説明

平坦な物体を把持し搬送するためのグリッパ

平坦な物体(P)、特に新聞、雑誌、またはパンフレットなどの印刷物を保持し、かつしっかり保持した状態で搬送するためのグリッパを提供する。グリッパは、互いに対して旋回して開いた形状および閉じた形状となる2つの締付け舌(4、5)を含み、締付け舌(4、5)は、閉じた形状において互いに押付けられる。締付け舌(4,5)の少なくとも一方の遠位端は、締付け力と同じ方向に、締付け舌から横方向に延在する2本の弾性アーム(30)に嵌合し、締付けあご(10,11)は、アームの各々の自由端に配置される。少なくとも一方の締付け舌の締付けあごの接触面は、ボールジョイントによってアーム(30)上に装着されるように、締付け力の下で、向い合う締付けあごの接触面または締付けられた物体に嵌合するように適合される。グリッパは、種々の平坦な物体および厚さが異なる領域を有する平坦な物体を保持し、しっかり保持した状態で搬送するのに特に適する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送技術分野に属し、独立請求項の序文に係るグリッパに関する。グリッパは、平坦な物体、特に新聞、雑誌、もしくはパンフレット、またはそれらの少量の組などの印刷物を把持し、それらを保持しつつ搬送するのに適する。
【背景技術】
【0002】
平坦な物体、特に新聞、雑誌、またはパンフレットなどの印刷物を密な搬送流で搬送する事が既知であり、印刷物は連続して搬送され、かつ本質的に互いに平行に位置合わせされる。搬送方向は、印刷物の主面に対して(平行ではなく)垂直に、または傾斜して位置合わせされる。これによって、連続する印刷物同士の距離は、表面範囲よりも通常著しく小さい。グリッパ運搬装置は、たとえばこのような密な搬送流を搬送するのに利用される。これらは、搬送部材、たとえばジョイントリンクチェーン上に固着された複数のグリッパを含み、チェーンは経路内で回転駆動され、グリッパは、印刷物または印刷物の少量の組を把持し、それらを保持しつつ搬送するように設計される。
【0003】
上記のグリッパは通常2つの締付け舌を有し、制御/カム手段が搬送路に沿って配置された状態で、互いに対して旋回して、開いた形状および閉じた形状となり得る。互いに位置合わせされ、かつ締付け舌の遠位端に配置されている締付けあごは、開いた形状では互いに離間されており、締付けることができず、閉じた形状では、これらの締付けあごは、互いに対して、またはそれらの間に配置された印刷物領域に対して押付けられる。印刷物を把持するには、開いたグリッパの締付けあごの間にこの領域が位置決めされて、グリッパが閉じられる。保持しつつ搬送するために、グリッパは閉じた形状に保持され、閉じた形状に有利にロックされ、再度開かれてまたは解除されて、印刷物を放す。
【0004】
このようなグリッパの一例は、ドイツ特許番号第3102242号(または米国特許番号第4381056号)に記載されている。グリッパは、互いに位置合わせされた締付けあごを有する2つの締付け舌を含む。第1の締付けあごは、グリッパ本体に固定して配置され、第2の締付けあごは、軸の補助によってグリッパ本体に旋回可能に配置される。第2のグリッパ舌は、その基部端において、軸上に固着され、かつ軸に巻回される渦巻ばねを有する。渦巻ばねは、軸がグリッパ本体に対して回転するときに第2の締付け舌がこれとともに動く、つまり相応して旋回している間は緩んだままである。しかし、第2の締付け舌の締付けあごが第1の締付け舌の締付けあごに当接し、軸がさらに回転すると、渦巻ばねが張り、それによって2つの締付け舌の締付けあごの間に挟まれた印刷物に締付け力を伝達する。カムローラを有するカムレバーが第2の締付け舌の軸に係合し、グリッパを開閉させ、かつ第2の締付け舌をチャックする。静止したカムが搬送路に沿って設けられ、その上をカムローラが回転する。さらにグリッパは、第2の締付け舌または軸を第1の締付け舌に対して閉じられたチャック位置にロックする手段を含む。このため、各ケースにおいて、軸上および第1の締付け舌上に固定要素が配置される。予め定められた回転位置に軸が到達すると、固定要素が互いにロックされる。第1の締付け舌上のロック要素に接続され、かつ静止制御/カム要素によって駆動され得るつめによってロックが開放される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記の種類のグリッパ、特に簡単に上記したドイツ特許番号第31202242号に係るグリッパを、広範な平坦な物体を把持し搬送するのにこれらのグリッパが利用できる程度に改良することである。特に、本発明に係るグリッパは、より厚く、
特により重く、かつ非常に薄く軽量な平坦な物体を確実に把持し、それらを保持した状態で確実に搬送するのに適するだけでなく、平坦な物体、特に厚さが異なる領域を有する平坦な物体の組を確実に把持し、それらを保持した状態で確実に搬送するのにも適する。さらに、本発明に係るグリッパによれば、締付けた状態で、かつ締付け舌の締付けあごと把持されている物体との間、または把持されている物体の個々の部分間の力であって、擦るように、したがってスミアリング状態に印刷物に作用する力を、印刷されたインクがスミアリングに対して最終的な抵抗力をまだ有していない印刷物も取扱うことができる程度に回避し得る状態で上記の広範な平坦な物体を把持することも可能となる。
【0006】
この目的は、請求項に記載のグリッパによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るグリッパを既知のグリッパと区別する主な特徴の一つは、本発明に係るグリッパの締付け舌の少なくとも一方の遠位端が2本のアームを有する点にあり、アームは旋回軸におよそ平行に舌の両側に向かって外側に延在し、2つの締付けあごが可能な限り互いに離間されるように、各自由端において締付けあごを保持する。少なくとも1つの締付けあごのアームは、したがって締付け力の方向に弾性的に設計される。さらに、少なくとも一方の締付けあごの2本のアームを、他方の締付け舌に対向する側において2本のアームが合わせて若干凹形状となるように、他方の締付け舌に若干向きを合わせることが有利である。
【0008】
アームの自由端に配置された締付けあごは、本質的に平坦な接触面を有利に有し、その位置合わせと場合によっては形状とを、締付けあごを互いに、またはそれらの間に締付けられている物体に押付ける締付け力によって、対向する締付けあごの接触面または締付けられている物体に適合させ得る。
【0009】
互いに横方向に離間され、かつ弾性的に互いに接続されている2つの締付け領域に対して締付け効果を分割することによって、締付けられている印刷物をより安定して保持し得る(搬送方向を横切って作用し、グリッパまたは搬送部材によって受容されるトルクが低減する)だけでなく、2つの締付け領域において厚さが異なる物体を確実に把持することも可能である。
【0010】
締付けあごの接触面は、本質的に旋回軸に対して径方向に位置合わせされた面内に有利に位置し、第2の締付け舌が、第1の締付け舌に対して旋回軸について旋回可能であるだけでなく、第1の締付け舌もグリッパ本体に対して旋回可能である。好ましい実施形態では、第1の締付け舌の締付けあごの接触面は、旋回軸に対して径方向に位置合わせされた面内に位置し、2つの締付け舌の締付けあごの接触面間の距離が取扱われる物体の平均厚さにおよそ相当するとき、第2の締付け舌の締付けあごの接触面が第1の締付け舌の締付けあごの接触面に平行に位置合わせされる状態で、第2の締付け舌の接触面はそのような径方向の面に対して小さい角度をなす。
【0011】
本質的に旋回軸に対して径方向に位置合わせされた面内に締付けあごの接触面を配置することによって、把持されている印刷物が自由に懸垂している状態で搬送される(第1の締付け舌と、したがってロックされている第2の締付け舌とがグリッパ本体に対して自由に旋回可能である)とき、把持されている印刷物の重心を旋回軸の下方に配置することができ、したがって、少なくともそのような搬送によって、搬送方向に平行な面においてグリッパ本体または搬送部材にトルクが伝わらず、物体は湾曲しない。上記のように2つの締付け舌の接触面を互いに位置合わせすることによって、把持される印刷物を締付け舌の締付けあごの間に押付けた状態で締付け動作と交差する摺動動作を最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
添付の図面を例として、本発明に係るグリッパの例示的な実施形態を詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明に係るグリッパの好ましい実施形態の側面から見た図、つまり搬送方向を横切る方向に見た図である。図1において、2つの印刷物Pが締付けあご同士の間に締付けられ、自由に懸垂している状態で搬送されるグリッパの閉状態を実線で示し、開状態を点線で示す。図2も、印刷物Pが自由に懸垂した状態で搬送されるグリッパの閉状態を実線で示し、同様に開状態を点線で示すが、締付け舌は搬送要素またはグリッパ本体に対して旋回される。図3は、開状態のグリッパを示す。
【0013】
グリッパは、(点線2で示す)搬送要素上に組立てられたグリッパ本体1を含む。第1の締付け舌4が、旋回軸3について旋回可能にグリッパ本体1に装着される。第2の締付け舌5が、第1の締付け舌4の同じ旋回軸3について旋回可能に装着される。旋回軸3は搬送方向Fに垂直に位置合わせされており、第1の締付け舌4は後方の締付け舌である。両方の締付け舌は各々、それらの遠位端において、旋回移動または搬送方向に対して横切るように互いに離間された一対の締付けあご10および11を有し、各対10および11のうち、一方の締付けあごのみが図1〜図3において視認可能である。締付けあごについて、図4〜図9を参照してより詳細に説明する。
【0014】
グリッパ本体1に対する第1の締付け舌4の旋回位置は、一方では図示しない対応する静止カム上で回転するカムローラ12によって決定され、他方ではエキスパンダばね(図示せず)によって決定される。エキスパンダばねは、第1および第2の締付け舌の間に配置され、両者を可能な限り互いに離れた位置に保持する。2つの締付け舌4および5の最も外側の位置は、グリッパ本体1上の適切な当接部材(第2の締付け舌については、当接部材13)によって規定される。エキスパンダばねおよび当接部材によって規定される2つのグリッパ舌の最も外側の位置を、図1において点線で示す。
【0015】
第1の締付け舌4を基準とする第2の締付け舌5の旋回位置は、カムレバー20によって決定される。これは軸21上に係合し、さらなるカムローラ22を保持し、当該軸は第1の締付け舌4に回転可能に装着され、第2の締付け舌5は軸上にロックされる。このさらなるカムローラ22は、静止状態に配置されたカム(図示せず)上でも回転する。カムがさらなるカムローラ22を押下げると軸21が時計方向に回転し、したがって第2の締付け舌5が第1の締付け舌4の方に移動する。第2の締付け舌5は渦巻ばね23によって軸21上にロックされているので、締付けあご11が第1の締付け舌4の締付けあご10、または2つの締付けあごの間に締付けられた物体に当接しているために第2の締付け舌5がそれ以上旋回しない場合でも、渦巻ばね23の張力によって軸はさらに回転し得る。渦巻ばね23は、このようなさらなる回転によって引張られ、締付け力が増大する。締付けあごは、第1の締付け舌4に対して軸21の予め定められた回転位置において互いにロックされる。
【0016】
ロック機能については、ロックレバー26およびカムレバー27を有するロックつめ25が、たとえば第1の締付け舌4上に回転可能に配置され、軸21上にロックされたカムレバー20は、ロックレバー26と協働するロック要素28を有する。つめ25のロックレバー26は、静止して配置され、かつロックつめ25のカムレバー26上で動作するカム要素(図示せず)によって、付勢された調整ばね29の力に対抗して、ロック位置(図1および図2の実線)から遊休位置(図3)の状態となる。ここでばね23の張力は減少し、エキスパンダばねはグリッパを開放する。カムつめ25およびロック要素28によって規定される第1の締付け舌4を基準とする回転位置に軸21が到達すると、ロックレバー26およびロック要素28がロック位置にぱちんと嵌まり、上記のロックつめ25のカムレバー27を起動することによってのみ再度開放され得る。
【0017】
図1に実線で示したグリッパの状態では、2つの締付け舌が互いにロックされている。第1の締付け舌4が回転する旋回位置を決定するカムローラ12が回転する静止カムが無く、したがってこの旋回位置は重力によって決定される。既に上述したように、グリッパは、2つのグリッパ舌4および5の締付けあご10および11がそれらの間に物体Pを締付けた状態に維持するように設計され、旋回軸3に対して径方向に位置合わせされ、したがって物体Pの重心は、旋回軸の下方に垂直に存在する。これは、物体が重力によって湾曲せず、締付け舌4および5、グリッパ本体1、ならびに最終的に搬送要素に引継がれるようなトルクが生じないということを意味する。
【0018】
図1に点線で示したグリッパの状態は開状態であり、2つの締付け舌4および5の位置は、グリッパ本体1上のエキスパンダばねと当接部材13とによって決定される。
【0019】
図2に実線で示したグリッパの状態は閉じられロックされた状態であり、グリッパ本体1を基準とする第1の締付け舌4の旋回位置は、たとえば重力によって決定される。カムローラ12を適切に制御することによって、またはグリッパ本体1もしくは搬送部材の位置を重力に対して適切に変化させることによって、第1の締付け舌4をそれにロックされた第2の締付け舌5とともに、他の旋回位置たとえば図2の点線で示す2つの旋回位置に移動させ得る。グリッパ本体の位置を変化させる場合は、旋回軸と把持されている物体の重力中心との相対位置は変化しない。
【0020】
図3は、2つの締付け舌4および5の締付けあご10および11の接触面同士の好ましい位置合わせを示す。第1の締付け舌4の締付けあご10の接触面は、旋回軸3に対して径方向に位置合わせされる垂直面E内に位置決めされる。第2の締付け舌5は開状態で示され、点線で示される位置では、締付けあご11の休息面が第1の締付け舌4の締付けあご10の接触面に平行に位置合わせされる。このことから、締付けあご11の接触面の位置合わせは、対応する径方向面E′と角度αをなすことが明らかである。この角度は、距離Dにある第1および第2の締付け舌の間の旋回角度に相当し、取扱われる物体の平均厚さに相当する。
【0021】
本発明に係るグリッパは非常にコンパクトな構造を有し、既知のグリッパと等しい構造高さであるとすると、グリッパあごの深さが著しく大きくなることが図1〜図3から明らかである。これは、把持されている物体の締付け領域を、その端縁から既知のグリッパよりも深く把持し得るということである。グリッパあごの深さがより大きいことにより、把持されている物体の締付け領域がさらにその端縁から離間されて位置し、したがって重心により近くなる(荷重力に対してレバーアームがより小さくなる)。これによって、図1に示すように、互い違いに上下に配置された印刷物の組を確実に把持し、かつ保持した状態でそれらを搬送することも可能になる。とりわけ、搬送方向に至るロックつめ25のカムレバー27は技術水準と異なっており、コンパクトな構造に寄与する。
【0022】
図1〜図3に示した本発明に係るグリッパの好ましい実施形態においては、旋回軸と、グリッパあごの最も内側の点との間の距離Hは、グリッパのグリッパあご深さが旋回軸と締付けあごとの間の距離の約75%をなすように、最小限に抑えられる。
【0023】
図4は、本発明に係るグリッパの第1の締付け舌4の遠位端の例示的な実施形態を、搬送方向に平行な視角で示す。両側の遠位端は、旋回軸3に対しておよそ平行に舌から突出するアーム30を有し、アームにおいて、締付けあご10が可能な限り外側に離れた場所に位置するように配置される。締付けあごはたとえば環状であり、アーム30にその自由端から嵌められる。第1の締付けあごはたとえばプラスチックからなり、アームはそうではない、または若干弾性を有するように設計されるにすぎない。
【0024】
図5は、本発明に係るグリッパの第2の締付け舌5の遠位端の例示的な実施形態を示す。この締付け舌も、締付けあご11を外側の位置に保持する横方向アーム30を有する。締付けあご11は、たとえば、アーム30の開口部32にぱちんと嵌められる、または挿入される。第2の締付け舌5のアーム30は、たとえば、実際の締付け舌5を構成する渦巻ばね(図1〜図3の23)の一部23′上に嵌められる遠位付属品31の一部である。これによってアーム30が押付け力に対して平行に、つまり図5の紙面に対して垂直に弾性を有するように、付属品を設計することが好ましい。締付けあごが付属品の中央領域を越えて第1の締付け舌の方向に突出するように、紙面に対して垂直に付属品を折り曲げることが有利である。付属品31は、たとえばプラスチックからなり、ばね23はばね鋼である。
【0025】
たとえば新聞または雑誌の形態および重量を有する物体を搬送するのに適切な搬送装置については、1つの締付け舌の2つの締付けあごを少なくとも10cm離して配置することが有利である。
【0026】
一方の締付けあごだけに上記のアームと2つの締付けあごとを設けることも可能であり、他方の締付け舌は相応して幅広く、相応して1つの幅広い締付けあごを有する。
【0027】
図6〜図9は、本発明に係るグリッパの締付け舌4および5の締付けあご10および11の種々の実施形態を示す側面図である。図6〜図9の全図において、第2の締付け舌の締付けあご11の形状は、アーム30上にたとえば一体形成された空洞40を有する。中空形状は、第1の締付け舌4の締付けあご10に対向し、したがって締付けあご11の接触面を構成する弾性的に変形可能なカバーを有する。
【0028】
図6〜図9に示す第1の締付け舌4の締付けあご10.1〜10.4は、別個に三次元でも示す。
【0029】
図6の締付けあご10.1は、自由アーム端からアーム30に嵌められ得る。このため、弾性が制限された筒状の保持部50を有する。中央にボールカロット52を有する内側板51が、筒状の保持部に配置されている。対応する箇所におけるアーム30は、ボールカロット52に対応する凹部53を有し、その深さはボールカロット52の高さよりも若干小さい。締付けあご10.1がアーム30に嵌められると、ボールカロット52は、板51がボールジョイントによってアーム30上に装着されるように、凹部53に位置決めされる。内側板51は、対向する締付けあごの接触面に対して、またはこれによって把持されている物体に対して、あらゆる方向に適合し得る。
【0030】
締付けあご10.1の筒状保持具50の窪み56と協働してあご10.1をアームに固定する構成55が、図6においてアーム30の、把持されている物体とは反対側にさらに示される。
【0031】
図7に示す締付けあご10.2は、側面からアーム30に同様に嵌めることができ、このため弾性が制限された筒状の保持部50を有する。側方に開いた、たとえば複数のチャンバを有する中空形状60がこの保持部50上に配置され、有利に傾斜した支持体61上にクッション状の接触面を形成する。
【0032】
図8に示す締付けあご10.3は本質的に、全側面が閉じ、流体で充填され、かつたとえばアーム30上に接合される平坦なクッション62からなる。
【0033】
図9に示す締付けあご10.4は、弾性的に変形可能な平坦なブロック63(たとえば
粘弾性の変形可能材料)からなり、ブロック63は、たとえば接合によって同様にアーム30上にロックされる。
【0034】
図6〜図9に示した締付けあごは、本発明に係るグリッパに適した締付けあごの例示的な実施形態であり、締付け舌に作用する締付け力によって、対向するあごに、または締付けられている物体に適合し得る。これらの締付けあごのさらなる実施形態は、図示した締付けあごの他の組合せまたは特徴に帰因する。特に、第1の締付け舌4の締付けあご10として示した締付けあごは、第2の締付け舌5の締付けあご11として使用してもよく、逆もまた同様である。
【0035】
締付けあごの接触面をインクをはじくように処理すると有利であることが分かっている。これは印刷物のスミアリングに対するさらなる対策である。個々の処理は他の出願から知られている(たとえば搬送ベルト)。
【0036】
図1〜図3に示したグリッパは、同様に本発明に係るグリッパの好ましい実施形態である。これらのグリッパのさらなる実施形態は、たとえば以下の特徴によって、図示したグリッパとは異なる。
【0037】
・第1の締付け舌4は、グリッパ本体1に対して旋回可能ではない。
・第2の締付け舌5は、渦巻ばね無しに軸上にロックされた弾性部材であり、2つの締付けあごを互いにロックする。
【0038】
・両方の締付けあごは弾性要素である。
・2つの締付け舌の間のエキスパンダばねがない。
【0039】
・両方または第2の締付け舌のみのアーム30が弾性を有するように設計される。
・2つの締付け舌の一方のみが、それぞれ締付けあごを有する横方向アーム30を有し、他方の締付け舌は1つの締付けあごを有する。
【0040】
・少なくとも1つの締付け舌の締付けあごは、適合可能ではない。
・閉じた形状において、2つの締付け舌をロックするための手段がない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係るグリッパの好ましい実施形態の種々の状態の側面図である。
【図2】本発明に係るグリッパの好ましい実施形態の種々の状態の側面図である。
【図3】本発明に係るグリッパの好ましい実施形態の種々の状態の側面図である。
【図4】図1〜図3に係るグリッパの2つの締付け舌の遠位端を搬送方向に見た図である。
【図5】図1〜図3に係るグリッパの2つの締付け舌の遠位端を搬送方向に見た図である。
【図6】本発明に係るグリッパの締付けあごの種々の実施形態の図である。
【図7】本発明に係るグリッパの締付けあごの種々の実施形態の図である。
【図8】本発明に係るグリッパの締付けあごの種々の実施形態の図である。
【図9】本発明に係るグリッパの締付けあごの種々の実施形態の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な物体(P)、特に新聞、雑誌、もしくはパンフレット、またはこれらの少量の組などの印刷物を把持し、かつ保持しつつ搬送するためのグリッパであって、前記グリッパは、グリッパ本体(1)、第1の締付け舌(4)、第2の締付け舌(5)、および締付け力を生成するための手段を備え、締付け舌(4,5)はそれらの遠位端において締付けあごを含み、第2の締付け舌(5)は、旋回軸(3)について第1の締付け舌(4)に対して旋回可能であり、これによってグリッパは開いた形状および閉じた形状になり、2つの締付け舌(4,5)の締付けあごは閉じた形状では互いにまたは締付けられている物体(P)に当接し、締付け力によって互いに押付けられ、2つの締付け舌の少なくとも一方(4または5)はその遠位端において、締付け力に平行な方向に弾性を有する横方向に延在する2本のアーム(30)を有し、接触面を有する締付けあご(10,11)は、締付けられている物体(P)が互いに離間された2つの締付け領域において締付けられるように、アーム(30)の各々上に設けられることを特徴とする、グリッパ。
【請求項2】
両方の締付け舌はそれらの遠位端において、各々が締付けあご(10,11)を有する横方向に配置された弾性アーム(30)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のグリッパ。
【請求項3】
締付けあご(10,11)の接触面は、締付け力によって、向い合う締付けあご(10,11)に、または締付けられている物体(P)に適合し得ることを特徴とする、請求項1または2に記載のグリッパ。
【請求項4】
締付けあご(10,11)の接触面は、ボールジョイントによってアーム(30)上に装着されることを特徴とする、請求項3に記載のグリッパ。
【請求項5】
締付けあご(10,11)の接触面は、弾性的に変形可能な中空形状(60)によって、弾性的に変形可能な材料によって、または流体によって、アーム(30)上に装着されることを特徴とする、請求項3に記載のグリッパ。
【請求項6】
締付けあご(10,11)の接触面は、インクをはじくように作用するように処理されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のグリッパ。
【請求項7】
少なくとも1つの締付け舌(4または5)の締付けあご(10,11)の接触面は、旋回軸(3)に対して径方向に位置合わせされた面(E)内に位置することを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載のグリッパ。
【請求項8】
平均厚さを有する物体(P)が締付けあご(10,11)の間に締付けられると、2つの締付け舌(4,5)の締付けあご(10,11)の接触面が互いに平行に位置合わせされるように、第1の締付け舌(4)の締付けあご(10)の接触面は旋回軸に対して径方向に位置合わせされた面(E)内に位置し、第2の締付け舌(5)の締付けあご(11)の接触面は旋回軸に対して径方向に位置合わせされた面(E′)とある角度(α)をなすことを特徴とする、請求項7に記載のグリッパ。
【請求項9】
締付けあご(10,11)は筒状の保持具(50)を有し、側面からアーム(30)上に装着されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載のグリッパ。
【請求項10】
閉じた形状において締付け舌(4,5)をロックするように設計されるロック手段をさらに特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載のグリッパ。
【請求項11】
2つの締付け舌(4,5)が少なくとも閉じた形状においてグリッパ本体(1)に対して自由に旋回可能であるように、第1の締付け舌がグリッパ本体(1)に対して旋回可能であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載のグリッパ。
【請求項12】
第2の締付け舌(5)は、第1の締付け舌(4)に回転可能に装着されている軸(21)上に渦巻ばね(23)によって固着されることを特徴とし、渦巻ばね(23)は軸に巻回される、請求項1から11のいずれか1項に記載のグリッパ。
【請求項13】
ロック手段は、第1の締付け舌(4)上および第2の締付け舌(5)の軸(21)上に係合することを特徴とする、請求項10から12のいずれか1項に記載のグリッパ。
【請求項14】
エキスパンダばねが設けられ、それによって2つの締付け舌(4,5)が開いた形状に保持されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載のグリッパ。
【請求項15】
グリッパあごの深さは、締付けあご(10,11)と旋回軸(3)との間の距離の約75%をなすことを特徴とする、請求項1から14のいずれか1項に記載のグリッパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−533230(P2009−533230A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504542(P2009−504542)
【出願日】平成19年4月7日(2007.4.7)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000172
【国際公開番号】WO2007/115421
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(591219913)フェラーク・アクチェンゲゼルシャフト (11)
【氏名又は名称原語表記】FERAG AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】