説明

平らな金属薄板の打ち抜き及びレーザー裁断用複合化機械

【課題】固定された打ち抜きヘッドと異なる移動性を有した可動性レーザ裁断ヘッドを備えた複合化機械を作成する。
【解決手段】平らな金属薄板の打ち抜き及びレーザー裁断用複合化機械において、前記機械は、固定基部1と、固定打ち抜きヘッド7と、固定レーザー裁断ヘッド10と、及び金属薄板6をデカルト平面XY上で移動させるための操縦桿4とを含む。前記レーザー裁断ヘッド10は、線形ガイド8に沿って移動可能な、可変口径コンパス構造体9によって運ばれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平らな金属薄板の打ち抜き及びレーザー裁断用複合化機械に関する。
【0002】
平らな金属薄板の打ち抜き及びレーザー裁断用複合化機械は、個別の打ち抜き及びレーザー裁断機械の疑う余地のない効率に、2つの工程の複合化の操作柔軟性を加える、即ち、複雑な形状の打ち抜き用具を置き換えるレーザー裁断での金属薄板の単一の操縦である、長年知られた解決策である。これにより、2つの工程のそれぞれ、打ち抜き及びレーザー裁断は、部分品及び利用できる穿孔機の設計形状に従い、加工される金属薄板自身に対して最善に使用可能である。
【0003】
個別の打ち抜き機械に関するより一般的な様式は、工具交換機を備え、加工対象板がデカルト平面(XY)上を移動可能な、固定打ち抜き機の一種である。逆に、固定されたレーザーヘッド及び移動可能な板による解決策、又は混成型の解決策も存在するけれども、個別のレーザー機に関して最も広く行き渡っている様式は、加工対象板が固定され、ヘッドが移動可能な機械である。
【0004】
複合化打ち抜き及びレーザー裁断機械は、レーザーヘッドを収容する、任意の打ち抜き機械であり、その逆ではない。その結果、前記複合化機械は、少なくとも、固定された打ち抜きヘッド、同じく固定されたレーザー裁断ヘッド、及び金属薄板が(XY)平面上を動くためのデカルト式操縦桿を備える。この型の機械は、例えば、EP−0491747−B1に表され説明されている。
【0005】
更に、可動性レーザー裁断ヘッドを備えた複合化機械が知られており、これは、板の移動の慣性に対して、レーザーヘッドの移動の慣性が低いという利点を追加することを可能にする。解決策は、レーザーヘッドの、一つの軸(y)上、又は二つの直交する軸(xy)上の移動性に関して、存在する。明らかに、レーザーヘッドの、一つの方向(y)又は二つの方向(xy)の移動性は、レーザーヘッドと、金属薄板のデカルト式操縦桿(XY)の結合動作の制御を複雑にする。
【0006】
レーザー裁断ヘッドが一つの方向(y)に動く複合化機械は、特開2006−088214、特開2007−038286、及び特開2009−018334に記載されている。第一の公報は、金属薄板の一つの操縦桿の方向(Y)に平行な方向に、一方向移動性(y)を有するレーザー裁断ヘッドを示している。第二の公報は、操縦桿自身及びその把持部との干渉無しに金属薄板の横方向の貫通裁断ができるように、レーザーヘッドの移動性(y)と操縦桿(XY)の設計を変更している。最後に、第三の公報は、レーザーヘッドの移動の制御ネジの熱膨張を補償する機械的な解決策を加えることによって、前二者を改良している。
【0007】
金属薄板の操縦桿の移動性(XY)に加えて、レーザーヘッドの移動性(xy)を伴う複合化機械も知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本技術のこの状況に鑑み、本発明の目的は、固定された打ち抜きヘッドと、異なる、かつより使い勝手の良い型のレーザーヘッドの移動性を持つ可動性レーザー裁断ヘッドを備えた複合化機械を作製することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、このような目的は、固定基部、固定打ち抜きヘッド、可動性レーザー裁断ヘッド、及び金属薄板のデカルト平面(XY)内の移動のための操縦桿を備え、前記レーザー裁断ヘッドは、固定半径(ρ)極移動性(θ)及び線形移動性(y)を備えたコンパス構造体によって運ばれることを特徴とする平らな金属薄板の打ち抜き及びレーザー裁断用複合化機械によって達成される。
【0010】
好ましい実施態様によれば、極−線形移動性は、線形ガイドに沿うコンパス構造体の並進と、コンパス構造体自身の開閉を決定する、二つの独立のアクチュエータによって確保される。
【0011】
レーザーヘッドの移動は、回転モーター、線形モーター、又はネジ動力によって得ることができる。
【0012】
金属薄板の移動性に対する操縦桿のデカルト式移動(XY)、及びレーザー裁断ヘッドの低慣性の極−線形移動の組合せは、絶対的に競争力のある性能及び作業品質を得ることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明による複合化機械の、考え得る実施態様を、添付図面中の例によって示すが、これに限定されない。
【図1】線形ガイドの標準点に位置するコンパスが伸びた状態にある、回転モーターを有する複合化機械を示す。
【図2】線形ガイドの標準点に位置するコンパスがたたまれた状態にある、同じ機械を示す。
【図3】線形ガイドの標準点に位置するコンパスがたたまれた状態にある、線形モーターを有する複合化機械を示す。
【図4】線形ガイドの標準点に位置するコンパスがたたまれた状態にある、ネジ動力による複合化機械を示す。
【図5】本発明による複合化機械の更なる変形を示す。
【図6】本発明による複合化機械のレーザー裁断ヘッドを支え、かつ移動させるコンパス構造体の一例の詳細構造を示す。
【図7】本発明による複合化機械、特に図1及び2の機械が、操縦桿の移動とレーザーヘッドの移動性が互いに干渉することなしに、金属薄板の完全な貫通裁断を実行できることを示す。
【0014】
図1及び2の複合化機械は、底部2及び頂部3を有する固定基部1を含む。示した例において、基部は、実質的にC形状だが、閉じたポータルの様なO形状でも良い。
【0015】
操縦桿4は、上記二つの部2及び3の間に挿入され、把持部5によって平らな金属薄板6を支えて、二つのデカルト式軸X及びYに沿う制御された移動を確保する。
【0016】
頂部3は、丁度良い具合に工具交換器を備えた固定打ち抜きヘッド7、及び極−線形移動性を備えるレーザー裁断ヘッド10を支えるコンパス構造体9に対する線形ガイド8支える。
【0017】
レーザーヘッド10の極−線形移動性は、二つの独立したアクチュエータで確保されており、これらは、図1及び2の場合は、二つのスライディングパッド13及び14を独立に、かつ線形ガイド8に沿う可変相互距離で動かす二つの回転モーター11及び12から成る。これにより、レーザーヘッド10はY軸に沿って動き、また、コンパス構造体の開閉により、垂直軸の周りを回転可能である(図1及び2)。
【0018】
代案として、アクチュエータ11及び12は線形モーター(図3)又はネジ動力(図4)から成っても良い。
【0019】
更なる代案として、線形ガイド8は、図5に示す様に、基部1に垂直で、かつ操縦桿4に平行に配置されてもよい。
【0020】
コンパス構造体9は、図6により良く示されており、図は、V字に配置された、関節で繋がれた2本の棒15及び16を含み、これらは、軸が金属薄板6の面に対して垂直なピン17及び18によってそれぞれのスライディングパッド13及び14に蝶番で留められた末端、及び、同じく金属薄板の面に対して垂直であり、レーザー裁断ヘッド10が固定される棒15の他の末端付近に配置された、別のピン19によって相互に蝶番で留められた、それぞれの末端を有する。
【0021】
線形ガイド8、スライディングパッド13及び14、アクチュエータ11及び12、及び関節で繋がれた棒15及び16によって形成された全体が、要求される裁断輪郭に沿うレーザーヘッド10の低慣性の移動を可能にし、一方、操縦桿4が、打ち抜きヘッド7に対する、XY方向の金属薄板の移動を決定する。
【0022】
図1及び2の実施態様を参照する図7に示す通り、金属薄板の操縦桿4、及びレーザーヘッド10の移動性は、相互に決して干渉しないように得られ、レーザーヘッドによって金属薄板の上から下までの貫通裁断20が得られることを可能にする。
【符号の説明】
【0023】
1 固定基部
4 操縦桿
6 金属薄膜
7 固定打ち抜きヘッド
8 ガイド
9 コンパス構造体
10 レーザー(裁断)ヘッド
11 動力化部、アクチュエータ
12 動力化部、アクチュエータ
13 スライディングパッド
14 スライディングパッド
15 (第1の)棒
16 (第2の)棒
17 第1の軸
18 第2の軸
19 第3の軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平らな金属薄板の打ち抜き及びレーザー裁断用複合化機械であって、固定基部(1)、固定打ち抜きヘッド(7)、可動性レーザー裁断ヘッド(10)、及び金属薄板(6)のデカルト平面(XY)内の移動のための操縦桿(4)を含み、前記レーザー裁断ヘッド(10)は、線形ガイド(8)に沿って移動可能な可変口径コンパス構造体(9)によって支持されている、複合化機械。
【請求項2】
前記レーザー裁断ヘッド(10)の二重移動性は、前記基部(1)に固定された線形ガイド(8)に沿って前記コンパス構造体(9)を並進させ、及び前記コンパス構造体(9)を開閉せしめる、二つの独立した動力化部(11、12)によって得られる、請求項1に記載の機械。
【請求項3】
前記コンパス構造体(9)は、それぞれ独立したアクチュエータ(11,12)によって駆動されて可変相対距離で前記固定ガイド(8)に沿って移動する二つのスライディングパッド(13、14)、及びV字配置されて前記パッド(13、14)を前記レーザー裁断ヘッド(10)に関節で結合させる二つの棒(15、16)を含み、第一の棒(15)は、前記金属薄板の面に垂直な第一の軸(17)の周囲を回転可能に第一のスライディングパッド(13)上に旋回心軸で取り付けられた第一の末端と、前記レーザーヘッド(10)に一体に固定された第二の末端を有し、第二の棒(16)は、前記金属薄板の面に垂直な第二の軸(18)の周囲を回転可能に第二のスライディングパッド(14)上に旋回心軸で取り付けられた第一の末端と、前記金属薄板の面に垂直な第三の軸(19)の周囲を回転可能に前記第一の棒(15)の前記第二の末端と旋回心軸で取り付けられた第二の末端を有する、請求項2に記載の機械。
【請求項4】
前記アクチュエータ(11、12)は回転モーターである請求項3に記載の機械。
【請求項5】
前記アクチュエータ(11、12)は線形モーターである請求項3に記載の機械。
【請求項6】
前記アクチュエータ(11、12)はネジ型である請求項3に記載の機械。
【請求項7】
前記操縦桿(4)及び前記レーザー裁断ヘッド(10)の移動性は、前記金属薄板の完全な通過裁断を可能とする様に、互いに干渉しない様に選択される請求項1に記載の機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−86270(P2012−86270A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−225656(P2011−225656)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(507385752)
【氏名又は名称原語表記】SALVAGNINI ITALIA S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Ing. Guido Salvagnini,1 36040 SAREGO(VI),ITALY
【Fターム(参考)】