実施形態のエタロン5Aでは、撓み低減溝516Aは、エタロン平面視において、略矩形状に形成され、接着用溝514の内周縁部514Bに略沿う曲線方向Lに沿って、複数設けられている。これらの撓み低減溝516Aの配置間隔としては特に限定されないが、溝・ギャップ間領域513Aで、内周縁部514Bの曲線方向Lに沿う撓み低減溝516Aの寸法の総和が、撓み低減溝516Aが形成されない部分の寸法の総和よりも大きく形成されていればよい。したがって、例えば1つの撓み低減溝516Aの内周縁部の曲線方向に沿う寸法が小さく形成される場合では、複数の撓み低減溝516Aを密に形成すればよい。なお、各撓み低減溝516の形状として、平面視矩形状に限定されず、例えば平面視円形、平面視楕円形などの形状としてもよい。
【0070】
(第二実施形態の作用効果)
上述したような第二実施形態のエタロン5Aでは、固定基板51には、接着用溝514の内周縁部に沿う複数の撓み低減溝516Aが形成されている。
このような撓み低減溝516Aが形成される場合であっても、上記第一実施形態と同様に、可動基板52が接着剤515の硬化収縮により接着用溝514内に撓んだ場合の撓み反力を各撓み低減溝516Aにより効果的に逃がすことができ、連結保持部522の撓みを防止することができる。
また、複数の撓み低減溝516Aを形成する構成では、第一実施形態のような内周縁部514Bに沿って連続となる撓み低減溝516を形成する場合に比べて、撓み反力を低減させる効率は低下するものの、連結保持部522の撓みを防止するために十分な作用を発揮できる。これに加えて、各撓み低減溝516A間に固定側接合面513を形成することができ、オプティカルコンタクトにより可動基板52と接合される領域の面積が増大し、接合強度をより高めることができる。
【0071】
〔他の実施形態〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0072】
例えば、上記第一および第二実施形態において、固定基板51の溝・ギャップ間領域513A内に撓み低減溝516,516Aを形成する例を示したが、図10(A)および(B)に示すように、固定基板51に環状の撓み低減溝516Bを形成してもよい。この場合、例えば図10(A)に示すように、撓み低減溝516Bが円環状に形成される構成であってもよく、図10(B)に示すように、多角形状に形成される構成であってもよい。
【0073】
また、接着用溝514の内周縁部514Bおよび撓み低減溝516は、電極形成溝511の溝対向周縁部511Cと同一曲率に形成されるとしたが、これに限定されず、例えば、接着用溝514の内周縁部514Bや撓み低減溝516が、電極形成溝511の外周縁の同心円に沿った円弧状に形成される構成としてもよく、直線形状に形成される構成であってもよい。
【0074】
さらに、上記実施形態では、正方形状の固定基板51の四隅部に接着用溝514を形成したが、例えば固定基板51の平面視形状が、その他の形状であってもよい。この場合、固定基板51のうち、第二ギャップ形成領域である電極形成溝511から最も遠い位置に接着用溝514が形成される構成とすることで接着剤の接着収縮による可動基板52の撓みを防止することができる。
【0075】
また、上記実施形態では、本発明の干渉フィルターとして、エタロン5,5Aを例示し、静電アクチュエーター54により可動部521を変位させて反射膜間ギャップを調整して透過光を変更可能な構成としたが、これに限定されない。例えば、予め設定された所定の波長のみを透過させる分光フィルターとしても利用でき、この場合は、静電アクチュエーター54を設ける必要がなく、また、可動基板52に連結保持部522や可動部521を構成するための溝を形成する必要もない。
【0076】
さらに、上記実施形態では、固定側接合面513および可動側接合面523を、光学面として活性化させ、これらの接合面513,523を重ね合わせて加重を印加することで接合する、いわゆるオプティカルコンタクト(常温活性化法)により接合する例を示したが、これに限定されない。例えば一方の接合面に金属膜を一様に形成して陽極接合により各接合面513,523を接合させる方法などを用いてもよい。
【0077】
さらには、接着剤515として、熱硬化型接着剤であるエポキシ樹脂系接着剤を例示したが、これに限定されず、上述したように、例えば紫外線硬化型接着剤などを用いてもよい。
【0078】
さらに、固定基板51および可動基板52の四隅部を接着接合により接合する構成としたが、例えば、固定基板51の外周辺に沿って接着用溝514を形成し、接着接合により可動基板52に接合させる構成としてもよい。この場合、静電アクチュエーター54を構成する各電極541,542の引出電極541A,542Aは、それぞれエタロン5,5Aの中心位置から四隅部に向かって形成され、エタロン5の角部に電極パッド541B,542Bが形成される構成としてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、固定基板51を本発明の第二基板とし、可動基板52を本発明の第一基板として、固定基板51に接着用溝514および撓み低減溝516を形成する構成とした。これは、可動基板52の可動部521を基板厚み方法に沿って変位させるため、また可動部521および連結保持部522の製造性を考慮して可動基板52を固定基板51よりも薄く形成したものであり、このような可動基板52の撓みを効果的に防止するために固定基板51に接着用溝514および撓み低減溝516が形成されている。一方、上述したように、例えば反射膜間ギャップの間隔を調整せず、予め設定された所定の波長の光のみを分光させる干渉フィルターでは、固定基板51および可動基板52の厚み寸法を同一寸法に形成したり、固定基板51側を薄く形成したりする場合もある。この場合は、可動基板52側を本発明の第二基板とし、可動基板52側に接着用溝514および撓み低減溝516を形成する構成などとしてもよい。
さらには、固定基板51および可動基板52の双方に、互いに対向する接着用溝514を形成し、これらの接着用溝514間を接着剤により接着接合する構成としてもよく、この場合、固定基板51および可動基板52の双方に撓み低減溝516を形成する構成としてもよい。
【0080】
そして、上記実施形態では、本発明の光センサーとして、測色センサー3を例示し、この測色センサー3を備えた測色モジュール1を本発明の光モジュールとして例示したが、これに限定されるものではない。例えば、センサー内部にガスを流入させ、入射光のうちガスにて吸収された光を検出するガスセンサーを本発明の光センサーとして用いてもよく、このようなガスセンサーによりセンサー内に流入されたガスを分析、判別するガス検出装置を本発明の光モジュールとしてもよい。
【0081】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【符号の説明】
【0082】
1…光モジュールとしての測色モジュール、3…光センサーとしての測色センサー、5…干渉フィルターとしてのエタロン、51…第二基板である固定基板、52…第一基板である可動基板、56…第二反射膜である固定反射膜、57…第一反射膜である可動反射膜、511…第二ギャップ形成領域の一部を構成する電極形成溝、511C…溝対向周縁部、512…第二ギャップ形成領域の一部を構成する反射膜固定部、513…第二接合領域である固定側接合面、514…接着用溝、514B…ギャップ対向周縁部である内周縁部、515…接着剤、516…撓み低減溝、521…第一ギャップ形成領域の一部を構成する可動部、522…第一ギャップ形成領域の一部を構成する連結保持部、523…第一接合領域である可動側接合面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一基板と、
前記第一基板の一面側に対向配置され、前記第一基板に接合される第二基板と、
前記第一基板の前記第二基板に対向する面に形成される第一反射膜と、
前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜に対向する第二反射膜と、
を備えた干渉フィルターであって、
前記第一基板は、
前記第一反射膜が設けられるとともに、前記第二基板に当接しない第一ギャップ形成領域と、
前記第一ギャップ形成領域の外周側に設けられ、前記第二基板に当接する第一接合領域と、を備え、
前記第二基板は、
前記第二反射膜が設けられるとともに、ギャップを介して前記第一ギャップ形成領域に対向する第二ギャップ形成領域と、
前記第二ギャップ形成領域の外周側に設けられ、前記第一基板の前記第一接合領域に当接する第二接合領域と、
前記第二接合領域内に形成されるとともに、接着剤が塗布される接着用溝と、
前記接着用溝および前記第二ギャップ形成領域の間に形成される撓み低減溝と、を備え、
前記第一基板および前記第二基板は、前記第一接合領域および前記第二接合領域を接合させた状態で、前記接着用溝に塗布される前記接着剤により接着接合される
ことを特徴とする干渉フィルター。
【請求項2】
請求項1に記載の干渉フィルターにおいて、
前記第一接合領域および前記第二接合領域は、光学面であり、
前記第一基板および前記第二基板は、前記第一接合領域および前記第二接合領域をオプティカルコンタクトにより接合されるとともに、前記接着用溝に塗布される接着剤により接着接合される
ことを特徴とする干渉フィルター。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の干渉フィルターにおいて、
前記撓み低減溝は、前記接着用溝の周縁のうち前記第二ギャップ形成領域に対向するギャップ対向周縁部から、前記第二ギャップ形成領域の周縁のうち前記接着用溝に対向する溝対向周縁部までの間の中心位置よりも、前記接着用溝側に設けられる
ことを特徴とする干渉フィルター。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の干渉フィルターにおいて、
前記撓み低減溝は、前記接着用溝の周縁のうち前記第二ギャップ形成領域に対向するギャップ対向周縁部と、前記第二ギャップ形成領域の周縁のうち前記接着用溝に対向する溝対向周縁部とにより囲われる溝・ギャップ間領域内に設けられる
ことを特徴とする干渉フィルター。
【請求項5】
請求項4に記載の干渉フィルターにおいて、
前記撓み低減溝は、前記溝・ギャップ間領域内において、前記ギャップ対向周縁部に沿って複数設けられる
ことを特徴とする干渉フィルター。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の干渉フィルターにおいて、
前記第一基板および前記第二基板は平面視矩形状に形成され、
前記接着用溝および前記撓み低減溝は、前記第二基板の矩形の四隅近傍に形成される
ことを特徴とする干渉フィルター。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の干渉フィルターと、
前記干渉フィルターにより分光される光を受光する受光手段と、
を備えることを特徴とする光センサー。
【請求項8】
請求項7に記載の光センサーと、
前記受光手段により受光された光の光量に基づいて、前記干渉フィルターにより分光された光を分析処理する処理手段と、
を備えたことを特徴とする光モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−112999(P2011−112999A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271234(P2009−271234)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】